JP2001079643A - 大型成形品およびその鋳造金型 - Google Patents

大型成形品およびその鋳造金型

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JP2001079643A JP25706899A JP25706899A JP2001079643A JP 2001079643 A JP2001079643 A JP 2001079643A JP 25706899 A JP25706899 A JP 25706899A JP 25706899 A JP25706899 A JP 25706899A JP 2001079643 A JP2001079643 A JP 2001079643A
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runners
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晃 宝
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圭三 松村
Asao Iguchi
朝男 井口
Takahiko Soyama
隆彦 曽山
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 主に大型家電製品の外装部品を成形する鋳造
法において、箱型の薄肉大型部品を一体成形により鋳造
する。 【解決手段】 鋳造金型は、金型内を流れる溶湯の流路
長が各方向について実質的に等しくなる流路中央部に設
けられて1点の湯口を有しており、コア側金型表面には
湯口から樹枝状に枝分かれして延びる湯道を有してお
り、相隣る湯道の間が薄肉キャビティ部を形成してい
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、固液共存状態の金
属溶湯を成形型に射出して、主に大型家電製品の外装部
品(筐体)を成形する鋳造法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】固液共存状態の金属を用いて行う射出成
形は、液体状態の金属を用いる射出成形と比較すると、
溶湯の流れが乱れの少ない層流となることや凝固までの
温度差が少なく、収縮率が少ないことに起因して、寸法
精度や表面精度の良い成形品が得られるという特徴があ
り、近年、多用されるようになりつつある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】固液共存状態の金属
は、液体状態の金属を用いる成形に比べて、その金属の
固相線温度からの過熱度が小さい。従って、金型内にお
いて溶湯が流動する流路長が比較的長くなる比較的大型
の製品を成形する場合には、金型キャビティ内の全域に
溶湯が充填される前に金属溶湯が凝固を開始してしま
い、充填不良を生じやすいという傾向があった。
【0004】特に、薄肉の成形品を作成するための金型
では、キャビティにおける溶湯の流路高さ(キャビティ
内での溶湯の湯流れ方向に対して垂直な、成形品の厚み
方向についての間隔)が小さいため、溶湯が接触する金
型の単位面積あたりに流入する溶湯の流量の割合は、薄
肉の成形品でない場合と比べると小さくなる。従って、
熱エネルギーの収支を考えると、このような金型では、
供給される溶湯が持つ熱エネルギーは金型の表面へ伝達
放出されやすい結果、溶湯は比較的短時間にて凝固しや
すい条件となっている。
【0005】そこで、従来は、固液共存状態の金属溶湯
を用いて成形する場合、成形品の肉厚を上げて、従って
キャビティの流路高さを大きくすることによって、単位
面積あたりに接触する溶湯の流量を大きくし、溶湯を冷
めにくくして凝固の遅延を図っていた。
【0006】以上のような理由のために、固液共存状態
の溶湯を用いて比較的大型の成形品を成形しようとする
場合には、製品の肉厚を比較的大きく設定する必要があ
り、比較的大型の成形品の薄肉化には限界があった。そ
の限界は、金型内で溶湯が流れる最大の流路長(L)と成
形品壁部の平均肉厚(t)との比(L/t)によって表す
と、300程度であった。
【0007】また、金属材料による成形品の形状が箱型
である場合、箱底に相当する部分を含めた形状のすべて
を一体で成形することは困難である。樹脂成形の場合に
は、箱底に相当する部分を一体成形するために、箱の底
面の中央付近に1点の湯口を設け、ここから溶湯を放射
状に流し込むという成形法が採用されている。
【0008】一方、凝固時間が数十ミリ秒以内である金
属成形の場合には、1点の湯口から放射状に広がる流れ
をつくって充填しようとすると、溶湯の流れる速度は湯
流れ流路の先に進むほど減速するため、単位時間内での
流動距離は湯口から遠ざかるに従って徐々に小さくな
り、キャビティの末端まで充填し終わらないうちに溶湯
が凝固してしまい、充填不良を生じる可能性があった。
【0009】従って、固液共存状態の金属を用いて箱型
形状の成形品を作る場合、最大流路長(L)と肉厚(t)と
の比(L/t)は更に小さくなり、200程度が限界と
なっていた。
【0010】本発明は上記の問題点を解決して、箱型の
薄肉大型成形品を一体成形で得ることを目的とするもの
である。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は1つの要旨にお
いて、金属溶湯を1点の湯口から流し込む鋳造成形用の
金型であって、湯口は金型内を流れる溶湯の流路長が各
方向について実質的に等しくなる流路中央部に設けられ
ており、コア側金型表面には湯口から樹枝状に枝分かれ
して延びる湯道を有しており、相隣る湯道の間が薄肉キ
ャビティ部を形成することを特徴とする鋳造金型を提供
する。
【0012】本発明はもう1つの要旨において、請求項
1〜4のいずれかに記載の鋳造金型を用いて形成される
成形品であって、金型において薄肉キャビティ部に対応
する部分よりも肉厚となっている湯道に対応する部分
は、成形品の内側表面に隆起する形態にて形成されてい
ることを特徴とする成形品を提供する。
【0013】本発明において、樹枝状に枝分かれすると
は、文字通り、樹木が幹から太い枝へ、太い枝から相対
的に細い枝へと、幹の部分から枝先へ向かって分岐しな
がら次第に細い枝に分かれていくような形態を意味す
る。
【0014】従って、コア側金型表面において、湯道
は、湯口から樹枝状に枝分かれして延びているので、湯
道は先端へ向かうに従って、枝分かれを繰り返して次第
に断面積(溶湯が流れる流路としての断面積)は小さく
なってゆく。尚、本発明においてコア側金型とは、成形
品の内側表面を成形する機能を有する金型を意味する。
【0015】尚、薄肉キャビティ部は、成形品における
筐体壁部の大部分を形成する部分であり、樹枝状に枝分
かれして延びている各湯道の隣り合うものの間を連絡す
る部分として設けられている。薄肉キャビティ部は、成
形品の筐体壁部を形成するために最小限必要な厚さ、従
って流路断面積を有している。一方、湯道は、薄肉キャ
ビティ部よりも溶湯を優先して流れさせるための部分で
あるので、その流路高さを比較的大きく設けることによ
って、薄肉キャビティ部よりも比較的大きい流路断面積
を有している。
【0016】成形品は、金型において、薄肉キャビティ
部の部分および湯道の部分を合わせた形状に対応する形
状として形成される。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照しながら本発明
について説明する。
【0018】図1は、本発明の1つの実施態様におけ
る、薄肉大型成形品を一体成形するための金型を斜視図
において示している。11は湯口、12はコア側金型の
製品部の一部として湯口11から樹枝状に枝分かれして
形成されている湯道、13は本来製品部となる板厚に設
定されたキャビティ部分である。
【0019】湯道12の枝分かれについて説明すると、
湯口11から、まず、図1において、右側手前方向、右
側奥方向、左側手前方向および左側奥方向の4方向へ第
1の湯道12aが延びている。右側奥方向へ延びる湯道
12aを例にとると、第1の湯道12aを少し先端方向
へ進んだ部分において、第1の湯道12aから第2の湯
道12bが分岐している。第1の湯道12aを更に先端
側へ進んだ部分において、第3の湯道12cが分岐して
いる。このように、湯道12は、コア側金型表面におい
て、湯口から先端へ向かうに従って、樹枝状に枝分かれ
して、枝分かれした部分の流路断面積は次第に小さくな
ってゆく。
【0020】この樹枝状に枝分かれさせて形成する湯道
は、成形品を形成するキャビティ内での溶湯の流れ方向
に関しては、溶湯が流れる流路のほぼ全長にわたる長さ
を有するように形成されている。従って、相隣る湯道の
間に形成される薄肉キャビティ部13の部分において溶
湯が流れるべき流路長は、金型全体としてみても、平均
的に比較的短くなっている。
【0021】このように、金型が、薄肉キャビティ部よ
りも流路断面積が大きい樹枝状に枝分かれする湯道を有
することによって、金型に注入された溶湯は、最初に流
路断面積が大きく、従って流動抵抗が小さい湯道を優先
的に先端方向へ向かって流れ、湯道の充填がほぼ完了し
てから、湯道よりは流動抵抗が大きい薄肉キャビティ部
へ流入する。その薄肉キャビティ部における溶湯の流路
長は比較的小さいので、本発明の金型を用いる鋳造にお
いては、全体として要する溶湯の充填時間は比較的短く
することができる。
【0022】湯口11は、金型内を各方向に流れる溶湯
の流路長が実質的に等しくなるという意味で流路全体の
中央部分となる流路中央部に設けられている。これは、
湯口に注入された溶湯は、注入圧などの推進力が付与さ
れることによって、湯道およびキャビティ部分の先端方
向へ向かって流れるが、溶湯が流れる流路長が溶湯の流
れる方向によって異なるとすると、流路長の長い部分と
短い部分とでは湯道およびキャビティ部分を充填するた
めの時間に差が生じてしまい、流路長が短い部分につい
ては十分に充填することができても、流路長が長い部分
については、湯道およびキャビティの先端部分まで溶湯
が十分に充填されないうちに、溶湯の温度が低下して溶
湯が固化を開始して、充填不良を生じる可能性があるた
め、このような流路長の長短の差をできるだけ小さくす
ることを意図するものである。
【0023】湯口に注入された溶湯の流路長が、金型の
すべての方向へ向かう流路について完全に同一とするこ
とは実質的には不可能であるので、例えば図1に示す金
型については、湯口11から主たる湯道12が右側手前
方向、右側奥方向、左側手前方向および左側奥方向へ延
びているが、これら各方向についての溶湯の流路長が実
質的に等しくなるように、湯口11を設ける。
【0024】溶湯の流路長が実質的に等しいということ
は、好ましくは、通常の条件下における溶湯の充填の際
に、最も長い流路長を有する湯道と最も短い流路長を有
する湯道との間で、流路長の差がほとんどないことを意
味する。この流路長の差がほとんどないという場合に
は、最も長い流路長を有する湯道と最も短い流路長を有
する湯道とを比較して、その流路長の差が、最も長い流
路長を有する湯道の流路長の10%以下、特に5%以下
であることが好ましい。或いは、この流路長の差がほと
んどないということを充填時間によって表して、最も長
い流路長を有する湯道と最も短い流路長を有する湯道と
の間の充填時間の差が10ミリ秒以下、特に5ミリ秒以
下であること、または、最も長い流路長を有する湯道と
最も短い流路長を有する湯道との間の充填時間の差が最
も長い流路長を有する湯道における充填時間の10%以
下、特に5%以下であることが好ましいと表現すること
もできる。
【0025】従って、成形品が図に示すような箱形の形
状を有するものである場合は当然のことながら、そのよ
うな箱形の形状を有するものではない場合でも、上記の
ような趣旨に基づいて、金型内を流れる溶湯の流路長が
各方向について実質的に等しくなる流路中央部に湯口を
設けることができる。従って、充填むらを防止すること
ができる。
【0026】尤も、成形品が底部および周囲4面を有す
る箱形形状である場合には、その鋳造金型において、1
点の湯口を成形品の底部に対応する部分の中央部に設け
ることによって、1点の湯口を流路中央部に設けること
をより容易に実施することができる。従って、充填むら
の防止をより容易に行うことができる。
【0027】1つの好ましい態様において、湯道の湯流
れ方向に垂直な方向についての断面積に関して、枝分か
れする直前の湯道の断面積と、枝分かれした直後の各湯
道の断面積の総和とが実質的に等しくなるように設定す
ることができる。
【0028】ここで実質的に等しくなるとは、金型内を
流れる溶湯の流路の断面積が、枝分かれする部分の前後
においてはほとんで変化しないと意味である。ほとんど
変化しないとは、金型を制作する上で抜き勾配の必要性
や綾部にアールをつける等の理由によって多少の変動が
あることは許容するが、例えば、断面積が±10%以
上、好ましくは±5%以上、特に±2.5%以上変化す
ることはないということを意味する。
【0029】このように、金型内を流れる溶湯の流路の
断面積が枝分かれする部分で大きく変化しないように金
型を設計することによって、流路の断面積が大きく変化
することにより溶湯の流れの円滑さが損なわれることを
防止することができる。例えば、流路の断面積が急に小
さくなると、溶湯の流れる速度が小さくなって、湯道に
注入された溶湯の内部に圧力が生じ、流路の断面積が小
さくなった部分から先の方へ流れるためにはより大きな
圧力が必要となるために、その部分から先へは溶湯が流
れにくくなったり、また、流路の断面積が急に大きくな
ると、溶湯は流れやすくなるが、大きくなった断面積の
流路を十分に充填するには溶湯の流量が不足して、充填
不良の原因となったりする。
【0030】従って、湯道の断面積については、1本の
湯道が複数の湯道に分岐する場合、枝分かれする直前の
1本の湯道の断面積と、その湯道から枝分かれした複数
の湯道における枝分かれ直後の各湯道の断面積の総和と
が実質的に等しくなるように設定している。例えば、図
1に示す例では、1本の湯道12aが、2本の湯道12
bおよび12cに枝分かれして分岐しており、枝分かれ
直前の湯道12aの断面積は、枝分かれ直後の2本の湯
道12bおよび12cの断面積の総和に実質的に等しく
なるように設定されている。
【0031】この関係は、湯道12cが更に湯道の先端
側において分岐する場合についても、また、他の方向へ
延びる各湯道についても同様に適用される。従って、枝
分かれの前後において湯道の断面積が実質的に等しくな
るように設定することによって、金型内における溶湯の
円滑な流れを確保することができる。
【0032】また、もう1つの好ましい態様において,
湯道の湯流れ方向に垂直な断面における形状を、矩形な
いし台形形状とすることができる。ここで、矩形形状と
は、一般的に長方形と称される形状であり、正方形も含
んでいる。
【0033】湯道の中を流れる溶湯は、湯道に面する金
型の表面に接触することによって、溶湯自体が有する熱
エネルギーの一部を金型に伝達し、従って溶湯自体は冷
やされながら湯道の中を進む。
【0034】従って、矩形形状の断面を有する湯道にお
いては、流入する溶湯が有する熱量に対し、溶湯の放熱
面積を比較的小さくすることができるので、湯道先端に
溶湯が到達するまでの間に溶湯から失われる熱エネルギ
ーを比較的少なくし、溶湯に比較的高い温度を維持させ
ることができる。即ち、温度低下をできるだけ小さく保
って、溶湯を充填することができる。
【0035】図2は、本発明の金型によって鋳造されて
なる箱型でかつ薄肉の大型成形品を示す斜視図である。
この成形品は、図1に示す金型によって内面が成形され
たものであって、図1との関係では、図1に示す金型に
よって鋳造された後、金型から外され、成形品の内部が
見えるように転倒させた状態を示している。1は湯口に
対応して形成された部分であり、2は各湯道に対応して
形成された部分であり、3は金型の薄肉キャビティ部1
3に対応して形成された部分である。
【0036】成形品が底部および周囲4面を有する箱形
形状の成形品である場合には、各湯道12に対応して形
成された部分2および薄肉キャビティ部13に対応して
形成された部分3が、成形品の筐体部分を形成する。
【0037】図2に示す成形品において、湯道12に対
応して形成された部分2は、薄肉キャビティ部に対応し
て形成された部分3よりも比較的肉厚となっており、成
形品の外側表面に現れないで、内側表面に現れるように
形成されている。従って、湯道12に対応して形成され
た部分2は、成形品の内側表面において隆起するように
形成されている。
【0038】このように湯道12に対応して形成された
部分2を成形品の内側表面において隆起するように形成
することによって、本発明に係る樹枝状に枝分かれする
湯道を有する金型を設計する上で、成形品の外側表面に
隆起部を現れさせる場合であれば生じ得る設計上の制約
の増大を防止することができる。
【0039】また、湯道12に対応して形成された隆起
部分2を、成形品の内側表面において隆起するように形
成することによって、成形品において部分的に構造上の
強度を向上させる補強リブとして作用させることもでき
る。尚、湯道12に対応して形成された隆起部分2を全
て残す必要がない場合には、鋳造後の加工によって除去
することができる。
【0040】図3は、以上説明したような本発明の金型
を用いて鋳造する場合に、金型内部において湯道および
薄肉キャビティ部に溶湯が充填されてゆく状態を経時的
に示す模式図である。
【0041】薄肉キャビティ部13は湯道12よりも溶
湯の流路高さが小さいため、相対的に大きい流動抵抗を
有している。従って、湯口11から流入した溶湯は、流
動抵抗が比較的大きい薄肉キャビティ部13へ流入する
よりも、流動抵抗が比較的小さい湯道12へ流れ込む
(図3(a))。湯口11からの溶湯の注入が更に続けら
れると、溶湯は、薄肉キャビティ部よりも流れやすい湯
道の中を優先して流れ、湯道の先端部分まで行き渡り、
薄肉キャビティ部の部分へは溶湯はまだあまり流入して
いない(図3(b))。湯口11からの溶湯の注入が更に
続けられると、溶湯は、その時点にて流れやすい部分と
して残っている薄肉キャビティ部の部分へ湯道から流れ
込む(図3(c))。
【0042】湯道12は、成形品の全体に渡って樹枝状
に枝分かれして延びており、それぞれ相隣る湯道の間が
薄肉キャビティ部13として残されているので、薄肉キ
ャビティ部13の部分において溶湯が流れるべき流路長
は比較的短くなっている。従って、溶湯は、流路断面積
が比較的大きい湯道を最初に充填した後、比較的短い流
路長の薄肉キャビティ部を充填するので、金型への溶湯
の注入は比較的短時間にて行うことができる。
【0043】以上説明したような本発明に係る金型を用
いると、比較的短時間にて温度低下を小さくして鋳造す
る必要がある、固液共存状態のマグネシウム系合金を用
いて鋳造を行う場合にも、好適に鋳造することができ
る。
【0044】本発明の金型を用いて鋳造を行う場合、湯
口11に注入した溶湯は主として、最初は、流動抵抗が
比較的小さい湯道12部分を流れ進み、溶湯が湯道12
の先端部分まで充填した後は、湯道12よりも流動抵抗
が比較的大きい薄肉キャビティ部13へ流れ込むという
湯流れパターンを形成する。
【0045】このような湯流れパターンを形成すること
によって、溶湯は、金型内部において、まず流動抵抗が
小さい湯道部分を流れ進み、その際の温度低下は比較的
小さく保持して、比較的短い時間にて湯道部分を充填
し、次いで、相対的に流動抵抗は大きいが流路長は短い
薄肉キャビティ部部分へ流れ込んで、全体としても比較
的短時間にて金型内部のキャビティを充填することがで
きる。
【0046】従って、より大型の成形品を鋳造する場合
には、その金型内部における溶湯の流路長はより長くな
るが、金型が本発明の構成を有することによって、良好
な充填による鋳造を行うことができる。
【0047】また、より大型の成形品であって、より薄
肉の壁部を有する成形品を鋳造する場合には、薄肉キャ
ビティ部部分における溶湯の流路高さは低くなるように
設定されるが、そのような場合であっても、金型が本発
明の構成を有することによって、良好な充填による鋳造
を行うことができる。
【0048】
【実施例】以下に本発明の1つの実施例を説明する。鋳
造の条件は次の通りである。 成形品 :28インチサイズのTVキャビネット 成形品サイズ :約700mm×約470mm×約160mm 平均肉厚 :1.4mm 合金材料 :マグシウム合金(AZ91D) 金型材料 :SKD61
【0049】かかる大型で薄肉のTVキャビネットを良
好な充填にて鋳造することができた。この薄肉で大型の
TVキャビネットにおける最大流路長(L)と肉厚(t)と
の比(L/t)は、400以上であった。また、従来で
は外装部品(筐体)を分割した部品として形成していた
ため、成形後に外装部品の組み立てが必要であったとこ
ろが、箱底部を含めて箱状成形品を一体成形することに
よって、部品点数を削減することができ、従って、作業
工程数を削減することができる。
【0050】
【発明の効果】本発明によれば、金型において、1点の
湯口を流路中央部に設け、薄肉キャビティ部よりも流路
断面積が大きい樹枝状に枝分かれする湯道を設け、相隣
る湯道の間に薄肉キャビティ部を設けることによって、
全体として溶湯の充填を比較的短時間にて充填すること
ができる。
【0051】また、本発明によれば、成形品が底部およ
び周囲4面を有する箱形の形状である場合には、1点の
湯口を成形品の底部に対応する部分の中央部に設けるこ
とによって、1点の湯口を流路中央部に設けることをよ
り容易に達成することができる。
【0052】また、本発明では、樹枝状に枝分かれする
湯道の湯流れ方向に垂直な断面積に関して、枝分かれす
る前後において湯道の断面積が実質的に変化しないよう
に設定するので、溶湯の円滑な流れを確保することがで
きる。
【0053】更に、本発明では、湯道の湯流れ方向に垂
直な断面を矩形形状とすることによって、溶湯の温度低
下を最小とし、溶湯の充填不良を防止することができ
る。
【0054】本発明に係る金型を用いて鋳造する成形品
について、金型の薄肉キャビティ部に対応する部分より
も肉厚となっている湯道に対応する部分を、成形品の内
側表面に隆起する形態にて形成することができ、従っ
て、成形品の外観のデザインに影響を及ぼすことなく、
上記のような構成の湯道および湯口を有する金型を用い
て成形品を鋳造することができる。
【0055】尚、本発明の金型は、300倍を超える最
長流動距離L対壁部肉厚t比を達成することができるの
で、固液共存状態のマグネシウム系合金を用いて比較的
薄肉で大型の成形品を鋳造するのに好適に用いることが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る金型におけるコア側金型の1つ
の例の示す斜視図である。
【図2】 本発明の金型により鋳造した1つの例におけ
る薄肉大型成形品を示す斜視図である。
【図3】 本発明の金型内において、溶湯の充填が経時
的に進行する様子を摸式的に示す図である。
【符号の説明】
1…湯口によって成形された部分、 2…湯道によっ
て成形された部分、3…製品の外装壁部となる部分、
11…湯口、12…湯道、
13…キャビティ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 井口 朝男 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 曽山 隆彦 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 Fターム(参考) 4E093 NA03 UC02

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属溶湯を1点の湯口から流し込む鋳造
    成形用の金型であって、湯口は金型内を流れる溶湯の流
    路長が各方向について実質的に等しくなる流路中央部に
    設けられており、コア側金型表面には湯口から樹枝状に
    枝分かれして延びる湯道を有しており、相隣る湯道の間
    が薄肉キャビティ部を形成することを特徴とする鋳造金
    型。
  2. 【請求項2】 底部および周囲4面を有する箱形の形状
    の成形品を成形するための鋳造金型であって、1点の湯
    口は成形品の底部に対応する部分の中央部に設けられて
    いることを特徴とする請求項1記載の鋳造金型。
  3. 【請求項3】 樹枝状に枝分かれする湯道の湯流れ方向
    に垂直な断面積に関して、枝分かれする直前の湯道の断
    面積と、枝分かれした直後の各湯道の断面積の総和とが
    実質的に等しくなるように設定されていることを特徴と
    する請求項1または2記載の鋳造金型。
  4. 【請求項4】 湯道の湯流れ方向に垂直な断面が矩形形
    状であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記
    載の鋳造金型。
  5. 【請求項5】 固液共存状態のマグネシウム系合金を用
    いて、請求項1〜4のいずれかに記載の金型によって成
    形してなる成形品。
  6. 【請求項6】 請求項1〜4のいずれかに記載の鋳造金
    型を用いて形成される成形品であって、金型において薄
    肉キャビティ部に対応する部分よりも肉厚となっている
    湯道に対応する部分は、成形品の内側表面に隆起する形
    態にて形成されていることを特徴とする成形品。
  7. 【請求項7】 固液共存状態のマグネシウム系合金を用
    いて成形してなる請求項6記載の成形品。
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