JP4268751B2 - 薄いフィルムの視射角蒸着 - Google Patents

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Description

【0001】
発明の分野
本発明は、基板に陰のある模様を施した薄いフィルムの蒸着に関する。
発明の背景
薄いフィルムを成長させる技術分野では、限定された吸着原子の拡散条件下で斜めに入射する蒸気の流れに基板を晒し、よって前記基板にカラム状のマイクロ構造が成長することは周知である。
【0002】
結果生じたマイクロ構造の光学的性質、マイクロ構造の多孔性および薄いフィルムのカラムの配向は、用いた材料に部分的に依存する。
【0003】
Hamaguchiらは、米国特許第4、874、664号明細書において、蒸気の流れに対して、基板の位置の横への移動や回転を説明していおり、均一なフィルム成長や、さまざまな層にさまざまなは配向のあるカラムを有するフィルム層が生じる。Hamaguchiらの報告では、全体の基板は、基版を蒸気の流れに晒す期間の間回転させる、又は基板を蒸気の流れに晒す間、横に移動させることが報告されている。
【0004】
1992年12月28日のAppl. Phys.Lett. 61(26)のAzzamの論文「Chiral thin solid films」では、斜めに入射する蒸気の流れに晒しながら基板を回転させると、螺旋状の二つの異方性性格を有する螺旋状のマイクロ構造が生じることを提案している。基板の提案された回転はその基板表面の法線を中心に行われ、これは方位の周りの回転、つまり方位角の変化として本願で引用される。
【0005】
発明者らは、Kevin Robbie, Michael J. Brett, Akhlesh Lakhtakiaらによる1995年11/12月のJ. Vac. Sci. Technol. A 18(6)の「First thin film realization of a helicoidal bianisotropic medium」で説明したように、AzzamとHamaguchiの改良方法を提案した。
【0006】
上記引用文献では、カラム角度に対する多孔性の関係は固定されており、カラム角度を固定させたままで、多孔性を変化させる方法は示されていない。本発明は、先行技術文献におけるこのような限界の克服を求めたものである。
発明の要約
したがって、本発明の態様によれば、蒸着させた薄いフィルムの成長方法を提案し、該方法は、
基板の法線を中心としてある回転速度で、その基板への蒸気の流れの到達方向を回転させながら、斜めの入射角度で一定設定の成長条件下で蒸気の流れを基板の表面にまず晒し、第一の成長方向に成長する複数のカラムからなる薄いフィルムの第一の部分を成長させる段階と、
その後、前記表面を蒸気の流れに晒しながら、前記設定の成長条件、つまり基板への蒸気の流れの到達方向の回転速度を変化させて、夫々の複数のカラムの第二の部分が生じて第一の成長方向からずれた成長方向に成長する段階と、
段階A及びBを繰り返し、前記基板にカラムから形成される第一の薄いフィルムが生ずる段階からなる。
【0007】
段階Aの間、前記基板は整数回で回転する、つまり螺旋状パターンが生じ、殆ど整数回で回転し、実質的に位置がずれたところでの回転中に停止する。
【0008】
よって、光学フィルタは複数の薄いフィルム層で作られ、各薄いフィルム層は段階A及びBの繰返しにより構成される。
【0009】
段階A中での前記基板への蒸気の流れの到達方向の回転速度は十分大きいことが好ましく、基板への蒸気の流れの到達方向は、薄いフィルムが基板に垂直で、蒸着させるべき材料の吸着原子の拡散距離に実質的に等しい距離分成長するのに必要とされる時間内に少なくとも1回回転させる。
【0010】
本発明の更なる態様によれば、基板の表面から伸長する複数のカラムの第一の薄いフィルムからなるマイクロ構造を提供し、前記カラムは、角度θから基板の表面に垂直な入射角度での蒸気の流れから、基板の表面に蒸着させる一定設定の条件下で形成され、ここで0°<θ<90°であり、基板への蒸気の流れの到達方向を回転させながら、蒸気は少なくとも一部分に蒸着され、カラムは0°<θ<θの性質を示し、ここで、θcはカラムと基板の表面の法線との間の角度であり、θはカラムが基板への蒸気の流れの到達方向を回転させずに、一定設定の条件下で成長するであろう場合の角度である。
【0011】
十分に大きい回転速度で基板への蒸気の流れの到達方向が回転し、薄いフィルムが基板に垂直で、蒸着させるべき材料の吸着原子の拡散距離に実質的に等しい距離分成長するのに必要とされる時間内に少なくとも1回回転しながら、カラムが少なくとも一部分形成することが好ましい。
【0012】
第二の薄いフィルムは異なる多孔性を有する第一の薄いフィルムの頂部に形成され、第一の薄いフィルムに対する入射角度θとは異なる入射角度の蒸気の流れで、第二の薄いフィルムの蒸着により生じる。複数の薄いフィルムは、薄いフィルム層の連続的積層を形成し、複数の薄いフィルム層の一つは第一の薄いフィルムの頂部に対して配され、各薄いフィルム層は隣接の薄いフィルム層と異なる多孔性を有する。薄いフィルムは基板から距離で変化する屈折率を有する。
【0013】
更に、蒸着された薄いフィルムの成長方法を提供し、前記方法は、
基板の法線を中心としてある回転速度で、基板への蒸気の流れの到達方向を回転させながら、斜めの入射角度で蒸気の流れを基板の表面に晒し、第一の成長方向に成長する複数のカラムからなる薄いフィルムを成長させ、
回転速度は十分に大きく、薄いフィルムが基板に垂直で、蒸着させるべき材料の吸着原子の拡散距離に実質的に等しい距離分成長するのに必要される時間内に、基板への蒸気の流れの到達方向を少なくとも1回回転させることからなる。
【0014】
本発明の更なる態様によれば、基板への蒸気の流れの到達方向を回転させながら、蒸気の流れの斜めの入射角度を変化させて、密度、よって薄いフィルムの屈折率を変化させる段階を提供する。
【0015】
本発明の更に別の態様によれば、蒸気の流れの斜めの入射角度は変化して、基板上に蒸着させた高及び低密度の材料の交互のバンドが生じる。
【0016】
本発明の更に別の態様によれば、電磁放射線のフィルタリング方法を提供し、ここで、電磁放射線には周波数λを有する放射線が含まれ、電磁放射線は光経路に沿って伝播し、前記方法は、
光経路に光学フィルタを配し、ここで光学フィルタは基板から伸長する複数の螺旋カラムからなり、夫々の螺旋カラムは、光の伝播がカラムの螺旋構造により影響を受けないλよりも十分に小さいピッチpを有する(例えば、p<λ/4、又はp<λ/10)。
【0017】
本発明の上記及び他の諸相は、発明の詳細の説明及び既出の特許請求の範囲に記載されている。
【0018】
図面を参照して、本発明の好ましい実施態様を説明し、同じ参照番号は同じ要素を表わす。
好ましい実施態様の詳細な説明
角度に関連した本願明細書で使用する「斜め」とは、0°から出発して、原子の影がカラム状のマイクロ構造の成長に重要な効果を有することを意味する。蒸気の流れの入射の低角度で、例えば、0から50°で急速に基板を回転させる場合には、結果生じる薄いフィルムは特に有用な性質を有しない。しかしながら、発明者らは、蒸気の流れの入射角度が70°以上で、さらに80°及びそれ以上では、その結果生じる薄いフィルムは有用な性質のある明確な構造を有することを発見した。基板へ斜めに入射する蒸気の流れの到達方向は、基板に垂直で、基板への入射角度の投影により得られる基板の平面における方向である。基板への蒸気の流れの到達方向の回転は、典型的には、基板を回転させることにより、一層容易に得られ、よって基板への蒸気の流れの到達方向は基板の法線を中心として回転する。このようにして、本発明は、基板自体を回転させる場合を例示する実施態様で、以下に説明される。
基板は固体材料であり、応用に応じて蒸着される。シリコン及びガラス基板が、通常利用される。被蒸着材料は、蒸気を発生させる、並びに基板に蒸気化された材料の蒸着をサポートすることができる条件に適する材料である。ある場合には、上記には基板を冷却及び加熱を必要とする。ある蒸気化された材料を別の材料に結合させるのに役に立たせるために、まず介在層が蒸着され、例えば、クロム中間層が利用され、金をアモルファス二酸化ケイ素(ガラス)に結合させる。本願で説明するその工程は、蒸気の流れがほぼ一直線に基板に到達する条件で行われる。この理由のため、その工程はほぼ真空に近い、少なくとも10−3トル以下で、例えば、10−6トルの条件で行われる。高圧下では、気体分子からの散乱は、明確な構造を成長させない傾向にある。加えて、利用した材料は、少なくとも約0.9の固着係数を有するべきであり、識別力のある構造の形成を可能とする。材料のカラムの成長方向は、カラムが成長する基板から離れるカラムの軸に沿っている。螺旋カラムの場合には、螺旋構造は仮定的なシリンダーの表面に従い、カラムの軸はシリンダーの軸である。
【0019】
図1Aは、本技術分野では周知であるように、傾斜したカラム状のフィルムマイクロ構造の成長の基礎となる物理的過程を示す。例えば、シリコンウエハである基板10は法線Nのある表面12を有し、法線Nに対して定義される入射角度θで、斜め入射の蒸気の流れ14に晒される。蒸気の流れ14の原子が基板10上に蒸着すると、フィルム成長領域の原子は隣接領域16をさえぎり、隣接領域の蒸着を阻止する。蒸気の流れ14の原子が、さえぎられていない領域に蒸着を続け、よってカラム18を形成する。吸着原子は19で示すカラムの頂部で原子的に拡散する。仮に、角度θが十分に大きくてシャドーイング効果は生じ、吸着原子の拡散19が制限され、吸着原始の拡散がカラム間のギャップに充填されないなら、傾斜のあるカラム状のマイクロ構造が成長する。
【0020】
基板にカラム状の薄いフィルムが成長する成長条件には、基板温度(典型的には、約77°K(‐196℃)から600°K(227℃))、蒸着が起こる容器の圧力、蒸気の流れ強度(蒸気源の接近や蒸発速度に依存する)、蒸気の流れのエネルギー(蒸気の流れを発生させる方法、例えば、スパッタリング又は加熱に依存する)、蒸気の流れを発生させるのに利用される材料のタイプ、例えば、Cu、MgF、CaF、SiO、Al、Mn、Cr、Ag、Si、Co、ZrO、Tiやパーマロイ(登録商標、85%のニッケル、15%鉄の合金)、基板の回転速度や、非常に低圧力に通常維持される蒸気の流れの入射角度や容器内のバックグランド気体の性質がある。一般には、バックグランド気体との反応を望まないのなら、非常に低い圧力であることは好ましく、そのような場合、多くの場には空気がバックグランド気体として利用される。バックグランド気体と蒸気との反応を望むなら、例えば、SiO1.4に代わり、SiOの蒸着では、低圧力のOからなるバックグランド気体が好ましい。
【0021】
先行技術分野では周知である薄いフィルムの蒸着では、蒸気の流れが基板に到達する角度θと、カラム状の薄いフィルムが成長する基板法線に対する角度θ(これは90−βであり、βは図1Aに示す)との間に固定した関係がある(一定の材料と蒸着条件)。この制約により、カラム配向及び多孔性が独立に制御できない状況が生じる。浅いカラム角度(基板により平行である)を望むなら、その結果生じるフィルムは非常に多孔質である。逆に、垂直なカラム状のフィルムを望むなら、そのフィルムは緻密にちがいない。この効果は図1Bから図1Dで説明される。図1Bは、蒸気の流れが基板に向かって真っ直ぐに到達するとき、つまりθ=0°の場合の状況を示す。その結果生じるフィルムは、垂直であるθ=0°で、非常に緻密である。
【0022】
その流れが基板の法線に平行に到達しないとき(θ>0°)、カラムのあるフィルムの成長は蒸気源に向かって傾斜する。流れ角度θとカラム角度θとの間の関係は複雑であり、フィルム材料、基板温度及び他の蒸着条件に依存する。周知の流れ角度からのカラム角度を大雑把に見積る簡単な関係は、Taitらにより提案された(Thin Solid Films, 226 (1993))。この関係はさまざまな流れ角度条件に対して、カラム角度を説明するための近似として利用される。図1Cは、流れがθ=30°で到達する場合を示す。カラム角度はθ=27°(Tait則で計算された)であり、フィルムは幾分多孔質である。図1Dは、流れが非常に斜めな角度であるθ=80°で到達する場合の極端の例を示す。カラム角度はθ=55°であり、フィルムは非常に多孔質である。
【0023】
流れ入射角度でのフィルム構造の上記3つの結果を、図2にまとめ、カラムの成長角度を蒸気の流れの到達角度に対してプロットした。実線はTait則からの計算値である。ポイント1は図1Bで示したフィルムに対応する(θ=0°でθ=0°)。ポイント2及び3は、夫々図1C及び図1Dに対応する。従来から、フィルムのマイクロ構造はこの線上のポイントに制限されている。選択した流れ角度に対して、カラム角度及び多孔性は固定される(所定の材料と蒸着条件に対して)。
【0024】
例えば、垂直なカラム状構造を有する非常に多孔質なフィルムは、周知な先行技術からは製造不可能である。この条件は、図2のポイント4に相当し、そのマイクロ構造を図3に示す。
【0025】
本発明は、上記限界を克服する方法を提供する視射角蒸着(glacing angle deposition、GLAD)の改良バージョンを開示する。この新しい技術は三次元での基板移動を基礎としているが、二次元で同様な効果がどのように達成させられるかを、まず説明することが有用である。図4は、従来不可能であると信じられていた図3に示すマイクロ構造の組立を可能にする方法を示す。斜めの角度(θ=80°)で2つの側からの基板へ到達する蒸気の流れの実質的に同等な量により、垂直な多孔質のカラム状フィルムを作ることが可能となる。バランスの取れた流量(50%/50%)は、カラムが蒸気源に向かって傾斜することを阻止し、斜めの角度により、多孔質なマイクロ構造が作られる。
【0026】
上記フィルムの成長は、一方の側からの蒸気の流れにより引き起こされる成長と、他方の側からの流れにより引き起こされる成長の和の結果から生じるものと考えられる。垂直なカラム状構造を作るために、各側からの流量は実質的に同量であるように選択される(各側からは全体の50%)。あるいは、図1Dから分かるように、一方からの100%の流量により、θ=80°に対してθ〜55°で非常に傾斜した構造が生じる。垂直と55°との間のカラム角度を得るためには、一方側からの流量は、50%と100%との間になるように選択される。図5は上記結果を示す。一方の側から70%の流量で、他方の側からの流量を30%にすれば、カラムの角度は一方の側での流量の場合(一方から100%流量の場合)よりは一層垂直になるが、全体としては垂直にはならない(図4の50%/50%の場合)。従来のGLADでは、カラム成長角度が依存するように、フィルムの多孔性は入射の流れ角度に依存し、上記二つの性質は相互に依存する。本新規な発明によれば、フィルム多孔性も入射の流れ角度に依存するが、カラム成長角度は各側から到達する流量の割合を変化させることにより制御される。
【0027】
これは、従前では可能であった薄いフィルム構造を一層制御するための蒸着中に、流量の割合を劇的に変化させることにより拡張させることが可能となる。この手順により得られた構造の例を、図6に示す。フィルムが成長して所望の構造が作られるにつれ、二つの側から到達する流量を0%と100%との間で変化させる。この技術により、カラム角度を独自に制御させながら、密度を全体に亘って一定のままにすることが可能となる。
【0028】
「S」形カラム構造を形成させる別の方法は、斜め(θ=80°)と垂直(θ=0°)との間で入射の流れ角度を変化させることである。これにより、θc=55°とθc=0°との間のカラム成長角度を変化させること可能であるが、多孔性の入射角度依存性のため、フィルム密度は、θ=0°のときの高密度と、θ=80°のときの低密度との間で変化する。
【0029】
上記技術を三次元の蒸着に拡張させるために、成長タイプは多少異なって考える必要がある。薄いフィルムのある部分の垂直なカラム成長は、十分に高速度で基板を回転させることにより生じ、基板回転により薄いフィルムの視射角度蒸着中に通常生じる螺旋構造は、機能的には排除される。薄いフィルムが基板への垂直であり、蒸着させるべき材料の吸着原子の拡散距離に実質的に同等な距離分成長するのに必要な時間内に基板が1回回転すれば、その螺旋構造は完全に排除される。吸着原子の拡散距離は、ゆっくり又は全く回転しない間に形成される螺旋のストランドの幅に近似される。螺旋パターンの機能的排除は、残存する小さな螺旋構造が特定の応用に支障をきたさないなら、ゆっくりな回転速度で得られるであろう。未加熱基板での典型的な拡散距離は、MgF‐60nm;Cu−150nm、Cr−90nm、Al−100nmである。固有の螺旋構造を機能的に排除する十分な速度で基板を回転させることは、スピニング成長と呼ばれる。
【0030】
カラムの螺旋構造が機能的に排除されるときの例として、電磁放射線のフィルタリングを考えてみる。ここで、電磁放射線は周波数λを有する放射線を含み、電磁放射線は光の経路に沿って伝播する。光学フィルタが光の経路に置かれ、ここではその光学フィルタが基板から伸長する複数の螺旋カラムを有する。各螺旋カラムは、そのカラムの螺旋構造により影響を受けない光の伝播λより十分に小さいピッチpを有しているならば、カラムの効果は機能的に排除される。同時に、螺旋カラムは大きな螺旋状の幾何学的形状を有する、つまり光学フィルタがそのカラムの小さなスケールの螺旋状の幾何学的形状に依存しない他の有用な性質を有する屈折率を変化させるように配置させる。一般には、小さなスケールの螺旋カラムはp<λ/4、特にp<λ/10のとき、光の伝播に影響を与えない。
【0031】
スピニング成長は、極性のある角度(polar angle)θが図4に類似して固定されたままで、基板の周りのあらゆる方向から実質的に同等に蒸気の流れの分布を効果的に提供し、その基板の表面に垂直である成長方向に、カラムが成長する。垂直からずれた成長方向に傾斜する成長は、成長条件の一つを交互に変化させることにより生じる。つまり、基板の回転速度を減少させ、その基板が回転せずに効果的に正しい位置に保持される(これを停止時成長と呼ぶ−図1Dに類似する)。正確なゼロ回転速度からのわずかな逸脱は許容され、全体の効果はずれた成長方向に生じる(つまり、成長方向は先行する蒸着期間中のものと同じではない)。それからカラムは蒸気源に向かって従来通り傾斜して成長をはじめ、ただし、θよりも険しい角度で成長する。このようにして、薄いフィルムの第二の部分が、スピニング成長中にカラムの部分が成長する成長方向とは異なる成長方向に形成される。スピニング成長及び停止時成長の繰返しにより、カラムはθ以下であるθの角度で成長し、θは基板を回転させない同じ成長条件下で成長するカラムの角度である。
【0032】
スピニング及び停止時成長条件は、図7の基板の平面図で説明される。基板を急速に回転させながら(スピニング成長)、小さな単一の矢印Aは全ての方向から到達する流れを表わす。二重線の矢印Bは成長の第二のタイプを表し、ここではその基板は固定されており、蒸気源に向かって傾斜したカラム構造が生じる(停止時成長)。移動/成長(スピニング及び停止)の上記の二つのタイプを組合わせて、二つの側からの流量が前述の二次元で利用されたように、作製された薄いフィルムのマイクロ構造の制御を可能にする。上記蒸着方法の組合わせが達成された方法は、基板を急速に回転させることによりスピニング成長が生じるが、各回転中に停止させることにより停止時の成長が生じる。構造の制御は、1回の回転時間に対する停止をどの程度の長さにし、その停止位置を選択ことから生じる。二次元の例のように、蒸着のタイプは停止及びスピニング成長条件中に到達する流量の割合により説明できる。典型的には、基板は整数回で回転し、例えば、1回である。
【0033】
三次元蒸着では、80°で保持されたθで100%のスピニング成長により、図4と同様な構造を有するフィルムが生じる。スピニング成長により垂直なカラムが生じ、斜めの蒸着(θ=80°)により多孔質構造が生じる。30%のスピニング成長と、各停止での方位角上同じ場所の停止位置での70%の停止時成長での蒸着では、図5と同様な構造が生じる。夫々のスピニング及び停止時の成長の割合は、0%と100%との間を変化する。停止位置がスピニング成長の各回転後と同じに維持されないとき、この技術の大きなパワーを有するが、所望の方法で前進する(precess)ように作られる。この例では、停止位置は以前の停止からわずかに方位角上ずれている。ずれの程度は、結果生じる螺旋構造の半径に影響する。従前のGLADにより作られた共通の構造は螺旋カラム状フィルムである。本発明前は、螺旋構造は蒸着角度とカラム角度との間の前述した関係により限定されていた。仮に、螺旋構造をした多孔質なフィルムを望むなら、斜めの角度(例えば、θ=80°)で蒸着させなければならない。従前は、これはカラム角度が約θc=55°であり、カラム形が図3の外部螺旋41に類似することを意味している。内部螺旋43は多孔質フィルムでは作れない。螺旋でのより垂直なカラム角度を作るために、より斜めな流れ角度(例えば、θ=30°)が必要であり、これにより密度のあるフィルムが生じることになる。
【0034】
この先進の制御方法の実現は、本発明者らにより説明された。MgFの薄いフィルムは斜め角度(θ=85°)で蒸着させた。そのフィルムは、蒸着時間の50%を利用したスピニング成長(大きな螺旋カラムを形成する100nmのピッチで)と、蒸着時間の50%を利用した前進する(precessing)停止時成長(約1μmのピッチで)とを有する前述の先進の前進技術により蒸着させた。予想通り、より垂直な上昇角度が得られ(θ=15°)、この構造は図8の内部螺旋と同様である。これは、従来のGALDでは得られなかった構造であり、薄いフィルムのマイクロ構造を制御する前進方法(precessional method)の能力を示す。
【0035】
図9、図10及び図11を参照するに、本発明の装置を示し、表面12を有する基板10に薄いフィルムを成長させる。従来の蒸気源22は真空チャンバー20内に配設される。蒸気源22の上に配置された従来のシャッター(図示せず)は、基板に蒸気を晒すか否かを制御するのに利用される。蒸気源22が蒸気の流れ14を発するためのさまざまな従来の手段(別々には図示せず)が利用される。基板10は真空チャンバー20内で支えられ、蒸気源22の真空チャンバー20にモータ24(図11)を配設した。モータ24は、基板10の表面12に平行である、好ましくは表面12により形成される平面の軸Aの周りに基板を回転させる。軸Aの周りの基板10の回転は極性のある角度を変化させる、つまり蒸気の流れ14の入射の角度θを変化させる。更に、蒸気源22の真空チャンバー20に配設されたモータ26は、基板10の法線Nと一致する回転軸を有し、このようにして方位角を変化させる。極性のある角度及び方位角の双方は、入射の流れに対する基板の表面の配向の尺度である。
【0036】
図11Aに示すように、基板10はモータ26に取付けたディスク11に設置させることが好ましい。モータ24及びモータ26のさまざまな設置配置が利用できる。例えば、モータ26はフレーム25に設置され、そのフレーム25はモータ24の駆動シャフト27で回転するように設置される。モータ24自身はさまざまな従来からの方法により設置され、支持体29のような真空チャンバー内でモータを設置させる。
【0037】
図11を参照するに、モータ24及び26は、ステッパモータ駆動エレクトロニクス28により駆動される従来のステッパモータであり、コンピュータ制御器30により制御されることが好ましい。コンピュータ制御器30はデータ受信ボート32と、National Instrumentsから市販されているLabVIEW(登録商標)のようなソフトウエアベースインターフェース34とを具備する。本発明を実行させるソフトウエアは、出願番号第2、237、732号である1998年5月16日に出願した本発明者のカナダ国優先権出願に開示されており、公開後又はカナダ国アルバータ大学の本発明者から要求により、WIPO又はCIPOから入手可能である。ソフトウエアは許容されるなら、本願の参考文献に引用される。データ受信ボード32は基板での薄いフィルム成長を示す信号を受け、その信号は真空チャンバー20内に配置された従来構造の蒸着速度モニタ36からの出力であり、蒸着速度モニタ36でのフィルム成長は基板10でのフィルム成長を表わす。蒸着速度モニタ36からの出力信号を受けて、コンピュータ制御器30はドライバー28に、モータ24及び26は所望パターンに応じて回転するように指令する。本願で説明したように、コンピュータは所望パターンに応じて、薄いフィルムを成長させる出力制御信号に応答して、表面の配向変化の速度を自動的に制御する。蒸着のスタート及びストップ信号はコンピュータにより、蒸着をスタートさせるシャッターの駆動、又は手動で開放させるシャッターへ送られる。通常、シャッターが開いて蒸着を開始する前に、モータはスタートする。
【0038】
ソフトウエアは蒸着速度モニタから蒸着速度を受取る。基板に成長するフィルムの実際の厚さ(T2)は、ツーリングファクタとして周知である実験的に求めた計数逓減率、スケーリングファクタにより、蒸着約速度モニタの厚さに関連している。更に、ソフトウエアは最後の時間でのモータ位置を知り(モータ24に対してはXfi、モータ26に対してはXci)、オペラータから入力として、モータ26により行われた回転の数(N)、ツーリングファクタ(測定された蒸着速度に対する垂直なフィルム成長の比)、初期の蒸着速度見積り、模様のあるフィルム成長中の蒸気の流れの初期の入射角度、モータ回転方向及びフィルムの成長の所望パターンを明確にするさまざまなパラメータを受ける。コンピュータへの入力はフィルム成長の所望パターンを確立させる。
【0039】
本発明の実施態様では、モータ24、26はステップモータであり、各時間ti、ti+1、ti+2などの円の一部分を回転させる。一定の時間tiで、コンピュータは蒸着速度モニタ36からのフィルムの厚さを更新し、モータのステップ速度を変化させ、ti+1で、モータ24、26は所望パターンに応じて所望位置におおよそある。時間tiとti+1との間、ソフトウエアはフィルム成長の厚さはti+2ではどれくらいになっており、ti+2で所望の厚さが生じるようにするためにモータをどの程度の速度で回転させなければならないかを計算する。ti+2で、それからコンピュータは蒸着速度モニタからの新しい厚さだけでなく、モータのステッピング速度を読みより、モータステッピング速度を調整し、ti+3でフィルム成長パターンを所望の通りにする。ストップ信号を受けるまで、例えば、フィルムが所望の厚さに達するときまで、ソフトウエアはこのようにして動作を続ける。
【0040】
スピニング及び停止時成長の場合のモータ24、26を制御させるアルゴリズムを、図7A、図7B及び図7Dに図解的に示す。その法線を中心とした基板の回転速度は、蒸着速度に部分的に依存する。MgFでは、入射角85°で、約50nmのピッチで、その速度は約2rpmである。この過程で利用される典型的な回転速度は、約0.2から3rpmである。
【0041】
図7Aでは、カラムが図7Cで説明するように正弦波的に変化する構造を形成するとき、基板の方位角回転速度を、時間に対してプロットする。ポイントT1からT4に対応する時間を図7Cに示す。時間セグメント52で示される回転中、スピニング成長が起こり、図7Cに示す垂直カラムセグメント58が結果として生じる。時間セグメント52の幅はスピニング成長の継続時間に相当する。時間セグメント52の間に、回転速度はゼロであり、基板は蒸気の流れに晒され続け(停止時成長)、結果として斜めのカラムセグメント59が生じる。時間セグメント52間の期間はT1からT3へと連続的に減少し、おおよそ正弦波的に変化する方法で、それからT3からT4へと上昇する。ポイントT3では、時間セグメント54は半回転に相当し、停止位置は一方から他方へ切り替わり、カラムは異なる方向に成長し始める。T3での半回転は、図7Cでの矢印C及びDで示される180度その流れの方向を変化させることに対応する。このようにして、カラム角度θは基板からの距離(垂直に測定された)で変化する。基板での同じ時間に蒸着するカラムセグメントは、薄い層の一層を形成する。
【0042】
図7Bでは、方位角回転速度を、図2のグラフの影のある領域内にある螺旋マイクロ構造で、時間に対してプロットした。各時間セグメント56は回転時間に対応する。回転の継続時間の間、基板回転はゼロであり(停止)、その基板は蒸気の流れに晒され続ける。時間セグメント56及びそのセグメント間の間隔は、蒸着中は一定である。この例では、時間セグメント56は約360±n°の回転に相当し、蒸気の流れの入射の方位角により決定される角度で、薄いフィルムのカラムの成長方向がずれる結果となる。プラス又はマイナスは螺旋の左右像を支配し、例えば、2から10であるファクタnは、螺旋構造の径及びピッチの双方に影響を与える。つまり、一定の停止/スピン関係(一定の蒸着速度の時間の割合として、30%のスピンと70%の停止)では、増大した前進、つまりn以上は螺旋の小さな径と小さなピッチを与える。停止位置での一定の方位角の前進では(つまり362°)、スピンの継続時間に関係する増大した停止継続時間は、大きな径及び小さなピッチを与える。双方の場合とも、螺旋のチューブの径(螺旋を形成するストランドの直径)はほとんど一定のままである。
【0043】
図7Dでは、例えば、回転の半分の速い回転(時間T1の周りを中心にして)及び回転の別の半分の遅い回転(時間T2の周りを中心にして)の継続時間を説明する。対応するカラム成長を図7Eに示し、時間T1及びT2に対応するカラム90の位置を示す。
【0044】
工程は蒸着可能な材料を形成するカラムでうまく行われることは合理的理由に基づいて信じられている。蒸着可能な材料は、未形成集合よりもむしろ、限定された吸着原子の拡散及び構造を形成する十分に高い接着要因を示すときに形成するカラムである。MgFの場合、シリコン基板に形成され、S形のカラムを有する薄いフィルムでは、基板を加熱しておく必要はないが、その基板の温度は、蒸気源からの加熱により約100℃まで上昇する。上記条件下でのMgFの拡散距離は、約40−90nmである。法線入射での流れに対する基板の近くのモニタの蒸着速度は約2−6nm/sである。この例では、速いスピニング(スピニング成長)は約3−40rpmで起こり、10−40nmの小さな螺旋ピッチが得られる。上記条件での成長の真空圧力は約1x10−6トルである。
【0045】
本発明の原理に基づく干渉フィルタの作製では、図9から11Aに示す薄いフィルムの蒸着装置を、スピニング成長の原理と共に利用する。蒸気源からの蒸気の流れは視射角(θ>50°)で基板に到達する。基板の位置は、真空蒸着システム内部の二つのステッパモータ24及び26により制御される。ある厚さで変化させた密度のあるフィルムを生じさせるために、傾斜角度(θf)は蒸着中の所望の密度変化に比例して変化する。軸回転は蒸着(スピニング成長)中に急速であり、垂直な多孔質カラム構造が生じ、従来のGLAD応用により生じた螺旋カラム構造を排除する。この蒸着工程により、図13に示すように、基板からの距離に応じて変化する屈折率のある干渉フィルタが作れる。図13では、カラム80は全体の急速なスピニングで基板10から成長する。極性のある角度θは変化するにつれて、カラム80は82で示される大きな密素と、84で示される低密度との層が生じる。層82はあまり斜めでない入射角度(つまり、70°)で高いインデックスフィルムに対応し、一方、層84はより斜めな入射角度(つまり85°)で低いインデックスフィルムに対応する。このように形成された層は隣接層に異なる密度を有することになる。蒸着角度の関数として、密度(インデックス)を補正することにより、所望のインデックス変化を生じさせることができると信じられている。発明者らは、薄いフィルムの材料のインデックスと空気のインデックスとの簡単な密度に重きを置いた和は、プリズムカップラで測定した際の効果的な屈折率を正確に予想できることを発見した。
【0046】
例として、屈折率の正弦波的変化のあるフィルムでは、傾斜角度(θc)は、蒸着中に50°と81°との間を正弦波的に変化する。軸回転は蒸着中急速であり、垂直な多孔質カラム構造が生じ、GLADの他の応用で生じた螺旋カラム構造を排除する。この蒸着過程はMgFのひだのあるフィルタを作るために利用され、そのフィルタの測定された、及び理論的に予測された反射率スペクトルを図14に示す。
【0047】
蒸着角度の変化は正弦波であるが、斜めの蒸着角度の関数としての密度は非線形であり、密度(インデックス)プロファイルは実際には正弦波ではないと期待される。発明者らはMgFで作ったひだのあるフィルタは、θ=51°でと、θ81°で夫々蒸着させたとき、バルクのおおよそ90%と30%との間を変化する密度を有すると見積った。MgFのインデックス及び空気のインデックスから、フィルムの屈折率範囲の大雑把な見積りは、1.11と1.34との間として得られる(navg=1.22、Δn=0.23)。フィルムの厚さはSEMから測定され、Λ=180nmのN=14.5の周期で、約2.6μmであった。この厚さの値は、約1μmよりも厚く蒸着させたときのストレスからの通常の破裂された熱的に蒸気させたMgFよりも大きく、上記フィルムは低いストレスを有するという考えを支持する。上記測定された厚さを利用して、理論的反射スペクトルを、FORTRUNで実行した特性マトリックス方法(CMM)を利用して計算した。測定された、及び理論的反射スペクトルを図14に示す。既知のフィルムの厚さと密度変化の見積りを利用して、CMMモデルを測定されたスペクトルにフィットさせると、インデックス変化は1.13と1.31との間であり(navg=1.22、Δn=0.18)、フィルム密度変化からの見積りと良く一致した。測定されたピークは約460nmを中心にして、反射率はR=82%であり、バンド幅はBW=50nmである。ストレスの効果は上記のフィルムでは低いので、発明者らは、対応する狭いバンド幅のある非常に厚いフィルタを成長させることができると予想した。かかるフィルタは、ファイバーシステムにおける波長分割マルチプレクサ応用にとって、現在非常に興味がある。
【0048】
本発明による薄いフィルムのマイクロ構造で作成された光学フィルタは、図12に示す構造を利用して調整される。蒸着材料は、基板10に位置する電極72から別個の(互いに分離している)螺旋カラム70を伸長させる。電極72はその基板10の他の側にも位置している。別個の螺旋カラム70は、螺旋カラムのキャップ74を形成する密度のある材料の領域で、基板10から遠位にて終端する。キャップ74は、90°に近いθからゼロへ、流れの入射角度を変化させることにより生じ(基板表面に平行な軸の周りの回転に対応している)、螺旋カラムの蒸着は、例えば、高い基板温度又は低融点材料に変えるような高い拡散距離が生じる条件下で終わることは、合理的理由に基づいて信じられている。基板温度を上昇させるには、その基板をクオーツランプからの光に晒すことにより行われる。蒸着させるべき材料の融点の約100℃から200℃内の温度は、高い拡散距離の条件を発生させるのに必要である。
【0049】
図12に示すように、複数の頂部電極77はキャップ層74の頂部にわたる並列ストライプに伸びる、又は単一の電極がキャップの頂部に単一のプレートとして形成される、若しくはキャップは電極自体として働く導電性材料から作られる。電荷を電極72及び77に供給することにより、電極72及び77は互いに引張られ、又は押され、よって螺旋70のピッチが変化する。これは薄いフィルムにより生じたフィルタを調整する効果を有する。
螺旋成長のある薄いフィルムの用途には、高速度装置用の非常に低い誘電体絶縁層のような半導体集積回路製造における応用、光学ファイバー、電気ディレイライン、生物学的ファイバー、エレクトロルミネッセント装置、触媒サポート、ジェットタービンブレードのような高温度サイクリング部品のサーマルコーティング、フラットパネルディスプレイ、熱電気冷却パネル、太陽光吸収体、接着剤表面、電子エミッタ、苦痛のある皮膚の触覚感知、磁気装置、アンチリフレクション/低誘電率コーティング、湿度感知及びマイクロ液体ポンピングシステムのような応用がある。
【0050】
螺旋状の二つの異方性媒体として利用する際には、蒸着材料は、関心のある電磁放射線の波長で少なくとも部分的に透明であるべきである。本発明は、光学的、赤外線、マイクロ波及びミリメータ波長を有する光のフィルタリング有用性のある構造を作ることができると、信じられる。
【0051】
別の実施態様では、基板への蒸気の流れの到達方向は、基板の周りに配した複数の蒸気源の連続的動作により得られる。この動作のため、蒸気源にはスパッタリング装置を利用することが便利である。蒸気源は、基板に配した半球形包囲体の周辺に位置する。例えば、その包囲体の頂点に単一の源があり、数多、例えば4つの源は数層のそれぞれに配する、又は源のリングが頂点から外に向かって及び下に向かって配される。隣接層の源は互いにずれている。蒸気源が作動して連続的に蒸気を発生させ(オン及びオフに調整して)、さまざまな方向に到達させる。基板への蒸気の流れの到達方向は、基板に垂直に、又は入射角度が変化するように回転させる。本発明の原理による基板への蒸気の流れの到達方向における変化を行う他の方法は、当業者には思い浮かび、特許請求の範囲によりカバーされている。
【0052】
当業者は、本発明の本質から逸脱することなく、本特許明細書に記載された発明によって重要でない変更態様を想到するであろう。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1Aは、どのように陰のある模様がカラム状のフィルムのマイクロ構造を形成するのかを、先行技術での理解を示す模式図である。
図1Bから図1Dは、先行技術での流れの角度の変化をどのようにカラム角度及び多孔性を変化させるのに利用されるかを示す。
【図2】 入射の流れ角度でのカラム角度の変化を示すグラフである。
【図3】 従来生じなかったかカラム状の薄いフィルムを模式的に示す。
【図4】 図3で説明した先行技術での限界を、二方向性流れの入射がどのように克服されるのに利用されるかを示すカラム状の薄いフィルムの側面図を示す。
【図5】 図3で説明した先行技術での限界を、二方向性流れの入射がどのように克服されるのに利用されるかを示すカラム状の薄いフィルムの側面図を示す。
【図6】 本発明の原理をなすカラム状フィルムを示す。
【図7】 図7は本発明の一つの態様の操作を示す、回転する基板の平面図である。
図7Aは、基板回転の停止を介在させ、方位角の周りに基板の急速回転中の間の時間間隔の変化を示すグラフである。
図7Bは、基板の繰返し急速スピニング及び停止運動を示すグラフである。
図7Cは、図7Aで示した基板回転を利用して形成された薄いフィルムのカラムの詳細を示す。
図7Dは、周期的に速い及び遅い回転速度での基板の回転を示すグラフである。
図7Eは、図7Dの基板回転の結果から生じたカラム成長を模式的に示す。
【図8】 本発明により形成された新規な螺旋(内部螺旋)を示す斜視図である。
【図9】 側面図で示した典型的基板で、蒸気の流れを利用して基板に薄いフィルムを蒸着させる本発明の一つの態様による装置を模式的に示し、よって極性のある角度変化がどのように蒸気の流れの入射を変化させるかを示す。
【図10】 平面図の基板のある図9の装置を示し、よってその基板の平面の法線を中心とする基板の回転を示す。
【図11】 図11は、図9及び図10の装置で利用される制御素子を示す。
図11Aは、方位角及び極性のある角度の制御モータの配置を示す。
【図12】 模式的に電極を示し、キャップのある基板に蒸着させた螺旋の成長のある薄いフィルムの側面図である(実際に、各電極が数千の螺旋をカバーするので、電極は必ずしも比例したスケールではない)。
【図13】 密度を変化させた薄いフィルムのマイクロ構造の側面図である。
【図14】 バンド幅50nm、反射率82%の干渉フィルタの理論及び測定スペクトルを示すグラフである。

Claims (13)

  1. 蒸着させた薄いフィルムの成長方法であって、
    A)基板の法線を中心としてある回転速度で、前記基板への蒸気の流れの到達方向を回転させながら、斜めの入射角度で一定設定の成長条件下で蒸気の流れを前記基板の表面にまず晒し、第一の成長方向に成長する複数のカラムからなる薄いフィルムの第一の部分が成長する段階と、
    B)その後、前記表面を蒸気の流れに晒しながら、前記設定の成長条件を変化させて、夫々の前記複数のカラムの第二の部分を前記第一の成長方向からずれた成長方向に成長させる段階と、
    C)段階A及び段階Bを繰り返して前記基板にカラムからなる第一の薄いフィルムが生じる段階と、
    を有する方法。
  2. 前記設定の成長条件を変化させることは、前記基板への蒸気の流れの到達方向の回転速度を変化させることからなる請求項1記載の方法。
  3. 前記設定の成長条件を変化させることは、前記基板への蒸気の流れの到達方向の回転速度を減少させることからなる請求項2記載の方法。
  4. 段階Aの各繰返しにおいて、前記基板への蒸気の流れの到達方向は整数回回転する請求項2記載の方法。
  5. 初めの段階B以外の各段階Bにおいて、成長方向は先行する段階Bでの成長方向からずれている請求項2記載の方法。
  6. 各段階Aにおいて、第一の成長方向は前記基板の表面に垂直である請求項2記載の方法。
  7. 初めの段階B以外の各段階Bにおいて、成長方向は先行する段階Bでの成長方向からずれている請求項6記載の方法。
  8. 第一の多孔性を有し、段階A及びBの繰返しにより形成された第一の薄いフィルムは、
    異なる成長条件下で段階A及びBを繰り返し、前記第一の薄いフィルムに、前記第一の多孔性とは異なる第二の多孔性を有する第二の薄いフィルムを成長させることから更になる請求項2記載の方法。
  9. 夫々の薄いフィルム層が段階AおよびBの繰り返しにより形成され、複数の薄いフィルム層で光学フィルタを形成させることから更になる請求項8記載の方法。
  10. 段階A中の前記基板への蒸気の流れの到達方向の回転速度は十分に高く、前記基板への蒸気の流れの到達方向は、前記基板に垂直に測定され、薄いフィルムが蒸着させるべき材料の吸着原子の拡散距離に実質的に等しい距離分成長するのに必要とされる時間内に少なくとも1回回転する請求項2記載の方法。
  11. 勾配のある密度を有する薄いフィルムは、可変成長条件下で段階A及びBを繰り返すことにより作られる請求項2記載の方法。
  12. 前記基板が回転する請求項1記載の方法。
  13. 前記蒸気の流れの斜めの入射角度は、70゜よりも大きいことを特徴とする請求項1乃至12のいずれか一つに記載の方法。
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