JP4238555B2 - スクロール圧縮機 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、空気調和機等に使用されるスクロール圧縮機に係り、詳しくは電動機を効果的に冷却することができ、且つ圧縮機の高さを低くし、省スペース及びコストダウンが図れるラジアル送風機構の構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のスクロール圧縮機は例えば図11に示すように密閉容器31内に、上下に冷媒を圧縮する圧縮部32と、同圧縮部32を駆動する電動機33が配置されている。圧縮部32は、固定スクロール34、旋回スクロール35、オルダムリング36、クランク軸37、フレーム38、シャフト39により主に構成されている。
前記電動機33は、それ自体の発熱によって温度が上昇する。そこで、圧縮部32で圧縮された高圧冷媒を、密閉容器31外に設けられた連通パイプ40を通して電動機室下部空間41に運び、ステータ33a 外周面の隙間42a 及びステータ33a とロータ33b の隙間42b を通して電動機室上部空間43に導き、吐出管44から冷凍サイクルへと送り出す。このように電動機33に冷媒ガスを流すことにより電動機33を冷却している(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
しかしながら、この場合、隙間42a,42b を上から下に流れる潤滑油と、下から上に流れる冷媒とがぶつかり合うこととなり、潤滑油の戻りが妨げられ、油溜め45に貯溜されず、軸受摺動部の潤滑不良を起す恐れがある。
【0004】
そこで、特願2001−299248号に示されたような、密閉容器の内壁と電動機のステータの外周壁間に、電動機上部空間と電動機下部空間とを軸方向に連通する第一連通孔を設けると共に、ロータとシャフト間に、電動機上部空間と電動機下部空間とを軸方向に連通する第二連通孔を設ける一方、ロータの上部に、電動機の回転運動によって生じた遠心力を利用して外周向きのポンプ力を発生するファンブレードと、同ファンブレードと上部バランスウエイトを覆うカバープレートから構成されるファン部材を設け、電動機下部空間の冷媒ガスを第二連通孔を通して電動機上部空間に移動し、更に電動機上部空間の冷媒ガスを、第一連通孔を通して電動機下部空間へ循環させ、電動機を冷却するものがある。
【0005】
しかしながら、この方法ではファンブレードを上部バランスウエイトと同じ高さにしているため、ファンブレードが必要以上に高くなり、材料コストが増加する。また、ファンブレードの質量の分、上部バランスウエイトの質量を増す必要がある。更に、メインフレームとロータの間に、上部バランスウエイトの高さ以上のスペースが必要で、そのスペースの分、密閉容器やシャフトの長さを長くする必要がありコスト高となる問題がある。
【0006】
【特許文献1】
特開平7−317672号公報(第2−3頁、第1図)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記問題点に鑑みなされたもので、ファンブレードの高さをバランスウエイトの高さより低くし、電動機の上部と下部空間を連通孔を介して冷媒ガスを循環させ、電動機を効果的に冷却し、且つ省スペース及びコストダウンが図れるスクロール圧縮機を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記の課題を解決するためなされたもので、密閉容器内に、上下に冷媒を圧縮する圧縮部と、同圧縮部を駆動するステータとロータを有する電動機を配置し、同電動機の回転力を前記圧縮部に伝達するシャフトと、同シャフトの上部に形成された主軸を支承するメインフレームを備え、前記電動機を収容する電動機室を、前記電動機を介して電動機上部空間と電動機下部空間とに区画してなるスクロール圧縮機において、
前記密閉容器の内壁と前記ステータの外周壁間に、前記電動機上部空間と前記電動機下部空間とを軸方向に連通する第一連通孔を設けると共に、前記ロータまたは前記シャフトに、前記電動機上部空間と前記電動機下部空間とを軸方向に連通する第二連通孔を設ける一方、前記ロータの上部にバランスウエイトと、前記電動機の回転運動によって生じた遠心力を利用して外周向きのポンプ力を発生するラジアル送風機構を設け、前記バランスウエイトは上下に連結する上バランスウエイトと、下バランスウエイトとから構成し、同下バランスウエイトの高さを、前記ラジアル送風機構の高さと同じとしてなる構成となっている。
【0009】
また、前記ラジアル送風機構は、上面に半円板状のカバープレートを備え、同カバープレートの半径方向に沿って放射状のファンブレードを多数設けたものからなる構成となっている。
【0010】
前記下バランスウエイトと前記ラジアル送風機構を一体成形してなる構成となっている。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいた実施例として詳細に説明する。図1は本発明におけるスクロール圧縮機の縦断面図、図2は本発明における第一の実施例を示す要部拡大図断面図、図3は図2のA−A矢視図である。
図において、密閉容器1内に、同密閉容器1の内部に固定されたステータ3bと、同ステータ3bにより駆動され回転するロータ3aとを有する電動機3と、前記電動機3の駆動力により駆動される圧縮部2とを配設している。
【0012】
前記圧縮部2は、鏡板4aの内面に渦捲き状のラップ4bを立設させた固定スクロール4と、同固定スクロール4と鏡板6aの内面のラップ6bを互いに噛み合わせ複数の圧縮室5を形成する旋回スクロール6と、同旋回スクロール6の背面のボス部6cに形成された旋回軸受に、先端の旋回軸7aを挿入し、前記電動機3の回転力を前記旋回スクロール6に伝達するシャフト7と、同シャフト7の主軸7bを支承するメインフレーム8とにより主に構成されている。
【0013】
また、前記圧縮部2の吸入室2aに冷媒を吸入する吸入管9を接続するとともに、前記電動機3を収容する電動機室3cの、同電動機3と前記圧縮部2との間に、前記圧縮部2で圧縮した冷媒を前記密閉容器1外部に吐出する吐出管10を接続し、圧縮冷媒を吐出口11から吐出室12に吐出して連通路13を経由して電動機室3cに流れ、スクロール圧縮機を内部高圧型とした構成となっている。
【0014】
前記密閉容器1の内壁と前記ステータ3bの外周壁間に、前記電動機室3cの電動機上部空間3c1 と電動機下部空間3c2 とを軸方向に連通する第一連通孔14を設けるとともに、前記ロータ3aに、前記電動機上部空間3c1 と前記電動機下部空間3c2 とを軸方向に連通する第二連通孔15を設ける一方、前記ロータ3aの上部にバランスウエイト16と、前記電動機3の回転運動によって生じた遠心力を利用して外周向きのポンプ力を発生するラジアル送風機構17を設け、図2に示すように、前記ラジアル送風機構17の高さhを前記バランスウエイト16の高さpより低くした構成となっている。
【0015】
前記ラジアル送風機構17は、図2及び図3に示すように上面に半円板状のカバープレート17b を備え、同カバープレート17b の半径方向に沿って放射状のファンブレード17a を多数設けた構成となっており、これらを前記バランスウエイト16と一体に成形し、前記ロータ3aに固定されている。
【0016】
上記構成において、冷媒ガスは図1の破線矢印で示すように、前記吸入管9から吸入室2aに吸入して圧縮室5にて圧縮工程を行い、高温高圧に圧縮され吐出口11から吐出室12に吐出され、連通路13を経由して前記電動機上部空間3c1 に入り、前記ファンブレード17a のポンプ力により前記第一連通孔14を通り、前記電動機下部空間3c2 に導かれる。
更に、前記電動機下部空間3c2 に導かれた冷媒ガスは、前記第二連通孔15を通り、前記電動機上部空間3c1 を循環して前記吐出管10から外部へ吐出される。
このように、冷媒ガスが前記電動機3を循環することにより、前記電動機3を効果的に冷却する。
【0017】
前記ファンブレード17a の高さは、冷却効果が得られる最小限の高さとし、前記バランスウエイト16が前記カバープレート17b の上に飛び出す形状としてある。前記メインフレーム8と前記ロータ3a間の距離は、前記ファンブレード17a 及び前記カバープレート17b が入るスペースを確保すれば良いので、バランスウエイトが入るスペースを確保する必要がなく、この分、圧縮機の高さを低くできるため、省スペースとコストダウンを図ることができる。
【0018】
図4は本発明における第二の実施例を示したもので、バランスウエイト16を上下に連結する上バランスウエイト16b と、下バランスウエイト16a とに2分割して構成し、同下バランスウエイト16a の高さを、前記ラジアル送風機構17の前記カバープレート17b の上面と同じ高さとし、前記下バランスウエイト16a と前記ファンブレード17a 及び前記カバープレート17b とを、一体成形した構成とすることにより、焼結による成形が容易となる。
また、上バランスウエイト16b と下バランスウエイト16a とを、前記ロータ3aのエンドリング18にねじ19により固定することにより、組立が容易となる。
【0019】
図5は本発明における第三の実施例を示したもので、下バランスウエイト 16aを前記ロータ3aのエンドリング18に、カシメ20によって固定し、上バランスウエイト16b と下バランスウエイト16a とを、ねじ19により固定することにより、上記と同様、組立が容易となる。
【0020】
図6は本発明における第四の実施例を示したものでる。上記第一の実施例では、ファンブレード17a とカバープレート17b 及びバランスウエイト16が一体であったため、黄銅等の重い金属で作られていたため、全体バランス上、バランスウエイト16を大きくする必要があった。そこで、本実施例では、ファンブレード17a とカバープレート17b とをアルミ材等の軽金属又は樹脂材により一体成形した構成とすることにより、バランスウエイト16を小さくすることができ、更にコスト低減が図れる。
また、下バランスウエイト16a とファンブレード17a の高さを同じにし、上バランスウエイト16b と下バランスウエイト16a との間に、カバープレート17b を挟んだ構造とし、上バランスウエイト16b と下バランスウエイト16a 及びカバープレート17b を、まとめてエンドリング18にねじ19により固定することにより、組立が容易となる。
【0021】
図7は本発明における第五の実施例を示したもので、上記第四の実施例において、下バランスウエイト 16aを前記ロータ3aのエンドリング18に、カシメ20によって固定し、上バランスウエイト16b とカバープレート17b を下バランスウエイト16a にねじ19により固定することにより、上記と同様、組立が容易となる。
【0022】
図8は本発明における第六の実施例を示したもので、ファンブレード17a とカバープレート17b とをアルミ材等の軽金属又は樹脂材により一体成形し、バランスウエイト16の内側に、ファンブレード17a と同じ高さの段部Dを設け、同段部Dにカバープレート17b をねじ19a により固定し、バランスウエイト16をエンドリング18に、カシメ20によって固定した構成とすることにより、バランスウエイト16を分割しなくてよく、構造が簡単となる。
【0023】
図9は本発明における第七の実施例を示したもので、ファンブレード17a を前記ロータ3aの上部のエンドリング18に一体成形したもので、その他の構造は第四の実施例と同様である。これにより、ファンブレード17a の成形が容易に行える。
【0024】
図10は本発明における第八の実施例を示したもので、ファンブレード17a を前記ロータ3aの上部のエンドリング18に一体成形したもので、その他の構造は第六の実施例と同様である。これにより、上記第七の実施例と同様に、ファンブレード17a の成形が容易に行える。
【0025】
以上説明したように、前記密閉容器1の内壁と前記ステータ3bの外周壁間に、前記電動機室3cの電動機上部空間3c1 と電動機下部空間3c2 とを軸方向に連通する第一連通孔14を設けるとともに、前記ロータ3aまたは前記シャフト7に、前記電動機上部空間3c1 と前記電動機下部空間3c2 とを軸方向に連通する第二連通孔15を設ける一方、前記ロータ3aの上部にバランスウエイト16と、前記電動機3の回転運動によって生じた遠心力を利用して外周向きのポンプ力を発生するラジアル送風機構17を設け、前記ラジアル送風機構17の高さhを前記バランスウエイト16の高さpより低くした構成とすることにより、電動機3の上部と下部空間を連通孔14,15 を介して冷媒ガスを循環させ、電動機3を効果的に冷却し、且つ省スペース及びコストダウンが図れるスクロール圧縮機となる。
【0026】
【発明の効果】
以上のように本発明においては、バランスウエイトは上下に連結する上バランスウエイトと、下バランスウエイトとから構成し、同下バランスウエイトの高さを、ラジアル送風機構の高さと同じとした構成とすることにより、電動機の上部と下部空間を連通孔を介して冷媒ガスを循環させ、電動機を効果的に冷却し、且つ省スペース及びコストダウンが図れるスクロール圧縮機となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例を示すスクロール圧縮機の縦断面図である。
【図2】 本発明における第一の実施例を要部拡大図断面図である。
【図3】 図2のA−A矢視図である。
【図4】 本発明における第二の実施例を要部拡大図断面図である。
【図5】 本発明における第三の実施例を要部拡大図断面図である。
【図6】 本発明における第四の実施例を要部拡大図断面図である。
【図7】 本発明における第五の実施例を要部拡大図断面図である。
【図8】 本発明における第六の実施例を要部拡大図断面図である。
【図9】 本発明における第七の実施例を要部拡大図断面図である。
【図10】 本発明における第八の実施例を要部拡大図断面図である。
【図11】 従来例を示すスクロール圧縮機の縦断面図である。
【符号の説明】
1 密閉容器
2 圧縮部
3 電動機
3a ロータ
3b ステータ
3c 電動機室
4 固定スクロール
5 圧縮室
6 旋回スクロール
6c ボス部
7 シャフト
7a 旋回軸
7b 主軸
8 メインフレーム
9 吸入管
10 吐出管
11 吐出口
12 吐出室
13 連通路
14 第一連通孔
15 第二連通孔
16 バランスウエイト
16a 下バランスウエイト
16b 上バランスウエイト
17 ラジアル送風機構
17a ファンブレード
17b カバープレート
18 エンドリング
19,19a ねじ
20 カシメ

Claims (3)

  1. 密閉容器内に、上下に冷媒を圧縮する圧縮部と、同圧縮部を駆動するステータとロータを有する電動機を配置し、同電動機の回転力を前記圧縮部に伝達するシャフトと、同シャフトの上部に形成された主軸を支承するメインフレームを備え、前記電動機を収容する電動機室を、前記電動機を介して電動機上部空間と電動機下部空間とに区画してなるスクロール圧縮機において、
    前記密閉容器の内壁と前記ステータの外周壁間に、前記電動機上部空間と前記電動機下部空間とを軸方向に連通する第一連通孔を設けると共に、前記ロータ前記シャフト間に、前記電動機上部空間と前記電動機下部空間とを軸方向に連通する第二連通孔を設ける一方、前記ロータの上部にバランスウエイトと、前記電動機の回転運動によって生じた遠心力を利用して外周向きのポンプ力を発生するラジアル送風機構を設け、前記バランスウエイトは上下に連結する上バランスウエイトと、下バランスウエイトとから構成し、同下バランスウエイトの高さを、前記ラジアル送風機構の高さと同じとしてなることを特徴とするスクロール圧縮機。
  2. 前記ラジアル送風機構は、上面に半円板状のカバープレートを備え、同カバープレートの半径方向に沿って放射状のファンブレードを多数設けたものからなることを特徴とする請求項1記載のスクロール圧縮機。
  3. 前記下バランスウエイトと前記ラジアル送風機構を一体成形してなることを特徴とする請求項1ないし2に記載のスクロール圧縮機。
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