JP2001079019A - 歯科用ペースト状陶材 - Google Patents
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Abstract
ブリッジまでの幅広い修復物の築盛を容易に行うことが
できるよう、コンデンス操作を必要とせず、予め気泡の
無いペースト状にしておき、且つ長期保存においても安
定であり、使用時に乾燥・硬化しにくく、更には色調の
把握も容易な歯科用ペースト状陶材を提供する。 【解決手段】 2価又は3価のアルコール,ヒドロキシ
ル基の残存したエーテル及びヒドロキシ(メタ)アクリ
レートから選ばれた一種又は二種以上の有機溶媒及び/
又は水に、合成及び/又は天然の親水基を持った高分子
材料を溶解して、23℃の恒温中で回転数1rpmの条
件で換算定数を1.61×104として測定した粘度が
50,000cps〜1,500,000cpsの値を示
すバインダー:7〜45重量部と残部の陶材粉末を混合
してペースト状とする。
Description
綴修復に使用され、特に歯科技工士の手作業による特殊
な築盛技術を必要とする、ラミネートベニヤ用陶材,金
属焼き付け用陶材,オールセラミックス用陶材などの歯
科用陶材として好適に使用される歯科用ペースト状陶材
に関するものである。
流れとして、歯科診療や歯科技工の操作を短縮し且つ容
易にするための様々な工夫がなされている。また、CA
D/CAMといったコンピューター制御の切削加工で人
の手を掛けずに金属又はセラミック製の歯冠,インレー
及びベニヤ(歯牙の前面に貼り付けて用いるようにされ
た審美歯科の術式の一つ)を作製する機械も市販され始
め、確実に歯科技工作業の時間短縮と簡便化とが行われ
るようになってきている。
である歯科技工士が補綴物を作製するために行う陶材の
築盛操作に関しては、陶材粉末が砂状であるため賦形性
が悪く、これに加えてこの陶材粉末間の一時的なバイン
ダーとして水を用いているためより一層築盛操作がし難
くなっているのである。そして、この築盛操作時にバイ
ンダーとして用いた水の余剰分を除去するため、振動を
付与することによってコンデンス操作を行うのである
が、初級の歯科技工作業の従事者(以下、単に従事者と
称することがある)では変形してしまうことが多い。
ブリッジなどを作製する場合には築盛範囲が広くなるの
で、補綴物が変形してしまう可能性が大きいため慎重で
過大な技工作業時間が必要とされていたのである。その
ため、従事者の中でもセラミストと呼ばれる熟練した上
級者のみが陶材を築盛していたのである。
って前述したような問題を克服するための試みもなされ
てきている。それは、陶材粉末間の一時的なバインダー
として、蒸留水よりも所定の形状を付与し易くする、即
ち賦形性を良好にする有機材料を若干含んだフォーミン
グリキッドを用いることで、築盛作業を幾分容易に行え
るようにしたものである。しかしながら、この試みにお
いても築盛した後の余剰水分を取り出すためのコンデン
ス操作が必要とされることには変わりがないし、ロング
スパンの築盛にもまだまだ高度な技術が必要とされてい
るのである。
盛した場合に遭遇する問題の一つに色合わせがある。こ
れは、初級の段階では築盛作業自体もなかなか難しいの
であるが、例え築盛ができたとしても完成後の補綴物の
色彩が意図されたものにはならないことが多い。一方、
歯冠材料として同じ目的で使用されるペースト状の硬質
レジン材料は容易に築盛が可能であり、初級者において
も色合わせも含め難なく築盛することが可能である。そ
の理由は、陶材には築盛後に650〜1000℃程度の
高温による焼成という工程が入るためであり、硬質レジ
ン材料にはこのような工程がなくそのまま使用されるた
めである。
補綴物の作製において高度な技術を要する築盛時のコン
デンス操作の必要がなく初級者にも扱い易い陶材であ
り、そして従来の粉末状で提供されその使用直前に一時
的なバインダーとして水等で混和して用いられる陶材で
作製された補綴物と比較しても形態や色調の点において
同等以上と見なすことのできる陶材である。これは、陶
材としての操作性を向上させるばかりでなく、その焼成
後の材質の比較において、物理的性質及び化学的耐久性
が従来の市販陶材と同等以上であることを意味している
のである。
対してはその焼成後に炭素等の残渣による影響(黒ずみ
など)が肉眼で観察されないこと,また残渣による影響
としては表面性状に悪影響を及ぼさないようにしてその
表面の凹凸が従来品と同等であることが肉眼で確認でき
ること,更に陶材中にはコンデンス操作を不要としたこ
とにより製造時や築盛時にその内部に取り込まれた気泡
が焼成後に存在しないこと,加えて物理的性質の点では
国際規格であるISO規格を満足することなどである。
うな陶材を開発すべく陶材の粉末に対してのみ試行錯誤
を重ねたが、前記条件を全て克服できるような満足のい
く効果を得ることはできなかった。そこで、目先を変え
陶材を練和するための練和液に注目したのである。この
ような用途に用いられる練和液としては、例えば特開平
7−101818号公報に開示されているような光重合
開始剤を含有させているものがある。しかし、このよう
な光重合開始剤を含む練和液は保存性の点で問題があ
る。それは、長期に渡って保存した場合や保存中に強い
光の照射を受けてしまった場合のみならず、築盛に長時
間を掛けたりすると練和液自体及び築盛中の陶材も硬化
してしまい、成形することが困難になってしまうからで
ある。また光照射にて反応を開始させる為、工程が煩雑
になる。
に注意を払う必要がなくて陶材の操作性も確保しようと
した試みとして、例えば特開昭61−199853号公
報に開示されたようなグリセリンを用いて陶材の状態を
ペースト状になしたものがある。この試みは、方向性と
しては妥当であるが、グリセリン中における陶材粉末の
分散の均一化を計ることや残渣(残留炭素など)である
灰分の抜け及び粘度の調整の点などで難しい面があるこ
とが判ったのである。
された補綴物の表面に焼き付けられて下地の金属色を遮
蔽するためのオペーク用陶材(以下、単にオペークと称
することがある)をペースト状に成すためのバインダー
として用いられている。そしてこのグリセリンは、後述
するB型粘度計を用いて23℃の恒温中で測定した粘度
粘度の測定結果によると、回転数1rpmでは低粘度過
ぎるため測定不可能で、換算定数を1.61×104と
した場合に10rpmでは1,932cpsで、100
rpmでも4,491cpsであり、粘性が低いことが
判る。しかして、このようなバインダーを用いたのでは
混和された陶材としてのチキソトロピー性がほとんどな
いから、陶材を築盛する際に賦形し難いのである。
うにチキソトロピー性がほとんどないようにされている
ためである。即ち、オペークは金属色の遮蔽が目的であ
るからできるだけ薄くされていることが望ましいのであ
る。なぜなら、このオペーク層の上にデンチン層,エナ
メル層及びトランス層などを重ねるからであり、補綴物
としての大きさや形状の制約からオペーク層が厚くなる
とこれらの層を薄くせざるを得なくなり、天然歯に近い
色調が得られなくなるからである。
層に比べてかなり薄い(約1/10以下)ために灰分が
抜け易く、仮りに残っていてもエナメル層やトランス層
のような透明性を必要としないから、比較的自由にこの
オペークをペースト状になすためのバインダーを選択で
きるのである。
としては、コンデンス操作を行う必要が無い予めペース
ト状としておいて操作を容易にすると同時に気泡の混入
が全くないものとしておき、更に初期状態のままでの長
期保存にも耐え、製作に時間の掛かるロングスパンの補
綴物の築盛中にも意図に反して硬化してしまうことが無
く、色調の把握も容易で初心の従事者でも直ぐに使いこ
なすことが可能で、従事者や陶材を焼成するための電気
炉へもほとんど悪影響を及ぼすことがない取扱いと保存
の容易なペースト状陶材を提供することを課題とする。
解決すべく、先ず陶材をペースト化するために用いるバ
インダーについて種々の検討を行った結果、バインダー
として2価又は3価のアルコール,ヒドロキシル基の残
存したエーテル及びヒドロキシ(メタ)アクリレートか
ら選ばれた一種又は二種以上の有機溶媒及び/又は水
に、合成及び/又は天然の親水基を持った高分子材料が
溶解されたものを使用することにより、経時変化のほと
んどない所望の高粘度のバインダーが得られることが判
った。そして、このバインダーと陶材粉末とを所定の割
合で混合・練和することにより、賦形性が高くて前記課
題を満足する歯科用ペースト状陶材が得られることを究
明し、本発明を完成するに至ったのである。
ル,ヒドロキシル基の残存したエーテル及びヒドロキシ
(メタ)アクリレートから選ばれた一種又は二種以上の
有機溶媒及び/又は水に、合成及び/又は天然の親水基
を持った高分子材料が溶解されており、23℃の恒温中
で回転数1rpmの条件で換算定数を1.61×104
として測定した粘度が50,000〜1,500,000
cpsの値を示すバインダーが7〜45重量部と残部の
陶材粉末とで100重量部となるように両者が混合され
てペースト状を呈していることを特徴とする歯科用ペー
スト状陶材である。
おいて、使用される陶材粉末の平均粒径が1μm〜10
0μmであると陶材粉末が均一に混合されるばかりか焼
成後にざらつき感がないので好ましく、その成分とし
て、分散剤,界面活性剤,保湿剤,防腐剤,消泡剤及び
滑剤から成る1種又は2種以上の添加剤が0.1〜5重
量部添加されているとより好ましいことも究明したので
ある。
材は、陶材粉末とこの陶材粉末が混合されてペースト状
を呈するバインダーとしての、2価又は3価のアルコー
ル,ヒドロキシル基の残存したエーテル及びヒドロキシ
(メタ)アクリレートから選ばれた一種又は二種以上の
有機溶媒及び/又は水に合成及び/又は天然の親水基を
持った高分子材料が溶解されたものとから構成される。
有機溶媒及び/又は水に限定した理由は、本発明に係る
歯科用ペースト状陶材も従来の陶材粉末と同様に築盛に
使用するものであるが、この築盛の際(築盛時間は長く
ても2時間以内である)にバインダーが揮発してしまっ
たのではペースト状にした効果が得られないのと、この
特定の有機溶媒及び/又は水に溶解された合成及び/又
は天然の親水基を持った高分子材料が築盛後に効率良く
分解燃焼されるからである。
有機溶媒としては、例えば、1,2−エタンジオール、
1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオー
ル、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオー
ル、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオー
ル、1,5−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオ
ール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、3−メ
チル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−1,4
−ブタンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオー
ル、2−メチル−1,3−プロパンジオール等の2価の
アルコール、グリセリン等の3価のアルコール、ジエチ
レングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチ
レングリコール、ポリエチレングリコール(平均分子量
200〜600)、ジプロピレングリコール、ポリプロ
ピレングリコール(平均分子量300〜4,000)、
エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリ
コールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ
メチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエー
テル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチ
レングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコ
ールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプ
ロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエ
ーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテ
ル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエ
チレングリコールモノメチルエーテル,ジグリセロール
等のヒドロキシル基の残存したエーテル、2−ヒドロキ
シエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリ
レート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒ
ドロキシプロピルメタクリレート等のヒドロキシ(メ
タ)アクリレートを挙げることができ、これらの中から
選ばれた一種又は二種以上が使用できる。
立ち全て熱分解装置により熱重量測定試験を行い、その
分解燃焼温度測定を行う。この理由は、陶材粉末の材料
として用いる陶材ガラスの軟化点以下の温度で、前述の
有機溶媒が全て分解燃焼する必要があるからである。な
ぜなら、陶材ガラスの軟化点が有機溶媒の分解燃焼温度
より低い場合には、でき上がった補綴物(陶材)中に炭
素が残ってしまって色調が灰色化してしまったり気泡痕
が発生してしまう恐れがあるので好ましくないからであ
る。
ては、前述の特定の有機溶媒の代わりに水を使用した
り、前述の特定の有機溶媒と水との混合物を使用するこ
ともできる。
解されて所望の粘性を有するバインダーを構成する合成
及び/又は天然の親水基を持った高分子材料としては、
例えば、ポリアクリル酸アンモニウム塩、ポリアクリル
酸ナトリウム塩、メチルセルロース、ヒドロキシプロピ
ルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、
ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシエチル
セルロース、ポリアクリルアミド、ポリエチレングリコ
ール(平均分子量1,000〜6,000)、ポリエチレ
ンオキサイド、ポリビニルアルコール、カルボキシメチ
ルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム
塩、カルボキシメチルセルロースアンモニウム塩、アル
ギン酸ナトリウム塩、アルギン酸アンモニウム塩、ポリ
ビニルピロリドン、ポリビニルピロリドン・ビニルアセ
テート共重合体、ポリビニルピロリドン・マレイン酸共
重合体、イソブチレン・無水マレイン酸共重合体、メチ
ル・ビニルエーテル/無水マレイン酸共重合体、メチル
・ビニルエーテル/無水マレイン酸アンモニウム塩、メ
チル・ビニルエーテル/無水マレイン酸ナトリウム塩、
デンプン、ゼラチン、アルギン酸、ポリアクリル酸、カ
ラギーナン、ローカストビーンゴム、グアーガム、アラ
ビアゴム、トラカントゴム、リグニンスルホン酸塩、カ
ードラン、プルラン、コンニャクマンナン、キシラン、
キサンタンガム等を挙げることができる。
液にアミン、好ましくは3級アミンを添加して塩を作っ
て中和したり、前記した合成及び/又は天然の親水基を
持った高分子材料を水に直接溶解したものを使用するこ
ともできる。
機溶媒及び/又は水と前記した合成及び/又は天然の親
水基を持った高分子材料との組合わせや配合割合は、状
況に応じて適宜決定すればよい。また、これら材料を含
む共重合体を用いても良いことは言うまでもない。
必要に応じて分散剤,界面活性剤,保湿剤,防腐剤,消
泡剤を添加しても良く、場合によりこれらの添加剤を1
種類のみ又は2種類以上を適宜組み合わせて用いても良
い。前述した添加剤の他に、パラフィンワックスやマイ
クロクリスタリンワックスのエマルジョンやアクリルエ
マルジョンを含めたエマルジョンなどが添加用の滑剤と
して用いても良い。この滑剤は、前述した添加剤と同時
にバインダーに添加することができるし、また単独で用
いても良い。
は水と高分子材料との合計100重量部に対して0.1
〜5重量部の範囲であることが好ましい。その理由は、
0.1重量部未満の場合には添加剤の効果が得られず、
5重量部を超えた場合には添加剤の組合わせにより粘度
低下を招き操作性に悪影響を及ぼすことがあるためであ
る。
に、所望の粘性を与えて築盛時における賦形性を向上さ
せるため、合成及び/又は天然の親水基を持った前記高
分子材料を溶解して23℃の恒温中で回転数1rpmの
条件で換算定数を1.61×104として測定した粘度
が50,000cps〜1,500,000cpsの値を
示す高粘度のバインダーを作製するのである。この粘度
が50,000cps未満では粘度が低すぎるためにば
さつき感が大きくて良好なペースト状にならず、1,5
00,000cpsを超えると製作した歯科用ペースト
状陶材の粘度が高すぎて築盛作業を良好に行うことがで
きなくなるからである。
材粉末としては、従来から市販されている金属焼き付け
用陶材,ラミネートベニヤ用陶材,オールセラミックス
用陶材等の一般的な歯科用陶材を使用することができ、
特に限定されるものではない。
も良い。この結晶とは、例えば、リューサイト,カリ長
石,フッ素金雲母,ディオプサイド,マイカ,β−スポ
ジュウメン,β−メタリン酸カルシウム,アパタイト,
チタン酸マグネシウム,カルジオプサイド,トレメラ
イ,アルミナ等を挙げることができ、これらの結晶が、
金属焼き付け用陶材,オールセラミックス,ラミネート
ベニヤなどの用途に応じて1種類又は2種類以上を適宜
組み合わせて用いられていても良い。
用途に応じて単一組成から2種類以上のものを適宜組み
合わせた組成にされていても良い。この時、留意すべき
事柄として、熱分析測定により単一又は組み合わせて用
いられた陶材中のガラスの軟化点が前記バインダーの分
解燃焼温度よりも高温となるようにしなければならない
ことは既に述べた通りである。
とで100重量部となるように混合されていることが必
要である。その理由は、バインダーと陶材粉末との混合
物100重量部中、陶材粉末が7重量部未満ではバイン
ダーの含有率が大すぎるため築盛後に焼成した際に陶材
中に灰分が多く残って色調に陰りが生じたり、更には焼
成中に煙が多く発生するので好ましくなく、45重量部
を超えるとバインダーの含有率が少なすぎるため築盛時
に垂れが大きくなって細かな形態付与が困難になるから
である。
しては平均粒径が1〜100μmのものが好ましい。そ
の理由は、陶材の平均粒径が100μmを超えるとザラ
ザラとした感じが顕著になりしかも操作性が悪くなって
築盛し難くなるからであり、1μm未満であるとでき上
がりの補綴物の表面(陶材)の透明感が損なわれてしま
うので好ましくないのである。しかして、ここで築盛時
における操作性を重視する場合には、陶材の平均粒径が
7〜50μmであると築盛が比較的容易になるのでより
好ましいのである。
された本発明に係る歯科用ペースト状陶材は、例えば焼
き付け用陶材として使用された場合、ボディとして使用
するデンチン,エナメル,トランスルーセントは勿論の
こと、この他オペーカスデンチン,サービカルデンチ
ン,マージンポーセレンとしても使用することができる
のである。
ースト状陶材を具体的に説明するが、本発明はこれに限
定されるものではない。なお、実施例中に示した焼成条
件,粘度測定,強さ,色調,面滑沢性及び操作性の評価
方法は次の通りである。
を、所定のモールドに充填し成形体を作製した。この成
形体をポーセレンファーネス(商品名:セラミマートF
A−IV,株式会社ジーシー製)を用い、炉内温度600
℃にされた焼成炉を所定位置から装置本体上の焼成台上
に置かれている成形体のところまで10分間かけて降下
させこの焼成炉と装置本体とが密着後に同温度にて2分
間係留させる乾燥工程と、更にこの乾燥工程の最後で成
形体が炉内に密閉(真空)状態にて完全に収納されてい
る状態にて昇温速度50℃/分にて加熱する加熱工程
と、予め陶材粉末の組成により想定されている焼成温度
に達したらその温度において1分間係留した後に焼成炉
に対する電力の供給を停止するという係留工程とから成
る真空焼成を行った。その後、この成形体が焼成台に置
かれたままの状態にてして、電力の供給が停止された焼
成炉を2分間掛けて所定位置まで上昇させながら成形体
の冷却を行った。
に充填し、B型粘度計(商品名:B8U形式,東京計器
株式会社製)にて、回転数1rpmの条件で回転開始か
ら5分後、指示板の指示値(目盛り)を読み取り、換算
定数を1.61×104として測定した測定値を次式に
代入し、バインダーの粘度とした。 粘度=測定値×換算定数(1.61×104)/回転数
5mm×2mm×25mmの大きさの平板状のモールド
に充填し成形体を作製した。この成形体を前記(1)に
示した焼成条件と同じ条件にて焼成した。その後、取り
出し冷却した成形体を38μmのSiC耐水研磨紙を用
いて4mm×1.2mm×22mmの大きさの平板状に
なるよう注水下で粗研磨し、更に、15μmのSiC耐
水研磨紙を用いて表面を注水下で仕上げ研磨してこれを
測定試料とした。この測定試料を万能試験機(商品名:
オートグラフ,株式会社島津製作所製)を用いて、支点
間距離15mm,クロスヘッドスピード1mm/分の条
件にて3点曲げ強さを測定した。
価した。陶材粉末とバインダーとが混和されたペースト
状陶材を、所定のモールドに充填し成形体を作製した。
この成形体を前記(1)に示した焼成条件と同じ条件に
て焼成した後、38μmのSiC耐水研磨紙を用いて注
水下で粗研磨して成形し、更に15μmのSiC耐水研
磨紙を用いて注水下で表面研磨し、厚さ1mm,直径1
0mmの円盤状の試料を作製した。その後、この試料の
表面を3.75μmのSiC耐水研磨紙を用いて注水下
で鏡面研磨を行い試験試料とした。この試料を分光測色
計(商品名:PR−650,ミノルタカメラ株式会社
製)により、三刺激値の一つであるY値を測定した。そ
して、試料の背景を白色標準板にしたときの測定値であ
るYW値(以下、YW値と言う)と試料の背景に黒色標
準板を用いたときの測定値であるYB値(以下、YB値
と言う)の各々を測定して、コントラスト比を次式によ
り算出した。 コントラスト比=YB値/YW値 しかして、透明性は上式で得られたコントラスト比を用
いて、次式により算出した。 透明性=1−(コントラスト比)=1−YB値/YW値 ここで透明性は0から1の範囲内で変化する数値であ
り、その値が大きいほど透明性が高いことを示す。従っ
て、焼成後の陶材中において残灰分が多い場合には、そ
の値はより小さくなることになる。
を、直径20mm,厚さ2mmのモールドに充填し成形
体を作製した。この成形体を前記(1)に示した焼成条
件と同じ条件にて焼成した後、この成形体の表面を38
μmのSiC耐水研磨紙を用いて注水下で粗研磨し、更
に15μmのSiC耐水研磨紙を用いて注水下で仕上げ
研磨を行い測定試料とした。また、標準試料として市販
の陶材であるトランスルーセントT2(商品名:ジーセ
ラオービット,株式会社ジーシー製)をコンデンス法に
より前述のモールド(直径20mm,厚さ2mm)に充
填し、成形体を作製した。そして、この成形体も前述の
成形体(測定試料)と同様の手順にて表面研磨し標準試
料とした。測定試料と標準試料との両者を肉眼で観察
し、表面気泡の数を確認した。標準試料に対して、 ×:測定試料の表面の気泡数が多い場合 △:気泡数が同等な場合 ○:気泡数が少ない場合 として評価した。
名:ジーセラオービット,株式会社ジーシー製)を直径
8mm,高さ6mmの略四角錐形状のモールドにコンデ
ンス法により充填して成形体を作製し、これを所定の焼
成条件にて焼成してオペークを得た。次に、ここで得た
オペーク上に陶材粉末とバインダーとが混和されたペー
スト状陶材を築盛してその築盛操作性を評価した。操作
性の評価基準として、 ×:陶材の築盛時に陶材の垂れが生じるような場合や、
ぱさつき,ひび割れなど生じて賦形しにくい場合 ○:前述したような現象が見られない場合 として評価した。
部,アルミナ:6重量部,炭酸水素カリウム:18重量
部,炭酸ナトリウム:7重量部、炭酸ナトリウム:7重
量部、炭酸マグネシウム:0.1重量部及び炭酸カルシ
ウム:1重量部を乳鉢中にて混合後、これを電気炉内で
溶融して均一なガラスを作製し、このガラスをボールミ
ルによって粉砕し粗粉末を得た。この粗粉末を所定温度
の電気炉内で結晶化させてリューサイト結晶を析出させ
た。そして、この結晶を含むガラスを再度ボールミルに
よって粉砕した後、粗粉末をふるい分けして平均粒径1
0μm,軟化点700℃の陶材粉末を得た。
量部中にポリアクリル酸アンモニウム塩:2.5重量部
を徐々に加えた後、3,500rpmに設定されたホモ
ミキサー中にてこれを40分間攪拌してバインダーを得
た。このバインダーの粘度は552,000cpsであ
った。
調整された陶材粉末:71重量部とバインダー:29重
量部とを、23℃の恒温雰囲気中において、約20分間
乳鉢中でへら入れを行いながら混和してペースト状陶材
を得た。
ム:3重量部を徐々に加えた後、3,500rpmに設
定されたホモミキサー中にてこれを40分間攪拌してバ
インダーを得た。このバインダーの粘度は338,00
0cpsであった。
得たバインダー:26重量部と実施例1の陶材粉末:7
4重量部とを、実施例1と同じ条件にて混和してペース
ト状陶材を得た。
ム:3重量部を徐々に加えた後、保湿剤として50%ヒ
アルロン酸水溶液:2重量部を添加した。その後、3,
500rpmに設定されたホモミキサー中にてこれを4
0分間攪拌してバインダーを得た。このバインダーの粘
度は301,000cpsであった。
得たバインダー:26重量部と実施例1の陶材粉末:7
4重量部とを、実施例1と同じ条件にて混和してペース
ト状陶材を得た。このペースト状陶材は実施例2のペー
スト状陶材におけるバインダーに保湿剤である50%ヒ
アルロン酸を2重量部加えたものであり、築盛作業中に
おける保湿性が良好であり、ロングスパンのブリッジの
ような時間を要する補綴物の築盛作業では、実施例2の
ペースト状陶材より幾分優れたペースト状陶材であっ
た。
−プロパンジオール:1重量部を徐々に加えた後、蒸留
水:65重量部中に、ポリアクリル酸:3重量部とエタ
ノールアミン:1重量部とを徐々に加えた後、これらを
3,500rpmに設定されたホモミキサー中にてこれ
を40分間攪拌してバインダーを得た。このバインダー
の粘度は371,000cpsであった。
得たバインダー:25重量部と実施例1の陶材粉末:7
5重量部とを、実施例1と同じ条件にて混和してペース
ト状陶材を得た。
子量200):80重量部と1,2−エタンジオール:
5重量部との混合液中に、ヒドロキシプロピルメチルセ
ルロース:13重量部とヒドロキシエチルセルロース:
2重量部とを徐々に加えた後、3,500rpmに設定
されたホモミキサー中にてこれを40分間攪拌してバイ
ンダーを得た。このバインダーの粘度は816,000
cpsであった。
得たバインダー:27重量部と実施例1の陶材粉末:7
3重量部とを、実施例1と同じ条件にて混和してペース
ト状陶材を得た。
子量200):80重量部と1,2−プロパンジオー
ル:3重量部と2−ヒドロキシプロピルメタクリレー
ト:2重量部との混合液中に、ヒドロキシプロピルメチ
ルセルロース:15重量部を徐々に加えた後、3,50
0rpmに設定されたホモミキサー中にてこれを40分
間攪拌してバインダーを得た。このバインダーの粘度は
583,000cpsであった。
得たバインダー:24重量部と実施例1の陶材粉末:7
6重量部とを、実施例1と同じ条件にて混和してペース
ト状陶材を得た。
子量200):80重量部と1,2−プロパンジオー
ル:3重量部と2−ヒドロキシプロピルメタクリレー
ト:2重量部との混合液中に、ヒドロキシプロピルメチ
ルセルロース:15重量部と滑剤としてワックスエマル
ジョン:1重量部とを徐々に加えた後、3,500rp
mに設定されたホモミキサー中にてこれを40分間攪拌
してバインダーを得た。このバインダーの粘度は43
9,000cpsであった。
得たバインダー:24重量部と実施例1の陶材粉末:7
6重量部とを、実施例1と同じ条件にて混和してペース
ト状陶材を得た。このペースト状陶材は実施例6のペー
スト状陶材におけるバインダーに滑剤としてワックスエ
マルジョンを1重量部加えたものであり、築盛器具とし
て用いたスパチュラに対するべとつきが実施例6のペー
スト状陶材より緩和されていて、操作性において優れた
ものであった。
量部とポリエチレングリコール(平均分子量200):
2重量部との混合液中に、ヒドロキシエチルセルロー
ス:3重量部とヒドロキシプロピルセルロース:15重
量部とを徐々に加えた後、3,500rpmに設定され
たホモミキサー中にてこれを40分間攪拌してバインダ
ーを得た。このバインダーの粘度は688,000cp
sであった。
得たバインダー:28重量部と実施例1の陶材粉末:7
2重量部とを、実施例1と同じ条件にて混和してペース
ト状陶材を得た。
量部と2―ヒドロキシエチルメタクリレート:17重量
部との混合液中に、ポリビニルピロリドン:8重量部と
ヒドロキシプロピルセルロース:8重量部とヒドロキシ
プロピルメチルセルロース:2重量部とを徐々に加えた
後、3,500rpmに設定されたホモミキサー中にて
これを40分間攪拌してバインダーを得た。このバイン
ダーの粘度は780,000cpsであった。
得たバインダー:28重量部と実施例1の陶材粉末:7
2重量部とを、実施例1と同じ条件にて混和してペース
ト状陶材を得た。
量部と1,3−ブタンジオール:5重量部とポリエチレ
ングリコール(平均分子量200):5重量部との混合
液中に、ポリビニルピロリドン:10重量部とヒドロキ
シプロピルメチルセルロース:5重量部とを徐々に加え
た後、3,500rpmに設定されたホモミキサー中に
てこれを40分間攪拌してバインダーを得た。このバイ
ンダーの粘度は415,000cpsであった。
得たバインダー:24重量部と実施例1の陶材粉末:7
6重量部とを、実施例1と同じ条件にて混和してペース
ト状陶材を得た。
量部中に、ポリビニルピロリドン:15重量部,ヒドロ
キシプロピルメチルセルロース:5重量部を徐々に加え
た後、3,500rpmに設定されたホモミキサー中に
てこれを40分間攪拌してバインダーを得た。このバイ
ンダーの粘度は725,000cpsであった。
得たバインダー:27重量部と実施例1の陶材粉末:7
3重量部とを、実施例1と同じ条件にて混和してペース
ト状陶材を得た。
重量部中に、ヒドロキシプロピルメチルセルロース:1
3重量部を徐々に加えた後、3,500rpmに設定さ
れたホモミキサー中にてこれを40分間攪拌してバイン
ダーを得た。このバインダーの粘度は499,000c
psであった。
得たバインダー:28重量部と実施例1の陶材粉末:7
2重量部とを、実施例1と同じ条件にて混和して、ペー
スト状陶材を得た。
タンジオール:0.5重量部との混合液中に、ポリアク
リル酸アンモニウム塩:2.5重量部を徐々に加えた
後、3,500rpmに設定されたホモミキサー中にて
これを40分間攪拌してバインダーを得た。このバイン
ダーの粘度は397,000cpsであった。
得たバインダー:29重量部と実施例1の陶材粉末:7
1重量部とを、実施例1と同じ条件にて混和してペース
ト状陶材を得た。
ート:81重量部にヒドロキシプロピルメチルセルロー
ス:5重量部,ヒドロキシエチルセルロース:4重量
部,ヒドロキシプロピルセルロース:10重量部とを徐
々に加えた後、3,500rpmに設定されたホモミキ
サー中にてこれを40分間攪拌してバインダーを得た。
このバインダーの粘度は435,000cpsであっ
た。
得たバインダー:25重量部と実施例1の陶材粉末:7
5重量部とを、実施例1と同じ条件にて混和してペース
ト状陶材を得た。
子量200):80重量部と1,2−エタンジオール:
5重量部との混合液中に、ヒドロキシプロピルメチルセ
ルロース:8重量部と15%メチルビニルエーテル・無
水マレイン酸アンモニウム水溶液:7重量部とを徐々に
加えた後、3,500rpmに設定されたホモミキサー
中にてこれを40分間攪拌してバインダーを得た。この
バインダーの粘度は383,000cpsであった。
得たバインダー:27重量部と実施例1の陶材粉末:7
3重量部とを、実施例1と同じ条件にて混和してペース
ト状陶材を得た。
セルロース:3重量部を徐々に加えた後、3,500r
pmに設定されたホモミキサー中にてこれを20分間攪
拌してバインダーを得た。このバインダーの粘度は1
2,000cpsであった。
得たバインダー:25重量部と実施例1の陶材粉末:7
5重量部とを、実施例1と同じ条件にて混和して、ペー
スト状陶材を得た。このペースト状陶材は、ぱさつき感
が大きく実施例と比較すると操作性が著しく劣るもので
あった。
ルアルコール3重量部とポリエチレンオキサイド2重量
部とを徐々に加えた後、3,500rpmに設定された
ホモミキサー中にてこれを20分間攪拌してバインダー
を得た。このバインダーの粘度は26,000cpsで
あった。
得たバインダー:25重量部と実施例1の陶材粉末:7
5重量部とを、実施例1と同じ条件にて混和してペース
ト状陶材を得た。このペースト状陶材はぱさつき感が大
きく、実施例と比較すると操作性が著しく劣るものであ
った。
ガム:10重量部とカルボキシメチルセルロース:10
重量部と徐々に加えた後、3,500rpmに設定され
たホモミキサー中にてこれを40分間攪拌してバインダ
ーを得た。このバインダーの粘度は423,000cp
sであった。
得たバインダー:50重量部と実施例1の陶材粉末:5
0重量部とを、実施例1と同じ条件にて混和してペース
ト状陶材を得た。このペースト状陶材は垂れが大きいの
で細かな形態付与が困難であり、実施例と比較すると操
作性が著しく劣るものであった。
ポリエチレングリコール(平均分子量400):35重
量部と実施例1の陶材粉末:65重量部とを、実施例1
と同じ条件にて混和してペースト状陶材を得た。このペ
ースト状陶材は全く伸びがないので形態の付与が困難で
あり、実施例と比較すると操作性が著しく劣るものであ
った。
水:30重量部と実施例1の陶材粉末:70重量部と
を、実施例1と同じ条件にて混和した。その後、通法に
よりコンデンスを行ったが、その操作中には従来と同様
の余剰水分の除去などが必要であり、実施例と比較する
と操作性が著しく劣るものであった。
ルドは総て同じものであり、焼成条件も同じである。こ
れら実施例及び比較例において得られた結果は、次の表
1にまとめて示す。
用ペースト状陶材は、予め陶材粉末とバインダーとが混
和されているので全く気泡の混入がない状態で提供でき
るのである。しかも、その使用の都度いちいちコンデン
スを行わずに直ぐに使用できるようにされているし、ロ
ングスパンのブリッジなどの大型の補綴物を作製する場
合でもその途中で乾燥・硬化したり変形したりすること
がないので、所望の形状に短時間で容易に築盛すること
ができるのである。
と水などの液と混和するわけではないからいつも一定条
件で混和された陶材が得られるので焼成後の陶材の色調
も容易に把握できるのである。しかも、最終的な陶材の
強度や色調に関しても従来の市販の陶材と比較しても何
等変わらないのである。しかして、従事者の作業時間の
短縮も含め補綴物作製に要するコストを大幅に低減する
ことができ、更にその長期保存も容易なものとなってい
るのである。
は習熟のための練習を必要としないから、硬質レジンを
築盛する場合と同様の操作にて簡便に使用することがで
きるのである。従って、初心の従事者でも容易に使いこ
なせるものである。
る歯科用ペースト状陶材は、歯科医療に貢献する価値の
非常に大きなものである。
Claims (3)
- 【請求項1】 2価又は3価のアルコール,ヒドロキシ
ル基の残存したエーテル及びヒドロキシ(メタ)アクリ
レートから選ばれた一種又は二種以上の有機溶媒及び/
又は水に、合成及び/又は天然の親水基を持った高分子
材料が溶解されており、23℃の恒温中で回転数1rp
mの条件で換算定数を1.61×10 4として測定した
粘度が50,000〜1,500,000cpsの値を示
すバインダーが7〜45重量部と残部の陶材粉末とで1
00重量部となるように両者が混合されてペースト状を
呈していることを特徴とする歯科用ペースト状陶材。 - 【請求項2】 陶材粉末の平均粒径が、1μm〜100
μmである請求項1に記載の歯科用ペースト状陶材。 - 【請求項3】 分散剤,界面活性剤,保湿剤,防腐剤,
消泡剤及び滑剤から成る1種又は2種以上の添加剤が
0.1〜5重量部更に添加されている請求項1又は2に
記載の歯科用ペースト状陶材。
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