JP3458790B2 - 鋼材の錆安定化処理剤および錆安定化処理方法並びに錆安定化処理鋼材 - Google Patents
鋼材の錆安定化処理剤および錆安定化処理方法並びに錆安定化処理鋼材Info
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Description
理剤および錆安定化処理方法並びに錆安定化処理鋼材に
関する。更に詳しくはCu,Ni,Cr,P,Mo 等の合金元素を添
加してなる耐候性鋼材に主として適用されるものであっ
て、耐候性鋼の安定錆を効率よく生成せしめると共に、
安定錆形成過程での流れ錆等による外観不良を防止し、
更に処理剤皮膜下に安定錆を形成後、徐々に処理剤が風
化する際の風化特性を著しく向上し、皮膜の割れやフィ
ルム状剥離による外観悪化を極めて起こりにくくするこ
とを目的とした鋼材の錆安定化処理剤および錆安定化処
理方法並びに錆安定化処理鋼材に関するものである。
量含有された低合金鋼であって、大気中に暴露すると腐
食し発錆する過程で保護性の強い錆層(安定錆)が自然
に形成される。そして前記錆層が形成された後はそれ以
降の鋼材の腐食は減少し、最終的には腐食が殆ど進行し
ない特性を持つ鋼材となる。
等各種鋼材に適用され、橋梁や鉄塔等の構造物として幅
広い用途があるが、次のような問題を有していた。
表面に保護性の強い安定した錆が形成されるまで5年以
上の長期間を要し、その間、浮き錆や流れ錆を生じ、流
出した錆汁により周囲環境を汚染し、外観を損なう問題
があった。
称される表面処理を行い、上記の問題を解決する技術が
開示されている。この錆安定化処理は、例えば、特開昭
56−127774号公報では、カチオン型皮膜とアニ
オン型皮膜の2層皮膜が、特公昭56−33991号公
報では、下層に安定錆成分を含有する樹脂層、上層に耐
候性、耐腐食性に優れた樹脂層を設けた2層被覆が、お
よび特許2666673号公報では、安定錆形成促進作
用を有する有機樹脂により被覆された鋼材について開示
されている。
術の内、特公昭56−33991号公報による方法で
は、安定錆形成過程の塗膜劣化過程での外観が悪く、塗
膜が劣化する際、塗膜に割れ、フィルム状の剥離が生じ
る問題がある。更に飛来塩分に対する対応が不十分で、
腐食性の厳しい環境での安定錆形成能力が劣る欠点があ
る。
性、塗装コストが上昇する欠点がある。また特許266
6673号公報では、安定錆を早期に形成するため、処
理後の外観不良が避けられず、流れ錆等による周辺環境
の汚損も問題となる。また早期に形成した錆が真の安定
錆として長期間機能するかどうか、不明確である。
法では、カチオン型皮膜で流れ錆を防止し、アニオン型
皮膜で塩分に対する耐久性を増していることで、安定錆
形成環境を整え、効率的な安定錆形成を意図したもので
あるが、2層以上の異なる塗膜を形成する必要があり、
塗装作業性上問題がある。また安定錆形成能力とのバラ
ンス上、アニオン型皮膜の割合に制限があり、十分な耐
飛来塩分性が発揮できない点も問題であった。
されたものであって、飛来塩分等、腐食性アニオンの透
過を防いで安定錆の形成を効率よく行わせ、かつ、流れ
錆を効率よく防止する機能に加え、皮膜が徐々に風化し
安定錆に置き換わる際の風化特性を向上させ、処理後か
ら安定錆に置き換わるまでの外観を著しく改善させた鋼
材の錆安定化処理剤および錆安定化処理方法並びに錆安
定化処理鋼材を提供することを目的とするものである。
明の手段は以下の通りである。 (1)下記(a)〜(c)の成分を含有することを特徴
とする鋼材の錆安定化処理剤。 (a)基体樹脂に、アニオン性官能基を有する化合物
と、共役二重結合を有する化合物と、光崩壊性官能基を
有する化合物を配合した樹脂組成物、 (b)該錆安定化処理剤の固形分100重量部あたり、
リン酸イオン、クロム酸イオン、ベリリウム酸イオン、
ケイ酸イオン、チタン酸イオン、バナジン酸イオン、マ
ンガン酸イオン、セレニウム酸イオン、ジルコニウム酸
イオン、モリブデン酸イオン、タングステン酸イオンの
うちから選ばれる鉄イオンに対し捕捉沈着作用を有する
アニオンと対カチオンからなる少なくとも1種以上の塩
を、0.5〜20重量部、 (c)該錆安定化処理剤の固形分100重量部あたり、
30〜70重量部の顔料。
することを特徴とする鋼材の錆安定化処理剤。 (a’)マイナスの固定電荷を持つ樹脂に、共役二重結
合を有する化合物と、光崩壊性官能基を有する化合物を
配合した樹脂組成物、 (b)該錆安定化処理剤の固形分100重量部あたり、
リン酸イオン、クロム酸イオン、ベリリウム酸イオン、
ケイ酸イオン、チタン酸イオン、バナジン酸イオン、マ
ンガン酸イオン、セレニウム酸イオン、ジルコニウム酸
イオン、モリブデン酸イオン、タングステン酸イオンの
うちから選ばれる鉄イオンに対し捕捉沈着作用を有する
アニオンと対カチオンからなる少なくとも1種以上の塩
を、0.5〜20重量部、 (c)該錆安定化処理剤の固形分100重量部あたり、
30〜70重量部の顔料。
することを特徴とする鋼材の錆安定化処理剤。 (a”)基体樹脂に、アニオン性官能基を有する化合物
を配合した樹脂組成物であって、前記基体樹脂とアニオ
ン性官能基を有する化合物のうちの少なくとも一方が分
子内に芳香族環を有しており、かつ、前記基体樹脂およ
び前記アニオン性官能基を有する化合物が、相互に反応
して光崩壊性官能基を生成する官能基をそれぞれ有する
樹脂または化合物である樹脂組成物、 (b)該錆安定化処理剤の固形分100重量部あたり、
リン酸イオン、クロム酸イオン、ベリリウム酸イオン、
ケイ酸イオン、チタン酸イオン、バナジン酸イオン、マ
ンガン酸イオン、セレニウム酸イオン、ジルコニウム酸
イオン、モリブデン酸イオン、タングステン酸イオンの
うちから選ばれる鉄イオンに対し捕捉沈着作用を有する
アニオンと対カチオンからなる少なくとも1種以上の塩
を、0.5〜20重量部、 (c)該錆安定化処理剤の固形分100重量部あたり、
30〜70重量部の顔料。
が、フェニル基および/またはフェニレン基を有する化
合物であることを特徴とする前記(1)または(2)に
記載の錆安定化処理剤。
が、エステル基を有する化合物であることを特徴とする
前記(1)、(2)、(4)のいずれかに記載の錆安定
化処理剤。
酸変性芳香族系エポキシ樹脂に無水カルボン酸を配合し
た樹脂組成物であることを特徴とする前記(3)に記載
の錆安定化処理剤。
捉沈着作用を有するアニオンが、リン酸イオン及び/ま
たはモリブデン酸イオンであることを特徴とする前記
(1)〜(6)に記載の錆安定化処理剤。
脂に無水カルボン酸を配合した樹脂組成物の酸価が、1
0〜100であることを特徴とする前記(6)または
(7)に記載の錆安定化処理剤。
のいずれかに記載の錆安定化処理剤を塗布し、乾燥する
ことを特徴とする鋼材の錆安定化処理方法。
を含有する皮膜を有することを特徴とする錆安定化処理
鋼材。 (d)マイナスの固定電荷を持ち、かつ分子内に共役二
重結合と光崩壊性官能基を有する樹脂、 (e)前記皮膜100重量部あたり、リン酸イオン、ク
ロム酸イオン、ベリリウム酸イオン、ケイ酸イオン、チ
タン酸イオン、バナジン酸イオン、マンガン酸イオン、
セレニウム酸イオン、ジルコニウム酸イオン、モリブデ
ン酸イオン、タングステン酸イオンのうちから選ばれる
鉄イオンに対し捕捉沈着作用を有するアニオンと対カチ
オンからなる少なくとも1種以上の塩を、0.5〜20
重量部、 (f)前記皮膜100重量部あたり、30〜70重量部
の顔料。
ェニル基および/またはフェニレン基を有する樹脂であ
ることを特徴とする前記(10)に記載の錆安定化処理
鋼材。
基であることを特徴とする前記(10)または(11)
に記載の錆安定化処理鋼材。
芳香族系エポキシ樹脂と無水カルボン酸とから誘導され
た樹脂であることを特徴とする前記(10)〜(12)
のいずれかに記載の錆安定化処理鋼材。
捕捉沈着作用を有するアニオンが、リン酸イオン及び/
またはモリブデン酸イオンであることを特徴とする前記
(10)〜(13)のいずれかに記載の錆安定化処理鋼
材。
に説明する。
が適用可能な鋼材は特に限定するものではない。普通鋼
に対しても効果は認められるが、耐候性鋼のようなCu,N
i,Cr,P,Mo 等の合金元素を少量含む低合金鋼に対して特
に有効である。また、処理面はブラスト処理等で表面の
スケールや錆を落とした状態が好ましいが、必ずしもこ
の必要はない。
捉沈着作用を有するアニオンと対カチオンからなる塩と
は、腐食反応で生成する鉄イオンと反応し、ある条件下
において沈着皮膜を形成しうるアニオンと対カチオンか
らなる塩のことを指す。かかるアニオンの例としては、
リン酸イオン、クロム酸イオン、ベリリウム酸イオン、
ケイ酸イオン、チタン酸イオン、バナジン酸イオン、マ
ンガン酸イオン、セレニウム酸イオン、ジルコニウム酸
イオン、モリブデン酸イオン、タングステン酸イオンが
挙げられる。
はモリブデン酸イオンをアニオンとした塩を含有するこ
とが錆安定化過程における流れ錆等による外観劣化を効
率よく防ぐと共に、皮膜下に効率よく安定錆を生成しう
るので好ましい。具体的な例としては、リン酸亜鉛、リ
ン酸アルミニウム、リン酸アンモニウム、リン酸一水素
カルシウム、リン酸カドミウム、リン酸カリウム、リン
酸カルシウム、リン酸銀、リン酸クロム、リン酸コバル
ト、リン酸水銀、リン酸水素アンモニウムナトリウム、
リン酸水素ウラニル、リン酸水素ストロンチウム、リン
酸水素二アンモニウム、リン酸水素二カリウム、リン酸
水素二銀、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素バリウ
ム、リン酸水素マグネシウム、リン酸水素マンガン、リ
ン酸セリウム、リン酸タリウム、リン酸鉄、リン酸銅、
リン酸トリウム、リン酸ナトリウム、リン酸鉛、リン酸
二水素亜鉛、リン酸二水素カドミウム、リン酸二水素ア
ンモニウム、リン酸二水素カリウム、リン酸二水素カル
シウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素バリウ
ム、リン酸二水素マンガン、リン酸二水素リチウム、リ
ン酸ニッケル、リン酸バリウム、リン酸ビスマス、リン
酸マグネシウム、リン酸マグネシウムアンモニウム、リ
ン酸マンガン、リン酸リチウム、リンタングステン酸ナ
トリウム、リンモリブデン酸ナトリウム、リンモリブデ
ン酸アルミニウム、リンモリブデン酸アンモニウム、ト
リポリリン酸二水素アルミニウム、モリブデン酸ナトリ
ウム、モリブデン酸亜鉛、モリブデン酸アンモニウム、
モリブデン酸カリウム、モリブデン酸カルシウム、モリ
ブデン酸鉛等が挙げられる。これら以外に、クロム酸
塩、バナジン酸塩、タングステン酸塩等、他の鉄イオン
を捕捉沈着しうる塩を添加することも出来る。
するため平均粒子径10μm 以下の微粉末として添加す
るのが好ましい。一般に市販されている顔料を粉砕して
添加してもよいし、前記範囲に含まれる成分を含有する
ものならそのまま添加しても差し支えない。また、添加
量は処理剤固形分100重量部中1〜10重量部が好ま
しい。この範囲以下であると外観を良好に保つ効果が不
足し、この範囲以上であると皮膜の強度が不足し、外観
がかえって悪くなる。
本発明におけるマイナスの固定電荷を持つ樹脂組成物と
は、樹脂、顔料その他の作用により、処理剤中の固定電
荷がマイナスである樹脂組成物のことを指し、具体的に
は処理剤中の樹脂成分の分子中に官能基としてカルボキ
シル基、スルホン基、リン酸基、フェノール性水酸基等
を有する樹脂組成物である。これらの官能基を有し、処
理剤の硬化皮膜を形成しうる樹脂で有れば、ベースの樹
脂の種類は問わないが、例えばベースの樹脂としてはエ
ポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、アク
リル樹脂、ポリウレタン樹脂、フッ素樹脂、ブチラール
樹脂、ビニル系樹脂、アルキッド樹脂、ポリスルホンフ
ミン酸、タンニン酸、陽イオン交換樹脂等のうちの1種
以上をそのまま、あるいは適宜変性したものを使用する
ことで得られる。
ン基等のフリーのアニオン性官能基を有する酸価10〜
100の樹脂を含有する処理剤が、耐飛来塩分性が良好
で好ましい。酸価10未満であれば耐飛来塩分性が劣
り、100超えでは安定錆形成性能が劣る。
のアニオン性官能基を有する樹脂の含有量は、皮膜強度
と皮膜の劣化過程の外観保持機能のバランスの観点から
20〜50重量部が好ましい。またフリーのアニオン性
官能基を有する樹脂の種類としては、脂肪酸変性エポキ
シ樹脂と無水カルボン酸の反応生成物がもっとも外観保
持性能、安定錆形成機能に優れ、好ましく用いられる。
における、共役二重結合を有する樹脂組成物とは、複数
個の二重結合が単結合を挟んで存在した分子骨格を有す
る樹脂組成物で、非局在化したπ電子雲を有するので、
紫外線や可視光等を吸収しやすく、皮膜の表層からの劣
化による良好な風化性に寄与する。この様な共役二重結
合を有する樹脂組成物としては、ベンゼン、ナフタレ
ン、インデン、テトラリン、アントラセン、フェナント
レン等の芳香族炭化水素、フラン、チオフェン、ピロー
ル、ピラン、チオピラン、ピリジン、インドール、キノ
リン、プリン等の複素環式化合物等が上げられるが、ブ
タジエン等の脂肪族ポリエンでもよい。これらの中で、
特にベンゼン環を含むフェニル基、フェニレン基を含有
するものが、本発明の処理剤の外観保持機能上最も優
れ、好ましく用いられる。 (光崩壊性官能基)更に、本発明における樹脂組成物に
含まれる光崩壊性官能基とは、紫外線により、主にNorr
ish I 型、およびNorrish II型の光崩壊反応を行いうる
官能基であり、ケトン、エステルが代表的であるが、本
発明においてはエステル基を光崩壊性官能基として含有
するものが、崩壊速度が適度であり本発明の目的上好ま
しい。
し、マイナスの固定電荷を有する樹脂組成物としては、
脂肪酸変性芳香族系エポキシ樹脂と無水カルボン酸の反
応生成物が、錆安定化処理剤として適度な風化特性、外
観保持機能を有し、かつ耐飛来塩分性にも優れるので、
特に好ましく用いられる。
に、処理剤固形分100重量部中に顔料を30〜70重
量部の範囲で含有する。ここでの顔料とは、一般の処理
剤に含有されうる無機顔料および有機顔料を表す。
着作用を有するアニオンと対カチオンからなる、少なく
とも1種以上の塩、およびマイナスの固定電荷を持つ樹
脂組成物を少なくとも含有する処理剤固形分100重量
部の中に、前記顔料の重量を30〜70重量部の範囲と
することで、処理剤皮膜下に安定錆が形成される過程
で、安定錆が非常に効率よく生成すると共に、皮膜下に
錆が形成される過程での、皮膜のフクレや、皮膜がフィ
ルム状に剥離するなどの外観異常が極めて起こりにくく
なるという効果が見られることが、本発明者らの検討に
より見出された。
が極めて重要である。処理剤固形分100重量部中の顔
料重量が30重量部未満の場合には、皮膜のフクレや皮
膜のフィルム状剥離が起こりやすく、また皮膜下の錆の
安定化も遅くなる。一方70重量部を上回ると、皮膜と
しての凝集強度が低下し、皮膜としての安定度が保てな
くなる。
顔料があるが、本発明の目的からは無機顔料が好まし
い。更に無機顔料としては、バライト、沈降性硫酸バリ
ウム、白亜、沈降性炭酸カルシウム、胡粉、クレー、砥
の粉、タルク、ケイソウ土、シリカ白、アルミナ白、石
膏、サチン白、グロスホワイト、ベントナイト、ケイ酸
カルシウム、沈降性炭酸マグネシウム、ケイ酸アルミニ
ウム、鉛酸カルシウム、酸化チタン、亜鉛華、リトボ
ン、硫化亜鉛、鉛白、酸化ジルコン、アンチモン白、酸
化スズ、カーボンブラック、油煙、黒鉛、鉄黒、亜鉛
末、亜酸化鉛、炭化ケイ素、ベンガラ、鉛丹、朱、カド
ミウム赤、カドミウム水銀赤、モリブデン赤、亜酸化
銅、アンバー、黄鉛、ジンククロメート、カドミウム
黄、合成オーカ、チタン黄、アンチモン黄、バリウム
黄、ストロンチウム黄、クロム緑、酸化クロム緑、ビリ
ジアン、亜鉛緑、コバルト緑、エメラルド緑、マンガン
緑、紺青、群青、コバルト青、セルリアン青、マンガン
青、マンガン紫、濃口コバルト紫、淡口コバルト紫、マ
ルス紫、アルミ粉等が上げられる。
量とすれば、いずれの顔料でもよいが、特に処理剤皮膜
の色が、概略安定錆と同様の濃褐色で有ることが好まし
く、これらの観点から、特にタルク、ベンガラ、鉄黒を
配合することが好ましい。
記以外に、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸鉛等の硬化
促進剤、増粘剤、その他の無機塩、溶剤、処理剤添加物
等を含有することが出来る。
鋼材は、前記の錆安定化処理剤の硬化皮膜が鋼材表面に
形成されたものであり、硬化皮膜の膜厚は10〜100
μm の範囲が好ましい。これ以下であると本発明処理剤
の性能が全般的に劣り、またこれ以上であっても効果は
一定で高コストになるため好ましくない。
ルをサンドブラスト、ショットブラスト等で除去して素
地調整した後に塗布し、乾燥するのが好ましい。素地調
整のレベルとしては、動力工具の場合にはSt2 以上、ブ
ラスト処理の場合にはSIS Sa2 以上が好ましい。錆安定
化処理剤の鋼材表面への塗布方法は、通常の塗料と同
様、エアスプレー、エアレススプレー、刷毛塗り等の方
法が適用できる。
する場合、通常は鋼構造物のユニットを作成した後に、
製品ブラストを行い、その状態で塗装(錆安定化処理)
を行い、現地で組立後にタッチアップする方法で行うこ
とが出来る。また、全て現地で塗装することも可能であ
る。更に、既設の構造物に対しても、鋼材表面の素地調
整を行うことにより本発明の錆安定化処理を行うことが
出来る。
00) 試験片(150mm ×70mm×6mm )をブラスト処理した
後に表1〜3に示した成分系の処理剤を所定の膜厚塗布
した。なお、基体樹脂に配合したフリーのアニオン性官
能基を有する樹脂としてはヒマシ油変性芳香族系エポキ
シ樹脂とヘキサハイドロフタリックアシッドとの反応生
成物を用いたカルボキシル基含有樹脂を用いた。酸価は
芳香族系エポキシ樹脂に対するヘキサハイドロフタリッ
クアシッドの比率を種々変えることで調整した。共役二
重結合を有する化合物はベンゼン環を有するビスフェノ
ールA またはフェノールを中心とし、一部ナフタレン環
を有する化合物も用いた。光崩壊性官能基としては、基
本的にはエステル基とした。
を1:3の重量比率で混合した。尚、表1〜3に記載し
た以外の成分として、硬化促進剤としてナフテン酸コバ
ルトを0.1重量部、ナフテン酸鉛を0.1重量部、そ
の他処理剤としての物性を調整するための添加剤を適宜
添加した。尚表1〜3中の重量部は硬化塗膜中の重量部
である。
記の方法で評価し、耐候性鋼の錆安定化処理剤としての
性能を評価した。
露) による流れ錆有無、安定錆形成の有無、および塗膜
外観。
露) による流れ錆有無、安定錆形成の有無、および塗膜
外観。
水噴霧試験、1ヶ月) による流れ錆有無、および塗膜外
観。
観で評価した。 ◎:全く見られない、○:殆ど見られない、 △:多少見られる、×顕著に見られる
状況を調べた。 ◎:緻密で欠陥の少ない錆が連続的に形成されている ○:緻密な錆が連続的に形成されているが、僅かに欠陥
がある △:錆が形成されているものの、緻密さに欠け、欠陥も
多い ×:層状の剥がれやすい錆が形成されている
膜剥離が発生しているかどうか調べた。 ◎:フクレや剥離が全く見られない ○:フクレか剥離のいずれかが、わずかに見られるが、
外観上良好 △:フクレと剥離が見られ、やや外観が悪い ×:フクレ、剥離が顕著に見られ、外観が極めて悪い 結果を表1〜3に併せて示す。
明の錆安定化処理を適用された発明例の鋼材は、田園環
境、海岸環境いずれにおいても良好な外観保持機能と安
定錆形成機能を有し、かつ厳しい環境を模した促進試験
においても良好な流れ錆防止機能を有し、更にいずれの
試験においても塗膜のフクレやフィルム状剥離が極めて
少なく、良好な塗膜外観を保持する。
ェニレン基、フェニル基含有化合物、光崩壊性官能基と
してエステル基を含有する樹脂組成物を適用すること
で、一層の良好な外観を保持する。
役二重結合、光崩壊性を有する樹脂組成物が、脂肪酸変
性芳香族系エポキシ樹脂と無水カルボン酸の反応生成物
とすることで、一層の良好な外観保持性能と安定錆形成
機能を有する。
るアニオンをリン酸イオンおよび/またはモリブデン酸
イオンから選択することで、一層優れた外観保持機能と
安定錆形成機能の両立が図れる。
物が、酸価10〜100とすることで、一層優れた外観
保持機能と安定錆形成機能の両立が図れる。
理剤の硬化皮膜を形成した鋼材は、田園環境、海洋環境
いずれにおいても流れ錆防止性能と効率的な安定錆形成
性能を兼ね備えており、非常に厳しい促進試験において
も十分な流れ錆防止性能、および皮膜のフクレ、フィル
ム状剥離防止効果を有することが分かった。
用することで、良好な外観を保持しつつ、鋼材のメンテ
ナンスフリー化が図れ、従来の塗装の塗り替え等の費用
が不要となり、その経済効果は計り知れない。
Claims (14)
- 【請求項1】 下記(a)〜(c)の成分を含有するこ
とを特徴とする鋼材の錆安定化処理剤。 (a)基体樹脂に、アニオン性官能基を有する化合物
と、共役二重結合を有する化合物と、光崩壊性官能基を
有する化合物を配合した樹脂組成物、 (b)該錆安定化処理剤の固形分100重量部あたり、
リン酸イオン、クロム酸イオン、ベリリウム酸イオン、
ケイ酸イオン、チタン酸イオン、バナジン酸イオン、マ
ンガン酸イオン、セレニウム酸イオン、ジルコニウム酸
イオン、モリブデン酸イオン、タングステン酸イオンの
うちから選ばれる鉄イオンに対し捕捉沈着作用を有する
アニオンと対カチオンからなる少なくとも1種以上の塩
を、0.5〜20重量部、 (c)該錆安定化処理剤の固形分100重量部あたり、
30〜70重量部の顔料。 - 【請求項2】 下記(a’)〜(c)の成分を含有する
ことを特徴とする鋼材の錆安定化処理剤。 (a’)マイナスの固定電荷を持つ樹脂に、共役二重結
合を有する化合物と、光崩壊性官能基を有する化合物を
配合した樹脂組成物、 (b)該錆安定化処理剤の固形分100重量部あたり、
リン酸イオン、クロム酸イオン、ベリリウム酸イオン、
ケイ酸イオン、チタン酸イオン、バナジン酸イオン、マ
ンガン酸イオン、セレニウム酸イオン、ジルコニウム酸
イオン、モリブデン酸イオン、タングステン酸イオンの
うちから選ばれる鉄イオンに対し捕捉沈着作用を有する
アニオンと対カチオンからなる少なくとも1種以上の塩
を、0.5〜20重量部、 (c)該錆安定化処理剤の固形分100重量部あたり、
30〜70重量部の顔料。 - 【請求項3】 下記(a”)〜(c)の成分を含有する
ことを特徴とする鋼材の錆安定化処理剤。 (a”)基体樹脂に、アニオン性官能基を有する化合物
を配合した樹脂組成物であって、前記基体樹脂とアニオ
ン性官能基を有する化合物のうちの少なくとも一方が分
子内に芳香族環を有しており、かつ、前記基体樹脂およ
び前記アニオン性官能基を有する化合物が、相互に反応
して光崩壊性官能基を生成する官能基をそれぞれ有する
樹脂または化合物である樹脂組成物、 (b)該錆安定化処理剤の固形分100重量部あたり、
リン酸イオン、クロム酸イオン、ベリリウム酸イオン、
ケイ酸イオン、チタン酸イオン、バナジン酸イオン、マ
ンガン酸イオン、セレニウム酸イオン、ジルコニウム酸
イオン、モリブデン酸イオン、タングステン酸イオンの
うちから選ばれる鉄イオンに対し捕捉沈着作用を有する
アニオンと対カチオンからなる少なくとも1種以上の塩
を、0.5〜20重量部、 (c)該錆安定化処理剤の固形分100重量部あたり、
30〜70重量部の顔料。 - 【請求項4】 前記共役二重結合を有する化合物が、フ
ェニル基および/またはフェニレン基を有する化合物で
あることを特徴とする請求項1または2に記載の錆安定
化処理剤。 - 【請求項5】 前記光崩壊性官能基を有する化合物が、
エステル基を有する化合物であることを特徴とする請求
項1、2、4のいずれかに記載の錆安定化処理剤。 - 【請求項6】 前記(a”)の樹脂組成物が、脂肪酸変
性芳香族系エポキシ樹脂に無水カルボン酸を配合した樹
脂組成物であることを特徴とする請求項3に記載の錆安
定化処理剤。 - 【請求項7】 前記(b)の鉄イオンに対し捕捉沈着作
用を有するアニオンが、リン酸イオン及び/またはモリ
ブデン酸イオンであることを特徴とする請求項1〜6に
記載の錆安定化処理剤。 - 【請求項8】 前記脂肪酸変性芳香族系エポキシ樹脂に
無水カルボン酸を配合した樹脂組成物の酸価が、10〜
100であることを特徴とする請求項6または7に記載
の錆安定化処理剤。 - 【請求項9】 鋼材の表面に、請求項1〜8のいずれか
に記載の錆安定化処理剤を塗布し、乾燥することを特徴
とする鋼材の錆安定化処理方法。 - 【請求項10】 表面に下記(d)〜(f)の成分を含
有する皮膜を有することを特徴とする錆安定化処理鋼
材。 (d)マイナスの固定電荷を持ち、かつ分子内に共役二
重結合と光崩壊性官能基を有する樹脂、 (e)前記皮膜100重量部あたり、リン酸イオン、ク
ロム酸イオン、ベリリウム酸イオン、ケイ酸イオン、チ
タン酸イオン、バナジン酸イオン、マンガン酸イオン、
セレニウム酸イオン、ジルコニウム酸イオン、モリブデ
ン酸イオン、タングステン酸イオンのうちから選ばれる
鉄イオンに対し捕捉沈着作用を有するアニオンと対カチ
オンからなる少なくとも1種以上の塩を、0.5〜20
重量部、 (f)前記皮膜100重量部あたり、30〜70重量部
の顔料。 - 【請求項11】 前記(d)の樹脂が、分子内にフェニ
ル基および/またはフェニレン基を有する樹脂であるこ
とを特徴とする請求項10に記載の錆安定化処理鋼材。 - 【請求項12】 前記光崩壊性官能基が、エステル基で
あることを特徴とする請求項10または11に記載の錆
安定化処理鋼材。 - 【請求項13】 前記(d)の樹脂が、脂肪酸変性芳香
族系エポキシ樹脂と無水カルボン酸とから誘導された樹
脂であることを特徴とする請求項10〜12のいずれか
に記載の錆安定化処理鋼材。 - 【請求項14】 前記(e)の鉄イオンに対し捕捉沈着
作用を有するアニオンが、リン酸イオン及び/またはモ
リブデン酸イオンであることを特徴とする請求項10〜
13のいずれかに記載の錆安定化処理鋼材。
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JP25924899A JP3458790B2 (ja) | 1999-09-13 | 1999-09-13 | 鋼材の錆安定化処理剤および錆安定化処理方法並びに錆安定化処理鋼材 |
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-
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