JP2001208187A - 自動変速機の制御装置 - Google Patents

自動変速機の制御装置

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JP2001208187A
JP2001208187A JP2000020028A JP2000020028A JP2001208187A JP 2001208187 A JP2001208187 A JP 2001208187A JP 2000020028 A JP2000020028 A JP 2000020028A JP 2000020028 A JP2000020028 A JP 2000020028A JP 2001208187 A JP2001208187 A JP 2001208187A
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Japan
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rotation speed
speed
input shaft
phase
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JP2000020028A
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English (en)
Inventor
Hiroyuki Yuasa
弘之 湯浅
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Hitachi Unisia Automotive Ltd
Original Assignee
Unisia Jecs Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】摩擦係合要素の掛け替えによって変速を行う自
動変速機において、変速時のフェーズの切り換えを応答
良くかつ誤判定なく検出できるようにする。 【解決手段】パワーオンアップシフト時に、タービン回
転速度Nt及び変速機の出力軸回転速度Noの高周波成
分を除去し、タービン回転速度Ntの中央値及び上下限
値を求める一方、出力軸回転速度Noと変速前のギヤ比
iに基づいて基準タービン回転速度を求める。そして、
車速に応じて設定される所定値αを用いて、閾値を、閾
値=(中央値−基準タービン回転速度)+(上限値−中
央値)+αとして算出し、基準タービン回転速度+閾値
よりもタービン回転速度Ntが高くなったときにトルク
フェーズへの移行を判定する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は自動変速機の制御装
置に関し、詳しくは、異なる2つの摩擦係合要素の締結
制御と解放制御とを同時に行う摩擦係合要素の掛け替え
によって変速を行うよう構成された自動変速機におい
て、摩擦係合要素の伝達トルク容量制御のためのフェー
ズ切り換え判定技術に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、摩擦係合要素の締結・解放を
油圧によって制御するよう構成すると共に、2つの摩擦
係合要素の締結制御と解放制御とを同時に行う摩擦係合
要素の掛け替えによって変速を行わせる構成の自動変速
機が知られいる(特開平9−133205号公報等参
照)。
【0003】ところで、前記掛け替え変速においては、
準備フェーズ、トルクフェーズ、イナーシャフェーズ、
終了フェーズなどの変速における各種フェーズの判断に
基づいて、それぞれのフェーズに適合する油圧制御を行
わせることが要求されるため、従来からタービン回転速
度(変速機構の入力軸回転速度)や、タービン回転速度
及び出力軸回転速度から算出されるギヤ比(変速比)に
基づいて、フェーズの切り換え判断を行っていた(特開
平5−087225号公報参照)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、タービン回転
速度等の検出値には、外乱による周期的な変動やノイズ
成分の重畳が発生するため、係る外乱による回転速度変
化をフェーズの切り換えによる回転速度変化として誤判
断してしまう可能性があった。
【0005】前記フェーズ切り換えの誤判断を防止する
方法としては、確実にフェーズが切り換わったと推定さ
れるときにのみ、フェーズの切り換え判断を行わせるよ
うにすれば良いが、係る構成ではフェーズ切り換えに基
づく制御の切り換えが遅れることになり、特にパワーオ
ンアップシフトにおける準備フェーズからトルクフェー
ズへの切り換え時には高い制御応答性が要求されるた
め、誤判断を回避しつつ、高い応答性でフェーズ切り換
えを判断できるようにすることが望まれていた。
【0006】本発明は上記問題点に鑑みなされたもので
あり、フェーズの切り換え判断を、誤判断を回避しつ
つ、高い応答性で行える自動変速機の制御装置を提供す
ることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】そのため請求項1記載の
発明は、異なる2つの摩擦係合要素の締結制御と解放制
御とを同時に行う摩擦係合要素の掛け替えによって変速
を行うよう構成された自動変速機の制御装置において、
変速機構の入力軸回転速度の中央値とピーク値とに基づ
いて基準速度を設定し、該基準速度と前記入力軸回転速
度との比較に基づいて変速におけるフェーズの切り換え
を判断する構成とした。
【0008】かかる構成によると、変速機構の入力軸回
転速度(タービン回転速度)と基準速度との比較から、
フェーズの切り換えを判断するが、前記基準速度が、入
力軸回転速度の中央値(平均値)と、入力軸回転速度の
ピーク値(変動の上下限値)とから設定され、外乱によ
る周期的な変動を考慮した基準速度に基づきフェーズ切
り換えを判断させる。
【0009】請求項2記載の発明では、前記入力軸回転
速度の検出値から高周波成分を除去し、該高周波成分が
除去された入力軸回転速度に基づいて前記中央値及びピ
ーク値を求めると共に、前記高周波成分が除去された入
力軸回転速度と前記基準速度とを比較する構成とした。
【0010】かかる構成によると、変速機構の入力軸回
転速度(タービン回転速度)の検出値について、高周波
成分(ノイズ成分)を除去する処理、即ち、ローパスフ
ィルタ処理を施し、該処理後の入力軸回転速度を用い
て、基準速度の設定及びフェーズ切り換えの判断を行わ
せる。
【0011】請求項3記載の発明では、前記変速機構の
出力軸回転速度及び変速前のギヤ比から求められる基準
入力軸回転速度と閾値とから前記基準速度を設定する構
成であって、前記閾値を、前記中央値及びピーク値に基
づいて設定する構成とした。
【0012】かかる構成によると、出力軸回転速度及び
変速前のギヤ比から求められる基準入力軸回転速度は、
変速前のギヤ比を維持する場合の入力軸回転速度に相当
し、この基準入力軸回転速度に対する実際の入力軸回転
速度の変化を閾値に基づいて判断して、フェーズ切り換
え(変速の開始)を判断するが、前記閾値を、入力軸回
転速度の外乱による変動を示す中央値及びピーク値に基
づいて設定する。
【0013】請求項4記載の発明では、前記閾値を、前
記中央値と前記ピーク値との偏差に基づいて設定する構
成とした。かかる構成によると、入力軸回転速度の中央
値とピーク値との偏差は、変動幅を示すことになり、入
力軸回転速度の外乱による変動範囲内がフェーズ切り換
え判断における不感帯に設定される。
【0014】請求項5記載の発明では、前記閾値を、前
記中央値と前記基準入力軸回転速度との偏差、及び、前
記中央値と前記ピーク値との偏差に基づいて設定する構
成とした。
【0015】かかる構成によると、変速が開始される前
は、入力軸回転速度の中央値と基準入力軸回転速度とが
一致することが理想であるが、これらに偏差がある場合
に、係る偏差を見込んで回転変化が判別されるように、
閾値を中央値と基準入力軸回転速度との偏差に基づき修
正する。
【0016】請求項6記載の発明では、前記中央値と前
記ピーク値との偏差に所定値αを付加して前記閾値を設
定する構成とした。かかる構成によると、外乱による変
動範囲よりも更に所定値αだけ入力軸回転速度が変化し
たときに、フェーズ切り換え判断がなされることにな
る。
【0017】請求項7記載の発明では、エンジンの駆動
トルクが加わっている状態でのアップシフト時に、前記
ピーク値としての上限値及び所定値αを用いて、前記閾
値を、 閾値=(中央値−基準入力軸回転速度)+(上限値−中
央値)+α として算出し、前記基準入力軸回転速度+前記閾値を、
前記入力軸回転速度が上回ったときに、トルクフェーズ
への切り換えを判断する構成とした。
【0018】かかる構成によると、エンジンの駆動トル
クが加わっている状態でのアップシフト時(パワーオン
アップシフト時)に、変速が開始される前の入力軸回転
速度の中央値と基準入力軸回転速度とのずれと、入力軸
回転速度の中央値よりも高い方の変動幅とから、基準入
力軸回転速度からの外乱による回転上昇範囲を求め、該
回転上昇範囲よりも所定値αだけ高い速度を、入力軸回
転速度が上回ったときに、トルクフェーズへの切り換え
に伴って入力軸回転速度が空吹けしたものと判断する。
【0019】請求項8記載の発明では、前記所定値α
を、車速に応じて設定する構成とした。かかる構成によ
ると、外乱による回転上昇範囲からどれだけ離れたとき
にフェーズ切り換えを判断させるかが、そのときの車両
の走行速度(車速)によって変更される。
【0020】
【発明の効果】請求項1記載の発明によると、外乱によ
る変動範囲内での入力軸回転速度の変動が、フェーズ切
り換えによる回転変動として誤判断されることを防止で
き、フェーズ切り換えを、応答良くかつ高精度に判別で
きるという効果がある。
【0021】請求項2記載の発明によると、入力軸回転
速度に重畳したノイズ成分によって、フェーズ切り換え
が誤判断されることを防止できるという効果がある。請
求項3記載の発明によると、変速前のギヤ比を維持する
場合の入力軸回転速度からの変動として、変速の開始に
伴う回転変動を検出できるという効果がある。
【0022】請求項4記載の発明によると、外乱による
変動範囲内を不感帯として、入力軸回転速度の変化を判
別でき、以って、外乱による変動範囲内での入力軸回転
速度の変動が、フェーズ切り換えによる回転変動として
誤判断されることを防止できるという効果がある。
【0023】請求項5記載の発明によると、基準入力軸
回転速度からの外乱による回転変化範囲を精度良く設定
して、フェーズ切り換えをより高精度に判別できるとい
う効果がある。
【0024】請求項6記載の発明によると、外乱による
変動範囲を確実に超える状態となってからフェーズ切り
換えを判断させることができ、フェーズ切り換えをより
高精度に判別できるという効果がある。
【0025】請求項7記載の発明によると、パワーオン
アップシフト時の変速の開始に伴う空吹けの発生を、外
乱による変動と区別して判別でき、トルクフェーズへの
切り換えを、応答良くかつ高精度に判別できるという効
果がある。
【0026】請求項8記載の発明によると、外乱による
変動範囲を確実に超えた状態を車速条件に応じて適切に
判断でき、車速条件が異なっても、フェーズ切り換えを
応答良くかつ高精度に判別できるという効果がある。
【0027】
【発明の実施の形態】以下に本発明の実施の形態を説明
する。図1は、実施の形態における自動変速機の変速機
構を示すものであり、エンジンの出力がトルクコンバー
タ1を介して変速機構2に伝達される構成となってい
る。
【0028】前記変速機構2は、2組の遊星歯車G1,
G2、3組の多板クラッチH/C,R/C,L/C、1
組のブレーキバンド2&4/B、1組の多板式ブレーキ
L&R/B、1組のワンウェイクラッチL/OWCで構
成される。
【0029】前記2組の遊星歯車G1,G2は、それぞ
れ、サンギヤS1,S2、リングギヤr1,r2及びキ
ャリアc1,c2よりなる単純遊星歯車である。前記遊
星歯車組G1のサンギヤS1は、リバースクラッチR/
Cにより入力軸INに結合可能に構成される一方、ブレ
ーキバンド2&4/Bによって固定可能に構成される。
【0030】前記遊星歯車組G2のサンギヤS2は、入
力軸INに直結される。前記遊星歯車組G1のキャリア
c1は、ハイクラッチH/Cにより入力軸Iに結合可能
に構成される一方、前記遊星歯車組G2のリングギヤr
2が、ロークラッチL/Cにより遊星歯車組G1のキャ
リアc1に結合可能に構成され、更に、ロー&リバース
ブレーキL&R/Bにより遊星歯車組G1のキャリアc
1を固定できるようになっている。
【0031】そして、出力軸OUTには、前記遊星歯車
組G1のリングギヤr1と、前記遊星歯車組G2のキャ
リアc2とが一体的に直結されている。上記構成の変速
機構2において、1速〜4速及び後退は、図2に示すよ
うに、各クラッチ・ブレーキの締結状態の組み合わせに
よって実現される。
【0032】尚、図2において、丸印が締結状態を示
し、記号が付されていない部分は解放状態とすることを
示すが、特に、1速におけるロー&リバースブレーキL
&R/Bの黒丸で示される締結状態は、1レンジでのみ
の締結を示すものとする。
【0033】前記図2に示す各クラッチ・ブレーキの締
結状態の組み合わせによると、例えば、4速から3速へ
のダウンシフト時には、ブレーキバンド2&4/Bの解
放を行う共にロークラッチL/Cの締結を行い、3速か
ら2速へのダウンシフト時には、ハイクラッチH/Cの
解放を行うと共にブレーキバンド2&4/Bの締結を行
うことになり、2速から3速へのアップシフト時には、
ブレーキバンド2&4/Bの解放を行うと共にハイクラ
ッチH/Cの締結を行い、3速から4速へのアップシフ
ト時には、ロークラッチL/Cの解放を行うと共にブレ
ーキバンド2&4/Bの締結を行うことになり、上記の
ように、クラッチ・ブレーキ(摩擦係合要素)の締結と
解放とを同時に制御して摩擦係合要素の掛け替えを行う
変速を掛け替え変速と称するものとする。
【0034】前記各クラッチ・ブレーキ(摩擦係合要
素)は、供給油圧によって動作するようになっており、
各クラッチ・ブレーキに対する供給油圧は、図3に示す
ソレノイドバルブユニット11に含まれる各種ソレノイ
ドバルブによって調整される。
【0035】前記ソレノイドバルブユニット11の各種
ソレノイドバルブを制御するA/Tコントローラ12に
は、A/T油温センサ13,アクセル開度センサ14,
車速センサ15,タービン回転センサ16,エンジン回
転センサ17,エアフローメータ18等からの検出信号
が入力され、これらの検出結果に基づいて、各摩擦係合
要素における係合油圧を制御する。
【0036】図3において、符号20は、前記自動変速
機と組み合わされるエンジンを示す。ここで、前記A/
Tコントローラ12による掛け替え変速の様子を、エン
ジンの駆動トルクが加わっている状態でのアップシフト
(以下、パワーオンアップシフトという)の場合を例と
して、図4のタイムチャートを参照しつつ、以下に説明
する。
【0037】図5のフローチャートは、締結側摩擦係合
要素と解放側摩擦係合要素とに共通の伝達トルク容量制
御のメインルーチンを示す。ステップS1では、パワー
オンアップシフトの変速判断を行う。
【0038】A/Tコントローラ12には、車速VSP
とアクセル開度(スロットル開度)とに応じて変速段を
設定した変速マップが予め記憶されており、例えば、現
在(変速前)の変速段と前記変速マップから検索した変
速段とが異なり、かつ、それがアップシフト方向であっ
て、かつ、アクセルが全閉でない場合にパワーオンアッ
プシフトとして判断する。
【0039】パワーオンアップシフトの変速判断がなさ
れると、ステップS2へ進み、トルクフェーズへの移行
(準備フェーズからトルクフェーズへの切り換え)を判
別する。
【0040】前記ステップS2におけるトルクフェーズ
への移行判定は、図6のフローチャートに詳細に示して
ある。まず、ステップS21では、トルクフェーズへの
移行が判定済みであるか否かを判別し、トルクフェーズ
への移行が判定済みであれば、後述するタービン回転速
度Nt(変速機構の入力軸回転速度)に基づくフェーズ
切り換え判定を行うことなく、トルクフェーズへの移行
判定を保持して、本ルーチンを終了させる。
【0041】一方、トルクフェーズへの移行が判定済み
でない場合には、ステップS22へ進み、タービン回転
速度Nt及び変速機構の出力軸回転速度Noを読込む。
ステップS23では、タービン回転速度Nt及び出力軸
回転速度Noの検出値から高周波成分(ノイズ成分)を
除去する処理(ローパスフィルタ処理)を施す。そし
て、以下の各ステップにおいては、上記高周波成分(ノ
イズ成分)が除去されたタービン回転速度Nt及び出力
軸回転速度Noを用いるようにする。
【0042】ステップS24では、タービン回転速度N
tの中央値を演算する。該中央値は、変速判断からのタ
ービン回転速度Ntの積算値の平均値として求められ
る。ステップS25では、変速判断からのタービン回転
速度Ntの上限値と下限値(ピーク値)を、ピークホー
ルド処理によって求める。
【0043】ステップS26では、トルクフェーズへの
移行判定に用いる閾値を、出力軸回転速度Noに変速前
のギヤ比(ギヤ比=タービン回転速度Nt/出力軸回転
速度No)を乗算して得られる基準タービン回転速度
(基準入力軸回転速度)と、前記中央値及び上下限値
と、所定値αに基づき、下式に従って算出する。
【0044】閾値=(中央値−基準タービン回転速度)
+(上限値−中央値)+α 上式で、中央値と基準タービン回転速度との偏差(中央
値−基準タービン回転速度)は、準備フェーズ状態にお
ける基準タービン回転速度とタービン回転速度Ntとの
ずれを示し、これに上限値(ピーク値)と中央値との偏
差(上限値−中央値)を加算することで、基準タービン
回転速度を超えるタービン回転速度Ntのプラス側の最
大変位を求めることになる。
【0045】また、所定値αは、車速が高いときほど大
きな値に設定される値であるが、固定値としても良い。
また、前記閾値は、変速判断から所定期間(例えばター
ビン回転速度Ntの極大・極小値が求められるまでの
間)は、予め記憶された所定値に保持させると良い。
【0046】上記のようにして、閾値を設定すると、ス
テップS27では、基準タービン回転速度と閾値との加
算値よりも実際のタービン回転速度Ntが高いか否かを
判別することで、トルクフェーズへの移行を判別する。
【0047】従って、上記トルクフェーズへの移行判別
においては、高周波成分を除去する処理によってノイズ
成分によりフェーズ切り換えが誤判別されることがな
く、また、タービン回転速度Ntの変動に基づき設定さ
れる閾値を用いることで、外乱によるタービン回転速度
Ntの変動範囲がフェーズ切り換え判断の不感帯として
設定され、外乱によるタービン回転速度Ntの乱れでフ
ェーズ切り換えが誤判別されることがない。
【0048】ここで、基準タービン回転速度と閾値との
加算値よりもタービン回転速度Ntが高いと判別された
とき、即ち、外乱による乱れの範囲を超えてタービン回
転速度Ntが上昇したときには、解放側摩擦係合要素の
解放制御が進んだ結果、空吹けが発生したものと判断
し、ステップS28へ進んで、準備フェーズからトルク
フェーズへの移行を判定する。
【0049】トルクフェーズへの移行が判定されると、
次回からは、ステップS22〜27を迂回してステップ
S28へ進むので、初めてタービン回転速度Ntが基準
タービン回転速度と閾値との加算値(基準速度)よりも
高くなった時点で、トルクフェーズへの移行を判定する
と、その後は、たとえタービン回転速度Ntが基準ター
ビン回転速度と閾値との加算値(基準速度)を下回って
も、トルクフェーズへの移行判定が撤回されることはな
く、トルクフェーズ状態の判定が保持される。
【0050】尚、パワーオフアップシフト時には、トル
クフェーズへの移行に伴うタービン回転速度Ntの低下
に基づき、トルクフェーズへの移行判定を行うために、
前記閾値を、 閾値=(中央値−基準タービン回転速度)+(中央値−
下限値)+α として算出させ、基準速度を、基準タービン回転速度−
閾値として、この基準速度を初めて下回った時点で、ト
ルクフェーズへの移行を判定する構成とすれば良い。
【0051】ところで、上記のトルクフェーズ移行判定
では、初めてタービン回転速度Ntが基準タービン回転
速度と閾値との加算値(基準速度)よりも高くなった時
点で、トルクフェーズへの移行を判定する構成とした
が、タービン回転速度Ntが基準タービン回転速度と閾
値との加算値(基準速度)よりも高い状態を、連続して
保持していると初めて判断された時点で、トルクフェー
ズへの移行を判定する構成としても良く、係る実施形態
を、図7のフローチャートに示してある。
【0052】図7のフローチャートにおいて、ステップ
S21〜26及びステップS28は、図6のフローチャ
ートのステップS21〜26及びステップS28と同じ
処理を行い、ステップS27Aの部分のみが異なる。
【0053】ステップS27Aでは、基準タービン回転
速度と閾値との加算値よりもタービン回転速度Ntが高
い状態を連続して2回検出したか否かを判別する。そし
て、基準タービン回転速度と閾値との加算値(基準速
度)よりもタービン回転速度Ntが高いと2回連続して
判別されたときには、ステップS28へ進んで、準備フ
ェーズからトルクフェーズへの移行を判定する。
【0054】トルクフェーズへの移行が判定されると、
次回からは、ステップS22〜27を迂回してステップ
S28へ進むので、基準速度よりもタービン回転速度N
tが高いと初めて2回連続して判別された時点で、トル
クフェーズへの移行を判定すると、その後は、たとえタ
ービン回転速度Ntが基準速度を下回っても、トルクフ
ェーズへの移行判定が撤回されることはなく、トルクフ
ェーズ状態の判定が保持される。
【0055】上記のように、基準速度よりもタービン回
転速度Ntが高いと2回連続して判別されたか否かに基
づいて、トルクフェーズへの移行を判定する構成であれ
ば、より確実なフェーズ判定が可能であり、閾値(所定
値α)をより小さく設定して検出応答性を確保すること
が可能である。
【0056】尚、連続判定回数を上記では2回とした
が、複数回であれば良く、2回に限定するものではな
い。また、上限値の変動などに基づいて前記連続判定回
数を変化させる構成とすることも可能である。
【0057】ここで、図5のフローチャートに戻って説
明を続ける。ステップS2で、トルクフェーズへの移行
が判定されるまでは、ステップS3の準備フェーズ処理
を実行させる。
【0058】前記ステップS3の準備フェーズ処理は、
解放側の処理と締結側の処理とに分かれる。図8のフロ
ーチャートは、解放側摩擦係合要素の準備フェーズ処理
のメインルーチンを示すものであり、ステップS31で
は、変速の種類、解放制御する摩擦係合要素の種類及び
油温に応じて予め記憶されている所定時間TIMER1
だけ変速判断から経過したか否かを判別する。
【0059】前記所定時間TIMER1内であれば、ス
テップS32へ進み、解放初期油圧の演算を行う。前記
解放初期油圧は、解放制御を行う初期圧であり、非変速
時の油圧から前記解放初期油圧まで、前記所定時間TI
MER1内で低下させるようにする。
【0060】前記ステップS32の解放初期油圧の演算
は、図9のフローチャートに詳細に示してあり、ステッ
プS321では、今回解放制御を行う摩擦係合要素の非
変速時油圧Po0(指示圧)を算出する。
【0061】前記非変速時油圧Po0は、 Po0=K1×(Tt×Tr-o)×余裕代初期値+Prtn-
o として算出される。
【0062】ここで、K1は、解放側の摩擦係合要素の
伝達トルク容量を油圧に変換するための係数であり、変
速の種類及び解放制御する摩擦係合要素の種類に応じて
予め記憶されている。Ttは、変速機構の入力軸トルク
の推定値であり、エンジンの吸入空気量や回転速度及び
トルクコンバータの速度比等から求められる。Tr-o
は、前記入力軸トルクTtに対して、解放側摩擦係合要
素が滑りを生じる臨界伝達トルク容量を求めるための解
放臨界トルク比である。余裕代初期値は、前記臨界伝達
トルク容量に対して余裕分の伝達トルク容量を付加する
ための補正係数である余裕代の初期値であり、例えば3.
0程度の値として予め記憶されている。Prtn-oは、解放
側のスタンバイ圧(解放側リターンスプリング圧)であ
り、摩擦係合要素毎に予め記憶される。
【0063】ステップS322では、前記余裕代の算出
を行う。前記余裕代は、前記余裕代初期値(=3.0)か
ら所定時間TIMER1経過後に目標値(余裕代
(1))にまで低下させるものとして算出され、具体的
には、経過時間tに対応する余裕代を、 余裕代=初期値×(1−ゲインα×t1/2) として求めるものとする。
【0064】ここで、所定時間TIMER1経過後の余
裕代の目標値(余裕代(1))を1.2とすれば、所定時
間TIMER1を前記tに代入し、余裕代に1.2を代入
すれば、ゲインαが決定されることになり、このゲイン
αを用いることで経過時間t毎の余裕代が求められるこ
とになる。
【0065】尚、所定時間TIMER1経過後の余裕代
の目標値は、入力軸トルクの推定誤差が予想される範囲
内で発生しても、解放側摩擦係合要素が締結状態を保持
できる値として設定される。
【0066】ステップS323では、上記のようにして
求められる経過時間t毎の余裕代を用い、所定時間TI
MER1内における解放側油圧Po1を下式に従って算
出する。
【0067】 Po1=K1×(Tt×Tr-o)×余裕代+Prtn-o 上記のようにして所定時間TIMER1内で解放側の油
圧を徐々に低下させた後、ステップS33で、トルクフ
ェーズの移行判定がなされたと判別されるようになるま
での間においては、ステップS34以降へ進む。
【0068】ステップS34では、分担比ランプ制御を
行う。前記ステップS34の分担比ランプ制御の詳細
は、図10のフローチャートに示してあり、ステップS
341では、変速の種類及び解放制御する摩擦係合要素
の種類に応じて予め記憶されている所定時間TIMER
2内で、余裕代(1)から余裕代(2)(例えば0.8)
まで一定速度で低下させるものとして、所定時間TIM
ER2内における余裕代を決定する(図11参照)。
【0069】そして、ステップS342では、前記ステ
ップS341で決定される余裕代を用い、解放側の油圧
Po2を下式に従って算出する。 Po2=K1×(Tt×Tr-o)×余裕代+Prtn-o 尚、前記余裕代(2)(=0.8)は、入力軸トルクの推
定誤差が予想される範囲内で発生しても、解放側摩擦係
合要素を確実に解放状態に移行させることができる値と
して設定される。
【0070】ステップS35では、分担比ランプ制限を
行う。前記ステップS35の分担比ランプ制限の詳細
は、図12のフローチャートに示してあり、ステップS
351では、入力軸トルクTtが所定値以下であるか否
かを判別する。
【0071】入力軸トルクTtが所定値を超える場合に
は、前記ステップS34で算出される解放側の油圧Po
2をそのまま用いるべく、ステップS352〜354を
ジャンプして終了させるが、入力軸トルクTtが所定値
以下であればステップS352へ進む。
【0072】ステップS352では、余裕代(2)をよ
り小さい値に変更する。例えば標準値を0.8とするとき
に、これを0.6に変更する。上記変更により余裕代(解
放側の油圧Po2)の変化速度がより速くなり、低トル
ク時に変速時間が間延びしてしまうことを防止する。
【0073】ステップS353では、変更後の余裕代
(2)に基づいて所定時間TIMER2内における余裕
代をステップS341と同様にして再決定する。ステッ
プS354では、新たに決定された余裕代に基づいて解
放側油圧Po2を算出する。
【0074】ステップS36では、分担比ランプ学習を
行う。前記ステップS36の分担比ランプ学習の詳細
は、図13のフローチャートに示してあり、ステップS
361では、入力軸トルクTtの推定誤差を補正するト
ルク推定学習が収束しているか否かを判別する。尚、前
記トルク推定学習については後述する。
【0075】ステップS361でトルク推定学習が収束
していると判別されたときには、ステップS362へ進
み、余裕代(1)及び余裕代(2)をそれぞれより1.0
に近い値に変更し、所定時間TIMER2内における余
裕代の勾配を緩くする。例えば、余裕代(1)を1.2か
ら1.1に変更し、余裕代(2)を0.8から0.9に変更す
る。上記余裕代の変更によって、トルクフェーズ初期の
回転変化を緩やかにでき、トルクフェーズにおける制御
性を向上できる。
【0076】ステップS363では、変更後の余裕代
(1)(2)に基づいて所定時間TIMER2内におけ
る余裕代をステップS341と同様にして再決定する。
ステップS364では、新たに決定された余裕代に基づ
いて解放側油圧Po2を算出する。
【0077】尚、余裕代(1)の変更に伴って、所定時
間TIMER1内における余裕代の変化も変更されるこ
とになる。上記のように、余裕代の減少設定に伴って解
放側の油圧を所定時間TIMER2内で徐々に減少させ
ると、タービン回転速度Ntの吹け上がりが検出される
ことで、解放側の伝達トルク容量が臨界付近にまで低下
したこと(トルクフェーズへの移行)を間接的に知るこ
とができる。
【0078】ここで、余裕代が1.0付近になった時点
で、空吹けが発生することが理想であるが、入力軸トル
クTtの推定誤差があると、余裕代が1.0よりも大きい
状態又は1.0よりも小さくなってからエンジンの空吹け
が生じることになり、前記入力軸トルクTtの推定誤差
を見込んで、前記所定時間TIMER2内での余裕代の
変化範囲を、1.0を中心に広く(例えば1.2〜0.8)確保
する必要が生じる。
【0079】例えば余裕代=1.1に相当する解放側油圧
でギヤ比が変化し始めたとすると、入力軸トルクの推定
において実際値よりも小さく推定したため、本来、伝達
トルク容量に余裕があることで締結状態を保持できる油
圧であるのに滑り始めたものと判断され、逆に、例えば
余裕代=0.9に相当する解放側油圧でギヤ比が変化し始
めたとすると、入力軸トルクの推定において実際値より
も大きく推定したため、本来の締結状態を保持できない
油圧(伝達トルク容量)まで既に低下しているのに、滑
り始めが遅れたものと判断される。
【0080】そこで、トルクフェーズへの移行が判定さ
れた時点で、ステップS37へ進み、そのときの余裕代
に基づいて入力軸トルク推定値を補正するための補正係
数を求めるトルク推定学習を行う 前記ステップS37のトルク推定学習の詳細は、図14
のフローチャートに示してあり、ステップS371で
は、トルクフェーズへの移行が判定された時点での余裕
代を求める。尚、トルクフェーズへの移行(空吹け)の
検出には遅れが生じるので、タービン回転速度Ntに基
づきトルクフェーズへの移行が判定された時点から所定
時間前の余裕代を、トルクフェーズへの移行時(空吹け
発生時点)の余裕代とすることが好ましい。
【0081】ステップS372では、図15に示すよう
に、1.0とエンジンの空吹け発生時の余裕代Trとの偏
差(Tr−1)に応じて入力軸トルクの補正係数Kttを
記憶したテーブルを予め記憶しており、前記ステップS
371で求められた余裕代Trに基づいて前記テーブル
を参照し、補正係数Kttを求める。
【0082】前記補正係数Kttは、前記余裕代Trが1.
0であるときに1.0に、余裕代Trが1.0よりも小さい時
には1.0よりも小さい値に、余裕代Trが1.0よりも大き
い時には1.0よりも大きい値に設定され、前記余裕代T
rが1.0のときにエンジンの空吹けが発生するように、
入力軸トルクの推定値を補正する。
【0083】尚、前記補正係数Kttが設定されると、該
補正係数Kttによる補正要求を含んで入力軸トルクを推
定するように学習される構成としてある。また、前記補
正係数Kttは、所定の上下限値内に制限されると共に、
前記補正係数Kttの学習は、ATF温度が所定温度以上
であるときに行わせるようになっている。
【0084】一方、締結側の準備フェーズ処理は、図1
6のフローチャートに示される。ステップS41では、
トルクフェーズへの移行判定がなされているか否かを判
別する。
【0085】そして、トルクフェーズへの移行判定がな
されていない場合には、準備フェーズであるとしてステ
ップS42へ進む。ステップS42では、締結側摩擦係
合要素のプリチャージ圧(スタンバイ圧)を、摩擦係合
要素の種類に応じて設定する。
【0086】ステップS43では、前記プリチャージ圧
(スタンバイ圧)に過渡応答補償処理を施し、その結果
を最終的な締結側油圧Po0として出力する。ステップ
S44では、変速開始判断からの経過時間が前記所定時
間TIMER1を超えたか否かを判別し、前記所定時間
TIMER1を超えるとステップS45の分担比ランプ
制御へ進む。
【0087】ステップS45の分担比ランプ制御の詳細
は、図17のフローチャートに示してあり、ステップS
451では、所定時間TIMER2内で、余裕代(1)
(例えば0.8)から余裕代(2)(例えば1.2)まで一定
速度で増大させるものとして、所定時間TIMER2内
における余裕代を決定する(図18参照)。
【0088】そして、ステップS452では、前記ステ
ップS451で決定される余裕代を用い、締結側の油圧
Pc2を下式に従って算出する。 Pc2=K2×(Tt×Tr-c)×余裕代+Prtn-c ここで、K2は、締結側の摩擦係合要素の伝達トルク容
量(必要伝達トルク容量)を油圧に変換するための係数
であり、変速の種類及び解放制御する摩擦係合要素の種
類に応じて予め記憶されている。Tr-cは、入力軸トル
クTtに対して、締結側の摩擦係合要素が締結し始める
臨界伝達トルク容量を求めるための締結臨界トルク比で
ある。Prtn-cは、締結側のスタンバイ圧(締結側リター
ンスプリング圧)であり、摩擦係合要素毎に予め記憶さ
れる。
【0089】ここで、前記図5のフローチャートに戻っ
て説明を続けると、ステップS2でトルクフェーズへの
移行が判定されると、ステップS4へ進み、ギヤ比がF
/B(フィードバック)開始ギヤ比を超えてアップシフ
ト方向に変化したか否かを判別する。そして、F/B開
始ギヤ比を超えてアップシフト方向に変化するまでは、
ステップS5のトルクフェーズ処理を行わせる。
【0090】解放側摩擦係合要素のトルクフェーズ処理
(ソフトOWC制御)では、前記準備フェーズにおける
余裕代の減少制御をそのままの速度で継続させて求めら
れる解放側油圧Po2に、空吹けに応じた補正油圧Po
3を加算して、最終的な解放側油圧Po4を求める。
【0091】具体的には、図19のフローチャートに示
されるように、まず、ステップS51で、実際のタービ
ン回転速度Ntの微分値ΔNtに応じた解放補正油圧P
o3を、下式に従って算出する。
【0092】Po3=K1×{INS×(2π/60)
×ΔNt+1/g(Nt−No×i)} ここで、INSは変速の種類毎に決められるイナーシャ
(慣性モーメント)、gはクラッチトルクを回転速度に
変換するゲイン、iは変速前のギヤ比である。
【0093】ステップS52では、準備フェーズにおけ
る余裕代の減少制御をそのままの速度で継続させて設定
される余裕代に基づき算出される解放側油圧Po2に、
前記解放補正油圧Po3を加算して、その結果を最終的
な解放側油圧Po4とする(Po4=Po2+Po
3)。
【0094】尚、最終的な解放側油圧Po4が、解放側
油圧Po2を下回ることがないように、制限を加えるよ
うにしてある。また、タービン回転速度の微分値ΔNt
としてローパスフィルタ処理後の値を用いるようにして
ある。
【0095】一方、締結側摩擦係合要素のトルクフェー
ズ処理の様子は、図20のフローチャートに示してあ
る。図20のフローチャートにおいて、ステップS61
で、トルクフェーズへの移行判定がなされていると判別
されると、ステップS62へ進み、ギヤ比がF/B開始
ギヤ比を超えてアップシフト方向に変化したか否かを判
別する。そして、F/B開始ギヤ比を超えていないと、
ステップS63へ進む。
【0096】ステップS63では、前記準備フェーズに
おける余裕代の増大制御をそのままの速度で継続させて
設定される余裕代に基づき締結側油圧Pc2を求める。
ステップS64では、前記ステップS51と同様にし
て、締結補正油圧Pc3を、下式に従って算出する。
【0097】Pc3=K2×{INS×(2π/60)
×ΔNt+1/g(Nt−No×i)} そして、Pc2+Pc3=Pc4として最終的な締結側
油圧Pc4を求める。
【0098】図5のフローチャートのステップS4で、
ギヤ比がF/B開始ギヤ比を超えたと判別されると、ス
テップS6へ進み、ギヤ比がF/B終了ギヤ比(<F/
B開始ギヤ比)を超えたか否かを判別する。
【0099】ギヤ比がF/B開始ギヤ比とF/B終了ギ
ヤ比との間であるときには、ステップS7のイナーシャ
フェーズ処理を行わせる。解放側のイナーシャフェーズ
処理は、図21のフローチャートに示してあり、ステッ
プS71でトルクフェーズ終了時の油圧(油圧=0)を
保持させる設定を行う。
【0100】また、締結側のイナーシャフェーズ処理
は、図22のフローチャートに示される。図22のフロ
ーチャートにおいて、ステップS81では、図23のフ
ローチャートに示される基本制御を行う。
【0101】前記基本制御においては、まず、ステップ
S811で、目標イナーシャトルクTinr[Nm]を、
下式に従って算出する。 Tinr=イナーシャINS×目標タービン角加速度[rad
/sec2] 上式でイナーシャINS(慣性モーメント)[Nm/rad
/sec2]は、変速の種類に応じて決定される値である。
【0102】また、目標タービン角加速度[rad/sec2
は、 目標タービン角加速度[rad/sec2]=2×π×目標ター
ビン加速度[1/sec2]/60 として算出され、前記目標タービン加速度[1/sec2
は、 目標タービン加速度[1/sec2]=(Nt×ギヤ段差)
/(目標変速時間[sec]) 上式でギヤ段差は、ギヤ段差=1−(変速後ギヤ比/変
速前ギヤ比)として算出される値であり、Nt[rpm]
はイナーシャフェーズ開始時のタービン回転速度であ
る。
【0103】ステップS812では、前記目標イナーシ
ャトルクTinrに基づいて締結側油圧Pc7を下式に従
って算出する。 Pc7=K2×Tt×Tr×Tr-c+Prtn-c+K2×Tr
-c×Tinr 上記基本制御に加え、ステップS82では、回転フィー
ドバック(F/B)制御を実行する。
【0104】前記回転F/B制御を、図24のフローチ
ャートに従って説明する。ステップS821では、目標
タービン回転速度[rpm]を算出する。前記目標タービ
ン回転速度は、イナーシャフェーズ開始時のタービン回
転速度Nt[rpm]と前記目標タービン加速度[1/se
c2]とに基づき、イナーシャフェーズ開始時のタービン
回転速度Nt[rpm]から目標タービン加速度[1/se
c2]で減少変化する特性として算出される(目標タービ
ン速度(n)=目標タービン速度(n-1)+目標タービン加速
度)。
【0105】ステップS822では、前記目標タービン
回転速度[rpm]と実際のタービン回転速度Nt[rpm]
との偏差に基づくPID(比例・積分・微分)動作によ
り、フィードバック補正分を算出する。
【0106】ステップS823では、前記フィードバッ
ク補正分を前記締結側油圧Pc7に加算した結果を、締
結側油圧Pc8として出力する。ギヤ比がF/B終了ギ
ヤ比よりも小さくなったことが、図5のフローチャート
のステップS6で判別されると、ステップS6からステ
ップS8へ進み、ギヤ比がF/B終了ギヤ比よりも初め
て小さくなった時点から所定時間TIMER7だけ経過
したか否かを判別する。
【0107】そして、所定時間TIMER7内であれ
ば、ステップS9へ進んで、終了フェーズ処理を行う。
解放側摩擦係合要素についての終了フェーズ処理は、図
25のフローチャートに示してあり、ステップS91で
イナーシャフェーズ終了時の油圧を保持する設定を行
う。即ち、解放側摩擦係合要素の油圧は、イナーシャフ
ェーズ及び終了フェーズにおいて、ギヤ比がF/B開始
ギヤ比よりも小さくなった時点の値に保持されることに
なる。
【0108】一方、締結側摩擦係合要素の終了フェーズ
処理は、図26のフローチャートに示され、ステップS
101では、ギヤ比がF/B終了ギヤ比よりも初めて小
さくなった時点から所定時間TIMER7内であるか否
かを判別し、所定時間TIMER7内であればステップ
S102へ進んで、終了フェーズ処理を実行する。
【0109】前記ステップS101の終了フェーズ処理
の詳細は、図27のフローチャートに示してあり、ステ
ップS111では、締結臨界トルクに相当する油圧から
締結臨界トルクの1.2倍に相当する油圧まで、前記所定
時間TIMER7内で上昇させるランプ勾配Rmp-Tr2の
設定を行う。尚、前記所定時間TIMER7は、変速及
び摩擦係合要素の種類に応じて設定される。
【0110】ステップS112では、締結側指示圧Pc
9を、 Pc9=K2×Tt×Tr-c×(1+0.2×Rmp-Tr2)+P
rtn-c+K2×Tr-c×Tinr として算出する。
【0111】そして、前記所定時間TIMER7が経過
した時点で、締結側の指示圧を、前記Pc9から、最大
圧までステップ変化させる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態における自動変速機の変速機構を示
す図。
【図2】前記変速機構における摩擦係合要素の締結状態
の組み合わせと変速段との相関を示す図。
【図3】前記自動変速機の制御系を示すシステム図。
【図4】実施の形態における摩擦係合要素の掛け換えに
よる変速の様子を示すタイムチャート。
【図5】実施の形態における摩擦係合要素の掛け換え変
速制御のメインルーチンを示すフローチャート。
【図6】トルクフェーズ移行判定の第1の実施形態を示
すフローチャート。
【図7】トルクフェーズ移行判定の第2の実施形態を示
すフローチャート。
【図8】解放側摩擦係合要素の準備フェーズ処理を示す
フローチャート。
【図9】解放側摩擦係合要素の準備フェーズ処理におけ
る解放初期油圧演算を示すフローチャート。
【図10】解放側摩擦係合要素の準備フェーズ処理にお
ける分担比ランプ制御を示すフローチャート。
【図11】前記分担比ランプ制御における余裕代の変化
を示す線図。
【図12】解放側摩擦係合要素の準備フェーズ処理にお
ける分担比ランプ制限を示すフローチャート。
【図13】解放側摩擦係合要素の準備フェーズ処理にお
ける分担比ランプ学習を示すフローチャート。
【図14】解放側摩擦係合要素の準備フェーズ処理にお
けるトルク推定学習を示すフローチャート。
【図15】前記トルク推定学習における入力軸トルクの
補正係数の特性を示す線図。
【図16】締結側摩擦係合要素の準備フェーズ処理を示
すフローチャート。
【図17】締結側摩擦係合要素の準備フェーズ処理にお
ける分担比ランプ制御を示すフローチャート。
【図18】締結側摩擦係合要素の分担比ランプ制御にお
ける余裕代の変化を示す線図。
【図19】解放側摩擦係合要素のトルクフェーズ処理を
示すフローチャート。
【図20】締結側摩擦係合要素のトルクフェーズ処理を
示すフローチャート。
【図21】解放側摩擦係合要素のイナーシャフェーズ処
理を示すフローチャート。
【図22】締結側摩擦係合要素のイナーシャフェーズ処
理を示すフローチャート。
【図23】締結側摩擦係合要素のイナーシャフェーズ処
理における基本制御を示すフローチャート。
【図24】締結側摩擦係合要素のイナーシャフェーズ処
理における回転フィードバック制御を示すフローチャー
ト。
【図25】解放側摩擦係合要素の終了フェーズ処理を示
すフローチャート。
【図26】締結側摩擦係合要素の終了フェーズ処理を示
すフローチャート。
【図27】締結側摩擦係合要素の終了フェーズ処理の詳
細を示すフローチャート。
【符号の説明】
1…トルクコンバータ 2…変速機構 11…ソレノイドバルブユニット 12…A/Tコントローラ 13…A/T油温センサ 14…アクセル開度センサ 15…車速センサ 16…タービン回転センサ 17…エンジン回転センサ 18…エアフローメータ 20…エンジン G1,G2…遊星歯車 H/C…ハイクラッチ R/C…リバースクラッチ L/C…ロークラッチ 2&4/B…2速/4速バンドブレーキ L&R/B…ロー&リバースブレーキ

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】異なる2つの摩擦係合要素の締結制御と解
    放制御とを同時に行う摩擦係合要素の掛け替えによって
    変速を行うよう構成された自動変速機の制御装置におい
    て、 変速機構の入力軸回転速度の中央値とピーク値とに基づ
    いて基準速度を設定し、該基準速度と前記入力軸回転速
    度との比較に基づいて変速におけるフェーズの切り換え
    を判断するよう構成したことを特徴とする自動変速機の
    制御装置。
  2. 【請求項2】前記入力軸回転速度の検出値から高周波成
    分を除去し、該高周波成分が除去された入力軸回転速度
    に基づいて前記中央値及びピーク値を求めると共に、前
    記高周波成分が除去された入力軸回転速度と前記基準速
    度とを比較することを特徴とする請求項1記載の自動変
    速機の制御装置。
  3. 【請求項3】前記変速機構の出力軸回転速度及び変速前
    のギヤ比から求められる基準入力軸回転速度と閾値とか
    ら前記基準速度を設定する構成であって、前記閾値を、
    前記中央値及びピーク値に基づいて設定することを特徴
    とする請求項1又は2記載の自動変速機の制御装置。
  4. 【請求項4】前記閾値を、前記中央値と前記ピーク値と
    の偏差に基づいて設定することを特徴とする請求項3記
    載の自動変速機の制御装置。
  5. 【請求項5】前記閾値を、前記中央値と前記基準入力軸
    回転速度との偏差、及び、前記中央値と前記ピーク値と
    の偏差に基づいて設定することを特徴とする請求項3記
    載の自動変速機の制御装置。
  6. 【請求項6】前記中央値と前記ピーク値との偏差に所定
    値αを付加して前記閾値を設定することを特徴とする請
    求項4又は5記載の自動変速機の制御装置。
  7. 【請求項7】エンジンの駆動トルクが加わっている状態
    でのアップシフト時に、前記ピーク値としての上限値及
    び所定値αを用いて、前記閾値を、 閾値=(中央値−基準入力軸回転速度)+(上限値−中
    央値)+α として算出し、前記基準入力軸回転速度+前記閾値を、
    前記入力軸回転速度が上回ったときに、トルクフェーズ
    への切り換えを判断することを特徴とする請求項5記載
    の自動変速機の制御装置。
  8. 【請求項8】前記所定値αを、車速に応じて設定するこ
    とを特徴とする請求項6又は7記載の自動変速機の制御
    装置。
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