JP2001087836A - 異形リングの製造方法 - Google Patents

異形リングの製造方法

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JP2001087836A JP26442099A JP26442099A JP2001087836A JP 2001087836 A JP2001087836 A JP 2001087836A JP 26442099 A JP26442099 A JP 26442099A JP 26442099 A JP26442099 A JP 26442099A JP 2001087836 A JP2001087836 A JP 2001087836A
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Kazuto Tani
和人 谷
Shinya Ishisoto
伸也 石外
Nobuo Kanamaru
信夫 金丸
Shinsuke Haneda
晋介 羽田
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 歩留りを向上させ、かつ加工時間を短縮でき
る異形リングの圧延方法を提供する。 【解決手段】 リング圧延によって軸方向に間隔をおい
て2以上の突起を有する異形リングを製造する方法であ
って、リング圧延中の材料が軸方向で互いに逆方向に流
動する少なくとも1箇所以上の境界線(分岐点)を見出
し、該境界線間の素材重量を突起を形成するのに相当す
る重量としたリング素材を用いてリング圧延する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、リング圧延によっ
て軸方向に間隔をおいて2以上の突起を有する異形リン
グを製造する方法に係り、例えば、チタン合金製耐圧容
器やジェットエンジンのファンケース、又、航空機用回
転機器の軸受部用シールリングとして使用される異形リ
ングの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】突起を有する異形リングを製造する方法
として図1(A)(B)に示すリング圧延が用いられて
いる。図1(A)(B)において、例えばチタン合金で
作成されたリング素材1を一対のセンタリングロール2
で保持し、キングロール3とマンドレルロール4とによ
って素材の径方向肉厚を圧延することによって拡径し、
キングロール3によって突起を形成するとともに、一対
のアキシャルロール5によって軸方向肉厚を圧延して高
さを調整する。
【0003】また、異形リングを製造する手段として熱
間による手段と冷間による手段とがあり、前者としては
特公平4−62817号公報で開示の技術(従来例の
1)が、また、後者としては特開平3−268833号
公報で開示の技術(従来例の2)がそれぞれ提案されて
いる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従来例の1は、「縦断
面が一様な矩形でない異形リングを製造する方法におい
て、貫通孔が形成された円板状またはリング状の第1次
素材を、金型内に引き込みあるいは押込みながら鍛造
し、製品との比較において内形がより小さく、高さがほ
ぼ等しく、かつ高さ方向の質量分布がほぼ等しいリング
状の第二次素材を形成する鍛造工程と、上記第二次素材
をリングミルによりその高さ方向の全長にわたって上記
素材の高さ方向への流動を制限しながら半径方向外方へ
のみ拡開する圧延を行うことによって上記製品の形状を
付与する圧延工程とを行うことを特徴とする異形リング
の製造方法。」であった。
【0005】この従来例の1では、二次素材をリングミ
ルにより圧延するとき、素材の高さ方向(軸方向)への
流動を制限してはいるものの、異形リングの突起部に相
当する重量をあらかじめリング素材(二次素材)の段階
で付加する必要があって、これではリング素材の部分突
起高さが高くなる。このため、リング鍛造で前記高い部
分突起を形成することが困難となり、リング鍛造のあと
に予備鍛造が必要となっていた。一方、従来例の2は、
「環状をなし且つ異形断面をなすブランクを成形ロール
と受ロールとマンドレルとにより転造して製品となす冷
間ローリングミルによる異形断面製品の製造方法におい
て、転造時における前記ブランクの大径部と小径部との
周速差に応じて当該ブランクの小径部の体積を前記製品
の対応する小径部の体積より大きく、大径部の体積を前
記製品の対応する大径部の体積よりも小さく設定するこ
とを特徴とする冷間ローリングミルによる異形断面製品
の製造方法。」であった。
【0006】この従来例の2ではリング圧延中の材料流
れを考慮してはいるものの突起(大径部)がひとつの場
合にしか言及していないため、異形リングのように、軸
方向(高さ方向)に2以上の突起を有するものには、そ
のまま適用するには困難性があるとともに、冷間圧延に
ついてのものであって、熱間圧延については言及されて
いないものであった。本発明者等は、上記した従来例の
1および2並びに一般的な異形リングのリング圧延によ
る製造法において鋭意研究を行った処、リング圧延中に
おいては材料が軸方向上下に流動する境界線(分岐点)
が存在し、かつその軸方向位置は圧延初期から圧延終了
まで一定となっていることを、リング圧延の変形解析結
果(有限要素法による剛塑性解析)から知見することに
よって、歩留りの向上と加工時間の短縮が可能な異形リ
ングの製造方法の開発に成巧したのである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明に係る異形リング
の製造方法は、リング圧延によって軸方向に間隔をおい
て2以上の突起を有する異形リングを製造する方法であ
って、リング圧延中の材料が軸方向で互いに逆方向に流
動する少なくとも1箇所以上の境界線(分岐点)を見出
し、該境界線間の素材重量を突起を形成するのに相当す
る重量としたリング素材を用いてリング圧延することを
特徴とするものである(請求項1)。
【0008】すなわち、突起が軸方向で2以上有する異
形リングをリング圧延して製造するに当たって、圧延中
における軸方向の材料流動の分岐点(境界線)を有限要
素法による剛塑性解析によって見出し、この分岐点間内
で材料流動を考慮して打上リング品重量と素材重量がほ
ぼ等しいバランスをもつリング素材を用いてリング圧延
するのであり、これによって、歩留りを向上させ、ある
いは特別なリング素材の製作工程を省くことで加工時間
の短縮を図り得るのである。前述した請求項1におい
て、前記境界線(分岐点)を、圧延初期から圧延終了ま
で軸方向において一定若しくはほぼ一定としてリング圧
延することが推奨される(請求項2)。 更に、前述し
た請求項1又は2において、前記境界線間におけるリン
グ素材の断面は、矩形又は部分突起を有する矩形とされ
ていることが望ましい(請求項3)。
【0009】また、本発明において、リング圧延は冷間
又は熱間のいずれにおいても可能であるが、圧延初期か
ら圧延終了までリング素材の軸長(高さ)を一定若しく
はほぼ一定に拘束した状態で熱間によってリング圧延す
ることが推奨される(請求項4)。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、図を参照して本発明に係る
異形リングの製造方法についての実施の形態を説明す
る。なお、異形リングは、図1を参照して既述したリン
グミルを用いて製造することができるが、図1以外のミ
ルを用いても構わない。図2は、本発明にて用いるリン
グ素材1と、矩形断面リング圧延品からの削り出した一
般的なリング素材1Aの断面形状を示しており、いずれ
もリング内半径D1は225mmであり、軸長(軸方向
長さ,高さ)Hは810mmであり、本発明に用いるリ
ング素材1の外半径D2は322mmであって、軸方向
2箇所に高さhが15.5mmの部分突起1B,1Cが
それぞれ形成されていて、削り出した一般的なリング素
材1Aの外半径D3は358.8mmとされており、キ
ングロール3の外周面(成形面)には軸方向2以上の突
起(実施的にリング状突起乃至鍔)を形成するための凹
凸面3Aが本発明においては形成されていて、一方、一
般的なリング素材1Aのときのキングロールの成形面3
Cは平坦面とされている。
【0011】図2において破線で示しているリング素材
1Aについては、あらかじめリング圧延品の突起部に相
当する重量を一律にリング素材1Aの軸方向に与えてい
るため、形状が単純で容易にリング鍛造にて成形可能で
あるが、突起部以外の部分では余分な重量を与えすぎて
いるため投入重量が多く歩留りが悪いものである。これ
に対して本発明に用いる実線で示すリング素材1は部分
突起1B,1Cの高さが低いため比較的容易にリング鍛
造で成形できかつ投入重量が大幅に節減できて歩留りを
向上できるのである。
【0012】図3は本発明に用いるリング素材1と従来
例1に用いるリング素材1Dを比較して示しており、本
発明に用いる実線で示したリング素材1は図2と同様な
形状であり、リング素材1Dについては外半径D3が3
15.5mmで部分突起1Eについてはその高さh1が
43.3mmとされている。すなわち、図3において破
線形状で示した従来例の1に用いるリング素材1Dにつ
いては、リング圧延品の軸方向の重量配分とほぼ同等な
配分を有しているため、図2を参照して示した一般的な
リング素材1Aと比較して投入重量は節減できるが、突
起1Eの重量が大きいため突起高さh1が高くなり、既
述したようにリング鍛造でこの突起1Eを形成すること
は困難でリング鍛造後に予備鍛造が必要となるのは既述
の通りである。
【0013】これに対して本発明に用いるリング素材1
については部分突起1B,1Cの高さを節減できて、リ
ング鍛造でシャープに形成できて予備鍛造が必要でな
く、ここに、加工時間の短縮が図れるのである。図4お
よび図5を参照して本発明に用いるリング素材1につい
てより具体的に説明すると、図4及び図5はいずれもロ
ール形状の部分モデルによるリング圧延中における有限
要素法による剛塑性解析(変形解析結果)を示してお
り、図4はリング素材1の断面は矩形であり、図5はリ
ング素材1の断面は部分突起1B,1C等を有する矩形
である。
【0014】まず、図4(A)は圧延初期の状態を示
し、キングロール3の成形面3Aとマンドレルロール4
によるリング圧延において、リング圧延中の材料が軸方
向に上下(互いに逆方向)に流動する境界線(分岐点)
が少なくとも1以上あることを見出し、この境界線
は図4(B)で示す34.5mm圧下時および図4
(C)で示す46.4mm圧下時(圧延終了)までキン
グロール3およびマンドレルロール4の断面形状が同じ
ロールを用いた場合に、軸方向の位置が一定若しくはほ
ぼ一定であることが有限要素法の解析結果により判明し
た。
【0015】すなわち、境界線(分岐点)間Q内で
材料は矢示X方向に流動していることが判明した。この
分岐点間Q内において素材重量とリング品重量はほぼ等
しいと考えられることから、このQ内において素材重量
が必要とするリング製品重量よりも少なければリング製
品の突起部の厚みは低くなり、リング製品、すなわち、
2以上の突起を有する異形リングの突起部を確保できな
いことを意味する。そこで本発明においては、あらかじ
め素材段階でQ内において必要な重量を与えておいて必
要な突起厚みを確保したのである(図4(C)参照)。
【0016】すなわち、本発明においては、リング圧延
中の材料が軸方向で互いに逆方向に流動する少なくとも
1箇所以上の境界線(分岐点)を見出し、該境界線間の
素材重量を突起を形成するのに相当する重量としたリン
グ素材を用いてリング圧延するのである。図5(A)
(B)は部分突起1B(図では1個であるが軸方向に間
隔を有して2以上ある)を有するリング素材1の断面で
あり、このリング素材1についてもキングロール3とマ
ンドレルロール4によってリング圧延するとき、材料が
軸方向上下(互いに逆方向)に流動(矢示X)する2以
上の境界線の位置を見出し、この位置に圧延初期か
ら圧延終了まで一定であることから、区間Q内の素材重
量を突起を形成するのに相当する重量としたリング素材
1を用いてリング圧延するのである。
【0017】図4および図5においては、キングロール
3の成形面3Aに、リング素材の軸長(高さ)を一定に
拘束するための段部3Bを形成して、この状態で熱間に
よってリング圧延するのであり、素材に突起をつけた方
が相当する重量は少なくて済む。図6は図4及び図5を
参照して既述した本発明に用いる2つのリング素材1
(部分突起を有するものを第2リング素材10Bとし、
部分突起を有しないものを第1リング素材10Aとして
いる)と、矩形リング圧延品からの削り出しによる場合
(図2で示した一般的なリング素材1Aに該当し、図6
では便宜上符号10Cとしている)との分岐点間Qの重
量と突起厚みの関係をグラフ化したものである。
【0018】図6を参照すれば明らかなように突起高さ
を含む異形リングの所定厚みのものをリング圧延にて1
0Bでは135kgの重量で足りるのに対し、素材10
Cでは235kgも必要となるのである。
【0019】
【実施例】Ti−6Al−4Vのφ840mm(5ト
ン)インゴットをVARにより溶解する。β域に加熱
後、630mm八角まで鍛錬し、αβ域以上に加熱後、
φ560mmまで鍛錬してから所定の寸法に切断した。
αβ域以上に加熱後、プレスにてφ200mmの穴あけ
を行い、更に、αβ域以上に加熱後、プレスにて1〜2
ヒートかけて所定内径D1までリング鍛造をして矩形断
面のリング素材を製作した。
【0020】欠陥の発生しやすい端部を切断し図7
(A)で示すように所定高さH,所定内径D1,所定外
径D2のリング素材1を製作した。リング素材の設計に
あたっては、リング素材の内径は、既存のマンドレル径
φ350に操業上容易に装入できる内径とした。実施し
たリング圧延品の形状を図7(B)に示すが、この形状
の場合3つの分岐点が存在するため、リング素材
は軸方向に分岐点間ごとに4分割し、それぞれの分割領
域において、所定の突起厚みを確保できるように必要な
素材重量を決定した。具体的には、分岐点〜の区間
においては、リング圧延品の所定突起厚みを確保できる
ように、図6のリング素材10Bのグラフを用いて必要
な素材重量を決定し、かつ区間内での重量配分を均一に
与えることにより矩形断面のリング素材となるように素
材厚みを決定し、このリング素材形状を図7(A)に示
す。
【0021】図7(A)のリング素材を用いて、αβ域
に加熱後、数ヒートかけて所定の内・外径寸法D3,D
4までリング圧延をした結果、所定の突起厚みを確保で
きた。現在200個以上の製造実績があり、全て問題な
く製品として出荷可能であった。なお、本発明において
実施例等においてはチタン合金製の異形リングである
が、その材料は限定されるものではない。
【0022】
【発明の効果】以上詳述した通り本発明によれば、歩留
りを向上し、かつ、加工時間を短縮して異形リングを製
造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】リング圧延の概略を示し、(A)は平面図、
(B)は側面図である。
【図2】リング素材の断面を示し、破線は削り出しによ
る従来の一般的なリング素材、実線は本発明に用いるリ
ング素材である。
【図3】従来例の1のリング素材(破線)と本発明に用
いるリング素材(実線)を示している。
【図4】部分モデルの変形解析図であり、(A)は圧延
初期、(B)は圧延途中、(C)は圧延終了である。
【図5】部分突起を有するリング素材の変形解析図であ
り、(A)は圧延初期、(B)は圧延終了である。
【図6】本発明に用いる2つのリング素材と削り出しに
よる従来のリング素材との比較グラフである。
【図7】本発明の実施例であり、(A)はリング素材の
断面図、(B)は異形リングの断面図である。
【符号の説明】
1 リング素材 2 センタリングロール 3 キングロール 4 マンドレルロール 5 アキシャルロール 分岐点 分岐点
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 金丸 信夫 兵庫県神戸市西区高塚台1丁目5番5号 株式会社神戸製鋼所神戸総合技術研究所内 (72)発明者 羽田 晋介 兵庫県高砂市荒井町新浜2丁目3番1号 株式会社神戸製鋼所高砂製作所内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 リング圧延によって軸方向に間隔をおい
    て2以上の突起を有する異形リングを製造する方法であ
    って、 リング圧延中の材料が軸方向で互いに逆方向に流動する
    少なくとも1箇所以上の境界線(分岐点)を見出し、該
    境界線間の素材重量を突起を形成するのに相当する重量
    としたリング素材を用いてリング圧延することを特徴と
    する異形リングの製造方法。
  2. 【請求項2】 前記境界線(分岐点)を、圧延初期から
    圧延終了まで軸方向においてほぼ一定としてリング圧延
    することを特徴とする請求項1記載の異形リングの製造
    方法。
  3. 【請求項3】 前記境界線間におけるリング素材の断面
    は、矩形又は部分突起を有する矩形とされていることを
    特徴とする請求項1又は2記載の異形リングの製造方
    法。
  4. 【請求項4】 圧延初期から圧延終了までリング素材の
    軸長(高さ)をほぼ一定に拘束した状態で熱間によって
    リング圧延することを特徴とする請求項1〜3のいずれ
    かに記載の異形リングの製造方法。
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