JP2001123121A - 加工性および耐候性に優れる表面処理鋼板 - Google Patents
加工性および耐候性に優れる表面処理鋼板Info
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Abstract
錆を早期に形成し、該形成の途上で流れ錆の発生や環境
汚染物質の溶出がなく、加工後の塗膜密着性も良好な、
加工性および耐候性に優れる表面処理鋼板を提供する。 【解決手段】 鋼板表面にリン酸鉄被膜を有し、その上
層としてMo系、W系、V系の少なくともいずれかの無機
化合物のうち1種または2種以上を樹脂固形分に対し1
wt%以上含有する膜厚10〜50μmのブチラール樹脂塗膜
を有してなる表面処理鋼板であり、前記ブチラール樹脂
塗膜に含有された無機化合物のうち1種または2種以上
が、P、Mo、V、Si、Wの2種以上を含むヘテロポリ酸
あるいはその塩類からなることが好ましく、また、前記
ブチラール樹脂塗膜はさらにNi系無機化合物、Cu系無機
化合物、リン酸系無機化合物、難溶性の硫酸塩のうちか
ら選ばれた1種または2種以上を含有することがいっそ
う好ましい。
Description
築物構成鋼材に好ましく適用される、加工性および耐候
性に優れる表面処理鋼板に関する。本発明において、加
工性とは加工後の塗膜の密着性(二次密着性)を意味す
る。
候性鋼からなる鋼材は、飛来塩分粒子量の少ない屋外環
境で裸使用すると、鋼材表面に大気腐食に対して安定な
緻密な錆層(安定錆という)が形成され、この錆層が長
期に亘って鋼材の腐食速度を抑制し続けるという特徴を
有することから、橋梁や鉄塔などに幅広く利用され、そ
の長寿命化に寄与してきた。
安定錆が形成されるまでに5〜10年かかり、その間発生
する流れ錆により鋼材表面およびその周囲の景観が著し
く損なわれる。そのため、耐候性鋼の表面に早期に安定
錆を形成し、かつ、安定錆形成途上での流れ錆発生を抑
制する技術的手段が望まれてきた。かかる手段として、
特公昭58−39915 号公報、特開平6−226198号公報に記
載の発明が知られている。
候性鋼に1mg/cm2以下のFe、Zn、Mn系リン酸塩被膜を付
着せしめ、さらにその上にFe2O3 +Fe3O4 3〜20%、リ
ン酸0.1 〜3%、Fe,Zn,Mn系リン酸塩の1種以上0.1
〜10%、Ni,Cu系無機化合物の1種以上0.1 〜5%、ク
ロム酸,クロム酸亜鉛,クロム酸鉛の1種以上0.5 〜10
%を含有するブチラール樹脂を5〜100 μm積層するも
のである。特開平6−226198号公報記載の発明は、鋼材
表面に直にあるいは錆層を介して、硫酸クロム,硫酸銅
の少なくともいずれかを1〜65重量%含有する樹脂塗料
を被覆するものである。
号公報、特開平6−226198号公報に記載された発明のい
ずれも耐候性鋼の安定錆形成途上での流れ錆発生防止に
それ相応の効果を奏するのであるが、特公昭58−39915
号公報記載の発明では、塗膜中のクロム系化合物が雨水
に濡れることによって溶出し、周囲の環境を汚染する問
題がある。また、特開平6−226198号公報記載の発明で
は、橋梁や鉄塔に使用される厚板を適用対象としてお
り、加工後の塗膜密着性については全く考慮されていな
いため、塗装後の加工性に劣り、曲げ加工部の多い建材
への適用は困難である。
田園地帯では勿論のこと海岸地帯でも安定錆を早期に形
成し、該形成の途上で流れ錆の発生や環境汚染物質の溶
出がなく、加工後の塗膜密着性も良好な、加工性および
耐候性に優れる表面処理鋼板を提供することを目的とす
る。
を達成すべく鋭意研究した結果、特定の樹脂組成物を含
有する塗料を鋼板表面に適用することにより、加工性に
優れ、腐食環境の厳しい海岸地帯においても流れ錆の発
生を防止し、早期に安定錆を形成する耐候性に優れる表
面処理鋼板が得られることを見いだし、本発明をなすに
至った。
膜を有し、その上層としてMo系、W系、V系の少なくと
もいずれかの無機化合物のうち1種または2種以上を樹
脂固形分に対し1wt%以上含有する膜厚10〜50μmのブ
チラール樹脂塗膜を有してなること(要旨1)を特徴と
する加工性および耐候性に優れる表面処理鋼板である。
有された無機化合物のうち1種または2種以上が、P、
Mo、V、Si、Wの2種以上を含むヘテロポリ酸あるいは
その塩類からなること(要旨2)が好ましく、また、前
記ブチラール樹脂塗膜はさらにNi系無機化合物、Cu系無
機化合物、リン酸系無機化合物、難溶性の硫酸塩のうち
から選ばれた1種または2種以上を含有すること(要旨
3)がいっそう好ましい。
被膜を有する必要がある。リン酸鉄被膜は、化成処理の
1種であるリン酸鉄処理によって形成され、緻密で密着
性に優れているため、その上層のブチラール樹脂塗膜の
初期密着性や加工後の密着性が著しく向上する。なお、
リン酸鉄被膜の付着量は、0.3 mg/m2 未満では密着性向
上効果が小さく、2mg/m2 超ではリン酸鉄被膜内部で層
間剥離を惹起する可能性があるため、0.3 〜2mg/m2 が
好ましい。
ール樹脂塗膜に限られる。すなわち塗膜形成に用いる塗
料のベース樹脂はブチラール樹脂でなければならない。
一般に、鋼材に適用する塗料のベース樹脂としては、エ
ポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂がある
が、これらは、吸水率が数%と低いため塗膜下に安定錆
を形成するために必要な水を短期間で供給することがで
きない。親水性が高く、吸水率の高い(数十%)ブチラ
ール樹脂を採用して初めて塗膜下に安定錆を形成するた
めに必要な水を短期間で供給することができる。
チラール基、アセチル基、水酸基からなる化学構造的特
徴をもつ基本型だけでなく、基本型をイソシアネート系
硬化剤で反応・架橋させたもの、基本型をフェノール系
樹脂と混合して水酸基濃度を低下させたものなどの変成
型も包含する。変成型は、極高湿度・厳酷腐食環境下で
の使途で系全体の吸水率を適当な値に低減させたい場合
に好適である。
では流れ錆が発生し、50μm超では安定錆形成に必要な
水や酸素の供給不足をきたして安定錆の形成が遅くなる
ため、10〜50μmに限られる。さらに、ブチラール樹脂
塗膜は、錆安定化のために、Mo系、W系、V系の少なく
ともいずれかの無機化合物(Mo、W、Vの1種または2
種以上を化学式に含む無機化合物)のうち1種または2
種以上を樹脂固形分に対し1wt%以上含有する必要があ
る。なお、以下では適宜Mo系、W系、V系の無機化合物
を第1の成分と総称する。
を含有するブチラール樹脂塗膜が降雨や結露によって濡
れてブチラール樹脂が吸水すると、ブチラール樹脂中で
電離し、それぞれMo系、W系、V系のイオンが生成す
る。これらのイオンは鋼材と表面処理層(リン酸鉄被膜
層+塗膜層)の界面に到達し、該界面における腐食反応
で生成したFe2+をFe3+に酸化する。
下させる有害な錆をなすFe3O4 の形成に必要であり、一
方、Fe3+は鋼材の耐候性・耐食性を向上させる安定錆を
なすα−FeOOH の形成に必要である。よって、安定錆の
早期形成を図るには、腐食反応によって生成したFe2+を
可及的速やかにFe3+に酸化することが重要であるとこ
ろ、Mo系、W系、V系のイオンはいずれもこの酸化反応
を促進する。また、これらのイオンは、生成した錆層に
カチオン選択性を付与するので、錆安定化に有害な塩素
イオンに対するバリアー性を高めるのにも有効である。
ブチラール樹脂塗膜中に樹脂固形分に対し1wt%以上含
有される必要がある。なお、以下では、樹脂塗料中の樹
脂以外の成分の樹脂固形分に対する重量百分率を対樹脂
量と称する。第1の成分の対樹脂量は、前記の通り1wt
%以上を必要とするが、5wt%未満ではその効果は比較
的小さく、また20wt%超では効果が飽和するばかりかコ
スト高となるので、5〜20wt%が好ましい。Mo系、W
系、V系の無機化合物としては、具体的には、例えばH2
MoO4、NaMoO4、 K2WO4、Na2WO4、 CuWO4、 CaWO4、 NiW
O4、V2O5、 K3VO4、 K4V2O7 、KVO3、NaVO4 、NaVO3 等
があり、これらはいずれも単独であるいは複合して用い
ることができる。
有された第1の成分の1種または2種以上が、P、Mo、
V、Si、Wの2種以上を含むヘテロポリ酸あるいはその
塩類からなることが好ましい。というのは、該ヘテロポ
リ酸あるいはその塩類はこれを含有する樹脂の吸水によ
り電離し、樹脂中で生成したヘテロポリ酸イオンが前記
界面に到達して、該界面における腐食反応で生成したFe
2+のFe3+に酸化するのを促進するが、その促進作用は、
これ以外のMo系、W系、V系のイオンよりも強いからで
ある。
Mo、V、Si、Wの2種以上を含むヘテロポリ酸あるいは
その塩類の具体例としては、リンタングステン酸(H3(P
W12O 40) ・nH2O )、珪タングステン酸(H4(SiW12O40)
・nH2O )、リンモリブデン酸(H3(PMo12O40)・nH2O
)、リンモリブデン酸ナトリウム(Na3(PMo12O40) ・
nH2O )、リンタングストモリブデン酸(H3(PW12-x Mo
x O40)・nH2O ,0<x<12)、リンバナドモリブデン酸
(H15-x (PV12-x Mox O40)・nH2O ,6<x<12)、珪モリ
ブデン酸(H4(SiMo12O40) ・nH2O )等があり、これら
はいずれも単独であるいは複合して用いることができ
る。
系またはCu系の無機化合物、リン酸系無機化合物、硫酸
塩のうちから選ばれた1種または2種以上を含有するこ
とが、錆をさらに安定化させる上で好ましい。なお、以
下では適宜Ni系またはCu系の無機化合物、リン酸系無機
化合物、硫酸塩を第2の成分と総称する。Ni系無機化合
物は、生成する錆を緻密化し錆層のバリアー性を高め、
鋼材の耐候性および耐食性を高める効果を有し、とく
に、飛来塩分粒子量の多い海岸地帯で緻密な錆を形成す
るのに有効である。この効果は、対樹脂量が5wt%未満
では小さく20wt%超では飽和するので、Ni系無機化合物
の対樹脂量は5〜20wt%が好ましい。Ni系無機化合物の
具体例としては、NiSO4 、NiCO3 、Ni3(PO4)2 等があ
り、これらはいずれも単独であるいは複合して用いるこ
とができる。
錆層のバリアー性を高める効果を有し、鋼材の耐候性お
よび耐食性を高めるのに有効である。この効果は、対樹
脂量が5wt%未満では小さく20wt%超では飽和するの
で、Cu系無機化合物の対樹脂量は5〜20wt%が好まし
い。Cu系無機化合物の具体例としては、Cu3(PO4)2 、Cu
O等があり、これらはいずれも単独であるいは複合して
用いることができる。
て電離したリン酸イオンがCu2+、Fe 2+などの金属イオン
と結合して複雑で化学的に安定なリン酸塩被膜を形成す
るため、生成した安定錆層を保護するのに有効である。
この効果は、対樹脂量が1wt%未満では小さく20wt%超
では飽和するので、リン酸系無機化合物の対樹脂量は1
〜20wt%が好ましい。リン酸系無機化合物の具体例とし
ては、H3PO4 、 AlPO4、Zn3(PO4)2 、Al(PO3)3等があ
り、これらはいずれも単独であるいは複合して用いるこ
とができる。
離した硫酸イオンが鋼材と表面処理層との界面における
鉄の腐食反応を加速するため、安定錆の形成を加速する
のに有効である。この効果は、対樹脂量が10wt%未満で
は小さく50wt%超では飽和するので、難溶性の硫酸塩の
対樹脂量は10〜50wt%が好ましい。難溶性の硫酸塩のの
具体例としては、SrSO4 、BaSO4 、CaSO4 等があり、こ
れらはいずれも単独であるいは複合して用いることがで
きる。
も、ブチラール樹脂中にそれぞれ単独または互いに複合
して含有されても上記効果に乏しく、第1の成分に属す
る化合物の少なくとも1種と共に含有される場合にのみ
上記効果が顕現する。また、例えばリン酸銅等のように
1つの化合物がNi系またはCu系の無機化合物(第1
群)、リン酸系無機化合物(第2群)、硫酸塩(第3
群)のうち2つ以上の群に属していてもよく、その場
合、その化合物の対樹脂量は、群毎に、対樹脂量が前記
好適範囲に入っているか否かを判定するために異種化合
物の対樹脂量を合計する際に、その属する複数の群で重
複して使用される。
脂塗膜下のリン酸鉄被膜により塗膜密着性を向上させる
とともに、前記化合物を含有するブチラール樹脂塗膜に
より安定錆の早期形成と流れ錆防止を達成したことにあ
るので、リン酸鉄被膜およびブチラール樹脂塗膜の前記
作用効果が損なわれない限り、必要に応じてこれら以外
の化合物(以下適宜第3の成分と称する)、例えば周囲
の環境との調和を図るための酸化鉄やカーボンブラック
等の着色顔料、あるいは紫外線吸収剤や沈降防止剤等を
塗膜に含ませてもかまわない。しかし、第1〜第3の成
分全部の対樹脂量は、これが150 wt%を超えると樹脂中
で第1〜第3の成分同士が直接接触するようになり、塗
膜の表面から鋼面に至る貫通孔が形成されやすくなって
流れ錆の防止が困難となるので、150 wt%以下とするの
が好ましい。
鋼板の鋼種は特に限定されない。本発明では、鋼種が例
えば普通鋼であっても塗膜中の第1の成分が表面処理層
下に生じた錆層に作用してこれを安定錆に変態させる。
とはいえ、本発明を飛来塩分粒子量が多く腐食環境の厳
しい海岸地帯で屋外使用される鋼材に振り向ける場合に
は、鋼種が普通鋼であると、安定錆が形成し終えるまで
の期間が長くなるので、鋼種には耐候性鋼やNi添加鋼な
どを用いるのが好ましい。
鋼板からなる屋外使途の建築物構成鋼材では、表面処理
層下に早期に安定錆が形成し、該形成期間中の流れ錆が
著しく低減し、初期段階からの腐食速度の抑制、すなわ
ち鋼材の長寿命化が可能となり、しかも、その表面処理
層は加工性に優れたものである。また、表面処理層にCr
等の環境汚染源を含まないから、環境汚染の懸念はな
い。また、本発明要旨2〜3を満たす表面処理鋼板から
なる屋外使途の建築物構成鋼材では、安定錆の形成がさ
らに早まる。
ついて説明する。一般に、鋼材表面に化成処理や塗装を
行う場合には、まず下地処理により油、汚れ、スケール
等を除去し、鋼材表面を清浄に保つことが重要であり、
この点は本発明においても然りである。本発明では、鋼
板(なかでもとくに薄鋼板)に表面処理を施すことか
ら、コイルコーティングをする前提に立てば、下地処理
法はアルカリ脱脂が好ましい。なお、鋼板の鋼種は前述
した点を考慮して製品用途に応じて選定すればよい。
れる。リン酸鉄処理は常法によればよいが、リン酸鉄被
膜の付着量は前述の好適範囲0.3 〜2mg/m2 を操業目標
とするのが好ましい。リン酸鉄処理後の鋼板には塗装が
施される。塗装は常法によればよいが、用いる塗料は無
論第1あるいはさらに第2の成分を含有するブチラール
樹脂塗料である。ブチラール樹脂塗料への第1〜第2の
成分の添加量は、前記した対樹脂量の好適範囲を踏まえ
て適宜設定すればよい。塗布量は、塗膜厚(乾燥膜厚)
が管理目標範囲に収まるように設定する。
間暴露されると光劣化によって徐々に膜厚が減少する
が、該塗膜の耐用期間は安定錆形成所要期間より短くな
ければ十分であり、また、本発明の表面処理鋼板では安
定錆形成所要期間が高々1年弱と短いので、その間の膜
厚減少分は無視できる程度に小さい。そのため、塗膜厚
の管理目標範囲として本発明要旨の膜厚限定範囲10〜50
μmをそのまま採用することができる。
施される。乾燥は、鋼板到達板温が100 〜180 ℃の範囲
になるように行うのが、熱劣化を起こさずに溶媒を充分
に蒸発させる観点から好ましい。
0 ×0.7 (mm)の短冊状鋼板を切り出し、アルカリ脱脂
後、あるいはさらにリン酸鉄処理(リン酸鉄被膜付着量
1mg/m2 )を施した後、表2に示す組成に作製済の塗料
を、バーコーターを用いて乾燥膜厚が所定の値になるよ
うに片面塗装し、鋼板到達板温140 ℃の条件で焼き付
け、しかる後に、塗膜密着性評価試験と暴露試験を行っ
た。
工後の二次密着性を調査した。初期密着性は、塗装面に
1mm角の碁盤目状の鋼面に達する切り込みをカッターで
入れた後にセロテープ剥離を行い、塗膜の残存面積率で
評価した。二次密着性は、前記同様の切り込みを入れた
鋼板に直径1/2 インチのポンチを用いて500gの錘を50cm
の高さ位置から落下させて非塗装面から衝撃を加えるデ
ュポン試験を行った後セロテープ剥離を行い、塗膜の残
存面積率で評価するとともに、前記切り込みを入れない
鋼板に塗装面を外側にした3T曲げ試験を行い、曲げ加
工部の塗膜の剥離や割れの有無を目視で評価した。
所(海岸地帯)と海岸から13km離れた場所(田園地帯)
で、鋼板をその塗装面が上向きでかつ地面に対して30度
傾斜した姿勢にして1年間保持した。この保持期間中、
流れ錆の有無を経時的に目視で評価した。また、1ヵ月
毎に鋼板のサンプルを回収し、その断面を偏光顕微鏡で
観察し、消光層として観察される安定錆が鋼板と錆層の
界面を8割以上被覆するのに要した暴露期間を求めた。
採用した表面処理条件、すなわち鋼材の種類、化成処理
(リン酸鉄処理)の有無、塗料の種類、塗膜厚(乾燥膜
厚)の組合せと対応させて表3に示す。表3において、
曲げ試験欄の○は剥離も割れも無、×は剥離と割れの一
方または両方が有を意味し、また、流れ錆欄の○は流れ
錆発生無、×は流れ錆発生有を意味する。なお、暴露
中、塗膜厚はほぼ一定であった。
〜19)は、初期および加工後の塗膜密着性に優れ、田園
地帯、海岸地帯のいずれにおいても流れ錆の発生はな
く、安定錆形成期間も7ヵ月以下と短かかった。また、
実施例のうち本発明要旨(2)〜(3)を満たす鋼板
(実施例4〜19)は、安定錆形成期間が6ヵ月以下とさ
らに短く、なかでも本発明要旨(2)と(3)を両方と
も満たす鋼板(実施例15〜19)は、最短の5ヵ月で安定
錆を形成した。
(比較例1〜6)や塗膜厚が不足した鋼板(比較例7、
8)は、1年経っても安定錆を形成できずその間流れ錆
が発生した。また、塗膜厚が過剰であった鋼板(比較例
9、10)は、流れ錆の発生はなかったものの1年経って
も安定錆を形成できなかった。また、鋼板と塗膜間にリ
ン酸鉄被膜を欠いた鋼板(比較例11、12)は、流れ錆抑
制と安定錆早期形成の面では実施例に比肩したが、初期
および加工後の塗膜密着性が著しく劣った。
勿論のこと海岸地帯でも安定錆を早期に形成し、該形成
の途上で流れ錆の発生や環境汚染物質の溶出がなく、し
かも加工後の塗膜密着性に優れたものであり、これを曲
げ加工を要する屋外使途の建築物構成鋼材に適用するこ
とで、環境浄化、景観美化、建築物長寿命化を同時に達
成できるという格段の効果を奏する。
Claims (3)
- 【請求項1】 鋼板表面にリン酸鉄被膜を有し、その上
層としてMo系、W系、V系の少なくともいずれかの無機
化合物のうち1種または2種以上を樹脂固形分に対し1
wt%以上含有する膜厚10〜50μmのブチラール樹脂塗膜
を有してなることを特徴とする加工性および耐候性に優
れる表面処理鋼板。 - 【請求項2】 前記ブチラール樹脂塗膜に含有された無
機化合物のうち1種または2種以上が、P、Mo、V、S
i、Wの2種以上を含むヘテロポリ酸あるいはその塩類
からなる請求項1記載の表面処理鋼板。 - 【請求項3】 前記ブチラール樹脂塗膜はさらにNi系無
機化合物、Cu系無機化合物、リン酸系無機化合物、難溶
性の硫酸塩のうちから選ばれた1種または2種以上を含
有する請求項1または2に記載の表面処理鋼板。
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