JP7329771B2 - インジェクション機構付き圧縮機 - Google Patents

インジェクション機構付き圧縮機 Download PDF

Info

Publication number
JP7329771B2
JP7329771B2 JP2019159284A JP2019159284A JP7329771B2 JP 7329771 B2 JP7329771 B2 JP 7329771B2 JP 2019159284 A JP2019159284 A JP 2019159284A JP 2019159284 A JP2019159284 A JP 2019159284A JP 7329771 B2 JP7329771 B2 JP 7329771B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
chamber
intermediate pressure
discharge
compressor
refrigerant
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2019159284A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2021038682A (ja
Inventor
啓晶 中井
将弘 麻生
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Panasonic Intellectual Property Management Co Ltd
Original Assignee
Panasonic Intellectual Property Management Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Panasonic Intellectual Property Management Co Ltd filed Critical Panasonic Intellectual Property Management Co Ltd
Priority to JP2019159284A priority Critical patent/JP7329771B2/ja
Publication of JP2021038682A publication Critical patent/JP2021038682A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7329771B2 publication Critical patent/JP7329771B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Applications Or Details Of Rotary Compressors (AREA)
  • Rotary Pumps (AREA)

Description

本発明は、インジェクションサイクルに用いるインジェクション機構付き圧縮機に関するものである。
特許文献1は、従来のインジェクションサイクルに用いるインジェクション機構付き圧縮機を示す。この圧縮機は、図11に示すように、密閉容器100、密閉容器100内に設けた固定スクロール101、固定スクロール101と噛み合って圧縮室102を形成する旋回スクロール103、前記圧縮室102からの吐出冷媒の脈動を平滑化するための吐出室104、吐出室104に隣接して設けた中間圧室105、中間圧室105にインジェクション冷媒を導入するインジェクション管(図示せず)、上記中間圧室105と圧縮室103との間に設けた逆止弁106を備えている。
特許第3745801号公報
本開示は、吐出冷媒とインジェクション冷媒との間で生じる熱移動を抑制して高い運転効率を持つインジェクション機構付き圧縮機を提供する。
本開示のインジェクション機構付き圧縮機は、密閉容器の内部に低圧状態の作動流体を吸入して高圧状態へと圧縮する圧縮機構部を有し、圧縮機構部内の圧縮室から吐出室へと排出された作動流体が圧縮機構部周辺の内部空間を経由して吐出管から密閉容器の外へ送り出される圧縮機において、圧縮機には低圧と高圧の間の中間圧力状態の作動流体を密閉容器の外部から引き込むためのインジェクション管を有し、インジェクション管から導かれた作動流体が流れ込む中間圧室と吐出室はいずれも圧縮室に隣接して設けられ、内部空間と中間圧室さらに吐出室を区画する区画部材は、内部空間と吐出室の間の熱抵抗である第1熱抵抗よりも内部空間と中間圧室の熱抵抗である第2熱抵抗を大きくし、区画部材は、内部空間と中間圧室を区画する面積を内部空間と吐出室を区画する面積よりも小さくした構成としてある。
なお、ここでいう熱抵抗とは、熱の伝わり難さを表し、区画部材両表面の各流体の温度差ΔT、区画部材面積A、熱流束qとした時に、熱抵抗K=ΔT/(qxA)で定義され、単位熱量を通過させるのに必要な温度差と言い換えることができる。逆に言えば、温度差ΔTが固定されている場合には、区画部材を介して隣接する流体間で授受される熱量(q xA)は、熱抵抗Kに反比例の関係にあり、熱抵抗Kを大きくすることで内部空間と中間圧室の流体間の熱交換量を抑制することができるため、吐出冷媒の温度低下やインジェクション率の低下を最小限に留めたインジェクション機構付き圧縮機の提供が可能となる。
本開示は、インジェクション冷媒による吐出温度低下と中間圧室でのインジェクション冷媒の受熱を抑制し、インジェクション冷媒の密度を高く保ったまま圧縮室へと導くことができる。そのため、高能力で高効率なインジェクション機構付き圧縮機を提供できる。
実施の形態1に係るインジェクション機構付きスクロール圧縮機の縦断面図 実施の形態1に係るインジェクション機構付き圧縮機の要部を示す拡大断面図 図2のC-C線矢視図 実施の形態1に係るインジェクション機構付き圧縮機の旋回運動に伴う背圧室との連通路とシール部材との位置関係を示す説明図 実施の形態1に係るインジェクション機構付き圧縮機の旋回運動に伴う背圧室との連通路およびインジェクションポートの開口状態を示す図 実施の形態1に係るインジェクション機構付き圧縮機を用いて構成した冷凍サイクル装置の冷凍サイクル図 図2のA-A線矢視図 図7のB-B線矢視図 実施の形態2におけるスクロール圧縮機の要部を示す拡大断面図 実施の形態3におけるスクロール圧縮機の要部を示す拡大断面図 従来のインジェクション機構付きのスクロール圧縮機の縦断面図
(本開示の基礎となった知見等)
発明者らが本開示に想到するに至った当時、特許文献1に記載されたスクロール圧縮機があった。このインジェクション機構付き圧縮機は、図11に示すように、インジェクション冷媒を中間圧室105に導き、そのインジェクション冷媒による脈動を中間圧室105により平準化し、圧縮機外部への伝播を抑制して低騒音化している。
しかしながら、上記従来の構成では、インジェクション冷媒と吐出冷媒との間で熱移動が生じ、圧縮機の運転効率が低下する。
すなわち、圧縮機は圧縮された冷媒が密閉容器内を経由して外部に吐出されるため、密閉容器内と吐出室104、中間圧室105を区画する区画部材107表面は高温状態まで加熱される。一方、インジェクション冷媒は中温であるからこれが導入される中間圧室105は中温状態である。よって、中間圧室105と密閉容器内空間とを区画する区画部材107は高温と中温の冷媒に挟まれて、大きな温度勾配を有することとなり、密閉容器内空間の吐出冷媒から中間圧室105内のインジェクション冷媒へと熱移動が生じる。これにより、吐出冷媒側では温度低下によって空気調和機や給湯装置としての暖房能力や加熱能力が低下し、インジェクション冷媒側では温度上昇に伴う密度低下によって、インジェクション率が低下し効率悪化が生じると言う課題がある。発明者らはこのような課題を発見し、その課題を解決するために、本開示の主題を構成するに至った。
そこで本開示は、吐出冷媒とインジェクション冷媒との間で生じる熱移動を抑制して高い運転効率を持つインジェクション機構付き圧縮機を提供する。
以下、図面を参照しながら、実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が必要以上に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
なお、添付図面および以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図していない。
(実施の形態1)
以下、図1~図8を用いて、実施の形態1を説明する。
[1-1.構成]
図1は、本発明の実施の形態1に係るインジェクション機構付き圧縮機の一例として示すスクロール圧縮機の縦断面図、図2は図1のスクロール圧縮機の要部を示す拡大断面図である。以下、本実施の形態に係るスクロール圧縮機について、その動作、作用を説明する。
図1に示すように、本実施の形態に係るスクロール圧縮機91は、密閉容器1と、密閉容器1の内部に位置する圧縮機構2と、圧縮機構2を駆動するモータ部3と、密閉容器1の底部に設けられた貯油部20とを備えている。
図2に示すように、圧縮機構2は、密閉容器1内に溶接や焼き嵌めなどで固定された主軸受部材11と、主軸受部材11上にボルト止めされ、鏡板に渦巻き状のラップを直立する固定スクロール12と、鏡板に渦巻き状のラップを直立する旋回スクロール13と、固定スクロール12と旋回スクロール13とを噛み合わせてできる圧縮室15と、旋回スクロール13を固定スクロール12に対して押し付ける圧力を保持する背圧室29と、を備えている。
旋回スクロール13と主軸受部材11との間には、旋回スクロール13の自転を防止して円軌道運動するように案内するオルダムリングなどによる自転拘束機構14を設けている。
シャフト4は、モータ部3により回転駆動される。シャフト4は、主軸受部材11により軸支され、シャフト4の上端にある偏心軸部4aにて旋回スクロール13を偏心駆動する。
これにより、旋回スクロール13を円軌道運動させ、固定スクロール12と旋回スクロール13との間に形成している圧縮室15が、外周側から中央部に向かって容積を縮めながら移動することを利用して、密閉容器1外に通じた吸入パイプ16及び固定スクロール12の外周部の吸入ポート17から作動流体を吸入し、圧縮室15に閉じ込んだのち圧縮を行う。所定の圧力に到達した作動流体となる冷媒(以下、冷媒と称す)は、固定スクロール12の中央部に設けられた吐出ポート18から吐出リード弁19を押し開いて、吐出圧力に到達した冷媒が吐出される吐出室31を通り、密閉容器1内に吐出され、最終的には吐出管22から密閉容器1外へ送り出される。
またシャフト4の下端にはポンプ25が設けられ、ポンプ25の吸い込み口が貯油部20内に存在するように配置する。ポンプ25は旋回スクロール13と同時に駆動されるため、ポンプ25は貯油部20にあるオイル6を、圧力条件や運転速度に関係なく、確実に吸い上げることができる。これによりオイル切れを起こすことがない。
ポンプ25で吸い上げたオイル6は、シャフト4内の軸方向に設けたオイル供給穴26を通じて圧縮機構2に供給される。なお、オイル6をポンプ25で吸い上げる前もしくは吸い上げた後に、オイルフィルタ等でオイル6から異物を除去すると、圧縮機構2への異物混入が防止でき、更なる信頼性向上を図ることができる。
圧縮機構2に導かれたオイル6は、スクロール圧縮機の吐出圧力とほぼ同等であり、旋回スクロール13に対する背圧源ともなる。さらにオイル6の一部は、供給圧や自重によって、逃げ場を求めるようにして偏心軸部4aと旋回スクロール13との嵌合部、シャフ
ト4と主軸受部材11との間の軸受部66に進入してそれぞれの部分を潤滑した後、落下し、貯油部20へ戻る。
図3は図2のC-C線矢視図である。固定スクロール12と旋回スクロール13により形成される圧縮室15には、旋回スクロール13のラップの外側に位置する外側圧縮室15aと、ラップの内側に位置する内側圧縮室15bがある。スクロール圧縮機91は、外側圧縮室15aの吸入閉込み容積と、内側圧縮室15bの吸入閉込み容積とが異なる容積である非対称スクロール圧縮機である。ここで、吸入閉込み容積は、吸入ポート17から吸い込んだ冷媒を閉じ込めた直後の圧縮室容積である。さらに、スクロール圧縮機91は、外側圧縮室15aの吸入閉込み容積が、内側圧縮室15bの吸入閉込み容積より大きい非対称スクロール圧縮機である。
非対称スクロール圧縮機とすることにより、圧縮機全体としての吸入閉込み容積が増えるため、圧縮機内部の空間を効率的に使うことができる。また、吸入ポート17から吸い込んだ冷媒は、外側圧縮室15aについても吸入ポート17近辺で閉じ込めて圧縮工程に入ることができるため、低圧低温の冷媒が圧縮機構2により加熱されて、冷媒の密度低下を抑制できる。
その一方で、各圧縮室の吸入閉じ込み容積の違いは容積比に影響する。容積比とは、圧縮工程における、ある時点の圧縮室の容積に対する、吸入閉込み容積の比である。容積比は、外側圧縮室および内側圧縮室のそれぞれに規定できる。一般に、内側圧縮室および外側圧縮室が、固定スクロール12の中央部に設けられた吐出ポート18と連通する際の圧縮室容積は略等しい。吐出ポート18が圧縮室内の冷媒の唯一の排出経路である場合、各圧縮室の吐出可能容積比は吸入閉込み容積により決まる。ここで、吐出可能容積比とは、圧縮室が吐出可能となった、つまり、圧縮室が吐出室31と連通した時点の圧縮室の容積に対する、吸入閉込み容積の比である。吐出可能容積比は、外側圧縮室および内側圧縮室のそれぞれに規定できる。外側圧縮室15aの吸入閉込み容積が、内側圧縮室15bの吸入閉込み容積よりも大きいため、外側圧縮室15aは内側圧縮室15bに対して圧縮工程が長くなり、吐出可能容積比が大きくなる。
圧縮比が比較的低い状態での運転である低圧縮比運転時において、外側圧縮室15aは内側圧縮室15bよりも過圧縮状態になり易い。ここで、圧縮比は、吸入圧力に対する吐出圧力の比である。また、外側圧縮室15aは、内側圧縮室15bに比較して、圧縮室を押し付け方向視での投影した面積が大きい。このため、外側圧縮室15aの過圧縮が、旋回スクロール13を固定スクロール12から押し離す力を増大させ易い。
また、旋回スクロール13のラップ先端13cには、運転中の温度分布を測定した結果をもとに、中心部である巻き始め部から外周部である巻き終わり部にかけて、徐々にラップ高さが高くなるようにスロープ形状が設けられている。これにより、熱膨張による寸法変化を吸収し、局所摺動を防止することができる。
スクロール圧縮機91は、図2に示すように、貯油部20からオイルを圧縮室15に導く給油経路55として、接続路55-1と供給路55-2とを備えている。また、圧縮室15への給油経路として、旋回スクロール13の内部に形成された通路13aと、固定スクロール12のラップ面側鏡板に形成された凹部12aとを備えている。通路13aには供給路55-2を含む。
通路13aの一方の開口端55-2bは、ラップ先端13cに形成し、旋回運動にあわせて周期的に凹部12aに開口する。また、通路13aの他方の開口端55-2aは、常時背圧室29に開口する。これにより、背圧室29は内側圧縮室15bとのみ間欠的に連
通し、外側圧縮室15aとは連通しない。また、圧力上昇速度が速い内側圧縮室15bへ積極的にオイル供給することで、圧縮工程において、1つ前に形成された内側圧縮室15b-1(図3参照)から、次に形成された内側圧縮室15b-2(図3参照)への漏れを抑制できる。
また、図2に示すように、旋回スクロール13の背面13eに、シール部材78と、吐出圧力の冷媒を保持する高圧領域30と、吐出圧力と吸入圧力の中間の圧力の冷媒を保持する背圧室29を備えている。シール部材78により、シール部材78の内側を高圧領域30、シール部材78の外側を背圧室29に区画している。
給油経路のうち少なくとも一つが背圧室29を経由するよう構成する。つまり、給油経路55を、高圧領域30から背圧室29への接続路55-1と、背圧室29から内側圧縮室15bへの供給路55-2から構成する。これにより、背面13eからの背圧により、旋回スクロール13は固定スクロール12に安定的に押し付けられ、背圧室29から圧縮室15への冷媒の漏れを低減するとともに、安定した運転を行うことができる。
また、シール部材78を用いることにより、高圧領域30と背圧室29の圧力(以下、背圧)は完全に分離され、旋回スクロール13の背面13eからの圧力付加を安定的に制御できる。
また、高圧領域30から背圧室29への接続路55-1を設けることで、自転拘束機構14の摺動部や、固定スクロール12と旋回スクロール13のスラスト摺動部にオイル6を供給できる。
また、背圧室29から内側圧縮室15bへの供給路52を設けることで、内側圧縮室15bへの給油量を積極的に増やすことができ、内側圧縮室15bにおける漏れ損失を抑制できる。
また、接続路55-1の一方の開口端55-1bを旋回スクロール13の背面13eに形成し、シール部材78を往来させ、他方の開口端55-1aは常時高圧領域30に開口させる。これにより、間欠給油と背圧の調整が実現できる。
まず、間欠給油について説明する。
図4は、スクロール圧縮機の旋回運動に伴う背圧室との連通路とシール部材との位置関係を示す説明図である。図4は、位相を90度ずつずらしており、(a)0°~90°、(b)90°~180°、(c)180°~270°、(d)270°~360°の状態を示している。つまり、図4(b)は、図4(a)からシャフト4が90度回転した状態、図4(c)は、図4(b)からさらに90度回転した状態、図4(d)は、図4(c)からさらに90度回転した状態、図4(a)は、図4(d)からさらに90度回転した状態を示している。
図4に示すように、接続路55-1の一方の開口端55-1bは、旋回スクロール13の背面13eに位置している。旋回スクロール13の背面13eは、シール部材78によって、内側の高圧領域30と外側の背圧室29に仕切られている。図4(b)の状態では、一方の開口端55-1bはシール部材78の外側である背圧室29に開口しているため、背圧室29と高圧領域30とが連通する。これにより、高圧領域30から背圧室29にオイル6が供給される。対して、図4(a)、(c)、(d)の状態では、開口端55-1bはシール部材78の内側に開口しているため、背圧室29は高圧領域30と連通しない。このため、高圧領域30から背圧室29にオイル6は供給されない。
すなわち、接続路55-1の一方の開口端55-1bは、高圧領域30と背圧室29とを往来し、接続路55-1の両開口端55-1a、55-1bで圧力差が生じたときのみ背圧室29にオイル6が供給される。これにより、給油量は一方の開口端55-1bがシール部材78を往来する時間割合で調整できる。このため、接続路55-1の通路径をオイルフィルタに対し10倍以上の寸法で構成できる。
また、通路に異物が噛み込んで閉塞する恐れがなくなるため、安定した背圧の印加と同時にスラスト摺動部及び自転拘束機構14の潤滑も良好な状態を維持でき、高効率かつ高信頼性を実現できる。
なお、他方の開口端55-1aが常時高圧領域30にあり、一方の開口端55-1bが高圧領域30と背圧室29を往来する場合を例として説明したが、他方の開口端55-1aが高圧領域30と背圧室29を往来し、一方の開口端55-1bが常時背圧室29にある場合でも、両開口端55-1a、55-1bで圧力差が生じるため、間欠給油が実現でき、同様の効果が得られる。
次に、背圧の調整について説明する。
図5は、スクロール圧縮機の旋回運動に伴う背圧室との連通路およびインジェクションポートの開口状態図である。図5は、固定スクロール12に旋回スクロール13を噛み合わせ、旋回スクロール13の背面13eから見た状態であり、位相を90度ずつずらした図である。図4と同様に、図5は、(a)0°~90°、(b)90°~180°、(c)180°~270°、(d)270°~360°を示している。つまり、図5(b)は、図5(a)からシャフト4が90度回転した状態、図5(c)は、図5(b)からさらに90度回転した状態、図5(d)は、図5(c)からさらに90度回転した状態、図5(a)は、図5(d)からさらに90度回転した状態を示している。
図5(a)に示す状態が、外側圧縮室15aが冷媒を閉じ込める位置であり、図5(c)に示す状態が、内側圧縮室15bが冷媒を閉じ込める位置である。
図5(a)に示す状態では、2つの外側圧縮室15aが形成されており、外周側に位置する外側圧縮室15aは冷媒を閉じ込めた直後の低圧状態であり、内周側に位置する外側圧縮室15aは中間圧状態である。図5(c)に示す状態では、内周側に形成された外側圧縮室15aは吐出前の高圧状態である。
図5(c)に示す状態では、2つの内側圧縮室15bが形成されており、外周側に位置する内側圧縮室15bは冷媒を閉じ込めた直後の低圧状態であり、内周側に位置する内側圧縮室15bは中間圧状態である。図5(d)に示す状態では、内周側に形成された内側圧縮室15bは吐出前の高圧状態である。
まず、背圧室29の作用について説明する。図5(d)の状態では、一方の開口端55-2bは、凹部12aに開口している。このため、内側圧縮室15bは背圧室29と連通する。高圧縮比運転時には、供給路55-2及び通路13aを通って背圧室29から内側圧縮室15bにオイル6が供給される。
凹部12aは、内側圧縮室15bが、吸入した冷媒(以下、吸入冷媒)を閉じ込めた直後に、一方の開口端55-2bが開口する位置に設けている(図5(d)参照)。換言すると、一方の開口端55-2bによって給油経路は、吸入冷媒を閉じ込み後の圧縮工程中にある内側圧縮室15bに開口する位置に設けている。そのため、内側圧縮室15bと連
通している間の背圧室29の圧力は、内側圧縮室15bの圧力とほぼ等しくなる。対して、図5(a)、(b)、(c)の状態では、一方の開口端55-2bは凹部12aに開口していない。このため、背圧室29から内側圧縮室15bにオイル6は供給されない。また、背圧室29の圧力も内側圧縮室15bから影響を受けない。
また、前述のように、図5(b)に対応する図4(b)の状態では、背圧室29と高圧領域30とが連通する。これにより、連通している間、高圧領域30のオイル6が背圧室29へと共有され、背圧室29の圧力は上昇する。
つまり、背圧室29を吸入圧力と吐出圧力との中間の圧力状態に調整でき、この圧力が旋回スクロールへの押し付け力として機能する。
スクロール圧縮機91は、圧縮室15で圧縮した冷媒を吐出室31に導く通路として、吐出ポート18の他に吐出バイパスポート21を設けている。吐出バイパスポート21は吐出ポート18と同様、リード弁を備えている。圧縮室15内の圧力が吐出室31の圧力に達した場合には、リード弁が押し開らかれ、吐出室31に冷媒を排出される。圧縮室15の圧力が吐出室31の圧力に満たない場合は、リード弁が閉じて吐出室31から圧縮室15への冷媒の逆流を抑制する。
ただし、吐出バイパスポート21が前述の機能を実現する条件として、圧縮室15が吐出バイパスポート21と連通する位置に存在する必要がある。吐出バイパスポート21は固定スクロール12の鏡板に設けられた固定通路である。圧縮室15は圧縮動作とともに容積を縮めながら中心側へと移動していき、圧縮室15が吐出ポート18もしくは吐出バイパスポート21と連通する位置まで進んで初めて、圧縮室15の冷媒を吐出室31へ排出可能となる。吐出バイパスポート21は、圧縮工程において、圧縮室15が吐出ポート18によって吐出室31と連通する前の圧縮室15と、吐出室31とを連通させるように設けられている。
スクロール圧縮機91は、外側圧縮室15aが連通する吐出バイパスポート21aと内側圧縮室15bが連通する吐出バイパスポート21bをそれぞれ別々に設け、連通するタイミングをずらしている。
吐出バイパスポート21aは、図5(a)の状態では、外側圧縮室15aと連通せず、図5(b)~(d)の状態では、外周側に位置する外側圧縮室15aと連通する位置に設けられている。吐出バイパスポート21bは、図5(d)の状態では、内側圧縮室15bと連通せず、図5(a)~(c)の状態では、外周側に位置する内側圧縮室15bと連通する位置に設けられている。
外側圧縮室15aは、図5(a)のタイミングで吸入工程を完了して外側圧縮室15aを閉じ込める。圧縮工程が90°進んだ図5(b)において、既に外側圧縮室15aは吐出バイパスポート21aと連通状態にある。この場合、外側圧縮室15aの吐出可能容積比は、外側圧縮室15aが吐出バイパスポート21aと連通するタイミングの圧縮室容積に対する外側圧縮室15aの吸入閉込み容積の比で決まり、実質的に吐出ポート18との連通タイミングには依存しない。
一方、内側圧縮室15bは、図5(c)のタイミングで吸入工程を完了して内側圧縮室15bを閉じ込める。内側圧縮室15bは、圧縮工程が90°進んだ図5(d)において、吐出バイパスポート21bとは連通しておらず、更に90°進んだ図5(a)において、吐出バイパスポート21bと連通する。また、内側圧縮室15bは、図5(d)のタイミングで、供給路55-2及び通路13aを介して背圧室29と連通している。
この場合も、内側圧縮室15bの吐出可能容積比は吐出バイパスポート21bとの連通タイミングにより決められ、背圧室29が連通する内側圧縮室15bの吐出可能容積比は、背圧室閉口時容積比および外側圧縮室15aの吐出可能容積比よりも大きい。ここで、背圧室閉口時容積比とは、背圧室29が連通する側の圧縮室、つまり内側圧縮室15bにおいて、背圧室29と圧縮途中の内側圧縮室15bの連通が終了する時(つまり、図5(d)の直後のタイミング)の外周側の内側圧縮室15bの容積に対する、吸入閉込み容積の比である。
次に上記スクロール圧縮機91を用いた冷凍サイクル装置について、説明する。
図6は本発明の実施の形態によるスクロール圧縮機を用いた冷凍サイクル図である。
図6に示すように、スクロール圧縮機91を用いた冷凍サイクル装置は、スクロール圧縮機91、凝縮器92、蒸発器93、2つの減圧器94a,94b、インジェクション管95、気液分離器96を備えている。スクロール圧縮機91、凝縮器92、上流側の減圧器94a、気液分離器96、下流側の減圧器94bは配管により環状に接続されている。インジェクション管95は、気液分離器96とスクロール圧縮機91とを接続している。
凝縮器92で凝縮した冷媒は、上流側の減圧器94aで中間圧まで減圧され、気液分離器96に流入する。気液分離器96は、中間圧の冷媒の気相成分(ガス冷媒)と液相成分(液冷媒)とに分離する。中間圧の液冷媒は、更に下流側の減圧器94bを通り、低圧冷媒となって蒸発器93に流入する。
蒸発器93に流入した液冷媒は、熱交換によって蒸発し、ガス冷媒又は一部、液冷媒が混じったガス冷媒として排出される。蒸発器93から排出された冷媒は、スクロール圧縮機91の圧縮室15に流入される。
一方、気液分離器96で分離された中間圧のガス冷媒は、インジェクション管95を通り、スクロール圧縮機91内の圧縮室15に噴射(インジェクション)される。インジェクション管95に閉塞弁や減圧器を設け、インジェクションする圧力を調整、停止する手段を設けても良い。
スクロール圧縮機91は、蒸発器93から流入する低圧冷媒を圧縮する圧縮過程において、気液分離器96の中間圧冷媒を圧縮室15にインジェクションさせて、冷媒を圧縮し、高温高圧冷媒として吐出管22から凝縮器92に排出する。
気液分離器96で分離される気相成分と液相成分の比率について説明する。上流側の減圧器94aの入口側圧力と出口側圧力との圧力差が大きいほど、気相成分が多くなる。また、凝縮器92出口の冷媒の過冷却度が小さい、もしくは乾き度が大きいほど、気相成分が多くなる。
一方、スクロール圧縮機91がインジェクション管95を介して吸入する冷媒の量は、中間圧が高いほど多くなる。気液分離器96で分離される冷媒の気相成分比率よりも多くインジェクション管95から冷媒を吸い込むと、気液分離器96のガス冷媒が枯渇し、インジェクション管95に液冷媒が流入する。
スクロール圧縮機91の能力を最大限に発揮するためには、気液分離器96において分離されるガス冷媒が余すことなくインジェクション管95からスクロール圧縮機91に吸い込まれることが望ましい。仮に、その均衡状態から外れてしまうとインジェクション管
95からスクロール圧縮機91に液冷媒が流入する。インジェクション管95から液冷媒が流入する場合においても、スクロール圧縮機91が高い信頼性を維持できるよう構成する必要がある。
最後に本実施の形態のスクロール圧縮機91におけるインジェクション管接続部分の構成について、図7、図8を用いて説明する。
図7は、図2のA-A線矢視図である。図8は、図7のB-B線矢視図である。
図1に示すインジェクション管95から流入する中間圧は、図1、図2、図7、図8に示すように、中間圧室41に流入し、インジェクションポート43に設けた逆止弁42を開き、閉じ込み後の圧縮室15にインジェクションされ、吸入ポート17から吸い込んだ冷媒と共に吐出ポート18から密閉容器1内に吐出される。
中間圧の冷媒をインジェクションするためのインジェクションポート43は、固定スクロール12の鏡板を貫通して設けている。インジェクションポート43は、外側圧縮室15a及び内側圧縮室15bに順次開口する。インジェクションポート43は、外側圧縮室15a及び内側圧縮室15bでの閉じ込み後の圧縮工程中に開口する位置に設けている。
中間圧室41は、圧縮室区画部材である固定スクロール12と、中間圧プレート44と、中間圧カバー45とで形成している。中間圧室41と圧縮室15とは、固定スクロール12を挟んで対向させている。中間圧室41は、中間圧冷媒が流入する中間圧室入口41aと、中間圧冷媒を圧縮室15にインジェクションするインジェクションポート43のインジェクションポート入口43aと、中間圧室入口41aより低い位置に形成した液溜め部41bとを有している。
液溜め部41bは固定スクロール12の鏡板の上面で形成している。
中間圧プレート44には、圧縮室15から中間圧室41への冷媒逆流を防止する逆止弁42が設けられている。インジェクションポート43が圧縮室15に開口している区間において、圧縮室15の内圧がインジェクションポート43の中間圧よりも高い場合には、圧縮室15から中間圧室41に向けて冷媒が逆流するため、逆止弁42を設けることにより冷媒の逆流を阻止できる。
逆止弁42は圧縮室15側にリフトして圧縮室15と中間圧室41を連通させるリード弁42aで構成しており、圧縮室15の内圧が中間圧室41の圧力よりも低い時にのみ中間圧室41を圧縮室15に連通させる。リード弁42aを用いることで、可動部における摺動箇所が少なく、長期に亘りシール性を維持できるとともに、流路面積を必要に応じて拡大し易い。逆止弁42を設けなかったり、逆止弁42をインジェクション管95に設けた場合は、圧縮室15の冷媒がインジェクション管95まで逆流し、無駄な圧縮動力を消費することになる。本実施の形態では逆止弁42を圧縮室15に近い中間圧プレート44に設けることで圧縮室15からの逆流を抑制している。
固定スクロール12の鏡板の上面は、中間圧室入口41aよりも低い位置にあり、固定スクロール12の鏡板の上面に、液相成分の冷媒が溜まる液溜め部41bを設けている。また、インジェクションポート入口43aは、中間圧室入口41aの高さよりも高い位置に設けている。従って、中間圧冷媒の内、気相成分の冷媒はインジェクションポート43に導かれ、液溜め部41bに溜まった液相成分の冷媒は、高温状態にある固定スクロール12の表面で気化されるため、圧縮室15には液相成分の冷媒が流入しにくい。
さらに、中間圧室41と吐出室31とは中間圧プレート44を介して隣接する位置に設けており、中間圧室41に液相成分の冷媒が流入した際の気化を促進するとともに、吐出室31の高圧冷媒の温度上昇も抑制できるため、その分だけ高い吐出圧条件まで運転を行うことができる。
インジェクションポート43に導かれた中間圧冷媒は、インジェクションポート43と圧縮室15との圧力差によりリード弁42aを押し開き、吸入ポート17から吸い込んだ低圧冷媒と圧縮室15で合流するが、逆止弁42から圧縮室15までの間のインジェクションポート43に残る中間圧冷媒は、再膨張と再圧縮を繰り返すため、圧縮機91の効率を低下させる要因となる。そこで、リード弁42aの最大変位量を規制するバルブストップ42bの厚みを、リード弁42aのリフト規制箇所に応じて変化させ、リード弁42aより下流のインジェクションポート43内体積を小さく構成している。
また、リード弁42aおよびバルブストップ42bは固定部材であるボルト48により中間圧プレート44に固定されており、バルブストップ42bに設けた固定部材48の固定用孔は、バルブストップ42bを貫通することなく固定部材48の挿入側にのみ開口しているため、結果として、固定部材48は中間圧室41にのみ開放するように構成している。これにより、固定部材48の隙間を介して中間圧室41と圧縮室15との間で冷媒が漏れるのを抑制でき、インジェクション率を向上させることができる。
中間圧室41は、圧縮室15へのインジェクション量を十分に供給可能とするために圧縮室15の吸入容積以上とする。ここで吸入容積とは、吸入ポート17から導いた冷媒を圧縮室15に閉じ込んだ時点、すなわち吸入工程完了時点での圧縮室15の容積であり、外側圧縮室15aと内側圧縮室15bとの合計容積である。本実施の形態に係るスクロール圧縮機91では、中間圧室41を固定スクロール12の鏡板の平面上に広がるように設け、容積を拡大している。しかしながら、スクロール圧縮機91に封入されたオイル6の一部が、吐出冷媒と共にスクロール圧縮機91から出ていき、気液分離器96からインジェクション管95を通って中間圧室41に戻った場合に、液溜め部41bに残るオイル6が多すぎると貯油部20のオイル6が不足してしまう問題を生じるため、中間圧室41の容積が大きすぎるのも適切でない。このことから、中間圧室41の容積は、圧縮室15の吸入容積以上で、封入されるオイル6のオイル容積の1/2以下とすることが好ましい。
なお、図5に示すように、インジェクションポート43は、第1圧縮室15aと第2圧縮室15bとに順次開口する位置に設けている。また、インジェクションポート43は、図5(b)、(c)に示すように吸入冷媒を閉じ込み後の圧縮行程中にある外側圧縮室15a又は図5(a)に示すように吸入冷媒を閉じ込み後の圧縮行程中にある内側圧縮室15bに開口する位置に、固定スクロール12の鏡板を貫通して設けている。
ここで、図1図、2に示すように、中間圧室41と密閉容器1内の内部空間7、さらに吐出室31と内部空間7とを仕切る中間圧カバー45の内、中間圧室41と内部空間7を区画する部分の厚みは、吐出室31と内部空間7を区画する部分の厚みと比べ厚く設けている。具体的には吐出室31を区画する部分の厚みに対して、1.5倍から10倍程度にしている。
また、図7に示すように、中間圧カバー45が内部空間7と区画する中間圧室41の表面積は吐出室31の表面積と比べ、小さく限定して、熱交換量を抑制している。具体的には、中間圧カバー45が内部空間7と吐出室31とを区画する面積の2/3以下にしている。
[1-2.動作]
以下に本実施の形態による動作を説明する。
本実施の形態のスクロール圧縮機において、インジェクション管95から流入する中間圧は、図1、図2、図7、図8に示すように、中間圧室41に流入し、インジェクションポート43に設けた逆止弁42を開き、閉じ込み後の外側圧縮室15a及び内側圧縮室15bに順次インジェクションされ、吸入ポート17から吸い込んだ冷媒と共に吐出ポート18から吐出室31、吐出冷媒通路59を介して密閉容器1の内部空間7に吐出される。
ここで、密閉容器1の内部空間7には圧縮室15から吐出室31へと排出された高温の冷媒が吐出冷媒通路59を通って流入し、吐出室31とほぼ等しい高温状態となっており、中間圧カバー45の内部空間側表面は高温の冷媒に晒される。特に、本実施の形態のように、密閉容器1の内部が概ね高圧状態で、吐出管22が圧縮室15を基準に中間圧室41と同じ側、特に、中間圧室41を挟む位置に設置されている場合には、内部空間7へは吐出室31から次々と冷媒が入り込み、吐出管22から排出されるため、内部空間7は吐出室31とほぼ等しい高温高圧状態となり、中間圧カバー45の内部空間側表面は高温の冷媒に晒される。一方、中間圧室41のインジェクション冷媒は中間圧状態であり、吐出冷媒と比較すると低温の冷媒である。したがって、内部空間7の高温冷媒と中間圧室41のインジェクション冷媒との間で熱交換が行われるような形となる。
しかしながら、本実施の形態の圧縮機は、中間圧室41と密閉容器1内の内部空間7とを仕切る中間圧カバー45の厚みを、吐出室31と内部空間7を区画する部分の厚みより厚くしているので、前記内部空間7の高温冷媒と中間圧室41のインジェクション冷媒との間の熱交換を抑制することが可能である。
また、本実施の形態では、上記中間圧カバー45が内部空間7と区画する中間圧室41の表面積を、吐出室31の表面積と比べ、小さく限定しており、これによっても熱交換量を抑制している。
つまり、中間圧カバー45の両表面のインジェクション冷媒と吐出冷媒の温度差ΔT、中間圧カバー45が内部空間7と区画する中間圧室41の表面積A、中間圧カバー45の厚み方向の熱流束qとした時に、熱抵抗K=ΔT/(qxA)の分母である熱流束もしくは面積を小さくすることで熱抵抗を高くしている。ちなみに、中間圧カバー45の厚みは熱流束を減少させる効果を有する。
これにより、内部空間7の高温冷媒と中間圧室41のインジェクション冷媒との間で生じる熱交換を抑制し、それぞれの冷媒を適切な温度状態に維持できる。その結果、背景技術で述べたような、インジェクション冷媒密度低下によるインジェクション率の低下、吐出管22から排出される冷媒温の度低下による加熱能力(暖房能力)の低下を抑制できる。
なお、ここでいう厚みとは中間圧カバー45が内部空間7と区画している領域の平均厚みを意味し、複数の部材を組み合わせて構成した場合はそれらの全体の厚みを意味する。
また、中間圧カバー45の厚みは吐出室31と内部空間7を区画する部分の厚みより、1.5倍から10倍程度厚くするのが望ましい。
また、中間圧カバー45が内部空間7と区画する中間圧室41の表面積は中間圧カバー45が内部空間7と吐出室31とを区画する面積の2/3以下が望ましい。
[1-3.効果等]
以上のように、本実施の形態において、圧縮機は、密閉容器の内部に低圧状態の冷媒を吸入して高圧状態へと圧縮する圧縮機構部を有し、圧縮機構部内の圧縮室から吐出室へと排出された冷媒が圧縮機構部周辺の内部空間を経由して吐出管から密閉容器の外へ送り出される圧縮機において、圧縮機には低圧と高圧の間の中間圧力状態の冷媒を密閉容器の外部から引き込むためのインジェクション管を有し、インジェクション管から導かれた冷媒が流れ込む中間圧室と吐出室はいずれも圧縮室に隣接して設けられ、内部空間と中間圧室さらに吐出室を区画する区画部材は、内部空間と吐出室の間の熱抵抗である第1熱抵抗よりも内部空間と中間圧室の熱抵抗である第2熱抵抗を大きくした構成としてある。これにより、インジェクション冷媒による吐出温度低下と中間圧室でのインジェクション冷媒の受熱を抑制し、インジェクション冷媒の密度を高く保ったまま圧縮室へと導くことができる。そのため、高能力で高効率なインジェクション機構付き圧縮機を提供できる。
なお、本実施の形態では圧縮室と背圧室との連通路として給油経路を用いたが、給油経路とは別に独立した経路を設けても同様の効果を得ることができる。また、背圧室は旋回スクロールの背面側に限らず、固定スクロールの背面側に設け、固定スクロールを旋回スクロールに押し付ける構成でもよい。
さらに、本実施の形態ではスクロール方式のインジェクション機構付き圧縮機を用いたが、ロータリ方式やレシプロ方式、スクリュー方式などの他の圧縮方式を用いても同様の効果を得ることができる。
(他の実施の形態)
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、実施の形態1を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施の形態にも適用できる。また、上記実施の形態1で説明した各構成要素を組み合わせて、新たな実施の形態とすることも可能である。
そこで、以下、他の実施の形態を例示する。
実施の形態1では、中間圧室41と内部空間7を区画する区画部材となる中間圧カバー45の厚みを、吐出室31と内部空間7を区画する部分の厚みより厚くする、及び中間圧カバー45の内部空間7と区画する中間圧室41の表面積を吐出室31の表面積と比べ小さく限定して、熱交換量を抑制することを説明した。
上記区画部材となる中間圧カバー45は内部空間7の高温冷媒と中間圧室41のインジェクション冷媒との間で生じる熱交換を効率よく抑制する構成のものであればよい。
したがって、例えば図9に示すように、中間圧カバー45のうち、中間圧室41と内部空間7を区画する部分の表面に、中間圧カバー45よりも熱伝導率の低い材質の低熱伝導材46を貼り付ける、もしくは締結するなどして固定してもよい。この場合、断熱が必要な中間圧室41のみの断熱性能が向上し、経済的に冷媒間の熱交換を抑制することができる。なお、この図9では、低熱伝導材46を内部空間側の表面に設けているが、中間圧室41側に設けても同様の効果が得られる。また、低熱伝導材46の材質としては、熱伝導率および化学的安定性の観点からポリエステルやシリコンなどの樹脂材料や、焼結材、多孔質材などが好ましい。
或いは、図10に示すように、中間圧室41と内部空間7は中間圧カバー45により区画し、吐出室31と内部空間7は中間圧カバー45とは異なる吐出室カバー47により区画してもよい。この場合、中間圧カバー45は吐出室カバー47とは異なる材質や厚み、形状を選択可能となり、設計自由度が向上する。
なお、本実施の各形態では圧縮室15と背圧室29との連通路として給油経路55を用いたが、給油経路55とは別に独立した経路を設けても同様の効果を得ることができる。また、背圧室29は旋回スクロール13の背面側に限らず、固定スクロール12の背面側に設け、固定スクロール12を旋回スクロールに押し付ける構成でもよい。
さらに、本実施の形態ではスクロール方式のインジェクション機構付き圧縮機を用いたが、ロータリ方式やレシプロ方式、スクリュー方式などの他の圧縮方式を用いても同様の効果を得ることができる。
本発明は、インジェクション作動流体による吐出温度低下と中間圧室でのインジェクション作動流体の受熱を抑制するインジェクション機構付き圧縮機に適用できる。そして、冷暖房空調装置や冷蔵庫等の冷凍装置、あるいはヒートポンプ式の給湯装置等に有用である。
1 密閉容器
2 圧縮機構
3 モータ部
4 シャフト
4a 偏心軸部
6 オイル
7 内部空間
11 主軸受部材
12 固定スクロール
12a 凹部
13 旋回スクロール
13c ラップ先端
13e 背面
14 自転拘束機構
15 圧縮室
15a 外側圧縮室(第1圧縮室)
15b 内側圧縮室(第2圧縮室)
16 吸入パイプ
17 吸入ポート
18 吐出ポート
19 吐出リード弁
20 貯油部
21,21a,21b 吐出バイパスポート
22 吐出管
25 ポンプ
26 オイル供給穴
29 背圧室
30 高圧領域
31 吐出室
41 中間圧室
41a 中間圧室入口
41b 液溜め部
42 逆止弁
42a リード弁
42b バルブストップ
43 インジェクションポート
43a インジェクションポート入口
44 中間圧プレート(中間圧室隔壁部材)
45 中間圧カバー(区画部材)
46 低熱伝導材
47 吐出室カバー
48 固定部材(ボルト)
55 給油経路
55-1 接続路
55-1a 他方の開口端(高圧領域側)
55-1b 一方の開口端(背圧室側)
55-2 供給路
55-2a 他方の開口端(背圧室側)
55-2b 一方の開口端(圧縮室側)
59 吐出冷媒通路
66 軸受部
78 シール部材
91 圧縮機(スクロール圧縮機)
92 凝縮器
93 蒸発器
94 減圧器
95 インジェクション管
96 気液分離器

Claims (7)

  1. 密閉容器の内部に低圧状態の作動流体を吸入して高圧状態へと圧縮する圧縮機構部を有し、前記圧縮機構部内の圧縮室から吐出室へと排出された前記作動流体が前記圧縮機構部の周辺の内部空間を経由して吐出管から前記密閉容器の外へ送り出される圧縮機において、
    前記圧縮機には低圧と高圧の間の中間圧力状態の作動流体を前記密閉容器の外部から引き込むためのインジェクション管を有し、
    前記インジェクション管から導かれた前記作動流体が流れ込む中間圧室と前記吐出室はいずれも前記圧縮室に隣接して設けられ、前記内部空間と前記中間圧室さらに前記吐出室を区画する区画部材は、前記内部空間と前記吐出室の間の熱抵抗である第1熱抵抗よりも前記内部空間と前記中間圧室の熱抵抗である第2熱抵抗を大きくし
    前記区画部材は、前記内部空間と前記中間圧室を区画する面積を前記内部空間と前記吐出室を区画する面積よりも小さくし
    ことを特徴とするインジェクション機構付き圧縮機。
  2. 密閉容器の内部に低圧状態の作動流体を吸入して高圧状態へと圧縮する圧縮機構部を有し、前記圧縮機構部内の圧縮室から吐出室へと排出された前記作動流体が前記圧縮機構部の周辺の内部空間を経由して吐出管から前記密閉容器の外へ送り出される圧縮機において、
    前記圧縮機には低圧と高圧の間の中間圧力状態の作動流体を前記密閉容器の外部から引き込むためのインジェクション管を有し、
    前記インジェクション管から導かれた前記作動流体が流れ込む中間圧室と前記吐出室はいずれも前記圧縮室に隣接して設けられ、前記内部空間と前記中間圧室さらに前記吐出室を区画する区画部材は、前記内部空間と前記吐出室の間の熱抵抗である第1熱抵抗よりも前記内部空間と前記中間圧室の熱抵抗である第2熱抵抗を大きくし、
    前記中間圧室および前記吐出室は、それぞれ異なる少なくとも1つ以上の区画部材により前記内部空間と仕切った
    ことを特徴とするインジェクション機構付き圧縮機。
  3. 前記区画部材は、前記内部空間と前記中間圧室の間の厚みを前記内部空間と前記吐出室の間の厚みよりも大きくしたことを特徴とする請求項1に記載のインジェクション機構付き圧縮機。
  4. 前記区画部材の前記内部空間と前記中間圧室を区画する部分は、前記内部空間と前記吐出室を区画する部分よりも熱伝導率の小さい材質で構成したことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のインジェクション機構付き圧縮機。
  5. 前記区画部材の前記内部空間と前記中間圧室を区画する部分の表面のうち、すくなくとも一部を、前記区画部材よりも熱伝導率の小さい材質で覆ったことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のインジェクション機構付き圧縮機。
  6. 前記中間圧室および前記吐出室は、前記圧縮室を基準に前記吐出管側に設けたことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のインジェクション機構付き圧縮機。
  7. 前記圧縮機構部を取り囲む前記密閉容器の内側は、前記圧縮機構部を除いて、概ね吐出圧力状態の前記内部空間で満たされていることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載のインジェクション機構付き圧縮機。
JP2019159284A 2019-09-02 2019-09-02 インジェクション機構付き圧縮機 Active JP7329771B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019159284A JP7329771B2 (ja) 2019-09-02 2019-09-02 インジェクション機構付き圧縮機

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019159284A JP7329771B2 (ja) 2019-09-02 2019-09-02 インジェクション機構付き圧縮機

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2021038682A JP2021038682A (ja) 2021-03-11
JP7329771B2 true JP7329771B2 (ja) 2023-08-21

Family

ID=74848428

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019159284A Active JP7329771B2 (ja) 2019-09-02 2019-09-02 インジェクション機構付き圧縮機

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7329771B2 (ja)

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008163849A (ja) 2006-12-28 2008-07-17 Hitachi Ltd スクロール式流体機械
JP2008298080A (ja) 2007-01-15 2008-12-11 Panasonic Corp 膨張機一体型圧縮機
JP2015113817A (ja) 2013-12-16 2015-06-22 三菱重工業株式会社 スクロール型圧縮機
WO2018096825A1 (ja) 2016-11-24 2018-05-31 パナソニックIpマネジメント株式会社 インジェクション機能を備えた圧縮機

Family Cites Families (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3602700B2 (ja) * 1997-10-06 2004-12-15 松下電器産業株式会社 圧縮機のインジェクション装置

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008163849A (ja) 2006-12-28 2008-07-17 Hitachi Ltd スクロール式流体機械
JP2008298080A (ja) 2007-01-15 2008-12-11 Panasonic Corp 膨張機一体型圧縮機
JP2015113817A (ja) 2013-12-16 2015-06-22 三菱重工業株式会社 スクロール型圧縮機
WO2018096825A1 (ja) 2016-11-24 2018-05-31 パナソニックIpマネジメント株式会社 インジェクション機能を備えた圧縮機

Also Published As

Publication number Publication date
JP2021038682A (ja) 2021-03-11

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN109983230B (zh) 具有注入功能的压缩机
CN107676260B (zh) 压缩机和包括压缩机的系统
CN109996962B (zh) 不对称涡旋式压缩机
CN109996961B (zh) 涡旋式压缩机
JP2011027076A (ja) スクロール圧縮機
JP2008101559A (ja) スクロール圧縮機およびそれを用いた冷凍サイクル
US10208751B2 (en) Scroll compressor having injection ports provided in outer circumferential surface between opening ends of communication paths and inlet ports for injecting liquid refrigerant in direction toward the inlet ports
JP7329772B2 (ja) インジェクション機構付き圧縮機
JP6998531B2 (ja) スクロール圧縮機
JP2010265756A (ja) スクロール圧縮機
JP7165901B2 (ja) スクロール圧縮機
JP7329771B2 (ja) インジェクション機構付き圧縮機
JP5304178B2 (ja) スクロール圧縮機
WO2014196314A1 (ja) スクロール圧縮機及びこれを用いた空気調和機
JP2011163256A (ja) スクロール圧縮機
JP5071355B2 (ja) スクロール圧縮機
JP7407365B2 (ja) スクロール圧縮機
JP2014101804A (ja) スクロール型圧縮機
JP2012036752A (ja) 密閉型圧縮機
JP2006046204A (ja) スクロール圧縮機

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20220413

RD03 Notification of appointment of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423

Effective date: 20220418

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20220421

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20230224

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20230228

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20230427

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20230704

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20230728

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 7329771

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151