JP2001065338A - 内燃機関の排気浄化装置 - Google Patents

内燃機関の排気浄化装置

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JP2001065338A
JP2001065338A JP24113199A JP24113199A JP2001065338A JP 2001065338 A JP2001065338 A JP 2001065338A JP 24113199 A JP24113199 A JP 24113199A JP 24113199 A JP24113199 A JP 24113199A JP 2001065338 A JP2001065338 A JP 2001065338A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 機関の負荷増加時における排ガス性能の悪化
を抑制する。 【解決手段】 筒内噴射エンジン1の加速時に加速増量
が開始されて空燃比がリーン空燃比からリッチ空燃比に
切り換わるときに、その途中のストイキになった場合に
パルス噴射を実行して加速時のリッチ化によりNOx 触媒
15から放出されるNOx を還元する還元剤を供給し、加
速時のリッチ化によるNOx 放出時でも、確実にNOx 排出
量を低減し、大気中へのNOx 放出を抑制する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、空燃比がリーン空
燃比のときに排気中のNOx を吸蔵すると共に空燃比が理
論空燃比またはリッチ空燃比のときに吸蔵したNOx を放
出する触媒装置を排気通路に備えた内燃機関の排気浄化
装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、燃費の向上を図るため、リーン空
燃比での燃焼を可能とした希薄燃焼内燃機関が実用化さ
れている。この希薄燃焼内燃機関では、従来の三元触媒
ではその浄化特性によりリーン燃焼時の排ガス中のNOx
を十分に浄化できないといった問題がある。そこで、近
年では、例えば、リーン空燃比で運転中に排ガス中のNO
x を吸蔵し、理論空燃比(ストイキ)またはリッチ空燃
比で運転中に吸蔵されたNOx を放出還元する触媒装置を
備えた排気浄化装置が採用されてきている。
【0003】この触媒装置は、リーン空燃比(酸素の過
剰状態)で排ガス中のNOx から硝酸塩を生成し、これに
よりNOx を吸蔵する一方、ストイキまたはリッチ空燃比
(酸素濃度が低下した雰囲気)では、触媒装置に吸蔵し
た硝酸塩と排気中のCOとを反応させて炭酸塩を生成し、
これによりNOx を放出させるようになっている。
【0004】この種の触媒装置では、特に、機関の加速
等により負荷が増加して、運転モードがリーンからスト
イキまたはリッチに切り換わると同時に、燃料が増量
(加速増量)されて空燃比がリーンからストイキまたは
リッチに切り換わる際、排気空燃比も略同様にリーンか
らストイキまたはリッチに切り換わるため、触媒装置か
ら吸蔵されたNOx が自然に放出されることになる。ま
た、加速時に空燃比がリーンからストイキに切り換わる
際空燃比を一時的にリッチに操作する技術が従来から知
られている(例えば、特許第2692530 号参照)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、機関の
加速時に運転モードのリーンからストイキまたはリッチ
への切り換えとともに加速増量されて空燃比が徐々にリ
ーンからリッチ側へ切り換わる際には、ストイキ近傍で
排気中のCOが急激に増大し吸蔵されたNOx が触媒装置か
ら急激に放出されNOx 放出速度を増大させることにな
る。しかしこの場合、還元剤としてのCOが触媒装置から
のNOx 放出に使われてしまい、放出されたNO x を還元す
るための還元剤が不足するという問題が生じる。つま
り、加速移行時に大気中に放出されるNOx が増大してし
まう。
【0006】その際、従来技術のように、加速時に空燃
比を一時的にリッチに操作しても、この空燃比の変化は
単に排気中のCOを増大させる、即ち、触媒装置からのNO
x 放出速度を更に増大させるのに寄与しているだけとな
り、増大した放出NOx を還元するための還元剤はやはり
不足する。このため、従来技術では、加速時の大気中へ
排出されるNOx を低減することはできず、従来技術を適
用しても、加速移行時に大気中に放出されるNOx が増大
してしまう、といった問題を解消することはできなかっ
た。
【0007】本発明は上記状況に鑑みてなされたもの
で、機関の負荷増加時における大気中へのNOx 放出を抑
制することができる内燃機関の排気浄化装置を提供する
ことを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
本発明では、機関の負荷増加時に空燃比がリーン空燃比
から理論空燃比またはリッチ空燃比に切り換わるとき、
触媒装置から放出されたNOx を還元する還元剤を還元剤
供給手段により供給し、排ガス特性を悪化させることな
く触媒装置から放出されたNOx を還元する。
【0009】機関が、燃料を燃焼室内に直接噴射する噴
射弁を有する筒内噴射型内燃機関である場合は、還元剤
供給手段は、噴射弁の主噴射(吸気行程噴射または圧縮
行程)以降の膨張行程または排気行程に燃料噴射するこ
とが好ましい。これにより、複雑なデバイスを設けるこ
となく簡単なシステムで機関の負荷増加時(例えば加速
時)に触媒装置から放出されるNOx を確実に還元するこ
とができる。また、還元剤供給手段は、空燃比が切り換
わる途中のストイキ近傍で作動させることが好ましい。
【0010】
【発明の実施の形態】以下図面に基づいて本発明の実施
形態例を説明する。図示の実施形態例は、混合気の空燃
比を理論空燃比よりも燃料希薄側に制御して燃焼室内に
燃料を直接噴射するようにした火花点火式の多気筒型筒
内噴射内燃機関を例に挙げて説明してある。図1には本
発明の一実施形態例に係る排気浄化装置を備えた内燃機
関の概略構成、図2には排気浄化装置によるNOx の放出
状況を表すタイムチャート、図3には排気浄化装置によ
るNOx の放出状況を表すフローチャートを示してある。
【0011】多気筒型筒内噴射内燃機関としては、例え
ば、燃料を直接燃焼室に噴射する筒内噴射型直列4気筒
ガソリンエンジン(筒内噴射エンジン)1が適用され
る。筒内噴射エンジン1は、例えば、燃焼モード(運転
モード)を切り換えることで、吸気行程での燃料噴射
(吸気行程噴射モード)または圧縮行程での燃料噴射
(圧縮行程噴射モード)が実施可能となっている。そし
て、この筒内噴射エンジン1は、理論空燃比(ストイ
キ)での運転やリッチ空燃比での運転(リッチ空燃比運
転)の他、リーン空燃比での運転(リーン空燃比運転)
が実現可能となっており、特に、圧縮行程噴射モードで
は、吸気行程でのリーン空燃比運転よりも大きな空燃比
となる超リーン空燃比での運転が可能となっている。
【0012】図1に示すように、筒内噴射エンジン1の
シリンダヘッド2には各気筒毎に点火プラグ3が取り付
けられると共に、各気筒毎に電磁式の燃料噴射弁4が取
り付けられている。燃焼室5内には燃料噴射弁4の噴射
口が開口し、燃料噴射弁4から噴射される燃料が燃焼室
5内に直接噴射されるようになっている。筒内噴射エン
ジン1のシリンダ6にはピストン7が上下方向に摺動自
在に支持され、ピストン7の頂面には半球状に窪んだキ
ャビティ8が形成されている。キャビティ8により、図
1では時計回りの逆タンブル流を発生させるようになっ
ている。
【0013】シリンダヘッド2には、各気筒毎に略直立
方向に吸気ポートが形成され、各吸気ポートと連通する
ようにして吸気マニホールド9の一端がそれぞれ接続さ
れている。また、シリンダヘッド2には、各気筒毎に略
水平方向に排気ポートが形成され、各排気ポートと連通
するようにして排気マニホールド10の一端がそれぞれ
接続されている。また、排気マニホールド10には図示
しないEGR装置が設けられている。
【0014】一方、エンジン1の排気マニホールド10
には排気管(排気通路)11が接続され、エンジン1に
近接した小型の三元触媒12及び触媒装置としての排気
浄化触媒装置13を介して図示しないマフラーが接続さ
れている。排気管11における三元触媒12と排気浄化
触媒装置13との間の部分には、排気浄化触媒装置13
の直上流、即ち、後述するNOx 触媒15の直上流に位置
して排気温度を検出する高温センサ14が設けられてい
る。また、三元触媒12の上流側における排気通路11
には排気空燃比を検出するO2センサ18が設けられてい
る。
【0015】排気浄化触媒装置13は、排気空燃比がリ
ーン空燃比のときにNOx を触媒上に吸蔵させることによ
り排気中のNOx を浄化し、排気空燃比がストイキまたは
リッチ空燃比のときに付着したNOx を放出し還元する機
能を有した触媒装置としてのNOx 触媒15と、ストイキ
の雰囲気でCO,HC 及びNOx を浄化可能な三元機能を有し
た三元触媒16とを備えている。三元触媒16はNOx
媒15よりも下流側に配設され、NOx 触媒15から放出
されたNOx のうちNOx 触媒15で還元しきれなかったNO
x の還元も行なう。尚、排気浄化触媒装置13の構成
は、NOx 触媒15を少なくとも一つ備えたものであれ
ば、配置や機能等は上記実施形態例に限定されるもので
はない。
【0016】NOx 触媒15は、酸化雰囲気においてNOx
を一旦吸蔵させ、主としてCOの存在する還元雰囲気中に
おいてNOx を放出してN2(窒素)等に還元させるNOx
出還元機能を持つものである。詳しくは、NOx 触媒15
は、貴金属として白金(Pt)、パラジウム(Pd)等を有
した触媒として構成され、吸蔵剤としてはバリウム(B
a)等のアルカリ金属、アルカリ土類金属が採用されて
いる。そして、排気浄化触媒装置13の下流側にはNOx
濃度を検出するNOx センサ17が設けられている。
【0017】一方、吸気マニホールド9にはドライブバ
イワイヤ(DBW)方式の電動スロットル弁21が接続
され、スロットル弁21にはスロットル開度θthを検出
するスロットルポジションセンサ22が設けられてい
る。エンジン1には、クランク角を検出するクランク角
センサ23が設けられ、クランク角センサ23はエンジ
ン回転速度Neを検出可能となっている。
【0018】車両には電子制御ユニット(ECU)31
が設けられ、このECU23には、入出力装置、制御プ
ログラムや制御マップ等の記憶を行う記憶装置、中央処
理装置及びタイマやカウンタ類が備えられている。EC
U31によって筒内噴射エンジン1を含めた本実施形態
の排気浄化装置の総合的な制御が実施される。各種セン
サ類の検出情報はECU31に入力され、ECU31は
各種センサ類の検出情報に基づいて、燃料噴射モードや
燃料噴射量を始めとして点火時期等を決定し、燃料噴射
弁4や点火プラグ3等を駆動制御する。
【0019】筒内噴射エンジン1では、吸気マニホール
ド9から燃焼室5内に流入した吸気流が逆タンブル流を
形成し、圧縮行程中期以降に燃料を噴射して逆タンブル
流を利用しながら燃焼室5の頂部中央に配設された点火
プラグ3の近傍のみに少量の燃料を集め、点火プラグ3
から離隔した部分で極めてリーンな空燃比状態とする。
点火プラグ3の近傍のみをストイキ又はリッチな空燃比
とすることで、安定した層状燃焼(層状超リーン燃焼)
を実現しながら燃料消費を抑制する。
【0020】また、筒内噴射エンジン1から高出力を得
る場合には、燃料噴射弁4からの燃料を吸気行程に噴射
することにより燃焼室5全体に均質化し、燃焼室5内を
ストイキやリーン空燃比の混合気状態にさせて予混合燃
焼を行う。もちろん、ストイキもしくはリッチ空燃比の
方がリーン空燃比よりも高出力が得られるため、この際
にも、燃料の霧化及び気化が十分に行なわれるようなタ
イミングで燃料噴射を行ない、効率よく高出力を得るよ
うにしている。
【0021】ECU31では、スロットルポジションセ
ンサ22からのスロットル開度θthとクランク角センサ
23からのエンジン回転速度Neとに基づいてエンジン負
荷に対応する目標筒内圧、即ち、目標平均有効圧Peが求
められ、更に、この目標平均有効圧Peとエンジン回転速
度Neとに応じてマップ(図示せず)より燃料噴射モード
が設定される。例えば、目標平均有効圧Peとエンジン回
転速度Neとが共に小さいときは、燃料噴射モードは圧縮
行程噴射モードとされて燃料が圧縮行程で噴射され、一
方、目標平均有効圧Peが大きくなり、あるいはエンジン
回転速度Neが大きくなると燃料噴射モードは吸気行程噴
射モードとされ、燃料が吸気行程で噴射される。そし
て、目標平均有効圧Peとエンジン回転速度Neとから各燃
料噴射モードでの制御目標となる目標空燃比(目標A/
F)が設定され、適正量の燃料噴射量がこの目標A/F
に基づいて決定される。
【0022】排気浄化触媒装置13のNOx 触媒15で
は、リーン運転モードにおける超リーン燃焼運転時のよ
うな排ガス中の空燃比がリーン空燃比のときに、排気中
のNOxが硝酸塩として吸蔵されて排気の浄化が行われ
る。一方、酸素濃度が低下して排ガス中の空燃比がスト
イキまたはリッチ空燃比のときに、NOx 触媒15に吸蔵
した硝酸塩と排気中のCOとが反応して炭酸塩が生成され
ると共にNOx が放出される。従って、NOx 触媒15への
NOx の吸蔵が進むと、空燃比のリッチ化あるいは追加の
燃料噴射を行うなどして酸素濃度を低下させCOを供給
し、NOx 触媒15からNOx を放出還元させてNOx 吸蔵機
能を維持する。
【0023】ECU31には、リーン運転が所定時間以
上継続した場合に排気中の酸素濃度を低下させてNOx
媒15からNOx を放出させるためのNOx 放出手段が備え
られている。NOx 放出手段は、NOx 触媒15からNOx
放出させる再生指令に基づいて、吸蔵されたNOx をNOx
触媒15から放出し還元する際に、例えば、第1所定時
間の間排気空燃比をリッチ空燃比とし、その後第2所定
時間の間排気空燃比をストイキ近傍(ストイキもしくは
ストイキよりも僅かにリッチなスライトリッチ)とする
再生機能を備えている。また、ECU31には、還元剤
供給手段が備えられ、NOx 放出手段によるNOx の放出作
動期間中における所定時期に、放出されたNOx を還元す
る還元剤を追加供給するため、膨張行程以降、好ましく
は膨張行程の後期(または排気行程の初期)に追加の燃
料を噴射させるパルス噴射手段を備えている。
【0024】NOx 触媒15は、排ガス中の空燃比がスト
イキまたはリッチ空燃比のときにNO x が放出されるよう
になっているため、運転条件が、空燃比をリーン空燃比
とする運転条件から理論空燃比またはリッチ空燃比とす
る運転条件へと切り換わる場合、特に、加速等の機関の
負荷増加時に運転モードのリーンからストイキまたはリ
ッチへの切り換えとともに、燃料が増量されて(加速増
量)空燃比がリーン空燃比からストイキまたはリッチ空
燃比に切り換わるときにも、NOx 触媒15からNOx が放
出される。このため、本実施形態例のECU31には、
前述したNOx 放出手段の作動に拘らず機関の加速時に、
加速増量が開始されて空燃比がリーン空燃比からストイ
キまたはリッチ空燃比に切り換わるときに、その途中の
空燃比においてNOx 触媒15から放出されるNOx を還元
する還元剤を供給するために前述した還元剤供給手段を
作動させる機能が備えられている。即ち、加速増量が開
始されて空燃比がストイキまたはリッチ空燃比に切り換
わるときに、NOx 放出手段の再生指令とは別に、膨張行
程の後期(または排気行程の初期)にパルス噴射手段を
作動させて燃料を噴射させ、放出されたNOx を還元する
ようになっている。
【0025】尚、機関の負荷増加時としては、加速時以
外にエアコンやパワステの作動時等のように補機類の作
動時に負荷が増加する場合が適用され、負荷増加時でな
くともブレーキマスターバッグの負圧確保のためのリー
ン空燃比からストイキまたはリッチ空燃比への切り換え
時にも適用できる。これらの場合に空燃比がリーン空燃
比からストイキまたはリッチ空燃比に切り換わるときに
(この場合は加速増量は行なわれない)、NOx 放出手段
の再生指令とは別に、還元剤供給手段を作動させてNOx
触媒15から放出されるNOx を還元する還元剤を供給す
るようにしてもよい。
【0026】上述した排気浄化装置の動作状況を図2に
基づいて説明する。
【0027】図2(a) に示すように、筒内噴射エンジン
1の加速時に運転モードのリーンからストイキへの切り
換えとともに加速増量が開始されると、空燃比がリーン
空燃比からリッチ空燃比に切り換わる。空燃比がリーン
空燃比からリッチ空燃比に切り換わると、排ガス中の空
燃比もストイキまたはリッチ空燃比となり、図2(b)に
点線で示すように、空燃比がストイキを越えたあたりか
らCOが供給されNOx 触媒15からNOx が急激に放出され
始める。しかし、このままでは、放出したNOxを還元す
るだけの還元剤(残りのCO及びHC等)が存在しないた
め、放出されたNO x >還元されるNOx となってNOx 触媒
15から放出されたNOx のうち還元されないNOx がその
まま大気放出される。
【0028】そこで、本実施形態例では、加速時にNOx
触媒15から放出されたNOx を還元する還元剤を供給す
るため、図2(c) に示すように、排ガスの空燃比がスト
イキになったときに、燃焼に寄与しないため筒内噴射エ
ンジン1の出力に影響しにくいと同時に未燃の状態でHC
(還元剤)を供給できるタイミングである膨張行程以
降、このましくは膨張行程の後期(または排気行程の初
期)にパルス噴射手段をNOx 放出手段の再生指令とは別
に作動させて燃料を噴射させ、放出されたNOx を還元す
る。パルス噴射による燃料量(パルス噴射時間)は、放
出されたNOx に応じて設定される。
【0029】これにより、図2(b) に実線で示すよう
に、噴射された燃料(還元剤)によってNOx が還元され
て加速時のリッチ化により大気放出されるNOx 量を抑制
することができる。従って、加速時のリッチ化によるNO
x 放出時でも、確実にNOx 排出量を低減することができ
ると共に、還元剤(CO,HC)の排出量も低減することがで
きる。
【0030】上述した排気浄化装置の作用を図3のフロ
ーチャートに基づいて具体的に説明する。
【0031】図に示すように、ステップS1でリーンモ
ードの運転(リーン運転)から加速運転に移行してスト
イキモードへの切り換えとともに加速増量開始となった
か否かが判断され、加速増量開始となったと判断された
場合、ステップS2で空燃比がストイキであるか否かが
判断される。ステップS2の空燃比の判断は、目標空燃
比によって判断してもよいが、ここではO2センサ18の
検出結果により排気空燃比(NOx 触媒15に流入する排
気の空燃比)で判断する。これは、実際の空燃比制御に
対し加速増量した燃料が壁面に付着した場合等に燃料が
燃焼に寄与するまでに遅れが生じるためである。特に、
吸気管に燃料を噴射して混合気を燃焼室に導入する機関
の場合に吸気管の壁面に燃料が付着して遅れが生じる。
【0032】ステップS2で空燃比がストイキであると
判断された場合、ステップS3で加速増量によるNOx
ージ量Aを演算すると共に、ステップS4でNOx パージ
量Aに基づいてパルス噴射時間Bを演算する。即ち、リ
ーン運転から加速増量開始となり、空燃比がリーン空燃
比からリッチ空燃比に切り換わるとき、その途中の空燃
比であるストイキになった場合、加速時のリッチ化によ
りNOx 触媒15から放出されるNOx を還元する還元剤を
供給するためのパルス噴射の開始条件が成立したので、
ステップS3で加速増量によるNOx パージ量Aを演算す
ると共に、ステップS4でNOx パージ量Aに基づいてパ
ルス噴射時間Bを演算する。ステップS2で空燃比がス
トイキではないと判断された場合、リターンとなる。
【0033】つまり、ステップS3では、加速増量によ
りCO(還元剤)が供給されてNOx 触媒15に吸蔵したNO
x が放出される時の、加速増量によるCOの供給量、即
ち、NO x パージ量Aが演算される。NOx パージ量A、即
ち、CO供給量は、空燃比と吸入空気量(排気流量)のマ
ップ値を積算することで演算される。マップの設定とし
ては、空燃比がよりリッチであるほどCOは多く生成され
るのでCO供給量は大とし、吸入空気量が多いほど同じ空
燃比でもCO供給量は多くなるので、CO供給量は大と設定
する。ステップS4では、加速増量で放出されたNOx
還元するための還元剤(HC)の必要量、即ち、燃料噴射量
と相関するパルス噴射時間Bが演算される。パルス噴射
時間Bは、NOx パージ量Aのマップ値により演算され
る。
【0034】また、直前のリーン運転時のNOx 吸蔵量に
応じて放出されるNOx 量が変わるので、それによりパル
ス噴射時間Bを変化させるようにしてもよい。NOx 吸蔵
量はリーンモード継続時間により判断し、リーンモード
継続時間が長いほど放出されるNOx 量が多くなるので、
パルス噴射時間Bを長くする。尚、NOx パージ量Aとパ
ルス噴射時間Bのマップを合わせたものとし、一度にパ
ルス噴射時間Bを求めるようにしてもよい。
【0035】ステップS4でパルス噴射時間Bを演算し
た後、ステップS5でパルス噴射時間Bによりパルス噴
射を実行して燃料を膨張行程の後期に噴射する。加速増
量による空燃比のテーリング途中でリーン空燃比からス
トイキ近傍を越えリッチ空燃比になるあたりから排ガス
中のCOの急増と共に吸蔵されたNOx がNOx 触媒15から
急激に放出され(図2(b) 参照)、還元剤の量が十分で
なくなる状態になる。このため、空燃比がストイキにな
ったタイミングでパルス噴射が実行され還元剤(未燃燃
料、即ちHC)が噴射される。パルス噴射は、膨張行程の
中期から排気行程の初期、特に膨張行程の後期が望まし
く、膨張行程の後期に燃料を追加することで、燃焼する
ことなく未燃の燃料(還元剤)が排気通路に供給され触
媒上で放出されたNOx の還元に用いられる。また、膨張
行程から排気行程では燃料を噴射しても筒内噴射エンジ
ン1の出力に影響を与えにくい。
【0036】また、パルス噴射は空燃比がストイキとな
った時点から開始することとしているが、これよりも噴
射開始が早すぎるとNOx 触媒15からNOx がまだあまり
放出されていないので、パルス噴射の未燃の燃料(還元
剤)がNOx の還元に用いられずにそのまま放出されHC排
出量が増加する。逆に、パルス噴射の開始が遅すぎる
と、NOx の放出の急増に対し還元剤が不足しNOx 排出量
が増加する。
【0037】尚、リーンからリッチへの切り換えが速く
ほぼ瞬時に空燃比が切り換わったために、実質的にスト
イキ近傍をジャンプするような形で空燃比が変化した場
合においても、ストイキより空燃比がリッチとなった時
点からパルス噴射を開始すればよい。
【0038】ステップS5でパルス噴射が実行された
後、ステップS6でパルス噴射時間がB以上になったか
否かが判断され、パルス噴射時間がBに満たないと判断
された場合パルス噴射時間がB以上になるまでパルス噴
射を続行し、パルス噴射時間がB以上になったと判断さ
れた場合、ステップS7でパルス噴射を終了する。
【0039】上述した排気浄化装置では、筒内噴射エン
ジン1の加速時に加速増量が開始されて空燃比がリーン
空燃比からリッチ空燃比に切り換わるときに、その途中
のストイキになった場合にパルス噴射を実行して加速時
のリッチ化によりNOx 触媒15から放出されるNOx を還
元する還元剤を供給するようにしたので、加速時のリッ
チ化時でも放出されたNOx に対して還元剤が過不足する
ことなくNOx を確実に還元することができる。このた
め、加速時のリッチ化によるNOx 放出時でも、確実にNO
x 排出量を低減できると共に還元剤(CO,HC) の排出量も
低減できる。
【0040】上記実施形態例では、NOx 触媒15の下流
に別体の三元触媒16を配置し、NO x 触媒15から放出
されたNOx の還元をNOx 触媒15上のみで行うのではな
く三元触媒16上でもNOx 還元を行う場合としている
が、NOx 触媒15にNOx 還元(三元触媒)の機能を十分
に持たせて三元触媒一体型とした吸蔵型NOx 触媒を用い
てもよく、その場合はパルス噴射は極短時間としてもよ
いことがわかっている。
【0041】更に、上記実施形態例では、排気浄化装置
を適用する機関として、燃焼室内に燃料を直接噴射する
よようにした火花点火式の機関を例に挙げて説明した
が、吸蔵型のNOx 触媒15を備えてNOx の放出還元を行
う機関であれば、ディーゼルエンジンや、吸気管に燃料
を噴射し混合気を燃焼室に導入する火花点火式のリーン
バーンエンジンに適用することも可能である。混合気を
燃焼室に導入するエンジンに本発明を適用する場合に
は、還元剤供給手段として、排気通路に追加燃料を噴射
して還元剤を追加供給するようにしてもよい。
【0042】
【発明の効果】本発明の内燃機関の排気浄化装置では、
機関の負荷増加時におけるリッチ化によるNOx 放出時で
も、大気中へのNOx 放出を抑制することができ、機関の
負荷増加時における排ガス性能の悪化を抑制することが
可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態例に係る排気浄化装置を備
えた内燃機関の概略構成図。
【図2】排気浄化装置によるNOx の放出状況を表すタイ
ムチャート。
【図3】排気浄化装置によるNOx の放出状況を表すフロ
ーチャート。
【符号の説明】
1 筒内噴射エンジン 4 燃料噴射弁 13 排気浄化触媒装置 15 NOx 触媒 16 三元触媒 31 電子制御ユニット(ECU)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 田村 保樹 東京都港区芝五丁目33番8号 三菱自動車 工業株式会社内 (72)発明者 川島 一仁 東京都港区芝五丁目33番8号 三菱自動車 工業株式会社内 Fターム(参考) 3G091 AA12 AA17 AA18 AA24 AA28 AB03 AB06 BA07 BA14 CA18 CB02 CB03 DB13 EA17 EA33 EA34 FA17 FB10 FB11 FB12 GB02Y GB03Y GB06W GB07W HA12 HA36 HA37 HA47 3G301 HA01 HA04 HA06 HA16 JA25 KA12 LA03 LB02 LB04 MA01 MA06 MA11 MA19 MA26 NC02 NE13 NE14 PA11Z PB05A PE01Z PF01Z PF03Z

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 機関の排気通路に設けられ排気空燃比が
    リーン空燃比のときに排気ガス中のNOx を吸蔵し排気空
    燃比が理論空燃比またはリッチ空燃比のときに吸蔵され
    たNOx を放出する機能を有する触媒装置と、 前記機関の負荷増加時に空燃比がリーン空燃比から理論
    空燃比またはリッチ空燃比に切り換わるときに、前記触
    媒装置から放出されるNOx を還元する還元剤を供給する
    還元剤供給手段とを備えたことを特徴とする内燃機関の
    排気浄化装置。
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