JP3730470B2 - 自動変速機の制御装置 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は自動変速機の制御装置に関し、詳しくは、異なる2つの摩擦係合要素の締結制御と解放制御とを同時に行う摩擦係合要素の掛け替えによって変速を行うよう構成された自動変速機において、摩擦係合要素の伝達トルク容量制御のためのフェーズ切り換え判定技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、摩擦係合要素の締結・解放を油圧によって制御するよう構成すると共に、2つの摩擦係合要素の締結制御と解放制御とを同時に行う摩擦係合要素の掛け替えによって変速を行わせる構成の自動変速機が知られている(特開平9−133205号公報等参照)。
【0003】
ところで、前記掛け替え変速においては、準備フェーズ、トルクフェーズ、イナーシャフェーズ、終了フェーズなどの変速における各種フェーズの判断に基づいて、それぞれのフェーズに適合する油圧制御を行わせることが要求されるため、従来からタービン回転速度(変速機構の入力軸回転速度)や、タービン回転速度及び出力軸回転速度から算出されるギヤ比(変速比)に基づいて、フェーズの切り換え判断を行っていた(特開平5−087225号公報参照)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、タービン回転速度等の検出値には、外乱による周期的な変動やノイズ成分の重畳が発生するため、係る外乱による回転速度変化をフェーズの切り換えによる回転速度変化として誤判断してしまう可能性があった。
【0005】
前記フェーズ切り換えの誤判断を防止する方法としては、確実にフェーズが切り換わったと推定されるときにのみ、フェーズの切り換え判断を行わせるようにすれば良いが、係る構成ではフェーズ切り換えに基づく制御の切り換えが遅れることになり、特にパワーオンアップシフトにおける準備フェーズからトルクフェーズへの切り換え時には高い制御応答性が要求されるため、誤判断を回避しつつ、高い応答性でフェーズ切り換えを判断できるようにすることが望まれていた。
【0006】
本発明は上記問題点に鑑みなされたものであり、フェーズの切り換え判断を、誤判断を回避しつつ、高い応答性で行える自動変速機の制御装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
そのため請求項1記載の発明は、異なる2つの摩擦係合要素の締結制御と解放制御とを同時に行う摩擦係合要素の掛け替えによって変速を行うよう構成された自動変速機の制御装置において、変速機構の入力軸回転速度の中央値を算出すると共に、該中央値で上下に区分される速度領域毎の平均値を算出し、該平均値に基づいて基準速度を設定し、該基準速度と前記入力軸回転速度との比較に基づいて変速におけるフェーズの切り換えを判断するよう構成した。
【0008】
かかる構成によると、変速機構の入力軸回転速度(タービン回転速度)と基準速度との比較からフェーズの切り換えを判断するが、前記基準速度が、入力軸回転速度の中央値で上下に区分される速度領域毎の平均値、即ち、外乱による変動の中央値よりも高い又は低い回転速度の平均値に基づいて設定される。
【0009】
請求項2記載の発明では、前記入力軸回転速度のピーク値を算出し、前記平均値とピーク値との偏差に基づいて前記基準速度を設定する構成とした。
かかる構成によると、入力軸回転速度の外乱による変動のピーク値(上限値又は下限値)を求め、このピーク値と、外乱による変動の中央値よりも高い又は低い回転速度の平均値との偏差に基づいて基準速度を設定する。
【0010】
請求項3記載の発明では、前記変速機構の出力軸回転速度及び変速前のギヤ比から求められる基準入力軸回転速度と閾値とから前記基準速度を設定する構成であって、前記閾値を、前記平均値とピーク値との偏差に基づいて設定する構成とした。
【0011】
かかる構成によると、変速機構の出力軸回転速度及び変速前のギヤ比から求められる変速前のギヤ比を維持する場合の入力軸回転速度(基準入力軸回転速度)と、変動のピーク値と変動の中央値よりも高い又は低い回転速度の平均値との偏差から求められる閾値とから、基準速度が設定される。
【0012】
請求項4記載の発明では、前記閾値を、前記中央値と前記基準入力軸回転速度との偏差、及び、前記平均値とピーク値との偏差に基づいて設定する構成とした。
【0013】
かかる構成によると、変速が開始される前は、入力軸回転速度の中央値と基準入力軸回転速度とが一致することが理想であるが、これらに偏差がある場合に、係る偏差を見込んで回転変化が判別されるように、閾値を中央値と基準入力軸回転速度との偏差に基づき修正する。
【0014】
請求項5記載の発明では、前記平均値とピーク値との偏差に所定値αを付加して前記閾値を設定する構成とした。
かかる構成によると、平均値とピーク値との偏差に所定値αを付加した閾値を超えて入力軸回転速度が変化したときに、フェーズ切り換え判断がなされることになる。
【0015】
請求項6記載の発明では、エンジンの駆動トルクが加わっている状態でのアップシフト時に、前記中央値よりも高い入力軸回転速度の平均値を算出すると共に、前記ピーク値として上限値を算出し、前記閾値を、
閾値=(中央値−基準入力軸回転速度)+(上限値−平均値)+所定値α
として算出し、前記入力軸回転速度が、前記基準入力軸回転速度+前記閾値を上回ったときに、トルクフェーズへの切り換えを判断する構成とした。
【0016】
かかる構成によると、エンジンの駆動トルクが加わっている状態でのアップシフト時(パワーオンアップシフト時)に、入力軸回転速度の中央値と基準入力軸回転速度とのずれと、上限値と中央値よりも高い入力軸回転速度の平均値との偏差と、所定値とを加算して求められる閾値を上回る変動を示すときに、トルクフェーズへの切り換えに伴って入力軸回転速度が空吹けしたものと判断する。
【0017】
請求項7記載の発明では、前記所定値αを、車速に応じて異なる値に設定する構成とした。
かかる構成によると、平均値とピーク値との偏差よりもどれだけ回転速度が変動したときにフェーズ切り換えを判断させるかが、そのときの車両の走行速度(車速)によって変更される。
【0018】
請求項8記載の発明では、前記入力軸回転速度の検出値から高周波成分を除去し、該高周波成分が除去された入力軸回転速度を用いてフェーズの切り換え判断を行わせる構成とした。
【0019】
かかる構成によると、変速機構の入力軸回転速度(タービン回転速度)の検出値について、高周波成分(ノイズ成分)を除去する処理、即ち、ローパスフィルタ処理を施し、該処理後の入力軸回転速度を用いて、基準速度の設定及びフェーズ切り換えの判断を行わせる。
【0020】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によると、回転変動の中央値よりも高い又は低い速度の平均値を基準としてフェーズ切り換えを判断するので、外乱による変動に基づいてフェーズ切り換えが誤判断されることを防止でき、フェーズ切り換えを、応答良くかつ高精度に判別できるという効果がある。
【0021】
請求項2記載の発明によると、外乱による変動幅を考慮してフェーズ切り換えを高精度に判別できるという効果がある。
請求項3記載の発明によると、変速前のギヤ比を維持する場合の入力軸回転速度からの変動として、フェーズ切り換え(変速の開始)に伴う回転変動を検出できるという効果がある。
【0022】
請求項4記載の発明によると、変速前のギヤ比を維持する場合の入力軸回転速度に対する外乱による回転変化をより精度良く判定して、フェーズ切り換えをより高精度に判別できるという効果がある。
【0023】
請求項5記載の発明によると、外乱による変動範囲を確実に超える状態となってからフェーズ切り換えを判断させることができ、フェーズ切り換えをより高精度に判別できるという効果がある。
【0024】
請求項6記載の発明によると、パワーオンアップシフト時の変速の開始に伴う空吹けの発生を、外乱による変動と区別して判別でき、トルクフェーズへの切り換えを、応答良くかつ高精度に判別できるという効果がある。
【0025】
請求項7記載の発明によると、外乱による変動範囲を確実に超えた状態を車速条件に応じて適切に判断でき、車速条件が異なっても、フェーズ切り換えを応答良くかつ高精度に判別できるという効果がある。
【0026】
請求項8記載の発明によると、入力軸回転速度に重畳したノイズ成分によって、フェーズ切り換えが誤判断されることを防止できるという効果がある。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態を説明する。
図1は、実施の形態における自動変速機の変速機構を示すものであり、エンジンの出力がトルクコンバータ1を介して変速機構2に伝達される構成となっている。
【0028】
前記変速機構2は、2組の遊星歯車G1,G2、3組の多板クラッチH/C,R/C,L/C、1組のブレーキバンド2&4/B、1組の多板式ブレーキL&R/B、1組のワンウェイクラッチL/OWCで構成される。
【0029】
前記2組の遊星歯車G1,G2は、それぞれ、サンギヤS1,S2、リングギヤr1,r2及びキャリアc1,c2よりなる単純遊星歯車である。
前記遊星歯車組G1のサンギヤS1は、リバースクラッチR/Cにより入力軸INに結合可能に構成される一方、ブレーキバンド2&4/Bによって固定可能に構成される。
【0030】
前記遊星歯車組G2のサンギヤS2は、入力軸INに直結される。
前記遊星歯車組G1のキャリアc1は、ハイクラッチH/Cにより入力軸Iに結合可能に構成される一方、前記遊星歯車組G2のリングギヤr2が、ロークラッチL/Cにより遊星歯車組G1のキャリアc1に結合可能に構成され、更に、ロー&リバースブレーキL&R/Bにより遊星歯車組G1のキャリアc1を固定できるようになっている。
【0031】
そして、出力軸OUTには、前記遊星歯車組G1のリングギヤr1と、前記遊星歯車組G2のキャリアc2とが一体的に直結されている。
上記構成の変速機構2において、1速〜4速及び後退は、図2に示すように、各クラッチ・ブレーキの締結状態の組み合わせによって実現される。
【0032】
尚、図2において、丸印が締結状態を示し、記号が付されていない部分は解放状態とすることを示すが、特に、1速におけるロー&リバースブレーキL&R/Bの黒丸で示される締結状態は、1レンジでのみの締結を示すものとする。
【0033】
前記図2に示す各クラッチ・ブレーキの締結状態の組み合わせによると、例えば、4速から3速へのダウンシフト時には、ブレーキバンド2&4/Bの解放を行う共にロークラッチL/Cの締結を行い、3速から2速へのダウンシフト時には、ハイクラッチH/Cの解放を行うと共にブレーキバンド2&4/Bの締結を行うことになり、2速から3速へのアップシフト時には、ブレーキバンド2&4/Bの解放を行うと共にハイクラッチH/Cの締結を行い、3速から4速へのアップシフト時には、ロークラッチL/Cの解放を行うと共にブレーキバンド2&4/Bの締結を行うことになり、上記のように、クラッチ・ブレーキ(摩擦係合要素)の締結と解放とを同時に制御して摩擦係合要素の掛け替えを行う変速を掛け替え変速と称するものとする。
【0034】
前記各クラッチ・ブレーキ(摩擦係合要素)は、供給油圧によって動作するようになっており、各クラッチ・ブレーキに対する供給油圧は、図3に示すソレノイドバルブユニット11に含まれる各種ソレノイドバルブによって調整される。
【0035】
前記ソレノイドバルブユニット11の各種ソレノイドバルブを制御するA/Tコントローラ12には、A/T油温センサ13,アクセル開度センサ14,車速センサ15,タービン回転センサ16,エンジン回転センサ17,エアフローメータ18等からの検出信号が入力され、これらの検出結果に基づいて、各摩擦係合要素における係合油圧を制御する。
【0036】
図3において、符号20は、前記自動変速機と組み合わされるエンジンを示す。
ここで、前記A/Tコントローラ12による掛け替え変速の様子を、エンジンの駆動トルクが加わっている状態でのアップシフト(以下、パワーオンアップシフトという)の場合を例として、図4のタイムチャートを参照しつつ、以下に説明する。
【0037】
図5のフローチャートは、締結側摩擦係合要素と解放側摩擦係合要素とに共通の伝達トルク容量制御のメインルーチンを示す。
ステップS1では、パワーオンアップシフトの変速判断を行う。
【0038】
A/Tコントローラ12には、車速VSPとアクセル開度(スロットル開度)とに応じて変速段を設定した変速マップが予め記憶されており、例えば、現在(変速前)の変速段と前記変速マップから検索した変速段とが異なり、かつ、それがアップシフト方向であって、かつ、アクセルが全閉でない場合にパワーオンアップシフトとして判断する。
【0039】
パワーオンアップシフトの変速判断がなされると、ステップS2へ進み、トルクフェーズへの移行(準備フェーズからトルクフェーズへの切り換え)を判別する。
【0040】
前記ステップS2におけるトルクフェーズへの移行判定は、図6のフローチャートに詳細に示してある。
まず、ステップS21では、トルクフェーズへの移行が判定済みであるか否かを判別し、トルクフェーズへの移行が判定済みであれば、後述するタービン回転速度Nt(変速機構の入力軸回転速度)に基づくフェーズ切り換え判定を行うことなく、トルクフェーズへの移行判定を保持して、本ルーチンを終了させる。
【0041】
一方、トルクフェーズへの移行が判定済みでない場合には、ステップS22へ進み、タービン回転速度Nt及び変速機構の出力軸回転速度Noを読込む。
ステップS23では、タービン回転速度(入力軸回転速度)Nt及び出力軸回転速度Noの検出値から高周波成分(ノイズ成分)を除去する処理(ローパスフィルタ処理)を施す。そして、以下の各ステップにおいては、上記高周波成分(ノイズ成分)が除去されたタービン回転速度Nt及び出力軸回転速度Noを用いるようにする。
【0042】
ステップS24では、タービン回転速度Ntの中央値を演算する。該中央値は、変速判断からのタービン回転速度Ntの積算値の平均値として求められる。
ステップS25では、前記中央値よりも高いタービン回転速度Ntの平均値(中央値よりも上の速度領域の平均値)を演算する。該平均値は、前記中央値よりも高いタービン回転速度Ntの積算値の平均値として求められる。
【0043】
ステップS26では、変速判断からのタービン回転速度Ntの上限値(ピーク値)を、ピークホールド処理によって求める。
ステップS27では、トルクフェーズへの移行判定に用いる閾値を、出力軸回転速度Noに変速前のギヤ比(ギヤ比=タービン回転速度Nt/出力軸回転速度No)を乗算して得られる基準タービン回転速度(基準入力軸回転速度)、前記中央値、該中央値よりも高いタービン回転速度Ntの平均値、上限値、所定値αに基づき、下式に従って算出する。
【0044】
閾値=(中央値−基準タービン回転速度)+(上限値−平均値)+α
上式で、中央値と基準タービン回転速度との偏差(中央値−基準タービン回転速度)は、準備フェーズ状態における基準タービン回転速度とタービン回転速度Ntとのずれを示す。また、上限値(ピーク値)と中央値よりも高いタービン回転速度Ntの平均値との偏差は、準備フェーズ状態におけるタービン回転速度Ntの変動幅を示す。
【0045】
尚、所定値αは、車速が高いときほど大きな値に設定される値であるが、固定値としても良い。
また、前記閾値は、変速判断から所定期間(例えばタービン回転速度Ntの極大・極小値が求められるまでの間)は、予め記憶された所定値に保持させると良い。
【0046】
上記のようにして、閾値を設定すると、ステップS28では、基準タービン回転速度と閾値との加算値(基準速度)よりも実際のタービン回転速度Ntが高いか否かを判別することで、トルクフェーズへの移行を判別する。
【0047】
従って、上記トルクフェーズへの移行判別においては、高周波成分を除去する処理によってノイズ成分によりフェーズ切り換えが誤判別されることがなく、また、タービン回転速度Ntの変動に基づき設定される閾値を用いることで、外乱によるタービン回転速度Ntの変動範囲がフェーズ切り換え判断の不感帯として設定され、外乱によるタービン回転速度Ntの乱れでフェーズ切り換えが誤判別されることがない。
【0048】
ここで、基準タービン回転速度と閾値との加算値よりもタービン回転速度Ntが高いと判別されたとき、即ち、外乱による乱れの範囲を超えてタービン回転速度Ntが上昇したときには、解放側摩擦係合要素の解放制御が進んだ結果、空吹けが発生したものと判断し、ステップS29へ進んで、準備フェーズからトルクフェーズへの移行を判定する。
【0049】
トルクフェーズへの移行が判定されると、次回からは、ステップS22〜28を迂回してステップS29へ進むので、初めてタービン回転速度Ntが基準タービン回転速度と閾値との加算値(基準速度)よりも高くなった時点で、トルクフェーズへの移行を判定すると、その後は、たとえタービン回転速度Ntが基準タービン回転速度と閾値との加算値(基準速度)を下回っても、トルクフェーズへの移行判定が撤回されることはなく、トルクフェーズ状態の判定が保持される。
【0050】
尚、パワーオフアップシフト時には、トルクフェーズへの移行に伴うタービン回転速度Ntの低下に基づき、トルクフェーズへの移行判定を行うために、中央値よりも低いタービン回転速度Ntの平均値(中央値よりも下の速度領域の平均値)と、下限値とを算出し、前記閾値を、
閾値=(中央値−基準タービン回転速度)+(平均値−下限値)+α
として算出させ、基準速度を、基準タービン回転速度−閾値として、この基準速度を初めて下回った時点で、トルクフェーズへの移行を判定する構成とすれば良い。
【0051】
ところで、上記のトルクフェーズ移行判定では、初めてタービン回転速度Ntが基準タービン回転速度と閾値との加算値(基準速度)よりも高くなった時点で、トルクフェーズへの移行を判定する構成としたが、タービン回転速度Ntが基準タービン回転速度と閾値との加算値(基準速度)よりも高い状態を、連続して保持していると初めて判断された時点で、トルクフェーズへの移行を判定する構成としても良く、係る実施形態を、図7のフローチャートに示してある。
【0052】
図7のフローチャートにおいて、ステップS21〜27及びステップS29は、図6のフローチャートのステップS21〜27及びステップS29と同じ処理を行い、ステップS28Aの部分のみが異なる。
【0053】
ステップS28Aでは、基準タービン回転速度と閾値との加算値よりもタービン回転速度Ntが高い状態を連続して2回検出したか否かを判別する。
そして、基準タービン回転速度と閾値との加算値(基準速度)よりもタービン回転速度Ntが高いと2回連続して判別されたときには、ステップS29へ進んで、準備フェーズからトルクフェーズへの移行を判定する。
【0054】
トルクフェーズへの移行が判定されると、次回からは、ステップS22〜28を迂回してステップS29へ進むので、基準速度よりもタービン回転速度Ntが高いと初めて2回連続して判別された時点で、トルクフェーズへの移行を判定すると、その後は、たとえタービン回転速度Ntが基準速度を下回っても、トルクフェーズへの移行判定が撤回されることはなく、トルクフェーズ状態の判定が保持される。
【0055】
上記のように、基準速度よりもタービン回転速度Ntが高いと2回連続して判別されたか否かに基づいて、トルクフェーズへの移行を判定する構成であれば、より確実なフェーズ判定が可能であり、閾値(所定値α)をより小さく設定して検出応答性を確保することが可能である。
【0056】
尚、連続判定回数を上記では2回としたが、複数回であれば良く、2回に限定するものではない。また、上限値の変動などに基づいて前記連続判定回数を変化させる構成とすることも可能である。
【0057】
ここで、図5のフローチャートに戻って説明を続ける。
ステップS2で、トルクフェーズへの移行が判定されるまでは、ステップS3の準備フェーズ処理を実行させる。
【0058】
前記ステップS3の準備フェーズ処理は、解放側の処理と締結側の処理とに分かれる。
図8のフローチャートは、解放側摩擦係合要素の準備フェーズ処理のメインルーチンを示すものであり、ステップS31では、変速の種類、解放制御する摩擦係合要素の種類及び油温に応じて予め記憶されている所定時間TIMER1だけ変速判断から経過したか否かを判別する。
【0059】
前記所定時間TIMER1内であれば、ステップS32へ進み、解放初期油圧の演算を行う。前記解放初期油圧は、解放制御を行う初期圧であり、非変速時の油圧から前記解放初期油圧まで、前記所定時間TIMER1内で低下させるようにする。
【0060】
前記ステップS32の解放初期油圧の演算は、図9のフローチャートに詳細に示してあり、ステップS321では、今回解放制御を行う摩擦係合要素の非変速時油圧Po0(指示圧)を算出する。
【0061】
前記非変速時油圧Po0は、
Po0=K1×(Tt×Tr-o)×余裕代初期値+Prtn-o
として算出される。
【0062】
ここで、K1は、解放側の摩擦係合要素の伝達トルク容量を油圧に変換するための係数であり、変速の種類及び解放制御する摩擦係合要素の種類に応じて予め記憶されている。Ttは、変速機構の入力軸トルクの推定値であり、エンジンの吸入空気量や回転速度及びトルクコンバータの速度比等から求められる。Tr-oは、前記入力軸トルクTtに対して、解放側摩擦係合要素が滑りを生じる臨界伝達トルク容量を求めるための解放臨界トルク比である。余裕代初期値は、前記臨界伝達トルク容量に対して余裕分の伝達トルク容量を付加するための補正係数である余裕代の初期値であり、例えば3.0程度の値として予め記憶されている。Prtn-oは、解放側のスタンバイ圧(解放側リターンスプリング圧)であり、摩擦係合要素毎に予め記憶される。
【0063】
ステップS322では、前記余裕代の算出を行う。
前記余裕代は、前記余裕代初期値(=3.0)から所定時間TIMER1経過後に目標値(余裕代(1))にまで低下させるものとして算出され、具体的には、経過時間tに対応する余裕代を、
余裕代=初期値×(1−ゲインα×t1/2
として求めるものとする。
【0064】
ここで、所定時間TIMER1経過後の余裕代の目標値(余裕代(1))を1.2とすれば、所定時間TIMER1を前記tに代入し、余裕代に1.2を代入すれば、ゲインαが決定されることになり、このゲインαを用いることで経過時間t毎の余裕代が求められることになる。
【0065】
尚、所定時間TIMER1経過後の余裕代の目標値は、入力軸トルクの推定誤差が予想される範囲内で発生しても、解放側摩擦係合要素が締結状態を保持できる値として設定される。
【0066】
ステップS323では、上記のようにして求められる経過時間t毎の余裕代を用い、所定時間TIMER1内における解放側油圧Po1を下式に従って算出する。
【0067】
Po1=K1×(Tt×Tr-o)×余裕代+Prtn-o
上記のようにして所定時間TIMER1内で解放側の油圧を徐々に低下させた後、ステップS33で、トルクフェーズの移行判定がなされたと判別されるようになるまでの間においては、ステップS34以降へ進む。
【0068】
ステップS34では、分担比ランプ制御を行う。
前記ステップS34の分担比ランプ制御の詳細は、図10のフローチャートに示してあり、ステップS341では、変速の種類及び解放制御する摩擦係合要素の種類に応じて予め記憶されている所定時間TIMER2内で、余裕代(1)から余裕代(2)(例えば0.8)まで一定速度で低下させるものとして、所定時間TIMER2内における余裕代を決定する(図11参照)。
【0069】
そして、ステップS342では、前記ステップS341で決定される余裕代を用い、解放側の油圧Po2を下式に従って算出する。
Po2=K1×(Tt×Tr-o)×余裕代+Prtn-o
尚、前記余裕代(2)(=0.8)は、入力軸トルクの推定誤差が予想される範囲内で発生しても、解放側摩擦係合要素を確実に解放状態に移行させることができる値として設定される。
【0070】
ステップS35では、分担比ランプ制限を行う。
前記ステップS35の分担比ランプ制限の詳細は、図12のフローチャートに示してあり、ステップS351では、入力軸トルクTtが所定値以下であるか否かを判別する。
【0071】
入力軸トルクTtが所定値を超える場合には、前記ステップS34で算出される解放側の油圧Po2をそのまま用いるべく、ステップS352〜354をジャンプして終了させるが、入力軸トルクTtが所定値以下であればステップS352へ進む。
【0072】
ステップS352では、余裕代(2)をより小さい値に変更する。例えば標準値を0.8とするときに、これを0.6に変更する。上記変更により余裕代(解放側の油圧Po2)の変化速度がより速くなり、低トルク時に変速時間が間延びしてしまうことを防止する。
【0073】
ステップS353では、変更後の余裕代(2)に基づいて所定時間TIMER2内における余裕代をステップS341と同様にして再決定する。
ステップS354では、新たに決定された余裕代に基づいて解放側油圧Po2を算出する。
【0074】
ステップS36では、分担比ランプ学習を行う。
前記ステップS36の分担比ランプ学習の詳細は、図13のフローチャートに示してあり、ステップS361では、入力軸トルクTtの推定誤差を補正するトルク推定学習が収束しているか否かを判別する。尚、前記トルク推定学習については後述する。
【0075】
ステップS361でトルク推定学習が収束していると判別されたときには、ステップS362へ進み、余裕代(1)及び余裕代(2)をそれぞれより1.0に近い値に変更し、所定時間TIMER2内における余裕代の勾配を緩くする。例えば、余裕代(1)を1.2から1.1に変更し、余裕代(2)を0.8から0.9に変更する。上記余裕代の変更によって、トルクフェーズ初期の回転変化を緩やかにでき、トルクフェーズにおける制御性を向上できる。
【0076】
ステップS363では、変更後の余裕代(1)(2)に基づいて所定時間TIMER2内における余裕代をステップS341と同様にして再決定する。
ステップS364では、新たに決定された余裕代に基づいて解放側油圧Po2を算出する。
【0077】
尚、余裕代(1)の変更に伴って、所定時間TIMER1内における余裕代の変化も変更されることになる。
上記のように、余裕代の減少設定に伴って解放側の油圧を所定時間TIMER2内で徐々に減少させると、タービン回転速度Ntの吹け上がりが検出されることで、解放側の伝達トルク容量が臨界付近にまで低下したこと(トルクフェーズへの移行)を間接的に知ることができる。
【0078】
ここで、余裕代が1.0付近になった時点で、空吹けが発生することが理想であるが、入力軸トルクTtの推定誤差があると、余裕代が1.0よりも大きい状態又は1.0よりも小さくなってからエンジンの空吹けが生じることになり、前記入力軸トルクTtの推定誤差を見込んで、前記所定時間TIMER2内での余裕代の変化範囲を、1.0を中心に広く(例えば1.2〜0.8)確保する必要が生じる。
【0079】
例えば余裕代=1.1に相当する解放側油圧でギヤ比が変化し始めたとすると、入力軸トルクの推定において実際値よりも小さく推定したため、本来、伝達トルク容量に余裕があることで締結状態を保持できる油圧であるのに滑り始めたものと判断され、逆に、例えば余裕代=0.9に相当する解放側油圧でギヤ比が変化し始めたとすると、入力軸トルクの推定において実際値よりも大きく推定したため、本来の締結状態を保持できない油圧(伝達トルク容量)まで既に低下しているのに、滑り始めが遅れたものと判断される。
【0080】
そこで、トルクフェーズへの移行が判定された時点で、ステップS37へ進み、そのときの余裕代に基づいて入力軸トルク推定値を補正するための補正係数を求めるトルク推定学習を行う
前記ステップS37のトルク推定学習の詳細は、図14のフローチャートに示してあり、ステップS371では、トルクフェーズへの移行が判定された時点での余裕代を求める。尚、トルクフェーズへの移行(空吹け)の検出には遅れが生じるので、タービン回転速度Ntに基づきトルクフェーズへの移行が判定された時点から所定時間前の余裕代を、トルクフェーズへの移行時(空吹け発生時点)の余裕代とすることが好ましい。
【0081】
ステップS372では、図15に示すように、1.0とエンジンの空吹け発生時の余裕代Trとの偏差(Tr−1)に応じて入力軸トルクの補正係数Kttを記憶したテーブルを予め記憶しており、前記ステップS371で求められた余裕代Trに基づいて前記テーブルを参照し、補正係数Kttを求める。
【0082】
前記補正係数Kttは、前記余裕代Trが1.0であるときに1.0に、余裕代Trが1.0よりも小さい時には1.0よりも小さい値に、余裕代Trが1.0よりも大きい時には1.0よりも大きい値に設定され、前記余裕代Trが1.0のときにエンジンの空吹けが発生するように、入力軸トルクの推定値を補正する。
【0083】
尚、前記補正係数Kttが設定されると、該補正係数Kttによる補正要求を含んで入力軸トルクを推定するように学習される構成としてある。また、前記補正係数Kttは、所定の上下限値内に制限されると共に、前記補正係数Kttの学習は、ATF温度が所定温度以上であるときに行わせるようになっている。
【0084】
一方、締結側の準備フェーズ処理は、図16のフローチャートに示される。
ステップS41では、トルクフェーズへの移行判定がなされているか否かを判別する。
【0085】
そして、トルクフェーズへの移行判定がなされていない場合には、準備フェーズであるとしてステップS42へ進む。
ステップS42では、締結側摩擦係合要素のプリチャージ圧(スタンバイ圧)を、摩擦係合要素の種類に応じて設定する。
【0086】
ステップS43では、前記プリチャージ圧(スタンバイ圧)に過渡応答補償処理を施し、その結果を最終的な締結側油圧Po0として出力する。
ステップS44では、変速開始判断からの経過時間が前記所定時間TIMER1を超えたか否かを判別し、前記所定時間TIMER1を超えるとステップS45の分担比ランプ制御へ進む。
【0087】
ステップS45の分担比ランプ制御の詳細は、図17のフローチャートに示してあり、ステップS451では、所定時間TIMER2内で、余裕代(1)(例えば0.8)から余裕代(2)(例えば1.2)まで一定速度で増大させるものとして、所定時間TIMER2内における余裕代を決定する(図18参照)。
【0088】
そして、ステップS452では、前記ステップS451で決定される余裕代を用い、締結側の油圧Pc2を下式に従って算出する。
Pc2=K2×(Tt×Tr-c)×余裕代+Prtn-c
ここで、K2は、締結側の摩擦係合要素の伝達トルク容量(必要伝達トルク容量)を油圧に変換するための係数であり、変速の種類及び解放制御する摩擦係合要素の種類に応じて予め記憶されている。Tr-cは、入力軸トルクTtに対して、締結側の摩擦係合要素が締結し始める臨界伝達トルク容量を求めるための締結臨界トルク比である。Prtn-cは、締結側のスタンバイ圧(締結側リターンスプリング圧)であり、摩擦係合要素毎に予め記憶される。
【0089】
ここで、前記図5のフローチャートに戻って説明を続けると、ステップS2でトルクフェーズへの移行が判定されると、ステップS4へ進み、ギヤ比がF/B(フィードバック)開始ギヤ比を超えてアップシフト方向に変化したか否かを判別する。そして、F/B開始ギヤ比を超えてアップシフト方向に変化するまでは、ステップS5のトルクフェーズ処理を行わせる。
【0090】
解放側摩擦係合要素のトルクフェーズ処理(ソフトOWC制御)では、前記準備フェーズにおける余裕代の減少制御をそのままの速度で継続させて求められる解放側油圧Po2に、空吹けに応じた補正油圧Po3を加算して、最終的な解放側油圧Po4を求める。
【0091】
具体的には、図19のフローチャートに示されるように、まず、ステップS51で、実際のタービン回転速度Ntの微分値ΔNtに応じた解放補正油圧Po3を、下式に従って算出する。
【0092】
Po3=K1×{INS×(2π/60)×ΔNt+1/g(Nt−No×i)}
ここで、INSは変速の種類毎に決められるイナーシャ(慣性モーメント)、gはクラッチトルクを回転速度に変換するゲイン、iは変速前のギヤ比である。
【0093】
ステップS52では、準備フェーズにおける余裕代の減少制御をそのままの速度で継続させて設定される余裕代に基づき算出される解放側油圧Po2に、前記解放補正油圧Po3を加算して、その結果を最終的な解放側油圧Po4とする(Po4=Po2+Po3)。
【0094】
尚、最終的な解放側油圧Po4が、解放側油圧Po2を下回ることがないように、制限を加えるようにしてある。また、タービン回転速度の微分値ΔNtとしてローパスフィルタ処理後の値を用いるようにしてある。
【0095】
一方、締結側摩擦係合要素のトルクフェーズ処理の様子は、図20のフローチャートに示してある。
図20のフローチャートにおいて、ステップS61で、トルクフェーズへの移行判定がなされていると判別されると、ステップS62へ進み、ギヤ比がF/B開始ギヤ比を超えてアップシフト方向に変化したか否かを判別する。そして、F/B開始ギヤ比を超えていないと、ステップS63へ進む。
【0096】
ステップS63では、前記準備フェーズにおける余裕代の増大制御をそのままの速度で継続させて設定される余裕代に基づき締結側油圧Pc2を求める。
ステップS64では、前記ステップS51と同様にして、締結補正油圧Pc3を、下式に従って算出する。
【0097】
Pc3=K2×{INS×(2π/60)×ΔNt+1/g(Nt−No×i)}
そして、Pc2+Pc3=Pc4として最終的な締結側油圧Pc4を求める。
【0098】
図5のフローチャートのステップS4で、ギヤ比がF/B開始ギヤ比を超えたと判別されると、ステップS6へ進み、ギヤ比がF/B終了ギヤ比(<F/B開始ギヤ比)を超えたか否かを判別する。
【0099】
ギヤ比がF/B開始ギヤ比とF/B終了ギヤ比との間であるときには、ステップS7のイナーシャフェーズ処理を行わせる。
解放側のイナーシャフェーズ処理は、図21のフローチャートに示してあり、ステップS71でトルクフェーズ終了時の油圧(油圧=0)を保持させる設定を行う。
【0100】
また、締結側のイナーシャフェーズ処理は、図22のフローチャートに示される。
図22のフローチャートにおいて、ステップS81では、図23のフローチャートに示される基本制御を行う。
【0101】
前記基本制御においては、まず、ステップS811で、目標イナーシャトルクTinr[Nm]を、下式に従って算出する。
Tinr=イナーシャINS×目標タービン角加速度[rad/sec2
上式でイナーシャINS(慣性モーメント)[Nm/rad/sec2]は、変速の種類に応じて決定される値である。
【0102】
また、目標タービン角加速度[rad/sec2]は、
目標タービン角加速度[rad/sec2]=2×π×目標タービン加速度[1/sec2]/60
として算出され、前記目標タービン加速度[1/sec2]は、
目標タービン加速度[1/sec2]=(Nt×ギヤ段差)/(目標変速時間[sec])
上式でギヤ段差は、ギヤ段差=1−(変速後ギヤ比/変速前ギヤ比)として算出される値であり、Nt[rpm]はイナーシャフェーズ開始時のタービン回転速度である。
【0103】
ステップS812では、前記目標イナーシャトルクTinrに基づいて締結側油圧Pc7を下式に従って算出する。
Pc7=K2×Tt×Tr×Tr-c+Prtn-c+K2×Tr-c×Tinr
上記基本制御に加え、ステップS82では、回転フィードバック(F/B)制御を実行する。
【0104】
前記回転F/B制御を、図24のフローチャートに従って説明する。
ステップS821では、目標タービン回転速度[rpm]を算出する。
前記目標タービン回転速度は、イナーシャフェーズ開始時のタービン回転速度Nt[rpm]と前記目標タービン加速度[1/sec2]とに基づき、イナーシャフェーズ開始時のタービン回転速度Nt[rpm]から目標タービン加速度[1/sec2]で減少変化する特性として算出される(目標タービン速度(n)=目標タービン速度(n-1)+目標タービン加速度)。
【0105】
ステップS822では、前記目標タービン回転速度[rpm]と実際のタービン回転速度Nt[rpm]との偏差に基づくPID(比例・積分・微分)動作により、フィードバック補正分を算出する。
【0106】
ステップS823では、前記フィードバック補正分を前記締結側油圧Pc7に加算した結果を、締結側油圧Pc8として出力する。
ギヤ比がF/B終了ギヤ比よりも小さくなったことが、図5のフローチャートのステップS6で判別されると、ステップS6からステップS8へ進み、ギヤ比がF/B終了ギヤ比よりも初めて小さくなった時点から所定時間TIMER7だけ経過したか否かを判別する。
【0107】
そして、所定時間TIMER7内であれば、ステップS9へ進んで、終了フェーズ処理を行う。
解放側摩擦係合要素についての終了フェーズ処理は、図25のフローチャートに示してあり、ステップS91でイナーシャフェーズ終了時の油圧を保持する設定を行う。即ち、解放側摩擦係合要素の油圧は、イナーシャフェーズ及び終了フェーズにおいて、ギヤ比がF/B開始ギヤ比よりも小さくなった時点の値に保持されることになる。
【0108】
一方、締結側摩擦係合要素の終了フェーズ処理は、図26のフローチャートに示され、ステップS101では、ギヤ比がF/B終了ギヤ比よりも初めて小さくなった時点から所定時間TIMER7内であるか否かを判別し、所定時間TIMER7内であればステップS102へ進んで、終了フェーズ処理を実行する。
【0109】
前記ステップS101の終了フェーズ処理の詳細は、図27のフローチャートに示してあり、ステップS111では、締結臨界トルクに相当する油圧から締結臨界トルクの1.2倍に相当する油圧まで、前記所定時間TIMER7内で上昇させるランプ勾配Rmp-Tr2の設定を行う。尚、前記所定時間TIMER7は、変速及び摩擦係合要素の種類に応じて設定される。
【0110】
ステップS112では、締結側指示圧Pc9を、
Pc9=K2×Tt×Tr-c×(1+0.2×Rmp-Tr2)+Prtn-c+K2×Tr-c×Tinr
として算出する。
【0111】
そして、前記所定時間TIMER7が経過した時点で、締結側の指示圧を、前記Pc9から、最大圧までステップ変化させる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態における自動変速機の変速機構を示す図。
【図2】前記変速機構における摩擦係合要素の締結状態の組み合わせと変速段との相関を示す図。
【図3】前記自動変速機の制御系を示すシステム図。
【図4】実施の形態における摩擦係合要素の掛け換えによる変速の様子を示すタイムチャート。
【図5】実施の形態における摩擦係合要素の掛け換え変速制御のメインルーチンを示すフローチャート。
【図6】トルクフェーズ移行判定の第1の実施形態を示すフローチャート。
【図7】トルクフェーズ移行判定の第2の実施形態を示すフローチャート。
【図8】解放側摩擦係合要素の準備フェーズ処理を示すフローチャート。
【図9】解放側摩擦係合要素の準備フェーズ処理における解放初期油圧演算を示すフローチャート。
【図10】解放側摩擦係合要素の準備フェーズ処理における分担比ランプ制御を示すフローチャート。
【図11】前記分担比ランプ制御における余裕代の変化を示す線図。
【図12】解放側摩擦係合要素の準備フェーズ処理における分担比ランプ制限を示すフローチャート。
【図13】解放側摩擦係合要素の準備フェーズ処理における分担比ランプ学習を示すフローチャート。
【図14】解放側摩擦係合要素の準備フェーズ処理におけるトルク推定学習を示すフローチャート。
【図15】前記トルク推定学習における入力軸トルクの補正係数の特性を示す線図。
【図16】締結側摩擦係合要素の準備フェーズ処理を示すフローチャート。
【図17】締結側摩擦係合要素の準備フェーズ処理における分担比ランプ制御を示すフローチャート。
【図18】締結側摩擦係合要素の分担比ランプ制御における余裕代の変化を示す線図。
【図19】解放側摩擦係合要素のトルクフェーズ処理を示すフローチャート。
【図20】締結側摩擦係合要素のトルクフェーズ処理を示すフローチャート。
【図21】解放側摩擦係合要素のイナーシャフェーズ処理を示すフローチャート。
【図22】締結側摩擦係合要素のイナーシャフェーズ処理を示すフローチャート。
【図23】締結側摩擦係合要素のイナーシャフェーズ処理における基本制御を示すフローチャート。
【図24】締結側摩擦係合要素のイナーシャフェーズ処理における回転フィードバック制御を示すフローチャート。
【図25】解放側摩擦係合要素の終了フェーズ処理を示すフローチャート。
【図26】締結側摩擦係合要素の終了フェーズ処理を示すフローチャート。
【図27】締結側摩擦係合要素の終了フェーズ処理の詳細を示すフローチャート。
【符号の説明】
1…トルクコンバータ
2…変速機構
11…ソレノイドバルブユニット
12…A/Tコントローラ
13…A/T油温センサ
14…アクセル開度センサ
15…車速センサ
16…タービン回転センサ
17…エンジン回転センサ
18…エアフローメータ
20…エンジン
G1,G2…遊星歯車
H/C…ハイクラッチ
R/C…リバースクラッチ
L/C…ロークラッチ
2&4/B…2速/4速バンドブレーキ
L&R/B…ロー&リバースブレーキ

Claims (8)

  1. 異なる2つの摩擦係合要素の締結制御と解放制御とを同時に行う摩擦係合要素の掛け替えによって変速を行うよう構成された自動変速機の制御装置において、
    変速機構の入力軸回転速度の中央値を算出すると共に、該中央値で上下に区分される速度領域毎の平均値を算出し、該平均値に基づいて基準速度を設定し、該基準速度と前記入力軸回転速度との比較に基づいて変速におけるフェーズの切り換えを判断するよう構成したことを特徴とする自動変速機の制御装置。
  2. 前記入力軸回転速度のピーク値を算出し、前記平均値とピーク値との偏差に基づいて前記基準速度を設定することを特徴とする請求項1記載の自動変速機の制御装置。
  3. 前記変速機構の出力軸回転速度及び変速前のギヤ比から求められる基準入力軸回転速度と閾値とから前記基準速度を設定する構成であって、前記閾値を、前記平均値とピーク値との偏差に基づいて設定することを特徴とする請求項2記載の自動変速機の制御装置。
  4. 前記閾値を、前記中央値と前記基準入力軸回転速度との偏差、及び、前記平均値とピーク値との偏差に基づいて設定することを特徴とする請求項3記載の自動変速機の制御装置。
  5. 前記平均値とピーク値との偏差に所定値αを付加して前記閾値を設定することを特徴とする請求項3又は4記載の自動変速機の制御装置。
  6. エンジンの駆動トルクが加わっている状態でのアップシフト時に、前記中央値よりも高い入力軸回転速度の平均値を算出すると共に、前記ピーク値として上限値を算出し、前記閾値を、
    閾値=(中央値−基準入力軸回転速度)+(上限値−平均値)+所定値α
    として算出し、前記入力軸回転速度が、前記基準入力軸回転速度+前記閾値を上回ったときに、トルクフェーズへの切り換えを判断することを特徴とする請求項5記載の自動変速機の制御装置。
  7. 前記所定値αを、車速に応じて異なる値に設定することを特徴とする請求項5又は6記載の自動変速機の制御装置。
  8. 前記入力軸回転速度の検出値から高周波成分を除去し、該高周波成分が除去された入力軸回転速度を用いてフェーズの切り換え判断を行わせることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1つに記載の自動変速機の制御装置。
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