JPH0733684A - 1−ハロ−シス−3−テトラデセンおよびこれを用いるシス−オレフィン化合物の製造方法 - Google Patents

1−ハロ−シス−3−テトラデセンおよびこれを用いるシス−オレフィン化合物の製造方法

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JPH0733684A
JPH0733684A JP5178694A JP17869493A JPH0733684A JP H0733684 A JPH0733684 A JP H0733684A JP 5178694 A JP5178694 A JP 5178694A JP 17869493 A JP17869493 A JP 17869493A JP H0733684 A JPH0733684 A JP H0733684A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 各種昆虫性フェロモン等の生理活性物質を有
する物質もしくはその合成中間体として有用なシス−オ
レフィン化合物を、合理的コストで工業的規模において
製造可能とする原料化合物およびこれを用いるシス−オ
レフィン化合物の製造方法を提供する。 【構成】 CH3 (CH2 9 CH=CH(CH2 2
X (Xはハロゲン原子を示す。)・・・・(I) で表される新規な化合物(1−ハロ−シス−3−テトラ
デセン)をシス−オレフィン化合物の原料化合物として
用いた。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、各種昆虫性フェロモン
等の生理活性物質を有する物質もしくはその合成中間体
として有用なシス−オレフィン化合物の製造方法に関す
る。より詳しくは、1−ハロ−シス−3−テトラデセン
およびこれを用いるシス−オレフィン化合物の製造方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、各種昆虫性フェロモン等の生理活
性物質を有する物質もしくはその合成中間体として有用
なシス−オレフィン化合物の製造方法に関する技術とし
て、例えば、マイマイガ(Lymantria dispar L. )の性
フェロモン[シス−7,8−エポキシ−2−メチルオク
タデセン(ラセミ体)]の合成中間体(2−メチル−シ
ス−7−オクタデセン)の製造方法があり、この製造方
法は、以下の3つに大別できる。 (1) 1−アルキンを金属アセチリドに変換してハロ
ゲン化アルキルと反応して得たアルキニル化合物を接触
還元によりシス−オレフィン化合物へ導く方法(ケミカ
ルアブストラクト 112(23)216209d,110(9)75093f,93(1
7)167560q,78(13)84127t等)。 (2) Wittig反応を利用する方法(ケミカルアブスト
ラクト 109(13)110058b,99(7)53420n,86(7)43458y,77
(15)97695f 等)。 (3) 有機シリコン中間体を経由する方法(ケミカル
アブストラクト 86(21)155133v )。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記従来の方
法は、以下のように欠点を有していた。 (1)の方法では、n−ブチルリチウムのような高価で
取扱いの煩雑なものを使用しており、かつHMPT(ヘ
キサメチルホスホリックトリアミド)のような発ガン性
の疑いのある物質を使用しなければならなかった。 (2)の方法では、Wittig反応のシス体立体選択性が低
く、トランス体を無視できないレベルで副成してしまい
がちである。 (3)の方法では、使用する原料が極めて特殊で、その
調製にかかる製造上の負担が大きい。 このように、マイマイガの性フェロモンの合成中間体を
効果的に製造する方法はなかった。このことは、各種昆
虫性フェロモン等の生理活性物質を有する物質もしくは
その合成中間体として有用なシス−オレフィン化合物に
ついて一般的にもいえることであった。
【0004】このような事情から、かかるシス−オレフ
ィン化合物を、合理的コストで工業的規模において製造
可能とする技術が望まれていた。
【0005】したがって、本発明の目的は、シス−オレ
フィン化合物を、合理的コストで工業的規模において製
造可能とする原料化合物およびこれを用いるシス−オレ
フィン化合物の製造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的達成のため、請
求項1の発明の要旨は、一般式(I)
【化7】 CH3 (CH2 9 CH=CH(CH2 2 a (Xa はハロゲン原子 を示す。) ・・・・(I) で表される新規な化合物(1−ハロ−シス−3−テトラ
デセン)にある。
【0007】上記目的達成のため、請求項2の発明の要
旨は、一般式(I)
【化8】 CH3 (CH2 9 CH=CH(CH2 2 a (Xa はハロゲン原子 を示す。) ・・・・(I) で表されるシス−オレフィン化合物の新規な原料化合物
(1−ハロ−シス−3−テトラデセン)にある。
【0008】上記目的達成のため、請求項3のシス−オ
レフィン化合物の製造方法は、1−ハロ−シス−3−テ
トラデセンを一般式(II)
【化9】 CH3 (CH2 9 CH=CH(CH2 2 a ・・・・(II) [式中、Ma は金属原子またはMgXa (Xaはハロゲ
ン原子)を示す。]で示される有機金属化合物に変換
し、これと一般式RY(式中Rはアルキル基,Yはシュ
ウ素原子,ヨウ素原子,トシルオキシ基またはメシルオ
キシ基)で表される化合物を反応させ、
【化10】 CH3 (CH2 9 CH=CH(CH2 2 R ・・・・(III) とすることを特徴とする。
【0009】上記目的達成のため、請求項4のシス−オ
レフィン化合物の製造方法は、一般式RXb (Rはアル
キル基,Xb はハロゲン原子を示す。)で示される化合
物を有機金属化合物RMb (式中Mは金属原子またはM
gXb を示す。)に変換し、該有機金属化合物RMb
一般式(IV)
【化11】 CH3 (CH2 9 CH=CH(CH2 2 Z ・・・・(IV) (Zはシュウ素原子またはヨウ素原子)で表される化合
物と反応させ、
【化12】 CH3 (CH2 9 CH=CH(CH2 2 R ・・・・(III) とすることを特徴とする。
【0010】本発明者は、各種昆虫性フェロモン等の生
理活性物質を有する物質もしくはその合成中間体として
有用なシス−オレフィン化合物の製造方法について鋭意
検討を重ねた。その結果、かかるシス−オレフィン化合
物の新規な原料化合物として、次式(I)で示される1
−ハロ−シス−3−テトラデセンに想到した。
【化13】 CH3 (CH2 9 CH=CH(CH2 2 a (Xa はハロゲン原子 を示す。) ・・・・(I)
【0011】ここで、ハロゲン原子Xa をCl,Br,
Iとしたときの沸点は以下の通りである。 Xa =Cl・・・123〜125℃/3mmHg =Br・・・133〜136℃/3mmHg =I・・・・116〜117℃/0.2mmHg これら各々のハロゲン化物は、淡黄色油状液体である。
【0012】これらのハロゲン化物は、次式で表される
公知のシス−3−テトラデセン−1−オール(ケミカル
アブストラクト 登録番号68892-27-3)
【化14】 CH3 (CH2 9 CH=CH(CH2 2 OH ・・・・(V) をハロゲン化することで容易に製造することができる。
【0013】このアルコールを、例えば、ハロゲン化リ
ン,トリフェニルホスフィン−四ハロゲン化炭化水素,
スルホニルハロゲニド,スルホン酸エステルもしくはハ
ロゲン化チオニルを用いたハロゲン化法によってハロゲ
ン化することによって、1−ハロ−シス−3−テトラデ
センを得ることができる。このようなハロゲン化法の例
を下式に示す。
【0014】
【化15】
【0015】シス−オレフィン化合物の製造
方法(その1) 次に、上記1−ハロ−シス−3−テトラデセンを原料化
合物(あるいは出発物質,中間体)としてシス−オレフ
ィン化合物を製造する方法(請求項3の製造方法)につ
いて説明する。この製造方法では、まず1−ハロ−シス
−3−テトラデセンを一般式(II)
【化16】 CH3 (CH2 9 CH=CH(CH2 2 a ・・・・(II) [式中、Ma は金属原子またはMgXa (Xa はハロゲ
ン原子)を示す。]で示される有機金属化合物に変換す
る。
【0016】金属原子Mとしては、例えば、リチウムが
ある。MをMgXa としたものは、グリニヤール試薬
(Grignard試薬)である。リチウムと1−ハロ−シス−
3−テトラデセンとの反応は、反応条件に繊細な条件が
要求されるため、グリニヤール試薬の調製のほうがより
実用的である。
【0017】一般式(II)の有機金属化合物は、溶媒
中の原料金属片に1−ハロ−シス−3−テトラデセンの
溶液を加える(滴下する)ことによって得ることができ
る。
【0018】原料金属の使用量は、リチウムのとき1−
ハロ−シス−3−テトラデセンのモル数に対し、1.7
〜2.0倍当量、マグネシウムのとき1.0〜1.2倍
当量である。1−ハロ−シス−3−テトラデセンの溶液
の溶媒は、ジエチルエーテル,テトラヒドロフラン等が
好適である。反応温度は、リチウムのとき0〜40℃、
マグネシウムのとき50〜90℃である。
【0019】次に一般式(II)の有機金属化合物と一般
式RYで表される化合物を反応させる。一般式RY中R
はアルキル基,Yはシュウ素原子,ヨウ素原子,トシル
オキシ基(−OSO2 Ph),メシルオキシ基(−OS
2 CH3 )である。化合物RZは、具体的には、エチ
ルブロミド(ヨージド),n−ヘプチルブロミド(ヨー
ジド),イソアミルブロミド(ヨージド),n−ウンデ
シルブロミド(ヨージド)等のシュウ化アルキルまたは
ヨウ化アルキル,イソアミル−p−トルエンスルホネー
ト,n−ヘキシルメタンスルホネート等を挙げることが
できる。溶媒としては、ジエチルエーテル,テトラヒド
ロフラン等を好適に使用することができ、場合によって
は、DMF(N,N−ジメチルホルムアミド),DMI
(N,N−ジメチルイミダゾリジノン)等を助剤として
使用することができる。
【0020】反応にあたって、例えば一般式(II) の有
機金属化合物がグリニヤール試薬の場合、Cu(I)X
c ,Cu(II)Xc 2 等の1価または2価ハロゲン化銅
等の銅触媒をグリニヤール試薬に対して、0.001〜
0.1モル当量使用することが好適である。
【0021】反応は、RYを溶媒中に溶解し、そこへ−
40〜30℃で一般式(II) の有機金属化合物を触媒存
在下にRYに対し当モル〜1.1倍モル滴下することで
行われる。
【0022】シス−オレフィン化合物の製造方法(その
2) 次に、ハロゲン化アルキルRXb を有機金属化合物RM
b に変換し、これに1−ハロ−シス−3−テトラデセン
を反応させてシス−オレフィン化合物を製造する方法
(請求項4の製造方法)について説明する。
【0023】この製造方法では、まず、ハロゲン化アル
キルRXb を有機金属化合物RMbに変換する。一般式
RXb において、Rはアルキル基,Xb はハロゲン原子
を示す。ハロゲン化アルキルRXb は、具体的には、エ
チルブロミド(ヨージド),n−ヘプチルブロミド(ヨ
ージド),イソアミルブロミド(ヨージド),n−ヘキ
シルブロミド(ヨージド)等のシュウ化アルキルまたは
ヨウ化アルキルを挙げることができる。この化合物RX
b を有機金属化合物RMb (式中Mb は金属原子または
MgXb を示す。)に変換し、アルキルリチウムまたは
グリニヤール試薬といった有機金属化合物とする。ここ
で、金属原子Mb としては、例えば、リチウムがある。
この変換は、ジエチルエーテル,テトラヒドロフラン等
の溶媒中でハロゲン化アルキルRXb を金属片(Liや
Mg等)と反応させることによって行う。
【0024】次いで、得られた有機金属化合物RMb
一般式(IV)
【化17】 CH3 (CH2 9 CH=CH(CH2 2 Z (Zはシュウ素原子またはヨウ素原子) ・・・・(IV) で表される化合物(1−ハロ−シス−3−テトラデセ
ン)と反応させる。これによって、
【化18】 CH3 (CH2 9 CH=CH(CH2 2 R ・・・・(V) なるシス−オレフィン化合物を得ることができる。
【0025】有機金属化合物RMb がアルキルリチウム
の場合には、ヨウ化第1銅と共に反応させ、ジアルキル
銅リチウム(リチウムオルガノクプレート,Lithium o
rganocuprate)として(の中間体を経て)、1−ハロ−
シス−3−テトラデセンと反応させる。
【0026】また、有機金属化合物RMb がグリニヤー
ル試薬の場合には、Cu(I)Xc,Cu(II)Xc
2 等の1価または2価ハロゲン化銅等の銅触媒をグリニ
ヤール試薬に対して、0.001〜0.1モル当量使用
して、1−ハロ−シス−3−テトラデセンと反応させる
ことが普通である。
【0027】リチウムオルガノクプレートの場合、アル
キル基が0.5当量無駄になるだけでなく、有機金属化
合物の安定性も低いので、グリニヤール試薬の使用のほ
うが好適である。
【0028】以上のようにして得られたシス−オレフィ
ン化合物は、反応後、水中に注ぎ、常法に従って、例え
ば蒸留,カラムクロマトグラフィー等の通常の分離操作
で、1−ハロ−シス−3−テトラデセンにおける幾何純
度を損なうことなく、シス−オレフィン化合物を得るこ
とができる。
【0029】以上のようにして本発明によれば各種の生
理活性を有するシス−オレフィン化合物を製造すること
ができる。例えば、昆虫に関しては表1に示すようなシ
ス−オレフィン化合物を挙げることができる。
【0030】
【表1】
【0031】
【実施例】以下に本発明の実施例を示すが、本発明はこ
れらの実施例に限定されるものではない。
【0032】(実施例1) 1−クロロ−シス−3−テ
トラデセンの合成(本発明にかかる化合物) 3リットル容反応器にシス−3−テトラデセン−1−オ
ール395g(1.86モル),ジクロルメタン680
g,トリエチルアミン186g(1.84モル)を加え
0℃に冷却した。これに塩化チオニル237g(1.9
9モル)を40℃を超えないように滴下した。1時間攪
拌したのち、ジクロルメタン還流下2時間反応させた。
反応後、純水600gを加え、分液したのち、得られた
有機層を5%Na OH600g,5%食塩水500gで
順次洗浄後、溶媒を除去して蒸留したところ、沸点12
3〜125℃/3mmHgで油状液体385gが得られ
た。各種スペクトルデータの結果、このものは1−クロ
ロ−シス−3−テトラデセンであることを確認した(純
度96%,収率86.1%)。
【0033】(実施例2) 1−ブロモ−シス−3−テ
トラデセンの合成(本発明にかかる化合物) 1リットル容反応器にシス−3−テトラデセン−1−オ
ール21.2g(0.1モル)とテトラヒドロフラン3
0gを入れ、これにテトラヒドロフラン20mlにとか
したCBr4(36g,0.11モル)を室温で滴下し
た。次にテトラヒドロフラン30mlにとかしたトリフ
ェニルホスフィン30g(0.115モル)を40℃を
超えないように滴下し、室温で1時間攪拌した。反応後
メタノール10mlを加え数分間攪拌したのち溶媒を減
圧下除去して残渣をn−ヘキサンで抽出した。得られた
ヘキサン層中のトリフェニルホスフィンオキシドを濾別
し、得られたヘキサン層を蒸留したところ、沸点133
〜136℃/3mmHgの淡黄色油状液体25gが得ら
れた。各種スペクトルデータの結果、このものは1−ブ
ロモ−シス−3−テトラデセンであることを確認した
(純度96%,収率91%)。
【0034】(実施例3) 1−ヨード−シス−3−テ
トラデセンの合成(本発明にかかる化合物) 1リットル容反応器にシス−3−テトラデセン−1−オ
ール21.2g(0.1モル)とジクロルメタン200
ml,トリエチルアミン104g(1.03モル)を加
え、0℃に冷却した。これにメタンスルホニルクロリド
12g(0.105モル)を滴下した。室温にて1時間
攪拌したのち、冷水200mlを加えて分液しジクロル
メタン層を回収した。これに無水硫酸ナトリウム3gを
加え乾燥後、ジクロルメタンをすばやく減圧下除去し
た。次に別の1リットル反応器にヨウ化ナトリウム24
g(0.16モル)とアセトン200gを加え還流下、
上記濃縮液を滴下した。その後アセトン還流下に6時間
攪拌したのち、冷却して純水400gとn−ヘキサン2
00mlを加え分液した。有機層を3%チオ硫酸ナトリ
ウム水溶液300g,5%食塩水300gで順次洗浄し
て溶媒を除去して蒸留したところ、沸点116〜117
℃/0.2mmHgの淡黄色油状液体29gが得られ
た。各種スペクトルデータの結果、このものは1−ヨー
ド−シス−3−テトラデセンであることを確認した(純
度92%,収率82.8%)。
【0035】以上の実施例1〜3にかかる1−ハロ−シ
ス−3−テトラデセンのスペクトルデータと各図との関
係を以下の表2に示す。
【0036】
【表2】
【0037】(実施例4) シス−5−ヘキサデセンの
合成(ニカメイガの交尾阻害成分)〔製造方法(その
1)のグリニャール法〕 1リットル容反応器にマグネシウム5.0g(0.20
6モル)とテトラヒドロフラン90gを加え、N2 雰囲
気下エチルブロミド2gと1−クロロ−シス−3−テト
ラデセン46g(0.2モル)を滴下して反応を開始、
滴下終了後、テトラヒドロフラン還流下に2時間攪拌し
て、得られた液体を300ml容滴下ロートに受けた。
次に別の1リットル容反応器にテトラヒドロフラン30
g,シュウ化第一銅0.5g,エチルブロミド22g
(0.204モル)を入れ、0℃に冷却し、そこへ上記
グリニャール試薬を10℃を超えないように滴下した。
反応後、飽和塩化アンモニウム水溶液100gを加え分
液し、その有機層のテトラヒドロフランを減圧下除去し
て蒸留したところ、シス−5−ヘキサデセン37.7g
が得られた〔純度:96.2%,収率:81%,沸点:
149〜152℃/3mmHg,MS(m/e):56
(100%)224(M+ :21%)〕。
【0038】(実施例5) 2−メチル−シス−7−オ
クタデセンの合成(マイマイガ性フェロモン前駆体〔製
造方法(その1)のグリニャール法〕 1リットル容反応器にマグネシウム5.0g(0.20
6モル),1−クロロ−シス−3−テトラデセン46g
(0.2モル)から実施例4と全く同様の操作でグリニ
ャール試薬を調製した。次に別の1リットル容反応器に
テトラヒドロフラン30g,イソアミルブロミド30g
(0.2モル),ヨウ化第一銅0.6gを入れ、0℃に
冷却し、そこへ上記グリニャール試薬を20℃を超えな
いように滴下した。反応後、実施例4と全く同様の操作
で蒸留したところ、2−メチル−シス−7−オクタデセ
ン20gが得られた〔純度:96.0%,収率:77
%,沸点:155〜158℃/2mmHg,MS(m/
e):56(100%),266(M+ :27%)〕。
【0039】(実施例6) シス−10−ヘンイコセン
の合成(Drosophila virlis の性フェロモン成分)
〔製造方法(その2)のグリニャール法〕 1リットル容反応器にマグネシウム5.0g(0.20
6モル)とテトラヒドロフラン150gを加え、N2
囲気下ヨウ素片1片とn−ヘプチルブロミド35.6g
(0.2モル)を滴下して反応を開始し、滴下終了後テ
トラヒドロフラン還流下に2時間攪拌して得られた液体
を300ml容滴下ロートに受けた。次に別の1リット
ル容反応器にテトラヒドロフラン30g,塩化第一銅
0.4g,1−ブロモ−シス−3−テトラデセン49.
5g(0.18モル)を加え、0℃に冷却し、そこへ上
記グリニャール試薬を10℃を超えないように滴下し
た。反応後、飽和塩化アンモニウム水溶液100gを加
え分液し、その有機層のテトラヒドロフランを減圧下除
去して蒸留したところ、シス−10−ヘンイコセン2
2.3gが得られた〔純度:95.1%,収率:75
%,沸点:171〜175℃/2mmHg,MS(m/
e):56(100%),294(M+ :10%)〕。
【0040】(実施例7) シス−9−イコセンの合成
(Drosophila virlis の反応刺激成分)〔製造方法
(その2)のリチウム法〕 500ml容反応器にN2 雰囲気下ジエチルエーテル1
00ml,リチウム片0.7g(0.1モル)を入れ、
20〜25℃でn−ヘキシルブロミド8.2g(0.0
5モル)を滴下したところ、白濁した。10℃で数分間
攪拌したのち静置し上澄液を注射器で抜き取った。次に
別の200ml容反応器にジエチルエーテル50ml,
ヨウ化第一銅4.5g(0.023モル)を入れ−20
℃に冷却して上記上澄液を加え約1時間攪拌して静置
し、再びその上澄液を注射器で抜き取った。次に別の5
00ml容反応器にジエチルエーテル20mlと1−ヨ
ード−シス−3−テトラデセン3.2g(0.01モ
ル)を入れ、−20℃でゆっくり上記上澄液を加え、4
時間攪拌した。反応後飽和塩化アンモニウム水溶液50
gを入れ、溶媒を減圧下除去して得られた残渣をシリカ
ゲルカラムクロマトグラフィの操作でシス−9−イコセ
ン1.76gを回収した〔純度:95.8%,MS(m
/e):56(100%)280(M+ :8%)〕。
【0041】(実施例8) 2−メチル−シス−7−オ
クタデセンの合成(マイマイガ性フェロモン前駆体)
〔製造方法(その1)のグリニャール法〕 1リットル容反応器でマグネシウム5.0g(0.20
6モル),1−クロロ−シス−3−テトラデセン46g
(0.2モル)から実施例4と全く同様の操作でグリニ
ャール試薬を調製した。次に別の1リットル容反応器に
テトラヒドロフラン100g,イソアミル−p−トルエ
ンスルホネート45.2g(0.2モル),ヨウ化第一
銅0.5gを入れ、−20℃に冷却し、上記グリニャー
ル試薬を滴下した。滴下後0℃で2時間攪拌したのち徐
々に室温になるまで攪拌した。次いで飽和塩化アンモニ
ウム水溶液100gを加え分液し、溶媒を減圧下除去し
て得られた残渣を蒸留したところ2−メチル−シス−7
−オクタデセン16.1gが得られた〔純度:96.0
%,収率:62%,沸点:155〜158℃/2mmH
g,MS(m/e):56(100%)266(M+
27%)〕。
【0042】
【発明の効果】上記したところから明らかなように、本
発明によれば、毒性が低く,取扱いが簡単な原料によ
り、シス体の純度を容易に確保してシス−オレフィン化
合物を得ることができるので、シス−オレフィン化合物
が、合理的コストで工業的規模において製造可能とな
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1にかかる1−ハロ−シス−3
−テトラデセンの赤外線吸収スペクトル図である。
【図2】本発明の実施例1にかかる1−ハロ−シス−3
−テトラデセンの 1H−核磁気共鳴スペクトル図であ
る。
【図3】本発明の実施例2にかかる1−ハロ−シス−3
−テトラデセンの質量スペクトル図である。
【図4】本発明の実施例2にかかる1−ハロ−シス−3
−テトラデセンの赤外線吸収スペクトル図である。
【図5】本発明の実施例2にかかる1−ハロ−シス−3
−テトラデセンの 1H−核磁気共鳴スペクトル図であ
る。
【図6】本発明の実施例2にかかる1−ハロ−シス−3
−テトラデセンの質量スペクトル図である。
【図7】本発明の実施例3にかかる1−ハロ−シス−3
−テトラデセンの赤外線吸収スペクトル図である。
【図8】本発明の実施例3にかかる1−ハロ−シス−3
−テトラデセンの 1H−核磁気共鳴スペクトル図であ
る。
【図9】本発明の実施例3にかかる1−ハロ−シス−3
−テトラデセンの質量スペクトル図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 // A01N 27/00 9155−4H C07F 1/02 7457−4H 3/02 B 7457−4H (72)発明者 岡野 重雄 新潟県中頸城郡頸城村大字西福島28番地の 1 信越化学工業株式会社合成技術研究所 内 (72)発明者 鈴木 宏始 新潟県中頸城郡頸城村大字西福島28番地の 1 信越化学工業株式会社合成技術研究所 内 (72)発明者 大島 光芳 新潟県中頸城郡頸城村大字西福島28番地の 1 信越化学工業株式会社合成技術研究所 内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式(I) 【化1】 CH3 (CH2 9 CH=CH(CH2 2 a (Xa はハロゲン原子 を示す。) ・・・・(I) で表される化合物。
  2. 【請求項2】 一般式(I) 【化2】 CH3 (CH2 9 CH=CH(CH2 2 a (Xa はハロゲン原子 を示す。) ・・・・(I) で表されるシス−オレフィン化合物の原料化合物。
  3. 【請求項3】 1−ハロ−シス−3−テトラデセンを一
    般式(II) 【化3】 CH3 (CH2 9 CH=CH(CH2 2 a ・・・・(II) [式中、Ma は金属原子またはMgXa (Xa はハロゲ
    ン原子)を示す。]で示される有機金属化合物に変換
    し、これと一般式RY(式中Rはアルキル基,Yはシュ
    ウ素原子,ヨウ素原子,トシルオキシ基またはメシルオ
    キシ基)で表される化合物を反応させ、 【化4】 CH3 (CH2 9 CH=CH(CH2 2 R ・・・・(III) とすることを特徴とするシス−オレフィン化合物の製造
    方法。
  4. 【請求項4】 一般式RXb (Rはアルキル基,Xb
    ハロゲン原子を示す。)で示される化合物を有機金属化
    合物RMb (式中Mb は金属原子またはMgXb を示
    す。)に変換し、該有機金属化合物RMb を一般式(I
    V) 【化5】 CH3 (CH2 9 CH=CH(CH2 2 Z (Zはシュウ素原子またはヨウ素原子) ・・・・(IV) で表される化合物と反応させ、 【化6】 CH3 (CH2 9 CH=CH(CH2 2 R ・・・・(V) とすることを特徴とするシス−オレフィン化合物の製造
    方法。
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