JP2001079088A - 硬膜外用麻酔針の外針 - Google Patents

硬膜外用麻酔針の外針

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Abstract

(57)【要約】 【課題】硬膜外用麻酔針の外針であって、次の条件を満
足するものを提供する。 １．挿入した麻酔針の突出が容易であること、 ２．硬膜外に穿刺したとき、開口刃面の外側前端で硬膜
を損傷するおそれがないこと、 ３．挿入したカテーテルを引き抜くとき、カテーテルが
開口刃面に引っかかったり、損傷したりするおそれのな
いこと、 【解決手段】ステンレス鋼製中空管を部分的に曲げて先
端部（２）を形成し、その先端部（２）を切断して開口
刃面（３）を形成した硬膜外用麻酔針の外針（１）にお
いて、先端部（２）を外針（１）に挿入した麻酔針の先
端が先端部内面に当接しても滑って容易に開口刃面
（３）から突出することができるように、弛く曲げ、開
口刃面（３）は横から見ると、前半部が凸面（４）で後
半部が凹面（５）の波形となり、上から見ると、中空長
円形ないし角の丸い中空長方形の長辺を外方に湾曲させ
た形となるように形成し、開口刃面（３）の外側及び内
側前端（６、７）の切刃角度を従来の２倍以上にした。

Description

【発明の詳細な説明】
【０００１】
【発明の属する技術分野】本発明は、硬膜外用麻酔針の
外針に関する。
【０００２】
【従来の技術】硬膜外用麻酔針は内針と外針からなる二
重針であり、穿刺後、内針を抜取り、ガイドとしての外
針にカテーテル、脊椎麻酔用針等を挿入する。従来の外
針はステンレス鋼製中空管の先端部を曲げて斜めに切断
してなるスパイラル針である。先端部の開口刃面は平面
上に位置する中空楕円形であり、外側前端の切刃角度は
約３０度であり、比較的鋭利である。
【０００３】図５に示すように、従来の外針８は先端部
９の曲げが比較的急なため、外針に挿入した麻酔針１０
の先端は必ず先端部９の内面に斜めに立った状態で接触
する。その結果、麻酔針の摺動に対して大きな摩擦抵抗
を生じ、麻酔針の先端を開口刃面１８から容易に突出さ
せることができないという問題があった。この問題を克
服するため、図６及び図７に示すように、外針１９の先
端部の曲げを弛くすることが提案されている。この外針
１９に挿入した麻酔針２０の先端は、外針先端部２１の
内面に接触せずに開口刃面２２から抜けることもできる
が、挿入の仕方によっては外針先端部２１の内面に接触
する。麻酔針２０の先端は、外針先端部２１の内面に接
触しても双方の交差角は小さいから、摩擦抵抗は小さ
く、麻酔針２０は外針先端部内面を滑らかに摺動して容
易に外針１９の開口刃面２２から突出する。しかし、こ
の外針１９は硬膜外に穿刺したときに、硬膜を傷付けや
すく、又、外針に挿入したカテーテルを引き抜くときに
開口刃面２２にカテーテルが引っかかって損傷しやすい
という問題が生じた。
【０００４】この外針１９が硬膜を傷付ける原因は、先
端部２１の曲がりを弛くしたため、開口刃面２２の鋭利
な切刃角度を有する外側前端２３が垂直に近い角度で硬
膜に当たることによる。又、カテーテルが開口刃面２２
に引っかかって損傷する原因は、開口刃面２２が細長い
中空楕円形であるため、カテーテルが開口刃面２２の後
半部にくさびのようにはまり込み、鋭利な切刃角度を持
つ開口刃面１３の内側前端２４に接することによる。
【０００５】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記問題を解
決するためになされたものであり、その課題とするとこ
ろは、次の条件を備えた硬膜外用麻酔針の外針を提供す
ることにある。 １．硬膜外に穿刺するとき、開口刃面の外側前端で硬膜
を損傷するおそれが少ない。 ２．挿入したカテーテルを引き抜くとき、カテーテルが
開口刃面の後半部に引っかかったり、開口刃面の内側前
端で損傷を受けない。 ３．外針に挿入した麻酔針の先端が、外針の開口刃面か
ら容易に突出する。
【０００６】
【課題を解決するための手段】前記課題を達成するた
め、本発明が採用する手段は、ステンレス鋼製中空管か
らなる硬膜外用麻酔針の外針において、麻酔針の先端が
先端部内面に接触しても、滑って先端部の開口刃面から
突出するように先端部を曲げ、開口刃面をその長短径を
含む平面に対して前半部が突出する２つの凸面に、後半
部が凹む２つの凹面になるように形成して、開口刃面の
外側及び内側前端の切刃角度を従来の平面開口刃面のも
のよりも大きくしたことにある。
【０００７】開口刃面の２つの凸面及び凹面は、開口刃
面の外長径を含み外短径に直交する平面に関して対称に
形成することが好ましい。これらの凸面及び凹面は滑ら
かに連続する波形曲面に形成することが好ましいが、曲
面同士又は曲面と平面もしくは平面同士が交差して又は
段付きで接続する形状にしてもよい。開口刃面の外側前
端及び内側前端の切刃角度が従来の開口刃面が平面であ
ったものの２倍以上、例えば６０度ないし９０度とする
ことが好ましい。
【０００８】開口刃面は、上から見た形状が中空長円形
ないし角の丸い中空長方形の長辺を外方に湾曲させた形
に形成すると、カテーテルを引き抜くときに、開口刃面
後半部にカテーテルがくさび状に引っかかるおそれは少
ない。たとえ、カテーテルが開口刃面の内側前端に接し
ても、その切刃角度は鈍いから、カテーテルが内側前端
の切刃によって損傷するおそれは少ない。
【０００９】
【発明の実施の形態】本発明を図面に示す実施例に基づ
いて説明する。図１及び図２は本発明第１実施例の外針
の平面図及び縦断面図である。図１及び図２に示すよう
に、外針１は、細いステンレス鋼管の先端部分を曲げて
放電加工等により切断したものである。外針１の先端部
２は、曲率を比較的弛くして、挿入した麻酔用針の先端
が内面に当接しても停止せずにそのまま滑るようにした
から、従来の曲率の急なものに比べると、外針１の反り
上がりは小さい。外針１の開口刃面３は凹凸するが、そ
の外長径と外短径は、管径が同じであれば、従来のもの
と同じである。
【００１０】開口刃面３の前半部は、開口刃面３の外長
径と外短径を含む平面に対して突出する２つの凸面４で
あり、後半部はその平面に対し沈む２つの凹面５であ
る。２つの凸面４と凹面５はそれぞれ開口刃面の外長径
を含み外短径に直交する平面に対して対称である。その
外長径を含み外短径と直交する平面において、凸面４と
外針１の外周母線との交角が開口刃面３の外側前端６の
切刃角度であり、凹面５と外針１の内周母線との交角が
開口刃面３の内側前端７の切刃角度である。凸面４は、
外側前端６の切刃角度が、従来の開口刃面が平面のもの
の約２倍、例えば６０度になるように形成した波形曲面
である。凹面５は、内側前端７の切刃角度が従来のもの
の約２倍、例えば６０度になるように形成した波形曲面
である。隣接する凸面４同士、凹面５同士、凸面４と凹
面５はそれぞれ滑らかに連続する。
【００１１】この外針１を硬膜外に穿刺すると、先端部
２の曲率が弛いので、開口刃面３の外側前端６は硬膜に
対して垂直に近い角度で当たるが、外側前端６の切刃角
度は比較的大きくて鈍いから、硬膜が損傷するおそれは
少ない。凹凸する開口刃面３は、上から見ると、中空長
円形に近い形状であり、図示していないが、外針１に挿
入したカテーテルを引き抜くとき、カテーテルは開口刃
面３の後半部にくるが、後半部は中央がなだらかな弧状
であるから、カテーテルが開口刃面３の後半部にくさび
状に引っかかるおそれは全くない。又、カテーテルが開
口刃面３の内側前端７に接触しても、その切刃角度は比
較的大きくて鈍いから、カテーテルが損傷するおそれは
ない。
【００１２】
【実施例】次に、図３及び図４に示す本発明の第２実施
例を説明する。図３は第２実施例の先端部の平面図、図
４は縦断面図である。第２実施例の外針１１も、第１実
施例と同様に一定長のステンレス鋼管の先端部分を弛く
曲げ、ついで、そこを放電加工等により切断して製作し
たものである。開口刃面１３は上から見ると角の丸い中
空長方形の長辺を外方に湾曲させた形であるが、その外
長径及び外短径は、管径が同一であれば、従来のものと
同じである。
【００１３】開口刃面１３を短径方向に見ると、開口刃
面１３の前半部の凸面１４は、外針１１の下側外周母線
から直角に立ち上がり、ついで小円弧を描いて外針１１
の先端部１２の中心に向かって直線で延長し、そのまま
後半部の凹面１５に移行する。後半部の凹面１５は外針
１１の上側近傍で小円弧を描き、ついで外針１１の上側
外周母線と直交する。この開口刃面１３の外側前端１６
の切刃角度は９０度であるから、切刃作用はほとんどな
い。したがって、この外針１１は硬膜外穿刺時に硬膜を
損傷するおそれは全くない。又、上から見ると、開口刃
面１３の内側前端１７は平坦であるから、カテーテルが
引っかかるおそれはない。さらにカテーテルが開口刃面
１３の内側前端１７に当接しても、内側前端１７の切刃
角度は９０度であるから、カテーテルが損傷を受けるお
それは全くない。
【００１４】
【発明の効果】上記のとおり、本発明の硬膜外用麻酔針
は、外針に挿入した麻酔針の先端が外針先端部の曲がり
内面に接触しても容易に滑り抜けることができるよう
に、外針先端部を弛く曲げているので、開口刃面の外側
前端は硬膜に直角に近い状態で当たるが、従来の開口刃
面が平面上に位置する中空楕円形のものとは異なり、開
口刃面をその外長径と外短径を含む平面に対して前半部
を２つの凸面に後半部を２つの凹面に形成して開口刃面
の外側及び内側前端の切刃角度を従来のものよりも大き
くして、開口刃面を中空長円形ないし角の丸い中空長方
形の長辺を外方に湾曲させた形としたから、麻酔針の先
端を外針から容易に突出させることができるだけでな
く、硬膜外穿刺時に外針の外側前端で硬膜を損傷するお
それも、カテーテルが外針の開口刃面に引っかかるおそ
れも、開口刃面により損傷するおそれもないという優れ
た効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明第１実施例の外針の要部平面図、
【図２】第１実施例の要部縦断面図、
【図３】第２実施例の図１に相当する図、
【図４】第２実施例の図２に相当する図、
【図５】従来例の要部縦断面図、
【図６】別の従来例の要部平面図、
【図７】別の従来例の図５に相当する図、
【符号の説明】 １：外針 ２：先端部 ３：開口刃面 ４：凸面 ５：凹面 ６：外側前端 ７：内側前端 ８：外針 ９：先端部 １０：麻酔針 １１：外針 １２：先端部 １３：開口刃面 １４：凸面 １５：凹面 １６：外側前端 １７：内側前端 １８：開口刃面 １９：外針 ２０：麻酔針 ２１：先端部 ２２：開口刃面 ２３：外側前端 ２４：内側前端

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項１】 曲がる先端部（２、１２）に開口刃面
    （３、１３）を有する硬膜外用麻酔針の外針（１、１
    １）であって、前記外針に挿入した麻酔針の先端が前記
    開口刃面から容易に突出するように、前記先端部は弛く
    曲げられ、前記開口刃面は前半部が前記開口刃面の外長
    径と外短径を含む平面から突出する２つの凸面（４、１
    ４）であり、外側前端（６、１６）が前記開口刃面の外
    長径と外針外周母線との交角よりも大きい切刃角度を有
    することを特徴とする硬膜外用麻酔針の外針。
  2. 【請求項２】 前記開口刃面は後半部が前記外長径と前
    記外短径を含む平面から凹む２つの凹面（５、１５）で
    あり、内側前端（７、１７）が前記開口刃面の外長径と
    外針内周母線の交角よりも大きい切刃角度を有すること
    を特徴とする請求項１記載の硬膜外用麻酔針の外針。
  3. 【請求項３】 開口刃面（３、１３）の２つの凸面
    （４、１４）と２つの凹面（５、１５）は前記開口刃面
    の外長径を含み外短径と直交する平面に関して対称であ
    ることを特徴とする請求項１又は２記載の硬膜外用麻酔
    針の外針。
  4. 【請求項４】 外側前端（１６）の切刃角度は直角であ
    ることを特徴とする請求項１ないし３のいずれか１つに
    記載の硬膜外用麻酔針の外針。
  5. 【請求項５】 内側前端（１７）の切刃角度は直角であ
    ることを特徴とする請求項２ないし４のいずれか１つに
    記載の硬膜外用麻酔針の外針。
  6. 【請求項６】 開口刃面（３）は上から見ると中空長円
    形であることを特徴とする請求項３記載の硬膜外用麻酔
    針の外針。
  7. 【請求項７】 開口刃面（１３）は上から見ると角の丸
    い中空長方形の長辺を外方に湾曲させた形であることを
    特徴とする請求項３記載の硬膜外用麻酔針の外針。
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