JP2002013429A - 内燃機関の排気浄化制御装置 - Google Patents

内燃機関の排気浄化制御装置

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JP2002013429A JP2000201431A JP2000201431A JP2002013429A JP 2002013429 A JP2002013429 A JP 2002013429A JP 2000201431 A JP2000201431 A JP 2000201431A JP 2000201431 A JP2000201431 A JP 2000201431A JP 2002013429 A JP2002013429 A JP 2002013429A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 燃料カット復帰後に無駄な燃料消費を避けな
がらリーンNOx触媒に吸蔵したNOxを還元浄化して
触媒のNOx吸蔵能力を早期に回復させる。 【解決手段】 直噴エンジン11のリーン運転が連続し
て行われる場合は、リーンNOx触媒39のNOx吸蔵
量が飽和量に達する前に、リーンNOx触媒39のNO
x吸蔵能力を回復させるために、一時的にリッチ運転に
切り換える。この際、リーン運転中に燃料カットされた
時は、燃料カット復帰直後にリッチ運転に切り換えて
も、排気管37内の酸素濃度が低下するまでには、暫く
時間がかかり、それまでは、リッチ運転を行っても、リ
ーンNOx触媒39に吸蔵したNOxを還元浄化するこ
とができず、無駄に燃料を消費して燃費を悪化させる結
果となる。そこで、燃料カット復帰から所定時間が経過
するまで(つまり排気管37内の酸素濃度が低下するま
で)、リッチ運転への切り換えを禁止する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、排出ガス中の窒素
酸化物(以下「NOx」と表記する)を吸蔵する触媒を
備えた内燃機関の排気浄化制御装置に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】直噴エンジンやリーンバーンエンジンの
ようにリーン燃焼が可能なエンジンでは、低負荷域で、
混合気の空燃比を理論空燃比よりもリーン側に制御する
リーン運転を行うことで燃費を向上させ、高負荷域で
は、空燃比をリッチ側に制御するリッチ運転を行うこと
でエンジン出力を高めるようにしている。
【0003】また、リーン運転中は、排出ガス中のNO
x量が多くなり、三元触媒ではNOxを十分に浄化でき
ないため、特許第2586738号公報、特許第260
0492号公報に示すように、排気管にNOx吸蔵還元
型の触媒(いわゆるリーンNOx触媒)を設置したもの
がある。このリーンNOx触媒は、排出ガスがリーンと
なるリーン運転中に排出ガス中のNOxを吸蔵し、リッ
チ運転に切り換わった時に、それまでに吸蔵したNOx
をリッチガスで還元浄化する。従って、リーン運転が連
続して行われる場合には、リーンNOx触媒のNOx吸
蔵量が飽和量に達する前に、リーンNOx触媒のNOx
吸蔵能力を回復させるために、一時的にリッチ運転に切
り換えるようにしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、減速時等に
は、燃費節減のために燃料カットが行われるが、燃料カ
ット中は、筒内で燃焼が発生せず、筒内に吸入された空
気の酸素が消費されずにそのまま排気管内に排出される
ため、排気管内の酸素濃度が著しく高くなる。このた
め、リーン運転中の燃料カット復帰直後にリッチ運転に
切り換えても、排気管内の酸素濃度が低下するまでに
は、暫く時間がかかり、それまでは、リッチ運転を行っ
ても、リーンNOx触媒に吸蔵したNOxを還元浄化す
ることができず、無駄に燃料を消費して燃費を悪化させ
る結果となる。
【0005】本発明はこのような事情を考慮してなされ
たものであり、従ってその目的は、燃料カット復帰後に
無駄な燃料消費を避けながら触媒に吸蔵したNOxを還
元浄化して触媒のNOx吸蔵能力を早期に回復させるこ
とができ、NOx浄化率向上と燃費向上とを両立させる
ことができる内燃機関の排気浄化制御装置を提供するこ
とにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の請求項1の内燃機関の排気浄化制御装置
は、リーン運転中に排出ガスのNOxを触媒に吸蔵する
と共に、排気浄化制御手段によってリーン運転中に一時
的にリッチ運転に切り換えて触媒に吸蔵したNOxを還
元浄化する。そして、リーン運転中に燃料カットされた
時には、該燃料カット復帰から所定期間が経過するまで
リッチ運転への切り換えを運転切換禁止手段によって禁
止する。このようにすれば、燃料カット復帰後は、排気
管内の酸素濃度が低下するまでリッチ運転への切り換え
を遅らせることができるので、従来のような燃料カット
復帰直後のリッチ運転への切り換えによる無駄な燃料消
費を避けることができ、燃費を向上できると共に、燃料
カット復帰後に排気管内の酸素濃度が低下した段階で速
やかにリッチ運転に切り換えて、触媒に吸蔵したNOx
を還元浄化して触媒のNOx吸蔵能力を早期に回復させ
ることができ、NOx浄化率を良好に維持することがで
きる。
【0007】一般に、燃料カット中は、NOxが発生し
やすく、触媒のNOx吸蔵量が通常のリーン運転中より
も増加する傾向があるため、請求項2のように、燃料カ
ット復帰から所定期間が経過した後にリッチ運転に切り
換える場合は、触媒へのリッチ成分供給量を通常のリッ
チ運転切換時のリッチ成分供給量よりも増量するように
すると良い。このようにすれば、燃料カットによる触媒
のNOx吸蔵量の増加分を考慮してリッチ成分供給量を
増量することができ、燃料カット復帰後の所定期間経過
後に触媒のNOx吸蔵能力を速やかに回復させることが
できる。尚、リッチ成分供給量の増量は燃料噴射量の増
量補正によって行えば良い。
【0008】この場合、燃料カット実行時間が長くなる
ほど、触媒のNOx吸蔵量が増加することを考慮して、
請求項3のように、燃料カット復帰から所定期間が経過
した後にリッチ運転に切り換える場合は、触媒へのリッ
チ成分供給量を燃料カット実行時間に応じて増量するよ
うにしても良い。このようにすれば、燃料カットによる
NOx吸蔵量の増加分に応じてリッチ成分供給量を精度
良く増量することができる。
【0009】更に、請求項4のように、燃料カット復帰
から所定期間が経過した後にリッチ運転に切り換える場
合は、燃料カット中に触媒のNOx吸蔵量が所定量以上
となった時間に応じて触媒へのリッチ成分供給量を増量
するようにしても良い。つまり、燃料カットが行われて
も、触媒のNOx吸蔵量があまり多くなっていなけれ
ば、まだ触媒にNOxを吸蔵する余裕があるため、リッ
チ運転に切り換える必要はない。従って、燃料カット中
に触媒のNOx吸蔵量が所定量以上となった時間に基づ
いて、触媒から取り除くべきNOx量(還元浄化すべき
NOx量)を判断して触媒へのリッチ成分供給量を増量
すれば、リッチ成分供給量を更に精度良く設定すること
ができる。
【0010】
【発明の実施の形態】《実施形態(1)》以下、本発明
を筒内噴射式内燃機関(直噴エンジン)に適用した実施
形態(1)を図1乃至図4に基づいて説明する。
【0011】図1に示すように、直噴エンジン11の吸
気管12の最上流部には、エアクリーナ13が設けら
れ、このエアクリーナ13の下流側に、ステップモータ
14によって開度調節されるスロットルバルブ15が設
けられている。ステップモータ14がエンジン電子制御
回路(以下「ECU」と表記する)16からの出力信号
に基づいて駆動されることで、スロットルバルブ15の
開度(スロットル開度)が制御され、そのスロットル開
度に応じて各気筒ヘの吸入空気量が調節される。スロッ
トルバルブ15の近傍には、スロットル開度を検出する
スロットルセンサ17が設けられている。
【0012】このスロットルバルブ15の下流側には、
サージタンク19が設けられ、このサージタンク19
に、エンジン11の各気筒に空気を導入する吸気マニホ
ールド20が接続されている。各気筒の吸気マニホール
ド20内には、それぞれ第1吸気路21と第2吸気路2
2が仕切り形成され、これら第1吸気路21と第2吸気
路22が、エンジン11の各気筒に形成された2つの吸
気ポート23にそれぞれ連結されている。各気筒の第2
吸気路22内には、スワールコントロール弁24が配置
されている。各気筒のスワールコントロール弁24は、
共通のシャフト25を介してステップモータ26に連結
されている。このステップモータ26がECU16から
の出力信号に基づいて駆動されることで、スワールコン
トロール弁24の開度が制御され、その開度に応じて各
気筒内のスワール流強度が調整される。ステップモータ
26には、スワールコントロール弁24の開度を検出す
るスワールコントロール弁センサ27が取り付けられて
いる。
【0013】また、エンジン11の各気筒の上部には、
燃料を筒内に直接噴射する燃料噴射弁28が取り付けら
れている。燃料タンク(図示せず)から燃料配管45を
通して燃料デリバリパイプ29に送られてくる燃料は、
各気筒の燃料噴射弁28から燃焼室内に噴射され、吸気
ポート23から導入される吸入空気と混合して混合気が
形成される。燃料デリバリパイプ29には、燃料の圧力
を検出する燃圧センサ30が取り付けられている。
【0014】更に、エンジン11のシリンダヘッドに
は、各気筒毎に点火プラグ(図示せず)が取り付けら
れ、各点火プラグの点火によって燃焼室内の混合気が着
火される。また、気筒判別センサ32は、特定気筒が吸
気上死点に達した時に気筒判別信号パルスを出力し、ク
ランク角センサ33は、エンジン11のクランクシャフ
トが所定クランク角(例えば30℃A)回転する毎にク
ランク角信号パルスを出力し、このクランク角信号パル
スの出力周波数によってエンジン回転速度Neが検出さ
れる。更に、このクランク角信号パルスと気筒判別信号
パルスによって、クランク角の検出や気筒判別が行われ
る。
【0015】一方、エンジン11の排気ポート35に
は、排気マニホールド36を介して排気管37が接続さ
れている。この排気管37には、理論空燃比付近で排気
を効率良く浄化する三元触媒38とNOx吸蔵型のリー
ンNOx触媒39とが直列に配置されている。このリー
ンNOx触媒39は、排出ガス中の酸素濃度が高いリー
ン運転中に、排出ガス中のNOxを吸蔵し、リッチ運転
に切り換えられて排出ガス中の酸素濃度が低下した時
に、吸蔵NOxを還元浄化して放出する。
【0016】また、排気管37のうちの三元触媒38の
上流側とサージタンク19との間には、排出ガスの一部
を還流させるEGR配管40が接続され、このEGR配
管40の途中に、EGR量(排気還流量)を制御するE
GR弁41が設けられている。また、アクセルペダル1
8には、アクセル開度を検出するアクセルセンサ42が
設けられている。
【0017】上述した各種センサの出力信号は、ECU
16に入力される。このECU16は、マイクロコンピ
ュータを主体として構成され、内蔵されたROM(記憶
媒体)に記憶された制御プログラムに従い、各種センサ
出力に基づき、前述したステップモータ14,26、E
GR弁41、燃料噴射弁28、点火プラグの動作を制御
する。例えば、低・中負荷運転時は、空燃比がリーンと
なるように少量の燃料を圧縮行程で噴射し、点火プラグ
の近傍に成層混合気を形成して成層燃焼させることで、
燃費を向上させる(成層燃焼運転)。また、高負荷運転
時は、理論空燃比付近又はそれよりも若干リッチとなる
ように燃料噴射量を増量し、燃料を吸気行程で噴射して
均質混合気を形成して均質燃焼させることで、エンジン
出力を高める(均質燃焼運転)。尚、成層燃焼運転領域
では、空燃比がリーンに制御されるが、均質燃焼運転領
域でも、成層燃焼運転領域に近い領域では、空燃比がリ
ーンに制御されるリーンバーン領域が存在する。
【0018】ところで、リーンNOx触媒39は、排出
ガス中の酸素濃度が高いリーン運転(成層燃焼運転及び
リーンバーン運転)中に、排出ガス中のNOxを吸蔵
し、リッチ運転に切り換えられて排出ガス中の酸素濃度
が低下した時に、吸蔵NOxを還元浄化して放出する。
従って、リーン運転が連続して行われる場合には、リー
ンNOx触媒39のNOx吸蔵量が飽和量に達する前
に、リーンNOx触媒39のNOx吸蔵能力を回復させ
るために、一時的にリッチ運転に切り換える必要があ
る。
【0019】しかし、リーン運転中に減速等で燃料カッ
トが発生すると、排気管37内の酸素濃度が高くなるた
め、燃料カット復帰直後にリッチ運転に切り換えても、
排気管37内の酸素濃度が低下するまでには、暫く時間
がかかり、それまでは、リッチ運転を行っても、リーン
NOx触媒39に吸蔵したNOxを還元浄化することが
できず、無駄に燃料を消費して燃費を悪化させる結果と
なる。
【0020】そこで、本実施形態(1)では、ECU1
6は、後述する図2乃至図4の各プログラムを実行する
ことで、リーン運転中に燃料カットされた時に、該燃料
カット復帰から所定時間が経過するまでリッチ運転への
切り換えを禁止し、燃料カット復帰後に排気管37内の
酸素濃度が低下するまでリッチ運転への切り換えを遅ら
せる。以下、これら各プログラムの処理内容を説明す
る。
【0021】[NOx吸蔵量算出]図2のNOx吸蔵量
算出プログラムは、所定時間毎に実行され、次のように
してリーンNOx触媒39のNOx吸蔵量QNOxを算
出する。本プログラムが起動されると、まず、ステップ
101で、現在、リーン運転中であるか否かを判定し、
リーン運転中であれば、ステップ102に進み、エンジ
ン回転速度Neと要求トルクを読み込む。そして、次の
ステップ103で、前回演算時から今回演算時までのN
Ox吸蔵量増加分tNOxを、エンジン回転速度Neと
要求トルクに応じてマップ等により算出する。この後、
ステップ104に進み、前回演算したNOx吸蔵量QN
Ox(i-1) に今回のNOx吸蔵量増加分tNOxを加算
して、現在のNOx吸蔵量QNOx(i) を求める。 QNOx(i) ←QNOx(i-1) +tNOx
【0022】一方、ステップ101で、リッチ運転と判
定された場合は、ステップ105に進み、前回演算した
NOx吸蔵量QNOx(i-1) がプラス値であるか否かを
判定し、NOx吸蔵量QNOx(i-1) がプラス値であれ
ば、ステップ106に進み、前回演算したNOx吸蔵量
QNOx(i-1) から所定値αを減算して現在のNOx吸
蔵量QNOx(i) を求める。つまり、リッチ運転中は、
排気管37内の酸素濃度が低下してリーンNOx触媒3
9にリッチガスが供給されるため、リーンNOx触媒3
9に吸蔵したNOxが還元浄化されて放出され、NOx
吸蔵量が徐々に減少する。この際、前回演算時から今回
演算時までのNOx吸蔵量減少分(所定値α)は、演算
処理の簡略化のために固定値としても良いが、排出ガス
の空燃比や排出ガス流量等(つまりリーンNOx触媒3
9へのリッチ成分供給量)に応じてマップ又は数式によ
ってNOx吸蔵量減少分(所定値α)を算出するように
しても良い。
【0023】尚、上記ステップ105で、前回演算した
NOx吸蔵量QNOx(i-1) が0又はマイナス値の場合
は、リーンNOx触媒39にNOxが吸蔵されていない
と判断し、NOx吸蔵量の減算処理(ステップ106)
を行わずに本プログラムを終了する。
【0024】[燃料カット復帰後経過時間算出]図3の
燃料カット復帰後経過時間算出プログラムは、所定時間
毎に実行され、燃料カット復帰後の経過時間(FCTi
me)を次のようにして算出する。本プログラムが起動
されると、まずステップ201で、現在、燃料カット中
であるか否かを判定し、燃料カット中であれば、ステッ
プ202に進み、燃料カット復帰後経過時間をカウント
するカウンタFCTimeをクリアして本プログラムを
終了する。
【0025】一方、燃料カット中でなければ、ステップ
203に進み、燃料カット復帰後経過時間カウンタFC
Timeの値を所定値Cmaxと比較し、燃料カット復
帰後経過時間カウンタFCTimeの値が所定値Cma
x以下であれば、燃料カット復帰後経過時間カウンタF
CTimeをカウントアップし(ステップ205)、燃
料カット復帰後経過時間カウンタFCTimeの値が所
定値Cmaxを越えていれば、燃料カット復帰後経過時
間カウンタの値FCTimeを所定値Cmaxにセット
する(ステップ204)。ここで、所定値Cmaxは、
燃料カット復帰後にリッチ運転への切り換えを禁止する
時間よりも長い時間に相当する値に設定されている。
【0026】以上説明した処理により、燃料カット復帰
後経過時間カウンタFCTimeは、燃料カット中にリ
セットされて、燃料カット復帰直後からカウントアップ
を開始し、その後、リッチ運転への切換禁止時間よりも
長い時間が経過した時点で、カウントアップを停止して
所定値Cmaxに維持される。
【0027】[排気浄化制御]図4の排気浄化制御プロ
グラムは、所定時間毎に実行され、特許請求の範囲でい
う排気浄化制御手段としての役割を果たす。本プログラ
ムが起動されると、まずステップ301で、燃料カット
復帰後経過時間カウンタFCTimeの値がリッチ運転
への切換禁止時間に相当する所定値C以上であるか否か
を判定し、燃料カット復帰後経過時間カウンタFCTi
meの値が所定値Cに達していなければ、ステップ30
3に進み、リッチ要求フラグXRICHをOFFに維持
して、リッチ運転への切り換えを禁止する。これらステ
ップ301,303の処理が特許請求の範囲でいう運転
切換禁止手段としての役割を果たす。
【0028】その後、燃料カット復帰後経過時間カウン
タFCTimeの値がリッチ運転への切換禁止時間に相
当する所定値C以上になった時点で、ステップ302に
進み、現在のリーンNOx触媒39のNOx吸蔵量QN
Oxが所定の切換判定値A以上になったか否かを判定す
る。ここで、切換判定値Aは、リーンNOx触媒39の
NOx吸蔵量がNOx還元浄化を必要とする量、つま
り、NOx吸蔵量の飽和量に設定されている。従って、
NOx吸蔵量QNOxが切換判定値Aよりも少なけれ
ば、リーンNOx触媒39にまだNOx吸蔵能力が残っ
ていると判断して、ステップ303に進み、リッチ要求
フラグXRICHをOFFに維持して、リッチ運転への
切り換えを禁止する。
【0029】これに対し、NOx吸蔵量QNOxが切換
判定値A以上であれば、リーンNOx触媒39の吸蔵N
Oxを還元浄化する必要があると判断して、ステップ3
04に進み、リッチ要求フラグXRICHをONに切り
換えて、リッチ運転に切り換える。これにより、リーン
NOx触媒39にリッチガスを供給して、リーンNOx
触媒39の吸蔵NOxを還元浄化して放出し、リーンN
Ox触媒39のNOx吸蔵能力を回復させる。このリッ
チ運転は、リーンNOx触媒39の吸蔵NOxの還元浄
化に必要な所定時間だけ実施された後に、リーン運転に
戻される。
【0030】以上説明した本実施形態(1)によれば、
リーン運転中に燃料カットされた時に、該燃料カット復
帰から所定時間が経過するまでリッチ運転への切り換え
を禁止するようにしたので、燃料カット復帰後は、排気
管37内の酸素濃度が低下するまでリッチ運転への切り
換えを遅らせることができる。その結果、従来のような
燃料カット復帰直後のリッチ運転への切り換えによる無
駄な燃料消費を避けることができ、燃費を向上できると
共に、燃料カット復帰後に排気管37内の酸素濃度が低
下した段階で速やかにリッチ運転に切り換えて、リーン
NOx触媒39に吸蔵したNOxを還元浄化してリーン
NOx触媒39のNOx吸蔵能力を早期に回復させるこ
とができ、NOx浄化率を良好に維持することができ
る。
【0031】尚、本実施形態(1)では、図2のNOx
吸蔵量算出プログラムによって、リーンNOx触媒39
のNOx吸蔵量をエンジン運転条件(エンジン回転速度
Ne、要求トルク等)に基づいて算出するようにした
が、リーンNOx触媒39の下流側に、リーンNOx触
媒39から流出する排出ガス中のNOx濃度を検出する
NOx濃度センサ(図示せず)を設置して、排出ガス中
のNOx濃度からリーンNOx触媒39のNOx吸着量
を推定するようにしても良い。
【0032】《実施形態(2)》一般に、燃料カット中
は、NOxが発生しやすく、リーンNOx触媒39のN
Ox吸蔵量が通常のリーン運転中よりも増加する傾向が
ある。この点を考慮して、本発明の実施形態(2)で
は、図5及び図6のプログラムを実行することで、燃料
カット復帰から所定時間が経過した後にリッチ運転に切
り換える場合は、リーンNOx触媒39へのリッチ成分
供給量(燃料噴射量)を通常のリッチ運転切換時のリッ
チ成分供給量よりも増量するようにしている。尚、本実
施形態(2)においても、図2のNOx吸蔵量算出プロ
グラムによってNOx吸蔵量QNOxを算出し、図3の
燃料カット復帰後経過時間算出プログラムによって燃料
カット復帰後の経過時間FCTimeを算出する。以
下、図5及び図6のプログラムの処理内容を説明する。
【0033】[排気浄化制御]図5の排気浄化制御プロ
グラムは、所定時間毎に実行され、まずステップ401
で、現在のリーンNOx触媒39のNOx吸蔵量QNO
xが所定の切換判定値A以上になったか否かを判定し、
NOx吸蔵量QNOxが切換判定値Aよりも少なけれ
ば、リーンNOx触媒39にまだNOx吸蔵能力が残っ
ていると判断して、ステップ405に進み、リッチ要求
フラグXRICHをOFFに維持して、リッチ運転への
切り換えを禁止し、更に、次のステップ406で、増量
フラグXFCRICHをOFFに維持する。この増量フ
ラグXFCRICHは、リーンNOx触媒39へのリッ
チ成分供給量を増量するか否かを判別するためのフラグ
であり、この増量フラグXFCRICHがOFFの場合
には、リッチ成分供給量は増量されない。
【0034】上記ステップ401で、NOx吸蔵量QN
Oxが切換判定値A以上と判定された場合は、ステップ
402に進み、燃料カット復帰後経過時間カウンタFC
Timeの値がリッチ運転への切換禁止時間に相当する
所定値C以上であるか否かを判定し、燃料カット復帰後
経過時間カウンタFCTimeの値が所定値Cに達して
いなければ、ステップ403に進み、リッチ要求フラグ
XRICHをOFFに維持して、リッチ運転への切り換
えを禁止する。そして、次のステップ404で、増量フ
ラグXFCRICHをONに切り換えて、本プログラム
を終了する。
【0035】これに対し、上記ステップ402で、燃料
カット復帰後経過時間カウンタFCTimeの値がリッ
チ運転への切換禁止時間に相当する所定値C以上であれ
ば、ステップ407に進み、リッチ要求フラグXRIC
HをONに切り換えて、リッチ運転に切り換える。
【0036】以上説明した処理により、燃料カット復帰
から所定時間Cが経過した後にリッチ運転に切り換える
場合は、所定時間Cが経過する前にステップ404で増
量フラグXFCRICHがONに切り換えられているた
め、リッチ運転に切り換えられた時に、後述する図6の
燃料噴射量算出プログラムによって燃料噴射量が増量補
正され、リーンNOx触媒39へのリッチ成分供給量が
通常のリッチ運転切換時のリッチ成分供給量よりも増量
される。
【0037】尚、通常のリッチ運転切換時は、ステップ
406で、増量フラグXFCRICHがOFFにセット
されているため、リーンNOx触媒39へのリッチ成分
供給量(燃料噴射量)は増量されない。
【0038】[燃料噴射量算出]図6の燃料噴射量算出
プログラムは、所定時間毎又は所定クランク角毎に実行
され、次のようにして燃料噴射量TAUを算出する。本
プログラムが起動されると、まずステップ501で、エ
ンジン回転速度Ne、負荷(吸入空気量、吸気管圧力、
要求トルク等)を読み込み、次のステップ502で、エ
ンジン回転速度Neと負荷に応じてマップ等からベース
噴射量TAUBを算出する。この後、ステップ503に
進み、リッチ要求フラグXRICHがONであるか否か
を判定し、リッチ要求フラグXRICHがONであれ
ば、ステップ504に進み、噴射量増量値TAURを所
定値TAURICHにセットする。この所定値TAUR
ICHは、通常のリッチ運転切換時の噴射量増量値に相
当する値に設定されている。また、この所定値TAUR
ICHは、演算処理の簡略化のために固定値としても良
いが、ベース噴射量TAUBやエンジン運転条件等に応
じて変化させても良い。
【0039】この後、ステップ506に進み、増量フラ
グXFCRICHがONであるか否かを判定し、増量フ
ラグXFCRICHがONであれば、ステップ507に
進み、噴射量増量値TAURを、所定値TAURICH
に増量係数Kを乗算した値に設定する。 TAUR←TAURICH×K ここで、増量係数Kは1より大きい値に設定されてい
る。従って、噴射量増量値TAURICH×Kは、通常
のリッチ運転切換時の噴射量増量値TAURICHより
も大きい値となる。
【0040】一方、上記ステップ503で、リッチ要求
フラグXRICHがOFFと判定されると、ステップ5
05に進み、噴射量増量値TAURを0に設定する。以
上の処理により、噴射量増量値TAURを0又はTAU
RICH又はTAURICH×Kに設定した後、ステッ
プ508に進み、ベース噴射量TAUBに噴射量増量値
TAURを加算して最終的な燃料噴射量TAUを求め
る。
【0041】これにより、通常のリーン運転中は、燃料
噴射量TAUがベース噴射量TAUBに等しくなり、通
常のリッチ運転切換時は、燃料噴射量TAUがベース噴
射量TAUBよりも噴射量増量値TAUR分だけ増量さ
れ、更に、燃料カット復帰から所定時間が経過した後に
リッチ運転に切り換える場合は、燃料噴射量TAUがベ
ース噴射量TAUBよりも噴射量増量値TAUR×Kだ
け増量される。
【0042】以上説明した本実施形態(2)では、燃料
カット中は、NOxが発生しやすく、リーンNOx触媒
39のNOx吸蔵量が通常のリーン運転中よりも増加す
る傾向があることを考慮して、燃料カット復帰から所定
時間が経過した後にリッチ運転に切り換える場合は、リ
ーンNOx触媒39へのリッチ成分供給量(燃料噴射
量)を通常のリッチ運転切換時のリッチ成分供給量(燃
料噴射量)よりも増量するようにしたので、燃料カット
によるNOx吸蔵量の増加分に応じてリッチ成分供給量
を精度良く増量することができ、リーンNOx触媒39
のNOx吸蔵能力を速やかに回復させることができる。
【0043】《実施形態(3)》上記実施形態(2)で
は、燃料カット復帰から所定時間が経過した後にリッチ
運転に切り換える場合の噴射量増量値TAURに対する
増量係数Kは、演算処理の簡略化のために固定値とした
が、燃料カット実行時間が長くなるほど、リーンNOx
触媒39のNOx吸蔵量が増加することを考慮して、燃
料カット実行時間が長くなるほど、増量係数Kを大きく
するように設定しても良い。
【0044】また、燃料カットが行われても、リーンN
Ox触媒39のNOx吸蔵量があまり多くなっていなけ
れば、まだリーンNOx触媒39にNOxを吸蔵する余
裕があるため、リッチ運転に切り換える必要はない。こ
の点を考慮して、燃料カット中にリーンNOx触媒39
のNOx吸蔵量が所定量以上となった時間に応じて増量
係数Kを設定しても良い。
【0045】これを具体化した本発明の実施形態(3)
では、図7の増量係数算出プログラムを所定時間毎に実
行することで、次のようにして増量係数Kを算出する。
本プログラムが起動されると、まずステップ601で、
現在のリーンNOx触媒39のNOx吸蔵量QNOxが
所定値A以上であるか否かを判定し、NOx吸蔵量QN
Oxが所定値Aよりも少なければ、ステップ602に進
み、燃料カット中にNOx吸蔵量が所定値A以上となっ
た時間をカウントするカウンタCFCを0にリセットし
て本プログラムを終了する。
【0046】その後、NOx吸蔵量QNOxが所定値A
以上になった時点で、ステップ603に進み、燃料カッ
ト中であるか否かを判定し、燃料カット中であれば、ス
テップ604に進み、カウンタCFCをカウントアップ
する。これにより、燃料カット中にNOx吸蔵量が所定
値A以上となった時間をカウントする。
【0047】一方、上記ステップ603で、燃料カット
中でないと判定された場合は、ステップ605に進み、
燃料カット復帰直後であるか否かを判定し、燃料カット
復帰直後であれば、ステップ606に進み、その時点の
カウンタCFCの値に応じて図8のマップにより増量係
数Kを算出する。図8のマップは、カウンタCFCの値
が大きくなるほど、増量係数Kが大きくなるように設定
されている。但し、増量係数Kは1よりも大きい値とな
る。
【0048】以上説明した本実施形態(3)では、燃料
カット中にリーンNOx触媒39のNOx吸蔵量が所定
値A以上となった時間に応じて増量係数Kを設定するよ
うにしたので、リーンNOx触媒39へのリッチ成分供
給量を更に精度良く設定することができる。
【0049】尚、上記実施形態(2),(3)では、燃
料カット復帰から所定時間が経過した後にリッチ運転に
切り換える場合に、通常のリッチ運転切換時の噴射量増
量値TAURICHに増量係数Kを乗算することで、通
常のリッチ運転切換時よりも増量した噴射量増量値TA
URICH×Kを求めるようにしたが、この噴射量増量
値TAURICH×Kをマップ等により直接算出するよ
うにしても良い。
【0050】上記各実施形態(1)〜(3)は、本発明
を筒内噴射式内燃機関(直噴エンジン)に適用したもの
であるが、リーンバーンエンジンにも同様に適用して実
施できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態(1)におけるエンジン制御
系システム全体の概略構成を示す図
【図2】実施形態(1)のNOx吸蔵量算出プログラム
の処理の流れを示すフローチャート
【図3】実施形態(1)の燃料カット復帰後経過時間算
出プログラムの処理の流れを示すフローチャート
【図4】実施形態(1)の排気浄化制御プログラムの処
理の流れを示すフローチャート
【図5】実施形態(2)の排気浄化制御プログラムの処
理の流れを示すフローチャート
【図6】実施形態(2)の燃料噴射量算出プログラムの
処理の流れを示すフローチャート
【図7】実施形態(3)の増量係数算出プログラムの処
理の流れを示すフローチャート
【図8】カウンタCFCの値に応じて増量係数Kを求め
るマップを概念的に示す図
【符号の説明】
11…直噴エンジン(内燃機関)、12…吸気管、15
…スロットルバルブ、16…ECU(排気浄化制御手
段,運転切換禁止手段)、24…スワールコントロール
弁、28…燃料噴射弁、37…排気管、38…三元触
媒、39…リーンNOx触媒、41…EGR弁。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) F02D 41/12 330 F02D 41/12 330J Fターム(参考) 3G091 AA02 AA11 AA12 AA13 AA17 AA24 AA28 AB03 AB06 BA14 BA15 BA19 BA33 CA13 CB02 CB03 CB07 CB08 DA01 DA02 DA03 DA05 DA07 DA08 DB06 DB08 DB10 EA00 EA01 EA03 EA07 EA30 EA31 FA05 FB10 FB11 FB12 FC02 GA06 HA08 HB05 3G301 HA01 HA04 HA15 JA02 JA25 KA27 LA00 LA03 LA05 LB04 MA01 MA11 MA25 NE01 NE23 PA11Z PE01Z PE03Z PE05Z PF03Z

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 混合気の空燃比をリーン側に制御するリ
    ーン運転と、該空燃比をリッチ側に制御するリッチ運転
    とを運転条件に応じて切り換えると共に、所定の燃料カ
    ット実行条件が成立した時に燃料カットを実行する内燃
    機関において、 リーン運転中に排出ガスの窒素酸化物を吸蔵する触媒
    と、 リーン運転中に一時的にリッチ運転に切り換えて前記触
    媒に吸蔵した窒素酸化物を還元浄化するように制御する
    排気浄化制御手段と、 リーン運転中に燃料カットされた時に該燃料カット復帰
    から所定期間が経過するまでリッチ運転への切り換えを
    禁止する運転切換禁止手段とを備えていることを特徴と
    する内燃機関の排気浄化制御装置。
  2. 【請求項2】 前記排気浄化制御手段は、燃料カット復
    帰から所定期間が経過した後にリッチ運転に切り換える
    場合は、前記触媒へのリッチ成分供給量を通常のリッチ
    運転切換時のリッチ成分供給量よりも増量することを特
    徴とする請求項1に記載の内燃機関の排気浄化制御装
    置。
  3. 【請求項3】 前記排気浄化制御手段は、燃料カット復
    帰から所定期間が経過した後にリッチ運転に切り換える
    場合は、前記触媒へのリッチ成分供給量を燃料カット実
    行時間に応じて増量することを特徴とする請求項2に記
    載の内燃機関の排気浄化制御装置。
  4. 【請求項4】 前記排気浄化制御手段は、燃料カット復
    帰から所定期間が経過した後にリッチ運転に切り換える
    場合は、前記触媒へのリッチ成分供給量を燃料カット中
    に前記触媒の窒素酸化物吸蔵量が所定量以上となった時
    間に応じて増量することを特徴とする請求項2に記載の
    内燃機関の排気浄化制御装置。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2004059136A1 (de) * 2002-12-31 2004-07-15 Volkswagen Aktiengesellschaft Verfahren zur steuerung einer verbrennungskraftmaschine sowie magerlauffähige verbrennungskraftmaschine
WO2015049110A1 (en) * 2013-10-03 2015-04-09 Umicore Ag & Co. Kg Exhaust aftertreatment system
DE102007000088B4 (de) * 2006-02-15 2015-09-03 Denso Corporation Verwendung eines Steuersystems für einen aufgeladenen Verbrennungsmotor zur Unterdrückung einer Drehmomenterschütterung während des Umschaltens der Verbrennungsmodi

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