JP2000337497A - 自動変速機の変速制御装置 - Google Patents

自動変速機の変速制御装置

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JP2000337497A
JP2000337497A JP15316999A JP15316999A JP2000337497A JP 2000337497 A JP2000337497 A JP 2000337497A JP 15316999 A JP15316999 A JP 15316999A JP 15316999 A JP15316999 A JP 15316999A JP 2000337497 A JP2000337497 A JP 2000337497A
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pressure
shift
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JP15316999A
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Hiroyuki Yuasa
弘之 湯浅
Yoshikazu Tanaka
芳和 田中
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Hitachi Unisia Automotive Ltd
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Unisia Jecs Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】異なる摩擦係合要素の締結制御と解放制御とを
同時に行う摩擦係合要素の掛け替えによって変速を行う
よう構成された自動変速機の変速制御装置において、解
放側摩擦係合要素を臨界点に精度良く制御できるように
する。 【解決手段】解放側の摩擦係合要素の係合油圧を、入力
軸トルクと臨界トルク比とから推定される臨界油圧と、
余裕代とから設定する構成とし、かつ、前記余裕代を変
速判断からの時間経過と共に減少させる。そして、ギヤ
比が変化し始めた時点として臨界点を判定し、該臨界点
が判定された時の余裕代から、指示圧を補正するための
補正値を設定し、解放側摩擦係合要素の指示圧を前記補
正値で補正する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は自動変速機の変速制
御装置に関し、詳しくは、異なる摩擦係合要素の締結制
御と解放制御とを同時に行う摩擦係合要素の掛け替えに
よって変速を行うよう構成された装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、高速段用摩擦係合要素を解放
する一方、低速段用摩擦係合要素を締結させる摩擦係合
要素の掛け替えによってダウンシフトを行わせる構成の
自動変速機が知られている。
【0003】特開平6−341526号公報に開示され
るものでは、掛け替えダウンシフト時に、締結側の油圧
を所定の低圧に待機させ、変速機の入力回転数が低速段
の同期点に達すると、前記所定の低圧から上昇させる一
方、前記同期から所定時間が経過した時点で解放側の油
圧をドレインさせる構成となっており、前記所定時間
を、変速機の入力トルク・油温に応じて変化させる構成
となっている。
【0004】また、特開平9−133205号公報に開
示されるものでは、掛け替えダウンシフトにおいて、変
速初期の第1時間内において、高速側の摩擦係合要素の
伝達トルク容量を出力軸トルクが負にならない値まで低
下させる一方、その後の第2時間内において前記高速側
の摩擦係合要素の伝達トルク容量を、入力軸トルクと同
等にまで上昇させると共に、低速側の摩擦係合要素の伝
達トルク容量を適切に制御し、前記第2時間経過後に、
低速側の摩擦係合要素の伝達トルク容量を入力軸トルク
以上に上昇させ、また、高速側の摩擦係合要素を解放さ
せる構成となっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、前記特開平
6−341526号公報及び特開平9−133205号
公報開示されるものでは、高速段用の摩擦係合要素の係
合油圧を低下させて臨界状態とし、イナーシャフェーズ
への移行を実現させているが、臨界状態を安定的に得て
変速を安定的に行わせるには、変速機構の入力軸トルク
に応じて係合油圧を制御することが望まれる。
【0006】しかし、変速機構の入力軸トルクを精度良
く推定することは困難であるため、入力軸トルクの推定
誤差により係合油圧が適正値からずれ、入力軸トルクの
変化に対応して安定的に臨界状態を保つことが困難にな
り、イナーシャフェーズ中に大きな回転変動を生じてし
まう可能性があるという問題があった。
【0007】本発明は上記問題点に鑑みなされたもので
あり、異なる摩擦係合要素の締結制御と解放制御とを同
時に行う摩擦係合要素の掛け替えによって変速を行うよ
う構成された自動変速機の変速制御装置において、摩擦
係合要素の解放制御を、臨界圧を基準として高精度に制
御できる自動変速機の変速制御装置を提供することを目
的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】そのため請求項1記載の
発明は、異なる摩擦係合要素の締結制御と解放制御とを
同時に行う摩擦係合要素の掛け替えによって変速を行う
よう構成された自動変速機の変速制御装置において、解
放制御する摩擦係合要素の指示圧を、予め臨界相当値で
あると推定される値に向けて徐々に減少させる一方、実
際の臨界点を判定し、実際の臨界点での指示圧と前記予
め推定した臨界相当値とに基づいて、前記指示圧を補正
するための補正値を設定するよう構成した。
【0009】かかる構成によると、解放制御する摩擦係
合要素が臨界状態となるときの指示圧(伝達トルク容量
の指示値)を予め推定し、締結状態の指示圧から前記臨
界になると推定される指示圧(臨界相当値)に向けて徐
々に指示圧を減少させる。この指示圧の減少制御によっ
て摩擦係合要素が臨界状態になるが、前記臨界相当値の
推定が正しかった場合には、実際の指示圧が前記臨界相
当値になったときに臨界状態になるから、臨界状態にな
ったときの指示圧と前記臨界相当値との差は、臨界相当
値の推定誤差である。そこで、実際の臨界点での指示圧
と前記臨界相当値とに基づいて指示圧を補正して、臨界
状態となる指示圧で摩擦係合要素の解放を制御できるよ
うにする。
【0010】請求項2記載の発明では、前記実際の臨界
点を、ギヤ比の変化に基づいて判定する構成とした。か
かる構成によると、解放側の摩擦係合要素が臨界状態と
なって滑りを生じるようになると、ギヤ比(変速機構の
入力軸回転速度と出力軸回転速度との比)が変化するの
で、ギヤ比が変化し始めた時点として実際の臨界点を判
定できる。
【0011】請求項3記載の発明では、前記臨界相当値
を、変速機構の入力軸トルクの推定値と臨界トルク比と
に基づいて推定する構成とした。かかる構成によると、
臨界状態となる摩擦係合要素の指示圧(伝達トルク容
量)は、そのときの入力軸トルクによって異なり、一般
に入力軸トルクの所定割合に比例する値となるから、例
えばエンジンの吸入空気量や回転速度などから推定され
る変速機構の入力軸トルクと臨界トルク比とから、臨界
点となる指示圧(伝達トルク容量)を推定する。
【0012】請求項4記載の発明では、前記臨界相当値
に付加する余裕代を徐々に減少させることによって、前
記臨界相当値に向けて指示圧を徐々に減少させる構成と
した。
【0013】かかる構成によると、前記変速機構の入力
軸トルクの推定値と臨界トルク比とに基づいて推定され
る臨界相当値により大きな余裕代を付加すれば、入力軸
トルクを伝達できるトルク容量よりも大きくなって締結
状態が保持される一方、前記余裕代を徐々に小さくすれ
ば前記臨界相当値に近づき、解放側の摩擦係合要素を締
結状態から臨界状態へと徐々に推移させることができ
る。
【0014】請求項5記載の発明では、前記実際の臨界
点が判定された時点の前記余裕代に基づいて前記補正値
を設定する構成とした。かかる構成によると、本来は余
裕代が徐々に減少して0となったとき(余裕代を乗算補
正項として付加する場合には、1.0になったとき)に摩
擦係合要素が臨界状態となることが理想であるが、臨界
相当値に誤差があると、余裕代が0(乗算補正項が1.
0)になる前、又は、余裕代がマイナス(乗算補正項が
1.0未満)になってから臨界状態になるので、この余裕
代のずれから補正値を設定する。
【0015】請求項6記載の発明では、前記補正値を、
前記入力軸トルクの推定値及び/又は臨界トルク比を補
正するための補正値とする構成とした。かかる構成によ
ると、臨界点における実際の指示圧と、予め推定した臨
界相当値との間の誤差は、前記臨界相当値を求めるのに
用いた入力軸トルク及び/又は臨界トルク比の誤差に因
るものであるから、これらを補正することで臨界点に対
応する指示圧が求められるようにする。
【0016】請求項7記載の発明では、前記補正値を所
定範囲内に制限するよう構成した。かかる構成による
と、臨界点の判定ミスなどによって、過大な補正幅の補
正値が設定されても、これを所定範囲内に制限して実際
の補正に用いるようにする。
【0017】請求項8記載の発明では、前記臨界相当値
に向けて指示圧を徐々に減少させる速度を、前記臨界相
当値付近でより緩く変化させる構成とした。かかる構成
によると、臨界相当値に向けて指示圧を徐々に減少させ
るときに、指示圧が臨界相当値に近づくと、それまでよ
りも指示圧の減少速度を遅くして、臨界点に対応する指
示圧を求める。
【0018】請求項9記載の発明では、前記補正値を求
めてから変速制御の終了時まで、前記解放側の摩擦係合
要素の指示圧を補正する構成とした。かかる構成による
と、臨界点が判定されたときの指示圧に基づいて補正値
を設定すると、臨界点から最終的に解放されるまでの間
において解放側摩擦係合要素の指示圧を補正する。
【0019】請求項10記載の発明では、前記補正値を
学習し、次回の変速における指示圧に反映させる構成と
した。かかる構成によると、臨界点が判定されたときの
指示圧に基づいて補正値を設定すると、この補正値を学
習し、次回の変速において解放制御の初期段階から補正
を施せるようにする。
【0020】
【発明の効果】請求項1記載の発明によると、臨界点に
相当するものと推定した指示圧の誤差が補正されるの
で、解放側摩擦係合要素の指示圧を、臨界状態を基準と
して高精度に制御することができ、以って、掛け替え変
速におけるトルクの引けや吹け上がりの発生を未然に防
止できるという効果がある。
【0021】請求項2記載の発明によると、解放側摩擦
係合要素の臨界状態を精度良く判定でき、指示圧を精度
良く補正できるという効果がある。請求項3記載の発明
によると、解放側摩擦係合要素の臨界状態に対応する指
示圧を、入力軸トルクの変化に応じて推定でき、更に、
実際の臨界点の判定に基づく補正を施すことで、入力軸
トルクに対応する臨界圧に精度良く制御できるという効
果がある。
【0022】請求項4記載の発明によると、臨界相当値
に付加する余裕代を減少変化させることで、臨界相当値
に向けての指示圧の減少変化を容易に制御できるという
効果がある。
【0023】請求項5記載の発明によると、臨界相当値
と実際の臨界点に対応する指示圧との間の誤差を容易に
求めることができ、以って、前記誤差を修正するため補
正値を容易に設定できるという効果がある。
【0024】請求項6記載の発明によると、入力軸トル
クの推定誤差や、摩擦係合要素の経時変化・ばらつきに
よる臨界トルク比の誤差を補正して、臨界点となる指示
圧を精度良く求めることができるようになるという効果
がある。
【0025】請求項7記載の発明によると、臨界点の判
定ミスなどによって不当な補正が施され、補正によって
却って制御精度を悪化させるようになることを未然に防
止できるという効果がある。
【0026】請求項8記載の発明によると、臨界点付近
まで指示圧を応答良く低下させつつ、臨界点に対応する
指示圧を精度良く判定することができるという効果があ
る。請求項9記載の発明によると、解放側摩擦係合要素
の指示圧を臨界状態にまで低下させた後、臨界状態とな
る指示圧を基準として締結側摩擦係合要素へのトルクの
掛け替えを精度良く行わせることができるという効果が
ある。
【0027】請求項10記載の発明によると、前回の変
速時に求めた補正値によって解放制御の当初から指示圧
を適正値に補正することができるという効果がある。
【0028】
【発明の実施の形態】以下に本発明の実施の形態を説明
する。図1は、実施の形態における自動変速機の変速機
構を示すものであり、エンジンの出力がトルクコンバー
タ1を介して変速機構2に伝達される構成となってい
る。
【0029】前記変速機構2は、2組の遊星歯車G1,
G2、3組の多板クラッチH/C,R/C,L/C、1
組のブレーキバンド2&4/B、1組の多板式ブレーキ
L&R/B、1組のワンウェイクラッチL/OWCで構
成される。
【0030】前記2組の遊星歯車G1,G2は、それぞ
れ、サンギヤS1,S2、リングギヤr1,r2及びキ
ャリアc1,c2よりなる単純遊星歯車である。前記遊
星歯車組G1のサンギヤS1は、リバースクラッチR/
Cにより入力軸INに結合可能に構成される一方、ブレ
ーキバンド2&4/Bによって固定可能に構成される。
【0031】前記遊星歯車組G2のサンギヤS2は、入
力軸INに直結される。前記遊星歯車組G1のキャリア
c1は、ハイクラッチH/Cにより入力軸Iに結合可能
に構成される一方、前記遊星歯車組G2のリングギヤr
2が、ロークラッチL/Cにより遊星歯車組G1のキャ
リアc1に結合可能に構成され、更に、ロー&リバース
ブレーキL&R/Bにより遊星歯車組G1のキャリアc
1を固定できるようになっている。
【0032】そして、出力軸OUTには、前記遊星歯車
組G1のリングギヤr1と、前記遊星歯車組G2のキャ
リアc2とが一体的に直結されている。上記構成の変速
機構2において、1速〜4速及び後退は、図2に示すよ
うに、各クラッチ・ブレーキの締結状態の組み合わせに
よって実現される。
【0033】尚、図2において、丸印が締結状態を示
し、記号が付されていない部分は開放状態とすることを
示すが、特に、1速におけるロー&リバースブレーキL
&R/Bの黒丸で示される締結状態は、1レンジでのみ
の締結を示すものとする。
【0034】前記図2に示す各クラッチ・ブレーキの締
結状態の組み合わせによると、例えば、4速から3速へ
のダウンシフト時には、ブレーキバンド2&4/Bの解
放を行う共にロークラッチL/Cの締結を行い、3速か
ら2速へのダウンシフト時には、ハイクラッチH/Cの
解放を行うと共にブレーキバンド2&4/Bの締結を行
うことになり、2速から3速へのアップシフト時には、
ブレーキバンド2&4/Bの解放を行うと共にハイクラ
ッチH/Cの締結を行い、3速から4速へのアップシフ
ト時には、ロークラッチL/Cの解放を行うと共にブレ
ーキバンド2&4/Bの締結を行うことになり、上記の
ように、クラッチ・ブレーキ(摩擦係合要素)の締結と
解放とを同時に制御して摩擦係合要素の掛け替えを行う
変速を掛け替え変速と称するものとする。
【0035】前記各クラッチ・ブレーキ(摩擦係合要
素)は、供給油圧によって動作するようになっており、
各クラッチ・ブレーキに対する供給油圧は、図3に示す
ソレノイドバルブユニット11に含まれる各種ソレノイ
ドバルブによって調整される。
【0036】前記ソレノイドバルブユニット11の各種
ソレノイドバルブを制御するA/Tコントローラ12に
は、A/T油温センサ13,アクセル開度センサ14,
車速センサ15,タービン回転センサ16,エンジン回
転センサ17,エアフローメータ18等からの検出信号
が入力され、これらの検出結果に基づいて、各摩擦係合
要素における係合油圧を制御する。
【0037】尚、図3において、符号20は、前記自動
変速機と組み合わされるエンジンを示す。ここで、前記
A/Tコントローラ12による掛け替え変速の様子を、
アクセルの踏み込みに伴うダウンシフト(以下、パワー
オンダウンという)の場合を例として、図4のタイムチ
ャートを参照しつつ、図5〜図25のフローチャートに
従って説明する。
【0038】図5のフローチャートは、締結側摩擦係合
要素と解放側摩擦係合要素とに共通のメイン制御ルーチ
ンを示す。ステップS1では、パワーオンダウンの変速
判断を行う。
【0039】A/Tコントローラ12には、車速VSP
とアクセル開度(スロットル開度)とに応じて変速段を
設定した変速マップが予め記憶されており、例えば、現
在(変速前)の変速段と前記変速マップから検索した変
速段とが異なり、かつ、それがダウンシフト方向であっ
て、アクセルが全閉でない状態を、パワーオンダウンの
変速として判断する。
【0040】パワーオンダウンの変速判断がなされる
と、ステップS2へ進み、変速機構の入力軸回転速度
(タービン回転速度)と出力軸回転速度(車速)との比
として算出されるそのときのギヤ比(ギヤ比=入力軸回
転速度/出力軸回転速度)が、変速前のギヤ比に基づい
て設定されるフィードバック(F/B)開始ギヤ比より
も高くなっているか否かを判別する。
【0041】前記のギヤ比がF/B開始ギヤ比よりも高
いか否かの判別は、解放側の摩擦係合要素の滑りによる
ギヤ比の変化し始めを判断するものであり、前記F/B
開始ギヤ比は、変速前のギヤ比よりも僅かに高いギヤ比
として設定される。
【0042】ギヤ比がF/B開始ギヤ比以下であるとき
には、ステップS3の準備フェーズ処理を実行させる。
前記ステップS3の準備フェーズ処理は、解放側の処理
と締結側の処理とに分かれ、解放側の準備フェーズ処理
は、図6〜図8のフローチャートに示される。
【0043】図6のフローチャートは、解放側(高速段
用)摩擦係合要素の準備フェーズ処理のメインルーチン
を示すものであり、ステップS31では、変速の種類及
び解放制御する摩擦係合要素の種類に応じて予め記憶さ
れている所定時間TIMER1だけ変速判断から経過し
たか否かを判別する。
【0044】前記所定時間TIMER1内であれば、ス
テップS32へ進み、解放初期油圧の演算を行う。前記
解放初期油圧は、非変速時の油圧から完全締結状態を保
持しつつ、臨界圧付近にまで油圧を低下させるときの目
標値である。尚、前記準備フェーズにおける解放側摩擦
係合要素の油圧制御全体が、本発明における変速初期油
圧の制御に相当する。
【0045】前記ステップS32の解放初期油圧の演算
は、図7のフローチャートに詳細に示してあり、ステッ
プS321では、今回解放制御を行う摩擦係合要素の非
変速時油圧Po0(指示圧)と、前記摩擦係合要素の解
放初期油圧Po1(指示圧)とを算出する。
【0046】前記非変速時油圧Po0は、 Po0=K1×(Tt×Tr-o×余裕代(0))+Prtn-o として算出される。
【0047】ここで、K1は、解放側の摩擦係合要素の
伝達トルク容量(必要伝達トルク容量)を油圧に変換す
るための係数であり、変速の種類及び解放制御する摩擦
係合要素の種類に応じて予め記憶されている。また、T
tは、変速機構の入力軸トルクの推定値であり、例えば
吸入空気量・エンジン回転速度などから推定されるエン
ジンの出力トルクと、トルクコンバータのトルク比とか
ら推定される。Tr-oは、前記入力軸トルクTtに対し
て、摩擦係合要素が滑りを生じる臨界伝達トルク容量を
求めるための臨界トルク比である。余裕代(0)は、前記
臨界伝達トルク容量に対して余裕分のトルク容量を付加
するための補正係数であり、例えば3.0程度の値として
予め記憶されている。Prtn-oは、解放側のスタンバイ圧
(解放側リターンスプリング圧)であり、摩擦係合要素
毎に予め記憶される。
【0048】一方、前記解放初期油圧Po1は、 Po1=K1×(Tt×Tr-o×余裕代(1))+Prtn-o として算出される。
【0049】即ち、非変速時油圧Po0の演算式に対し
て、余裕代の部分のみが異なり、解放初期油圧Po1の
演算式においては、余裕代(1)を1.2程度の比較的低い値
を用いる。
【0050】尚、前記余裕代(1)(=1.2程度)は、入力
軸トルクの推定誤差が予想される範囲内で発生しても、
解放側摩擦係合要素が締結状態を保持できる値として設
定される。
【0051】非変速時には、前記非変速時油圧Po0に
制御されるが、変速要求に伴って解放するときに、前記
所定時間TIMER1内で、前記非変速時油圧Po0か
ら解放初期油圧Po1まで低下させるものであり、ステ
ップS322では、前記所定時間TIMER1内での油
圧勾配Rmp−Po1を、 Rmp−Po1=(Po0−Po1)/TIMER1 として算出する。
【0052】そして、前記非変速時油圧Po0から単位
時間毎に(Rmp−Po1)だけ油圧を減少させ、所定時間
TIMER1が経過した時点で、解放初期油圧Po1ま
で低下するようにする。
【0053】上記のようにして所定時間TIMER1が
経過するまでの間に、解放初期油圧Po1まで低下させ
た後、ステップS33でギヤ比がF/B開始ギヤ比より
も高くなったと判断されるようになるまでの間において
は、ステップS34の分担比ランプ制御を実行する。
【0054】前記ステップS34の分担比ランプ制御の
詳細は、図8のフローチャートに示してあり、ステップ
S341では、前記解放初期油圧Po1を算出し、ま
た、解放油圧Po2を算出する。
【0055】前記解放油圧Po2(指示圧)は、 Po2=K1×(Tt×Tr-o×余裕代(2))+Prtn-o として算出されるものであり、前記余裕代(2)として1.0
よりも小さい例えば0.8程度の値を用いる(余裕代(0)>
余裕代(1)>0>余裕代(2))。
【0056】尚、前記余裕代(2)(=0.8程度)は、入力
軸トルクの推定誤差が予想される範囲内で発生しても、
解放側摩擦係合要素を確実に解放状態に移行させること
ができる値として設定される。従って、解放初期油圧P
o1から解放油圧Po2に向けての油圧低下は、解放側
の摩擦係合要素を確実に解放状態に移行させるべく行わ
れるものである。
【0057】ステップS342では、変速の種類及び解
放制御する摩擦係合要素の種類に応じて予め記憶されて
いる所定時間TIMER2内で、前記解放初期油圧Po
1から解放油圧Po2まで低下させるための油圧ランプ
勾配(単位時間当たりの油圧減少幅)を、 Rmp−Po2=(Po1−Po2)/TIMER2 として算出する(図26参照)。
【0058】そして、前記所定時間TIMER1経過し
た時点から所定時間TIMER2内で、かつ、ギヤ比が
F/B開始ギヤ比よりも高くなっていない状態では、単
位時間毎に(Rmp−Po2)だけ油圧を減少させる。
【0059】尚、前記ランプ勾配Rmp−Po2は、余裕代
の変化幅と所定時間TIMER2の設定により、前記勾
配Rmp−Po1よりも小さくなるようにして、余裕代が1.0
となる前後の所定範囲内で、解放側摩擦係合要素の伝達
トルク容量の変化が、それまでよりも遅くなるようにし
てある。
【0060】前記勾配Rmp−Po2により係合油圧を徐々
に減少させると、余裕代が1.0付近になった時点でギヤ
比が変化し始めることになり、該ギヤ比の変化により解
放側の伝達トルク容量が臨界付近にまで低下したことを
間接的に知ることができる。
【0061】ここで、余裕代が1.0であるときの油圧=
K1×(Tt×Tr-o)+Prtn-oで、解放側の摩擦係合
要素が滑り始めるのが理想であり、前記油圧=K1×
(Tt×Tr-o)+Prtn-oが予め推定される臨界相当値
となり、前記所定時間TIMER1,所定時間TIME
R2での油圧(指示圧)の減少制御は、徐々に余裕代を
減少させて、臨界相当値を横切って入力軸トルクを伝達
することができないレベルにまで伝達トルク容量を小さ
くする制御となる。
【0062】ギヤ比が変化し始めたことが、F/B開始
ギヤ比よりも実際のギヤ比が大きくなったことに基づい
て検出されると(臨界点が判定されると)、前記勾配R
mp−Po2による伝達トルク容量(係合油圧)の減少制御
を停止させ、臨界伝達トルク容量を基準値としてタービ
ン回転を目標に一致させるフィードバック制御に移行さ
せる。
【0063】従って、前記フィードバック制御は、解放
側の伝達トルク容量が臨界状態に精度良く制御された状
態で開始されることになり、大きな回転変動を招くこと
なく安定的にタービン回転を制御でき、以って、締結側
(低速段用)摩擦係合要素の締結を最適なタイミングで
行わせて、回転の吹けあがりやトルクの引けの発生を防
止できる。
【0064】また、上記のようにして、余裕代が1.0と
なる前後の所定範囲内で、伝達トルク容量の変化速度を
遅くすれば、ギヤ比変化として解放側摩擦係合要素の臨
界状態(滑り発生)を判断して、臨界伝達トルク容量相
当となる係合油圧を求める制御の精度を確保でき、ま
た、初期状態では比較的速い速度で伝達トルク容量を減
少させることで応答性も確保できる。
【0065】一方、締結側の準備フェーズ処理は、図9
〜図11のフローチャートに示される。図9のフローチ
ャートは、締結側(低速段用)の準備フェーズ処理のメ
インルーチンを示すものであり、ステップS41では、
変速判断から所定時間TIMER0だけ経過したか否か
を判別する。尚、前記所定時間TIMER0は、油温に
応じて設定することが好ましい。
【0066】ステップS41で、変速判断から所定時間
TIMER0が経過していないと判別されたときには、
ステップS42へ進み、締結側の摩擦係合要素に対する
油圧のプリチャージを行う。
【0067】前記油圧のプリチャージ処理は、図10の
フローチャートに示され、ステップS421において、
摩擦係合要素毎に予め記憶されているプリチャージ圧
を、前記所定時間TIMER0内において出力する処理
を行う。
【0068】前記所定時間TIMER0が経過すると、
ステップS43でギヤ比が、所定の締結開始ギヤ比(1)
よりも大きくなったか否かを判別し、ギヤ比が締結開始
ギヤ比(1)以下である間は、ステップS44のスタンバ
イ圧処理に進む。
【0069】尚、前記締結開始ギヤ比(1)は、変速の種
類や入力軸トルクに応じて設定することが好ましい。前
記ステップS44のスタンバイ圧処理は、図11のフロ
ーチャートに示してあり、ステップS441で、摩擦係
合要素毎に予め記憶されているスタンバイ圧Prtn-cの
出力を行わせる。
【0070】ここで、前記図5のフローチャートに戻っ
て説明を続けると、ステップS2でギヤ比がF/B開始
ギヤ比よりも大きくなると、ステップS2からステップ
S4へ進み、ギヤ比が、変速後のギヤ比よりの僅かに小
さいF/B終了ギヤ比よりも大きくなっているか否かを
判別する。
【0071】そして、ギヤ比がF/B開始ギヤ比よりも
大きくなっているものの、F/B終了ギヤ比以下である
と判断される場合には、ステップS5のイナーシャフェ
ーズ処理を実行する。
【0072】解放側についての前記イナーシャフェーズ
処理を、図12〜図14のフローチャートに示してあ
る。図12のフローチャートは、解放側のイナーシャフ
ェーズ処理のメインルーチンを示し、ステップS51で
は、解放側油圧の基本制御を行う。
【0073】前記基本制御については、図13のフロー
チャートに示してあり、ステップS511では、パワー
オンダウンによる回転の増大変化に伴うイナーシャトル
ク(変速トルク)Tinrを算出する。尚、前記イナーシ
ャトルクTinrは、図27に示すように、予め目標変速
時間に応じたテーブルに記憶されており、目標変速時間
が短い時ほど、より大きなイナーシャトルク(変速トル
ク)Tinrが算出されるようになっている。
【0074】ステップS512では、解放側指示油圧P
o3を算出する。前記解放側指示油圧Po3は、 Po3=K1×(Tt−Tinr×HOSEI-VSP)×Tr-o+P
rtn-o として算出される。
【0075】ここで、補正係数HOSEI-VSPは、車速に応
じたイナーシャトルクTinrの補正項であり、図28に
示すように、予め車速VSPに応じたテーブルに記憶さ
れ、車速が例えば20km/hを下回るようなときには、車速
が低くなるほどイナーシャトルクTinrをより小さく補
正するが、20km/hを上回る場合には、車速が高くなるほ
どイナーシャトルクTinrをより大きく補正し、例えば4
0km/hで2倍に補正する。
【0076】そして、前記入力軸トルクTtから、イナ
ーシャトルク分である「Tinr×HOSEI-VSP」を減算する
ことで、回転上昇に用いられるイナーシャトルク分が補
正されて実際の伝達トルクが求められ、この実際の伝達
トルクに臨界トルク比Tr-oを乗算することで、実際の
伝達トルクに対して解放側(高速段用)摩擦係合要素を
臨界状態(滑り発生)とする伝達トルク容量を求めるこ
とができる。
【0077】ステップS52では、推定トルク補正を行
う。前記推定トルク補正は、図14のフローチャートに
示してあり、ステップS521では、ギヤ比が初めてF
/B開始ギヤ比よりも大きくなった時点での(即ち、解
放側の摩擦係合要素が滑り始めた臨界点での)余裕代T
rを参照する。
【0078】具体的には、ギヤ比が初めてF/B開始ギ
ヤ比よりも大きくなった時点の解放側摩擦係合要素の係
合油圧とそのときの入力軸トルクとから余裕代Trを逆
算する。余裕代が1.0近傍でギヤ比が変化し始める
(解放側の摩擦係合要素が滑り始める)のが理想である
が、例えば余裕代=1.1に相当する解放側油圧でギヤ比
が変化し始めたとすると、入力軸トルクの推定において
実際値よりも小さく推定したため、本来、伝達トルク容
量に余裕があることで締結状態を保持できる油圧である
のに滑り始めたものと判断され、逆に、例えば余裕代=
0.9に相当する解放側油圧でギヤ比が変化し始めたとす
ると、入力軸トルクの推定において実際値よりも大きく
推定したため、本来の締結状態を保持できない油圧(伝
達トルク容量)まで既に低下しているのに、滑り始めが
遅れたものと判断される。
【0079】そこで、ステップS522では、油圧の補
正値ΔPを、 ΔP=K1×Tt×Tr-o(1−Tr) として算出する。
【0080】そして、前記解放側指示油圧Po3を前記
補正値ΔPで補正して解放側指示油圧Po4を求める。 Po4=Po3―ΔP 上記のようにして指示圧を補正すれば、入力軸トルクの
推定誤差が修正されるので、イナーシャトルクを加味し
て設定される臨界相当の指示圧を精度良く設定でき、そ
の後の臨界圧を基準とする係合油圧の制御精度(後述す
るタービン回転フィードバック制御及び掛け替え制御の
精度)が向上し、イナーシャフェーズでの回転安定性が
増し、トルクフェーズでのトルクの掛け替えを良好に行
わせることができる。
【0081】尚、上記では、指示圧を補正する構成とし
たが、入力軸トルクTt又は臨界トルク比Tr-oを補正
するための補正値を、ギヤ比が初めてF/B開始ギヤ比
よりも大きくなった時点(臨界点)での余裕代Trに基
づき求めるようにしても良い。
【0082】また、本実施の形態では、変速判断毎に前
記補正値ΔPをリセットして、補正値ΔPを変速毎に適
用させるものとするが、補正値ΔPを学習させて、次回
の解放制御の初期から指示圧の補正に用いるようにして
も良い。
【0083】更に、前記補正値ΔPを所定範囲内に制限
するリミット処理を行ってから、前記解放側指示油圧P
o3の補正に用いると良い。ステップS53では、前記
解放側指示油圧Po4を基本値として、タービン回転
(rpm)を、変速開始からの経過時間に応じた目標ター
ビン回転に一致させるためのタービン回転フィードバッ
ク制御を行う。
【0084】まず、変速開始からの経過時間に応じて目
標ギヤ比を設定し(図29参照)、該目標ギヤ比と出力
軸回転(車速VSP)とから目標タービン回転を算出す
る。そして、実際のタービン回転と前記目標タービン回
転との偏差から、例えば比例・積分・微分制御(PID
制御)によってフィードバック補正分を算出し、前記解
放側指示油圧Po4を前記フィードバック補正分で補正
する。これにより、イナーシャフェーズ中のギヤ比を目
標ギヤ比変化に沿って精度良く変化させることができ
る。
【0085】一方、締結側のイナーシャフェーズ処理
は、図15〜図18のフローチャートに示される。図1
5は、締結側のイナーシャフェーズ処理のメインルーチ
ンを示すものであり、ステップS61では、ギヤ比が締
結開始ギヤ比(1)を超えたか否かを判別し、締結開始ギ
ヤ比(1)を超えるまでは、ステップS62へ進んで、ス
タンバイ圧制御を行う。
【0086】尚、前記ギヤ比は、変速の進行割合を判定
するためのパラメータであり、実際のギヤ比と前記締結
開始ギヤ比(1)又は後述する締結開始ギヤ比(2)とを比較
して、締結側係合油圧の増大制御のタイミングが判定さ
れる。
【0087】前記スタンバイ圧制御は、図16のフロー
チャートに示されるが、ステップS621では、準備フ
ェーズのスタンバイ圧制御に続けて、締結側の油圧をス
タンバイ圧Prtn-cに保持する。
【0088】ステップS61では、ギヤ比が締結開始ギ
ヤ比(1)を超えたと判別されると、ステップS63でギ
ヤ比が締結開始ギヤ比(2)(>締結開始ギヤ比(1))を超
えたか否かを判別する。
【0089】そして、ギヤ比が締結開始ギヤ比(1)を超
えてから締結開始ギヤ比(2)を超えるまでの間は、ステ
ップS64へ進み、トルクフェーズにおける掛け替え制
御のための準備としての掛け替え準備制御を行う。
【0090】前記掛け替え準備制御は、図17のフロー
チャートに示してあり、ステップS641では、イナー
シャトルク(変速トルク)Tinrの設定及び車速に応じ
たイナーシャトルクTinrの補正を前記ステップS51
1,S512と同様に行わせ、イナーシャトルク相当の
油圧を以下のようにして算出する。
【0091】イナーシャトルク相当油圧=Tr-o×Tinr
×HOSEI-VSP×K1+Prtn-c ここで、Prtn-cは、締結側のスタンバイ圧である。
【0092】ステップS642では、締結開始ギヤ比
(1)から締結開始ギヤ比(2)まで変化する間(目標変速時
間から求められる単位時間当たりのギヤ比変化量によっ
て、締結開始ギヤ比(1)から締結開始ギヤ比(2)まで変化
する時間内)において、スタンバイ圧Prtn-cから前記イ
ナーシャトルク相当油圧まで上昇させる(図30参
照)。
【0093】イナーシャフェーズ中は、解放側の摩擦係
合要素の伝達トルク容量を決定するときに、マイナスの
イナーシャトルクに相当する分だけ伝達トルク容量を減
少補正するので、ギヤ比変化が終了し、マイナスのイナ
ーシャトルクの発生がなくなると、解放側の摩擦係合要
素の伝達トルク容量ではトルクを伝達しきれなくなる。
そこで、締結側の摩擦係合要素の伝達トルク容量を、前
記イナーシャトルクに相当するトルクアップ分だけ予め
増大させる掛け替えを行わせ、解放側の摩擦係合要素か
ら締結側の摩擦係合要素への掛け替えの初期状態で全体
の伝達トルク容量が不足することを防止する。
【0094】そして、締結開始ギヤ比(2)を超えると、
ステップS65で判別される所定時間TIMER3内で
あるときに、ステップS66へ進み、掛け替え制御を実
行させる。
【0095】尚、解放側(高速段用)の摩擦係合要素の
解放は、後述するように変速終了時点から(ギヤ比が変
速後の値になってから)開始されるのに対し、締結側
(低速段用)の摩擦係合要素の掛け替え準備制御及び掛
け替え制御を、ギヤ比変化中から実行させるのは、油圧
指令に対して実際の伝達トルク容量(係合油圧)の変化
が遅れるためである。上記のようにして、締結側(低速
段用)の摩擦係合要素の掛け替え準備制御及び掛け替え
制御を、解放制御に先立って開始させておけば、ギヤ比
が変速後の値に到達した時点で高速段用の摩擦係合要素
の開放制御を開始させても、締結遅れによって吹け上が
りが発生することがなく、然も、解放動作は、変速終了
時点から直ちに開始させることができる。
【0096】前記掛け替え制御については、図18のフ
ローチャートに示してあり、ステップS661では、締
結側の油圧(トルク分担比)を時間と共に上昇させるた
めのランプRmp-Tr(1)の設定を、図31に示すように、
予め締結開始ギヤ比(2)を超えてからの経過時間に応じ
て記憶されているテーブルから検索する。尚、前記ラン
プRmp-Tr(1)は、締結開始ギヤ比(2)を超えた時点では
0であり、所定時間TIMER3になった時点で1にな
るように、時間経過と共に一定割合で上昇するようにし
てある。
【0097】ステップS662では、前記ランプRmp-T
r(1)、イナーシャトルクTinr、推定入力トルクTt等
から、締結側指示圧Pc1を下式に従って演算する。 Pc1=K2×Tt×Tr-c×Rmp-Tr(1)+Tr-o×Tin
r×HOSEI-VSP×K1+Prtn-c ここで、K2は締結側の伝達トルク容量を油圧に変換す
るための変換係数、Ttは推定入力トルク、Tr-cは締
結側の摩擦係合要素毎に設定される臨界トルク比であ
り、K2×Tt×Tr-cにより、そのときの入力トルク
を伝達できる締結側の最小油圧(臨界伝達トルク容量)
が求めらる。
【0098】前記ランプRmp-Tr(1)は最初0で、所定時
間TIMER3経過後に1にまで上昇するので、K2×
Tt×Tr-c×Rmp-Tr(1)は、最初0で、所定時間TI
MER3経過後にK2×Tt×Tr-cとなる。また、Tr
-o×Tinr×HOSEI-VSP×K1+Prtn-cは、前記イナーシ
ャトルク相当油圧であり、該イナーシャトルク相当油圧
を初期圧として、所定時間TIMER3内でK2×Tt
×Tr-cだけ、即ち、締結側(低速段用)の摩擦係合要
素のみで入力軸トルクを伝達できる係合油圧まで油圧を
増大変化させる。
【0099】尚、後述するように、前記所定時間TIM
ER3内での締結側油圧の増大に対応して解放側の油圧
を低下させ、解放側の摩擦係合要素から締結側の摩擦係
合要素へのトルクの掛け替えが行われるようになってい
る。
【0100】ギヤ比が前記F/B終了ギヤ比を超える
と、図5のフローチャートにおいて、ステップS4から
ステップS6へ進み、F/B終了ギヤ比を超えてから所
定時間TIMER4が経過し、かつ、前記所定時間TI
MER3が経過した時点から所定時間TIMER5が経
過したか否かを判別する。そして、いずれか一方が経過
していない場合には、ステップS7へ進み、トルクフェ
ーズ処理を実行する。
【0101】解放側におけるトルクフェーズ処理は、図
19のフローチャートに示してあり、ステップS701
で、前記所定時間TIMER4で解放側の油圧を0にま
で減少させるランプ制御を実行する。
【0102】具体的には、ギヤ比が前記F/B終了ギヤ
比を超えた時点の解放側の油圧Po5と、前記所定時間T
IMER4とから、油圧の減少勾配Rmp-Po3を、 Rmp-Po3=(Po5−0)/TIMER4 として算出し、単位時間毎に前記Rmp-Po3だけ油圧を
減少させる。
【0103】尚、前記所定時間TIMER3,TIME
R4,TIMER5は、変速の種類及び摩擦係合要素毎
に設定される。一方、締結側におけるトルクフェーズ処
理は、図20〜図22のフローチャートに示される。
【0104】図20のフローチャートは、締結側におけ
るトルクフェーズ処理のメインルーチンを示すものであ
り、ステップS81では、ギヤ比が締結開始ギヤ比(2)
を超えてから所定時間TIMER3が経過したか否かを
判別する。
【0105】そして、前記所定時間TIMER3が経過
していない場合には、ステップS82へ進み、イナーシ
ャフェーズでの処理に続けて掛け替え制御を継続させ
る。前記掛け替え制御の内容は、図21のフローチャー
トのステップS821,ステップS822に示してある
が、前記図18と同様な処理を行うので詳細な説明は省
略する。
【0106】ステップS81で前記所定時間TIMER
3が経過していると判別されたときには、ステップS8
3へ進み、前記所定時間TIMER3が経過した時点か
ら更に所定時間TIMER5が経過したか否かを判別す
る。
【0107】そして、前記所定時間TIMER5内であ
れば、ステップS84へ進み、棚圧制御を実行する。前
記棚圧制御は、図22のフローチャートに示され、ステ
ップS841では、変速後の締結側摩擦係合要素のトル
ク分担比の設定を行い、次のステップS842では、下
式に従って締結側の指示圧Pc2を算出する。
【0108】Pc2=K2×Tt×Tr-c+Tr-o×Tin
r×HOSEI-VSP×K1+Prtn-c F/B終了ギヤ比を超えてから所定時間TIMER4が
経過し、かつ、所定時間TIMER3が経過した時点か
ら更に所定時間TIMER5が経過すると、前記図5の
フローチャートにおいて、ステップS6からステップS
7へ進み、所定時間TIMER5が経過した時点から、
変速の種類及び摩擦係合要素に応じて設定される所定時
間TIMER6が経過したか否かを判別する。
【0109】そして、前記所定時間TIMER6が経過
していない場合には、ステップS9の終了フェーズ処理
を実行する。解放側の終了フェーズ処理は、図23のフ
ローチャートに示され、ステップS901では、トルク
フェーズ終了時点における解放側の油圧(=0)を保持
させる処理を行う。
【0110】一方、締結側の終了フェーズ処理は、図2
4及び図25のフローチャートに示される。図24のフ
ローチャートは、締結側の終了フェーズ処理のメインル
ーチンを示し、ステップS91で、終了フェーズ処理に
移行してから所定時間TIMER6が経過していないと
判別されると、ステップS92へ進んで締結側の終了フ
ェーズ処理を実行する。
【0111】前記締結側の終了フェーズ処理の内容は、
図25のフローチャートに示され、ステップS921で
は、締結側の摩擦係合要素の伝達トルク容量を、トルク
フェーズ終了時点における値(臨界圧)から前記所定時
間TIMER6で例えば1.2倍にまで増大させるランプ
Rmp-Tr(2)の設定を行う(図32参照)。
【0112】ステップS922では、前記ランプRmp-
Tr(2)に基づき締結側の指示圧を、下式に従って算出す
る。 Pc3=K2×Tt×Tr-c×(1+0.2×Rmp-Tr
(2))+Tr-o×Tinr×HOSEI-VSP×K1+Prtn-c 前記所定時間TIMER6では、上記の式によって算出
される指示圧Pc3に制御することで、臨界圧の1.2倍
程度の油圧まで上昇させるが、前記所定時間TIMER
6が経過した時点で油圧を最大圧までステップ的に増大
させる。
【0113】尚、上記実施の形態は、ダウンシフトに関
するものであるが、前記臨界点の判定時における余裕代
に基づく指示圧の補正制御は、アップシフトにおける摩
擦係合要素の解放制御にも適用することができる。
【0114】また、変速機構を、図1に示したものに限
定するものでないことは明らかである。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態における自動変速機の変速機構を示
す図。
【図2】前記変速機構における摩擦係合要素の締結状態
の組み合わせと変速段との相関を示す図。
【図3】前記自動変速機の制御系を示すシステム図。
【図4】実施の形態における摩擦係合要素の掛け換えに
よる変速の様子を示すタイムチャート。
【図5】実施の形態における摩擦係合要素の掛け換え変
速制御の様子を示すフローチャート。
【図6】解放側摩擦係合要素の準備フェーズ処理を示す
フローチャート。
【図7】解放側摩擦係合要素の準備フェーズ処理を示す
フローチャート。
【図8】解放側摩擦係合要素の準備フェーズ処理を示す
フローチャート。
【図9】締結側摩擦係合要素の準備フェーズ処理を示す
フローチャート。
【図10】締結側摩擦係合要素の準備フェーズ処理を示
すフローチャート。
【図11】締結側摩擦係合要素の準備フェーズ処理を示
すフローチャート。
【図12】解放側摩擦係合要素のイナーシャフェーズ処
理を示すフローチャート。
【図13】解放側摩擦係合要素のイナーシャフェーズ処
理を示すフローチャート。
【図14】解放側摩擦係合要素のイナーシャフェーズ処
理を示すフローチャート。
【図15】締結側摩擦係合要素のイナーシャフェーズ処
理を示すフローチャート。
【図16】締結側摩擦係合要素のイナーシャフェーズ処
理を示すフローチャート。
【図17】締結側摩擦係合要素のイナーシャフェーズ処
理を示すフローチャート。
【図18】締結側摩擦係合要素のイナーシャフェーズ処
理を示すフローチャート。
【図19】解放側摩擦係合要素のトルクフェーズ処理を
示すフローチャート。
【図20】締結側摩擦係合要素のトルクフェーズ処理を
示すフローチャート。
【図21】締結側摩擦係合要素のトルクフェーズ処理を
示すフローチャート。
【図22】締結側摩擦係合要素のトルクフェーズ処理を
示すフローチャート。
【図23】解放側摩擦係合要素の終了フェーズ処理を示
すフローチャート。
【図24】締結側摩擦係合要素の終了フェーズ処理を示
すフローチャート。
【図25】締結側摩擦係合要素の終了フェーズ処理を示
すフローチャート。
【図26】解放側摩擦係合要素の分担比ランプ制御にお
ける余裕代の変化の様子を示す線図。
【図27】変速時間と変速トルク(イナーシャトルク)
との相関を示す線図。
【図28】変速トルク(イナーシャトルク)の車速によ
る補正係数を示す線図。
【図29】目標変速時間と目標ギヤ比との相関を示す線
図。
【図30】締結側摩擦係合要素の掛け替え準備制御にお
ける指示圧の特性を示す線図。
【図31】締結側摩擦係合要素の掛け替え制御における
油圧勾配の特性を示す線図。
【図32】締結側摩擦係合要素の終了フェーズ処理にお
ける油圧勾配の特性を示す線図。
【符号の説明】
1…トルクコンバータ 2…変速機構 11…ソレノイドバルブユニット 12…A/Tコントローラ 13…A/T油温センサ 14…アクセル開度センサ 15…車速センサ 16…タービン回転センサ 17…エンジン回転センサ 18…エアフローメータ 20…エンジン G1,G2…遊星歯車 H/C…ハイクラッチ R/C…リバースクラッチ L/C…ロークラッチ 2&4/B…2速/4速バンドブレーキ L&R/B…ロー&リバースブレーキ

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】異なる摩擦係合要素の締結制御と解放制御
    とを同時に行う摩擦係合要素の掛け替えによって変速を
    行うよう構成された自動変速機の変速制御装置におい
    て、 解放制御する摩擦係合要素の指示圧を、予め臨界相当値
    であると推定される値に向けて徐々に減少させる一方、
    実際の臨界点を判定し、実際の臨界点での指示圧と前記
    予め推定した臨界相当値とに基づいて、前記指示圧を補
    正するための補正値を設定するよう構成されたことを特
    徴とする自動変速機の変速制御装置。
  2. 【請求項2】前記実際の臨界点を、ギヤ比の変化に基づ
    いて判定することを特徴とする請求項1記載の自動変速
    機の変速制御装置。
  3. 【請求項3】前記臨界相当値を、変速機構の入力軸トル
    クの推定値と臨界トルク比とに基づいて推定することを
    特徴とする請求項1又は2記載の自動変速機の変速制御
    装置。
  4. 【請求項4】前記臨界相当値に付加する余裕代を徐々に
    減少させることによって、前記臨界相当値に向けて指示
    圧を徐々に減少させることを特徴とする請求項3記載の
    自動変速機の変速制御装置。
  5. 【請求項5】前記実際の臨界点が判定された時点の前記
    余裕代に基づいて前記補正値を設定することを特徴とす
    る請求項4記載の自動変速機の変速制御装置。
  6. 【請求項6】前記補正値が、前記入力軸トルクの推定値
    及び/又は臨界トルク比を補正するための補正値である
    ことを特徴とする請求項3〜5のいずれか1つに記載の
    自動変速機の変速制御装置。
  7. 【請求項7】前記補正値を所定範囲内に制限するよう構
    成したことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに
    記載の自動変速機の変速制御装置。
  8. 【請求項8】前記臨界相当値に向けて指示圧を徐々に減
    少させる速度を、前記臨界相当値付近でより緩く変化さ
    せることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1つに記
    載の自動変速機の変速制御装置。
  9. 【請求項9】前記補正値を求めてから変速制御の終了時
    まで、前記解放側の摩擦係合要素の指示圧を補正するこ
    とを特徴とする請求項1〜8のいずれか1つに記載の自
    動変速機の変速制御装置。
  10. 【請求項10】前記補正値を学習し、次回の変速におけ
    る指示圧に反映させることを特徴とする請求項1〜8の
    いずれか1つに記載の自動変速機の変速制御装置。
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