JP2001115082A - ラテックス型塗料組成物 - Google Patents

ラテックス型塗料組成物

Info

Publication number
JP2001115082A
JP2001115082A JP29082999A JP29082999A JP2001115082A JP 2001115082 A JP2001115082 A JP 2001115082A JP 29082999 A JP29082999 A JP 29082999A JP 29082999 A JP29082999 A JP 29082999A JP 2001115082 A JP2001115082 A JP 2001115082A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
polymerization
segment
monomer
resistance
meth
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP29082999A
Other languages
English (en)
Inventor
Tomohisa Tasaka
知久 田坂
Tetsuya Nakamura
哲也 中村
Motoyuki Sugiura
基之 杉浦
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
NOF Corp
Original Assignee
NOF Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NOF Corp filed Critical NOF Corp
Priority to JP29082999A priority Critical patent/JP2001115082A/ja
Publication of JP2001115082A publication Critical patent/JP2001115082A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Paints Or Removers (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Graft Or Block Polymers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 優れた耐候性、すなわち、良好な耐水性、光
沢保持性、耐クラック性、耐ブリスター性、及び耐黄変
性を示すと共に、耐溶剤性等にも優れた塗膜を形成する
ことのできるラテックス型塗料組成物を提供する。 【解決手段】 一段目重合として、シクロアルキル基を
有するビニル系単量体aと、必要に応じてシクロアルキ
ル基を有さないビニル系単量体b−Aとを、重合開始剤
としてポリメリックペルオキシドを用いて、そのペルオ
キシ結合の分解率が20〜80%の範囲になるまで水系
で乳化重合し、連鎖中にペルオキシ結合を有する重合体
を生成する。次いで二段目重合として、シクロアルキル
基を有さないビニル系単量体b−Bを、前記一段目重合
により得られた生成物に添加した後、残存する重合開始
剤のペルオキシ結合が分解する温度で乳化重合すること
により、ブロック共重合体を含むラテックス型塗料組成
物を調製する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ラテックス型塗料
組成物に関する。より詳しくは、長期にわたって優れた
耐候性、すなわち、優れた耐水性、光沢保持性、耐クラ
ック性、耐ブリスター性、及び耐黄変性を示すと共に、
耐溶剤性等にも優れた塗膜を形成することのできるラテ
ックス型塗料組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】現在、塗料の大半を占める合成樹脂の中
でも、溶剤系塗料が大半を占めているが、環境対策上、
これらをラテックス型塗料を始めとする水系塗料又は無
溶剤系塗料への転換することが期待されている。
【0003】塗料用樹脂としては、従来から種々の樹脂
が使用されているが、塗膜の耐久性、中でも耐候性とい
う観点から見ると、(メタ)アクリル系樹脂が、他のビ
ニルエステル樹脂、アルキッド樹脂、ポリエステル系樹
脂等に比べて良好であり、特に耐候性の要求される分野
で幅広く使用されている。
【0004】しかしながら、従来のラテックス型塗料の
促進耐候性試験(サンシャインウェザーメーター)での
光沢保持性は、耐候性に優れた(メタ)アクリル系樹脂
を使用したものでも、たかだか1000時間レベルにす
ぎず、長期耐候性という観点からすると不十分なもので
あった。
【0005】そのため、ラテックス型塗料では、公知の
紫外線吸収剤を添加配合して改良することが行われてき
た。この方法によってある程度の効果は認められるもの
の、紫外線吸収剤の揮散、ブリードアウト、分解等のた
めに効果の持続性が乏しく、さらなる改善が必要とされ
ていた。
【0006】そこで最近では、様々な新しい技術が提案
されている。例えば、紫外線吸収性単量体を共重合する
ことによって耐候性を高める技術が、特公昭61−42
751号公報に提案されている。
【0007】また、特開平3−128978号公報に
は、ヒンダードアミン基を有する重合性紫外線安定性単
量体、シクロアルキル基含有重合性単量体、及びその他
の重合性単量体からなるエマルション型塗料用組成物が
提案されている。
【0008】また、特開平5−78606号公報には、
重合性基を含まないヒドロキシフェニル−s−トリアジ
ン誘導体を塗料に添加する方法が提案されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特公昭
61−42751号公報で開示された紫外線吸収性単量
体を共重合した方法では、一定のレベルの耐候性向上に
は有効であるものの、紫外線吸収成分に起因する黄変等
の問題を有し、長期耐候性という観点からすると必ずし
も十分なものではなかった。
【0010】また、特開平3−128978号公報及び
特開平5−78606号公報で開示された技術によって
も、その改善効果は未だ満足できるものではなかった。
【0011】したがって、本発明の目的は、優れた耐候
性、すなわち、良好な耐水性、光沢保持性、耐クラック
性、耐ブリスター性、及び耐黄変性を示すと共に、耐溶
剤性等にも優れた塗膜を形成することのできるラテック
ス型塗料組成物を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】第1の発明のラテックス
型塗料組成物は、シクロアルキル基を側鎖に有する
(共)重合体部分であるセグメントAと、シクロアルキ
ル基を側鎖に有さない(共)重合体部分であるセグメン
トBとからなるA−B型ブロック共重合体を含むもので
ある。
【0013】第2の発明は、第1の発明のA−B型ブロ
ック共重合体であって、そのセグメントAのガラス転移
温度が30℃以上のものである。
【0014】第3の発明は、第1の発明および第2の発
明の前記A−B型ブロック共重合体であって、セグメン
トA又はセグメントBを構成するビニル系単量体を、重
合開始剤としてポリメリックペルオキシドを用いて、そ
のペルオキシ結合の分解率が20〜80%の範囲になる
まで、水系で乳化重合又は微細懸濁重合を行う一段目重
合と、一段目重合にセグメントAを構成するビニル系単
量体を用いた際にはセグメントBを構成するビニル系単
量体を、一段目重合にセグメントBを構成するビニル系
単量体を用いた際にはセグメントAを構成するビニル系
単量体を、前記一段目重合により得られた生成物に添加
した後、残存する重合開始剤のペルオキシ結合が分解す
る温度で乳化重合又は微細懸濁重合を行う二段目重合と
により得られるものであることを特徴とするラテックス
型塗料組成物である。
【0015】
【発明の実施の形態】以下に、この発明について詳細に
説明する。本発明のラテックス型塗料組成物は、シクロ
アルキル基を側鎖に有する(共)重合体部分であるセグ
メントAと、シクロアルキル基を側鎖に有さない(共)
重合体部分であるセグメントBとからなるA−B型ブロ
ック共重合体を含むものである。
【0016】本明細書において、セグメントAとは、シ
クロアルキル基を有する単量体(以下、単量体aと略記
する)の単独重合体、又は単量体aとシクロアルキル基
を有さないビニル系単量体(以下、単量体bと略記す
る)との共重合体をいう。
【0017】一方、セグメントBとは、単量体bの単独
重合体、又は複数種の単量体bの共重合体をいう。
【0018】まず、前記単量体aについて以下に説明す
る。単量体aから形成される重合体部分は、塗膜の長期
耐候性、耐水性、光沢保持性、肉持性を付与する上で有
用である。
【0019】単量体aの具体例としては、シクロペンチ
ル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アク
リレート、シクロドデシル(メタ)アクリレート、及び
前記単量体aを構成するシクロアルキル基が炭素数1〜
6のアルキル基で置換されたもの等が挙げられる。ま
た、前記炭素数1〜6のアルキル基としては、メチル、
エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチ
ル、第3級ブチル、ペンチル、ヘキシル等が例示され
る。単量体aとしては、これらの一種を単独で使用して
もよいし、二種以上を組み合わせて使用することもでき
る。
【0020】A−B型ブロック共重合体の原料単量体中
に占める単量体aの含有量の好ましい範囲は、10重量
%以上90重量%以下である。さらに好ましい範囲は、
20重量%以上80重量%以下である。10重量%未満
では、シクロアルキル基に起因する塗膜の長期耐候性、
耐水性、光沢保持性、肉持性を十分に発現することがで
きなくなる傾向にある。一方、90重量%を超えると、
単量体bの(共)重合体に由来する好ましい効果、すな
わち、良好な造膜性等といった利点が充分に得られにく
くなる。
【0021】次いで、前記単量体bについて説明する。
A−B型ブロック共重合体のセグメントAの形成に使用
される単量体b(以下、単量体b−Aと略記する)及び
セグメントBの形成に使用される単量体b(以下、単量
体b−Bと略記する)は、同一のものであっても異なる
ものであってもよい。これらはA−B型ブロック共重合
体の本質的な特徴を維持しつつ、造膜性と長期耐候性を
一層顕著に発現できるようにする目的で原料単量体中に
加えられる。
【0022】単量体bの具体例としては、(メタ)アク
リル酸メチルもしくは(メタ)アクリル酸エチルもしく
は(メタ)アクリル酸n−プロピルもしくは(メタ)ア
クリル酸イソプロピル等の(メタ)アクリル酸低級アル
キル、(メタ)アクリル酸n−ブチルもしくは(メタ)
アクリル酸イソブチルもしくは(メタ)アクリル酸第3
級ブチルもしくは(メタ)アクリル酸n−ヘキシルもし
くは(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルもしくは
(メタ)アクリル酸オクチルもしくは(メタ)アクリル
酸ラウリルもしくは(メタ)アクリル酸ステアリル等の
(メタ)アクリル酸高級アルキル、酢酸ビニルもしくは
プロピオン酸ビニル等の低級脂肪酸ビニルエステル、酪
酸ビニルもしくはカプロン酸ビニルもしくは2−エチル
ヘキサン酸ビニルもしくはラウリル酸ビニルもしくはス
テアリン酸ビニル等の高級脂肪酸ビニルエステル、スチ
レンもしくはビニルトルエンもしくはビニルピロリドン
等の芳香族ビニル型単量体、(メタ)アクリル酸ヒドロ
キシエチルもしくは(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロ
ピルもしくは(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコー
ルもしくは(メタ)アクリル酸ポリプロピレングリコー
ル等の水酸基含有ビニル型単量体、(メタ)アクリルア
ミドもしくはN−メチロール(メタ)アクリルアミドも
しくはN−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド等の
アミド基含有ビニル型単量体、(メタ)アクリル酸もし
くはイタコン酸もしくはクロトン酸もしくはフマル酸も
しくはマレイン酸等のカルボン酸基含有ビニル型単量
体、ブタジエン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、(メ
タ)アクリルニトリル、フマル酸ジブチル、無水マレイ
ン酸、ドデシル無水マレイン酸、ドデシル無水コハク
酸、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アリルグ
リシジルエーテル、(メタ)アクリル酸もしくはイタコ
ン酸もしくはクロトン酸等のラジカル重合性不飽和カル
ボン酸のアルカリ金属塩もしくはアンモニウム塩もしく
は有機アミン塩、スチレンスルホン酸のようなスルホン
酸基を有するラジカル重合性不飽和単量体もしくはそれ
らのアルカリ金属塩もしくはアンモニウム塩もしくは有
機アミン塩、2−ヒドロキシ−3−メタクリルオキシプ
ロピルアンモニウムクロライドのような(メタ)アクリ
ル酸から誘導される四級アンモニウム塩もしくは(メ
タ)アクリル酸ジメチルアミノエチルもしくはビニルピ
リジンもしくは(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチ
ルのようなアミノ基を有するアルコールの(メタ)アク
リル酸エステルもしくはそれらの四級アンモニウム塩、
4−(メタ)アクリロイルオキシ−2,2,6,6−テ
トラメチルピペリジンもしくは4−(メタ)アクリロイ
ルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンも
しくは4−(メタ)アクリロイルオキシ−1,2,2,
6,6−ペンタメチルピペリジンもしくは4−(メタ)
アクリロイルアミノ−1,2,2,6,6−ペンタメチ
ルピペリジン等の重合性ヒンダードアミン系化合物、2
−ヒドロキシ−4−[2−(メタ)アクリルオキシエト
キシ]ベンゾフェノンもしくは2−ヒドロキシ−4−
[3−(メタ)アクリルオキシ−2−ヒドロキシプロプ
ポキシ]ベンゾフェノンもしくは2,2’−ジヒドロキ
シ−4−[3−(メタ)アクリルオキシ−2−ヒドロキ
シプロポキシ]ベンゾフェノン等の重合性ベンゾフェノ
ン系化合物、又は2−(2−ヒドロキシ−5−メタクリ
ロイルオキシフェニル)ベンゾトリアゾールもしくは2
−(2−ヒドロキシ−5−メタクリロイルアミノメチル
−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾールもしくは2
−(2−ヒドロキシ−5−メタクリロイルオキシエチ
ル)ベンゾトリアゾール等の重合性ベンゾトリアゾール
化合物等をあげることができる。単量体bとしては、こ
れらの群から選ばれる一種を単独で使用しても良いし、
二種以上を組み合わせて使用することもできる。
【0023】A−B型ブロック共重合体の原料単量体中
に占める単量体b、すなわち単量体b−A及び単量体b
−Bの合計含有量の好ましい範囲は、10重量%以上9
0重量%以下である。さらに好ましい範囲は、20重量
%以上80重量%以下である。10重量%未満では、ラ
テックス型塗料とした場合の造膜性が不十分となり、良
好な塗膜が得られにくくなる傾向にある。一方、90重
量%を超えると、シクロアルキル基に起因する塗膜の長
期耐候性、耐水性、光沢保持性、肉持性を十分に発現が
しにくくなる傾向にある。
【0024】A−B型ブロック共重合体におけるセグメ
ントA/セグメントBの重量比率は、10/90〜90
/10であることが好ましい。さらに好ましくは、20
/80〜80/20である。重量比率が10/90より
も小さいと、セグメントAのシクロアルキル基に由来す
る塗膜の長期耐候性、耐水性、光沢保持性、肉持性が十
分に発現されにくく、重量比率が90/10よりも大き
くなると、ブロック型共重合体の効果が減少し、ラテッ
クス型塗料とした場合に良好な塗膜が得られにくくなる
傾向にある。
【0025】本発明のラテックス型塗料組成物に含まれ
るA−B型ブロック共重合体において、セグメントAの
ガラス転移温度(Tg)は、30℃以上であることが望
ましい。
【0026】セグメントAのTgが30℃未満では、A
−B型ブロック共重合体のラテックス型塗料を用いて得
られる塗膜の強度が低下するために好ましくない。ただ
し、セグメントAの形成に用いる単量体aとしては、そ
の単独重合体のTgが30℃未満となるようなものであ
っても、共重合体のTgが30℃以上となるようにTg
を上昇させるような単量体b−Aを適宜配合すれば使用
可能となる。
【0027】なお、単独重合体のTgは「POLYME
R HANDBOOK(ポリマーハンドブック)」、第
3版、第6章、209ページに記載されている。また、
2種以上の共重合体のTgはその構成単量体の単独重合
体の加成式により求められる。
【0028】本発明に用いられるA−B型ブロック共重
合体は、加水分解を抑制するために塩基性化合物等で中
和してもよい。該塩基性化合物としては、例えばアンモ
ニア、トリエチルアミン、モルホリン、水酸化ナトリウ
ム等が挙げられる。
【0029】本発明におけるA−Bブロック共重合体の
重量平均分子量は、通常100,000〜2,000,
000である。
【0030】微細懸濁重合方法で得られるA−B型ブロ
ック共重合体分散粒子は、攪拌速度および乳化剤を選択
することにより、その平均粒子を10nm〜1μmに調
整することが好ましく、50nm〜500nmにするこ
とがさらに好ましい。10nm未満の分散粒子は安定し
た品質での製造が困難となる傾向にあり、また1μmを
超えると塗膜の表面が平滑にならなくなる傾向にある。
【0031】本発明のラテックス型塗料組成物として
は、上記A−B型ブロック共重合体をそのまま使用する
ことが出来るが、必要に応じて、例えば、充填剤、レベ
リング剤、分散剤、可塑剤、成膜助剤、安定剤、ヒンダ
ードアミン系光安定剤、ベンゾフェノン系、ベンゾトリ
アゾール系、トリアジン系等の紫外線吸収剤、染料、顔
料等の各種塗料用添加剤を適宜配合して使用することも
できる。
【0032】前記顔料としては、無機及び有機のいずれ
のタイプの顔料を用いてもよい。無機顔料の例として
は、酸化チタン、三酸化アンチモン、亜鉛華、リトボ
ン、もしくは鉛白等の白色顔料、又はカーボンブラッ
ク、黄鉛、モリブデン赤、もしくはベンガラ等の着色顔
料が挙げられ、有機顔料の例としては、ベンジジン、ハ
ンザイエロー等のアゾ化合物やフタロシアニンブルー等
のフタロシアニン類等を挙げることができる。顔料は、
これらの一種を単独で用いてもよいし、二種以上を組み
合わせて用いることもできる。
【0033】上記顔料は、塗膜の耐候性を低下させるこ
とのないように、耐候性の良好な顔料を選択することが
好ましく、例えば、白色顔料である酸化チタンとして
は、アナターゼ型の酸化チタンを用いるより、ルチル型
の酸化チタンを用いる方が好ましい。また、ルチル型の
中でも、硫酸法酸化チタンより塩素化法酸化チタンの方
が、長期耐候性を発現させる意味で好ましい。
【0034】この発明のA−B型ブロック共重合体は、
微細懸濁重合法、乳化重合法等の常法に従って合成する
ことができる。例えば、A−B型ブロック共重合体の微
細懸濁重合法の場合、ポリメリックペルオキシドを重合
開始剤として二段階の重合を行うことによって、所望の
A−B型ブロック共重合体が得られる。この重合は、公
知の製造プロセス(例えば特開平11−092541号
公報)に従って行うことができる。
【0035】上記A−B型ブロック共重合体の製造時に
用いられるポリメリックペルオキシドとは、1分子中に
2個以上のペルオキシ結合を持つ化合物である。ポリメ
リックペルオキシドとしては、例えば特公平5−416
68号公報記載の各種ポリメリックペルオキシドを、単
独で又は二種以上を組み合わせて使用することができ
る。より具体的には、例えば、下記一般式(1)および
(2)で示されるものが使用できる。
【0036】
【化1】
【0037】
【化2】 上記の式中、いずれもnは2〜20の整数である。
【0038】前記A−B型ブロック共重合体の合成方法
を、さらに詳細に説明する。一段目重合では、A−B型
ブロック共重合体中においてセグメントAを形成する
(共)重合体部分を調製する。まず、ポリメリックペル
オキシド、界面活性剤、水、単量体a、さらに必要に応
じて単量体b−Aを、ホモミキサー等の剪断力の強い攪
拌機を用いて撹拌し(以下、この工程をプレ乳化と称す
る)、単量体中にポリメリックペルオキシドを溶解又は
微分散させる。次いで、このプレ乳化液を水中に滴下し
て重合を行うことにより、連鎖中にペルオキシ結合を有
する(共)重合体が得られる。
【0039】次に、二段目重合として、一段目重合で得
られたペルオキシ結合含有(共)重合体の分散液中に、
単量体b−Bを加えて重合を行う。この結果、前記ペル
オキシ結合含有(共)重合体が、その連鎖中に含まれる
ペルオキシ結合において開裂することにより、該(共)
重合体中に単量体b−Bの(共)重合体部分(セグメン
トBを形成する)が導入されて、効率よくA−B型ブロ
ック共重合体が得られる。
【0040】なお、上記のような二段階重合において、
一段目重合で用いた単量体を二段目重合に、二段目重合
で用いた単量体を一段目に用いることもできる。すなわ
ち、一段目重合で、連鎖中にペルオキシ結合を有する、
セグメントBを形成する(共)重合体を得、二段目重合
でこれにセグメントAを形成する(共)重合体を導入し
てもよい。
【0041】ブロック共重合体の製造時の一段目重合に
用いるポリメリックペルオキシドの量は、一段目重合で
用いる単量体の総量100重量部に対して通常0.1〜
10重量部である。一段目重合における重合温度は40
〜130℃、重合時間は1〜12時間程度であり、ペル
オキシ結合の分解率が20〜80%の範囲となることが
好ましい。また、二段目重合における重合温度は通常4
0〜140℃、重合時間は2〜15時間程度である。
【0042】微細懸濁重合又は乳化重合で用いる、乳化
剤又は分散剤としては、アニオン性界面活性剤、非イオ
ン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性
剤、高分子界面活性剤、反応性乳化剤等全ての界面活性
剤が使用できる。
【0043】アニオン性界面活性剤としては、ナトリウ
ムドデシルサルフェートもしくはカリウムドデシルサル
フェート等のアルカリ金属アルキルサルフェート、アン
モニウムドデシルサルフェート等のアンモニウムアルキ
ルサルフェート、ナトリウムドデシルポリグリコールエ
ーテルサルフェート、ナトリウムスルホリシノエート、
スルホン化パラフィンのアルカリ金属塩もしくはスルホ
ン化パラフィンのアンモニウム塩等のアルキルスルホネ
ート、ナトリウムラウレートもしくはトリエタノールア
ミンオレエートもしくはトリエタノールアミンアビエテ
ート等の脂肪酸塩、ナトリウムドデシルベンゼンスルホ
ネートもしくはアルカリフェノールヒドロキシエチレン
のアルカリ金属塩サルフェート等のアルキルアリールス
ルホネート、高アルキルナフタレンスルホン酸塩、ナフ
タレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ジオクチルスルホ
コハク酸ナトリウム等のジアルキルスルホコハク酸塩、
ポリオキシエチレンアルキルサルフェート塩、ポリオキ
シエチレンアルキルフェニルサルフェート塩、又はポリ
オキシエチレンアルキルアリールサルフェート塩等が使
用できる。
【0044】非イオン性界面活性剤としては、ポリオキ
シエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアル
キルアリールエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポ
リオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、グリセロ
ールのモノラウレート等の脂肪酸モノグリセライド、ポ
リオキシエチレンオキシプロピレン共重合体、又はエチ
レンオキサイドと脂肪酸アミンもしくはアミドもしくは
酸との縮合生成物等が使用できる。
【0045】カチオン性界面活性剤としては、オクタデ
シルアミン酢酸塩、テトラデシルアミン酢酸塩、牛脂ア
ルキルプロピレンジアミン酢酸塩、オクタデシルトリメ
チルアンモニウムクロライド、ドデシルトリメチルアン
モニウムクロライド、ヘキサデシルトリメチルアンモニ
ウムクロライド、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロ
ライド、テトラデシルジメチルベンジルアンモニウムク
ロライド、オクタデシルジメチルベンジルアンモニウム
クロライド等が使用できる。
【0046】両性界面活性剤としては、ジメチルアルキ
ルラウリルベタイン、ジメチルアルキル(ヤシ)ベタイ
ン、アクリルグリシン、アミドベタイン型、イミダゾリ
ン型等が使用できる。
【0047】高分子界面活性剤としては、ポリビニルア
ルコール、ポリ(メタ)アクリル酸ナトリウム、ポリ
(メタ)アクリル酸カリウム、ポリ(メタ)アクリル酸
アンモニウム、ポリ(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチ
ル、ポリ(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、又は
これらの重合体の構成単位である重合性単量体の2種以
上の共重合体もしくは他の単量体との共重合体等が使用
できる。また、クラウンエーテル類等の相関移動触媒等
も、界面活性を示すものとして有用である。
【0048】反応性乳化剤としては、花王株式会社製の
ラテムルS−180もしくはS−180A、第一工業製
薬株式会社製のアクアロンRNシリーズもしくはHSシ
リーズもしくはニューフロンティアA−229Eもしく
はN−177E、三洋化成工業株式会社製のエレミノー
ルJS−2もしくはRS−30、日本乳化剤株式会社製
のAntoxMS−60もしくはMS−2NもしくはR
A−1120もしくはRA−2614もしくはRMA−
564もしくはRMA−568もしくはRMA−111
4、旭電化工業株式会社製のアデカリアソープNE−1
0もしくはNE−20もしくはNE−40、又は新中村
化学工業株式会社製のNKエステルM20GもしくはM
−40GもしくはM−90GもしくはM−230G等が
使用できる。
【0049】本発明のラテックス型塗料組成物は、建
材、コンクリート壁、木工用品、家電製品、鉄鋼製品、
大型構造物、自動車等の広い用途に使用することができ
る。
【0050】
【実施例】以下、実施例によって本発明を説明するが、
本発明は下記の実施例によって制限を受けるものではな
い。
【0051】 <塗料組成物の調製:実施例1、3〜5
>攪拌機、温度計、冷却器、滴下ロート、窒素ガス導入
管のついたフラスコにイオン交換水70重量部を仕込ん
だ後、窒素ガスを吹き込みながら攪拌下に70℃まで昇
温した。他方、別のビーカーに界面活性剤、イオン交換
水、ポリメリックペルオキシド(表中ポリPOと記載)
と、単量体a(及び実施例3においては単量体b−A)
を表1に示した配合割合で添加した後、ホモミキサーに
より10,000回転/分で10分間、室温で攪拌して
プレ乳化液を得た。得られたプレ乳化液を、先のフラス
コへ1時間かけて滴下し、さらに1時間重合を行って、
連鎖中にペルオキシ結合を有する、セグメントAを形成
する(共)重合体を得た(一段目重合)。
【0052】次いで、先のフラスコ内へ、さらに単量体
b−Bを1時間かけて滴下して70℃で1時間重合し、
引き続き80℃に昇温して2時間重合を行った(二段目
重合)。得られたラテックス液をトリエチルアミンを用
いて中和し、目的のラテックス型塗料組成物を得た。粒
度分布測定の結果、平均粒径は150〜200nmであ
った。
【0053】
【表1】
【0054】
【化3】
【0055】
【化4】
【0056】 <塗料組成物の調製:実施例2>一段目
重合において単量体a(及び単量体b−A)の代わりに
単量体b−Bを用い、二段目重合において単量体b−B
の代わりに単量体aを用いた他は、上記実施例1及び実
施例3〜5と同様にしてラテックス型塗料組成物を調製
した。粒度分布測定の結果、平均粒径は150〜200
nmであった。
【0057】 <塗料組成物の調製:比較例1>攪拌
機、温度計、冷却器、滴下ロート、窒素ガス導入管のつ
いたフラスコにイオン交換水70重量部を仕込んだ後、
窒素ガスを吹き込みながら攪拌下に70℃まで昇温し
た。それとは別に、ビーカーに、ビニル系単量体、界面
活性剤、イオン交換水、重合開始剤を表1に示した添加
割合で添加した後、室温でホモミキサーにより1000
0回転/分で10分間攪拌した。その混合液を、先のフ
ラスコへ1時間かけて滴下し、さらに5時間重合し、そ
の後さらに80℃に昇温し2時間重合を行った。得られ
たラテックス液をトリエチルアミンを用いて中和を行
い、ランダム共重合体のラテックス型塗料組成物を得
た。粒度分布測定の結果、平均粒径は150〜200n
mであった。
【0058】 <塗膜の調製>上記のようにして得られ
たラテックス型塗料組成物を、ガラス板上に乾燥膜厚2
0μmの塗膜になるようにバーコーターを用いて塗布
し、室温で1週間乾燥して塗膜を得た。この塗膜を試験
片として用い、以下の塗膜性能を評価し、結果を表2に
示した。
【0059】 <性能評価:光沢(光沢保持率)>グロ
スメーターを用いて光沢(60゜)を測定した。また、
サンシャインウエザーメーターを用いて促進した試験片
についても光沢(60゜)を測定し、2,000時間、
3,000時間および4,000時間後の光沢保持率を
調べた。
【0060】 <性能評価:耐水性>また、耐水性の評
価として50℃、3日間温水浸漬した後の表面状態を評
価した。なお、耐水性の評価基準は、5段階で数値の大
きいものほど優れていることを示す。
【0061】
【表2】
【0062】以上の結果より、A−B型ブロック構造の
共重合体を有しない比較例1のラテックス塗料から得ら
れた塗膜は、耐水性が不十分であり、耐候性に関しても
大きな問題を有していることが知られた。
【0063】これに対し、シクロアルキル基を有する単
量体から形成された重合体部分、セグメントAを含むA
−B型ブロック構造を有する実施例1〜5のラテックス
型塗料用組成物は、耐水性、耐候性に優れた塗膜を形成
することが明らかとなった。
【0064】
【発明の効果】本発明のラテックス塗料用組成物は、耐
候性、すなわち耐水性、光沢保持性、耐クラック性、耐
ブリスター性、耐黄変性に優れた塗膜を形成することが
できる。したがって、本発明のラテックス塗料用組成物
は、幅広い分野での使用が期待できる。
フロントページの続き Fターム(参考) 4J002 BP031 FD050 FD090 GH01 4J026 HA06 HA09 HA10 HA11 HA12 HA15 HA19 HA23 HA33 HA34 HB06 HB09 HB10 HB11 HB12 HB15 HB19 HB23 HB33 HB34 HE01 4J038 CG141 CH031 CH041 CH071 CQ001 MA08 MA10 MA13

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シクロアルキル基を側鎖に有する(共)
    重合体部分であるセグメントAと、シクロアルキル基を
    側鎖に有さない(共)重合体部分であるセグメントBと
    からなるA−B型ブロック共重合体を含むラテックス型
    塗料用組成物。
  2. 【請求項2】 前記A−B型ブロック共重合体の前記セ
    グメントAのガラス転移温度が30℃以上である請求項
    1記載のラテックス型塗料組成物。
  3. 【請求項3】 前記A−B型ブロック共重合体が、 前記セグメントA又は前記セグメントBを構成するビニ
    ル系単量体を、重合開始剤としてポリメリックペルオキ
    シドを用いて、そのペルオキシ結合の分解率が20〜8
    0%の範囲になるまで水系で乳化重合又は微細懸濁重合
    を行う一段目重合と、 前記一段目重合に前記セグメントAを構成するビニル系
    単量体を用いた際には前記セグメントBを構成するビニ
    ル系単量体を、前記一段目重合に前記セグメントBを構
    成するビニル系単量体を用いた際には前記セグメントA
    を構成するビニル系単量体を、前記一段目重合により得
    られた生成物に添加した後、残存する前記重合開始剤の
    ペルオキシ結合が分解する温度で乳化重合又は微細懸濁
    重合を行う二段目重合とにより得られるものであること
    を特徴とするラテックス型塗料組成物。
JP29082999A 1999-10-13 1999-10-13 ラテックス型塗料組成物 Pending JP2001115082A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP29082999A JP2001115082A (ja) 1999-10-13 1999-10-13 ラテックス型塗料組成物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP29082999A JP2001115082A (ja) 1999-10-13 1999-10-13 ラテックス型塗料組成物

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2001115082A true JP2001115082A (ja) 2001-04-24

Family

ID=17761033

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP29082999A Pending JP2001115082A (ja) 1999-10-13 1999-10-13 ラテックス型塗料組成物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2001115082A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014237817A (ja) * 2013-06-07 2014-12-18 ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー ポリ(シクロヘキシルエチレン)−ポリアクリレートブロックコポリマー、その製造方法及びそれを含む物品
WO2022006509A1 (en) * 2020-07-02 2022-01-06 Behr Process Corporation Dirt pick up resistant latex resin

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014237817A (ja) * 2013-06-07 2014-12-18 ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー ポリ(シクロヘキシルエチレン)−ポリアクリレートブロックコポリマー、その製造方法及びそれを含む物品
US10202479B2 (en) 2013-06-07 2019-02-12 Regents Of The University Of Minnesota Poly(cyclohexylethylene)-polyacrylate block copolymers, methods of manufacture thereof and articles comprising the same
WO2022006509A1 (en) * 2020-07-02 2022-01-06 Behr Process Corporation Dirt pick up resistant latex resin
US20220002558A1 (en) * 2020-07-02 2022-01-06 Behr Process Corporation Dirt pick up resistant latex resin
CN116194539A (zh) * 2020-07-02 2023-05-30 贝洱工艺公司 耐沾污性乳胶树脂
US11945967B2 (en) * 2020-07-02 2024-04-02 Behr Process Corporation Dirt pick up resistant latex resin

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6017992A (en) Production of polymer emulsions
JP4604048B2 (ja) 水性樹脂組成物及びそれを用いた水性塗料用耐候性向上材、熱可塑性樹脂用耐候性向上材、溶剤系塗料用耐候性向上材
AU2013214126A1 (en) Use of a polymer composition
CA3032277C (en) Ambient self-crosslinkable latex
CN102741363A (zh) 水可溶胀聚合物材料
US4791151A (en) Multilobals
CN102143934A (zh) (甲基)丙烯酸酯单体、聚合物和涂料
BRPI0805538A2 (pt) aglutinante contendo nanopartìculas
US6930143B2 (en) Acrylic latex composition
US6646041B2 (en) Aqueous dispersion of addition polymer particles
CN1394921A (zh) 保留活性成分的耐水组合物和方法
AU600860B2 (en) Non-aqueous dispersion, method of manufacture and use thereof
JP3404160B2 (ja) メタクリル系ラッカー組成物
JP5685001B2 (ja) 制振材用エマルション及び制振材配合物
JP4786789B2 (ja) 顔料分散用水性樹脂組成物の製造方法
JP2001115082A (ja) ラテックス型塗料組成物
WO2020127857A1 (en) Polymodal and alkali soluble resin supported emulsion polymers
JPH03128978A (ja) エマルション型塗料用組成物
US5030666A (en) Multilobals
US7858695B2 (en) Aqueous polymer dispersion
JP2009270064A (ja) 制振材用エマルション組成物
TW200406461A (en) Improved plastic composition
JP5258141B2 (ja) 水性樹脂分散体及び製造方法
JP7198146B2 (ja) 塗料用水性樹脂組成物
JP2001019856A (ja) 水性樹脂分散液およびこれを用いた塗料用組成物