JPH09241576A - 金属材料用表面処理剤組成物および処理方法 - Google Patents

金属材料用表面処理剤組成物および処理方法

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JPH09241576A
JPH09241576A JP5317096A JP5317096A JPH09241576A JP H09241576 A JPH09241576 A JP H09241576A JP 5317096 A JP5317096 A JP 5317096A JP 5317096 A JP5317096 A JP 5317096A JP H09241576 A JPH09241576 A JP H09241576A
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water
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soluble polymer
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雅之 青山
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    • C23COATING METALLIC MATERIAL; COATING MATERIAL WITH METALLIC MATERIAL; CHEMICAL SURFACE TREATMENT; DIFFUSION TREATMENT OF METALLIC MATERIAL; COATING BY VACUUM EVAPORATION, BY SPUTTERING, BY ION IMPLANTATION OR BY CHEMICAL VAPOUR DEPOSITION, IN GENERAL; INHIBITING CORROSION OF METALLIC MATERIAL OR INCRUSTATION IN GENERAL
    • C23CCOATING METALLIC MATERIAL; COATING MATERIAL WITH METALLIC MATERIAL; SURFACE TREATMENT OF METALLIC MATERIAL BY DIFFUSION INTO THE SURFACE, BY CHEMICAL CONVERSION OR SUBSTITUTION; COATING BY VACUUM EVAPORATION, BY SPUTTERING, BY ION IMPLANTATION OR BY CHEMICAL VAPOUR DEPOSITION, IN GENERAL
    • C23C2222/00Aspects relating to chemical surface treatment of metallic material by reaction of the surface with a reactive medium
    • C23C2222/20Use of solutions containing silanes

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 金属材料の耐食性を増進する表面処理剤組成
物および処理方法の提供。 【解決手段】 (A)活性水素含有アミノ基、エポキシ
基などの反応性官能基を有するシランカップリング剤成
分と、(B)式(I)の重合単位のオリゴマー又はポリ
マー(平均重合度=2〜50)からなる水溶性重合体成
分とを含む水性処理液を金属材料表面に付着させ乾燥し
て0.01〜2.0g/m2 の皮膜を形成する。 【化1】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、金属材料の表面に
高い耐食性を付与することができる表面処理剤組成物お
よび処理方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】亜鉛含有金属めっき鋼板およびアルミニ
ウム板等の金属材料は、自動車、建材並びに家電関係な
どの広い分野に使用されている。しかし、これらの金属
材料の亜鉛やアルミニウムは、大気中で腐食して腐食生
成物(いわゆる白錆)を生成させ、これが金属材料の外
観を悪化させ、更に塗装密着性にも悪影響をおよぼすと
いう欠点を有している。
【0003】そこで上記金属材料表面の耐食性および塗
装密着性を改善するために、金属材料の表面にクロム
酸、重クロム酸、またはその塩類を主成分として含む処
理液によりクロメート処理を施すことが一般に行われて
いる。
【0004】しかしながら、近年、環境保全に対する意
識の高まりにより、金属材料表面を処理するのに使用さ
れるクロメート処理液中の6価クロムには、人体に直接
的な悪影響をおよぼす欠点があるため、クロメート処理
は敬遠されがちである。また、6価クロムを含む排水に
は、水質汚濁防止法に規定されている特別な処理を施す
必要があり、これが全体としてかなりのコストアップの
原因になっている。また、クロメート処理を施した金属
材料は、それがクロム含有の産業廃棄物となったとき、
リサイクルができないという大きな欠点を有し、このこ
とは社会的に問題になっている。
【0005】一方、クロメート処理以外に表面処理方法
としては、多価フェノールカルボン酸を含有するタンニ
ン酸を含む表面処理剤による処理がよく知られている。
タンニン酸の水溶液によって金属材料を処理すると、タ
ンニン酸と金属材料表面との反応によって形成される保
護皮膜が、腐食物質の侵入に対しバリアーとなるので、
当該金属材料の耐食性が向上すると考えられている。
【0006】ところが、近年、金属製品の高品質化に伴
い、皮膜自体の高耐食性が要求されており、そのため、
タンニン酸単独、若しくはこれに無機成分を併用して得
られる皮膜では、耐食性が不十分であり、現状における
実用化は不可能である。
【0007】そこで、金属材料の耐食性を向上させる処
理方法として、特開昭53−121034号公報に、水
分散性シリカと、アルキド樹脂と、トリアルコキシシラ
ン化合物とを含む水溶液を金属表面に塗布し乾燥して、
被覆皮膜を形成する方法が開示されている。
【0008】また、ヒドロキシピロン化合物誘導体から
なる水溶性樹脂を使用して、金属材料に耐食性を付与す
ることを目的とした表面処理方法およびヒドロキシスチ
レン化合物の水溶性又は水分散性重合体を用いて金属材
料に耐食性を付与する方法が、特開昭57−44751
号公報、および特開平1−177380号公報等に開示
されている。
【0009】しかしながら、上記の何れの方法も、クロ
メート皮膜に代替できるような高い耐食性を付与し得る
皮膜を形成し得るものではなく、現実問題として前記問
題点は、未だ解決されていないのである。従って、現状
では耐食性に優れた金属材料用のノンクロム系表面処理
剤および処理方法の開発が強く要求されているのであ
る。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来技術の
有する前記問題点を解決して、耐食性に優れた皮膜を金
属材料表面に形成することができるノンクロム系金属材
料用表面処理剤組成物および処理方法を提供しようとす
るものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは従来技術の
抱える上記問題点を解決すべく鋭意検討を重ねてきた結
果、シランカップリング剤と、特定の化学構造を有する
水溶性重合体とを含む表面処理剤組成物を用いて、金属
材料の表面を処理することにより、耐食性に優れた皮膜
を形成できることを見いだし本発明を完成するに至っ
た。
【0012】本発明の金属材料用表面処理剤組成物は水
性媒体と、この水性媒体中に溶解された下記成分 (A)活性水素含有アミノ基、エポキシ基、ビニル基、
メルカプト基およびメタクリロキシ基から選ばれた少な
くとも1個の反応性官能基を有する1種以上のシランカ
ップリング化合物からなるシランカップリング剤成分、
および(B)下記一般式(I)により表わされる1種以
上の重合単位を2〜50の平均重合度で含む1種以上の
水溶性重合体からなる水溶性重合体成分:
【化4】 〔但し、式中、ベンゼン環に結合しているXは、水素原
子、ヒドロキシル基、C1-5 アルキル基、C1-5 ヒドロ
キシアルキル基、C6-12のアリール基、ベンジル基、ベ
ンザル基、前記ベンゼン環に縮合して、ナフタレン環を
形成する不飽和ハイドロカーボングループ、又は下記式
(II)の基:
【化5】 を表し、式(II)のR1 およびR2 は、それぞれ互いに
独立に、水素原子、ヒドロキシル基、C1-5 アルキル
基、又はC1-10ヒドロキシアルキル基を表し、式(I)
および(II) において、ベンゼン環に結合しているY1
およびY2 は、それぞれ互いに独立に、下記式(III)又
は(IV) により表わされるZ基の1種:
【化6】 を表し、前記式(III)および(IV) 中のR3 ,R4 ,R
5 ,R6 およびR7 は、それぞれ互いに独立に、水素原
子、C1-10アルキル基又はC1-10ヒドロキシアルキル基
を表し、前記複数の重合単位のベンゼン環に結合してい
るX,Y1 およびY2 基のそれぞれは、他のベンゼン環
に結合しているX、Y1 およびY2 のそれぞれと同一で
あってもよく、又は互いに異なっていてもよく、前記複
数の重合単位のベンゼン環における前記Z基の置換数の
平均値は0.2〜1.0である。〕を含むことを特徴と
するものである。
【0013】本発明の表面処理剤組成物において、前記
シランカップリング剤成分(A)の水溶性重合体成分
(B)に対する重量比(A)/(B)が、1:10〜1
0:1であることが好ましい。
【0014】本発明の表面処理剤組成物において、前記
シランカップリング剤成分(A)が(a)1個以上の活
性水素含有アミノ基を有する1種以上のシランカップリ
ング化合物からなるシランカップリング剤と、(b)1
個以上のエポキシ基を有する1種以上のシランカップリ
ング化合物からなるシランカップリング剤とを含むこと
が好ましい。
【0015】本発明の上記表面処理剤組成物において、
前記シランカップリング剤(a)に含まれる活性水素含
有アミノ基の、前記シランカップリング剤(b)に含ま
れるエポキシ基に対する当量比が、3:1〜1:3であ
ることが好ましい。
【0016】本発明の上記表面処理剤、組成物におい
て、前記シランカップリング剤(a)と前記シランカッ
プリング剤(b)との合計量の、前記水溶性重合体成分
(B)に対する重量比〔(a)+(b)〕/(B)が、
1:1〜1:5であることが好ましい。
【0017】本発明の金属材料用表面処理方法は、上記
本発明の金属材料用表面処理剤組成物を含み、かつ2.
0〜6.5のpH値に調整された水性表面処理液を、金属
材料表面に付着させ、乾燥して、0.01〜2.0g/
2 の乾燥重量を有する皮膜を形成することを特徴とす
るものである。
【0018】
【発明の実施の形態】本発明の金属材料用表面処理剤組
成物は、特定の反応性官能基を有する1種以上のシラン
カップリング化合物からなるシランカップリング剤成分
(A)と、特殊アミノ基を含む1種以上のフェノール樹
脂系重合体からなる水溶性重合体成分(B)とが水性媒
体中に溶解されている水溶液である。
【0019】本発明に用いられるシランカップリング剤
成分(A)に含まれるシランカップリング化合物は、1
分子中に反応性官能基として活性水素含有アミノ基、エ
ポキシ基、ビニル基、メルカプト基およびメタクリロキ
シ基から選ばれた少なくとも1個を含むものであれば、
特に構造は限定されないが、具体的に例を挙げれば、以
下のグループ(a)〜(e)から選択使用することがで
きる。 (a)活性水素含有アミノ基を有するもの N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジ
メトキシシラン、N−(アミノエチル)3−アミノプロ
ピルトリメトキシシラン、および3−アミノプロピルト
リエトキシシラン (b)エポキシ基を有するもの 3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グ
リシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、および2
−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキ
シシラン (c)ビニル基を有するもの ビニルトリエトキシシラン (d)メルカプト基を有するもの 3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン (e)メタクリロキシ基を有するもの 3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、およ
び3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン
【0020】本発明に用いられるシランカップリング剤
成分(A)は、1個以上の活性水素含有アミノ基を有す
る1種以上のシランカップリング化合物からなるシラン
カップリング剤(a)と、1個以上のエポキシ基を有す
る1種以上のシランカップリング化合物からなるシラン
カップリング剤(b)からなるものであることが好まし
い。
【0021】また、本発明における表面処理剤組成物中
のシランカップリング剤成分(A)が活性水素含有アミ
ノ基を有する化合物からなるシランカップリング剤
(a)と、エポキシ基含有シランカップリング剤(b)
からなる場合、シランカップリング成分(A)中に含ま
れる活性水素含有アミノ基の、エポキシ基に対する当量
比は、3:1〜1:3の範囲であることが好ましい。こ
の活性水素含有アミノ基のエポキシ基に対する当量比が
3:1を超えると、得られる表面処理剤組成物の成膜性
が不十分になることがあり、またそれが1:3未満の場
合、得られる皮膜の耐食性が飽和してしまうことがあ
る。
【0022】次に本発明に用いる水溶性重合体成分
(B)は、前記式(I)で示される重合単位を含むオリ
ゴマー又はポリマーであり、式(I)の重合単位の平均
重合度は2〜50である。
【0023】式(I)において、ベンゼン環に結合して
いるXは、ヒドロキシル基、C1-5アルキル基、例えば
メチル、エチル、およびプロピル基等、C1-5 のヒドロ
キシアルキル基、例えばヒドロキシメチル、ヒドロキシ
エチル、およびヒドロキシプロピル基等、C6-12のアリ
ール基、例えばフェニル、およびナフチル基等、ベンジ
ル基、ベンザル基、前記ベンゼン環に縮合してナフタレ
ン環を形成する不飽和ハイドロカーボングループ、すな
わち−CH=CH−CH=CH−、又は=CH−CH=
CH−CH=基、又は前記式(II)の基を表すものであ
る。
【0024】式(II)中のR1 およびR2 は、それぞれ
互いに独立に、水素原子、ヒドロキシル基、C1-10アル
キル基、例えばメチル、エチル、およびプロピル基等、
又はC1-10ヒドロキシアルキル基、例えばヒドロキシメ
チル、ヒドロキシエチル、およびヒドロキシプロピル基
等、を表す。
【0025】式(I)および(II)において、ベンゼン
環に結合しているY1 およびY2 は、それぞれ互いに独
立に、水素原子、又は式(III)又は(IV) により表され
るZ基を表す。また、式(III)および(IV) の中の
3 ,R4 ,R5 ,R6 およびR 7 は、それぞれ互いに
独立にC1-10アルキル基、例えばメチル、エチル、およ
びプロピル基等、又はC1-10ヒドロキシアルキル基、例
えばヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、およびヒド
ロキシプロピル基等を表すものである。
【0026】前記重合体分子中の複数の重合単位のベン
ゼン環に結合しているX,Y1 (式(I))および式Y
2 (式(II)) のそれぞれは、他のベンゼン環に結合して
いるX,Y1 およびY2 のそれぞれと同一であってもよ
く、又は互いに異なっていてもよい。また、前記重合体
分子中の複数の重合単位のベンゼン環における前記Z基
の置換数の平均値は、0.2〜1.0である。また、式
(I)の重合単位の平均重合度(n)は2〜50であ
る。この平均重合度nが2未満の場合、得られる重合体
の分子量が過小であるため、得られる皮膜の耐食性が不
十分になり、またそれが50を超えると、得られる表面
処理剤組成物、およびそれを含む水性処理液の安定性が
悪くなり、実用上不都合を生じる。
【0027】Z基の置換数の平均値とは、重合体分子中
の全ベンゼン環において、それぞれに導入されているZ
基の数の平均値である。例えば、式(I)において、重
合度=10であって、且つXが式(II)のベンゼン環含
有基である場合、この重合体の1分子当たりのベンゼン
環数は20であり、この重合体1分子当たり、10個の
ベンゼン環に各1個宛のZ基が導入されている場合、こ
の重合体分子のZ基置換数平均値は、〔(1×10)+
(0×10)〕/20=0.5となる。
【0028】このZ基置換数の平均値が0.2未満であ
ると、得られる重合体の水溶性が不十分となり、表面処
理剤組成物およびそれから得られる水性処理液の安定性
が不十分になる。また式(I)から平均Z基置換数は1
以上になることはないが、若しそれが、1.0を超える
と、得られる重合体の水溶性が過大になり、得られる皮
膜の水溶性が過大になり、得られる皮膜の耐食性向上効
果が不十分となる。
【0029】式(III)および式(IV) により表されるZ
基中のR3 〜R7 の各々は、C1-10アルキル基、又はC
1-10ヒドロキシアルキル基を表す。これらの基の炭素数
が11以上になると、得られる表面処理剤組成物の成膜
性が低下するため、得られる皮膜の耐食性が不十分にな
る。
【0030】本発明の表面処理剤組成物中において、前
記シランカップリング剤成分(A)の前記水溶性重合体
成分(B)に対する重量比(A)/(B)は、1:10
〜10:1であることが好ましく、より好ましくは1:
1〜1:5である。この重量比が1:10未満の場合、
すなわちシランカップリング剤成分(A)の含有比率が
過少であると、得られる皮膜と基体表面との接着力が不
十分になるため、この皮膜の耐食性は不十分になる。ま
たそれが10:1を超えると、すなわちシランカップリ
ング剤成分(B)の含有比率が過大になると、得られる
表面処理剤組成物の成膜性が低下するため、得られる皮
膜の耐食性が不十分になる。本発明の表面処理剤組成物
において、シランカップリング剤成分(A)と水溶性重
合体成分(B)との合計濃度は適宜に設定されるが5〜
500g/lであることが好ましい。また、本発明の表
面処理剤組成物は、2〜7のpH値に調整されていること
が好ましい。
【0031】本発明の表面処理方法について説明する。
本発明方法において、上述の表面処理剤組成物を含み、
pHが2.0〜6.5の範囲に調整され水性表面処理液
を、金属材料表面に付着させ、それを乾燥して、0.0
1〜2.0g/m2 、好ましくは0.05〜1.0g/
2 の乾燥重量を有する皮膜を形成する。このとき水性
処理液を金属材料表面に10〜60℃の温度で0.1〜
20秒間接触させ、加熱乾燥することが好ましい。
【0032】また、本発明方法において、水性表面処理
液は、表面処理剤組成物を水性媒体、例えば水で希釈し
て、又は希釈せずに調整されるが、このとき、そのpH値
は、例えばりん酸、硫酸、塩酸、硝酸、フッ化水素酸お
よび有機酸を用いて2.0〜6.5の範囲に調整され
る。
【0033】本発明方法に用いられる水性表面処理液の
pH値の調整に、りん酸、酸性りん酸塩、フッ化物、およ
び錯フッ化物を用いることが好ましい。より好ましいpH
値は3.0〜5.0である。pHが2.0未満では、得ら
れる処理液中の組成物と基体表面との反応性が過度に高
くなるので、皮膜の成膜不良を発生してしまい、得られ
る皮膜の耐食性が不十分になる。またそれが、6.5を
超えると水溶性重合体成分(B)自体が水性処理液から
沈殿析出しやすくなるため、水性処理液の寿命が短くな
る。
【0034】また、本発明方法において、金属材料の表
面に水性処理液を付着させる方法に特に限定はなく、例
えば浸漬方法、スプレー方法、およびロールコート法等
を適応することができる。また、処理温度、処理時間に
ついても特に限定はないが、一般に、処理温度は10〜
60℃であることが好ましく、処理時間は0.1〜20
秒であることが好ましい。更に金属材料表面上の水性処
理液層の乾燥を加熱下に行うことが好ましい。加熱温度
としては50〜150℃が好ましい。
【0035】なお、本発明の方法において表面処理液と
金属材料とを接触させた際に、金属材料より溶出混入し
た金属イオンと、水性重合体成分(B)とが錯体を形成
し、沈殿を生ずる場合がある。このような場合には水性
表面処理液中に金属封鎖剤を添加してもよい。金属封鎖
剤としてはEDTA、Cy−DTA、トリエタノールア
ミン、グルコン酸、ヘプトグルコン酸、蓚酸、酒石酸、
リンゴ酸および有機ホスホン酸等が有効である。
【0036】また、本発明方法に用いられる水性表面処
理液中には、充填剤や潤滑剤を配合してもよい。充填剤
としてはジルコニアゾル、アルミナゾル、シリカゾル等
を用いることができ、潤滑剤としてはポリエチレンワッ
クス、ポリプロピレンワックス等を用いることができ
る。上記金属封鎖剤、充填剤、潤滑剤などは、本発明の
表面処理剤組成物中に予め配合しておいてもよい。
【0037】本発明に用いられる金属材料の種類、寸
法、形状などには、特に限定はなく、例えば鉄板、亜鉛
含有金属めっき鋼板、スズめっき鋼板、ステンレス鋼
板、アルミニウム板およびアルミニウム合金板等から選
ぶことができる。
【0038】本発明の表面処理剤組成物から形成される
皮膜が金属材料の耐食性を著しく増進する作用効果につ
いて説明する。まず、金属材料表面を表面処理液に接触
させると、処理液中のpH調整に用いられたりん酸、酸性
りん酸塩、フッ化物又は錯フッ化物により、金属表面の
エッチングが起きる。これによって、界面のpHが上昇
し、溶出してきた金属イオンと水溶性重合体成分(B)
との反応により、難溶性の樹脂皮膜が界面に形成され
る。この難溶性の樹脂皮膜がバリア効果を発揮し、それ
により金属材料の耐食性が向上するものと考えられる。
ただし、水溶性重合体成分(B)のみでは金属材料表面
に対する密着性が低いため、本発明においてはシランカ
ップリング剤成分(A)を併用することにより、その加
水分解により生成したシランカップリング化合物の官能
基(−OH基)が、金属材料表面とオキサン結合を形成
し、更にシランカップリング化合物の有する反応性官能
基が水溶性重合体と反応するため、金属材料表面と水溶
性重合体成分(B)とが、シランカップリング成分
(A)を介して、強く密着し、強固に結着するものと考
えられる。
【0039】
【実施例】下記の実施例により本発明を具体的に説明す
るが、本発明の範囲はこれらの実施例により限定される
ものでない。下記実施例および比較例に用いられる金属
材料、その表面清浄化方法、および表面処理液について
下記に説明する。
【0040】1.供試材 冷延鋼板 市販品、板厚0.6mm、JIS G3141 亜鉛含有金属めっき鋼板(EG材) 市販品、板厚0.6mm、両面電気亜鉛めっき鋼板(EG
材)(目付量20g/m2 ) アルミニウム板(Al材) 市販品、板厚0.8mm、JIS A5052
【0041】2.鋼板の清浄方法 上記金属材料の表面に、中アルカリ脱脂剤(商標:ファ
インクリーナー4336、日本パーカライジング(株)
製)の水溶液(薬剤濃度:20g/リットル)を用い
て、処理温度:60℃、処理時間:20秒の条件でスプ
レー処理を施し、表面に付着しているゴミや油を除去し
た。次に表面に残存しているアルカリ分を水道水により
洗浄し、供試材の表面を清浄化した。
【0042】3.水性表面処理液組成 <処理剤A>水溶性重合体1として、式(I)におい
て、X=水素、Y1 =Z=−CH2 N(CH3)2 、Z基
置換数平均値=1、平均重合度n=5のものを用い、ビ
ニルトリエトキシシランの、水溶性重合体1に対する重
量比が1:8になるように両成分を配合し、これらを脱
イオン水に溶解した。更に、NH4 2 PO4 およびN
HHF2 により、pHを5.5に調整した。次に、この水
溶液を、水溶性重合体1の濃度が50重量%になるよう
に脱イオン水により希釈した。
【0043】<処理剤B>水溶性重合体2として、式
(I)において、X=−CH2 −C6 4 −OH、Y1
=Z=−CH2 N(CH3)2 、Z基置換数平均値=0.
75、n=5のものを用い、3−メルカプトプロピルト
リメトキシシランの、水溶性重合体1に対する重量比が
1:4になるように両成分を配合し、これを脱イオン水
に溶解し、更にNH4 FでpHが6.5になるまで調整し
た後、水溶性重合体2の濃度が50重量%になるように
脱イオン水により希釈した。
【0044】<処理剤C>水溶性重合体3として、式
(I)において、X=−CH2 −C6 4 −OH、Y1
=Z=−CH2 N(CH3)2 、Z基置換数平均値=0.
75、n=5のものを用い、N−(2−アミノエチル)
−3−アミノプロピルトリメトキシシランの、水溶性重
合体3に対する重量比が1:4になるように両成分を配
合し、更にH 3 PO4 およびH2 SiF6 でpHが4.5
になるまで調整しながら、水溶性重合体3の濃度が50
重量%になるように脱イオン水により希釈した。
【0045】<処理剤D>水溶性重合体4として、式
(I)において、X=−C(CH3)2 −C6 4 −O
H、Y1 =Z=−CH2 N(CH3)2 、Z基置換数平均
値=0.5、n=3のものを用い、2−(3,4エポキ
シシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランの、水溶
性重合体4に対する重量比が1:4になるように両成分
を配合し、更にH3 PO4 およびH2 ZrF6 でpHが
2.0になるまで調整しながら、水溶性重合体4の濃度
が50重量%になるように脱イオン水により希釈した。
【0046】<処理剤E>水溶性重合体5として、式
(I)において、X=−CH2 −C6 4 −OH、Y1
=Z=−CH2 N(CH3)2 、Z基置換数平均値=0.
5、n=3のものを用い、3−アミノプロピルトリエト
キシシランおよび3−グリシドキシプロピルメチルジメ
トキシシランの混合物(活性水素含有アミノ基:エポキ
シ基の当量比=1:3)の、水溶性重合体5に対する重
量比が1:4になるように両成分を配合し、更にH3
4 およびH2 TiF6 でpHが4.0になるまで調整し
ながら、水溶性重合体5の濃度が50重量%になるよう
に脱イオン水により希釈した。
【0047】<処理剤F>水溶性重合体6として、式
(I)において、X=−C(CH3)2 −C6 4 −O
H、Y1 =Z=−CH2 N(CH3)2 、Z基置換数平均
値=0.5、n=3のものを用い、3−アミノプロピル
トリメトキシシランの、水溶性重合体6に対する重量比
が1:3になるように両成分を配合し、更にH3 PO4
およびHFでpHが4.5になるまで調整しながら、水溶
性重合体6の濃度が50重量%になるように脱イオン水
により希釈した。
【0048】<処理剤G>水溶性重合体7として、式
(I)において、X=水素、Y1 =Z=−CH2 N(C
3)2 、Z基置換数平均値=1、n=5のものを用い、
3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランの、水溶
性重合体7に対する重量比が1:2になるように両成分
を配合し、更にH3 PO4 およびH2 ZrF6 でpHが
2.5になるまで調整しながら、水溶性重合体7の濃度
が50重量%になるように脱イオン水により希釈した。
【0049】<処理剤H>水溶性重合体8として、式
(I)において、X=−CH2 −C6 4 −OH、Y1
=Z=−CH2 N(CH3)2 、Z基置換数平均値=0.
75、n=5のものを用い、N−(2−アミノエチル)
−3−アミノプロピルメチルジメトキシシランと、3−
グリシドキシプロピルトリメトキシシランとの混合物
(活性水素含有アミノ基:エポキシ基の当量比=3:
1)の、水溶性重合体8に対する重量比が8:1になる
ように両成分を配合し、更にH3 PO4 およびH2 Ti
6 でpHが3.5になるまで調整しながら、水溶性重合
体8の濃度が50重量%になるように脱イオン水にて希
釈した。
【0050】<比較処理剤I>水溶性重合体9として、
式(I)において、X=水素、Y1 =Z=−CH2
(CH3)2 、Z基置換数平均値=0.75、n=5のも
のを用い、H3 PO4 でpHが5.5になるまで調整しな
がら、水溶性重合体9の濃度が50重量%になるように
脱イオン水により希釈した。
【0051】<比較処理剤J>3−アミノプロピルトリ
メトキシシランを脱イオン水に溶解し、(NH4)2 HP
4 およびNH4 FでpHが6.5になるまで調整しなが
ら、3−アミノプロピルトリメトキシシランの濃度が5
0重量%になるように脱イオン水により希釈した。
【0052】<比較処理剤K>水溶性重合体11とし
て、特開平1−177380号公報に記載され、下記式
(V)で示された水溶性重合体を用い、N−(2−アミ
ノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン
の、水溶性重合体11に対する重量比が1:4になるよ
うに両成分を配合し、更に(NH4)2 HPO4 でpHが8
になるまで調整しながら、水溶性重合体11の濃度が5
0重量%になるように脱イオン水にて希釈した。
【0053】
【化7】
【0054】<比較処理剤L>3−メルカプトプロピル
トリメトキシシランと、比較処理液Kで使用した式
(V)の水溶性重合体11とをそれらの重量比が1:5
になるように配合し、更にH3 PO4 およびH2 TiF
6 でpHが4.0になるまで調整しながら、水溶性重合体
11の濃度が50重量%になるように脱イオン水により
希釈した。
【0055】<比較処理剤M>水溶性重合体12とし
て、式(I)において、X=水素、Y1 =−SO3 Na
≠Z、Z基置換数平均値=0.25、n=5のものを用
い、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメ
チルジメトキシシランおよび3−グリシドキシプロピル
メチルジメトキシシランの混合物(活性水素含有アミノ
基:エポキシ基の当量比=1:2)の、水溶性重合体3
に対する重量比が1:3になるように両成分を配合し、
更にH3 PO4 およびH2 SiF6 でpHが3.0になる
まで調整しながら、水溶性重合体12の濃度が50重量
%になるように脱イオン水にて希釈した。
【0056】<比較処理剤N>水溶性重合体13とし
て、式(I)において、X=−CH2 −C6 4 −O
H、Y1 =Z=−CH2 N(CH3)2 、Z基置換数平均
値=0.1、n=1のものを用い、2−(3,4エポキ
シシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランの、水溶
性重合体13に対する重量比が2:1になるように両成
分を配合し、更にH 3 PO4 およびHFでpHが2.0に
なるまで調整しながら、水溶性重合体13の濃度が50
重量%になるように脱イオン水により希釈した。
【0057】<比較処理剤O>水溶性重合体14とし
て、特開平1−177406号公報に記載され、下記式
(VI)により示された水溶性重合体を用い、3−アミノ
プロピルトリメトキシシランおよび3−グリシドキシト
リメトキシシランの混合物(活性水素含有アミノ基:エ
ポキシ基当量比=2:1)の、水溶性重合体14に対す
る重量比が1:4になるように両成分を配合し、更にH
3 PO4 とH2 SiF6 とでpHが3.0になるまで調整
しながら、水溶性重合体14の濃度が50重量%になる
ように脱イオン水により希釈した。
【0058】
【化8】
【0059】実施例1 前記方法で清浄化された冷延鋼板材に、処理剤Aを成分
(A)および(B)の合計濃度が40重量%になるよう
に脱イオン水で希釈して調製した水性表面処理液を、ロ
ールコート法にて塗布し、到達板温が100℃になるよ
うに加熱乾燥した。
【0060】実施例2 前記方法で清浄化された冷延鋼板材に、処理剤Bを成分
(A)および(B)の合計濃度が40重量%になるよう
に脱イオン水で希釈して調製した水性表面処理液を、ロ
ールコート法にて塗布し、到達板温が100℃になるよ
うに加熱乾燥した。
【0061】実施例3 上記方法で清浄化されたEG材に、処理剤Cを成分
(A)および(B)の合計濃度が20重量%になるよう
に脱イオン水で希釈して調製した水性表面処理液を、ロ
ールコート法にて塗布し、到達板温が100℃になるよ
うに加熱乾燥した。
【0062】実施例4 前記方法で清浄化したEG材に、処理剤Dを成分(A)
および(B)の合計濃度が12重量%になるように脱イ
オン水で希釈して調製した水性表面処理液を、ロールコ
ート法にて塗布し、到達板温が100℃になるように加
熱乾燥した。
【0063】実施例5 上記方法で清浄化したEG材に、処理剤Eを成分(A)
および(B)の合計濃度が20重量%になるように脱イ
オン水で希釈して調製した水性表面処理液を、ロールコ
ート法にて塗布し、到達板温が100℃になるように加
熱乾燥した。
【0064】実施例6 上記方法で清浄化したアルミニウム材に、処理剤Fを成
分(A)および(B)の合計濃度が12重量%になるよ
うに脱イオン水で希釈して調製した水性表面処理液を、
ロールコート法にて塗布し、到達板温が100℃になる
ように加熱乾燥した。
【0065】実施例7 前記方法で清浄化したアルミニウム材に、処理剤Gを成
分(A)および(B)の合計濃度が20重量%になるよ
うに脱イオン水で希釈して調製した水性表面処理液を、
ロールコート法にて塗布し、到達板温が100℃になる
ように加熱乾燥した。
【0066】実施例8 前記方法により清浄化したアルミニウム材に、処理剤H
を成分(A)および(B)の合計濃度が12重量%にな
るように脱イオン水で希釈して調製した水性表面処理液
を、ロールコート法にて塗布し、到達板温が100℃に
なるように加熱乾燥した。
【0067】比較例1 前記方法で清浄化した冷延鋼板に、比較処理剤Iを水溶
性重合体9の濃度が40重量%になるように脱イオン水
で希釈して調製した水性処理液を、ロールコート法にて
塗布し、到達板温が100℃になるように加熱乾燥し
た。
【0068】比較例2 前記方法で清浄化した冷延鋼板に、比較処理剤Jをシラ
ン化合物の濃度が40重量%になるように脱イオン水で
希釈して調製した水性処理液を、ロールコート法にて塗
布し、到達板温が100℃になるように加熱乾燥した。
【0069】比較例3 前記方法で清浄化したEG材に、比較処理剤Kを水溶性
重合体およびシラン化合物の合計濃度が20重量%にな
るように脱イオン水で希釈して調製した水性処理液を、
ロールコート法にて塗布し、到達板温が100℃になる
ように加熱乾燥した。
【0070】比較例4 前記方法で清浄化したEG材に、比較処理剤Lを水溶性
重合体とシラン化合物との合計濃度が20重量%になる
ように脱イオン水で希釈して調製した水性処理液を、ロ
ールコート法にて塗布し、到達板温が100℃になるよ
うに加熱乾燥した。
【0071】比較例5 前記方法で清浄化したEG材に、比較処理剤Mを水溶性
重合体と、シラン化合物混合物の合計濃度が12重量%
になるように脱イオン水で希釈した処理液を、ロールコ
ート法にて塗布し、到達板温が100℃になるように乾
燥を行った。
【0072】比較例6 前記方法で清浄化したアルミニウム材に、処理剤Nを水
溶性重合体とシラン化合物との合計濃度が20重量%に
なるように脱イオン水で希釈して調製した水性処理液
を、ロールコート法にて塗布し、到達板温が100℃に
なるように加熱乾燥した。
【0073】比較例7 前記方法で清浄化したアルミニウム材に、処理剤Oを水
溶性重合体とシラン化合物混合物との合計濃度が12重
量%になるように脱イオン水で希釈して調製した水性処
理液を、ロールコート法にて塗布し、到達板温が100
℃になるように加熱乾燥した。
【0074】実施例1〜8および比較例1〜7の表面処
理剤組成物および処理液の組成などを表1に示す。
【表1】
【0075】・評価試験方法 前記実施例および比較例
により得られた表面処理金属材料の性能を下記方法によ
り試験し評価した。
【0076】1.耐食性 a)耐食性 供試材が亜鉛含有金属めっき鋼板(EG)およびアルミ
ニウム板(Al)の場合 塩水噴霧試験(JIS Z 2371)により、48時
間後の耐白錆性を目視により測定し評価した。評価基準
は以下の通りである。 ・白錆発生率 ◎:異常なし、○:白錆5%未満、△:白錆5%以上1
0%未満、×:白錆10%以上50%未満、××:白錆
50%以上
【0077】b)耐食性 供試材が冷延鋼板の場合 供試材を温度50℃、湿度95%の雰囲気に5日間放置
し、発錆の状況を目視により測定し評価した。評価基準
は以下の通りである。 ・発錆率 ◎:異常なし、○:発錆5%未満、△:発錆5%以上1
0%未満、×:発錆10%以上50%未満、××:発錆
50%以上
【0078】2.塗膜密着性 供試表面処理金属材料に、下記条件下で塗装を施し、塗
膜密着試験に供した。塗装条件 塗料:大日本塗料(株)社製デリコン#700(商
標)、塗装法:バーコート法、焼き付け条件:140℃
×20分、厚さ25μmの塗膜を形成した。
【0079】a)一次密着性 碁盤目テスト 塗膜に金属材料表面に達するまでの1mm角、100個の
碁盤目をNTカッターで切り入れ、これに粘着テープに
よる貼着、剥離テストを施し、塗膜碁盤目の残存個数を
計測評価した。 碁盤目エリクセンテスト 塗膜に金属材料表面に達するまでの1mm角、100個の
碁盤目をNTカッターで切り入れ、この供試材をエリク
セン試験機で5mm押し出した後、この押し出し凸部に粘
着テープによる貼着、剥離テストを施し、塗膜碁盤目の
残存個数を計測評価した。
【0080】b)二次密着性 塗装板を沸騰した純水に2時間浸漬後、一次密着性テス
トと同様のテストを行って評価した。
【0081】上記試験評価結果を表2に示す。
【0082】
【表2】
【0083】表2から明らかなように、本発明の表面処
理剤組成物および処理方法を用いた実施例1〜8におい
ては、得られた表面処理金属材料は良好な耐食性および
塗膜密着性を示していた。しかし、シランカップリング
剤を含んでいない比較例1や水溶性重合体を含んでいな
い比較例2において得られた表面処理金属材料の耐食性
はかなり劣っていた。また、比較例5,6の表面処理金
属材料の塗膜密着性は劣っていた。また、従来技術の水
溶性重合体を用いた比較例3,4,7において得られた
表面処理金属材料の耐食性および塗膜密着性が劣ってい
た。
【0084】
【発明の効果】本発明の表面処理剤組成物および処理方
法により、クロメートを含まない水性処理液により高耐
食性能を有する表面処理金属材料が得られるため、今後
の溶剤の使用が規制されてもこれに対応することが可能
である。更に、本発明の表面処理剤組成物および処理方
法には、金属材料の種類に制限がないため、材料の特性
を生かしたまま、これに高い防錆性や塗装性を付与する
ことができる。また、環境保全やリサイクル性等の社会
問題に対する対応策としても、本発明の表面処理剤組成
物および処理方法は極めて有効で且つ実用上の効果も大
きいものである。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水性媒体と、この水性媒体中に溶解され
    た下記成分: (A)活性水素含有アミノ基、エポキシ基、ビニル基、
    メルカプト基およびメタクリロキシ基から選ばれた少な
    くとも1個の反応性官能基を有する1種以上のシランカ
    ップリング化合物からなるシランカップリング剤成分お
    よび(B)下記一般式(I)により表わされる1種以上
    の重合単位を2〜50の平均重合度で含む1種以上の水
    溶性重合体からなる水溶性重合体成分: 【化1】 〔但し、式中、ベンゼン環に結合しているXは、水素原
    子、ヒドロキシル基、C1-5 アルキル基、C1-5 ヒドロ
    キシアルキル基、C6-12のアリール基、ベンジル基、ベ
    ンザル基、前記ベンゼン環に縮合して、ナフタレン環を
    形成する不飽和ハイドロカーボングループ、又は下記式
    (II)の基: 【化2】 を表し、式(II)のR1 およびR2 は、それぞれ互いに
    独立に、水素原子、ヒドロキシル基、C1-5 アルキル
    基、又はC1-10ヒドロキシアルキル基を表し、式(I)
    および(II) において、ベンゼン環に結合しているY1
    およびY2 は、それぞれ互いに独立に、下記式(III)又
    は(IV) により表わされるZ基の1種: 【化3】 を表し、前記式(III)および(IV) 中のR3 ,R4 ,R
    5 ,R6 およびR7 は、それぞれ互いに独立に、水素原
    子、C1-10アルキル基又はC1-10ヒドロキシアルキル基
    を表し、前記複数の重合単位のベンゼン環に結合してい
    るX,Y1 およびY2 基のそれぞれは、他のベンゼン環
    に結合しているX、Y1 およびY2 のそれぞれと同一で
    あってもよく、又は互いに異なっていてもよく、前記複
    数の重合単位のベンゼン環における前記Z基の置換数の
    平均値は0.2〜1.0である。〕を含むことを特徴と
    する金属材料用表面処理剤組成物。
  2. 【請求項2】 前記シランカップリング剤成分(A)の
    水溶性重合体成分(B)に対する重量比(A)/(B)
    が、1:10〜10:1である請求項1に記載の表面処
    理剤組成物。
  3. 【請求項3】 前記シランカップリング剤成分(A)が
    (a)1個以上の活性水素含有アミノ基を有する1種以
    上のシランカップリング化合物からなるシランカップリ
    ング剤と、(b)1個以上のエポキシ基を有する1種以
    上のシランカップリング化合物からなるシランカップリ
    ング剤とを含む、請求項1に記載の表面処理剤組成物。
  4. 【請求項4】 前記シランカップリング剤(a)に含ま
    れる活性水素含有アミノ基の、前記シランカップリング
    剤(b)に含まれるエポキシ基に対する当量比が、3:
    1〜1:3である、請求項3に記載の表面処理剤組成
    物。
  5. 【請求項5】 前記シランカップリング剤(a)と前記
    シランカップリング剤(b)との合計量の、前記水溶性
    重合体成分(B)に対する重量比〔(a)+(b)〕/
    (B)が、1:1〜1:5である、請求項3又は4に記
    載の表面処理剤組成物。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5のいずれか1項に記載の金
    属材料用表面処理剤組成物を含み、かつ2.0〜6.5
    のpH値に調整された水性表面処理液を、金属材料表面に
    付着させ、乾燥して、0.01〜2.0g/m2 の乾燥
    重量を有する皮膜を形成することを特徴とする金属材料
    用表面処理方法。
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