JP2001081580A - 錆安定化処理がなされた鋼構造物 - Google Patents

錆安定化処理がなされた鋼構造物

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JP2001081580A
JP2001081580A JP25924799A JP25924799A JP2001081580A JP 2001081580 A JP2001081580 A JP 2001081580A JP 25924799 A JP25924799 A JP 25924799A JP 25924799 A JP25924799 A JP 25924799A JP 2001081580 A JP2001081580 A JP 2001081580A
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resin
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rust
coating
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Shiro Miyata
志郎 宮田
Masahito Kaneko
雅仁 金子
Akihiko Furuta
彰彦 古田
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NKK Corp
Nippon Kokan Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 飛来塩分等、腐食性アニオンの透過を防いで
安定錆の形成を効率よく行わせ、かつ、流れ錆を効率よ
く防止することで、処理後の外観を著しく改善させ、あ
るいは更に、皮膜下に安定錆が形成される過程におい
て、皮膜のフクレや剥離を起こしにくくすることで、処
理後から安定錆に置き換わるまでの間の外観を著しく改
善させた錆安定化処理がなされた鋼構造物を提供する。 【解決手段】 表面の全体または一部に、マイナスの固
定電荷を持つ樹脂と、鉄イオンに対し捕捉沈着作用を有
するアニオン及び対カチオンからなる塩とを含有する皮
膜を有する鋼構造物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、錆安定化処理がな
された鋼構造物に関する。更に詳しくはCu,Ni,Cr,P,Mo
等の合金元素を添加してなる耐候性鋼材からなる橋梁、
鉄塔等の鋼構造物であって、耐候性鋼の安定錆を効率よ
く生成せしめると共に、安定錆形成過程での流れ錆等に
よる外観不良を防止し、あるいは更に処理剤皮膜下に安
定錆を形成する際の皮膜のフクレや剥離による外観悪化
を極めて起こりにくくすることを目的とした錆安定化処
理がなされた鋼構造物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】耐候性鋼はCu,Ni,Cr,P,Mo 等の元素が少
量含有された低合金鋼であって、大気中に暴露すると腐
食し発錆する過程で保護性の強い錆層(安定錆)が自然
に形成される。そして前記錆層が形成された後はそれ以
降の鋼材の腐食は減少し、最終的には腐食が殆ど進行し
ない特性を持つ鋼材となる。
【0003】この様な耐候性鋼材は、形鋼、鋼板、鋼管
等各種鋼材に適用され、橋梁や鉄塔等の構造物として幅
広い用途がある。しかし、この様な耐候性鋼材からなる
鋼構造物は、次のような問題を有していた。
【0004】即ち、耐候性鋼材を裸使用する場合、鋼材
表面に保護性の強い安定した錆が形成されるまで5年以
上の長期間を要し、その間、浮き錆や流れ錆を生じ、流
出した錆汁により周囲環境を汚染し、外観を損なう問題
があった。
【0005】そこで、鋼構造物に用いられる耐候性鋼の
表面に錆安定化処理と称される表面処理を行い、上記の
問題を解決する技術が開示されている。この錆安定化処
理は、例えば、特開昭56−127774号公報では、
カチオン型皮膜とアニオン型皮膜の2層皮膜が、特公昭
56−33991号公報では、下層に安定錆成分を含有
する樹脂層、上層に耐候性、耐腐食性に優れた樹脂層を
設けた2層被覆が、および特許2666673号公報で
は、安定錆形成促進作用を有する有機樹脂により被覆さ
れた鋼材について開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかるに、上記従来技
術の内、特公昭56−33991号公報による方法で
は、安定錆形成過程の塗膜劣化過程での外観が悪く、塗
膜のフクレや剥離が発生し易い欠点がある。更に飛来塩
分に対する対応が不十分で、腐食性の厳しい環境での安
定錆形成能力が劣る欠点がある。また2層以上の塗装が
必要で、塗装作業性、塗装コストが上昇する欠点があ
る。
【0007】また特許2666673号公報では、安定
錆を早期に形成するため、処理後の外観不良が避けられ
ず、流れ錆等による周辺環境の汚損も問題となる。また
早期に形成した錆が真の安定錆として長期間機能するか
どうか、不明確である。
【0008】特開昭56−127774号公報記載の方
法では、カチオン型皮膜で流れ錆を防止し、アニオン型
皮膜で塩分に対する耐久性を増していることで、安定錆
形成環境を整え、効率的な安定錆形成を意図したもので
あるが、2層以上の異なる塗膜を形成する必要があり、
塗装作業性上問題がある。また安定錆形成能力とのバラ
ンス上、アニオン型皮膜の割合に制限があり、十分な耐
飛来塩分性が発揮できない点も問題であった。
【0009】本発明は、上記の課題を解決するためにな
されたものであって、飛来塩分等、腐食性アニオンの透
過を防いで安定錆の形成を効率よく行わせ、かつ、流れ
錆を効率よく防止することで、処理後の外観を著しく改
善させ、あるいは更に、皮膜下に安定錆が形成される過
程において、皮膜のフクレや剥離を起こしにくくするこ
とで、処理後から安定錆に置き換わるまでの間の外観を
著しく改善させた錆安定化処理がなされた鋼構造物を提
供することを目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、
(1)表面の全体または一部に、マイナスの固定電荷を
持つ樹脂と、鉄イオンに対し捕捉沈着作用を有するアニ
オン及び対カチオンからなる塩とを含有する皮膜を有す
る鋼構造物、(2)前記鉄イオンに対し捕捉沈着作用を
有するアニオンが、リン酸イオン及び/またはモリブデ
ン酸イオンであることを特徴とする前記(1)に記載の
鋼構造物、(3)皮膜中の鉄イオンに対し捕捉沈着作用
を有するアニオン及び対カチオンからなる塩の含有量
が、皮膜100重量部あたり1〜10重量部であること
を特徴とする前記(1)または(2)に記載の鋼構造
物、(4)マイナスの固定電荷を持つ樹脂の酸価が、1
0〜100であることを特徴とする前記(1)〜(3)
のいずれかに記載の鋼構造物、(5)マイナスの固定電
荷を持つ樹脂が、フリーのアニオン性官能基を有するこ
とを特徴とする前記(1)〜(4)のいずれかに記載の
鋼構造物、(6)マイナスの固定電荷を持つ樹脂が、脂
肪酸変性エポキシ樹脂と無水カルボン酸とから誘導され
た樹脂であることを特徴とする前記(1)〜(5)のい
ずれかに記載の鋼構造物、(7)マイナスの固定電荷を
持つ樹脂の含有量が、皮膜100重要部あたり20〜5
0重量部であることを特徴とする前記(1)〜(6)の
いずれかに記載の鋼構造物、(8)前記皮膜が、さらに
皮膜100重量部あたり30〜70重量部の顔料を含有
することを特徴とする前記(1)〜(7)のいずれかに
記載の鋼構造物、(9)前記顔料が、タルク、ベンガ
ラ、鉄黒から選択される1種以上の顔料であることを特
徴とする前記(8)に記載の鋼構造物、(10)皮膜の
膜厚が、10〜100μmの範囲であることを特徴とす
る前記(1)〜(9)のいずれかに記載の鋼構造物、で
ある。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を詳細
に説明する。
【0012】(錆安定化処理がなされた鋼構造物)本発
明の錆安定化処理がなされた鋼構造物とは、鋼材表面の
全体または一部に、錆安定化処理皮膜が形成された構造
物であり、鋼構造物であれば特に種類は問わないが、具
体的には、一般の建築物、橋梁、鉄道車両、送電鉄塔、
照明塔、ゴルフ練習場のポール、神社仏閣、水槽等への
利用が多い。特に耐候性鋼材を裸で使用した場合に錆が
安定化するまでに発生する流れ錆を嫌う鋼構造物である
ことが多い。
【0013】(適用可能鋼材)本発明の錆安定化処理が
適用可能な鋼材は特に限定するものではない。普通鋼に
対しても効果は認められるが、耐候性鋼のようなCu,Ni,
Cr,P,Mo 等の合金元素を少量含む低合金鋼に対して特に
有効である。また、処理面はブラスト処理等で表面のス
ケールや錆を落とした状態が好ましいが、必ずしもこの
必要はない。
【0014】(塩)本発明において皮膜中に含有される
鉄イオンに対し捕捉沈着作用を有するアニオンと対カチ
オンからなる塩とは、腐食反応で生成する鉄イオンと反
応し、ある条件下において沈着皮膜を形成しうるアニオ
ンと対カチオンからなる塩のことを指す。かかるアニオ
ンの例としては、リン酸イオン、クロム酸イオン、ベリ
リウム酸イオン、ケイ酸イオン、チタン酸イオン、バナ
ジン酸イオン、マンガン酸イオン、セレニウム酸イオ
ン、ジルコニウム酸イオン、モリブデン酸イオン、タン
グステン酸イオン等が挙げられる。
【0015】これらの中で、リン酸イオンおよび/また
はモリブデン酸イオンをアニオンとした塩を含有するこ
とが錆安定化過程における流れ錆等による外観劣化を効
率よく防ぐと共に、皮膜下に効率よく安定錆を生成しう
るので好ましい。具体的な例としては、リン酸亜鉛、リ
ン酸アルミニウム、リン酸アンモニウム、リン酸一水素
カルシウム、リン酸カドミウム、リン酸カリウム、リン
酸カルシウム、リン酸銀、リン酸クロム、リン酸コバル
ト、リン酸水銀、リン酸水素アンモニウムナトリウム、
リン酸水素ウラニル、リン酸水素ストロンチウム、リン
酸水素二アンモニウム、リン酸水素二カリウム、リン酸
水素二銀、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素バリウ
ム、リン酸水素マグネシウム、リン酸水素マンガン、リ
ン酸セリウム、リン酸タリウム、リン酸鉄、リン酸銅、
リン酸トリウム、リン酸ナトリウム、リン酸鉛、リン酸
二水素亜鉛、リン酸二水素カドミウム、リン酸二水素ア
ンモニウム、リン酸二水素カリウム、リン酸二水素カル
シウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素バリウ
ム、リン酸二水素マンガン、リン酸二水素リチウム、リ
ン酸ニッケル、リン酸バリウム、リン酸ビスマス、リン
酸マグネシウム、リン酸マグネシウムアンモニウム、リ
ン酸マンガン、リン酸リチウム、リンタングステン酸ナ
トリウム、リンモリブデン酸ナトリウム、リンモリブデ
ン酸アルミニウム、リンモリブデン酸アンモニウム、ト
リポリリン酸二水素アルミニウム、モリブデン酸ナトリ
ウム、モリブデン酸亜鉛、モリブデン酸アンモニウム、
モリブデン酸カリウム、モリブデン酸カルシウム、モリ
ブデン酸鉛等が挙げられる。これら以外に、クロム酸
塩、バナジン酸塩、タングステン酸塩等、他の鉄イオン
を捕捉沈着しうる塩を添加することも出来る。
【0016】またこれらは、皮膜中への分散を良好にす
るため平均粒子径10μm 以下の微粉末として添加する
のが好ましい。一般に市販されている顔料を粉砕して添
加してもよいし、前記範囲に含まれる成分を含有するも
のならそのまま添加しても差し支えない。また、添加量
は皮膜100重量部中1〜10重量部が好ましい。この
範囲以下であると外観を良好に保つ効果が不足し、この
範囲以上であると皮膜の強度が不足し、外観がかえって
悪くなる。
【0017】(マイナスの固定電荷を持つ樹脂組成物)
本発明の錆安定化処理皮膜を構成するマイナスの固定電
荷を持つ樹脂組成物とは、樹脂、顔料その他の作用によ
り、皮膜中の固定電荷がマイナスである樹脂組成物のこ
とを指し、具体的には皮膜中の樹脂成分の分子中に官能
基としてカルボキシル基、スルホン基、リン酸基、フェ
ノール性水酸基等を有する樹脂組成物である。これらの
官能基を有し、処理剤の硬化皮膜を形成しうる樹脂で有
れば、ベースの樹脂の種類は問わないが、例えばベース
の樹脂としてはエポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリエ
ステル樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、フッ素
樹脂、ブチラール樹脂、ビニル系樹脂、アルキッド樹
脂、ポリスルホンフミン酸、タンニン酸、陽イオン交換
樹脂等のうちの1種以上をそのまま、あるいは適宜変性
したものを使用することで得られる。
【0018】その中でも特に、カルボキシル基、スルホ
ン基等のフリーのアニオン性官能基を有する酸価10〜
100の樹脂を含有する処理剤が、耐飛来塩分性が良好
で好ましい。酸価10未満であれば耐飛来塩分性が劣
り、100超えでは安定錆形成性能が劣る。
【0019】皮膜100重量部に対し、フリーのアニオ
ン性官能基を有する樹脂の含有量は、皮膜強度と皮膜の
劣化過程の外観保持機能のバランスの観点から20〜5
0重量部が好ましい。またフリーのアニオン性官能基を
有する樹脂の種類としては、脂肪酸変性エポキシ樹脂と
無水カルボン酸の反応生成物がもっとも外観保持性能、
安定錆形成機能に優れ、好ましく用いられる。
【0020】(顔料)本発明の錆安定化処理において
は、前記成分以外に、皮膜100重量部中に顔料を30
〜70重量部の範囲で含有することが好ましい。ここで
の顔料とは、一般の皮膜に含有されうる無機顔料および
有機顔料を表す。
【0021】本発明においては、鉄イオンに対し捕捉沈
着作用を有するアニオンと対カチオンからなる、少なく
とも1種以上の塩、およびマイナスの固定電荷を持つ樹
脂組成物を少なくとも含有する皮膜100重量部の中
に、前記顔料の重量を30〜70重量部の範囲とするこ
とで、処理剤皮膜下に安定錆が形成される過程で、安定
錆が非常に効率よく生成されると共に、皮膜下に錆が形
成される過程での、皮膜のフクレや皮膜がフィルム状に
剥離するなどの外観異常が極めて起こりにくくなるとい
う効果が見られることが、本発明者らの検討により見出
された。
【0022】この場合、顔料の種類より、顔料の重量部
が極めて重要である。皮膜100重量部中の顔料重量が
30重量部未満の場合には、皮膜のフクレや皮膜のフィ
ルム状剥離が起こりやすく、また皮膜下の錆の安定化も
遅くなる。一方70重量部を上回ると、皮膜としての凝
集強度が低下し、皮膜としての安定度が保てなくなる。
【0023】前記顔料の種類としては、有機顔料と無機
顔料があるが、本発明の目的からは無機顔料が好まし
い。更に無機顔料としては、バライト、沈降性硫酸バリ
ウム、白亜、沈降性炭酸カルシウム、胡粉、クレー、砥
の粉、タルク、ケイソウ土、シリカ白、アルミナ白、石
膏、サチン白、グロスホワイト、ベントナイト、ケイ酸
カルシウム、沈降性炭酸マグネシウム、ケイ酸アルミニ
ウム、鉛酸カルシウム、酸化チタン、亜鉛華、リトボ
ン、硫化亜鉛、鉛白、酸化ジルコン、アンチモン白、酸
化スズ、カーボンブラック、油煙、黒鉛、鉄黒、亜鉛
末、亜酸化鉛、炭化ケイ素、ベンガラ、鉛丹、朱、カド
ミウム赤、カドミウム水銀赤、モリブデン赤、亜酸化
銅、アンバー、黄鉛、ジンククロメート、カドミウム
黄、合成オーカ、チタン黄、アンチモン黄、バリウム
黄、ストロンチウム黄、クロム緑、酸化クロム緑、ビリ
ジアン、亜鉛緑、コバルト緑、エメラルド緑、マンガン
緑、紺青、群青、コバルト青、セルリアン青、マンガン
青、マンガン紫、濃口コバルト紫、淡口コバルト紫、マ
ルス紫、アルミ粉等が上げられる。
【0024】これら顔料を適宜組み合わせ、所定の配合
量とすれば、いずれの顔料でもよいが、特に皮膜の色
が、概略安定錆と同様の濃褐色で有ることが好ましく、
これらの観点から、特にタルク、ベンガラ、鉄黒を配合
することが好ましい。
【0025】(その他の成分)本発明の皮膜には、上記
以外に、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸鉛等の硬化促
進剤、増粘剤、その他の無機塩、溶剤、処理剤添加物等
を含有することが出来る。
【0026】(錆安定化処理鋼材)本発明の錆安定化処
理がなされた鋼構造物において、処理皮膜の膜厚は10
〜100μm の範囲が好ましい。これ以下であると本発
明皮膜の性能が全般的に劣り、またこれ以上であっても
効果は一定で高コストになるため好ましくない。
【0027】また本発明の錆安定化処理皮膜は、鋼材表
面のスケールをサンドブラスト、ショットブラスト等で
除去した後に、前記した成分を含む処理剤(塗料)を塗
布するのが好ましい。処理剤の鋼材表面への塗布方法
は、通常の塗料と同様、エアスプレー、エアレススプレ
ー、刷毛塗り等の方法が適用できる。
【0028】
【実施例】以下、本発明の実施例を説明する。
【0029】JIS G 3114に規定された耐候性鋼材(SMA 4
00) を切断、溶接し、鋼構造物用部材を作成した。この
部材について、製品ブラストを実施し、Sa2 1/2 まで除
錆した後に表1〜5に示した成分系の処理剤を所定の膜
厚塗布した。なお、基体樹脂にカルボキシル基またはス
ルホン基を有するフリーのアニオン性官能基を有する樹
脂を配合した場合、カルボキシル基の場合にはヒマシ油
変性エポキシ樹脂とヘキサハイドロフタリックアシッド
との反応生成物を用い、酸価はエポキシ樹脂に対するヘ
キサハイドロフタリックアシッドの比率を種々変えるこ
とで調整した。またスルホン基の場合にはスルホン化ポ
リスチレン−ジビニルベンゼン共重合体とヒマシ油変性
エポキシ樹脂を混合したものを用い、酸価は混合比を種
々変えることで調整した。
【0030】また、着色顔料としては、ベンガラと鉄黒
を1:3の重量比率で混合した。尚、表1〜5に記載し
た以外の成分として、硬化促進剤としてナフテン酸コバ
ルトを0.1重量部、ナフテン酸鉛を0.1重量部、そ
の他処理剤としての物性を調整するための添加剤を適宜
添加した。尚表1〜5中の重量部は硬化塗膜中の重量部
である。
【0031】(実施例1)表1〜2に記載した処理剤を
塗布した鋼構造物用部材を所定の環境にて組み立てて、
必要に応じて補修することで、本発明の錆安定化処理を
施した鋼構造物を作成した。この構造物を、下記の方法
で評価し、耐候性鋼の錆安定化処理剤としての性能を評
価した。
【0032】(1) 田園地帯暴露( 3年) による流れ錆有
無、および安定錆形成の有無。
【0033】(2) 海岸地帯暴露( 3年) による流れ錆有
無、および安定錆形成の有無。
【0034】 流れ錆有無:塗膜表面の外観で評価した。 ◎:全く見られない、○:殆ど見られない、 △:多少見られる、×:顕著に見られる
【0035】 安定錆形成:塗膜を剥がし、塗膜下の錆の状況を調べ、
以下の評価をした。 ◎:緻密で欠陥の少ない錆が連続的に形成されている ○:緻密な錆が連続的に形成されているが、僅かに欠陥
がある △:錆が形成されているものの、緻密さに欠け、欠陥も
多い ×:層状の剥がれやすい錆が形成されている 評価結果を表1 〜2に併せて示す。
【0036】
【表1】
【0037】
【表2】
【0038】(実施例2)実施例1と同様にして作成し
た鋼構造物用部材に、実施例1と同様にして表3〜5に
記載した処理剤を塗布し、耐候性鋼の錆安定化処理剤と
しての性能を評価した。評価は、田園地帯暴露、海岸地
帯暴露、促進試験において、実施例1と同様の評価条件
で、実施例1と同様の評価項目に加え、更に塗膜外観を
評価した。
【0039】塗膜外観:塗膜にフクレやフィルム状の塗
膜剥離が発生しているかどうか調べた。 ◎:フクレや剥離が全く見られない ○:フクレか剥離のいずれかが、わずかに見られるが、
外観上良好 △:フクレと剥離が見られ、やや外観が悪い ×:フクレ、剥離が顕著に見られ、外観が極めて悪い 評価結果を表3〜5に併せて示す。
【0040】
【表3】
【0041】
【表4】
【0042】
【表5】
【0043】表1〜5から以下のことが分かる。本発明
の錆安定化処理を適用された発明例の鋼構造物は、田園
環境、海岸環境いずれにおいても良好な外観保持機能と
安定錆形成機能を有し、あるいは更にいずれの試験にお
いても塗膜のフクレやフィルム状剥離が極めて少なく、
良好な塗膜外観を保持する。
【0044】特に、鉄イオンに対し捕捉沈着作用を有す
るアニオンをリン酸イオンおよび/またはモリブデン酸
イオンから選択することで、一層優れた外観保持機能と
安定錆形成機能の両立が図れる。
【0045】また、鉄イオンに対し捕捉沈着作用を有す
るアニオンと対カチオンからなる一種以上の塩を処理剤
固形分100重量部に対し1〜10重量部含有させるこ
とで、一層優れた外観保持機能と安定錆形成機能の両立
が図れる。
【0046】また、マイナスの固定電荷を持つ樹脂組成
物が、酸価10〜100とすることで、一層優れた外観
保持機能と安定錆形成機能の両立が図れる。
【0047】また、マイナスの固定電荷を持つ樹脂組成
物が、フリーのアニオン性官能基を有することで、一層
優れた外観保持機能と安定錆形成機能の両立が図れる。
【0048】また、マイナスの固定電荷を持つ樹脂組成
物として脂肪酸変性エポキシ樹脂と無水カルボン酸の反
応生成物とすることで、一層優れた外観保持機能と安定
錆形成機能の両立が図れる。
【0049】さらに、マイナスの固定電荷を持つ樹脂組
成物を処理剤固形分100重量部に対し、20〜50重
量部含有させることで、一層優れた外観保持機能と安定
錆形成機能の両立が図れる。
【0050】また、処理剤固形分100重量部に対し、
顔料を30〜70重量部含有させることで、塗膜下に安
定錆が形成される過程において塗膜のフクレや剥離がよ
り起こりにくくなり、処理後から安定錆に置き換わるま
での間における塗膜外観を更に改善できる。特に、顔料
としてタルク、ベンガラ、鉄黒を適用することで一層良
好な塗膜外観を保持できる。
【0051】
【発明の効果】以上述べたように、本発明の錆安定化処
理がなされた鋼構造物は、田園環境、海洋環境いずれに
おいても流れ錆防止性能と効率的な安定錆形成性能を兼
ね備えており、非常に厳しい促進試験においても十分な
流れ錆防止性能、あるいは更に皮膜のフクレ、フィルム
状剥離防止効果を有することが分かった。
【0052】本発明の錆安定化処理がなされた鋼構造物
は、良好な外観を保持しつつ、鋼材のメンテナンスフリ
ー化が図れ、従来の塗装の塗り替え等の費用が不要とな
り、その経済効果は計り知れない。
フロントページの続き (72)発明者 古田 彰彦 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 Fターム(参考) 4D075 CA21 CA33 DB02 DC05 DC06 EC01 EC11 4J038 CD091 CE071 CG001 DA031 DB001 DD001 DD121 DG001 DK001 GA06 GA13 HA216 HA246 HA416 HA536 HA556 KA08 NA02 NA03 PB05 PC02 4K062 BA08 BA10 BA14 BC08 BC09 BC12 BC13 BC15 BC19 BC21 CA02 CA05 FA01 FA16 GA01 GA10

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 表面の全体または一部に、マイナスの固
    定電荷を持つ樹脂と、鉄イオンに対し捕捉沈着作用を有
    するアニオン及び対カチオンからなる塩とを含有する皮
    膜を有する鋼構造物。
  2. 【請求項2】 前記鉄イオンに対し捕捉沈着作用を有す
    るアニオンが、リン酸イオン及び/またはモリブデン酸
    イオンであることを特徴とする請求項1に記載の鋼構造
    物。
  3. 【請求項3】 皮膜中の鉄イオンに対し捕捉沈着作用を
    有するアニオン及び対カチオンからなる塩の含有量が、
    皮膜100重量部あたり1〜10重量部であることを特
    徴とする請求項1または2に記載の鋼構造物。
  4. 【請求項4】 マイナスの固定電荷を持つ樹脂の酸価
    が、10〜100であることを特徴とする請求項1〜3
    のいずれかに記載の鋼構造物。
  5. 【請求項5】 マイナスの固定電荷を持つ樹脂が、フリ
    ーのアニオン性官能基を有することを特徴とする請求項
    1〜4のいずれかに記載の鋼構造物。
  6. 【請求項6】 マイナスの固定電荷を持つ樹脂が、脂肪
    酸変性エポキシ樹脂と無水カルボン酸とから誘導された
    樹脂であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに
    記載の鋼構造物。
  7. 【請求項7】 マイナスの固定電荷を持つ樹脂の含有量
    が、皮膜100重要部あたり20〜50重量部であるこ
    とを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の鋼構造
    物。
  8. 【請求項8】 前記皮膜が、さらに皮膜100重量部あ
    たり30〜70重量部の顔料を含有することを特徴とす
    る請求項1〜7のいずれかに記載の鋼構造物。
  9. 【請求項9】 前記顔料が、タルク、ベンガラ、鉄黒か
    ら選択される1種以上の顔料であることを特徴とする請
    求項8に記載の鋼構造物。
  10. 【請求項10】 皮膜の膜厚が、10〜100μmの範
    囲であることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記
    載の鋼構造物。
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