JP2001081558A - 成膜装置および成膜方法 - Google Patents

成膜装置および成膜方法

Info

Publication number
JP2001081558A
JP2001081558A JP25947799A JP25947799A JP2001081558A JP 2001081558 A JP2001081558 A JP 2001081558A JP 25947799 A JP25947799 A JP 25947799A JP 25947799 A JP25947799 A JP 25947799A JP 2001081558 A JP2001081558 A JP 2001081558A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
material supply
film forming
film
thin film
angle
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP25947799A
Other languages
English (en)
Inventor
Hideo Fujii
秀雄 藤井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Pentax Corp
Original Assignee
Asahi Kogaku Kogyo Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Asahi Kogaku Kogyo Co Ltd filed Critical Asahi Kogaku Kogyo Co Ltd
Priority to JP25947799A priority Critical patent/JP2001081558A/ja
Publication of JP2001081558A publication Critical patent/JP2001081558A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Surface Treatment Of Optical Elements (AREA)
  • Physical Vapour Deposition (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】多彩な膜組成・膜構成を得ることができ、所望
の薄膜を短時間で効率的に製造でき、特に、傾斜屈折率
薄膜を容易に形成することができる成膜装置および前記
成膜装置を用いた成膜方法を提供することにある。 【解決手段】成膜装置1は、チャンバ2と、基板3を保
持する保持部4と、膜厚計5と、シャッタ6と、第1の
材料供給源7と、第2の材料供給源8と、駆動系11
と、制御手段12と、ガイド部材15とを有している。
第1の材料供給源7は、チャンバ2の底部に固定される
固定材料供給源であり、第2の材料供給源8は、駆動系
11により移動可能な可動材料供給源である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、成膜装置および成
膜方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、眼鏡レンズやカメラレンズのよう
な光学部品に用いられる反射防止膜、高反射膜、光学フ
ィルタ等の光学薄膜は、多層膜あるいは単層膜として作
製されている。その光学薄膜は、通常、屈折率の異なる
層を交互に積層し、所望の光学特性を得るが、その他に
も、層内で屈折率が連続的に変化する傾斜屈折率薄膜に
より所望の光学特性を得る方法がある。
【0003】傾斜屈折率薄膜としては、反射防止膜、マ
イナスフィルタ、偏向ビームスプリッタ等に用いられる
ルーゲットフィルタ(Rugate Filter)が挙げられる。
【0004】そのような傾斜屈折率薄膜の製造方法は、
従来、屈折率の異なる複数の材料の蒸発源をそれぞれ設
け、それらの供給電力を制御することにより、各蒸発源
からの蒸発速度を調整する方法が知られる。
【0005】しかしながら、前述の方法の場合では、供
給電力と蒸発速度との応答性が低いため、供給電力を調
整しても所定の蒸発速度となるまでに長時間を必要とす
る。そのため、前述の方法では、迅速な蒸発速度の切替
が困難であり、所望の光学特性を有する薄膜を得るに
は、多くの製造時間が必要であるという欠点を有する。
さらに、前述の供給電力と蒸発速度との応答性が低いた
め薄膜の再現性が低いという欠点を有する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、多彩
な膜組成・膜構成を得ることができ、所望の薄膜を短時
間で効率的に製造でき、特に、傾斜屈折率薄膜を容易に
形成することができる成膜装置およびこの成膜装置を用
いた成膜方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】このような目的は、下記
(1)〜(15)の本発明により達成される。
【0008】(1) チャンバと、チャンバ内に配置さ
れた複数の材料供給源と、薄膜形成対象物を保持する保
持部とを有し、気相成膜法により材料供給源から供給さ
れる膜材料により薄膜形成対象物に成膜する成膜装置で
あって、前記材料供給源の少なくとも1つが移動可能で
あり、この移動により前記薄膜形成対象物の成膜面の法
線と、前記材料供給源と前記成膜面とを結ぶ線とのなす
角度が変更されることを特徴とする成膜装置。
【0009】これにより、移動可能な材料供給源を移動
させ、前記角度を変更することで材料供給源からの膜材
料の拡散方向を変化させることができ、前記成膜面に対
する前記材料供給源からの材料の単位時間当たりの付着
量を変更することができる結果、薄膜の構成成分の比率
を任意に設定したり、その比率を連続的に変化させたり
することができる。よって、多彩な膜組成・膜構成を有
する薄膜を効率的に製造でき、特に、傾斜屈折率薄膜を
容易に製造することができる。
【0010】(2) 前記角度は、チャンバを閉鎖した
ままでチャンバ外部から変更が可能である上記(1)に
記載の成膜装置。
【0011】これにより、チャンバを閉鎖したままチャ
ンバ外部から薄膜形成対象物の成膜面の法線と、前記材
料供給源と前記成膜面とを結ぶ線とのなす角度を変更す
ることができ、成膜作業を中断することなく、製造時間
を短縮することができる。
【0012】(3) 前記角度の変更を周期的に行う上
記(1)または(2)に記載の成膜装置。
【0013】これにより、薄膜形成対象物の成膜面に屈
折率が連続的に変化する薄膜、例えば、ルーゲットフィ
ルタのような傾斜屈折率薄膜を形成することができる。
【0014】(4) 前記材料供給源の移動により、該
材料供給源と前記薄膜形成対象物を結ぶ線と前記法線と
のなす角度と、その他の材料供給源と前記薄膜形成対象
物を結ぶ線と前記法線とのなす角度との大小関係を逆転
することができる上記(1)ないし(3)のいずれかに
記載の成膜装置。
【0015】これにより、得られる薄膜における屈折率
の幅を拡大またはシフトすることができる。
【0016】(5) 前記材料供給源からの材料供給速
度を検出する検出手段を有する上記(1)ないし(4)
のいずれかに記載の成膜装置。これにより、材料供給速
度を検出でき、所望の膜組成・膜構成を実現できる。
【0017】(6) 前記検出手段の検出値に基づいて
前記材料供給速度が一定となるよう制御する制御手段が
ある上記(5)に記載の成膜装置。
【0018】これにより、薄膜形成対象物の成膜面の法
線と、材料供給源と前記成膜面とを結ぶ線とのなす角度
を変更することにより膜組成・膜構成を制御でき、所望
の薄膜を容易に得ることができる。
【0019】(7) 前記角度の増大に伴い、前記材料
供給速度を減少させるよう制御する制御手段がある上記
(1)ないし(5)いずれかに記載の成膜装置。
【0020】これにより、薄膜形成対象物に形成する薄
膜の構成成分の差をより大きくすることができる。
【0021】(8) 薄膜の膜厚をモニタするモニタ手
段を有する上記(1)ないし(7)のいずれかに記載の
成膜装置。
【0022】これにより、成膜の際、薄膜の膜厚をモニ
タすることができ、所望の膜厚を形成することができ
る。
【0023】(9) 前記材料供給源を移動するための
駆動源としてステッピングモータを備えた上記(1)な
いし(8)のいずれかに記載の成膜装置。
【0024】これにより、材料供給源の移動が、高速
で、かつ所定の駆動量を正確に行うことができる。
【0025】(10) 前記駆動源を制御する制御手段
を有する上記(9)に記載の成膜装置。
【0026】これにより、成膜装置の自動化が図れ、成
膜を繰り返し行った場合に再現性良く成膜できる。
【0027】(11) 前記薄膜形成対象物に傾斜屈折
率薄膜を形成するための成膜装置である上記(1)ない
し(10)のいずれかに記載の成膜装置。これにより、
薄膜形成対象物に傾斜屈折率薄膜を形成することができ
る。
【0028】(12) チャンバと、チャンバ内に配置
された複数の材料供給源とを有する成膜装置を用いて薄
膜形成対象物に成膜する成膜方法であって、前記材料供
給源の少なくとも1つを移動することにより、薄膜形成
対象物の成膜面の法線と、前記成膜面と前記材料供給源
とを結ぶ線とのなす角度を変更しつつ、成膜を行うこと
を特徴とする成膜方法。
【0029】これにより、移動可能な材料供給源を移動
させ、前記角度を変更することで材料供給源からの膜材
料の拡散方向を変化させることができ、前記成膜面に対
する前記材料供給源からの材料の単位時間当たりの付着
量を変更することができる結果、薄膜の構成成分の比率
を任意に設定したり、その比率を連続的に変化させたり
することができる。よって、多彩な膜組成・膜構成を有
する薄膜を効率的に製造でき、特に、傾斜屈折率薄膜を
容易に製造することができる。
【0030】(13) チャンバと、チャンバ内に配置
された複数の材料供給源とを有する成膜装置を用いて薄
膜形成対象物に成膜する成膜方法であって、前記材料供
給源の少なくとも1つを、薄膜形成対象物の成膜面の法
線と、前記成膜面と前記材料供給源とを結ぶ線とのなす
角度が変化するよう周期的に移動しつつ成膜することを
特徴とする成膜方法。
【0031】これにより、薄膜形成対象物の成膜面に
は、屈折率が連続的に変化する薄膜、特に、ルーゲット
フィルタのような傾斜屈折率薄膜を形成することができ
る。
【0032】(14) 前記各材料供給源からの材料供
給速度をそれぞれ一定にしつつ成膜を行う上記(12)
または(13)に記載の成膜方法。
【0033】これにより、薄膜形成対象物の成膜面の法
線と、材料供給源と前記成膜面とを結ぶ線とのなす角度
を変更することにより膜組成・膜構成を制御でき、所望
の薄膜を容易に得ることができる。
【0034】(15) 前記角度の増大に伴い、前記材
料供給速度を減少させるよう成膜を行う上記(12)ま
たは(13)に記載の成膜方法。
【0035】これにより、薄膜形成対象物に形成する薄
膜の構成成分の差をより大きくすることができる。
【0036】
【発明の実施の形態】以下、本発明の成膜装置および成
膜方法を添付図面に示す好適実施形態に基づいて詳細に
説明する。なお、説明中「膜厚」とは、物理的膜厚を意
味するものとする。
【0037】本発明の成膜装置は、気相成膜法により成
膜を行う装置である。この気相成膜法としては、例え
ば、真空蒸着法、イオンアシスト蒸着法、イオンプレー
ティング、スパッタリング等が挙げられる。特に、真空
蒸着法は、多くの材料に適用が可能であり、成膜条件の
制御が比較的簡易であることから、膜厚、屈折率の再現
性に優れ、多層薄膜を精度よく形成することができる。
また、成膜装置の構成が比較的簡単であるという利点が
ある。
【0038】以下の説明では、真空蒸着法により成膜を
行う成膜装置について説明する。図1は、本発明の成膜
装置の第1実施形態を示す断面図、図2は、図1中の可
動材料供給源およびガイド部材の近傍を示す拡大平面
図、図3は、図2中のA−A線断面図、図4は、本発明
の成膜装置で得られた薄膜の屈折率と角度との関係を示
すグラフ、図5は、薄膜の分光反射率特性(実測値およ
び目標値)を示すグラフ、図6は、図5中の分光反射特
性(目標値)を得るための計算により求めた屈折率分布
図(屈折率プロファイル)、図7は、本発明の成膜装置
で用いられた材料供給源の往復動(1サイクル)を示す
グラフである。
【0039】図1に示すように、成膜装置1は、チャン
バ(真空炉)2と、基板(薄膜形成対象物)3を保持す
る保持部4と、膜厚計5と、シャッタ6と、第1の材料
供給源(固定材料供給源)7と、第2の材料供給源(可
動材料供給源)8と、駆動系11と、制御手段12と、
加熱ヒータ(図示せず)と、ガイド部材15とを有して
いる。
【0040】チャンバ2には、複数の管路が接続されて
いる。その管路の1つは、チャンバ2内の雰囲気ガスを
排気する真空ポンプ(図示せず)に接続されている。チ
ャンバ2と真空ポンプの間には、バルブ13が取付けら
れている。また、他の管路は、雰囲気ガス(不活性ガ
ス、反応ガス等)を導入するための管路である。その管
路の途中には、バルブ14が取付けられている。
【0041】このチャンバ2の雰囲気としては、通常、
非酸化性雰囲気、例えば、減圧(真空)状態下、あるい
は窒素ガス、アルゴンガス等の不活性ガスが好ましい。
ここで雰囲気中には、少量の反応ガス(酸素ガス等)を
導入することができる。酸化チタンには、TiO、Ti
23、TiO2があるが、成膜の際、これらが混合して
基板3に成膜する可能性がある。そのため、チャンバ2
内の酸素分圧を制御することにより蒸発物と酸素原子と
の結合を調整して所望の価数の酸化チタンを得ることが
できる。
【0042】例えば、TiO、Ti23、TiO2のう
ちで光の吸収が最も少ないTiO2を基板3に成膜しよ
うとするには、酸素分圧を比較的高くすることが好まし
い。このときの酸素分圧は、5×10-3以上にして成膜
することが好ましく、1×10 -2〜3×10-2Paにして
成膜することがより好ましい。5×10-3Pa未満では、
結合する酸素原子が不足し、TiOやTi23の量が増
大するおそれがある。
【0043】また、チャンバ2上部には、保持部4が設
けられている。この保持部4は、基板ホルダ41と、回
転軸42と、基板ホルダ回転機構43とで構成されてい
る。
【0044】基板ホルダ41は、チャンバ2内の上部に
配置されている。この基板ホルダ41の全体形状は、円
盤状をなしている。
【0045】基板ホルダ41には、基板3の成膜面に垂
直方向に、すなわち、図1中上下方向に平行な複数の貫
通した開口411が形成されている。開口411の形状
は、基板3の形状に対応し、本実施形態では、円形状を
なしている。
【0046】回転軸42は、チャンバ2内の上部と上壁
21とを貫通して、その一端が基板ホルダ41に設置さ
れている。
【0047】回転軸42が通る貫通孔には、シール部材
22が設置され、チャンバ2の内部と外気とを遮断して
いる。
【0048】チャンバ2の外部には、支持部材(図示せ
ず)により基板ホルダ回転機構43が設置されている。
【0049】基板ホルダ回転機構43は、モータ(図示
せず)と、減速手段(図示せず)等とを内蔵しており、
このモータの回転を減速手段で減速しつつ、回転軸42
に伝達する。なお、モータの作動/停止、回転速度、回
転方向等は、後述する制御手段12により制御される。
【0050】基板ホルダ41の上面412には、複数の
基板(成膜形成対象物)3が保持されている。基板3の
形状は、円盤状をなしている。それぞれ、基板3は、基
板ホルダ41の上面412に開放する開口411に対応
するよう配置されている。そして、それぞれの基板3に
は、対応した開口411内の領域に薄膜が形成される。
【0051】この基板3としては、各種の光学ガラス
や、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリア
リレート系樹脂、ポリオレフィン系樹脂等の樹脂材料等
の光学材料が挙げられる。
【0052】また、基板ホルダ41近傍には、膜厚計5
が配置されている。この膜厚計5は、支持部材51に支
持され、基板3の成膜面と同等の薄膜が形成される位置
に膜厚モニタ(モニタ手段)として設置されている。
【0053】膜厚計5に内蔵された水晶振動子の固有振
動数の変化から薄膜の膜厚を検出する。この検出値は、
制御手段12に入力される。制御手段12は、入力され
る検出値に基づいて基板3の薄膜の膜厚を求めることが
できる。これにより、所望の膜厚を精度良く形成するこ
とができる。
【0054】また、基板ホルダ41の下部近傍には、シ
ャッタ6が配置されている。シャッタ6の側部の一部
は、チャンバ2の側部に設置・固定され、シャッタ6の
全体を支持している。
【0055】図1に示すように、シャッタ6は、基板3
と蒸発源から蒸発した材料(成膜材料)とを遮断するよ
う閉じられている。これにより、シャッタ6の開放前に
基板3に薄膜が形成することを防止できるので精度の高
い膜厚を得ることができる。
【0056】シャッタ6の開閉の制御方法は、後述の制
御手段12について説明する部分で詳細に説明する。
【0057】また、基板ホルダ41と上壁21との間に
は、加熱ヒータが配置されている。この加熱ヒータは、
チャンバ2内の基板3および雰囲気を加熱する。この
際、光学ガラスの場合には、基板温度を150〜350
℃に加熱・保持することが好ましく、200〜300℃
に加熱・保持することがより好ましい。これにより、得
られる薄膜の膜密度が向上する。樹脂材料等の光学材料
を使う場合には、基板変形を生じない程度に加熱・保持
することが好ましい。なお、基板3および雰囲気の温度
は、加熱ヒータ近傍に設置された熱電対(図示せず)に
より計測され、計測値は制御手段12に入力される。そ
の計測値に基づいて制御手段12が加熱ヒータを制御す
る。
【0058】チャンバ2内の底部には、第1の材料供給
源7と第2の材料供給源8とが隣接して配置されてい
る。第1の材料供給源7は、チャンバ2内の底面に固定
された固定材料供給源であり、第2の材料供給源8は、
後述する駆動系11により移動可能な可動材料供給源で
ある。
【0059】第1の材料供給源7は、蒸発源71と、ル
ツボ72と、電子銃73と、電子銃用電源731と、膜
厚計74と、支持部材741とで構成されている。
【0060】ルツボ72内には、蒸発源71が配置され
ている。この第1の材料供給源7の側部には、電子銃7
3が設置されている。該電子銃73は、高エネルギー密
度の電子ビーム732を放出し、ルツボ72内の蒸発源
71を加熱し、蒸発させる。
【0061】第1の材料供給源7の上部には、所定の高
さに設置された膜厚計74が設置され、支持部材741
に支持されている。
【0062】この膜厚計74は、前述の膜厚計5と同様
に水晶振動子の固定振動数の変化から薄膜の膜厚を検出
する。この検出値は、後述する制御手段12に入力され
る。これにより、後述する制御手段12は、材料供給速
度を制御することができる。材料供給速度については、
後述する。
【0063】電子銃用電源731は、チャンバ2の外部
に設置されている。電子銃用電源731からの配線によ
り電子銃73に電力を供給する。電子銃73の電力は、
制御手段12により制御される。
【0064】図1中一点鎖線(図1中上下方向)は、基
板3の成膜面の法線であって、かつ回転ホルダ41の回
転軸と一致する線31である。第1の材料供給源7は、
この線31上にはなく、線31から所定の距離、離間し
た位置に配置されている。すなわち、線31と、前記成
膜面と第1の材料供給源7とを結ぶ線32(図1中二点
鎖線)とは、所定の角度θ1をなしている。
【0065】また、第1の材料供給源7は、その高さを
変更できるようになっていてもよい。この場合、第1の
材料供給源7の高さを変更する手段としては、例えば、
第1の材料供給源7とチャンバ2の底部との間に支持部
材(図示せず)を設置し、その支持部材に第1の材料供
給源7の設置高さを変更するためのアジャスタ機構を取
付けたり、高さの異なる支持部材を適宜交換して使用す
る構成とすることが挙げられる。
【0066】また、前述した支持部材の形状および設置
位置(例えば、図1中の左右方向の位置)を変更しても
よい。なお、このような調整は、通常、成膜を開始する
以前に行う。
【0067】第2の材料供給源8は、蒸発源81と、ル
ツボ82と、電子銃83と、電子銃用電源831と、膜
厚計84と、支持部材841と、駆動系11と、摺動部
85(図2)とで構成されている。
【0068】上記においてルツボ82に配置される蒸発
源81は、蒸発源71とは異なる組成の材料とされる。
【0069】ルツボ82、電子銃83、電子銃用電源8
31、膜厚計84、支持部材841は、前述のルツボ7
2、電子銃73、電子銃用電源731、膜厚計74、支
持部材741と同様のものである。
【0070】第2の材料供給源8を移動するための駆動
系11は、モータ部16と、出力軸17と、出力軸17
に設置されているウォーム18とを有している。
【0071】チャンバ2の外部に配置されたモータ部1
6は、ステッピングモータ(図示せず)、変速機(図示
せず)等を内蔵している。そのステッピングモータの駆
動により生じる回転力は、変速機で調整されつつ、出力
軸17を介してウォーム18に伝達される。なお、出力
軸17は、チャンバ2内の底壁23を貫通している。こ
の出力軸17が通る貫通孔には、シール部材19が設置
され、チャンバ2内と外気とを遮断し、チャンバ2の気
密性を保っている。また、ステッピングモータの作動/
停止、回転速度、回転方向等は、後述する制御手段12
により制御される。
【0072】ウォーム18は、ガイド部材15の下部に
位置している。このウォーム18の全体形状は、第2の
材料供給源8がガイド部材15に沿って移動した際、ウ
ォーム18と第2の材料供給源8の底面821に形成さ
れた歯とが、常に歯合していすように、その外径が中央
部から両端部に向かってそれぞれ増大するような形状を
なしている。
【0073】図2および図3に示すように、第2の材料
供給源8の両側部には、各々一対の摺動部85が設置さ
れている。この摺動部85は、管状をなしており、その
中空孔に後述するガイド部材15が挿通されている。
【0074】チャンバ2の下方には、一対の棒状のガイ
ド部材15が配置されている。各ガイド部材15の一端
は、チャンバ2の側部に固定され、他端は、チャンバ2
の底部に固定されている。また、各ガイド部材15は、
第2の材料供給源8が移動するとき、第2の材料供給源
8と基板3の成膜面(線31の上端)との距離を一定に
保つよう、円弧状に湾曲している。第2の材料供給源8
は、摺動部85を介して各ガイド部材15に支持されて
いる。
【0075】第2の材料供給源8は、線31上にはな
く、線31から所定の距離、離間した位置で移動する。
従って、線31と、前記成膜面と第2の材料供給源8と
を結ぶ線33(図1中二点鎖線)とは、所定の角度θ2
をなしている。
【0076】ステッピングモータを所定の方向に駆動回
転すると、それによりウォーム18を回転し、第2の材
料供給源8は、ガイド部材15に沿ってウォーム18の
一端から他端までの範囲で移動する。
【0077】角度θ2は、第2の材料供給源8の移動と
ともに変化する。この角度θ2は、第2の材料供給源8
がウォーム18のモータ部16からの遠位端に位置した
とき最大となり、近位端に位置したとき最小となる。ま
た、本実施形態では、角度θ2の最小の角度と角度θ1
一致するよう設定されている。
【0078】角度θ2の範囲は、チャンバ2の形状、材
料供給源の形状、特に、ルツボの形状等の諸条件により
異なるが、0〜80°で行うことが好ましく、0〜60
°で行うことがより好ましい。80°を超えると、成膜
装置が大型化する。なお、図示の実施形態では、角度θ
2の範囲は、10〜40°である。
【0079】なお、ステッピングモータを用いることで
第2の材料供給源8は、前記範囲を高速で、かつ所望の
位置に正確に移動することができる。
【0080】また、このような構成では、後述する制御
手段12により、チャンバ2を閉鎖したまま、チャンバ
2の外部から第2の材料供給源8の移動を制御でき、角
度θ 2を変更することできる。特に、角度θ2を変更する
ためにチャンバ2を開く等の成膜作業を中断することな
く、製造時間を短縮することができる。
【0081】制御手段12は、通常、マイクロコンピュ
ータ(CPU)で構成されている。制御手段12は、基
板ホルダ回転機構43、シャッタ6、電子銃用電源73
1および831、ステッピングモータ(図示せず)等を
制御している。
【0082】制御手段12は、前述した基板ホルダ回転
機構43のモータの作動/不作動を制御し、さらに、作
動中の回転速度、回転方向等を制御する。この回転速度
は、2〜100rpmであることが好ましく、10〜50r
pmであることがより好ましい。2rpm未満では、膜厚を
均一化することが困難であり、100rpmを超えると、
回転の遠心力により基板3が固定位置から外れるおそれ
がある。なお、回転方向は、一方向に限るものではな
く、例えば、正回転と逆回転を組み合わせた回転であっ
てもよい。
【0083】成膜の際、各材料供給源からのそれぞれの
材料供給速度と、材料供給源と基板との距離と、薄膜対
象物の成膜面の法線と前記成膜面と材料供給源とを結ぶ
線とのなす角度との3つの条件により薄膜の膜組成・膜
構成が決定されるが、その内の材料供給速度を一定の速
度に固定し、材料供給源と基板の成膜面との距離も一定
の距離に固定しておけば、前記角度の変更のみで薄膜の
膜組成・膜構成を制御できるので所望の薄膜を容易に得
ることができる。制御手段12は、蒸発源71および8
1においてそれぞれの材料供給速度が一定になるよう電
子銃73および83の作動を制御する。
【0084】制御手段12は、各材料供給源からのそれ
ぞれの材料供給速度を経時的に変化させるよう制御して
もよい。特に、制御手段12は、第1の材料供給源7お
よび第2の材料供給源8からの材料供給速度を各材料供
給源の位置や角度に応じて可変とするよう制御してもよ
い。例えば、角度の増大に伴い、前記材料供給速度を減
少させるよう制御することができる。このときには、角
度θ2が最大となると、材料供給速度が小または0とな
り、基板3の成膜面には、蒸発源71の材料が優先的に
成膜され、蒸発源71の材料の屈折率により近い薄膜が
形成される。逆に、角度θ2が最小となると、材料供給
速度が大となり、基板3の成膜面には、蒸発源81の材
料が優先的に成膜され、蒸発源81の材料の屈折率によ
り近い薄膜が形成される。これにより、基板3に形成さ
れる薄膜における含有成分の濃淡(含有量の差)をより
大きくすることができる。
【0085】材料供給速度は、例えば蒸発源71および
81近傍に設置された膜厚計74、84に1秒間に形成
される薄膜の膜厚として知ることができ、制御手段12
は、その膜厚計74、84の検出値によりそれぞれの材
料供給速度を制御する。
【0086】成膜開始時において、制御手段12は、前
述の膜厚計74、84の検出値に基づいてそれぞれの材
料供給速度があらかじめ設定した速度に安定したと判断
したら、シャッタ6を開く。
【0087】また、成膜終了時において、制御手段12
は、膜厚計5からの検出値に基づいて所望の膜厚に達し
たと判断したら、シャッタ6を閉じる。これにより、過
剰な成膜を防止することができ、精度の高い膜厚を得る
ことができる。
【0088】薄膜を形成するにおいて、制御手段12
は、ステッピングモータの作動/不作動、駆動量、駆動
方向、駆動のタイミング等をあらかじめ設定されたプロ
グラムに従ってシーケンス制御する。これにより、成膜
装置1の自動化が図れ、成膜を繰り返し行った場合に再
現性良く成膜できる。
【0089】また、角度θ2の変更を周期的に行うよう
制御した場合、基板3の成膜面に屈折率が連続的に変化
する薄膜、例えば、ルーゲットフィルタのような傾斜屈
折率薄膜を形成することができる。
【0090】前述した角度θ2の変更の周期を1サイク
ルとしたとき、求める傾斜屈折率薄膜を形成するには、
1サイクルにおける移動距離、材料供給速度(蒸発速
度)、チャンバ2内の雰囲気等の諸条件により異なる
が、その一例を挙げれば、1サイクルを10〜500秒
で20サイクル以上で行うことが好ましく、1サイクル
を30〜150秒で20サイクル以上で行うことがより
好ましい。1サイクルの間隔が狭すぎると、作動するウ
ォーム18と第2の材料供給源8の底面821に形成さ
れた歯との負担が集中し、摩耗・損傷等を起こしやす
く、成膜装置1の使用寿命を縮める。また、1サイクル
の間隔が広すぎると、所望の光学特性を得るまでに薄膜
の膜厚が過剰に厚くなり使用用途を狭め、長時間の製造
時間が必要となり生産性を低下させる。また、サイクル
の回数が少なすぎると、所望の光学特性を得ることがで
きないおそれが生じる。
【0091】なお、本発明においてステッピングモータ
の制御は、シーケンス制御に限るものではなく、手動制
御でもよい。
【0092】図1のような成膜装置1においてルーゲッ
トフィルタのような傾斜屈折率薄膜を形成する場合、角
度θ1、角度θ2および成膜される薄膜材料の屈折率との
関係を説明する。なお、付着速度は、材料供給速度を一
定の速度にし、線31と、各線32および線33とのな
す角度を角度θ1、角度θ2とした時、cosθ(θ=θ1
θ2)のn乗(n=1〜3)に比例する(点蒸発源、平
面蒸発源等の蒸発形態、その他、種々の成膜条件に依存
する)ことが成り立つ。ここで、付着速度とは、単位時
間当たりに基板の成膜面に付着する材料の量をいう。
【0093】第2の材料供給源8が移動すると、角度θ
2が変化する。前記角度θ2を変更することで蒸発源81
からの材料の拡散方向を変化させることができ、基板3
の成膜面に対する付着速度を変更することができる。例
えば、角度θ2が最大(角度θ2MAX)となるとき、付着
速度は最小となる。よって、基板3の成膜面には、蒸発
源71の材料が優先的に成膜され、蒸発源71の材料の
屈折率に近い薄膜が形成される。また、角度θ2が最小
(角度θ2MIN)となるとき、付着速度は最大となるが、
本実施形態では、角度θ2MIN=角度θ1であるので、蒸
発源81の材料の付着速度と、蒸発源71の材料の付着
速度とは同一付着速度となる。よって、基板3の成膜面
には、蒸発源81の材料と、蒸発源71の材料とが同一
の付着量で成膜され、蒸発源81の材料の屈折率と、蒸
発源71の材料の屈折率との和の約半分の屈折率を有す
る薄膜が形成される。
【0094】また、各材料供給源7および8の蒸発速度
(材料供給速度)および各材料供給源から基板3の成膜
面の距離を1対1の比率とした場合、得られる薄膜の屈
折率の幅は、すなわち、高屈折率の部位と低屈折率の部
位との差(以下、単に「屈折率の幅」という)は、角度
θ1と角度θ2MINとが等角度のとき、蒸発源81の材料
の屈折率と蒸発源71の材料の屈折率との和の半分程度
の屈折率から蒸発源71の材料の屈折率に近い屈折率ま
での範囲となる。
【0095】また、各材料供給源7および8の蒸発速度
の比率は、1対1に限らず、任意の比率に設定すること
ができる。これにより、得られる薄膜の屈折率の幅(範
囲)をシフトすることができる。
【0096】また、第1の材料供給源7は、角度θ2MIN
<角度θ1<角度θ2MAXとなるよう設置されていてもよ
い。この場合、角度θ2と角度θ1との大小関係を逆転す
るよう第2の材料供給源8を移動すると、得られる薄膜
の屈折率の幅を拡大またはシフトすることができる。
【0097】また、第2の材料供給源8の移動を周期的
に行うことにより、ルーゲットフィルタのような傾斜屈
折率薄膜における含有成分の濃淡(含有量の差)をより
大きくすることができる。よって、所望の光学特性を得
る上で、より前記サイクルの回数を少なくできる。従っ
て、膜厚をより薄くすることができ、製造時間を短縮す
ることができる。前述のような成膜装置を用いて前記気
相成膜法により傾斜屈折率薄膜を形成した一例を示す。
【0098】[I]薄膜の形成 まず、基板3には、光学ガラス(Bk7;屈折率1.5
2)を用いた。固定された第1の材料供給源7には、蒸
発源71としてTiO2(屈折率2.25)を配置し
た。駆動系11に設置された第2の材料供給源8には、
蒸発源81としてSiO2(屈折率1.47)を配置し
た。また、各材料供給源7および8には、それぞれの上
面から100mmのところに膜厚計74および84を設置
した。また、TiO2から任意の基板までの距離を80
0mmと定め、角度θ1を10°となるよう固定し、駆動
系11に設置したSiO2から任意の基板までの距離を
750mmと定め、角度θ2を10〜40°(可変)とな
るよう設置した。なお、薄膜を形成させる際、各角度θ
1およびθ2、蒸発源と基板との距離は、基板ホルダ41
が回転するため変化する。本明細書では、基板ホルダ4
1が1回転した際の平均の角度を角度θ1、角度θ2
し、蒸発源と基板との平均の距離を距離とする。このよ
うな条件下で、以下の手順により成膜を行った。
【0099】まず、チャンバ2内を約2×10-3Paの真
空度まで真空ポンプで排気した。また、加熱ヒータによ
りチャンバ2内の基板3および雰囲気を加熱し、基板3
が約250℃に達するまで加熱した。保持部4を駆動し
て、基板ホルダ41を20rpmの回転速度で回転させ
た。
【0100】次に、電子銃73、83から電子ビーム7
32、832が蒸発源71、81に照射され、それぞれ
の蒸発源を融解した。それぞれの蒸発源71、81から
の蒸発量を膜厚計74、84で検出しつつ、その検出値
に基づいて制御手段12が電子銃電源731、831の
電力を制御し、膜厚計74へのTiO2の成膜速度が6
0nm/sec、膜厚計84へのSiO2の成膜速度が80nm/
secとなるようにフィードバック制御した。
【0101】次に、バルブ14を開き、チャンバ2内に
酸素ガスを導入し、酸素分圧を2.5×10-2Paとし
て、蒸発源71からの蒸発物が基板上でTiO2となる
よう設定した。
【0102】次に、シャッタ6を開放し、基板3への成
膜を開始した。薄膜の膜厚を膜厚計5でモニタし、モニ
タした検出値に基づいて制御手段12により薄膜の膜厚
を求めた。所定の膜厚に達したと制御手段12が判断し
た後、シャッタ6を閉鎖し、成膜を終了した。
【0103】成膜の際、角度θ2を10°、20°、3
0°、40°と変更し、それぞれの角度で薄膜の膜厚が
約100nmになるまで成膜を行った。そして、それぞれ
の角度で得られた薄膜の各屈折率を測定した。その結果
を図4に示す。
【0104】図4に示すように、角度θ2を変更するこ
とにより、基板3上に成膜された薄膜の屈折率が1.7
80〜1.857の間で連続的に変化することが認めら
れた。
【0105】[II] 傾斜屈折率薄膜の形成 前述した[I]の結果に基づいて角度θ210〜40°の
間の移動を周期的に行った。その際、図5に点線で示さ
れた分光反射特性を有する傾斜屈折率薄膜を得るよう成
膜を行った。このとき、図7に示すように第2の材料供
給源8の往復動(1サイクル)は、1サイクルの所要時
間が約66秒であり、図6に示すように屈折率変化のサ
イクルが102サイクルなので、これと同様に前記往復
動を102サイクル行った。形成された薄膜の膜厚は、
約14.5μmであった。図5中に得られた傾斜屈折率
薄膜の分光反射特性を実線で示した。
【0106】図5に示すように、得られた傾斜屈折率薄
膜の分光反射曲線は、計算による分光反射曲線と近似し
ていることが認められた。これにより、本発明の成膜装
置1を用いてほぼ所望の傾斜屈折率薄膜を得られたこと
が確認された。
【0107】次に、第2実施形態について説明する。こ
の場合、第1実施形態の成膜装置との共通点については
説明を省略し、主な相違点を説明する。
【0108】図8は、本発明の成膜装置の第2実施形態
を示す断面図である。本実施形態の成膜装置1は、駆動
系11の配置が前記第1実施形態と異なる。すなわち、
駆動系11は、角度θ2の増大に伴って第2の材料供給
源8と基板3の成膜面との距離が増大し、角度θ2の減
少に伴って前記距離が減少するよう第2の材料供給源8
の移動が行なわれるものである。
【0109】図8に示すように、チャンバ2の底部に
は、一対のL字状をなすガイド部材15が同方向に並ぶ
ように、かつチャンバ2の底部に平行に設置されてい
る。そのガイド部材15の一端は、チャンバ2の側部に
固定され、その他端は、チャンバ2の底部に固定されて
いる。
【0110】このガイド部材15の下部には、チャンバ
2の底部に平行にウォーム18が配置されている。この
ウォーム18の全体形状は、円筒状(同一外径)をなし
ている。
【0111】第2の材料供給源8は、ウォーム18の一
端から他端までの範囲でガイド部材15に沿って基板3
の成膜面に対し平行に(直線的に)移動する。この際、
第2の材料供給源8は、角度θ2の増大に伴って第2の
材料供給源8と基板3の成膜面との距離が増大し、角度
θ2の減少に伴って前記距離が減少するように移動す
る。
【0112】角度θ2は、第2の材料供給源8がウォー
ム18のモータ部16からの近位端に位置したとき、最
大となり、かつ第2の材料供給源8と基板3の成膜面と
の距離が最長となる。前記モータ部16からの遠位端に
位置したとき、最小となり、前記成膜面との距離が最短
となる。本実施形態では、角度θ1と角度θ2は、角度θ
2MIN<角度θ1<角度θ2MAXとなるよう設定されてい
る。
【0113】図8のような成膜装置1においてルーゲッ
トフィルタのような傾斜屈折率薄膜を形成する場合、角
度θ1、角度θ2および成膜する薄膜の屈折率との関係を
説明する。なお、第2の材料供給源8が移動すると、角
度θ2と、第2の材料供給源8と基板3の成膜面との距
離とが共に変化するが、前記距離に着目すれば、第2の
材料供給源8が前記成膜面から遠ざかるにつれて付着速
度は小さくなり、前記成膜面に近づくにつれて付着速度
は大きくなる。よって、本実施形態のように前記角度の
増減と前記距離の増減とを組合わせることにより、前記
薄膜の屈折率の幅をより拡大し、またはシフトすること
ができる。
【0114】また、角度θ2と角度θ1との大小関係を逆
転するよう第2の材料供給源8を移動する場合、角度θ
2が最大となるとき、第2の材料供給源8からの材料の
付着量が最小となり、蒸発源71の材料が優先的に成膜
され、蒸発源71の材料の屈折率により近い薄膜が形成
される。逆に、角度θ2が最小となるとき、第2の材料
供給源8からの材料の付着量が最大となり、蒸発源81
の材料が優先的に成膜され、蒸発源81の材料の屈折率
により近い薄膜が形成される。
【0115】また、各材料供給源7および8の蒸発速度
を1対1の比率とした場合、得られる薄膜の屈折率の幅
は、蒸発源81の材料の屈折率により近い屈折率から蒸
発源71の材料の屈折率により近い屈折率までの範囲と
なる。
【0116】また、第1の材料供給源7の固定位置を変
更してもよい。このときの作用・効果は、前記第1実施
形態と同様である。また、このとき、第2の材料供給源
8の移動を周期的に行うことでルーゲットフィルタのよ
うな傾斜屈折率薄膜を形成する場合、このときの作用・
効果は、前記第1実施形態と同様である。
【0117】以上のように、本発明の成膜装置および前
記成膜装置を用いた成膜方法を各実施形態に基づいて説
明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、
各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに
置換することができる。
【0118】例えば、本成膜装置は、屈折率の異なる物
質を交互に積層させて多層光学薄膜を形成することに用
いてもよい。その一例を述べると、可動材料供給源を所
定の角度に設定し、固定した後、該材料供給源と他の材
料供給源の作動を択一的に行って、両材料供給源の材料
による薄膜を交互に形成する。また、材料供給源の作動
の切換の際、シャッタを一旦閉じる操作を組合わせても
よく、この場合には、隣接する層間の境界をよりシャー
プとすることができる。
【0119】
【発明の効果】以上述べたように、多彩な膜組成・膜構
成を有する薄膜を形成することができ、特に、傾斜屈折
率薄膜を容易に形成することができる。
【0120】また、チャンバを閉鎖したまま、チャンバ
外部から薄膜形成対象物の成膜面と材料供給源とを結ぶ
線と、薄膜形成対象物の成膜面の法線とのなす角度の変
更ができるようにすると、所望の薄膜をより短時間で簡
単に成膜することができ、生産性の向上が図れる。
【0121】傾斜屈折率薄膜等を形成する場合、薄膜形
成対象物の成膜面と材料供給源とを結ぶ線と、薄膜形成
対象物の成膜面の法線とのなす角度の大小関係を逆転す
るよう移動させることにより、得られる薄膜の屈折率の
幅を拡大またはシフトすることができる。これにより、
設計の幅を拡大し、所望の光学特性を得る上で、膜厚
(総厚)をより薄くすることができ、製造時間を短縮す
ることができる。
【0122】また、薄膜形成対象物の成膜面と材料供給
源とを結ぶ線と、薄膜形成対象物の成膜面の法線とのな
す角度を変更する駆動源としてステッピングモータを用
いることで、得られる薄膜を精度良く形成することがで
き、特に、傾斜屈折率薄膜の生産性を向上することがで
きる。
【0123】このような成膜装置により成膜される薄
膜、特に、ルーゲットフィルタのような傾斜屈折率薄膜
は、設計通り製造できるので、これらを用いた眼鏡、カ
メラ、望遠鏡等の光学機器および光学部品の性能を十分
に発揮することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の成膜装置の第1実施形態を示す断面図
である。
【図2】図1中の可動材料供給源およびガイド部材の近
傍を示す拡大平面図である。
【図3】図2中のA−A線断面図である。
【図4】本発明の成膜装置で得られた薄膜の屈折率と角
度との関係を示すグラフである。
【図5】薄膜の分光反射特性(実測値および目標値)を
示すグラフである。
【図6】図5中の分光反射率曲線(目標値)を得るため
の計算により求めた屈折率分布図(屈折率プロファイ
ル)である。
【図7】本発明の成膜装置で用いられた材料供給源の往
復動(1サイクル)を示すグラフである。
【図8】本発明の成膜装置の第2実施形態を示す断面図
である。
【符号の説明】
1 成膜装置 2 チャンバ(真空炉) 21 上壁 22 シール部材 23 底壁 3 基板 4 保持部 41 基板ホルダ 411 開口 412 上面 42 回転軸 43 基板ホルダ回転機構 5 膜厚計 51 支持部材 6 シャッタ 7 第1の材料供給源(固定材料供給源) 71 蒸発源 72 ルツボ 73 電子銃 731 電子銃電源 732 電子ビーム 74 膜厚計 741 支持部材 8 第2の材料供給源(可動材料供給源) 81 蒸発源 82 ルツボ 821 底面 83 電子銃 831 電子銃電源 832 電子ビーム 84 膜厚計 841 支持部材 85 摺動部 11 駆動系 12 制御手段 13 バルブ 14 バルブ 15 ガイド部材 16 モータ部 17 出力軸 18 ウォーム 19 シール部材 31 線 32 線 33 線

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 チャンバと、チャンバ内に配置された複
    数の材料供給源と、薄膜形成対象物を保持する保持部と
    を有し、気相成膜法により材料供給源から供給される膜
    材料により薄膜形成対象物に成膜する成膜装置であっ
    て、 前記材料供給源の少なくとも1つが移動可能であり、こ
    の移動により前記薄膜形成対象物の成膜面の法線と、前
    記材料供給源と前記成膜面とを結ぶ線とのなす角度が変
    更されることを特徴とする成膜装置。
  2. 【請求項2】 前記角度は、チャンバを閉鎖したままで
    チャンバ外部から変更が可能である請求項1に記載の成
    膜装置。
  3. 【請求項3】 前記角度の変更を周期的に行う請求項1
    または2に記載の成膜装置。
  4. 【請求項4】 前記材料供給源の移動により、該材料供
    給源と前記薄膜形成対象物を結ぶ線と前記法線とのなす
    角度と、その他の材料供給源と前記薄膜形成対象物を結
    ぶ線と前記法線とのなす角度との大小関係を逆転するこ
    とができる請求項1ないし3のいずれかに記載の成膜装
    置。
  5. 【請求項5】 前記材料供給源からの材料供給速度を検
    出する検出手段を有する請求項1ないし4のいずれかに
    記載の成膜装置。
  6. 【請求項6】 前記検出手段の検出値に基づいて前記材
    料供給速度が一定となるよう制御する制御手段がある請
    求項5に記載の成膜装置。
  7. 【請求項7】 前記角度の増大に伴い、前記材料供給速
    度を減少させるよう制御する制御手段がある請求項1な
    いし5のいずれかに記載の成膜装置。
  8. 【請求項8】 薄膜の膜厚をモニタするモニタ手段を有
    する請求項1ないし7のいずれかに記載の成膜装置。
  9. 【請求項9】 前記材料供給源を移動するための駆動源
    としてステッピングモータを備えた請求項1ないし8の
    いずれかに記載の成膜装置。
  10. 【請求項10】 前記駆動源を制御する制御手段を有す
    る請求項9に記載の成膜装置。
  11. 【請求項11】 前記薄膜形成対象物に傾斜屈折率薄膜
    を形成するための成膜装置である請求項1ないし10の
    いずれかに記載の成膜装置。
  12. 【請求項12】 チャンバと、チャンバ内に配置された
    複数の材料供給源とを有する成膜装置を用いて薄膜形成
    対象物に成膜する成膜方法であって、 前記材料供給源の少なくとも1つを移動することによ
    り、薄膜形成対象物の成膜面の法線と、前記成膜面と前
    記材料供給源とを結ぶ線とのなす角度を変更しつつ、成
    膜を行うことを特徴とする成膜方法。
  13. 【請求項13】 チャンバと、チャンバ内に配置された
    複数の材料供給源とを有する成膜装置を用いて薄膜形成
    対象物に成膜する成膜方法であって、 前記材料供給源の少なくとも1つを、薄膜形成対象物の
    成膜面の法線と、前記成膜面と前記材料供給源とを結ぶ
    線とのなす角度が変化するよう周期的に移動しつつ成膜
    することを特徴とする成膜方法。
  14. 【請求項14】 前記各材料供給源からの材料供給速度
    をそれぞれ一定にしつつ成膜を行う請求項12または1
    3に記載の成膜方法。
  15. 【請求項15】 前記角度の増大に伴い、前記材料供給
    速度を減少させるよう成膜を行う請求項12または13
    に記載の成膜方法。
JP25947799A 1999-09-13 1999-09-13 成膜装置および成膜方法 Pending JP2001081558A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP25947799A JP2001081558A (ja) 1999-09-13 1999-09-13 成膜装置および成膜方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP25947799A JP2001081558A (ja) 1999-09-13 1999-09-13 成膜装置および成膜方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2001081558A true JP2001081558A (ja) 2001-03-27

Family

ID=17334634

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP25947799A Pending JP2001081558A (ja) 1999-09-13 1999-09-13 成膜装置および成膜方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2001081558A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100934073B1 (ko) * 2002-07-04 2009-12-24 독키 가부시키가이샤 증착장치 및 박막제작방법
US7820231B2 (en) 2002-08-01 2010-10-26 Semiconductor Energy Laboratory Co., Ltd. Manufacturing apparatus
JP2010248629A (ja) * 2009-03-27 2010-11-04 Semiconductor Energy Lab Co Ltd 成膜装置及び成膜方法、並びに照明装置の作製方法
KR101076227B1 (ko) 2008-12-23 2011-10-26 주식회사 테스 진공증착장치

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100934073B1 (ko) * 2002-07-04 2009-12-24 독키 가부시키가이샤 증착장치 및 박막제작방법
US7820231B2 (en) 2002-08-01 2010-10-26 Semiconductor Energy Laboratory Co., Ltd. Manufacturing apparatus
KR101076227B1 (ko) 2008-12-23 2011-10-26 주식회사 테스 진공증착장치
JP2010248629A (ja) * 2009-03-27 2010-11-04 Semiconductor Energy Lab Co Ltd 成膜装置及び成膜方法、並びに照明装置の作製方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6206065B1 (en) Glancing angle deposition of thin films
US20080050910A1 (en) Method for producing smooth, dense optical films
JP2004091858A (ja) 真空蒸着装置及び方法並びに蒸着膜応用製品の製造方法
TWI510658B (zh) 成膜裝置及成膜方法
US6475557B1 (en) Method for manufacturing optical filter
JP2001081558A (ja) 成膜装置および成膜方法
US6082296A (en) Thin film deposition chamber
WO2018033801A1 (en) An interference coating or its part consisting layers with different porosity
US6402905B1 (en) System and method for controlling deposition thickness using a mask with a shadow that varies along a radius of a substrate
JP2004163549A (ja) 反射防止膜
JP2001081548A (ja) 成膜装置および成膜方法
JP4418926B2 (ja) 光学薄膜形成用装置及び方法
WO2023079770A1 (ja) 成膜制御装置、成膜装置及び成膜方法
KR102115336B1 (ko) 경사 입사 증착을 이용한 선형 편광자 제조 방법 및 이에 의해 제조된 선형 편광자
JP2001059172A (ja) 成膜装置および成膜方法
Sakano et al. Development of soft x-ray multilayer mirrors for a wavelength of 3 nm
JP4793011B2 (ja) 反射防止膜形成方法
JP2010242202A (ja) 蒸着装置
JP4268751B2 (ja) 薄いフィルムの視射角蒸着
JP5261108B2 (ja) レンズの成膜方法及び蒸着装置
Swady Process control of reactive magnetron sputtering of thin films of zirconium dioxides
JP4163151B2 (ja) 薄膜系のコーティング装置および方法
JP2006028561A (ja) 成膜装置及び成膜方法
TWI839900B (zh) 成膜控制裝置、成膜裝置及成膜方法
JP2000171630A (ja) 光学多層薄膜の形成方法