JP2001103945A - 風味を改善した低カリウムジュースの製造法 - Google Patents

風味を改善した低カリウムジュースの製造法

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JP2001103945A JP28931499A JP28931499A JP2001103945A JP 2001103945 A JP2001103945 A JP 2001103945A JP 28931499 A JP28931499 A JP 28931499A JP 28931499 A JP28931499 A JP 28931499A JP 2001103945 A JP2001103945 A JP 2001103945A
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potassium
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Yuko Kinoshita
優子 木下
Toshio Kinoshita
俊夫 木下
Koji Katamune
晃二 片宗
Takushi Goto
拓志 後藤
Toshio Takizawa
登志雄 滝沢
Akinaka Haneda
章中 羽太
Katsuharu Iinuma
勝春 飯沼
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Meiji Seika Kaisha Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 風味や栄養が改善され、おいしく飲むことが
でき、併せて腎不全患者の飲用を妨げることのない低カ
リウムジュースを提供すること。 【解決手段】 カリウム含有ジュースを陽イオン交換樹
脂によって処理することにより、該ジュースのカリウム
含有量を90%以上除去せしめ、さらに該ジュースに炭
酸カルシウムおよび水酸化カルシウムから選択されるカ
ルシウム化合物を固体のまま添加することを特徴とする
風味を改善した低カリウムジュースの製造法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、風味を改善した低
カリウムジュースの製造法に関し、詳しくはカリウム濃
度を低下せしめ、かつカルシウム化合物を添加すること
により風味を改善したジュースの製造法に関する。さら
には、カリウムの摂取が制限され、炭酸カルシウム投与
が必要とされる腎不全患者に適したジュースに関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】人を含む動物の細胞では、カリウムは主
として細胞内液に存在し、主に細胞外液に存在するナト
リウムと対をなし、酸塩基平衡の主役の一つとして、生
体のホメオスタシスの維持に重要な役割を果たしてい
る。ところが、腎不全患者はカリウムの排泄機能、血中
イオンバランス保持機能が低下しているため、高カリウ
ム血症、高リン酸血症、低カルシウム血症を起こしやす
い。著しい血清カリウム値の上昇は、心臓の機能停止に
結びつき、最悪の場合は生命の危険を招く。したがっ
て、腎不全患者はカリウムの摂取が厳しく制限されてお
り、特にカリウム分を多く含む果物や野菜などは自由に
摂取することはできない。また、上記したように、腎不
全患者は高リン酸血症、低カルシウム血症を起こしやす
いことから、このような患者には炭酸カルシウムの投与
が必要である。さらには、果物や野菜などの摂取が制限
されている患者においては、食事内容が傾き、栄養バラ
ンスの保持が困難となるという新たな問題を生じる。
【0003】イオン交換樹脂を用いたジュースの処理自
体は古くから知られる技術で、J. Sci. Food Agric. (1
966), 17(11), 488-90には、グレープジュースのアルガ
ロールの沈殿阻止、酸性度調整に、陽イオンおよび陰イ
オン交換樹脂の使用が報告されている。また、このイオ
ン交換樹脂を用いて、ジュース中のカリウムイオンを調
整する試みも報告されている(特開昭61−20957
3号公報、BR公開9704147 号公報、EP公開0339540
号公報)。
【0004】しかしながら、従来の技術でイオン交換樹
脂によりカリウムイオンを減量調製した食品は、医療目
的、風味、呈味、食感、栄養バランスなどの点で必ずし
も満足できるものではなかった。特開昭61−2095
73号公報では、カリウム含量を低下させると、ジュー
スの風味が著しく低下することから、脱カリウム量は原
料ジュースのカリウム含有量の90%程度以内に止め、
すなわち少なくとも約10%のカリウム量を残すことに
よって風味を保っており、それ以上のカリウム減量は、
行われていない。日本におけるガイドラインにおいて
は、週3回の透析による維持血液透析患者の場合、カリ
ウム分の摂取量が1.5g/日と厳しく制限されてい
る。そこで、腎不全患者の飲用に適するまで果物や野菜
のジュース中のカリウムを減らすと、酸味が過度に強ま
り、風味が極端に悪化してジュースとしての風味を持つ
飲料には至らなかった。
【0005】BR公開9704147 号公報およびEP公開03
39540 号公報は、前記の風味低下を改善するため、カル
シウム型の陽イオン交換樹脂による水溶性カルシウムイ
オンを含有する脱カリウムジュースの製造法を開示して
いる。BR公開9704147 号公報では、カルシウム型陽イ
オン交換樹脂によるジュースのカリウムイオン、ナトリ
ウムイオンのカルシウムイオンへの交換技術を開示して
いる。しかし、カルシウム型陽イオン交換樹脂は、その
調整に必要な水溶性のカルシウム塩が限られていること
から、大量のカルシウムイオンの交換は非現実的で、飲
料に含まれる水溶性の範囲である微量のカルシウムイオ
ン量を含んだジュースの提供が限界であった。このカル
シウム型陽イオン交換樹脂の使用が非現実的であること
から、EP公開0339540 号公報では、新規なカルシウム
型陽イオン交換樹脂による低カリウムジュースの製造法
を開示している。すなわち、ジビニル−ベンゼンで80
%架橋された、スルホン基を有するポリスチレン樹脂よ
りなるカルシウム型陽イオン交換樹脂を用いたカルシウ
ム含有ジュースの製造法を開示している。しかし、ここ
でもカリウムイオンの除去量、カルシウム型陽イオン交
換樹脂の交換容量と言う技術の壁があり、処理前の30
%程度のカリウムイオンを含むジュースの提供に止まっ
ている。
【0006】さらに、イオン交換技術が大幅に進歩した
現在では、イオン交換膜によるジュースの脱陽イオン法
も広く用いられているが、固形分の多いジュースの場合
は、膜が目詰まりを起こすことから、原料ジュースに含
有される陽イオンの5分の1程度への減イオンが限界で
ある。このように、従来技術では、陽イオン交換樹脂に
よるカリウムイオンの除去、もしくは併せてカルシウム
型イオン交換樹脂によりカルシウムを含有させたジュー
スの提供が知られているが、風味を保ったまま、十分量
のカリウムを除去すること、並びにカルシウム型陽イオ
ン交換樹脂を用いて大量のカルシウムイオンを交換させ
ることには、技術上の限界があった。
【0007】飲食品にあっては風味が重要な要素である
ことは論を待たず、単にカリウム分を除去しただけの飲
食品では、食事制限を長期に渡って強いられる慢性腎不
全患者にとっては満足することができず、より深刻な問
題であった。しかし、人の風味の感覚については、十分
な科学的解明が行われておらず、新規な食品、新規な風
味は、食料技術者の無作為なスクリーニングや甚大な努
力に頼らざるを得ないのが現状である。
【0008】また、カリウム分を減らすために陽イオン
交換樹脂で処理すると、原料ジュースに含まれているビ
タミン類、特にビタミンCが相当量失われるという問題
点も見逃されていた。ジュース飲料の栄養的な目的の一
つは、ビタミンCの補給であるばかりか、ジュースの風
味の上でも独特の味を持つビタミンCは重要で、この点
も無視できない問題であった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の通
り、従来の技術が抱えている問題点の解決を目的とする
ものであり、腎不全などの腎機能が低下した患者のた
め、単に含有カリウム分を低下せしめただけでなく、風
味や栄養を改善し、おいしく飲むことができ、併せて腎
不全患者の治療、すなわち血中カリウムイオンの制限と
低カルシウム症、高リン酸血症の炭酸カルシウムによる
改善、抑制を目的としたジュースを提供するものであ
る。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、各方面の調査並びに研究を鋭意行ったところ、陽
イオン交換樹脂でカリウム分を低下せしめたことにより
酸味が過度に強まり、風味を失った果物ジュースまたは
野菜ジュースに対して、適量の炭酸カルシウムおよび水
酸化カルシウムから選択されるカルシウム化合物を固体
のまま加えることにより、酸味が中和され、風味が改善
され、おいしく飲むことができ、併せて腎不全患者の治
療、血中カリウムイオンとリン酸イオンのバランス保持
を目的とした各種ジュースを製造できることを見出し
た。
【0011】一般に、酸味の中和には塩基性物質の添加
が考えられるが、除去したカリウムまたはナトリウム分
を含む塩基性物質の添加は、カリウムまたはナトリウム
分の摂取が制限されている腎不全患者用のジュースには
望むべくもない。また、カルシウム型陽イオン交換樹脂
による従来技術では、前述した如く、脱カリウム量やカ
ルシウムイオン交換容量に技術の壁があった。一方、炭
酸カルシウムは、The Merck Index (12版、Merck &
Co., Inc., pp271-272)に記載されているように、カル
シウムイオンの補充剤、抗酸剤として人や動物に対して
広く用いられている、水に不溶の化合物である。また、
腎不全患者においては、下記に示す通りに、リン酸の吸
収抑制のため幅広く服用されているものであり、それを
添加したジュースを患者が摂取しても安全であるばかり
でなく、それによりリン酸の吸収抑制効果も期待され
る。
【0012】ところで、従来技術では、風味の問題を水
溶性カルシウムイオンで解決することを試みていたが、
本発明者らは非水溶性の炭酸カルシウムまたは難水溶性
の水酸化カルシウムを固体のまま添加することで解決で
きることを見出した。すなわち、各種ジュースは果実、
野菜などに含まれる固形分の感触、風味を感じながら飲
用するものであるが、固体状の炭酸カルシウムあるいは
水酸化カルシウムの添加が風味を損ねることなく過度の
酸性を中和することを見出して、本発明を完成した。ま
た、原料ジュースの種類によりカリウム含有量が異なる
ことから、多種類の低カリウムジュースを製造するた
め、各々のジュースのカリウム含有量に適合する陽イオ
ン交換樹脂量、接触時間を検討して、各ジュースの十分
な、好ましくは原料ジュースのカリウム量を95%以上
除去したジュースを提供することができることを見出し
た。
【0013】さらに、腎不全患者の状態に合わせて炭酸
カルシウム量を増減させることが可能な、従来技術では
解決できなかった、大きな特徴を有する本発明を完成し
た。すなわち、果物や野菜のジュースを陽イオン交換樹
脂で十分脱カリウムして得られた風味の落ちたジュース
に、炭酸カルシウムまたは水酸化カルシウムを固体のま
ま、風味を改善する程度か、さらには腎不全患者の治療
に必要な量を添加することで、風味の問題、腎不全患者
への飲料としての配慮を一挙に解決できることを見出し
た。
【0014】リン酸の体内蓄積は腎不全患者にとって重
大な問題であり、リン酸を含む食品の摂取制限またはそ
の吸収抑制が日常の重要な課題となっている。すなわ
ち、米国の一般的医師マニュアルであるThe Merck Manu
al(第5版、Merck Sharp & Dohme Research Laborator
ies, pp 1551-1652,特にpp 1573, 1987)によれば、腎不
全患者では血中のカルシウムイオン、リン酸イオン、パ
ラチロイドホルモンおよびビタミンD代謝の異常を起こ
し、放置すると低カルシウム血症と高リン酸血症を惹起
すること、したがって、腎不全患者の日常食事療法にお
いては、カリウム含有食を避けること、高リン酸血症の
悪化を防ぐため、リン酸の吸収抑制剤である炭酸カルシ
ウムを摂取することが記載されている。それ故、低カリ
ウムジュースに炭酸カルシウムを添加することは、かか
る課題の解決法としては、理にかなったものである。実
際に、リン酸吸収抑制による高リン酸血症の治療には、
従来、水酸化アルミニウム、炭酸アルミニウムが用いら
れてきたが、その毒性回避のため、現在では、炭酸カル
シウム(0.5−1.5g)が経口投与されている。
【0015】ところで、陽イオン交換樹脂によりジュー
スを処理すると、その中に含まれていたビタミンCはか
なりの量が失われてしまう。ジュースの飲用の栄養的な
目的の一つはビタミンCの補給にあり、それが失われる
ことは無視できない問題である。失われた量のビタミン
Cを添加、補給することは容易である。すなわち、陽イ
オン交換樹脂処理によって失われたジュース中のビタミ
ンCを処理前と同程度の量をジュース中に含有するよう
にビタミンCを補うことにより、栄養価値を高めること
ができる。
【0016】すなわち、本発明は、カリウム含有ジュー
スを陽イオン交換樹脂によって処理することにより、ジ
ュースのカリウム含有量を10分の1以下、好ましくは
20分の1以下に低下せしめ、さらに該ジュースに炭酸
カルシウムおよび水酸化カルシウムから選択されるカル
シウム化合物を固体のまま添加し、必要により、さらに
ビタミンCを添加することより成る、風味が良く、しか
も栄養バランスを保った腎不全患者向けの低カリウムジ
ュースの製造法を提供するものである。
【0017】第1の本発明は、請求項1に記載したよう
に、カリウム含有ジュースを陽イオン交換樹脂によって
処理することにより、該ジュースのカリウム含有量を9
0%以上除去せしめ、さらに該ジュースに炭酸カルシウ
ムおよび水酸化カルシウムから選択されるカルシウム化
合物を固体のまま添加することを特徴とする風味を改善
した低カリウムジュースの製造法である。第2の本発明
は、請求項5に記載したように、予めH型に調整した陽
イオン交換樹脂を用いて、カラム式で処理することを特
徴とする低カリウムジュースの製造法である。第3の本
発明は、請求項1に記載の低カリウムジュースの製造法
において、カルシウム化合物の他にビタミンCを添加す
ることを特徴とする低カリウムジュースの製造法であ
る。
【0018】
【発明の実施の形態】本発明に用いられる原料ジュース
としては、例えば野菜ジュース、果物ジュース、果物−
野菜ジュースなど全ての種類のジュースを挙げることが
できる。次に、本発明に用いられる陽イオン交換樹脂
は、市販の陽イオン交換樹脂でよく、これを通常の方法
でH型に再生して用いる。陽イオン交換樹脂による処理
としては、バッチ式やカラム式が挙げられ、バッチ式に
よって処理を行う場合は、原料ジュース1000mLに
対して乾燥した再生イオン交換樹脂の重量で20〜10
00g程度の陽イオン交換樹脂を用意して、これを原料
ジュースに加えて20分以上、通常は30分程度攪拌し
た後、濾過することによって行う。一方、カラム式によ
って処理を行う場合は、原料ジュース1000mLに対
して再生したイオン交換樹脂の体積で100〜500m
L程度のカラムに充填した陽イオン交換樹脂を用意し
て、原料ジュースをこれにチャージし、0.5〜2.0
時間かけて通過させることによって行う。
【0019】このように陽イオン交換樹脂による処理を
行えば、原料ジュース中のカリウム含量を当初の10分
の1以下にすることができる。また、原料ジュースの種
類と陽イオン交換樹脂の量、陽イオン交換樹脂との接触
時間等により、カリウム含量を当初の20分の1以下に
することもできる。なお、生産性やイオン交換の効率を
考慮すれば、カラム式による処理が好ましい。カリウム
摂取が制限されている患者の飲用が目的であれば、ジュ
ース中のカリウム濃度を0〜7mmol/Lとするのが
よい。
【0020】さらに、陽イオン交換樹脂による処理を行
ったジュースに炭酸カルシウムおよび水酸化カルシウム
から選択されるカルシウム化合物を固体のまま0.5〜
20g/L、好ましくは原料ジュースのpH値に完全に
戻さない程度に加え、必要であれば更にビタミンCを
0.2〜10g/Lジュース中に含有されるように加え
ることによって風味、酸味や栄養が改善された低カリウ
ムジュースを製造することができる。腎不全患者の血中
リン酸イオン濃度、カリウムイオン濃度のバランスによ
っては、一日あたり0.5〜1.5gの炭酸カルシウム
を摂取させることができる。
【0021】また、本発明によって提供される低カリウ
ムジュースは、必要に応じ、腎機能に悪影響がない範囲
において、各種ビタミン、糖質、色素、香料などを配合
し、風味に変化を付けることができる。そして、そのま
ま飲料に供することは勿論のこと、必要があれば、濃
縮、乾燥、造粒工程を加えて、粉末または顆粒に成型す
ることも可能であり、粉末または顆粒状の製品は、その
まま摂取してもよいし、水を加えて液状に戻してもよ
く、他の食品に添加して用いることもできる。
【0022】
【実施例】以下に実施例により本発明を詳しく説明する
が、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、
実施例では、市販の陽イオン交換樹脂Dowex50W
−X4あるいはSK1B(三菱ダイヤイオン社製)を以
下の手順で再生することにより予め準備した陽イオン交
換樹脂を使用した。すなわち、陽イオン交換樹脂500
gに精製水を加えて攪拌することにより、樹脂を十分水
洗した。水を切った樹脂にエタノール500mLを加
え、30分間攪拌した後、濾過してエタノールを除去し
た。このエタノールによる洗浄操作を3回繰り返した
後、エタノールを精製水に代えて水洗した。水洗した樹
脂に1M水酸化ナトリウム溶液500mLを加え、30
分間攪拌した後、濾過して樹脂を回収した。この水酸化
ナトリウム溶液による処理操作を5回繰り返した後、洗
液が中性になるまで樹脂を水洗した。次に、洗浄した樹
脂をカラムに詰め3M塩酸溶液2500mLを通液後、
洗液が中性になるまで水洗した。以上の操作を行った
後、そのままか、あるいは吸引濾過によって樹脂を十分
乾燥して再生H型陽イオン交換樹脂を得た。
【0023】実施例1 バッチ式製法 原料ジュースとして市販の果汁100%オレンジジュー
ス、果汁100%アップルジュース、果汁100%グレ
ープフルーツジュースおよび果汁100%グレープジュ
ースの各々1000mLに、乾燥した再生H型陽イオン
交換樹脂を第1表に示した量を添加し、30分間攪拌し
てカリウムを吸着させた。その後、濾過して得た各ジュ
ースに第1表に示した量の炭酸カルシウムを固体のまま
加え、さらに各ジュースにビタミンCを滴定法によって
測定された処理前と同程度の濃度になるように加えて攪
拌、溶解することにより、最終製品である低カリウムジ
ュースを製造した。陽イオン交換樹脂による処理の前お
よびビタミンCを添加する前に、Automated
Electolyte Analyzer EA05
(エイアンドティー)を用いてジュース中のカリウム濃
度およびジュースのpHを市販pHメーターで測定した
結果を第1表に示した。この結果から明らかなように、
カリウム含量が当初の10分の1、あるいは20分の1
である果汁ジュースを製造することができた。
【0024】
【表1】第1表 各種ジュースのイオン交換樹脂処理
の結果
【0025】実施例2 バッチ式製法 市販の緑黄色野菜ジュース(原料:セロリ、パセリ、ク
レソン、キャベツ、ラディッシュ、ホウレン草、ミツ
バ)1000mLに、再生した陽イオン交換樹脂700
gを添加して、実施例1に記載の方法と同様に陽イオン
交換樹脂処理を行うことにより、カリウムを吸着、除去
した野菜ジュースを得た。次に、この野菜ジュースに第
2表に示した量の炭酸カルシウムを固体のまま加えた
後、野菜ジュースにビタミンCを滴定法によって測定さ
れた処理前と同程度の濃度になるように加えて攪拌、溶
解することにより、最終製品である低カリウムジュース
を製造した。実施例1と同様に陽イオン交換樹脂による
処理の前およびビタミンCを添加する前に、ジュース中
のカリウム濃度およびジュースのpHを測定した結果を
第2表に示した。この結果から明らかなように、カリウ
ム含量が当初の20分の1の緑黄食野菜ジュースを製造
することができた。
【0026】
【表2】第2表 野菜ジュースのイオン交換樹脂処理
の結果
【0027】実施例3 カラム式製法 5倍濃縮オレンジ果汁(カーギルジャパン社製)250
Lに脱イオン水1000Lを加えてよく攪拌、混合する
ことにより100%オレンジジュースを調製した。ま
た、7倍濃縮りんご果汁(長野興産社製)180Lに脱
イオン水1070Lを加え、よく攪拌、混合することに
より100%りんごジュースを調製した。さらに、6倍
濃縮にんじん搾り汁(ミルドゥーラ社製)85L、10
倍濃縮トマト搾り汁(長野サンヨーフーズ社製)7 L、
6倍濃縮ホウレン草搾り汁(長野サンヨーフーズ社製)
10L、5倍濃縮オレンジ果汁(カーギルジャパン社
製)38L、7 倍濃縮透明りんご果汁43L、4倍濃縮
りんご混濁果汁31L(以上長野サンヨーフーズ社製)
および脱イオン水1036Lをよく攪拌、混合すること
により野菜フルーツミックスジュースを調製した。
【0028】調製したそれぞれのジュースを原料とし
て、乾燥した再生H型陽イオン交換樹脂SK1B(三菱
ダイヤイオン社製)250Lを高さ2m、直径55cm
の円筒に充填したカラムに、円筒上部から1時間かけて
ジュースを通した後、第3表に示した量の炭酸カルシウ
ムを固体のまま添加することにより、最終製品である低
カリウムジュースを製造した。陽イオン交換樹脂による
処理前と処理後のカリウム濃度を、偏光ゼーマン原子吸
光光度計Z-5300(日立製作所製)を用いて測定した結果
を第3表に示した。この結果から明らかなように、カリ
ウム含量が当初の100分の1 以下であるジュースを製
造することができた。
【0029】
【表3】第3表 各種ジュースのカラム式イオン交換
樹脂処理の結果
【0030】試験例1 実施例3における工程あるいは最終品で得られた各種低
カリウムジュースについて、炭酸カルシウムが添加、配
合される前後での官能試験を行った。試験に際しては、
風味識別能力に優れた専門パネルにより実施した。評点
は、風味を強く感じるものを+2、やや感じるもの+
1、どちらともいえないもの0、あまり感じないものを
−1、ほとんど感じないもの−2の5段階評価とした。
結果を第4表に示した。
【0031】
【表4】第4表 炭酸カルシウム添加前後の風味評価
【0032】実施例4 炭酸カルシウムを添加しない以外は実施例3に記載の方
法に準じて調製した低カリウムオレンジジュース(pH
2.05)1250Lに水酸化カルシウム2.8Kgを
固体のまま添加することにより、最終製品である低カリ
ウムオレンジジュース(pH3.25)を製造した。製
造した低カリウムオレンジジュースについて試験例1に
記載される専門パネルと同様な評価を行うことにより、
実施例3に記載の炭酸カルシウムが添加されている低カ
リウムオレンジジュースと同様の風味を有することを確
認した。
【0033】試験例2 実施例1に準じた方法で調製したカリウム濃度2.5m
mol/Lの低カリウムオレンジジュース200mLを
実際に同一の透析療法を受けている腎不全患者に透析時
および非透析時にそれぞれ1回給与し、給与前後での患
者の血中カリウム濃度の推移をAutomated E
lectolyte AnalyzerEA05(エイ
アンドティー)を用いて測定した。第5表にその時の測
定値を示した。この結果より、本発明によって製造され
る低カリウムオレンジジュースは、腎不全患者に給与し
ても血中カリウム濃度を何ら変動させることなく、安全
に腎不全患者に給与できることが分かった。
【0034】
【表5】第5表 低カリウムオレンジジュース給与時の
血中カリウム濃度の推移
【0035】
【発明の効果】本発明によれば、カリウム分を低下せし
めたことによる風味の悪化、酸味の強化を、炭酸カルシ
ウムあるいは水酸化カルシウムの添加により抑え、さら
にはビタミンCの添加により、風味がよく、かつ栄養バ
ランスの良好な野菜ジュース、果物ジュース、野菜―果
物ジュースを提供することができる。本発明によって提
供される低カリウムジュースは、腎不全などの腎機能が
低下し、カリウム摂取が制限されている患者の飲用に適
するので有用である。また、腎不全患者の高リン酸血症
に対しては、その抑制を目的として、本発明の低カリウ
ムジュースを提供することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A23L 2/26 (72)発明者 後藤 拓志 埼玉県坂戸市千代田5丁目3番1号 明治 製菓株式会社食料総合研究所内 (72)発明者 滝沢 登志雄 埼玉県坂戸市千代田5丁目3番1号 明治 製菓株式会社食料総合研究所内 (72)発明者 羽太 章中 埼玉県坂戸市千代田5丁目3番1号 明治 製菓株式会社食料総合研究所内 (72)発明者 飯沼 勝春 神奈川県小田原市栢山788 明治製菓株式 会社薬品技術研究所内 Fターム(参考) 4B017 LC02 LC03 LG04 LG07 LK01 LK16 LL09 LP08 4C088 AB51 AB62 AC04 BA08 CA13 MA08 MA16 NA14 ZA81

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 カリウム含有ジュースを陽イオン交換樹
    脂によって処理することにより、該ジュースのカリウム
    含有量を90%以上除去せしめ、さらに該ジュースに炭
    酸カルシウムおよび水酸化カルシウムから選択されるカ
    ルシウム化合物を固体のまま添加することを特徴とする
    風味を改善した低カリウムジュースの製造法。
  2. 【請求項2】 ジュースのカリウム含有量を95%以上
    除去せしめる請求項1に記載の低カリウムジュースの製
    造法。
  3. 【請求項3】 ジュースがリンゴジュース、野菜ジュー
    スあるいはオレンジジュースである請求項1又は2に記
    載の低カリウムジュースの製造法。
  4. 【請求項4】 陽イオン交換樹脂がH型に調整した陽イ
    オン交換樹脂である請求項1に記載の低カリウムジュー
    スの製造法。
  5. 【請求項5】 予めH型に調整した陽イオン交換樹脂を
    用いて、カラム式で処理することを特徴とする請求項1
    に記載の低カリウムジュースの製造法。
  6. 【請求項6】 請求項1に記載の低カリウムジュースの
    製造法において、カルシウム化合物の他にビタミンCを
    添加することを特徴とする低カリウムジュースの製造
    法。
  7. 【請求項7】 カリウム含有量が原料ジュースの10%
    以下であり、かつカルシウム化合物を0.5〜20g/
    L含有することを特徴とする腎不全患者向け低カリウム
    ジュース。
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