JP2001121238A - 外径側球面形状リングの製造方法 - Google Patents

外径側球面形状リングの製造方法

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JP2001121238A
JP2001121238A JP30152199A JP30152199A JP2001121238A JP 2001121238 A JP2001121238 A JP 2001121238A JP 30152199 A JP30152199 A JP 30152199A JP 30152199 A JP30152199 A JP 30152199A JP 2001121238 A JP2001121238 A JP 2001121238A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 外径面にばりが、また内径面にキズが発生し
ない外径側球面形状リングの製造方法を提供することに
ある。 【解決手段】 外径が外径側球面形状リングの端面の直
径より大きく且つ最大外径よりも小さく、内径が前記リ
ングの内径より小さいカップ状素材を、その底端面側か
ら押圧して端面を成形空間部内に流動させ、外径面中央
付近を膨出させて球面状に成形すると共に、端面付近の
外径面を絞り込んで球面状に成形した後、内径側の余肉
部と底部を打ち抜く。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、外径側球面形状リ
ングの製造方法、更に詳しくは、外径面が球面状に膨出
した外径側球面形状リングを冷間鍛造により製造する方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】この種の外径側球面形状リングの製造方
法として従来は、図6に示すように、半割状の球面成形
面51aと中央突出軸部51bを有する固定ダイ51
と、この固定ダイ51に対して相対するように設けら
れ、かつ上記半割状の球面成形部51aと対称形状の半
割球面成形部52aと中央突出軸部52bを有するパン
チ52とを備えた鍛造装置を用いて、予め予備成形工程
で形成された円盤状素材を上記固定ダイ51とパンチ5
2で圧縮することにより、前記両突出軸部51b,52
bで円盤状素材を軸方向両端面側から圧縮して、素材の
中心部に相対向する二つの穴部を形成するとゝもに、外
周部をダイ51とパンチ52に設けられた両半割球面成
形部51a,52a内に膨出させて外周を球面形状に、
また素材中心の両穴部間に余肉部を有する外径側球面形
状の鍛造部材54’を形成し、次いで、前記鍛造部材5
4’の両穴部間の余肉部を打ち抜いて貫通孔53をあ
け、外径側球面形状リング54を形成している。
【0003】しかし、上記のような従来の外径側球面形
状リングの製造方法では、円盤状素材の外周部を球面形
状に成形する際に、素材の固定ダイ51とパンチ52と
の合わせ面に対応する部分に、図7に示すような円周方
向の帯状突起物(ばり)55等が発生するため、外径側
球面形状リングの所定の寸法精度を得るために、鍛造加
工後にリングの全面を切削加工することが前提で、生産
性が悪く、またこの切削加工費が別に必要になるため製
造コストが高くなる問題があった。
【0004】このような問題点を解決するものとして、
例えば特許第2824410号公報には、外径側球面形
状リングの外径面及び内径面の切削加工を不要とし、生
産性の向上と低コストで製造できる外径側球面形状リン
グの製造方法が開示されている。これは、図8および図
9に示すように、最終製品としての外径側球面形状リン
グにおける端面の直径と同じ外径を有する円筒状素材X
を、対称形状の半割球面成形部21a,31aをもつ
ダイ21とパンチ31を密着させ、かつ内径側に中央ガ
イドピン23を挿入した、これらダイ21とパンチ31
及び中央ガイドピン23とによる密閉状の成形空間部内
に、上記円筒状素材Xを内在させた状態で、ダイ側の
円筒状成形体24とパンチ側の筒状押圧体32で上記円
筒状素材Xの軸方向両端面を圧縮して、素材の中間部
分を上記両半割球面成形部内に膨出させて外周を球面状
に形成するもので、図9に示す最終製品としての外径側
球面形状リングXには、その外径側円周方向の帯状突
起物や内径面側の貫通孔部に段差が発生しない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】したがって、前記特許
第2824410号公報の発明では、外径側球面形状リ
ングの外径面および内径面の切削加工が不要となり、生
産性の向上と製造コストの低減が図られるといった効果
はあるが、一方、工具の早期破損を招来するといった問
題点がまだ残されている。すなわち、この特許発明にお
いて、円筒状素材Xの両端面の軸方向への圧縮は、ダ
イ側の円筒状成形体24とパンチ側の筒状押圧体32に
よって行われる。
【0006】しかし、これらの工具24,32の素材X
と接触する部分近傍は厚みの非常に薄い円筒状形状と
なり、高荷重に耐えられない。しかるに、特に冷間鍛造
では熱間鍛造に比べて素材の変形抵抗は非常に大きくな
っているから、前記ダイ側の円筒状成形体24とパンチ
側の筒状押圧体32には過大な圧力が作用し、これら工
具が早期に破損して工具交換が頻繁に必要になり生産性
が悪化するとゝもに、工具費が多く必要となるため製造
コストが高くなる、といった問題があった。
【0007】また、前記特許第2824410号公報の
発明ではさらに、外径側球面形状リングの外径寸法と内
径寸法が近いいわゆる薄肉リングの場合、リングの内径
面に円周方向の引けキズが発生するといった問題点があ
る。すなわち、外径側球面形状リングの外径寸法と内径
寸法が近いいわゆる薄肉リングの場合、例えば特許第2
825800号公報に開示されているように、図10に
示す円筒状素材Xの両端面をダイ側の円筒状成形体2
4とパンチ側の筒状押圧体32によって軸方向に圧縮
し、前記円筒状素材Xの中間部分を対称形状の半割球
面成形部21a,31aをもつダイ21とパンチ31お
よび中央ガイドピン23とによる密閉状の成形部内に膨
出させて、外周を球面状に成形する際、外径面側の膨出
変形に引っ張られるように内径面側も径が拡大してしま
う。そのため、外径側球面形状リングの所定の長さ寸法
に成形するため、さらに円筒状素材Xの両端面を軸方
向に圧縮した場合に、図11に示すように、外径側球面
形状リングXの内径面に円周方向の引けキズKが発生
し、健全な薄肉の外径側球面形状リングが得られないと
いった致命的な問題点があった。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記のような
従来の諸問題点を解決するために成されたもので、冷間
鍛造加工によって外径側球面形状リングを製造する場合
において、外径面に円周方向の帯状突起物(ばり)が発
生せず、また内径面に有害なキズの発生がない外径側球
面形状リングを得るとゝもに、工具寿命を向上させるこ
との出来る鍛造方法を提供することを目的としたもので
ある。
【0009】前記の目的を達成するため、本願の第1発
明は、外径面が球面状に膨出した外径側球面形状リング
を冷間鍛造により製造する方法であって、あらかじめ製
品となる前記外径側球面形状リングの端面の直径より大
きく、該外径側球面形状リングの最大外径よりも小さい
外径と、前記外径側球面形状リングの内径より小さい内
径を有するカップ状素材を形成し、次いで、前記外径側
球面形状リングの外径面および端面の成形部を片端面側
づつそれぞれ有するパンチとダイを用い、前記カップ状
素材をその底端面側から押圧して、該カップ状素材の開
口側の端面を、製品内径を成形するインサートピンと前
記ダイとで形成される成形空間部内に流動させ、該カッ
プ状素材の外径面中央付近を膨出させて球面状に成形す
るとゝもに、端面付近の外径面を絞り込んで球面状に成
形し、前記パンチ,ダイ及びインサートピンで形成され
る成形空間部内への前記カップ状素材の充満が、外径面
中央付近と開口側端面付近とで同時に完了するように成
形した後、内径側の余肉部を含む底部を打ち抜いてリン
グ状部品とすることを特徴とする外径側球面形状リング
の製造方法であり、本願の第2の発明は、前記第1発明
において、カップ状素材の底部を、該カップ状素材の円
筒部の長さ方向に対して一方の端面側に偏った位置に形
成したことを特徴とする外径側球面形状リングの製造方
法である。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明を図1乃至図4に示
す実施形態により詳細に説明する。図1は本発明方法の
各鍛造工程を示したもので、図中、Aはカップ状素材、
Bは外径側が球面形状のカップ状部材、Rは製品となる
外径側球面形状リングであり、gは底部、gは後述す
る第3工程(III)で打ち抜かれる内径側の余肉部と前記
底部gとが一体になった打ち抜き部である。
【0011】図1の第1工程(I)に示す前記カップ状
素材Aは、その外径は製品となる前記外径側球面形状リ
ングRの端面Rの直径aより大きく、かつ該球面形状
リングRの外径面Rの最大外径bよりも小さくそれぞ
れ形成されており、また前記カップ状素材Aの内径eは
前記外径側球面形状リングRの内径cより小さく形成さ
れている。ここで、このカップ状素材Aの前記底部g
は、該カップ状素材Aの円筒部の長さ方向に対して中心
位置ではなく、一方の端面側に偏った位置に形成されて
いる。
【0012】図1の第2工程(II)は、前記外径側球面
形状リングRの外径面R及び端面Rの成形部を片端
面側づつ夫々有するパンチとダイを用い、前記カップ状
素材Aをその底端面側から押圧して、該カップ状素材A
の反対側の開口側端面を、製品内径を成形するインサー
トピンと前記ダイとで形成される成形空間部内に流動さ
せ、このカップ状素材Aの外径面中央付近を膨出させて
球面状に成形するとゝもに、端面付近の外径面を絞り込
んで球面状に成形する工程である。また、図1の第3工
程(III)は、前記第2工程(II)で形成された外径側が
球面形状のカップ状部材Bから、その内径側の余肉部と
前記底部gからなる打ち抜き部gを打ち抜いて、製品
となる外径側球面形状リング部品Rとする工程である。
【0013】ここで、前記第2工程(II)の実施形態を
図2乃至図4により詳細に説明すると、図2は本発明の
鍛造方法における第2工程(II)の加工開始直前の状態
を示したものである。パンチ1とダイ2のそれぞれの前
面側には、該パンチ1とダイ2のそれぞれの前面が僅か
の隙間を介してお互いに近接したときに、製品となる外
径側球面形状リングRの外径面Rが所定寸法の球面形
状となるように、片端面側づつの概略半割球面成形部1
aと2aがそれぞれ設けられている。
【0014】そして、前記パンチ1内には、外径側球面
形状リングRの内径cと等しい外径を有するピン11が
設置されており、また前記ダイ2内には、外径側球面形
状リングRの内径cと外径が等しく、先端面3aと外径
面とが滑らかな円弧rでつながれたインサートピン3が
前記ダイ2と相対移動しないように設置されている。さ
らに、このダイ2内には、ダイ2の内径面2bとインサ
ートピン3の外径面との間に円筒状のダイ側素材けり出
しスリーブ4が摺動自在に設置されている。
【0015】そして、前記ダイ側素材けり出しスリーブ
4の最後退時には、その先端面4aが前記ダイ2の半割
球面成形部2aの最後部に位置して、外径側球面形状リ
ングRの外径面R及び端面Rの成形部を形成する。
鍛造終了後は、前記ダイ側素材けり出しスリーブ4が前
方に移動して、前記ダイ2およびインサートピン3から
外径側が球面形状のカップ状部材Bを分離排出する。こ
こで、前記インサートピン3の先端面3aは、ダイ2の
前記半割球面成形部2aの最後部から必要長さだけ突き
出している。
【0016】図2に示す第2工程(II)の加工開始直前
では、カップ状素材Aの内径eは前記外径側球面形状リ
ングRの内径cより小さく形成されており、インサート
ピン3の外径は外径側球面形状リングRの内径cと等し
いから、ダイ側において、カップ状素材Aはまずその開
口側(図中、下側)の端面Aaがインサートピン3の先
端面3aと接する。一方パンチ側では、前記カップ状素
材Aの外径は、製品となる外径側球面形状リングRの端
面Rの直径aより大きく、また該球面形状リングRの
外径面Rの最大外径bよりも小さいから、カップ状素
材Aはパンチ1の半割球面成形部1aにおいて、パンチ
前面側から半割球面成形部1aの最後部にかけての途中
の位置で接することになる。
【0017】図3は第2工程(II)の加工途中の状態を
示したものである。ダイ2に対しパンチ1が相対的に前
進移動し、パンチ1とピン11およびダイ2とインサー
トピン3により、カップ状素材Aは両端面側からそれぞ
れ圧縮される。ここで、カップ状素材Aの底部g側(図
中、上側)は、その端面側の前記外径側球面形状リング
Rの端面Rに相当する部分の金型成形部内への充満が
加工初期に完了し、パンチ1の成形部最後部面1cおよ
びパンチ1の半割球面成形部1aとピン11の一部によ
って押圧される。
【0018】また、カップ状素材Aの開口側の端面Aa
は、まずその内径側がインサートピン3によって押し広
げられる変形と、内径側の余肉部がインサートピン3の
先端面3aによって底部g側へ押し込まれる変形とが同
時に起こり、ついで、該カップ状素材Aの外径面がダイ
2の半割球面成形部2aと接触し、ダイ2の半割球面成
形部2aによって端面側の外径面側からも押圧されるよ
うになる。そのため、該カップ状素材Aにはその外径面
中央付近が膨出され外径が拡大する変形と、開口側の端
面付近の外径が絞り込まれて、該開口部側の端面がダイ
2の半割球面成形部2aの最後部側(すなわち、ダイ側
素材けり出しスリープ4の先端面4a方向側)へ移動す
る変形と、開口部側の内径面の余肉部がインサートピン
3の先端面3aによって底部g側へ押し込まれる変形と
が同時におこる。
【0019】図4は第2工程(II)の加工完了時の状態
を示したものである。パンチ1,ピン11およびダイ
2,インサートピン3でそれぞれ形成される成形空間部
内へのカップ状素材Aの充満が、外径面中央付近B
開口部側の端面Bとで同時に完了することによって、
カップ状素材Aの外径面を球面形状に成形する際に、該
素材Aのパンチ1とダイ2との合わせ面に対応する部分
に、円周方向の帯状突起物(ばり)が発生することはな
い。
【0020】また、加工初期から加工末期にわたる加工
過程の大部分において、カップ状素材Aの圧縮は、パン
チ1,ピン11及びダイ2の半割球面成形部2aとイン
サートピン3によって行われ、厚みの薄い円筒形状であ
るダイ側素材けり出しスリーブ4の先端面4aはカップ
状素材Aの端面Aa部によって加工末期にのみ押圧さ
れ、またこの時、ダイ2の前記半割球面成形部2aおよ
びインサートピン3も加工荷重を分担して受けているか
ら、素材けり出しスリーブ4が薄い円筒状形状であって
も、また、カップ状素材Aの変形抵抗が高い冷間鍛造で
あっても、該素材けり出しスリーブ4が早期に破損する
ことはない。
【0021】なお、図3に示す第2工程(II)の加工中
において、外径面を球面状に成形する際、外径面中央付
近の膨出変形に引っ張られるように内径面側も径が拡大
してしまう傾向は幾分発生するが、本発明の鍛造方法で
は、カップ状素材Aの内径eは前記外径側球面形状リン
グRの内径cより小さく形成され、この内径側を外径側
球面形状リングRの内径cと外径が等しいインサートピ
ン3で押圧するようにしたから、外径側が球面形状のカ
ップ状部材Bの、内径側の余肉部と開口部側の内径面と
の接続部jにおいて、外径側球面形状リングRに残留す
るような有害な引けキズの発生はない。
【0022】また、カップ状素材Aの底部gは、カップ
状素材Aの円筒部の長さ方向に対して中心位置ではな
く、一方の端面側に偏った位置に配置するよう形成され
ているから、カップ状素材Aの底端面近傍における外径
面側の膨出変形は軽微で、外径側が球面形状のカップ状
部材Bの、内径側の余肉部と底部g側の浅い穴部内径面
との接続部mにおいて、外径側球面形状リングRに残留
するような有害な引けキズの発生はない。
【0023】なお、ここではダイの構成部品を、ダイ2
と素材けり出しスリーブ4とに分割して、該素材けり出
しスリーブ4を摺動自在に設置し、成形後の外径側が球
面形状のカップ状部材Bをこの素材けり出しスリーブ4
によってダイ2及びインサートピン3から分離排出する
ようにしたが、成形後の外径側が球面形状のカップ状部
材Bをダイから分離排出する他の方法、例えば、インサ
ートピン3をダイと摺動自在に設置して、成形後にイン
サートピンを一旦前進させて外径側が球面形状のカップ
状部材Bをダイ前方へ突き出した後、ダイ前面とカップ
状部材Bとの間にストッパー(図示せず)を挿入して、
次いでインサートピンを後退させて、ストッパーによ
り、カップ状部材Bからインサートピンを引き抜く方法
等を用いれば、ダイ2と素材けり出しスリーブ4とを一
体化する構造としてもよい。
【0024】
【実施例】つぎに、本発明の実施例を説明すると、軸受
鋼(SUJ2)の線材からせん断で鍛造用素材を切出
し、外径面の最大外径(球面直径)約21.1mm,端
面の直径約16.8mm,内径約13.9mm,長さ約
12.7mmの図1の(III)に示すような外径側球面形
状リングRを、図1に示す本発明の鍛造工程で、多段パ
ーツホーマにて一連の鍛造加工により製造した。なお、
本実施例では、鍛造用素材を切出した後、図示しない据
込み加工を行って素材形状を矯正した後、第1工程
(I)で押出し加工を行ってカップ状素材Aを形成し
た。ここで形成したカップ状素材Aの外径は20.0m
mで、内径は12.5mmである。
【0025】上記カップ状素材Aを第2工程(II)にお
いて、外径面中央付近を膨出させて球面状に成形し、端
面付近の外径面を絞り込んで球面状に成形するとゝも
に、外径側球面形状リングRの内径と外径が等しいイン
サートピンで内径面を成形することにより、パンチ,ピ
ンおよびダイ,インサートピンで形成される成形空間部
内への素材の充満が、外径面中央付近と開口部側端面と
で同時に完了し、素材のパンチとダイとの合わせ面に対
応する部分での円周方向の帯状突起物(ばり)が発生す
ることはなかった。さらに、この第2工程(II)のダイ
側素材けり出しスリーブは厚みが約1.5mmの非常に
薄い円筒形状であるにもかかわらず、量産鍛造でも何ら
破損は発生しなかった。
【0026】次いで、第3工程(III)において、前記第
2工程(II)で形成された外径側が球面形状のカップ状
部材Bの内径側の余肉部と底部gからなる打ち抜き部分
を打ち抜いて外径側球面形状リングRを製造するこ
とができた。
【0027】一方、本発明の他の実施例として、カップ
状素材Aの外径を19.5mm,内径を12.0mmと
して、前記外径側球面形状リングRを図1の鍛造工程で
製造したが、外径面中央部に円周方向の帯状突起物(ば
り)が発生することはなく、内径面に円周方向の引けキ
ズの発生もない、健全な薄肉の外径側球面形状リングを
製造することができた。
【0028】これに対し、図5の第1工程(I)で示す
ように、カップ状素材Aー1の内径を前記外径側球面形
状リングRの内径と等しく、その底部gー1を前記カッ
プ状素材Aー1の円筒部の長さ方向に対して中心位置に
それぞれ形成し、外径側球面形状リングRー1を図5の
鍛造工程で製造した場合、図5の第2工程(II)におい
て、外径面の膨出変形に引っ張られるように内径面の一
部も径が拡大して、前記底部gー1と円筒部の内径面と
の境界に引けキズkが発生する。そして、図5の第3工
程(III)に示すように、前記底部gー1からなる打ち抜
き部分を打ち抜いた後も、外径側球面形状リングRー1
の内径面中央付近2個所に円周方向の引けキズkが残留
し、健全な薄肉の外径側球面形状リングを製造すること
ができなかった。
【0029】
【発明の効果】本発明に係る外径側球面形状リングの製
造方法は、上記のような構成であるから、外径側球面形
状リングの外径寸法と内径寸法が近いいわゆる薄肉リン
グの場合でも、その内径面に有害な円周方向の引けキズ
が発生せず、健全な薄肉の外径側球面形状リングを安定
して製造することができ、しかもカップ状素材の内外径
寸法を本発明の範囲内で比較的広く選択できる。
【0030】また、本発明の製造方法では、カップ状素
材の外径面を球面形状に成形する際に、素材のパンチと
ダイとの合わせ面に対応する部分に、円周方向の帯状突
起物(ばり)が発生することはなく、鍛造のままで高精
度な外径側球面形状を形成でき、後加工の手間のかかる
外径面の切削加工が不要となるので、生産性が向上しか
つ低コストで外径側球面形状リングを製造することがで
きる。
【0031】更に、本発明の製造方法では、加工初期か
ら加工末期にわたる加工過程の大部分において、カップ
状素材の圧縮はパンチ,ピン及びダイの半割球面成形部
とインサートピンによって行われ、厚みの薄い円筒形状
であるダイ側素材けり出しスリーブの先端面はカップ状
素材の端面によって加工末期にのみ押圧され、またこの
時、ダイの成形部及びインサートピンも加工荷重を分担
して受けているから、素材けり出しスリーブが薄い円筒
状形状であっても、また素材の変形抵抗が高い冷間鍛造
であっても素材けり出しスリーブが早期に破損すること
はなく、かかる工具費を最小限に抑えることができると
ゝもに、工具交換の頻度が少なく生産が安定して、製造
コストを低く抑えることができる、といった諸効果があ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る外径側球面形状リングの製造方法
の鍛造工程を示す図である。
【図2】図1における第2工程(II)の加工開始直前の
状態を示す全体図である。
【図3】同第2工程(II)の加工途中の状態を示す拡大
部分図である。
【図4】同第2工程(II)の加工完了時の状態を示す拡
大部分図である。
【図5】比較した鍛造工程を示す図である。
【図6】従来の鍛造方法における加工完了時の状態を示
す全体図である。
【図7】同上方法で鍛造した製品の断面図である。
【図8】従来の他の鍛造方法における加工開始直前の状
態を示す全体図である。
【図9】同上加工完了時の状態を示す全体図である。
【図10】従来の更に異なる鍛造方法における加工途中
の状態を示す拡大部分図である。
【図11】同上加工完了時の状態を示す拡大部分図であ
る。
【符号の説明】
1 パンチ 1a 半割球面成形部 2 ダイ 2a 半割球面成形部 3 インサートピン 4 ダイ側素材けり出しスリーブ 4a 先端面 A カップ状素材 Aa 端面 g 底部 B カップ状部材 B 外径面中央付近 B 端面 R 外径側球面形状リング R 外径面 R 端面 a 端面の直径 b 最大膨出部の外径 c 内径
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 川田 陽子 富山県新湊市八幡町3丁目10番15号 日本 高周波鋼業株式会社富山製造所内 (72)発明者 岡本 寛 富山県新湊市八幡町3丁目10番15号 日本 高周波鋼業株式会社富山製造所内 (72)発明者 中田 光昭 富山県高岡市石丸708番地の16 エヌケイ 精圧株式会社内 Fターム(参考) 4E087 AA05 AA06 AA09 AA10 BA15 CA21 CA33 CB03 DA04 DB05 EC12 EC13 EC18 EC24 EC37 EC43 HA25 HB08 HB11

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 外径面が球面状に膨出した外径側球面形
    状リングを冷間鍛造により製造する方法であって、あら
    かじめ製品となる前記外径側球面形状リングの端面の直
    径より大きく、該外径側球面形状リングの最大外径より
    も小さい外径と、前記外径側球面形状リングの内径より
    小さい内径を有するカップ状素材を形成し、次いで、前
    記外径側球面形状リングの外径面および端面の成形部を
    片端面側づつそれぞれ有するパンチとダイを用い、前記
    カップ状素材をその底端面側から押圧して、該カップ状
    素材の開口側の端面を、製品内径を成形するインサート
    ピンと前記ダイとで形成される成形空間部内に流動さ
    せ、該カップ状素材の外径面中央付近を膨出させて球面
    状に成形するとゝもに、端面付近の外径面を絞り込んで
    球面状に成形し、前記パンチ,ダイ及びインサートピン
    で形成される成形空間部内への前記カップ状素材の充満
    が、外径面中央付近と開口側端面付近とで同時に完了す
    るように成形した後、内径側の余肉部を含む底部を打ち
    抜いてリング状部品とすることを特徴とする外径側球面
    形状リングの製造方法。
  2. 【請求項2】 カップ状素材の底部を、該カップ状素材
    の円筒部の長さ方向に対して一方の端面側に偏った位置
    に形成したことを特徴とする請求項1記載の外径側球面
    形状リングの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2007210014A (ja) * 2006-02-09 2007-08-23 Nsk Ltd 突出部を備えた筒状部材の製造方法及び製造装置
CN112264568A (zh) * 2020-09-30 2021-01-26 宝鸡石油机械有限责任公司 石油钻机循环系统用钻井泵空气包外壳胎模锻造方法
CN112296111A (zh) * 2020-10-10 2021-02-02 中国兵器工业第五九研究所 大型复杂异形结构件的塑性成形方法
CN112705907A (zh) * 2019-10-24 2021-04-27 邱晨 一种预制构件连接套筒的制造方法及制造装置

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