JP2001105698A - 印刷物品質管理方法及び印刷物品質管理装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 予め設定された複数の印刷対象領域に配列印
刷された印刷物の欠陥を包括的に精度よく安定して検出
する。 【解決手段】 前記印刷物を印刷する際に採用された印
刷方式によって生じる欠陥の種類に応じて、被検査デー
タ中でそれぞれの種類の欠陥が発生する位置に予め検査
領域を設定し、それぞれの検査領域ごとに、それぞれの
種類の欠陥を最も抽出しやすい画像処理方法を用いて対
応する種類の欠陥を検出する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、予め設定された複
数の印刷対象領域に配列印刷された印刷物の欠陥を精度
よく安定して包括的に検出するための印刷物品質管理方
法及び印刷物品質管理装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】一般の印刷物に発生する欠陥の検出を目
的とした検査装置は、大判単位を正損比較のための基準
画像データとし、基準画像データ及び検査対象画像デー
タを二値化処理又は微分処理等の画像処理手法を用いて
大判単位で比較判定している。このような検査装置で
は、印刷物において発生する微小な刷り合わせ不良、淡
く細い欠陥、ある程度の幅をもつ極めて淡い帯状の淡い
汚れ等を検出しようとする場合、印刷物のわずかな刷色
濃度、刷り合わせ位置のあばれがノイズとなるため、Ｓ
／Ｎ比を十分得ることができないのが現状である。

【０００３】また、印刷マークの間隔又は形状を測長し
用紙経路長を調整することで、刷り合わせ位置を自動制
御する装置を各印刷ユニット間に設置することがある
が、該装置は許容値を越えた場合に元に戻すことを目的
に開発された制御装置であり、完成刷りした印刷物にお
ける刷り合わせ不良を判定することはできない。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、以上の問題
点を解決するためになされたもので、印刷物上の欠陥の
発生状態や発生位置は印刷方式に関連があることから、
それぞれの種類の欠陥を最も抽出しやすい部位ごとに検
査領域を設定し、それぞれの種類の欠陥を最も抽出しや
すい画像処理方法を用いることで、一般の検査装置では
検出が難しい欠陥を包括的に精度よく検出するととも
に、刷り合わせ位置、刷色濃度の状態をリアルタイムで
計測、表示することができる印刷物品質管理方法及び印
刷物品質管理装置を提供することを課題としている。

【０００５】とりわけ、本発明は、高品質が求められる
切手等の印刷物において発生する微小な刷り合わせ不良
やグラビア印刷方式を用いた印刷物に特有の欠陥である
淡く細い微細な筋、ドクターのふき取り不良に起因する
帯状の極めて淡い汚れ等を精度よく安定して包括的に検
出することに適した印刷物品質管理方法及び印刷物品質
管理装置を提供することを課題としている。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明の印刷物品質管理
方法は、予め設定された複数の印刷対象領域に配列印刷
された印刷物の映像信号を画像入力部で撮像し、前記映
像信号をタイミング制御部で生成された画像入力に必要
な信号を用いてデジタル画像データに変換し、前記デジ
タル画像データを入力画像データとして画像処理演算部
に入力し、前記画像処理演算部において、前記入力画像
データから検出した複数の印刷マークの位置を算出し
て、前記複数の印刷マークの間隔を測長し、前記入力画
像データから検出した刷色見出しの色濃度を測定し、前
記印刷物の表面に発生する欠陥の種類ごとに、それぞれ
の種類の欠陥が発生する部位に相当する前記入力画像デ
ータの領域に予め設定された検査領域に対して、それぞ
れの前記検査領域ごとに、それぞれに対応する種類の欠
陥を検出できる所定の画像処理方法を用いて、それぞれ
に対応する種類の欠陥を検出することを特徴としてい
る。

【０００７】また、本発明の印刷物品質管理方法は、前
記所定の画像処理方法が、前記入力画像データの予め指
定された矩形領域で射影演算を行った結果に対して、一
次元の差分処理を施して信号を強調することにより、微
細な筋を検出する方法と、前記入力画像データの予め指
定された矩形領域に対して、微分処理を施して得られる
微分画像を、良品の印刷物に対応する微分画像とパター
ンマッチングすることにより、図柄の端に発生する短い
線状の欠陥と印刷物の全領域に発生する汚れを検出する
方法と、前記入力画像データの予め指定された矩形領域
に対して、ムラ強調処理を施して得られるムラ強調画像
を、良品の印刷物に対応するムラ強調画像と比較するこ
とにより、図柄中の淡い汚れと余白部分に連続して発生
する帯状の淡い汚れを検出する方法と、前記入力画像デ
ータの予め指定された矩形領域のＲＧＢ各々の２値画像
データを、良品の印刷物に対応するＲＧＢ各々の２値画
像データとパターンマッチングすることにより、面積の
大きな濃度の濃い汚れを検出する方法と、前記入力画像
データの予め指定された矩形領域に対して、モホロジー
処理を施すことにより、図柄中の線画の一部に発生する
画線の切れ目を検出する方法の少なくとも一つの画像処
理方法を含むことを特徴としている。

【０００８】また、本発明の印刷物品質管理装置は、予
め設定された複数の印刷対象領域に配列印刷された印刷
物の映像信号を撮像する画像入力部と、前記映像信号を
デジタル画像データに変換して得られる入力画像データ
を画像処理演算部で検査した結果を表示する画像処理部
と、前記印刷物の搬送と同期して前記画像処理演算部に
前記入力画像データの入力を行うための基準となる同期
信号を得るためのロータリエンコーダをそれぞれ備えた
印刷物品質管理装置において、前記印刷物の表面に発生
する欠陥の種類ごとに、それぞれの種類の欠陥が発生す
る部位に相当する前記入力画像データの領域に予め設定
された検査領域に対して、それぞれの前記検査領域ごと
に、それぞれに対応する種類の欠陥を検出できる所定の
画像処理手段を用いて、それぞれに対応する種類の欠陥
を検出する画像処理部を備えていることを特徴としてい
る。

【０００９】また、本発明の印刷物品質管理装置は、前
記画像入力部が、高輝度で演色性に優れた光を発生する
メタルハライド光源と、前記メタルハライド光源の光を
前記印刷物の検査の対象となる箇所に均一に照射するた
めのライトガイドと、高速で搬送される前記印刷物の高
分解能なカラー映像信号を出力するＣＣＤカラーライン
センサカメラと、前記印刷物の先頭を前記画像処理部に
知らせる同期信号を生成するためのマーク検知センサを
備えていることを特徴としている。

【００１０】また、本発明の印刷物品質管理装置は、前
記画像処理部が、前記ＣＣＤカラーラインセンサカメラ
に電源を供給し、前記ＣＣＤカラーラインセンサカメラ
からの映像信号のインターフェイス機能を持つカメラ電
源Ｉ／Ｆ部と、前記マーク検知センサから出力される前
記印刷物の先頭信号と前記ロータリエンコーダから出力
される搬送同期信号を入力し、画像入力に必要な信号を
生成するタイミング制御部と、前記カメラ電源Ｉ／Ｆ部
から出力される映像信号を前記タイミング制御部から出
力される信号と同期させてデジタル画像データに変換し
た入力画像データを検査した結果を示す表示画像を生成
する画像処理演算部と、前記画像処理演算部で生成され
た前記表示画像を表示する画像モニタを備えていること
を特徴としている。

【００１１】また、本発明の印刷物品質管理装置は、前
記画像処理演算部が、前記入力画像データから検出した
複数の印刷マークの位置を算出して、前記複数の印刷マ
ークの間隔を測長する位置検出部と、前記入力画像デー
タから検出した刷色見出しの色濃度を測定する刷色濃度
算出部の二つの処理部を備えていることを特徴としてい
る。

【００１２】また、本発明の印刷物品質管理装置は、前
記画像処理演算部が、前記入力画像データから検出した
複数の印刷マークの位置を算出して、前記複数の印刷マ
ークの間隔を測長する位置検出部と、前記入力画像デー
タから検出した刷色見出しの色濃度を測定する刷色濃度
算出部の二つの処理部を備えているとともに、前記入力
画像データの予め指定された矩形領域で射影演算を行っ
た結果に対して、一次元の差分処理を施して信号を強調
することにより、微細な筋を検出する射影微分処理部
と、前記入力画像データの予め指定された矩形領域に対
して、微分処理を施して得られる微分画像を、良品の印
刷物に対応する微分画像とパターンマッチングすること
により、図柄の端に発生する短い線状の欠陥と印刷物の
全領域に発生する汚れを検出する微分画像パターンマッ
チング部と、前記入力画像データの予め指定された矩形
領域に対して、ムラ強調処理を施して得られるムラ強調
画像を、良品の印刷物に対応するムラ強調画像と比較す
ることにより、図柄中の淡い汚れと余白部分に連続して
発生する帯状の淡い汚れを検出するムラ画像パターンマ
ッチング部と、前記入力画像データの予め指定された矩
形領域のＲＧＢ各々の２値画像データを、良品の印刷物
に対応するＲＧＢ各々の２値画像データとパターンマッ
チングすることにより、面積の大きな濃度の濃い汚れを
検出するカラー画像パターンマッチング部と、前記入力
画像データの予め指定された矩形領域に対して、モホロ
ジー処理を施すことにより、図柄中の線画の一部に発生
する画線の切れ目を検出する画線切れ検出部の少なくと
も一つの画像処理部を備えていることを特徴としてい
る。

【００１３】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
を参照しながら更に詳細に説明する。

【００１４】図１は、本発明を説明するためのシステム
構成図である。本発明の印刷物品質管理装置は、印刷物
の映像をとらえて映像信号を撮像する画像入力部１０
と、この映像信号を入力してデジタル画像データに変換
し、画像処理によって印刷物の検査を行い、結果を表示
する画像処理部１１と印刷物の搬送と同期して画像入力
を行うための基準となる同期信号を得るためのロータリ
エンコーダ５を備える。

【００１５】画像入力部１０は、高輝度で演色性に優れ
た光を発生するメタルハライド光源１と、この光源の光
を印刷物表面の画像入力箇所に均一に照射するためのラ
イトガイド２と、高速で搬送される印刷物の高分解能な
カラー映像信号を出力するＣＣＤカラーラインセンサカ
メラ３と、印刷物の先頭を画像処理部１１に知らせる同
期信号を生成するためのマーク検知センサ４を備えてい
る。この場合、本発明では、高速で搬送される印刷物の
高分解能なカラー映像信号を出力するカメラとしては、
ＣＣＤカラーラインセンサカメラの他にも、例えば、３
ＣＣＤカラーラインセンサカメラやＴＤＩカラーライン
センサカメラを用いてもよい。

【００１６】また、画像処理部１１は、ＣＣＤカラーラ
インセンサカメラ３に電源を供給するとともに、前記Ｃ
ＣＤカラーラインセンサカメラからの映像信号のインタ
ーフェース機能を持つカメラ電源Ｉ／Ｆ部６と、マーク
検知センサ４から出力される印刷物の先頭信号と、ロー
タリエンコーダ５から出力される搬送同期信号とを入力
し、画像入力に必要な信号を生成するタイミング制御部
７と、カメラ電源Ｉ／Ｆ部６から得られる映像信号をタ
イミング制御部７から出力される信号を用いてデジタル
画像データに変換した入力画像データを検査し、その結
果を示す表示画像を生成する画像処理演算部８と、この
画像処理演算部８から出力される表示画像を表示する画
像モニタ９とを備えている。

【００１７】図２は、画像処理装置８のブロック図であ
る。カメラＩ／Ｆ部６とタイミング制御部７からの信号
は画像入力ボード１２に入力される。入力された信号は
デジタル化されて画像バス１３に送られる。画像バス１
３に送られた画像データは入力画像データとして各画像
処理部に送られて処理される。位置検出部１４は入力画
像データから位置の基準となる複数の印刷マークを検出
し、その位置を算出する機能を持つ。この位置データ
は、他の画像処理部に送られる。また、位置検出部１４
は、複数の印刷マークの位置を１画素の１／１０以上の
精度で算出し、前記複数の印刷マークの間隔を測長する
機能をもつ。刷色濃度算出部１５は、入力画像データ中
の刷色見出しの色濃度を測定し、これをもとに刷色濃度
の指標を算出する。射影微分処理部１６は、入力画像デ
ータ中の予め指定された矩形領域で射影演算を行った結
果に対して１次元の差分処理を施して信号を強調するこ
とにより微細な筋などの細長い欠陥を検出する。微分画
像パターンマッチング部１７は、入力画像データから得
られる輝度画像の予め指定された矩形領域に対して微分
処理を施して得られる微分画像を予め登録された良品の
印刷物に対応する微分画像の基準画像とパターンマッチ
ングすることにより欠陥を検出する。ムラ画像パターン
マッチング部１８は、入力画像データから得られる輝度
画像の予め指定された矩形領域に対してムラ強調処理を
施して得られるムラ強調画像を予め登録された良品の印
刷物に対応するムラ強調画像の基準画像と比較すること
により欠陥を検出する。ここで、本発明におけるムラ強
調処理とは、特開平６−３２３９５４号「斑検出方法お
よび装置」に開示されている画像処理手法をいう。カラ
ー画像パターンマッチング部１９では、入力画像データ
のＲＧＢ各々の２値画像を良品の印刷物に対応するＲＧ
Ｂ各々の２値画像である基準画像とパターンマッチング
することにより欠陥を検出する。画線切れ検出部２０
は、入力画像データから得られる輝度画像に対してモホ
ロジー処理を施すことにより図柄中の線画の一部に発生
する画線の切れ目を検出する。

【００１８】各画像処理部から、画像表示バス２１を介
して画像表示部２２に表示画像データを転送することが
できる。画像表示部２２では、ＣＰＵ部２３の制御のも
とに入力画像又は処理画像を実寸あるいは拡大して表示
することができるほか、検査結果や検査結果の統計量、
また、時系列データを表示する。画像入力部１２とすべ
ての画像処理演算部、更に、画像表示部２２は、ＣＰＵ
部２３により制御される。ＣＰＵ部２３では、検査結果
に基づき、正損の判定信号の出力、検査総数、正損それ
ぞれの計数並びにそれらの時系列的変動をＤＩ／Ｏ部２
４と画像表示部２２を介して外部に出力する。

【００１９】１４、１５、１６、１７、１８、１９、２
０の各画像処理部は図３に示す構成をしている。画像入
力バスからのデータは、画像バスＩ／Ｆ制御部２５を経
由して画像メモリ２６に一旦蓄えられる。ＤＳＰ２７
は、画像入力バスからの画像データ転送終了後、直ちに
画像処理を開始する。処理の内容は、予めＣＰＵ部２３
より転送された処理プログラムに記述された手順で行わ
れる。空間フィルタ演算部２８は、ＤＳＰ２７の指示に
より画像の微分とモホロジー処理を実行する。画像メモ
リ２６の入力画像は、ＤＳＰ２７又は空間フィルタ演算
部２８に送られ、処理結果は、画像メモリ２６に再度、
転送される。画像メモリ２６に蓄えられた処理画像は、
画像バスＩ／Ｆ制御部２５を介して画像表示バスへ転送
される。

【００２０】図４は、本発明で検査の対象となる印刷物
の一例を示す概略図である。この印刷物は、予め設定さ
れた複数の印刷対象領域に配列印刷された印刷物であ
り、例えば、グラビア印刷方式によって得られる切手印
刷物やグラビア印刷方式と凹版印刷方式を組み合わせて
得られる切手印刷物である。各色印刷の相対的ずれを検
知するために、幅方向の印刷マーク２９と搬送方向の印
刷マーク３０を図のように配置する。更に、画像処理で
の１／１０画素以下の高精度な印刷ずれ検出のために、
円形の印刷マーク３１を別の箇所に配置する。印刷濃度
の微妙な変動を容易に検出するために、刷色見出し３２
を余白部分に設ける。３３で示した格子部分には図柄が
印刷される。ドクター線と称される欠陥３４は、グラビ
ア印刷方式に特有の欠陥であり、微細な筋が印刷方向に
平行して発生する欠陥である。チョボと称される３５の
欠陥は、図柄の端に発生する短い線状の欠陥である。汚
れ３６は、印刷物表面の全領域で発生する濃い欠陥であ
る。地汚れと称される３７の欠陥は、印刷の余白部分に
現れるドクターのふき取り不良に起因して生じる帯状の
淡い欠陥である。溶剤汚れと称される３８の欠陥は、イ
ンキを希釈する溶剤が印刷版面に付着することで発生す
る淡く大きな欠陥である。画線切れと称される３９の欠
陥は、図柄中の線画の一部が欠けることで生じる欠陥で
ある。このように、印刷物の表面には、様々な欠陥が発
生するため、従来の検査装置では、すべての欠陥を十分
な精度で包括的に検出することができなかった。一方、
印刷物の表面にみられる欠陥は、それぞれの欠陥に応じ
た特徴があり、また、発生場所が特定される欠陥が多く
ある。そこで、本発明では、これらの欠陥の特徴と発生
場所の傾向を考えて、印刷物の表面に発生する欠陥の種
類ごとに、それぞれの種類の欠陥が発生する部位に相当
する入力画像データの領域に予め設定された検査領域に
対して、それぞれの検査領域ごとに、それぞれに対応す
る種類の欠陥を抽出できる所定の画像処理方法を用い
て、それぞれに対応する種類の欠陥を検出する。こうし
て、本発明では、印刷物に発生する様々な欠陥を各画像
処理部で分担して包括的に高い精度で、また、効率的に
検出することができる。

【００２１】位置検出部１４は、入力画像データから印
刷マーク３１を検出する。印刷マーク３１の入力画像中
の位置は、予め設定した領域の中に収まるように画像入
力される。また、印刷マーク３１の周辺には、他の印刷
図柄やマークは存在しないので画像処理のブロッブ解析
により容易にその位置を検出することができる。このブ
ロッブ解析により、各色の印刷マークの重心座標が１／
１０画素以上の精度で算出される。各色の印刷マーク３
１の流れ方向及び幅方向の相対位置を求め、これらの位
置を基準値と比較することにより、各色の刷り合わせ位
置のずれを検出する。この刷り合わせ位置の情報は、画
像モニタ９に時系列データとして出力される。また、こ
の位置情報は他の画像処理部に送られる。

【００２２】刷色濃度算出部１５は、入力画像データ中
の刷色見出し３２の指定箇所又は印刷マーク３１の指定
箇所のＲＧＢ各画像の輝度の平均値を算出する。この指
定箇所を入力画像から取り出すために、位置検出部１４
で算出された位置情報を用いる。算出された各色のＲＧ
Ｂ輝度平均値と予め設定した基準値との差を算出する。
この差を各色の印刷濃度の指標として用いる。オペレー
タが印刷濃度の指標の値を容易に読みとることができる
ように、画像モニタ９上に、印刷濃度の指標の時系列デ
ータのグラフと現在の値が表示される。

【００２３】射影微分処理部１６は、入力画像データの
予め指定された矩形領域の処理を分担する。この射影微
分処理部１６は微細な筋を検出する。この矩形領域を特
定するために、位置検出部１４から送られた位置データ
を用いる。図５は、射影微分処理の流れ図を示す。ま
ず、指定された矩形領域の入力画像をモノクロ化する。
次に、このモノクロ化された画像の流れ方向の射影デー
タを算出する。この演算により流れ方向に連続した微細
な筋は強調され、一方背景のノイズは平均化され弱めら
れる。その結果、欠陥のＳ／Ｎ比が向上する。欠陥を背
景から抽出するために、求めた射影データの一次元微分
を行う。その結果、欠陥部分が強調される。この射影微
分データを予め設定されたしきい値により２値化して欠
陥を検出する。射影微分処理が受け持つ矩形領域は、任
意の数を指定することができる。

【００２４】微分画像パターンマッチング部１７は、入
力画像データの予め指定された矩形領域の処理を分担す
る。矩形領域を特定するため、位置検出部１４から送ら
れた位置データを用いる。図６は、微分画像マッチング
の水平微分の流れ図を、図７は、微分画像マッチングの
垂直微分の流れ図を示す。まず、入力画像データの指定
された矩形領域のモノクロ画像を得る。この画像に対し
て水平微分又は垂直微分を施す。次に、水平微分画像と
水平微分基準画像との差をとり、水平微分しきい値で２
値化して欠陥を検出する。この２値化画像に対してブロ
ッブ解析により欠陥を抽出し、各欠陥の面積、長さ、
幅、強度を求めて記憶する。また、垂直微分画像に対し
ては、垂直微分基準画像との差をとり、これを垂直微分
しきい値で２値化する。更に、この画像に対してブロッ
ブ解析を行い、欠陥の面積、長さ、幅、強度を求めて記
録する。微分画像パターンマッチング部１７は、図柄の
端に発生する短い線状の欠陥、印刷物の全領域に発生す
る汚れの検出を行うことができる。

【００２５】ムラ画像パターンマッチング部１８は、入
力画像データの予め指定された矩形領域の処理を分担す
る。矩形領域を特定するため、位置検出部１４から送ら
れた位置データを用いる。図８は、ムラ画像パターンマ
ッチングの処理の流れ図を示す。まず、入力画像データ
の指定された矩形領域のモノクロ画像を得る。この画像
に対して２×２もしくは４×４の格子に区切り、各格子
内での輝度の加算値を算出する。この各格子の輝度値を
画素の輝度値として積分画像を得る。この積分画像に対
して水平微分処理を行う。次に、水平微分画像と水平微
分基準画像との差をとり、水平微分しきい値で２値化し
て欠陥を検出する。この２値化画像に対してブロッブ解
析により欠陥を抽出し、各欠陥の面積、長さ、幅、強度
を求めて記憶する。ムラ画像パターンマッチング部１８
は、図柄中の淡い汚れと余白部分に連続して発生する帯
状の淡い汚れを検出することができる。

【００２６】カラー画像パターンマッチング部１９は、
入力画像データの予め指定された矩形領域の処理を分担
する。矩形領域を特定するため、位置検出部１４から送
られた位置データを用いる。図９は、カラー画像パター
ンマッチング処理の流れ図を示す。以下の処理を入力画
像データのＲＧＢ各画像に対して行う。まず、明欠陥用
基準画像から入力画像を引く。この差画像を明欠陥検出
用しきい値により２値化して欠陥を検出する。この２値
化画像に対してブロッブ解析により欠陥を抽出し、各欠
陥の面積、長さ、幅、強度を求めて記憶する。また、暗
欠陥を検出するために、入力画像から暗欠陥用基準画像
を引く。この差画像を明欠陥検出用しきい値により２値
化して欠陥を検出する。この２値化画像に対してブロッ
ブ解析により欠陥を抽出し、各欠陥の面積、長さ、幅、
強度を求めて記憶する。このカラー画像パターンマッチ
ング部１９は、微分画像パターンマッチング部１７で検
出できない面積の大きな濃度の濃い汚れを検出すること
ができる。

【００２７】画線切れ検出部２０は、入力画像データの
予め指定された矩形領域の処理を分担する。矩形領域を
特定するため、位置検出部１４から送られた位置データ
を用いる。図１０は、画線切れ検出処理の流れ図を示
す。まず、入力画像データの指定された矩形領域のモノ
クロ画像を得る。この画像に対してモホロジー処理を施
すことで黒線の膨張を行って膨張画像を得る。次に、こ
の膨張画像と基準画像との差分をとる。この差分画像を
画線切れ検出しきい値で２値化することにより、図柄中
の線画の一部に発生する画線の切れ目を検出する。この
２値化画像に対してブロッブ解析により欠陥を抽出し、
各欠陥の面積、長さ、幅、強度を求めて記憶する。

【００２８】ＣＰＵ部２３は、各画像処理部で検出して
記録した欠陥データを読みとり、これらの欠陥データと
予め設定された正損の判断基準とを比較し、入力した印
刷物の正損を判断し記録する。また、正損の結果をもと
に、損品を排除するために、ＤＩ／Ｏ部２４より外部に
正損判定信号を出力する。

【００２９】以上、本発明の実施の形態をグラビア印刷
方式によって得られる切手印刷物やグラビア印刷方式と
凹版印刷方式を組み合わせて得られる切手印刷物を検査
する場合について説明したが、本発明の実施の形態は、
上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の特
許請求の範囲に記載の技術思想の範囲内であれば、発明
の実施の形態に様々な変更を加えることができる。すな
わち、印刷物上に生じる欠陥の状態や位置は印刷方式に
よって大きく影響を受けるので、本発明では、検査の対
象となる印刷物を印刷する際に採用された印刷方式によ
って生じる欠陥の種類に応じて、被検査データ中でそれ
ぞれの種類の欠陥が発生する位置に検査領域を設定すれ
ばよい。また、本発明では、それぞれの検査領域ごと
に、それぞれの種類の欠陥を最も抽出しやすい画像処理
方法を用いて対応する種類の欠陥を検出すればよい。そ
の際、射影微分処理、微分画像パターンマッチング処
理、ムラ画像パターンマッチング処理、カラー画像パタ
ーンマッチング処理、画線切れ検出処理のそれぞれの画
像処理方法を適宜、組み合わせて用いればよい。

【００３０】

【発明の効果】本発明によれば、従来の検査装置では検
出が難しかった欠陥を包括的に精度よく安定して検出で
きるとともに、刷り合わせ位置、刷色濃度の変化をリア
ルタイムに管理できるようになり、オペレータが早期に
欠陥を修正できるようになったので損紙の発生を大幅に
低減できる。更に、品質保証に費やしていた検査工程に
損紙が送られてこなくなったため、検査工程の省力化が
図られる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明を説明するためのシステム構成図であ
る。

【図２】本発明における画像処理演算部の構成図であ
る。

【図３】本発明における画像処理演算部の各画像処理の
演算ブロック図である。

【図４】本発明で検査の対象となる印刷物の一例を示す
概略図である。

【図５】本発明の射影微分処理の手順を説明する図であ
る。

【図６】本発明の微分画像パターンマッチング（水平微
分）処理の流れ図である。

【図７】本発明の微分画像パターンマッチング（垂直微
分）処理の流れ図である。

【図８】本発明のムラ画像パターンマッチング処理の流
れ図である。

【図９】本発明のカラー画像パターンマッチング処理の
流れ図である。

【図10】本発明の画線切れ検出処理の流れ図である。

【符号の説明】

１ メタルハライド光源 ２ ライトガイド ３ ＣＣＤカラーラインセンサカメラ ４ マーク検知センサ ５ ロータリエンコーダ ６ カメラ電源Ｉ／Ｆ部 ７ タイミング制御部 ８ 画像処理演算部 ９ 画像モニタ １０ 画像入力部 １１ 画像処理部 １２ 画像入力ボード １３ 画像バス １４ 位置検出部 １５ 刷色濃度算出部 １６ 射影微分処理部 １７ 微分画像パターンマッチング部 １８ ムラ画像パターンマッチング部 １９ カラー画像パターンマッチング部 ２０ 画線切れ検出部 ２１ 画像表示バス ２２ 画像表示部 ２３ ＣＰＵ部 ２４ ＤＩ／Ｏ部 ２５ 画像バスＩ／Ｆ制御部 ２６ 画像メモリ ２７ ＤＳＰ ２８ 空間フィルタ演算部 ２９ 幅方向の印刷マーク ３０ 搬送方向の印刷マーク ３１ 円形の印刷マーク ３２ 刷色見出し ３３ 図柄 ３４ ドクター線 ３５ 図柄の端に発生する短い線状の欠陥 ３６ 汚れ ３７ 地汚れ ３８ 溶剤汚れ ３９ 画線切れ

Claims (7)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 予め設定された複数の印刷対象領域に配
   列印刷された印刷物の映像信号を画像入力部で撮像し、 前記映像信号をタイミング制御部で生成された画像入力
   に必要な信号を用いてデジタル画像データに変換し、 前記デジタル画像データを入力画像データとして画像処
   理演算部に入力し、 前記画像処理演算部において、 前記入力画像データから検出した複数の印刷マークの位
   置を算出して、前記複数の印刷マークの間隔を測長し、 前記入力画像データから検出した刷色見出しの色濃度を
   測定し、 前記印刷物の表面に発生する欠陥の種類ごとに、それぞ
   れの種類の欠陥が発生する部位に相当する前記入力画像
   データの領域に予め設定された検査領域に対して、 それぞれの前記検査領域ごとに、それぞれに対応する種
   類の欠陥を検出できる所定の画像処理方法を用いて、そ
   れぞれに対応する種類の欠陥を検出することを特徴とす
   る印刷物品質管理方法。
2. 【請求項２】 前記所定の画像処理方法は、 前記入力画像データの予め指定された矩形領域で射影演
   算を行った結果に対して、一次元の差分処理を施して信
   号を強調することにより、微細な筋を検出する方法と、 前記入力画像データの予め指定された矩形領域に対し
   て、微分処理を施して得られる微分画像を、良品の印刷
   物に対応する微分画像とパターンマッチングすることに
   より、図柄の端に発生する短い線状の欠陥と印刷物の全
   領域に発生する汚れを検出する方法と、 前記入力画像データの予め指定された矩形領域に対し
   て、ムラ強調処理を施して得られるムラ強調画像を、良
   品の印刷物に対応するムラ強調画像と比較することによ
   り、図柄中の淡い汚れと余白部分に連続して発生する帯
   状の淡い汚れを検出する方法と、 前記入力画像データの予め指定された矩形領域のＲＧＢ
   各々の２値画像データを、良品の印刷物に対応するＲＧ
   Ｂ各々の２値画像データとパターンマッチングすること
   により、面積の大きな濃度の濃い汚れを検出する方法
   と、 前記入力画像データの予め指定された矩形領域に対し
   て、モホロジー処理を施すことにより、図柄中の線画の
   一部に発生する画線の切れ目を検出する方法の少なくと
   も一つの画像処理方法を含むことを特徴とする請求項１
   記載の印刷物品質管理方法。
3. 【請求項３】 予め設定された複数の印刷対象領域に配
   列印刷された印刷物の映像信号を撮像する画像入力部
   と、 前記映像信号をデジタル画像データに変換して得られる
   入力画像データを画像処理演算部で検査した結果を表示
   する画像処理部と、 前記印刷物の搬送と同期して前記画像処理演算部に前記
   入力画像データの入力を行うための基準となる同期信号
   を得るためのロータリエンコーダをそれぞれ備えた印刷
   物品質管理装置において、 前記印刷物の表面に発生する欠陥の種類ごとに、それぞ
   れの種類の欠陥が発生する部位に相当する前記入力画像
   データの領域に予め設定された検査領域に対して、 それぞれの前記検査領域ごとに、それぞれに対応する種
   類の欠陥を検出できる所定の画像処理手段を用いて、そ
   れぞれに対応する種類の欠陥を検出する画像処理部を備
   えていることを特徴とする印刷物品質管理装置。
4. 【請求項４】 前記画像入力部は、 高輝度で演色性に優れた光を発生するメタルハライド光
   源と、 前記メタルハライド光源の光を前記印刷物の検査の対象
   となる箇所に均一に照射するためのライトガイドと、 高速で搬送される前記印刷物の高分解能なカラー映像信
   号を出力するＣＣＤカラーラインセンサカメラと、 前記印刷物の先頭を前記画像処理部に知らせる同期信号
   を生成するためのマーク検知センサを備えていることを
   特徴とする請求項３記載の印刷物品質管理装置。
5. 【請求項５】 前記画像処理部は、 前記ＣＣＤカラーラインセンサカメラに電源を供給し、
   前記ＣＣＤカラーラインセンサカメラからの映像信号の
   インターフェイス機能を持つカメラ電源Ｉ／Ｆ部と、 前記マーク検知センサから出力される前記印刷物の先頭
   信号と前記ロータリエンコーダから出力される搬送同期
   信号を入力し、画像入力に必要な信号を生成するタイミ
   ング制御部と、 前記カメラ電源Ｉ／Ｆ部から出力される映像信号を前記
   タイミング制御部から出力される信号と同期させてデジ
   タル画像データに変換した入力画像データを検査した結
   果を示す表示画像を生成する画像処理演算部と、 前記画像処理演算部で生成された前記表示画像を表示す
   る画像モニタを備えていることを特徴とする請求項３又
   は４記載の印刷物品質管理装置。
6. 【請求項６】 前記画像処理演算部は、 前記入力画像データから検出した複数の印刷マークの位
   置を算出して、前記複数の印刷マークの間隔を測長する
   位置検出部と、 前記入力画像データから検出した刷色見出しの色濃度を
   測定する刷色濃度算出部の二つの処理部を備えているこ
   とを特徴とする請求項３乃至５のいずれかに記載の印刷
   物品質管理装置。
7. 【請求項７】 前記画像処理演算部は、 前記入力画像データから検出した複数の印刷マークの位
   置を算出して、前記複数の印刷マークの間隔を測長する
   位置検出部と、 前記入力画像データから検出した刷色見出しの色濃度を
   測定する刷色濃度算出部の二つの処理部を備えていると
   ともに、 前記入力画像データの予め指定された矩形領域で射影演
   算を行った結果に対して、一次元の差分処理を施して信
   号を強調することにより、微細な筋を検出する射影微分
   処理部と、 前記入力画像データの予め指定された矩形領域に対し
   て、微分処理を施して得られる微分画像を、良品の印刷
   物に対応する微分画像とパターンマッチングすることに
   より、図柄の端に発生する短い線状の欠陥と印刷物の全
   領域に発生する汚れを検出する微分画像パターンマッチ
   ング部と、 前記入力画像データの予め指定された矩形領域に対し
   て、ムラ強調処理を施して得られるムラ強調画像を、良
   品の印刷物に対応するムラ強調画像と比較することによ
   り、図柄中の淡い汚れと余白部分に連続して発生する帯
   状の淡い汚れを検出するムラ画像パターンマッチング部
   と、 前記入力画像データの予め指定された矩形領域のＲＧＢ
   各々の２値画像データを、良品の印刷物に対応するＲＧ
   Ｂ各々の２値画像データとパターンマッチングすること
   により、面積の大きな濃度の濃い汚れを検出するカラー
   画像パターンマッチング部と、 前記入力画像データの予め指定された矩形領域に対し
   て、モホロジー処理を施すことにより、図柄中の線画の
   一部に発生する画線の切れ目を検出する画線切れ検出部
   の少なくとも一つの画像処理部を備えていることを特徴
   とする請求項３乃至６のいずれかに記載の印刷物品質管
   理装置。