JP2001065679A - 車両用自動変速機の制御装置 - Google Patents

車両用自動変速機の制御装置

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JP2001065679A JP24179099A JP24179099A JP2001065679A JP 2001065679 A JP2001065679 A JP 2001065679A JP 24179099 A JP24179099 A JP 24179099A JP 24179099 A JP24179099 A JP 24179099A JP 2001065679 A JP2001065679 A JP 2001065679A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 アクセルOFF時のアップシフトが適切に行
われるようにする。 【解決手段】 アクセルOFFの2→3アップシフトに
おいて、入力回転速度N C0の変化速度ΔNC0に基づいて
入力回転速度NC0が同期回転速度(NOUT ×γ3)に達
するまでの同期所要時間A1 を求め、係合させるべきブ
レーキB2の油圧シリンダのピストンがストロークエン
ドに達するまでのストローク時間B1 と略一致した時
(時間t4 )に、その油圧シリンダに対する作動油の供
給を開始する。これにより、入力回転速度NC0の同期タ
イミングとブレーキB2の係合タイミングとがずれて、
同期前にクラッチ容量が発生することによるオフアップ
ショックや、同期後にクラッチ容量が発生することによ
る引込み感の発生が抑制される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は車両用自動変速機の
制御装置に係り、特に、パワーOFF時のアップシフト
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】(a) 油圧シリンダによって摩擦係合装置
が係合させられることにより、変速比が小さい所定のギ
ヤ段へアップシフトさせられる自動変速機と、(b) 前記
油圧シリンダに作動油を供給して前記摩擦係合装置を係
合させる油圧制御回路と、を有する車両用の自動変速機
が広く知られている。特開平9−295526号公報に
記載されている装置はその一例で、アクセルOFF時の
アップシフト中にアクセルがON操作された場合には、
アップシフトが終了するまでエンジン出力を制限するよ
うになっている。また、特開平9−170654号公報
には、前記油圧シリンダに供給する作動油の油圧を制御
する調圧装置が設けられ、アップシフト時に油圧を所定
の勾配で変化させたり、入力回転速度が所定の変化速度
で変化するように油圧をフィードバック制御したりする
ようになっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな車両用自動変速機の制御装置においても、必ずしも
十分に満足できるものではなく、依然としてアップシフ
ト時の制御として改良の余地があった。例えばアップシ
フト中にアクセルがON操作された場合に、アップシフ
トが終了するまでエンジン出力を制限すると、もたつき
感を生じることがあるし、アクセルOFF時に摩擦係合
装置を係合させると、エンジンブレーキ状態になり、運
転者の意に反して車両が減速する場合がある。また、前
記調圧装置を備えていない場合、入力回転速度の同期タ
イミングと摩擦係合装置の係合タイミングとがずれて、
同期前にクラッチ容量が発生することによるオフアップ
ショック(車両の突出し感)や、同期後にクラッチ容量
が発生することによる引込み感(車両の減速感)を生じ
ることがある。引込み感は、エンジン等の駆動源の回転
速度を上昇させる場合に特に顕著であるが、駆動源の回
転低下が一方向クラッチによって許容される場合でも、
自動変速機を構成している回転メンバの回転速度変化で
引込み感が発生することがある。
【0004】本発明は以上の事情を背景として為された
もので、その目的とするところは、アクセルOFF時の
アップシフトが一層適切に行われるようにすることにあ
る。具体的には、調圧装置を備えていない場合でも入力
回転速度の同期タイミングに合わせて摩擦係合装置が適
切に係合させられるようにする。アップシフト中にアク
セルがON操作された場合に、摩擦係合装置の耐久性を
損なうことなくもたつき感を低減する。また、アクセル
OFF時にエンジンブレーキ状態になり、運転者の意に
反して車両が減速することを防止する。
【0005】
【課題を解決するための手段】かかる目的を達成するた
めに、第1発明は、(a) 油圧シリンダによって摩擦係合
装置が係合させられることにより、変速比が小さい所定
のギヤ段へアップシフトさせられる自動変速機と、(b)
前記油圧シリンダに作動油を供給して前記摩擦係合装置
を係合させる油圧制御回路と、を有する車両用の自動変
速機の制御装置において、(c) パワーOFF状態のアッ
プシフト中に、前記自動変速機の入力回転速度がそのア
ップシフト後の同期回転速度に到達するまでの同期所要
時間を推定する同期時間推定手段と、(d) 前記油圧シリ
ンダのピストンストロークに要するストローク時間が予
め記憶されたストローク時間記憶装置と、(e) 前記同期
時間推定手段によって推定された同期所要時間と、前記
ストローク時間記憶装置に記憶された前記ストローク時
間とを比較して、前記油圧シリンダに対する作動油の供
給開始時間を制御する供給開始制御手段と、を有するこ
とを特徴とする。
【0006】上記「パワーOFF状態」とは、エンジン
等の駆動源から車輪側へ駆動力が伝達されない状態で、
運転者の要求出力が無いアクセルOFF、すなわちアク
セルペダル等のアクセル操作部材が操作されていない場
合は勿論、車速に比べてアクセル操作部材の操作量が少
なくて車輪側へ駆動力が伝達されない場合も含む。
【0007】第2発明は、(a) 油圧シリンダによって摩
擦係合装置が係合させられることにより、変速比が小さ
い所定のギヤ段へアップシフトさせられる自動変速機
と、(b) 前記油圧シリンダに作動油を供給して前記摩擦
係合装置を係合させる油圧制御回路と、を有する車両用
の自動変速機の制御装置において、(c) パワーOFF状
態のアップシフト中にアクセル操作部材が増大操作され
た場合には、前記摩擦係合装置の耐久性を損なうことが
ない所定のトルク容量を確保するために必要な間だけ入
力トルクを制限する入力トルク制限手段と、(d) その入
力トルク制限手段によって入力トルクが制限される時
に、前記油圧制御回路の油圧を高くして前記油圧シリン
ダに対する作動油の供給速度を速くする油圧補正手段
と、を有することを特徴とする。
【0008】第3発明は、(a) 油圧シリンダによって摩
擦係合装置が係合させられることにより、変速比が小さ
い所定のギヤ段へアップシフトさせられる自動変速機
と、(b) 前記油圧シリンダに作動油を供給して前記摩擦
係合装置を係合させるとともに、その油圧シリンダに供
給する作動油の油圧を制御する調圧装置を備えている油
圧制御回路と、を有する車両用の自動変速機の制御装置
において、(c) アップシフト時にアクセルONの場合に
は前記油圧シリンダに作動油を供給して前記摩擦係合装
置を係合させるが、アクセルOFFの場合には前記油圧
シリンダのピストンを係合時のストロークエンド付近に
保持しながら前記摩擦係合装置を解放するように前記調
圧装置によって油圧を制御する係合解放制御手段を有す
ることを特徴とする。
【0009】上記「アクセルON」とは、運転者の出力
要求にしたがってアクセルペダル等のアクセル操作部材
が操作されている場合で、「アクセルOFF」とは、運
転者の要求出力が無くてアクセル操作部材が操作されて
いない場合である。
【0010】
【発明の効果】第1発明の車両用自動変速機の制御装置
においては、同期時間推定手段により自動変速機の入力
回転速度がアップシフト後の同期回転速度に到達するま
での同期所要時間を推定し、ストローク時間記憶装置に
予め記憶されたストローク時間と比較することにより、
油圧シリンダに対する作動油の供給開始時間が供給開始
制御手段によって制御されるため、エンジン特性のばら
つき等により入力回転速度の変化速度がばらついても、
同期時間(入力回転速度が同期回転速度と略一致する時
間)に対して常に所定のタイミングで摩擦係合装置が係
合させられるようになる。これにより、入力回転速度の
同期タイミングと摩擦係合装置の係合タイミングとがず
れて、同期前にクラッチ容量が発生することによるオフ
アップショック(車両の突出し感)や、同期後にクラッ
チ容量が発生することによる引込み感の発生が抑制され
る。
【0011】第2発明の車両用自動変速機の制御装置に
おいては、パワーOFF状態のアップシフト中にアクセ
ル操作部材が増大操作された場合には、入力トルク制限
手段によって摩擦係合装置の耐久性を損なうことがない
所定のトルク容量確保に必要な間だけ入力トルクが制限
されるため、摩擦係合装置の摩擦材の耐久性を損なうこ
となく入力トルクの制限時間をできるだけ短くして駆動
力不足を改善できる。しかも、その入力トルクが制限さ
れる時には、油圧補正手段により油圧制御回路の油圧を
高くして油圧シリンダに対する作動油の供給速度を速く
するため、摩擦係合装置が速やかに所定のトルク容量で
係合させられるようになり、入力トルクの制限時間を一
層短くして駆動力不足を更に効果的に改善することがで
きる。
【0012】第3発明の車両用自動変速機の制御装置に
おいては、アップシフト時にアクセルONの場合には油
圧シリンダに作動油を供給して摩擦係合装置を係合させ
るが、アクセルOFFの場合には油圧シリンダのピスト
ンを係合時のストロークエンド付近に保持しながら摩擦
係合装置を解放するように調圧装置によって油圧が制御
されるため、一方向クラッチを備えていない場合でもエ
ンジンブレーキ状態になって車両が減速する恐れがな
い。また、油圧シリンダのピストンは係合時のストロー
クエンド付近に保持されるため、アクセルがON操作さ
れた場合には摩擦係合装置を速やかに係合させて所定の
ギヤ段を成立させ、速やかに駆動力を発生させることが
できる。すなわち、摩擦係合装置の解放、係合制御で、
一方向クラッチを設けた場合と同様の作用効果が得られ
るのである。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明の自動変速機は、例えば複
数の遊星歯車装置と、その遊星歯車装置の複数の回転メ
ンバを相互に連結したりハウジングに固定したりする油
圧式のクラッチやブレーキ等の摩擦係合装置とを有し、
その摩擦係合装置の係合、解放の組み合わせにより変速
比が異なる複数のギヤ段が成立させられるように構成さ
れる。自動変速機のアップシフトは、車速やアクセル操
作量等に基づいて自動的に変速判断が行われてアップシ
フト指令が出されるものでも良いが、運転者のシフトレ
バー操作やスイッチ操作に従ってアップシフト指令が出
されるものでも良い。車両の駆動源としては、燃料の燃
焼で作動するエンジンや電気エネルギーで作動する電動
モータなど種々の駆動源が用いられ得る。
【0014】第1発明、第2発明のパワーOFF状態の
アップシフト中の制御は、アクセル操作部材が操作され
ている時でも、例えばトルクコンバータの入出力部材の
回転速度などからパワーOFFか否かを判断して、パワ
ーOFF状態のアップシフトに適用することもできる
が、アクセル操作部材が操作されていないアクセルOF
F時のアップシフトのみに適用されるものでも良い。ま
た、低速側ギヤ段を成立させている摩擦係合装置を解放
するクラッチツウクラッチ制御であっても良いし、一方
向クラッチの存在などにより単に高速側ギヤ段を成立さ
せる摩擦係合装置を係合制御するだけのものでも良い。
【0015】第1発明の同期時間推定手段は、例えば入
力回転速度の変化速度を検出するとともに、アップシフ
ト後のギヤ段の変速比および自動変速機の出力回転速度
によって定まるアップシフト後の同期回転速度を求め、
その同期回転速度と現在の入力回転速度との回転速度差
を上記変化速度で割算して同期所要時間を求めるように
構成される。出力回転速度すなわち車速は略一定と見做
すこともできるが、出力回転速度の変化速度を求めるこ
とにより、現在の入力回転速度および出力回転速度とそ
れ等の変化速度とから更に高い精度で同期所要時間を算
出することもできる。
【0016】油圧シリンダのストローク時間は、油圧制
御回路の油圧によって異なり、その油圧は駆動源の出
力、例えばエンジンのスロットル弁開度等によって調整
されるようになっているのが普通であるため、その駆動
源出力(スロットル弁開度など)をパラメータとして設
定することが望ましい。但し、パワーOFF状態として
アクセルOFF時にだけ制御を実施する場合には、予め
一定値が設定されても良い。また、ストローク時間に影
響する油温等の他のパラメータを考慮して設定すること
もできるし、油圧シリンダの個体差による影響を防止す
るため、実際のストローク時間を検出して逐次学習補正
するようにすることもできる。
【0017】供給開始制御手段は、例えば同期所要時間
がストローク時間と略一致した時に作動油の供給を開始
するように構成されるが、オフアップショックを確実に
防止するために意識的に供給開始時間を遅らせたり、引
込み感を確実に防止するために意識的に供給開始時間を
早めたりしても良い。
【0018】第2発明の入力トルク制限手段は、例えば
アップシフトのために油圧シリンダに作動油の供給が開
始された供給開始時間を基準として予め定められた所定
のトルク制限時間の間だけ、アクセルの増大操作に拘ら
ず入力トルクを制限するように構成される。トルク制限
時間は、例えば供給開始時間からアクセルが増大操作さ
れるまでの経過時間をパラメータとして、その経過時間
が長い程短くなるように演算式やデータマップ等によっ
て設定される。
【0019】摩擦材の耐久性を損なうことがない所定の
トルク容量は、必ずしも摩擦材が完全係合する必要はな
く、上記トルク制限時間は、例えば油圧シリンダのピス
トンが係合側のストロークエンドに達して係合トルクが
立ち上がるまでの時間などである。また、時間ではなく
て、油圧シリンダの油圧値を検出または推定するなどし
て、その油圧値が所定のトルク容量の確保に必要な予め
定められた設定値に達するまで、入力トルクを制限する
ようにしても良い。
【0020】入力トルクの制限は、例えばアクセル操作
部材の操作量(アクセル操作量)に従って駆動源の出力
を電気的に制御する場合には、アクセル操作量の増大に
拘らず駆動源の出力増大制御を行わないようにしたり、
出力増大量を抑制したりするように構成される。駆動源
がアクセル操作部材に機械的に連結されて直接制御され
る場合には、例えば自動変速機との間に設けられた入力
クラッチを解放したりスリップ制御したりして入力トル
クを制限することができるが、駆動源がエンジンの場合
には、点火時期制御や燃料噴射量制御などで出力制限を
行うことも可能である。
【0021】第2発明の油圧補正手段は、例えば駆動源
の出力(スロットル弁開度など)に応じて油圧制御回路
の油圧が制御される場合、アクセル操作部材の増大操作
に拘らず駆動源の出力増大制御が行われないと油圧制御
回路の油圧も上昇しないが、アクセル操作量に応じて油
圧制御回路の油圧を上昇させたり、アクセル操作量に所
定の補正係数(1より大)を掛算して求めた補正アクセ
ル操作量に基づいて油圧を一時的に増大させたりするな
ど、種々の態様を採用できる。
【0022】以下、本発明の実施例を図面を参照しつつ
詳細に説明する。図1は、本発明が適用された車両の動
力伝達装置の構成を説明する骨子図である。図におい
て、自動車用の混合気吸入式内燃機関、燃料噴射式内燃
機関、或いは外燃機関などの原動機であるエンジン10
の出力は、トルクコンバータ12を介して自動変速機1
4に入力され、図示しない差動歯車装置および車軸を介
して駆動輪へ伝達されるようになっている。エンジン1
0は駆動源に相当する。
【0023】上記トルクコンバータ12は、エンジン1
0のクランク軸16に連結されたポンプ翼車18と、自
動変速機14の入力軸20に連結されたタービン翼車2
2と、それらポンプ翼車18およびタービン翼車22の
間を直結するロックアップクラッチ24と、一方向クラ
ッチ26によって一方向の回転が阻止されているステー
タ28とを備えている。
【0024】上記自動変速機14は、ハイおよびローの
2段の切り換えを行う第1変速機30と、後進ギヤ段お
よび前進4段の切り換えが可能な第2変速機32を備え
ている。第1変速機30は、サンギヤS0、リングギヤ
R0、およびキャリヤK0に回転可能に支持されてそれ
らサンギヤS0およびリングギヤR0に噛み合わされて
いる遊星ギヤP0から成るHL遊星歯車装置34と、サ
ンギヤS0とキャリヤK0との間に設けられたクラッチ
C0および一方向クラッチF0と、サンギヤS0および
ハウジング41間に設けられたブレーキB0とを備えて
いる。
【0025】第2変速機32は、サンギヤS1、リング
ギヤR1、およびキャリヤK1に回転可能に支持されて
それらサンギヤS1およびリングギヤR1に噛み合わさ
れている遊星ギヤP1から成る第1遊星歯車装置36
と、サンギヤS2、リングギヤR2、およびキャリヤK
2に回転可能に支持されてそれらサンギヤS2およびリ
ングギヤR2に噛み合わされている遊星ギヤP2から成
る第2遊星歯車装置38と、サンギヤS3、リングギヤ
R3、およびキャリヤK3に回転可能に支持されてそれ
らサンギヤS3およびリングギヤR3に噛み合わされて
いる遊星ギヤP3から成る第3遊星歯車装置40とを備
えている。
【0026】上記サンギヤS1とサンギヤS2は互いに
一体的に連結され、リングギヤR1とキャリヤK2とキ
ャリヤK3とが一体的に連結され、そのキャリヤK3は
出力軸42に連結されている。また、リングギヤR2が
サンギヤS3に一体的に連結されている。そして、リン
グギヤR2およびサンギヤS3と中間軸44との間にク
ラッチC1が設けられ、サンギヤS1およびサンギヤS
2と中間軸44との間にクラッチC2が設けられてい
る。また、サンギヤS1およびサンギヤS2の回転を止
めるためのバンド形式のブレーキB1がハウジング41
に設けられている。また、サンギヤS1およびサンギヤ
S2とハウジング41との間には、一方向クラッチF1
およびブレーキB2が直列に設けられている。この一方
向クラッチF1は、サンギヤS1およびサンギヤS2が
入力軸20と反対の方向へ逆回転しようとする際に係合
させられるように構成されている。
【0027】キャリヤK1とハウジング41との間には
ブレーキB3が設けられており、リングギヤR3とハウ
ジング41との間には、ブレーキB4と一方向クラッチ
F2とが並列に設けられている。この一方向クラッチF
2は、リングギヤR3が逆回転しようとする際に係合さ
せられるように構成されている。
【0028】このような自動変速機14は、例えば図2
に示す作動表に従って後進1段および変速比が順次異な
る前進5段のギヤ段のいずれかに切り換えられる。図2
において○印は係合状態を示し、空欄は解放状態を示
し、●はエンジンブレーキを発生させるときの係合状態
を示している。図5のシフトパターンに従って操作され
るシフトレバー172(図3参照)がエンジンブレーキ
レンジである「M(マニュアル)」レンジ、「3」レン
ジ、「2」レンジ、「L」レンジのいずれかに操作され
ている時には、その最高速ギヤ段でエンジンブレーキが
発生させられる。例えば、第1速ギヤ段のみで走行する
「L」レンジでは、ブレーキB4が係合させられること
よってアクセルペダル150の非操作状態(アクセルO
FF)であるような非駆動(パワーOFF)走行におい
てエンジンブレーキが発生させられるが、シフトレバー
172が「D」レンジに操作されている第1速ギヤ段で
の走行時では、そのブレーキB4が解放させられること
から、アクセルペダル150の非操作状態であるような
非駆動走行において一方向クラッチF2の滑りおよびリ
ングギヤR3の空転が許容されるので、自動変速機14
内において動力伝達経路が解放され、車両がエンジンブ
レーキが作用しない惰行走行とされる。第1速ギヤ段お
よび第2速ギヤ段で変速が行われる「2」レンジでは、
第2速ギヤ段の走行時において、クラッチC0が係合さ
せられることによりエンジンブレーキが可能とされ、
「D」レンジの第2速ギヤ段ではクラッチC0が解放さ
せられることにより一方向クラッチF0のすべりが許容
されて惰行走行とされる。また、第1速ギヤ段〜第3速
ギヤ段で変速が行われる「3」レンジでは、第3速ギヤ
段の走行時において、ブレーキB1が係合させられるこ
とによりエンジンブレーキが可能とされ、「D」レンジ
ではブレーキB1が解放させられることにより一方向ク
ラッチF1のすべりが許容されて惰行走行とされる。
【0029】図5に示すように、上記シフトレバー17
2は、車両の前後方向に位置するP(パーキング)レン
ジ、R(リバース)レンジ、N(ニュートラル)レン
ジ、D(ドライブ)およびM(マニュアル)レンジ、3
レンジ、2レンジ、L(ロー)レンジへ操作されるとと
もに、DレンジとMレンジの間が車両の左右方向に操作
されるようにその支持機構が構成されている。このシフ
トレバー172には油圧制御回路184内の図示しない
マニュアル弁が連結されており、機械的に走行レンジが
決まるようになっている。また、図6に示すように、車
両のステアリングホイール182の上面側には、走行レ
ンジを低速側へ切り換えるために押し下げ操作される一
対のダウンレンジスイッチ186D が設けられ、そのス
テアリングホイール182の下面側には、走行レンジを
高速側へ切り換えるために押し上げ操作される一対のア
ップレンジスイッチ186U が設けられている。上記ダ
ウンレンジスイッチ186D およびアップレンジスイッ
チ186U は、シフトレバー172がMレンジ位置へ操
作されることによりその操作が有効化されるようになっ
ている。
【0030】前記クラッチC0〜C2、ブレーキB0〜
B4は、それぞれ油圧シリンダに作動油が供給されるこ
とにより、その油圧に基づいて摩擦材が摩擦係合させら
れる多板式、単板式、バンド式等の摩擦係合装置で、油
圧制御回路184(図3参照)によって係合、解放状態
が切り換えられる。
【0031】油圧制御回路184は図4に示す回路を備
えている。図4において符号70は1−2シフトバルブ
を示し、符号71は2−3シフトバルブを示し、符号7
2は3−4シフトバルブを示している。これらのシフト
バルブ70、71、72の各ポートの各ギヤ段での連通
状態は、それぞれのシフトバルブ70、71、72の下
側に示している通りである。なお、その数字は各ギヤ段
を示す。
【0032】2−3シフトバルブ71のポートのうち第
1速ギヤ段および第2速ギヤ段で入力ポート73に連通
するブレーキポート74に、ブレーキB3の油圧シリン
ダ52が油路75を介して接続されている。この油路に
はオリフィス76が介装されており、そのオリフィス7
6とブレーキB3との間にダンパーバルブ77が接続さ
れている。このダンパーバルブ77は、ブレーキB3に
ライン圧PLが急激に供給された場合に少量の油圧を吸
入して緩衝作用を行うものである。ライン圧PLは、ス
ロットル弁開度θTHなどエンジン10の出力に応じてリ
ニアソレノイドバルブSLT(図3参照)により制御さ
れる。
【0033】符号78はB−3コントロールバルブであ
って、ブレーキB3の係合圧PB3を直接制御するように
なっている。すなわち、このB−3コントロールバルブ
78は、スプール79とプランジャ80とこれらの間に
介装したスプリング81とを備えており、スプール79
によって開閉される入力ポート82に油路75が接続さ
れ、またこの入力ポート82に選択的に連通させられる
出力ポート83がブレーキB3に接続されている。さら
にこの出力ポート83は、スプール79の先端側に形成
したフィードバックポート84に接続されている。一
方、上記スプリング81を配置した箇所に開口するポー
ト85には、2−3シフトバルブ71のポートのうち第
3速以上のギヤ段でDレンジ圧(ライン圧PL)を出力
するポート86が油路87を介して連通させられてい
る。また、プランジャ80の端部側に形成した制御ポー
ト88には、リニアソレノイドバルブSLUが接続さ
れ、信号圧PSLU が作用させられるようになっている。
したがって、B−3コントロールバルブ78は、スプリ
ング81の弾性力とポート85に供給される油圧とによ
って調圧レベルが設定され、且つ制御ポート88に供給
される信号圧PSLU が高いほどスプリング81による弾
性力が大きくなるように構成されている。
【0034】図4における符号89は、2−3タイミン
グバルブであって、この2−3タイミングバルブ89
は、小径のランドと2つの大径のランドとを形成したス
プール90と第1のプランジャ91とこれらの間に配置
したスプリング92とスプール90を挟んで第1のプラ
ンジャ91とは反対側に配置された第2のプランジャ9
3とを有している。2−3タイミングバルブ89の中間
部のポート94に油路95が接続され、また、この油路
95は2−3シフトバルブ71のポートのうち第3速以
上のギヤ段でブレーキポート74に連通させられるポー
ト96に接続されている。油路95は途中で分岐して、
前記小径ランドと大径ランドとの間に開口するポート9
7にオリフィスを介して接続されており、上記ポート9
4に選択的に連通させられるポート98は油路99を介
してソレノイドリレーバルブ100に接続されている。
そして、第1のプランジャ91の端部に開口しているポ
ートにリニアソレノイドバルブSLUが接続され、また
第2のプランジャ93の端部に開口するポートにブレー
キB2の油圧シリンダ54がオリフィスを介して接続さ
れている。
【0035】前記油路87はブレーキB2に対して油圧
を供給・排出するためのものであって、その途中には小
径オリフィス101とチェックボール付きオリフィス1
02とが介装されている。また、この油路87から分岐
した油路103には、ブレーキB2から排圧する場合に
開くチェックボールを備えた大径オリフィス104が介
装され、この油路103は以下に説明するオリフィスコ
ントロールバルブ105に接続されている。
【0036】オリフィスコントロールバルブ105はブ
レーキB2からの排圧速度を制御するためのバルブであ
って、そのスプール106によって開閉されるように中
間部に形成したポート107にはブレーキB2が接続さ
れており、このポート107より図での下側に形成した
ポート108に前記油路103が接続されている。ブレ
ーキB2を接続してあるポート107より図での上側に
形成したポート109は、ドレーンポートに選択的に連
通させられるポートであって、このポート109には、
油路110を介して前記B−3コントロールバルブ78
のポート111が接続されている。尚、このポート11
1は、ブレーキB3を接続してある出力ポート83に選
択的に連通させられるポートである。
【0037】オリフィスコントロールバルブ105のポ
ートのうちスプール106を押圧するスプリングとは反
対側の端部に形成した制御ポート112が油路113を
介して、3−4シフトバルブ72のポート114に接続
されている。このポート114は、第3速以下のギヤ段
で第3ソレノイドバルブSL3の信号圧を出力し、ま
た、第4速以上のギヤ段で第4ソレノイドバルブSL4
の信号圧を出力するポートである。さらに、このオリフ
ィスコントロールバルブ105には、前記油路95から
分岐した油路115が接続されており、この油路115
を選択的にドレーンポートに連通させるようになってい
る。
【0038】なお、前記2−3シフトバルブ71におい
て第2速以下のギヤ段でDレンジ圧を出力するポート1
16が、前記2−3タイミングバルブ89のうちスプリ
ング92を配置した箇所に開口するポート117に油路
118を介して接続されている。また、3−4シフトバ
ルブ72のうち第3速以下のギヤ段で前記油路87に連
通させられるポート119が油路120を介してソレノ
イドリレーバルブ100に接続されている。
【0039】符号121はブレーキB2用のアキューム
レータを示し、その背圧室にはリニアソレノイドバルブ
SLN(図3参照)が出力する信号圧PSLN に応じて調
圧されたアキュームレータコントロール圧Pacが供給さ
れるようになっている。2→3変速時に前記2−3シフ
トバルブ71が切り換えられると、ブレーキB2の油圧
シリンダ54には油路87を介してDレンジ圧(ライン
圧PL)が供給されるが、このライン圧PLによってア
キュムレータ121のピストン121pが上昇を開始す
る。このピストン121pが上昇している間は、ブレー
キB2に供給される油圧(係合圧)PB2は、スプリング
121sの下向きの付勢力およびピストン121pを下
向きに付勢する上記アキュムレータコントロール圧Pac
と釣り合う略一定、厳密にはスプリング121sの圧縮
変形に伴って漸増させられ、ピストン121pが上昇端
に達するとライン圧PLまで上昇させられる。すなわ
ち、ピストン121pが移動する変速過渡時の係合圧P
B2は、アキュムレータコントロール圧Pacによって定ま
るのである。
【0040】アキュムレータコントロール圧Pacは、第
3速ギヤ段成立時に係合制御される上記ブレーキB2用
のアキュムレータ121の他、図示は省略するが第1速
ギヤ段成立時に係合制御されるクラッチC1用のアキュ
ムレータ、第4速ギヤ段成立時に係合制御されるクラッ
チC2用のアキュムレータ、第5速ギヤ段成立時に係合
制御されるブレーキB0用のアキュムレータにも供給さ
れ、それ等の係合・解放時の過渡油圧が制御される。
【0041】図4の符号122はC−0エキゾーストバ
ルブを示し、さらに符号123はクラッチC0用のアキ
ュームレータを示している。C−0エキゾーストバルブ
122は、「2」レンジでの第2速ギヤ段のみにおいて
エンジンブレーキを効かせるためにクラッチC0の油圧
シリンダ56に作動油を供給してクラッチC0を係合さ
せるように動作するものである。
【0042】このような油圧制御回路184によれば、
B−3コントロールバルブ78のポート111がドレー
ンに連通していれば、ブレーキB3の係合圧PB3をB−
3コントロールバルブ78によって直接調圧することが
でき、また、その調圧レベルをリニアソレノイドバルブ
SLUによって変えることができる。また、オリフィス
コントロールバルブ105のスプール106が、図の左
半分に示す位置にあれば、ブレーキB2は、このオリフ
ィスコントロールバルブ105を介して排圧が可能にな
り、したがってブレーキB2からのドレーン速度を制御
することができる。
【0043】一方、第2速ギヤ段から第3速ギヤ段への
変速、すなわちブレーキB3を解放すると共にブレーキ
B2を係合する所謂クラッチツウクラッチ変速において
は、入力軸20の入力トルクなどに基づいてブレーキB
3の解放過渡油圧やブレーキB2の係合過渡油圧を制御
することにより、変速ショックを好適に軽減することが
できる。その他の変速についても、リニアソレノイドバ
ルブSLNのデューティ制御によってアキュムレータコ
ントロール圧Pacを調圧することにより、クラッチC
1、C2やブレーキB0の過渡油圧が制御される。
【0044】図3は制御系統を示す図で、アクセルペダ
ル150の操作量ACCがアクセル操作量センサ151に
より検出されるようになっている。アクセルペダル15
0は、運転者の要求出力に応じて大きく踏み込み操作さ
れるもので、アクセル操作部材に相当する。車両のエン
ジン10の吸気配管には、スロットルアクチュエータ1
54によってアクセルペダル150の操作量ACCに応じ
た開き角(開度)θTHとされるスロットル弁156が設
けられている。また、アイドル回転制御のために上記ス
ロットル弁156をバイパスさせるバイパス通路152
には、エンジン10のアイドル回転を制御するためにス
ロットル弁156全閉時の吸気量を制御するISC弁1
53が設けられている。エンジン10の回転速度NE
検出するためのエンジン回転速度センサ158、エンジ
ン10の吸入空気量Qを検出するための吸入空気量セン
サ160、吸入空気の温度TA を検出するための吸入空
気温度センサ162、上記スロットル弁156の全閉状
態およびその開度θTHを検出するためのアイドルスイッ
チ付スロットルセンサ164、出力軸42の回転速度N
OUT すなわち車速Vを検出するための車速センサ16
6、エンジン10の冷却水温度TW を検出するための冷
却水温センサ168、ブレーキの作動を検出するための
ブレーキスイッチ170、シフトレバー172の操作位
置PSHを検出するための操作位置センサ174、入力軸
20の回転速度NINすなわちクラッチC0の回転速度N
C0(=タービン回転速度NT )を検出するための入力軸
回転センサ173、油圧制御回路184の作動油温度T
OIL を検出するための油温センサ175などが設けられ
ており、それらのセンサから、エンジン回転速度NE
吸入空気量Q、吸入空気温度TA 、スロットル弁開度θ
TH、車速V、エンジン冷却水温TW 、ブレーキの作動状
態BK、シフトレバー172の操作位置PSH、入力軸回
転速度NC0、作動油温度TOIL を表す信号がエンジン用
電子制御装置176或いは変速用電子制御装置178に
供給されるようになっている。
【0045】図3のエンジン用電子制御装置176は、
CPU、RAM、ROM、入出力インターフェースを備
えた所謂マイクロコンピュータであって、CPUはRA
Mの一時記憶機能を利用しつつ予めROMに記憶された
プログラムに従って入力信号を処理し、種々のエンジン
制御を実行する。例えば、燃料噴射量制御のために燃料
噴射弁179を制御し、点火時期制御のためにイグナイ
タ180を制御し、アイドルスピード制御のためにIS
C弁153を制御し、トラクション制御のためにスロッ
トルアクチュエータ154によりスロットル弁156を
制御する。エンジン用電子制御装置176は、スロット
ル弁156の制御において、例えば図7に示す関係から
実際のアクセルペダル操作量ACCに基づいてスロットル
アクチュエータ154を駆動し、アクセルペダル操作量
CCが増加するほどスロットル弁開度θTHを増加させ
る。上記エンジン用電子制御装置176は、変速用電子
制御装置178と相互に通信可能に接続されており、一
方に必要な信号が他方から適宜送信されるようになって
いる。
【0046】変速用電子制御装置178も、上記と同様
のマイクロコンピュータであって、CPUはRAMの一
時記憶機能を利用しつつ予めROMに記憶されたプログ
ラムに従って入力信号を処理し、油圧制御回路184の
各ソレノイドバルブSL1、SL2、SL3、SL4或
いはリニアソレノイドバルブSLU、SLT、SLNを
駆動する。具体的には、例えば図8に示す予め記憶され
た変速線図から実際のスロットル弁開度θTHおよび車速
Vに基づいて自動変速機14のギヤ段を決定し、この決
定されたギヤ段を成立させるように電磁弁SL1、SL
2、SL3、SL4を駆動する。図8の実線はアップシ
フト線で、破線はダウンシフト線である。
【0047】図9および図10は、2→3アップシフト
判断が為された場合に、上記変速用電子制御装置178
によって実行される信号処理の内容を説明するフローチ
ャートで、所定のサイクルタイムで繰り返し実行され
る。図11は、図9および図10のアップシフト制御の
実行時におけるタイムチャートの一例で、アクセルペダ
ル操作量ACCが0のアクセルOFF時における2→3ア
ップシフトに関するものであり、第2速ギヤ段を成立さ
せているブレーキB3は、アクセルペダル操作量ACC
略0になった時間t1 において前記リニアソレノイドバ
ルブSLUによる油圧制御で解放される。また、その後
の時間t2 で2→3アップシフト判断が為されることに
より、図9、図10のフローチャートを実行するが、前
記2−3シフトバルブ71を直ちに切り換えることはな
く、図10のステップS18、S19で切換制御を実行
する。この図9、図10のフローチャートに従って実行
されるアップシフト制御は、第1発明の実施例に相当
し、ブレーキB2、油圧シリンダ54はそれぞれ第1発
明の摩擦係合装置、油圧シリンダに相当する。
【0048】図9のステップS1では、アクセルペダル
150が戻し操作されたか、或いはスロットルセンサ1
64のアイドル接点がONか否かを判断し、何れか一方
でも満足する場合はステップS2以下を実行するが、そ
うでない場合、すなわちアクセルペダル150が踏み込
み操作されているパワーONの場合は図10のステップ
S10以下を実行する。スロットル弁156は、通常は
前記図7のようにアクセルペダル150の操作量ACC
応じて制御されるため、アイドル接点がONの場合は、
アクセルOFFのパワーOFF状態に相当する。
【0049】パワーOFFの2→3アップシフト中に実
行されるステップS2では、フラグ「XCNCLIN
N」がOFFか否かを判断するが、フラグ「XCNCL
INN」の初期値はOFFである一方、図10のステッ
プS12またはS16でONにされるもので、ONの場
合はステップS3でフラグ「XAPROK」をONにし
た後、図10のステップS17以下を実行する。ステッ
プS17では、フラグ「XAPROK」がONか否かを
判断し、ONの場合はステップS18でブレーキB2の
油圧シリンダ54に作動油を供給するように前記2−3
シフトバルブ71を切り換えてブレーキB2を係合させ
る一方、フラグ「XAPROK」がOFFの時にはステ
ップS19で油圧シリンダ54内の作動油がドレーンさ
れるように2−3シフトバルブ71を切り換えてブレー
キB2を解放状態に保持する。2−3シフトバルブ71
の切換えは、前記ソレノイドバルブSL1の励磁、非励
磁を切り換えることによって行われる。
【0050】図11のようにパワーOFFの2→3アッ
プシフトでは、フラグ「XCNCLINN」は当初はO
FFであり、ステップS2に続いてステップS4を実行
する。ステップS4では、入力回転速度NC0の変化速度
ΔNC0を例えば今回の入力回転速度NC0n から前回のサ
イクル時の入力回転速度NC0n-1 を引き算するなどして
算出するとともに、次式(1) に従ってアップシフト後の
同期回転速度(NOUT×γ3 )に到達するまでの同期所
要時間A1 を算出する。γ3 は、第3速ギヤ段の変速
比、すなわち入力回転速度NC0/出力回転速度NOUT
ある。また、(1)式は、出力回転速度NOUT すなわち車
速Vが略一定と見做して、現在の出力回転速度NOUT
ら同期回転速度(NOUT ×γ3 )を求め、その同期回転
速度(NOU T ×γ3 )と現在の入力回転速度NC0との回
転速度差を変化速度ΔNC0で割算して同期所要時間A1
を求めるものであるが、出力回転速度NOUT の変化速度
ΔN OUT 、或いは同期回転速度の変化速度Δ(NOUT ×
γ3 )を求めて、更に高い精度で同期所要時間A1 を算
出することもできる。変速用電子制御装置178による
一連の信号処理のうちステップS4を実行する部分は同
期時間推定手段として機能している。なお、図11に記
載のγ2 は、第2速ギヤ段の変速比である。 A1 =(NOUT ×γ3 −NC0)/ΔNC0 ・・・(1)
【0051】ステップS5では、上記同期所要時間A1
が、予め定められたストローク時間B1 に誤判定防止用
余裕値C1 を加算した値(B1 +C1 )よりも小さいか
否かを判断する。ストローク時間B1 は、ブレーキB2
の油圧シリンダ54のピストンが係合側のストロークエ
ンドに達するまでに要する時間で、前記油圧制御回路1
84のライン圧PLによって異なり、そのライン圧PL
はスロットル弁開度θ THに応じて前記リニアソレノイド
バルブSLTによって制御されるが、この制御はアクセ
ルOFFでスロットル弁開度θTHが略全閉の場合に実行
されるだけであるため、スロットル弁開度θTHが略全閉
の時のライン圧PLに基づいて予め一定値が記憶装置1
88(図3参照)に記憶されている。記憶装置188
は、電源OFFでも記憶内容を保持できるもので、変速
用電子制御装置178が備えているRAMやROM等を
代わりに用いることもできる。この記憶装置188は、
ストローク時間記憶装置に相当するもので、ストローク
時間B1 に影響する油温などをパラメータとして記憶す
るようにしても良い。
【0052】そして、A1 ≧B1 +C1 の場合は、ステ
ップS6でフラグ「XAPROK」をOFFにするとと
もに、フラグ「XAPRDLY」をONにする一方、オ
ートインクリメントカウンタE1 を0にした後、図10
のステップS17以下を実行してブレーキB2を解放状
態に保持するが、A1 <B1 +C1 の場合はステップS
7を実行する。ステップS7では、オートインクリメン
トカウンタE1 の内容が誤判定防止用余裕値C1 を超え
たか否かを判断し、E1 >C1 になるまではステップS
9を実行し、フラグ「XAPROK」をOFFにすると
ともにフラグ「XAPRDLY」をONにした後、図1
0のステップS17以下を実行することにより、ステッ
プS19でブレーキB2を解放状態に保持する。
【0053】一方、E1 >C1 になった場合、すなわち
ステップS5を満足する状態が継続して誤判定防止用余
裕値C1 だけ続いた場合は、ステップS8でフラグ「X
APROK」をON、フラグ「XAPRDLY」をOF
F、フラグ「XCNCLINN」をONにした後、図1
0のステップS17以下を実行することにより、ステッ
プS18でブレーキB2の油圧シリンダ54に対して作
動油の供給を開始する。結局、同期所要時間A1 がスト
ローク時間B1 と略一致した時に、2−3シフトバルブ
71が切り換えられて油圧シリンダ54に対する作動油
の供給が開始されるのであり、このように油圧シリンダ
54に対する作動油の供給開始時間が制御されると、エ
ンジン特性のばらつき等により入力回転速度NC0の変化
速度ΔN C0等がばらついても、入力回転速度NC0が同期
回転速度(NOUT ×γ3 )になるのと略同時に油圧シリ
ンダ54が係合側のストロークエンドに到達してブレー
キB2が係合トルクを発生するようになる。
【0054】図11の時間t3 はステップS5の判断が
YES(肯定)になった時間で、時間t4 はステップS
7の判断がYESになった時間で、時間t5 は入力回転
速度NC0が同期回転速度(NOUT ×γ3 )と略一致する
とともに、油圧シリンダ54のピストンがストロークエ
ンドに達して係合油圧PB2が立ち上がり、ブレーキB2
の係合トルクが発生し始める時間である。図11中の
「B1 」、「C1 」は、それぞれストローク時間B1
誤判定防止用余裕値C1 に相当する。変速用電子制御装
置178による一連の信号処理のうちステップS5、S
6、S7、S8、S9、S17、S18、S19を実行
する部分は供給開始制御手段として機能しており、ステ
ップS5およびS7の判断が共にYESになることが供
給開始条件である。なお、ステップS5およびS7の判
断が共にYESになって、油圧シリンダ54に対する作
動油の供給が開始された後は、ステップS8でフラグ
「XCNCLINN」がONとされることにより、以後
のサイクルではステップS2に続いてステップS3、S
17以下を実行する。
【0055】前記ステップS1の判断がNOの場合、す
なわちパワーONの場合に実行する図10のステップS
10では、フラグ「XAPROK」がOFFか否かを判
断し、OFFの場合はステップS11を実行するが、O
Nの場合、すなわち既に油圧シリンダ54に対して作動
油の供給が開始されている場合は、直ちにステップS1
4以下を実行する。ステップS11では、フラグ「XA
PRDLY」がONか否かを判断し、ONの場合、すな
わち既に前記ステップS4以下を実行した場合は、ステ
ップS12でフラグ「XAPRDLY」をOFF、フラ
グ「XCNCLINN」をON、フラグ「XAPRO
K」をONにする。フラグ「XCNCLINN」がON
にされることにより、その後再びアクセルが戻し操作さ
れてステップS2以下が実行される場合でも、ステップ
S2に続いてステップS3が実行されることにより油圧
シリンダ54への作動油の供給状態が維持される。ま
た、ステップS11の判断がNOの場合、すなわち未だ
ステップS2以下を実行することなく始めてステップS
10以下が実行された場合で、言い換えればパワーON
の状態で2→3アップシフト判断が為された最初のサイ
クル時には、ステップS13でフラグ「XAPROK」
をONにする。
【0056】したがって、パワーONの場合は、何れの
場合も直ちにフラグ「XAPROK」がONとされ、ス
テップS18において油圧シリンダ54に作動油が供給
されることにより、ブレーキB2が速やかに係合させら
れる。
【0057】ステップS14では、フラグ「XCNCL
INN」がOFFか否かを判断し、フラグ「XCNCL
INN」がONの時には直ちにステップS17以下を実
行して、ステップS18で油圧シリンダ54に作動油を
供給するが、フラグ「XCNCLINN」がOFFの場
合は、ステップS15で、油圧シリンダ54に対して作
動油の供給を開始してからの経過時間が予め定められた
ストローク時間D1 を経過したか否かを判断する。スト
ローク時間D1 は、前記ストローク時間B1 と同じくブ
レーキB2の油圧シリンダ54のピストンが係合側のス
トロークエンドに達するまでに要する時間で、スロット
ル弁開度θTHをパラメータとして前記記憶装置188に
記憶されている。また、油圧シリンダ54に対して作動
油の供給を開始してからの経過時間は、例えば前記ステ
ップS17の判断がYESになった後の時間をインクリ
メントカウンタやタイマ等によって計測すれば良く、そ
の経過時間がストローク時間D1 に達したらステップS
16でフラグ「XCNCLINN」をONにする。
【0058】したがって、パワーONの2→3アップシ
フトで、油圧シリンダ54に対して直ちに作動油の供給
が開始された場合でも、ストローク時間D1 を経過する
前にアクセルペダル150が戻し操作された場合は、ス
テップS4以下が実行されることにより油圧シリンダ5
4内の作動油がドレーンされ、ステップS5、S7の供
給開始条件が成立した時に、入力回転速度NC0の同期と
略同時に滑らかに係合させられるようになり、ブレーキ
B2の急係合によるオフアップショックが防止される。
作動油の供給開始からストローク時間D1 を経過した場
合には、油圧シリンダ54のピストンが既にストローク
エンドに到達しているため、フラグ「XCNCLIN
N」をONにすることにより、アクセルペダル150が
戻し操作されても作動油の供給をそのまま継続する。
【0059】ここで、本実施例では、アクセルOFFの
2→3アップシフトの場合には、前記ステップS5、S
7の判断が共にYESになり、同期所要時間A1 がスト
ローク時間B1 と略一致した時に、2−3シフトバルブ
71が切り換えられて油圧シリンダ54に対する作動油
の供給が開始されるため、エンジン特性のばらつき等に
より入力回転速度NC0の変化速度ΔNC0等がばらついて
も、入力回転速度NC0が同期回転速度(NOUT ×γ3
になるのと略同時に油圧シリンダ54のピストンが係合
側のストロークエンドに到達してブレーキB2が係合ト
ルクを発生するようになる。これにより、入力回転速度
C0の同期タイミングとブレーキB2の係合タイミング
とがずれて、同期前にクラッチ容量が発生することによ
るオフアップショックや、同期後にクラッチ容量が発生
することによる引込み感の発生が抑制される。
【0060】特に、本実施例ではステップS7の存在に
より、ステップS5を満足する状態が継続して誤判定防
止用余裕値C1 だけ続いた場合に、ブレーキB2の油圧
シリンダ54に対する作動油の供給を開始するため、速
度センサの検出誤差などに起因する判断ミスが防止され
る。
【0061】次に、図1〜図8の構成は略同じで、変速
時の制御内容が異なる別の実施例を説明する。図12お
よび図13は、2→3アップシフト判断が為された場合
に、前記変速用電子制御装置178によって実行される
信号処理の内容を説明するフローチャートで、所定のサ
イクルタイムで繰り返し実行される。図14は、図12
および図13のアップシフト制御の実行時におけるタイ
ムチャートの一例で、アクセルペダル操作量ACCが0の
アクセルOFF時における2→3アップシフトに関する
ものであり、第2速ギヤ段を成立させているブレーキB
3は、アクセルペダル操作量ACCが略0になると前記リ
ニアソレノイドバルブSLUによる油圧制御で解放さ
れ、その後の時間t1 または第1発明によるタイミング
で2→3アップシフトのために前記2−3シフトバルブ
71が切り換えられてブレーキB2の油圧シリンダ54
に対する作動油の供給が開始される。この時間t1 は、
例えば前記図11の時間t4 に対応する。この図12、
図13のフローチャートに従って実行されるアップシフ
ト制御は、第2発明の実施例に相当し、ブレーキB2、
油圧シリンダ54はそれぞれ第2発明の摩擦係合装置、
油圧シリンダに相当する。
【0062】図12のステップR1では、2−3シフト
バルブ71が切り換えられて、ブレーキB2の油圧シリ
ンダ54に対する作動油の供給が開始されたか否かを、
例えばソレノイドバルブSL1の励磁、非励磁などによ
って判断する。そして、未だ供給が開始されていない場
合には、ステップR2を実行してオートインクリメント
カウンタ「CBARP」を0にするとともに、ステップ
R9で、スロットル弁開度指令値TAPを前記図7に示
すようなデータマップに従ってアクセルペダル操作量A
CCに応じて求められたアクセル対応値TAP1とする。
ステップR2でオートインクリメントカウンタ「CBA
RP」が0にされると、その後油圧シリンダ54に対す
る作動油の供給が開始されてステップR1の判断がYE
Sになり、ステップR2が実行されなくなることによ
り、供給開始後の経過時間がオートインクリメントカウ
ンタ「CBARP」によって計測される。また、スロッ
トル弁開度指令値TAPはエンジン用電子制御装置17
6に出力され、エンジン用電子制御装置176は、その
スロットル弁開度指令値TAPに従ってエンジン10の
スロットル弁156を開閉制御するとともに、燃料噴射
量制御等も併せておこなってエンジン出力を制御する。
【0063】ステップR3では、2→3アップシフト開
始時(ステップR1の判断がYESになった時)のアク
セルペダル操作量ACCが略0のオフアップか否かを、ア
クセルペダル操作量ACCや、ブレーキB3が既に解放さ
れているか否か、等によって判断し、オフアップでなけ
ればステップR9を実行するが、オフアップの場合はス
テップR4でフラグ「XTRQDWN」がOFFか否か
を判断する。フラグ「XTRQDWN」はスロットル制
限制御実行中を表すもので、初期値はOFFであり、本
制御の最初のサイクル時にはOFFで、続いてステップ
R5を実行する。
【0064】ステップR5では、スロットル弁開度指令
値TAPが予め設定された判定値A 2 より大きいか否か
を判断する。判定値A2 は、アクセルペダル150が踏
み込み操作されたか否かを判断するためのもので、ブレ
ーキB2がスリップ状態で判定値A2 に対応するエンジ
ントルクが作用しても摩擦材の耐久性を損なうことがな
い比較的小さな値が定められる。そして、TAP≦A2
であれば直ちにステップR7を実行するが、TAP>A
2 になるとステップR6を実行し、フラグ「XTRQD
WN」をONにするとともに、オートインクリメントカ
ウンタ「CTRQDWN」を0にする。フラグ「XTR
QDWN」がONになると、以後のサイクルでは前記ス
テップR4の判断がNOになって直ちに図13のステッ
プR10以下のスロットル制限制御が実行されるように
なり、ステップR6が実行されなくなるため、オートイ
ンクリメントカウンタ「CTRQDWN」は、ステップ
R5の判断がYESになってステップR6が実行された
後の経過時間、言い換えればスロットル弁開度指令値T
APが判定値A2 を越えた後のスロットル制限制御時間
を計測することになる。図14の時間t2 は、TAP>
2 になってステップR5の判断がYESになった時間
である。
【0065】ステップR7では、フラグ「XTRQDW
N」がONか否かを判断し、XTRQDWN=OFFの
時にはステップR9を実行するが、XTRQDWN=O
Nの時にはステップR8を実行する。ステップR8で
は、前記オートインクリメントカウンタCBARPの内
容に基づいて、例えば図15に示すような関係で予め定
められたデータマップや演算式等により、スロットル遅
延時間「CTAPDLY」を算出する。オートインクリ
メントカウンタ「CBARP」は、油圧シリンダ54に
対する作動油の供給開始からの経過時間を計測するもの
で、スロットル遅延時間「CTAPDLY」は、その経
過時間が長い程短い時間に設定される。このスロットル
遅延時間「CTAPDLY」は、ブレーキB2の摩擦材
の耐久性を損なうことがないように、アクセルペダル1
50の踏み込み操作に拘らず必要最小限だけエンジン1
0の出力増加を遅らせるためのもので、作動油供給開始
からの経過時間が長ければ、油圧シリンダ54のピスト
ンストロークは大きく、摩擦材の耐久性を損なうことが
ない所定のトルク容量が得られるまでの必要時間は短く
なるため、スロットル遅延時間「CTAPDLY」も短
くされる。スロットル遅延時間「CTAPDLY」が0
になれば、実質的にスロットル制限制御は行われず、作
動油の供給開始からアクセルペダル150の踏み込み操
作までの時間が短い場合だけ、スロットル制限制御が行
われることになる。このスロットル遅延時間「CTAP
DLY」はトルク制限時間に相当し、予め記憶装置18
8に記憶されている。
【0066】なお、オートインクリメントカウンタCB
ARPの内容(供給開始からの経過時間)が、ブレーキ
B2の摩擦材の耐久性を損なうことがないように予め定
められた一定値、例えば図14における時間(t4 −t
1 )など、に達するまで、アクセルペダル150の踏み
込み操作に拘らずエンジン10の出力増加を遅らせるよ
うにしても良い。また、前記ステップR5の判断がNO
の場合は直ちにステップR9を実行するようにして、ス
テップR7の判断を省略することもできる。
【0067】図13のステップR10では、オートイン
クリメントカウンタ「CTRQDWN」の内容すなわち
スロットル制限制御時間が、スロットル遅延時間「CT
APDLY」より小さいか否かを判断し、CTRQDW
N<CTAPDLYの間はステップR11でスロットル
弁開度指令値TAPを前記判定値A2 に固定する。これ
により、アクセルペダル150の踏み込み操作に拘らず
エンジン10の出力増大が制限され、そのエンジン10
の出力制限により自動変速機14に対する入力トルクが
制限されて、未だ十分なトルク容量を備えていないブレ
ーキB2の摩擦材の耐久性低下が回避される。変速用電
子制御装置178による一連の信号処理のうちステップ
R10およびR11を実行する部分は入力トルク制限手
段として機能している。
【0068】また、CTRQDWN≧CTAPDLYに
なると、ステップR12を実行し、スロットル弁開度指
令値TAPを、現在よりスロットル遅延時間「CTAP
DLY」だけ前のアクセルペダル操作量ACCに対応する
アクセル対応値TAP1に設定する。すなわち、スロッ
トル遅延時間「CTAPDLY」だけ遅らせて、アクセ
ルペダル操作量ACCの増加に対応させてスロットル弁開
度指令値TAPを速やかに増加させるのである。
【0069】図14の時間t4 は、ステップR10の判
断がNOになりステップR12が実行されるようになっ
た時間である。また、図14の時間t3 は、ブレーキB
2の油圧シリンダ54のピストンが係合側のストローク
エンドに到達した時間であり、係合油圧PB2が立ち上が
るとともに、アキュムレータ121の作用で漸増させら
れ、ブレーキB2のトルク容量(係合トルク)は、その
係合油圧PB2に対応して上昇させられる。前記スロット
ル遅延時間「CTAPDLY」は、少なくとも時間t3
よりも後にステップR10の判断がNOになるように、
ステップR14の油圧増圧補正を加味した油圧シリンダ
54のピストンのストローク時間等を考慮して予め実験
等により設定される。
【0070】ステップR13では、スロットル弁開度指
令値TAPが、現在のアクセルペダル操作量ACCに応じ
て求められるアクセル対応値TAP1以下になるよう
に、上限ガードを設ける。すなわち、TAP≦TAP1
以下であればそのままで、TAP>TAP1の時にはT
AP=TAP1に制限するのである。
【0071】また、ステップR14では、前記油圧制御
回路184のライン圧PLおよびB2アキュムレータコ
ントロール圧(背圧)Pacを一時的に増圧することによ
り、油圧シリンダ54に対して作動油が速やかに供給さ
れるようにする。具体的には、通常はライン圧PLおよ
びB2アキュムレータコントロール圧Pacはスロットル
弁開度指令値TAP、または実際のスロットル弁開度θ
THに応じてリニアソレノイドバルブSLTおよびSLN
によって制御されるが、ここでは実際のアクセルペダル
操作量ACCまたはその対応値TAP1に所定の補正係数
(1より大)を掛算して補正アクセル操作量TAP2を
求め、その補正アクセル操作量TAP2に基づいてライ
ン圧PLおよびB2アキュムレータコントロール圧Pac
を制御する。なお、アクセルペダル操作量ACCの変化が
0になったら、補正アクセル操作量TAP2は所定の変
化率で減少させられ、それに応じてライン圧PLおよび
B2アキュムレータコントロール圧Pacも漸減させられ
る。変速用電子制御装置178による一連の信号処理の
うちステップR14を実行する部分は油圧補正手段とし
て機能している。
【0072】ステップR15では、スロットル弁開度指
令値TAPがアクセル対応値TAP1より低い状態が予
め定められた判定時間D2 以上継続したか否か、或いは
スロットル弁開度指令値TAPが全開か否かを判断し、
何れか一方でも満足する場合はステップR16でフラグ
「XTRQDWN」をOFFにして、オフアップのアク
セル操作時におけるスロットル制限制御を終了する。判
定時間D2 は、運転者の微妙なアクセル操作によるスロ
ットル弁開度指令値TAPとアクセル対応値TAP1の
ハンチングによる制御の誤終了が生じないように予め設
定されている。
【0073】ここで、本実施例ではアクセルOFFの2
→3アップシフト中にアクセルペダル150が踏み込み
操作された場合で、スロットル遅延時間「CTAPDL
Y」として所定時間が設定される場合、すなわち油圧シ
リンダ54に対する作動油の供給開始から所定時間内に
アクセルペダル150が踏み込み操作された場合には、
そのスロットル遅延時間「CTAPDLY」だけスロッ
トル弁開度指令値TAPが判定値A2 に制限されるた
め、ブレーキB2の摩擦材の耐久性を損なう恐れがな
い。しかも、スロットル遅延時間「CTAPDLY」
は、ブレーキB2の摩擦材の耐久性を損なうことがない
必要最小限だけエンジン10の出力増加を遅らせるよう
に設定されているため、スロットル制限制御の時間が短
くなり、アクセルペダル150を踏み込み操作した時の
駆動力不足によるもたつき感が改善される。特に、その
スロットル制限制御中は、油圧制御回路184のライン
圧PLを高くして油圧シリンダ54に対する作動油の供
給速度を速くするようになっているため、ブレーキB2
が速やかに所定のトルク容量で係合させられるようにな
り、スロットル制限制御の時間が一層短くなって駆動力
不足が更に効果的に改善される。
【0074】また、作動油の供給開始からアクセル操作
までの経過時間に基づいてスロットル遅延時間「CTA
PDLY」が設定され、そのスロットル遅延時間「CT
APDLY」の間だけスロットル制限制御が行われるた
め、アクセル操作後のもたつきや係合要素の耐久性を気
にすることなく油圧シリンダ54に対する作動油の供給
タイミングを自由に設定することが可能で、オフアップ
ショックや引込み感等を改善(両立が可能)できる。
【0075】また、ブレーキB2の耐久性をスロットル
制御や油圧制御で確保できるため、摩擦材の枚数を低減
するなどハードの簡素化が可能で、重量、コスト、ばら
つき、信頼性、性能(変速ショック等)が向上する。
【0076】図16および図17は、1→2アップシフ
ト時にブレーキB3の油圧シリンダ52の油圧PB3がリ
ニアソレノイドバルブSLUによって直接圧制御される
場合に、前記変速用電子制御装置178によって実行さ
れる信号処理の内容を説明するフローチャートで、所定
のサイクルタイムで繰り返し実行される。図18は、直
接圧制御の基本パターンを示す図で、フェーズPH=1
〜9や、リニアソレノイドバルブSLUをデューティ制
御する際の指令値DSLUなどを詳しく説明する図であ
り、時間T2〜T5、T8、指令値DSLUの設定値D
2〜D4、指令値DSLUの変化率であるスウィープ量
ΔD5、ΔD6、ΔD8、ΔD9は予め記憶装置188
に記憶されている。それ等の値は一定値であっても良い
が、入力トルクに対応するスロットル弁開度θTHやアク
セルペダル操作量ACCなどをパラメータとするデータマ
ップや演算式等で記憶しておくこともできる。また、図
19は、1→2アップシフト制御の実行時における各部
の変化を示すタイムチャートの一例で、時間t1 は1→
2アップシフト指令が出力され、ブレーキB3の油圧シ
リンダ52に作動油が供給されるように前記1−2シフ
トバルブ70が切り換えられた時間である。1−2シフ
トバルブ70の切換えは、前記ソレノイドバルブSL2
の励磁、非励磁を切り換えることによって行われる。図
19から明らかなように、ブレーキB3の油圧シリンダ
52の係合油圧PB3は、指令値DSLUの変化に対して
所定の応答遅れDLを有する状態で略追従して変化させ
られる。
【0077】図16は、図18の基本パターンにおける
フェーズPHを決定するためのもので、前記1→2アッ
プシフト指令が出力されることによって実行が開始され
る。ステップQ1−1では制御実施中を表すフラグF1
がONか否かを判断し、ONであれば続いてステップQ
1−4以下を実行するが、フラグF1の初期値はOFF
であるため、最初のサイクル時にはOFFでステップQ
1−2を実行する。ステップQ1−2では、フェーズP
Hとして「2」を設定するとともに、タイマTim2をリ
セットして新たに計時を開始させる。また、ステップQ
1−3では、フラグF1をONにする。これにより、以
後のサイクルではステップQ1−1に続いてステップQ
1−4以下が実行されるようになる。
【0078】ステップQ1−4では、フェーズPH=2
で且つタイマTim2が設定時間T2を経過したか否かを
判断し、満足する場合、すなわちフェーズPH=2にな
って設定時間T2が経過した時には、ステップQ1−5
でフェーズPHとして「3」を設定するとともに、タイ
マTim3をリセットして新たに計時を開始させる。ステ
ップQ1−6、Q1−8、Q1−10、Q1−16で
も、それぞれステップQ1−4と同様にして次のフェー
ズPHへ移行するか否かの判断が為される。また、ステ
ップQ1−7、Q1−9では、ステップQ1−5と同様
にして次のフェーズPHとして「4」或いは「5」を設
定するとともに、タイマTim4或いはTim5をリセット
して新たに計時を開始させる。Q1−11、Q1−17
では、次のフェーズPHとして「6」或いは「9」を設
定する。
【0079】ステップQ1−12では、フェーズPHが
「4」〜「6」の何れかで且つイナーシャ相が開始した
か否かを判断し、満足する場合はステップQ1−13で
フェーズPHとして「7」を設定する。イナーシャ相が
始まったか否かは、例えば次式(2) を満足するか否かに
よって判断できる。(2) 式のγ1 は、第1速ギヤ段の変
速比で、A3 は、車速センサ166や入力軸回転センサ
173の検出誤差等による誤判定を防止するための誤判
定防止用余裕値である。図19の時間t2 は、イナーシ
ャ相が始まった時間で、この図19は、フェーズPH=
5の状態からフェーズPH=7へ移行した場合である。 NC0<NOUT ×γ1 −A3 ・・・(2)
【0080】ステップQ1−14では、フェーズPH=
7で且つ同期が近いか否かを判断し、満足する場合は、
ステップQ1−15でフェーズPHとして「8」を設定
するとともに、タイマTim8をリセットして新たに計時
を開始させる。同期が近いか否かは、例えば次式(3) を
満足するか否かによって判断できる。すなわち、入力回
転速度NC0の変化速度ΔNC0を例えば今回の入力回転速
度NC0n から前回のサイクル時の入力回転速度NC0n-1
を引き算するなどして算出するとともに、アップシフト
後の同期回転速度(NOUT ×γ2 )に到達するまでの同
期所要時間(N OUT ×γ2 −NC0)/ΔNC0を求め、そ
の同期所要時間が予め定められた判定値B3 以下になっ
たか否かによって判断するのである。出力回転速度N
OUT の変化速度ΔNOUT 、或いは同期回転速度の変化速
度Δ(NOUT ×γ2 )を求めて、更に高い精度で同期所
要時間を算出することもできる。 B3 >(NOUT ×γ2 −NC0)/ΔNC0 ・・・(3)
【0081】このようにしてフェーズPHが順次決定さ
れると、その決定されたフェーズPH毎に図17のフロ
ーチャートに従って指令値DSLUが制御される。図1
7のステップQ2−1ではフェーズPHが「1」か否か
を判断し、PH=1であればステップQ2−2において
今回の指令値DSLUi =D1にする。D1は予め定め
られた比較的小さな設定値であるが、今回の制御ではフ
ェーズPH=1はなく、従って設定値D1も使用されな
い。
【0082】ステップQ2−3ではフェーズPHが
「2」か否かを判断し、PH=2であればステップQ2
−4において今回の指令値DSLUi =D2にする。フ
ェーズPH=2は、油圧シリンダ52に対してファース
トフィルを行うための部分で、設定値D2は最大値など
比較的大きな値が設定される。
【0083】ステップQ2−5ではフェーズPHが
「3」か否かを判断し、PH=3であればステップQ2
−6において今回の指令値DSLUi =D3にする。フ
ェーズPH=3は、油圧シリンダ52のピストンがスト
ロークエンドに達する際にファーストフィルの残圧で急
係合ショックが出ないようにするための部分で、設定値
D2は、油圧PB3を低圧待機圧+α(微小値)相当まで
下げるように設定される。低圧待機圧は、ブレーキB3
を係合させることなく油圧シリンダ52のピストンを係
合側のストロークエンド付近に保持できる油圧である。
【0084】ステップQ2−7ではフェーズPHが
「4」か否かを判断し、PH=4であればステップQ2
−8において今回の指令値DSLUi を次式(4) に従っ
て設定する。フェーズPH=4は、油圧シリンダ52の
ピストンがストロークエンドに達した後に、イナーシャ
相が始まる直前の屈曲点油圧PB3 * (図19参照)まで
速やかに立ち上げる部分で、設定時間T4でその屈曲点
油圧PB3 * に対応する設定値(屈曲点指令値)D4まで
指令値DSLUi を速やかに上昇させるようにフィード
フォワード制御する。図19のスウィープ部SW1は、
このフェーズPH=4に相当する部分で、屈曲点指令値
D4に対応する屈曲点油圧PB3 * にイナーシャ相が始ま
る前に到達するように、応答遅れDLを考慮して時間T
4等が設定されている。上記屈曲点指令値D4および時
間T4は、入力トルクに対応するアクセルペダル操作量
CC或いはスロットル弁開度θTH等をパラメータとする
演算式やデータマップなどで設定されている。 DSLUi ={(D4−D3)/T4}×Tim+D3 ・・・(4)
【0085】ステップQ2−9ではフェーズPHが
「5」または「7」であるか否かを判断し、PH=5ま
たは7であればステップQ2−10において今回の指令
値DSLUi を次式(5) に従って設定する。フェーズP
H=5および7は、入力回転速度NC0の変化による変速
ショックを防止しつつできるだけ速やかに入力回転速度
C0を変化させる部分で、フェーズPH=4よりも緩や
かな一定のスウィープ量ΔD5で指令値DSLUi を変
化(増加)させるようにフィードフォワード制御する。
(5) 式のDSLUi-1 は、前回の指令値である。図19
はフェーズPH=5の状態でイナーシャ相が始まってフ
ェーズPH=7へ移行した場合で、スウィープ部SW2
は、これ等のフェーズPH=5(時間t2 より前)およ
び7(時間t 2 より後)に相当する。 DSLUi =DSLUi-1 +ΔD5 ・・・(5)
【0086】ステップQ2−11ではフェーズPHが
「6」か否かを判断し、PH=6であればステップQ2
−12において今回の指令値DSLUi を次式(6) に従
って設定する。フェーズPH=6は、前記図16のステ
ップQ1−10〜Q1−12から明らかなように、フェ
ーズPH=5になって時間T5が経過してもイナーシャ
相が始まらない場合に設けられるもので、速やかにイナ
ーシャ相が始まるようにフェーズPH=5のスウィープ
量ΔD5よりも大きなスウィープ量ΔD6で指令値DS
LUi を変化(増加)させるようにフィードフォワード
制御する。なお、このフェーズPH=6を省略すること
もできる。 DSLUi =DSLUi-1 +ΔD6 ・・・(6)
【0087】ステップQ2−13ではフェーズPHが
「8」か否かを判断し、PH=8であればステップQ2
−14において今回の指令値DSLUi を次式(7) に従
って設定する。フェーズPH=8は、入力回転速度NC0
がアップシフト後の同期回転速度に近づいた時に、係合
終期のトルクのゆり返しが出ないようにするための部分
で、一定のスウィープ量ΔD8で指令値DSLUi を変
化(減少)させるようにフィードフォワード制御する。 DSLUi =DSLUi-1 −ΔD8 ・・・(7)
【0088】ステップQ2−15ではフェーズPHが
「9」か否かを判断し、PH=9であればステップQ2
−16において今回の指令値DSLUi を次式(8) に従
って設定する。フェーズPH=9は、入力回転速度NC0
が同期回転速度に達するとともにブレーキB3が完全係
合して1→2アップシフトが終了した後に油圧PB3をラ
イン圧PLまで上昇させる部分で、一定のスウィープ量
ΔD9で指令値DSLU i を変化(増加)させるように
フィードフォワード制御する。図19の時間t3は、入
力回転速度NC0が同期回転速度に達するとともにブレー
キB3が略完全係合させられ、1→2アップシフトが略
終了した時間であり、図ではフェーズPH=9の開始時
と略一致している。 DSLUi =DSLUi-1 +ΔD9 ・・・(8)
【0089】このように本実施例では、トルク相中の油
圧勾配(スウィープ部SW1)とイナーシャ相中の油圧
勾配(スウィープ部SW2)との切換えをフィードフォ
ワード制御で行うとともに、スウィープ部SW1だけで
なくスウィープ部SW2についてもフィードフォワード
制御で行っているため、例えば図20に示すように入力
回転速度NC0の変化からイナーシャ相の開始を検出して
油圧勾配を切り換えたり、スウィープ部SW2を入力回
転速度NC0が所定の変化率で変化するようにフィードバ
ック制御したりする場合に比較して、応答遅れDLに起
因する変速ショックやブレーキB3の摩擦材の耐久性低
下等を防止できる。応答遅れDLの影響を少なくするた
めにトルク相の油圧勾配を寝かせると、トルク相時間が
長くなって変速フィーリングや摩擦材の耐久性が悪化す
るが、本実施例では油圧勾配を寝かせることなく応答遅
れDLを考慮した制御が可能である。
【0090】一方、上記トルク相中の油圧勾配(スウィ
ープ部SW1)とイナーシャ相中の油圧勾配(スウィー
プ部SW2)との切換えが、個体差や経時変化などに拘
らず常に適切なタイミングで行われるように、前記屈曲
点指令値D4(屈曲点油圧P B3 * に対応)は学習補正さ
れるようになっている。すなわち、図21に示すように
指令値DSLUが屈曲点指令値D4に到達する指令値屈
曲時間をST、イナーシャ相が始まるイナーシャ相開始
時間をITとした場合、指令値屈曲時間STを基準とし
て下限時間ATと上限時間BTとの間にシナーシャ相開
始時間ITが入るように、例えば記憶装置188にスロ
ットル弁開度θTHをパラメータとして記憶されている屈
曲点指令値D4のデータマップを書き換えるのである。
指令値屈曲時間STは、前記フェーズPH=4が終了し
てステップQ1−8がYESになった時間で、イナーシ
ャ相開始時間ITは、前記ステップQ1−12がYES
になった時間である。
【0091】上記屈曲点指令値D4の学習補正について
具体的に説明すると、図22の(a)は指令値屈曲時間S
Tよりも前にイナーシャ相が始まった場合で、イナーシ
ャ相開始時間ITから応答遅れDLを考慮した油圧レベ
ル、すなわちイナーシャ相開始時間ITよりも応答遅れ
DLだけ前の指令値DSLUと、屈曲点指令値D4との
差ΔD1 に基づいて、予め定められた演算式から補正量
(この場合は減算値)を求め、記憶装置188にスロッ
トル弁開度θTHをパラメータとして記憶されている屈曲
点指令値D4のデータマップのうち対応するものを補正
する。演算式は、例えば差ΔD1 が大きい程補正量(減
算値)が大きくなるように定められる。
【0092】図22の(b) は、指令値屈曲時間STから
下限時間ATに達する前にイナーシャ相が始まった場合
で、イナーシャ相開始時間ITにおける油圧レベルと下
限時間ATにおける油圧レベルとの差ΔD2 に基づい
て、予め定められた演算式から補正量(この場合は減算
値)を求め、記憶装置188にスロットル弁開度θTH
パラメータとして記憶されている屈曲点指令値D4のデ
ータマップのうち対応するものを補正する。演算式は、
例えば差ΔD2 が大きい程補正量(減算値)が大きくな
るように定められる。
【0093】図22の(c) は、指令値屈曲時間STから
上限時間BTを経過した後にイナーシャ相が始まった場
合で、イナーシャ相開始時間ITにおける油圧レベルと
上限時間BTにおける油圧レベルとの差ΔD3 に基づい
て、予め定められた演算式から補正量(この場合は加算
値)を求め、記憶装置188にスロットル弁開度θTH
パラメータとして記憶されている屈曲点指令値D4のデ
ータマップのうち対応するものを補正する。演算式は、
例えば差ΔD3 が大きい程補正量(加算値)が大きくな
るように定められる。なお、前記フェーズPH=6が発
生したか否かによって補正量の演算式を変えるようにし
ても良い。
【0094】イナーシャ相開始時間ITが、指令値屈曲
時間STを基準として下限時間ATと上限時間BTとの
間に入っている場合は、屈曲点指令値D4の補正を行わ
ない。
【0095】屈曲点指令値D4のデータマップの書換え
に際しては、例えば図23の領域QEのように、スロッ
トル弁開度θTHの増減に対して屈曲点指令値D4の増減
が一定の関係を有する領域では、その相関関係を維持す
るように学習補正することが望ましい。すなわち、領域
QEでは、スロットル弁開度θTHが大きくなるに従って
屈曲点指令値D4も大きくなる相関関係があるが、例え
ば図24の(a) のような補正が行われると、その相関関
係が成り立たなくなる。このため、図24(b)に示すよ
うに、上記相関関係が維持されるように、領域Q内の他
の屈曲点指令値D4についても書き換えるのである。
【0096】このように屈曲点指令値D4を学習補正す
ると、個体差や経時変化などに拘らず指令値屈曲時間S
Tに対して常に所定のタイミングでイナーシャ相が開始
されるため、個体差や経時変化に起因してイナーシャ相
の発生タイミングがずれることにより、変速ショックが
発生したりブレーキB3の摩擦材の耐久性が低下したり
することが防止される。
【0097】また、アクセルOFF等のパワーOFF時
には、変速の遅れやアキュームエンドショックを気にす
ることなくショックを優先して油圧勾配を寝かせること
ができる。
【0098】また、スロットル弁開度θTHが略全閉の極
低開度の屈曲点指令値D4(或いは屈曲点油圧PB3 *
から、入力トルクに相当する油圧分を差し引くことで、
ブレーキB3の油圧シリンダ52のピストンストローク
に必要な低圧待機圧を学習できる。
【0099】また、イナーシャ相開始タイミングのばら
つきが減るため、回転速度センサだけでは検出が困難で
あったトルク相の進行度合いを推定でき、各種変速制
御、例えばイナーシャ相開始直前からのトルクダウン制
御の開始など、に利用できる。トルク相検出用のセンサ
を廃止することによりコストダウンを図ることも可能で
ある。
【0100】また、最適な屈曲点指令値D4(或いは屈
曲点油圧PB3 * )を学習することで、その屈曲点指令値
D4(或いは屈曲点油圧PB3 * )を用いたその他の制
御、例えば変速中のアクセルペダル150の踏み増し踏
み戻しやブレーキB3解放後の再係合時制御等、の実施
時のショックやばらつきが低減される。
【0101】なお、ブレーキB2等のアキュムレータ付
き油圧機構においても、油圧センサまたは油圧推定ロジ
ックを用いて屈曲点を検出し、ライン圧またはアキュム
レータ背圧を学習補正することができる。
【0102】また、フェーズPH=4の油圧勾配(指令
値勾配)を一定にするとともに、スウィープ時間T4を
学習によって補正するようにしても良いし、スウィープ
時間T4を一定にするとともに、油圧勾配(指令値勾
配)を学習によって補正するようにしても良い。
【0103】図25は、上記1→2アップシフト時にエ
ンジン10のトルクダウン制御を行う場合を説明するタ
イムチャートで、予想されるイナーシャ相開始タイミン
グよりも前にフィードフォワード的にトルクダウンを開
始し、且つその時のトルクダウン量も徐々に大きくして
いくことで、変速ショックおよびブレーキB3の摩擦材
の耐久性が改善される。これは、上記屈曲点指令値D4
の学習補正、或いはスウィープ時間T4またはフェーズ
PH=4の油圧勾配(指令値勾配)の学習補正、言い換
えれば指令値屈曲時間STから常に所定のタイミングで
イナーシャ相が開始されるように、ブレーキB3の油圧
シリンダ52の直接圧制御が学習補正されること、を前
提として行われるものである。
【0104】具体的に説明すると、変速出力時間t1
基準として、前記イナーシャ相開始時間ITまでの時間
(A5 +B5 )を予測するとともに、その予測時間(A
5 +B5 )から予め設定された前出し時間C5 を差し引
いた時間(A5 +B5 −C5)が、変速出力時間t1
ら経過した時点でトルクダウン制御を開始する。時間A
5 は、前記フェーズPH=4が終了する時間で、設定時
間T2、T3、およびT4を加算すれば良い。また、時
間B5 は、指令値屈曲時間STからイナーシャ相開始時
間ITまでの時間で、屈曲点指令値D4の学習補正が前
記図21、図22のように行われる場合には、下限時間
ATと上限時間BTとの平均値(AT+BT)/2、或
いは摩擦材の耐久性低下を確実に防止する場合には下限
時間ATを用いれば良い。エンジン10のトルクダウン
制御は、例えばスロットル弁156の閉じ制御で行うこ
とができる。
【0105】このようにすれば、ブレーキB3の摩擦材
の耐久性に大きく影響するイナーシャ相の開始前後にお
ける入力トルクを確実に低下させることができる。
【0106】また、イナーシャ相開始前からトルクダウ
ンを開始するため、係合油圧PB3を多少下げても「ブレ
ーキB3の係合トルク>入力トルク」の関係がトルクダ
ウン後速やかに達成できるようになり、耐久性とショッ
クを両立できる範囲が広がる。これにより、例えば摩擦
材の枚数を低減するなど、耐久性確保のためのコストを
削減できる。
【0107】また、このようにイナーシャ相の開始を予
測して、それよりも前からトルクダウンを開始するた
め、スロットル閉じ制御など応答性の悪いトルクダウン
手法でも、を応答遅れを見込んでフィードフォワード的
に開始することで、効果的に活用できる。スロットル閉
じ制御によるトルクダウンは、応答性は悪いが、確実に
且つ高い信頼性でトルクダウン制御を行うことができ
る。
【0108】図26は、図16以下の実施例においてア
クセルOFFか否かによって前記ブレーキB3の係合状
態を変更する場合に、前記変速用電子制御装置178に
よって実行される信号処理の内容を説明するフローチャ
ートで、所定のサイクルタイムで繰り返し実行される。
図27は、図26の制御実行時におけるタイムチャート
の一例で、スロットル弁開度θTHが開いているパワーO
Nの時間t1 において1→2アップシフト指令が出力さ
れて1−2シフトバルブ70が切り換えられ、時間t2
においてスロットル弁開度θTHが略全閉となり、時間t
3 で再びアクセルペダル150が踏み込み操作された場
合である。この図26のフローチャートに従って実行さ
れるアップシフト制御は、第3発明の実施例に相当し、
ブレーキB3、油圧シリンダ52はそれぞれ第3発明の
摩擦係合装置、油圧シリンダに相当し、油圧PB3を直接
圧制御するリニアソレノイドバルブSLUおよび前記B
−3コントロールバルブ78は調圧装置に相当する。ま
た、変速用電子制御装置178による一連の信号処理の
うち図26の各ステップQ3−1〜Q3−6を実行する
部分は係合解放制御手段として機能している。
【0109】図26は、前記図16、図17のフローチ
ャートの実行時に並行して実行され、ステップQ3−1
ではスロットルセンサ164のアイドル接点がONか否
かを判断し、ONすなわちスロットル弁開度θTHが略全
閉のアクセルOFFの場合はステップQ3−5でブレー
キB3を解放するとともに、ステップQ3−6でフラグ
F2をONにする。ステップQ3−5のブレーキB3の
解放は、前記リニアソレノイドバルブSLUによる油圧
制御により油圧シリンダ52のピストンを低圧待機、す
なわちブレーキB3を係合させることなく油圧シリンダ
52のピストンを係合側のストロークエンド付近に保持
するもので、低圧待機指令値DX は、スロットル弁開度
θTHが略全閉の極低開度の屈曲点指令値D4から入力ト
ルクに相当する油圧分を差し引いた値に設定される。屈
曲点指令値D4は学習補正されるため、油圧シリンダ5
2のピストンを高い精度で低圧待機状態に保持できる。
上記ステップQ3−5は、図16、図17のフローチャ
ートに割り込んで優先的に実施され、図27はフェーズ
PH=5または7の時にステップQ3−5が実施されて
指令値DSLUが低圧待機指令値DX まで下降させられ
た場合である。
【0110】一方、ステップQ3−1がNOの場合、す
なわちアイドル接点がOFFのアクセルON時には、ス
テップQ3−2を実行し、フラグF2がONか否かを判
断する。フラグF2の初期値はOFFで、アクセルON
のアップシフトの場合には最初はOFFでそのまま終了
するが、アクセルOFFのアップシフト(オフアップ)
の途中でアクセルペダル150が踏み込み操作された場
合、或いはアクセルONのアップシフトの途中でアクセ
ルOFFになり、その後再びアクセルペダル150が踏
み込み操作された場合には、フラグF2はONであり、
続いてステップQ3−3以下を実行する。
【0111】ステップQ3−3では、フェーズPHとし
て「4」を設定するとともに、タイマTim4を0にリセ
ットして新たに計時を開始させる。また、次のステップ
Q3−4ではフラグF2をOFFにする。したがって、
その後はフェーズPH=4の状態から前記図16、図1
7による直接圧制御が行われることになり、ブレーキB
3が速やかに係合させられる。
【0112】ところで、アクセルペダル150の踏み込
み操作時には、そのアクセルペダル操作量ACCに対応す
るスロットル弁開度θTHは、図27に示すように急激に
変化するのが普通であるが、このようなスロットル弁開
度θTHの変化時には、エンジン10の応答遅れに相当す
るなましを加えた補正スロットル弁開度θTH2を用いて
屈曲点指令値D4を設定する。また、フェーズPH=4
における指令値DSLUi の設定に際しては、1サイク
ル毎に上昇する補正スロットル弁開度θTH2に基づいて
1サイクル毎に屈曲点指令値D4を求め、その屈曲点指
令値D4を前記(4) 式に代入して指令値DSLUi を算
出する。例えば、図28の(a) の実線は、フェーズPH
=4の過程でスロットル弁開度θTH(或いは補正スロッ
トル弁開度θTH2)がθTHa からθTHb まで変化した場
合の指令値DSLUを示す図で、最初はθTHa に対応す
る屈曲点指令値D4a を用いて指令値DSLUi が算出
されるが、スロットル弁開度θTH(或いはθTH2)の変
化に伴って屈曲点指令値D4も変化し、最後にはθTHb
に対応する屈曲点指令値D4b になる。これにより、ス
ロットル弁開度θTHの変化時においても常に適切な屈曲
点指令値D4に向かって指令値DSLUが上昇させら
れ、その屈曲点指令値D4に到達する指令値屈曲時間S
Tを基準として所定のタイミングでイナーシャ相が開始
される。
【0113】本実施例においては、1→2アップシフト
時にアクセルONの場合には油圧シリンダ52に作動油
を供給してブレーキB3を係合させるが、アクセルOF
Fの場合には油圧シリンダ52が解放されるため、一方
向クラッチを備えていない場合でもエンジンブレーキ状
態になって車両が減速する恐れがない。すなわち、前記
クラッチC0を係合させたままブレーキB3を係合させ
ると、エンジン10の回転低下に伴ってエンジンブレー
キ(負トルク)が発生し、クラッチC0を解放すれば一
方向クラッチF0の滑りでエンジンブレーキが作用しな
くなるのであるが、本実施例では、ブレーキB3を解放
することにより入力回転速度NC0が同期回転速度(N
OUT ×γ2 )を越えて低下することが許容され、エンジ
ンブレーキが発生することが防止されるのである。した
がって、1→2アップシフト時に一々クラッチC0を解
放する必要がなくなる。
【0114】また、上記ブレーキB3の解放時には、油
圧シリンダ52に供給される油圧P B3が低圧待機指令値
X に対応する低圧待機圧に制御され、油圧シリンダ5
2のピストンが係合時のストロークエンド付近に保持さ
れるため、アクセルペダル150が踏み込み操作された
場合にはブレーキB3を速やかに係合させて第2速ギヤ
段を成立させ、速やかに駆動力を発生させることができ
る。
【0115】なお、上記実施例は1→2アップシフト時
のものであるが、第2速ギヤ段の走行中においても同様
な係合解放制御を行うことが可能である。
【0116】以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳
細に説明したが、これ等はあくまでも一実施形態であ
り、例えば前記実施例では2→3アップシフトおよび1
→2アップシフトについて説明したが、自動変速機の構
成によっては他のアップシフトにも適用され得るなど、
本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更,改良を加
えた態様で実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用された車両の動力伝達装置の構成
を説明する骨子図である。
【図2】図1の車両に設けられた自動変速機において、
複数のギヤ段とそれを達成するための油圧式摩擦係合装
置の作動の組み合わせとの関係を説明する図表である。
【図3】図1の車両において、エンジンおよび自動変速
機を制御するための制御装置の電気的構成を説明するブ
ロック線図である。
【図4】図3の油圧制御回路の一部を示す図である。
【図5】図3のシフトレバーのシフトパターンを示す図
である。
【図6】図3のアップレンジスイッチおよびダウンレン
ジスイッチが設けられたステアリングホイールの側面図
である。
【図7】図3のスロットルアクチュエータを制御するた
めの特性であって、アクセルペダル操作量ACCとスロッ
トル弁開度θTHとの関係を示す図である。
【図8】図3の変速用電子制御装置により変速制御に用
いられる変速線図を示す図である。
【図9】図1の装置において2→3アップシフトが行わ
れる際の変速時制御を説明するフローチャートである。
【図10】図9の続きを説明するフローチャートであ
る。
【図11】図9、図10のフローチャートに従って変速
制御が行われた場合の各部の変化を示すタイムチャート
の一例である。
【図12】図1の装置において2→3アップシフトが行
われる際の変速時制御の別の例を説明するフローチャー
トである。
【図13】図12の続きを説明するフローチャートであ
る。
【図14】図12、図13のフローチャートに従って変
速時制御が行われた場合の各部の変化を示すタイムチャ
ートの一例である。
【図15】図12のステップR8で算出されるスロット
ル遅延時間CTAPDLYとカウンタCBARPとの関
係を説明する図である。
【図16】図1の装置において1→2アップシフトが行
われる際の変速時制御を説明するフローチャートで、ブ
レーキB3の直接圧制御を行う際のフェーズPHを決定
するためのものである。
【図17】図16で決定された各フェーズPH毎に直接
圧制御を行うリニアソレノイドバルブの指令値DSLU
を設定する際の作動を説明するフローチャートである。
【図18】図16、図17のフローチャートに従って制
御される直接圧制御の基本パターンを説明する図であ
る。
【図19】図16、図17のフローチャートに従って直
接圧制御が行われた場合の各部の変化を示すタイムチャ
ートの一例である。
【図20】フィードバック制御を用いて直接圧制御を行
った場合のタイムチャートの一例で、図19に対応する
図である。
【図21】図16、図17の直接圧制御における屈曲点
指令値D4の学習補正を説明するための図である。
【図22】図21の学習補正を具体的に説明する図であ
る。
【図23】図21の学習補正において、スロットル弁開
度θTHをパラメータとして記憶されている屈曲点指令値
D4のデータマップの一例を説明する図である。
【図24】図23のデータマップを学習補正で書き換え
る際に、基本的な相関関係を維持する場合を説明する図
である。
【図25】1→2アップシフト時にトルクダウン制御が
行われる場合の各部の変化を示すタイムチャートの一例
である。
【図26】図16、図17の1→2アップシフトの直接
圧制御において、アクセルOFF時にブレーキB3を解
放する場合の作動を説明するフローチャートである。
【図27】図26の制御が行われた場合の各部の変化を
示すタイムチャートの一例である。
【図28】図17のステップQ2−8で指令値DSLU
i を設定する際にスロットル弁開度θTHが変化した場合
を説明する図で、(a) は指令値DSLUの変化を示す
図、(b) は屈曲点指令値D4とスロットル弁開度θTH
の関係を説明する図である。
【符号の説明】 14:自動変速機 52、54:油圧シリンダ 7
8:B−3コントロールバルブ(調圧装置) 15
0:アクセルペダル(アクセル操作部材) 178:
変速用電子制御装置 184:油圧制御回路 18
8:記憶装置(ストローク時間記憶装置) B2、B
3:ブレーキ(摩擦係合装置) SLU:リニアソレ
ノイドバルブ(調圧装置) NC0:入力回転速度
OUT :出力回転速度 A1 :同期所要時間
1 :ストローク時間 ステップS4:同期時間推定手段 ステップS5〜S9、S17〜S19:供給開始制御手
段 ステップR11、R12:入力トルク制限手段 ステップR14:油圧補正手段 ステップQ3−1〜Q3−6:係合解放制御手段

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 油圧シリンダによって摩擦係合装置が係
    合させられることにより、変速比が小さい所定のギヤ段
    へアップシフトさせられる自動変速機と、 前記油圧シリンダに作動油を供給して前記摩擦係合装置
    を係合させる油圧制御回路と、 を有する車両用の自動変速機の制御装置において、 パワーOFF状態のアップシフト中に、前記自動変速機
    の入力回転速度が該アップシフト後の同期回転速度に到
    達するまでの同期所要時間を推定する同期時間推定手段
    と、 前記油圧シリンダのピストンストロークに要するストロ
    ーク時間が予め記憶されたストローク時間記憶装置と、 前記同期時間推定手段によって推定された同期所要時間
    と、前記ストローク時間記憶装置に記憶された前記スト
    ローク時間とを比較して、前記油圧シリンダに対する作
    動油の供給開始時間を制御する供給開始制御手段と、 を有することを特徴とする車両用自動変速機の制御装
    置。
  2. 【請求項2】 油圧シリンダによって摩擦係合装置が係
    合させられることにより、変速比が小さい所定のギヤ段
    へアップシフトさせられる自動変速機と、 前記油圧シリンダに作動油を供給して前記摩擦係合装置
    を係合させる油圧制御回路と、 を有する車両用の自動変速機の制御装置において、 パワーOFF状態のアップシフト中にアクセル操作部材
    が増大操作された場合には、前記摩擦係合装置の耐久性
    を損なうことがない所定のトルク容量を確保するために
    必要な間だけ入力トルクを制限する入力トルク制限手段
    と、 該入力トルク制限手段によって入力トルクが制限される
    時に、前記油圧制御回路の油圧を高くして前記油圧シリ
    ンダに対する作動油の供給速度を速くする油圧補正手段
    と、 を有することを特徴とする車両用自動変速機の制御装
    置。
  3. 【請求項3】 油圧シリンダによって摩擦係合装置が係
    合させられることにより、変速比が小さい所定のギヤ段
    へアップシフトさせられる自動変速機と、 前記油圧シリンダに作動油を供給して前記摩擦係合装置
    を係合させるとともに、該油圧シリンダに供給する作動
    油の油圧を制御する調圧装置を備えている油圧制御回路
    と、 を有する車両用の自動変速機の制御装置において、 アップシフト時にアクセルONの場合には前記油圧シリ
    ンダに作動油を供給して前記摩擦係合装置を係合させる
    が、アクセルOFFの場合には前記油圧シリンダのピス
    トンを係合時のストロークエンド近傍に保持しながら前
    記摩擦係合装置を解放するように前記調圧装置によって
    油圧を制御する係合解放制御手段を有することを特徴と
    する車両用自動変速機の制御装置。
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