JP2001123973A - スクロール式流体機械 - Google Patents

スクロール式流体機械

Info

Publication number
JP2001123973A
JP2001123973A JP30154599A JP30154599A JP2001123973A JP 2001123973 A JP2001123973 A JP 2001123973A JP 30154599 A JP30154599 A JP 30154599A JP 30154599 A JP30154599 A JP 30154599A JP 2001123973 A JP2001123973 A JP 2001123973A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
scroll
shaft
cooling air
scrolls
casing
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP30154599A
Other languages
English (en)
Inventor
Masafumi Kaai
雅史 河相
Kazutaka Suefuji
和孝 末藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Tokico Ltd
Original Assignee
Tokico Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Tokico Ltd filed Critical Tokico Ltd
Priority to JP30154599A priority Critical patent/JP2001123973A/ja
Publication of JP2001123973A publication Critical patent/JP2001123973A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Rotary Pumps (AREA)
  • Applications Or Details Of Rotary Compressors (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 圧縮運転の初期時でも定常運転時でも圧縮効
率を十分に高められるようにする。 【解決手段】 偏心軸受16A,16Bの内輪19A,
19Bには旋回軸21を設け、旋回軸21の両端には固
定スクロール7A,7Bと対向して旋回スクロール22
A,22Bを設ける。そして、電動機13を作動して回
転軸20を回転し、旋回軸21を内輪19A,19Bと
一体に旋回運動させることにより旋回スクロール22
A,22Bを旋回させ、圧縮室26A,26B内で空気
を圧縮する。また、遠心ファン33A,33Bからの冷
却風を、流通室6A,6B、スクロール側通路部41
A,41B、軸内通路部42および環状通路部44等に
流通させることにより、固定スクロール7A,7B、旋
回スクロール22A,22Bおよび旋回軸21等を冷却
し、これらの軸方向の熱膨張を抑える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、空気圧縮機、真空
ポンプ等に用いて好適なスクロール式流体機械に関す
る。
【0002】
【従来の技術】一般に、スクロール式流体機械は、ケー
シングと、該ケーシングに設けられた固定スクロール
と、前記ケーシングに回転可能に設けられた駆動軸と、
前記ケーシング内で該駆動軸の先端側に旋回可能に設け
られ、前記固定スクロールと軸方向で摺接する旋回スク
ロールと、該旋回スクロールと固定スクロールとの間に
画成された複数の圧縮室とを備えたものが知られている
(例えば特開平6−26484号公報、特開平9−14
4674号公報)。
【0003】この種の従来技術によるスクロール式流体
機械は、外部から駆動軸を回転駆動し、旋回スクロール
を固定スクロールに対して一定の偏心寸法をもって旋回
運動させることにより、固定スクロールの外周側に設け
た吸込口から空気等の流体を吸込みつつ、この流体を固
定スクロールのラップ部と旋回スクロールのラップ部と
の間の各圧縮室内で順次圧縮し、固定スクロールの中心
部に設けた吐出口から圧縮流体を外部に向けて吐出す
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述した従
来技術によるスクロール式流体機械では、圧縮空気量を
増やすため、駆動軸の両端にそれぞれ旋回スクロールを
設け、該各旋回スクロールと対向して一対の固定スクロ
ールを配置する方法が考えられている。
【0005】しかし、この場合、スクロール式流体機械
の運転により生じるモータの発熱または圧縮熱によって
駆動軸等が軸方向に熱膨張することにより、固定スクロ
ールと旋回スクロールとのスラスト方向の間隔が縮ま
り、旋回スクロールのラップ部歯先と固定スクロールの
鏡板とが接触して、円滑な圧縮が行われなくなるという
問題がある。
【0006】そこで、このような問題を解決するため、
駆動軸の熱膨張量等を考慮して、固定スクロールと旋回
スクロールとのスラスト方向の間隔を前記熱膨張分だけ
余分に開けておくことが考えられる。しかし、この場合
には、運転初期時に固定スクロールと旋回スクロールと
の間隔が拡大して圧縮空気を十分に生成できず、圧縮効
率が低下するという問題がある。
【0007】本発明は上述した従来技術の問題に鑑みな
されたもので、圧縮運転の初期時でも定常運転時と同様
に圧縮効率を十分に高められるようにしたスクロール式
流体機械を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】上述した課題を解決する
ために請求項1の発明によるスクロール式流体機械は、
ケーシングと該ケーシングの軸線上に位置して該ケーシ
ングの両端側に設けられ鏡板に渦巻状のラップ部が立設
された第1,第2の固定スクロールとからなる固定側部
材と、該第1,第2の固定スクロール間に位置して前記
ケーシング内に設けられ、ロータとステータとが前記ケ
ーシングの軸線と同一方向となるように配置された電動
機と、前記第1,第2の固定スクロールと対面して該電
動機の出力軸の両端側に設けられ、鏡板に前記第1,第
2の固定スクロールのラップ部と重なり合って複数の圧
縮室を画成するラップ部が立設された第1,第2の旋回
スクロールと、前記電動機の回転によって冷却風を発生
させる冷却ファンと、該冷却ファンによって発生する冷
却風を前記電動機の出力軸に向けて軸方向に流通させる
冷却風通路とを備えている。
【0009】このように構成したことにより、電動機を
作動してロータを回転すると、該ロータと一体に出力軸
が回転し、このときに出力軸の両端側に設けられた第
1,第2の旋回スクロールを同時に旋回させることがで
きる。従って、ケーシングに設けられた第1,第2の固
定スクロールに対して第1,第2の旋回スクロールが旋
回運動すると、複数の圧縮室に吸込まれた流体は徐々に
圧縮される。
【0010】ここで、圧縮運転時には電動機によって冷
却ファンが作動することにより、冷却風が冷却風通路を
通じて出力軸側へと軸方向に流通するから、この冷却風
により出力軸を効率よく冷却でき、該出力軸が軸方向に
熱膨張するのを抑えることができる。このため、出力軸
と一体となった各旋回スクロールのラップ部歯先が相手
方の固定スクロールの鏡板と接触するのを防止できる。
【0011】また、請求項2の発明は、出力軸は、ロー
タの内周側に設けられ該ロータと一体に回転する中空の
回転軸と、該回転軸内に遊嵌され両端側に各旋回スクロ
ールが設けられ該回転軸の回転によって各旋回スクロー
ルを旋回させる中空の旋回軸とによって構成し、冷却風
通路は、冷却風を前記旋回スクロールの背面側から前記
旋回軸に向けて流通させるスクロール側通路部と、該ス
クロール側通路部からの冷却風を前記旋回軸の軸内に向
けて流通させる軸内通路部と、該軸内通路部からの冷却
風の一部を前記回転軸の内周側と旋回軸の外周側との間
の環状隙間に向けて流通させる環状通路部とによって構
成している。
【0012】これにより、電動機を作動すると、出力軸
を構成する回転軸がロータと一体に回転し、これに追従
して旋回軸が回転軸の内周側で旋回することにより、該
旋回軸と一体となった旋回スクロールを旋回することが
できる。
【0013】また、冷却ファンによって発生する冷却風
は、冷却風通路のスクロール側通路部を通じて旋回スク
ロールの背面側から旋回軸に向けて流通し、この間に旋
回スクロールを背面側から冷却することができる。さら
に、スクロール側通路部からの冷却風は、軸内通路部を
通じて旋回軸の軸内を流通し、この間に旋回軸を内側か
ら冷却できると共に、この軸内通路部からの冷却風の一
部は、環状通路部を通じて回転軸と旋回軸との間の環状
隙間にも流通し、この間に旋回軸、回転軸をそれぞれ外
側、内側から冷却することができる。
【0014】また、請求項3の発明は、冷却ファンは出
力軸の外周側に軸方向に離間して設けられ互いに異なる
送風能力を有する一対のファンにより構成している。こ
れにより、各ファンのうち、送風能力が大きい方のファ
ンによって冷却風を出力軸の軸方向に向けて円滑に流通
させることができる。
【0015】さらに、請求項4の発明は、ケーシングの
熱膨張率と出力軸の熱膨張率とは互いにほぼ等しい大き
さに設定している。この場合には、圧縮運転時にケーシ
ングと出力軸が軸方向に熱膨張したとしても、これらの
熱膨張量はほぼ等しくなるから、ケーシングと一体とな
った固定スクロールの鏡板と出力軸と一体となった旋回
スクロールのラップ部歯先との間の隙間を常に一定の大
きさに保つことができる。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態による
スクロール式流体機械としてスクロール式空気圧縮機を
例に挙げ、添付図面に従って詳細に説明する。
【0017】まず、図1ないし図7は本発明の第1の実
施の形態を示し、1はスクロール式空気圧縮機の外枠を
形成し、後述の固定スクロール7A,7Bと共に固定側
部材を構成する筒状のケーシングで、該ケーシング1
は、軸線O1 −O1 (図2参照)を有する筒部2と、該
筒部2の両端側に位置して後述するスラスト受け4Aの
取付フランジ部5Aに固定して設けられた有底筒状の蓋
部3A,3Bとによって構成されている。
【0018】また、前記蓋部3A,3Bの外周側には後
述の吸込口31A,31Bと対応した位置に開口部3A
1 ,3B1 が穿設されている。ここで、ケーシング1を
構成する筒部2、蓋部3A,3Bは、それぞれほぼ同等
の熱膨張率をもった金属材料等を用いて形成されるもの
である。
【0019】4A,4Bは筒部2と蓋部3A,3Bとの
間にそれぞれ位置して設けられ、ケーシング1の一部を
構成する第1,第2のスラスト受けで、該第1のスラス
ト受け4Aは、外周側が取付フランジ部5Aとなってケ
ーシング1の筒部2端面に固着して取付けられている。
そして、スラスト受け4Aは、後述のオルダムリング2
7Aを図3中の左,右方向に摺動可能にガイドするガイ
ド溝4A1 ,4A1 を有し、旋回スクロール22Aに作
用するスラスト荷重をオルダムリング27Aを介して支
持する構成となっている。
【0020】また、スラスト受け4Aは、ケーシング1
の蓋部3A内に固定スクロール7Aと後述の旋回スクロ
ール22Aとの間で冷却風の流通室6Aを画成し、該流
通室6Aは、後述する流通室37Aからの冷却風が流通
することにより、固定スクロール7A、旋回スクロール
22A、オルダムリング27A等を冷却するものであ
る。
【0021】また、第2のスラスト受け4Bについても
同様に構成され、ガイド溝4B1 、取付フランジ部5B
を有している。そして、スラスト受け4Bは、ケーシン
グ1の蓋部3B内に旋回スクロール22Bとの間で冷却
風の流通室6Bを画成し、該流通室6Bは、後述の固定
スクロール7B、旋回スクロール22B、オルダムリン
グ27B等を冷却するものである。
【0022】7A,7Bはケーシング1の軸方向両側に
位置して筒部2の内周側にそれぞれ軸方向に可動的に設
けられた第1,第2の固定スクロールで、該第1の固定
スクロール7Aは、略円板状に形成され、中心がケーシ
ング1の軸線O1 −O1 と一致するように配設された鏡
板8Aと、該鏡板8Aの表面に立設された渦巻状のラッ
プ部9Aと、鏡板8Aの外周側から該ラップ部9Aを取
囲むように軸方向に突出し、筒部2の内周側に嵌合して
軸方向に可動的に設けられた嵌合筒部10Aとによって
構成されている。また、鏡板8Aの背面側には周方向に
離間して軸方向に複数のピン穴11A(2個のみ図示)
が凹設され、このピン穴11Aには後述のガイドピン1
2Aが挿嵌されている。
【0023】また、第2の固定スクロール7Bについて
も、鏡板8B、ラップ部9B、嵌合筒部10Bおよびピ
ン穴11Bによって構成されている。
【0024】12A,12Bはケーシング1の蓋部3
A,3Bから固定スクロール7A,7B側に向けて突設
された複数のガイドピン(2個のみ図示)で、一方のガ
イドピン12Aは、基端側がケーシング1の蓋部3Aに
固着され、先端側は固定スクロール7Aのピン穴11A
内に摺動可能に挿嵌されている。
【0025】そして、このガイドピン12Aは、固定ス
クロール7Aをケーシング1に対して廻止め状態に保持
すると共に、固定スクロール7Aを軸方向にガイドする
構成となっている。また、他方のガイドピン12Bにつ
いてもガイドピン12Aと同様に構成されている。
【0026】13は固定スクロール7A,7B間に位置
してケーシング1内の中間部に設けれた電動機で、該電
動機13は、ケーシング1の内周側に固定的に設けられ
たステータ14と、該ステータ14の内周側に該ステー
タ14によって回転するように配設されたロータ15と
によって構成され、ステータ14の軸線とロータ15の
軸線はケーシング1の軸線O1 −O1 と同一軸線上に配
置されている。そして、電動機13は、ロータ15を回
転することにより後述の回転軸20を遠心ファン33
A,33Bと一緒に駆動する構成となっている。
【0027】16A,16Bは固定スクロール7A,7
Bと電動機13との間にそれぞれ位置してスラスト受け
4A,4Bの内周側に設けられた第1,第2の偏心軸受
で、該第1の偏心軸受16Aは、外輪17Aと、該外輪
17Aの内周側に回転可能に設けられた中輪18Aと、
該中輪18Aの内周側に回転可能に設けられた内輪19
Aとによって大略構成されている。
【0028】ここで、外輪17Aは、外周側がスラスト
受け4Aの内周側に圧入されて取付けられている。これ
により、外輪17Aの内周側の軸線と外周側の軸線と
は、共に軸線O1 −O1 と一致して配置される。
【0029】また、中輪18Aは、外周側が外輪17A
の軸線O1 −O1 上に配置され、この軸線O1 −O1 を
中心に回転する構成となっている。これに対して中輪1
8Aの内周側は、内輪19Aが収容される部位が収容穴
18A1 となり、該収容穴18A1 は、外輪17Aの軸
線O1 −O1 に対して径方向に一定寸法δだけ偏心した
偏心軸線O2 −O2 を有している。また、この中輪18
Aの内周側には後述の回転軸20が取付けられる取付段
部18A2 が形成され、該取付段部18A2 は軸線O1
−O1 と同軸線上に配置されている。
【0030】さらに、内輪19Aは、内周側と外周側と
が共に偏心軸線O2 −O2 上に配置され、この偏心軸線
O2 −O2 を中心に回転する構成となっている。かくし
て、偏心軸受16Aは、回転軸20によって中輪18A
が外輪17Aに対して回転することにより、内輪19A
が軸線O1 −O1 を中心として寸法δの旋回半径をもっ
た旋回運動を行う構成となっている。
【0031】また、第2の偏心軸受16Bについても、
外輪17B、中輪18Bおよび内輪19B等によって構
成され、中輪18Bは収容穴18B1 と取付段部18B
2 を有している。
【0032】20は電動機13のロータ15を挟んで偏
心軸受16A,16Bの中輪18A,18B間に位置し
て設けられた回転軸で、該回転軸20は、中空軸体とし
て形成され、電動機13のロータ15内周側に挿嵌され
て固定的に設けられている。そして、回転軸20は、両
端側がそれぞれ中輪18A,18Bの取付段部18A2
,18B2 に固着され、ロータ15と一体となって回
転することにより中輪18A,18Bを回転させるもの
である。
【0033】ここで、回転軸20は、外周側が外輪17
A,17Bの軸線O1 −O1 上に配置されるのに対し、
内周側は中輪18A,18Bの偏心軸線O2 −O2 上に
配置されている。このため、回転軸20は、図2に示す
ように軸線O1 −O1 を挟んで偏心軸線O2 −O2 側と
は反対側の部位の肉厚を寸法d1 とし、偏心軸線O2−
O2 側の肉厚を寸法d2 とすると、d1 >d2 の関係に
設定される。
【0034】また、回転軸20の外周側には、ロータ1
5の両側に位置して後述の遠心ファン33A,33Bが
取付けられるファン取付筒20A,20Bが一体に設け
られている。そして、このファン取付筒20A,20B
はロータ15に当接することにより、該ロータ15を回
転軸20に対して軸方向に位置決めしている。
【0035】21は回転軸20内を遊嵌して設けられ、
偏心軸受16A,16Bの内輪19A,19Bに固定的
に支持された旋回軸で、該旋回軸21は、金属材料から
なるパイプ材を用いて中空軸体として形成され、ケーシ
ング1を構成する筒部2、蓋部3A,3Bとほぼ同等の
熱膨張率を有している。
【0036】ここで、旋回軸21は偏心軸線O2 −O2
上に配置され、その両端側はそれぞれ内輪19A,19
Bの内周側に挿嵌されて固着されている。そして、旋回
軸21は、回転軸20と共に電動機13の出力軸を構成
し、回転軸20の回転によって内輪19A,19Bと一
体に旋回運動することにより、旋回軸21の両端側に設
けられた旋回スクロール22A,22Bを旋回させるも
のである。
【0037】また、旋回軸21は、その両端部がそれぞ
れ旋回スクロール22A,22Bの鏡板23A,23B
とそれぞれ当接し、該旋回スクロール22A,22Bに
作用するスラスト荷重を軸方向に相殺して支持し、旋回
スクロール22A,22Bを軸方向に位置決めするスペ
ーサとして構成される。このため、旋回スクロール22
A,22Bからスラスト受け4A,4Bに作用するスラ
スト荷重を小さくし、オルダムリング27A,27Bと
スラスト受け4A,4B、旋回スクロール22A,22
Bとの間の摺動抵抗を低減している。
【0038】22A,22Bは固定スクロール7A,7
Bと対面して旋回軸21の軸方向両端側にそれぞれ固定
的に設けられた第1,第2の旋回スクロールで、該第1
の旋回スクロール22Aは、円板状に形成された鏡板2
3Aと、該鏡板23Aの表面側から軸方向に立設された
渦巻状のラップ部24Aとによって構成されている。
【0039】また、旋回スクロール22Aの鏡板23A
には、その背面側の中央にボス部25Aが突設され、該
ボス部25Aは旋回軸21の内周に嵌合して固着されて
いる。これにより旋回スクロール22Aは旋回軸21と
一体となって寸法δの旋回半径をもった旋回運動を行
う。そして、旋回スクロール22Aのラップ部24A
は、固定スクロール7Aのラップ部9Aに対し例えば1
80度だけずらして重なり合うように配設され、両者の
ラップ部9A,24A間には複数の圧縮室26A,26
A,…が画成される。
【0040】そして、スクロール式空気圧縮機の運転時
には、後述の吸込口31Aから外周側の圧縮室26A内
に空気を吸込みつつ、この空気を旋回スクロール22A
が旋回運動する間に各圧縮室26A内で順次圧縮し、最
後に中心側の圧縮室26Aから後述の吐出口32Aを介
して外部に圧縮空気を吐出する。
【0041】また、他側の旋回スクロール22Bについ
ても、鏡板23B、ラップ部24Bおよびボス部25B
によって構成され、固定スクロール7Bとの間には複数
の圧縮室26Bが画成される。27A,27Bはスラス
ト受け4A,4Bと旋回スクロール22A,22Bとの
間にそれぞれ設けられた自転防止機構としてのオルダム
リングで、一方のオルダムリング27Aは、スラスト受
け4Aと旋回スクロール22Aの鏡板23Aとの間で直
交する2軸方向にガイドされることにより、旋回スクロ
ール22Aの自転を防止する構成となっている。また、
他方のオルダムリング27Bについても、オルダムリン
グ27Aと同様に構成されている。
【0042】28A,28Bは固定スクロール7A,7
Bの鏡板8A,8Bにそれぞれ穿設された第1,第2の
連通孔で、該第1の連通孔28Aは、各圧縮室26Aの
うち吸込口31A側となる最外周側の圧縮室26Aと吐
出口32A側となる最内周側の圧縮室26Aとの間の中
間の圧縮室26A内に連通し、該圧縮室26A内の中間
圧を背圧として後述の圧力室29A内に導くものであ
る。また、第2の連通孔28Bについても連通孔28A
と同様に構成されている。
【0043】29A,29Bはケーシング1の蓋部3
A,3Bと固定スクロール7A,7Bの鏡板8A,8B
背面側との間にそれぞれ設けられた第1,第2の圧力室
で、該第1の圧力室29Aは、圧縮室26A内の中間圧
を連通孔28Aを通じて鏡板8Aの背面側に導き、この
中間圧によって固定スクロール7Aを旋回スクロール2
2A側へと軸方向に押圧する構成となっている。また、
第2の圧力室29Bについても、圧力室29Aと同様に
構成されている。
【0044】30A,30Bはケーシング1の蓋部3
A,3Bと固定スクロール7A,7Bの鏡板8A,8B
外周側との間にそれぞれ設けられたOリングで、これら
のOリング30A,30Bは、最外周側の圧縮室26
A,26Bと圧力室29A,29Bとの間を気密にシー
ルするものである。
【0045】31A,31Bは固定スクロール7A,7
Bのラップ部9A,9B外周側にそれぞれ位置してケー
シング1の筒部2に設けられた吸込口で、該吸込口31
Aは、最外周側の圧縮室26A内に開口し、外部の空気
をケーシング1の開口部3A1 を介して圧縮室26A内
に導くものである。また、他方の吸込口31Bについて
も、吸込口31Aと同様に構成されている。
【0046】32A,32Bは固定スクロール7A,7
Bのラップ部9A,9B中心側にそれぞれ位置してケー
シング1の蓋部3A,3Bに設けられた吐出口で、一方
の吐出口32Aは、最内周側の圧縮室26A内に開口
し、圧縮室26Aで圧縮された圧縮空気を外部に吐出さ
せるものである。また、他方の吐出口32Bについて
も、吐出口32Aと同様に構成されている。
【0047】33A,33Bは回転軸20の軸方向に離
間して設けられた冷却ファンとしての第1,第2の遠心
ファンで、該第1の遠心ファン33Aは、内周側がボス
部34A1 となって回転軸20のファン取付筒20A外
周側に固着された環状板部34Aと、該環状板部34A
と後述の隔壁部材36Aとの間に位置して該環状板部3
4Aの表面に放射状に立設された複数枚の羽根部35
A,35A,…とによって構成されている。
【0048】そして、遠心ファン33Aは回転軸20と
一体に回転することにより、後述する軸内通路部42の
空気を後述の通気孔43A,45Aを介して流通室38
A側に吸込み、この空気を各羽根部35Aによる遠心力
を利用して流出口46Aから外部に吐出させ、これによ
り後述のスクロール側通路部41A、軸内通路部42等
に向けて冷却風を順次流通させるものである。
【0049】また、第2の遠心ファン33Bについて
も、ボス部34B1 を有する環状板部34Bと複数枚の
羽根部35Bとにより遠心ファンとして構成され、冷却
風を後述のスクロール側通路部41B、軸内通路部4
2、環状通路部44等に向けて順次流通させるものであ
る。
【0050】ここで、遠心ファン33A,33Bは、図
4、図5に示すように羽根部35Bの個数を羽根部35
Aよりも増やし、遠心ファン33Bによる冷却風の送風
能力を、遠心ファン33Aによる冷却風の送風能力より
も高める構成となっている。
【0051】36A,36Bはケーシング1とスラスト
受け4A,4Bとの間に設けられた第1,第2の隔壁部
材で、該第1の隔壁部材36Aは、その内周側がスラス
ト受け4Aの内周側に嵌合し、外周側はケーシング1の
筒部2内周側に嵌合している。そして、隔壁部材36A
は、ボルト(図示せず)等を用いてスラスト受け4Aに
一体に取付けられている。
【0052】このため、隔壁部材36Aは、ケーシング
1の筒部2内にスラスト受け4Aとの間で冷却風の流通
室37Aを画成すると共に、遠心ファン33Aとの間で
冷却風の流通室38Aを画成している。また、この隔壁
部材36Aは、遠心ファン33Aによって発生する冷却
風を後述の流出口46A側へと案内する案内部材として
の機能も有している。
【0053】また、隔壁部材37Bについても同様に構
成され、ケーシング1の筒部2内にスラスト受け4Bと
の間で冷却風の流通室37Bを画成すると共に、遠心フ
ァン33Bとの間で冷却風の流通室38Bを画成してい
る。
【0054】39A,39Bはケーシング1の筒部2両
端側に周方向に間隔をもって穿設された複数の流入口
で、該流入口39A,39Bは、遠心ファン33A,3
3Bによって発生する冷却風をケーシング1内の流通室
37A,37Bに流入させるものである。
【0055】40A,40Bはスラスト受け4A,4B
に周方向に間隔をもって穿設された複数の通気孔で、該
通気孔40A,40Bは、流通室37A,37Bからの
冷却風を流通室6A,6Bへと導くものである。
【0056】41A,41Bは流通室6A,6Bからの
冷却風を旋回スクロール22A,22Bの背面側から旋
回軸21に向けて流通させる複数の第1,第2のスクロ
ール側通路部で、該第1のスクロール側通路部41A
は、図6に示す如く旋回スクロール22Aの鏡板23A
内部を径方向に放射状に延び、その一端側は鏡板23A
の外周面に開口している。また、スクロール側通路部4
1Aの他端側は旋回スクロール22Aのボス部25A内
に開口し後述の軸内通路部42と連通している。
【0057】そして、スクロール側通路部41Aは、流
通室6Aからの冷却風を旋回スクロール22Aの鏡板2
3A内部に流通させてボス部25A側へと導き、この間
に旋回スクロール22Aを内部から冷却する構成となっ
ている。
【0058】また、第2のスクロール側通路部41Bに
ついても同様に構成され、流通室6Bからの冷却風を旋
回スクロール22Bの鏡板23B内部に流通させてボス
部25B側へと導き、この間に旋回スクロール22Bを
内部から冷却する構成となっている。
【0059】42は旋回軸21の軸内に設けられた軸内
通路部で、該軸内通路部42は、旋回軸21の内部を全
長に亘って延び、その両端側はスクロール側通路部41
A,41Bと連通している。そして、この軸内通路部4
2には、後述するようにスクロール側通路部41Aから
の冷却風とスクロール側通路部41Bからの冷却風とが
流通することにより、旋回軸21を内側から冷却する構
成となっている。
【0060】43A,43Bは旋回軸21の軸方向両端
側に周方向に間隔をもって穿設された複数の通気孔で、
該通気孔43Aは長円穴として形成され、軸内通路部4
2と後述する環状通路部44との間を連通し、例えば9
0度毎に4箇所に配設されるものである。また、通気孔
43Bについても通気孔43Aと同様に構成されるもの
である。
【0061】44は回転軸20の内周側と旋回軸21の
外周側との間の環状隙間に設けられた環状通路部で、該
環状通路部44には、後述するように軸内通路部42か
らの冷却風の一部が各通気孔43Aを通じて流通し、こ
の間に旋回軸21を外側から冷却すると共に回転軸20
を内側から冷却するものである。また、この環状通路部
44を流れる冷却風は、回転軸20と旋回軸21との間
を断熱する空気層としての機能も有するものである。
【0062】45A,45Bは回転軸20の軸方向両端
側に周方向に間隔をもって穿設された複数の通気孔で、
該通気孔45Aは、通気孔43A,43Bと対応した位
置に円形穴として形成され、流通室38Aと環状通路部
44との間を連通し、例えば90度毎に4箇所に配設さ
れるものである。また、通気孔45Bについても通気孔
45Aと同様に構成されるものである。
【0063】46A,46Bはケーシング1の筒部2両
端側に周方向に間隔をもって穿設された複数の流出口
で、一方の流出口46Aは、流通室38Aからの冷却風
を外部に流出させるものである。そして、流出口46A
は、流入口39A、流通室6A、スクロール側通路部4
1A、軸内通路部42および環状通路部44と共に第1
の冷却風通路を構成し、遠心ファン33Aからの冷却風
を旋回スクロール22A、旋回軸21等に向けて流通さ
せるものである。
【0064】また、第2の流出口46Bについても同様
に、流入口39B、流通室6B、スクロール側通路部4
1B、軸内通路部42および環状通路部44と共に第2
の冷却風通路を構成し、遠心ファン33Bからの冷却風
を旋回スクロール22B、旋回軸21等に向けて流通さ
せるものである。なお、47,47,…はケーシング1
の筒部2外周側に軸方向に間隔をおいて設けられた複数
の放熱フィンで、該放熱フィン47は、圧縮運転時に圧
縮室26A,26B内で発生する圧縮熱、電動機13か
らの発熱等をケーシング1の筒部2側から外部へと効率
よく放熱するものである。
【0065】本実施の形態によるスクロール式空気圧縮
機は上述の如き構成を有するもので、次にその作動につ
いて説明する。
【0066】まず、電動モータによって電動機13のロ
ータ15を回転すると、該ロータ15と一体となった回
転軸20は回転運動を行い、このときに回転軸20の両
端側に設けた2個の偏心軸受16A,16Bの中輪18
A,18Bは、それぞれ外輪17A,17Bの内周側で
回転軸20と一体に回転運動を行う。
【0067】ここで、偏心軸受16A,16Bの中輪1
8A,18Bは、外輪17A,17Bの軸線O1 −O1
に対して径方向に寸法δだけ偏心した偏心軸線O2 −O
2 を有するから、中輪18A,18Bが上述の如く外輪
17A,17Bに対して軸線O1 −O1 を中心に回転す
ることにより、中輪18A,18Bの内周側に設けた内
輪19A,19Bは、軸線O1 −O1 を中心として寸法
δの旋回半径をもった旋回運動を行い、この内輪19
A,19Bと一体となった旋回軸21によって旋回スク
ロール22A,22Bをそれぞれ旋回させる。
【0068】そして、このように旋回スクロール22
A,22Bが旋回するときには、旋回スクロール22
A,22Bはオルダムリング27A,27Bによって自
転が防止され、公転のみを行う。
【0069】この結果、固定スクロール7Aと旋回スク
ロール22Aとの間に画成された各圧縮室26Aはそれ
ぞれ連続的に縮小し、これにより固定スクロール7Aの
吸込口31Aから吸込んだ外気を各圧縮室26Aで順次
圧縮しつつ、この圧縮空気を固定スクロール7Aの吐出
口32Aから外部の空気タンク(図示せず)等に貯留さ
せる。
【0070】また、固定スクロール7Bと旋回スクロー
ル22Bとの間に画成された各圧縮室26Bについて
も、それぞれが連続的に縮小することにより、固定スク
ロール7Bの吸込口31Bから吸込んだ外気を各圧縮室
26Bで順次圧縮しつつ、この圧縮空気を固定スクロー
ル7Bの吐出口32Bから前記空気タンク等に貯留させ
る。
【0071】また、この圧縮運転時には旋回スクロール
22A,22Bに作用するスラスト荷重を、旋回軸21
に対して互いに逆向きの方向に伝えることができるか
ら、これらのスラスト荷重を旋回軸21により軸方向で
相殺して支持することができ、旋回スクロール22A,
22Bの挙動の安定化を図ることができる。
【0072】次に、遠心ファン33A,33Bによる固
定スクロール7A,7B、旋回軸21、旋回スクロール
22A,22B等の冷却作用について図1を参照して説
明する。
【0073】まず、遠心ファン33A,33Bを旋回軸
21によって回転させると、冷却風は、流入口39A,
39Bから矢示F1 方向へと流通室37A,37B内に
流入した後、通気孔40A,40Bを通じて流通室6
A,6B内を流通し、この間に固定スクロール7A,7
B、旋回スクロール22A,22B、オルダムリング2
7A,27B等を外側から冷却する。そして、流通室6
A,6B内の冷却風は、矢示F2 方向へとスクロール側
通路部41A,41B内を流通し、この間に旋回スクロ
ール22A,22Bを内部からも冷却する。
【0074】さらに、各スクロール側通路部41A,4
1B内を流れる冷却風は、ボス部25A,25B側で合
流した後、軸内通路部42をそれぞれ矢示F3 ,F4 方
向へと流通し、この間に旋回軸21を内側から冷却す
る。
【0075】ここで、本実施の形態では、遠心ファン3
3Bによって通気孔43B,45Bから流通室38B内
へと流通する冷却風の送風量を、遠心ファン33Aによ
って通気孔43A,45Aから流通室38A内へと流通
する冷却風の送風量よりも大きく設定する構成としてい
る。
【0076】このため、軸内通路部42をスクロール側
通路部41Aから矢示F3 方向に向けて流通する冷却風
は、その一部だけが通気孔43A,45Bから矢示F5
方向へと流通室38A内に流れて、流出口46Aから矢
示F6 方向へと外部に流出される。そして、残りの冷却
風は軸内通路部42を旋回スクロール22B側へと矢示
F3 方向に向けて流通し、スクロール側通路部41Bか
らの矢示F4 方向に向けた冷却風と合流した後、通気孔
43B,45Bから矢示F5 方向へと流通室38B内に
流れ、流出口46Bから矢示F6 方向へと外部に流出さ
れる。
【0077】かくして、本実施の形態では、軸内通路部
42内には通気孔43A,43B間で矢示F3 方向に向
けた冷却風の円滑な流れを形成でき、両者の間で冷却風
の流れに淀みが生じるのを防止して、旋回軸21をより
効率的に冷却することができる。
【0078】また、軸内通路部42内の冷却風は、通気
孔43Aから矢示F7 方向へと回転軸20と旋回軸21
との間の環状通路部44内にも円滑に流通させることが
でき、この間に回転軸20、旋回軸21をそれぞれ内
側、外側から効率よく冷却することができる。さらに、
この環状通路部44内の冷却風は、旋回軸21を回転軸
20に対して断熱状態に保持する空気層として機能し、
回転軸20側から旋回軸21側への熱の伝達を遮断で
き、旋回軸21の冷却をさらに促進することができる。
【0079】従って、本実施の形態によれば、軸内通路
部42、環状通路部44を流れる冷却風により旋回軸2
1を内側からも外側からも十分に冷却でき、圧縮室26
A,26Bからの圧縮熱または電動機13からの発熱等
によって旋回軸21が軸方向に熱膨張するのを防止する
ことができる。
【0080】これにより、定常運転時に旋回スクロール
22A,22Bのラップ部24A,24B歯先が固定ス
クロール7A,7Bの鏡板8A,8Bに強く当接する事
態を防止でき、旋回スクロール22A,22Bの動きを
円滑化して、圧縮効率を高めることができる。また、固
定スクロール7A,7Bと旋回スクロール22A,22
Bとの間で生じる摩耗を減らし、その耐久性を高められ
ると共に、低騒音化、低振動化を図ることができる。
【0081】そして、従来技術で述べたように固定スク
ロール7A,7Bの鏡板8A,8Bと旋回スクロール2
2A,22Bのラップ部24A,24B歯先との間に
は、旋回軸21の熱膨張分を吸収するための隙間を余分
に確保する必要がなくなり、圧縮運転の初期時において
も圧縮性能を高めることが可能となる。
【0082】また、流通室6A,6B、スクロール側通
路部41A,41Bにより固定スクロール7A,7B、
旋回スクロール22A,22Bについても十分な冷却を
行うことができるから、これらの固定スクロール7A,
7B、旋回スクロール22A,22Bが軸方向に熱膨張
するのを抑え、前述の如く旋回スクロール22A,22
Bのラップ部24A,24B歯先が固定スクロール7
A,7Bに当接する不具合をさらに防ぐことができる。
【0083】しかも、ケーシング1の熱膨張率と旋回軸
21の熱膨張率とは、ほぼ同じ大きさに設定したから、
圧縮運転時にケーシング1と旋回軸21が軸方向に熱膨
張したとしても、これらの熱膨張量はほぼ等しくなり、
これによりケーシング1と一体となった固定スクロール
7A,7Bの鏡板8A,8Bと旋回軸21と一体となっ
た旋回スクロール22A,22Bのラップ部24A,2
4B歯先との間の隙間を常に一定の大きさに保つことが
でき、ラップ部24A,24Bが鏡板8A,8Bに当接
する不具合を一層防止でき、当該スクロール式空気圧縮
機の性能、信頼性等をさらに高めることができる。
【0084】一方、本実施の形態では、ガイドピン12
A,12Bにより固定スクロール7A,7Bをケーシン
グ1に対して軸方向にガイドすると共に、固定スクロー
ル7A,7Bの背面側には圧力室29A,29Bを設
け、この圧力室29A,29Bには連通孔28A,28
Bを通じて圧縮室26A,26B内の中間圧を導く構成
としている。
【0085】このため、圧縮運転時には圧力室29A,
29Bによって固定スクロール7A,7Bを、これらの
固定スクロール7A,7Bに作用するスラスト荷重に抗
して旋回スクロール22A,22B側へと軸方向に押圧
でき、これによっても圧縮室26A,26Bの気密性を
高め、圧縮効率を向上することができる。そして、圧縮
室26A,26B内の気密性を高めるために圧縮空気中
に潤滑油等を含ませる必要がなくなり、当該スクロール
式空気圧縮機を無給油式の圧縮機として用いることがで
き、清浄な圧縮空気を吐出することができる。
【0086】一方、本実施の形態では、偏心軸受16
A,16Bによって旋回軸21の両端側を軸支すること
により、この旋回軸21の両端側に一体に設けた旋回ス
クロール22A,22Bを旋回できるから、旋回軸21
の両端側には、旋回スクロール22A,22Bを旋回運
動させるために、偏心軸線O2 −O2 上にクランク軸を
追加して設ける必要がなくなり、装置全体を軸方向に小
型化して形成することができる。
【0087】また、当該スクロール式空気圧縮機は、固
定スクロール7A,7Bと旋回スクロール22A,22
Bとからなる2組の圧縮機構によって構成したから、当
該圧縮機と同容量の圧縮機を従来技術のような1組の圧
縮機構によって構成した場合と比較して、ラップ部9
A,9B,24A,24Bの巻き数等を減らすことがで
き、装置全体を径方向に小型化することができる。
【0088】また、圧縮運転時に旋回スクロール22
A,22Bに面振れが生じた場合には、旋回スクロール
22A,22Bの鏡板23A,23Bをスラスト受け4
A,4Bに摺接させ、旋回スクロール22A,22Bに
作用するスラスト荷重の一部をスラスト受け4A,4B
によって支持でき、旋回スクロール22A,22Bの挙
動を一層安定させることができる。
【0089】さらに、中空軸体からなる回転軸20は、
旋回スクロール22A,22Bの偏心方向とは反対側の
部位を肉厚に形成したから、旋回スクロール22A,2
2Bの旋回運動に対するバランスをこの回転軸20によ
ってとることができる。これにより回転軸20にはバラ
ンスウエイト等の機構を特別に設ける必要がなくなり、
全体の部品点数を削減でき、装置全体の構造を簡略化す
ることができる。
【0090】次に、図8は本発明の第2の実施の形態を
示し、本実施の形態の特徴は、第1の実施の形態で述べ
た第1の遠心ファンを廃止し、1個の遠心ファンのみに
よって冷却風をスクロール側通路部、軸内通路部および
環状通路部に向けて流通させる構成としたことにある。
なお、本実施の形態では、前記第1の実施の形態と同一
の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するも
のとする。
【0091】図中、51は本実施の形態に用いるケーシ
ングで、該ケーシング51は、第1の実施の形態で述べ
たケーシング1とほぼ同様に構成されているものの、こ
のケーシング51には、第1の実施の形態による筒部2
に替えて筒部52が設けられている。そして、該筒部5
2には、第1の実施の形態による流出口46Aが廃止さ
れている。
【0092】53は本実施の形態に用いる回転軸で、該
回転軸53は、第1の実施の形態に用いる回転軸20と
ほぼ同様に構成され、外周側にはファン取付筒53A,
53Bが設けられている。しかし、この回転軸53に
は、第1の実施の形態で述べた通気孔45Aが廃止され
ている。
【0093】54は第1の実施の形態で述べた2個の遠
心ファン33A,33Bに替えて、回転軸53に設けら
れた冷却ファンとしての1個の遠心ファンで、該遠心フ
ァン54は、第1の実施の形態による遠心ファン33B
とほぼ同様に、ボス部55Aを有する環状板部55と複
数の羽根部56とにより構成され、環状板部55のボス
部55Aは回転軸53のファン取付筒53Bに設けられ
ている。
【0094】かくして、このように構成される本実施の
形態でも、圧縮運転時には遠心ファン54によって発生
する冷却風を流通室6A,6B、スクロール側通路部4
1A,41B、軸内通路部42および環状通路部44等
に円滑に流通させ、固定スクロール7A,7B、旋回軸
21および旋回スクロール22A,22B等を効率的に
冷却でき、第1の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得
ることができる。
【0095】なお、第1の実施の形態では、遠心ファン
33Bによる冷却風の送風量を遠心ファン33Aよりも
大きくするために、羽根部35Bの個数を羽根部35A
よりも増やす構成とした場合を例示したが、これに替え
て、例えば羽根部35Bを羽根部35Aよりも大きな板
幅をもって形成することにより、遠心ファン33Bによ
る冷却風の送風量を大きくする構成としてもよい。
【0096】また、各実施の形態では、冷却風の流入口
39Aをケーシング1の筒部2に設ける場合を例示した
が、これに替えて、例えば図2中に一点鎖線で示すよう
に蓋部3Aに流入口39A′を設ける構成としてもよ
い。また、このことは流入口39Bについて同様であ
る。
【0097】また、各実施の形態では、出力軸を回転軸
と旋回軸からなる2つの部材によって構成する場合を例
示したが、これに替えて、出力軸は、電動機と一体に回
転する1個の回転軸のみによって構成してもよく、この
場合でも、回転軸の両端側に該回転軸に対して偏心した
位置にクランク軸を一体に設け、該各クランク軸に旋回
スクロールをそれぞれ設けることにより、両方の旋回ス
クロールを同時に旋回させることができる。
【0098】さらに、各実施の形態では、スクロール式
流体機械としてスクロール式空気圧縮機を例に挙げて説
明したが、本発明はこれに限らず、例えば真空ポンプ、
冷媒圧縮機等にも広く適用できる。
【0099】
【発明の効果】以上詳述した如く、請求項1に記載の発
明では、第1,第2の旋回スクロールを電動機の出力軸
により第1,第2の固定スクロールに対して旋回運動さ
せると共に、電動機の回転によって冷却ファンを作動さ
せることにより、冷却風を冷却風通路を通じて出力軸側
へと軸方向に流通させる構成としたから、冷却ファンか
らの冷却風により出力軸を効率よく冷却でき、圧縮室か
らの圧縮熱または電動機からの発熱等によって旋回軸が
軸方向に熱膨張するのを防止できる。
【0100】これにより、出力軸と一体となった各旋回
スクロールのラップ部歯先が相手方の固定スクロールの
鏡板と接触する事態を防ぐことができ、旋回スクロール
の動きを円滑化して圧縮効率を高めることができる。そ
して、固定スクロールと旋回スクロールとの間で摩耗等
が発生するのを防止でき、これらの耐久性等を高めるこ
とができると共に、低騒音化、低振動化を図ることがで
きる。また、従来技術で述べたように固定スクロールの
鏡板と旋回スクロールのラップ部歯先との間には、出力
軸の熱膨張分を吸収するための隙間を余分に確保する必
要がなくなり、圧縮運転の初期時においても定常運転時
と同様に圧縮性能を高めることが可能となる。
【0101】また、請求項2の発明は、出力軸を、電動
機と一体となった中空の回転軸と、該回転軸の内周側に
遊嵌されて両端側に各旋回スクロールが設けられた中空
の旋回軸とにより構成している。そして、冷却ファンか
らの冷却風を冷却風通路のスクロール側通路部を通じて
旋回スクロールの背面側から旋回軸に向けて流通させる
と共に、このスクロール側通路部からの冷却風を旋回軸
の軸内通路部に向けて流通させ、さらに、この軸内通路
部の冷却風の一部を回転軸と旋回軸との間の環状通路部
にも流通させる構成としたので、圧縮運転時にはスクロ
ール側通路部を流れる冷却風により旋回スクロール等を
背面側から冷却でき、旋回スクロール等が軸方向に熱膨
張するのを抑えることができる。しかも、軸内通路部を
流れる冷却風と環状通路部を流れる冷却風により旋回軸
を内側からも外側からも冷却でき、旋回軸の冷却効率を
高めることができ、旋回スクロールのラップ部歯先が固
定スクロールと当接するような不具合をさらに防止で
き、圧縮効率を一層高めることができる。
【0102】また、請求項3の発明は、出力軸の外周側
に軸方向に離間して冷却ファンとしての一対のファンを
設け、該各ファンは互いの送風能力を異なる大きさに設
定したので、送風能力が大きい方のファンにより冷却風
を出力軸の軸方向に円滑に流通させることができ、出力
軸側で冷却風の流れに淀みが生じるのを防止して、出力
軸の冷却効率を一層高めることができる。
【0103】さらに、請求項4の発明は、ケーシングの
熱膨張率と出力軸の熱膨張率とをほぼ等しい大きさに設
定したので、圧縮運転時にケーシングと出力軸が軸方向
に熱膨張したとしても、これらの熱膨張量はほぼ等しく
なり、ケーシングと一体となった固定スクロールの鏡板
と出力軸と一体となった旋回スクロールのラップ部歯先
との間の隙間を常に一定の大きさに保つことができ、該
ラップ部が相手方の鏡板に当接することがなくなり、当
該スクロール式流体機械の性能、信頼性等をさらに高め
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態によるスクロール式
空気圧縮機を示す縦断面図である。
【図2】図1中のスクロール側通路部、軸内通路部等お
よび環状通路部等を拡大して示す部分拡大断面図であ
る。
【図3】第1のスラスト受けを図1中の矢示 III−III
方向から拡大してみた平面図である。
【図4】第1の遠心ファンを図1中の矢示IV−IV方向か
ら拡大してみた平面図である。
【図5】第2の遠心ファンを図1中の矢示V−V方向か
ら拡大してみた平面図である。
【図6】第1の旋回スクロールを図2中の矢示VI−VI方
向からみた断面図である。
【図7】軸内通路部、環状通路部等を図2中の矢示 VII
−VII 方向から拡大してみた部分拡大断面図である。
る。
【図8】本発明の第2の実施の形態によるスクロール式
空気圧縮機を示す縦断面図である。
【符号の説明】
1,51 ケーシング 6A,6B 流通室(冷却風通路) 7A,7B 固定スクロール 8A,8B,23A,23B 鏡板 9A,9B,24A,24B ラップ部 13 電動機 14 ステータ 15 ロータ 20 回転軸(出力軸) 21 旋回軸(出力軸) 22A,22B 旋回スクロール 26A,26B 圧縮室 41A,41B スクロール側通路部(冷却風通路) 42 軸内通路部(冷却風通路) 44 環状通路部(冷却風通路) 33A,33B,54 遠心ファン(冷却ファン)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 3H029 AA02 AA15 AB02 AB06 BB11 BB12 BB42 BB43 CC09 CC16 CC22 CC38 CC47 3H039 AA02 AA05 AA09 AA14 BB12 BB13 BB28 CC12 CC26 CC33 CC34 CC35 CC49

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ケーシングと該ケーシングの軸線上に位
    置して該ケーシングの両端側に設けられ鏡板に渦巻状の
    ラップ部が立設された第1,第2の固定スクロールとか
    らなる固定側部材と、 該第1,第2の固定スクロール間に位置して前記ケーシ
    ング内に設けられ、ロータとステータとが前記ケーシン
    グの軸線と同一方向となるように配置された電動機と、 前記第1,第2の固定スクロールと対面して該電動機の
    出力軸の両端側に設けられ、鏡板に前記第1,第2の固
    定スクロールのラップ部と重なり合って複数の圧縮室を
    画成するラップ部が立設された第1,第2の旋回スクロ
    ールと、 前記電動機の回転によって冷却風を発生させる冷却ファ
    ンと、 該冷却ファンによって発生する冷却風を前記電動機の出
    力軸に向けて軸方向に流通させる冷却風通路とを備えて
    なるスクロール式流体機械。
  2. 【請求項2】 前記出力軸は、前記ロータの内周側に設
    けられ該ロータと一体に回転する中空の回転軸と、該回
    転軸内に遊嵌され両端側に前記各旋回スクロールが設け
    られ該回転軸の回転によって各旋回スクロールを旋回さ
    せる中空の旋回軸とによって構成し、 前記冷却風通路は、前記冷却風を前記旋回スクロールの
    背面側から前記旋回軸に向けて流通させるスクロール側
    通路部と、該スクロール側通路部からの冷却風を前記旋
    回軸の軸内に向けて流通させる軸内通路部と、該軸内通
    路部からの冷却風の一部を前記回転軸の内周側と旋回軸
    の外周側との間の環状隙間に向けて流通させる環状通路
    部とによって構成してなる請求項1に記載のスクロール
    式流体機械。
  3. 【請求項3】 前記冷却ファンは前記出力軸の外周側に
    軸方向に離間して設けられ互いに異なる送風能力を有す
    る一対のファンにより構成してなる請求項1または2に
    記載のスクロール式流体機械。
  4. 【請求項4】 前記ケーシングの熱膨張率と前記出力軸
    の熱膨張率とは互いにほぼ等しい大きさに設定してなる
    請求項1,2または3に記載のスクロール式流体機械。
JP30154599A 1999-10-22 1999-10-22 スクロール式流体機械 Pending JP2001123973A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP30154599A JP2001123973A (ja) 1999-10-22 1999-10-22 スクロール式流体機械

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP30154599A JP2001123973A (ja) 1999-10-22 1999-10-22 スクロール式流体機械

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2001123973A true JP2001123973A (ja) 2001-05-08

Family

ID=17898239

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP30154599A Pending JP2001123973A (ja) 1999-10-22 1999-10-22 スクロール式流体機械

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2001123973A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005207414A (ja) * 2003-12-26 2005-08-04 Hitachi Ltd スクロール式流体機械
JP2007120468A (ja) * 2005-10-31 2007-05-17 Hitachi Ltd スクロール式流体機械
JP2008516146A (ja) * 2004-10-07 2008-05-15 バリアン・インコーポレイテッド 軸方向の熱膨張が制御されたスクロールポンプ
WO2008072721A1 (ja) * 2006-12-15 2008-06-19 A & A Corporation スクロール流体機械

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005207414A (ja) * 2003-12-26 2005-08-04 Hitachi Ltd スクロール式流体機械
JP4615975B2 (ja) * 2003-12-26 2011-01-19 株式会社日立製作所 スクロール式流体機械
JP2008516146A (ja) * 2004-10-07 2008-05-15 バリアン・インコーポレイテッド 軸方向の熱膨張が制御されたスクロールポンプ
JP2007120468A (ja) * 2005-10-31 2007-05-17 Hitachi Ltd スクロール式流体機械
WO2008072721A1 (ja) * 2006-12-15 2008-06-19 A & A Corporation スクロール流体機械
JP2008150976A (ja) * 2006-12-15 2008-07-03 A & A Kenkyusho:Kk スクロール流体機械

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4319274B2 (ja) スクロール式流体機械
JP4828915B2 (ja) スクロール式流体機械
JP3985051B2 (ja) ダブルラップドライスクロール真空ポンプ
JPH051678A (ja) 同期回転形スクロール圧縮機
JP2001123973A (ja) スクロール式流体機械
JPH0953589A (ja) スクロール式流体機械
JP4527475B2 (ja) スクロール式流体機械
JP2004116471A (ja) スクロール式流体機械
JP3341930B2 (ja) スクロール式流体機械
JP5001334B2 (ja) スクロール式流体機械
JP4402199B2 (ja) スクロール式流体機械
JP2015001176A (ja) スクロール式流体機械
JP4908193B2 (ja) スクロール式流体機械
JP2003293966A (ja) スクロール式流体機械
JP2015001177A (ja) スクロール式流体機械
JP2000045972A (ja) スクロール式流体機械
JP2002013492A (ja) スクロール式流体機械
JP4615975B2 (ja) スクロール式流体機械
JP4634123B2 (ja) スクロール式流体機械
JP3645339B2 (ja) スクロール式流体機械
JPH1193864A (ja) スクロール型流体機械
JP4520133B2 (ja) スクロール式流体機械
JP4510136B2 (ja) スクロール式流体機械
JPH0932761A (ja) スクロール式流体機械
JPH0719186A (ja) スクロール流体機械

Legal Events

Date Code Title Description
A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712

Effective date: 20041126