JP2001114878A - 共重合ポリエステル又は共重合ポリエステルアミドの製造方法 - Google Patents

共重合ポリエステル又は共重合ポリエステルアミドの製造方法

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JP2001114878A
JP2001114878A JP29099399A JP29099399A JP2001114878A JP 2001114878 A JP2001114878 A JP 2001114878A JP 29099399 A JP29099399 A JP 29099399A JP 29099399 A JP29099399 A JP 29099399A JP 2001114878 A JP2001114878 A JP 2001114878A
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Rie Shirahama
理恵 白浜
Osamu Kidai
修 木代
Masaru Honma
賢 本間
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 強度、耐熱性に優れたシークェンスの制御さ
れた液晶性ポリエステル(アミド)の製造方法を提供す
る。 【解決手段】(a)〜(d)の工程を含有する、(1)〜
(3)を主構成単位とする液晶性共重合ポリエステル(ア
ミド)の製造方法。 (1) -OCH2CH2O- (2) -OC-R1-CO- (R1:C618の2価の芳香族炭化水
素基) (3) -O-Φ-CO- (-Φ-:1,4-フェニレン基) 工程 (a):〜を用い、必要に応じ、を加え、無水
酢酸を加え170℃以下でアセチル化反応させる (1)の80%以上相当の-O-Φ-CO-OCH2CH2O- を有す
る化合物 HOOC-R1-COOH R2O-Φ-COOH(R2:H又はアセチル基) HOCH2CH2OHヒト゛ロキシアミン 類、以外のシ゛オール類、アミノカルホ゛ン酸類、シ゛アミ
ン類及び/又はその誘導体 (b):(a)の反応物を常圧又は加圧下で昇温する (c):260℃を越え320℃以下で減圧を開始し重
縮合反応を行なう (d):(a)のアセチル化反応終了時から(c)で減
圧開始する前の間に、第V〜VIII族の遷移金属化合物を
添加する

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、シークエンスがよ
り交互的に制御された新規な液晶性ポリエステル又はポ
リエステルアミド[以下、両者を総称してポリエステル
(アミド)と記載することもある]の製造方法に関する
ものである。本発明の製造法によると重合速度が速く、
昇華が少ないだけでなく、本発明の製造方法により得ら
れる液晶性ポリエステル(アミド)は、高弾性率であ
り、引張強度、曲げ強度、衝撃強度等が高く、さらに高
伸度であるため靭性があり、かつ同一組成、同一組成比
においては、従来のものに比べ力学特性だけでなく、耐
熱性にも優れているものである。
【0002】本発明の液晶性ポリエステル(アミド)
が、このような優れた特性を示しうるのは、成形時にサ
ーモトロピックな液晶を形成し、且つシークエンスが従
来より交互的に制御されていることに依るのである。そ
れ故、本発明の液晶性ポリエステル(アミド)は成形材
料、フィルム、繊維等の製品として非常に有用であり、
特に成形材料としては、自動車部品、電気、電子部品、
薄物成形品、精密成形品として好適である。又、固体耐
熱温度と充分に溶融しうる温度との差が小さいために、
高耐熱性の割に低温で重合できるという重合上の利点も
ある。
【0003】
【従来の技術】近年、液晶性ポリエステルは、高弾性
率、高強度が要求される用途に適したポリエステルとし
て注目されるようになった。特に、ジャーナル・オブ・
ポリマー・サイエンス・ポリマー・ケミストリー・エデ
ィション14巻(1976年)2043頁、USP3,
778,410、USP3,804,805及び特公昭
56−18016号公報にW.J.ジャクソンらがポリ
エチレンテレフタレートとアセトキシ安息香酸とからな
る熱液晶高分子を発表してから、より高い関心が集まる
ようになった。これらの報文の中でジャクソンらは、こ
の液晶高分子がポリエチレンテレフタレートの5倍以上
の剛性、4倍以上の強度、25倍以上の衝撃強度を発揮
することを報告し高性能樹脂への新しい可能性を示し
た。しかしながら、このジャクソンらによるポリマーは
非常に脆く、強度、伸度が低いという欠点があった。そ
の欠点は、ポリマー中における下記式(4)で示されるp
−オキシ安息香酸残基の連鎖の割合が非常に多い、つま
り統計的にブロック的であることが主原因になっている
と考えられる。 (4) -O-Φ-CO-O-Φ-CO- (以下、-Φ-は1,4-フェニレ
ン基を表す) これはシークエンス及びその分布、並びに組成分布が広
範囲にわたって分布している、すなわち不均一性が大き
いためだと推察される。
【0004】本出願人らは、以前にジャクソンらの開発
したポリエステルの破断伸度を改良した共重合ポリエス
テルを提案した(特開昭60−186527号)が、そ
の共重合ポリエステルは、p−オキシ安息香酸単位の連
鎖である上記(4)の結合部分を少なくするという思想に
基づいており、この(4)を減少させようとするのは上述
の理由によるのである。しかしながら、特開昭60−1
86527号中の製法や特開昭60−186525号の
製法によれば、できるだけ最初にp−オキシ安息香酸が
連鎖しないように工夫されているにもかかわらずランダ
ム重合体しかできず、破断伸度も充分改良されず、又、
特開昭64−26632や特開平2−45524等の方
法も提案されているが、これらの方法を用いても(4)の
連鎖は多く統計上ランダムなものしか得られず、強度や
破断伸度等の物性はあまり芳しいものではなかった。
【0005】さらに特開平3−56527、特開平3−
59024及び特開平4−218526では、出発原料
として下記式(5)等を用いて重縮合する方法が示されて
いる。 (5) -O-Φ-COCH2CH2O-OC-Φ-O- しかし、特開平3−56527や特開平3−59024
には、式(1)、(2)及び(3)の3構成単位成分のみからな
るポリエステルについては何ら言及されておらず、加え
て触媒についても何ら記載されていない。
【0006】本発明者等は、先に下記式(6)及び(7)で示
される化合物を使用すると、統計的交互のポリエステル
が生成し、力学強度の向上や耐熱性の向上がなされるこ
とを提案した(特開平4−218526、特開平4−3
09520)。 (6) M1O-Φ-COOCH2CH2OOC-Φ-OM2 (7) M3O-Φ-COOCH2CH2OH (上記式中、M1、M2、M3 は水素原子及び/又はアセチ
ル基を示す。) その際、触媒の一例としてFe(acac)3 を例示したが、そ
の後の検討により、Fe(acac)3 を単に使用するだけで
は、シ−クェンスは統計的に交互に制御できないことが
判明した。そこで、式(1)、(2)及び(3)等を主構成単位
とするポリエステル(アミド)を製造する際、シ−クェ
ンスを統計的に交互に制御するためには、製造工程中の
昇温過程で260℃迄に、少なくとも1度は反応系を減
圧状態にすることが効果的であることを提案した(特開
平5−271396)。しかしながら、アセチル化後に
反応系を減圧することは、製造上に問題がある、即ち、
本格或いはパイロット操作を行う場合、エステル化槽を
減圧にしなければ成らないという操作上での欠点があっ
た。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】式(1)、(2)及び(3)を
主構成単位とする共重合ポリエステルを、上記のような
通常の重縮合反応方法で製造すると、p−ヒドロキシ安
息香酸が自己縮合した式(4)の連鎖ができやすく、その
ため生成したポリマーには脆さが残り、又、耐熱性も低
下するので、今一歩改良された方法が希求されていた。
本発明者等は、かかる状況に鑑み、重合プロセスにおけ
る昇華を抑制することができ、又、得られる液晶性ポリ
エステル(アミド)が従来よりも更に統計的交互のシー
クェンスを示すことによって、機械的強度及び耐熱性が
従来以上に優れている新規な液晶性ポリエステル(アミ
ド)を製造するための方法を提供することを目的とし、
鋭意検討した。そこで、本発明者等は、耐熱性や強度に
優れたシークェンスが統計的交互になっているポリマー
につき、その構造や組成をよく調べた結果、ポリマー中
にFe成分を含有するものが優れた特性を有することを
見出し、このFe成分が重合時のシークェンス制御に何
等かの関与をしているものと推察した。
【0008】そして、下記の2つの反応において、Fe
化合物を使用すると、末端同士のエステル化反応(1
0)の速度は速い(促進される)が、末端と主鎖とのエ
ステル交換反応(11)速度は、遅い(抑制される)こ
とが判った。 -Φ-COOH + CH3COO-Φ-CO- → -Φ-COO-Φ-CO- + CH3COOH↑ (10) -Φ-COOCH2CH2OOC-Φ- + CH3COO-Φ-CO- → CH3COOCH2CH2OOC-Φ- + -Φ-COO-Φ-CO- (11) (尚、反応(10)は、エステル化反応というよりは、エス
テル交換反応というべきかもしれないが、(11)と区別す
る為に便宜的に(10)をエステル化反応と呼ぶ。)
【0009】(10)式の一例として、 -Φ-COOH + CH3COO-Φ-COOCH2CH2OOC-Φ-O-→ -Φ-COO-
Φ-CO-OCH2CH2OOC-Φ-O- (10−1)+ CH3COOH↑ (11)式の一例として、 -O-Φ-COOCH2CH2OOC-Φ-O- + CH3COO-Φ-CO- → CH3COOCH2CH2OOC-Φ-O- + -O-Φ-COO-Φ-CO- (11−1) (下線部 は式(4)に相当する)を示せば、式(10−1)
からエステル化反応では、-O-Φ-CO-OCH2CH2OOC-Φ-O-
の構造は変化せず、式(11−1)からエステル交換反応
により、(4)の構造が生成する、即ち、エステル交換反
応により、(4)の構造が増大していくことが判る。
【0010】一方、重合反応を無触媒で実施した場合
は、(10)及び(11)のいずれの反応速度も遅く、そのた
め、シークェンスがランダム化し、力学特性(強度、衝
撃強度など)が悪化する。また、触媒として周期律表第
I族〜第IV族の中から選ばれた金属化合物(例えば、T
i化合物やZn化合物など)を使用した場合は、いずれ
の速度も速く、そのため、この場合もシークェンスがラ
ンダム化し、力学特性(強度、衝撃強度など)が悪化す
ることが判った。本発明者等は、先に、製造過程におけ
る昇温時に減圧にした後、周期律表第V族〜第VIII族に
属する遷移金属の金属化合物を添加することによって、
昇華を押さえ、シークェンスが、統計的交互になり、力
学特性(強度、衝撃強度など)を向上し得ることを示し
た(特開平4−218526)が、操作上の問題が無
く、より効果的に優れた特性のポリマーを製造するため
の方法について、更に検討を進めた結果、周期律表第V
族〜第VIII族に属する遷移金属の金属化合物を、所定の
条件下で添加すれば、昇温時に系を減圧にしなくても生
成ポリマーのシークェンスが統計的交互になり、力学特
性(強度、衝撃強度など)や耐熱性が向上することを知
得した。即ち、アセチル化終了時(常圧でも)以降、重
合時に減圧に入る前までに、周期律表第V族〜第VIII族
に属する遷移金属の金属化合物を添加することにより、
統計的交互体が得られ、その結果、強度(衝撃強度や引
っ張り強度、曲げ強度など)や耐熱性が飛躍的に向上す
ることを見出し、本発明に到達したのである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解
決するためのもので、その要旨は、下記式(1)、(2)およ
び(3)を主構成単位とする液晶性共重合ポリエステル又
はポリエステルアミドの製造方法において、(a)〜
(d)の工程を含有することを特徴とする製造方法に存
する。 (1) -OCH2CH2O- (2) -OC-R1-CO- (式中、R1は炭素数6〜18の2価の芳
香族炭化水素基を示す) (3) -O-Φ-CO- 工程 (a):出発物質として、下記化合物、及びを用
い、必要に応じ及び/又はを加え、さらに無水酢酸
を加えた後170℃以下の温度でアセチル化反応させる 式 -O-Φ-CO-OCH2CH2O- の構造を有する化合物を、
構成単位(1)の80%以上に相当する量 HOOC-R1-COOHで示される芳香族ジカルボン酸(式中、
1は炭素数6〜18の2価の芳香族炭化水素基を示
す) R2O-Φ-COOHで示されるp-ヒドロキシ安息香酸類(式
中、R2は、水素又はアセチル基を表す) HOCH2CH2OH ヒドロキシアミン類、ジオール類(但しを除く)、
アミノカルボン酸類、ジアミン類及び/又はその誘導体 (b):(a)の反応物を常圧又は加圧下で昇温する (c):次いで、260℃を越え320℃以下の温度範
囲で反応系の減圧を開始し重縮合反応を行なう (d):工程(a)のアセチル化反応の終了時点から工
程(c)における減圧を開始する迄の間に、周期律表第
V族〜第VIII族に属する遷移金属の中から選ばれた遷移
金属の化合物を添加する
【0012】本発明の好適な態様として、周期律表第V
族〜第VIII族に属する遷移金属の中から選ばれた遷移金
属化合物が鉄化合物であり、該遷移金属化合物は、上記
工程(b)で200℃以上に昇温された後添加され、更
に、該遷移金属化合物は、少なくとも2回に分割して添
加されることを挙げることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、式(1)、(2)および(3)を主構成単位とする液
晶性共重合ポリエステル(アミド)の製造方法であり、
工程(a)〜(d)を含有するものである。 工程(a):本発明の液晶性共重合ポリエステル(アミ
ド)は、前記式(1)、(2)および(3)を主構成単位とする
ものであり、出発原料として下記化合物、及びを
用い、必要に応じ及び/又はを使用するものであ
る。 式 -O-Φ-CO-OCH2CH2O- の構造を有する化合物を、
構成単位(1)の80%以上に相当する量 HOOC-R1-COOHで示される芳香族ジカルボン酸(式中、
1は炭素数6〜18の2価の芳香族炭化水素基を示
す) R2O-Φ-COOHで示されるp-ヒドロキシ安息香酸類(式
中、R2は、水素又はアセチル基を表す) HOCH2CH2OH ヒドロキシアミン類、ジオール類(但しを除く)、
アミノカルボン酸類、ジアミン類及び/又はその誘導
体。
【0014】の式 -O-Φ-CO-OCH2CH2O- の構造を有
する化合物としては、下記式(6)及び(7)で示す化合物が
挙げられ、これらはp−ヒドロキシ安息香酸とエチレン
グリコールとを予め反応させ、必要によりアセチル化す
ることにより調製することができる。 M1O-Φ-COOCH2CH2OOC-Φ-OM2 (6) M3O-Φ-COOCH2CH2OH (7) (式中、M1、M2、M3 は水素原子及び/又はアセチル基
を示す。) 本発明では、これらの化合物をポリマー中の構成単位
(1)の80%以上に相当する量使用するが、特に90%
以上使用することが好ましく、更に95%以上使用する
ことが好ましく、100%使用することが最も好まし
い。また、式(6)及び(7)の化合物は、それぞれ単独で使
用しても、両方を一緒に使用してもよいが、特に(6)を
単独に使用するのがよりシ−クェンスが制御され、力学
強度が向上するので好ましい。
【0015】HOOC-R1-COOHで示される芳香族ジカルボン
酸(式中、R1は炭素数6〜18の2価の芳香族炭化水
素基を示す)としては、テレフタル酸、イソフタル酸、
4,4'-ジフェニルジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカル
ボン酸等が挙げられるが、テレフタル酸、2,6-ナフタレ
ンジカルボン酸等が好ましく、特にテレフタル酸をポリ
マー中の構成単位(2)の70%以上に相当する量使用す
ることが好ましい。R2O-Φ-COOHで示されるp-ヒドロキ
シ安息香酸類(式中、R2は、水素又はアセチル基を表
す)としては、p-ヒドロキシ安息香酸及びp-アセトキシ
安息香酸が挙げられるが、この中でp-ヒドロキシ安息香
酸を使用する方がp-アセトキシ安息香酸を使用するより
重合速度を高める点、及び原料価格が安価な点で好まし
い。p-ヒドロキシ安息香酸とp-アセトキシ安息香酸の両
方を使用してもよいが、p-ヒドロキシ安息香酸単独の方
が好ましい。
【0016】必要に応じて使用されるヒドロキシアミン
類、ジオール類(但しを除く)、アミノカルボン酸
類、ジアミン類及び/又はその誘導体としては、p-アミ
ノフェノ−ル、4,4'-ビフェノ−ル、ハイドロキノン、
メチルハイドロキノン、p-アミノ安息香酸等が挙げら
れ、これらの化合物中、OH化合物やNH2化合物において
は、p-アセトアミノフェノ−ル、p-アセトキシアニリ
ン、p-ヒドロキシアセトアニリドなどのようにアセチル
化物として使用することも出来る。これらの化合物の使
用は、任意であるが、NH2化合物を使用すれば共重合ポ
リエステルアミドを生成することが出来る。また、ジオ
−ルを使用する場合は4,4'-ビフェノ−ルを使用するの
が好ましい。
【0017】上記出発原料を順次添加し(添加順はいず
れの順でも良い)、さらに無水酢酸を添加した後170
℃以下の温度でアセチル化反応させる。反応温度として
は120℃〜170℃以下が好ましい。反応時間は0.
5〜3時間程度である。出発原料として(7)の化合物を
使用する場合は、無水酢酸を添加する前に200〜23
0℃で0.5〜2時間反応させておいてもよい。
【0018】(b)工程:次いで、上記(a)で得られ
たアセチル化反応生成物を、常圧又は加圧下で昇温す
る。その際、昇温をしながら余分の無水酢酸とアセチル
化反応で生成した酢酸を留去する。昇温速度は、通常、
240℃までは30分〜2時間で、240℃以上は30
分〜3時間で行い、アセチル化終了時点から減圧に入る
までに合計としては、通常1時間〜3.5時間で昇温す
る。温度が240℃を越えたあたりから一部縮合反応が
生起し、反応で生成してくる酢酸が流出してくる。
【0019】(c)工程:縮合反応が生起し始める温
度、即ち約240℃を超えて更に昇温を続け重合過程に
入る。重合は260℃を越え320℃以下で行うのが好
ましく、より好ましくは265〜300℃であり、最も
好ましくは265〜280℃である。260℃以下では
重合速度が非常に遅く、320℃をこえると生成するポ
リマーの物性が悪化して好ましくない。重合温度はこの
温度範囲内では低い方がエステル交換反応がおこりにく
く好ましい。重合過程中、温度は一定で行ってもよい
し、徐々に昇温するのもよい。又、反応温度が260℃
を越え320℃以下の温度範囲、好ましくは265℃を
越える温度において反応系の減圧を開始し、系を減圧に
することで縮合反応を促進させる。重合初期に760mmHg
から1mmHgまで徐々に減圧に要する時間は、30分以
上、好ましくは60分以上の時間で実施され、特に30
mmHgから1mmHgまでの減圧を徐々に行うことが重要であ
る。
【0020】(d)工程:本発明方法では、(a)工程
におけるアセチル化反応の終了時点から(c)工程にお
いて反応系の減圧を開始する迄の間に、周期律表第V族
〜第VIII族に属する遷移金属の中から選ばれた遷移金属
化合物を添加することが重要である。(c)工程での反
応系の減圧は、260℃を越え320℃以下の温度範囲
において開始されるので、遷移金属化合物の添加は、ア
セチル化反応後の(b)工程での昇温過程において行わ
れ、特に200℃を越え、減圧に入る前に添加するのが
好ましく、更に230℃を越え、減圧に入る前に添加す
るのがより好ましい。遷移金属化合物は1回で添加して
もよいが、2回以上に分け、2回目を重合(減圧開始)
直前に添加するのがより好ましい。また、場合により2
回目以降は、重合時(減圧開始後)に添加してもよい。
【0021】本発明では、この様に周期律表第V族〜第
VIII族に属する遷移金属の化合物を重合反応の特定の過
程で添加することを必須とするが、その理由は第1に酢
酸量が非常に少なくなった時点で添加することにより遷
移金属化合物が酢酸によって失活するのを避けることが
可能となることである。第2には反応系の減圧が開始さ
れた後では重縮合が本格的に進み、重合がそれなりに進
行しながら、同時にエステル交換反応もかなり起こって
しまったり、又添加のために常圧にせねばならない等の
操作上の困難があり、更に重合反応が急激に起こり、そ
のため副生する酢酸が急激に発生し泡となって、液面が
急に上昇したりして取扱上も好ましくないためである。
【0022】更に、本発明方法により周期律表第V族〜
第VIII族に属する遷移金属の金属化合物を、減圧下にし
ないで添加した場合には、減圧下の場合よりもエステル
化はより促進され、エステル交換はより抑えられる。そ
のため、生成ポリマーではシークェンスがより統計的交
互になり、力学特性(強度、衝撃強度など)がより向上
する効果がもたらされるのである。この場合、統計的交
互の度合いは、特開平4−218526中に記述したr
値を使用すると、同一系においては、r値がより小さく
なることを意味しているのである。
【0023】シークェンスの生成に係わるr値は以下の
ように定義される(特開平4−218526号参照)。
共重合ポリエステル(アミド)の上記構成単位(1)、(2)
及び(3)の各々のモル数を〔1〕,〔2〕,〔3〕と
し、式(3)で表わされるp-オキシ安息香酸単位のうち、
そのカルボニル基(−CO−)側の隣に式(1)で表わさ
れるエチレングリコール単位が存在する下式のp-オキシ
安息香酸単位を(3−1)とし、(3−1)のモル数を
〔3−1〕としたとき下記式(I)により定められるr
が、1<r のとき、組成、組成比に拘わらず、生成ポ
リマ−は統計的ブロックr≒1 のとき、組成、組成比
に拘わらず、生成ポリマ−は統計的ランダムr<1 の
とき、組成、組成比に拘わらず、生成ポリマ−は統計的
交互と称することができる。 −O−Φ−COOCH2CH2O− (3−1)
【数1】
【0024】本発明方法で製造したポリマ−は、シーク
ェンスが統計的交互であり、その度合いとしては、r<
1 のものが得られ、特にr≦0.88のものを得るこ
とができ、更に好ましくは、r<0.82、最も好まし
い場合は、r≦0.75のものが得られる。本発明方法
で得られるポリマーでは、前記式(4)の構造の連鎖が、
より少なくなり、統計的交互になるため系がより均質化
することにより力学特性、耐熱性の向上が生じたと考え
られる。また、生成ポリマーのシークェンスが統計的交
互になるだけでなく、常圧時に遷移金属化合物を添加す
ることによって、反応時の昇華もより抑えられる利点が
ある。
【0025】周期律表第V族〜第VIII族に属する遷移金
属種としては、具体的には第V族のV、Nb、Ta、第
VI族のCr、Mo、W、第VII族のMn、第VIII族のN
i、Co、Fe、Pd、Rd等が挙げられるが、これら
の中でも特に第VIII族のNi、Feが好ましく、Feが
最も好ましい。これらの金属は塩の形、例えば酢酸塩、
酸化物、アセチルアセトネート塩、アセトニルアセトネ
ート塩、塩化物等として使用される。これらの中でも酢
酸塩やアセチルアセトネート塩やアセトニルアセトネー
ト塩が好ましく、特にアセチルアセトネート塩が好まし
い。好ましい化合物の具体例としては、鉄のアセチルア
セトネート塩[Fe(acac)3]、酢酸塩[Fe(oA
c)3]、塩化物[FeCl3]等が挙げられ、特にFe
(acac)3が好ましい。これらは単独でも、混合して
使用してもかまわない。その使用量はポリマーに対して
金属化合物として20〜5000ppmであり、好まし
くは30〜1000ppm、より好ましくは50〜50
0ppm、さらに好ましくは70〜300ppmであ
る。最も好ましくは80〜150ppmである。
【0026】本発明方法によって得られる生成ポリマー
の優れた特性や、反応時の昇華の抑制等は周期律表第V
族〜第VIII族に属する遷移金属の化合物によって達せら
れるのであり、他の金属、例えば第I族やII族の化合物
を用いた場合は昇華が多かったり、重合速度が遅かった
りして好ましくない。又第II族のZnやIII族やIV族の
Tiなどを用いた場合はエステル交換反応(11)等が頻
繁に起るせいか、力学特性や耐熱性が劣り好ましくな
い。
【0027】本発明方法において、出発原料としての
〜で表される各化合物の仕込み割合は、生成ポリマー
の所望する特性に応じて適宜決められる。OH末端基数+
CH3COO末端基数とCOOH末端基の仕込量は、実質的に同等
に仕込めばよいが、耐加水分解性を向上させたりする場
合は、OH末端基数+CH3COO末端基数の方をCOOH末端基よ
り多めに仕込めばよい。逆に成形時のガス発生量を減少
させる場合は、OH末端基数+CH3COO末端基数の方をCOOH
末端基より少なめに仕込めばよい。原料中の末端基の -
OH基、CH3COO-基、 -COOH基の当量数をそれぞれ〔O
H〕、〔CH3COO〕、〔COOH〕とし、更にポリエステルア
ミドを所望する場合には、末端の-NH2基, -NHCOCH3基の
当量数をそれぞれ〔NH2〕、〔NHCOCH3〕とすると、通常
は、
【数2】 が好ましい。この値が0.80未満や1.20を越える
場合は充分な分子量にならず、強度などが向上しないの
で好ましくない。特に、
【数3】 が好ましい。
【0028】耐加水分解性を向上させる場合は、
【数4】 が好ましく、特に
【数5】 が好ましい。ポリマーの耐加水分解性は、後述する方法
で評価した場合、保持率が80%以上が好ましく、特に
90%以上が好ましく、最も好ましくは95%以上であ
る。ポリマーの成形時のガス発生量を減少させる場合
は、
【数6】 が好ましい。
【0029】添加する無水酢酸のモル数を〔(CH3CO)
2O〕とすると
【数7】 が好ましい。この値が1.0未満の時は、アセチル化が
充分に行われないので、昇華が多かったり、重合速度が
遅かったり、重合度が充分に向上しなかったりして好ま
しくない。また2.0を越える場合は、着色が激しかっ
たり、副反応が起こったりして物性が低下し、好ましく
ない。好ましくは、
【数8】 であり、更に好ましくは、
【数9】 である。原料系にOH基のない場合も系全体のCH3CO-
基の当量数に対して0.1〜0.5倍当量加えるのが好
ましい。
【0030】本発明方法により製造された共重合ポリエ
ステル(アミド)は強度が高いので薄肉成形品やフィル
ムに適している。又高流動であることより精密成形品等
に適しており、例えば自動車用部品、コンパクトディス
クやフロッピーディスク等の情報材料部品、コネクタ
ー、ICソケット等の電子材料部品等に使用されうる。
又、成形時に本発明の製造方法による共重合ポリエステ
ル(アミド)に対し、ガラス繊維、炭素繊維等の繊維
類、タルク、マイカ、炭酸カルシウム等のフィラー類、
核剤、顔料、酸化防止剤、滑剤、その他安定剤、難燃剤
等の充填剤や添加剤、熱可塑性樹脂等を添加して成形品
に所望の特性を付与することも可能である。更に又、他
のポリマーとのブレンドやアロイ化によって他のポリマ
ーの特性と本発明の共重合ポリエステル(アミド)の特
性の両方の長所を合わせもつ組成物を創出することも可
能である。
【0031】
【実施例】次に本発明を実施例により更に詳細に説明す
るが、本発明はその要旨を越えない限り以下の実施例に
限定されるものではない。なお、実施例においてポリマ
ーの各物性の測定は以下の通り実施した。 (1)溶融粘度の測定には、島津製作所製フローテスター
を用い、剪断速度1000sec-1、シリンダーノズル
の長さ/直径=20を使用した。ポリマーの溶融粘度は
50ポイズ以上である。50ポイズ未満であると力学特
性が低いので実用上使用できない。特に100ポイズ以
上で2500ポイズ以下、より好ましくは200〜15
00ポイズである。
【0032】(2)光学異方性(液晶性)は、ホットステ
ージ付偏向顕微鏡を用いて観察した。 (3)成形は日本製鋼社製0.1oz射出成形機を用いて
行い、成形片を作成した。引張特性(引張弾性率、引張
強度、破断伸度)は上記0.1oz成形品について、東
洋ボールドウィン社製TENSILON/UTM−III
Lを用いて測定した。 (4)Izod衝撃強度は、ASTM-D256に準じた三菱化学法
により1/8インチ片を使用して測定した。尚、引張特
性の破断伸度については、0.1ozの成形片(ダンベ
ル片)はASTM成形片に比べて伸びが低く、強度もか
なり低い値を示す。従って、この成形片で伸びが3.5
%以上であるとかなりねばり強いポリマーと言うことが
できる。また、3.5%未満では、かなり脆いポリマー
と言うことができる。引張強度の値は1800kg/c
2以上が好ましく、特に2000kg/cm2以上が好
ましく、更に2200kg/cm2以上が好ましく、最
も好ましくは、2400kg/cm2以上である。Iz
od衝撃強度は、30kg・cm/cm以上が好まし
く、特に、40kg・cm/cmが好ましく、最も好ま
しくは、50kg・cm/cm以上である。
【0033】(5)耐熱性の指標としては、次のようにし
て求めたDTULを使用した。即ち、DTULは0.1
oz射出成形機で得た成形片によりビカット軟化温度を
とり、一方従来製造された液晶ポリエステルや市販品の
液晶ポリエステルなどで2.5oz東芝機械社製の射出
成形機を用いて成形した成形片からHDTを求め、両者の
間に良好な相関関係があることを利用して、それを基に
求めた値である。ビカット軟化温度は、東洋精器の自動
DTUL測定装置を用い、サンプルは、上記0.1oz
成形片を用いて、50℃/hrの昇温速度で、針が1m
m侵入したところの温度である。このようにして求めた
DTULは185℃以上が好ましく、特に190℃以上
が好ましく、更に195℃以上が好ましく、より好まし
くは、200℃以上である。最も好ましくは、205℃
以上である。
【0034】(6)耐加水分解性は、プレッシャ−クッカ
−テスト(PCT)測定器を使用し、121℃、2気
圧、湿度100%で48時間後の0.1oz試験片の引
っ張り強度の保持率から求めた。 (7)r値の測定方法:生成ポリマ−をフリ−ザ−ミルで
粉砕し、それに、n-プロピルアミンを添加し、40℃で
1昼夜放置した後、1H−NMRを使用して、(3−
1)と(1)〜(3)の含量を求め、式(I)に則っ
て、r値を求めた。
【0035】参考例1 HO-Φ-COOCH2CH2OOC-Φ-OH(1,2-エチレン-ビス-4-ヒ
ドロキシベンゾエート)の合成(6−1) キシレン中にp−ヒドロキシ安息香酸とエチレングリコ
ールをp−ヒドロキシ安息香酸/エチレングリコール=
2/1(モル比)になるように仕込み、触媒としてp−
トルエンスルホン酸を仕込んだ。これをキシレンのリフ
ラックス温度まで昇温し、反応させた。反応終了後、未
反応部を水洗してとり除き、純度の高い1,2−エチレ
ン−ビス−4−ヒドロキシベンゾエートを得た。構造は
1H−NMRで確認した。
【0036】参考例2 HO-Φ-COOCH2CH2OH( 4-ヒドロキシヒドロキシエチルベ
ンゾエ−ト )の合成(6−2) p-ヒドロキシ安息香酸138重量部、Na2CO3 1重
量部、イソプロパノ−ル300重量部をオ−トクレ−ブ
に仕込み、90℃にてエチレンオキサイドを66重量部
を添加し、反応を行った。反応後、冷却して析出物を濾
過し、水により2度再結晶して融点141℃のHO-Φ-CO
OCH2CH2OHを55重量部を得た。構造は、1H−NMRで
確認した。
【0037】実施例1 ハステロイ製撹拌翼、窒素導入口、減圧口を備えたガラ
ス重合管に、1,2-エチレン-ビス-4-ヒドロキシベンゾ
エート(6−1)を41.4g(0.137モル)、テ
レフタル酸21.9g(0.132モル)およびp−ヒ
ドロキシ安息香酸37.8g(0.274モル)を仕込
み、N2−減圧置換後、さらに無水酢酸を69.9g
(0.685モル)添加し、系を撹拌しながら140℃
に昇温して1時間140℃に保った。その後2.0時間
かけて275℃に昇温するが、140℃から275℃ま
では常圧で行い(N2雰囲気下)、250℃の時点で、
まずFe(Acac)3を0.032g[仕込量(但し無
水酢酸は除く)に対し、Feとして、50ppm]添加
した。その後、更に昇温をして、275℃に達した時点
で、Fe(Acac)3を0.045g[仕込量(但し無
水酢酸は除く)に対し、Feとして更に70ppm]添
加した。その後は1時間かけて5mmHgにし、5mm
Hgで30分間重合を行ったところで充分トルクが上が
ったので重合を終了した。発泡や昇華は認められず、抜
出し性は良好であった。生成ポリマーをアミン分解しr
値を求めたところ、r値=0.74であった。ポリマー
物性は溶融粘度275℃で280ポイズ、引張り弾性率
11.4GPa、引張り強度 2480kg/cm2
引張り伸びは5.5%であった。また衝撃強度は58k
g・cm/cmであった。 DTULは210℃であっ
た。このポリマ−の耐加水分解性は、保持率98.3%
と良好であった。
【0038】実施例2 ハステロイ製撹拌翼、窒素導入口、減圧口を備えたガラ
ス重合管に、1,2-エチレン-ビス-4-ヒドロキシベンゾ
エート(6−1)を41.4g(0.137モル)、テ
レフタル酸21.9g(0.132モル)およびp−ヒ
ドロキシ安息香酸37.8g(0.274モル)を仕込
み、N2−減圧置換後、さらに無水酢酸を69.9g
(0.685モル)添加し、系を撹拌しながら140℃
に昇温して1時間140℃に保った。その後2.0時間
かけて275℃に昇温するが、その間235℃に達した
時点でFe(acac)3を0.064g[仕込量(但し
無水酢酸は除く]に対し、Feとして100ppm)添
加した。275℃に達してからは、1時間かけて5mm
Hgにし、5mmHgで30分重合を行い、その後0.
3mmHgにして1時間重合を行ったところ所定のトル
クに到達(実施例1と同一トルク)したところで重合を
終了した。昇華は殆ど認められず、抜出し性は良好であ
った。ポリマー物性は溶融粘度275℃で530ポイ
ズ、引張り弾性率9.8GPa、引張り強度2260k
g/cm2、引張り伸びは4.9%であった。また衝撃
強度は47kg・cm/cmであり、ポリマ−のDTU
Lは202℃であった。生成ポリマーをアミン分解しr
値を求めたところ、r値=0.78であった。このポリ
マ−の耐加水分解性は、保持率93.6%と良好であっ
た。
【0039】実施例3 SUS316製撹拌翼、窒素導入口、減圧口を備えたガ
ラス重合管に、4-ヒドロキシヒドロキシエチルベンゾエ
−ト(6−2)24.9g(0.137モル)、テレフタ
ル酸21.9g(0.132モル)およびp−ヒドロキ
シ安息香酸56.7g(0.411モル))を仕込み、
2−減圧置換後、無水酢酸を87.3g(0.856
モル)添加し、系を撹拌しながら140℃に昇温して1
時間140℃に保った。その後2.0時間かけて275
℃に昇温した。275℃に達した時点でFe(acac)
3を0.064g[仕込量(但し無水酢酸は除く)に対
し、Feとして100ppm]添加した。その後は1時
間かけて5mmHgにし、5mmHgで30分間重合し
た後、更に0.3mmHgで2時間重合をを行い、充分
トルクが上がった(実施例1や2と同一トルク)ので重
合を終了した。昇華はほとんど認められず、抜出し性は
良好であった。ポリマー物性は溶融粘度275℃で86
0ポイズ、引張り弾性率9.3GPa、引張り強度20
60kg/cm2、引張り伸びは4.3%であった。ま
た衝撃強度は43kg・cm/cmであった。DTUL
は191℃であった。生成ポリマ−をアミン分解し、r
値を求めたところ、r値=0.82であった。
【0040】比較例1 ハステロイ製撹拌翼、窒素導入口、減圧口を備えたガラ
ス重合管に、1,2-エチレン-ビス-4-ヒドロキシベン
ゾエート(6−1)を41.4g(0.137モル)、テ
レフタル酸21.9g(0.132モル)およびp−ヒ
ドロキシ安息香酸37.8g(0.274モル)を仕込
み、N2−減圧置換後、さらに無水酢酸を69.9g
(0.685モル)添加し、更にFe(acac)3
0.064g[仕込量(但し無水酢酸は除く)に対し、
Feとして100ppm]添加した。 その後、系を撹
拌しながら140℃に昇温して1時間140℃に保っ
た。その後2.0時間かけて常圧で(N2雰囲気下)2
75℃に昇温した。275℃に達した後減圧を開始し、
1時間かけて760mmHgから5mmHgにし、5m
mHgで30分間重合を行い、その後0.3mmHg以
下で4時間間重合を行ったところで、充分トルクが上が
った(実施例1と同一トルク)ので重合を終了した。若
干の昇華が認められた。ポリマー物性は溶融粘度275
℃で1090 ポイズ、引張り弾性率8.6GPa、引
張り強度1360kg/cm2、引張り伸びは3.3%
であった。また衝撃強度は28kg・cm/cmであっ
た。DTULは179℃であった。生成ポリマ−をアミ
ン分解し、r値を求めたところ、r値=0.96であっ
た。このポリマ−の耐加水分解性は、保持率69.3%
と不良であった。
【0041】実施例4 ハステロイ製撹拌翼、窒素導入口、減圧口を備えたガラ
ス重合管に、1,2-エチレン-ビス-4-ヒドロキシベンゾ
エート(6−1)を49.1g(0.163モル)、p−
アミノフェノール4.4g(0.04モル)、テレフタ
ル酸32.8g(0.198モル)およびp−ヒドロキ
シ安息香酸33.7g(0.244モル)を仕込み,N2
−減圧置換後、さらに無水酢酸を92.8g(0.91
モル)添加し、系を撹拌しながら140℃に昇温して1
時間140℃に保った。その後2.0時間かけて275
℃に昇温するが、140℃から240℃までは常圧で行
い(N2雰囲気下)、240℃の時点でFe(aca
c)30.038g(Feとして50ppm)を添加
し、その後常圧のまま275℃へ昇温した。275℃に
達した時点で更にFe(acac)3を0.038g
[仕込量(但し無水酢酸は除く)に対し、Feとして5
0ppm]添加した後は、減圧に入り、1時間かけて5
mmHgにし、5mmHgで30分間保持した後0.3
mmHgにし、0.3mmHgで3時間重合を行ったと
ころで充分トルクが上がった(実施例1と同一)ので重
合を終了した。昇華や発泡はほとんど認められなかっ
た。ポリマー物性は溶融粘度275℃で750ポイズ、
引張り弾性率9.3GPa、 引張り強度 2160 k
g/cm2、DTULは190℃であった。生成ポリマ
−をアミン分解し、r値を求めたところ、r値=0.7
8であった。
【0042】実施例5 ハステロイ製撹拌翼、窒素導入口、減圧口を備えたガラ
ス重合管に、1,2-エチレン-ビス-4-ヒドロキシベンゾ
エート(6−1)を49.1g(0.163モル)、テレ
フタル酸26.0g(0.157モル)、p−ヒドロキ
シ安息香酸33.7g(0.244モル)およびp−ア
ミノ安息香酸11.1g(0.081モル)を仕込み、
N2−減圧置換後、さらに無水酢酸を92.9g(0.
911モル)添加し、系を撹拌しながら140℃に昇温
して1時間140℃に保った。その後2.0時間かけて
275℃に昇温した。275℃に達した後に、Fe(a
cac)3を0.038g[仕込量(但し無水酢酸は除
く)に対し、Feとして50ppm]添加し、その後す
ぐに減圧に入った。1時間かけて5mmHgにし、5m
mHgで30分間保持した後0.3mHgにし、0.3
mmHgで3時間重合を行ったところで充分トルクが上
がった(実施例1と同一トルク)ので重合を終了した。
昇華はほとんど認められなかった。ポリマー物性は溶融
粘度275℃で830ポイズ、引張り弾性率9.0GP
a、引張り強度2030kg/cm2、DTULは19
1℃であった。
【0043】比較例2 ハステロイ製撹拌翼、窒素導入口、減圧口を備えたガラ
ス重合管に、1,2-エチレン-ビス-4-ヒドロキシベンゾ
エート(6−1)を41.4g(0.137モル)、テ
レフタル酸21.9g(0.132モル)およびp−ヒ
ドロキシ安息香酸37.8g(0.274モル)を仕込
み、N2−減圧置換後、さらに無水酢酸を69.9g
(0.685モル)添加し、系を撹拌しながら140℃
に昇温して1時間140℃に保った。その後2.0時間
かけて275℃に昇温した。275℃に達した時点でZ
n(AcO)2・2H2Oを0.034g[仕込量(但し無水酢酸
は除く)に対し、Znとして100ppm]添加し、そ
の後は1時間かけて5mmHgにし、5mmHgで30
分重合を行い、その後0.3mmHgにして2.5時間
重合を行ったところ所定のトルクに到達(実施例1と同
一トルク)したところで重合を終了した。ポリマー物性
は溶融粘度275℃で1030ポイズ、引張り弾性率
8.4GPa、引張り強度1240kg/cm2、引張
り伸びは2.8%であった。また衝撃強度は18.6k
g・cm/cmであった。ポリマ−の DTULは17
8℃であった。生成ポリマ−をアミン分解し、r値を求
めたところr値=0.98であった。このポリマ−の耐
加水分解性は、保持率56.9%と不良であった。
【0044】
【発明の効果】以上説明したように、本発明方法によれ
ば、生成するポリエステル(アミド)のシークェンス
は、特に遷移金属化合物の添加方法・時期を特定するこ
とによって、統計的交互に制御されるので、生成ポリマ
ーは耐熱性、強度に優れており、又、重合過程における
昇華も抑制することができる利点を有しているので、工
業的に優れた方法である。
フロントページの続き (72)発明者 本間 賢 神奈川県平塚市東八幡5−6−2 三菱エ ンジニアリングプラスチックス株式会社技 術センター内 Fターム(参考) 4J001 DA03 DB03 DC03 DC14 EA12 EB02 EB34 EB44 EB64 EB65 EC02 ED02 ED05 EE04D EE29A EE36A EE45A FB03 FC03 GA11 GB02 GB03 GB11 JA01 JA10 JB11 JC01 4J029 BA03 CA02 CB03A CB04A CB05A CB06A EB05A HA01 HB01 JC032 JC062 JF411 JF421 JF431 JF441 JF451 JF461 JF471 JF481 JF511 JF521 JF531 JF541 JF551 JF561 JF571 JF581 KB05 KB25 KD01 KD07 KE03 KE09

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記式(1)、(2)および(3)を主構成単位と
    する液晶性共重合ポリエステル又はポリエステルアミド
    の製造方法において、(a)〜(d)の工程を含有する
    ことを特徴とする製造方法。 (1) -OCH2CH2O- (2) -OC-R1-CO- (式中、R1は炭素数6〜18の2価
    の芳香族炭化水素基を示す) (3) -O-Φ-CO- (式中、-Φ-は1,4-フェニレン基を表
    す) 工程 (a):出発物質として、下記化合物、及びを用
    い、必要に応じ及び/又はを加え、さらに無水酢酸
    を加えた後170℃以下の温度でアセチル化反応させる 式 -O-Φ-CO-OCH2CH2O- の構造を有する化合物(式
    中、-Φ-は1,4-フェニレン基を表す)を、構成単位(1)
    の80%以上に相当する量 HOOC-R1-COOHで示される芳香族ジカルボン酸(式中、
    1は炭素数6〜1 8の2価の芳香族炭化水素基を示す) R2O-Φ-COOHで示されるp-ヒドロキシ安息香酸類(式
    中、-Φ-は1,4-フェニレン基を表し、R2は水素又はア
    セチル基を表す) HOCH2CH2OH ヒドロキシアミン類、ジオール類(但しを除く)、
    アミノカルボン酸類、ジアミン類及び/又はその誘導体 (b):(a)の反応物を常圧又は加圧下で昇温する (c):次いで、260℃を越え320℃以下の温度範
    囲で反応系の減圧を開始し重縮合反応を行なう (d):工程(a)のアセチル化反応の終了時点から工
    程(c)における減圧を開始する迄の間に、周期律表第
    V族〜第VIII族に属する遷移金属の中から選ばれた遷移
    金属の化合物を添加する。
  2. 【請求項2】周期律表第V族〜第VIII族に属する遷移金
    属の中から選ばれた遷移金属の化合物が鉄化合物である
    請求項1記載の製造方法。
  3. 【請求項3】遷移金属化合物は、工程(b)で200℃
    以上に昇温された後添加することを特徴とする請求項1
    又は2記載の製造方法。
  4. 【請求項4】遷移金属化合物は、少なくとも2回に分割
    して添加されることを特徴とする請求項1〜3のいずれ
    か一項記載の製造方法。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2003109700A (ja) * 2001-09-28 2003-04-11 Sumitomo Chem Co Ltd コネクター用液晶性ポリエステル樹脂組成物、およびコネクター

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