JP2001088246A - 積層フィルムおよび容器 - Google Patents

積層フィルムおよび容器

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JP2001088246A
JP2001088246A JP26852399A JP26852399A JP2001088246A JP 2001088246 A JP2001088246 A JP 2001088246A JP 26852399 A JP26852399 A JP 26852399A JP 26852399 A JP26852399 A JP 26852399A JP 2001088246 A JP2001088246 A JP 2001088246A
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resin
liquid crystal
crystal polyester
copolymer
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JP26852399A
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English (en)
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Yasumasa Hidaka
康昌 日高
Takazo Yamaguchi
登造 山口
Motonobu Furuta
元信 古田
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Sumitomo Chemical Co Ltd
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Sumitomo Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】溶融時に光学的異方性を示す液晶性ポリマーか
らなる層と、接着層とを含み、液晶性ポリマーの有する
特性を損なわず、耐熱性に優れ、十分な接着強度を発現
する積層フィルム、および該フィルムを用いてなる容器
を提供する 【解決手段】〔1〕溶融時に光学的異方性を示す液晶性
ポリマー(A)からなる層と、オルガノポリシロキサン
を主成分として含有する樹脂(B)からなる接着層とが
積層されてなる積層フィルム〔2〕溶融時に光学的異方
性を示す液晶性ポリマー(A)からなる層と、液晶性ポ
リマーでない熱可塑性樹脂(C)からなる層とが、シリ
コーン系樹脂(B)からなる接着層を介して積層されて
なる積層フィルム。〔3〕これらの積層フィルムを用い
てなる容器。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、いわゆる液晶性ポ
リマーからなる層を有する積層フィルムおよび容器に関
する。
【0002】
【従来の技術】溶融時に光学的異方性を示す液晶性ポリ
マー、例えば液晶ポリエステルは、一般に溶融型液晶
(サーモトロピック液晶)ポリマーと呼ばれ、強い分子
間相互作用によって溶融状態で分子が配向することを特
徴とするポリマーである。包装材料等に用いるフィルム
の材料として、液晶性ポリマーを用いることにより、ガ
スバリア性、耐熱性に優れたフィルムが得られることが
記載されている(例えば特公平3―29245号公報、
特公昭63―33450号公報)。しかし、フィルムの
使用目的によっては、液晶性ポリマーからなるフィルム
に、他のフィルムを積層して用いたい場合がある。例え
ば、包装材料として液晶ポリマーフィルムを用いる際に
は、液晶ポリマーからなるフィルムに熱可塑性樹脂から
なるフィルムを積層したものが好ましく用いられる。該
積層体は液晶性ポリマーが本来有するガスバリア性、耐
熱性等の特性を保持し、かつ包装材料としてハンドリン
グしやすい包装材料となり得る。
【0003】そして、液晶性ポリマーからなるフィルム
と他のフィルムとを積層した積層フィルムに関しては、
それらの層間に接着剤を使用して張り合わせる方法が知
られている(例えば特開平4―135750号公報、特
開平2―253948号公報)。しかし、従来使用の接
着剤では、接着層の耐熱性が優れ、かつ十分な接着強度
を発現するものがなく、従って液晶性ポリマーからなる
フィルムの耐熱性を生かすことができない場合があっ
た。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、溶融
時に光学的異方性を示す液晶性ポリマーからなる層と、
接着層とを含み、液晶性ポリマーの有する特性を損なわ
ず、耐熱性に優れ、十分な接着強度を発現する積層フィ
ルム、および該フィルムを用いてなる容器を提供するこ
とにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、このよう
な問題を解決すべく鋭意検討を続け本発明に到達した。
即ち本発明は、〔1〕溶融時に光学的異方性を示す液晶
性ポリマー(A)からなる層と、オルガノポリシロキサ
ンを主成分として含有する樹脂(以下、シリコーン系樹
脂ということがある)(B)からなる接着層とが積層さ
れてなる積層フィルム、および、〔2〕溶融時に光学的
異方性を示す液晶性ポリマー(A)からなる層と、液晶
性ポリマーでない熱可塑性樹脂(C)からなる層とが、
シリコーン系樹脂(B)からなる接着層を介して積層さ
れてなる積層フィルムに係るものである。また本発明
は、〔3〕これらの積層フィルムを用いてなる容器に係
るものである。
【0006】
【発明の実施の形態】次に、本発明をさらに詳細に説明
する。
【0007】本発明〔1〕の積層フィルムは、溶融時に
光学的異方性を示す液晶性ポリマー(A)からなる層
と、シリコーン系樹脂(B)からなる接着層とが積層さ
れてなる積層フィルムである。
【0008】本発明で用いる溶融時に光学的異方性を示
す液晶性ポリマー(A)としては、例えば全芳香族系も
しくは半芳香族系のポリエステル、ポリエステルイミ
ド、ポリエステルアミドなどや、それらを含有する樹脂
組成物などが挙げられる。本発明においては、かかる液
晶性ポリマーとして好ましくは液晶ポリエステルまたは
液晶ポリエステルを一成分として用いてなる組成物が用
いられるが、成形加工性、得られるフィルムの性能の点
から、本発明においては液晶ポリエステル(D)を連続
相とし、液晶ポリエステルと反応性を有する官能基を有
する共重合体(E)を分散相とする液晶ポリエステル樹
脂組成物を用いることがさらに好ましい。
【0009】ここでいう液晶ポリエステルは、サーモト
ロピック液晶ポリマーと呼ばれるポリエステルである。
具体的には、(1)芳香族ジカルボン酸と芳香族ジオー
ルと芳香族ヒドロキシカルボン酸とを反応させて得られ
るもの、(2)異種の芳香族ヒドロシカルボン酸の組み
合わせを反応させて得られるもの、(3)芳香族ジカル
ボン酸と核置換芳香族ジオールとを反応させて得られる
もの、(4)ポリエチレンテレフタレートなどのポリエ
ステルに芳香族ヒドロキシカルボン酸を反応させて得ら
れるもの、などが挙げられ、400℃以下の温度で異方
性溶融体を形成するものが好ましい。なお、これらの芳
香族ジカルボン酸、芳香族ジオールおよび芳香族ヒドロ
キシカルボン酸の代わりに、それらのエステル誘導体が
使用されることもある。
【0010】該液晶ポリエステルの繰返し構造単位とし
ては、下記の芳香族ジカルボン酸に由来する繰返し構
造単位、芳香族ジオールに由来する繰返し構造単位、
芳香族ヒドロキシカルボン酸に由来する繰返し構造単
位を例示することができるが、これらに限定されるもの
ではない。
【0011】芳香族ジカルボン酸に由来する繰り返し
構造単位:
【化1】
【0012】
【化2】
【0013】芳香族ジオールに由来する繰返し構造単
位:
【化3】
【0014】
【化4】
【0015】芳香族ヒドロキシカルボン酸に由来する
繰返し構造単位:
【化5】
【0016】耐熱性、機械的特性、加工性のバランスか
ら特に好ましい液晶ポリエステルは
【化6】 なる繰り返し構造単位を含むものであり、さらに好まし
くは該繰り返し構造単位を少なくとも全体の30モル%
以上含むものである。具体的には繰り返し構造単位の組
み合わせが下記(I)〜(VI)のいずれかのものが好ま
しい。
【化7】
【化8】
【0017】
【化9】
【0018】
【化10】
【0019】
【化11】
【0020】
【化12】
【0021】上記液晶ポリエステル(I)〜(VI)の製
法については、例えば特公昭47−47870号公報、
特公昭63−3888号公報、特公昭63−3891号
公報、特公昭56−18016号公報、特開平2−51
523号公報などに記載されている。これらの中で好ま
しくは(I)、(II)または(IV)の組合せであり、さ
らに好ましくは(I)または(II)の組み合せが挙げら
れる。
【0022】上記の液晶ポリエステルにおいて、高い耐
熱性が要求される分野には成分(D)の液晶ポリエステ
ルとして、下記の繰り返し単位(a)が30〜80モル
%、繰り返し単位(b)が0〜10モル%、繰り返し単
位(c)が10〜25モル%、繰り返し単位(d)が1
0〜35モル%からなる液晶ポリエステルが好ましく使
用される。
【0023】
【化13】 (式中、Arは2価の芳香族基である。)
【0024】本発明の積層フィルムまたは容器として、
環境問題の見地などから使用後の焼却などの廃棄の容易
さが求められる分野には、ここまで挙げたそれぞれに要
求される分野の好ましい組み合わせの中で特に炭素、水
素、酸素のみの元素からなる組み合わせによる液晶ポリ
エステルが特に好ましく使用される。
【0025】本発明において用いられる成分(E)は、
液晶ポリエステルと反応性を有する官能基を有する共重
合体である。かかる液晶ポリエステルと反応性を有する
官能基としては、液晶ポリエステルと反応性を有すれば
何でもよく、具体的には、オキサゾリル基やエポキシ
基、アミノ基等が挙げられ、エポキシ基が好ましい。エ
ポキシ基等は他の官能基の一部として存在していてもよ
く、そのような例としては例えばグリシジル基が挙げら
れる。
【0026】共重合体(E)において、かかる官能基を
共重合体中に導入する方法としては特に限定されるもの
ではなく、周知の方法で行うことができる。例えば共重
合体の合成段階で、該官能基を有する単量体を共重合に
より導入することも可能であるし、共重合体に該官能基
を有する単量体をグラフト共重合することも可能であ
る。
【0027】液晶ポリエステルと反応性を有する官能基
を有する単量体、中でもグリシジル基を含有する単量体
としては、不飽和カルボン酸グリシジルエステルおよび
/または不飽和グリシジルエーテルが好ましく用いられ
る。
【0028】具体的には、不飽和カルボン酸グリシジル
エステルとしては、例えばグリシジルアクリレート、グ
リシジルメタクリレート、イタコン酸ジグリシジルエス
テル、ブテントリカルボン酸トリグリシジルエステル、
p−スチレンカルボン酸グリシジルエステルなどを挙げ
ることができる。不飽和グリシジルエーテルとしては、
例えばビニルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエ
ーテル、2−メチルアリルグリシジルエーテル、メタク
リルグリシジルエーテル、スチレン−p−グリシジルエ
ーテル等が例示される。
【0029】不飽和カルボン酸グリシジルエステルとし
ては好ましくは一般式
【化14】 (Rはエチレン系不飽和結合を有する炭素数2〜13の
炭化水素基である。)で表される化合物であり、また不
飽和グリシジルエーテルとしては好ましくは一般式
【化15】 (Rはエチレン系不飽和結合を有する炭素数2〜18の
炭化水素基であり、Xは−CH2−O−または
【化16】 である。)で表される化合物である。
【0030】上記の液晶ポリエステルと反応性を有する
官能基を有する共重合体(E)は、好ましくは、不飽和
カルボン酸グリシジルエステル単位および/または不飽
和グリシジルエーテル単位を0.1〜30重量%含有す
る共重合体である。
【0031】また、上記の液晶ポリエステルと反応性を
有する官能基を有する共重合体(E)は、熱可塑性樹脂
であってもゴムであってもよいし、熱可塑性樹脂とゴム
の混合物であってもよい。該液晶ポリエステル樹脂組成
物を用いて得られるフィルムの柔軟性や熱安定性が優れ
るゴムがより好ましい。
【0032】さらに好ましくは、上記の液晶ポリエステ
ルと反応性を有する官能基を有する共重合体(E)は、
結晶の融解熱量が3J/g未満の共重合体である。また
共重合体(E)としては、ムーニー粘度が3〜70のも
のが好ましく、3〜30のものがさらに好ましく、4〜
25のものが特に好ましい。ここでいうムーニー粘度
は、JIS K6300に準じて100℃ラージロータ
ーを用いて測定した値をいう。これらの範囲外である
と、組成物の熱安定性や柔軟性が低下する場合があり好
ましくない。
【0033】ここでいうゴムとは、新版高分子辞典(高
分子学会編、1988年出版、朝倉書店)による室温に
てゴム弾性を有する高分子物質に該当するものであり、
その具体例としては、天然ゴム、ブタジエン重合体、ブ
タジエン−スチレン共重合体(ランダム共重合体、ブロ
ック共重合体(SEBSゴムまたはSBSゴム等を含
む)、グラフト共重合体などすべて含まれる)またはそ
の水素添加物、イソプレン重合体、クロロブタジエン重
合体、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、イソブ
チレン重合体、イソブチレン−ブタジエン共重合体ゴ
ム、イソブチレン−イソプレン共重合体、アクリル酸エ
ステル−エチレン系共重合体ゴム、エチレン−プロピレ
ン共重合体ゴム、エチレン−ブテン共重合体ゴム、エチ
レン−プロピレン−スチレン共重合体ゴム、スチレン−
イソプレン共重合体ゴム、スチレン−ブチレン共重合
体、スチレン−エチレン−プロピレン共重合体ゴム、パ
ーフルオロゴム、ふっ素ゴム、クロロプレンゴム、ブチ
ルゴム、シリコーンゴム、エチレン−プロピレン−非共
役ジエン共重合体ゴム、チオールゴム、多硫化ゴム、ポ
リウレタンゴム、ポリエーテルゴム(例えばポリプロピ
レンオキシド等)、エピクロルヒドリンゴム、ポリエス
テルエラストマー、ポリアミドエラストマー等が挙げら
れる。中でも、アクリル酸エステル−エチレン系共重合
体が好ましく用いられ、(メタ)アクリル酸エステル−
エチレン系共重合体ゴムがさらに好ましい。
【0034】これらのゴムは、いかなる製造法(例えば
乳化重合法、溶液重合法等)、いかなる触媒(例えば過
酸化物、トリアルキルアルミニウム、ハロゲン化リチウ
ム、ニッケル系触媒等)でつくられたものでもよい。
【0035】そして、共重合体(E)としてのゴムは上
記のようなゴムにおいて、液晶ポリエステルと反応性を
有する官能基を有するゴムである。かかるゴムにおい
て、液晶ポリエステルと反応性を有する官能基をゴム中
に導入する方法としては、特に限定されるものではな
く、周知の方法で行うことができる。例えばゴムの合成
段階で、該官能基を有する単量体を共重合により導入す
ることも可能であるし、ゴムに該官能基を有する単量体
をグラフト共重合することも可能である。
【0036】液晶ポリエステルと反応性を有する官能基
を有する共重合体(E)の具体例として、エポキシ基を
有するゴムとしては、(メタ)アクリル酸エステル−エ
チレン−(不飽和カルボン酸グリシジルエステルおよび
/または不飽和グリシジルエーテル)共重合体ゴムを挙
げることができる。
【0037】ここで(メタ)アクリル酸エステルとは、
アクリル酸またはメタクリル酸とアルコールから得られ
るエステルである。アルコールとしては、炭素原子数1
〜8のアルコールが好ましい。(メタ)アクリル酸エス
テルの具体例としては、メチルアクリレート、メチルメ
タクリレート、n−ブチルアクリレート、n−ブチルメ
タクリレート、tert−ブチルアクリレート、ter
t−ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリ
レート、2−エチルヘキシルメタクリレートなどを挙げ
ることができる。なお、(メタ)アクリル酸エステルと
しては、その一種を単独で使用してもよく、または二種
以上を併用してもよい。
【0038】好ましくは、(メタ)アクリル酸エステル
単位が40重量%をこえ97重量%未満、さらに好まし
くは45〜70重量%、エチレン単位が3重量%以上5
0重量%未満、さらに好ましくは10〜49重量%、不
飽和カルボン酸グリシジルエーテル単位および/または
不飽和グリシジルエーテル単位が0.1〜30重量%、
さらに好ましくは0.5〜20重量%である。
【0039】かかる共重合体ゴムの(メタ)アクリル酸
エステル単位が40重量%以下であるとゴム弾性が低下
し、組成物から得られるシートもしくはフィルムの柔軟
性改良の効果が小さくなる場合があり、また、(メタ)
アクリル酸エステル単位が97重量%以上であると、該
共重合体ゴムの脆化点が高くなり、組成物から得られる
シートもしくはフィルムの低温での機械的性質が低下す
る場合があり好ましくない。また、不飽和カルボン酸グ
リシジルエーテル単位および/または不飽和グリシジル
エーテル単位が0.1%重量%未満であると、組成物か
ら得られるシートもしくはフィルムの剛性が低下する場
合があり、30重量%を超えると組成物から得られるシ
ートもしくはフィルムの剛性が低下する場合があり好ま
しくない。
【0040】該共重合体ゴムは、通常の方法、例えばフ
リーラジカル開始剤による塊状重合、乳化重合、溶液重
合などによって製造することができる。なお、代表的な
重合方法は、特公昭46−45085号公報、特公昭6
1−127709号公報などに記載された方法、フリー
ラジカルを生成する重合開始剤の存在下、圧力500k
g/cm2以上、温度40〜300℃の条件により製造
することができる。
【0041】共重合体(E)に使用できるゴムとして他
には、液晶ポリエステルと反応性を有する官能基を有す
るアクリルゴムや、液晶ポリエステルと反応性を有する
官能基を有するビニル芳香族炭化水素化合物−共役ジエ
ン化合物ブロック共重合体ゴムも例示することができ
る。
【0042】ここでいうアクリルゴムとして好ましく
は、一般式(1)
【化17】 (式中、R1は炭素原子数1〜18のアルキル基または
シアノアルキル基を示す。)、一般式(2)
【化18】 (式中、R2は炭素原子数1〜12のアルキレン基、R3
は炭素原子数1〜12のアルキル基を示す。)、および
一般式(3)
【化19】 (式中、R4は水素原子またはメチル基、R5は炭素原子
数3〜30のアルキレン基、R6は炭素原子数1〜20
のアルキル基またはその誘導体、nは1〜20の整数を
示す。)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種
の単量体を主成分とするものである。
【0043】上記一般式(1)で表されるアクリル酸ア
ルキルエステルの具体例としては、例えばメチルアクリ
レート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、
ブチルアクリレート、ペンチルアクリレート、ヘキシル
アクリレート、アクチルアクリレート、2−エチルヘキ
シルアクリレート、ノニルアクリレート、デシルアクリ
レート、ドデシルアクリレート、シアノエチルアクリレ
ートなどを挙げることができる。
【0044】また、上記一般式(2)で表されるアクリ
ル酸アルコキシアルキルエステルとしては、例えばメト
キシエチルアクリレート、エトキシエチルアクリレー
ト、ブトキシエチルアクリレート、エトキシプロピルア
クリレートなどを挙げることができる。これらの1種あ
るいは2種以上を該アクリルゴムの主成分として用いる
ことができる。
【0045】かかるアクリルゴムの構成成分として、必
要に応じて上記の一般式(1)〜(3)で表される化合
物から選ばれる少なくとも一種の単量体と共重合可能な
不飽和単量体を用いることができる。このような不飽和
単量体の例としては、スチレン、α−メチルスチレン、
アクリロニトリル、ハロゲン化スチレン、メタクリロニ
トリル、アクリルアミド、メタクリルアミド、ビニルナ
フタレン、N−メチロールアクリルアミド、酢酸ビニ
ル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、ベンジルアクリレー
ト、メタクリル酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸
などが挙げられる。
【0046】液晶ポリエステルと反応性を有する官能基
を有するアクリルゴムの好ましい構成成分比は、上記の
一般式(1)〜(3)で表される化合物から選ばれる少
なくとも一種の単量体40.0〜99.9重量%、不飽
和カルボン酸グリシジルエステルおよび/または不飽和
グリシジルエーテル0.1〜30.0重量%、上記の一
般式(1)〜(3)で表される化合物から選ばれる少な
くとも一種の単量体と共重合可能な不飽和単量体0.0
〜30.0重量%である。該アクリルゴムの構成成分比
が上記の範囲内であると、組成物の耐熱性や耐衝撃性、
成形加工性が良好であり好ましい。
【0047】該アクリルゴムの製法は特に限定されるも
のではなく、例えば特開昭59−113010号公報、
特開昭62−64809号公報、特開平3−16000
8号公報、あるいはWO95/04764などに記載さ
れているような周知の重合法を用いることができ、ラジ
カル開始剤の存在下で乳化重合、懸濁重合、溶液重合あ
るいはバルク重合で製造することができる。
【0048】前記液晶ポリエステルと反応性を有する官
能基を有するビニル芳香族炭化水素化合物−共役ジエン
化合物ブロック共重合体ゴムとして好ましくは、(a)
ビニル芳香族炭化水素化合物を主体とするシーケンスと
(b)共役ジエン化合物を主体とするシーケンスからな
るブロック共重合体をエポキシ化して得られるゴム、ま
たは該ブロック共重合体の水添物をエポキシ化して得ら
れるゴムである。
【0049】ビニル芳香族炭化水素化合物−共役ジエン
化合物ブロック共重合体あるいはその水添物は、周知の
方法で製造することができ、例えば、特公昭40−23
798号公報、特開昭59−133203号公報等に記
載されている。
【0050】芳香族炭化水素化合物としては、例えば、
スチレン、ビニルトルエン、ジビニルベンゼン、α−メ
チルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルナフタレン
などを挙げることができ、中でもスチレンが好ましい。
共役ジエン化合物としては、例えば、ブタジエン、イソ
プレン、ピレリレン、1,3−ペンタジエン、3−ブチ
ル−1,3−オクタジエンなどを挙げることができ、ブ
タジエンまたはイソプレンが好ましい。
【0051】共重合体(E)として用いるゴムとして好
ましくは、(メタ)アクリル酸エステル−エチレン−
(不飽和カルボン酸グリシジルエステルおよび/または
不飽和グリシジルエーテル)共重合体ゴムが用いられ
る。
【0052】共重合体(E)として用いるゴムは、必要
に応じて加硫を行い、加硫ゴムとして用いることができ
る。上記の(メタ)アクリル酸エステル−エチレン−
(不飽和カルボン酸グリシジルエステルおよび/または
不飽和グリシジルエーテル)共重合体ゴムの加硫は、多
官能性有機酸、多官能性アミン化合物、イミダゾール化
合物などを用いることで達成されるが、これらに限定さ
れるものではない。
【0053】また、液晶ポリエステルと反応性を有する
官能基を有する共重合体(E)の具体例として、エポキ
シ基を有する熱可塑性樹脂としては(a)エチレン単位
が50〜99重量%、(b)不飽和カルボン酸グリシジ
ルエステル単位および/または不飽和グリシジルエーテ
ル単位が0.1〜30重量%、好ましくは0.5〜20
重量%、(c)エチレン系不飽和エステル化合物単位が
0〜50重量%からなるエポキシ基含有エチレン共重合
体を挙げることができる。
【0054】エチレン系不飽和エステル化合物(c)と
しては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、アクリル酸
メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタク
リル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチ
ル等のカルボン酸ビニルエステル、α,β−不飽和カル
ボン酸アルキルエステル等が挙げられる。特に酢酸ビニ
ル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチルが好ましい。
【0055】該エポキシ基含有エチレン共重合体の具体
例としては、たとえばエチレン単位とグリシジルメタク
リレート単位からなる共重合体、エチレン単位とグリシ
ジルメタクリレート単位およびアクリル酸メチル単位か
らなる共重合体、エチレン単位とグリシジルメタクリレ
ート単位およびアクリル酸エチル単位からなる共重合
体、エチレン単位とグリシジルメタクリレート単位およ
び酢酸ビニル単位からなる共重合体等が挙げられる。
【0056】該エポキシ基含有エチレン共重合体のメル
トインデックス(以下、MFRということがある。JI
S K6760、190℃、2.16kg荷重)は、好
ましくは0.5〜100g/10分、さらに好ましくは
2〜50g/10分である。メルトインデックスはこの
範囲外であってもよいが、メルトインデックスが100
g/10分を越えると組成物にした時の機械的物性の点
で不十分な場合があり、0.5g/10分未満では成分
(D)の液晶ポリエステルとの相溶性が劣る場合があ
る。
【0057】また、該エポキシ基含有エチレン共重合体
は、曲げ剛性率が10〜1300kg/cm2の範囲の
ものが好ましく、20〜1100kg/cm2のものが
さらに好ましい。曲げ剛性率がこの範囲外であると組成
物の成形加工性や機械的性質が不十分となる場合があり
好ましくない。
【0058】該エポキシ基含有エチレン共重合体は、通
常不飽和エポキシ化合物とエチレンをラジカル発生剤の
存在下、500〜4000気圧、100〜300℃で適
当な溶媒や連鎖移動剤の存在下または不存在下に共重合
させる高圧ラジカル重合法により製造される。また、ポ
リエチレンに不飽和エポキシ化合物およびラジカル発生
剤を混合し、押出機の中で溶融グラフト共重合させる方
法によっても作られる。
【0059】上記の液晶ポリエステル樹脂組成物として
は、上記の液晶ポリエステル(D)を連続相とし上記の
液晶ポリエステルと反応性を有する官能基を有する共重
合体(E)を分散相とする樹脂組成物が好ましい。液晶
ポリエステル(D)が連続相でない場合には、該液晶ポ
リエステル樹脂組成物を用いてなるフィルムのガスバリ
ア性、耐熱性などが著しく低下する場合がある。
【0060】このような官能基を有する共重合体と液晶
ポリエステルとの樹脂組成物においては、機構の詳細は
不明ではあるが、該組成物の成分(D)と成分(E)と
の間で反応が生起し、成分(D)が連続相を形成すると
ともに成分(E)が微細分散し、そのために該組成物の
成形性が向上するとともに、該組成物を用いてなるフィ
ルムの性能に優れるものと考えられる。
【0061】本発明に使用する、溶融時に光学的異方性
を示す液晶性ポリマー(A)の一実施態様は、液晶ポリ
エステル(D)を56.0〜99.9重量%、好ましく
は65.0〜99.9重量%、さらに好ましくは70〜
98重量%、並びに液晶ポリエステルと反応性を有する
官能基を有する共重合体(E)を44.0〜0.1重量
%、好ましくは35.0〜0.1重量%、さらに好まし
くは30〜2重量%を含有する樹脂組成物である。成分
(D)が56.0重量%未満であると該組成物から得ら
れるフィルムのガスバリア性、耐熱性が低下する場合が
あり好ましくない。また成分(D)が99.9重量%を
超えると該組成物の成形加工性が低下する場合があり好
ましくない。
【0062】かかる液晶ポリエステル樹脂組成物を製造
する方法としては周知の方法を用いることができる。た
とえば、溶液状態で各成分を混合し、溶剤を蒸発させる
か、溶剤中に沈殿させる方法が挙げられる。工業的見地
からみると溶融状態で各成分を混練する方法が好まし
い。溶融混練には一般に使用されている一軸または二軸
の押出機、各種のニーダー等の混練装置を用いることが
できる。特に二軸の高混練機が好ましい。溶融混練に際
しては、混練装置のシリンダー設定温度は200〜36
0℃の範囲が好ましく、さらに好ましくは230〜35
0℃である。
【0063】混練に際しては、各成分は予めタンブラー
もしくはヘンシェルミキサーのような装置で各成分を均
一に混合してもよいし、必要な場合には混合を省き、混
練装置にそれぞれ別個に定量供給する方法も用いること
ができる。
【0064】本発明に使用する、溶融時に光学的異方性
を示す液晶性ポリマー(A)においては、所望により無
機充填剤が加えられる。このような無機充填剤として
は、炭酸カルシウム、タルク、クレー、シリカ、炭酸マ
グネシウム、硫酸バリウム、酸化チタン、アルミナ、石
膏、ガラスフレーク、ガラス繊維、炭素繊維、アルミナ
繊維、シリカアルミナ繊維、ホウ酸アルミニウムウィス
カ、チタン酸カリウム繊維等が例示される。
【0065】本発明に使用する溶融時に光学的異方性を
示す液晶性ポリマー(A)に、必要に応じて、有機充填
剤、熱安定剤、光安定剤、難燃剤、滑剤、無機または有
機系着色剤、架橋剤、発泡剤、蛍光剤、表面平滑剤、表
面光沢改良剤、フッ素樹脂などの離型改良剤などの各種
の添加剤を製造工程中あるいはその後の加工工程におい
て添加することもできる。
【0066】本発明の積層フィルムにおける溶融時に光
学的異方性を示す液晶性ポリマー(A)からなる層とし
ては、上記の液晶性ポリマーを用いて得られるフィルム
を用いることができる。液晶性ポリマーを用いてフィル
ムを得る方法としては、例えば、プレスで熱成形するプ
レス成形法、Tダイから溶融樹脂を押出し巻き取るTダ
イ法、環状ダイスを設置した押出し機から溶融樹脂を円
筒状に押出し、冷却し巻き取るインフレーション成膜
法、あるいは射出成形法やTダイ法、プレス成形法で得
られたシートをさらに一軸延伸または二軸延伸してシー
トもしくはフィルムを得ることもできる。
【0067】本発明に使用するシリコーン系樹脂(B)
に含有されるオルガノポリシロキサンとは、理化学辞典
第4版(岩波書店 1987年出版)に記載されている
ものである。すなわち、シロキサンとは珪素、酸素、水
素からなる化合物のうち、Si−O−Si結合を含むも
のの総称であり、珪素上の水素原子がアルキル基やアリ
ール基等の有機基によって置換されたシロキサンをオル
ガノシロキサンと呼び、−Si−O−連鎖が長く伸びた
高分子をオルガノポリシロキサンと呼ぶ。該シリコーン
系樹脂に含まれるオルガノポリシロキサンの主鎖は、シ
ロキサン結合以外の繰り返し単位を含んでもよい。
【0068】本発明のシリコーン系樹脂(B)として
は、オルガノポリシロキサンと水および/または該シリ
コーン系樹脂(B)中の該オルガノポリシロキサン以外
の成分との反応により硬化し、接着性を発現する樹脂で
あることが好ましい。このような特性を有するシリコー
ン系樹脂(B)には、その硬化方式により、例えば縮合
室温硬化型シリコーン系樹脂、縮合加熱硬化型シリコー
ン系樹脂、付加室温硬化型シリコーン系樹脂、付加加熱
硬化型シリコーン系樹脂、UV硬化ラジカル付加型シリ
コーン系樹脂等が挙げられる。該シリコーン系樹脂には
所望により硬化促進触媒を添加してもよい。
【0069】具合的な硬化反応の例としては、例えばオ
ルガノポリシロキサンに置換基として導入されている下
記式(I)で表わされるケチミノ基が、外気中の水分に
よって分解してアミノ基を生成し、硬化反応を開始する
反応等が挙げられるが、これに限定されるものではな
い。
【化20】−R1N=Z …(I) 但し、式中R1は炭素数1〜8の置換もしくは非置換の
2価炭化水素基、または炭素数1〜8のエーテル結合、
エステル結合もしくは−NH−結合を含む2価の有機基
であり、ZはCR23または
【化21】 (R2、R3はそれぞれ炭素数1〜8の置換もしくは非置
換の1価炭化水素基、R 4は炭素数1〜8の置換もしく
は非置換の2価炭化水素基である)で示される基であ
る。
【0070】上記の特性を持つシリコーン系樹脂の製法
は特に限定されるものではなく、例えば特開平6−19
63号公報、特開平7−33984号公報などに記載さ
れているような周知の方法で製造することができる。
【0071】本発明に用いるシリコーン系樹脂(B)と
しては、90℃以上の領域で耐熱性を有するものが好ま
しく、120℃以上の領域で耐熱性を有するものがより
好ましく、180℃以上の領域で耐熱性を有するものが
さらに好ましい。ここで耐熱性を有するとは、対象とす
る温度領域よりも融点、軟化点が高く、対象とする温度
領域内では熱分解や熱劣化が起こりにくく、機械的強度
が保持されることをいう。
【0072】本発明において、所望により該シリコーン
系樹脂中に溶剤、着色剤、粘着付与剤、有機充填剤、無
機充填剤、紫外線吸収剤、可塑剤、老化防止剤などを加
えることが出来る。
【0073】本発明における、上記の液晶性ポリマー
(A)からなる層と、上記のシリコーン系樹脂(B)か
らなる接着層とが積層されてなる積層フィルムの製造方
法としては、周知の方法を用いることができる。例え
ば、溶液の(B)を塗布するドライラミネーション法;
(B)をTダイから溶融状態で押し出し、(A)からな
るフィルム上に積層させる押し出しラミネーション法;
(A)と(B)各々を環状ダイスまたはTダイを設置し
た押し出し機に投入し、溶融状態で多層構造を形成させ
る共押出しラミネーション法等が挙げられるが、これら
に限定されるものではない。
【0074】本発明における、上記の液晶性ポリマー
(A)からなる層と、上記のシリコーン系樹脂(B)か
らなる接着層とが積層されてなる積層フィルムにおいて
は、(B)からなる層は(A)からなる層の片面もしく
は両面に積層される。
【0075】シリコーン系樹脂(B)からなる接着層は
他の金属或いは樹脂等からなる層との十分な接着性を発
現し、かかる積層フィルムは、液晶性ポリマーからなる
層と他の金属或いは樹脂等からなる層とを有する積層フ
ィルムを製造するのに好適である。シリコーン系樹脂
(B)からなる接着層と他の金属或いは樹脂等からなる
層との接着性をさらに強化したい場合には、他の層の接
着面に表面処理を施したり、シリコーン系樹脂(B)か
らなる層と他の樹脂からなる層との間に、両層に対して
良好な接着性を示す接着層を設けることもできる。ここ
でいう表面処理とは、例えばコロナ放電処理、プラズマ
処理、火炎処理、サンドブラスト処理、紫外線処理、赤
外線処理、スパッタリング処理、溶剤処理、研磨処理な
どが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
両層に対して良好な接着性を示す接着層としては、例え
ばアルキド樹脂、ガゼイン、アセチルセルロース、ニト
ロセルロース、エポキシ樹脂、ポリウレタン、メラミン
樹脂、フェノール樹脂、フェノリック−エラストマー、
フェノリック−エポキシ、ポリアミド、ポリアミド−エ
ポキシ、ポリエステル、レゾルシノール樹脂、天然ゴ
ム、再生ゴム、NBR、SBR、クロロプレン、ポリイ
ソブチレン、ブチルゴム、ポリサルフィド、ポリサルフ
ィド−エポキシ、シリコーン樹脂、でんぷん(デキスト
リン)、ユリア樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポバール、塩化
ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体等が挙げ
られるが、これらに限定されるものではなく、また、そ
の積層方法としては、上記と同じく周知の方法を用いる
ことができる。
【0076】本発明〔2〕の積層フィルムは、上記の液
晶性ポリマー(A)からなる層と、液晶性ポリマーでな
い熱可塑性樹脂(C)からなる層とが、上記のシリコー
ン系樹脂(B)からなる接着層を介して積層されてなる
積層フィルムである。
【0077】本発明〔2〕の積層フィルムに使用する熱
可塑性樹脂(C)としては、ポリオレフィン、ポリスチ
レン、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリアセター
ル、ポリアミド、ポリフェニレンエーテル、ポリエーテ
ルサルフォン、エチレンー酢酸ビニル共重合体、ポリ塩
化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリフェニレンサルフ
ァイド、フッ素樹脂、アクリル樹脂などを挙げることが
でき、好ましくは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポ
リエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレー
ト、ポリアミド、ポリビニルアルコール、エチレン−ビ
ニルアルコール共重合体、ポリスチレンまたはポリ塩化
ビニルである。なおここで言うポリエチレンはポリエチ
レンの結晶構造を有するエチレン系のポリマーであり、
例えばエチレンと他のモノマーとの共重合体をも含み、
具体的には直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)と
称されるエチレンとα−オレフィンとの共重合体などを
含む。またここでいうポリプロピレンはポリプロピレン
の結晶構造を有するプロピレン系のポリマーであり、一
般に使用されているプロピレン系ブロック共重合体、ラ
ンダム共重合体など(これらはエチレンや1−ブテンな
どとの共重合体である)を含むものである。
【0078】本発明における、上記の液晶性ポリマー
(A)からなる層と、液晶性ポリマーでない熱可塑性樹
脂(C)からなる層とが、上記のシリコーン系樹脂
(B)からなる接着層を介して積層される積層フィルム
において、積層の形態は特に限定するものではなく、
(A)からなる層と(C)からなる層を外層とし、
(B)からなる層を中間層とする3層フィルムを形成し
ても良いし、さらに幾重にも重なった多層フィルムを形
成しても良い。
【0079】かかる積層フィルムを得る方法としては周
知の方法を用いることができる。例えば、(B)を溶液
として用いるドライラミネーション法;(B)をTダイ
から溶融状態で押し出し、(A)からなるフィルムと
(C)からなるフィルムとで挟み込む押し出しラミネー
ション法;(A)、(C)、(B)各々を環状ダイスま
たはTダイを設置した押し出し機に投入し、溶融状態で
多層構造を形成させる共押出しラミネーション法等が挙
げられるが、これらに限定されるものではない。
【0080】(A)からなる層、(C)からなる層な
ど、本発明の積層フィルムを構成するそれぞれの層の表
面には、必要に応じて表面処理を施すことができる。こ
のような表面処理法としては、例えばコロナ放電処理、
プラズマ処理、火炎処理、紫外線処理、赤外線処理、ス
パッタリング処理、溶剤処理、研磨処理などが挙げられ
る。
【0081】本発明の容器は、かかる積層フィルムを用
いてなる容器である。本発明の容器としては、例えば上
記の液晶性ポリマー(A)からなる層と、液晶性ポリマ
ーでない熱可塑性樹脂(C)からなる層とが、上記のシ
リコーン系樹脂(B)からなる接着層を介して積層され
る積層フィルムであって、熱可塑性樹脂(C)がヒート
シール性を有する積層フィルムを用いてなる容器が、製
造しやすく好ましい。この場合、ヒートシールにより該
積層フィルムから容器を製造することが好ましくされる
ので、該ヒートシール性熱可塑性樹脂からなる層が最も
内側になる様に構成して該ガスバリア性積層フィルムを
使用するのが好ましい。
【0082】本発明において、容器として用いる場合の
該積層フィルムの厚さは特に制限されないが、30〜3
00μmが好ましい。該下限値より薄いと内容物保護性
に劣ったり、該上限値より厚いとコストがかさむことが
あり、好ましくない。
【0083】本発明の容器の各材質には、紫外線吸収
剤、着色剤、酸化防止剤、可塑剤等の添加剤を混合して
も良い。
【0084】本発明の容器の形状に特に制限はない。本
発明の容器として好ましくは、袋、スタンディングパウ
チ、バッグインドラム、レトルト容器、深絞り容器また
はカート缶である。具体的には例えば、3方シール包装
袋、4方シール包装袋、ピロール包装袋、ガゼット付包
装袋、スタンディングパウチなどの形状が好ましく使用
される。なかでも、スタンディングパウチの形状は、本
発明の効果が活かせて、より好ましい。製袋方法につい
ても、特に制限はなく、各種市販製袋機が用いられる。
【0085】
【実施例】以下、実施例により本発明を説明するが、こ
れらは単なる例示であり、本発明はこれらに限定される
ことはない。
【0086】(1)成分(D)の液晶ポリエステル (i)p−アセトキシ安息香酸8.3kg(60モ
ル)、テレフタル酸2.49kg(15モル)、イソフ
タル酸0.83kg(5モル)および4,4’−ジアセ
トキシジフェニル5.45kg(20.2モル)を櫛型
撹拌翼をもつ重合槽に仕込み、窒素ガス雰囲気下で撹拌
しながら昇温し330℃で1時間重合させた。この間に
副生する酢酸ガスを冷却管で液化し回収、除去しなが
ら、強力な撹拌下で重合させた。その後、系を徐々に冷
却し、200℃で得られたポリマーを系外へ取出した。
この得られたポリマーを細川ミクロン(株)製のハンマ
ーミルで粉砕し、2.5mm以下の粒子とした。これを
更にロータリーキルン中で窒素ガス雰囲気下に280℃
で3時間処理することによって、流動温度が324℃の
粒子状の下記の繰り返し構造単位からなる全芳香族ポリ
エステルを得た。ここで、流動温度とは、島津社製高化
式フローテスターCFT−500型を用いて、4℃/分
の昇温速度で加熱された樹脂を、荷重100kgf/c
2のもとで、内径1mm、長さ10mmのノズルから
押し出すときに、溶融粘度が48000ポイズを示す温
度のことをいう。以下該液晶ポリエステルをD−1と略
記する。このサンプルを偏光顕微鏡(直交ニコル)下で
観察した所、カバーガラス加圧下、340℃以上で光学
的異方性が観察された。液晶ポリエステルD−1の繰り
返し構造単位は、次の通りである。
【0087】
【化22】
【0088】(2)成分(E)の共重合体 特開昭61−127709号公報の実施例5に記載の方
法に準じて、アクリル酸メチル/エチレン/グリシジル
メタクリレート=59.0/38.7/2.3(重量
比)、ムーニー粘度=15、結晶の融解熱量<1J/g
のゴムを得た。以下該ゴムをE−1と略称することがあ
る。ここでムーニー粘度は、JIS K6300に準じ
て100℃、ラージローターを用いて測定した値であ
る。また結晶の融解熱量は、DSCを使用し、試料を−
150℃から100℃まで20℃/分で昇温して求め
た。
【0089】(3)溶融時に光学的異方性を示す液晶性
ポリマー(A)からなる層 D−1を80重量%、E−1を20重量%となるように
ヘンシェルミキサーで混合した後、日本製鋼(株)製T
EX−30型二軸押出機を用いてシリンダー設定温度3
40℃、スクリュー回転数200rpmで溶融混練を行
って組成物のペレットを得た。該組成物ペレットは加圧
下で340℃以上で光学的異方性を示した。該組成物ペ
レットの流動開始温度は328℃であった。この組成物
のペレットを円筒ダイを備えた60mmφの単軸押出機
に供給して、シリンダー設定温度350℃、回転数60
rpmで溶融混練し、直径70mm、リップ間隔1.0
mm、ダイ設定温度355℃の円筒ダイから上方へ溶融
樹脂を押出し、その際この筒状フィルムの中空部へ乾燥
空気を圧入して筒状フィルムを膨張させ、次に冷却させ
たのちニップロールに通して引取速度75m/minで
引取り、液晶ポリエステル樹脂組成物フィルムを得た。
この際フィルムMD方向の延伸倍率は20.5、ブロー
比は4.1、フィルム厚みは12μmであった。以下該
フィルムをF−1と略称することがある。
【0090】(4)物性測定 以下の要領で測定を行った。 (i)接着強度測定 (株)島津社製 オートグラフ AG−5000Dを用
いて測定した。サンプル片幅15mm、引っ張り速度は
50mm/minの条件を用いた。3〜5回の測定結果
の平均値を記した。 (ii)ガス透過率測定 酸素ガス透過率:JIS K7126(等圧法)に従っ
て、酸素透過度測定装置(OX−TRAN10/50
A、MOCON社製)を用い、テストガスは酸素99.
99%、キャリアガスは窒素98%水素2%、温度23
℃、テストガス側相対湿度60%、キャリアガス側相対
湿度60%で測定した。単位はcc/m2・24hr・
atmである。 水蒸気透過率:JIS Z0208
(カップ法)に従って、温度35℃、相対湿度90%の
条件で測定した。単位はg/m2・24hr・atmで
ある。
【0091】実施例1 卓上コ―ターを使用し、東洋紡績(株)製PETフィル
ム E5102(12μm厚)上に、トルエンで40重
量%濃度に希釈した信越化学(株)製シリコーン系樹
脂、KE347Tを15μm厚でコートし、そのコート
面上にF―1を置いて圧着することにより積層体を得
た。該積層体の酸素透過度は7cc/m2・24hr・atm、水
蒸気透過度は0.7g/m2・24hr・atmであった。また接
着強度は0.6Kgf/15mmであった。該積層体を水中に
て、加圧下120℃で30分間加熱したが、両層の接着
は保持されていた。
【0092】
【発明の効果】本発明によれば、液晶性ポリマー層と十
分な接着強度を示すシリコーン組成物とからなる積層フ
ィルムおよび、該積層フィルムを用いてなる容器が提供
される。該積層フィルムは、液晶性ポリマーの有する特
性を損なわず層間の接着性と耐熱性に優れることから、
産業界で幅広く用いることができ、本発明の利用価値は
大きい。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 古田 元信 茨城県つくば市北原6 住友化学工業株式 会社内 Fターム(参考) 3E086 AD01 BA04 BA15 BB01 BB41 BB51 CA03 4F100 AK01A AK01C AK41A AK43A AK52B AL01A AL05A BA02 BA10A BA10C EJ08B GB15 GB16 JA11A JB16C JJ03 JK06 JL11B YY00A

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】溶融時に光学的異方性を示す液晶性ポリマ
    ー(A)からなる層と、オルガノポリシロキサンを主成
    分として含有する樹脂(B)からなる接着層とが積層さ
    れてなることを特徴とする積層フィルム。
  2. 【請求項2】溶融時に光学的異方性を示す液晶性ポリマ
    ー(A)からなる層と、液晶性ポリマーでない熱可塑性
    樹脂(C)からなる層とが、オルガノポリシロキサンを
    主成分として含有する樹脂(B)からなる接着層を介し
    て積層されてなることを特徴とする積層フィルム。
  3. 【請求項3】オルガノポリシロキサンを主成分として含
    有する樹脂(B)が、該オルガノポリシロキサンと、水
    および/または該オルガノポリシロキサンを主成分とし
    て含有する樹脂(B)中に含まれる該オルガノポリシロ
    キサン以外の成分との反応により硬化し、接着性を発現
    する樹脂であることを特徴とする請求項1または2記載
    の積層フィルム。
  4. 【請求項4】溶融時に光学的異方性を示す液晶性ポリマ
    ー(A)が、液晶ポリエステル(D)を連続相とし、液
    晶ポリエステルと反応性を有する官能基を有する共重合
    体(E)を分散相とする液晶ポリエステル樹脂組成物で
    あることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の
    積層フィルム。
  5. 【請求項5】溶融時に光学的異方性を示す液晶性ポリマ
    ー(A)が、液晶ポリエステル(D)56.0〜99.
    9重量%、および液晶ポリエステルと反応性を有する官
    能基を有する共重合体(E)44.0〜0.1重量%を
    溶融混練して得られる組成物であることを特徴とする請
    求項1〜4のいずれかに記載の積層フィルム。
  6. 【請求項6】液晶ポリエステル(D)が、芳香族ジカル
    ボン酸と芳香族ジオールと芳香族ヒドロキシカルボン酸
    とを反応させて得られるものであることを特徴とする請
    求項4または5記載の積層フィルム。
  7. 【請求項7】液晶ポリエステル(D)が、異種の芳香族
    ヒドロキシカルボン酸の組み合わせを反応させて得られ
    るものであることを特徴とする請求項4〜6のいずれか
    に記載の積層フィルム。
  8. 【請求項8】請求項1〜7のいずれかに記載の積層フィ
    ルムを用いてなることを特徴とする容器。
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