JP2001065682A - 自動変速機の変速制御装置 - Google Patents
自動変速機の変速制御装置Info
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Abstract
いて、変速後のギヤ比にまで制御する摩擦係合要素を的
確に選択して、変速制御性を向上させる。 【解決手段】解放側摩擦係合要素の解放開始に伴うギヤ
比(入力速度/出力速度)の変化方向が、増大方向であ
る場合をパワーオン、減少方向である場合をパワーオフ
と区別する。そして、要求されるギヤ比の変化方向と解
放開始に伴うギヤ比の変化方向とが一致するときには、
解放側の係合油圧を制御して変速後のギヤ比にまで制御
し、変化方向が一致しない場合には、締結側の係合油圧
を制御して変速後のギヤ比にまで制御する。但し、パワ
ーオフアップ変速時であって、入力軸トルクが所定以上
であるときには、締結側の係合油圧を制御することで変
速後のギヤ比にまで制御させる。
Description
御装置に関し、詳しくは、異なる摩擦係合要素の締結制
御と解放制御とを同時に行う摩擦係合要素の掛け替えに
よって変速を行うよう構成された車両用の自動変速機の
変速制御装置に関する。
油圧によって制御するよう構成すると共に、2つの摩擦
係合要素の締結制御と解放制御とを同時に行う摩擦係合
要素の掛け替えによって変速を行わせる構成の自動変速
機が知られている(特開平9−296862号公報、特
開平9−296863号公報等参照)。
ダウン変速において、高車速かつ高トルクの場合には、
解放側摩擦係合要素のみで変速を行い、低車速かつ低ト
ルクの場合には、解放側と締結側との双方を用いて変速
制御を行わせる構成となっている。
のでは、アップ変速において、締結側摩擦係合要素を変
速制御の主体として解放側摩擦係合要素を追従制御させ
るよう構成すると共に、このときの締結側摩擦係合要素
の伝達トルク容量に対する解放側摩擦係合要素の伝達ト
ルク容量の割合(分担率)を、高トルク状態と低トルク
状態とで変化させる構成となっている。
に、トルクや車速に応じて変速制御におけるメインの摩
擦係合要素を選択させる構成では、解放側摩擦係合要素
の係合油圧を低下させたときのギヤ比の変化方向に対応
して最適な摩擦係合要素を確実に選択させることができ
ず、変速時間が長くなったり、変速ショックを発生させ
る可能性があった。
下させたときのギヤ比の変化方向が、要求されるギヤ比
の変化方向とが一致する場合には、そのまま解放制御を
進行させることで、短い変速時間で滑らかに変速させる
ことができるが、逆に前記ギヤ比の変化方向が一致しな
い場合に、そのまま解放制御を進行させると、ギヤ比が
要求とは異なる方向に大きく変化してしまって変速時間
が長くなり、変速ショックの発生を抑止しつつ変速時間
の短縮を図ることが困難になってしまう。従来のよう
に、トルクや車速から摩擦係合要素を選択する構成で
は、車両が走行している路面勾配などの影響によって、
所期の回転変化が得られずに変速時間が長くなったり、
変速ショックを発生させる可能性があったものである。
あり、解放側摩擦係合要素の解放開始に伴うギヤ比の変
化方向に対応して摩擦係合要素を的確に選択できるよう
にして、短い変速時間でかつ変速ショックの少ない掛け
替え変速を実現できるようにすることを目的とする。
発明は、異なる摩擦係合要素の締結制御と解放制御とを
同時に行う摩擦係合要素の掛け替えによって変速を行う
よう構成された自動変速機の変速制御装置であって、解
放側摩擦係合要素の解放開始に伴う変速機構のギヤ比の
変化方向と、変速により前記ギヤ比が変化すべき方向と
を比較し、前記ギヤ比の変化方向が一致する場合には、
当該変速において前記解放側摩擦係合要素の係合油圧の
制御によって変速後のギヤ比になるまで制御し、一致し
ない場合には、当該変速において締結側摩擦係合要素の
係合油圧の制御によって変速後のギヤ比になるまで制御
するよう構成した。
解放すべき摩擦係合要素(解放側摩擦係合要素)と締結
すべき摩擦係合要素(締結側摩擦係合要素)とが決定さ
れ、該決定に基づいて前記解放側摩擦係合要素の係合油
圧を低下させていって滑りが生じるようになると、変速
機構の入力軸回転速度(タービン回転速度)と出力軸回
転速度との比であるギヤ比が変化し始める。このときの
ギヤ比の変化方向と、要求されるギヤ比の変化方向とが
一致しているか否かが判断され、該判断結果に基づいて
解放側と締結側とのいずれを変速制御のメインとするか
を選択する。
つ前記ギヤ比の変化方向が一致する場合に、変速機構の
入力軸トルクが所定値以上であるか否かを判別し、前記
入力軸トルクが所定値以上であるときに、当該変速にお
いては優先的に締結側摩擦係合要素の係合油圧の制御に
よって変速後のギヤ比になるまで制御させるよう構成し
た。
一致する場合には、解放側摩擦係合要素の係合油圧の制
御によって変速後のギヤ比になるまで制御させるのが基
本であるが、アップ変速であって然も解放開始時点にお
ける入力軸トルクが所定値以上であるときには、たとえ
ギヤ比の変化方向が一致する場合であっても、締結側摩
擦係合要素の係合油圧の制御によって変速後のギヤ比に
なるまで制御させる。
入力軸トルクを、変速に伴うイナーシャトルクで減算補
正し、該補正された入力軸トルクと前記所定値とを比較
させる構成とした。
生し伝達トルクに付加されるイナーシャトルク、又は、
回転上昇のために伝達トルクから減算されるイナーシャ
トルクによって入力軸トルクを補正し、該補正した入力
軸トルクに基づいて締結側摩擦係合要素の制御で変速を
行わせるか否かを判断する。
トルクを目標変速時間に応じて設定する構成とした。か
かる構成によると、目標変速時間の違いによるイナーシ
ャトルクの変化に対応して、変速に伴うイナーシャトル
クが設定される。
係合要素の係合油圧の制御によって変速後のギヤ比にな
るまで制御させる場合に、前記解放開始に伴うギヤ比の
変化を収束させるべく、前記解放側摩擦係合要素及び/
又は締結側摩擦係合要素の係合油圧を制御し、所定ギヤ
比になってから前記締結側摩擦係合要素の係合油圧の制
御によって変速後のギヤ比になるまで制御するよう構成
した。
の解放開始に伴ってギヤ比が要求される変速方向とは異
なる方向に変化する場合、まず、かかる逆方向へのギヤ
比の変化を収束させるべく解放側及び/又は締結側の係
合油圧を制御し、ギヤ比の変化方向が反転して所定ギヤ
比になってから変速後の目標ギヤ比に向けて変速させ
る。
になるまでの間、変速前のギヤ比と変速機構の出力軸回
転速度とから求められる基準の入力軸回転速度と、実際
の入力軸回転速度との偏差の微分値に応じて、前記解放
側摩擦係合要素及び/又は締結側摩擦係合要素の係合油
圧を補正する構成とした。
速機構の出力軸回転速度とから求められる基準の入力軸
回転速度は、変速前のギヤ比における入力軸回転速度で
あり、該基準の入力軸回転速度と実際の入力軸回転速度
との偏差の微分値から、基準から離れつつあるか、基準
に近づきつつあるかを判断でき、これは、ギヤ比が要求
とは異なる方向に変化しているか、変化方向が反転して
要求ギヤ比に向けて変化しているかを表すことになり、
更に、変化速度が判定され、これらの情報に基づいて係
合油圧を補正することで、要求とは異なる方向へのギヤ
比の変化を収束させる。
になるまでの間、締結側摩擦係合要素の係合油圧を漸増
させる一方、ギヤ比が変化すべき方向と異なる方向へ変
化している間、前記解放側摩擦係合要素の係合油圧を臨
界圧付近に保持すると共に、前記締結側摩擦係合要素の
係合油圧を前記偏差の微分値に応じて増大補正し、前記
ギヤ比の変化方向が反転した後は、前記解放側摩擦係合
要素の係合油圧を前記偏差の微分値に応じて減少補正す
る構成とした。
方向と異なる方向へ変化している間、解放側を臨界状態
に保持することで、更なる逆方向への変化の発生を抑止
する一方で、締結側の係合油圧を、逆方向への変化速度
が早いほど増大補正して、逆方向への変化の収束を図
り、ギヤ比の変化方向が反転して要求されるギヤ比に向
けて変化し始めると、締結側の係合油圧が漸増すること
による回転落ち(ロック)を回避すべく、反転後の回転
変化速度が早いほど、解放側の係合油圧を減少補正して
締結の進行に対応して解放を進めるようにする。
係合要素の係合油圧の制御によって変速後のギヤ比にな
るまで制御させる場合に、前記変速後のギヤ比になるま
での間、前記締結側摩擦係合要素の係合油圧をスタンバ
イ圧に保持し、略変速後のギヤ比にまで変化した後に、
前記解放側摩擦係合要素の係合油圧を最小圧にまで漸減
させると同時に、前記締結側摩擦係合要素の係合油圧を
前記スタンバイ圧から漸増させる構成とした。
の解放開始に伴って変速要求に沿った方向にギヤ比が変
化する場合、締結側の係合油圧をスタンバイ圧に保持さ
せた状態で解放側の係合油圧を制御して、ギヤ比を変速
後の目標付近にまで変化させる。その後、解放制御と締
結制御とを同時進行させ、変速制御を終了する。
変速前後のギヤ比とに基づいて、前記変速時間における
目標の入力軸回転速度変化を設定し、実際の入力軸回転
速度が前記目標の入力軸回転速度変化に追従するよう
に、前記解放側摩擦係合要素又は締結側摩擦係合要素の
係合油圧をフィードバック制御することによって、変速
後のギヤ比になるまで制御するよう構成した。
速前のギヤ比から変速後のギヤ比にまで変化するときの
入力軸回転速度の変化を目標として設定し、実際の入力
軸回転速度が前記目標の変化特性に追従して変化するよ
うに、解放側又は締結側の係合油圧をフィードバック制
御することによって、変速後のギヤ比になるまで制御す
る。
づいて前記締結側摩擦係合要素の係合油圧をスタンバイ
圧に制御して保持させる一方、前記解放側摩擦係合要素
の係合油圧を漸減し、ギヤ比が変化し始めた時のギヤ比
の変化方向に基づいて、変速後のギヤ比になるまで制御
する摩擦係合要素を選択する構成とした。
ると、締結側の係合油圧をその後の締結制御の開始に備
えてスタンバイ圧にまで増大させて保持させる一方、解
放側の係合油圧を漸減させる。そして、解放側の解放開
始(滑りの発生)に伴ってギヤ比が変化し始めると、そ
の方向に基づいて変速後のギヤ比にまで変化させるとき
の制御対象とする摩擦係合要素を選択して、該選択結果
に応じてその後の変速制御を行わせる。
擦係合要素の解放によってギヤ比がどの方向に変化する
かに応じて、変速後のギヤ比にまで制御するのに最適な
摩擦係合要素が選択され、変速時間が長くなったり、変
速ショックが発生することを回避できるという効果があ
る。
坂での車速増加に伴うアップ変速時であって、変速機構
に対する入力トルクが比較的高いため解放制御によるギ
ヤ比変化が遅くなるときに、解放側の制御に代えて締結
側の制御によって変速後のギヤ比にまで制御させること
で変速時間を短くできるという効果がある。
伴うイナーシャトルクの発生を考慮して、変速機構の入
力軸トルクを精度良く判断できるという効果がある。請
求項4記載の発明によると、回転変化に伴うイナーシャ
トルクを、簡便かつ精度良く設定できるという効果があ
る。
伴う逆方向へのギヤ比変化を最小限に抑制して、早期に
変速後のギヤ比に向けた制御を行わせることができると
いう効果がある。
力軸回転速度からの変化方向及び変化速度に応じて係合
油圧を補正することで、解放開始に伴う逆方向へのギヤ
比変化を精度良くかつ効率良く収束させることができる
という効果がある。
伴う逆方向へのギヤ比変化を抑制しつつ、ロック(出力
軸トルクの落ち込み)を防止できるという効果がある。
請求項8記載の発明によると、解放側の係合油圧の制御
によって速やかに変速後のギヤ比にまで変化させた後、
伝達トルクの掛け替えを行わせることができるという効
果がある。
間内でギヤ比を変速後のギヤ比にまで確実に変化させる
ことができるという効果がある。請求項10記載の発明
によると、締結制御の開始に備えつつ、解放側摩擦係合
要素を解放開始状態にまで確実に制御でき、また、解放
開始状態(臨界状態)を基準とした解放側の制御を精度
良く行わせることができるという効果がある。
する。図1は、実施の形態における自動変速機の変速機
構を示すものであり、エンジンの出力がトルクコンバー
タ1を介して変速機構2に伝達される構成となってい
る。
G2、3組の多板クラッチH/C,R/C,L/C、1
組のブレーキバンド2&4/B、1組の多板式ブレーキ
L&R/B、1組のワンウェイクラッチL/OWCで構
成される。
れ、サンギヤS1,S2、リングギヤr1,r2及びキ
ャリアc1,c2よりなる単純遊星歯車である。前記遊
星歯車組G1のサンギヤS1は、リバースクラッチR/
Cにより入力軸INに結合可能に構成される一方、ブレ
ーキバンド2&4/Bによって固定可能に構成される。
力軸INに直結される。前記遊星歯車組G1のキャリア
c1は、ハイクラッチH/Cにより入力軸Iに結合可能
に構成される一方、前記遊星歯車組G2のリングギヤr
2が、ロークラッチL/Cにより遊星歯車組G1のキャ
リアc1に結合可能に構成され、更に、ロー&リバース
ブレーキL&R/Bにより遊星歯車組G1のキャリアc
1を固定できるようになっている。
組G1のリングギヤr1と、前記遊星歯車組G2のキャ
リアc2とが一体的に直結されている。上記構成の変速
機構2において、1速〜4速及び後退は、図2に示すよ
うに、各クラッチ・ブレーキの締結状態の組み合わせに
よって実現される。
し、記号が付されていない部分は解放状態とすることを
示すが、特に、1速におけるロー&リバースブレーキL
&R/Bの黒丸で示される締結状態は、1レンジでのみ
の締結を示すものとする。
結状態の組み合わせによると、例えば、4速から3速へ
のダウンシフト時には、ブレーキバンド2&4/Bの解
放を行う共にロークラッチL/Cの締結を行い、3速か
ら2速へのダウンシフト時には、ハイクラッチH/Cの
解放を行うと共にブレーキバンド2&4/Bの締結を行
うことになり、2速から3速へのアップシフト時には、
ブレーキバンド2&4/Bの解放を行うと共にハイクラ
ッチH/Cの締結を行い、3速から4速へのアップシフ
ト時には、ロークラッチL/Cの解放を行うと共にブレ
ーキバンド2&4/Bの締結を行うことになり、上記の
ように、クラッチ・ブレーキ(摩擦係合要素)の締結と
解放とを同時に制御して摩擦係合要素の掛け替えを行う
変速を掛け替え変速と称するものとする。
素)は、供給油圧によって動作するようになっており、
各クラッチ・ブレーキに対する供給油圧は、図3に示す
ソレノイドバルブユニット11に含まれる各種ソレノイ
ドバルブによって調整される。
ソレノイドバルブを制御するA/Tコントローラ12に
は、A/T油温センサ13,アクセル開度センサ14,
車速センサ15,タービン回転センサ16,エンジン回
転センサ17,エアフローメータ18等からの検出信号
が入力され、これらの検出結果に基づいて、各摩擦係合
要素における係合油圧を制御する。
変速機と組み合わされるエンジンを示す。ここで、前記
A/Tコントローラ12による掛け替え変速の様子を、
図4〜図28のフローチャートに従って説明する。
ダウン変速の要求を判別すると共に、変速をパワーオン
変速とパワーオフ変速とのいずれかに判別して変速制御
を行うメインルーチンを示す。
と、アクセル開度と車速とに基づき変速マップから検索
した変速段NEXT#GRとを比較することで変速の必要があ
るか否かを判別する。
ないときには、ステップS2へ進み、各摩擦係合要素の
係合油圧を、非変速時の制御仕様に従って制御する。一
方、Cur#GR≠NEXT#GRであって、変速が必要であるとき
には、ステップS3へ進み、現在の変速段Cur#GRよりも
マップから求めた変速段NEXT#GRが高速段側であるか否
かを判別することで、アップ変速とダウン変速とのいず
れかに判別する。
求めた変速段NEXT#GRが高速段側であれば、ステップS
4へ進んでアップ変速と判断し、それ以外は、ステップ
S5へ進んでダウン変速と判断する。
速度Noと変速前の変速段におけるギヤ比(入力軸回転
速度/出力軸回転速度)とから得られる基準タービン回
転速度(基準入力軸回転速度)と、実際の変速機構のタ
ービン回転速度Nt(入力軸回転速度)とが略一致して
いるか否かを判別する。
ン回転速度−ヒステリシス値HYS2と基準タービン回
転速度+ヒステリシス値HYS1とで挟まれる範囲内
に、そのときのタービン回転速度Ntが含まれる場合を
示す。
度で除算した値がそのときのギヤ比であり、基準タービ
ン回転速度(基準入力軸回転速度)を出力軸回転速度で
除算した値が変速前のギヤ比に相当するから、上記の基
準タービン回転速度(基準入力軸回転速度)と、実際の
変速機構のタービン回転速度Nt(入力軸回転速度)と
の比較は、そのときのギヤ比と変速前のギヤ比とを比較
していることと実質的に同じである。
ン回転速度Ntとが異なるようになるまでは、ステップ
S7へ進み、準備フェーズ処理を行わせる。前記準備フ
ェーズ処理は、後に詳細に説明するが、解放側摩擦係合
要素の係合油圧を非変速時の油圧から臨界圧に向けて徐
々に低下させる一方、締結側摩擦係合要素の係合油圧を
スタンバイ圧に制御して保持させる処理である(図29
〜31参照)。
係合要素の係合油圧の低下によって、解放側摩擦係合要
素が滑り出し、その結果、タービン回転速度Ntと基準
タービン回転速度Ntとが異なるようになると、ステッ
プS8へ進む。
とヒステリシス値HYS1(例えば10rpm)との加算値
よりも、実際のタービン回転速度Ntが高いか否かを判
別する。
YS1との加算値よりも、実際のタービン回転速度Nt
が高い場合には、解放側摩擦係合要素の解放開始に伴っ
て、タービン回転速度Nt(ギヤ比)が増大変化したも
のと判断される。そして、この場合には、ステップS9
へ進んで、パワーオン変速と判断し、前記準備フェーズ
処理に続けてパワーオンアップ変速制御又はパワーオン
ダウン変速制御を行わせる。
ビン回転速度とヒステリシス値HYS1との加算値以下
であるときには、ステップS10へ進み、基準タービン
回転速度からヒステリシス値HYS2を減算した値より
も、実際のタービン回転速度Ntが低いか否かを判別す
る。
HYS2を減算した値よりも、実際のタービン回転速度
Ntが低い場合には、解放側摩擦係合要素の解放開始に
伴って、タービン回転速度Nt(ギヤ比)が減少変化し
たものと判断される。そして、この場合には、ステップ
S11へ進んで、パワーオフ変速と判断し、前記準備フ
ェーズ処理に続けてパワーオフアップ変速制御又はパワ
ーオフダウン変速制御を行わせる。
って、タービン回転速度Ntが増大変化するときには、
エンジンによる駆動状態(パワーオン状態)でエンジン
の駆動負荷が小さくなったために回転が上昇した(空吹
けした)ものと推定され、また、解放側摩擦係合要素の
解放開始に伴って、タービン回転速度Ntが減少変化す
るときには、エンジンによる駆動状態ではないもの(パ
ワーオフ状態)と推定されるものである。
の解放開始に伴ってタービン回転速度(ギヤ比)が増大
するパワーオン変速と、解放側摩擦係合要素の解放開始
に伴ってタービン回転速度(ギヤ比)が減少するパワー
オフ変速とに判別し、同じアップ変速又はダウン変速で
あっても、パワーオン変速とパワーオフ変速とで異なる
変速制御を実行させるようにしてある。
前のギヤ比(入力軸回転速度/出力軸回転速度)とから
得られる基準タービン回転速度と、実際の変速機構のタ
ービン回転速度Ntとを比較することで、解放側の解放
開始に伴うギヤ比の変化方向を判別させたが、タービン
回転速度Ntと出力軸回転速度Noとからギヤ比を算出
して、変速前のギヤ比と比較させ、ギヤ比の変化方向を
判別させる構成としても良い。
ン回転速度を基準速度として求め、この変速後のタービ
ン回転速度に実際のタービン回転速度Ntが近づくか否
かを判別させるか、又は、変速後のギヤ比にそのときの
ギヤ比が近づくか否かを判別させ、これによって、ギヤ
比の変化方向を判別させる構成としても良い。
ン変速・パワーオフ変速において共通に実行される準備
フェーズ処理(ステップS7)を以下に説明する。図5
のフローチャートは、解放側摩擦係合要素の準備フェー
ズ処理のメインルーチンを示すものであり、ステップS
31では、変速判断から所定時間TIMER1だけ経過
したか否かを判別する。
テップS32へ進み、解放初期油圧の演算を行う。前記
解放初期油圧は、解放制御を行う初期圧であり、非変速
時の油圧から前記解放初期油圧まで、前記所定時間TI
MER1内で低下させるようにする。
は、図6のフローチャートに詳細に示してあり、ステッ
プS321では、今回解放制御を行う摩擦係合要素の非
変速時油圧Po0(指示圧)と、前記摩擦係合要素の解
放初期油圧Po1(指示圧)とを算出する。
伝達トルク容量(必要伝達トルク容量)を油圧に変換す
るための係数であり、変速の種類及び解放制御する摩擦
係合要素の種類に応じて予め記憶されている。また、T
tは、変速機構の入力軸トルクの推定値であり、例えば
吸入空気量・エンジン回転速度などから推定されるエン
ジンの出力トルクと、トルクコンバータのトルク比とか
ら推定される。Tr-oは、前記入力軸トルクTtに対し
て、解放側摩擦係合要素が滑りを生じる臨界伝達トルク
容量を求めるための解放臨界トルク比である。余裕代
(0)は、前記臨界伝達トルク容量に対して余裕分の伝達
トルク容量を付加するための補正係数であり、例えば3.
0程度の値として予め記憶されている。Prtn-oは、解放
側のスタンバイ圧(解放側リターンスプリング圧)であ
り、摩擦係合要素毎に予め記憶される。
て、余裕代の部分のみが異なり、解放初期油圧Po1の
演算式においては、余裕代(1)を1.2程度の比較的低い値
とする。
軸トルクの推定誤差が予想される範囲内で発生しても、
解放側摩擦係合要素が締結状態を保持できる値として設
定される。
制御されるが、変速要求に伴って解放するときに、前記
所定時間TIMER1内で、前記非変速時油圧Po0か
ら解放初期油圧Po1まで低下させるものであり、ステ
ップS322では、前記所定時間TIMER1内での油
圧減少勾配Rmp−Po1を、 Rmp−Po1=(Po0−Po1)/TIMER1 として算出する。
時間毎に(Rmp−Po1)だけ油圧を減少させ、所定時間
TIMER1が経過した時点で、解放初期油圧Po1ま
で低下するようにする。
で解放初期油圧Po1まで低下させた後、ステップS3
3で、基準タービン回転速度(No×変速前のギヤ比)
とタービン回転速度Ntとが略一致すると判断される間
においては、ステップS34の分担比ランプ制御を実行
する。
詳細は、図7のフローチャートに示してあり、ステップ
S341では、前記解放初期油圧Po1を算出し、ま
た、解放油圧Po2を算出する。
よりも小さい例えば0.8程度の値を用いる(余裕代(0)>
余裕代(1)>0>余裕代(2):図32参照)。
R2内で、前記解放初期油圧Po1から解放油圧Po2
まで低下させるための油圧ランプ勾配(単位時間当たり
の油圧減少幅)を、 Rmp−Po2=(Po1−Po2)/TIMER2 として算出する。
た時点から所定時間TIMER2内で、かつ、タービン
回転速度Ntが基準タービン回転速度(No×変速前の
ギヤ比)と略一致する判断される状態では、単位時間毎
に(Rmp−Po2)だけ油圧を減少させる。
に減少させると、余裕代が1.0付近になった時点で、基
準タービン回転速度(No×変速前のギヤ比)とタービ
ン回転速度Ntとが一致しなくなることで、解放側の伝
達トルク容量が臨界付近にまで低下したことを間接的に
知ることができる。
のフローチャートに示される。図8のフローチャート
は、締結側の準備フェーズ処理を示すものであり、ステ
ップS41で、タービン回転速度Ntと、基準タービン
回転速度(出力軸回転速度No×変速前のギヤ比)とが
略一致しているか否かを判別し、略一致している間にお
いては、ステップS42へ進む。
間TIMER0内であるか否かを判別し、前記所定時間
TIMER0内であれば、ステップS43へ進み、締結
側摩擦係合要素の係合油圧を、摩擦係合要素毎に予め決
められた所定のプリチャージ圧までステップ的に増大さ
せ、前記所定時間TIMER0内で前記プリチャージ圧
を保持させるようにする。
すると、ステップS44へ進み、締結側摩擦係合要素の
係合油圧を前記プリチャージ圧よりも低いスタンバイ圧
までステップ的に低下させ、該スタンバイ圧を保持させ
るようにする。
ン変速・パワーオフ変速の判別結果に基づく変速制御の
詳細、即ち、ステップS9,S11の詳しい処理内容
を、図9のフローチャートに従って説明する。
ワーオンアップ変速・パワーオフアップ変速・パワーオ
ンダウン変速・パワーオフダウン変速の別に基づいて、
変速を行わせるときのメインの制御要素、即ち、変速後
のギヤ比にまで変化させるときに制御対象とする摩擦係
合要素(以下、メイン制御要素ともいう)が決定され
る。
か否かを判別し、アップ変速であれば、ステップS20
2へ進む。ステップS202では、パワーオン変速であ
るか否かを判別し、パワーオンアップ変速であるときに
は、ステップS203へ進んで、メイン制御要素として
締結側の摩擦係合要素を選択し、締結側摩擦係合要素の
係合油圧の制御によってギヤ比を変速後の変速段のギヤ
比にまで変化させる設定を行う。
ってギヤ比が増大変化する変速であり、アップ変速は、
ギヤ比を減少変化させる変速であるから、両者のギヤ比
の変化方向が異なり、この場合に、締結側摩擦係合要素
の係合油圧の制御によってギヤ比を変速後のギヤ比にま
で変化させる設定を行う。
即ち、パワーオフアップ変速であるときには、ステップ
S204へ進み、解放開始判断を行ったときの入力軸ト
ルク推定値Ttから変速(回転減少変化)によるイナー
シャトルクTinrを減算した値が所定値よりも大きいか
否かを判別する。
3に示すように、目標変速時間に対応するテーブル値と
して予め記憶されている。そして、Tt−Tinrが所定
値よりも大きい場合、には、ステップS205へ進み、
パワーオン変速時と同様に、メイン制御要素として締結
側の摩擦係合要素を選択する。
は、ステップS206へ進み、メイン制御要素として解
放側の摩擦係合要素を選択し、解放側摩擦係合要素の係
合油圧の制御によってギヤ比を変速後の変速段のギヤ比
にまで変化させるようにする。
ってギヤ比が減少変化する変速であり、アップ変速は、
ギヤ比を減少変化させる変速であるから、両者のギヤ比
の変化方向が同じであり、基本的には、解放制御によっ
てギヤ比を変速後のギヤ比にまで変化させることができ
る。しかし、Tt−Tinrが所定値よりも大きい場合に
は、締結側摩擦係合要素で変速後のギヤ比にまで変化さ
せる設定を行う。これは、Tt−Tinrが所定値よりも
大きい場合には、解放を進行させてもギヤ比がなかなか
変速後のギヤ比にまで変化しないことがあるため、締結
制御によって早期に変速後のギヤ比まで制御させるもの
である。
なくダウン変速であると判別されると、ステップS20
7へ進む。ステップS207では、パワーオンダウン変
速であるか否かを判別し、パワーオンダウン変速である
ときには、ステップS208へ進んでメイン制御要素と
して解放側の摩擦係合要素を選択し、パワーオンダウン
変速でないとき、即ち、パワーオフダウン変速であると
きには、ステップS209へ進んでメイン制御要素とし
て締結側の摩擦係合要素を選択する。
ってギヤ比が減少変化する変速であり、ダウン変速は、
ギヤ比を増大変化させる変速であるから、両者のギヤ比
の変化方向が異なり、パワーオフダウン変速では、締結
制御によってギヤ比を変速後の変速段のギヤ比にまで変
化させる。また、パワーオン変速は、解放側の解放開始
に伴ってギヤ比が増大変化する変速であり、ダウン変速
は、ギヤ比を増大変化させる変速であるから、両者のギ
ヤ比の変化方向が一致し、パワーオンダウン変速では、
解放制御によってギヤ比を変速後のギヤ比にまで変化さ
せる。
ップS203,S205,S206,S208,S20
9に続けて、ステップS211〜S215において準備
フェーズに続く変速制御(イナーシャフェーズ又はトル
クフェーズ)が行われることになるが、ここでは、メイ
ン制御要素を締結側摩擦係合要素とするパワーオンアッ
プ変速(ステップS211)を、図29のタイムチャー
トを参照しつつ、図10のフローチャートに従って説明
する。
制御要素として締結側が選択される、パワーオフダウン
変速、及び、パワーオフアップ変速であるがTt−Tin
rが所定値よりも大きい場合(以下、パワーオフアップ
変速(1)という)は、解放側摩擦係合要素の解放開始に
基づく回転変化の方向の違いに対応するための処理が異
なるだけで、基本的な制御はパワーオンアップ変速と共
通になる。尚、図30には、パワーオフダウン変速にお
けるトルクフェーズにおけるタービン回転変化の特性及
び油圧制御特性を示してある。
ワーオフアップ変速(1)(ステップS215,S21
2)については、以下のパワーオンアップ変速(ステッ
プS211)の説明において、異なる部分についてのみ
説明し、個別の説明は省略する。
ップ変速における変速制御(ステップS211)の概略
を示すものであり、前述の準備フェーズ処理に伴うター
ビン回転速度Ntの変化があってから、予め設定される
フィードバック(F/B)開始ギヤ比までギヤ比が変化
したか否かをステップS1001で判別し、F/B開始
ギヤ比までギヤ比が変化するまでの間、ステップS10
02へ進んで、トルクフェーズ処理を行う。
化すると、ステップS1003へ進み、予め設定される
フィードバック(F/B)終了ギヤ比までギヤ比が変化
したか否かを判別し、F/B終了ギヤ比までギヤ比が変
化するまでの間、ステップS1004へ進んで、イナー
シャフェーズ処理を行う。
と、ステップS1005へ進み、イナーシャフェーズ終
了から所定時間TIMER7だけ経過したか否かを判別
し、所定時間TIMER7内であれば、ステップS10
06へ進んで、終了フェーズ処理を行わせ、所定時間T
IMER7が経過した時点で変速制御を終了させる。
るトルクフェーズ処理について説明する。図11のフロ
ーチャートは、解放側摩擦係合要素のトルクフェーズ処
理の様子を示すものであり、ステップS51では、ター
ビン回転速度Ntと基準タービン回転速度(No×変速
前のギヤ比)との偏差の時間微分値が負であるか否かを
判別する。
ギヤ比)≧0である間、即ち、タービン回転速度Ntと
基準タービン回転速度(No×変速前のギヤ比)との偏
差が増大変化している間は、ステップS52へ進み、ト
ルク分担比保持制御を行う。
しく示してある。図12のフローチャートにおいて、ス
テップS521では、解放側摩擦係合要素の解放開始が
判定された時点の余裕代Trを求める。
で、判定時から判定遅れの時間だけ前の時点の余裕代を
推定するようにしても良い。次のステップS522で
は、前記余裕代Trに基づいて、d/dt(Nt−No
×変速前のギヤ比)≧0である間の解放側の油圧Po3
を演算する。
dt(Nt−No×変速前のギヤ比)<0であると判別
されると、ステップS53へ進み、解放トルク補正制御
を行う。
く示してある。ステップS531では、d/dt(Nt
−No×変速前のギヤ比)の大きさに応じて、解放補正
トルクThosei-oを図34に示すようなテーブルを参照し
て算出する。
(Nt−No×変速前のギヤ比)が0以上であるときに
0で、d/dt(Nt−No×変速前のギヤ比)が負で
あるときに、その絶対値が大きくなるほど絶対値の大き
な負の値に設定される構成となっている。
トルクThosei-oを用いて入力軸トルクTtを補正して解
放油圧Po4を算出する。 Po4=K1×[(Tt+Thosei-o)×Tr-o×余裕代T
r]+Prtn-o 上記解放油圧Po4の演算によると、後述する締結側の
係合油圧の漸増に対応して、解放補正トルクThosei-oに
より入力軸トルクの減少補正がなされて解放油圧が漸減
され、出力軸トルクの落ち込みが回避される。
てアップシフト方向に変化した時点で、そのときの解放
油圧から油圧=0にまでステップ変化させる。尚、パワ
ーオフダウン変速及びパワーオフアップ変速(1)では、
解放側摩擦係合要素の解放開始に伴って回転低下が生じ
るので、d/dt(Nt−No×変速前のギヤ比)がマ
イナスである間において解放側を臨界圧に保持させる一
方、前記補正トルクThosei-oをd/dt(Nt−No×
変速前のギヤ比)がプラスであるときにその絶対値が大
きくなるほど絶対値の大きな負の値に設定させるように
して、締結制御の進行に伴う回転の回復に応じて徐々に
解放側の油圧を低下させるようにする。
14のフローチャートに示すようにして行われる。ステ
ップS61では、解放側摩擦係合要素の解放開始を判定
し、解放が開始されるとステップS62へ進む。
間TIMER3が経過したか否かを判別する。そして、
前記所定時間TIMER3内であると判別されると、ス
テップS63へ進み、締結側の準備油圧制御を行う。
ーチャートに示してある。ステップS631では、締結
側摩擦係合要素がエンジントルクを伝達しない状態(締
結トルク分担比=0)から、締結臨界トルク比Tr-cの
0.8倍程度の油圧にまで所定時間TIMER3で上昇さ
せる設定を行い、ステップS632では、締結側の指示
油圧Pc1を、 Pc1=K2×Tt×Tr-c×(0.8×Rmp-Tr1)
+Prtn-c として算出する。
伝達トルク容量(必要伝達トルク容量)を油圧に変換す
るための係数であり、変速の種類及び解放制御する摩擦
係合要素の種類に応じて予め記憶されている。Tr-c
は、前記入力軸トルクTtに対して、締結側の摩擦係合
要素が締結し始める臨界伝達トルク容量を求めるための
締結臨界トルク比である。Prtn-cは、締結側のスタンバ
イ圧(締結側リターンスプリング圧)であり、摩擦係合
要素毎に予め記憶される。
うに、所定時間TIMER3内で0から1にまで一定速
度で増大する係数であり、締結側のスタンバイ圧から締
結臨界トルクの0.8倍(余裕代=0.8)にまで締結側の油
圧を増大変化させる。
で、前記所定時間TIMER3が経過したと判別される
と、ステップS64へ進む。ステップS64では、ギヤ
比がF/B開始ギヤ比よりも小さくなったか否かを判別
し、ギヤ比がF/B開始ギヤ比よりも大きい場合には、
ステップS65へ進んで、分担比ランプ制御を行う。
チャートに示される。まず、ステップS651では、所
定時間TIMER4で初期余裕代(1)=0.8から余裕代
(2)=1.2まで一定速度で変化させ(図36参照)、該余
裕代の上昇に伴って締結側の指示圧を増大させる設定を
行う。
変化に対応する初期圧Pc2及び最終圧Pc3を算出
し、該指示圧Pc2,Pc3と前記所定時間TIMER
4とに基づいて指示圧のランプ勾配Rmp-Pc3を算
出する。
って締結側指示油圧Pc4を徐々に増大させる制御を行
う。
S66の空吹け補正制御を行う。上記空吹け補正制御を
図17のフローチャートに従って説明すると、ステップ
S661では、d/dt(Nt−No×変速前のギヤ
比)に応じて補正トルクThosei-cを求める。
すように、d/dt(Nt−No×ギヤ比)がマイナス
であるときは0であるが、プラスであるときにはd/d
t(Nt−No×変速前のギヤ比)が大きくなるほど大
きなプラスの値に設定される。
制御される前記指示油圧Pc4を、前記補正トルクTho
sei-cによって補正して指示圧Pc5を算出する。 Pc5=Pc4+K2×Tr-c×Thosei-c 尚、パワーオフダウン変速、及び、パワーオフアップ変
速(1)では、逆に回転落ちが発生し、かかる回転落ちが
締結制御を促進させることで抑制されることになるの
で、d/dt(Nt−No×変速前のギヤ比)がマイナ
スであるときに、その絶対値が大きくなるほど大きなプ
ラスの値となるように補正トルクThosei-cを設定す
る。
ップS1004におけるイナーシャフェーズ処理を説明
する。解放側のイナーシャフェーズ処理は、図18のフ
ローチャートに示してあり、ステップS71でトルクフ
ェーズ終了時の油圧(油圧=0)を保持させる。
は、図19のフローチャートに示される。図19のフロ
ーチャートにおいて、ステップS81では、図20のフ
ローチャートに示される基本制御を行う。
S811で、イナーシャトルクTinrを算出する。前記
イナーシャトルクTinr(変速トルク)は、図33に示
すように、目標変速時間に対応するテーブル値として予
め記憶されており、目標変速時間が短いときほど大きな
値に設定される。
ルクTinrに基づいて締結側の指示圧Pc7を算出す
る。 Pc7=K2×Tt×Tr-c+Prtn-c+K2×Tr-c×
(Tinr×HOSEI-VSP) 上記指示圧Pc7は、入力トルクに対応する臨界圧に、
イナーシャトルクTinrに対応する油圧を加算した値と
して算出されることになる。また、前記イナーシャトル
クTinrを車速VSPに応じた補正係数HOSEI-VSPによ
り、車速が高い時ほどイナーシャトルクTinrをより増
大補正するようにしてある(図38参照)。
記イナーシャトルクTinrが回転上昇させるために使わ
れるトルクとなるため、入力軸トルクに応じた臨界トル
ク容量相当の油圧を、イナーシャトルクTinrに対応す
る油圧で減少補正するようにする。
は、回転フィードバック(F/B)制御を実行する。前
記回転F/B制御を図21のフローチャートに従って説
明する。
転速度を算出する。前記目標のタービン回転速度は、目
標変速時間で変速前のギヤ比から変速後のギヤ比に一定
速度で変化させるとした場合の時々刻々の目標ギヤ比と
(図39参照)、出力軸回転Noとの乗算値として求め
られる。
ン回転速度に実際のタービン回転速度を一致させるよう
にフィードバック補正分PIDを比例・積分・微分制御
し、次のステップS823では、前記フィードバック補
正分PIDで基本制御における指示圧Pc7を補正し
て、締結側指示圧Pc8を設定する。
油圧の制御によって変速後のギヤ比にまで制御する。そ
して、ギヤ比がF/B終了ギヤ比よりも小さくなると、
ギヤ比がF/B終了ギヤ比よりも初めて小さくなった時
点から所定時間TIMER7内であれば、終了フェーズ
処理を行う。
ズ処理は、図22のフローチャートに示してあり、ステ
ップS91でイナーシャフェーズ終了時の油圧を保持す
る設定を行う。即ち、解放側摩擦係合要素の油圧は、ギ
ヤ比がF/B開始ギヤ比よりも小さくなった時点から0
に保持されることになる。
処理は、図23のフローチャートに示され、ステップS
101では、ギヤ比がF/B終了ギヤ比よりも初めて小
さくなった時点から所定時間TIMER7内であるか否
かを判別し、所定時間TIMER7内であればステップ
S102へ進んで、終了フェーズ処理を実行する。
の詳細は、図24のフローチャートに示してあり、ステ
ップS111では、締結臨界トルクに相当する油圧から
締結臨界トルクの1.2倍に相当する油圧まで、前記所定
時間TIMER7内で上昇させる設定を行う。
9を、 Pc9=K2×Tt×Tr-c×(1+0.2×Rmp-Tr2)+P
rtn-c+K2×Tr-c×(Tinr×HOSEI-VSP) ここで、Rmp-Tr2は、図40に示すように、所定時間T
IMER7内で0から1.0まで一定速度で変化する係数
であり、係数Rmp-Tr2が0のとき、Pc9=Pc8とな
り、イナーシャフェーズでの油圧を初期値として、Pc
9=K2×Tt×Tr-c×1.2+Prtn-c+K2×Tr-c×
(Tinr×HOSEI-VSP)まで、所定時間TIMER7内で
油圧を増大させる。
した時点で、締結側の指示圧を、前記Pc9=K2×T
t×Tr-c×1.2+Prtn-c+K2×Tr-c×(Tinr×HOSE
I-VSP)から、最大圧までステップ変化させる。
ステップS214のパワーオンダウン変速について、図
31のタイムチャートを参照しつつ以下に概略的に説明
する。
要素を解放側とするパワーオンダウン変速における変速
制御の概略を示すものであり、前述の準備フェーズ処理
に伴うタービン回転速度Ntの変化があってから、フィ
ードバック(F/B)終了ギヤ比までギヤ比が変化した
か否かをステップS1011で判別し、F/B終了ギヤ
比までギヤ比が変化するまでの間、ステップS1012
へ進んで、イナーシャフェーズ処理を行う。
化すると、ステップS1013へ進み、F/B終了ギヤ
比に達してから所定時間TIMER4+所定時間TIM
ER6が経過したか否かを判別し、所定時間TIMER
4+所定時間TIMER6が経過するまではステップS
1014へ進んで、トルクフェーズ処理を行わせる。
MER6が経過すると、ステップS1015へ進み、ト
ルクフェーズ処理の終了時点から所定時間TIMER7
が経過したか否かを判別する。そして、所定時間TIM
ER7内であれば、ステップS1016へ進んで終了フ
ェーズ処理を行わせ、所定時間TIMER7が経過した
時点でパワーオンダウン変速を終了する。
ルクの推定値,臨界トルク比,余裕代に基づいて係合油
圧が算出されるが、基本的な係合油圧の演算方法は上記
パワーオンアップ変速と同様であるので、以下のイナー
シャフェーズ処理,トルクフェーズ処理,終了フェーズ
処理の説明においては、油圧演算についての詳細な説明
は省略する。
ナーシャフェーズ処理を、図26のフローチャートに従
って説明する。ステップS131では、パワーオンダウ
ンによる回転の増大変化に伴うイナーシャトルク(変速
トルク)Tinrを算出する。
ルクの推定値を前記イナーシャトルク(変速トルク)T
inrに基づいて減少補正して、臨界トルク容量に相当す
る油圧を求める。
容量に相当する油圧を基本値として、タービン回転速度
Ntを、変速開始からの経過時間に応じた目標タービン
回転速度に一致させるためのタービン回転フィードバッ
ク制御を行う。
じて目標ギヤ比を設定し、該目標ギヤ比と出力軸回転速
度Noとから目標タービン回転速度を算出する。そし
て、実際のタービン回転速度と前記目標タービン回転速
度との偏差から、例えば比例・積分・微分制御(PID
制御)によってフィードバック補正分を算出し、前記基
本圧を前記フィードバック補正分で補正する。
は、図27のフローチャートに示される。ステップS1
61では、予め設定された締結開始ギヤ比にまでギヤ比
が変化したか否かを判別し、締結開始ギヤ比に到達する
までは、ステップS162へ進み、スタンバイ圧に保持
させる。
テップS163へ進み、準備油圧制御を行う。該準備油
圧制御は、前記パワーオンアップ変速の準備油圧制御と
同様に、前記スタンバイ圧から締結初期圧まで所定時間
TIMER3で上昇させる処理である。前記締結初期圧
は、予め設定された余裕代(1)と入力軸トルクとに基づ
いて設定される。
定時間TIMER4で解放側の油圧を0にまで減少させ
るランプ制御を実行する。一方、締結側のトルクフェー
ズ処理は、図28のフローチャートに示される。
理の開始から所定時間TIMER4内であるか否かを判
別し、所定時間TIMER4内であれば、ステップS1
72へ進み、前記所定時間TIMER4内で、前記余裕
代(1)から余裕代(2)まで一定速度で変化させ、該余裕代
の上昇に伴って締結側の指示圧を増大させる設定を行
う。
トルク分に相当する油圧を求め、ステップS174で
は、前記所定時間TIMER4で前記余裕代(1)から余
裕代(2)まで一定速度で変化させるように設定される基
本圧に前記イナーシャトルク分に相当する油圧を加算し
て、前記所定時間TIMER4内における最終的な締結
側の油圧を決定する。
加算するのは、イナーシャフェーズ中に、解放側の油圧
が、回転上昇に用いられるトルクを見込んで、入力軸ト
ルクの推定値に対応する油圧(伝達トルク容量)よりも
低く制御されるが、変速が終了することで、回転上昇に
用いられるトルクが無くなり、その分に対応する伝達ト
ルク容量を締結側で確保する必要が生じるためである。
ステップS175へ進み、前記所定時間TIMER4が
経過した時点から所定時間TIMER6が経過したか否
かを判別する。
から所定時間TIMER6内であれば、ステップS17
6へ進み、前記所定時間TIMER4が経過した時点の
締結側油圧を保持させる処理を行う。
終了フェーズに移行し、所定時間TIMER7内で、前
記所定時間TIMER6が経過した時点における油圧の
所定倍の油圧にまで徐々に増大させ、所定時間TIME
R7が経過した時点で最大圧までステップ変化させる。
つ、Tt−Tinrが所定値以下であって、メインの制御
要素として解放側が選択されるとき(パワーオフアップ
変速(2))には、上記パワーオンダウン変速制御と同様
に、解放側摩擦係合要素の制御によって変速させた後、
締結側摩擦係合要素を締結させるが、変速時の回転低下
に伴ってイナーシャトルクが発生するので、イナーシャ
フェーズ中の解放側油圧をイナーシャトルク分だけ嵩上
げし、逆に、トルクフェーズにおける締結側の油圧をイ
ナーシャトルク分だけ下げるようにする。
す図。
の組み合わせと変速段との相関を示す図。
オン変速・パワーオフ変速の判別制御を示すフローチャ
ート。
フローチャート。
算の様子を示すフローチャート。
プ制御の様子を示すフローチャート。
フローチャート。
くメイン制御要素の決定を示すフローチャート。
の変速制御を示すフローチャート。
示すフローチャート。
おけるトルク分担比保持制御を示すフローチャート。
おける解放トルク補正制御を示すフローチャート。
示すフローチャート。
おける準備油圧制御を示すフローチャート。
おける分担比ランプ制御を示すフローチャート。
おける空吹け補正制御を示すフローチャート。
理を示すフローチャート。
理を示すフローチャート。
理における基本制御を示すフローチャート。
理における回転F/B制御を示すフローチャート。
すフローチャート。
すフローチャート。
細を示すフローチャート。
の変速制御を示すフローチャート。
における解放側の制御を示すフローチャート。
における締結側の制御を示すフローチャート。
ける締結側の制御を示すフローチャート。
子を示すタイムチャート。
備フェーズ及びトルクフェーズについて示すタイムチャ
ート。
子を示すタイムチャート。
ける余裕代の変化特性を示す線図。
線図。
クの特性を示す線図。
おける油圧のランプ特性を示す線図。
御における余裕代の変化特性を示す線図。
クの特性を示す線図。
す線図。
図。
特性を示す線図。
Claims (10)
- 【請求項1】異なる摩擦係合要素の締結制御と解放制御
とを同時に行う摩擦係合要素の掛け替えによって変速を
行うよう構成された自動変速機の変速制御装置であっ
て、 解放側摩擦係合要素の解放開始に伴う変速機構のギヤ比
の変化方向と、変速により前記ギヤ比が変化すべき方向
とを比較し、前記ギヤ比の変化方向が一致する場合に
は、当該変速において前記解放側摩擦係合要素の係合油
圧の制御によって変速後のギヤ比になるまで制御し、一
致しない場合には、当該変速において締結側摩擦係合要
素の係合油圧の制御によって変速後のギヤ比になるまで
制御するよう構成したことを特徴とする自動変速機の変
速制御装置。 - 【請求項2】アップ変速でかつ前記ギヤ比の変化方向が
一致する場合に、変速機構の入力軸トルクが所定値以上
であるか否かを判別し、前記入力軸トルクが所定値以上
であるときに、当該変速においては優先的に締結側摩擦
係合要素の係合油圧の制御によって変速後のギヤ比にな
るまで制御させるよう構成したことを特徴とする請求項
1記載の自動変速機の変速制御装置。 - 【請求項3】前記変速機構の入力軸トルクを、変速に伴
うイナーシャトルクで減算補正し、該補正された入力軸
トルクと前記所定値とを比較させることを特徴とする請
求項2記載の自動変速機の変速制御装置。 - 【請求項4】前記イナーシャトルクを目標変速時間に応
じて設定することを特徴とする請求項3記載の自動変速
機の変速制御装置。 - 【請求項5】前記締結側摩擦係合要素の係合油圧の制御
によって変速後のギヤ比になるまで制御させる場合に、
前記解放開始に伴うギヤ比の変化を収束させるべく、前
記解放側摩擦係合要素及び/又は締結側摩擦係合要素の
係合油圧を制御し、所定ギヤ比になってから前記締結側
摩擦係合要素の係合油圧の制御によって変速後のギヤ比
になるまで制御するよう構成したことを特徴とする請求
項1〜4のいずれか1つに記載の自動変速機の変速制御
装置。 - 【請求項6】前記所定ギヤ比になるまでの間、変速前の
ギヤ比と変速機構の出力軸回転速度とから求められる基
準の入力軸回転速度と、実際の入力軸回転速度との偏差
の微分値に応じて、前記解放側摩擦係合要素及び/又は
締結側摩擦係合要素の係合油圧を補正することを特徴と
する請求項5記載の自動変速機の変速制御装置。 - 【請求項7】前記所定ギヤ比になるまでの間、締結側摩
擦係合要素の係合油圧を漸増させる一方、ギヤ比が変化
すべき方向と異なる方向へ変化している間、前記解放側
摩擦係合要素の係合油圧を臨界圧付近に保持すると共
に、前記締結側摩擦係合要素の係合油圧を前記偏差の微
分値に応じて増大補正し、前記ギヤ比の変化方向が反転
した後は、前記解放側摩擦係合要素の係合油圧を前記偏
差の微分値に応じて減少補正することを特徴とする請求
項6記載の自動変速機の変速制御装置。 - 【請求項8】前記解放側摩擦係合要素の係合油圧の制御
によって変速後のギヤ比になるまで制御させる場合に、
前記変速後のギヤ比になるまでの間、前記締結側摩擦係
合要素の係合油圧をスタンバイ圧に保持し、略変速後の
ギヤ比にまで変化した後に、前記解放側摩擦係合要素の
係合油圧を最小圧にまで漸減させると同時に、前記締結
側摩擦係合要素の係合油圧を前記スタンバイ圧から漸増
させることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1つに
記載の自動変速機の変速制御装置。 - 【請求項9】目標変速時間と変速前後のギヤ比とに基づ
いて、前記変速時間における目標の入力軸回転速度変化
を設定し、実際の入力軸回転速度が前記目標の入力軸回
転速度変化に追従するように、前記解放側摩擦係合要素
又は締結側摩擦係合要素の係合油圧をフィードバック制
御することによって、変速後のギヤ比になるまで制御す
るよう構成したことを特徴とする請求項1〜8のいずれ
か1つに記載の自動変速機の変速制御装置。 - 【請求項10】変速判断に基づいて前記締結側摩擦係合
要素の係合油圧をスタンバイ圧に制御して保持させる一
方、前記解放側摩擦係合要素の係合油圧を漸減し、ギヤ
比が変化し始めた時のギヤ比の変化方向に基づいて、変
速後のギヤ比になるまで制御する摩擦係合要素を選択す
ることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1つに記載
の自動変速機の変速制御装置。
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