JP2001067932A - カーボン複合成形体 - Google Patents

カーボン複合成形体

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JP2001067932A JP23696799A JP23696799A JP2001067932A JP 2001067932 A JP2001067932 A JP 2001067932A JP 23696799 A JP23696799 A JP 23696799A JP 23696799 A JP23696799 A JP 23696799A JP 2001067932 A JP2001067932 A JP 2001067932A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 成形性に優れていると共に、必要かつ十分な
機械的強度を確保しつつ、非常に高い導電性を発揮させ
ることができる燃料電池用セパレータ等のカーボン複合
成形体を提供する。 【解決手段】 黒鉛粉末65〜85重量%、熱硬化性樹
脂15〜30重量%、導電性カーボンブラック3〜10
重量%の配合割合に設定された複合組成物を使用し、こ
れを金型14に充填して成形面圧を加えることで所定形
状の燃料電池用セパレータ4を成形する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、主として電気自動
車用の電池として用いられる燃料電池用セパレータのよ
うに、機械的強度及び導電性に優れ、かつ、ガス不透過
性であることが要求され、その要求に適合する材料とし
てフェノール樹脂等の熱硬化性樹脂に黒鉛粉末等のカー
ボン系導電性フィラーを混合分散させてなる複合組成物
から所定形状に成形されるカーボン複合成形体に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】上記した機械的強度、導電性及びガス不
透過性が強く要求される他に、高い寸法精度及び低コス
ト化も要求される燃料電池用セパレータで代表されると
ころのカーボン成形体の成形材料として、カーボン系導
電性フィラーの一つである黒鉛粉末を熱硬化性樹脂で結
合してなる複合組成物、通称、ボンドカーボンを使用す
ることは従来から知られている。
【0003】ところが、ボンドカーボンを用いて成形さ
れた燃料電池用セパレータ等の成形体においては、上記
各要求項目のうち、最も重要な機械的強度、特に圧縮強
度と導電性を指標する体積抵抗率との間で相互に反する
結果が生じる。詳述すると、黒鉛粉末を熱硬化性樹脂に
混合し結合してなるボンドカーボンにおいてセパレータ
等の成形体として要求される圧縮強度が得られるよう
に、樹脂の配合割合が多いボンドカーボンを用いて所定
形状に成形された成形体においては、図8の模式図で示
すように、樹脂層30のない部分、つまり、樹脂が十分
に行き渡らないで組織中に形成される空孔部分31と該
空孔部分31に接する黒鉛粒子32とによって矢印xで
示すような通電経路が形成されるだけで、それ以外の部
分は樹脂の持つ電気絶縁性によって絶縁部となり、セパ
レータ等の成形体全体として要求される導電性が得られ
ず電気抵抗の増大により燃料電池等の性能面で好ましい
結果が得られない。
【0004】一方、樹脂の配合割合が少ないボンドカー
ボンを用いて所定形状に成形された成形体においては、
黒鉛粒子32同士を接触させるように成形面圧を大きく
することで組織中に空孔部分を形成しない、あるいは、
空孔部分の形成を非常に少なくし、それだけ通電経路が
多くとれ、セパレータ等の成形体全体の導電性を増大す
ることが可能である反面、成形体の強度を負担する樹脂
量が少ないために、成形体の機械的強度、特に圧縮強度
が余儀なく低下してしまうだけでなく、成形時のボンド
カーボンの伸びが小さく、かつ、流動性も悪いために、
成形性が悪化して寸法精度はもとより形状面からも所定
形状の成形体が得にくい。
【0005】また、黒鉛粉末に代わるカーボン系導電性
フィラーとしてカーボンブラックを樹脂に混合し分散さ
せた複合導電材料を用いて燃料電池用セパレータ等の所
定形状の成形体を成形することも考えられる。このよう
な複合導電材料から成形された成形体においては、導電
性カーボンブラックの擬グラファイト構造の結晶子が数
千個集まって形成される一次粒子が更に凝集力によって
鎖状に連結した二次粒子として存在するといったよう
に、連鎖状のストラクチャーを構成することになり、こ
れによって、成形体全体としての導電性が確保される。
【0006】しかし、導電性カーボンブラック単体の体
積固有抵抗は、2.5×10-1Ω・cmで、天然黒鉛に
代表される高結晶性の黒鉛類における一面方向の体積固
有抵抗(5×10-5Ω・cm)に比べて非常に大きく、
樹脂に導電性カーボンブラックのみを混合し分散させた
上記の複合導電材料から成形されたセパレータ等の成形
体としては、この種の成形体に要求されるだけの高導電
性を得ることができない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上述のように、カーボ
ン系導電性フィラーとして黒鉛粉末を単独に樹脂に混合
分散させてなるボンドカーボン、あるいは、導電性カー
ボンブラックを単独に樹脂に混合分散させてなる複合導
電材料のいずれであっても、燃料電池用セパレータ等の
成形体として最も強く要求される機械的強度と導電性の
両方を共に満足させることはできない。殊に、電気自動
車用の電池として用いられる燃料電池用セパレータで
は、電池性能の一層の向上を目指すために、圧縮強度が
80MPa以上で、体積固有抵抗が5×10-3Ω・cm
以下の特性を有するものが求められているが、このよう
な特性を有する燃料電池用セパレータは、未だ開発され
ていない。
【0008】本発明は上記実情に鑑みてなされたもの
で、成形性に優れていると共に、必要かつ十分な機械的
強度を確保しつつ、非常に高い導電性を発揮させること
ができる燃料電池用セパレータ等のカーボン複合成形体
を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明に係るカーボン複合成形体は、黒鉛粉末65
〜85重量%、熱硬化性樹脂15〜30重量%、導電性
カーボンブラック3〜10重量%の配合割合に設定され
た複合組成物から所定形状に成形されていることを特徴
とするものである。
【0010】上記構成の本発明によれば、複合組成物に
おける熱硬化性樹脂の配合割合を15〜30重量%と多
くすることで、成形時の伸び及び流動性を良くして成形
むらの発生を抑え、寸法精度及び形状精度に優れている
だけでなく、機械的強度、特に圧縮強度を大きく保ちつ
つ、カーボン系導電性フィラーとして黒鉛粉末と導電性
カーボンブラックを併用することにより、図5の模式図
でも示すように、カーボンブラックより一桁低い体積固
有抵抗を有する黒鉛粒子32同士を樹脂層30中に存在
するカーボンブラックが形成する連鎖状のストラクチャ
ー33で相互に連結させて成形体全体としての導電性を
高めることに成功したのであり、以下、この点について
詳述する。
【0011】すなわち、黒鉛の結晶構造は、図6に示す
ように、多数の共役六員環が縮合した網平面が3.35
オングストロームの間隔で重なっており、この面に平行
な方向(矢印a方向)の体積固有抵抗は5×10-5Ω・
cmと極めて小さいが、これと垂直方向(矢印b方向)
の体積固有抵抗は5×10-1Ω・cmと大きいといって
電気的異方性を有する。一方、導電性カーボンブラック
は、図7に示すように、炭素原子の六員環平面が3.4
〜3.6オングストロームの面間隔で平均3〜4層重な
り合ってできた擬グラファイト構造の結晶子34が数千
個集まって一次粒子35を形成し、この一次粒子35が
更に凝集力により3〜100個、鎖状に連結した二次粒
子36として存在し、樹脂層30中に連鎖状のカーボン
ストラクチャー33を形成する。このように樹脂層30
中に形成される連鎖状のカーボンストラクチャー33で
黒鉛粒子32同士を接触連鎖することにより、図5の矢
印yで示すように、成形体の組織中に多数の通電経路を
形成させ、これによって、成形体の組織中に多量に充填
された黒鉛粒子32の一面方向の低い体積固有抵抗を有
効に活用して成形体全体として非常に高い導電性を確保
することが可能となったのである。
【0012】本発明において用いられる導電性カーボン
としては、比表面積が大きく、導電性指標が60以上の
値を有し、かつ、ストラクチャーの発達した高ストラク
チャーカーボンが好ましい。その代表的なものとして
は、オイルファーネスブラック及びアセチレンブラック
がある。
【0013】また、本発明において用いられる熱硬化性
樹脂としては、黒鉛粉末との濡れ性に優れたフェノール
樹脂が最も好ましいが、それ以外に、エポキシ樹脂、尿
素樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アル
キド樹脂、ポリカルボジイミド樹脂、フルフリルアルコ
ール樹脂の中から選択された少なくとも一種類で、加熱
時に熱硬化反応を起こし、燃料電池等の成形体の使用温
度及び供給ガス成分に対して安定なものであればよい。
【0014】また、本発明において用いられる黒鉛粉末
としては、天然黒鉛、人造黒鉛、カーボンブラック、キ
ッシュ黒鉛、膨張黒鉛等いかなる種類のものであっても
よく、コストなどの条件を考慮して任意に選択すること
ができる。
【0015】さらに、本発明における複合組成物から所
定形状に成形された成形体の機械的及び電気的特性とし
ては、特に燃料電池用セパレータを対象とする場合、そ
の体積固有抵抗が5×10-3Ω・cm以下、より好まし
くは、×10-3Ω・cm以下であり、また、圧縮強度が
80MPa以上、より好ましくは、100MPa以上で
ある。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
にもとづいて説明する。まず、本発明に係るカーボン複
合成形体の一例となる燃料電池用セパレータを備えた固
体高分子電解質型燃料電池の構成及び動作について図1
〜図3を参照して簡単に説明する。固体高分子電解質型
燃料電池20は、例えばフッ素系樹脂より形成されたイ
オン交換膜である電解質膜1と、炭素繊維糸で織成した
カーボンクロスやカーボンペーパーあるいはカーボンフ
ェルトにより形成され、上記電解質膜1を両側から挟み
サンドイッチ構造をなすガス拡散電極となるアノード2
及びカソード3と、そのサンドイッチ構造をさらに両側
から挟むセパレータ4,4とから構成される単セル5の
複数組を積層し、その両端に図示省略した集電板を配置
したスタック構造に構成されている。
【0017】上記両セパレータ4は、図2に明示するよ
うに、その周辺部に、水素を含有する燃料ガス孔6,7
と酸素を含有する酸化ガス孔8,9と冷却水孔10とが
形成されており、上記単セル5の複数組を積層した時、
各セパレータ4の各孔6,7、8,9、10がそれぞれ
燃料電池20内部をその長手方向に貫通して燃料ガス供
給マニホールド、燃料ガス排出マニホールド、酸化ガス
供給マニホールド、酸化ガス排出マニホールド、冷却水
路を形成するようになされている。
【0018】また、上記両セパレータ4の表面には、所
定形状のリブ部11が形成されており、そのリブ部11
とアノード2の表面との間に燃料ガス流路12が形成さ
れているとともに、リブ部11とカソード3の表面との
間に酸化ガス流路13が形成されている。
【0019】上記構成の固体高分子電解質型燃料電池2
0においては、外部に設けられた燃料ガス供給装置から
燃料電池20に対して供給された水素を含有する燃料ガ
スが上記燃料ガス供給マニホールドを経由して各単セル
5の燃料ガス流路12に供給されて各単セル5のアノー
ド2側において、 H2 →2H´+2e´ …(1) なる式の電気化学反応を呈し、その反応後の燃料ガスは
各単セル5の燃料ガス流路12から上記燃料ガス排出マ
ニホールドを経由して外部に排出される。同時に、外部
に設けられた酸化ガス供給装置から燃料電池20に対し
て供給された酸素を含有する酸化ガス(空気)が上記酸
化ガス供給マニホールドを経由して各単セル5の酸化ガ
ス流路13に供給されて各単セル5のカソード3側にお
いて、 (1/2)O2 +2H´+2e´→H2 O …(2) なる式の電気化学反応を呈し、その反応後の酸化ガスは
各単セル5の酸化ガス流路13から上記酸化ガス排出マ
ニホールドを経由して外部に排出される。
【0020】上記(1)及び(2)式の電気化学反応に
伴い、燃料電池20全体としては、 H2 +(1/2)O2 →H2 O …(3) なる(3)の電気化学反応が進行して、燃料が有する化
学エネルギーを直接電気エネルギーに変換することで、
所定の電池性能が発揮される。なお、この燃料電池20
は、電解質膜1の性質から約80〜100℃の温度範囲
で運転されるために発熱を伴う。そこで、燃料電池20
の運転中は、外部に設けられた冷却水供給装置から該燃
料電池20に対して冷却水を供給し、これを上記冷却水
路に循環させることによって、燃料電池20内部の温度
上昇を抑制している。
【0021】次に、上記のような構成及び動作を有する
固体高分子電解質型燃料電池20におけるセパレータ4
の製造方法について図4を参照して説明する。このセパ
レータ4は、黒鉛粉末65〜85重量%、熱硬化性樹脂
15〜30重量%、導電性カーボンブラック3〜10重
量%の配合割合に設定された複合組成物を用いて成形さ
れるものであって、上記黒鉛粉末、熱硬化性樹脂及び導
電性カーボンブラックを均一に混合し調整して所定のコ
ンパウンドを作成する(ステップS100)。ついで、
このコンパウンドを金型14内に充填する(ステップS
101)。この状態で、金型14を150〜170℃に
加熱昇温するとともに、図外のプレスを動作させ図4中
の矢印f方向から150〜1500kgf/cm2 、好
ましくは、300〜1000kgf/cm2 の範囲の面
圧を加えることにより(ステップS102)、金型14
の形状に応じた最終形状のセパレータ4が製造される
(ステップS103)。
【0022】上記のようにして製造されるセパレータ4
においては、該セパレータ4の構成材料である複合組成
物における熱硬化性樹脂の配合割合が15〜30重量%
と多いために、成形時の伸び及び流動性が良くて成形む
らの発生を抑え、優れた寸法精度及び形状精度が得られ
るだけでなく、機械的強度、特に圧縮強度が80MPa
以上と大きくなる。また、カーボン系導電性フィラーと
して黒鉛粉末と導電性カーボンブラックが併用されてい
るので、図5の模式図に基づいて既述したように、カー
ボンブラックより一桁低い体積固有抵抗を有する黒鉛粒
子32同士を樹脂層30中に存在するカーボンブラック
が形成する連鎖状のストラクチャー33で相互に連結さ
せてセパレータ4全体の導電性を高めることができる。
【0023】以下、実施例によって本発明を更に詳しく
説明する。 <実施例1>粒径50μの天然黒鉛70重量%、フェノ
ール樹脂(住友ベークライト株式会社製のPR−502
73)24重量%、アセチレンブラック(電気化学工業
株式会社製のデンカブラック)6重量%を各々用意し、
自動乳鉢で上記フェノール樹脂とアセチレンブラックを
アルコールと共に表面が鏡面状の光沢になるまで摺合わ
せ混合してペースト状物を作成する。このペースト状物
を別の器に移して上記天然黒鉛粒と共にミキサーで2〜
3分混合してフレーク状の混合物を得る。このフレーク
状混合物をPTFEシート上に2〜3mmの厚さに拡げ
て残留アルコールの乾燥を行なう。乾燥後、家庭用ミキ
サーで粉砕し、150メッシュ下の粉体とし、この粉体
を成形金型に充填して2.5mm厚さで100×100
mmの大きさの板状成形体を製造した。 <比較例1>粒径50μの天然黒鉛70重量%、フェノ
ール樹脂30重量%の配合割合のボンドカーボンコンパ
ウンドを作成し、このコンパウンドを金型に充填して、
170℃の成形温度下で100kgf/cm2 の成形面
圧を10分間加えて2.5mm厚さで100×100m
mの大きさの板状成形体を製造した。 <比較例2>導電性カーボンブラック50重量%、フェ
ノール樹脂50重量%の配合割合の複合カーボンコンパ
ウンドを作成し、このコンパウンドを金型に充填して、
170℃の成形温度下で100kgf/cm2 の成形面
圧を10分間加えて2.5mm厚さで100×100m
mの大きさの板状成形体を製造した。 <比較例3>粒径50μの天然黒鉛55重量%、フェノ
ール樹脂(住友ベークライト株式会社製のPR−502
73)30重量%、アセチレンブラック(電気化学工業
株式会社製のデンカブラック)15重量%の配合割合の
複合カーボンコンパウンドを作成し、このコンパウンド
を金型に充填して、170℃の成形温度下で100kg
f/cm2 の成形面圧を10分間加えて2.5mm厚さ
で100×100mmの大きさの板状成形体を製造し
た。
【0024】そして、上記実施例1及び比較例1〜3で
製造された各板状成形体それぞれの体積固有抵抗、曲げ
強度、圧縮強度を測定したところ、表1に示すような結
果が得られた。
【0025】
【表1】
【0026】上記表1の結果からも明らかなように、本
発明に相当する実施例1のごとく樹脂量を多くし、か
つ、導電性フィラーとして黒鉛粉末と導電性カーボンブ
ラックを併用して製造された成形体は、比較例に比べ
て、同等あるいは遜色のない曲げ強度及び圧縮強度を確
保しつつ、成形体全体としての体積固有抵抗を低下させ
て導電性の向上を図ることができる。
【0027】なお、本発明は、上記実施の形態で示した
ような固体高分子電解質型燃料電池におけるセパレータ
に適用することで、電池性能の向上を達成することが可
能であり、最も有効であるが、燃料電池用セパレータ以
外に、機械的強度及び導電性の両方が要求されるあらゆ
る成形体に適用可能である。
【0028】
【発明の効果】以上のように、請求項1ないし請求項5
に記載の本発明によれば、熱硬化性樹脂に混合分散させ
る導電性フィラーとして、黒鉛粉末と導電性カーボンブ
ラック、殊にオイルファーネスブラックやアセチレンブ
ラックで代表されるように導電性指標が60以上のスト
ラクチャーカーボンとを適正比率で併用することによっ
て、従来のボンドカーボンや複合導電材料のように、黒
鉛粉末または導電性カーボンブラックを単独に使用した
ものに比べて、樹脂量を多くして成形性を容易にし、高
い寸法精度及び形状精度が得られるだけでなく、機械的
強度、特に圧縮強度を大きく保ちつつ、樹脂層中の黒鉛
粒子間を導電性カーボンブラックが形成する連鎖状のス
トラクチャーで相互に連結して黒鉛粒子の有する非常に
低い体積固有抵抗を有効に利用し、成形体全体として非
常に高い導電性を確保することができるという効果を奏
し、特に、機械的強度において80MPa以上の高い圧
縮強度と、体積抵抗率5×10-3Ω・cm以下の高い導
電性とが要求されている燃料電池用セパレータとしてそ
れらを両立した特性のものを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るカーボン複合成形体の一例となる
燃料電池用セパレータを備えた固体高分子電解質型燃料
電池を構成するスタック構造の構成を示す分解斜視図で
ある。
【図2】同上固体高分子電解質型燃料電池におけるセパ
レータの外観正面図である。
【図3】同上固体高分子電解質型燃料電池の構成単位で
ある単セルの構成を示す要部の拡大断面図である。
【図4】同上セパレータの製造工程及び製造の様子を説
明する説明図である。
【図5】同上セパレータにおける要部の拡大断面模式図
である。
【図6】黒鉛の結晶構造を説明する図である。
【図7】導電性カーボンブラックの内部構造を説明する
図である。
【図8】従来のボンドカーボンにより成形された成形体
における要部の拡大断面模式図である。
【符号の説明】
1 電解質膜 2 アノード 3 カソード 4 セパレータ 5 単セル 14 金型 20 固体高分子電解質型燃料電池 30 樹脂層 32 黒鉛粒子 33 カーボンストラクチャー 34 導電性カーボンブラックの結晶子
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成12年8月9日(2000.8.9)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 カーボン複合成形体
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、主として電気自動
車用の電池として用いられる燃料電池用セパレータのよ
うに、機械的強度及び導電性に優れ、かつ、ガス不透過
性であることが要求され、その要求に適合する材料とし
てフェノール樹脂等の熱硬化性樹脂に黒鉛粉末等のカー
ボン系導電性フィラーを混合分散させてなる複合組成物
から所定形状に成形されるカーボン複合成形体に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】上記した機械的強度、導電性及びガス不
透過性が強く要求される他に、高い寸法精度及び低コス
ト化も要求される燃料電池用セパレータで代表されると
ころのカーボン成形体の成形材料として、カーボン系導
電性フィラーの一つである黒鉛粉末を熱硬化性樹脂で結
合してなる複合組成物、通称、ボンドカーボンを使用す
ることは従来から知られている。
【0003】ところが、ボンドカーボンを用いて成形さ
れた燃料電池用セパレータ等の成形体においては、上記
各要求項目のうち、最も重要な機械的強度、特に圧縮強
度と導電性を指標する体積抵抗率との間で相互に反する
結果が生じる。詳述すると、黒鉛粉末を熱硬化性樹脂に
混合し結合してなるボンドカーボンにおいてセパレータ
等の成形体として要求される圧縮強度が得られるよう
に、樹脂の配合割合が多いボンドカーボンを用いて所定
形状に成形された成形体においては、図8の模式図で示
すように、樹脂層30のない部分、つまり、樹脂が十分
に行き渡らないで組織中に形成される空孔部分31と該
空孔部分31に接する黒鉛粒子32とによって矢印xで
示すような通電経路が形成されるだけで、それ以外の部
分は樹脂の持つ電気絶縁性によって絶縁部となり、セパ
レータ等の成形体全体として要求される導電性が得られ
ず電気抵抗の増大により燃料電池等の性能面で好ましい
結果が得られない。
【0004】一方、樹脂の配合割合が少ないボンドカー
ボンを用いて所定形状に成形された成形体においては、
黒鉛粒子32同士を接触させるように成形面圧を大きく
することで組織中に空孔部分を形成しない、あるいは、
空孔部分の形成を非常に少なくし、それだけ通電経路が
多くとれ、セパレータ等の成形体全体の導電性を増大す
ることが可能である反面、成形体の強度を負担する樹脂
量が少ないために、成形体の機械的強度、特に圧縮強度
が余儀なく低下してしまうだけでなく、成形時のボンド
カーボンの伸びが小さく、かつ、流動性も悪いために、
成形性が悪化して寸法精度はもとより形状面からも所定
形状の成形体が得にくい。
【0005】また、黒鉛粉末に代わるカーボン系導電性
フィラーとしてカーボンブラックを樹脂に混合し分散さ
せた複合導電材料を用いて燃料電池用セパレータ等の所
定形状の成形体を成形することも考えられる。このよう
な複合導電材料から成形された成形体においては、カー
ボンブラックの擬グラファイト構造の結晶子が数千個集
まって形成される一次粒子が更に凝集力によって鎖状に
連結した二次粒子として存在するといったように、連鎖
状のストラクチャーを構成することになり、これによっ
て、成形体全体としての導電性が確保される。
【0006】しかし、導電性カーボンブラック単体の体
積固有抵抗は、2.5×10-1Ω・cmで、天然黒鉛に
代表される高結晶性の黒鉛類における一面方向の体積固
有抵抗(5×10-5Ω・cm)に比べて非常に大きく、
樹脂に導電性カーボンブラックのみを混合し分散させた
上記の複合導電材料から成形されたセパレータ等の成形
体としては、この種の成形体に要求されるだけの高導電
性を得ることができない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上述のように、カーボ
ン系導電性フィラーとして黒鉛粉末を単独に樹脂に混合
分散させてなるボンドカーボン、あるいは、導電性カー
ボンブラックを単独に樹脂に混合分散させてなる複合導
電材料のいずれであっても、燃料電池用セパレータ等の
成形体として最も強く要求される機械的強度と導電性の
両方を共に満足させることはできない。殊に、電気自動
車用の電池として用いられる燃料電池用セパレータで
は、電池性能の一層の向上を目指すために、圧縮強度が
80MPa以上で、体積固有抵抗が5×10-3Ω・cm
以下の特性を有するものが求められているが、このよう
な特性を有する燃料電池用セパレータは、未だ開発され
ていない。
【0008】本発明は上記実情に鑑みてなされたもの
で、成形性に優れていると共に、必要かつ十分な機械的
強度を確保しつつ、非常に高い導電性を発揮させること
ができる燃料電池用セパレータ等のカーボン複合成形体
を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明に係るカーボン複合成形体は、熱硬化性樹脂
にカーボン系導電性フィラーを混合分散させてなる複合
組成物から所定形状に成形されているカーボン複合成形
体であって、上記カーボン系導電性フィラーとして、黒
鉛粉末及び導電性指標が60以上のストラクチャーカー
ボンを併用し、上記複合組成物における熱硬化性樹脂
配合割合が15〜30重量%であり、かつストラクチャ
ーカーボンの配合割合が3〜10重量%であることを特
徴とするものである。
【0010】上記構成の本発明によれば、複合組成物に
おける熱硬化性樹脂の配合割合を15〜30重量%と多
くすることで、成形時の伸び及び流動性を良くして成形
むらの発生を抑え、寸法精度及び形状精度に優れている
だけでなく、機械的強度、特に圧縮強度を大きく保ちつ
つ、カーボン系導電性フィラーとして黒鉛粉末と導電性
指標が60以上のストラクチャーカーボンを併用するこ
とにより、図5の模式図でも示すように、カーボンブラ
ックより一桁低い体積固有抵抗を有する黒鉛粒子32同
士を樹脂層30中に存在するストラクチャーカーボンが
形成する連鎖状のストラクチャー33で相互に連結させ
て成形体全体としての導電性を高めることに成功したの
であり、以下、この点について詳述する。
【0011】すなわち、黒鉛の結晶構造は、図6に示す
ように、多数の共役六員環が縮合した網平面が3.35
オングストロームの間隔で重なっており、この面に平行
な方向(矢印a方向)の体積固有抵抗は5×10-5Ω・
cmと極めて小さいが、これと垂直方向(矢印b方向)
の体積固有抵抗は5×10-1Ω・cmと大きいといって
電気的異方性を有する。一方、ストラクチャーカーボン
は、図7に示すように、炭素原子の六員環平面が3.4
〜3.6オングストロームの面間隔で平均3〜4層重な
り合ってできた擬グラファイト構造の結晶子34が数千
個集まって一次粒子35を形成し、この一次粒子35が
更に凝集力により3〜100個、鎖状に連結した二次粒
子36として存在し、樹脂層30中に連鎖状のカーボン
ストラクチャー33を形成する。このように樹脂層30
中に形成される連鎖状のカーボンストラクチャー33で
黒鉛粒子32同士を接触連鎖することにより、図5の矢
印yで示すように、成形体の組織中に多数の通電経路を
形成させ、これによって、成形体の組織中に多量に充填
された黒鉛粒子32の一面方向の低い体積固有抵抗を有
効に活用して成形体全体として非常に高い導電性を確保
することが可能となったのである。
【0012】本発明において用いられるストラクチャー
カーボンとしては、比表面積が大きく、導電性指標が6
0以上の値を有し、かつ、ストラクチャーの発達した高
ストラクチャーカーボンが好ましい。その代表的なもの
としては、オイルファーネスブラック及びアセチレンブ
ラックがある。
【0013】また、本発明において用いられる熱硬化性
樹脂としては、黒鉛粉末との濡れ性に優れたフェノール
樹脂が最も好ましいが、それ以外に、エポキシ樹脂、尿
素樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アル
キド樹脂、ポリカルボジイミド樹脂、フルフリルアルコ
ール樹脂の中から選択された少なくとも一種類で、加熱
時に熱硬化反応を起こし、燃料電池等の成形体の使用温
度及び供給ガス成分に対して安定なものであればよい。
【0014】また、本発明において用いられる黒鉛粉末
としては、天然黒鉛、人造黒鉛、キッシュ黒鉛、膨張黒
鉛等いかなる種類のものであってもよく、コストなどの
条件を考慮して任意に選択することができる。
【0015】さらに、本発明における複合組成物から所
定形状に成形された成形体の機械的及び電気的特性とし
ては、特に燃料電池用セパレータを対象とする場合、そ
の体積固有抵抗が5×10-3Ω・cm以下、より好まし
くは、×10-3Ω・cm以下であり、また、圧縮強度が
80MPa以上、より好ましくは、100MPa以上で
ある。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
にもとづいて説明する。まず、本発明に係るカーボン複
合成形体の一例となる燃料電池用セパレータを備えた固
体高分子電解質型燃料電池の構成及び動作について図1
〜図3を参照して簡単に説明する。固体高分子電解質型
燃料電池20は、例えばフッ素系樹脂より形成されたイ
オン交換膜である電解質膜1と、炭素繊維糸で織成した
カーボンクロスやカーボンペーパーあるいはカーボンフ
ェルトにより形成され、上記電解質膜1を両側から挟み
サンドイッチ構造をなすガス拡散電極となるアノード2
及びカソード3と、そのサンドイッチ構造をさらに両側
から挟むセパレータ4,4とから構成される単セル5の
複数組を積層し、その両端に図示省略した集電板を配置
したスタック構造に構成されている。
【0017】上記両セパレータ4は、図2に明示するよ
うに、その周辺部に、水素を含有する燃料ガス孔6,7
と酸素を含有する酸化ガス孔8,9と冷却水孔10とが
形成されており、上記単セル5の複数組を積層した時、
各セパレータ4の各孔6,7、8,9、10がそれぞれ
燃料電池20内部をその長手方向に貫通して燃料ガス供
給マニホールド、燃料ガス排出マニホールド、酸化ガス
供給マニホールド、酸化ガス排出マニホールド、冷却水
路を形成するようになされている。
【0018】また、上記両セパレータ4の表面には、所
定形状のリブ部11が形成されており、そのリブ部11
とアノード2の表面との間に燃料ガス流路12が形成さ
れているとともに、リブ部11とカソード3の表面との
間に酸化ガス流路13が形成されている。
【0019】上記構成の固体高分子電解質型燃料電池2
0においては、外部に設けられた燃料ガス供給装置から
燃料電池20に対して供給された水素を含有する燃料ガ
スが上記燃料ガス供給マニホールドを経由して各単セル
5の燃料ガス流路12に供給されて各単セル5のアノー
ド2側において、 H2 →2H´+2e´ …(1) なる式の電気化学反応を呈し、その反応後の燃料ガスは
各単セル5の燃料ガス流路12から上記燃料ガス排出マ
ニホールドを経由して外部に排出される。同時に、外部
に設けられた酸化ガス供給装置から燃料電池20に対し
て供給された酸素を含有する酸化ガス(空気)が上記酸
化ガス供給マニホールドを経由して各単セル5の酸化ガ
ス流路13に供給されて各単セル5のカソード3側にお
いて、 (1/2)O2 +2H´+2e´→H2 O …(2) なる式の電気化学反応を呈し、その反応後の酸化ガスは
各単セル5の酸化ガス流路13から上記酸化ガス排出マ
ニホールドを経由して外部に排出される。
【0020】上記(1)及び(2)式の電気化学反応に
伴い、燃料電池20全体としては、 H2 +(1/2)O2 →H2 O …(3) なる(3)の電気化学反応が進行して、燃料が有する化
学エネルギーを直接電気エネルギーに変換することで、
所定の電池性能が発揮される。なお、この燃料電池20
は、電解質膜1の性質から約80〜100℃の温度範囲
で運転されるために発熱を伴う。そこで、燃料電池20
の運転中は、外部に設けられた冷却水供給装置から該燃
料電池20に対して冷却水を供給し、これを上記冷却水
路に循環させることによって、燃料電池20内部の温度
上昇を抑制している。
【0021】次に、上記のような構成及び動作を有する
固体高分子電解質型燃料電池20におけるセパレータ4
の製造方法について図4を参照して説明する。このセパ
レータ4は、硬化性樹脂の配合割合が15〜30重量
であり、かつカーボン系導電性フィラーとして併用さ
れる黒鉛粉末と導電性指標が60以上のストラクチャー
カーボンとのうち、ストラクチャーカーボンの配合割合
3〜10重量%で残部が黒鉛粉末の配合量に設定され
た複合組成物を用いて成形されるものであって、上記黒
鉛粉末、熱硬化性樹脂及びストラクチャーカーボンを均
一に混合し調整して所定のコンパウンドを作成する(ス
テップS100)。ついで、このコンパウンドを金型1
4内に充填する(ステップS101)。この状態で、金
型14を150〜170℃に加熱昇温するとともに、図
外のプレスを動作させ図4中の矢印f方向から150〜
1500kgf/cm2 、好ましくは、300〜100
0kgf/cm2 の範囲の面圧を加えることにより(ス
テップS102)、金型14の形状に応じた最終形状の
セパレータ4が製造される(ステップS103)。
【0022】上記のようにして製造されるセパレータ4
においては、該セパレータ4の構成材料である複合組成
物における熱硬化性樹脂の配合割合が15〜30重量%
と多いために、成形時の伸び及び流動性が良くて成形む
らの発生を抑え、優れた寸法精度及び形状精度が得られ
るだけでなく、機械的強度、特に圧縮強度が80MPa
以上と大きくなる。また、カーボン系導電性フィラーと
して黒鉛粉末とストラクチャーカーボンが併用されてい
るので、図5の模式図に基づいて既述したように、カー
ボンブラックより一桁低い体積固有抵抗を有する黒鉛粒
子32同士を樹脂層30中に存在するストラクチャーカ
ーボンが形成する連鎖状のストラクチャー33で相互に
連結させてセパレータ4全体の導電性を高めることがで
きる。
【0023】以下、実施例によって本発明を更に詳しく
説明する。 <実施例1>粒径50μの天然黒鉛70重量%、フェノ
ール樹脂(住友ベークライト株式会社製のPR−502
73)24重量%、アセチレンブラック(電気化学工業
株式会社製のデンカブラック)6重量%を各々用意し、
自動乳鉢で上記フェノール樹脂とアセチレンブラックを
アルコールと共に表面が鏡面状の光沢になるまで摺合わ
せ混合してペースト状物を作成する。このペースト状物
を別の器に移して上記天然黒鉛粒と共にミキサーで2〜
3分混合してフレーク状の混合物を得る。このフレーク
状混合物をPTFEシート上に2〜3mmの厚さに拡げ
て残留アルコールの乾燥を行なう。乾燥後、家庭用ミキ
サーで粉砕し、150メッシュ下の粉体とし、この粉体
を成形金型に充填して2.5mm厚さで100×100
mmの大きさの板状成形体を製造した。 <比較例1>粒径50μの天然黒鉛70重量%、フェノ
ール樹脂30重量%の配合割合のボンドカーボンコンパ
ウンドを作成し、このコンパウンドを金型に充填して、
170℃の成形温度下で100kgf/cm2 の成形面
圧を10分間加えて2.5mm厚さで100×100m
mの大きさの板状成形体を製造した。 <比較例2>導電性カーボンブラック50重量%、フェ
ノール樹脂50重量%の配合割合の複合カーボンコンパ
ウンドを作成し、このコンパウンドを金型に充填して、
170℃の成形温度下で100kgf/cm2 の成形面
圧を10分間加えて2.5mm厚さで100×100m
mの大きさの板状成形体を製造した。 <比較例3>粒径50μの天然黒鉛55重量%、フェノ
ール樹脂(住友ベークライト株式会社製のPR−502
73)30重量%、アセチレンブラック(電気化学工業
株式会社製のデンカブラック)15重量%の配合割合の
複合カーボンコンパウンドを作成し、このコンパウンド
を金型に充填して、170℃の成形温度下で100kg
f/cm2 の成形面圧を10分間加えて2.5mm厚さ
で100×100mmの大きさの板状成形体を製造し
た。
【0024】そして、上記実施例1及び比較例1〜3で
製造された各板状成形体それぞれの体積固有抵抗、曲げ
強度、圧縮強度を測定したところ、表1に示すような結
果が得られた。
【0025】
【表1】
【0026】上記表1の結果からも明らかなように、本
発明に相当する実施例1のごとく樹脂量を多くし、か
つ、導電性フィラーとして黒鉛粉末と導電性指標が60
以上のストラクチャーカーボンを併用して製造された成
形体は、比較例に比べて、同等あるいは遜色のない曲げ
強度及び圧縮強度を確保しつつ、成形体全体としての体
積固有抵抗を低下させて導電性の向上を図ることができ
る。
【0027】なお、本発明は、上記実施の形態で示した
ような固体高分子電解質型燃料電池におけるセパレータ
に適用することで、電池性能の向上を達成することが可
能であり、最も有効であるが、燃料電池用セパレータ以
外に、機械的強度及び導電性の両方が要求されるあらゆ
る成形体に適用可能である。
【0028】
【発明の効果】以上のように、請求項1ないし請求項5
に記載の本発明によれば、熱硬化性樹脂に混合分散させ
る導電性フィラーとして、黒鉛粉末とオイルファーネス
ブラックまたはアセチレンブラックのように導電性指標
が60以上のストラクチャーカーボンとを適正比率で併
用することによって、従来のボンドカーボンや複合導電
材料のように、黒鉛粉末または導電性カーボンブラック
を単独に使用したものに比べて、樹脂量を多くして成形
性を容易にし、高い寸法精度及び形状精度が得られるだ
けでなく、機械的強度、特に圧縮強度を大きく保ちつ
つ、樹脂層中の黒鉛粒子間をストラクチャーカーボン
形成する連鎖状のストラクチャーで相互に連結して黒鉛
粒子の有する非常に低い体積固有抵抗を有効に利用し、
成形体全体として非常に高い導電性を確保することがで
きるという効果を奏し、特に、機械的強度において80
MPa以上の高い圧縮強度と、体積抵抗率5×10-3Ω
・cm以下の高い導電性とが要求されている燃料電池用
セパレータとしてそれらを両立した特性のものを提供す
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るカーボン複合成形体の一例となる
燃料電池用セパレータを備えた固体高分子電解質型燃料
電池を構成するスタック構造の構成を示す分解斜視図で
ある。
【図2】同上固体高分子電解質型燃料電池におけるセパ
レータの外観正面図である。
【図3】同上固体高分子電解質型燃料電池の構成単位で
ある単セルの構成を示す要部の拡大断面図である。
【図4】同上セパレータの製造工程及び製造の様子を説
明する説明図である。
【図5】同上セパレータにおける要部の拡大断面模式図
である。
【図6】黒鉛の結晶構造を説明する図である。
【図7】導電性カーボンブラックの内部構造を説明する
図である。
【図8】従来のボンドカーボンにより成形された成形体
における要部の拡大断面模式図である。
【符号の説明】 1 電解質膜 2 アノード 3 カソード 4 セパレータ 5 単セル 14 金型 20 固体高分子電解質型燃料電池 30 樹脂層 32 黒鉛粒子 33 カーボンストラクチャー 34 導電性カーボンブラックの結晶子
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 5G301 DA18 DA19 DA42 DA51 DA53 DA55 DA57 DA60 DD08 DD10 5H026 AA02 BB02 BB08 CX03 EE05 EE06 EE18

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 黒鉛粉末65〜85重量%、熱硬化性樹
    脂15〜30重量%、導電性カーボンブラック3〜10
    重量%の配合割合に設定された複合組成物から所定形状
    に成形されていることを特徴とするカーボン複合成形
    体。
  2. 【請求項2】 上記導電性カーボンブラックは、導電性
    指標が60以上で、オイルファーネスブラック及びアセ
    チレンブラックを含むストラクチャーカーボンである請
    求項1に記載のカーボン複合成形体。
  3. 【請求項3】 上記熱硬化性樹脂が、フェノール樹脂、
    エポキシ樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエ
    ステル樹脂、アルキド樹脂、ポリカルポジイミド樹脂、
    フリフリルアルコール樹脂の中から選択された少なくと
    も一種類である請求項1または2に記載のカーボン複合
    成形体。
  4. 【請求項4】 上記複合組成物から成形された成形体
    は、その体積固有抵抗が5×10-3Ω・cm以下で、圧
    縮強度が80MPa以上である請求項1ないし3のいず
    れかに記載のカーボン複合成形体。燃料電池用セパレー
    タ。
  5. 【請求項5】 上記成形体の体積固有抵抗は、1×10
    -3Ω・cm以下である請求項4に記載のカーボン複合成
    形体。
  6. 【請求項6】 上記成形体の圧縮強度は、100MPa
    以上である請求項4または5に記載のカーボン複合成形
    体。
  7. 【請求項7】 対象とする成形体が、燃料電池用セパレ
    ータである請求項1ないし6のいずれかに記載のカーボ
    ン複合成形体。
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