JP2001114434A - 積重薄板の分離装置および方法 - Google Patents

積重薄板の分離装置および方法

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JP2001114434A
JP2001114434A JP29444499A JP29444499A JP2001114434A JP 2001114434 A JP2001114434 A JP 2001114434A JP 29444499 A JP29444499 A JP 29444499A JP 29444499 A JP29444499 A JP 29444499A JP 2001114434 A JP2001114434 A JP 2001114434A
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Masayuki Tamaishi
正幸 玉石
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 簡単な構成で、厚み、材質および形状などに
よって異なる強度の低い薄板であっても、高速で、確実
に分離する。 【解決手段】 積重保持手段39の各案内部材38a〜
38d間に厚み方向に積重された状態で保持される複数
の薄板22のうち、最上位に配置される薄板22aの上
面の中央部を押圧部材30の下面29を面接触させた状
態で圧縮ばね44a〜44dのばね力によって薄板22
の強度に応じた限界荷重程度以下の押圧力で弾発的に押
圧し、周縁部25を各吸着パッド26によって吸着して
湾曲させ、この状態で昇降体33を上昇させる。薄板2
2aの中央部は、前記圧縮ばね44a〜44dによるば
ね力によって押圧部材30から適度の圧力で押圧されて
下方に凸に緩やかに湾曲し、これによって局部的に過大
な応力の発生を防ぎ、吸着分離時における薄板22の損
傷を防いで歩留まりを向上し、強度の低い薄板であって
も確実に高速で分離する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、積重された半導体
ウエハ、太陽電池セル、液晶ガラス基板などの薄板を、
最上位から順次的に吸着して分離するための積重薄板の
分離装置および方法に関する。
【0002】
【従来の技術】薄板であるたとえば半導体ウエハは、棒
状のたとえばSi単結晶のインゴットを、高速で回転す
る円板状のダイヤモンドブレードによって所定の厚みに
切断して切出し、洗浄および表面研磨などの工程を経
て、複数枚が積重された状態で分離装置へ供給され、こ
の分離装置によって最上位に配置される薄板を1枚ずつ
分離して、拡散工程などの次工程へ順次的に供給され
る。
【0003】このような薄板は、各表面が上記の研磨加
工によって高い平滑度に研磨されているが、各表面には
無数の微小な凹凸が存在する。このような薄板が上記の
ように積重された状態では、相互に対向する各表面が密
着しており、各表面の微小な凹凸は相互に嵌合し、ある
いは接触して、各表面間には微小な密閉空間を成すセル
がほぼ全面にわたって形成される。そのため、上記のよ
うに積重された複数の薄板のうち最上位に配置される薄
板を、その下に配置される薄板から順次的に剥離して分
離しようとするとき、上下に重なる各薄板の周縁部から
中央部に向って前記微小セルが徐々に大気に開放される
ように剥離しなければ、最上位の薄板とその下に配置さ
れる薄板との間に大きな真空吸着力が発生する。
【0004】このように大きな真空吸着力を発生させず
に最上位の薄板をその下の薄板から円滑に分離するため
には、最上位の薄板をその下の薄板に対して湾曲させた
状態で最上位の薄板を上昇させることによって、相互に
吸着した前記最上位の薄板とその下の薄板との間の吸着
領域が周縁部から中央部に向って減少し、最上位の薄板
を下の薄板から容易に剥離し、このようにして分離する
手法が従来から多用されている。
【0005】上記のように最上位の薄板を湾曲させて下
の薄板から分離する従来の技術は、たとえば実開平4−
72932号公報に開示されている。この従来の技術で
は、下方に臨んで開口するごむ製の吸着盤内の中央に、
吸着口よりも内側でかつ高さ方向に上方に退避して突起
部が設けられ、この吸着盤によって薄板を吸着したと
き、その薄板が上方に凸に湾曲して前記吸着口から内側
へ大きく入り込んでしまうことを阻止して適度に湾曲す
るようにし、積重された複数の薄板のうち最上位の薄板
だけを確実に分離することができるように構成されてい
る。
【0006】この従来の技術において、薄板とは、化粧
板、およびプリント配線基板等の積層成形に用いられる
樹脂含浸基材、金属箔、成形プレート、積層板、化粧
板、ならびにプリント配線基板などであるため、前述の
半導体ウエハ、太陽電池セル、および液晶ガラス基板な
どのように、厚みが0.2mm〜0.5mm程度の薄板
では、最上位の薄板を上方に凸に湾曲しても下の薄板が
吸着したままであり、確実に分離することができない。
このような上方に凸に湾曲して上の薄板を下の薄板から
分離するためには、各薄板間の吸着力に打ち勝つだけの
大きな力で上の薄板を吸着して、吸着盤を上方に引上げ
なければならず、薄く割れやすい薄板に対しては、この
従来の技術の薄板吸着装置によって分離することは、不
可能である。
【0007】他の従来の技術は、特開平2−95633
号公報に開示されている。この従来の技術では、下方に
凸に湾曲した半円筒状の吸着面を有し、この吸着面内で
開口する2つの吸引孔が形成される吸着具を備え、薄板
の中央に吸着具を接触させて各吸引孔に吸引力を導き、
薄板を吸着具の接触部分を中心として前記吸着面に沿っ
て湾曲させ、こうして湾曲した上の薄板を下の薄板から
分離することができるように構成されている。
【0008】このような従来の技術では、前述した実開
平4−72932号公報に開示される従来の技術のよう
に、薄板を上方に凸に湾曲させて分離するのではなく、
薄板を下方に凸に湾曲させて分離するため、厚さ0.2
mm〜0.5mm程度の薄い薄板であっても、上の薄板
が下の薄板に吸着するおそれはなく、周縁部から中央部
に向って吸着領域が減少して、比較的容易に最上位の薄
板を下の薄板から分離することができるが、前記吸着具
の吸着面は半円筒状であるため、最上位の薄板の中央部
は吸着具の吸着面が線接触した状態で押さえられ、この
状態で前記接触部分の両側に形成される2つの吸引孔か
ら吸引して薄板を湾曲させると、薄板の前記吸着具との
接触部分に局部的に大きな曲げ応力が発生する。したが
って厚みおよび材質によって強度が小さい薄板であるに
も拘わらずその薄板を確実に分離するためには、吸着具
の吸着面に沿うように湾曲させるために、各吸引孔に大
きな吸引力を導く必要があり、吸引源の構成が大形化し
てしまう。
【0009】またこの従来の技術では、薄板の湾曲状態
は吸着具の吸着面の形状によって決定されるので、薄板
の材質、厚み、大きさなどの種類が異なると、それに応
じて湾曲状態も変更する必要がある。したがって分離装
置の吸着具は、吸着面の形状が異なる複数の吸着具を準
備しなければならず、部品点数が増加してしまうという
問題がある。
【0010】しかもこの従来の技術では、薄板に吸着具
が接触した状態において、前記接触部分の周囲の吸着面
と薄板との間の間隔が均等に形成されないときには、各
吸引孔から薄板に及ぶ吸引力にばらつきを生じ、吸着面
全体に均等に薄板が接触するように確実に吸着すること
ができない場合が生じ、吸着に対する確実性ないしは信
頼性が低いという問題を有する。この従来の技術におい
て、薄板は厚さ0.2mm〜0.5mm程度の半導体ウ
エハである。
【0011】他の従来の技術は、実開昭58−5672
8号公報に開示されている。この従来の技術では、上下
に昇降駆動される昇降体に中央から両側になるほど高く
なるように高さ調整された3以上の複数の吸着パッドが
設けられ、昇降体を下降させて各吸着パッドが最上位の
薄板を吸着したとき、その薄板を中央よりも両側が高く
なるように下方に凸に湾曲させ、この状態で前記昇降体
を上昇させ、下の薄板から最上位の薄板を1枚ずつ分離
することができるように構成されている。この従来の技
術において薄板は、紙、薄い金属板、銅箔のような金属
箔、プレプリグなどである。
【0012】このような従来の技術では、吸着パッドに
よって吸着される位置は両側だけでなく中間部分をも吸
着して、上記のように中央から両側になるほど高くなる
ように湾曲させ、下の薄板から分離しようとするもので
あるが、各吸着パッドの高さは中央から両側になるほど
高くなるように予め調整されているので、薄板の厚み、
材質および形状などの種類が異なる度に、各吸着パッド
の高さを正確に調整し直さなければならず、この調整作
業に手間および時間を要し、分離作業の効率が悪いとい
う問題がある。
【0013】図11は、さらに他の従来の技術の積重薄
板の分離装置を示す斜視図である。この積重基板の分離
装置は、たとえば太陽電池セルなどの厚さ0.5mm程
度の複数の薄板2を、その厚み方向に積重して保持する
積重保持手段3と、積重保持手段3によって保持される
各薄板2のうち最上位に配置される薄板2aの周縁部の
4隅を真空吸着する複数の吸着パッド4と、各吸着パッ
ド4が設けられる略H字状の昇降体5と、この昇降体5
を上下に昇降駆動する昇降駆動手段である複動空気圧シ
リンダ6と、複動空気圧シリンダ6を支持する支持体7
と、各吸着パッド4に吸引力を導く吸引源8と、最上位
の薄板2aおよびその下に配置される第2の薄板2bと
の間に向けて空気を噴射するノズル部材9と、ノズル部
材9に圧縮空気を供給する圧縮空気圧源10とを有す
る。
【0014】前記積重保持手段3は、偏平な基台13
と、基台13に立設され、各薄板2の長辺側の各側端部
の中央部分および短辺側の一側端部の中央部分を上下に
摺動自在に案内する直円柱状の金属製棒状体から成る3
つの案内部材14a〜14cと、基台13に立設され、
各薄板2の残余の短辺側の他側部の中央部付近を摺動自
在に案内する偏平な金属製板状体から成る案内部材14
dと、各薄板2が厚み方向に積重して載置される水平な
載置部材15を有し、この載置部材15を最上位の薄板
2aが分離して取出される度に、各薄板2の厚み分だけ
上昇して、最上位の薄板2aを各案内部材14a〜14
dの各上端部近傍の所定の上限位置に移動する上下移動
手段16とを備える。
【0015】上下移動手段16は、たとえば載置部材1
5の下面に上端部がスラスト方向およびラジアル方向に
軸支されるねじ軸を、ステッピングモータによって前記
薄板2の厚みに対応する回転角だけ回動するボールねじ
機構によって双方向に回動可能とし、前記載置部材15
上に載置される薄板を最上位から一枚ずつ分離される度
に、一枚の薄板の厚み分だけ上昇させて、一定の高さ位
置に順次的に供給される。
【0016】上記の各薄板2は、その厚みが100μm
〜500μm程度であり、上方から見た平面形状は長方
形である。載置部材15上に積重して載置された各薄板
2は、4側縁辺を各案内部材14a〜14dに接触させ
た状態で水平方向にずれることなく整列して上下に円滑
に移動することができ、最上位の薄板2aだけが棒状の
各案内部材14a〜14cに各側縁辺が当接した状態
で、前記棒状の案内部材14a〜14cの各上端面より
も一枚の薄板の厚み分だけ下方に上端面が配置される前
記板状の前記案内部材14d上を、図11に示されるよ
うに水平方向に移動して、次工程の処理設備へ供給する
ことができるように構成されている。
【0017】このような分離装置において、各吸着パッ
ド4に吸引源8からの吸引力が導かれた状態で、複動空
気圧シリンダ6の図示しないピストン棒が下方へ伸長す
ると、このピストン棒に連結される前記昇降体5が下降
し、各吸着パッド4が下降して、最上位の薄板2aの4
隅付近を吸着する。この状態で昇降体5は、複動空気圧
シリンダ6のピストン棒が縮退することによって、最上
位の薄板2aの4隅付近は、各吸着パッド4によって引
上げられて上方へ湾曲し、その下に配置される薄板2b
との間に薄い楔状の隙間を生じる。この隙間に前記ノズ
ル部材9から圧縮空気が吹付けられ、この噴射された空
気の噴射圧によって、下の薄板2bが下方に向けて押圧
され、このようにして最上位の薄板2aに下の薄板2b
が付着することなく確実に離反して、最上位の薄板2a
だけが分離される。
【0018】このような図11に示される積重薄板の分
離装置に類似する他の従来の技術は、特開平2−223
947号公報に開示されている。この従来の技術では、
薄板の中央部を、固定パッドによって支持した状態で、
この薄板の周縁部の両側を吸着パッドによって吸着し、
下方に配置される薄板の側縁部に板ばねの先端部を係着
させ、下の薄板が最上位の薄板に付着しないようにし
て、最上位の薄板だけを下方に凸に湾曲させて分離して
いる。この従来の技術の薄板は、鋼板である。
【0019】また実開平4−58538号公報に開示さ
れる従来の技術では、昇降体に設けられる吸着パッドに
よって薄板の4隅または4隅間の中間部を吸着した状態
で、前記昇降体を上昇させながら支持棒を下降させて薄
板の中央部を押した状態で下方に凸に湾曲させて周縁部
を下の薄板から離間させ、その後に支持棒を上方に退避
させることによって前記湾曲した上の薄板を平坦状に復
帰させ、下の薄板から分離するように構成されている。
この従来の技術の薄板は、顕微鏡用スライドグラスのカ
バーガラスである。
【0020】上記の特開平4−223947号公報およ
び実開平4−58538号公報に開示される各従来の技
術に類似するさらに他の従来の技術は、特開平7−24
2350号公報に開示されている。この従来の技術で
は、薄板の上端部近傍を吸着する複数の吸着パッドと、
下面が下方に凸の円弧面とされ、この下面によって薄板
の中央部に上方から当接する押圧部材とを有し、吸着パ
ッドおよび押圧部材を下降させ、各吸着パッドが前記薄
板の両端部近傍を吸着することによって、この薄板の中
央部が押圧部材の下面に当接して、薄板が下方に凸に湾
曲し、この状態で吸着パッドおよび押圧部材を上昇する
ことによって、最上位の薄板を分離することができるよ
うに構成されている。この従来の技術の薄板は、顕微鏡
用スライドグラスのカバーガラスである。
【0021】
【発明が解決しようとする課題】上記の図11に示され
る従来の技術では、薄板の4隅を吸着パッドによって吸
着した状態で、各吸着パッドを上昇することによって、
その薄板が下方に凸に湾曲したとき、その湾曲した薄板
と下の薄板との間の隙間にノズル部材から空気を噴射し
て上の薄板に下の薄板が付着したまま吊上げられてしま
うという不具合を防止することができるが、各薄板を高
速で分離するために各吸着パッドの上昇速度を大きくす
ると、上下の各薄板に相互に密着している吸着領域が周
縁部から中央部に向かって移動して減少する剥離速度
が、各吸着パッドによって吸着されている4隅付近の領
域の上昇速度に追従することができなくなり、薄板の吸
着領域の外周部付近で局部的に大きな角度で湾曲し、こ
の湾曲部の付け根に応力集中が生じてしまう。
【0022】このようにして薄板を高速で分離するため
に、各パッドの上昇速度を大きくすると、局部的な曲げ
によって大きな応力集中を生じるため、薄板の分離作業
の効率を向上することができないという問題がある。
【0023】また上記の特開平4−223947号公
報、実開平4−58538号公報および特開平7−24
2350号公報に示される各従来の技術では、最上位の
薄板の中央部を上方から支持した状態で、両側部を吸着
パッドによって吸着して上昇させ、これによって薄板を
下方に凸に湾曲させて分離するように構成されるが、前
述の図11に示される従来の技術と同様に、高速で分離
するために各吸着パッドの上昇速度を大きくすると、下
の薄板に対する付着領域の減少速度がその薄板の周縁部
の上昇速度に追従することができなくなり、薄板の中央
部の支持された領域の周囲が局部的に大きな角度で湾曲
して応力集中が生じてしまうという同様な問題を有す
る。
【0024】さらにこの従来の技術では、最上位の薄板
が各吸着パッドに吸着された状態で下の薄板から上方へ
離間したとき、最上位の薄板の中央部が下方に押圧され
るので、強度の小さい薄板であれば、その薄板の中央部
を押圧する部材の押圧領域に局部的に大きな応力集中を
生じ、容易に破壊してしまうため、薄板の中央への押圧
力をむやみに大きくすることができない。したがって薄
板を急激に大きく湾曲することができず、下の薄板に対
して最上位の薄板が完全に分離するまでの時間が長くな
り、分離作業の速度を大きくすることができないという
問題がある。
【0025】本発明の目的は、厚さまたは材質およびそ
れらの両者に起因して強度の低い薄板であっても、高速
で1枚ずつ確実に分離することができるようにした積重
薄板の分離装置および方法を提供することである。
【0026】
【課題を解決するための手段】本発明は、吸引源と、吸
引源から吸引力が導かれ、積重された複数の薄板のうち
最上位に配置される薄板の周縁部を、上方から吸着する
複数の吸着パッドを有する吸着手段と、前記最上位の薄
板の積重方向に平行な中心軸線上に配置され、前記中心
軸線に垂直な下面を有する押圧部材によって、前記最上
位の薄板の中央部を上方から弾発的に押圧する押圧手段
と、前記吸着手段および押圧手段が設けられ、最上位の
薄板よりも上方で昇降変位する昇降体と、最上位の薄板
がその下に配置される第2の薄板上に支持された状態
で、各吸着パッドが最上位の薄板の周縁部を吸着し、か
つ押圧部材が前記最上位の薄板の中央部を弾発的に押圧
する下降位置と、前記最上位の薄板が第2の薄板から上
方に離間した上昇位置とにわたって、前記昇降体を昇降
駆動する昇降駆動手段と、前記複数の薄板が積重状態で
載置される基台に、複数の案内部材が相互に間隔をあけ
て平行に立設され、各案内部材によって、各薄板の積重
方向の移動を許容し、かつ積重方向に垂直な方向の移動
を阻止して、各薄板を積重状態で保持する積重保持手段
とを含むことを特徴とする積重薄板の分離装置である。
【0027】本発明に従えば、吸着手段は、押圧手段が
設けられる昇降体を昇降駆動手段によって下降位置に変
位すると、積重保持手段によって積重状態で保持されて
いる複数の薄板のうち最上位に配置される薄板の周縁部
が前記吸着手段の各パッドによって吸着されるととも
に、この最上位の薄板の中央部が押圧手段の押圧部材に
よって上方から弾発的に押圧される。押圧部材の前記最
上位の下面は、最上位の薄板の積重方向に平行な中心軸
線に垂直であり、したがって押圧部材の下面は最上位の
薄板の中央部に面接触して弾発的に押圧している。
【0028】このように最上位の薄板の中央部は、前記
従来の技術のように点接触した状態で押圧されるのでは
なく、ある一定の面積を有する平坦状の下面によって押
圧されるので、各吸着パッドが薄板の周縁部を吸着した
状態で昇降体が上昇動作を開始すると、薄板の中央部は
前記押圧部材の下面によって、その下に配置される薄板
上で押圧されて支持された状態とされ、さらに昇降体が
上昇することによって、前記下の薄板上で支持されてい
る中央部は下の薄板から上方へ離間し、下の薄板から離
間する。このとき、上の薄板の中央部は下の薄板によっ
て下方への変位が制限されないので、押圧部材の下面に
よって前記中央部が支持された状態で略球面状に緩やか
に湾曲する。
【0029】したがって下の薄板から上方へ引き上げら
れて分離した薄板には、前記従来の技術のように、局部
的に大きな角度で湾曲する部位が発生することが防が
れ、応力集中が生じる恐れがなく、薄板の割れおよび亀
裂などの損傷が防がれて歩留りが向上され、簡単な構成
で、複数の薄板を1枚ずつ高速で分離することが可能と
なる。
【0030】また最上位の薄板の中央部を上記のように
平坦な下面を有する押圧部材によって弾発的に押圧した
状態で、周縁部を吸着手段の各吸着パッドによって吸着
してその薄板を下方に凸に湾曲させるので、押圧部材を
下に配置される領域もまた下方に凸に湾曲して2枚目の
薄板を自己の弾性回復力によって弾発的に押圧し、これ
によって最上位の薄板をその下に配置される薄板から分
離する際に、剥離するための無理な力を最上位の薄板に
作用させる必要がなくなる。そのため昇降体、したがっ
て各吸着パッドを高速で上昇させても、最上位の薄板の
湾曲状態に応じた自己の弾性によって2枚目の薄板への
付着領域を周縁部から中央部に向って高速で縮退させて
離間することができ、これによって高速で分離すること
が可能となる。しかも押圧部材は薄板の中央を弾発的に
押圧するので、この押圧部材による薄板への弾発力を分
離しようとする薄板の材質、厚み、および形状などに起
因する強度に応じて適宜調整することによって曲げ強度
が小さい薄板であっても割れなどを生じることなしに確
実に1枚ずつ高速で分離することが可能となる。
【0031】さらに前記積重保持手段は、基台に複数の
案内部材が相互に間隔をあけて平行に立設され、これら
の案内部材によって各薄板の積重方向の移動を許容し、
かつ積重方向に垂直な方向の移動を阻止して各薄板を積
重状態に保持することができるので、前記昇降駆動手段
によって昇降体が下降位置に配置されたとき、各吸着パ
ッドを常に最上位に配置される薄板の周縁部の所定の位
置を吸着し、かつ押圧部材が前記最上位に配置される薄
板の中央部の所定の位置を弾発的に押圧するように各薄
板を上から下へ順次的に位置決めして配置することがで
き、これによって最上位の薄板の配置上のずれに起因し
て最上位の薄板の湾曲状態が前記積重方向に平行な中心
軸線に関してずれを生じ、最上位の薄板の上面または下
面が各案内部材のうちの1つまたは複数に接触して損傷
し、または各吸着パッドが薄板の吸着位置から外れて吸
着ミスを生じたという不具合が確実に防がれ、高速分離
に伴う積重薄板の位置決め精度の低下を無くし、連続し
て高速分離することが可能となり、分離作業の効率を格
段に向上することができる。
【0032】また本発明は、前記押圧手段は、前記押圧
部材と、昇降体に設けられ、前記押圧部材を、各吸着パ
ッドの下端部を共通に含む仮想一平面よりも下方に突出
した突出位置と、前記仮想一平面よりも上方に退避した
退避位置とにわたって変位自在に案内する複数の案内軸
と、押圧部材と昇降体との間で各案内軸に装着され、各
薄板の強度に応じたばね力を有する圧縮ばねとを含むこ
とを特徴とする。
【0033】本発明に従えば、押圧部材は、各吸着パッ
ドの下端部を共通に含む仮想一平面よりも下方に突出し
て設けられ、複数の案内軸によって案内されて前記仮想
一平面よりも下方に突出した突出位置と、前記仮想一平
面よりも上方に退避した退避位置とにわたって変位自在
に案内される。各案内軸には圧縮ばねがそれぞれ装着さ
れる。これらの圧縮ばねは、各薄板の強度に応じたばね
力を有し、各薄板が各吸着パッドによって周縁部が吸着
された状態で前記圧縮ばねによるばね力によって押圧部
材が薄板の中央部を弾発的に押圧したときに、たとえば
略球面状に湾曲し得る程度に設定されてもよく、または
このような湾曲形状によるのではなく、最上位の薄板と
その下の薄板との密着状態を解除し得る僅かな隙間が生
じる程度のわずかな反りを与えることができるばね力に
設定されてもよく、要するに薄板の強度、特に曲げ強度
に対する許容限度以下の曲げ荷重を与えるように押圧力
を発生するばね力に設定すればよい。
【0034】このように押圧部材による薄板の押圧力
は、圧縮ばねのばね力によって設定することができるの
で、薄板の厚み、材質、および形状などの薄板の特性に
応じて最適な強さに容易に変更することができ、これに
よって薄板を前記特性の異なる異種材料へ容易に変更す
ることができる。
【0035】さらに本発明は、吸引源から各吸着パッド
に導かれる吸引力を検出し、この吸引力に基づいて、吸
着した薄板の欠陥の有無を判別する欠陥判別手段を含む
ことを特徴とする。
【0036】本発明に従えば、吸引源から各吸着パッド
に導かれる吸引力を検出することによって薄板の欠陥、
たとえば傷、亀裂およびピンホールなどの欠陥の有無が
判別される。このように欠陥判別手段によって、欠陥を
有する不健全な薄板と健全な薄板とが判別されるので、
欠陥が存在する不健全な薄板が健全な薄板とともに後続
する処理設備に供給されてしまうことを阻止市、後続処
理を行ってから後に薄板に欠陥が存在したことが判明す
るという不具合を防ぎ、これによって無駄な処理および
加工を無くし、生産性および歩留りを向上することがで
きる。
【0037】さらに本発明は、各吸着パッドは、薄板の
周方向に沿って積重保持手段の各案内部材間の中間位置
に配置されることを特徴とする。
【0038】本発明に従えば、前記積重保持手段の各案
内部材間の中間位置に各吸着パッドが薄板の周方向に沿
って配置されるので、各吸着パッドによって薄板が吸着
されたとき、薄板の周縁部が各案内部材の1または複数
に接触した状態であっても、各吸着パッドによる吸引力
によって薄板の周縁部が上方へ湾曲したとき、その周縁
部の端面が各案内部材に大きな力で、いわばこすり付け
られるようにして摺動することが防がれ、薄板の周縁部
の側面の損傷が防がれる。
【0039】さらに本発明は、前記押圧部材は、各案内
軸に対して各案内軸の軸線に交差する方向に変位可能な
所定の自由度を有することを特徴とする。
【0040】本発明に従えば、前記押圧部材は各案内軸
の軸線に対して交差する方向に変位可能に設けられるの
で、前述のように略球面状に下方に凸に湾曲した薄板の
湾曲状態に応じて押圧部材は変位することができ、これ
によって薄板が中心軸線に関してずれた位置で湾曲して
も、そのずれに応じて押圧部材も変位し、押圧部材から
の押圧力を薄板の中心軸線に関して軸対称に作用させ、
薄板に局部的に大きな応力が発生することを防いで、応
力集中に起因する薄板の破損を防止することができる。
【0041】さらに本発明は、積重された複数の薄板の
うち最上位に配置される薄板の上面の中央部に、押圧部
材の平坦な下面を面接触させて予め定める押圧力で弾発
的に押圧し、この押圧状態を維持したままで、前記中央
部よりも外側の周縁部に吸着パッドを吸着させて、その
周縁部を前記中央部よりも上方へ湾曲させ、前記押圧部
材を各吸着パッドとともに上昇させて、前記最上位の薄
板をその下に配置される第2の薄板から分離することを
特徴とする積重薄板の分離方法である。
【0042】本発明に従えば、積重された複数の薄板に
最上位の薄板をその下に配置される第2の薄板から分離
するにあたって、最上位の薄板の中央部に押圧部材の平
坦な下面を面接触させた状態で、予め定める押圧力で弾
発的に押圧する。このとき薄板の中央部は、押圧部材の
下面から前記予め定める押圧力が分布荷重として作用し
ている。この状態で薄板の周縁部に吸着パッドが吸着す
ると、周縁部は中央部よりも上方へ湾曲する。次に前記
押圧部材および各吸着パッドを上昇させると、上記のよ
うに周縁部だけが各吸着パッドによって上方へ湾曲して
いるので、薄板の中央部は前記周縁部の湾曲方向に沿っ
て押圧部材からの弾発的な押圧力によって下方へ湾曲す
る。このとき押圧部材の下面による薄板の中央部への押
圧状態は、面接触から前記押圧部材の周縁部近傍による
部分的な接触状態に移り、したがって薄板の押圧部材に
よる押圧状態は、前記予め定める押圧力が接触面積に分
散した分布荷重から前記押圧部材の周縁部だけに集中し
た局部的な狭い範囲の押圧荷重に変化する。
【0043】このように薄板の中央部を押圧部材によっ
て押圧し、かつ各吸着パッドによって周縁部を吸着した
状態で前記押圧部材および各吸着パッドを上昇させたと
き、押圧部材による薄板への押圧状態が変化し、押圧部
材の周縁部によって薄板の中央部と周縁部との間を支持
した状態で下方に凸に湾曲する。この湾曲状態では、薄
板の中央部と周縁部との間が前記押圧部材の周縁部によ
って弾発的に押圧され、かつ周縁部は各吸着パッドによ
って上方へ向けて吸引される。したがって薄板の中央部
は、下から何ら拘束されない状態で下方へ凸に湾曲する
ことができる。すなわち薄板が湾曲状態に変形するにあ
たって、下方から拘束を受けず、いわば自然に吊下され
た状態で湾曲させることができるので、薄板に局部的に
大きな応力が発生することが防がれ、薄板に無理な荷重
を作用させずに、下の薄板から円滑にかつ確実に離間さ
せて、分離することができる。
【0044】このように薄板の中央部を局部的に押圧し
て湾曲させるのではなく、押圧部材の周縁部によって弾
発的に押圧した状態で湾曲させることができるので、薄
板に局部的に大きな応力の集中が発生せず、これによっ
て薄板を損傷せずに高速で下の薄板から分離することが
可能となる。
【0045】さらに本発明は、前記押圧部材の予め定め
る押圧力は、各薄板の強度に対する限界荷重以下に選ば
れることを特徴とする。
【0046】本発明に従えば、押圧部材による前記予め
定める応力を薄板の曲げ強度に対する限界荷重以下に選
ぶようにしたので、薄板の押圧部材によって押圧されて
もその押圧力によって損傷することが防がれ、しかも可
及的に大きな押圧力で押圧して、その薄板に不所望に大
きな応力を発生することなしに、下の薄板からより一層
高速で分離することができる。
【0047】
【発明の実施の形態】図1は本発明の実施の一形態の積
重薄板の分離装置21の一部を省略した側面図であり、
図2は積重薄板の分離装置21の図1の右斜め上方の背
後側から見た一部の斜視図であり、図3は薄板22を吸
着する前の状態の積重薄板の分離装置21を図1の右斜
め上方の正面側から見た全体の斜視図であり、図4は薄
板22を吸着した状態の積重薄板の分離装置21を図1
の右斜め上方の正面側から見た全体の斜視図である。
【0048】本実施の形態の積重薄板の分離装置21
は、吸引源23を備える吸引手段24と、吸引源23か
ら吸引力が導かれ、厚み方向に積重された複数の薄板2
2のうち最上位に配置される薄板22a(総称する場合
には薄板22と記す)の周縁部25を上方から吸着する
複数の吸着パッド26を有する吸着手段27と、前記最
上位の薄板22aの積重方向(図1の上下方向)に平行
な中心軸線28に同軸に配置され、前記中心軸線28に
垂直な下面29を有する押圧部材30によって、前記最
上位の薄板22aの中央部31を上方から弾発的に押圧
する押圧手段32と、前記吸着手段27および押圧手段
32が設けられ、最上位の薄板22aよりも上方で昇降
変位する昇降体33と、最上位の薄板22aがその下に
配置される第2の薄板22b上に支持された状態で、各
吸着パッド26が最上位の薄板22aの周縁部25を吸
着し、かつ押圧部材30が前記最上位の薄板22aの中
央部31を弾発的に押圧する図1および図3に示す下降
位置と、前記最上位の薄板22aが第2の薄板22bか
ら上方に離間した上昇位置とにわたって、前記昇降体3
3を上昇方向A1および下降方向A2に昇降駆動する真
空シリンダ34を有する昇降駆動手段35と、前記複数
の薄板22が積重状態で載置される基台37に、複数の
案内部材38a〜38dが相互に間隔をあけて平行に立
設され、各案内部材38a〜38dによって各薄板22
の積重方向の移動を許容し、かつ積重方向に垂直な方向
の移動を阻止して、各薄板22を積重状態で保持する積
重保持手段39とを含む。
【0049】前記複数の薄板22は、厚さTが0.38
mmで1辺の長さLが125mmの正方形の多結晶セル
であり、この多結晶セルは太陽電池用基板として用いら
れる。このような薄板22を1枚ずつ分離する場合、前
記押圧部材30の下面29の形状は、図1の左右方向の
幅が50mm、図1の紙面に垂直な方向の幅が40mm
の長方形であり、この下面29の図心は前記中心軸線2
8にほぼ一致しており、さらに各薄板22の図心もま
た、前記中心軸線28にほぼ一致している。このような
押圧部材30は、各薄板22の損傷を防止するために、
エンジニアリングプラスチックから成る。
【0050】前記押圧手段32は、前記押圧部材30
と、昇降体33に設けられ、前記押圧部材30を非吸着
時における各吸着パッド26の下端部41を共通に含む
仮想一平面42よりも下方に突出した突出位置と、前記
仮想一平面42よりも上方に退避した退避位置とにわた
って変位自在に案内する複数(本実施の形態では4)の
案内軸43a〜43dと、押圧部材30と昇降体33と
の間で各案内軸43a〜43dに装着され、各薄板22
の曲げ強度に応じたばね力を有する複数(本実施の形態
では4)圧縮コイルばね44a〜44dとを含む。
【0051】押圧部材30は、各案内軸43a〜43d
の下端部に各案内軸43a〜43dの各軸線に交差する
方向である垂直な方向に変位可能な所定の自由度を有す
る、いわばがたつきを有する。各案内軸43a〜43d
の上端部は、昇降体33に相互に平行に固定される。こ
れらの案内軸43a〜43dの各軸線は、前記中心軸線
28に平行である。前記昇降体33は、図1の上方から
見た平面形状が大略的にH字状であり、中央の連結部4
7と、この連結部47の図1の左右方向である長手方向
両端部に垂直に連なって形成される一対のアーム48
a,48bとを有する。各アーム48a,48bの図1
の紙面に垂直な長手方向両端部の下面には、パッド取付
治具49a〜49dがそれぞれ設けられ、各パッド取付
治具49a〜49dには前述の吸着パッド26がそれぞ
れ設けられる。
【0052】各吸着パッド26は、下方に臨んで開放す
る大略的に円錐台状に形成され、可撓性および弾発性を
有する材料、たとえば軟質ゴムから成る。このようにし
て昇降体33に取付けられる各吸着パッド26は、その
下端部41が、未吸着状態で仮想一平面42上に存在す
るので、昇降体33を下降させたとき、各吸着パッド2
6の下端部41は最上位の薄板22aの上面にほぼ同時
に周方向全周にわたってそれぞれ接触し、同時に薄板2
2aの周縁部25における4隅近傍を吸着することがで
きる。
【0053】このように昇降体33に設けられる各吸着
パッド26は、薄板22の周方向に沿って積重保持手段
39の各案内部材38a〜38d間の中間位置である中
央位置に配置される。各案内部材38a〜38dの間隔
は、各薄板22の一辺の長さLよりも各薄板22の上下
方向の移動を許容し得る程度にわずかに大きく選ばれ
る。また各案内部材38a〜38dの上端面52は、前
記積重保持手段39によって常に一定の高さ位置に配置
される最上位の薄板22aの上面よりもわずかに上方に
選ばれ、共通な仮想一水平面上に存在する。各案内部材
38a〜38dの上端面52と最上位の薄板22aの上
面との間の上下方向の間隔ΔHは、薄板22の厚みT+
αに選ばれる。ここで、αは0<α≦Tに選ばれる。
【0054】このように各案内部材38a〜38dの上
端面52の高さ位置を設定することによって、各吸着パ
ッド26によって最上位の薄板22aの周縁部25にお
ける4隅が吸着されて、図1、図2および図4に示され
るように、中央部31に対して周縁部25が上方へわず
かに湾曲すると、その薄板22aの外側縁辺の4隅近傍
は、各案内部材38a〜38dの上端面52を越えて上
方に配置されるが、各薄板22の4隅間の中間部は、各
案内部材38a〜38dに望んで対向している。これに
よって昇降体33を上昇方向A1へ上昇させたとき、最
上位の薄板22aが横振れなどによって外側縁辺が各案
内部材38a〜38dの1または複数に当接し、薄板2
2aが上昇中に不所望に横方向にずれてしまうという不
具合を確実に防止することができる。
【0055】上記の各案内部材38a〜38dは、軸直
角断面が円形のステンレス鋼製の棒状体であって、それ
らの外周面は直円筒状とされ、これによって積重状態に
おける各薄板22の外側面の各案内部材38a〜38d
への接触面積を極めて少なく、ほぼ線接触に近い状態と
することができる。これによって最上位の薄板22aが
分離されるたびに残余の薄板22を厚みTだけ上昇させ
ても、各薄板22の外側面の各案内部材38a〜38d
への摺動による損傷を格段に少なくし、あるいは無くす
ことができる。
【0056】前記昇降駆動手段35には、吸引源23か
らの真空シリンダ34および各吸着パッド26に導かれ
る吸引力を供給/遮断して真空シリンダ34による昇降
動作および各吸着パッド26による吸着動作を制御する
制御手段53が設けられる。この制御手段53は、昇降
体33の上昇位置を検出する上昇位置検出器SW1と、
昇降体33の下降位置を検出する下降位置検出器SW2
とを含み、さらに吸引源23から各吸着パッド26に導
かれる吸引力を検出し、この吸引力に基づいて、吸着し
た薄板22の欠陥の有無を判別する欠陥判別手段54を
含む。
【0057】真空シリンダ34は、前記上昇位置検出器
SW1および下降位置検出器SW2が設けられるシリン
ダチューブ55と、シリンダチューブ55内に軸線方向
に変位自在に設けられるピストン56と、ピストン56
に同軸に連結されるピストン棒57とを有する。シリン
ダチューブ55内の前記ピストン56が収納されるピス
トン室58は、前記ピストン56によって下降用圧力室
59と上昇用圧力室60とに仕切られる。このような真
空シリンダ34は、たとえば分離された最上位の薄板2
2aを後続処理設備に供給するための移動フレーム61
に、前記ピストン棒57を下方にして垂直に固定され
る。この移動フレーム61は、図1の紙面に垂直な方向
に移動するように構成されてもよく、図1の左右方向に
移動するように構成されてもよい。
【0058】図5は、吸引手段24、吸着手段27、昇
降駆動手段35、制御手段53および欠陥判別手段54
の具体的構成を説明するための系統図である。前記吸引
手段24は、前記吸引源23と、吸引源23からの吸引
力によって所定範囲の負圧に保たれる空気タンク65
と、空気タンク65の吸引力を所定の負の圧力で主管路
66に導く圧力制御弁67とを有する。前記吸引源23
は、真空ポンプ68と、このポンプ68を駆動するモー
タ69とから成る。モータ69は、空気タンク65内の
負の圧力を検出する図示しない圧力検出器からの出力に
基づいて、空気タンク65内の圧力が上記のように所定
範囲の下限値を超えて上昇したとき電力付勢され、真空
ポンプ68を駆動して前記空気タンク65内の圧力を所
定範囲の負圧に保つことができるように構成されてい
る。空気タンク65内の負圧は、前記圧力制御弁67に
よって圧力制御され、この圧力制御弁67による設定圧
力が主管路66に導かれる。この圧力制御弁67は、た
とえば可変絞り弁によって実現されてもよい。このよう
な構成によって、主管路66には常に一定範囲内の負圧
で吸引力が導かれ、この吸引力が前記制御手段53によ
って上記の昇降駆動手段35および吸着手段27に導か
れる。
【0059】前記昇降駆動手段35は、真空シリンダ3
4と、この真空シリンダ34のシリンダチューブ55の
前記ピストン56およびピストン棒57の縮退位置に設
けられる上昇位置検出器SW1と、シリンダチューブ5
5の前記ピストン56およびピストン棒57の伸長位置
に設けられる前記下降位置検出器SW2とを有する。こ
れらの上昇位置検出器SW1および下降位置検出器SW
2は、磁気検出器から成り、この磁気検出器はたとえば
リードスイッチによって実現される。シリンダチューブ
55は非磁性体から成り、ピストン56は強磁性体から
成る。
【0060】このピストン56がシリンダチューブ55
内で上昇位置検出器SW1の直前に配置されると、上昇
位置検出器SW1は導通状態から遮断状態に切換わり、
この上昇位置検出器SW1と前記制御手段53とを接続
する信号線70の検出信号はハイレベルからローレベル
に変化する。また下降位置検出器SW2は、ピストン5
6がその直前に配置されると、導通状態から遮断状態に
切換わり、この下降位置検出器SW2と前記制御手段5
3とを接続する信号線71の検出信号はハイレベルから
ローレベルに切換わる。これらの上昇位置検出器SW1
および下降位置検出器SW2は、直前にピストン56が
配置されていない状態では、それぞれ導通状態に保た
れ、各信号線70,71の検出信号はハイレベルに保た
れる。このようにして昇降駆動手段35は、昇降体33
に設けられる各吸着パッド26および押圧部材30の上
昇位置および下降位置を検出することができるように構
成されている。
【0061】前記制御手段53は、制御回路72と、複
数の電磁弁を備えるマニホールドなどによって実現され
る吸引経路切換手段73とを含む。制御回路72は、た
とえばマイクロコンピュータなどによって実現される。
この制御回路72は、図示しないメモリを備え、このメ
モリには前記複数の薄板22を1枚ずつ分離して所定の
供給し搬送する一連の分離作業の工程が予めプログラミ
ングされて記憶される。前記制御回路72は、分離作業
が開始されると、前記吸引手段24の運転を開始させ、
主管路66に前述したように所定範囲の負の圧力で吸引
力を導くとともに、昇降駆動手段35の前記上昇位置検
出器SW1および下降位置検出器SW2からの検出信号
ならびに後述する欠陥判定手段54からの判定信号を入
力して、吸引経路切換手段73を制御し、真空シリンダ
34の昇降動作および各吸着パッド26の吸着動作を、
前記プログラミングされた分離工程の手順に従って制御
し、前記吸引手段24から主管路66を介して吸引経路
切換手段73に導かれた吸引力を、第1〜第3通路74
〜76に選択的に切換えて導くことができるように構成
されている。
【0062】前記欠陥判別手段54は、第3通路76内
の圧力を検出する圧力検出器77と、この圧力検出器7
7からの出力に基づいて各吸着パッド26によって吸着
した薄板22の欠陥の有無を判定し、この判定信号を前
記制御回路72に出力する判定回路78とを含む。
【0063】図6は、判定回路78による薄板22の欠
陥の有無の判定動作を説明するためのグラフであり、横
軸は時間を示し、縦軸は負の圧力、すなわち負圧を示
す。図5をも参照して、前述の圧力検出器77は、第3
通路76内の圧力を検出し、その圧力、すなわち負圧の
大きさに応じた検出信号を導出する。この圧力検出器7
7からの圧力検出信号は判定回路78に入力される。こ
の判定回路78には、全ての吸着パッド26が欠陥のな
い健全な薄板22を吸着した状態における第3通路76
内の負の圧力、すなわち負圧の最大値よりもわずかに低
い値が判定基準圧力P0として設定される。図6のライ
ンL1で示されるように、圧力検出器77によって検出
された圧力が、吸引開始から所定時間W内に判定基準圧
力P0を超えたときには、そのとき吸着している薄板2
2は正常であると判断し、制御回路72に吸着した薄板
22が正常である旨の判定結果を出力する。また、前記
判定回路78は、圧力検出器77によって検出された圧
力が、ラインL2で示されるように、吸引開始から所定
時間Wを超えても判定レベル圧力P0に達しない場合に
は、吸着した薄板22は亀裂または割れなどの欠陥を有
するものと判断して、制御回路72に吸着した薄板22
に欠陥が存在する旨の判定結果を出力する。
【0064】このような欠陥が存在する旨の判定信号を
入力した制御回路72は、警報ランプ79を点滅動作さ
せて、オペレータに吸着中の薄板22が欠陥品である旨
を報知するとともに、制御回路72に欠陥品を排出する
ための信号を導出して、移動フレーム61をたとえば欠
陥品を回収する容器が備えられる位置に移動させ、吸引
経路切換手段73内の吸引経路を通常の吸着時の吸引力
よりも大きな吸引力を発生する通路に切換えて、第3通
路72に欠陥が存在する不良薄板が割れる程度の吸引力
を導き、その不良薄板を前記回収容器上で前記大きな吸
引力によって割った後、各吸引パッド26への吸引力を
解除して落下させ、こうして不良薄板は破砕して容器内
に回収される。
【0065】このようにして吸着した薄板22に欠陥が
存在するとき、制御回路72は警報ランプ79を点滅さ
せて警報表示するとともに、欠陥の存在する薄板22を
各吸着パッド26によって吸着したままで回収容器上に
搬送し、健全な薄板22の吸着時よりも大きな吸着力に
よって前記欠陥の存在する薄板22を破砕して破棄する
ように構成されるので、オペレータが目視では発見し得
ないような微細な欠陥であっても確実に検出して、健全
な薄板だけを次工程へ供給することができる。
【0066】図7は積重薄板の分離装置21の動作を説
明するためのフローチャートであり、図8は最上位の薄
板22aを分離する手順を簡略化して示す側面図であ
り、図9は最上位の薄板22aを分離する手順を簡略化
して示す平面図であり、図10は図9の切断面線X−X
から見た断面図である。これらの図面を参照して、上述
した積重薄板の分離装置21の動作を説明するととも
に、本発明の実施の一形態の積重薄板の分離方法を説明
する。積重薄板の分離動作が開始されると、ステップs
1で、制御回路72は吸引手段27のモータ69を駆動
させて真空ポンプ68に吸引動作させ、これによって空
気タンク65内に負圧を導いて主管路66に所定の吸引
力を導き、吸引経路切換手段73を制御して、主管路6
6と第1通路74とを接続して前記吸引力を導くととも
に、第2通路75を大気に開放して、ピストン56およ
びピストン棒57を上昇させる。
【0067】ステップs2で、上昇位置検出器SW1が
ピストン56を検出すると、制御回路72に上昇位置検
出器SW1から信号線70を介して入力される上限位置
検出信号はハイレベルからローレベルに切換わる。これ
によって、制御回路72は、ステップs3で各吸着パッ
ド26および押圧部材30が上限位置に配置されたもの
と判断して、吸引経路切換手段73内の吸引経路を、各
吸着パッド26および押圧部材30が図8(1)に示さ
れるように、上昇位置で停止するように切換え、第1お
よび第2通路74,75を遮断する。この状態では、各
吸着パッド26の下端部41は、最上位の薄板22aの
上面から間隔ΔL1をあけて離間し、また押圧部材30
の下面29は最上位の薄板22aの上面から間隔ΔL2
をあけて離間している。前記各吸着パッド26の下端部
41と最上位の薄板22aの上面との間隔ΔL1は、真
空シリンダ34に設けられる上昇位置検出器SW1およ
び下降位置検出器SW2間の間隔、すなわちピストン棒
57のストロークにほぼ等しく選ばれ、好ましくは1〜
2mm程度のわずかな距離だけ前記ストロークよりも間
隔ΔL1が小さく設定されている。これによって後述す
る各吸着パッド26によって最上位の薄板22aが吸着
されたときに、各吸着パッド26は最上位の薄板22a
の上面にほぼ同時に接触して確実に吸着し、吸着ミスの
発生を防ぐことができる。
【0068】こうして各吸着パッド26および押圧部材
30が上昇位置に配置されると、ステップs4に移り、
制御回路72は、吸引経路切換手段73に下降信号を出
力して、主管路66を第2通路75に連通させ、第1通
路74が大気に開放するように、吸引経路を切換える。
これによって吸引管路66からの吸引力は第2通路75
を介してシリンダチューブ55内の下降用圧力室59に
導かれ、また上昇用圧力室60には大気が導かれ、ピス
トン56およびピストン棒67は下方へ伸長して昇降体
33が下降する。このような下降中においては、押圧部
材30の下面29は、前述したように各吸着パッド26
の下端部41よりも下方に突出して設けられるので、図
8(2)に示されるように、各吸着パッド26が間隔Δ
L1だけ下降するに先立って、押圧部材30が最上位の
薄板22aの中央部31に接触する。
【0069】ステップs5で、ピストン棒57が下方へ
伸長されてピストン56が下降位置検出器SW2によっ
て検出されると、制御回路72への検出信号はハイレベ
ルからローレベルに切換わる。このとき上昇位置検出器
SW1の検出信号はピストン56が下降した直後にハイ
レベルに復帰しており、この状態で下降位置検出器SW
2の検出信号だけがハイレベルからローレベルに切換わ
ることによって、ピストン56が下降位置に配置された
ことが検出される。
【0070】制御回路72は、ステップs6で、吸引経
路切換手段73を、第1および第2通路74,75が遮
断され、かつ吸引管路66と第3通路76とが連通する
ように吸引経路を切換え、これによって第1および第2
流路74,75は閉鎖されてピストン56は下降位置検
出器SW2の直前に保持され、第3通路76には吸引手
段27からの吸引力が導かれ、したがって各吸着パッド
26には吸引力がそれぞれ導かれる。このように各吸着
パッド26が下限位置に配置された状態では、図8
(3)に示されるように、各吸着パッド26は最上位の
薄板22aの上面の周縁部25の4隅近傍を真空吸着す
る。また最上位の薄板22aの中央部31は押圧部材3
0の下面29によって均等に押圧される。
【0071】この状態についてさらに詳しく述べると、
各吸着パッド26の下端部41が最上位の薄板22aの
上面に接触したときには、図9および図10の実線81
で示されるように、最上位の薄板22aは湾曲しておら
ず、その下に配置される第2の薄板22bと平行である
が、各吸着パッド26内の吸引力が上昇するので、前記
最上位の薄板22aは上方へ引寄せられ、図9および図
10の仮想線82で示されるように、周縁部25の4隅
が最も大きく上方へ湾曲するが、4隅間の中間部は4隅
に比べてその湾曲量が極めて小さい。したがって薄板2
2aの周方向に沿う4隅間の中間部の各側面は、積重保
持手段39の各案内部材38a〜38dにほとんど接触
している。また薄板22aの中央部31における押圧部
材30によって押圧される領域は、下の薄板22bに接
触した状態に保たれ、周縁部25の4隅付近だけが上方
へ湾曲した状態とされる。
【0072】ステップs7で、各吸着パッド26による
最上位の薄板22aの吸着状態を維持するために、制御
回路72は吸引経路切換手段73を制御して吸引管路6
6と第3通路76との間を遮断し、これによって各吸着
パッド26による最上位の薄板22aへの吸引力は割れ
ない程度の適度の一定圧力に維持される。このような第
3通路76内の圧力は、前述の図6に関連して述べたよ
うに、圧力検出器77によって検出され、判定回路78
によって最上位の薄板22aの損傷の有無が判定されて
いる。
【0073】ステップs8で、圧力検出器77による第
3通路76内の圧力が、図6のラインL1で示されるよ
うに、時間W内に判定基準圧力P0以上であれば、ステ
ップs9で不良品を回収する容器上に移動フレーム61
を移動し、吸引経路切換手段73はさらに大きい吸引力
を導く破砕用吸引経路に切換えられ、主管路66と第3
通路76とが連通する。これによって第3通路76に
は、通常時の吸引力よりも大きな吸引力が導かれ、これ
によって各吸着パッド26の吸引力が薄板22を吸着し
たままで上昇し、欠陥を有する薄板は大きく湾曲されて
破砕され、容器内に回収される。
【0074】また圧力検出器77による検出圧力が図6
のラインL2で示されるように、判定基準圧力P0より
も小さい場合には、ステップs9へ移り、制御回路72
は吸引経路切換手段73を制御して主管路66と第1通
路74とを連通させ、かつ第2通路75を大気に開放さ
せてピストン56を上昇させる。ステップs9で上昇位
置検出器SW1がピストン56を検出してハイレベルか
らローレベルに検出信号が変化すると、制御回路72
は、吸引経路切換手段73を制御して、ピストン53を
上昇位置に維持し、各吸着パッド26へ導かれる吸引力
を一定値に維持したままで、移動フレーム61を次工程
の装置の供給位置へ移動させ、吸引経路切換手段73の
吸引経路を切換えて、各吸着パッド26によって吸着さ
れる薄板22aを下降させる。ピストン56が下降位置
検出器SW2によって決定される所定の供給位置に薄板
22aが配置されると、制御回路72は、吸引経路切換
手段73の吸引経路を切換えて第1および第2通路7
4,75を遮断し、吸着状態の薄板22aを一定の高さ
位置に供給する。
【0075】次に、各吸着パッド26への吸引力を解除
して後に、再び吸引経路切換手段73の吸引経路を切換
えて、ピストン棒57を上昇させ、ピストン56が上昇
位置検出器SW1によって検出されると、その位置にピ
ストン棒57を保持した状態で元の積重薄板上の吸着位
置へ移動フレーム61を復帰させる。
【0076】このようにして一枚の薄板22aの分離作
業が終了すると、制御回路72に内蔵される図示しない
係数回路の係数値を1つだけインクリメントし、ステッ
プs10で、薄板22を積重保持手段39によって保持
された所定枚数だけ分離したか否かが判断され、所定枚
数に達していない場合には、前述のステップs1〜ステ
ップs10を繰返し、所定枚数に達すると、前記制御回
路72は吸引手段24の吸引動作を停止させて、分離作
業を終了する。
【0077】以上のように本実施の形態によれば、押圧
部材30によって最上位の薄板22aの中央部31を弾
発的に押圧した状態で、周縁部25を各吸着パッド26
によって吸着するので、薄板22aの周縁部25は、中
央部31が押圧部材30によって押圧されることによっ
て、前記周縁部25よりも上方へ僅かに上昇して下の薄
板2bから離間させ、この状態で前記各吸着パッド26
によって周縁部25を上方へ引き上げることができ、こ
れによって上の薄板22aと下の薄板22bとの間に周
縁部25から中央部31に向かって吸着領域を減少する
方向に分離することができ、上下の各薄板22a,22
b間の吸着状態を容易かつ円滑に解除して高速で分離す
ることが可能となり、薄板の厚み、材質および形状に拘
わらず、薄板の分離作業の効率を向上することができ
る。
【0078】また昇降体33を上昇させる際には、薄板
22aの中央部31は押圧部材30の周縁部によって支
持されるので、下方に凸に湾曲した薄板22aの最下部
となる頂部に応力が集中せず、強度の小さい薄板であっ
ても破損することなく円滑に湾曲させることができ、こ
れによって0.2mm〜0.5mm程度と薄い薄板であ
っても、その厚みに対して比較的大きな湾曲率で湾曲さ
せて、確実に一枚ずつ分離することができる。
【0079】上記の実施の形態では、薄板22は太陽電
池セルであったけれども、本発明の実施の他の形態とし
て、前記薄板22は、半導体ウエハおよび液晶ガラス基
板などであってもよい。このような各種の薄板の材質お
よび厚みなどの形状に応じて、押圧部材30による押圧
力を、その薄板の強度に応じたばね力によって前記強度
を超えない程度の最適な強さに調整すればよく、また各
吸着パッド26による吸着力もまた、正常な薄板を損傷
しない程度の適度の値に設定すればよい。
【0080】
【発明の効果】本発明によれば、昇降駆動手段によって
昇降駆動される昇降体に吸着手段と押圧手段とを設け、
最上位の薄板の中央部を押圧部材によって弾発的に押圧
した状態で前記吸着手段の各吸着パッドによって周縁部
を吸着し、この状態で昇降体を上方へ変位させて最上位
の薄板を分離するようにしたので、吸着した薄板に無理
な力が作用せず、これによって局部的に大きな応力が発
生して薄板を破損してしまうという不具合を防ぎ、高速
でかつ確実に分離することが可能となる。
【0081】また本発明によれば、積重される複数の薄
板のうち最上位に配置される薄板を各吸着パッドによっ
て吸着するに先立って、押圧部材によって弾発的に押圧
し、その後に周縁部を各吸着パッドによって吸着するこ
とができので、薄板の周縁部だけを湾曲させて下に配置
される薄板から離間させ、この状態で昇降体を上昇させ
ることによって押圧部材による前記圧縮ばねのばね力に
よって得られる適度の押圧力で薄板を押圧し、これによ
って薄板を下方に凸に湾曲させたとき、薄板に局部的に
大きな曲げ応力が集中して発生することが防がれ、大き
な曲率で下方に凸に湾曲させ、これによって薄板に過大
な曲げ応力が発生することを確実に防いで薄板を破損し
てしまうことを防止し、高速で分離しかつ歩留まりを向
上することができる。
【0082】さらに本発明によれば、欠陥判別手段によ
って薄板の欠陥の有無を判別することができるので、簡
単な構成で欠陥が存在する薄板が正常な薄板に混在して
供給されてしまうことを防止することができ、これによ
って後工程の終了後に薄板の欠陥が発見されるなどの不
具合をなくし、生産性を向上することができる。
【0083】さらに本発明によれば、積重保持手段の各
案内部材間に吸着パッドが配置されるので、各吸着パッ
ドによって薄板の周縁部を吸着したときに発生した上方
への湾曲によって、その薄板が各案内部材から外れてし
まい、横方向に不所望に変位してしまうという不具合を
防ぐことができる。また各吸着パッドの薄板の周縁部の
吸着によって前記上方へ湾曲する際に、各吸着パッドの
吸着位置と案内部材が配置される位置とが薄板の周方向
にずれていることによって、薄板の側面が各案内部材に
摺接して、周縁辺が損傷するという不具合を防止するこ
とができる。
【0084】さらに本発明によれば、前記押圧部材は案
内軸に対して所定の自由度を有するので、各吸着パッド
による薄板への吸着位置のずれに対してそのずれが生じ
た方向に押圧部材が変位することができ、これによって
もまた、吸着した薄板に必要以上に大きな局部的な応力
が発生することを防止することができ、薄板の応力集中
による破損をより一層確実に防止することができる。
【0085】さらに本発明の積重薄板の分離方法によれ
ば、最上位の薄板の中央部に押圧部材の平坦な画面を予
め定める押圧力で面接触させた状態で弾発的に押圧し、
その薄板の周縁部を吸着パッドによって吸着して上方へ
湾曲させた後、押圧部材および各吸着パッドを上昇させ
ることによって、緩やかに薄板を下方に凸に湾曲させる
ことができ、これによって薄板に局部的に過度に大きな
曲げ応力が発生することが防がれ、吸着分離工程中にお
ける薄板の破損が防がれ、歩留まりを向上して高速分離
を可能とし、簡単な構成で薄板の厚みおよび材質などの
相異による曲げ強度の相異にかかわらず、確実に分離す
ることができる。
【0086】さらに本発明によれば、前記押圧部材によ
る予め定める押圧力は薄板の強度に対する限界荷重程度
以下に選ばれるので、各吸着パッドによって周縁部が吸
着されかつ前記押圧部材によって支持した状態で、その
薄板を下方に凸に可及的に大きな曲率で湾曲させて下の
薄板から離間させることができ、これによって分離作業
の効率をより一層向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態の積重薄板の分離装置2
1を示す一部を省略した側面図である。
【図2】積重薄板の分離装置21を図1の斜め上方の背
後側から見た一部の斜視図である。
【図3】薄板22を吸着する前の状態の積重薄板の分離
装置21を図1の右斜め上方の正面側から見た全体の斜
視図である。
【図4】薄板22を吸着した状態の積重薄板の分離装置
21を図1の斜め上方の正面側から見た全体の斜視図で
ある。
【図5】吸引手段24、吸着手段27、昇降駆動手段3
5、制御手段53および欠陥判別手段54の具体的構成
を説明するための系統図である。
【図6】判定回路78による薄板22の欠陥の有無の判
定動作を説明するためのグラフである。
【図7】積重薄板の分離装置21の動作を説明するため
のフローチャートである。
【図8】最上位の薄板22aを分離する手順を簡略化し
て示す側面図である。
【図9】最上位の薄板22を分離する手順を簡略化して
示す平面図である。
【図10】図9の切断面線X−Xから見た断面図であ
る。
【図11】他の従来の技術の積重薄板の分離装置および
方法を示す斜視図である。
【符号の説明】
21 積重薄板の分離装置 22,22a,22b 薄板 23 吸引源 24 吸引手段 25 周縁部 26 吸着パッド 27 吸着手段 30 押圧部材 31 中央部 32 押圧手段 33 昇降体 34 真空シリンダ 35 昇降駆動手段 38a〜38d 案内部材 39 積重保持手段 44a〜44d 圧縮コイルばね 53 制御手段 54 欠陥判別手段 72 制御回路 73 吸引経路切換手段 77 圧力検出器 78 判定回路 SW1 上昇位置検出器 SW2 下降位置検出器

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 吸引源と、 吸引源から吸引力が導かれ、積重された複数の薄板のう
    ち最上位に配置される薄板の周縁部を、上方から吸着す
    る複数の吸着パッドを有する吸着手段と、 前記最上位の薄板の積重方向に平行な中心軸線上に配置
    され、前記中心軸線に垂直な下面を有する押圧部材によ
    って、前記最上位の薄板の中央部を上方から弾発的に押
    圧する押圧手段と、 前記吸着手段および押圧手段が設けられ、最上位の薄板
    よりも上方で昇降変位する昇降体と、 最上位の薄板がその下に配置される第2の薄板上に支持
    された状態で、各吸着パッドが最上位の薄板の周縁部を
    吸着し、かつ押圧部材が前記最上位の薄板の中央部を弾
    発的に押圧する下降位置と、前記最上位の薄板が第2の
    薄板から上方に離間した上昇位置とにわたって、前記昇
    降体を昇降駆動する昇降駆動手段と、 前記複数の薄板が積重状態で載置される基台に、複数の
    案内部材が相互に間隔をあけて平行に立設され、各案内
    部材によって、各薄板の積重方向の移動を許容し、かつ
    積重方向に垂直な方向の移動を阻止して、各薄板を積重
    状態で保持する積重保持手段とを含むことを特徴とする
    積重薄板の分離装置。
  2. 【請求項2】 前記押圧手段は、前記押圧部材と、 昇降体に設けられ、前記押圧部材を、各吸着パッドの下
    端部を共通に含む仮想一平面よりも下方に突出した突出
    位置と、前記仮想一平面よりも上方に退避した退避位置
    とにわたって変位自在に案内する複数の案内軸と、 押圧部材と昇降体との間で各案内軸に装着され、各薄板
    の強度に応じたばね力を有する圧縮ばねとを含むことを
    特徴とする請求項1記載の積重薄板の分離装置。
  3. 【請求項3】 吸引源から各吸着パッドに導かれる吸引
    力を検出し、この吸引力に基づいて、吸着した薄板の欠
    陥の有無を判別する欠陥判別手段を含むことを特徴とす
    る請求項1または2記載の積重薄板の分離装置。
  4. 【請求項4】 各吸着パッドは、薄板の周方向に沿って
    積重保持手段の各案内部材間の中間位置に配置されるこ
    とを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の積重薄
    板の分離装置。
  5. 【請求項5】 前記押圧部材は、各案内軸に対して各案
    内軸の軸線に交差する方向に変位可能な所定の自由度を
    有することを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載
    の積重薄板の分離装置。
  6. 【請求項6】 積重された複数の薄板のうち最上位に配
    置される薄板の上面の中央部に、押圧部材の平坦な下面
    を面接触させて予め定める押圧力で弾発的に押圧し、 この押圧状態を維持したままで、前記中央部よりも外側
    の周縁部に吸着パッドを吸着させて、その周縁部を前記
    中央部よりも上方へ湾曲させ、 前記押圧部材を各吸着パッドとともに上昇させて、前記
    最上位の薄板をその下に配置される第2の薄板から分離
    することを特徴とする積重薄板の分離方法。
  7. 【請求項7】 前記押圧部材の予め定める押圧力は、各
    薄板の強度に対する限界荷重以下に選ばれることを特徴
    とする請求項6記載の積重薄板の分離方法。
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