JP3427792B2 - 車両用自動変速機の制御装置 - Google Patents
車両用自動変速機の制御装置Info
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- Control Of Vehicle Engines Or Engines For Specific Uses (AREA)
Description
制御装置に係り、特に、自動変速機の入力回転速度が所
定のギヤ段の同期回転速度よりも低い状態からその所定
のギヤ段を成立させるダウンシフト的な制御に関するも
のである。
が係合させられることにより所定のギヤ段が成立させら
れる自動変速機と、(b) 前記油圧シリンダに作動油を供
給して前記摩擦係合装置を係合させるとともに、その油
圧シリンダの油圧を制御する調圧装置を備えている油圧
制御回路と、を有する車両用の自動変速機が広く知られ
ている。特開平5−312261号公報に記載されてい
る装置はその一例で、高速側ギヤ段から一方向クラッチ
を備えていない低速側ギヤ段へダウンシフトする際に
は、高速側ギヤ段を成立させている高速段側摩擦係合装
置を解放するとともに、低速側ギヤ段を成立させる低速
段側摩擦係合装置を係合させる、所謂クラッチツウクラ
ッチ変速が行われるようになっており、入力回転速度が
所定の変化速度で変化するように高速段側摩擦係合装置
の油圧をフィードバック制御するとともに、低速段側摩
擦係合装置を低圧待機状態に保持し、入力回転速度が同
期回転速度に略到達したら高速段側摩擦係合装置を解放
するとともに低速段側摩擦係合装置を完全係合させるよ
うにしている。
うな従来のクラッチツウクラッチ変速においては、2つ
の摩擦係合装置の油圧制御を同時に行う必要があり、制
御が複雑である。また、例えば高速側ギヤ段へのアップ
シフト指令が出力された後、比較的短時間で低速側ギヤ
段へのダウンシフト指令が為された場合、高速段側摩擦
係合装置の油圧シリンダ(アキュムレータを備えている
場合はアキュムレータを含む)が係合側のストロークエ
ンドに達していないと適切なクラッチツウクラッチ変速
を行うことができないため、一旦高速側ギヤ段を成立さ
せた後低速側ギヤ段へダウンシフトする必要があり、変
速時間が長くなる。
もので、その目的とするところは、自動変速機の入力回
転速度が所定のギヤ段の同期回転速度よりも低い状態か
らその所定のギヤ段を成立させるダウンシフト的な制御
において、その所定のギヤ段を成立させる摩擦係合装置
の係合制御のみで、そのダウンシフト的な制御が滑らか
に行われるようにすることにある。
めに、第1発明は、摩擦係合装置が係合させられること
により所定のギヤ段が成立させられる車両用自動変速機
の制御装置において、前記自動変速機の入力回転速度が
前記所定のギヤ段の同期回転速度よりも低い状態からそ
の所定のギヤ段を成立させる際に、その入力回転速度が
その同期回転速度を上回った後に滑らかにその同期回転
速度に近づくように、アップシフト時と同様な制御を適
用して前記摩擦係合装置の係合力を制御するオーバシュ
ート係合制御手段を有することを特徴とする。
ることにより所定のギヤ段が成立させられる車両用自動
変速機の制御装置において、(a) 前記自動変速機の入力
回転速度が前記所定のギヤ段の同期回転速度よりも低い
状態からその所定のギヤ段を成立させる際に、その入力
回転速度がその同期回転速度を上回った後に滑らかにそ
の同期回転速度に近づくように、前記摩擦係合装置の係
合力を制御するオーバシュート係合制御手段を有する一
方、(b) 前記摩擦係合装置は油圧シリンダによって摩擦
係合させられるもので、その油圧シリンダの油圧は調圧
装置によって制御されるようになっており、(c) 前記オ
ーバシュート係合制御手段は、フィードフォワード制御
により前記調圧装置を介して前記油圧を制御するもの
で、前記入力回転速度が前記同期回転速度に到達するま
での同期所要時間を求め、予めストローク時間記憶装置
に記憶された前記油圧シリンダのピストンストロークに
要するストローク時間と比較することにより、その入力
回転速度がその同期回転速度を上回った後にその同期回
転速度に近づくように、その油圧シリンダに対する作動
油の供給開始時間を決定する供給開始時間判断手段を備
えていることを特徴とする。
の制御装置において、(a) パワーOFF時に手動による
ダウンシフト操作に従って前記所定のギヤ段を成立させ
る際に、前記オーバシュート係合制御手段による油圧制
御とは異なる油圧制御で前記摩擦係合装置を係合させる
手動変速時係合制御手段と、(b) その手動変速時係合制
御手段による変速過程でアクセル操作部材が増大操作さ
れた時には、前記油圧シリンダ内の作動油をドレーンし
て前記摩擦係合装置を解放した後に、前記オーバシュー
ト係合制御手段による該摩擦係合装置の係合制御へ移行
させる移行時解放手段と、を有することを特徴とする。
駆動源から車輪側へ駆動力が伝達されない状態で、運転
者の要求出力が無いアクセルOFF、すなわちアクセル
ペダル等のアクセル操作部材が操作されていない場合は
勿論、車速に比べてアクセル操作部材の操作量が少なく
て車輪側へ駆動力が伝達されない場合も含む。また、
「アクセル操作部材の増大操作」は、運転者の要求出力
が増大してより多くの出力を発生させるための操作を意
味する。
両用自動変速機の制御装置において、前記オーバシュー
ト係合制御手段は、前記所定のギヤ段へのコーストダウ
ンシフト時に前記摩擦係合装置をオーバシュート係合さ
せるもので、前記入力回転速度が前記同期回転速度以下
の間はその摩擦係合装置が係合力を発生しないように制
御することを特徴とする。
者の要求出力が無いアクセルOFFの惰行走行の状態
で、車速の低下に伴って変速比が大きい低速側ギヤ段
(所定のギヤ段)へ変速することを意味し、通常はエン
ジンブレーキが発生しないようになっている。また、
「オーバシュート係合」とは、第1発明に記載のように
入力回転速度が所定のギヤ段の同期回転速度よりも低い
状態からその同期回転速度を上回った後に滑らかにその
同期回転速度に近づくように、摩擦係合装置を係合させ
る制御を意味する。
両用自動変速機の制御装置において、前記所定のギヤ段
へのコーストダウンシフトの過程で、アクセルOFFの
間は前記摩擦係合装置を解放状態に維持し、アクセルO
Nになった場合に前記オーバシュート係合制御手段によ
ってその摩擦係合装置の係合制御が行われることを特徴
とする。
力に従ってアクセルペダル等のアクセル操作部材が操作
されたことを意味し、「アクセルOFF」は、運転者の
要求出力が無くてアクセル操作部材が操作されていない
ことを意味する。
両用自動変速機の制御装置において、(a) 前記摩擦係合
装置が係合している前記所定のギヤ段での走行時にパワ
ーOFFになった場合にその摩擦係合装置を解放するパ
ワーOFF時解放手段を備えており、(b) 前記オーバシ
ュート係合制御手段は、前記パワーOFF時解放手段に
よって前記摩擦係合装置が解放された状態でアクセル操
作部材が増大操作された場合にその摩擦係合装置をオー
バシュート係合させるものであることを特徴とする。
においては、自動変速機の入力回転速度が所定のギヤ段
の同期回転速度よりも低い状態からその所定のギヤ段を
成立させるダウンシフト的な制御に際して、その入力回
転速度がその同期回転速度を上回った後に滑らかにその
同期回転速度に近づくように、オーバシュート係合制御
手段によりアップシフト時と同様な制御を適用して摩擦
係合装置の係合力が制御されるため、その摩擦係合装置
の係合制御のみで滑らかに所定のギヤ段を成立させるこ
とができる。
合制御のみでダウンシフト的な制御を行うことができる
ため、例えば高速側ギヤ段へのアップシフト指令が出力
された後、比較的短時間で低速側ギヤ段(所定のギヤ
段)へのダウンシフト指令が為された場合には、高速側
ギヤ段を成立させることなく上記摩擦係合装置の係合制
御により直ちに低速側ギヤ段を成立させることが可能
で、変速時間を短縮できる。
転速度が所定のギヤ段の同期回転速度よりも低い状態か
らその所定のギヤ段を成立させるダウンシフト的な制御
に際して、その入力回転速度がその同期回転速度を上回
った後に滑らかにその同期回転速度に近づくように、オ
ーバシュート係合制御手段によって摩擦係合装置の係合
力が制御されるため、同期回転速度を上回った後の係合
制御では例えばアップシフト時と同様な制御を適用する
ことが可能であるなど、その摩擦係合装置の係合制御の
みで滑らかに所定のギヤ段を成立させることができる。
また、このように単一の摩擦係合装置の係合制御のみで
ダウンシフト的な制御を行うことができるため、例えば
高速側ギヤ段へのアップシフト指令が出力された後、比
較的短時間で低速側ギヤ段(所定のギヤ段)へのダウン
シフト指令が為された場合には、高速側ギヤ段を成立さ
せることなく上記摩擦係合装置の係合制御により直ちに
低速側ギヤ段を成立させることが可能で、変速時間を短
縮できる。 一方、摩擦係合装置が油圧シリンダによって
摩擦係合させられるとともに、オーバシュート係合制御
手段は、フィードフォワード制御によって油圧シリンダ
の油圧を制御するようになっている一方、入力回転速度
が同期回転速度に到達するまでの同期所要時間と油圧シ
リンダのストローク時間とを比較することにより、入力
回転速度が同期回転速度を上回った後にその同期回転速
度に近づくように、具体的には入力回転速度が同期回転
速度に略到達した時、またはその同期回転速度を上回っ
た後に、油圧シリンダのピストンが係合側のストローク
エンドに達して係合力が発生し始めるように、供給開始
時間判断手段によって油圧シリンダに対する作動油の供
給開始時間が決定されるため、常に所定のタイミングで
摩擦係合装置がオーバシュート係合させられるようにな
り、係合力の発生タイミングのずれに起因するショック
等の発生が抑制される。
るダウンシフト操作に従って所定のギヤ段を成立させる
際には、手動変速時係合制御手段によって摩擦係合装置
が係合制御される場合に、その変速過程でパワーONに
なった時には、移行時解放手段によって油圧シリンダ内
の作動油をドレーンした後にオーバシュート係合制御手
段による係合制御へ移行するようになっているため、手
動変速時係合制御手段による係合制御時の残圧の影響が
排除され、入力回転速度が同期回転速度に略到達した
時、またはその同期回転速度を上回った後に、油圧シリ
ンダのピストンが係合側のストロークエンドに達して係
合力が発生し始めるように、摩擦係合装置のオーバシュ
ート係合が適切に行われる。
ダウンシフト時に摩擦係合装置をオーバシュート係合さ
せるとともに、入力回転速度が同期回転速度以下の間は
その摩擦係合装置が係合力を発生しないように制御する
ため、コーストダウンシフト時に負トルク(エンジンブ
レーキ力)が発生する恐れがない。
ダウンシフトの過程で、アクセルOFFの間は摩擦係合
装置が解放状態に維持されるため、負トルク(エンジン
ブレーキ力)が発生する恐れがない一方、アクセルON
になった場合にはオーバシュート係合制御手段によって
摩擦係合装置がオーバシュート係合させられるため、ア
クセルONに伴って駆動力を速やかに発生させることが
できる。
る所定のギヤ段での走行時にパワーOFFになった場合
には、パワーOFF時解放手段によってその摩擦係合装
置を解放するようになっているため、一方向クラッチを
備えている場合と同様にパワーOFFに伴って負トルク
が発生することが防止される。また、パワーOFF時解
放手段によって摩擦係合装置が解放された状態でアクセ
ル操作部材が増大操作された場合には、前記オーバシュ
ート係合制御手段によって摩擦係合装置がオーバシュー
ト係合させられるため、駆動力を速やかに発生させるこ
とができる。すなわち、摩擦係合装置の解放、係合制御
で、一方向クラッチを設けた場合と同様の作用効果が得
られるとともに、摩擦係合装置をオーバシュート係合さ
せるために、一方向クラッチよりも滑らかに駆動力を発
生させることができる。
数の遊星歯車装置と、その遊星歯車装置の複数の回転メ
ンバを相互に連結したりハウジングに固定したりする油
圧式のクラッチやブレーキ等の摩擦係合装置とを有し、
その摩擦係合装置の係合、解放の組み合わせにより変速
比が異なる複数のギヤ段が成立させられるように構成さ
れる。自動変速機の変速は、車速やアクセル操作量等に
基づいて自動的に変速判断が行われて変速指令が出され
るものでも良いが、運転者のシフトレバー操作やスイッ
チ操作に従って変速指令が出されるものでも良い。
するエンジンや電気エネルギーで作動する電動モータな
ど種々の駆動源が用いられ得る。駆動源の出力は、例え
ばアクセル操作部材の操作量(アクセル操作量)に従っ
て電気的に制御されるものでも良いが、アクセル操作部
材に機械的に連結されて直接制御されるものでも良い。
の同期回転速度よりも低い状態からその所定のギヤ段を
成立させるダウンシフト的な制御は、高速側ギヤ段から
所定のギヤ段へダウンシフトする場合は勿論、第6発明
のように所定のギヤ段での走行時にパワーOFFに伴っ
て摩擦係合装置が解放されることにより入力側回転速度
が低下し、その後のアクセル操作で摩擦係合装置を係合
させる場合等を含む趣旨である。高速側ギヤ段から所定
のギヤ段へダウンシフトする場合、本発明では所定のギ
ヤ段を成立させる摩擦係合装置の係合制御のみで所定の
ギヤ段を成立させることができるため、高速側ギヤ段を
成立させている高速段側摩擦係合装置は、例えば変速指
令に従って直ちに解放するなどすれば良い。
る摩擦係合装置の係合力制御は、第1発明のようにアッ
プシフト時と同様な制御を適用することもできるが、第
2発明の実施に際しては、アップシフト時とは全く異な
る制御パターン等で係合力を制御するようにしても良
い。
リンダによって係合させられるものが好適に用いられる
が、電磁力で摩擦係合させられる電磁クラッチなど他の
摩擦係合装置を採用することもできる。油圧シリンダに
よって係合させられる場合、第2発明のようにフィード
フォワード制御で油圧を制御することが望ましいが、例
えば油圧シリンダのピストンを係合側のストロークエン
ド付近に保持する(低圧待機)とともに、入力回転速度
が同期回転速度に到達したことを検出した後に油圧を上
昇させて摩擦係合装置を完全係合させるなど、他の制御
方法を採用することもできる。
ば入力回転速度の変化速度を検出するとともに、所定の
ギヤ段の変速比および自動変速機の出力回転速度によっ
て定まる同期回転速度を求め、その同期回転速度と現在
の入力回転速度との回転速度差を前記変化速度で割算し
て同期所要時間を求めるように構成される。出力回転速
度すなわち車速は略一定と見做すこともできるが、出力
回転速度の変化速度を求めることにより、現在の入力回
転速度および出力回転速度とそれ等の変化速度とから更
に高い精度で同期所要時間を算出することもできる。特
に、コーストダウンシフトの場合には、入力回転速度お
よび出力回転速度の各変化速度を加算して同期所要時間
を求めることが望ましい。なお、入力回転速度や出力回
転速度の代わりに、それ等に対応する他の回転メンバの
回転速度を用いて同期所要時間を求めることもできる。
御回路の油圧によって異なり、その油圧は駆動源の出
力、例えばエンジンのスロットル弁開度等によって調整
されるようになっているのが普通であるため、その駆動
源出力(スロットル弁開度など)をパラメータとして設
定することが望ましい。また、ストローク時間に影響す
る油温等の他のパラメータを考慮して設定することもで
きるし、油圧シリンダの個体差による影響を防止するた
め、実際のストローク時間を検出して逐次学習補正する
ようにすることもできる。
時間がストローク時間と略一致した時に作動油の供給を
開始するように構成されるが、引込み感(負トルクの発
生)を確実に防止するために意識的に供給開始時間を遅
くして、入力回転速度が同期回転速度を上回ってから摩
擦係合装置が係合力を発生するようにしても良い。第4
発明は、このように供給開始時間の設定によって係合力
の発生時期を調整できるが、油圧の大きさや変化パター
ンなど他の制御で係合力の発生時期を調整することも可
能である。
えばエンジンブレーキ状態であるものと見做して、ダウ
ンシフトによりエンジンブレーキ力が滑らかに増大する
ように、摩擦係合装置を係合制御するように構成され
る。また、第2発明のオーバシュート係合制御手段は入
力回転速度の同期時間を考慮して油圧制御を行うもので
あるが、第3発明の手動変速時係合制御手段は、同期時
間を考慮することなくオーバシュート係合させるもので
も良い。第3発明は、パワーOFF時の手動操作による
ダウンシフトの変速過程でパワーONになった場合に関
するものであるが、所定のギヤ段から高速側ギヤ段へ変
速するアップシフトの過程で所定のギヤ段へダウンシフ
トする変速指令が出力された場合や、第6発明において
パワーOFF時解放手段による解放過程でアクセル操作
部材が増大操作された場合にも、同様に所定のギヤ段を
成立させるための油圧シリンダ内の作動油を完全にドレ
ーンした後、オーバシュート係合制御手段による係合制
御へ移行させることが望ましい。
係合制御は、アクセル操作部材が操作されている時で
も、例えばトルクコンバータの入出力部材の回転速度な
どからパワーOFFか否かを判断して実施することがで
きるが、アクセル操作部材が操作されていないアクセル
OFF時の手動操作によるダウンシフトのみに、手動変
速時係合制御手段による係合制御が実施されるようにな
っていても良い。第6発明のパワーOFF時解放手段に
ついても同様である。
ーストダウンシフトに際してアクセル操作部材がON操
作されなかった場合には、入力回転速度が同期回転速度
を上回った後に摩擦係合装置を係合制御するようにして
も良いが、入力回転速度が同期回転速度を上回っても摩
擦係合装置を解放状態に保持し、そのまま第6発明の制
御へ移行するようにしても良い。
詳細に説明する。図1は、本発明が適用された車両の動
力伝達装置の構成を説明する骨子図である。図におい
て、自動車用の混合気吸入式内燃機関、燃料噴射式内燃
機関、或いは外燃機関などの原動機であるエンジン10
の出力は、トルクコンバータ12を介して自動変速機1
4に入力され、図示しない差動歯車装置および車軸を介
して駆動輪へ伝達されるようになっている。エンジン1
0は駆動源に相当する。
0のクランク軸16に連結されたポンプ翼車18と、自
動変速機14の入力軸20に連結されたタービン翼車2
2と、それらポンプ翼車18およびタービン翼車22の
間を直結するロックアップクラッチ24と、一方向クラ
ッチ26によって一方向の回転が阻止されているステー
タ28とを備えている。
2段の切り換えを行う第1変速機30と、後進ギヤ段お
よび前進4段の切り換えが可能な第2変速機32を備え
ている。第1変速機30は、サンギヤS0、リングギヤ
R0、およびキャリヤK0に回転可能に支持されてそれ
らサンギヤS0およびリングギヤR0に噛み合わされて
いる遊星ギヤP0から成るHL遊星歯車装置34と、サ
ンギヤS0とキャリヤK0との間に設けられたクラッチ
C0および一方向クラッチF0と、サンギヤS0および
ハウジング41間に設けられたブレーキB0とを備えて
いる。
ギヤR1、およびキャリヤK1に回転可能に支持されて
それらサンギヤS1およびリングギヤR1に噛み合わさ
れている遊星ギヤP1から成る第1遊星歯車装置36
と、サンギヤS2、リングギヤR2、およびキャリヤK
2に回転可能に支持されてそれらサンギヤS2およびリ
ングギヤR2に噛み合わされている遊星ギヤP2から成
る第2遊星歯車装置38と、サンギヤS3、リングギヤ
R3、およびキャリヤK3に回転可能に支持されてそれ
らサンギヤS3およびリングギヤR3に噛み合わされて
いる遊星ギヤP3から成る第3遊星歯車装置40とを備
えている。
一体的に連結され、リングギヤR1とキャリヤK2とキ
ャリヤK3とが一体的に連結され、そのキャリヤK3は
出力軸42に連結されている。また、リングギヤR2が
サンギヤS3に一体的に連結されている。そして、リン
グギヤR2およびサンギヤS3と中間軸44との間にク
ラッチC1が設けられ、サンギヤS1およびサンギヤS
2と中間軸44との間にクラッチC2が設けられてい
る。また、サンギヤS1およびサンギヤS2の回転を止
めるためのバンド形式のブレーキB1がハウジング41
に設けられている。また、サンギヤS1およびサンギヤ
S2とハウジング41との間には、一方向クラッチF1
およびブレーキB2が直列に設けられている。この一方
向クラッチF1は、サンギヤS1およびサンギヤS2が
入力軸20と反対の方向へ逆回転しようとする際に係合
させられるように構成されている。
ブレーキB3が設けられており、リングギヤR3とハウ
ジング41との間には、ブレーキB4と一方向クラッチ
F2とが並列に設けられている。この一方向クラッチF
2は、リングギヤR3が逆回転しようとする際に係合さ
せられるように構成されている。
に示す作動表に従って後進1段および変速比が順次異な
る前進5段のギヤ段のいずれかに切り換えられる。図2
において○印は係合状態を示し、空欄は解放状態を示
し、●はエンジンブレーキを発生させるときの係合状態
を示している。図5のシフトパターンに従って操作され
るシフトレバー172(図3参照)がエンジンブレーキ
レンジである「M(マニュアル)」レンジ、「3」レン
ジ、「2」レンジ、「L」レンジのいずれかに操作され
ている時には、その最高速ギヤ段でエンジンブレーキが
発生させられる。例えば、第1速ギヤ段のみで走行する
「L」レンジでは、ブレーキB4が係合させられること
よってアクセルペダル150の非操作状態(アクセルO
FF)であるような非駆動(パワーOFF)走行におい
てエンジンブレーキが発生させられるが、シフトレバー
172が「D」レンジに操作されている第1速ギヤ段で
の走行時では、そのブレーキB4が解放させられること
から、アクセルペダル150の非操作状態であるような
非駆動走行において一方向クラッチF2の滑りおよびリ
ングギヤR3の空転が許容されるので、自動変速機14
内において動力伝達経路が解放され、車両がエンジンブ
レーキが作用しない惰行走行とされる。第1速ギヤ段お
よび第2速ギヤ段で変速が行われる「2」レンジでは、
第2速ギヤ段の走行時において、クラッチC0が係合さ
せられることによりエンジンブレーキが可能とされ、
「D」レンジの第2速ギヤ段ではクラッチC0が解放さ
せられることにより一方向クラッチF0のすべりが許容
されて惰行走行とされる。また、第1速ギヤ段〜第3速
ギヤ段で変速が行われる「3」レンジでは、第3速ギヤ
段の走行時において、ブレーキB1が係合させられるこ
とによりエンジンブレーキが可能とされ、「D」レンジ
ではブレーキB1が解放させられることにより一方向ク
ラッチF1のすべりが許容されて惰行走行とされる。
2は、車両の前後方向に位置するP(パーキング)レン
ジ、R(リバース)レンジ、N(ニュートラル)レン
ジ、D(ドライブ)およびM(マニュアル)レンジ、3
レンジ、2レンジ、L(ロー)レンジへ操作されるとと
もに、DレンジとMレンジの間が車両の左右方向に操作
されるようにその支持機構が構成されている。このシフ
トレバー172には油圧制御回路184内の図示しない
マニュアル弁が連結されており、機械的に走行レンジが
決まるようになっている。また、図6に示すように、車
両のステアリングホイール182の上面側には、走行レ
ンジを低速側へ切り換えるために押し下げ操作される一
対のダウンレンジスイッチ186D が設けられ、そのス
テアリングホイール182の下面側には、走行レンジを
高速側へ切り換えるために押し上げ操作される一対のア
ップレンジスイッチ186U が設けられている。上記ダ
ウンレンジスイッチ186D およびアップレンジスイッ
チ186U は、シフトレバー172がMレンジ位置へ操
作されることによりその操作が有効化されるようになっ
ている。
B4は、それぞれ油圧シリンダに作動油が供給されるこ
とにより、その油圧に基づいて摩擦材が摩擦係合させら
れる多板式、単板式、バンド式等の摩擦係合装置で、油
圧制御回路184(図3参照)によって係合、解放状態
が切り換えられる。
えている。図4において符号70は1−2シフトバルブ
を示し、符号71は2−3シフトバルブを示し、符号7
2は3−4シフトバルブを示している。これらのシフト
バルブ70、71、72の各ポートの各ギヤ段での連通
状態は、それぞれのシフトバルブ70、71、72の下
側に示している通りである。なお、その数字は各ギヤ段
を示す。
1速ギヤ段および第2速ギヤ段で入力ポート73に連通
するブレーキポート74に、ブレーキB3の油圧シリン
ダ52が油路75を介して接続されている。この油路に
はオリフィス76が介装されており、そのオリフィス7
6とブレーキB3との間にダンパーバルブ77が接続さ
れている。このダンパーバルブ77は、ブレーキB3に
ライン圧PLが急激に供給された場合に少量の油圧を吸
入して緩衝作用を行うものである。ライン圧PLは、ス
ロットル弁開度θTHなどエンジン10の出力に応じてリ
ニアソレノイドバルブSLT(図3参照)により制御さ
れる。
って、ブレーキB3の係合圧PB3を直接制御するように
なっている。すなわち、このB−3コントロールバルブ
78は、スプール79とプランジャ80とこれらの間に
介装したスプリング81とを備えており、スプール79
によって開閉される入力ポート82に油路75が接続さ
れ、またこの入力ポート82に選択的に連通させられる
出力ポート83がブレーキB3に接続されている。さら
にこの出力ポート83は、スプール79の先端側に形成
したフィードバックポート84に接続されている。一
方、上記スプリング81を配置した箇所に開口するポー
ト85には、2−3シフトバルブ71のポートのうち第
3速以上のギヤ段でDレンジ圧(ライン圧PL)を出力
するポート86が油路87を介して連通させられてい
る。また、プランジャ80の端部側に形成した制御ポー
ト88には、リニアソレノイドバルブSLUが接続さ
れ、信号圧PSLU が作用させられるようになっている。
したがって、B−3コントロールバルブ78は、スプリ
ング81の弾性力とポート85に供給される油圧とによ
って調圧レベルが設定され、且つ制御ポート88に供給
される信号圧PSLU が高いほどスプリング81による弾
性力が大きくなるように構成されている。
グバルブであって、この2−3タイミングバルブ89
は、小径のランドと2つの大径のランドとを形成したス
プール90と第1のプランジャ91とこれらの間に配置
したスプリング92とスプール90を挟んで第1のプラ
ンジャ91とは反対側に配置された第2のプランジャ9
3とを有している。2−3タイミングバルブ89の中間
部のポート94に油路95が接続され、また、この油路
95は2−3シフトバルブ71のポートのうち第3速以
上のギヤ段でブレーキポート74に連通させられるポー
ト96に接続されている。油路95は途中で分岐して、
前記小径ランドと大径ランドとの間に開口するポート9
7にオリフィスを介して接続されており、上記ポート9
4に選択的に連通させられるポート98は油路99を介
してソレノイドリレーバルブ100に接続されている。
そして、第1のプランジャ91の端部に開口しているポ
ートにリニアソレノイドバルブSLUが接続され、また
第2のプランジャ93の端部に開口するポートにブレー
キB2の油圧シリンダ54がオリフィスを介して接続さ
れている。
を供給・排出するためのものであって、その途中には小
径オリフィス101とチェックボール付きオリフィス1
02とが介装されている。また、この油路87から分岐
した油路103には、ブレーキB2から排圧する場合に
開くチェックボールを備えた大径オリフィス104が介
装され、この油路103は以下に説明するオリフィスコ
ントロールバルブ105に接続されている。
レーキB2からの排圧速度を制御するためのバルブであ
って、そのスプール106によって開閉されるように中
間部に形成したポート107にはブレーキB2が接続さ
れており、このポート107より図での下側に形成した
ポート108に前記油路103が接続されている。ブレ
ーキB2を接続してあるポート107より図での上側に
形成したポート109は、ドレーンポートに選択的に連
通させられるポートであって、このポート109には、
油路110を介して前記B−3コントロールバルブ78
のポート111が接続されている。尚、このポート11
1は、ブレーキB3を接続してある出力ポート83に選
択的に連通させられるポートである。
ートのうちスプール106を押圧するスプリングとは反
対側の端部に形成した制御ポート112が油路113を
介して、3−4シフトバルブ72のポート114に接続
されている。このポート114は、第3速以下のギヤ段
で第3ソレノイドバルブSL3の信号圧を出力し、ま
た、第4速以上のギヤ段で第4ソレノイドバルブSL4
の信号圧を出力するポートである。さらに、このオリフ
ィスコントロールバルブ105には、前記油路95から
分岐した油路115が接続されており、この油路115
を選択的にドレーンポートに連通させるようになってい
る。
て第2速以下のギヤ段でDレンジ圧を出力するポート1
16が、前記2−3タイミングバルブ89のうちスプリ
ング92を配置した箇所に開口するポート117に油路
118を介して接続されている。また、3−4シフトバ
ルブ72のうち第3速以下のギヤ段で前記油路87に連
通させられるポート119が油路120を介してソレノ
イドリレーバルブ100に接続されている。
レータを示し、その背圧室にはリニアソレノイドバルブ
SLN(図3参照)が出力する信号圧PSLN に応じて調
圧されたアキュームレータコントロール圧Pacが供給さ
れるようになっている。2→3変速時に前記2−3シフ
トバルブ71が切り換えられると、ブレーキB2の油圧
シリンダ54には油路87を介してDレンジ圧(ライン
圧PL)が供給されるが、このライン圧PLによってア
キュムレータ121のピストン121pが上昇を開始す
る。このピストン121pが上昇している間は、ブレー
キB2に供給される油圧(係合圧)PB2は、スプリング
121sの下向きの付勢力およびピストン121pを下
向きに付勢する上記アキュムレータコントロール圧Pac
と釣り合う略一定、厳密にはスプリング121sの圧縮
変形に伴って漸増させられ、ピストン121pが上昇端
に達するとライン圧PLまで上昇させられる。すなわ
ち、ピストン121pが移動する変速過渡時の係合圧P
B2は、アキュムレータコントロール圧Pacによって定ま
るのである。
3速ギヤ段成立時に係合制御される上記ブレーキB2用
のアキュムレータ121の他、図示は省略するが第1速
ギヤ段成立時に係合制御されるクラッチC1用のアキュ
ムレータ、第4速ギヤ段成立時に係合制御されるクラッ
チC2用のアキュムレータ、第5速ギヤ段成立時に係合
制御されるブレーキB0用のアキュムレータにも供給さ
れ、それ等の係合・解放時の過渡油圧が制御される。
ルブを示し、さらに符号123はクラッチC0用のアキ
ュームレータを示している。C−0エキゾーストバルブ
122は、「2」レンジでの第2速ギヤ段のみにおいて
エンジンブレーキを効かせるためにクラッチC0の油圧
シリンダ56に作動油を供給してクラッチC0を係合さ
せるように動作するものである。
B−3コントロールバルブ78のポート111がドレー
ンに連通していれば、ブレーキB3の係合圧PB3をB−
3コントロールバルブ78によって直接調圧することが
でき、また、その調圧レベルをリニアソレノイドバルブ
SLUによって変えることができる。また、オリフィス
コントロールバルブ105のスプール106が、図の左
半分に示す位置にあれば、ブレーキB2は、このオリフ
ィスコントロールバルブ105を介して排圧が可能にな
り、したがってブレーキB2からのドレーン速度を制御
することができる。
変速、すなわちブレーキB3を解放すると共にブレーキ
B2を係合する所謂クラッチツウクラッチ変速において
は、入力軸20の入力トルクなどに基づいてブレーキB
3の解放過渡油圧やブレーキB2の係合過渡油圧を制御
することにより、変速ショックを好適に軽減することが
できる。その他の変速についても、リニアソレノイドバ
ルブSLNのデューティ制御によってアキュムレータコ
ントロール圧Pacを調圧することにより、クラッチC
1、C2やブレーキB0の過渡油圧が制御される。
ル150の操作量ACCがアクセル操作量センサ151に
より検出されるようになっている。アクセルペダル15
0は、運転者の要求出力に応じて大きく踏み込み操作さ
れるもので、アクセル操作部材に相当する。車両のエン
ジン10の吸気配管には、スロットルアクチュエータ1
54によってアクセルペダル150の操作量ACCに応じ
た開き角(開度)θTHとされるスロットル弁156が設
けられている。また、アイドル回転制御のために上記ス
ロットル弁156をバイパスさせるバイパス通路152
には、エンジン10のアイドル回転を制御するためにス
ロットル弁156全閉時の吸気量を制御するISC弁1
53が設けられている。エンジン10の回転速度NE を
検出するためのエンジン回転速度センサ158、エンジ
ン10の吸入空気量Qを検出するための吸入空気量セン
サ160、吸入空気の温度TA を検出するための吸入空
気温度センサ162、上記スロットル弁156の全閉状
態およびその開度θTHを検出するためのアイドルスイッ
チ付スロットルセンサ164、出力軸42の回転速度N
OUT すなわち車速Vを検出するための車速センサ16
6、エンジン10の冷却水温度TW を検出するための冷
却水温センサ168、ブレーキの作動を検出するための
ブレーキスイッチ170、シフトレバー172の操作位
置PSHを検出するための操作位置センサ174、入力軸
20の回転速度NINすなわちクラッチC0の回転速度N
C0(=タービン回転速度NT )を検出するための入力軸
回転センサ173、油圧制御回路184の作動油温度T
OIL を検出するための油温センサ175などが設けられ
ており、それらのセンサから、エンジン回転速度NE 、
吸入空気量Q、吸入空気温度TA 、スロットル弁開度θ
TH、車速V、エンジン冷却水温TW 、ブレーキの作動状
態BK、シフトレバー172の操作位置PSH、入力軸回
転速度NC0、作動油温度TOIL を表す信号がエンジン用
電子制御装置176或いは変速用電子制御装置178に
供給されるようになっている。
CPU、RAM、ROM、入出力インターフェースを備
えた所謂マイクロコンピュータであって、CPUはRA
Mの一時記憶機能を利用しつつ予めROMに記憶された
プログラムに従って入力信号を処理し、種々のエンジン
制御を実行する。例えば、燃料噴射量制御のために燃料
噴射弁179を制御し、点火時期制御のためにイグナイ
タ180を制御し、アイドルスピード制御のためにIS
C弁153を制御し、トラクション制御のためにスロッ
トルアクチュエータ154によりスロットル弁156を
制御する。エンジン用電子制御装置176は、スロット
ル弁156の制御において、例えば図7に示す関係から
実際のアクセルペダル操作量ACCに基づいてスロットル
アクチュエータ154を駆動し、アクセルペダル操作量
ACCが増加するほどスロットル弁開度θTHを増加させ
る。上記エンジン用電子制御装置176は、変速用電子
制御装置178と相互に通信可能に接続されており、一
方に必要な信号が他方から適宜送信されるようになって
いる。
のマイクロコンピュータであって、CPUはRAMの一
時記憶機能を利用しつつ予めROMに記憶されたプログ
ラムに従って入力信号を処理し、油圧制御回路184の
各ソレノイドバルブSL1、SL2、SL3、SL4或
いはリニアソレノイドバルブSLU、SLT、SLNを
駆動する。具体的には、例えば図8に示す予め記憶され
た変速線図から実際のスロットル弁開度θTHおよび車速
Vに基づいて自動変速機14のギヤ段を決定し、この決
定されたギヤ段を成立させるように電磁弁SL1、SL
2、SL3、SL4を駆動する。図8の実線はアップシ
フト線で、破線はダウンシフト線である。
時にブレーキB3の油圧シリンダ52の油圧PB3がリニ
アソレノイドバルブSLUによって直接圧制御される場
合に、前記変速用電子制御装置178によって実行され
る信号処理の内容を説明するフローチャートで、所定の
サイクルタイムで繰り返し実行される。図11は、直接
圧制御の基本パターンを示す図で、フェーズPH=1〜
9や、リニアソレノイドバルブSLUをデューティ制御
する際の指令値DSLUなどを詳しく説明する図であ
り、時間T2〜T5、T8、指令値DSLUの設定値D
2〜D4、指令値DSLUの変化率であるスウィープ量
ΔD5、ΔD6、ΔD8、ΔD9は予め記憶装置188
に記憶されている。それ等の値は一定値であっても良い
が、入力トルクに対応するスロットル弁開度θTHやアク
セルペダル操作量ACCなどをパラメータとするデータマ
ップや演算式等で記憶しておくこともできる。また、図
12は、1→2アップシフト制御の実行時における各部
の変化を示すタイムチャートの一例で、時間t1 は1→
2アップシフト指令が出力され、ブレーキB3の油圧シ
リンダ52に作動油が供給されるように前記1−2シフ
トバルブ70が切り換えられた時間である。1−2シフ
トバルブ70の切換えは、前記ソレノイドバルブSL2
の励磁、非励磁を切り換えることによって行われる。図
12から明らかなように、ブレーキB3の油圧シリンダ
52の係合油圧PB3は、指令値DSLUの変化に対して
所定の応答遅れDLを有する状態で略追従して変化させ
られる。
ェーズPHを決定するためのもので、前記1→2アップ
シフト指令が出力されることによって実行が開始され
る。ステップQ1−1では制御実施中を表すフラグF1
がONか否かを判断し、ONであれば続いてステップQ
1−4以下を実行するが、フラグF1の初期値はOFF
であるため、最初のサイクル時にはOFFでステップQ
1−2を実行する。ステップQ1−2では、フェーズP
Hとして「2」を設定するとともに、タイマTim2をリ
セットして新たに計時を開始させる。また、ステップQ
1−3では、フラグF1をONにする。これにより、以
後のサイクルではステップQ1−1に続いてステップQ
1−4以下が実行されるようになる。
で且つタイマTim2が設定時間T2を経過したか否かを
判断し、満足する場合、すなわちフェーズPH=2にな
って設定時間T2が経過した時には、ステップQ1−5
でフェーズPHとして「3」を設定するとともに、タイ
マTim3をリセットして新たに計時を開始させる。ステ
ップQ1−6、Q1−8、Q1−10、Q1−16で
も、それぞれステップQ1−4と同様にして次のフェー
ズPHへ移行するか否かの判断が為される。また、ステ
ップQ1−7、Q1−9では、ステップQ1−5と同様
にして次のフェーズPHとして「4」或いは「5」を設
定するとともに、タイマTim4或いはTim5をリセット
して新たに計時を開始させる。Q1−11、Q1−17
では、次のフェーズPHとして「6」或いは「9」を設
定する。
「4」〜「6」の何れかで且つイナーシャ相が開始した
か否かを判断し、満足する場合はステップQ1−13で
フェーズPHとして「7」を設定する。イナーシャ相が
始まったか否かは、例えば次式(1) を満足するか否かに
よって判断できる。(1) 式のγ1 は、第1速ギヤ段の変
速比(=入力回転速度NC0/出力回転速度NOUT )で、
A1 は、車速センサ166や入力軸回転センサ173の
検出誤差等による誤判定を防止するための誤判定防止用
余裕値である。図12の時間t2 は、イナーシャ相が始
まった時間で、この図12は、フェーズPH=5の状態
からフェーズPH=7へ移行した場合である。 NC0<NOUT ×γ1 −A1 ・・・(1)
7で且つ同期が近いか否かを判断し、満足する場合は、
ステップQ1−15でフェーズPHとして「8」を設定
するとともに、タイマTim8をリセットして新たに計時
を開始させる。同期が近いか否かは、例えば次式(2) を
満足するか否かによって判断できる。すなわち、入力回
転速度NC0の変化速度ΔNC0を例えば今回の入力回転速
度NC0n から前回のサイクル時の入力回転速度NC0n-1
を引き算するなどして算出するとともに、アップシフト
後の同期回転速度(NOUT ×γ2 )に到達するまでの同
期所要時間(N OUT ×γ2 −NC0)/ΔNC0を求め、そ
の同期所要時間が予め定められた判定値B1 以下になっ
たか否かによって判断するのである。(2) 式のγ2 は、
第2速ギヤ段の変速比である。出力回転速度NOUT の変
化速度ΔNOUT 、或いは同期回転速度の変化速度Δ(N
OUT ×γ2 )を求めて、更に高い精度で同期所要時間を
算出することもできる。 B1 >(NOUT ×γ2 −NC0)/ΔNC0 ・・・(2)
れると、その決定されたフェーズPH毎に図10のフロ
ーチャートに従って指令値DSLUが制御される。図1
0のステップQ2−1ではフェーズPHが「1」か否か
を判断し、PH=1であればステップQ2−2において
今回の指令値DSLUi =D1にする。D1は予め定め
られた比較的小さな設定値(例えば0)であるが、今回
の制御ではフェーズPH=1はなく、従って設定値D1
も使用されない。
「2」か否かを判断し、PH=2であればステップQ2
−4において今回の指令値DSLUi =D2にする。フ
ェーズPH=2は、油圧シリンダ52に対してファース
トフィルを行うための部分で、設定値D2は最大値など
比較的大きな値が設定される。
「3」か否かを判断し、PH=3であればステップQ2
−6において今回の指令値DSLUi =D3にする。フ
ェーズPH=3は、油圧シリンダ52のピストンがスト
ロークエンドに達する際にファーストフィルの残圧で急
係合ショックが出ないようにするための部分で、設定値
D2は、油圧PB3を低圧待機圧+α(微小値)相当まで
下げるように設定される。低圧待機圧は、ブレーキB3
を係合させることなく油圧シリンダ52のピストンを係
合側のストロークエンド付近に保持できる油圧である。
「4」か否かを判断し、PH=4であればステップQ2
−8において今回の指令値DSLUi を次式(3) に従っ
て設定する。フェーズPH=4は、油圧シリンダ52の
ピストンがストロークエンドに達した後に、イナーシャ
相が始まる直前の屈曲点油圧PB3 * (図12参照)まで
速やかに立ち上げる部分で、設定時間T4でその屈曲点
油圧PB3 * に対応する設定値(屈曲点指令値)D4まで
指令値DSLUi を速やかに上昇させるようにフィード
フォワード制御する。図12のスウィープ部SW1は、
このフェーズPH=4に相当する部分で、屈曲点指令値
D4に対応する屈曲点油圧PB3 * にイナーシャ相が始ま
る前に到達するように、応答遅れDLを考慮して時間T
4等が設定されている。上記屈曲点指令値D4および時
間T4は、入力トルクに対応するアクセルペダル操作量
ACC或いはスロットル弁開度θTH等をパラメータとする
演算式やデータマップなどで設定されている。 DSLUi ={(D4−D3)/T4}×Tim+D3 ・・・(3)
LUi の設定に際しては、変速中のアクセルペダル操作
量ACCの変化に拘らず適切な油圧制御が行われるよう
に、1サイクル毎にスロットル弁開度θTHに基づいて屈
曲点指令値D4を求め、その屈曲点指令値D4を(3) 式
に代入して指令値DSLUi を算出する。例えば、図1
3の(a) の実線は、フェーズPH=4の過程でスロット
ル弁開度θTHがθTHa からθTHb まで変化した場合の指
令値DSLUを示す図で、最初はθTHa に対応する屈曲
点指令値D4a を用いて指令値DSLUi が算出される
が、スロットル弁開度θTHの変化に伴って屈曲点指令値
D4も変化し、最後にはθTHb に対応する屈曲点指令値
D4b になる。これにより、スロットル弁開度θTHの変
化時においても常に適切な屈曲点指令値D4に向かって
指令値DSLUが上昇させられる。図13の(b) はスロ
ットル弁開度θTHをパラメータとして屈曲点指令値D4
が定められたデータマップの一例である。なお、アクセ
ルペダル150の踏み込み操作時には、そのアクセルペ
ダル操作量ACCの変化に応じてスロットル弁開度θTHも
変化するが、エンジン10の実際の出力は所定の応答遅
れを有するため、上記屈曲点指令値D4の算出に際して
も、エンジン10の応答遅れに相当するなましを加えた
補正スロットル弁開度を用いて屈曲点指令値D4を算出
することが望ましい。
「5」または「7」であるか否かを判断し、PH=5ま
たは7であればステップQ2−10において今回の指令
値DSLUi を次式(4) に従って設定する。フェーズP
H=5および7は、入力回転速度NC0の変化による変速
ショックを防止しつつできるだけ速やかに入力回転速度
N C0を変化させる部分で、フェーズPH=4よりも緩や
かな一定のスウィープ量ΔD5で指令値DSLUi を変
化(増加)させるようにフィードフォワード制御する。
(4) 式のDSLUi-1 は、前回の指令値である。図12
はフェーズPH=5の状態でイナーシャ相が始まってフ
ェーズPH=7へ移行した場合で、スウィープ部SW2
は、これ等のフェーズPH=5(時間t2 より前)およ
び7(時間t 2 より後)に相当する。 DSLUi =DSLUi-1 +ΔD5 ・・・(4)
「6」か否かを判断し、PH=6であればステップQ2
−12において今回の指令値DSLUi を次式(5) に従
って設定する。フェーズPH=6は、前記図9のステッ
プQ1−10〜Q1−12から明らかなように、フェー
ズPH=5になって時間T5が経過してもイナーシャ相
が始まらない場合に設けられるもので、速やかにイナー
シャ相が始まるようにフェーズPH=5のスウィープ量
ΔD5よりも大きなスウィープ量ΔD6で指令値DSL
Ui を変化(増加)させるようにフィードフォワード制
御する。なお、このフェーズPH=6を省略することも
できる。 DSLUi =DSLUi-1 +ΔD6 ・・・(5)
「8」か否かを判断し、PH=8であればステップQ2
−14において今回の指令値DSLUi を次式(6) に従
って設定する。フェーズPH=8は、入力回転速度NC0
がアップシフト後の同期回転速度に近づいた時に、係合
終期のトルクのゆり返しが出ないようにするための部分
で、一定のスウィープ量ΔD8で指令値DSLUi を変
化(減少)させるようにフィードフォワード制御する。 DSLUi =DSLUi-1 −ΔD8 ・・・(6)
「9」か否かを判断し、PH=9であればステップQ2
−16において今回の指令値DSLUi を次式(7) に従
って設定する。フェーズPH=9は、入力回転速度NC0
が同期回転速度に達するとともにブレーキB3が完全係
合して1→2アップシフトが終了した後に油圧PB3をラ
イン圧PLまで上昇させる部分で、一定のスウィープ量
ΔD9で指令値DSLU i を変化(増加)させるように
フィードフォワード制御する。図12の時間t3は、入
力回転速度NC0が同期回転速度に達するとともにブレー
キB3が略完全係合させられ、1→2アップシフトが略
終了した時間であり、図ではフェーズPH=9の開始時
と略一致している。 DSLUi =DSLUi-1 +ΔD9 ・・・(7)
圧勾配(スウィープ部SW1)とイナーシャ相中の油圧
勾配(スウィープ部SW2)との切換えをフィードフォ
ワード制御で行うとともに、スウィープ部SW1だけで
なくスウィープ部SW2についてもフィードフォワード
制御で行っているため、例えば入力回転速度NC0の変化
からイナーシャ相の開始を検出して油圧勾配を切り換え
たり、スウィープ部SW2を入力回転速度NC0が所定の
変化率で変化するようにフィードバック制御したりする
場合に比較して、応答遅れDLに起因する変速ショック
やブレーキB3の摩擦材の耐久性低下等を防止できる。
応答遅れDLの影響を少なくするためにトルク相の油圧
勾配を寝かせると、トルク相時間が長くなって変速フィ
ーリングや摩擦材の耐久性が悪化するが、本実施例では
油圧勾配を寝かせることなく応答遅れDLを考慮した制
御が可能である。
ープ部SW1)とイナーシャ相中の油圧勾配(スウィー
プ部SW2)との切換えが、個体差や経時変化などに拘
らず常に適切なタイミングで行われるように、前記屈曲
点指令値D4(屈曲点油圧P B3 * に対応)は学習補正さ
れるようになっている。すなわち、図14に示すように
指令値DSLUが屈曲点指令値D4に到達する指令値屈
曲時間をST、イナーシャ相が始まるイナーシャ相開始
時間をITとした場合、指令値屈曲時間STを基準とし
て下限時間ATと上限時間BTとの間にシナーシャ相開
始時間ITが入るように、例えば記憶装置188にスロ
ットル弁開度θTHをパラメータとして記憶されている屈
曲点指令値D4のデータマップを書き換えるのである。
指令値屈曲時間STは、前記フェーズPH=4が終了し
てステップQ1−8がYESになった時間で、イナーシ
ャ相開始時間ITは、前記ステップQ1−12がYES
になった時間である。
具体的に説明すると、図15の(a)は指令値屈曲時間S
Tよりも前にイナーシャ相が始まった場合で、イナーシ
ャ相開始時間ITから応答遅れDLを考慮した油圧レベ
ル、すなわちイナーシャ相開始時間ITよりも応答遅れ
DLだけ前の指令値DSLUと、屈曲点指令値D4との
差ΔD1 に基づいて、予め定められた演算式から補正量
(この場合は減算値)を求め、記憶装置188にスロッ
トル弁開度θTHをパラメータとして記憶されている屈曲
点指令値D4のデータマップのうち対応するものを補正
する。演算式は、例えば差ΔD1 が大きい程補正量(減
算値)が大きくなるように定められる。
下限時間ATに達する前にイナーシャ相が始まった場合
で、イナーシャ相開始時間ITにおける油圧レベルと下
限時間ATにおける油圧レベルとの差ΔD2 に基づい
て、予め定められた演算式から補正量(この場合は減算
値)を求め、記憶装置188にスロットル弁開度θTHを
パラメータとして記憶されている屈曲点指令値D4のデ
ータマップのうち対応するものを補正する。演算式は、
例えば差ΔD2 が大きい程補正量(減算値)が大きくな
るように定められる。
上限時間BTを経過した後にイナーシャ相が始まった場
合で、イナーシャ相開始時間ITにおける油圧レベルと
上限時間BTにおける油圧レベルとの差ΔD3 に基づい
て、予め定められた演算式から補正量(この場合は加算
値)を求め、記憶装置188にスロットル弁開度θTHを
パラメータとして記憶されている屈曲点指令値D4のデ
ータマップのうち対応するものを補正する。演算式は、
例えば差ΔD3 が大きい程補正量(加算値)が大きくな
るように定められる。なお、前記フェーズPH=6が発
生したか否かによって補正量の演算式を変えるようにし
ても良い。
時間STを基準として下限時間ATと上限時間BTとの
間に入っている場合は、屈曲点指令値D4の補正を行わ
ない。
ると、個体差や経時変化などに拘らず指令値屈曲時間S
Tに対して常に所定のタイミングでイナーシャ相が開始
されるため、個体差や経時変化に起因してイナーシャ相
の発生タイミングがずれることにより、変速ショックが
発生したりブレーキB3の摩擦材の耐久性が低下したり
することが防止される。
には、変速の遅れを気にすることなく、ショックを優先
して屈曲点の差分をもとの油圧を低減したり係合力がな
くなるレベルまで油圧を下げたりすることができる。
低開度の屈曲点指令値D4(或いは屈曲点油圧PB3 * )
から、入力トルクに相当する油圧分を差し引くことで、
ブレーキB3の油圧シリンダ52のピストンストローク
に必要な低圧待機圧を学習できる。
つきが減るため、回転速度センサだけでは検出が困難で
あったトルク相の進行度合いを推定でき、各種変速制
御、例えばイナーシャ相開始直前からのトルクダウン制
御の開始など、に利用できる。トルク相検出用のセンサ
を廃止することによりコストダウンを図ることも可能で
ある。
曲点油圧PB3 * )を学習することで、その屈曲点指令値
D4(或いは屈曲点油圧PB3 * )を用いたその他の制
御、例えば変速中のアクセルペダル150の踏み増し踏
み戻しやブレーキB3解放後の再係合時制御等、の実施
時のショックやばらつきが低減される。
値勾配)を一定にするとともに、スウィープ時間T4を
学習によって補正するようにしても良いし、スウィープ
時間T4を一定にするとともに、油圧勾配(指令値勾
配)を学習によって補正するようにしても良い。
に、前記変速用電子制御装置178によって実行される
信号処理の内容を説明するフローチャートである。図1
7、図18は、その3→2ダウンシフトの実行時におけ
る入力回転速度NC0および指令値DSLU等の変化を示
すタイムチャートの一例で、図17はアクセルペダル1
50が踏込み操作されて車輪側へ駆動力が伝達されるパ
ワーON時のダウンシフトのものであり、図18はアク
セルペダル150が踏込み操作されていないアクセルO
FFの惰行走行時に車速低下に伴って行われるコースト
ダウンシフト時のものである。
スロットル弁開度θTHに基づいて例えば前記図8に示す
変速線図に従って、或いはシフトレバー172やダウン
レンジスイッチ186D のマニュアル操作に従って、3
→2ダウンシフトを行うか否かの判断が為される。そし
て、3→2ダウンシフトを行う旨の判断が為されると、
ステップR2において前記2−3シフトバルブ71が切
り換えられ、ブレーキB2の油圧シリンダ54の作動油
が直ちにドレーンされてブレーキB2が解放されるとと
もに、ブレーキB3の油圧シリンダ52に作動油が供給
される。また、ステップR3では、油圧シリンダ52に
供給される油圧PB3が、リニアソレノイドバルブSLU
によって直接圧制御されることにより、入力回転速度N
C0が第2速ギヤ段の同期回転速度(NOUT ×γ2 )を上
回った後に滑らかにその同期回転速度(NOUT ×γ2 )
に近づくように、ブレーキB3がオーバシュート係合さ
せられる。2−3シフトバルブ71の切換えは、ソレノ
イドバルブSL1の励磁、非励磁を切り換えることによ
って行われる。
シフト判断が為された時間で、時間t3 は入力回転速度
NC0が同期回転速度(NOUT ×γ2 )を上回った時間
で、時間t4 は入力回転速度NC0が同期回転速度(N
OUT ×γ2 )と略一致するとともにブレーキB3が略完
全係合させられ、3→2ダウンシフトが略終了した時間
である。また、図示は省略するが、ブレーキB3の油圧
PB3が、リニアソレノイドバルブSLUの指令値DSL
Uの変化に対して所定の応答遅れを有する状態で略追従
して変化させられることは、前記アップシフトの場合と
同じである。なお、図17、図18に記載のγ3 は、第
3速ギヤ段の変速比である。
される3→2ダウンシフト制御は、第1発明、第2発
明、第4発明の実施例に相当し、ブレーキB3、油圧シ
リンダ52はそれぞれ摩擦係合装置、油圧シリンダに相
当し、油圧PB3を直接圧制御するリニアソレノイドバル
ブSLUおよび前記B−3コントロールバルブ78は調
圧装置に相当し、油圧PB3、更には指令値DSLUは摩
擦係合装置(ブレーキB3)の係合力に相当する。ま
た、変速用電子制御装置178による一連の信号処理の
うちステップR3を実行する部分はオーバシュート係合
制御手段として機能している。なお、5→2ダウンシフ
ト、4→2ダウンシフトにおいても、高速ギヤ段の摩擦
係合装置を直ちに解放して同様のダウンシフト制御が行
われる。
の油圧制御は、基本的には前記1→2アップシフト時に
おける油圧PB3の直接圧制御の制御パターンと同様な制
御パターンに従ってフィードフォワード制御される。図
19および図20は、ステップR3の処理内容を具体的
に説明するフローチャートで、それぞれ所定のサイクル
タイムで繰り返し実行される。また、図20は、オーバ
シュート係合制御時の直接圧制御の基本制御パターンを
示す図である。これ等の図から明らかなように、前記ア
ップシフト時に比較してフェーズPH=6および7が無
い点が相違する。また、時間T2〜T4、T8、指令値
DSLUの設定値D1〜D4、指令値DSLUの変化率
であるスウィープ量ΔD5、ΔD8、ΔD9は予め記憶
装置188に記憶されており、本実施例ではアップシフ
ト用のデータをそのまま利用するが、ダウンシフト用の
データを別個に記憶しておくこともできる。なお、アッ
プシフト時とは全く異なる制御パターンを採用すること
も可能である。
入力回転速度NC0が第2速ギヤ段の同期回転速度(N
OUT ×γ2 )に到達するまでの同期所要時間A2 を求
め、予め記憶装置188に記憶された油圧シリンダ52
のピストンストロークに要するストローク時間B2 と比
較することにより、その入力回転速度NC0がその同期回
転速度(NOUT ×γ2 )に略到達した時、またはその同
期回転速度(NOUT ×γ2)を上回った後に、油圧シリ
ンダ52のピストンが係合側のストロークエンドに達し
て係合力が発生し始めるように、その油圧シリンダ52
に対する作動油の供給開始時間を決定する。具体的に
は、同期所要時間A2 がストローク時間B2 より小さく
なったか否かを判断する。同期所要時間A2 は、入力回
転速度NC0の変化速度ΔNC0を例えば今回の入力回転速
度NC0n から前回のサイクル時の入力回転速度NC0n-1
を引き算するなどして算出することにより、次式(8) に
従って求めることができる。(8) 式は、車速Vすなわち
同期回転速度(NOUT ×γ2 )が略一定であることを前
提としているが、コーストダウンシフトなど変速中に車
速Vが変化する場合には、同期回転速度(NOUT ×
γ2 )の変化速度Δ(NOUT ×γ2 )を考慮して、次式
(9) に従って同期所要時間A2 を求めることが望まし
い。 A2 =(NOUT ×γ2 −NC0)/ΔNC0 ・・・(8) A2 =(NOUT ×γ2 −NC0)/{ΔNC0−Δ(NOUT ×γ2 )}・・・(9)
パターンに従って油圧シリンダ52に供給する作動油の
油圧制御を行った場合に、油圧シリンダ52のピストン
が係合側のストロークエンドに到達する時間で、油温な
どによって影響されるため、油温などをパラメータとし
て記憶されている。図21の設定時間T2とT3とを加
算した時間は略ストローク時間B2 と一致するため、そ
れ等の設定時間T2、T3を加算してストローク時間B
2 を求めるようにしても良い。また、図18に示すコー
ストダウンシフトの場合には、入力回転速度NC0が同期
回転速度(NOU T ×γ2 )に到達した後に油圧シリンダ
52のピストンがストロークエンドに達するように、ス
トローク時間B2 から所定の余裕値を減算して供給開始
時間を判断するようになっている。コーストダウンシフ
トか否かは、スロットル弁開度θ THが全閉か否か、アイ
ドル接点がONか否か等によって判断できる。コースト
ダウンシフト以外でも、入力回転速度NC0が同期回転速
度(NOUT ×γ2 )に到達した後に油圧シリンダ52の
ピストンがストロークエンドに達するように、ストロー
ク時間B2 に所定の余裕値を加算して供給開始時間を判
断するようにしても良い。上記ストローク時間B2 を記
憶している記憶装置188は、電源OFFでも記憶内容
を保持できるもので、変速用電子制御装置178が備え
ているRAMやROM等を代わりに用いることもでき
る。この記憶装置188はストローク時間記憶装置に相
当する。
に対して所定の応答遅れを有するため、その応答遅れを
加味して上記判断は行われる。また、フェーズPHの初
期値は「1」で、ステップS1−1はPH=1の場合に
上記判断を行う。フェーズPH=1における指令値D1
は小さく、フェーズPH=1の段階で油圧シリンダ52
のピストンが押し込まれることはない。また、スロット
ル弁開度θTHに対応するスロットル弁開度指令値TAP
が所定の判定値C2 よりも大きい場合には、A 2 ≧B2
であっても作動油の供給を開始すべき旨の判断(YE
S)を行う。判定値C2 は車速Vをパラメータとして設
定されており、車速Vが明らかに2速駆動状態となる低
車速時の場合には判定値C2 =0で、ステップS1−1
の判断は直ちにYESになる。
になると、ステップS1−2においてフェーズPH=2
に設定され、図20のステップS2−4においてリニア
ソレノイドバルブSLUの指令値DSLU=D2とされ
てファーストフィルが実施され、油圧シリンダ52に対
して作動油の供給が開始される。図17、図18の時間
t2 は、ステップS1−1の判断がYESになって、フ
ェーズPH=2に移行した時間である。変速用電子制御
装置178による一連の信号処理のうちステップS1−
1を実行する部分は供給開始時間判断手段として機能し
ている。
は、前記図9のステップQ1−4〜Q1−9、Q1−1
4〜Q1−17と同様な処理が行われ、フェーズPHが
順次切り換えられる。また、図20の各ステップS2−
1〜S2−14では、前記図10のステップQ2−1〜
Q2−10、Q2−13〜Q2−16と同様な処理が行
われて、各フェーズ毎に指令値DSLUが制御される。
フェーズPH=4では、屈曲点指令値D4に向けて指令
値DSLUが上昇させられ、例えば図17のパワーON
時のダウンシフトでは、その指令値DSLUの上昇に伴
う油圧PB3の上昇勾配により第2速ギヤ段の駆動力が速
やかに立ち上げられる。屈曲点指令値D4は、前記アッ
プシフト時に用いられるとともに、逐次学習補正された
ものである。図18のコーストダシンシフトにおいて
も、スロットル弁開度θTHが極低開度時のアップシフト
時の屈曲点指令値D4を用いれば良い。
入力回転速度NC0が同期回転速度(NOUT ×γ2 )に略
到達した時、またはその同期回転速度(NOUT ×γ2 )
を上回った後に、油圧シリンダ52のピストンが係合側
のストロークエンドに達して係合力が発生し始めるとと
もに、更に係合力が高められて入力回転速度NC0が同期
回転速度(NOUT ×γ2 )に滑らかに近づけられる。な
お、図18のコーストダウンシフトでは、入力回転速度
NC0が同期回転速度(NOUT ×γ2 )に到達した後に、
油圧シリンダ52のピストンがストロークエンドに到達
して係合力が発生し始める。また、図18において、ブ
レーキB2の解放に伴って入力回転速度NC0が上昇して
いるのは、この場合はエンジン回転速度NE が入力回転
速度NC0よりも高いためである(3rd弱駆動状態から
の3→2ダウンシフトになる)。
(NOUT ×γ2 )を上回った時点で、例えばエンジン1
0の出力を制限するなどして入力トルクのダウン制御を
行うこともできる。トルクダウン量は、同期回転速度
(NOUT ×γ2 )に対する入力回転速度NC0の変化方向
に従って、それ等の回転速度差が大きくなる程トルクダ
ウン量を大きくし、回転速度差が小さくなるに従ってト
ルクダウン量を小さくすることが望ましい。また、回転
速度のハンチングが生じないように回転速度差がある値
以上のときは、一定値としても良い。
の入力回転速度NC0が第2速ギヤ段の同期回転速度(N
OUT ×γ2 )よりも低い状態から第2速ギヤ段を成立さ
せる3→2ダウンシフトにおいて、その入力回転速度N
C0が同期回転速度(NOUT ×γ2 )を上回った後に滑ら
かにその同期回転速度(NOUT ×γ2 )に近づくよう
に、ブレーキB3の油圧シリンダ52の係合油圧PB3す
なわちブレーキB3の係合力が制御されるため、入力回
転速度NC0が同期回転速度(NOUT ×γ2 )を上回った
状態では第2速ギヤ段へのアップシフト時の制御をその
まま適用することが可能で、ダウンシフト指令に従って
ブレーキB2を直ちに解放した後、ブレーキB3の係合
制御のみで滑らかに3→2ダウンシフトを行うことがで
きる。
化速度で変化するようにブレーキB2の油圧PB2をフィ
ードバック制御するとともにブレーキB3を低圧待機さ
せ、入力回転速度NC0が同期回転速度(NOUT ×γ2 )
に近づいた時にブレーキB2を解放するとともにブレー
キB3を完全係合させる従来装置に比較して、ブレーキ
B2、B3の解放、係合制御が容易になる。因みに、従
来装置においては、ブレーキB3の低圧待機時間が50
0m秒以上であったが、本実施例におけるブレーキB3
の油圧シリンダ52のストローク時間B2 は100m秒
程度で、入力回転速度NC0の変化速度ΔNC0に応じて変
速時間(2速での駆動力発生の時間)を大幅に短縮する
ことができる。
上げで第2速ギヤ段の駆動力の立上りを調整できるた
め、ワンウェイクラッチを有する変速段へのダウンシフ
トに比べて、トルクダウン無しでも良好なショックが実
現できる。
圧シリンダ52の油圧PB3を制御するようになっている
とともに、入力回転速度NC0が第2速ギヤ段の同期回転
速度(NOUT ×γ2 )に到達するまでの同期所要時間A
2 と、油圧シリンダ52のピストンストロークに要する
ストローク時間B2 とを比較することにより、油圧シリ
ンダ52に対する作動油の供給開始時間が決定されるた
め、常に所定のタイミングでブレーキB3がオーバシュ
ート係合させられるようになり、係合力の発生タイミン
グのずれに起因するショック等の発生が抑制される。
際の係合油圧も、アップシフトで学習した回転速度を滑
らかに変化させる必要最低限の油圧に制御されるため、
同期回転と係合力発生のタイミングのズレを高油圧にて
急変化(急係合)してしまうことによるショックを抑制
できる。
時には、入力回転速度NC0が同期回転速度(NOUT ×γ
2 )以下の間はブレーキB3が係合力を発生しないよう
に油圧シリンダ52に対する作動油の供給開始時間が制
御されるため、コーストダウンシフト時に負トルク(エ
ンジンブレーキ力)が発生する恐れがない。
された後、比較的短時間、すなわちブレーキB2がトル
ク容量を十分に確保する前に、アクセルペダル150の
踏込み操作などで第2速ギヤ段へのダウンシフト指令が
為された場合に、前記変速用電子制御装置178によっ
て実行される信号処理の内容を説明するフローチャート
で、所定のサイクルタイムで繰り返し実行される。図2
3は、図22の制御実行時における入力回転速度NC0お
よび指令値DSLUの変化を示すタイムチャートの一例
で、時間t1 は2→3アップシフト指令が出力された時
間で、時間t2は3→2アップシフト指令が出力された
時間である。
速中か否かを例えばソレノイドバルブSL1〜SL4の
励磁、非励磁の状態や実際の変速比(NC0/NOUT )な
どから判断し、変速中であればステップS3−2で第2
速ギヤ段へのダウンシフト指令が出力されたか否かを判
断する。そして、ダウンシフト指令が出力され、ブレー
キB3の油圧シリンダ52に作動油が供給されるととも
にブレーキB2の作動油がドレーンされるように2−3
シフトバルブ71が切り換えられると、ステップS3−
3を実行し、前記フェーズPHを「1」に設定して前記
オーバシュート係合制御を開始させるとともに、タイマ
TimA3 を0にリセットして新たに計時を開始させる。
フェーズPH=1とされることにより、油圧シリンダ5
2内の作動油が速やかにドレーンされる。
ーチャートの実行によりフェーズPH=1からPH=2
へ移行したか否かを判断し、PH=2へ移行した場合に
は、ステップS3−5においてタイマTimA3 の計時時
間に応じて時間T2を補正する。すなわち、油圧シリン
ダ52内の作動油が完全に抜けていない状態で図21の
制御パターンによる油圧制御を実施すると、フェーズP
H=2になって作動油の供給が開始されてから油圧シリ
ンダ52のピストンが係合側のストロークエンドに到達
するまでの時間がばらつき、所望通りの制御が得られな
いため、フェーズPH=1にして意図的に油圧シリンダ
52内の作動油を急速にドレーンする一方、ドレーン時
間を十分に確保できない場合を考慮してPH=2になる
までの時間をタイマTimA3 により計測し、その時間が
所定値以下の場合、すなわち油圧シリンダ52内に作動
油が残っていると考えられる場合には、タイマTimA3
の時間が短い程時間T2を短くするように予め定められ
た演算式やデータマップ等により補正するのである。そ
の後、前記図19〜図21のオーバシュート係合制御に
従ってブレーキB3が係合させられ、第2速ギヤ段が成
立させられる。なお、上記ステップS3−5では、時間
T2の代わりに、或いは時間T2と共に、タイマTimA
3 により指令値DSLUの値D2を補正するようにして
も良い。
アクセルペダル150の踏込み操作などで3→2ダウン
シフト指令が為された場合にも、第3速ギヤ段のブレー
キB2を直ちに解放するとともに第2速ギヤ段のブレー
キB3をオーバシュート係合させるため、従来のように
ブレーキB2のトルク容量を十分に確保した後、または
一旦第3速ギヤ段を成立させた後に、ブレーキB2の油
圧をフィードバック制御しながら3→2ダウンシフトを
行う場合に比較して、優れた応答性が得られる。
圧シリンダ52内の作動油を急速にドレーンするように
しているため、油圧シリンダ52内の残圧の影響が排除
され、ブレーキB3のオーバシュート係合制御が適正に
行われる。特に、そのドレーン時間をタイマTimA3 に
より計測して時間T2またはD2を補正するようになっ
ているため、フェーズPH=2へ移行するまでのドレー
ン時間が短い場合でも、オーバシュート係合制御が適正
に行われる。
号処理のうちステップS3−3を実行する部分は、アッ
プシフトからダウンシフトへ移行する際に油圧シリンダ
52内の作動油をドレーンしてブレーキB3を一旦解放
し、その後にオーバシュート係合制御へ移行させるアッ
プダウン移行時解放手段として機能しており、ステップ
S3−5を実行する部分は、作動油の供給開始時間まで
のドレーン時間が短くて油圧シリンダ52内の作動油を
完全にドレーンできない場合に、その残圧分だけ作動油
の供給制御を補正するオーバシュート係合制御補正手段
として機能している。
172やダウンレンジスイッチ186D のマニュアル操
作に従って3→2ダウンシフト指令が出力され、エンジ
ンブレーキ用ダウンシフトが行われている過程でアクセ
ルペダル150が増し踏み操作された場合に、前記変速
用電子制御装置178によって実行される信号処理の内
容を説明するフローチャートで、所定のサイクルタイム
で繰り返し実行される。図25は、図24の制御実行時
における入力回転速度NC0や指令値DSLU等の変化を
示すタイムチャートの一例で、時間t1 は3→2ダウン
シフト指令が出力された時間で、時間t2 はアクセルペ
ダル150が増し踏み操作された時間である。この図2
4のフローチャートに従って実行される3→2ダウンシ
フト制御は第3発明の実施例に相当する。
FF時にシフトレバー172やダウンレンジスイッチ1
86D のマニュアル操作によって3→2ダウンシフト指
令が出力されたか否かを判断する。パワーOFFは、エ
ンジン10から車輪側へ駆動力が伝達されない状態、す
なわちエンジンブレーキ状態であり、例えばトルクコン
バータ12の入出力部材の回転速度から判断できるが、
単にアクセルペダル150が踏込み操作されていない
(アクセルOFF)か否かによって判断するようにして
も良い。そして、パワーOFF時のマニュアル操作によ
る3→2ダウンシフトであれば、ステップS4−2を実
行し、ブレーキB3の油圧シリンダ52に作動油が供給
されるとともにブレーキB2の作動油がドレーンされる
ように2−3シフトバルブ71を切り換えるとともに、
油圧シリンダ52の油圧制御に際してエンジンブレーキ
用のダウンシフト制御を実施する。このエンジンブレー
キ用のダウンシフト制御は、ブレーキB2を直ちに解放
するとともにエンジンブレーキ力を滑らかに増加させる
ようにブレーキB3の係合力を制御するもので、前記図
19〜図21のオーバシュート係合制御とは異なり、入
力回転速度NC0が同期回転速度(NOUT ×γ2 )を殆ど
上回ることなくブレーキB3が完全係合するように指令
値DSLUを制御する。
レーキB3が完全係合する前で入力回転速度Nc0が同期
回転速度(NOUT ×γ2 )と一致していない段階で、ア
クセルペダル150が踏込み操作されたか否かを判断
し、アクセルOFFのままであればそのまま終了する
が、アクセルペダル150が踏込み操作された場合に
は、ステップS4−4を実行する。ステップS4−4で
は、上記エンジンブレーキ用のダウンシフト制御から前
記オーバシュート係合制御へ移行させ、指令値DSLU
の制御パターンにおけるフェーズPHを「1」に設定す
るとともに、タイマTimA4 を0にリセットして新たに
計時を開始させる。フェーズPH=1とされることによ
り、油圧シリンダ52内の作動油が速やかにドレーンさ
れる。また、ステップS4−5では、前記図19のフロ
ーチャートの実行によりフェーズPH=1からPH=2
へ移行したか否かを判断し、PH=2へ移行した場合に
は、ステップS4−6においてタイマTimA4 の計時時
間に応じて時間T2を補正する。時間T2の代わりに、
或いは時間T2と共に、タイマTimA4 の計時時間に応
じてD2を補正するようにしても良い。ステップS4−
4〜S4−6は、前記図22のステップS3−3〜S3
−5と実質的に同じである。
シフト制御の途中でアクセルペダル150が踏込み操作
された場合には、直ちにオーバシュート係合制御へ移行
して第2速ギヤ段のブレーキB3をオーバシュート係合
させるため、第2速ギヤ段が速やかに成立させられ、ア
クセルペダル150の踏込み操作に対して優れた応答性
が得られる。
際に、フェーズPH=1にして意図的に油圧シリンダ5
2内の作動油を急速にドレーンするようにしているた
め、油圧シリンダ52内の残圧の影響が排除され、入力
回転速度NC0が同期回転速度(NOUT ×γ2 )に略到達
した時、またはその同期回転速度(NOUT ×γ2 )を上
回った後に、油圧シリンダ52のピストンが係合側のス
トロークエンドに達して係合力が発生し始めるように、
ブレーキB3のオーバシュート係合制御が適正に行われ
る。特に、そのドレーン時間をタイマTimA4 により計
測して時間T2またはD2を補正するようになっている
ため、フェーズPH=2へ移行するまでのドレーン時間
が短い場合でも、オーバシュート係合制御が適正に行わ
れる。
号処理のうちステップS4−2を実行する部分はエンジ
ンブレーキ時変速制御手段として機能しており、手動変
速時係合制御手段に相当する。また、ステップS4−4
を実行する部分は、エンジンブレーキ時変速制御からオ
ーバシュート係合制御への移行時解放手段に相当し、ス
テップS4−6を実行する部分は、作動油の供給開始時
間までのドレーン時間が短くて油圧シリンダ52内の作
動油を完全にドレーンできない場合に、その残圧分だけ
作動油の供給制御を補正するオーバシュート係合制御補
正手段として機能している。
過程でアクセルペダル150が踏込み操作された時には
前記オーバシュート係合制御を実施してブレーキB3を
係合させる場合に、前記変速用電子制御装置178によ
って実行される信号処理の内容を説明するフローチャー
トで、所定のサイクルタイムで繰り返し実行される。図
27は、図26の制御実行時における入力回転速度NC0
や指令値DSLU等の変化を示すタイムチャートの一例
で、時間t1 は3→2コーストダウンシフト指令が出力
された時間で、時間t2 はブレーキ操作が解除された時
間で、時間t3はアクセルペダル150が踏込み操作さ
れた時間である。この図26のフローチャートに従って
実行される3→2ダウンシフト制御は第5発明の実施例
に相当する。
ペダル150が踏込み操作されていないアクセルOFF
の惰行走行時、或いはブレーキペダルが踏込み操作され
た制動走行時に、車速低下に伴って例えば前記図8に示
す変速線図等に従って3→2ダウンシフトを行う3→2
コーストダウンシフトか否かを判断する。コーストダウ
ンシフトか否かは、スロットル弁開度θTHが全閉か否
か、アイドル接点がONか否か等によって判断できる。
そして、3→2コーストダウンシフトの場合には、ステ
ップS5−2において、ブレーキB3の油圧シリンダ5
2に作動油が供給されるとともにブレーキB2の作動油
がドレーンされるように2−3シフトバルブ71を切り
換え、ブレーキB2を速やかに解放する。ブレーキB3
については、リニアソレノイドバルブSLUによる油圧
制御で、例えば前記フェーズPH=1に維持することに
より解放状態に保持する。
50が踏込み操作されたか否かを判断し、踏込み操作さ
れた場合にはステップ5−4で前記図19〜図21のオ
ーバシュート係合制御を行うことにより、ブレーキB3
をオーバシュート係合させて第2速ギヤ段を速やかに成
立させる。図27のタイムチャートは、このように3→
2コーストダウンシフトの過程でアクセルペダル150
が踏込み操作された場合である。また、図27におい
て、ブレーキB2の解放に伴って入力回転速度N C0が上
昇しているのは、この場合はエンジン回転速度NE が入
力回転速度NC0よりも高く、第3速ギヤ段での弱駆動状
態になっていたためである。変速用電子制御装置178
による一連の信号処理のうちステップS5−4を実行す
る部分はオーバシュート係合制御手段として機能してい
る。
合、すなわちアクセルOFFのままの場合には、ステッ
プS5−5を実行し、入力回転速度NC0が同期回転速度
(NOU T ×γ2 )を上回ったか否かを判断する。そし
て、NC0<NOUT ×γ2 の間は、そのまま終了してステ
ップS5−1以下を繰り返し実行する一方、NC0≧N
OUT×γ2 になったら、ステップS5−6でブレーキB
3を解放したまま3→2コーストダウンシフトを終了
し、例えば図28に示す第2速ギヤ段の走行時における
ブレーキB3の係合、解放制御へ移行する。なお、ステ
ップS5−6でブレーキB3を係合させるようにしても
良い。
トダウンシフトではブレーキB3を解放状態に維持し、
そのダウンシフトの過程でアクセルONになった場合
に、ステップS5−4でブレーキB3をオーバシュート
係合させるため、コーストダウンシフト時の負トルクの
発生を抑制しつつ、アクセルONに伴って駆動力を速や
かに発生させることができる。
ーOFFか否かによってブレーキB3を解放、係合制御
する場合に、前記変速用電子制御装置178によって実
行される信号処理の内容を説明するフローチャートで、
所定のサイクルタイムで繰り返し実行される。図29
は、図28の制御実行時における入力回転速度NC0や指
令値DSLU等の変化を示すタイムチャートの一例で、
第2速ギヤ段での走行中に一時的にパワーOFF(アク
セルOFF)になった場合であり、時間t1 はアクセル
ペダル150の踏み戻し操作が始まった時間で、時間t
2 はブレーキB3が略解放された時間で、時間t3 はオ
ーバシュート係合制御でブレーキB3の油圧シリンダ5
2に対して作動油の供給が開始された時間(フェーズP
H=2になった時間)で、時間t4 はブレーキB3が略
係合させられた時間である。この図28のフローチャー
トに従って実行されるブレーキB3の解放、係合制御は
第6発明の実施例に相当する。
ヤ段での走行中か否かをシフトレバー172の操作位置
やソレノイドバルブSL1〜SL4の励磁、非励磁の状
態などから判断する。本制御においては、ステップS6
−3においてリニアソレノイドバルブSLUによりブレ
ーキB3が解放されている場合も第2速ギヤ段と判断す
る。そして、第2速ギヤ段での走行中の場合は、ステッ
プS6−2を実行し、パワーOFFか否かを判断する。
パワーOFFは、エンジン10から車輪側へ駆動力が伝
達されない状態、すなわちエンジンブレーキ状態であ
り、例えばトルクコンバータ12の入出力部材の回転速
度から判断できるが、単にアクセルペダル150が踏込
み操作されていない(アクセルOFF)か否かによって
判断するようにしても良い。
でリニアソレノイドバルブSLUによる油圧制御でブレ
ーキB3を解放するとともに、ステップS6−4でフラ
グF2を「1」にする。ブレーキB3を解放する際の油
圧制御は、例えば前記屈曲点指令値D4を元にアクセル
ペダル150の踏み戻し補正を行うとともに、非駆動状
態による負トルクが予測される直前にブレーキB3が完
全に解放されるようにすることが望ましい。変速用電子
制御装置178による一連の信号処理のうちステップS
6−3を実行する部分はパワーOFF時解放手段として
機能している。
6−2に続いてステップS6−5を実行し、フラグF2
が「1」か否か、すなわち直前までパワーOFFでブレ
ーキB3が解放されているか否かを判断する。そして、
F2=0であればそのまま終了してステップS6−1以
下を繰り返すが、F2=1の場合には、ステップS6−
6で前記図19〜図21のオーバシュート係合制御を行
うことにより、ブレーキB3を速やかに係合させるとと
もに、ステップS6−7でフラグF2を「0」にする。
その場合に、ブレーキB3が完全に解放していない場合
を考慮し、前記図22、図24のように移行時に意図的
にブレーキB3を解放するとともに、必要に応じて時間
T2やD2を補正することが望ましい。変速用電子制御
装置178による一連の信号処理のうちステップS6−
6を実行する部分はオーバシュート係合制御手段として
機能している。
にパワーOFFになった場合には、ステップS6−3で
ブレーキB3を解放するようになっているため、一方向
クラッチを備えている場合と同様にパワーOFFに伴っ
て負トルクが発生することが防止される。また、ブレー
キB3が解放された状態でアクセルペダル150が踏込
み操作された場合には、ステップS6−6でブレーキB
3がオーバシュート係合させられるため、アクセル操作
に伴って駆動力を速やかに発生させることができる。す
なわち、ブレーキB3の解放、係合制御で、一方向クラ
ッチを設けた場合と同様の作用効果が得られるととも
に、ブレーキB3をオーバシュート係合させるため、一
方向クラッチを設けた場合よりも滑らかに駆動力を発生
させることができるのである。
細に説明したが、これ等はあくまでも一実施形態であ
り、例えば前記実施例では第2速ギヤ段が所定のギヤ段
で主に3→2ダウンシフトについて説明したが、自動変
速機の構成によっては他のアップシフトにも適用され得
るなど、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更,
改良を加えた態様で実施することができる。
を説明する骨子図である。
複数のギヤ段とそれを達成するための油圧式摩擦係合装
置の作動の組み合わせとの関係を説明する図表である。
機を制御するための制御装置の電気的構成を説明するブ
ロック線図である。
である。
ジスイッチが設けられたステアリングホイールの側面図
である。
めの特性であって、アクセルペダル操作量ACCとスロッ
トル弁開度θTHとの関係を示す図である。
いられる変速線図を示す図である。
れる際の変速時制御を説明するフローチャートで、ブレ
ーキB3の直接圧制御を行う際のフェーズPHを決定す
るためのものである。
制御を行うリニアソレノイドバルブの指令値DSLUを
設定する際の作動を説明するフローチャートである。
される直接圧制御の基本制御パターンを説明する図であ
る。
圧制御が行われた場合の各部の変化を示すタイムチャー
トの一例である。
i を設定する際にスロットル弁開度θTHが変化した場合
を説明する図で、(a) は指令値DSLUの変化を示す
図、(b) は屈曲点指令値D4とスロットル弁開度θTHと
の関係を説明する図である。
令値D4の学習補正を説明するための図である。
る。
われる際の変速時制御を説明するフローチャートであ
る。
ト制御が行われた場合の各部の変化を示すタイムチャー
トの一例で、パワーON時のものである。
ト制御が行われた場合の各部の変化を示すタイムチャー
トの一例で、コーストダウンシフト時のものである。
るフローチャートで、ブレーキB3の直接圧制御を行う
際のフェーズPHを決定するためのものである。
圧制御を行うリニアソレノイドバルブの指令値DSLU
を設定する際の作動を説明するフローチャートである。
御される直接圧制御の基本制御パターンを説明する図で
ある。
ダウンシフト出力が為された場合の変速時制御を説明す
るフローチャートである。
が行われた場合の各部の変化を示すタイムチャートの一
例である。
ル3→2ダウンシフト中にパワーONになった場合の変
速時制御を説明するフローチャートである。
が行われた場合の各部の変化を示すタイムチャートの一
例である。
関するもので、アクセルOFFの時はブレーキB3を解
放状態に維持する場合の変速時制御を説明するフローチ
ャートである。
が行われた場合の各部の変化を示すタイムチャートの一
例である。
にパワーON、OFFに応じてブレーキB3を係合、解
放制御する作動を説明するフローチャートである。
れた場合の各部の変化を示すタイムチャートの一例であ
る。
−3コントロールバルブ(調圧装置) 150:アク
セルペダル(アクセル操作部材) 178:変速用電
子制御装置 184:油圧制御回路 188:記憶
装置(ストローク時間記憶装置) B3:ブレーキ
(摩擦係合装置) SLU:リニアソレノイドバルブ
(調圧装置) NC0:入力回転速度 NOUT :出力
回転速度 A2 :同期所要時間 B2 :ストローク時間 ステップR3、S5−4、S6−6:オーバシュート係
合制御手段 ステップS1−1:供給開始時間判断手段 ステップS4−2:手動変速時係合制御手段 ステップS4−4:移行時解放手段 ステップS6−3:パワーOFF時解放手段
Claims (6)
- 【請求項1】 摩擦係合装置が係合させられることによ
り所定のギヤ段が成立させられる車両用自動変速機の制
御装置において、 前記自動変速機の入力回転速度が前記所定のギヤ段の同
期回転速度よりも低い状態から該所定のギヤ段を成立さ
せる際に、該入力回転速度が該同期回転速度を上回った
後に滑らかに該同期回転速度に近づくように、アップシ
フト時と同様な制御を適用して前記摩擦係合装置の係合
力を制御するオーバシュート係合制御手段を有すること
を特徴とする車両用自動変速機の制御装置。 - 【請求項2】 摩擦係合装置が係合させられることによ
り所定のギヤ段が成立させられる車両用自動変速機の制
御装置において、 前記自動変速機の入力回転速度が前記所定のギヤ段の同
期回転速度よりも低い状態から該所定のギヤ段を成立さ
せる際に、該入力回転速度が該同期回転速度を上回った
後に滑らかに該同期回転速度に近づくように、前記摩擦
係合装置の係合力を制御するオーバシュート係合制御手
段を有する一方、 前記摩擦係合装置は油圧シリンダによって摩擦係合させ
られるもので、該油圧シリンダの油圧は調圧装置によっ
て制御されるようになっており、 前記オーバシュート係合制御手段は、フィードフォワー
ド制御により前記調圧装置を介して前記油圧を制御する
もので、前記入力回転速度が前記同期回転速度に到達す
るまでの同期所要時間を求め、予めストローク時間記憶
装置に記憶された前記油圧シリンダのピストンストロー
クに要するストローク時間と比較することにより、該入
力回転速度が該同期回転速度を上回った後に該同期回転
速度に近づくように、該油圧シリンダに対する作動油の
供給開始時間を決定する供給開始時間判断手段を備えて
いることを特徴とする車両用自動変速機の制御装置。 - 【請求項3】 パワーOFF時に手動によるダウンシフ
ト操作に従って前記所定のギヤ段を成立させる際に、前
記オーバシュート係合制御手段による油圧制御とは異な
る油圧制御で前記摩擦係合装置を係合させる手動変速時
係合制御手段と、 該手動変速時係合制御手段による変速過程でアクセル操
作部材が増大操作された時には、前記油圧シリンダ内の
作動油をドレーンして前記摩擦係合装置を解放した後
に、前記オーバシュート係合制御手段による該摩擦係合
装置の係合制御へ移行させる移行時解放手段と、 を有することを特徴とする請求項1または2に記載の車
両用自動変速機の制御装置。 - 【請求項4】 前記オーバシュート係合制御手段は、前
記所定のギヤ段へのコーストダウンシフト時に前記摩擦
係合装置をオーバシュート係合させるもので、前記入力
回転速度が前記同期回転速度以下の間は該摩擦係合装置
が係合力を発生しないように制御することを特徴とする
請求項1または2に記載の車両用自動変速機の制御装
置。 - 【請求項5】 前記所定のギヤ段へのコーストダウンシ
フトの過程で、アクセルOFFの間は前記摩擦係合装置
を解放状態に維持し、アクセルONになった場合に前記
オーバシュート係合制御手段によって該摩擦係合装置の
係合制御が行われることを特徴とする請求項1または2
に記載の車両用自動変速機の制御装置。 - 【請求項6】 前記摩擦係合装置が係合している前記所
定のギヤ段での走行時にパワーOFFになった場合に該
摩擦係合装置を解放するパワーOFF時解放手段を備え
ており、 前記オーバシュート係合制御手段は、前記パワーOFF
時解放手段によって前記摩擦係合装置が解放された状態
でアクセル操作部材が増大操作された場合に該摩擦係合
装置をオーバシュート係合させるものであることを特徴
とする請求項1または2に記載の車両用自動変速機の制
御装置。
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