JP2001088674A - 車両の挙動制御装置 - Google Patents

車両の挙動制御装置

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JP2001088674A
JP2001088674A JP27438699A JP27438699A JP2001088674A JP 2001088674 A JP2001088674 A JP 2001088674A JP 27438699 A JP27438699 A JP 27438699A JP 27438699 A JP27438699 A JP 27438699A JP 2001088674 A JP2001088674 A JP 2001088674A
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博久 田中
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欣生 片山
Kazuhiro Kato
和広 加藤
Yoshihiro Watanabe
嘉寛 渡辺
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    • B60VEHICLES IN GENERAL
    • B60TVEHICLE BRAKE CONTROL SYSTEMS OR PARTS THEREOF; BRAKE CONTROL SYSTEMS OR PARTS THEREOF, IN GENERAL; ARRANGEMENT OF BRAKING ELEMENTS ON VEHICLES IN GENERAL; PORTABLE DEVICES FOR PREVENTING UNWANTED MOVEMENT OF VEHICLES; VEHICLE MODIFICATIONS TO FACILITATE COOLING OF BRAKES
    • B60T8/00Arrangements for adjusting wheel-braking force to meet varying vehicular or ground-surface conditions, e.g. limiting or varying distribution of braking force
    • B60T8/17Using electrical or electronic regulation means to control braking
    • B60T8/1755Brake regulation specially adapted to control the stability of the vehicle, e.g. taking into account yaw rate or transverse acceleration in a curve
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B60VEHICLES IN GENERAL
    • B60TVEHICLE BRAKE CONTROL SYSTEMS OR PARTS THEREOF; BRAKE CONTROL SYSTEMS OR PARTS THEREOF, IN GENERAL; ARRANGEMENT OF BRAKING ELEMENTS ON VEHICLES IN GENERAL; PORTABLE DEVICES FOR PREVENTING UNWANTED MOVEMENT OF VEHICLES; VEHICLE MODIFICATIONS TO FACILITATE COOLING OF BRAKES
    • B60T2220/00Monitoring, detecting driver behaviour; Signalling thereof; Counteracting thereof
    • B60T2220/03Driver counter-steering; Avoidance of conflicts with ESP control

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  • Control Of Driving Devices And Active Controlling Of Vehicle (AREA)
  • Hydraulic Control Valves For Brake Systems (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 挙動制御を適切に終了させる。 【解決手段】 第1及び第2目標ヨーレートと実ヨーレ
ートとから車両のヨーレート挙動を推定してヨーレート
挙動を制御するECU2を備える。ECUはオーバース
テア制御中に終了条件が成立すればその挙動制御を終了
する。終了条件は、ハンドルが切り増し操作される、車
両が直進状態で安定する、第2目標ヨーレートと実ヨー
レートとの偏差が所定値以下で安定する、推定ブレーキ
液圧とマスタシリンダの液圧とが略一致する、スリップ
角が小さい、第1及び第2目標ヨーレートの絶対値と実
ヨーレートの絶対値とが小さい値でほぼ近似するのいず
れかとする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ドリフトアウトや
スピンといった車両挙動を抑制するために用いられる車
両の挙動制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、この種のドリフトアウト(ア
ンダーステア)やスピン(オーバーステア)などの不安
定状態の発生を検出してこれらを抑制する挙動制御装置
として、制御目標ヨーレートと実ヨーレートとの偏差に
応じて車両の挙動を制御するものが知られている(例え
ば、特開平6−183288号公報、または特開平7−
223520参照)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記従来の
車両の挙動制御装置においては、その制御の開始・終了
は、制御目標ヨーレートと実ヨーレートとの偏差がしき
い値よりも大きいか否かによって決定していることか
ら、車両の挙動が未だ安定状態となっていないにも拘わ
らず制御が終了してしまう場合がある。特に、障害物回
避を行うような場合等には、一度、挙動制御が行われた
後に、続けて挙動制御が必要となる場合がある。このよ
うな場合では、挙動制御の終了・開始が繰り返されるこ
とになり、例えば挙動制御の終了に伴う挙動変化を招く
おそれや、運転操作が不安定になってしまうおそれがあ
る。
【0004】本発明は、このような事情に鑑みてなされ
たものであり、その目的とするところは、挙動制御を適
切に終了させることにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明者は、挙動制御の終了を運転者のハンドル操
作、または車両の状態に応じて決定することに着目して
本発明を完成するに至ったものである。
【0006】具体的に、本発明は、請求項1記載の如
く、舵角に基づき算出される第1目標ヨーレートと、車
両の横加速度に基づき算出される第2目標ヨーレート
と、上記車両に生じた実ヨーレートとから車両のヨーレ
ート挙動を推定し、この推定結果に基づきそのヨーレー
ト挙動を制御すべく制動力を制御する制御手段を備える
ものとする。そして、上記制御手段は、オーバーステア
制御中に終了条件が成立すればその挙動制御を終了する
ものとし、上記終了条件が、ハンドルが実ヨーレートの
方向に切り増し操作されることであることを特定事項と
するものである。ここで、「オーバーステア制御」と
は、オーバーステアを抑制する制御をいう。
【0007】そして、この場合、車両がオーバーステア
のときは運転者はハンドルをカウンター方向(戻し方
向)に切る操作をするのが通常であるところを、ハンド
ルを切り増し方向に操作している。このため、このよう
なハンドル操作は、車両を意図的にスピンさせて、例え
ば旋回しようとしている操作であると考えられる。この
ような場合に、挙動制御、つまりオーバーステアを回避
する制御は、運転者の操作と干渉することとなることか
ら、挙動制御を速やかに終了することによって、制御と
運転者の操作との干渉が回避される。
【0008】そして、上記終了条件としては、上記に限
らず、その他の条件としてもよい。例えば請求項2記載
の如く、オーバーステア制御中に、車両が直進状態で安
定するれば制御を終了するようにしてもよい。ここで、
車両の直進状態の判定としては、例えば舵角が略中立位
置で安定することとしてもよい。
【0009】そして、この場合、車両が直進状態で安定
となることから、運転者が冷静にハンドル操作を行って
いると考えられる。このような場合には、制動力の制御
によるオーバーステアの回避制御を行えば、運転者の操
作と干渉するおそれもあることから、オーバーステアの
回避は運転者の操作に任せるため、挙動制御を終了す
る。
【0010】上記請求項1または請求項2記載の発明に
おける挙動制御の終了条件は、運転者が行ったハンドル
操作に基づいたものであるが、例えば、運転者が何ら操
作を行わないが、車両の状態として挙動制御を終了させ
てもよいと考えられる場合がある。
【0011】例えば請求項3記載の如く、横加速度に基
づき算出される第2目標ヨーレートと車両に生じた実ヨ
ーレートとの偏差が所定値以下で安定すれば、挙動制御
を終了するようにしてもよい。この場合、上記第2目標
ヨーレートと実ヨーレートとの偏差が小さいことから、
挙動制御を行う必要はない状態になっていると考えられ
る。しかも、その状態が安定していることから、車両の
状態が十分に安定していると考えられ、挙動制御は終了
する。
【0012】また、例えば請求項4記載の如く、オーバ
ーステア制御中に、挙動制御の実行による制動量から推
定される推定ブレーキ液圧とマスタシリンダの液圧とが
略一致すれば、制御を終了するようにしてもよい。この
場合、推定ブレーキ液圧がマスタシリンダの液圧と略一
致するのは、実質的に制動力の制御がされていないよう
な挙動制御が終了している状態であるためと考えられ
る。そこで、挙動制御は終了する。
【0013】さらに、上記請求項4記載の終了条件に加
えて、例えば請求項5記載の如く、推定ブレーキ液圧と
マスタシリンダの液圧とが略一致し、かつスリップ角が
小さくなれば挙動制御を終了するようにしてもよい。こ
の場合、挙動制御が終了している状態であると考えら
れ、かつ、スリップ角が小さいことから車両が横滑りを
起こしていないと考えられる。そこで、挙動制御は終了
する。
【0014】加えて、例えば請求項6記載の如く、推定
ブレーキ液圧とマスタシリンダの液圧とが略一致し、か
つ上記第1及び第2目標ヨーレートの絶対値と実ヨーレ
ートの絶対値との全てが所定値よりも小さくなれば挙動
制御を終了するようにしてもよい。この場合、第1及び
第2目標ヨーレートの絶対値と実ヨーレートの絶対値と
のが全て所定値よりも小さいことから、車両がほぼ直進
状態であって、しかも、ハンドルも操作されていない状
態であり、挙動制御は必要のない状態であると考えられ
る。しかも、推定ブレーキ液圧とマスタシリンダ液圧と
が略一致しているため、制動力の制御も行われていない
と考えられることから、挙動制御は終了する。
【0015】また、制御手段としては、例えば請求項7
記載の如く、スリップ角が小さく、かつ、上記第1及び
第2目標ヨーレート、並びに実ヨーレートの3つの内の
いずれか2つの絶対値が所定値以下で、残りの1つの絶
対値が上記所定値に近似する値であれば挙動制御を終了
するようにしてもよい。この場合、上記請求項6記載の
終了条件よりも緩い条件であるが、この状態になれば、
車両が十分にグリップ走行をしており、かつ、舵角に対
して車両の挙動が追従していると考えられる。そこで、
挙動制御は終了する。
【0016】さらに、例えば請求項8記載の如く、上記
請求項1〜請求項7記載の条件のいずれかが成立すれば
挙動制御を終了するようにしてもよい。
【0017】すなわち、終了条件を、ハンドルが実ヨー
レートの方向に切り増し操作されること、車両が直進状
態で安定すること、第2目標ヨーレートと実ヨーレート
との偏差が所定値以下で安定すること、推定ブレーキ液
圧とマスタシリンダの液圧とが略一致すること、上記推
定ブレーキ液圧とマスタシリンダの液圧とが略一致し、
かつスリップ角が小さいこと、上記推定ブレーキ液圧と
マスタシリンダの液圧とが略一致し、かつ上記第1及び
第2目標ヨーレートの絶対値と実ヨーレートの絶対値と
の全てが所定値よりも小さいこと、及び、スリップ角が
小さく、かつ、上記第1及び第2目標ヨーレートと実ヨ
ーレートとの3つの内のいずれか2つの絶対値が所定値
以下で、残りの1つの絶対値が上記所定値に近似する値
であることのいずれかとしてもよい。
【0018】加えて、上記請求項3〜請求項7記載の終
了条件が、未だ制御を継続させるべき状態であるのにも
拘わらず、偶然に成立する場合も考えられる。そこで、
請求項9記載の如く、終了条件が成立しても、所定時間
経過後に挙動制御を終了するようにしてもよい。すなわ
ち、上記の条件が成立した状態が所定時間経過すれば、
挙動制御を終了するようにしてもよい。
【0019】このように、単に制御目標ヨーレートと実
ヨーレートとの偏差に基づき挙動制御を終了するのでは
なく、車両の状態に基づき挙動制御を終了することによ
って、挙動制御の開始・終了の繰り返しが防止される。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面に
基いて説明する。
【0021】図1は、本発明の実施形態に係る車両の挙
動制御装置の全体構成を示している。まず、入力側の各
装置について説明すると、11は各車輪の車輪速度を検
出する車輪速センサ、12はステアリング(ハンドル)
の操舵角を検出する舵角センサ、13は車両に発生して
いるヨーレートを検出するヨーレートセンサ、14は車
両の横方向の加速度を検出する横加速度センサ(横Gセ
ンサ)、15はスロットル開度を検出するスロットル開
度センサ、16は後述するアンチロックブレーキシステ
ムの制御をキャンセルするためのストップランプスイッ
チ、17はエンジン回転数を検出するエンジン回転数セ
ンサであり、エンジン出力のフィードバック制御を行う
ために検出するようにしている。また、18はエンジン
(パワートレイン)の運転状態を検出するためにシフト
位置を検出するシフト位置センサ(AT)であり、この
シフト位置検出センサ18は、リバースの場合には挙動
制御をキャンセルするキャンセルスイッチとしても用い
るようにしている。さらに、19は第1液圧発生源とし
てのマスターシリンダ(MC)の液圧を検出するMC液
圧センサであり、このMC液圧センサ19の検出結果に
応じてブレーキ液圧を運転者のブレーキペダル踏み力に
対応した液圧に補正するようにしている。加えて、11
0はリザーバ内のブレーキ液の存在を検出するリザーバ
液面レベルスイッチである。
【0022】次に、出力側の各装置について説明する
と、31は上記アンチロックブレーキシステム21が作
動していることを警報するアンチロックブレーキシステ
ムランプ、32は第2液圧発生源としての加圧ポンプに
備えられた加減圧手段としての加圧モータ、33,34
はそれぞれ前輪及び後輪用に設けられたディスクブレー
キ等のブレーキ装置に対してブレーキ液を供給・排出す
る加減圧手段としてのフロントソレノイドバルブ及びリ
アソレノイドバルブ、35はマスターシリンダ側と上記
各車輪のブレーキ装置側との間を遮断・開放する加減圧
手段としてのTSWソレノイドバルブ、36は上記マス
ターシリンダと上記加圧ポンプとの間を遮断・開放する
加減圧手段としてのASWソレノイドバルブ、37はエ
ンジン出力の制御を行うエンジンコントローラ、38は
車両の挙動制御が行われていることを運転者に対し、音
或いは表示によって警報する警報手段としての警報装置
である。
【0023】次に、上記入力側の各センサ、又はスイッ
チ11〜110の信号が入力され、上記出力側の各装置
31〜38に制御信号を出力する制御手段としてのEC
U2について説明する。
【0024】このECU2には、車輪が路面に対してロ
ックしそうなときに、その制動力を制御して車輪のロッ
クを抑制するアンチロックブレーキシステム21と、制
動時に後輪がロックしないように、後輪に付与される制
動力の配分を行う電子制動力配分装置22と、車両の走
行中に車輪が路面に対してスリップする現象を、各車輪
に対する駆動力或いは制動力を制御することによって抑
制するトラクションコントロールシステム23と、例え
ばドリフトアウトやスピンといったヨーレート挙動を抑
制・回避する車両安定性制御装置24とを備えている。
【0025】次に、上記各装置の信号の入出力について
説明すると、上記車輪速センサ11からの信号は車輪速
度演算部及び推定車体速演算部において車輪速度及び推
定車体速が演算され、また、上記ストップランプスイッ
チ16からの信号はストップランプ状態判断部に入力さ
れ、そこから上記アンチロックブレーキシステム21、
電子制動力配分装置22、トラクションコントロールシ
ステム23、及び車両安定性制御装置24にそれぞれ入
力されるようになっている。
【0026】また、上記エンジン回転数センサ17、ス
ロットル開度センサ15、及びシフト位置センサ18か
らの各信号は、それぞれエンジン回転数演算部、スロッ
トル開度情報取り込み部、及びシフト位置判断部に入力
され、そこから上記トラクションコントロールシステム
23、及び車両安定性制御装置24に入力されるように
なっている。
【0027】さらに、上記舵角センサ12、ヨーレート
センサ13、横Gセンサ14、及びMC液圧センサ19
の信号は、それぞれ舵角演算部、ヨーレート演算部、横
G演算部及びMC液圧演算部によって、舵角、ヨーレー
ト、横加速度、及びMC液圧が演算されて、上記車両安
定性制御装置24に入力されるようになっている。
【0028】加えて、上記リザーバ液面レベルスイッチ
110の信号は液面レベル判断部を経て、上記トラクシ
ョンコントロールシステム23及び車両安定性制御装置
24にそれぞれ入力されるようになっている。
【0029】そして、上記アンチロックブレーキシステ
ム21は、各信号から制御量を演算し、アンチロックブ
レーキシステムランプ31及び加圧モータ32、並び
に、フロントソレノイドバルブ33及びリアソレノイド
バルブ34に信号を出力してこれらを制御するようにな
っている。
【0030】また、上記電子制動力配分装置22は、リ
アソレノイドバルブ34を制御するようになっている。
【0031】上記トラクションコントロールシステム2
3は、フロントソレノイドバルブ33、リアソレノイド
バルブ34、加圧モータ32、TSWソレノイドバルブ
35及びエンジンコントローラ37に対し信号を出力し
てこれらを制御するようになっている。
【0032】そして、上記車両安定性制御装置24は、
エンジンコントローラ37、フロント及びリアソレノイ
ドバルブ33,34、加圧モータ32、TSW及びAS
Wソレノイドバルブ35,36並びに警報装置38に対
し信号を出力してこれらを制御するようになっている。
【0033】(車両安定性制御)次に、上記車両安定性
制御装置24における車両の安定性制御(挙動制御)に
ついて説明する。この車両安定性制御装置24は、例え
ばドリフトアウトを回避する制御であるアンダーステア
制御、及び例えばスピンを回避する制御であるオーバー
ステア制御を行うようになっており、上記アンダーステ
ア制御は、具体的には制御目標ヨーレートTrψが実ヨ
ーレートψよりも大きいときに、旋回内前輪或いは旋回
内後輪に対して制動力を付与するとともに、エンジン出
力を低下させる制御を行う。このような制御によって、
車速の低下による遠心力の低下と、各車輪に付与される
制動力のアンバランスによる車両モーメントとが生じ、
ドリフトアウトを回避することができるようになる。
【0034】一方、オーバーステア制御は、具体的には
制御目標ヨーレートTrψが実ヨーレートψよりも小さ
いときに、旋回外前輪に制動力を付与する制御を行う。
このような制御によって、車両前部が旋回外方向となる
モーメントが生じ、スピンが回避できるようになる。
【0035】そして、この車両安定性制御装置24によ
る挙動制御について、さらに詳しく、図2に示すフロー
チャートに従って説明する。まず、ステップS11にお
いては、上述した各種センサ等11〜110からの信号
の読み込みを行う。
【0036】次いで、ステップS12において、舵角に
基づく第1目標ヨーレートψ(θ)、及び横加速度に基
づく第2目標ヨーレートψ(G)をそれぞれ演算する。
【0037】この第1目標ヨーレートψ(θ)は、具体
的には、車輪速センサ11の信号に基づき推定車体速演
算部において演算される推定車体速Vと、舵角センサ1
2によって検出され舵角演算部において演算される舵角
θとを用い、式(1)によって算出する。
【0038】 ψ(θ)=V×θ/{(1+K×V2)×L}……(1) ここで、Kはスタビリティファクタであり、このKは高
μ(摩擦係数)路の旋回から求めた定数である。また、
Lはホイールベースである。
【0039】一方、上記第2目標ヨーレートψ(G)
は、上記推定車体速度V、及び上記横Gセンサ14の信
号に基づき横G演算部において演算される横加速度Gy
を用いて式(2)により演算する。
【0040】ψ(G)=Gy/V……(2) そして、ステップS13において、上記第2目標ヨーレ
ートψ(G)の絶対値が第1目標ヨーレートψ(θ)の
絶対値よりも小さいか否かを判定する。この判定は上記
第1及び第2目標ヨーレートψ(θ,G)のうちのいず
れを制御目標ヨーレートTrψとして設定するかを判定
するステップであり、上記第1及び第2目標ヨーレート
ψ(θ,G)のうちの絶対値の小さい方を制御目標ヨー
レートTrψとして設定し、車両の挙動制御を行うよう
にしている。
【0041】そして、このステップS13においてNO
の場合はステップS14に進む一方、YESの場合はス
テップS15に進む。
【0042】上記ステップS14では、第1目標ヨーレ
ートψ(θ)を制御目標ヨーレートTrψとし、この制
御目標ヨーレートTrψと、ヨーレートセンサ13によ
って検出されヨーレート演算部において演算された実ヨ
ーレートψとの偏差Δψ(θ)を算出する。
【0043】一方、上記ステップS15では、第2目標
ヨーレートψ(G)を制御目標ヨーレートTrψとす
る。このとき、制御目標ヨーレートTrψは、式(3)
によって舵角成分を考慮した補正を行うようにする。す
なわち、 Trψ=ψ(G)+a×k1……(3) とする。ここで、a=ψ(θ)−ψ(G)である。k1
は変数である。
【0044】そして、この補正した制御目標ヨーレート
Trψと実ヨーレートψとの偏差Δψ(θ,G)を算出
する。
【0045】このように、横加速度に基づく第2目標ヨ
ーレートψ(G)を制御目標ヨーレートTrψとした場
合に舵角成分の補正を行うことによって、運転者が意図
してアンダーステアとしている場合(駆動アンダーステ
ア)には、挙動制御の介入を抑制することができるよう
になる。
【0046】すなわち、例えば車両がアンダーステア状
態であるときは、舵角を一定にして駆動力を上げるよう
な運転者が意図的に行っている駆動アンダーステアと、
運転者の操舵に対し車両の挙動が追従しない運転者の意
図しないアンダーステアの2種類がある。ここで、例え
ば横加速度に基づく第2目標ヨーレートψ(G)を制御
目標ヨーレートTrψとする場合では、車両に生じる横
加速度は上記2種類のアンダーステアのいずれの場合も
同じであるため、上記駆動アンダーステアであっても挙
動制御が行われるようになってしまう。そこで、第2目
標ヨーレートψ(G)を制御目標ヨーレートとする時は
舵角成分を補正することによって、運転者がハンドルが
切り込んでいる時にのみ挙動制御が行われるようにな
り、駆動アンダーステアでは挙動制御を行わず、運転者
が意図しないアンダーステアの場合にのみ挙動制御を行
うようにすることができる。
【0047】そして、上式において、k1の値として
は、例えば図3に示すように、横加速度に対し変化する
特性を有する値とする。すなわち、横加速度が小さい
(氷面等、路面が低μの領域)或いは横加速度が大きい
(高μの領域)では小さな値とし、舵角成分の補正割合
を小さくする。
【0048】これは、例えば低μ領域でk1の値を大き
くすれば、次のような不都合が生じるためである。すな
わち、低μ領域では舵が効きにくいため、運転者は、通
常、舵角が比較的大きくなるハンドル操作を行う。この
ような場合に、k1の値を大きくして舵角成分の補正割
合を大きくすれば制御目標ヨーレートTrψと実ヨーレ
ートψとの偏差が大きくなって、挙動制御の制御量、例
えば制動量が大きくなってしまう。その結果、挙動制御
を行った後の車両挙動が逆方向に大きくなりすぎてしま
い、その逆方向の挙動を直すことが困難になる虞れがあ
るためである。
【0049】また、高μ領域において、k1の値を小さ
くするのは、例えば高μ領域はタイヤのグリップ力が十
分に得られている状態であることから、k1の値を大き
くして舵角成分を大きくすると、挙動制御の開始が早す
ぎるようになってしまうためである。つまり、このよう
な高μ領域では、舵角成分の補正割合を大きくしなくて
も適正な制御介入が実現するため、高μ領域ではk1
値を小さくするようにする。
【0050】一方、横加速度が中程度(中μ領域)は、
路面が圧雪状態の場合の路面μに該当し、横滑りが発生
する可能性が高いため、k1の値を大きくすることによ
って舵角成分の補正割合を大きくし、挙動制御が早期に
行われるようにする。
【0051】このように、上記k1の値を横加速度によ
って変化させることによって、適切なタイミングでの挙
動制御の介入が実現するようになる。
【0052】そして、上記ステップS14又はステップ
S15で、制御目標ヨーレートTrψと実ヨーレートψ
との偏差Δψ(θ,G)が算出されれば、ステップS1
6に進み、このステップS16において、オーバーステ
ア制御を行うか否かのしきい値(THOS)、アンダー
ステア制御におけるエンジン制御を行うか否かのしきい
値(THEUS)、及びアンダーステア制御におけるブ
レーキ制御を行うか否かのしきい値(THUS)をそれ
ぞれ設定する。尚、THUS>THEUSとなってい
る。
【0053】次いで、ステップS17においては、上記
THEUSが、第1目標ヨーレートψ(θ)と実ヨーレ
ートψとの偏差Δψ(θ)よりも大きいか否かを判定す
る。すなわち、上記アンダーステア制御におけるエンジ
ン制御を行うか否かを判定する。
【0054】このエンジン制御を行うか否かの判定で
は、上記ステップS13において目標ヨーレートとして
第2目標ヨーレートψ(G)を選択した場合であって
も、第1目標ヨーレートψ(θ)の値を基準として判定
を行う。
【0055】これは、次の理由によるものである。すな
わち、舵角信号は位相が速いため、第1目標ヨーレート
ψ(θ)を制御目標ヨーレートTrψとして挙動制御を
行えば、通常、その挙動制御は早期に開始されるように
なる。本実施形態においては、第1及び第2目標ヨーレ
ートの2つを用いることによって、挙動制御の早期介入
を防止するようにしているが、エンジン出力を低下させ
てもブレーキを制御する場合に比べて運転者が気づかな
い場合が多いことから、エンジン制御に限っては早期に
開始しても弊害が少ない。
【0056】また、アンダーステア制御では、まず車両
の減速をすることがアンダーステアの回避に有効であ
り、このためにエンジン出力を早期に低下させて車両の
減速をすれば、効果的なアンダーステア回避を行うこと
ができるようになる。
【0057】また、横加速度とヨーレートとは略比例関
係にあるため、横加速度に基づく第2目標ヨーレートの
値ψ(G)は、実ヨーレートψの値との差が小さく、ま
た、上記実ヨーレートψの値は、アンダーステアの場合
は不安定になることから、第2目標ヨーレートψ(G)
を制御目標ヨーレートψとすれば適正な制御介入が困難
となってしまう。以上の理由から、エンジン制御の開始
判定は、上記第1目標ヨーレートψ(θ)を制御目標ヨ
ーレートTrψとしている。
【0058】そして、上記ステップS17において、Y
ESの場合はステップS18に進む一方、NOの場合は
ステップS19に進みオーバーステア制御開始の判定を
行う。
【0059】上記ステップS18においては、ヨーレー
ト加速度が所定値以下であるか否かを判定する。これ
は、制御の誤介入防止を目的とするものであり、実際に
車両が所定量以上の挙動変化を生じているか否かを判定
するようにしている。そして、YESであればステップ
S110に進む一方、NOであればステップS113に
進み、エンジン制御を禁止して上記ステップS19に進
む。
【0060】上記ステップS110においては、車両が
オーバーステア中であるか否かを判定する。これは、車
両が旋回方向に回転しながら旋回路外方に移動するオー
バーステアとアンダーステアとが同時に生じている状態
が考えられるためであり、このような場合は、まず、オ
ーバーステアを回避して車両の姿勢を直す必要がある。
そこで、YESであればステップS113に進みアンダ
ーステアのエンジン制御を禁止してステップS19に進
む一方、NOであればステップS111に進む。
【0061】上記ステップS111においては、ブレー
キが非操作か否かを判定する。これは、運転者がブレー
キ操作を行っている場合には駆動力は発生しておらず、
エンジン制御を行っても効果が少ないばかりか、もしエ
ンジン制御を行えば次にアクセルを踏み込んだときに加
速できなくなるため、不要なエンジン制御を行わないよ
うにするためである。そして、YESであればステップ
S112に進み、エンジン制御を行うべくエンジン抑制
制御量を算出する。そして、ステップS114に進み、
エンジンコントローラ37に信号を出力してエンジン制
御を実行、すなわちエンジン出力を低減させる。一方、
上記ステップS111においてNOの場合はステップS
113に進みエンジン制御を禁止する。上記ステップS
114及びステップS111が終了すれば、ステップS
19に進む。
【0062】上記ステップS19においては、オーバー
ステア制御を行うか否かを判定する。このオーバーステ
ア制御の判定は、ステップS14又はステップS15に
おいて算出したヨーレート偏差Δψ(θ,G)が、オー
バーステアしきい値THOSよりも大きいか否かを判定
することによって行う。YESの場合はステップS11
5に進み、オーバーステアを回避すべく外前輪、すなわ
ち、ヨーレートの回転方向に対して外側の前輪に付与す
る制動量を、上記ヨーレート偏差Δψ(θ,G)に応じ
て設定する。
【0063】制動量が設定されれば、ステップS117
に進み制動力制御を実行する。これは、加圧モータ3
2、フロント及びリアソレノイドバルブ33,34、T
SW及びASWソレノイドバルブ35,36をそれぞれ
制御することによって行う。次いで、ステップS118
に進み、オーバーステア制御の終了判定を行いリターン
する。
【0064】一方、上記ステップS19においてNOと
判定された場合は、ステップS116に進む。このステ
ップS116においては、アンダーステア制御を開始す
るか否かを判定する。そして、開始する(YES)であ
ればステップS119に進む一方、開始しない(NO)
であればリターンする。
【0065】上記ステップS119においては、そのア
ンダーステアが小さいか否かを判定する。小さい場合は
ステップS120に進む一方、大きい場合はステップS
121に進む。
【0066】上記ステップS120においては内前輪の
制動量を演算する。一方、ステップS121においては
内後輪の制動量を演算する。これはアンダーステアが小
さいときは、前輪にはグリップ力がある状態と考えら
れ、また、前輪に制動力を付与することは後輪に制動力
を付与する場合に比べて、より制動効率が良い、すなわ
ち車両をより効率的に減速できるためである。このた
め、アンダーステアが小さい場合には内前輪に制動を行
うことによって、確実かつ迅速なアンダーステア制御を
行うことが可能になる。
【0067】一方、アンダーステアが大きい場合は、前
輪のグリップ力がないものと考えられることから、内後
輪に対し制動力を付与する。
【0068】このように制動量が演算されれば、ステッ
プS122に進み、制動力制御を実行する。
【0069】そして、ステップS123においては、ア
ンダーステア制御の終了判定を行う。これは、上記ヨー
レート偏差Δψ(θ,G)がしきい値THUSよりも小
さくなったか否かを判定することによって行う。そし
て、YESの場合はステップS124に進み制御を終了
させてリターンする。一方、NOの場合は制御を終了す
ることなくリターンする。
【0070】(アンダーステアのブレーキ制御開始判
定)次に、上記ステップS116におけるアンダーステ
ア制御におけるブレーキ制御開始の判定について、図4
に示すフローチャートに従って説明する。この制御開始
判定では、上記ヨーレート偏差Δψ(θ,G)がしきい
値THUSを越えたか否かのみで判定を行うのではな
く、その他の条件が成立することによって、制御を開始
するようにしている。
【0071】まず、ステップS21において、ヨーレー
ト偏差Δψ(θ,G)がアンダーステアしきい値THU
Sよりも大きいか否かを判定する。YESの場合はステ
ップS22に進む一方、NOの場合はステップS23に
進む。
【0072】上記ステップS22においては、実ヨーレ
ートψの加速度が所定値以下か否かを判定する。これは
上記ステップS18(図2参照)と同様に制御の誤介入
防止を目的とするものである。
【0073】そして、上記ステップS23においては、
ハンドル操舵速度が切り増し方向に所定値以上であるか
否かを判定する。YESであればステップS25に進む
一方、NOであればステップS27に進み、非制御とし
てリターンする。そして、上記ステップS25において
は、図5に示すように、第1目標ヨーレートψ(θ)の
値が実ヨーレートψの値の2倍よりも大きく、かつ、第
1目標ヨーレートψ(θ)−実ヨーレートψの値Δψ
(θ)が所定値以上であるか否かを判定する。また、ス
テップS25がNOであればステップS26に進み、実
ヨーレートψの加速度が所定値以下であり、かつ、Δψ
(θ)が所定値以上であるか否かを判定する。NOであ
ればステップS27に進み、制御を非制御としてリター
ンする。
【0074】上記ステップS25は、第1目標ヨーレー
トψ(θ)と実ヨーレートψとの偏差が大きいか否か、
上記ステップS26は、第1目標ヨーレートψ(θ)と
実ヨーレートψとの偏差の広がりの速度が速いか否かを
それぞれ判定しており、上記ステップS25又はステッ
プS26において、YESであればステップS24に進
み、アンダーステアのブレーキ制御を開始する。
【0075】すなわち、ヨーレート偏差Δψ(θ,G)
がしきい値THUSよりも大きいか否かのみで挙動制御
を開始するのでは、駆動アンダーステアのように運転者
が意図してアンダーステア状態としている場合にも制御
が開始されるため、ハンドルを切り増し操作しているに
も拘わらず、それに追従してヨーレートの増加がなく、
運転者の意志通りに車両が挙動せずにアンダーステアと
なっている場合にのみ制御が行われるようにする。
【0076】(オーバーステア制御開始判定)次に、オ
ーバーステア判定について説明する。このオーバーステ
ア制御の開始判定は、上述したように、制御目標ヨーレ
ートとして、第1及び第2目標ヨーレートψ(θ,G)
のうちの絶対値の小さい方を制御目標ヨーレートTrψ
とし、この制御目標ヨーレートTrψと実ヨーレートψ
との偏差Δψ(θ,G)が、オーバーステアしきい値T
HOSよりも大きいか否かによって行うようにしてい
る。
【0077】例えば、図7に示すように、第2目標ヨー
レートψ(G)の絶対値が、第1目標ヨーレートψ
(θ)の絶対値よりも小さいときは、上記第2目標ヨー
レートψ(G)を制御目標ヨーレートTrψとして、オ
ーバーステア制御を行う(同図のT1参照)。
【0078】そして、例えば、このようなオーバーステ
アを回避しようと運転者がカウンターステアを行った場
合には、第1目標ヨーレートψ(θ)の値が、上記第2
目標ヨーレートψ(G)よりも小さくなる場合がある。
このときは、制御目標ヨーレートTrψを第2目標ヨー
レートψ(G)から第1目標ヨーレートψ(θ)に変更
する(同図のT2参照)。
【0079】このようにカウンターステアを行った場合
には、第1目標ヨーレートψ(θ)の変化に伴い実ヨー
レートψの値が第2目標ヨーレートψ(G)の値よりも
小さくなる。ここで、例えば、第2目標ヨーレートψ
(G)を制御目標ヨーレートTrψとしたままであれ
ば、オーバーステア制御からアンダーステア制御に変更
されてしまう。このようにアンダーステア制御となって
しまえば、車両の挙動としては未だオーバーステアであ
り、かつ、運転者がカウンターステアとしているにも拘
わらず、そのカウンターステアの効果が生じないよう
な、つまりオーバーステアを助長する制御となってしま
う。ところが、第1及び第2目標ヨーレートψ(θ,
G)のうちの小さい方を制御目標ヨーレートTrψとす
れば、カウンターステアを行った場合でもオーバーステ
ア制御が継続して行われ、上記の不都合が解消される。
【0080】また、上記第1目標ヨーレートψ(θ)の
値が中立点を通過し、この第1目標ヨーレートψ(θ)
の値と第2目標ヨーレートψ(G)の値との符号が異な
るときには、制御目標ヨーレートTrψの値を所定値で
一定にし(同図のT3参照)、その後、上記第1及び第
2目標ヨーレートψ(θ,G)の値が同符号となれば、
上記第1及び第2目標ヨーレートψ(θ,G)のうちの
絶対値の小さい方、図7では上記第2目標ヨーレートψ
(G)の値を制御目標ヨーレートTrψに設定する(同
図のT4参照)。
【0081】このように、制御目標ヨーレートTrψの
値を一定値で保持するようにするのは、舵角が中立点を
越えるような状態遷移のときに制御ゲインが大きくなっ
てしまうことを回避するためである。また、例えば第1
目標ヨーレートψ(θ)の値をそのまま制御目標ヨーレ
ートTrψとすれば、制御量が大きくなってしまい、車
両が逆方向にスピンしてしまう虞れがあるためである。
このように、車両が逆方向にスピンするようになると、
その逆方向スピンの回避が困難となることから、上記第
1及び第2目標ヨーレートψ(θ,G)の値が異符号と
なるときには、制御目標ヨーレートTrψを所定値で保
持する。
【0082】尚、上記所定値を例えば中立点としてしま
うと、その後、車両がヨー挙動を起こさなくなってしま
うため、上記所定値は中立点にオフセットした値として
いる。
【0083】(カウンターの収束制御)上述したよう
に、オーバーステアの場合には、運転者がカウンタース
テアを行う場合があり、このような場合であっても適正
にオーバーステアを回避する制御を行うようにしている
が、挙動制御によるブレーキ制御を行うことによって、
ハンドルで操舵する以上に車両の挙動が大きくなる。そ
の結果、例えば運転者がカウンターステアを行った後の
ハンドルの戻しの遅れ等に起因して逆方向のオーバース
テアとなる場合がある。その結果、車両のヨーレート挙
動が収束しなくなる虞れがある。
【0084】このような逆方向のオーバーステアを防止
するために、旋回内前輪に制動力を付与する制御を行
う。すなわち、図8は、カウンターステア後の収束制御
のフローチャートを示しており、この制御では、まず、
ステップS31において、オーバーステア制御中又は制
御後所定時間以内である否かを判定する。YESであれ
ばステップS32に進み、NOであればリターンする。
【0085】上記ステップS32においては、カウンタ
ーステアを行ったか否かのカウンター判定を行う。これ
は、例えば実ヨーレートψの値と舵角に基づく第1目標
ヨーレートψの値と大小が反転した、或いは、舵角速度
が反転したことを用いて判定すればよい。そしてYES
であればステップS33に進む一方、NOであればリタ
ーンする。
【0086】上記ステップS33においては、カウンタ
ー量が大きいか否かを判定する。これは、例えばカウン
ターステアを行う前のオーバーステア状態が大きいか否
か、或いはカウンターステアを行っているときのハンド
ルの舵角速度が大きいか否か等に基づき判定すればよ
い。そして、YESであればステップS34に進み、N
Oであればリターンする。
【0087】上記ステップS34においては舵角速度が
反転したか否かを判定する。これは、カウンターステア
を行った後に、ハンドルの戻し操作を行っているか否か
を判定する。そして、YESであればステップS35に
進み、NOであればリターンする。
【0088】上記ステップS35においては、実ヨーレ
ートψが舵角の変化に追従しているか否かを判定する。
すなわち、実ヨーレートψが舵角の変化に追従すれば、
ヨーレート挙動が収束方向に向かっていると考えられる
ことから、旋回内前輪に対する制動力の付与は行わない
ようにする。また、制動力を付与していたとしても、実
ヨーレートが舵角の変化に追従したら、その制動力付与
は中止するようにしてもよい。
【0089】そして、NOであればステップS36に進
み、旋回内前輪に制動力を付与する一方、YESであれ
ばリターンする。
【0090】このような制御によって、カウンターステ
アを行った後の、車両が逆方向のオーバーステアとなる
ことを回避することができるようになる。
【0091】(アンダーステアしきい値の設定)次に、
ステップS16(図2参照)におけるアンダーステアし
きい値THUSの設定について説明する。このアンダー
ステアしきい値THUSは、基本しきい値を決定し、こ
の基本しきい値を補正することによって設定するように
している。
【0092】まず、図9に示すように、ステップS41
において、基本しきい値を設定する。この基本しきい値
は、所定の定数とすればよい。
【0093】次いで、ステップS42において、ハンド
ルの切り戻し時であればその操舵速度が大きいほどしき
い値を高め挙動制御の介入を抑える、つまり挙動制御が
介入し難くする。これは、アンダーステアであるにも拘
わらずハンドルを切り戻すことから、運転者が意図して
操作をしているものと考えられるためであり、このよう
な運転者が意図して運転を行っている場合は、挙動制御
の介入は抑えて運転者の操作に任せるようにするためで
ある。これによって、挙動制御介入と運転者の操作とが
干渉し合うことを回避することができるようになる。
【0094】そして、ステップS43において、実ヨー
レートの変動(実ヨーレートの変化)が大きいほどしき
い値を高めて制御介入を抑えるようにする。これは、ヨ
ーレートが増加傾向にあれば、アンダーステアは回避さ
れるためである。逆に、このような時に制御を早期に介
入させると、さらに大きなヨーレート変化となり、オー
バーステアになってしまう場合がある。そこで、このよ
うな場合での制御の誤介入を回避するため、しきい値を
高めるようにする。
【0095】ステップS44においては、ハンドルが中
立位置付近にあるときはしきい値を高めて制御介入を抑
えるようにする。これは、アンダーステアは、通常、ハ
ンドルが切られているときに発生するものであり、ハン
ドルの中立付近のような場合にはアンダーステアの制御
を行う必要はなく、このようなアンダーステアとなり難
い状態での誤介入を回避するためである。
【0096】ステップS45においては、横加速度が小
さいとき(低μ領域のとき)ほどしきい値を低くし制御
介入を早めるようにする。これは、例えば雪道等の低μ
時にはアンダーステアとなり易いことから、このような
場合には挙動制御が早期に開始されるようにするためで
ある。
【0097】ステップS46においては、旋回中に第2
目標ヨーレートψ(G)が所定値以上低下したら、しき
い値を低下させ制御介入を早めるようにする。これは、
例えば路面が部分的に凍結しているような、路面μが急
激に小さくなって車両が横滑りを起こす場合に制御介入
を早めることを目的としている。すなわち、路面μが急
変した場合、運転者はハンドルを操作できない、或いは
ハンドルを操作するまでに長時間を要するようになる。
ここで、例えば第1目標ヨーレートψ(θ)のみを用い
て挙動制御を行う場合であれば、この第1目標ヨーレー
トψ(θ)が変動しないため、挙動制御を開始すること
ができなくなってしまう。これに対し、本実施形態で
は、横加速度に基づく第2目標ヨーレートψ(G)をも
用いて挙動制御を行うため、このような路面μの変動に
も、的確な制御を早期に行うことができるようになる。
【0098】このようにしてアンダーステアのブレーキ
制御のしきい値THUSが設定される。
【0099】(オーバーステア制御しきい値の設定)次
に、ステップS16(図2参照)におけるオーバーステ
アしきい値THOSの設定について説明する。このオー
バーステアしきい値THOSも、基本しきい値を決定
し、この基本しきい値を補正することによって設定する
ようにしている。
【0100】まず、図10に示すように、ステップS5
1において、基本しきい値を設定する。この基本しきい
値は、図11に示すように、車速Vが低いほど基本しき
い値を大きな値に設定する。そして、極低速時は、さら
に基本しきい値を高い値に設定する。
【0101】そして、ステップS52においては、図1
2に示すように、横加速度が高いほどしきい値を高める
補正をし、かつ、その補正量は車速が高いほど大きくす
る。これは、例えば横加速度が低い、すなわち低μ領域
では、オーバーステアを生じ易くなるため、しきい値を
低くして制御を早期におこなうようにするためである。
また、横加速度が高く(高μ領域)、かつ、高速走行の
場合には、挙動変化も速いため、例えばしきい値を低く
すると挙動制御の誤介入が生じ易くなるためである。さ
らに、高μ領域を高車速で走行できるような運転者は、
車両が多少挙動変化を起こしても十分に対応できる運転
者であると考えられるため、挙動制御と運転者の操作と
の干渉を防止すべく、高横加速度、かつ高速領域ではし
きい値を高くする。
【0102】ステップS53においては、ハンドル舵角
が小さいほどしきい値を高めて制御介入を抑えるように
する。これは、例えばハンドル舵角が小さい場合であっ
ても、特に雪道等では外乱等によって車両の向きと舵角
の向きが逆になる場合がある。このような場合は、挙動
制御を行わずとも車両は自然に安定走行になるため、制
御介入を抑えるようにする。
【0103】ステップS54においては、ハンドル切り
戻し時でハンドル操舵速度が小さいときほど、しきい値
を高めて制御介入を抑える。これは、運転者がハンドル
をゆっくりと戻していることから、制御介入を行わなく
ても、運転者が自らの操作で十分にオーバーステアを回
避できると考えられるためである。そこで、制御介入を
抑えるべくしきい値を高める。
【0104】そして、ステップS55においては、ヨー
レートのオーバーシュート時にはしきい値を高めて制御
介入を抑える。このヨーレートのオーバーシュート時と
は、図13に示すように、ハンドルを切った状態から中
立点まで戻した場合、車両としては不安定な状態ではな
いにも拘わらず、実ヨーレートψがオーバーシュートす
る場合があり、このような場合にはオーバーステアであ
るとの判定がされてしまう。そこで、制御介入を抑える
ためしきい値を高めるようにする。
【0105】ステップS56においては、ヨーレートの
変動が大きい場合は、しきい値を高めて制御介入を抑え
る。これは、制御の誤介入を防止する目的である。
【0106】ステップS57においては、前輪が駆動輪
とされた前輪駆動車のタックイン、又はカウンターステ
アを判定した場合には、しきい値を下げて制御介入を早
めるようにする。ここで、タックインの判定としては、
例えば舵角が切り込んだ状態で一定で、シフト段が2又
は3速といった低速段で、かつアクセルペダルが戻され
てスロットル開度が小さくなったという条件を満たせば
タックインであると判定すればよい。一方、カウンター
ステアの判定としては、ハンドル舵角から判定する。
【0107】そして、ステップS58においては、上記
各ステップにおいて基本しきい値を高める補正を行え
ば、その値が大きくなりすぎてしまう虞れがあるから、
上限値を定めるようにする。このようにしてオーバース
テア制御のしきい値THOSが設定される。
【0108】(オーバーステア制御の終了判定)次に、
オーバーステア制御の終了判定について(図2のステッ
プS118参照)、図14に示すフローチャートに従っ
て説明する。これは、車両の挙動が安定になった状態で
挙動制御を終了させつつ、運転者の操作と挙動制御との
干渉を回避することを目的とする制御である。
【0109】まず、ステップS61において、ハンドル
が直進状態で安定したか否か、つまり、舵角が略中立位
置で安定しているか否かを判定する。NOであればステ
ップS62に進む。
【0110】上記ステップS62においては、ハンドル
が切り増し操作されたか否かを判定する。NOであれば
ステップS63に進む。
【0111】上記ステップS63においては、第2目標
ヨーレートψ(G)と、実ヨーレートψとの差が所定値
以下で安定しているか否かを判定する。すなわち、両者
の値が十分に小さく、かつ略一致しているか否かを判定
する。NOであればステップS65に進む。
【0112】そして、上記ステップS61〜ステップS
63においてYESの場合には、ステップS64に進み
制御を終了してリターンする。これは、ステップS61
の判定では、運転者が冷静にハンドル操作をしていると
考えられるため、挙動制御を行う必要がない、また、挙
動制御を行えば、運転者の操作と挙動制御とが干渉する
虞れがあるためである。また、ステップS62の判定で
は、オーバーステアを助長する方向に運転者がハンドル
操作を行うことから、運転者が意図してオーバーステア
にして旋回を行う、或いは車両が意図的にスピンさせて
例えば事故回避を行おうとしていること等が考えられる
ためである。このような場合には速やかに挙動制御を終
了させることによって、挙動制御と運転者の操作との干
渉を防止することができるようになる。さらに、ステッ
プS63の判定では、第2目標ヨーレートψ(G)と実
ヨーレートψとが略一致して安定した状態であるから、
車両の挙動が安定した状態となっており挙動制御を行う
必要がないため、制御を終了させるようにする。
【0113】そして、上記ステップS65においては、
挙動制御における制動量から推定される推定ブレーキ液
圧がマスターシリンダの圧力と略等しいか否かを判定す
る。すなわち、実質的に制動力の制御が行われておら
ず、挙動制御を終了してもよいと考えられる状態である
かを判定する。YESであればステップS66に進む一
方、NOであればステップS69に進む。
【0114】上記ステップS66においては、スリップ
角βが小さいか否かを判定する。すなわち、横滑りが生
じていないか否かを判定する。YESであればステップ
S67に進む一方、NOであれば制御を終了することな
くリターンする。
【0115】上記ステップS67においては、第2目標
ヨーレートψ(G)の値、第1目標ヨーレートψ(θ)
の値、及び実ヨーレートψの値が全て所定値以下になっ
ているか否かを判定する。すなわち、3つの値が所定値
よりも小さくて近似している状態であるかを判定する。
この判定は、車両が略直進状態であって、しかも、ハン
ドル操作もされていない状態であり、挙動制御は必要の
ない状態であるか否かを判定しており、上記ステップS
63の条件が成立し難い場合もあることから、上記ステ
ップS63の条件よりも緩い条件であっても挙動制御を
終了させるようにする判定である。そして、YESであ
ればステップS68に進み、上記条件が成立した状態が
所定時間T1だけ経過したかを否かを判定する。すなわ
ち、偶然に上記の条件が成立する場合も考えられること
から、所定時間が経過するか否かを判定する。YESで
あればステップS612に進み、挙動制御を終了してリ
ターンする。NOであればリターンする。
【0116】そして、上記ステップS69においては、
スリップ角βが小さいか否かを判定する。YESであれ
ばステップS610に進む。
【0117】上記ステップS610においては、第2目
標ヨーレートψ(G)、第1目標ヨーレートψ(θ)、
及び実ヨーレートψのうちの2つが所定値以下で、残り
の1つも所定値よりも大きく離れた値ではないか否かを
判定する。これは、上記ステップS67での条件よりも
緩い条件となっている。そして、YESであればステッ
プS611に進み、上記ステップS610の条件が成立
した状態で所定時間T2だけ経過したか否かを判定す
る。ここで、所定時間T2は、上記ステップS67の条
件よりも緩い条件であるため、上記ステップS68にお
ける所定時間T1よりも大きい値とする。そして、YE
Sであれば制御を終了してリターンする。
【0118】一方、上記ステップS69、ステップS6
10、及びステップS611においてNOの場合は制御
を継続してリターンする。
【0119】このような、車両が安定した走行状態とな
るまで制御を継続させることによって、例えば制御目標
ヨーレートTrψと実ヨーレートψとの偏差にのみ基づ
いて制御の終了を判定している場合に起こりうる、挙動
制御が早期に終了してしまうことを防止することができ
るようになる。
【0120】また、このような挙動制御の終了判定を行
うことは、例えば障害物回避を行うような、一度挙動制
御が行われた後に、続けて挙動制御が必要となる場合等
に有効であり、制御の終了・開始が短時間に繰り返すこ
とで挙動制御の終了に伴う挙動変化を招く虞れや、運転
操作の安定性が不安定になってしまうこと等が防止され
る。
【0121】一方、運転者が制御を必要としない状況に
おいては、挙動制御を早期に終了させることによって、
挙動制御と運転者の操作とが互いに干渉することを回避
することができるようになる。
【0122】(ブレーキ液圧制御)次に、上記挙動制御
におけるブレーキ液圧(油圧)制御について、図15に
示すフローチャートに従って説明する。本実施形態にお
けるブレーキ液圧制御は、圧力のフィードバック制御を
行うのではなく、所定の加圧(昇圧)速度でもってブレ
ーキ液を加圧する第1フェーズを行い、このブレーキ液
の加圧によって制動力が付与されて車両の挙動に変化が
現れれば、ブレーキ液圧の調圧を行う第2フェーズ(調
圧ステート)に移行するようにしている。
【0123】まず、ステップS71において、挙動制御
が開始されたか否かを判定する。
【0124】次いで、ステップS72においては、オー
バーステア制御であるか否かを判定する。YES(オー
バーステア)であればステップS73に進み、NO(ア
ンダーステア)であればステップS74に進む。
【0125】ステップS73においては、ブレーキ液圧
を機械限度の加圧速度(油圧MAX)で加圧する。すな
わち、加圧ポンプ32を機械限度で作動させ、かつ、A
SWソレノイドバルブ36、及び制動力を付与する車輪
に対する供給経路に設けられたフロント又はリアソレノ
イドバルブ33,34を全開の状態にして加圧を行う。
【0126】そして、ステップS77においては、スリ
ップ率が所定値以上であるか否かを判定する。ここで、
スリップ率は、車輪速センサ11の検出信号から得られ
る推定車体速と車輪速度とに基づき算出すればよい。こ
の判定は、これ以上のブレーキ液の加圧が継続される
と、ブレーキ液圧が過大となってしまうことから、この
過大なブレーキ液圧を防止する目的で行われる。そし
て、NOであればステップS78に進む。
【0127】上記ステップS78においてはスリップ角
βの変化加速度のピークが通過したか否かを判定する。
YESであればステップS79に進み、NOであればス
テップS710に進む。
【0128】ステップS79においては、ヨーレート偏
差Δψ(θ,G)の変化率(変化速度)、或いはヨーレ
ート偏差Δψ(θ,G)の変化加速度のいずれかが減少
傾向、すなわち収束方向となっているか否かを判定す
る。
【0129】ステップS710においては、スリップ角
のピークが通過していなくても、スリップ角βの変化
率、或いはスリップ角βの変化加速度のいずれかが減少
傾向、すなわち収束方向となっているか否かを判定す
る。
【0130】上記ステップS78〜ステップS710
は、ブレーキ液圧を加圧することよる制動力の付与によ
って車両の挙動が変化したか否か、つまり、挙動制御の
効果が現れたか否かを判定している。
【0131】そして、上記ステップS77、ステップS
79又はステップS710においてYESであればステ
ップS711に進み、ブレーキ液圧の加圧時間が所定時
間T4経過したか否かを判定する。この所定時間T4
は、挙動制御の開始しきい値や加圧ポンプ32等のブレ
ーキ液圧制御系の特性等を考慮して設定すればよい。つ
まり、上記ブレーキ液圧系の特性等から、必要なブレー
キ液圧に昇圧するまでに最低限必要と考えられる時間と
して設定すればよい。そして、YESであればステップ
S712に進み、第2フェーズとしての調圧ステート、
すなわち、状態に応じてブレーキ液圧を保持或いは加減
圧させるステートに移行する。NOであればリターンし
て、加圧を継続する。
【0132】これに対し、アンダーステア制御であると
してステップS74に進んだ場合には、まず、このステ
ップS74において、機械限度の加圧速度でもってブレ
ーキ液圧の加圧をする。そして、ステップS75に進
み、この加圧時間が所定時間T3経過したか否かを判定
する。YESであれば、ステップS76に進み、NOで
あれば加圧時間が所定時間T3経過するまで、機械限度
の加圧速度での加圧を継続する。一方、ステップS76
においては、例えば上記機械限度の加圧速度×0.8の
速度でブレーキ液圧の加圧をする。
【0133】これは、アンダーステアの時はタイヤのグ
リップ力がないため、車輪をロックさせることを回避す
るためである。つまり、まず、ブレーキ液圧を機械限度
の加圧速度で加圧することにより、例えばディスクロー
ターにブレーキパッドを密着させるような挙動制御に対
するブレーキ液圧の遅れを取り戻した後に、加圧速度を
少し低くして加圧を継続する。これにより、過大なブレ
ーキ液圧が付与されて、車輪がロックすることが回避さ
れる。
【0134】そして、ステップS713においては、ス
リップ率が所定値以上であるか否かを判定する。NOで
あればステップS714に進み、ハンドルの切り込み操
作に実ヨーレートψが追従して変化しているか否かを判
定する。NOであれば、挙動制御の効果が現れていない
ため、リターンして加圧を継続する。
【0135】一方、上記ステップS713又はステップ
S714において、YESの場合には、ステップS71
5に進み、加圧時間が所定時間T5経過したか否かを判
定する。YESであればステップS716に進み、調圧
ステートに移行する。NOであれば、加圧を継続すべく
リターンする。
【0136】このようにフィードバック制御を行わない
ブレーキ液圧の制御を行うことによって、ブレーキ液圧
の制御系システムを簡易に構成することができる。
【0137】しかも、まず、機械限度の加圧速度で、又
は機械限度よりも減速した加圧速度でブレーキ液の加圧
を行う(第1フェーズ)ことにより、制動力がより早期
に付与されて迅速な挙動制御を実現することができるよ
うになる。それと共に、車両の挙動が収束方向となれ
ば、ブレーキ液圧の調圧制御に移行する(第2フェー
ズ)ことによって、制御量が過大とならずに正確な挙動
制御を実現することができるようになる。
【0138】特に、本実施形態のように挙動制御の介入
をできるだけ遅らせるようにしている場合には、このよ
うなブレーキ液圧の制御をしても運転者等が違和感を感
じることは少なく、また、迅速な挙動制御が可能となる
点で極めて効果的なブレーキ液圧の制御となる。
【0139】(警報装置の制御)次に、警報装置38の
制御について、図16に示すフローチャートに従って説
明する。この警報装置38は、その作動開始を挙動制御
の開始よりも遅延させ、かつ、その作動終了を挙動制御
の終了よりも遅延させるようにしている。
【0140】まずステップS81において、フラグFが
1か否かを判定する。これは、このフラグFは後述する
ように、車両の安定制御が行われているときに1とする
ものである。そして、YESであればステップS87に
進む一方、NOの場合は、警報装置を作動開始の制御を
行うべくステップS82に進む。
【0141】上記ステップS82においては、挙動制御
中であるか否かを判定する。YESであればステップS
83に進み、NOであればリターンする。
【0142】上記ステップS83では、推定ブレーキ液
圧が所定値以上であるか否かを判定する。そして、YE
SであればステップS84に進む。一方、NOであれば
ステップS85に進む。
【0143】上記ステップS85においては、挙動制御
が開始されてから所定時間経過したか否かを判定する。
YESであればステップS84に進む一方、NOであれ
ばリターンする。
【0144】上記ステップS84においては、フラグF
を1としてステップS86に進み、警報装置を作動させ
て(警報ON)リターンする。
【0145】このように、例えば推定ブレーキ圧が所定
値以上となるまで、或いは挙動制御装置が所定時間以上
作動するまで、警報装置の作動開始を挙動制御の制御開
始よりも遅延させることによって、運転者が挙動制御に
気がつかないのに警報がされるといった運転者の違和
感、或いは、その違和感に起因する操作ミスを防止する
ことができるようになる。
【0146】そして、上記ステップS82〜ステップS
86は、警報装置38の作動開始に関する制御である
が、ステップS81においてYESの場合に行われる制
御は、警報装置38の作動終了に関する制御である。
【0147】すなわち、まず上記ステップS87におい
て、車両が直進で安定した状態であるか否かを判定す
る。NOの場合はステップS88に進む。
【0148】上記ステップS88においては、挙動制御
が終了してから所定時間が経過したか否かを判定する。
NOの場合はステップS89に進む。
【0149】上記ステップS89においては、ブレーキ
液圧(制動圧)がマスターシリンダ圧力に略等しいか否
か、すなわち、例えば運転者がブレーキペダルを踏んで
いないときはブレーキ液圧が大気圧であるか否か、一
方、運転者がブレーキペダルを踏んでいるときはブレー
キ液圧がそのブレーキペダルの踏み量に対応するマスタ
ーシリンダの圧力であるか否かを判定する。NOの場合
はリターンする。
【0150】そして、上記ステップS83、ステップS
88、及びステップS89においてYESの場合はステ
ップS810に進み、フラグFを0とし、ステップS8
11において警報装置38の作動を終了させてリターン
する。
【0151】このように、警報装置38の作動を挙動制
御の終了から所定時間経過後に終了することによって、
例えば障害物回避のような挙動制御が断続的に行われる
場合には、警報の終了・開始が繰り返することなく、連
続して行われるようになる。このため、運転者の違和感
を防止することができるようになる。
【0152】また、車両が直進状態で安定する、或いは
ブレーキ液圧がマスターシリンダ圧力に略一致するよう
な、挙動制御が終了してから車両の走行環境が変化する
まで警報装置38の作動を継続させることにより、上述
警報の終了・開始が繰り返されることを防止することが
できるようになる。その結果、運転者が違和感を感じな
いような適正な警報が実現する。
【0153】(他の実施形態)尚、本発明は上記実施形
態に限定されるものではなく、その他種々の実施形態を
包含するものである。すなわち、上記実施形態では、ア
ンダーステア制御のしきい値THUSの設定において
(図9参照)、旋回中に第2目標ヨーレートψ(G)が
所定値よりも低下すれば、しきい値を低下させるように
しているが(同図のステップS46参照)、しきい値T
HUSを補正するのではなく、上記条件に該当する場合
はアンダーステア制御のブレーキ制御自体を強制的に介
入させて、その制御を開始するようにしてもよい。
【0154】また、上記実施形態では、オーバーステア
制御しきい値THOSの設定において(図10参照)、
タックインの場合にはしきい値を低くしているが(同図
のステップS57参照)、タックインの場合には、オー
バーステア制御自体を強制的に介入させて、その制御を
開始するようにしてもよい。すなわち、図2に示すステ
ップS19において、ヨーレート偏差Δψ(θ,G)が
しきい値を越えたか又はタックインかを判定するように
してもよい。
【0155】さらに、上記実施形態においては、カウン
ターステアの場合には、しきい値THOSを低くしてい
るが(同図のステップS57参照)、上記タックインの
場合と同様に、カウンターステアの場合には、オーバー
ステア制御自体を強制的に介入させて、その制御を開始
するようにしてもよい。
【0156】加えて、オーバーステアのときに運転者が
カウンターステアを行った場合のように(図7参照)、
第1目標ヨーレートψ(θ)が第2目標ヨーレートψ
(G)よりも小さくなった場合に、上記実施形態では、
第1目標ヨーレートψ(θ)が第2目標ヨーレートψ
(G)よりも小さくなった時点で、制御目標ヨーレート
Trψを第2から第1目標ヨーレートに変更するように
しているが、これに限らず、例えば次のような制御を行
ってもよい。
【0157】すなわち、第2目標ヨーレートψ(G)か
ら第1目標ヨーレートψ(θ)に制御目標ヨーレーTr
ψトが変更された場合には、ブレーキ圧等が急激に変化
する虞れもある。このため、舵角が反転したこと等に基
づき第1目標ヨーレートψ(θ)が第2目標ヨーレート
ψ(G)よりもその絶対値が小さくなると予測した場合
には、制御目標ヨーレートTrψが急激に変化しないよ
うに、制御量を緩和するようにしてもよい。つまり、制
御目標ヨーレートTrψを第2目標ヨーレートψ(G)
から第1目標ヨーレートψ(θ)に切り換えたときの制
御動作を緩和する緩和手段を設けるのである。
【0158】この緩和手段としては、例えば、あらかじ
めブレーキ液圧の上限値を設定しておき、制御目標ヨー
レートTrψが第2目標ヨーレートψ(G)から第1目
標ヨーレートψ(θ)に変更された場合でも、その上限
値以上のブレーキ液圧が生じないようにすることや、或
いは、第1目標ヨーレートψ(θ)が第2目標ヨーレー
トψ(G)よりも小さくなると予測した場合には、制御
目標ヨーレートTrψの補正式として、第1目標ヨーレ
ートψ(θ)の一階微分の値を第2目標ヨーレートψ
(G)の値に加算して、制御目標ヨーレートTrψを設
定することが挙げられる。こうすると、制御目標ヨーレ
ートTrψの切換時の制御動作が緩和されて、その切換
えに伴うショックを低減することができる。
【0159】また、上記実施形態においては、第1及び
第2目標ヨーレートψ(θ,G)の値のうち、その絶対
値が小さい方を制御目標ヨーレートTrψとして設定し
ているが、例えば悪路走行中等のようなヨーレート変動
が極めて大きい場合には、第2目標ヨーレートψ(G)
の絶対値の方が第1目標ヨーレートψ(θ)の絶対値よ
りも小さい場合でも、上記第1目標ヨーレートψ(θ)
を制御目標ヨーレートTrψとして設定するようにして
もよい。すなわち、ヨーレート変動が極めて大きい場合
は、横加速度の変動が大きくなってしまい、第2目標ヨ
ーレートψ(G)の値が制御目標ヨーレートTrψの値
として適さない虞れがある。このため、安定した値とな
る舵角に基づく第1目標ヨーレートψ(θ)を制御目標
ヨーレートTrψとしてもよい。
【0160】また、ヨーレート変動が極めて大きい場合
は、制御目標ヨーレートTrψの補正式として上記式
(3)に代えて以下の式を用いるようにしてもよい。
【0161】 Trψ=(1−k2)×ψ(G)+k2×ψ(θ)……(4) つまり、第2目標ヨーレートψ(G)に対し第1及び第
2目標ヨーレートψ(θ),ψ(G)間の差に応じた補
正値を加えた目標ヨーレートを制御目標ヨーレートTr
ψにする。ここで、k2の値を大きくすれば、第1目標
ヨーレートψ(θ)の補正割合が大きくなり、ヨーレー
ト変動が極めて大きい場合であっても、適切な挙動制御
を行うことができるようになる。
【0162】加えて、上記実施形態では、警報装置38
の作動開始条件として、推定ブレーキ液圧が所定値以上
としているが(図16のステップS83)、この条件に
加えて、例えばエンジン出力の低減量が所定値以上とな
れば、警報装置38を作動させるようにしてもよい。
【0163】
【発明の効果】以上説明したように、本発明における車
両の挙動制御装置によれば、車両が安定した走行状態と
なるまで制御を継続させることによって、挙動制御が早
期に終了してしまうことを防止することができる。特
に、障害物回避を行うような場合などでも、制御の終了
・開始が繰り返すことで挙動制御の終了に伴う挙動変化
を招くおそれや、運転操作の安定性が不安定になってし
まうこと等を防止できる。
【0164】一方、運転者が制御を必要としない状況に
おいては、挙動制御を早期に終了させることによって、
挙動制御と運転者の操作とが互いに干渉することを回避
することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】車両の挙動制御装置を示すブロック図である。
【図2】挙動制御のフローチャート図である。
【図3】横加速度に対する補正係数k1の特性を表す図
である。
【図4】アンダーステア制御におけるブレーキ制御の開
始判定を示すフローチャート図である。
【図5】アンダーステア制御開始条件を示す実ヨーレー
トと第1目標ヨーレートとの関係を示す説明図である。
【図6】図5とは異なるアンダーステア制御開始条件を
示す実ヨーレートと第1目標ヨーレートとの関係を示す
説明図である。
【図7】第1目標ヨーレート、第2目標ヨーレート、制
御目標ヨーレート及び実ヨーレートの変動の一例を示す
説明図である。
【図8】カウンター後の収束制御を示すフローチャート
図である。
【図9】アンダーステア制御におけるブレーキ制御のし
きい値を設定するフローチャート図である。
【図10】オーバーステア制御のしきい値を設定するフ
ローチャート図である。
【図11】オーバーステア制御の基本しきい値と車速と
の関係を示す図である。
【図12】オーバーステア制御のしきい値に対する横加
速度及び車速に応じた補正量を示す図である。
【図13】実ヨーレートのオーバーシュート状態を示す
図である。
【図14】オーバーステア制御の終了判定を示すフロー
チャート図である。
【図15】挙動制御における油圧制御を示すフローチャ
ート図である。
【図16】警報装置の制御を示すフローチャート図であ
る。
【符号の説明】 2 ECU(制御手段) 11 車輪速センサ 12 舵角センサ 13 ヨーレートセンサ 14 横Gセンサ 32 加圧モータ(加減圧手段) 33 フロントソレノイドバルブ(加減圧手
段) 34 リアソレノイドバルブ(加減圧手段) 35 TSWソレノイドバルブ(加減圧手段) 36 ASWソレノイドバルブ(加減圧手段) 38 警報装置(警報手段)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // B62D 101:00 B62D 113:00 113:00 137:00 137:00 G01P 15/00 J (72)発明者 片山 欣生 兵庫県伊丹市昆陽北一丁目1番1号 住友 電気工業株式会社伊丹製作所内 (72)発明者 加藤 和広 兵庫県伊丹市昆陽北一丁目1番1号 住友 電気工業株式会社伊丹製作所内 (72)発明者 渡辺 嘉寛 広島県安芸郡府中町新地3番1号 マツダ 株式会社内 Fターム(参考) 3D032 CC01 DA03 DA09 DA24 DA29 DA33 DA47 DA49 DA51 DA52 DA82 DA95 DB02 DB03 DC09 DC21 DC29 DC33 DC34 DC40 DD02 DD06 DD17 EB16 FF01 FF08 3D041 AA40 AA47 AA80 AB01 AC15 AD00 AD02 AD04 AD31 AD51 AE03 AE41 AE43 AF09 3D045 BB40 EE21 GG00 GG01 GG25 GG26 GG28 3D046 BB21 BB28 BB29 HH00 HH02 HH05 HH07 HH08 HH16 HH17 HH21 HH25 HH36 JJ01 LL02 LL05 LL46

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 舵角に基づき算出される第1目標ヨーレ
    ートと、車両の横加速度に基づき算出される第2目標ヨ
    ーレートと、上記車両に生じた実ヨーレートとから車両
    のヨーレート挙動を推定し、この推定結果に基づきその
    ヨーレート挙動を制御すべく制動力を制御する制御手段
    を備え、 上記制御手段は、オーバーステア制御中に終了条件が成
    立すればその挙動制御を終了するものであって、 上記終了条件が、ハンドルが実ヨーレートの方向に切り
    増し操作されることであることを特徴とする車両の挙動
    制御装置。
  2. 【請求項2】 舵角に基づき算出される第1目標ヨーレ
    ートと、車両の横加速度に基づき算出される第2目標ヨ
    ーレートと、上記車両に生じた実ヨーレートとから車両
    のヨーレート挙動を推定し、この推定結果に基づきその
    ヨーレート挙動を制御すべく制動力を制御する制御手段
    を備え、 上記制御手段は、オーバーステア制御中に終了条件が成
    立すればその挙動制御を終了するものであって、 上記終了条件が、車両が直進状態で安定することである
    ことを特徴とする車両の挙動制御装置。
  3. 【請求項3】 舵角に基づき算出される第1目標ヨーレ
    ートと、車両の横加速度に基づき算出される第2目標ヨ
    ーレートと、上記車両に生じた実ヨーレートとから車両
    のヨーレート挙動を推定し、この推定結果に基づきその
    ヨーレート挙動を制御すべく制動力を制御する制御手段
    を備え、 上記制御手段は、オーバーステア制御中に終了条件が成
    立すればその挙動制御を終了するものであって、 上記終了条件が、上記第2目標ヨーレートと実ヨーレー
    トとの偏差が所定値以下で安定することであることを特
    徴とする車両の挙動制御装置。
  4. 【請求項4】 舵角に基づき算出される第1目標ヨーレ
    ートと、車両の横加速度に基づき算出される第2目標ヨ
    ーレートと、上記車両に生じた実ヨーレートとから車両
    のヨーレート挙動を推定し、この推定結果に基づきその
    ヨーレート挙動を制御すべく制動力を制御する制御手段
    を備え、 上記制御手段は、オーバーステア制御中に終了条件が成
    立すればその挙動制御を終了するものであって、 上記終了条件が、挙動制御の実行による制動量から推定
    される推定ブレーキ液圧とマスタシリンダの液圧とが略
    一致することであることを特徴とする車両の挙動制御装
    置。
  5. 【請求項5】 舵角に基づき算出される第1目標ヨーレ
    ートと、車両の横加速度に基づき算出される第2目標ヨ
    ーレートと、上記車両に生じた実ヨーレートとから車両
    のヨーレート挙動を推定し、この推定結果に基づきその
    ヨーレート挙動を制御すべく制動力を制御する制御手段
    を備え、 上記制御手段は、オーバーステア制御中に終了条件が成
    立すればその挙動制御を終了するものであって、 上記終了条件が、挙動制御の実行による制動量から推定
    される推定ブレーキ液圧とマスタシリンダの液圧とが略
    一致し、かつスリップ角が小さいことであることを特徴
    とする車両の挙動制御装置。
  6. 【請求項6】 舵角に基づき算出される第1目標ヨーレ
    ートと、車両の横加速度に基づき算出される第2目標ヨ
    ーレートと、上記車両に生じた実ヨーレートとから車両
    のヨーレート挙動を推定し、この推定結果に基づきその
    ヨーレート挙動を制御すべく制動力を制御する制御手段
    を備え、 上記制御手段は、オーバーステア制御中に終了条件が成
    立すればその挙動制御を終了するものであって、 上記終了条件が、挙動制御の実行による制動量から推定
    される推定ブレーキ液圧とマスタシリンダの液圧とが略
    一致し、かつ上記第1及び第2目標ヨーレートの絶対値
    と実ヨーレートの絶対値との全てが所定値よりも小さい
    ことであることを特徴とする車両の挙動制御装置。
  7. 【請求項7】 舵角に基づき算出される第1目標ヨーレ
    ートと、車両の横加速度に基づき算出される第2目標ヨ
    ーレートと、上記車両に生じた実ヨーレートとから車両
    のヨーレート挙動を推定し、この推定結果に基づきその
    ヨーレート挙動を制御すべく制動力を制御する制御手段
    を備え、 上記制御手段は、オーバーステア制御中に終了条件が成
    立すればその挙動制御を終了するものであって、 上記終了条件が、スリップ角が小さく、かつ、上記第1
    及び第2目標ヨーレートと実ヨーレートとの3つの内の
    いずれか2つの絶対値が所定値以下で、残りの1つの絶
    対値が上記所定値に近似する値であることであることを
    特徴とする車両の挙動制御装置。
  8. 【請求項8】 舵角に基づき算出される第1目標ヨーレ
    ートと、車両の横加速度に基づき算出される第2目標ヨ
    ーレートと、上記車両に生じた実ヨーレートとから車両
    のヨーレート挙動を推定し、この推定結果に基づきその
    ヨーレート挙動を制御すべく制動力を制御する制御手段
    を備え、 上記制御手段は、オーバーステア制御中に終了条件が成
    立すればその挙動制御を終了するものであって、 上記終了条件が、 ハンドルが実ヨーレートの方向に切り増し操作されるこ
    と、 車両が直進状態で安定すること、 上記第2目標ヨーレートと実ヨーレートとの偏差が所定
    値以下で安定すること、 挙動制御の実行による制動量から推定される推定ブレー
    キ液圧とマスタシリンダの液圧とが略一致すること、 上記推定ブレーキ液圧とマスタシリンダの液圧とが略一
    致し、かつスリップ角が小さいこと、 上記推定ブレーキ液圧とマスタシリンダの液圧とが略一
    致し、かつ上記第1及び第2目標ヨーレートの絶対値と
    実ヨーレートの絶対値との全てが所定値よりも小さいこ
    と、及び、 スリップ角が小さく、かつ、上記第1及び第2目標ヨー
    レートと実ヨーレートとの3つの内のいずれか2つの絶
    対値が所定値以下で、残りの1つの絶対値が上記所定値
    に近似する値であることのいずれかであることを特徴と
    する車両の挙動制御装置。
  9. 【請求項9】 請求項3〜請求項7のいずれかにおい
    て、 制御手段は、終了条件が成立した状態が所定時間継続す
    れば、挙動制御を終了することを特徴とする車両の挙動
    制御装置。
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