JPS63137B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明は個別の内部の輪郭を持つ円筒形金属
構造の製法に関する。

円筒形金属構造は種々の用途で業界に使われて
いる。こういう構造は、回転子のスプールを作る
ことを含めて、ガスタービン機関の部品を作るの
に特に有用である。典型的には、ガスタービン機
関の回転子のスプールは、回転子と略等しい軸方
向の長さ、回転子より僅かに小さい内径、及び回
転子の一番厚い部分より僅かに大きい肉厚を持つ
矩形又はその他の簡単な断面を持つ、肉厚の厚い
熱処理した円筒形金属鍛造品から機械加工によつ
て作られていた。典型的な出発時の鍛造品の断
面、並びにそれから加工によつて作る回転子を第
１図に示してある。この加工では、旋盤を使つ
て、出発時の円筒形金属鍛造品から過剰の材料を
切削し、所望の内部の輪郭を作る。典型的には、
こういう作業では、出発時のもとの材料の80％も
の多くを除去しなければ、所望の内部の輪郭が得
られない。この為、従来のこういう加工方法は極
めて時間がかゝると共にむだがあることが判つ
た。この問題は、ガスタービン機関に使う回転子
を作る時、比較的高価な高温用合金を使うし、こ
の様な強靭な合金の加工の費用が比較的高いの
で、特に痛切である。

この発明の目的は、作ろうとする回転子にごく
近い様な内部の輪郭並びに半径方向の寸法を持つ
円筒形金属構造の製法を提供することである。

この発明の別の目的は、出発材料のむだがない
様な、個別の内部の輪郭を持つ円筒形金属構造の
製法を提供することである。

この発明の別の目的は、従来の製造方法による
場合より、時間がずつと短く、且つ材料のむだも
少なくして、ガスタービン機関の回転子をそれか
ら加工することが出来る様な円筒形金属構造を構
成する方法を提供することである。

この発明の方法の出発材料は矩形又はその他の
規則的な断面を持ち、所望の最終的な円筒形構造
の重量、外径及び軸方向の長さと略等しい重量、
外径及び軸方向の長さを持ち、所望の最終的な構
造の一番厚い部分より僅かに薄い肉厚を持つ金属
円筒である。

この出発材料の円筒を、最終的な構造の所望の
外径に略等しい内径を持つと共に、所望の最終的
な構造と略等しい軸方向の長さを持つ拘束用の円
筒形容器の中に入れる。次に全体を成形ロール・
ダイスと支持ロール・ダイスとの間で圧延する。
成形ロール・ダイスは、出発時の円筒の内面に接
し、最終的な構造に作ろうとする内部の輪郭に対
応する外側の輪郭を持ち、支持ロール・ダイスは
円筒形容器の外面に接する。圧延は、出発時の円
筒の内面が成形ロールの輪郭と同形になるまで行
なわれる。この輪郭を作る作業の間、出発時の円
筒の半径方向の成長を金属円筒によつて抑制す
る。この金属円筒は出発時の円筒より厚手で、そ
の材料よりもかなり強靭な材料で構成されている
ので、成形及び支持ロール・ダイスによつて加え
られた圧力では変形しない。成形ロール・ダイス
に形成されたフランジの助けを借りて、輪郭を作
る作業の際、出発時の円筒の軸方向の成長を抑制
する。

輪郭を作る作業の間、材料の流れを容易にする
為、出発時の円筒を加熱し、輪郭を作る間はその
温度に保つことが出来る。ロール・ダイス及び拘
束用容器もそれより低い温度まで加熱し、圧延作
業の間、出発時の円筒の冷却を防ぐことが出来
る。輪郭を作る際、半径方向及び軸方向の成長を
拘束することにより、輪郭がつけられた構造は高
い寸法精度を有する。こうして得られた構造は、
内径が軸方向の長さに沿つた或る点で出発時の円
筒より小さい。

この方法により、それから加工によつて作ろう
とする回転子のスプールの輪郭に近い内側の輪郭
を持つ円筒形金属構造が得られる。この構造の内
側の輪郭が回転子の内側の輪郭にごく近いものに
なつているから、この発明の方法によつて作られ
た円筒形構造を使うと、回転子を作る際の材料の
むだがかなり減少する。更に、構造から切削しな
ければならない材料が少ないから、回転子は、従
来の製造方法を使つた場合に必要なよりも、ずつ
と短い時間で加工される。

この発明の別の利点は、この発明に従つて構成
された熱処理済みの円筒形構造から加工によつて
作られた回転子は、従来の方法に従つて構成され
た回転子に較べて、強度が著しく改善されること
である。これは、この発明に従つて輪郭をつけた
熱処理済みの構造が、従来の回転子を加工する基
になつた熱処理済みの鍛造品より、ずつと薄いか
らである。熱処理した時、この様に薄い構造には
一層急速に且つ一様に分布するので、その強度が
改善される。

この発明は以下図面について説明する所から、
更によく理解されよう。

この発明の方法を実施する時、矩形断面又は第
２図に示す様なその他の規制的な断面を持つ適当
な金属円筒２を出発材料として使う。円筒２は、
所望の最終的な円筒形構造の重量、外径及び軸方
向の長さと夫々略等しい重量、外径及び軸方向の
長さを持つべきである。円筒２の内径は、過剰の
材料をなるべく少なくして、所要の輪郭をつける
ことが出来る様に、慎重に選ぶ。一般に、円筒２
の内径は、最終的な構造の一番厚い部分に於ける
内径より僅かに大きくする。この出発材料の円筒
２は、金属ビレツトを押出成型して細長い円筒を
形成し、その後この円筒を所望の長さに切断する
とか、鍛造によるとか、或いは板からの深い引抜
きによつて円筒を形成するとかの従来公知の方法
を用いて、構成することが出来る。この代りに、
出発時の円筒には、第３図に示した一層小さい円
筒４を半径方向に拡大することによつて構成する
ことも出来る。円筒４は円筒２の重量及び軸方向
長さと略等しい重量及び軸方向長さを持つべきで
ある。円筒４の厚さは、それを半径方向に拡大し
た時、円筒２と略同じ厚さを持つ様に慎重に選ば
なければならない。円筒２，４の相対的な内径及
び外径に応じて、円筒４は円筒２より２倍乃至３
倍厚手にする。円筒４はその内径及び外径が円筒
２の内径及び外径になるまで半径方向に拡大する
為に、熱間又は冷間圧延することが出来る。

この発明の方法では、円筒２を第４図に示す拘
束用円筒形容器６の中に入れる。円筒６は、内径
が円筒２の外径と略等しく、軸方向の長さが円筒
２の軸方向の長さと略等しく、円筒２よりも実質
的に厚手である。円筒６は、円筒２を作る材料よ
りもかなり強靭な材料で構成して、円筒２を変形
するのに十分な圧延力によつては、円筒６が変形
しない様にすべきである。円筒２にチタンを使つ
た時、円筒６に好ましい材料は、INCO―718の
様なニツケルをベースとした超合金である。容器
６及び円筒２を従来周知の普通のリング形圧延機
で圧延する。この一部分を第４図に示してある。
圧延機９が、基部構造（図に示してない）上に回
転出来る様に装着された成形ロール・ダイス８と
支持ロール・ダイス１２とを含む。

動作について説明すると、容器６及び円筒２を
成形及び支持ダイスの間に配置し、成形ダイス８
が円筒２の内面に接すると共に支持ダイスが容器
６の外面に接する様にする。成形ダイス８は、最
終的な構造の所望の内側の輪郭に対応する輪郭１
０をその外面に有する。

円筒２の内面に成形ロール・ダイス８の輪郭と
同形の輪郭がつくまで、容器６及び円筒２をダイ
ス８，１２の間で圧延する。この発明に従つて作
られた典型的な円筒形構造を第５図及び第６図に
示してある。輪郭をつける作業の間、円筒２の半
径方向の成長は拘束用円筒６によつて抑制され
る。円筒６は、出発材料の円筒よりも一層厚手
で、それに使われる材料よりもかなり強靭な材料
で作られているから、成形及び支持ロール・ダイ
スによつて加えられる圧力によつて変形しない。
輪郭をつける作業の間、支持ロール１２の両端に
設けた半径方向に伸びるフランジ１４，１６が、
円筒２の両端に係合することにより、出発材料の
円筒２の軸方向の成長を抑制する。この代りに、
下側フランジ１６を省略して、ダイスを支持する
機械の基部（図に示してない）を利用して、下向
きの軸方向の成長を抑制してもよい。

輪郭をつける作業の間、材料の流動を容易にす
る為、輪郭をつける間、円筒２を加熱し高温に保
つことが出来る。圧延作業の間、出発材料の円筒
が冷却されるのを防止する為、ロール及び拘束用
容器も加熱することが必要であろう。然し、拘束
用容器及びロールは出発材料の円筒より低い温度
まで加熱し、拘束用容器が圧延作業の際に変形し
ない様にする。チタン合金を形成する時、30000
乃至40000ポンド／平方吋（2109〜2812Kgf/cm²）
の圧力で圧延する時、円筒２に対しては1500乃至
1600〓（816〜871℃）の温度、容器６及びロー
ル・ダイス８，１２に対しては約800〓（約427
℃）の温度が適当であることが判つた。

輪郭をつける際、円筒２の半径方向及び軸方向
の成長を拘束することにより、最終的な構造の寸
法は高い精度が得られる。この方法は、それから
加工によつて作る回転子のスプールの輪郭にごく
近い内側の輪郭を持つ円筒形金属構造を作る。

第６図に示す様なスプール１８を作る為、円筒
形構造２を熱処理し、その後スプール１８を機械
加工によつて作る。第１図及び第６図を見れば判
る様に、構造２の方が回転子１８の輪郭に一層近
似しているから、この発明の方法によつて輪郭を
つけた円筒形構造を使つて回転子を作る場合、材
料のむだがかなり減少する。更に、最終的な構造
から切削しなければならない材料が少ないから、
従来の製造方法による場合よりも、回転子をずつ
と短い時間内に作ることが出来る。

この発明の別の利点は、この発明に従つて構成
された、熱処理済みの輪郭つき構造から加工によ
つて作つた回転子は、従来の方法に従つて作られ
た回転子より、強度がかなり改善されることであ
る。これは、熱処理済みの円筒形構造が、従来の
回転子を加工によつて作る基になつた、熱処理済
みの鍛造品より、かなり薄手だからである。熱処
理する時、この薄手の構造には熱が一層急速に且
つ一様に分布するから、その強度が改善される。

この発明の方法に使う出発時の構造を簡単な円
筒で構成されるものとして示したが、この発明で
は他の円筒形の構造を形成することも出来る。こ
の他に形成し得る構造としては、選ばれた区域で
円周方向に二番取りした外面を持つか、或いはテ
ーパつきの内面及び外面を持つ円筒形容器があ
る。

この発明の方法は、ガスタービン機関用の円筒
形金属構造を作るのに特に有用であるが、内側に
輪郭を必要とする任意の用途向けの円筒形金属構
造を作る為に利用することが出来る。

従つて、この発明の方法の好ましい実施例を説
明したが、これは均等物を全て網羅したものでは
なく、当業者であれば、この発明の範囲内で、
種々の変更が可能であることは明らかであろう。

【図面の簡単な説明】

第１図は回転子の断面図を重ねて描いた従来の
鍛造品の断面図、第２図はこの発明の方法に使う
出発材料の円筒の斜視図、第３図は第２図の円筒
を作る為に使われる円筒の斜視図、第４図はこの
発明の方法を実施するのに役立つ機械の一部分の
斜視図、第５図はこの発明によつて作られた円筒
形金属構造の斜視図、第６図は第５図の構造の断
面図であると共に、回転子の断面を重ねて描いて
ある。 主な符号の説明 ２：初期円筒、８：成形ロー
ル・ダイス、１２：支持ロール・ダイス。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 複数個の内部の輪郭を持つ中空の円筒形金属
   構造の製法に於て、 所望の構造の重量、外径及び軸方向長さに夫々
   略等しい重量、外径及び軸方向長さを持ち且つ平
   滑な円筒外面を持つ初期金属中空円筒を構成し、 該円筒外面に同形の平滑な円筒内面を持つ円筒
   形容器内に該円筒を配置し、該円筒形容器は前記
   初期金属中空円筒より厚手で該円筒を作る材料よ
   りかなり強靭な材料で作られ、 該円筒を半径方向外向き及び軸方向の成長を同
   時に拘束しながら、該円筒の内面がそれと接する
   ダイスの輪郭と同形になるまで、該円筒の内面に
   接し且つ構造の所望の内側の輪郭に対応する複数
   個の軸方向に離れた外側輪郭を持つ成形ダイス
   と、該成形ダイスと反対側で前記円筒形容器に接
   する支持ロール・ダイスとの間で該円筒を圧延す
   る工程から成り、該円筒及び該容器に加えられた
   圧延力は該円筒を変形させるには十分であるが、
   該容器を変形させない様にし、 輪郭を作る作業の間、前記初期金属中空円筒
   は、それを構成する材料の流動を容易にする第１
   の温度範囲に保ち、前記円筒形容器及び両側のダ
   イスは、輪郭を作る作業の間、該円筒の過度の冷
   却を防止するのに十分であるが、輪郭を作る作業
   の間の前記円筒形容器の変形を招くに至らない、
   前記第１の温度範囲よりかなり低い第２の温度範
   囲に保つ円筒形金属構造の製法。 ２ 特許請求の範囲１に記載した円筒形金属構造
   の製法に於て、前記初期金属中空円筒の両端に係
   合するように支持ロール・ダイスの両端に配置さ
   れた半径方向に伸びる１対のフランジにより、圧
   延の際、該円筒が軸方向に成長しない様に拘束し
   た円筒形金属構造の製法。 ３ 特許請求の範囲１に記載した円筒形金属構造
   の製法に於て、前記初期金属中空円筒の内径が最
   終的な構造の一番厚い部分の内径より僅かに大き
   い円筒形金属構造の製法。