JP4908193B2 - スクロール式流体機械 - Google Patents

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本発明は、例えば空気、冷媒等の圧縮機や真空ポンプ等に用いて好適なスクロール式流体機械に関する。
一般に、スクロール式流体機械は、旋回スクロールを固定スクロールに対して旋回運動させることにより、空気、冷媒等の圧縮やポンプ動作を行うものである(例えば、特許文献1,2参照)。
特開2006−9776号公報 特開2006−97531号公報
この種の従来技術によるスクロール式流体機械は、ケーシングに固定スクロールと旋回スクロールとが設けられ、これらのスクロールは、鏡板の表面に渦巻状のラップ部がそれぞれ立設されている。また、各スクロールのラップ部は、互いに重なり合うことによって複数の圧縮室を画成している。そして、モータ等の駆動源によって駆動軸を回転駆動したときには、旋回スクロールが固定スクロールに対して旋回運動する。これにより、スクロール式流体機械は、空気、冷媒等の流体を各圧縮室内で順次圧縮するものである。
また、従来技術では、旋回スクロールの自転を防止する自転防止機構として、固定スクロールと旋回スクロールとの間に補助クランクからなるクランク機構を設けている。この場合、圧縮室等で発生する熱が固定スクロールおよび旋回スクロールを経由して補助クランクに伝わり、補助クランクの軸受等の寿命を低下させる傾向がある。このため、従来技術では、例えば旋回スクロールのうちラップ部と補助クランクの軸受を支持する軸受ハウジングとの間に旋回スクロールを貫通する貫通孔を設け、該貫通孔を用いて熱の伝導を抑制している。
ところで、上述した従来技術では、旋回スクロールに設けた貫通孔によって伝熱を低減しているが、伝熱を完全に防止できるものではない。このため、圧縮室等で発生した熱が固定スクロールおよび旋回スクロールを経由してクランク機構に伝わる。このとき、固定スクロールと旋回スクロールとでは冷却条件が異なるため、例えば旋回スクロールは、固定スクロールに比べて熱膨張によって肥大化する。この結果、旋回スクロールと固定スクロールとの間に配置された補助クランクは、径方向外側に向けて引張られ、補助クランクに傾き(熱倒れ)が生じる。
一方、固定スクロールおよび旋回スクロールには、圧縮室内の圧力によって、これらが互いに離間する方向に向けて荷重(スラスト荷重)が作用する。このとき、一般に各スクロールの外径側よりも内径側の方が圧縮室内の圧力が高いから、この圧力差によっても各スクロールが変形し、補助クランクに傾きが生じる。
また、各スクロールの鏡板にはラップ部が立設されているから、ラップ部の周囲とそれ以外の部位とでは鏡板の剛性が異なる。さらに、ラップ部は渦巻状に形成されるから、例えば各スクロールのうちラップ部を取囲んで複数個のクランク機構を配置したときには、各クランク機構とラップ部との距離がそれぞれ異なる傾向がある。これにより、複数のクランク機構では各補助クランク周りの剛性が互いに異なるから、熱膨張および圧縮室内の圧力によって各スクロールが変形したときには、各補助クランクの傾き角度(倒れ角度)が互いに相違した状態になる。この結果、複数の補助クランクのうち一部の補助クランクに大きな摩擦抵抗が発生するから、補助クランクや軸受にかじりが生じ、クランク機構の寿命が低下するという問題がある。
本発明は上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、本発明の目的は、複数のクランク機構で互いの傾き角度を近付けることができ、クランク機構の耐久性を向上できるようにしたスクロール式流体機械を提供することにある。
上述した課題を解決するために本発明は、ケーシングと、該ケーシングに設けられ渦巻状のラップ部が立設された固定スクロールと、前記ケーシングに回転可能に設けられた駆動軸と、前記固定スクロールと対面する位置で該駆動軸に旋回可能に設けられ前記固定スクロールのラップ部との間に複数の圧縮室を画成する渦巻状のラップ部が立設された旋回スクロールと、前記ケーシングと旋回スクロールとの間または固定スクロールと旋回スクロールとの間に位置して前記ラップ部を取囲んで複数個設けられ該旋回スクロールの自転を防止するクランク機構とを備え、該クランク機構は、前記ケーシングまたは固定スクロールの軸受ハウジングに取付けられた第1の軸受と、前記旋回スクロールの軸受ハウジングに取付けられた第2の軸受と、前記第1,第2の軸受に回転可能に取付けられた補助クランクとからなるスクロール式流体機械に適用される。
そして、請求項1の発明が採用する構成の特徴は、前記ケーシングと旋回スクロールとのうち少なくともいずれか一方または固定スクロールと旋回スクロールとのうち少なくともいずれか一方は、前記複数の軸受ハウジングのうち隣接するラップ部との距離が近い軸受ハウジングの剛性を、遠い軸受ハウジングの剛性よりも小さくする構成としたことにある。
請求項2の発明では、前記複数の軸受ハウジングの剛性は、前記駆動軸の軸方向および周方向では同一とし、径方向では相違する構成としている。
請求項3の発明では、前記複数の軸受ハウジングの周囲には貫通孔をそれぞれ設け、これらの貫通孔によって前記径方向の剛性が相違する構成としている。
請求項4の発明では、前記貫通孔は、前記軸受ハウジングを取囲んで複数個設ける構成としている。
請求項5の発明では、前記複数の軸受ハウジングの周囲には凹陥部をそれぞれ設け、これらの凹陥部によって前記径方向の剛性が相違する構成としている。
請求項6の発明では、前記凹陥部は、前記軸受ハウジングを取囲んで複数個設ける構成としている。
請求項7の発明では、前記複数の軸受ハウジングの周囲には異なる材質からなる異質部位をそれぞれ設け、これらの異質部位によって前記径方向の剛性が相違する構成としている。
請求項8の発明では、前記複数の軸受ハウジングは、その形状または板厚が異なることによって、前記径方向の剛性が相違する構成としている。
請求項9の発明では、前記複数のクランク機構は、前記固定スクロールの中心位置または旋回スクロールの中心位置から相互に均等な距離に配置する構成としている。
請求項10の発明では、前記クランク機構は3個以上設け、前記複数の軸受ハウジングの剛性は相互に全て異なる構成としている。
請求項1の発明によれば、例えばケーシングと旋回スクロールとの間にクランク機構を設けた場合には、ケーシングと旋回スクロールとのうち少なくともいずれか一方は、複数の軸受ハウジングのうち隣接するラップ部との距離が近い軸受ハウジングの剛性を、遠い軸受ハウジングの剛性よりも小さくする。ここで、各軸受ハウジングの剛性を等しくした場合には、ラップ部との距離が近くなるに従って鏡板の剛性が高くなるから、軸受ハウジングがラップ部に近づくに従って、当該軸受ハウジングに取付けられる補助クランクの傾き角度も小さくなる傾向がある。これに対し、本発明では、ラップ部との距離が近い軸受ハウジングの剛性は小さくするから、当該軸受ハウジングに取付けられる補助クランクの傾き角度は、大きくなる傾向がある。従って、ラップ部との距離が近い軸受ハウジングに取付けられる補助クランクの傾き角度を増加させて、ラップ部との距離が遠い軸受ハウジングに取付けられる補助クランクの傾き角度に近付けることができる。この結果、ラップ部と軸受ハウジングとの距離の差に基づいて、複数の補助クランクの傾き角度に差が生じるときでも、この傾き角度の差を抑制することができる。このため、複数のクランク機構のうち一部でかじりが生じるのを抑制することができ、クランク機構の耐久性を向上することができる。
また、例えば固定スクロールと旋回スクロールとの間にクランク機構を設けた場合には、固定スクロールと旋回スクロールとのうち少なくともいずれか一方は、複数の軸受ハウジングのうち隣接するラップ部との距離が近い軸受ハウジングの剛性を、遠い軸受ハウジングの剛性よりも小さくする。この場合も、上述したケーシングと旋回スクロールとの間にクランク機構を設けた場合と同様の作用効果を得ることができるから、複数の補助クランクの傾き角度に差が生じるときでも、この傾き角度の差を抑制してかじりの発生を防ぐことができ、クランク機構の耐久性を向上することができる。
請求項2の発明によれば、複数の軸受ハウジングの剛性は、駆動軸の軸方向および周方向では同一とし、径方向では相違する構成としている。このため、例えばラップ部との距離が近い位置では、軸受ハウジングの径方向の剛性を小さくすることができ、ラップ部との距離が遠い位置では、軸受ハウジングの径方向の剛性を大きくすることができる。これにより、各スクロールが凸湾曲状または凹湾曲状に変形し、各スクロールの外径側に位置する軸受ハウジングが径方向に傾くときでも、複数の軸受ハウジングの径方向の傾き量を互いに近付けることができる。
請求項3の発明によれば、複数の軸受ハウジングの周囲には貫通孔をそれぞれ設けたから、軸受ハウジング毎に貫通孔の形状、大きさを互いに異ならせることができる。これにより、複数の軸受ハウジングは、その径方向の剛性を互いに相違させることができる。また、例えば各クランク機構の周囲の熱変形の状態に合わせて貫通孔を設計することができる。さらに、鏡板の熱変形および圧縮室内の圧力による補助クランクの傾きの挙動に合わせて貫通孔を形成でき、複数の軸受ハウジングを、補助クランクの傾き角度が同一となるような理想的な状態にすることができる。
請求項4の発明によれば、軸受ハウジングを取囲んで複数個の貫通孔を設ける構成としたから、軸受ハウジング毎に貫通孔の形状、大きさ、個数を異ならせることができる。これにより、複数の軸受ハウジングは、その径方向の剛性を互いに相違させることができる。また、軸受ハウジングを取囲んで断熱作用を有する貫通孔を複数個設けるから、複数個の貫通孔を用いて圧縮室の熱が軸受ハウジングに伝導するのを遮断することができる。このため、軸受ハウジングに取付けられた軸受等が温度上昇するのを防止することができ、耐久性、信頼性を高めることができる。
請求項5の発明によれば、複数の軸受ハウジングの周囲には凹陥部をそれぞれ設けたから、軸受ハウジング毎に凹陥部の形状、大きさを互いに異ならせることができる。これにより、複数の軸受ハウジングは、その径方向の剛性を互いに相違させることができる。また、例えば各クランク機構の周囲の熱変形の状態に合わせて凹陥部を設計することができる。さらに、鏡板の熱変形および圧縮室内の圧力による補助クランクの傾きの挙動に合わせて凹陥部を形成でき、複数の軸受ハウジングを、補助クランクの傾き角度が同一となるような理想的な状態にすることができる。
請求項6の発明によれば、軸受ハウジングを取囲んで複数個の凹陥部を設ける構成としたから、軸受ハウジング毎に凹陥部の形状、大きさ、個数を異ならせることができる。これにより、複数の軸受ハウジングは、その径方向の剛性を互いに相違させることができる。また、軸受ハウジングを取囲んで熱抵抗の大きな凹陥部を複数個設けるから、複数個の凹陥部を用いて圧縮室の熱が軸受ハウジングに伝導するのを抑制することができる。このため、軸受ハウジングに取付けられた軸受等が温度上昇するのを抑制することができ、耐久性、信頼性を高めることができる。
請求項7の発明によれば、複数の軸受ハウジングの周囲には異なる材質からなる異質部位をそれぞれ設けたから、軸受ハウジング毎に異質部位の形状、大きさ、個数、材質を互いに異ならせることができる。これにより、複数の軸受ハウジングは、その径方向の剛性を互いに相違させることができる。また、例えば各クランク機構の周囲の熱変形の状態に合わせて異質部位を設計することができる。さらに、鏡板の熱変形および圧縮室内の圧力による補助クランクの傾きの挙動に合わせて異質部位を形成でき、複数の軸受ハウジングを、補助クランクの傾き角度が同一となるような理想的な状態にすることができる。
請求項8の発明によれば、複数の軸受ハウジングはその形状または板厚が互いに異なる構成としたから、軸受ハウジング毎に、その径方向の剛性を互いに相違させることができる。
請求項9の発明によれば、複数のクランク機構は、固定スクロールの中心位置または旋回スクロールの中心位置から相互に均等な距離に配置する構成としている。このとき、一般的に渦巻状のラップ部もその中心位置が各スクロールの中心位置に一致するように形成される。このため、クランク機構毎にラップ部との距離が相違し、補助クランク毎に傾き角度が相違する傾向がある。これに対し、本発明では、ラップ部との距離が近い軸受ハウジングの剛性は小さく、距離が遠い軸受ハウジングの剛性は大きくしたから、補助クランク毎の傾き角度の差を減少させることができる。
請求項10の発明によれば、クランク機構を3個以上設けると共に、複数の軸受ハウジングの剛性は相互に全て異なる構成としたから、複数の軸受ハウジングでラップ部との距離が相互に相違するときでも、軸受ハウジングの傾き角度を互いに同一にすることができる。
以下、本発明の実施の形態によるスクロール式流体機械について、添付図面を参照して詳細に説明する。
ここで、図1ないし図7は第1の実施の形態を示し、本実施の形態では、ツインラップ型のスクロール式空気圧縮機を例に挙げて述べる。
図中、1はスクロール式空気圧縮機の外枠を構成する略筒状のケーシングで、該ケーシング1は、図1に示す如く、略円筒状に形成され軸方向の両側が開口した中間ケース2と、該中間ケース2の軸方向一側(左側)に設けられた第1の外側ケース3Aと、中間ケース2の軸方向他側(右側)に設けられた第2の外側ケース3Bとによって構成されている。そして、ケーシング1は、後述する固定スクロール5A,5Bと一緒に固定側部材を構成している。
ここで、外側ケース3A,3Bは段付きの有底筒状に形成され、その底部側が中間ケース2に取付けられている。また、第1の外側ケース3Aは、後述する第1の固定スクロール5A、第1の旋回スクロール12A等と共に低圧側の圧縮部4Aを構成し、第2の外側ケース3Bは、第2の固定スクロール5B、第2の旋回スクロール12B等と共に高圧側の圧縮部4Bを構成している。この場合、低圧側と高圧側の圧縮部4A,4Bは互いにほぼ同一の構成要素を有しているので、以下の説明では、低圧側の構成要素に符号「A」を付して説明し、高圧側の構成要素については、符号「B」を付して説明すると共に、低圧側と重複する説明を省略するものとする。
5Aはケーシング1の外側ケース3Aに取付けられた低圧側の固定スクロールで、該固定スクロール5Aは、図2に示す如く、軸線O1−O1を中心(中心O1)として略円板状に形成された鏡板6Aと、該鏡板6Aの表面に立設された渦巻状のラップ部7Aと、鏡板6Aの外周側から軸方向に突出し、ラップ部7Aを取囲む位置で径方向外向きに延びた略筒状のフランジ部8Aとにより大略構成されている。
ここで、鏡板6Aには、ラップ部7Aの径方向外側に位置して後述の圧縮室15A内に空気を吸込む吸込口9Aと、ラップ部7Aの中央に位置して圧縮空気を吐出する吐出口10Aとが設けられている。また、鏡板6Aの裏面には、図2に示す如く、冷却風の流れ方向に沿って延びる複数の冷却フィン11Aが立設されている。さらに、鏡板6Aの外径側には、図3に示す如く、後述のクランク機構41を取付けるための軸受ハウジング45〜47が設けられている。
一方、5Bはケーシング1の外側ケース3Bに取付けられた高圧側の固定スクロールで、該固定スクロール5Bは、図1に示す如く、低圧側の固定スクロール5Aとほぼ同様に、鏡板6B、ラップ部7B、フランジ部8B、吸込口9B、吐出口10B、冷却フィン11B等によって構成されている。
そして、低圧側の吐出口10Aは、例えば配管、冷却器等を経由して高圧側の吸込口9Bに接続され、高圧側の吐出口10Bは、空気タンク(図示せず)等に接続されている。これにより、空気圧縮機は、吸込口9Aから吸込んだ空気を圧縮部4A,4Bによって順次圧縮する2段式の圧縮機として構成されている。
12Aは固定スクロール5Aと対面してケーシング1内に旋回可能に設けられた低圧側の旋回スクロールで、該旋回スクロール12Aは、図2に示す如く、軸線O2−O2を中心(中心O2)として略円板状に形成され外側ケース3A内に収容された鏡板13Aと、該鏡板13Aの表面に立設された渦巻状のラップ部14Aと、後述のボス部16A等とによって構成されている。ここで、旋回スクロール12Aのラップ部14Aは、固定スクロール5Aのラップ部7Aと重なり合った状態で配置され、これらのラップ部7A,14A間には複数の圧縮室15Aが画成されている。
また、鏡板13Aの外径側には、後述のクランク機構41を取付けるための軸受ハウジング54〜56が設けられている。これにより、旋回スクロール12Aと固定スクロール5Aとの間には、後述する自転防止機構としてのクランク機構41が設けられ、該クランク機構41は、低圧側と高圧側の旋回スクロール12A,12Bの自転を防止している。
そして、旋回スクロール12A,12Bは、後述のモータ21により回転軸22、駆動軸26等を介して一緒に駆動され、固定スクロール5A,5Bに対してそれぞれ旋回運動することにより、圧縮室15A,15B内で空気を圧縮する。
16Aは旋回スクロール12Aの鏡板13Aの裏面中央に突設されたボス部で、該ボス部16A内には、後述する駆動軸26の小径軸部28Aが圧入等の手段によって回転を規制した状態で嵌合されている。この場合、ボス部16Aは、例えば軸線O2−O2を中心とする有底の筒状体として形成されている。
一方、12Bは外側ケース3B内に設けられた高圧側の旋回スクロールで、該旋回スクロール12Bは、図1に示す如く、低圧側の旋回スクロール12Aとほぼ同様に形成された鏡板13B、ラップ部14Bと、後述のボス部16Bとによって大略構成されている。そして、ラップ部14Bは、固定スクロール5Bのラップ部7Bとの間に複数の圧縮室15Bを画成している。
16Bは旋回スクロール12Bの鏡板13Bの裏面中央に突設されたボス部で、該ボス部16Bは、例えばアルミニウム等の金属材料によって鏡板13Bと一体に形成され、その内周側には、後述する駆動軸26の小径軸部28Bが圧入等の手段によって回転を規制した状態で嵌合されている。そして、ボス部16Bは、例えば軸方向の一側が開口し他側が閉塞した有底の筒状体として形成され、軸線O2−O2を中心として軸方向に延びている。
次に、空気圧縮機の駆動源について説明すると、21は旋回スクロール12A,12Bの駆動源となる例えば電動式のモータで、該モータ21は、図1に示す如く、ケーシング1の中間ケース2内に設けられた筒状のステータと、回転軸22の外周側に固定された筒状のロータ等とからなり、回転軸22を回転駆動するものである。ここで、回転軸22は、例えば段付円筒状の中空ロッドからなり、回転軸受23A,23Bを介して外側ケース3A,3Bに回転可能に支持されると共に、軸線O1−O1を中心としてモータ21のロータと一体に回転する。
24Aは回転軸22の一端側外周に固着して取付けられた略円筒状の偏心ブッシュで、該偏心ブッシュ24Aは、図2に示す如く、軸線O1−O1を中心として回転軸22と一体に回転するものであり、その内周側には、偏心軸受25Aが軸線O1−O1から偏心した状態で嵌合されている。一方、回転軸22の他端側には、図1に示す如く、他の偏心ブッシュ24Bと偏心軸受25Bとが取付けられている。そして、偏心軸受25A,25Bは、後述する駆動軸26の小径軸部28A,28Bを回転可能に支持している。
26は旋回スクロール12A,12Bを旋回駆動する段付円柱状の駆動軸で、該駆動軸26は、回転軸22内に挿通して設けられた中間軸部27と、該中間軸部27の両端にそれぞれ形成された小径軸部28A,28Bとによって構成されている。
また、小径軸部28A,28Bの先端側は回転軸22から突出し、例えば圧入等の手段によって旋回スクロール12A,12Bのボス部16A,16B内にそれぞれ回転を規制した状態で嵌合、固着されている。そして、駆動軸26の軸線O2−O2は、偏心ブッシュ24A,24Bにより回転軸22等の軸線O1−O1に対して一定の寸法だけ偏心した位置に保持されている。これにより、駆動軸26は、回転軸22が回転するときに、一定の旋回半径をもって旋回スクロール12A,12Bを旋回運動させるものである。
次に、空気圧縮機の冷却構造について説明すると、31Aは回転軸22の軸方向一側に設けられた低圧側の冷却ファンを示し、31Bは回転軸22の軸方向他側に設けられた高圧側の冷却ファンを示している。
ここで、まず低圧側の冷却ファン31Aについて述べると、この冷却ファン31Aは、例えば遠心ファン等からなり、偏心ブッシュ24Aの外周側に固定されると共に、旋回スクロール12Aとモータ21との間で外側ケース3A内に収容されている。そして、冷却ファン31Aは、モータ21によって回転駆動されることにより、固定スクロール5A、旋回スクロール12A、偏心軸受25A等を冷却する冷却風を発生する。
この場合、外側ケース3Aには、冷却ファン31Aの軸方向両側で外側ケース3A内の空間を仕切る環状の仕切板32A,33Aと、例えば旋回スクロール12Aの裏面側に冷却風が流入する取入れ口(図示せず)と、この冷却風を冷却ファン31Aの径方向外側から外側ケース3Aの外部に流出させる吹出し口35Aと、該吹出し口35Aから流出した冷却風を固定スクロール5Aの裏面側に導入するダクト38Aとが設けられている。
一方、高圧側の冷却ファン31Bについて述べると、この冷却ファン31Bは、図1に示す如く、例えば低圧側の冷却ファン31Aとほぼ同様な遠心ファン等からなり、偏心ブッシュ24Bの外周側に固定されると共に、旋回スクロール12Bとモータ21との間で外側ケース3B内に収容されている。
そして、冷却ファン31Bは、モータ21によって回転軸22と一緒に回転駆動され、外側ケース3Bの内,外を流通する冷却風を発生することにより、固定スクロール5B、旋回スクロール12B、偏心軸受25B等を冷却するものである。
この場合、外側ケース3Bには、冷却ファン31Bの軸方向両側で外側ケース3B内の空間を仕切る環状の仕切板32B,33Bが設けられている。また、外側ケース3Bには、外部から冷却ファン31Bの内周側に冷却風を取入れる取入れ口34Bと、この冷却風が冷却ファン31Bの外周側から外側ケース3Bの外部に吹出す吹出し口35Bと、該吹出し口35Bから吹出した冷却風が旋回スクロール12Bの裏面側に流入する流入口36Bと、旋回スクロール12Bの裏面側を通過した冷却風が流出する流出口37Bとが設けられている。また、外側ケース3Bの外部には、吹出し口35Bから吹出した冷却風を流入口36Bと固定スクロール5Bの裏面側とに導くダクト38Bが設けられている。
次に、旋回スクロール12A,12Bの自転を防止するクランク機構およびその取付構造について説明する。
まず、41は旋回スクロール12A,12Bの自転を防止するクランク機構で、該クランク機構41は、固定スクロール5Aと旋回スクロール12Aとの間に位置して例えば3個設けられている。ここで、クランク機構41は、固定スクロール5Aに取付けられた第1の軸受42と、旋回スクロール12Aに取付けられた第2の軸受43と、第1,第2の軸受42,43に回転可能に取付けられた補助クランク44とによって構成されている。
そして、3個のクランク機構41は、例えば軸線O1−O1を中心にして周方向に等間隔に配置されている。これにより、各クランク機構41の第1の軸受42と固定スクロール5Aの中心O1との距離は、全て等しい値に設定されている。また、各クランク機構41の第2の軸受43と旋回スクロール12Aの中心O2との距離も、全て等しい値に設定されている。
また、第1,第2の軸受42,43は、各スクロール5A,12Aのうち外径側に配置された後述の軸受ハウジング45〜47,54〜56に取付けられている。さらに、補助クランク44は、軸線O1−O1と軸線O2−O2との偏心量と同じ量だけ偏心したクランク軸によって形成されている。そして、補助クランク44は、その一端側が第1の軸受42に軸支され、他端側が第2の軸受43に軸支されている。これにより、クランク機構41は、旋回スクロール12Aが自転するのを防止すると共に、駆動軸26を介して低圧側の旋回スクロール12Aに連結された高圧側の旋回スクロール12Bの自転も防止している。
45〜47は固定スクロール5Aの外径側に設けられた第1の軸受ハウジングで、これら3個の軸受ハウジング45〜47は、鏡板6Aの外径側に位置して周方向に120°程度の間隔をもって互いに離間して配置されると共に、ラップ部7Aを径方向外側から取囲んでいる。また、軸受ハウジング45〜47は、例えば略円筒状をなすと共に、その内部には第1の軸受42を取付けるための段付き状の取付孔45A〜47Aがそれぞれ形成されている。そして、軸受ハウジング45〜47は、取付孔45A〜47A内に固定された第1の軸受42を介して補助クランク44の一端側を回転可能に支持している。
48〜50は軸受ハウジング45〜47の周囲に設けられた通気孔で、該通気孔48〜50は、固定スクロール5Aを軸方向に貫通した貫通孔によって形成されている。このとき、通気孔48は、軸受ハウジング45を取囲んで複数個設けられている。同様に、通気孔49は軸受ハウジング46を取囲んで複数個設けられ、通気孔50は軸受ハウジング47を取囲んで複数個設けられている。そして、通気孔48〜50は、冷却ファン31Aの作動時に外部の空気をクランク機構41の周囲に流通させ、クランク機構41を冷却するものである。
51〜53は軸受ハウジング45〜47とラップ部7Aとの間に設けられた貫通孔で、該貫通孔51〜53は、ラップ部7Aを取囲むと共に、周方向に沿って延びる円弧状のスリット、長孔等によって形成されている。そして、貫通孔51〜53は、固定スクロール5Aを軸方向(軸線O1−O1方向)に貫通している。これにより、貫通孔51〜53は、鏡板7Aの中心側と軸受ハウジング45〜47との間の熱伝導経路を遮断するか、または熱伝導経路の断面積を減少させることによって、圧縮室15Aで発生する熱が固定スクロール5Aを通じて径方向外側の各クランク機構41に伝わるのを抑制している。また、貫通孔51〜53は、後述する旋回スクロール12Aの貫通孔57〜59にそれぞれ連通し、通気孔48〜50と同様に、冷却風を流通させるものである。
54〜56は旋回スクロール12Aの外径側に設けられた第2の軸受ハウジングで、これら3個の軸受ハウジング54〜56は、鏡板13Aの外径側に位置して周方向に120°程度の間隔をもって互いに離間して配置されると共に、ラップ部14Aを径方向外側から取囲んでいる。このとき、第2の軸受ハウジング54〜56は、第1の軸受ハウジング45〜47と対向する位置にそれぞれ配置されている。また、軸受ハウジング54〜56は、例えば略円筒状をなすと共に、その内部には第2の軸受43を取付けるための取付孔54A〜56Aがそれぞれ形成されている。そして、軸受ハウジング54〜56は、取付孔54A〜56A内に固定された第2の軸受43を介して補助クランク44の他端側を回転可能に支持している。
また、軸受ハウジング54〜56は、その中心位置O21〜O23がラップ部14Aに対して距離寸法L1〜L3だけ離間している。このとき、ラップ部14Aは旋回スクロール12Aの中心O2付近を巻始め端(内周端)として外径側に渦巻状に形成されている。一方、軸受ハウジング54〜56は、旋回スクロール12Aの中心位置からの距離が同じ値となる位置に配置されている。このため、軸受ハウジング54〜56とラップ部14Aとの距離寸法L1〜L3は、互いに異なる値になっている。
具体的には、軸受ハウジング54は巻終り端(外周端)の外径側に位置するから、軸受ハウジング54とラップ部14Aとの距離寸法L1は最も短くなっている。一方、軸受ハウジング56は、ラップ部14Aのうち最も巻始め端に近い部位に位置するから、軸受ハウジング56とラップ部14Aとの距離寸法L3は最も長くなっている。また、軸受ハウジング55は、軸受ハウジング54,56の中間に位置し、軸受ハウジング54よりも巻始め端に近く、軸受ハウジング56よりも巻終り端に近い位置に配置されている。このため、軸受ハウジング55とラップ部14Aとの距離寸法L2は、距離寸法L1と距離寸法L3との中間の値(L1<L2<L3)に設定されている。
また、軸受ハウジング54〜56の剛性は、後述する貫通孔57〜59を用いて、隣接するラップ部14Aとの距離寸法L1〜L3が近いものを、遠いものよりも小さくしている。即ち、最短の距離寸法L1でラップ部14と離間する軸受ハウジング54は、その剛性が最も小さくなっている。一方、最長の距離寸法L3でラップ部14と離間する軸受ハウジング56は、その剛性が最も大きくなっている。また、距離寸法L1,L3の中間の距離寸法L2でラップ部14と離間する軸受ハウジング55は、その剛性が軸受ハウジング54の剛性と軸受ハウジング56の剛性との中間の値になっている。
57〜59は軸受ハウジング54〜56の周囲に設けられた貫通孔で、該貫通孔57〜59は、旋回スクロール12Aの鏡板13Aを軸方向に貫通している。このとき、貫通孔57は、軸受ハウジング54を取囲んで複数個設けられている。同様に、貫通孔58は軸受ハウジング55を取囲んで複数個設けられ、貫通孔59は軸受ハウジング56を取囲んで複数個設けられている。そして、貫通孔57〜59は、固定スクロール5Aの通気孔48〜50または貫通孔51〜53にそれぞれ連通し、冷却風を流通させるものである。
ここで、貫通孔57は、軸受ハウジング54の周囲に例えば3個設けられている。このため、軸受ハウジング54は、3個の貫通孔57の間に位置する3本の支持梁57Aによって旋回スクロール12Aの鏡板13Aに連結されている。このとき、3本の支持梁57Aは、軸受ハウジング54を中心にして放射状に延びている。また、2本の支持梁57Aは軸受ハウジング54を挟んで周方向両側に向けて延び、1本の支持梁57Aは軸受ハウジング54とラップ部14Aとの間に位置して径方向に延びている。
また、貫通孔58も、貫通孔57と同様に、軸受ハウジング55の周囲に例えば3個設けられている。このため、軸受ハウジング55は、3個の貫通孔58の間に位置する3本の支持梁58Aによって旋回スクロール12Aの鏡板13Aに連結されている。このとき、3本の支持梁58Aは、軸受ハウジング55を中心にして放射状に延びると共に、そのうちの2本の支持梁58Aは軸受ハウジング55を挟んで周方向両側に向けて延び、残余の1本の支持梁58Aは軸受ハウジング55とラップ部14Aとの間に位置して径方向に延びている。
ここで、3個の貫通孔58は、その全部または一部が貫通孔57よりも小さな開口面積となっている。これにより、3個の貫通孔58の開口面積の総和は、3個の貫通孔57の開口面積の総和よりも小さくなっている。また、径方向に延びる支持梁58Aは、径方向に延びる支持梁57Aよりも太い幅寸法を有している。このため、軸受ハウジング55は、軸受ハウジング54よりもその剛性が大きく、特に径方向の剛性が大きくなっている。従って、軸受ハウジング55は、軸受ハウジング54に比べて径方向に対する変形が抑制されている。
一方、貫通孔59は、貫通孔57,58と異なり、軸受ハウジング56の周囲に例えば4個設けられている。このため、軸受ハウジング56は、4個の貫通孔59の間に位置する4本の支持梁59Aによって旋回スクロール12Aの鏡板13Aに連結されている。このとき、4本の支持梁59Aは、軸受ハウジング56を中心にして放射状に延びると共に、そのうちの2本の支持梁59Aは軸受ハウジング56を挟んで周方向両側に向けて延び、残余の2本の支持梁59Aは軸受ハウジング56を挟んで径方向両側に向けて延びている。
ここで、4個の貫通孔59の開口面積の総和は、3個の貫通孔58の開口面積の総和よりも小さくなっている。また、径方向に延びる支持梁59Aの本数が、径方向に延びる支持梁58Aよりも1本多くなっている。このため、軸受ハウジング56は、軸受ハウジング55よりもその剛性が大きく、特に径方向の剛性が大きくなっている。従って、軸受ハウジング56は、軸受ハウジング55に比べて径方向に対する変形が抑制されている。
これにより、軸受ハウジング54〜56の剛性は、軸方向(軸O2−O2方向)および周方向では同一とし、径方向では互いに相違する構成となっている。
本実施の形態によるツインラップ型のスクロール式空気圧縮機は、上述の如き構成を有するもので、次にその作動について説明する。
まず、モータ21に給電すると、回転軸22が軸線O1−O1を中心として回転駆動される。これにより、回転軸22内に偏心状態で取付けられた駆動軸26が旋回運動を行うと、その両端側に連結された旋回スクロール12A,12Bは、固定スクロール5A,5Bに対して旋回動作を行う。
この結果、低圧側の圧縮部4Aは、吸込口9Aから外気を吸込みつつ、この空気を各圧縮室15A内で順次圧縮し、吐出口10Aから中間圧の圧縮空気を吐出する。そして、この中間圧の圧縮空気は、高圧側の圧縮部4Bに吸込まれて圧縮されることにより、高圧の圧縮空気となって吐出口10Bから吐出され、空気タンク等に貯留される。
また、圧縮機の運転時には、回転軸22と一緒に冷却ファン31A,31Bが回転駆動される。これにより、低圧側の冷却ファン31Aは、旋回スクロール12Aの裏面側に冷却風を吸込みつつ、この冷却風をダクト38Aによって固定スクロール5Aの裏面側に供給し、これらのスクロール5A,12Aを冷却することができる。
一方、高圧側の冷却ファン31Bは、外側ケース3Bの取入れ口34Bから冷却風を吸込み、吹出し口35Bからダクト38Bに向けて冷却風を吹出させる。この冷却風の一部は、外側ケース3Bの流入口36Bから流入し、旋回スクロール12Bの鏡板13B、ボス部16B、駆動軸26、偏心軸受25B等を冷却した後に、流出口37Bから外側ケース3Bの外部に流出する。また、残りの冷却風は、固定スクロール5Bの冷却フィン11Bに沿って流通し、これを冷却することができる。
圧縮機の運転時には、圧縮室15Aで熱が発生すると共に、この熱が固定スクロール5Aおよび旋回スクロール12Aを経由してクランク機構41に伝わる。このとき、固定スクロール5Aと旋回スクロール12Aとでは冷却条件が異なるため、例えば旋回スクロール12Aは、固定スクロール5Aに比べて熱膨張によって肥大化する。この結果、旋回スクロール12Aと固定スクロール5Aとの間に配置された補助クランク44は、第2の軸受43に軸支された他端側が径方向外側に向けて引張られ、補助クランク44に傾き(熱倒れ)が生じる。
一方、固定スクロール5Aおよび旋回スクロール12Aには、圧縮室15A内の圧力によって、これらが互いに離間する方向に向けて荷重(スラスト荷重)が作用する。このとき、各スクロール5A,12Aの外径側よりも内径側の方が圧縮室15A内の圧力が高いから、この圧力差によっても各スクロール5A,12Aが外径側に比べて内径側の方が互いに大きく離間する。この結果、各スクロール5A,12Aが互いに対面する側が凹湾曲状に変形し、補助クランク44に傾きが生じる。
また、各スクロール5A,12Aの鏡板6A,13Aにはラップ部7A,14Aが立設されている。このため、ラップ部7A,14Aの近傍では鏡板6A,13Aの剛性が大きく、ラップ部7A,14Aから離れるに従って鏡板6A,13Aの剛性が小さくなる。
このとき、旋回スクロール12Aの軸受ハウジング54〜56は、ラップ部14Aとの距離寸法L1〜L3が互いに異なる位置に配置されている。このため、鏡板13Aのうちラップ部14Aからの距離寸法L1が短い軸受ハウジング54の周囲では、鏡板13Aの中心側を基準に小さい傾斜角度θ1をもって湾曲する。また、鏡板13Aのうち軸受ハウジング55,56の周囲も傾斜角度θ2,θ3をもってそれぞれ湾曲するものの、この傾斜角度θ2,θ3はラップ部14Aと軸受ハウジング55,56との間の距離寸法L2,L3に応じて大きくなる。この結果、距離寸法L1〜L3が大きくなるに従って、鏡板13Aのうち各軸受ハウジング54〜56の周囲の傾斜角度θ1〜θ3も大きくなる(θ1<θ2<θ3)。
このように軸受ハウジング54〜56の周囲に位置する鏡板13Aの傾斜角度θ1〜θ3が異なるから、軸受ハウジング54〜56に取付けられる補助クランク44も、その回転軸が傾斜角度θ1〜θ3に応じて傾斜すると共に、補助クランク44の傾き角度φ1〜φ3も互いに異なる傾向がある。
然るに、本実施の形態では、複数の軸受ハウジング54〜56の剛性をラップ部14Aとの距離が近いものを、遠いものよりも小さくする構成としている。即ち、軸受ハウジング54〜56の剛性を、ラップ部14Aとの距離寸法L1〜L3が短くなるに従って小さくしている。このため、ラップ部14Aとの距離寸法L1が小さい軸受ハウジング54は剛性が小さいから、軸受ハウジング54に取付けられる補助クランク44の傾き角度φ1は、鏡板13Aの傾斜角度θ1よりも大きくなる傾向がある。一方、ラップ部14Aとの距離寸法L3が大きい軸受ハウジング56の剛性は大きくするから、軸受ハウジング56に取付けられる補助クランク44の傾き角度φ3は、鏡板13Aの傾斜角度θ3と同じ程度になる。
このとき、距離寸法L3よりも距離寸法L1,L2は短いから、軸受ハウジング54,55に取付けられる補助クランク44の傾き角度φ1,φ2を鏡板13Aの傾斜角度θ1,θ2よりも増加させることができ、これらの傾き角度φ1,φ2を軸受ハウジング56に取付けられる補助クランク44の傾き角度φ3に近付けることができる。この結果、ラップ部14Aと軸受ハウジング54〜56との距離寸法L1〜L3の差に基づいて、複数の補助クランク44の傾き角度φ1〜φ3に差が生じるときでも、この傾き角度φ1〜φ3の差を抑制することができる。このため、複数のクランク機構41のうち一部でかじりが生じるのを抑制することができ、クランク機構41の耐久性を向上することができる。
また、複数の軸受ハウジング54〜56の剛性は、回転軸の軸方向および周方向では同一とし、径方向では相違する構成としている。このため、例えばラップ部14Aとの距離が近い軸受ハウジング54では、その径方向の剛性を小さくすることができ、ラップ部14Aとの距離が遠い軸受ハウジング56では、その径方向の剛性を大きくすることができる。これにより、各スクロール5A,12Aが例えば凹湾曲状に変形し、各スクロール5A,12Aの外径側に位置する軸受ハウジング54〜56が径方向に傾くときでも、複数の軸受ハウジング54〜56の径方向の傾き量を互いに近付けることができる。
また、複数の軸受ハウジング54〜56の周囲には貫通孔57〜59をそれぞれ設けたから、軸受ハウジング54〜56毎に貫通孔57〜59の形状、大きさ、個数を互いに異ならせることができる。これにより、複数の軸受ハウジング54〜56は、その径方向の剛性を互いに相違させることができる。また、例えば各クランク機構41の周囲の熱変形の状態に合わせて貫通孔57〜59を設計することができる。さらに、鏡板13Aの熱変形および圧縮室15A内の圧力による補助クランク44の傾きの挙動に合わせて貫通孔57〜59を形成でき、複数の軸受ハウジング54〜56を、補助クランク44の傾き角度φ1〜φ3が同一となるような理想的な状態にすることができる。
さらに、軸受ハウジング54〜56を取囲んで複数個の貫通孔57〜59を設ける構成としたから、複数個の貫通孔57〜59を用いて圧縮室15Aの熱が軸受ハウジング54〜56に伝導するのを遮断することができる。このため、軸受ハウジング54〜56に取付けられた軸受43等が温度上昇するのを防止することができ、耐久性、信頼性を高めることができる。
また、複数のクランク機構41は、固定スクロール5Aおよび旋回スクロール12Aの中心位置から相互に均等な距離に配置する構成としている。このため、複数のクランク機構41は旋回スクロール12Aの自転トルクを均等に受けることができるものの、クランク機構41毎にラップ部14Aとの距離が相違し、補助クランク44毎に傾き角度φ1〜φ3が相違する傾向がある。これに対し、本実施の形態では、軸受ハウジング54〜56の剛性を、ラップ部14Aとの距離が近くなるに従って小さくしたから、剛性の小さい軸受ハウジング54,55での傾き角度φ1,φ2を増加させて、補助クランク44毎の傾き角度φ1〜φ3の差を減少させることができる。
さらに、クランク機構41を3個設ける共に、複数の軸受ハウジング54〜56の剛性は相互に全て異なる構成としたから、複数の軸受ハウジング54〜56でラップ部14Aとの距離が相互に相違するときでも、軸受ハウジング54〜56の傾き角度φ1〜φ3を互いに同一にすることができる。
なお、前記第1の実施の形態では、軸受ハウジング54〜56を取囲んで複数個の貫通孔57〜59を設ける構成とした。しかし、本発明はこれに限らず、例えば軸受ハウジング54〜56の周囲に貫通孔を1個ずつ設ける構成としてもよい。この場合、例えば軸受ハウジング54〜56毎に径方向に延びる支持梁の幅寸法を相互に相違させることによって、軸受ハウジング54〜56の剛性を互いに相違させることができる。
また、前記第1の実施の形態では、軸受ハウジング54,55の周囲には3個の貫通孔57,58を設けるのに対し、軸受ハウジング56の周囲には4個の貫通孔59を設ける構成した。しかし、各軸受ハウジング54〜56に設ける貫通孔の個数は必ずしも相違させる必要はなく、同一でもよい。この場合、軸受ハウジング54〜56毎に貫通孔の形状や大きさを相違させることによって、軸受ハウジング54〜56の剛性を互いに相違させることができる。
さらに、前記第1の実施の形態では、貫通孔57〜59は開口面積の総和がそれぞれ異なる構成としたが、これらの開口面積の総和は同一でもよい。この場合、軸受ハウジング54〜56毎に貫通孔の形状や支持梁の配置を相違させることによって、軸受ハウジング54〜56の剛性を互いに相違させることができる。
次に、図8ないし図11は本発明による第2の実施の形態を示し、本実施の形態の特徴は、複数の軸受ハウジングの周囲には凹陥部をそれぞれ設け、これらの凹陥部によって軸受ハウジングの径方向の剛性を相違させる構成としたことにある。なお、本実施の形態では、前記第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
61は第2の実施の形態による低圧側の旋回スクロールで、該旋回スクロール61は、第1の実施の形態と同様の鏡板13A、ラップ部14A、ボス部16Aとによって大略構成されている。
また、旋回スクロール61の外径側には、第1の実施の形態と同様に3個の軸受ハウジング54〜56が設けられている。そして、軸受ハウジング54〜56には、ラップ部14Aに対して相互に異なる距離寸法L1〜L3をもって離間し、クランク機構41の第2の軸受43が取付けられる構成となっている。
62〜64は軸受ハウジング54〜56の周囲に設けられた凹陥部で、該凹陥部62〜64は、旋回スクロール12Aの鏡板13Aの表面から凹陥して形成されている。このため、凹陥部62〜64の位置では、鏡板13Aの厚さ寸法は小さくなっている。また、凹陥部62〜64は、第1の実施の形態による貫通孔57〜59と同じ形状をもって開口し、軸受ハウジング54〜56をそれぞれ取囲んで複数個(3個または4個)設けられている。これにより、凹陥部62〜64の開口面積の総和は、互いに相違し、ラップ部14Aとの距離寸法L1〜L3が短くなるに従って、大きくなっている。
また、複数の凹陥部62の間には、軸受ハウジング54を中心にして放射状に延びる支持隆起部62Aが形成されている。同様に、複数の凹陥部63,64の間にも、軸受ハウジング55,56を中心にして放射状に延びる支持隆起部63A,64Aが形成されている。そして、支持隆起部62A〜64Aは、第1の実施の形態による支持梁57A〜59Aと同じ幅寸法をそれぞれ有している。
これにより、軸受ハウジング54〜56の剛性は、ラップ部14Aとの距離寸法L1〜L3が短くなるに従って、小さくなる構成となっている。また、軸受ハウジング54〜56の剛性は、軸方向(軸O2−O2方向)および周方向では同一とし、径方向では互いに相違している。
かくして、このように構成される本実施の形態でも、第1の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。そして、特に本実施の形態では、軸受ハウジング54〜56の周囲に凹陥部62〜64をそれぞれ設けたから、軸受ハウジング54〜56毎に凹陥部62〜64の形状、大きさ、個数を互いに異ならせることができる。これにより、複数の軸受ハウジング54〜56は、その径方向の剛性を互いに相違させることができる。この結果、複数の軸受ハウジング54〜56を、補助クランク44の傾き角度が同一となるような理想的な状態にすることができる。
また、軸受ハウジング54〜56を取囲んで熱抵抗の大きな凹陥部62〜64を複数個設けるから、複数個の凹陥部62〜64を用いて圧縮室15Aの熱が軸受ハウジング54〜56に伝導するのを抑制することができる。このため、軸受ハウジング54〜56に取付けられた軸受43等が温度上昇するのを抑制することができ、耐久性、信頼性を高めることができる。
なお、凹陥部62〜64の個数、形状、深さ寸法、開口面積等は、第2の実施の形態によるものに限らず、適宜設定することができるものである。
次に、図12は本発明による第3の実施の形態を示し、本実施の形態の特徴は、複数の軸受ハウジングの周囲には鏡板とは異なる材質の異質部材をそれぞれ設け、これらの異質部材によって軸受ハウジングの径方向の剛性を相違させる構成としたことにある。なお、本実施の形態では、前記第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
71は第3の実施の形態による低圧側の旋回スクロールで、該旋回スクロール71は、第1の実施の形態と同様の鏡板13A、ラップ部14A、ボス部16Aとによって大略構成されている。
また、旋回スクロール71の外径側には、第1の実施の形態と同様に3個の軸受ハウジング54〜56が設けられている。そして、軸受ハウジング54〜56には、ラップ部14Aに対して相互に異なる距離寸法L1〜L3をもって離間し、クランク機構41の第2の軸受43が取付けられる構成となっている。
72〜74は軸受ハウジング54〜56の周囲に設けられた貫通孔で、該貫通孔72〜74は、第1の実施の形態による貫通孔57〜59と同様に、鏡板13Aを軸方向に貫通すると共に、軸受ハウジング54〜56をそれぞれ取囲んで複数個(例えば3個)設けられている。但し、貫通孔72〜74は、互いに同じ形状、大きさをもって形成されている点で、第1の実施の形態による貫通孔57〜59とは相違している。
75〜77は貫通孔72〜74に挿入された異質部材で、異質部材75〜77は、例えば鏡板13Aよりも軟質な材料(例えば樹脂材料、金属材料、セラミック材料等)によって形成されると共に、互いにその硬度が異なっている。このとき、貫通孔72内の異質部材75は最も軟質な材料が用いられ、貫通孔74内の異質部材77は最も硬質な材料が用いられる。また、貫通孔73内の異質部材76は、異質部材75と異質部材77との中間の硬度をもった材料が用いられる。そして、異質部材75〜77は、例えば貫通孔72〜74内を満たした状態で充填され、または取付けられている。
これにより、軸受ハウジング54〜56の剛性は、ラップ部14Aとの距離寸法L1〜L3が短くなるに従って、小さくなる構成となっている。また、軸受ハウジング54〜56の剛性は、軸方向(軸O2−O2方向)および周方向では同一とし、径方向では互いに相違している。
かくして、このように構成される本実施の形態でも、第1の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。そして、特に本実施の形態では、軸受ハウジング54〜56の周囲に異質部材75〜77をそれぞれ設けたから、軸受ハウジング54〜56毎に異質部材75〜77の材質、硬度を互いに異ならせることができる。これにより、複数の軸受ハウジング54〜56は、その径方向の剛性を互いに相違させることができる。この結果、複数の軸受ハウジング54〜56を、補助クランク44の傾き角度が同一となるような理想的な状態にすることができる。
なお、前記第3の実施の形態では、軸受ハウジング54〜56の周囲に互いに同じ形状の貫通孔72〜74を設け、該貫通孔72〜74内に互いに硬度の異なる異質部材75〜77は挿入する構成とした。しかし、本発明はこれに限らず、例えば貫通孔72〜74の形状、大きさが相互に異なる状態で、異質部材75〜77を挿入する構成としてもよい。
また、異質部材75〜77は、必ずしも相互に硬度が異なる必要はなく、その厚さ寸法、形状、大きさ等が相互に異なる構成としてもよい。さらに、異質部材75〜77は、必ずしも貫通孔72〜74内を全部満たす必要はなく、貫通孔72〜74内の一部に取付ける構成としてもよい。また、異質部材75〜77は、貫通孔72〜74内に設ける場合に限らず、例えば第2の実施の形態による凹陥部62〜64内に設ける構成としてもよい。
次に、図13および図14は本発明による第4の実施の形態を示し、本実施の形態の特徴は、複数の軸受ハウジングの形状を互いに異ならせる構成としたことにある。なお、本実施の形態では、前記第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
81は第4の実施の形態による低圧側の旋回スクロールで、該旋回スクロール81は、第1の実施の形態と同様の鏡板13A、ラップ部14A、ボス部16Aとによって大略構成されている。
また、旋回スクロール81の外径側には、3個の軸受ハウジング82〜84が設けられている。そして、軸受ハウジング82〜84には、第1の実施の形態による軸受ハウジング54〜56と同様に、ラップ部14Aに対して相互に異なる距離寸法L1〜L3をもって離間している。また、軸受ハウジング82〜84の内部には、クランク機構41の第2の軸受43を取付けるための取付孔82A〜84Aが設けられている。
但し、軸受ハウジング82〜84は、その形状が相互に異なる点で、第1の実施の形態による軸受ハウジング54〜56とは相違している。即ち、軸受ハウジング82〜84は、例えば鏡板13Aの背面側に突出しラップ部14Aに向けて径方向に延びるリブ82B〜84Bを備えている。しかし、径方向に延びるリブ82B〜84Bの長さ寸法と高さ寸法が相互に異なっている。具体的には、軸受ハウジング82〜84とラップ部14Aとの距離寸法L1〜L3が短くなるに従って、リブ82B〜84Bの長さ寸法と高さ寸法も短くなっている。
これにより、軸受ハウジング82〜84の剛性は、ラップ部14Aとの距離寸法L1〜L3が短くなるに従って、小さくなる構成となっている。また、軸受ハウジング82〜84の剛性は、軸方向(軸O2−O2方向)および周方向では同一とし、径方向では互いに相違している。
かくして、このように構成される本実施の形態でも、第1の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。そして、特に本実施の形態では、軸受ハウジング82〜84の形状を互いに異ならせる構成としたから、軸受ハウジング82〜84毎に、その径方向の剛性を互いに相違させることができる。この結果、複数の軸受ハウジング82〜84を、補助クランク44の傾き角度が同一となるような理想的な状態にすることができる。
なお、第4の実施の形態では、軸受ハウジング82〜84の形状を互いに異ならせる構成とした。しかし、本発明はこれに限らず、例えば軸受ハウジング82〜84の板厚寸法を互いに異ならせる構成としてもよい。この場合、ラップ部14Aとの距離寸法L1〜L3が短くなるに従って、軸受ハウジング82〜84の板厚寸法を小さくする構成とすればよい。
次に、図15および図16は本発明による第5の実施の形態を示し、本実施の形態の特徴は、ケーシングと旋回スクロールとの間に複数のクランク機構を設けると共に、クランク機構を取付けるためにケーシングに複数の軸受ハウジングを設け、これら複数の軸受ハウジングの剛性を相互に異ならせる構成としたことにある。
図中、91は空気圧縮機の駆動源を構成する電動モータで、該電動モータ91の出力軸92は、回転駆動し、後述の圧縮機本体93を駆動するものである。
93は電動モータ91により駆動される圧縮機本体で、該圧縮機本体93は、その外枠を構成するケーシング94と、後述の駆動軸95、旋回スクロール98、固定スクロール100、クランク機構104等とにより構成されている。この場合、ケーシング94は、軸方向の一側が閉塞され他側が開口した略有底筒状に形成され、その底部側にはボス部94Aが設けられている。
95はケーシング94のボス部94Aに各軸受96を介して回転可能に設けられた駆動軸で、該駆動軸95は、軸継手97を用いて電動モータ91の出力軸92に着脱可能に連結されている。
ここで、駆動軸95の軸方向一側には、その外周側に位置して遠心ファンからなる冷却ファン95Aが取付けられている。また、駆動軸95の軸方向他側には、駆動軸95の軸線に対して一定寸法だけ偏心した筒状のクランク部95Bが設けられている。そして、クランク部95B内には、後述する旋回スクロール98の連結軸部98Cが回転可能に挿入されている。
98はケーシング94内に位置して駆動軸95に旋回可能に設けられた旋回スクロールで、該旋回スクロール98は、円板状の鏡板98Aと、該鏡板98Aの表面に立設された渦巻状のラップ部98Bと、鏡板98Aの裏面中央に突設され、旋回軸受99を介して駆動軸95のクランク95Bに回転可能に取付けられた連結軸部98Cとにより構成されている。
100はケーシング94と共に圧縮機の固定側部材を構成する固定スクロールで、該固定スクロール100は、旋回スクロール98と対向した状態でケーシング94の開口側に取付けられている。
そして、固定スクロール100は、図15に示す如く、駆動軸95と同軸に配置された円板状の鏡板100Aと、該鏡板100Aの表面に立設された渦巻状のラップ部100Bと、該ラップ部100Bを取囲んで鏡板100Aの外周側に設けられ、ケーシング94の開口端側に取付けられたフランジ部100C等とにより構成されている。また、鏡板100Aの裏面側には複数の放熱フィン100Dが立設されている。
また、固定スクロール100と旋回スクロール98との間には、各ラップ部100B,98B間に位置して複数の圧縮室101が画成されている。そして、スクロール式空気圧縮機は、駆動軸95が回転駆動されると、旋回スクロール98が後述のクランク機構104により自転を規制された状態で公転し、固定スクロール100に対して旋回運動を行う。これにより、空気圧縮機は、外周側の圧縮室101に吸込んだ空気を各圧縮室101内で順次圧縮しつつ、中心側に向けて移送するものである。
102は固定スクロール100の外周側に例えば2個設けられた吸込口で、該各吸込口102は、外周側の圧縮室101にそれぞれ連通し、該圧縮室101内に外部の空気を供給している。
103は固定スクロール100の中心側に設けられた吐出口で、該吐出口103は、中心側の圧縮室101に連通し、圧縮室101が外周側から中心側に移動するに従って圧縮された圧縮空気を外部に向けて吐出している。
104はケーシング94と旋回スクロール98の鏡板98Aとの間に例えば3個設けられたクランク機構で、該クランク機構104は、第1の実施の形態によるクランク機構41とほぼ同様に、ケーシング94に取付けられる第1の軸受104Aと、旋回スクロール98に取付けられる第2の軸受104Bと、第1,第2の軸受104A,104Bに回転可能に支持される補助クランク104Cとによって構成されている。そして、クランク機構104は、旋回スクロール98が旋回動作を行うときに、その自転を防止するものである。
105〜107はケーシング94の外径側に設けられた第1の軸受ハウジングで、これら3個の軸受ハウジング105〜107は、周方向に120°程度の間隔をもって互いに離間して配置されている。また、軸受ハウジング105〜107は、例えば略円筒状をなすと共に、その内部には第1の軸受104Aを取付けるための段付き状の取付孔105A〜107Aがそれぞれ形成されている。そして、軸受ハウジング105〜107は、取付孔105A〜107A内に固定された第1の軸受104Aを介して補助クランク104Cの一端側を回転可能に支持している。
108〜110は軸受ハウジング105〜107の周囲に設けられた貫通孔で、該貫通孔108〜110は、ケーシング94を軸方向に貫通して形成されている。また、貫通孔108〜110は、軸受ハウジング105〜107よりも内径側に配置され、例えば軸受ハウジング105〜107の周囲に沿って円弧状に形成されている。
ここで、貫通孔108〜110の開口面積は、互いに相違している。具体的には、軸受ハウジング105〜107に取付けられるクランク機構104と旋回スクロール98のラップ部98Bとの距離寸法L1〜L3(ラップ部98Bと軸受ハウジング111〜113の中心位置との距離寸法)が短くなるに従って、貫通孔108〜110の開口面積は大きくなっている。
これにより、軸受ハウジング105〜107の剛性は、ラップ部98Bとの距離寸法L1〜L3が短くなるに従って、小さくなる構成となっている。また、軸受ハウジング105〜107の剛性は、軸方向および周方向では同一とし、径方向では互いに相違している。
111〜113は旋回スクロール98の外径側に例えば3個設けられた第2の軸受ハウジングで、該第2の軸受ハウジング111〜113は、第1の軸受ハウジング105〜107と対向した位置にそれぞれ配置されている。また、軸受ハウジング111〜113は、その中心位置と隣接するラップ部98Bとの距離寸法L1〜L3が相互に異なっている。具体的には、軸受ハウジング111〜113の順番で、距離寸法L1〜L3が短くなっている。
また、軸受ハウジング111〜113は、例えば略円筒状のボス部によって形成され、その内部には第2の軸受104Bを取付けられている。これにより、軸受ハウジング111〜113は、第2の軸受104Bを介して補助クランク104Cの他端側を回転可能に支持している。
本実施の形態によるスクロール式空気圧縮機は上述の如き構成を有するもので、次にその作動について説明する。
まず、電動モータ91が作動すると、その出力軸92によって圧縮機本体93の駆動軸95が回転駆動される。これにより、圧縮機本体93は、旋回スクロール98が固定スクロール100に対して旋回運動を行い、これらのラップ部100B,98B間に画成された各圧縮室101が径方向外側から内側に向けて連続的に縮小する。これにより、固定スクロール100の吸込口102から吸込まれた空気が各圧縮室101で順次圧縮されることにより圧縮空気となる。そして、この圧縮空気は、吐出口103から外部に吐出されて空気タンク(図示せず)等に貯留される。
かくして、このように構成される本実施の形態でも、第1の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。即ち、軸受ハウジング105〜107の周囲には互いに開口面積の異なる貫通孔108〜110を設けたから、該貫通孔108〜110によって軸受ハウジング105〜107の剛性を相違させることができる。これにより、複数の補助クランク104Cの傾き角度を互いに一致させることができ、クランク機構104のかじり等を防止して耐久性を向上することができる。
なお、第5の実施の形態では、軸受ハウジング105〜107の周囲に貫通孔108〜110を設ける構成としたが、第2の実施の形態のように凹陥部を設ける構成としてもよく、第3の実施の形態のように異質部材を設ける構成としてもよい。また、第4の実施の形態のように軸受ハウジング105〜107の形状や板厚を互いに相違させる構成としてもよい。
また、前記第1〜第4の実施の形態では、旋回スクロール12A,61,71,81に設けた複数の軸受ハウジング54〜56,82〜84の剛性を互いに相違させる構成とした。しかし、本発明はこれに限らず、例えば固定スクロールに設けた複数の軸受ハウジングの剛性を互いに相違させる構成としてもよく、旋回スクロールと固定スクロールの両方で、複数の軸受ハウジングの剛性を相違させる構成としてもよい。
同様に、前記第5の実施の形態では、ケーシング94に設けた複数の軸受ハウジング105〜107の剛性を互いに相違させる構成としたが、旋回スクロールに設けた複数の軸受ハウジングの剛性を互いに相違させる構成としてもよく、ケーシングと旋回スクロールの両方で、複数の軸受ハウジングの剛性を相違させる構成としてもよい。
また、前記各実施の形態では、3個のクランク機構41,104を設ける構成としたが、例えば2個のクランク機構を設ける構成としてもよく、4個以上のクランク機構を設ける構成としてもよい。
さらに、前記各実施の形態では、スクロール式流体機械としてスクロール式空気圧縮機を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、冷媒を圧縮する冷媒圧縮機、真空ポンプ等を含めて他のスクロール式流体機械に適用してもよい。
本発明の第1の実施の形態によるスクロール式空気圧縮機を示す縦断面図である。 図1中の低圧側の圧縮部を拡大して示す部分拡大断面図である。 低圧側の固定スクロールのみを図2中の矢示III−III方向からみた正面図である。 低圧側の旋回スクロールのみを図2中の矢示IV−IV方向からみた正面図である。 圧縮時の軸受ハウジングを図4中の矢示V−V方向からみた断面図である。 圧縮時の軸受ハウジングを図4中の矢示VI−VI方向からみた断面図である。 圧縮時の軸受ハウジングを図4中の矢示VII−VII方向からみた断面図である。 第2の実施の形態による低圧側の旋回スクロールを図4と同様位置からみた正面図である。 圧縮時の軸受ハウジングを図8中の矢示IX−IX方向からみた断面図である。 圧縮時の軸受ハウジングを図8中の矢示X−X方向からみた断面図である。 圧縮時の軸受ハウジングを図8中の矢示XI−XI方向からみた断面図である。 第3の実施の形態による低圧側の旋回スクロールを図4と同様位置からみた正面図である。 第4の実施の形態による低圧側の旋回スクロールを図4と同様位置からみた正面図である。 図13中の低圧側の旋回スクロールをボス部側からみた背面図である。 第5の実施の形態によるスクロール式空気圧縮機を示す縦断面図である。 ケーシングのみを図15中の矢示XVI−XVI方向からみた正面図である。
符号の説明
1,94 ケーシング
5A,5B,100 固定スクロール
6A,6B,13A,13B,98A,100A 鏡板
7A,7B,14A,14B,98B,100B ラップ部
12A,12B,61,71,81,98 旋回スクロール
15A,15B,101 圧縮室
26,95 駆動軸
41,104 クランク機構
42,104A 第1の軸受
43,104B 第2の軸受
44,104C 補助クランク
45〜47,105〜107 第1の軸受ハウジング
48〜50 通気孔
54〜56,82〜84,111〜113 第2の軸受ハウジング
57〜59,108〜110 貫通孔
62〜64 凹陥部
75〜77 異質部材

Claims (10)

  1. ケーシングと、該ケーシングに設けられ渦巻状のラップ部が立設された固定スクロールと、前記ケーシングに回転可能に設けられた駆動軸と、前記固定スクロールと対面する位置で該駆動軸に旋回可能に設けられ前記固定スクロールのラップ部との間に複数の圧縮室を画成する渦巻状のラップ部が立設された旋回スクロールと、前記ケーシングと旋回スクロールとの間または固定スクロールと旋回スクロールとの間に位置して前記ラップ部を取囲んで複数個設けられ該旋回スクロールの自転を防止するクランク機構とを備え、
    該クランク機構は、前記ケーシングまたは固定スクロールの軸受ハウジングに取付けられた第1の軸受と、前記旋回スクロールの軸受ハウジングに取付けられた第2の軸受と、前記第1,第2の軸受に回転可能に取付けられた補助クランクとからなるスクロール式流体機械において、
    前記ケーシングと旋回スクロールとのうち少なくともいずれか一方または固定スクロールと旋回スクロールとのうち少なくともいずれか一方は、前記複数の軸受ハウジングのうち隣接するラップ部との距離が近い軸受ハウジングの剛性を、遠い軸受ハウジングの剛性よりも小さくする構成としたことを特徴とするスクロール式流体機械。
  2. 前記複数の軸受ハウジングの剛性は、前記駆動軸の軸方向および周方向では同一とし、径方向では相違する構成としてなる請求項1に記載のスクロール式流体機械。
  3. 前記複数の軸受ハウジングの周囲には貫通孔をそれぞれ設け、これらの貫通孔によって前記径方向の剛性が相違する構成としてなる請求項2に記載のスクロール式流体機械。
  4. 前記貫通孔は、前記軸受ハウジングを取囲んで複数個設ける構成としてなる請求項3に記載のスクロール式流体機械。
  5. 前記複数の軸受ハウジングの周囲には凹陥部をそれぞれ設け、これらの凹陥部によって前記径方向の剛性が相違する構成としてなる請求項2に記載のスクロール式流体機械。
  6. 前記凹陥部は、前記軸受ハウジングを取囲んで複数個設ける構成としてなる請求項5に記載のスクロール式流体機械。
  7. 前記複数の軸受ハウジングの周囲には異なる材質からなる異質部位をそれぞれ設け、これらの異質部位によって前記径方向の剛性が相違する構成としてなる請求項2に記載のスクロール式流体機械。
  8. 前記複数の軸受ハウジングは、その形状または板厚が異なることによって、前記径方向の剛性が相違する構成としてなる請求項2に記載のスクロール式流体機械。
  9. 前記複数のクランク機構は、前記固定スクロールの中心位置または旋回スクロールの中心位置から相互に均等な距離に配置する構成としてなる請求項1,2,3,4,5,6,7または8に記載のスクロール式流体機械。
  10. 前記クランク機構は3個以上設け、前記複数の軸受ハウジングの剛性は相互に全て異なる構成としてなる請求項1,2,3,4,5,6,7,8または9に記載のスクロール式流体機械。
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