JP2001115079A - 加工性および耐候性に優れる表面処理鋼板 - Google Patents

加工性および耐候性に優れる表面処理鋼板

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Yukirou Tsuri
之郎 釣
Chiaki Kato
千昭 加藤
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Abstract

(57)【要約】 【課 題】 田園地帯では勿論のこと海岸地帯でも安定
錆を早期に形成し、該形成の途上で流れ錆の発生や環境
汚染物質の溶出がなく、加工後の塗膜密着性も良好な、
加工性および耐候性に優れる表面処理鋼板を提供する。 【解決手段】 鋼板表面にリン酸鉄被膜を有し、その上
層としてアルミン酸塩、チタン酸塩、珪酸塩のうちから
選ばれた1種または2種以上からなる第1の成分を樹脂
固形分に対し1wt%以上含有し、あるいはさらにNi系無
機化合物、Cu系無機化合物、リン酸系無機化合物、難溶
性の硫酸塩のうちから選ばれた1種または2種以上から
なる第2の成分を含有する膜厚10〜50μmのブチラール
樹脂塗膜を有してなる表面処理鋼板。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、主に屋外使途の建
築物構成鋼材に好ましく適用される、加工性および耐候
性に優れる表面処理鋼板に関する。本発明において、加
工性とは加工後の塗膜の密着性(二次密着性)を意味す
る。
【0002】
【従来の技術】鋼にCu、P、Cr等を少量添加してなる耐
候性鋼からなる鋼材は、飛来塩分粒子量の少ない屋外環
境で裸使用すると、鋼材表面に大気腐食に対して安定な
緻密な錆層(安定錆という)が形成され、この錆層が長
期に亘って鋼材の腐食速度を抑制し続けるという特徴を
有することから、橋梁や鉄塔などに幅広く利用され、そ
の長寿命化に寄与してきた。
【0003】しかしながら、従来の耐候性鋼では、上記
安定錆が形成されるまでに5〜10年かかり、その間発生
する流れ錆により鋼材表面およびその周囲の景観が著し
く損なわれる。そのため、耐候性鋼の表面に早期に安定
錆を形成し、かつ、安定錆形成途上での流れ錆発生を抑
制する技術的手段が望まれてきた。かかる手段として、
特公昭58−39915 号公報、特開平6−226198号公報に記
載の発明が知られている。
【0004】特公昭58−39915 号公報記載の発明は、耐
候性鋼に1mg/cm2以下のFe、Zn、Mn系リン酸塩被膜を付
着せしめ、さらにその上にFe2O3 +Fe3O4 3〜20%、リ
ン酸0.1 〜3%、Fe,Zn,Mn系リン酸塩の1種以上0.1
〜10%、Ni,Cu系無機化合物の1種以上0.1 〜5%、ク
ロム酸,クロム酸亜鉛,クロム酸鉛の1種以上0.5 〜10
%を含有するブチラール樹脂を5〜100 μm積層するも
のである。特開平6−226198号公報記載の発明は、鋼材
表面に直にあるいは錆層を介して、硫酸クロム,硫酸銅
の少なくともいずれかを1〜65重量%含有する樹脂塗料
を被覆するものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】前記従来二発明のいず
れも耐候性鋼の安定錆形成途上での流れ錆発生防止にそ
れ相応の効果を奏するのであるが、特公昭58−39915 号
公報記載の発明では、塗膜中のクロム系化合物が雨水に
濡れることによって溶出し、周囲の環境を汚染する問題
がある。また、特開平6−226198号公報記載の発明で
は、橋梁や鉄塔に使用される厚板を適用対象としてお
り、加工後の塗膜密着性については全く考慮されていな
いため、塗装後の加工性に劣り、曲げ加工部の多い建材
への適用は困難である。
【0006】かかる従来技術の問題に鑑み、本発明は、
田園地帯では勿論のこと海岸地帯でも安定錆を早期に形
成し、該形成の途上で流れ錆の発生や環境汚染物質の溶
出がなく、加工後の塗膜密着性も良好な、加工性および
耐候性に優れる表面処理鋼板を提供することを目的とす
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題
を達成すべく鋭意研究した結果、特定の樹脂組成物を含
有する塗料を鋼板表面に適用することにより、加工性に
優れ、腐食環境の厳しい海岸地帯においても流れ錆の発
生を防止し、早期に安定錆を形成する耐候性に優れる表
面処理鋼板が得られることを見いだし、本発明をなすに
至った。
【0008】すなわち本発明の要旨とするところは、以
下に記載される加工性および耐候性に優れる表面処理鋼
板にある。 (1)鋼板表面にリン酸鉄被膜を有し、その上層として
アルミン酸塩、チタン酸塩、珪酸塩のうちから選ばれた
1種または2種以上からなる第1の成分を樹脂固形分に
対し1wt%以上含有する膜厚10〜50μmのブチラール樹
脂塗膜を有してなることを特徴とする加工性および耐候
性に優れる表面処理鋼板。
【0009】(2)前記塗膜にさらにNi系無機化合物、
Cu系無機化合物、リン酸系無機化合物、難溶性の硫酸塩
のうちから選ばれた1種または2種以上からなる第2の
成分が含有されている(1)記載の表面処理鋼板。
【0010】
【発明の実施の形態】まず、本発明要旨(1)の表面処
理鋼板の要件限定理由について説明する。本発明では、
鋼板表面にリン酸鉄被膜を有する必要がある。リン酸鉄
被膜は、化成処理の1種であるリン酸鉄処理によって形
成され、緻密で密着性に優れているため、その上層とし
てのブチラール樹脂塗膜の初期密着性や加工後の密着性
が著しく向上する。なお、リン酸鉄被膜の付着量は、0.
3 mg/m2 未満では密着性向上効果が小さく、2mg/m2
ではリン酸鉄被膜内部で層間剥離を惹起する可能性があ
るため、0.3 〜2mg/m2 が好ましい。
【0011】リン酸鉄被膜の上層としての塗膜はブチラ
ール樹脂塗膜に限られる。すなわち塗膜形成に用いる塗
料のベース樹脂はブチラール樹脂でなければならない。
一般に、鋼材に適用する塗料のベース樹脂としては、エ
ポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂がある
が、これらは、吸水率が数%と低いため塗膜下に安定錆
を形成するために必要な水を短期間で供給することがで
きない。親水性が高く、吸水率の高い(数十%)ブチラ
ール樹脂を採用して初めて塗膜下に安定錆を形成するた
めに必要な水を短期間で供給することができる。
【0012】なお、本発明でいうブチラール樹脂は、ブ
チラール基、水酸基、およびアセチル基からなる化学構
造的特徴をもつ基本型だけでなく、基本型をイソシアネ
ート系硬化剤で反応・架橋させたもの、基本型をフェノ
ール系樹脂と混合して水酸基濃度を低下させたものなど
の変成型も包含する。変成型は、極高湿度・厳酷腐食環
境下での使途で系全体の吸水率を適当な値に低減させた
い場合に好適である。
【0013】ブチラール樹脂塗膜の膜厚は、10μm未満
では流れ錆が発生し、50μm超では安定錆形成に必要な
水や酸素の供給不足をきたして安定錆の形成が遅くなる
ため、10〜50μmに限られる。さらに、ブチラール樹脂
塗膜は、錆安定化のために、アルミン酸塩、チタン酸
塩、珪酸塩のうちから選ばれた1種または2種以上から
なる第1の成分を含有する必要がある。
【0014】第1の成分を含むブチラール樹脂塗膜は、
降雨や結露によって濡れるとブチラール樹脂が吸水し、
樹脂中の第1の成分が電離し、アルミン酸塩からはアル
ミン酸イオン、チタン酸塩からはチタン酸イオン、珪酸
塩からは珪酸イオンが生成する。これらのイオンは鋼材
と表面処理層(リン酸鉄被膜層+塗膜層)の界面に到達
し、該界面の腐食反応生成物を鋼材の耐候性・耐食性の
向上に有効な安定錆をなすα−FeOOH や非晶質錆に変態
させる。また、これらのイオンは、生成した錆層にカチ
オン選択性を付与するので、錆安定化に有害な塩素イオ
ンに対するバリアー性を高めるのにも有効である。
【0015】上記の効果が発現するには、ブチラール樹
脂塗膜中に第1の成分が樹脂固形分に対し1wt%以上含
有される必要がある。なお、以下では、樹脂塗料中の樹
脂以外の成分の樹脂固形分に対する重量百分率を対樹脂
量と称する。第1の成分の対樹脂量は、前記の通り1wt
%以上を必要とするが、5wt%未満ではその効果は比較
的小さく、また20wt%超では効果が飽和するばかりかコ
スト高となるので、5〜20wt%が好ましい。
【0016】なお、第1の成分として選ばれ得る物質の
具体的組成としては、アルミン酸塩ではNa3AlO3 、NaAl
O2等、チタン酸塩ではK2TiO3、K2Ti2O5 、Na4TiO4 、Na
2TiO 3 等、珪酸塩ではK2SiO3、Na2SiO3 、Na4SiO4 、Na
2Si2O5等が好ましく採用できる。次に、本発明要旨
(2)の表面処理鋼板の要件限定理由について説明す
る。
【0017】(2)に記載の表面処理鋼板は、前記塗膜
がさらに、錆を安定化する上で第1の成分との相乗効果
を現す物質として、Ni系無機化合物、Cu系無機化合物、
リン酸系無機化合物、硫酸塩のうちから選ばれた1種ま
たは2種以上からなる第2の成分を含有するものであ
る。第2の成分はいずれも、ブチラール樹脂塗膜中で第
1の成分と共存する場合にのみ、十分な効果を現すこと
ができる。
【0018】Ni系無機化合物は、生成する錆を緻密化し
錆層のバリアー性を高め、鋼材の耐候性および耐食性を
高める効果を有し、とくに、飛来塩分粒子量の多い海岸
地帯で緻密な錆を形成するのに有効である。この効果
は、対樹脂量が5wt%未満では小さく20wt%超では飽和
するので、Ni系無機化合物の対樹脂量は5〜20wt%が好
ましい。Ni系無機化合物の具体的組成としては、例え
ば、NiCO3 等が好ましく採用できる。
【0019】Cu系無機化合物は、生成する錆を緻密化し
錆層のバリアー性を高める効果を有し、鋼材の耐候性お
よび耐食性を高めるのに有効である。この効果は、対樹
脂量が5wt%未満では小さく20wt%超では飽和するの
で、Cu系無機化合物の対樹脂量は5〜20wt%が好まし
い。Cu系無機化合物の具体的組成としては、例えば、Cu
3(PO4)2 等が好ましく採用できる。
【0020】リン酸系無機化合物は、樹脂の吸水によっ
て電離したリン酸イオンがCu2+、Fe 2+などの金属イオン
と結合して複雑で化学的に安定なリン酸塩被膜を形成す
るため、生成した安定錆層を保護するのに有効である。
この効果は、対樹脂量が1wt%未満では小さく20wt%超
では飽和するので、リン酸系無機化合物の対樹脂量は1
〜20wt%が好ましい。リン酸系無機化合物の具体的組成
としては、例えば、H3PO4 、Zn3(PO4)2 、AlPO4 等が好
ましく採用できる。
【0021】難溶性の硫酸塩は、樹脂の吸水によって電
離した硫酸イオンが鋼材と表面処理層との界面における
鉄の腐食反応を加速するため、安定錆の形成を加速する
のに有効である。この効果は、対樹脂量が10wt%未満で
は小さく50wt%超では飽和するので、難溶性の硫酸塩の
対樹脂量は10〜50wt%が好ましい。難溶性の硫酸塩の具
体的組成としては、例えば、CaSO4 等が好ましく採用で
きる。
【0022】ところで、本発明の主眼は、塗膜下のリン
酸鉄被膜により塗膜密着性を向上させるとともに、第1
の成分あるいはさらに第2の成分を含有するブチラール
樹脂塗膜により安定錆の早期形成と流れ錆防止を達成し
たことにあるので、第1の成分あるいはさらに第2の成
分の機能を阻害しない限り、必要に応じてこれら以外の
第3の成分、例えば周囲の環境との調和を図るための酸
化鉄やカーボンブラック等の着色顔料、あるいは紫外線
吸収剤や沈降防止剤等を塗膜に含ませてもかまわない。
しかし、第1〜第3の成分全部の対樹脂量は、これが15
0 wt%を超えると樹脂中で第1〜第3の成分同士が直接
接触するようになり、塗膜の表面から鋼面に至る貫通孔
が形成されやすくなって流れ錆の防止が困難となるの
で、150 wt%以下とするのが好ましい。
【0023】また、本発明では表面処理層の下地とする
鋼板の鋼種は特に限定されない。本発明では、鋼種が例
えば普通鋼であっても塗膜中の第1の成分が表面処理層
下に生じた錆層に作用してこれを安定錆に変態させる。
とはいえ、本発明を飛来塩分粒子量が多く腐食環境の厳
しい海岸地帯で屋外使用される鋼材に振り向ける場合に
は、鋼種が普通鋼であると、安定錆が形成し終えるまで
の期間が長くなるので、鋼種には耐候性鋼やNi添加鋼な
どを用いるのが好ましい。
【0024】かくして、(1)記載の表面処理鋼板から
なる屋外使途の建築物構成鋼材では、表面処理層下に早
期に安定錆が形成し、該形成期間中の流れ錆が著しく低
減し、初期段階からの腐食速度の抑制、すなわち鋼材の
長寿命化が可能となり、しかも、その表面処理層は加工
性に優れたものである。また、表面処理層にCr等の環境
汚染源を含まないから、環境汚染の懸念はない。また、
(2)記載の表面処理鋼板からなる屋外使途の建築物構
成鋼材では、安定錆の形成がさらに早まる。
【0025】次に、本発明の表面処理鋼板の製造方法に
ついて説明する。一般に、鋼材表面に化成処理や塗装を
行う場合には、まず下地処理により油、汚れ、スケール
等を除去し、鋼材表面を清浄に保つことが重要であり、
この点は本発明においても然りである。本発明では、鋼
板(なかでもとくに薄鋼板)に表面処理を施すことか
ら、コイルコーティングをする前提に立てば、下地処理
法はアルカリ脱脂が好ましい。なお、鋼板の鋼種は前述
した点を考慮して製品用途に応じて選定すればよい。
【0026】下地処理後の鋼板にはリン酸鉄処理が施さ
れる。リン酸鉄処理は常法によればよいが、リン酸鉄被
膜の付着量は前述の好適範囲0.3 〜2mg/m2 を操業目標
とするのが好ましい。リン酸鉄処理後の鋼板には塗装が
施される。塗装は常法によればよいが、用いる塗料は無
論第1あるいはさらに第2の成分を含有するブチラール
樹脂塗料である。ブチラール樹脂塗料への第1〜第2の
成分の添加量は、前記した対樹脂量の好適範囲を踏まえ
て適宜設定すればよい。塗布量は、塗膜厚(乾燥膜厚)
が管理目標に収まるように設定する。
【0027】なお、ブチラール樹脂塗膜は、屋外で長期
間暴露されると光劣化によって徐々に膜厚が減少する
が、該塗膜の耐用期間は安定錆形成所要期間より短くな
ければ十分であり、また、本発明の表面処理鋼板では安
定錆形成所要期間が高々1年弱と短いので、その間の膜
厚減少分は無視できる程度に小さい。そのため、塗膜厚
の管理目標範囲として本発明要旨の膜厚限定範囲10〜50
μmをそのまま採用することができる。
【0028】塗装後の鋼板には乾燥(塗膜焼き付け)が
施される。乾燥は、鋼板到達板温が60〜140 ℃の範囲に
なるように行うのが、樹脂中の有機溶剤の蒸発と、樹脂
の熱劣化を防ぐ観点から好ましい。
【0029】
【実施例】表1に示す化学組成になる鋼材から150 ×15
0 ×0.7 (mm)の短冊状鋼板を切り出し、アルカリ脱脂
後、あるいはさらにリン酸鉄処理(リン酸鉄被膜付着量
1mg/m2 )を施した後、表2に示す成分組成に作製済の
塗料を、バーコーターを用いて乾燥膜厚が所定の値にな
るように片面塗装し、鋼板到達板温140 ℃の条件で焼き
付け、しかる後に、塗膜密着性評価試験と暴露試験を行
った。
【0030】
【表1】
【0031】
【表2】
【0032】塗膜密着性評価試験では、初期密着性と加
工後の二次密着性を調査した。初期密着性は、塗装面に
1mm角の碁盤目状の鋼面に達する切り込みをカッターで
入れた後にセロテープ剥離を行い、塗膜の残存面積率で
評価した。二次密着性は、前記同様の切り込みを入れた
鋼板に直径1/2 インチのポンチを用いて500gの錘を50cm
の高さ位置から落下させて非塗装面から衝撃を加えるデ
ュポン試験を行った後セロテープ剥離を行い、塗膜の残
存面積率で評価するとともに、前記切り込みを入れない
鋼板に塗装面を外側にした3T曲げ試験を行い、曲げ加
工部の塗膜の剥離や割れの有無を目視で評価した。
【0033】暴露試験では、海岸から10mほど離れた場
所(海岸地帯)と海岸から13km離れた場所(田園地帯)
で、鋼板をその塗装面が上向きでかつ地面に対して30度
傾斜した姿勢にして1年間保持した。この保持期間中、
流れ錆の有無を経時的に目視で評価した。また、1ヵ月
毎に鋼板のサンプルを回収し、その断面を偏光顕微鏡で
観察し、消光層として観察される安定錆が鋼板と錆層の
界面を8割以上被覆するのに要した暴露期間を求めた。
【0034】塗膜密着性評価試験と暴露試験の結果を、
採用した表面処理条件、すなわち鋼材の種類、化成処理
(リン酸鉄処理)の有無、塗料の種類、塗膜厚(乾燥膜
厚)の組合せと対応させて表3に示す。表3において、
曲げ試験欄の○は剥離も割れも無、×は剥離と割れの一
方または両方が有を意味し、また、流れ錆欄の○は流れ
錆発生無、×は流れ錆発生有を意味する。なお、暴露
中、塗膜厚はほぼ一定であった。
【0035】
【表3】
【0036】本発明要旨(1)を満たす鋼板(実施例)
は、初期および加工後の塗膜密着性に優れ、田園地帯、
海岸地帯のいずれにおいても流れ錆の発生はなく、安定
錆形成期間も6ヵ月以下と短かかった。とくに、実施例
のうちでも本発明要旨(2)を満たす鋼板(実施例4〜
7)は、満たさないものでの6ヵ月よりもさらに短い5
ヵ月で安定錆を形成した。
【0037】一方、塗膜厚が本発明範囲を下に逸脱する
鋼板(比較例1)は、1年経っても安定錆を形成できず
その間流れ錆が発生した。また、塗膜厚が本発明範囲を
上に逸脱した鋼板(比較例2)は、流れ錆の発生はなか
ったものの1年経っても安定錆を形成できなかった。ま
た、塗膜中に第1の成分を欠いた鋼板(比較例3〜6)
は、1年では安定錆を形成できずその間流れ錆が発生し
た。また、鋼板と塗膜間にリン酸鉄被膜を欠いた鋼板
(比較例7)は、流れ錆抑制と安定錆早期形成の面では
実施例に比肩したが、初期および加工後の塗膜密着性が
著しく劣った。
【0038】
【発明の効果】本発明の表面処理鋼板は、田園地帯では
勿論のこと海岸地帯でも安定錆を早期に形成し、該形成
の途上で流れ錆の発生や環境汚染物質の溶出がなく、し
かも加工後の塗膜密着性に優れたものであり、これを曲
げ加工を要する屋外使途の建築物構成鋼材に適用するこ
とで、環境浄化、景観美化、建築物長寿命化を同時に達
成できるという格段の効果を奏する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4J038 CE071 HA246 HA296 HA426 HA456 NA03 NA12 PA07 PB05 PC02 4K026 AA02 BA03 BA12 EB02 EB08

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鋼板表面にリン酸鉄被膜を有し、その上
    層としてアルミン酸塩、チタン酸塩、珪酸塩のうちから
    選ばれた1種または2種以上からなる第1の成分を樹脂
    固形分に対し1wt%以上含有する膜厚10〜50μmのブチ
    ラール樹脂塗膜を有してなることを特徴とする加工性お
    よび耐候性に優れる表面処理鋼板。
  2. 【請求項2】 前記塗膜がさらにNi系無機化合物、Cu系
    無機化合物、リン酸系無機化合物、難溶性の硫酸塩のう
    ちから選ばれた1種または2種以上からなる第2の成分
    を含有する請求項1記載の表面処理鋼板。
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