JP2001081548A - 成膜装置および成膜方法 - Google Patents

成膜装置および成膜方法

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JP2001081548A
JP2001081548A JP26048799A JP26048799A JP2001081548A JP 2001081548 A JP2001081548 A JP 2001081548A JP 26048799 A JP26048799 A JP 26048799A JP 26048799 A JP26048799 A JP 26048799A JP 2001081548 A JP2001081548 A JP 2001081548A
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film forming
film
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Hideo Fujii
秀雄 藤井
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Asahi Kogaku Kogyo Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】多彩な膜組成・膜構成を得ることができ、所望
の薄膜を短時間で効率的に製造でき、特に、傾斜屈折率
薄膜を容易に形成することができる成膜装置および前記
成膜装置を用いた成膜方法を提供することにある。 【解決手段】成膜装置1は、チャンバ2と、基板3を保
持する保持部4と、膜厚計5と、シャッタ6と、第1の
材料供給源7と、第2の材料供給源8と、シャッタ手段
11と、制御手段12とを有している。シャッタ手段1
1は、開口32が形成された遮蔽板18と、該遮蔽板1
8を回転する駆動系16とを有し、遮蔽板18の回転に
より開度が変化するものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、成膜装置および成
膜方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、眼鏡レンズやカメラレンズのよう
な光学部品に用いられる反射防止膜、高反射膜、光学フ
ィルタ等の光学薄膜は、多層膜あるいは単層膜として作
製されている。その光学薄膜は、通常、屈折率の異なる
層を交互に積層することにより、所望の光学特性を得る
が、その他にも、層内で屈折率が連続的に変化する傾斜
屈折率薄膜により所望の光学特性を得る方法がある。
【0003】傾斜屈折率薄膜としては、反射防止膜、マ
イナスフィルタ、偏向ビームスプリッタ等に用いられる
ルーゲットフィルタ(Rugate Filter)が挙げられる。
【0004】そのような傾斜屈折率薄膜の製造方法は、
従来、屈折率の異なる複数の材料の蒸発源をそれぞれ設
け、それらへの供給電力を制御することにより、各蒸発
源からの蒸発速度を調整し、成膜面への各膜材料の付着
量の比率を変化させる方法が知られている。
【0005】しかしながら、前述の方法の場合では、供
給電力と蒸発速度との応答性が低いため、供給電力を調
整しても所定の蒸発速度となるまでに長時間を必要とす
る。そのため、前述の方法では、迅速な蒸発速度の切替
が困難であり、所望の光学特性を有する薄膜を得るに
は、長い製造時間が必要であるという欠点を有する。さ
らに、前述の供給電力と蒸発速度との応答性が低いた
め、薄膜形成における膜構成の再現性が低いという欠点
を有する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、多彩
な膜組成・膜構成を得ることができ、所望の薄膜を短時
間で効率的に製造でき、特に、傾斜屈折率薄膜を容易に
形成することができる成膜装置およびこの成膜装置を用
いた成膜方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】このような目的は、下記
(1)〜(13)の本発明により達成される。
【0008】(1) チャンバと、チャンバ内に配置さ
れた複数の材料供給源と、薄膜形成対象物を保持する保
持部とを有し、気相成膜法により前記材料供給源から供
給される膜材料により薄膜形成対象物に成膜する成膜装
置であって、前記各材料供給源のうちの少なくとも1つ
の材料供給源に対して設置され、その開度が調整可能な
シャッタ手段を備えたことを特徴とする成膜装置。
【0009】これにより、シャッタ手段の開度を変化さ
せることで、該シャッタ手段に対応する材料供給源から
供給される膜材料の前記薄膜形成対象物の成膜面への付
着量を変化させることができる結果、薄膜の構成成分の
比率を任意に設定したり、その比率を連続的に変化させ
たりすることができる。よって、多彩な膜組成・膜構成
を有する薄膜を効率的に製造でき、特に、傾斜屈折率薄
膜を容易に製造することができる。
【0010】(2) 前記シャッタ手段は、その開度を
多段階または連続的に調整することができる上記(1)
に記載の成膜装置。
【0011】これにより、シャッタ手段に対応する材料
供給源から供給される膜材料の前記薄膜形成対象物の成
膜面への付着量を微妙に調整することができ、より多彩
な膜組成・膜構成を有する薄膜を実現できる。
【0012】(3) 前記シャッタ手段は、周方向に沿
って、開口面積が異なる開口が形成された遮蔽板と、該
遮蔽板を回転する駆動系とを有し、遮蔽板の回転により
開度が変化するものである上記(1)または(2)に記
載の成膜装置。
【0013】これにより、簡単な構造で、迅速、確実に
シャッタ手段を作動することができ、特に、開口面積を
所望に設定することで、シャッタ手段の開度を調整する
ことができる。
【0014】(4) 前記シャッタ手段の駆動は、チャ
ンバを閉鎖したままでチャンバ外部から行うことができ
る上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の成膜装
置。
【0015】これにより、チャンバを閉鎖したままチャ
ンバ外部からシャッタ手段の駆動を制御することがで
き、成膜作業を中断することなく、製造時間を短縮する
ことができる。
【0016】(5) 前記シャッタ手段の駆動により、
その開度の増減を周期的に行う上記(1)ないし(4)
のいずれかに記載の成膜装置。
【0017】これにより、薄膜形成対象物の成膜面に屈
折率が連続的に変化する薄膜、例えば、ルーゲットフィ
ルタのような傾斜屈折率薄膜を形成することができる。
【0018】(6) 1つの材料供給源と、その他の材
料供給源とに対してシャッタ手段が設置され、前記シャ
ッタ手段は、前記1つの材料供給源に対する開度と、他
の材料供給源に対する開度との大小関係を逆転するよう
作動する上記(1)ないし(5)のいずれかに記載の成
膜装置。
【0019】これにより、得られる薄膜における屈折率
の幅を拡大またはシフトすることができる。
【0020】(7) 前記材料供給源からの材料供給速
度を検出する検出手段を有する上記(1)ないし(6)
のいずれかに記載の成膜装置。これにより、材料供給速
度を検出でき、所望の膜組成・膜構成を実現できる。
【0021】(8) 前記検出手段の検出値に基づいて
前記材料供給速度が一定となるよう制御する制御手段を
有する上記(7)に記載の成膜装置。
【0022】これにより、主にシャッタ手段の開度の調
整で膜組成・膜構成を制御でき、所望の薄膜を容易に得
ることができる。
【0023】(9) 前記シャッタ手段の開度と、該シ
ャッタ手段に対応する材料供給源の材料供給速度とを連
動させるよう制御する制御手段を有する上記(1)ない
し(8)のいずれかに記載の成膜装置。
【0024】これにより、薄膜形成対象物に形成する薄
膜の構成成分の差をより大きくすることができ、屈折率
の幅をより拡大することができる。
【0025】(10) チャンバと、チャンバ内に配置
された複数の材料供給源と、薄膜形成対象物を保持する
保持部と、前記各材料供給源のうちの少なくとも1つの
材料供給源に対して設置されたシャッタ手段とを有する
成膜装置を用いて薄膜形成対象物に気相成膜法により成
膜する成膜方法であって、前記シャッタ手段の開度を調
整して、該シャッタ手段に対応する材料供給源から供給
される膜材料の前記薄膜形成対象物の成膜面への付着量
を変化させることを特徴とする成膜方法。
【0026】これにより、シャッタ手段の開度を変化さ
せることで、該シャッタ手段に対応する材料供給源から
供給される膜材料の前記薄膜形成対象物の成膜面への付
着量を変化させることができる結果、薄膜の構成成分の
比率を任意に設定したり、その比率を連続的に変化させ
たりすることができる。よって、多彩な膜組成・膜構成
を有する薄膜を効率的に製造でき、特に、傾斜屈折率薄
膜を容易に製造することができる。
【0027】(11) チャンバと、チャンバ内に配置
された複数の材料供給源と、薄膜形成対象物を保持する
保持部と、前記各材料供給源のうちの少なくとも1つの
材料供給源に対して設置されたシャッタ手段とを有する
成膜装置を用いて薄膜形成対象物に気相成膜法により成
膜する成膜方法であって、前記シャッタ手段の開度を調
整して、該シャッタ手段に対応する材料供給源から供給
される膜材料の前記薄膜形成対象物の成膜面への付着量
を周期的に変化させることを特徴とする成膜方法。
【0028】これにより、薄膜形成対象物の成膜面に屈
折率が連続的に変化する薄膜、例えば、ルーゲットフィ
ルタのような傾斜屈折率薄膜を形成することができる。
【0029】(12) 前記各材料供給源からの材料供給
速度をそれぞれ一定にしつつ成膜を行う上記(10)ま
たは(11)に記載の成膜方法。
【0030】(13) 前記シャッタ手段の開度と、該シ
ャッタ手段に対応する材料供給源の材料供給速度とを連
動させて成膜を行う上記(10)または(11)に記載
の成膜方法。
【0031】これにより、薄膜形成対象物に形成する薄
膜の構成成分の差をより大きくすることができ、屈折率
の幅をより拡大することができる。
【0032】
【発明の実施の形態】以下、本発明の成膜装置および成
膜方法を添付図面に示す好適実施形態に基づいて詳細に
説明する。なお、説明中「膜厚」とは、物理的膜厚を意
味するものとする。
【0033】本発明の成膜装置は、気相成膜法により成
膜を行う装置である。この気相成膜法としては、例え
ば、真空蒸着法、イオンアシスト蒸着法、イオンプレー
ティング、スパッタリング等が挙げられる。特に、真空
蒸着法は、多くの材料に適用が可能であり、成膜条件の
制御が比較的簡易であることから、膜厚、屈折率の再現
性に優れ、多層薄膜を精度よく形成することができる。
また、成膜装置の構成が比較的簡単であるという利点が
ある。
【0034】以下の説明では、真空蒸着法により成膜を
行う成膜装置について説明する。図1は、本発明の成膜
装置の第1実施形態を示す断面図、図2は、図1中のシ
ャッタ手段を示す拡大平面図、図3は、本発明の成膜装
置で得られた薄膜の屈折率と遮蔽板の回転角との関係を
示すグラフ、図4は、薄膜の分光反射率特性(実測値お
よび目標値)を示すグラフ、図5は、図4中の分光反射
特性(目標値)を得るための計算により求めた屈折率分
布図(屈折率プロファイル)、図6は、本発明の成膜装
置で用いられた遮蔽板の回転周期(1サイクル)を示す
グラフである。
【0035】図1に示すように、成膜装置1は、チャン
バ(真空炉)2と、基板(薄膜形成対象物)3を保持す
る保持部4と、膜厚計5と、シャッタ6と、第1の材料
供給源7と、第2の材料供給源8と、シャッタ手段11
と、制御手段12と、加熱ヒータ(図示せず)とを有し
ている。
【0036】チャンバ2には、複数の管路が接続されて
いる。その管路の1つは、チャンバ2内の雰囲気ガスを
排気する真空ポンプ(図示せず)に接続されている。チ
ャンバ2と真空ポンプの間には、バルブ13が取付けら
れている。また、他の管路は、雰囲気ガス(不活性ガ
ス、反応ガス等)を導入するための管路である。その管
路の途中には、バルブ14が取付けられている。
【0037】このチャンバ2の雰囲気としては、通常、
非酸化性雰囲気、例えば、減圧(真空)状態下、あるい
は窒素ガス、アルゴンガス等の不活性ガスが好ましい。
ここで雰囲気中には、少量の反応ガス(酸素ガス等)を
導入することができる。例えば、酸化タンタルには、T
25、TaO2があるが、成膜の際、これらが混在し
て基板3に成膜される可能性がある。そのため、チャン
バ2内の酸素分圧を制御することにより、蒸発物(元
素)と酸素原子との結合を調整して所望の価数の酸化タ
ンタルを得ることができる。
【0038】例えば、酸化タンタルのうちで光の吸収が
最も少ないTa25を基板3に成膜しようとするには、
酸素分圧を比較的高くする。このときの酸素分圧は、例
えば、5×10-3〜5×10-2Paとされる。
【0039】また、チャンバ2上部には、保持部4が設
けられている。この保持部4は、基板ホルダ41と、回
転軸42と、基板ホルダ回転機構43とで構成されてい
る。
【0040】基板ホルダ41は、チャンバ2内の上部に
配置されている。この基板ホルダ41の全体形状は、円
盤状をなしている。
【0041】基板ホルダ41には、基板3の成膜面に垂
直方向に、すなわち、図1中上下方向に平行な複数の貫
通した開口411が形成されている。開口411の形状
は、基板3の形状に対応し、本実施形態では、円形状を
なしている。
【0042】回転軸42は、上壁21を貫通して、その
一端が基板ホルダ41に設置されている。回転軸42が
通る貫通孔には、シール部材22が設置され、チャンバ
2の内部と外気とを遮断し、チャンバ2の気密性を保っ
ている。
【0043】チャンバ2の外部には、支持部材(図示せ
ず)により基板ホルダ回転機構43が設置されている。
【0044】基板ホルダ回転機構43は、モータ(図示
せず)と、減速手段(図示せず)等とを内蔵しており、
このモータの回転を減速手段で減速しつつ、回転軸42
に伝達され、基板ホルダ41を回転する。なお、モータ
の作動/停止、回転速度、回転方向等は、後述する制御
手段12により制御される。
【0045】基板ホルダ41の上面412には、複数の
基板(成膜形成対象物)3が保持されている。基板3の
形状は、円盤状をなしている。それぞれ、基板3は、基
板ホルダ41の上面412に開放する開口411に対応
するよう配置されている。そして、それぞれの基板3に
は、対応した開口411内の領域に薄膜が形成される。
【0046】この基板3としては、各種の光学ガラス
や、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリア
リレート系樹脂、ポリオレフィン系樹脂等の樹脂材料等
の光学材料が挙げられる。
【0047】また、基板ホルダ41近傍には、膜厚計5
が配置されている。この膜厚計5は、支持部材51に支
持され、基板3の成膜面と同等の薄膜が形成される位置
に膜厚モニタ(モニタ手段)として設置されている。
【0048】膜厚計5に内蔵された水晶振動子の固有振
動数の変化から薄膜の膜厚を検出する。この検出値は、
制御手段12に入力される。制御手段12は、入力され
る検出値に基づいて基板3の薄膜の膜厚を求めることが
できる。これにより、所望の膜厚を精度良く形成するこ
とができる。
【0049】また、基板ホルダ41の下部近傍には、シ
ャッタ6が配置されている。このシャッタ6は、例え
ば、複数の羽根からなるアイリス構造を有するものであ
る。シャッタ6の側部の一部は、チャンバ2の側部に設
置・固定され、シャッタ6の全体を支持している。
【0050】図1に示すように、シャッタ6は、材料供
給源から供給される材料(成膜材料)の基板3の成膜面
への移行を遮断する機能を有する。シャッタ6を閉じた
状態にしておけば、基板3の成膜面への膜材料の付着が
阻止される。
【0051】シャッタ6の開閉の制御方法は、後述の制
御手段12について説明する箇所で詳細に説明する。
【0052】また、基板ホルダ41と上壁21との間に
は、加熱ヒータが配置されている。この加熱ヒータは、
チャンバ2内の基板3および雰囲気を加熱する。この
際、光学ガラスの場合には、基板温度を150〜350
℃に加熱・保持することが好ましく、200〜300℃
に加熱・保持することがより好ましい。これにより、得
られる薄膜の膜密度が向上する。樹脂材料等の光学材料
を使う場合には、基板変形を生じない程度に加熱・保持
することが好ましい。なお、基板3および雰囲気の温度
は、加熱ヒータ近傍に設置された熱電対(図示せず)に
より計測され、計測値は制御手段12に入力される。そ
の計測値に基づいて制御手段12が加熱ヒータを制御す
る。
【0053】チャンバ2内の底部には、第1の材料供給
源7と第2の材料供給源8とが隣接して配置されてい
る。
【0054】第1の材料供給源7は、蒸発源71と、ル
ツボ72と、電子銃73と、電子銃用電源731と、膜
厚計74と、支持部材741とで構成されている。
【0055】ルツボ72内には、蒸発源71が配置され
ている。この第1の材料供給源7の側部には、電子銃7
3が設置されている。該電子銃73は、高エネルギー密
度の電子ビーム732を放出し、ルツボ72内の蒸発源
71を加熱し、蒸発させる。
【0056】第1の材料供給源7の上部には、所定の高
さに設置された膜厚計74が設置され、支持部材741
に支持されている。
【0057】この膜厚計74は、前述の膜厚計5と同様
に水晶振動子の固定振動数の変化から薄膜の膜厚を検出
する。この検出値は、後述する制御手段12に入力され
る。これにより、後述する制御手段12は、材料供給速
度を制御することができる。材料供給速度については、
後述する。
【0058】電子銃用電源731は、チャンバ2の外部
に設置されている。電子銃用電源731からの配線によ
り電子銃73に電力を供給する。電子銃73の電力は、
制御手段12により制御される。
【0059】また、第1の材料供給源7は、その高さを
変更できるようになっていてもよい。この場合、第1の
材料供給源7の高さを変更する手段としては、例えば、
第1の材料供給源7とチャンバ2の底部との間に支持部
材(図示せず)を設置し、その支持部材に第1の材料供
給源7の設置高さを変更するためのアジャスタ機構を取
付けたり、高さの異なる支持部材を適宜交換して使用す
る構成とすることが挙げられる。
【0060】また、前述した支持部材の形状および設置
位置(例えば、図1中の左右方向の位置)を変更しても
よい。なお、このような調整は、通常、成膜を開始する
以前に行う。
【0061】第2の材料供給源8は、蒸発源81と、ル
ツボ82と、電子銃83と、電子銃用電源831と、膜
厚計84と、支持部材841とで構成されている。
【0062】上記においてルツボ82に配置される蒸発
源81は、蒸発源71とは異なる組成の材料とされる。
【0063】ルツボ82、電子銃83、電子銃用電源8
31、膜厚計84、支持部材841は、それぞれ、前述
のルツボ72、電子銃73、電子銃用電源731、膜厚
計74、支持部材741と同様のものである。なお、そ
れらの配置は、左右対称とされている。
【0064】また、第2の材料供給源8の近傍には、シ
ャッタ手段11が設置されている。このシャッタ手段1
1は、モータを有する駆動系16と、モータの回転軸1
7に設置された遮蔽板18とを有している。
【0065】駆動系16は、モータとしてステッピング
モータと、変速機(図示せず)等を内蔵している。この
ステッピングモータの駆動は、変速機で調整しつつ、回
転軸17に伝達され、遮蔽板18を所定角度回転する。
なお、このステッピングモータの作動/停止、回転方
向、回転速度、回転角度等は、後述する制御手段12に
より制御される。
【0066】回転軸17は、底壁23を貫通して、その
上端に遮蔽板18が固着されている。回転軸17が通る
貫通孔には、シール部材19が設置され、チャンバ2の
内部と外気とを遮断し、チャンバ2の気密性を保ってい
る。
【0067】遮蔽板18は、円盤状をなしており、ルツ
ボ82の上方にルツボ82を覆うように設置されてい
る。図1に示すように、遮蔽板18は、基板3の成膜面
に対してほぼ平行に配置され、厚さ方向に貫通した複数
の開口32が形成されている。
【0068】図2に示すように、それぞれの開口32
は、扇状をなしており、遮蔽板18の周方向に沿って配
置されている。それぞれの開口32の扇の開き角は、図
2中の180°の位置で最小であり、この位置から時計
回りに徐々に増大し、0°の位置付近で最大となり、そ
こから、さらに時計回りに徐々に減少する。このように
開口32は、遮蔽板18の周方向に沿って開口面積が変
化する。なお、遮蔽板18に対する蒸発源81の位置3
1を図2中の点線で示す。
【0069】シャッタ手段11は、遮蔽板18の回転角
に応じ、蒸発源81の真上に位置する開口32の開口面
積(開度)が変化する。この遮蔽板18は、ステッピン
グモータ等のモータを用いることで、多段階または連続
的に回転することができる。そのため、シャッタ手段1
1の開度は、多段階または連続的に調整することができ
る。その結果、第2の材料供給源8から供給される膜材
料の基板3の成膜面への付着量を微妙に調整することが
できる。
【0070】シャッタ手段11は、その開度、すなわち
蒸発源81の真上に位置する開口32の開口面積の増減
を伴って作動する。このとき、当該開口面積が大である
と、第2の材料供給源8から供給される膜材料の基板3
の成膜面への付着物の量は増大する。逆に、当該開口面
積が小であると、第2の材料供給源8から供給される膜
材料の基板3の成膜面への付着物の量は減少し、前記成
膜面には、蒸発源71の材料が優先的に成膜される。
【0071】なお、シャッタ手段11の駆動源としてス
テッピングモータを用いることで遮蔽板18を高速で、
かつ所望の位置に正確に移動することができる。よっ
て、開度の設定も迅速、正確に行うことができる。
【0072】また、このような構成では、後述する制御
手段12により、チャンバ2を閉鎖したまま、チャンバ
2の外部からシャッタ手段11の駆動を制御でき、シャ
ッタ手段11の開度を変更することできる。特に、その
開度を変更するためにチャンバ2を開く等の成膜作業を
中断することなく製造時間を短縮することができる。
【0073】また、第2の材料供給源8は、第1の材料
供給源7と同様に、その高さや左右方向の位置を変更で
きるようになっていてもよい。この場合、第2の材料供
給源8の高さを変更する手段としては、前述した第1の
材料供給源7と同様である。
【0074】制御手段12は、通常、マイクロコンピュ
ータ(CPU)で構成されている。制御手段12は、基
板ホルダ回転機構43、シャッタ6、電子銃用電源73
1および831、ステッピングモータ(図示せず)等を
制御している。
【0075】制御手段12は、前述した基板ホルダ回転
機構43のモータの作動/不作動を制御し、さらに、作
動中の回転方向、回転速度等を制御する。この回転速度
は、2〜100rpmであることが好ましく、10〜50r
pmであることがより好ましい。2rpm未満では、膜厚を
均一化することが困難であり、100rpmを超えると、
回転の遠心力により基板3が固定位置から外れるおそれ
がある。なお、回転方向は、一方向に限るものではな
く、例えば、正回転と逆回転を組み合わせた回転であっ
てもよい。
【0076】成膜の際、各材料供給源からのそれぞれの
材料供給速度は、薄膜の膜組成・膜構成を決定する一つ
の要因となるが、この材料供給速度を一定の速度に固定
しておけば、シャッタ手段11の開度の変化のみで薄膜
の膜組成・膜構成を制御できるので、所望の薄膜を容易
に得ることができる。この場合、制御手段12は、蒸発
源71および81においてそれぞれの材料供給速度が一
定になるよう電子銃73および83の作動を制御する。
【0077】制御手段12は、各材料供給源からのそれ
ぞれの材料供給速度を経時的に変化させるよう制御して
もよい。特に、制御手段12は、第2の材料供給源8か
らの材料供給速度をシャッタ手段11の開度に連動して
変化させるよう制御してもよい。例えば、第2の材料供
給源8に対するシャッタ手段11の開度の増大に伴い、
前記材料供給速度を増大させるよう制御することができ
る。これにより、基板3の成膜面には、蒸発源81の材
料が優先的に成膜され、蒸発源81の材料の屈折率によ
り近い薄膜が形成される。逆に、シャッタ手段11の開
度が減少したとき、材料供給速度を減少させると、基板
3の成膜面には、蒸発源71の材料が優先的に成膜さ
れ、蒸発源71の材料の屈折率により近い薄膜が形成さ
れる。このような開度の変化は、基板3に形成される薄
膜における含有成分の濃淡(含有量の差)をより大きく
することができる。
【0078】材料供給速度は、例えば蒸発源71および
81近傍に設置された膜厚計74、84に1秒間に形成
される薄膜の膜厚として知ることができ、制御手段12
は、その膜厚計74、84の検出値に基づいてそれぞれ
の材料供給速度を制御する。
【0079】成膜開始時において、制御手段12は、前
述の膜厚計74、84の検出値に基づいてそれぞれの材
料供給速度があらかじめ設定した速度に到達(安定)し
たと判断したら、シャッタ6を開く。
【0080】また、成膜終了時において、制御手段12
は、膜厚計5からの検出値に基づいて所望の膜厚に達し
たと判断したら、シャッタ6を閉じる。これにより、過
剰な成膜を防止することができ、精度の高い膜厚を得る
ことができる。
【0081】成膜の際、制御手段12は、ステッピング
モータの作動/不作動、駆動量、駆動方向、駆動のタイ
ミング等をあらかじめ設定されたプログラムに従ってシ
ーケンス制御する。これにより、成膜装置1の自動化が
図れ、成膜を繰り返し行った場合に再現性良く成膜でき
る。
【0082】また、シャッタ手段11の開度の増減を周
期的に行うよう制御した場合、基板3の成膜面に屈折率
が連続的に変化する薄膜、例えば、ルーゲットフィルタ
のような傾斜屈折率薄膜を形成することができる。
【0083】シャッタ手段11の開度の増減の周期(遮
蔽板の回転周期)を1サイクルとしたとき、求める傾斜
屈折率薄膜を形成するには、材料供給速度(蒸発速
度)、チャンバ2内の雰囲気等の諸条件により異なる
が、その一例を挙げれば、1サイクルを5〜300秒で
20サイクル以上で行うことが好ましく、1サイクルを
10〜100秒で20サイクル以上で行うことがより好
ましい。1サイクルの間隔が狭すぎると、駆動系16に
内蔵されるステッピングモータや変速機への負担が集中
し、摩耗・損傷等を起こしやすく、成膜装置1の使用寿
命を縮める。また、1サイクルの間隔が広すぎると、所
望の光学特性を得るまでに薄膜の膜厚が過剰に厚くなり
使用用途を狭め、長時間の製造時間が必要となり生産性
を低下させる。また、サイクルの回数が少なすぎると、
所望の光学特性を得ることができないおそれが生じる。
【0084】なお、本発明においてステッピングモータ
の制御は、シーケンス制御に限るものではなく、手動制
御でもよい。
【0085】図1のような成膜装置1においてルーゲッ
トフィルタのような傾斜屈折率薄膜を形成する場合、シ
ャッタ手段11の開度、すなわち開口面積と成膜される
薄膜材料の屈折率との関係を説明する。ここで、付着速
度とは、単位時間当たりに基板の成膜面に付着する材料
の量をいう。
【0086】シャッタ手段11は、遮蔽板18の回転に
より開口面積を変化することができ、蒸発源81から供
給された膜材料の基板3の成膜面への付着物の量を変化
させる。このとき、開口面積が最大となると(特に全開
状態またはそれに近いと)、当該膜材料の付着速度は最
大となる。よって、例えば、蒸発源81の材料供給速度
と、蒸発源71の材料供給速度とを同一とした場合、基
板3の成膜面には、蒸発源81の材料と、蒸発源71の
材料とがほぼ同一の付着量で成膜され、蒸発源81の材
料の屈折率と、蒸発源71の材料の屈折率との和の約半
分の屈折率を有する薄膜が形成される。逆に、開口面積
が最小となると、蒸発源81の材料の付着速度は最小と
なる。よって、基板3の成膜面には、蒸発源71の材料
が優先的に成膜され、蒸発源71の材料の屈折率に近い
薄膜が形成される。
【0087】また、各材料供給源7および8の蒸発速度
(材料供給速度)と、各材料供給源7および8から基板
3の成膜面の距離を1対1の比率とした場合、得られる
薄膜の屈折率の幅は、すなわち、高屈折率の部位と低屈
折率の部位との差(以下、単に「屈折率の幅」という)
は、蒸発源81の材料の屈折率と蒸発源71の材料の屈
折率との和の半分程度の屈折率から蒸発源71の材料の
屈折率に近い屈折率までの範囲となる。
【0088】また、各材料供給源7および8の蒸発速度
の比率は、1対1に限らず、任意の比率に設定すること
ができる。これにより、特定の開度における両膜材料の
付着速度の比も変化し、得られる薄膜の屈折率の幅(範
囲)をシフトすることができる。前述のような成膜装置
を用いて前記気相成膜法により傾斜屈折率薄膜を形成し
た一例を示す。
【0089】[I]薄膜の形成 まず、基板3には、光学ガラス(Bk7;屈折率1.5
2)を用いた。固定された第1の材料供給源7には、蒸
発源71としてTa25(屈折率2.08)を配置し
た。シャッタ手段11が近くに設置された第2の材料供
給源8には、蒸発源81としてSiO2(屈折率1.4
7)を配置した。また、各材料供給源7および8には、
それぞれの上面から100mmのところに膜厚計74、8
4を設置した。
【0090】また、第1の材料供給源7は、蒸発源71
(Ta25)から基板3までの距離を800mmとし、さ
らに、基板3の成膜面の法線で回転ホルダ41の回転軸
と一致する線と、蒸発源71と基板3の成膜面とを結ぶ
線とのなす角度が10°となるように設置した。第2の
材料供給源8は、蒸発源81(SiO2)から基板3ま
での距離を800mmとし、さらに、基板3の成膜面の法
線で回転ホルダ41の回転軸と一致する線と、蒸発源8
1と基板3の成膜面とを結ぶ線とのなす角度が10°と
なるように設置した。
【0091】また、遮蔽板18を第2の材料供給源8の
上面から上方に150mmの位置に設置した。なお、薄膜
を形成する際、前記角度および蒸発源と基板との距離
は、基板ホルダ41が回転するため変化する。本明細書
では、基板ホルダ41が1回転した際の平均の角度を角
度とし、蒸発源と基板との平均の距離を距離とする。
【0092】このような条件下で、以下の手順により成
膜を行った。まず、チャンバ2内を約2×10-3Paの真
空度まで真空ポンプで排気した。また、加熱ヒータによ
りチャンバ2内の基板3および雰囲気を加熱し、基板3
が約250℃に達するまで加熱した。保持部4を駆動し
て、基板ホルダ41を20rpmの回転速度で回転させ
た。
【0093】次に、電子銃73、83から電子ビーム7
32、832が蒸発源71、81に照射され、それぞれ
の蒸発源を融解した。それぞれの蒸発源71、81から
の蒸発量を膜厚計74、84で検出しつつ、その検出値
に基づいて制御手段12が電子銃電源731、831の
電力を制御し、膜厚計74へのTa25の成膜速度が6
0nm/sec、膜厚計84へのSiO2の成膜速度が160n
m/secとなるようにフィードバック制御した。
【0094】次に、バルブ14を開き、チャンバ2内に
酸素ガスを導入し、酸素分圧を2.5×10-2Paとし
て、蒸発源71からの蒸発物が基板上でTa25となる
よう設定した。
【0095】次に、シャッタ6を開放し、任意の基板3
への成膜を開始した。薄膜の膜厚を膜厚計5でモニタ
し、モニタした検出値に基づいて制御手段12により薄
膜の膜厚を求めた。所定の膜厚に達したと制御手段12
が判断した後、シャッタ6を閉鎖し、成膜を終了した。
【0096】成膜の際、図2に示すように、遮蔽板18
の回転角を0°、45°、90°、135°、180°
と変更し、それぞれの回転角で薄膜の膜厚が約100nm
になるまで成膜を行った。そして、それぞれの回転角で
得られた薄膜の各屈折率を測定した。その結果を図3に
示す。
【0097】図3に示すように、遮蔽板18の回転角、
すなわちシャッタ手段11の開度を変更することによ
り、基板3上に成膜された薄膜の屈折率が1.611〜
2.011の間で連続的に変化することが認められた。
【0098】[II]傾斜屈折率薄膜の形成 前述した[I]の結果に基づいてシャッタ手段11の開度
を変化することを周期的に行った。その際、図4に点線
で示された分光反射特性を有する傾斜屈折率薄膜を得る
よう成膜を行った。このとき、図6に示すように遮蔽板
18の回転周期(1サイクル)は、1サイクルの所要時
間が約52秒であり、図5に示すように屈折率変化のサ
イクルが48サイクルなので、これと同様に遮蔽板18
を48サイクル行った。形成された薄膜の膜厚は、約4
850nmであった。図4中に得られた傾斜屈折率薄膜の
分光反射特性を実線で示した。
【0099】図4に示すように、得られた傾斜屈折率薄
膜の分光反射曲線は、計算による分光反射曲線と近似し
ていることが認められた。これにより、本発明の成膜装
置1を用いてほぼ所望の傾斜屈折率薄膜を得られたこと
が確認された。
【0100】次に、第2実施形態について説明する。こ
の場合、第1実施形態の成膜装置との共通点については
説明を省略し、主な相違点を説明する。
【0101】図7は、本発明の成膜装置の第2実施形態
を示す断面図である。本実施形態の成膜装置1は、シャ
ッタ手段11の第1の材料供給源7および第2の材料供
給源8に対する配置が前記第1実施形態と異なる。すな
わち、成膜装置1は、前記シャッタ手段11と同様の構
造のシャッタ手段11を有しており、このシャッタ手段
11は、第1の材料供給源7と第2の材料供給源8の双
方に対し設置されている。
【0102】成膜装置1では、1つのシャッタ手段11
で第1の材料供給源7に対する開度と、第2の材料供給
源8に対する開度とを同時に変化させることができる。
第1の材料供給源7と第2の材料供給源8は、この回転
軸17を介して互いに反対側に配置(180°ずれた位
置)され、かつ回転軸17からルツボ82、72までの
距離がそれぞれ等しい位置に配置されている。この場
合、図2に示す遮蔽板18が用いられているため、第1
の材料供給源7に対する開度が最大となると、第2の材
料供給源8に対する開度は小となり、第1の材料供給源
7に対する開度が最小となると、第2の材料供給源8に
対する開度は最大となる。このように、シャッタ手段1
1は、第1の材料供給源7に対する開度と、第2の材料
供給源8に対する開度との大小関係を逆転するよう駆動
する。これにより、得られる薄膜の屈折率の幅をより拡
大し、またはシフトすることができる。
【0103】また、シャッタ手段11を周期的に作動さ
せると、第1の材料供給源7に対する開度の増減パター
ンと、第2の材料供給源8に対する開度の増減パターン
とが、互いに半周期ずれて進行する。これにより、ルー
ゲットフィルタのような傾斜屈折率薄膜を容易に形成す
ることができる。このとき、第1の材料供給源7に対す
る開度と第2の材料供給源8に対する開度との大小関係
が逆転するので、ルーゲットフィルタのような傾斜屈折
率薄膜における含有成分の濃淡(含有量の差)をより大
きくすることができる。よって、所望の光学特性を得る
上で、より前記サイクルの回数を少なくできる。従っ
て、膜厚をより薄くすることができ、製造時間を短縮す
ることができる。
【0104】また、第1実施形態に比べ、第1の材料供
給源7と第2の材料供給源8とをより接近して配置する
ことができるので、デッドスペースを少なくすることが
でき、成膜装置1の小型化を図ることができる。
【0105】次に、第3実施形態について説明する。こ
の場合、第1実施形態の成膜装置との共通点については
説明を省略し、主な相違点を説明する。
【0106】図8は、本発明の成膜装置の第3実施形態
を示す断面図である。本実施形態の成膜装置1は、シャ
ッタ手段65の構成が前記第1実施形態と異なる。すな
わち、シャッタ手段65は、第1の材料供給源7および
第2の材料供給源8に対して設置され、連動して回転す
る第1の遮蔽板38および第2の遮蔽板48を有し、こ
れら遮蔽板38、48の回転により前記各材料供給源7
および8に対するシャッタ手段11の開度が変化するも
のである。
【0107】シャッタ手段65は、モータを有する駆動
系16と、モータの回転軸17の上端部に固定された第
2の遮蔽板48と、軸受63と、軸受63に支持された
回転軸37と、回転軸37の上端部に固定された第1の
遮蔽板38と、回転軸17に設置されたプーリ61a
と、回転軸37に設置されたプーリ61bと、プーリ6
1aとプーリ61bとの間にかけ回されたエンドレスベ
ルト62とを有している。プーリ61a、プーリ61
b、エンドレスベルト62、駆動系16、軸受63は、
いずれもチャンバ2の外側に設置されている。
【0108】第2の遮蔽板48および第1の遮蔽板38
は、それぞれが図2中の第1実施形態の遮蔽板18と同
様の形状のものであり、形成されている開口32の配置
が等しく(同位相)なるように配置されている。
【0109】プーリ61aとプーリ61bの直径は、等
しく、これらは同じ回転数で回転する。モータは、第1
実施形態と同様のステッピングモータである。
【0110】駆動系16においてステッピングモータを
回転させると、第1実施形態と同様に第2の遮蔽板48
が回転するとともに、その回転力が、プーリ61a、エ
ンドレスベルト62、プーリ61bを介して回転軸37
に伝達され、第1の遮蔽板38が同一回転方向、同一回
転速度、同一回転角度で回転する。
【0111】図8に示すように、第1の材料供給源7と
第2の材料供給源8とは、回転軸17および37を介し
て互いに反対側に配置されている。この場合、第1の遮
蔽板38と第2の遮蔽板48とで、それらに形成された
開口の位置関係は同じであるため、第1の遮蔽板38に
おいて第1の材料供給源7に対する開度が最大となる
と、第2の遮蔽板48において第2の材料供給源8に対
する開度が最小となり、第1の遮蔽板38において第1
の材料供給源7に対する開度が最小になると、第2の遮
蔽板48において第2の材料供給源8に対する開度が最
大となる。よって、シャッタ手段65は、第1の材料供
給源7に対する開度と、第2の材料供給源8に対する開
度との大小関係を逆転するよう駆動することができ、第
2実施形態で述べたのと同様の作用・効果が発揮され
る。
【0112】また、シャッタ手段65の開度の増減を周
期的に変化させることにより、ルーゲットフィルタのよ
うな傾斜屈折率薄膜が形成することができ、第2実施形
態で述べたのと同様の作用・効果が発揮される。
【0113】また、シャッタ手段65は、プーリ61
a、プーリ61bおよびエンドレスベルト62で構成さ
れた動力伝達系を用いることにより、第1の遮蔽板38
を回転するための専用の駆動系や、その駆動系を制御す
るための制御系を設ける必要がなく、成膜装置1の構成
を簡素化することができる。
【0114】また、図8に示すように、第1の遮蔽板3
8の第1の材料供給源7と反対側の端部と、第2の遮蔽
板48の第2の材料供給源8と反対側の端部とが、互い
に非接触で重なり合うよう配置することで、デッドスペ
ースを少なくすることができ、成膜装置1の小型化を図
ることができる。
【0115】本実施形態は、その作用・効果は、第2実
施形態と同様であるが、第2実施形態は、1つの遮蔽板
18を用いているのに対し、本実施形態は、2つの遮蔽
板38、48を用いている。これにより、第1実施形態
より複雑な傾斜屈折率プロファイルの膜を形成すること
ができる。
【0116】なお、本実施形態において、駆動系16の
動力伝達系の構成は、プーリ61a、61bと、エンド
レスベルト62との組合せに限らず、例えば、一対のス
プロケットとチェーンの組合せや、歯車列であってもよ
い。
【0117】次に、第4実施形態について説明する。こ
の場合、第3実施形態の成膜装置との共通点については
説明を省略し、主な相違点を説明する。
【0118】図9は、本発明の成膜装置の第4実施形態
を示す断面図である。本実施形態の成膜装置1は、シャ
ッタ手段の構成が前記第3実施形態と異なる。すなわ
ち、成膜装置1は、第1の材料供給源7および第2の材
料供給源8に対し、それぞれ独立したシャッタ手段66
a、66bが設置されている。これらのシャッタ手段6
6a、66bは、いずれも、シャッタ手段11と同様の
構成である。
【0119】成膜装置1では、両遮蔽板18を第1実施
形態の遮蔽板18と同様の形状のものとし、それぞれを
形成されている開口32の配置が等しく(同位相)なる
ように配置し、かつ、両遮蔽板18を同一回転方向、同
一回転速度、同一回転角度で回転すれば、第3実施形態
で述べたのと同様の作用・効果が発揮される。
【0120】また、シャッタ手段66a、66bは、そ
れぞれ独立して駆動することができ、上記のような両遮
蔽板18を同一の駆動パターンで駆動する場合に限られ
ない。
【0121】シャッタ手段66a、66bを独立して制
御することにより、薄膜の構成成分の比率をさらに微妙
に調整することができるので、より多彩な膜組成・膜構
成を有する薄膜を実現することができる。
【0122】以上のように、本発明の成膜装置および成
膜方法を各実施形態に基づいて説明したが、本発明は、
これに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の
機能を有する任意の構成のものに置換することができ
る。
【0123】例えば、各実施形態では、回転する遮蔽板
を有するシャッタ手段を用いているが、これに限らず、
例えば、平行移動する遮蔽板を有するシャッタ手段や、
複数枚の羽根からなるアイリス構造のシャッタ手段を用
いてもよい。また、シャッタ手段は、開と閉の二つの状
態を択一的に選択するものでもよい。
【0124】また、本成膜装置は、屈折率の異なる物質
を交互に積層させた多層光学薄膜を形成することに用い
てもよい。その一例を述べると、シャッタ手段を所定の
開度、すなわち所定の開口面積に設定し、固定した後、
該材料供給源と他の材料供給源の作動を択一的に行っ
て、両材料供給源の材料による薄膜を交互に形成する。
このとき、途中の工程でシャッタ手段の開度を変更して
もよい。
【0125】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、多
彩な膜組成・膜構成を有する薄膜を形成することがで
き、特に、傾斜屈折率薄膜を容易に形成することができ
る。
【0126】また、チャンバを閉鎖したまま、チャンバ
外部からシャッタ手段の駆動を制御することができ、所
望の薄膜をより短時間で簡単に成膜することができ、生
産性の向上が図れる。
【0127】傾斜屈折率薄膜等を形成する場合、シャッ
タ手段が1つの材料供給源に対する開度と、他の材料供
給源に対する開度との大小関係を逆転するよう駆動する
ことにより、得られる薄膜の屈折率の幅をより拡大し、
またはシフトすることができる。これにより、設計の幅
を拡大し、所望の光学特性を得る上で、膜厚(総厚)を
より薄くすることができ、製造時間を短縮することがで
きる。
【0128】また、シャッタ手段の駆動源としてステッ
ピングモータを用いることで、得られる薄膜を精度良く
形成することができ、特に、傾斜屈折率薄膜の生産性を
向上することができる。
【0129】このような成膜装置により成膜される薄
膜、特に、ルーゲットフィルタのような傾斜屈折率薄膜
は、設計通り製造できるので、これらを用いた眼鏡、カ
メラ、望遠鏡等の光学機器および光学部品の性能を十分
に発揮することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の成膜装置の第1実施形態を示す断面図
である。
【図2】図1中のシャッタ手段を示す拡大平面図であ
る。
【図3】本発明の成膜装置で得られた薄膜の屈折率と遮
蔽板の回転角との関係を示すグラフである。
【図4】薄膜の分光反射特性(実測値および目標値)を
示すグラフである。
【図5】図4中の分光反射率曲線(目標値)を得るため
の計算により求めた屈折率分布図(屈折率プロファイ
ル)である。
【図6】本発明の成膜装置に用いられた遮蔽板の回転周
期(1サイクル)を示すグラフである。
【図7】本発明の成膜装置の第2実施形態を示す断面図
である。
【図8】本発明の成膜装置の第3実施形態を示す断面図
である。
【図9】本発明の成膜装置の第4実施形態を示す断面図
である。
【符号の説明】
1 成膜装置 2 チャンバ(真空炉) 21 上壁 22 シール部材 23 底壁 3 基板 4 保持部 41 基板ホルダ 411 開口 412 上面 42 回転軸 43 基板ホルダ回転機構 5 膜厚計 51 支持部材 6 シャッタ 7 第1の材料供給源 71 蒸発源 72 ルツボ 73 電子銃 731 電子銃電源 732 電子ビーム 74 膜厚計 741 支持部材 8 第2の材料供給源 81 蒸発源 82 ルツボ 83 電子銃 831 電子銃電源 832 電子ビーム 84 膜厚計 841 支持部材 11 シャッタ手段 12 制御手段 13 バルブ 14 バルブ 16 駆動系 17 回転軸 18 遮蔽板 19 シール部材 31 位置 32 開口 37 回転軸 38 第1の遮蔽板 48 第2の遮蔽板 61a プーリ 61b プーリ 62 エンドレスベルト 63 軸受 65 シャッタ手段 66a シャッタ手段 66b シャッタ手段

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 チャンバと、チャンバ内に配置された複
    数の材料供給源と、薄膜形成対象物を保持する保持部と
    を有し、気相成膜法により前記材料供給源から供給され
    る膜材料により薄膜形成対象物に成膜する成膜装置であ
    って、 前記各材料供給源のうちの少なくとも1つの材料供給源
    に対して設置され、その開度が調整可能なシャッタ手段
    を備えたことを特徴とする成膜装置。
  2. 【請求項2】 前記シャッタ手段は、その開度を多段階
    または連続的に調整することができる請求項1に記載の
    成膜装置。
  3. 【請求項3】 前記シャッタ手段は、周方向に沿って、
    開口面積が異なる開口が形成された遮蔽板と、該遮蔽板
    を回転する駆動系とを有し、遮蔽板の回転により開度が
    変化するものである請求項1または2に記載の成膜装
    置。
  4. 【請求項4】 前記シャッタ手段の駆動は、チャンバを
    閉鎖したままでチャンバ外部から行うことができる請求
    項1ないし3のいずれかに記載の成膜装置。
  5. 【請求項5】 前記シャッタ手段の駆動により、その開
    度の増減を周期的に行う請求項1ないし4のいずれかに
    記載の成膜装置。
  6. 【請求項6】 1つの材料供給源と、その他の材料供給
    源とに対してシャッタ手段が設置され、前記シャッタ手
    段は、前記1つの材料供給源に対する開度と、他の材料
    供給源に対する開度との大小関係を逆転するよう作動す
    る請求項1ないし5のいずれかに記載の成膜装置。
  7. 【請求項7】 前記材料供給源からの材料供給速度を検
    出する検出手段を有する請求項1ないし6のいずれかに
    記載の成膜装置。
  8. 【請求項8】 前記検出手段の検出値に基づいて前記材
    料供給速度が一定となるよう制御する制御手段を有する
    請求項7に記載の成膜装置。
  9. 【請求項9】 前記シャッタ手段の開度と、該シャッタ
    手段に対応する材料供給源の材料供給速度とが連動して
    変化するよう制御する制御手段を有する請求項1ないし
    8のいずれかに記載の成膜装置。
  10. 【請求項10】 チャンバと、チャンバ内に配置された
    複数の材料供給源と、薄膜形成対象物を保持する保持部
    と、前記各材料供給源のうちの少なくとも1つの材料供
    給源に対して設置されたシャッタ手段とを有する成膜装
    置を用いて薄膜形成対象物に気相成膜法により成膜する
    成膜方法であって、 前記シャッタ手段の開度を調整して、該シャッタ手段に
    対応する材料供給源から供給される膜材料の前記薄膜形
    成対象物の成膜面への付着量を変化させることを特徴と
    する成膜方法。
  11. 【請求項11】 チャンバと、チャンバ内に配置された
    複数の材料供給源と、薄膜形成対象物を保持する保持部
    と、前記各材料供給源のうちの少なくとも1つの材料供
    給源に対して設置されたシャッタ手段とを有する成膜装
    置を用いて薄膜形成対象物に気相成膜法により成膜する
    成膜方法であって、 前記シャッタ手段の開度を調整して、該シャッタ手段に
    対応する材料供給源から供給される膜材料の前記薄膜形
    成対象物の成膜面への付着量を周期的に変化させること
    を特徴とする成膜方法。
  12. 【請求項12】 前記各材料供給源からの材料供給速度
    をそれぞれ一定にしつつ成膜を行う請求項10または1
    1に記載の成膜方法。
  13. 【請求項13】 前記シャッタ手段の開度と、該シャッ
    タ手段に対応する材料供給源の材料供給速度とが連動し
    て変化するよう成膜を行う請求項10または11に記載
    の成膜方法。
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