JP2001021030A - 自動変速機の変速制御装置 - Google Patents

自動変速機の変速制御装置

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JP2001021030A
JP2001021030A JP11190819A JP19081999A JP2001021030A JP 2001021030 A JP2001021030 A JP 2001021030A JP 11190819 A JP11190819 A JP 11190819A JP 19081999 A JP19081999 A JP 19081999A JP 2001021030 A JP2001021030 A JP 2001021030A
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Japan
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input shaft
critical
pressure
torque
release
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JP11190819A
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Hiroyuki Yuasa
弘之 湯浅
Yoshikazu Tanaka
芳和 田中
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Hitachi Unisia Automotive Ltd
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Unisia Jecs Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】異なる摩擦係合要素の締結制御と解放制御とを
同時に行う摩擦係合要素の掛け替えによって変速を行う
自動変速機の変速制御装置において、解放側摩擦係合要
素の臨界油圧を精度良く検出できるようにする。 【解決手段】解放側摩擦係合要素の係合油圧を、入力軸
トルク及び臨界トルク比から推定される臨界油圧と、余
裕代とに基づき設定する構成とし、かつ、前記余裕代を
変速判断からの時間経過と共に減少させる。そして、タ
ービン回転速度の上昇変化としてエンジンの空吹けを検
出し、該空吹け発生時の余裕代から入力軸トルクの推定
誤差を学習し、学習が収束したときに前記臨界に向けて
の油圧の減少速度を遅くする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は自動変速機の変速制
御装置に関し、詳しくは、異なる摩擦係合要素の締結制
御と解放制御とを同時に行う摩擦係合要素の掛け替えに
よって変速を行うよう構成された装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、摩擦係合要素の締結・解放を
油圧によって制御するよう構成すると共に、2つの摩擦
係合要素の締結制御と解放制御とを同時に行って変速を
行わせる構成の自動変速機が知られている。
【0003】特開平6−341526号公報に開示され
るものでは、掛け替えダウンシフト時に、締結側の油圧
を所定の低圧に待機させ、変速機の入力回転数が低速段
の同期点に達すると、前記所定の低圧から上昇させる一
方、前記同期から所定時間が経過した時点で解放側の油
圧をドレインさせる構成となっており、前記所定時間
を、変速機の入力トルク・油温に応じて変化させる構成
となっている。
【0004】また、特開平9−133205号公報に開
示されるものでは、掛け替えダウンシフトにおいて、変
速初期の第1時間内において、高速側の摩擦係合要素の
伝達トルク容量を出力軸トルクが負にならない値まで低
下させる一方、その後の第2時間内において前記高速側
の摩擦係合要素の伝達トルク容量を、入力軸トルクと同
等にまで上昇させると共に、低速側の摩擦係合要素の伝
達トルク容量を適切に制御し、前記第2時間経過後に、
低速側の摩擦係合要素の伝達トルク容量を入力軸トルク
以上に上昇させ、また、高速側の摩擦係合要素を解放さ
せる構成となっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、解放側摩擦
係合要素の解放制御を精度良く行わせるためには、締結
・解放の臨界を的確に判断し、該臨界状態を解放制御の
初期状態とすることが望まれる。また、臨界状態におけ
る解放側摩擦係合要素の油圧(伝達トルク容量)は、変
速機構における入力軸トルクに応じて変化することにな
るため、入力軸トルクに応じて予測される臨界相当圧に
まで油圧を低下させるようにすれば良い。
【0006】ここで、前記臨界状態を精度良く判断する
ためには、解放側の油圧低下速度を遅くすることが望ま
れるが、油圧低下速度を遅くすると、解放制御の要求時
間内における油圧の変化幅が狭くなり、入力軸トルクの
推定誤差によって前記要求時間内で臨界状態にすること
ができなくなる可能性があり、予め見込まれる推定誤差
に対応する油圧変化幅を確保すべく比較的速い油圧低下
速度を設定する必要があるという問題があった。
【0007】本発明は上記問題点に鑑みなされたもので
あり、解放制御の要求時間内において確実に臨界状態ま
で油圧を低下させることができ、然も、臨界状態に対応
する油圧を精度良く判断できるようにすることを目的と
する。
【0008】
【課題を解決するための手段】そのため請求項1記載の
発明は、異なる摩擦係合要素の締結制御と解放制御とを
同時に行う摩擦係合要素の掛け替えによって変速を行う
よう構成された自動変速機の変速制御装置において、変
速機構の入力軸トルクの推定値に基づいて設定される解
放側の指示圧を臨界相当値に向けて徐々に減少させるよ
う構成すると共に、前記入力軸トルクの推定誤差を学習
するよう構成し、前記学習の進行に応じて前記臨界相当
値に向けての指示圧の減少速度をより遅くするよう構成
した。
【0009】かかる構成によると、推定誤差の学習が進
行してなく、推定誤差が大きい時には、指示圧を比較的
速い速度で減少させ、指示圧の変化幅を比較的大きく確
保する一方、推定誤差の学習が進行して推定誤差が小さ
くなると、指示圧の減少速度を遅くする。
【0010】請求項2記載の発明では、前記入力軸トル
クの推定誤差の学習が、前記臨界相当値と実際の臨界状
態における指示圧との差に基づいて行われる構成とし
た。かかる構成によると、入力軸トルクの推定値から臨
界状態に対応するものとして予測される指示圧のとき
に、解放側摩擦係合要素が臨界状態になったときには、
入力軸トルクの推定値に誤差がないことになり、前記予
測した臨界状態に対応する指示圧と実際に臨界状態にな
ったときの指示圧とに差があるときには、前記指示圧差
が入力軸トルクの推定誤差として学習される。
【0011】請求項3記載の発明では、前記臨界相当値
と実際の臨界状態における指示圧との差に基づく入力軸
トルクの補正を所定範囲内に制限するよう構成した。か
かる構成によると、前記差の誤認識等によって過剰な誤
差の発生が検出されても、該検出誤差に応じた補正要求
をそのまま学習するのではなく、所定範囲内に制限を加
えて学習させる。
【0012】請求項4記載の発明では、変速機構の出力
軸回転速度と変速前のギヤ比とに基づいて演算される基
準の入力軸回転速度を設定し、該基準の入力軸回転速度
と実際の入力軸回転速度とを比較して、前記実際の臨界
状態を判定する構成とした。
【0013】かかる構成によると、変速機構の出力軸回
転速度と変速前のギヤ比とに基づいて求められる基準の
入力軸回転速度は、解放側摩擦係合要素が締結状態を維
持しているときの入力軸回転速度(タービン回転)であ
り、解放側摩擦係合要素が締結状態であれば実際の入力
軸回転速度と一致することになるが、解放側の摩擦係合
要素が臨界状態になって滑りを生じるようになると、エ
ンジンに加わっていた負荷が軽減されることでエンジン
回転の空吹けが生じ、これが実際の入力軸回転速度の基
準値に対する上昇として検出される。
【0014】請求項5記載の発明では、前記基準の入力
軸回転速度よりも実際の入力軸回転速度が所定値以上大
きくなったときに、前記実際の臨界状態を判定する構成
とした。
【0015】かかる構成によると、基準の入力軸回転速
度よりも実際の入力軸回転速度が大きくなっても直ちに
解放側摩擦係合要素の臨界状態を判定するのではなく、
所定以上に大きくなって初めて臨界状態を判定する。
【0016】請求項6記載の発明では、前記指示圧が、
入力軸トルクの推定値、臨界トルク比、余裕代に基づき
演算される構成であって、前記余裕代の所定時間内での
変化範囲を設定することで前記指示圧の変化速度を設定
する構成とした。
【0017】かかる構成によると、入力軸トルクの推定
値と臨界トルク比とから臨界相当の指示圧が求められ、
該臨界相当圧に付加する余裕代を変化させることで、臨
界圧を基準とする指示圧の設定が行え、前記余裕代の所
定時間内での変化範囲、即ち、余裕代の変化速度を設定
することで、臨界圧を基準として指示圧が所定速度で変
化することになる。
【0018】請求項7記載の発明では、前記余裕代を所
定時間内でプラス側からマイナスの所定値にまで変化さ
せる設定とした。かかる構成によると、臨界相当圧に付
加する余裕代をプラスからマイナスに向けて変化させる
設定を行えば、臨界相当圧を含む所定範囲内で指示圧を
変化させて、臨界状態に対応する指示圧が求められるこ
とになる。
【0019】請求項8記載の発明では、前記所定時間
を、変速の種類と摩擦係合要素の種類との少なくとも一
方に基づいて可変に設定する構成とした。かかる構成に
よると、解放側摩擦係合要素を臨界状態にまで変化させ
る時間が、変速の種類(2速→3速、3速→4速などの
シフトパターン)と摩擦係合要素の種類(クラッチ・ブ
レーキ等)との少なくとも一方に基づいて異なる値に設
定される。
【0020】請求項9記載の発明では、前記解放側の指
示圧を、変速判断から解放初期圧まで変化させた後、指
示圧の減少速度を遅くして、前記臨界相当値に向けて指
示圧を減少させる構成であって、前記入力軸トルクの推
定誤差の学習進行に応じて前記解放初期圧から臨界相当
値に向けての指示圧の減少速度をより遅くする構成とし
た。
【0021】かかる構成によると、解放に至らない指示
圧まで比較的速い速度で減少させた後、指示圧の減少速
度を落として、臨界相当圧付近での指示圧の減少速度を
遅くする。そして、入力軸トルクの推定誤差が学習され
ると、前記臨界相当圧付近での指示圧の減少速度を更に
遅くする。
【0022】請求項10記載の発明では、前記入力軸ト
ルクの推定誤差が所定範囲内になったときに、前記臨界
相当値に向けての指示圧の減少速度をより遅くするよう
構成した。
【0023】かかる構成によると、入力軸トルクの推定
誤差が所定範囲内になったことをもって、推定誤差学習
の進行を判断し、指示圧の減少速度をより遅くする。
【0024】
【発明の効果】請求項1記載の発明によると、入力軸ト
ルクの推定誤差があっても、解放側摩擦係合要素を確実
に臨界状態に移行させることができる一方、推定誤差の
収束に応じて指示圧の減少速度を遅くして、より高精度
に臨界状態における油圧を求めることができるようにな
るという効果がある。
【0025】請求項2記載の発明によると、臨界圧相当
値の誤差から入力軸トルクの推定誤差を求めて、入力軸
トルクの推定誤差を精度良く学習させることができると
いう効果がある。
【0026】請求項3記載の発明によると、臨界状態の
誤検出などによって過剰な補正が入力軸トルクの推定値
に施されるようになることを防止できるという効果があ
る。請求項4記載の発明によると、エンジンの空吹けの
発生に基づいて、解放側摩擦係合要素における滑りの発
生を検知し、以って、解放側摩擦係合要素の臨界状態を
精度良く判定できるという効果がある。
【0027】請求項5記載の発明によると、エンジン回
転の変動に基づいて解放側摩擦係合要素の臨界状態が誤
判定されることを防止できるという効果がある。請求項
6記載の発明によると、臨界状態に相当する指示圧を基
準として、臨界状態に向けて指示圧を減少変化させるこ
とができ、臨界状態が得られる指示圧の変化範囲を確実
に設定できるという効果がある。
【0028】請求項7記載の発明によると、臨界状態に
相当する指示圧を挟む所定範囲内で指示圧を変化させる
ことができ、入力軸トルクの推定誤差がプラス側・マイ
ナス側のいずれに発生しても、臨界状態が得られる油圧
に制御することができるという効果がある。
【0029】請求項8記載の発明によると、変速の種類
及び摩擦係合要素の種類に対応する最適な速度で指示圧
を減少変化させることができるという効果がある。請求
項9記載の発明によると、臨界状態への移行速度を遅く
しつつ、臨界状態に至るまでの時間が長くなることを抑
止できるという効果がある。
【0030】請求項10記載の発明によると、指示圧の
減少速度を低下させて指示圧の変化幅が狭まっても確実
に臨界状態にできる推定誤差学習が充分に進行した状態
を、的確に判断できるという効果がある。
【0031】
【発明の実施の形態】以下に本発明の実施の形態を説明
する。図1は、実施の形態における自動変速機の変速機
構を示すものであり、エンジンの出力がトルクコンバー
タ1を介して変速機構2に伝達される構成となってい
る。
【0032】前記変速機構2は、2組の遊星歯車G1,
G2、3組の多板クラッチH/C,R/C,L/C、1
組のブレーキバンド2&4/B、1組の多板式ブレーキ
L&R/B、1組のワンウェイクラッチL/OWCで構
成される。
【0033】前記2組の遊星歯車G1,G2は、それぞ
れ、サンギヤS1,S2、リングギヤr1,r2及びキ
ャリアc1,c2よりなる単純遊星歯車である。前記遊
星歯車組G1のサンギヤS1は、リバースクラッチR/
Cにより入力軸INに結合可能に構成される一方、ブレ
ーキバンド2&4/Bによって固定可能に構成される。
【0034】前記遊星歯車組G2のサンギヤS2は、入
力軸INに直結される。前記遊星歯車組G1のキャリア
c1は、ハイクラッチH/Cにより入力軸Iに結合可能
に構成される一方、前記遊星歯車組G2のリングギヤr
2が、ロークラッチL/Cにより遊星歯車組G1のキャ
リアc1に結合可能に構成され、更に、ロー&リバース
ブレーキL&R/Bにより遊星歯車組G1のキャリアc
1を固定できるようになっている。
【0035】そして、出力軸OUTには、前記遊星歯車
組G1のリングギヤr1と、前記遊星歯車組G2のキャ
リアc2とが一体的に直結されている。上記構成の変速
機構2において、1速〜4速及び後退は、図2に示すよ
うに、各クラッチ・ブレーキの締結状態の組み合わせに
よって実現される。
【0036】尚、図2において、丸印が締結状態を示
し、記号が付されていない部分は開放状態とすることを
示すが、特に、1速におけるロー&リバースブレーキL
&R/Bの黒丸で示される締結状態は、1レンジでのみ
の締結を示すものとする。
【0037】前記図2に示す各クラッチ・ブレーキの締
結状態の組み合わせによると、例えば、4速から3速へ
のダウンシフト時には、ブレーキバンド2&4/Bの解
放を行う共にロークラッチL/Cの締結を行い、3速か
ら2速へのダウンシフト時には、ハイクラッチH/Cの
解放を行うと共にブレーキバンド2&4/Bの締結を行
うことになり、2速から3速へのアップシフト時には、
ブレーキバンド2&4/Bの解放を行うと共にハイクラ
ッチH/Cの締結を行い、3速から4速へのアップシフ
ト時には、ロークラッチL/Cの解放を行うと共にブレ
ーキバンド2&4/Bの締結を行うことになり、上記の
ように、クラッチ・ブレーキ(摩擦係合要素)の締結と
解放とを同時に制御して摩擦係合要素の掛け替えを行う
変速を掛け替え変速と称するものとする。
【0038】前記各クラッチ・ブレーキ(摩擦係合要
素)は、供給油圧によって動作するようになっており、
各クラッチ・ブレーキに対する供給油圧は、図3に示す
ソレノイドバルブユニット11に含まれる各種ソレノイ
ドバルブによって調整される。
【0039】前記ソレノイドバルブユニット11の各種
ソレノイドバルブを制御するA/Tコントローラ12に
は、A/T油温センサ13,アクセル開度センサ14,
車速センサ15,タービン回転センサ16,エンジン回
転センサ17,エアフローメータ18等からの検出信号
が入力され、これらの検出結果に基づいて、各摩擦係合
要素における係合油圧を制御する。
【0040】尚、図3において、符号20は、前記自動
変速機と組み合わされるエンジンを示す。ここで、前記
A/Tコントローラ12による掛け替え変速の様子を、
エンジンの駆動トルクが加わっている状態でのアップシ
フト(以下、パワーオンアップシフトという)の場合を
例として、図4のタイムチャートを参照しつつ、図5〜
図26のフローチャートに従って説明する。
【0041】図5のフローチャートは、締結側摩擦係合
要素と解放側摩擦係合要素とに共通のメイン制御ルーチ
ンを示す。ステップS1では、パワーオンアップシフト
の変速判断を行う。
【0042】A/Tコントローラ12には、車速VSP
とアクセル開度(スロットル開度)とに応じて変速段を
設定した変速マップが予め記憶されており、例えば、現
在(変速前)の変速段と前記変速マップから検索した変
速段とが異なり、かつ、それがアップシフト方向であっ
て、かつ、アクセルが全閉でない場合にパワーオンアッ
プシフトとして判断する。
【0043】パワーオンアップシフトの変速判断がなさ
れると、ステップS2へ進み、変速機構の出力軸回転速
度Noに変速前のギヤ比(被駆動歯車の歯数/駆動歯車
の歯数)を乗算して得られる基準タービン回転と、予め
記憶されたヒステリシス値HYSとの加算値よりも、変
速機構の入力軸回転速度(タービン回転速度)Ntが高
いか否かを判別する。
【0044】タービン回転速度Ntが基準タービン回転
とヒステリシス値HYSとの加算値以下である場合に
は、解放側摩擦係合要素の解放が進んでいないものと判
断し、ステップS3の準備フェーズ処理を実行させる。
【0045】前記ステップS3の準備フェーズ処理は、
解放側の処理と締結側の処理とに分かれ、解放側の準備
フェーズ処理は、図6〜図10のフローチャートに示さ
れる。
【0046】図6のフローチャートは、解放側摩擦係合
要素の準備フェーズ処理のメインルーチンを示すもので
あり、ステップS31では、変速の種類及び解放制御す
る摩擦係合要素の種類に応じて予め記憶されている所定
時間TIMER1だけ変速判断から経過したか否かを判
別する。
【0047】前記所定時間TIMER1内であれば、ス
テップS32へ進み、解放初期油圧の演算を行う。前記
解放初期油圧は、解放制御を行う初期圧であり、非変速
時の油圧から前記解放初期油圧まで、前記所定時間TI
MER1内で低下させるようにする。
【0048】前記ステップS32の解放初期油圧の演算
は、図7のフローチャートに詳細に示してあり、ステッ
プS321では、今回解放制御を行う摩擦係合要素の非
変速時油圧Po0(指示圧)と、前記摩擦係合要素の解
放初期油圧Po1(指示圧)とを算出する。
【0049】前記非変速時油圧Po0は、 Po0=K1×(Tt×Tr-o×余裕代(0))+Prtn-o として算出される。
【0050】ここで、K1は、解放側の摩擦係合要素の
伝達トルク容量(必要伝達トルク容量)を油圧に変換す
るための係数であり、変速の種類及び解放制御する摩擦
係合要素の種類に応じて予め記憶されている。また、T
tは、変速機構の入力軸トルクの推定値であり、例えば
吸入空気量・エンジン回転速度などから推定されるエン
ジンの出力トルクと、トルクコンバータのトルク比とか
ら推定される。Tr-oは、前記入力軸トルクTtに対し
て、解放側摩擦係合要素が滑りを生じる臨界伝達トルク
容量を求めるための解放臨界トルク比である。余裕代
(0)は、前記臨界伝達トルク容量に対して余裕分のトル
ク容量を付加するための補正値であり、例えば3.0程度
の値として予め記憶されている。Prtn-oは、解放側のス
タンバイ圧(解放側リターンスプリング圧)であり、摩
擦係合要素毎に予め記憶される。
【0051】一方、前記解放初期油圧Po1は、 Po1=K1×(Tt×Tr-o×余裕代(1))+Prtn-o として算出される。
【0052】即ち、非変速時油圧Po0の演算式に対し
て、余裕代の部分のみが異なり、解放初期油圧Po1の
演算式においては、余裕代(1)を1.2程度の比較的低い値
トする。
【0053】尚、前記余裕代(1)(=1.2程度)は、入力
軸トルクの推定誤差が予想される範囲内で発生しても、
解放側摩擦係合要素が締結状態を保持できる値として設
定される。
【0054】非変速時には、前記非変速時油圧Po0に
制御されるが、変速要求に伴って解放するときに、前記
所定時間TIMER1内で、前記非変速時油圧Po0か
ら解放初期油圧Po1まで低下させるものであり、ステ
ップS322では、前記所定時間TIMER1内での油
圧減少勾配Rmp−Po1を、 Rmp−Po1=(Po0−Po1)/TIMER1 として算出する。
【0055】そして、前記非変速時油圧Po0から単位
時間毎に(Rmp−Po1)だけ油圧を減少させ、所定時間
TIMER1が経過した時点で、解放初期油圧Po1ま
で低下するようにする。
【0056】上記のようにして所定時間TIMER1内
で解放初期油圧Po1まで低下させた後、ステップS3
3で、基準タービン回転(No×ギヤ比)とヒステリシ
ス値HYSとの加算値よりもタービン回転速度Ntが高
いと判断されるようになるまでの間においては、ステッ
プS34の分担比ランプ制御を実行する。
【0057】前記ステップS34の分担比ランプ制御の
詳細は、図8のフローチャートに示してあり、ステップ
S341では、前記解放初期油圧Po1を算出し、ま
た、解放油圧Po2を算出する。
【0058】前記解放油圧Po2(指示圧)は、 Po2=K1×(Tt×Tr-o×余裕代(2))+Prtn-o として算出されるものであり、前記余裕代(2)として1.0
よりも小さい例えば0.8程度の値を用いる(余裕代(0)>
余裕代(1)>0>余裕代(2))。
【0059】尚、前記余裕代(2)(=0.8程度)は、入力
軸トルクの推定誤差が予想される範囲内で発生しても、
解放側摩擦係合要素を確実に解放状態に移行させること
ができる値として設定される。従って、解放初期油圧P
o1から解放油圧Po2に向けての油圧低下は、解放側
の摩擦係合要素を確実に解放状態に移行させるべく行わ
れるものである(図27参照)。
【0060】ステップS342では、変速の種類及び解
放制御する摩擦係合要素の種類に応じて予め記憶されて
いる所定時間TIMER2内で、前記解放初期油圧Po
1から解放油圧Po2まで低下させるための油圧ランプ
勾配(単位時間当たりの油圧減少幅)を、 Rmp−Po2=(Po1−Po2)/TIMER2 として算出する。
【0061】そして、前記所定時間TIMER1経過し
た時点から所定時間TIMER2内で、かつ、タービン
回転速度Ntが基準タービン回転(No×ギヤ比)とヒ
ステリシス値HYSとの加算値以下であると判断される
状態では、単位時間毎に(Rmp−Po2)だけ油圧を減少
させる。
【0062】尚、前記ランプ勾配Rmp−Po2は、余裕代
の変化幅と所定時間TIMER2の設定により、前記勾
配Rmp−Po1よりも小さくなるようにして、余裕代が1.0
となる前後の所定範囲内で、解放側摩擦係合要素の伝達
トルク容量の変化が、それまでよりも遅くなるようにし
てある。
【0063】前記勾配Rmp−Po2により係合油圧を徐々
に減少させると、余裕代が1.0付近になった時点で、基
準タービン回転(No×ギヤ比)とヒステリシス値HY
Sとの加算値よりもタービン回転速度Ntが高いエンジ
ンの空吹け状態が検出されることで、解放側の伝達トル
ク容量が臨界付近にまで低下したことを間接的に知るこ
とができる。
【0064】上記のように、余裕代が1.0付近になった
時点で、基準タービン回転(No×ギヤ比)とヒステリ
シス値HYSとの加算値よりもタービン回転速度Ntが
高くなることが理想であるが、入力軸トルクTtの推定
誤差があると、余裕代が1.0よりも大きい状態又は1.0よ
りも小さくなってからエンジンの空吹けが生じることに
なり、前記入力軸トルクTtの推定誤差を見込んで、前
記所定時間TIMER2内での余裕代の変化範囲を、1.
0を中心に広く確保する必要が生じる。
【0065】ここで、例えば余裕代=1.1に相当する解
放側油圧でギヤ比が変化し始めたとすると、入力軸トル
クの推定において実際値よりも小さく推定したため、本
来、伝達トルク容量に余裕があることで締結状態を保持
できる油圧であるのに滑り始めたものと判断され、逆
に、例えば余裕代=0.9に相当する解放側油圧でギヤ比
が変化し始めたとすると、入力軸トルクの推定において
実際値よりも大きく推定したため、本来の締結状態を保
持できない油圧(伝達トルク容量)まで既に低下してい
るのに、滑り始めが遅れたものと判断される。
【0066】そこで、基準タービン回転(No×ギヤ
比)とヒステリシス値HYSとの加算値よりもタービン
回転速度Ntが初めて高くなった時点での余裕代に基づ
いて、入力軸トルク推定値を補正するための補正係数を
求めて、該補正係数による補正を学習するようにしてあ
る。
【0067】即ち、図6のフローチャートのステップS
33で、基準タービン回転(No×ギヤ比)とヒステリ
シス値HYSとの加算値よりもタービン回転速度Ntが
高いと判断されると、ステップS35へ進み、入力軸ト
ルクの学習補正制御を行う。
【0068】前記入力軸トルクの学習補正制御の様子
は、図9のフローチャートに示してあり、ステップS3
51では、基準タービン回転(No×ギヤ比)とヒステ
リシス値HYSとの加算値よりもタービン回転速度Nt
が初めて高くなった時点での余裕代を求める。具体的に
は、基準タービン回転(No×ギヤ比)とヒステリシス
値HYSとの加算値よりもタービン回転速度Ntが初め
て高くなった時点の解放側摩擦係合要素の係合油圧とそ
のときの入力軸トルクとから余裕代Trを逆算する。
【0069】ステップS352では、図29に示すよう
に、1.0とエンジンの空吹け発生時の余裕代Trとの偏
差(1−Tr)に応じて入力軸トルクの補正係数Kttを
記憶したテーブルを予め記憶しており、前記ステップS
351で求められた余裕代Trに基づいて前記テーブル
を参照し、補正係数Kttを求める。
【0070】前記補正係数Kttは、前記余裕代Trが1.
0であるときに1.0に、余裕代Trが1.0よりも小さい時
には1.0よりも小さい値に、余裕代Trが1.0よりも大き
い時には1.0よりも大きい値に設定され、前記余裕代T
rが1.0のときにエンジンの空吹けが発生するように、
入力軸トルクの推定値を補正する。
【0071】尚、前記補正係数Kttが設定されると、該
補正係数Kttによる補正要求を含んで入力軸トルクを推
定するように学習される構成としてある。図6のフロー
チャートのステップS36では分担比ランプ学習を行
う。
【0072】前記分担比ランプ学習は、図10のフロー
チャートに詳しく示してある。ステップS361では、
トルク推定学習が終了しているか否かを判別する。具体
的には、エンジンの空吹け発生時の余裕代Trに基づき
設定される補正係数Kttが1.0を含む狭い範囲内(例え
ば0.95≦Ktt≦1.05)に収束したときに、トルク推定学
習の終了を判定する。
【0073】トルク推定学習の終了が判定されると、ス
テップS362へ進み、前記解放初期油圧Po1及び解
放油圧Po2の演算に用いられる余裕代(1),(2)を、初
期値から変更する処理を行う。
【0074】前記変更は、余裕代(1)についてはより小
さくする変更であり、余裕代(2)についてはより大きく
する補正であり、余裕代(1)から余裕代(2)までの変化幅
を狭める補正である(図28参照)。例えば、余裕代
(1)の初期値を1.2、余裕代(2)の初期値を0.8とする場合
には、余裕代(1)を1.1に変更し、余裕代(2)を0.8に変更
する。
【0075】上記のように余裕代(1),(2)を変更する
と、変速判断直後の所定時間TIMER1における余裕
代の変化幅が大きくなり解放油圧の低下勾配は大きくな
る一方、その後の所定時間TIMER2における余裕代
の変化幅が小さくなり解放油圧の低下勾配は緩くなる。
【0076】ここで、トルク推定学習が収束していて、
入力軸トルクの推定精度が高くなっているので、解放油
圧の低下勾配を緩くする所定時間TIMER2での余裕
代の変化幅が小さくなっても、前記所定時間TIMER
2内でエンジンの空吹け状態に確実に移行させることが
できる。
【0077】また、エンジンの空吹け状態に移行させる
時の解放油圧の低下勾配をより緩くすれば、臨界状態に
対応する油圧を精度良く判定でき、その後のトルクフェ
ーズにおける油圧の制御性が向上し、以って、トルクフ
ェーズ初期における回転変化を緩やかにできる。
【0078】一方、締結側の準備フェーズ処理は、図1
1のフローチャートに示される。図11のフローチャー
トは、締結側の準備フェーズ処理を示すものであり、ス
テップS41で、基準タービン回転(No×ギヤ比)と
ヒステリシス値HYSとの加算値よりもタービン回転速
度Ntが高いか否かを判定する。
【0079】そして、タービン回転速度Ntが基準ター
ビン回転(No×ギヤ比)とヒステリシス値HYSとの
加算値以下であると判定されるとき、換言すれば、エン
ジンの空吹けが発生するようになるまでの間、ステップ
S42へ進む。
【0080】ステップS42では、締結側摩擦係合要素
の基準プリチャージ圧を、摩擦係合要素の種類に応じて
設定する。次のステップS43では、前記基準プリチャ
ージ圧を、油温に応じたゲインの過渡時油圧補償フィル
タで処理し、最終的な締結側の摩擦係合要素の油圧を決
定する。
【0081】前記過渡時油圧補償フィルタは、実油圧を
目標油圧である基準プリチャージ圧へ変化させるときの
過渡応答性を高めるためのフィルタであり、目標油圧の
ステップ変化に対して指示油圧をより大きくステップ変
化させ、その後、指示油圧を2次振動させて本来の目標
に収束させるように設定されており、更に、油温によっ
て油圧変化の過渡応答性が異なることに対応してフィル
タゲインを油温に応じて変更するようにしてある。
【0082】これにより、締結側摩擦係合要素の油圧
は、パワーオンアップシフトが判断されると、応答良く
基準プリチャージ圧まで増大変化した後、エンジンの空
吹けが検出されるまで基準プリチャージ圧に保持され
る。
【0083】ここで、前記図5のフローチャートに戻っ
て説明を続けると、ステップS2で基準タービン回転
(No×ギヤ比)とヒステリシス値HYSとの加算値よ
りもタービン回転速度Ntが高くなったことが判定され
ると、ステップS4へ進み、ギヤ比がF/B開始ギヤ比
を超えてアップシフト方向に変化したか否かを判別す
る。そして、エンジンの空吹けが判定されてから、F/
B開始ギヤ比を超えてアップシフト方向に変化するまで
は、ステップS5のトルクフェーズ処理を行わせる。
【0084】後述するように、F/B開始ギヤ比を超え
てギヤ比が変化すると、タービン回転のフィードバック
制御を行うよう構成されている。尚、F/Bはフィード
バックの略称である。
【0085】図12のフローチャートは、解放側摩擦係
合要素のトルクフェーズ処理の様子を示すものであり、
ステップS51では、タービン回転速度Ntと基準ター
ビン回転(No×ギヤ比)との偏差の時間微分値が負で
あるか否かを判別する。
【0086】そして、d/dt(Nt−No×ギヤ比)
≧0である間、即ち、タービン回転速度Ntと基準ター
ビン回転(No×ギヤ比)との偏差が増大変化している
間は、ステップS52へ進み、トルク分担比保持制御を
行う。
【0087】前記トルク分担比保持制御は、図13に詳
しく示してある。図13のフローチャートにおいて、ス
テップS521では、基準タービン回転(No×ギヤ
比)とヒステリシス値HYSとの加算値よりもタービン
回転速度Ntが初めて高くなった時点から所定時間TI
M1前の時点における余裕代Trbeforeを求める。
【0088】尚、前記所定時間TIM1は、変速及び摩
擦係合要素の種類に応じて設定される。次のステップS
522では、前記余裕代Trbeforeに基づいて、d/d
t(Nt−No×ギヤ比)≧0である間の解放側の油圧
Po3を演算する。
【0089】Po3=K1×(Tt×Tr-o×余裕代T
rbefore)+Prtn-o 一方、図12のフローチャートのステップS51でd/
dt(Nt−No×ギヤ比)<0であると判別される
と、ステップS53へ進み、解放トルク補正制御を行
う。
【0090】前記解放トルク補正制御は、図14に詳し
く示してある。ステップS531では、d/dt(Nt
−No×ギヤ比)の大きさに応じて、解放補正トルクTh
osei-oを図30に示すようなテーブルを参照して算出す
る。
【0091】前記解放補正トルクThosei-oは、d/dt
(Nt−No×ギヤ比)が0以上であるときに0で、d
/dt(Nt−No×ギヤ比)が負であるときに、その
絶対値が大きくなるほど絶対値の大きな負の値に設定さ
れる構成となっている。
【0092】次のステップS532では、前記解放補正
トルクThosei-oを用いて入力軸トルクTtを補正して解
放油圧Po4を算出する。 Po4=K1×[(Tt+Thosei-o)×Tr-o×余裕代T
rbefore]+Prtn-o 上記解放油圧Po4の演算によると、解放補正トルクTho
sei-oによる入力軸トルクの減少補正を繰り返すこと
で、エンジン空吹けの収束に応じて解放油圧が徐々に減
少されることになる。
【0093】そして、ギヤ比がF/B開始ギヤ比を超え
てアップシフト方向に変化した時点で、そのときの解放
油圧から油圧=0にまでステップ変化させる。一方、締
結側のトルクフェーズ処理は、図15のフローチャート
に示すようにして行われる。
【0094】ステップS61では、基準タービン回転
(No×ギヤ比)とヒステリシス値HYSとの加算値よ
りもタービン回転速度Ntが高いか否かを判別し、ター
ビン回転速度Ntが高い場合にステップS62へ進む。
【0095】ステップS62では、基準タービン回転
(No×ギヤ比)とヒステリシス値HYSとの加算値よ
りもタービン回転速度Ntが初めて高くなってから所定
時間TIMER3が経過したか否かを判別する。尚、前
記所定時間TIMER3は、変速及び摩擦係合要素の種
類に応じて設定される。
【0096】そして、前記所定時間TIMER3内であ
ると判別されると、ステップS63へ進み、締結側の準
備油圧制御を行う。前記準備油圧制御の様子は、図16
のフローチャートに示してある。
【0097】ステップS631では、締結側摩擦係合要
素がエンジントルクを伝達しない状態(締結トルク分担
比=0)から、締結臨界トルク比Tr-cの0.8倍程度の油
圧にまで所定時間TIMER3で上昇させる設定を行
い、ステップS632では、締結側の指示油圧Pc1
を、 Pc1=K2×Tt×Tr-c×(0.8×Rmp-Tr1)
+Prtn-c として算出する。
【0098】ここで、K2は、締結側の摩擦係合要素の
伝達トルク容量(必要伝達トルク容量)を油圧に変換す
るための係数であり、変速の種類及び解放制御する摩擦
係合要素の種類に応じて予め記憶されている。Tr-c
は、前記入力軸トルクTtに対して、締結側の摩擦係合
要素が締結し始める臨界伝達トルク容量を求めるための
締結臨界トルク比である。Prtn-cは、締結側のスタンバ
イ圧(締結側リターンスプリング圧)であり、摩擦係合
要素毎に予め記憶される。
【0099】更に、Rmp-Tr1は、図31に示すよ
うに、所定時間TIMER3内で0から1にまで一定速
度で増大する係数であり、締結側のスタンバイ圧(基準
プリチャージ圧)から締結臨界トルクの0.8倍(余裕代
=0.8)にまで締結側の油圧を増大変化させる。尚、前
記所定時間TIMER3は、変速及び摩擦係合要素の種
類に応じて設定される。
【0100】図15のフローチャートのステップS62
で、基準タービン回転(No×ギヤ比)とヒステリシス
値HYSとの加算値よりもタービン回転速度Ntが初め
て高くなってから所定時間TIMER3が経過したと判
別されると、ステップS64へ進む。
【0101】ステップS64では、ギヤ比がF/B開始
ギヤ比よりも小さくなったか否かを判別し、ギヤ比がF
/B開始ギヤ比よりも大きい場合には、ステップS65
へ進んで、分担比ランプ制御を行う。
【0102】前記分担比ランプ制御は、図17のフロー
チャートに示される。まず、ステップS651では、所
定時間TIMER4で初期余裕代(1)=0.8から余裕代
(2)=1.2まで一定速度で変化させ(図32参照)、該余
裕代の上昇に伴って締結側の指示圧を増大させる設定を
行う。尚、前記所定時間TIMER4は、変速及び摩擦
係合要素の種類に応じて設定される。
【0103】ステップS652では、前記余裕代の増大
変化に対応する初期圧Pc2及び最終圧Pc3を算出
し、該指示圧Pc2,Pc3と前記所定時間TIMER
4とに基づいて指示圧のランプ勾配Rmp-Pc3を算
出する。
【0104】 Pc2=K2×Tt×Tr-c×余裕代(1)+Prtn-c Pc3=K2×Tt×Tr-c×余裕代(2)+Prtn-c Rmp-Pc3=(Pc3−Pc2)/TIMER4 ステップS653では、ランプ勾配Rmp-Pc3に従
って締結側指示油圧Pc4を徐々に増大させる制御を行
う。
【0105】また、分担比ランプ制御の次は、ステップ
S66の空吹け補正制御を行う。上記空吹け補正制御を
図18のフローチャートに従って説明すると、ステップ
S661では、d/dt(Nt−No×ギヤ比)に応じ
て補正トルクThosei-cを求める。
【0106】前記補正トルクThosei-cは、図33に示
すように、d/dt(Nt−No×ギヤ比)がマイナス
であるときは0であるが、プラスであるときにはd/d
t(Nt−No×ギヤ比)が大きくなるほど大きなプラ
スの値に設定される。
【0107】ステップS662では、一定の速度で増大
制御される前記指示油圧Pc4を、前記補正トルクTho
sei-cによって補正して指示圧Pc5を算出する。 Pc5=Pc4+K2×Tr-c×Thosei-c 更に、ステップS67では、前記ステップS43と同様
な過渡時油圧補償を施す。
【0108】即ち、図19のフローチャートに示すよう
に、ステップS671で油温に応じてゲインを設定し、
次のステップS672では、前記指示圧Pc5を、前記
油温に応じたゲインの過渡時油圧補償フィルタで処理
し、最終的な締結側の摩擦係合要素の油圧Pc6を決定
する。
【0109】図5のフローチャートのステップS4で、
ギヤ比がF/B開始ギヤ比よりも小さくなったと判別さ
れると、ステップS6へ進み、ギヤ比がF/B終了ギヤ
比(<F/B開始ギヤ比)よりも小さくなったか否かを
判別する。
【0110】ギヤ比がF/B開始ギヤ比よりも小さくな
ったが、F/B終了ギヤ比よりも大きいときには、ステ
ップS7のイナーシャフェーズ処理を行わせる。解放側
のイナーシャフェーズ処理は、図20のフローチャート
に示してあり、ステップS71でトルクフェーズ終了時
の油圧(油圧=0)を保持させる。
【0111】また、締結側のイナーシャフェーズ処理
は、図21のフローチャートに示される。図21のフロ
ーチャートにおいて、ステップS81では、図22のフ
ローチャートに示される基本制御を行う。
【0112】前記基本制御においては、まず、ステップ
S811で、イナーシャトルクTinrを算出する。前記
イナーシャトルクTinr(変速トルク)は、図34に示
すように、目標変速時間に対応するテーブル値として予
め記憶されており、目標変速時間が短いときほど大きな
値に設定される。
【0113】ステップS812では、前記イナーシャト
ルクTinrに基づいて締結側の指示圧Pc7を算出す
る。 Pc7=K2×Tt×Tr-c+Prtn-c+K2×Tr-c×
(Tinr×HOSEI-VSP) 上記指示圧Pc7は、入力トルクに対応する臨界圧に、
イナーシャトルクTinrに対応する油圧を加算した値と
して算出されることになる。また、前記イナーシャトル
クTinrを車速VSPに応じた補正係数HOSEI-VSPによ
り、車速が高い時ほどイナーシャトルクTinrをより増
大補正するようにしてある(図35参照)。
【0114】上記基本制御に加え、ステップS82で
は、回転フィードバック(F/B)制御を実行する。前
記回転F/B制御を図23のフローチャートに従って説
明する。
【0115】ステップS821では、目標のタービン回
転を算出する。前記目標のタービン回転は、目標変速時
間で変速前のギヤ比から変速後のギヤ比に一定速度で変
化させるとした場合の時々刻々の目標ギヤ比と(図36
参照)、出力軸回転Noとの乗算値として求められる。
【0116】ステップS822では、前記目標のタービ
ン回転に実際のタービン回転を一致させるようにフィー
ドバック補正分PIDを比例・積分・微分制御し、次の
ステップS823では、前記フィードバック補正分PI
Dで基本制御における指示圧Pc7を補正して、締結側
指示圧Pc8を設定する。
【0117】ギヤ比がF/B終了ギヤ比よりも小さくな
ったことが、図5のフローチャートのステップS6で判
別されると、ステップS6からステップS8へ進み、ギ
ヤ比がF/B終了ギヤ比よりも初めて小さくなった時点
から所定時間TIMER7だけ経過したか否かを判別す
る。
【0118】そして、所定時間TIMER7内であれ
ば、ステップS9へ進んで、終了フェーズ処理を行う。
解放側摩擦係合要素についての終了フェーズ処理は、図
24のフローチャートに示してあり、ステップS91で
イナーシャフェーズ終了時の油圧を保持する設定を行
う。即ち、解放側摩擦係合要素の油圧は、ギヤ比がF/
B開始ギヤ比よりも小さくなった時点から0に保持され
ることになる。
【0119】一方、締結側摩擦係合要素の終了フェーズ
処理は、図25のフローチャートに示され、ステップS
101では、ギヤ比がF/B終了ギヤ比よりも初めて小
さくなった時点から所定時間TIMER7内であるか否
かを判別し、所定時間TIMER7内であればステップ
S102へ進んで、終了フェーズ処理を実行する。
【0120】前記ステップS101の終了フェーズ処理
の詳細は、図26のフローチャートに示してあり、ステ
ップS111では、締結臨界トルクに相当する油圧から
締結臨界トルクの1.2倍に相当する油圧まで、前記所定
時間TIMER7内で上昇させる設定を行う。尚、前記
所定時間TIMER7は、変速及び摩擦係合要素の種類
に応じて設定される。
【0121】ステップS112では、締結側指示圧Pc
9を、 Pc9=K2×Tt×Tr-c×(1+0.2×Rmp-Tr2)+P
rtn-c+K2×Tr-c×(Tinr×HOSEI-VSP) ここで、Rmp-Tr2は、図37に示すように、所定時間T
IMER7内で0から1.0まで一定速度で変化する係数
であり、係数Rmp-Tr2が0のとき、Pc9=Pc8とな
り、イナーシャフェーズでの油圧を初期値として、Pc
9=K2×Tt×Tr-c×1.2+Prtn-c+K2×Tr-c×
(Tinr×HOSEI-VSP)まで、所定時間TIMER7内で
油圧を増大させる。
【0122】そして、前記所定時間TIMER7が経過
した時点で、締結側の指示圧を、前記Pc9=K2×T
t×Tr-c×1.2+Prtn-c+K2×Tr-c×(Tinr×HOSE
I-VSP)から、最大圧までステップ変化させる。
【0123】尚、上記実施の形態は、アップシフトに関
するものであるが、入力軸トルクの推定誤差の学習に基
づく解放側指示圧の低下速度の変更は、ダウンシフトに
おける摩擦係合要素の解放制御にも適用することができ
る。
【0124】また、変速機構を、図1に示したものに限
定するものでないことは明らかである。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態における自動変速機の変速機構を示
す図。
【図2】前記変速機構における摩擦係合要素の締結状態
の組み合わせと変速段との相関を示す図。
【図3】前記自動変速機の制御系を示すシステム図。
【図4】実施の形態における摩擦係合要素の掛け換えに
よる変速の様子を示すタイムチャート。
【図5】実施の形態における摩擦係合要素の掛け換え変
速制御の様子を示すフローチャート。
【図6】解放側摩擦係合要素の準備フェーズ処理を示す
フローチャート。
【図7】解放側摩擦係合要素の準備フェーズ処理におけ
る解放初期油圧演算を示すフローチャート。
【図8】解放側摩擦係合要素の準備フェーズ処理におけ
る分担比ランプ制御を示すフローチャート。
【図9】解放側摩擦係合要素の準備フェーズ処理におけ
る入力軸トルク学習を示すフローチャート。
【図10】解放側摩擦係合要素の準備フェーズ処理にお
ける分担比ランプ学習を示すフローチャート。
【図11】締結側摩擦係合要素の準備フェーズ処理を示
すフローチャート。
【図12】解放側摩擦係合要素のトルクフェーズ処理を
示すフローチャート。
【図13】解放側摩擦係合要素のトルクフェーズ処理に
おけるトルク分担比保持制御を示すフローチャート。
【図14】解放側摩擦係合要素のトルクフェーズ処理に
おける解放トルク補正制御を示すフローチャート。
【図15】締結側摩擦係合要素のトルクフェーズ処理を
示すフローチャート。
【図16】締結側摩擦係合要素のトルクフェーズ処理に
おける準備油圧制御を示すフローチャート。
【図17】締結側摩擦係合要素のトルクフェーズ処理に
おける分担比ランプ制御を示すフローチャート。
【図18】締結側摩擦係合要素のトルクフェーズ処理に
おける空吹け補正制御を示すフローチャート。
【図19】締結側摩擦係合要素のトルクフェーズ処理に
おける過渡時油圧補正を示すフローチャート。
【図20】解放側摩擦係合要素のイナーシャフェーズ処
理を示すフローチャート。
【図21】締結側摩擦係合要素のイナーシャフェーズ処
理を示すフローチャート。
【図22】締結側摩擦係合要素のイナーシャフェーズ処
理における基本制御を示すフローチャート。
【図23】締結側摩擦係合要素のイナーシャフェーズ処
理における回転F/B制御を示すフローチャート。
【図24】解放側摩擦係合要素の終了フェーズ処理を示
すフローチャート。
【図25】締結側摩擦係合要素の終了フェーズ処理を示
すフローチャート。
【図26】締結側摩擦係合要素の終了フェーズ処理の詳
細を示すフローチャート。
【図27】解放側摩擦係合要素の準備フェーズ処理にお
ける余裕代の変化特性を示す線図。
【図28】解放側摩擦係合要素の準備フェーズ処理にお
ける余裕代の変化特性を推定誤差の学習前後で比較して
示す線図。
【図29】空吹け発生時の余裕代と入力軸トルクの補正
係数との相関を示す線図。
【図30】解放側摩擦係合要素における空吹け補正トル
クの特性を示す線図。
【図31】締結側摩擦係合要素における準備油圧制御に
おける油圧のランプ特性を示す線図。
【図32】締結側摩擦係合要素における分担比ランプ制
御における余裕代の変化特性を示す線図。
【図33】締結側摩擦係合要素における空吹け補正トル
クの特性を示す線図。
【図34】変速時間とイナーシャトルクとの相関を示す
線図。
【図35】イナーシャトルクの車速による補正係数を示
す線図。
【図36】目標変速時間と目標ギヤ比との相関を示す線
図。
【図37】締結側の終了フェーズにおける油圧のランプ
特性を示す線図。
【符号の説明】
1…トルクコンバータ 2…変速機構 11…ソレノイドバルブユニット 12…A/Tコントローラ 13…A/T油温センサ 14…アクセル開度センサ 15…車速センサ 16…タービン回転センサ 17…エンジン回転センサ 18…エアフローメータ 20…エンジン G1,G2…遊星歯車 H/C…ハイクラッチ R/C…リバースクラッチ L/C…ロークラッチ 2&4/B…2速/4速バンドブレーキ L&R/B…ロー&リバースブレーキ

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】異なる摩擦係合要素の締結制御と解放制御
    とを同時に行う摩擦係合要素の掛け替えによって変速を
    行うよう構成された自動変速機の変速制御装置におい
    て、 変速機構の入力軸トルクの推定値に基づいて設定される
    解放側の指示圧を臨界相当値に向けて徐々に減少させる
    よう構成すると共に、前記入力軸トルクの推定誤差を学
    習するよう構成し、前記学習の進行に応じて前記臨界相
    当値に向けての指示圧の減少速度をより遅くするよう構
    成したことを特徴とする自動変速機の変速制御装置。
  2. 【請求項2】前記入力軸トルクの推定誤差の学習が、前
    記臨界相当値と実際の臨界状態における指示圧との差に
    基づいて行われることを特徴とする請求項1記載の自動
    変速機の変速制御装置。
  3. 【請求項3】前記臨界相当値と実際の臨界状態における
    指示圧との差に基づく入力軸トルクの補正を所定範囲内
    に制限するよう構成したことを特徴とする請求項2記載
    の自動変速機の変速制御装置。
  4. 【請求項4】変速機構の出力軸回転速度と変速前のギヤ
    比とに基づいて演算される基準の入力軸回転速度を設定
    し、該基準の入力軸回転速度と実際の入力軸回転速度と
    を比較して、前記実際の臨界状態を判定することを特徴
    とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の自動変速機
    の変速制御装置。
  5. 【請求項5】前記基準の入力軸回転速度よりも実際の入
    力軸回転速度が所定値以上大きくなったときに、前記実
    際の臨界状態を判定することを特徴とする請求項4記載
    の自動変速機の変速制御装置。
  6. 【請求項6】前記指示圧が、入力軸トルクの推定値、臨
    界トルク比、余裕代に基づき演算される構成であって、
    前記余裕代の所定時間内での変化範囲を設定することで
    前記指示圧の変化速度を設定する構成であることを特徴
    とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の自動変速機
    の変速制御装置。
  7. 【請求項7】前記余裕代を所定時間内でプラス側からマ
    イナスの所定値にまで変化させる設定であることを特徴
    とする請求項6記載の自動変速機の変速制御装置。
  8. 【請求項8】前記所定時間を、変速の種類と摩擦係合要
    素の種類との少なくとも一方に基づいて可変に設定する
    ことを特徴とする請求項6又は7記載の自動変速機の変
    速制御装置。
  9. 【請求項9】前記解放側の指示圧を、変速判断から解放
    初期圧まで変化させた後、指示圧の減少速度を遅くし
    て、前記臨界相当値に向けて指示圧を減少させる構成で
    あって、前記入力軸トルクの推定誤差の学習進行に応じ
    て前記解放初期圧から臨界相当値に向けての指示圧の減
    少速度をより遅くすることを特徴とする請求項1〜8の
    いずれか1つに記載の自動変速機の変速制御装置。
  10. 【請求項10】前記入力軸トルクの推定誤差が所定範囲
    内になったときに、前記臨界相当値に向けての指示圧の
    減少速度をより遅くするよう構成したことを特徴とする
    請求項1〜9のいずれか1つに記載の自動変速機の変速
    制御装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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