JP2001061430A - 雑豆粕加工食材の製造方法および雑豆粕加工食材 - Google Patents

雑豆粕加工食材の製造方法および雑豆粕加工食材

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JP2001061430A
JP2001061430A JP24021399A JP24021399A JP2001061430A JP 2001061430 A JP2001061430 A JP 2001061430A JP 24021399 A JP24021399 A JP 24021399A JP 24021399 A JP24021399 A JP 24021399A JP 2001061430 A JP2001061430 A JP 2001061430A
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Etsuo Sawano
悦雄 澤野
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SAWA SANGYO KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 雑豆粕加工食材の食味、食感を高め、食材用
途の拡大を図り、処理時間を短縮する雑豆粕加工食材の
製造方法および雑豆粕加工食材を提供する。 【解決手段】 雑豆粕に、水および植物組織分解酵素を
添加してバイオミルリアクタ10で磨砕処理する。この
結果、雑豆粕に含まれる硬い植物組織や糖質、蛋白質な
どが、植物組織分解酵素による酵素反応、および、磨砕
という機械的な剪断作用により、短時間のうちに効率良
く微細化できる。したがって、雑豆粕加工食材の生産性
及び品質も高まり、雑豆粕特有の苦みなどが少なく、舌
触り、のど越しも良好で、風味や食感に優れたものとな
る。そして、この雑豆粕加工食材を原料の雑豆に混入
し、あんを製造すれば、雑豆粕中に含まれる植物繊維、
各種のミネラルなどを含む栄養化が高い雑豆食品が得ら
れる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は雑豆粕加工食材の
製造方法および雑豆粕加工食材、詳しくは例えばこしあ
んなどの雑豆食品を製造する際に、大量に排出される雑
豆粕を有効利用する雑豆粕加工食材の製造方法および雑
豆粕加工食材に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、小豆などの雑豆を原料としたこし
あんなどの雑豆食品の製造過程では、副産物として雑豆
粕が大量に排出される。この雑豆粕は、かつては家畜の
飼料として利用されていた。しかしながら、その腐敗速
度がはやいために、今日では産業廃棄物に指定されてい
る。これにより、この雑豆粕の廃棄処分は、製造業者に
処分費用の問題を提起する一方、受け入れ側の自治体に
焼却処理などの社会的な環境問題を提起し、これらの問
題は年々深刻化を増している。そこで、従来、雑豆粕を
廃棄せずに、食品の原料として利用する各種の発明も提
案されている。例えば、機械的な微粉末処理を施す方法
または液化処理を施す方法などがある。また、その他に
も酵素を利用した処理方法も知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、雑豆粕
は植物繊維が非常に硬いことから、前述した従来の各種
の雑豆粕の処理方法では、その処理を施した後のもので
も舌にザラつき感が残り、その食味や食感を悪くしてい
た。また、色沢については、照り(表面片の光沢)が残
り、生あんに混合されたときに、この生あんの色沢を害
していた。このように従来の処理方法では、加工時間も
長くなってしまい、実用性および商業的な普及性にも乏
しいという問題点があった。
【0004】そこで、この発明者らは、鋭意研究の結
果、雑豆食品を製造する過程で排出される雑豆粕に、水
および植物組織分解酵素を添加し、これを溶液中で機械
的に磨砕処理をしながら酵素反応を施せば、この磨砕に
よる雑豆粕の剪断作用により接触面積が大きくなった雑
豆粕と酵素反応との相乗効果によって、雑豆粕の微細化
処理時間が短縮することを突き止めた。しかも、この雑
豆粕に、植物組織分解酵素を含む各種の酵素を添加する
ことで、その酵素の働きによって、食した際にザラつき
感などの不快感がない雑豆粕加工食材が得られることを
知見し、この発明を完成させるに至った。
【0005】
【発明の目的】この発明は、雑豆粕加工食材の食味、食
感を高めることができ、これにより人体に有効な成分を
多量に含む雑豆粕加工食材の用途拡大を図ることがで
き、しかもその処理時間を短縮することができる雑豆粕
加工食材の製造方法および雑豆粕加工食材を提供するこ
とを、その目的としている。また、この発明は、雑豆粕
中の植物繊維および蛋白質の利用率を高めることがで
き、しかも添加される酵素量の削減および処理時間の短
縮を図ることができる雑豆粕加工食材の製造方法を提供
することを、その目的としている。さらに、この発明
は、長期保存が可能であり、取り扱いも容易な雑豆粕加
工食材の製造方法および雑豆粕加工食材を提供すること
を、その目的としている。さらにまた、この発明は、パ
ウダ状の雑豆粕加工食材を効率よく生産することができ
る雑豆粕加工食材の製造方法を提供することを、その目
的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明
は、雑豆粕に、水および雑豆粕に含まれる植物繊維を分
解する植物組織分解酵素を添加して溶液中で磨砕処理す
る雑豆粕加工食材の製造方法である。雑豆粕の種類は限
定されない。例えば、請求項18に記載された小豆やえ
んどう豆などの各種の豆類の豆粕を採用することができ
る。ただし、ここでは、豆腐製造時に排出されるオカラ
などの大豆粕を除くものとする。ここでいう植物組織分
解酵素とは、植物繊維組織を低分子の繊維に分解する公
知の酵素であって、雑豆粕に含まれるセルロース,ヘミ
セルロース,分岐したペクチン質などの分子構造の長い
不溶性植物繊維を低分子のものに分解する酵素であるペ
クチナーゼ,セルラーゼ,ヘミセルラーゼなどである。
ただし、これらに限定されない。
【0007】雑豆は多くの細胞によって形成されている
が、種実の外皮は、ペクチンとヘミセルロースで構成さ
れており、その硬い外皮(ペクチン+ヘミセルロースの
複合体)は、ペクチナーゼ,ヘミセルラーゼによって分
解され、内皮は、セルロースが多い粗繊維で、子葉は硬
い組織で多数の細胞で形成されており、各細胞はプロト
ペクチンにより相互に接着されている。このペクチン質
によて構成されている細胞中層に沿ってペクチナーゼ,
ヘミセルラーゼが細胞をばらばらに単細胞化して露出さ
せ、内皮と細胞壁とをセルラーゼによって分解し、内容
物も分離することができる。また、この植物組織分解酵
素は、プロテアーゼ,リパーゼなどを微量に含有してお
り、不溶解物中に存在する微塵と呼ばれる不溶解性の蛋
白を分解して触感を良くし、細胞膜も分解して内部の蛋
白質も可溶性の蛋白質とすることができる。これによ
り、雑豆粕を含む原料に液中で機械的な磨砕処理を加え
ながら酵素反応処理をして得られた微細な雑豆粕を有効
利用することができる。また、雑豆粕加工食材である微
細な雑豆粕は、その製造工程において、プロテアーゼを
加えて蛋白質を分解し、食味を高めることができる。な
お、この植物組織分解酵素の添加条件も限定されない。
例えば、請求項8に記載された各種の条件を採用するこ
とができる。
【0008】磨砕処理の方法およびそれに使用される磨
砕装置も限定されない。液中での酵素反応中に機械的な
磨砕処理を付加することで、固形物の雑豆粕の表面積の
増大とそれにともなう酵素との接触面積の増大によっ
て、酵素反応効率を格段に高めて反応時間を大幅に短縮
させ、かつ雑豆粕の微細化による製品の食感の高品位が
図られる。磨砕装置としては、例えば回転円筒式ミル
(ポットミル,チューブミル,コニカルミルなどの転動
タイプのミル)、震動ボールミル(粉砕容器を高速で震
動させ、容器内のボール同士を衝突させる方式のボール
ミル)、遠心式ボールミル(粉砕容器に自転と公転とを
与え、容器内のボールに遠心力を加えて、ボールと容器
壁との間に摩擦力を生じさせる方式のボールミル:例え
ば遊星ボールミル,ハイスウィングミル,プラネタリー
ミル)、媒体攪拌式ミル(粉砕容器内に挿入したアジテ
ータを高速で回転させることによって、容器内のボール
を激しく攪拌し、ボール間に剪断摩擦力を生じさせる方
式のミル)、コロイドミル(高速に回転するロータとケ
ーシングとの間でスラリに剪断力を与える方式のミル)
などが挙げられるが、本発明で特に好ましく採用される
ミルは、分離機能が高く、砕料を均一サイズに微粉砕で
きるコロイドミルである。
【0009】磨砕処理による雑豆粕の微細化の程度は好
ましくは、請求項13の100μm以下がよいが、必ず
しもこれに限定されない。製造された雑豆粕加工食材の
用途は限定されない。例えば、小豆あんのように、原料
である雑豆に混入して利用することもできるし、原料と
は別に、単独の食材として利用することできる。これら
の事項は、請求項19の雑豆粕加工食材にも該当する。
【0010】請求項2に記載の発明は、雑豆粕には、前
記植物組織分解酵素の外に、雑豆粕に含まれる蛋白質お
よびペプチドに作用してペプチド結合の加水分解を促す
蛋白質分解酵素、雑豆粕に含まれる糖質を分解して液
化、糖化を促す多糖類分解酵素、雑豆粕に含まれる配糖
体を水中で分解する配糖体加水分解酵素、および、加水
分解により溶液中で磨砕により微細化された雑豆粕の蛋
白の結合を促す蛋白架橋結合酵素の酵素群から選ばれた
酵素が添加される請求項1に記載の雑豆粕加工食材の製
造方法である。これらの蛋白質分解酵素,多糖類分解酵
素,配糖体加水分解酵素および蛋白架橋結合酵素の種類
や添加条件は限定されない。ただし、ここでいう蛋白質
分解酵素(プロテアーゼなど)とは、ペプチドに作用し
て、ペプチド結合の加水分解を触媒にする酵素であり、
逆反応(ペプチド合成)のプラステイン反応も触媒とな
る。また、配糖体加水分解酵素により分解される配糖体
としては、例えばタンニン,サポニン,フィチン酸,ア
ントシアニジンなどが挙げられる。
【0011】プロテアーゼは、その作用からエンドペク
チナーゼ(プロテイスナーゼ)とエキソペプチダーゼ
(ペプチダーゼ)の2種類に大別することができる。エ
ンドペプチダーゼは蛋白質、ポリペプチドに作用してお
おまかに分解し、低分子ペプチドを生成する酵素をい
う。エキソペプチダーゼはペプチドに作用してアミノ酸
を生成する。日本では古くから味噌、醤油、清酒醸造に
麹菌の生産するプロテアーゼが利用され、その中のエン
ドペプチダーゼ、エキソペプチダーゼをその目的に応じ
て使い分けている。プロテアーゼには、パパイン,プロ
ラインなどの植物起源のもの、パンクレアチン,レンニ
ンなどの動物起源のもの、および、微生物(かび,細
菌,酵母)起源のものがある。
【0012】また、ここでいう多糖類分解酵素とは、ア
ミラーゼであるが、アミラーゼはでんぷんを加水分解す
る酵素の総称である。α−アミラーゼは液化アミラーゼ
であり、β−アミラーゼは糖化アミラーゼである。多糖
類を分解することによってぶどう糖やオリゴ糖が増加
し、食味を向上する。
【0013】さらに、ここでいう配糖体加水分解酵素と
は、ポリフェノールオキシダーゼ,ナリンギナーゼなど
であり、タンニン,フィチン酸,アントシアニン,サポ
ニンなどの配糖体を加水分解して苦みや渋みなどの不快
味を取り除くことができる。
【0014】さらにまた、ここでいう蛋白架橋結合酵素
としては、主にトランスグルタミナーゼが挙げられ、溶
液中で磨砕された雑豆粕自体の結着と、雑豆と他の食材
をも結着することができ、蛋白を共有結合の形成で架橋
重合させる機能をもっている。その結果、蛋白のネット
ワークが強化されて、良好な食感(コシ=粘り+弾力を
付加する)を与えるとともに、優れた保水性を付与し、
雑豆粕臭も消臭する効果を有する。この蛋白架橋結合酵
素、トランスグルタミナーゼは、蛋白質やペプチド中の
アミノ酸である「グルタミン」残基と「リジン」残基を
強力に架橋結合“G−L結合”する反応を触媒する酵素
であり、製品としては微生物由来のもの、モルモットな
ど哺乳動物由来のもの、魚類由来のもの、ジーンクロー
ニングによってえられるものなどがあるが、特に微生物
由来のものが経済的に好ましい。なお、アミラーゼは糖
質を分解して液化、糖化を促し、食味を高める。
【0015】請求項3に記載の発明は、前記植物組織分
解酵素が、ペクチナーゼ,ヘミセルラーゼまたはセルラ
ーゼである請求項1または請求項2に記載の雑豆粕加工
食材の製造方法である。
【0016】請求項4に記載の発明は、前記蛋白質分解
酵素が、プロテアーゼである請求項2または請求項3に
記載の雑豆粕加工食材の製造方法である。
【0017】請求項5に記載の発明は、前記多糖類分解
酵素が、アミラーゼである請求項2〜請求項4のうちの
いずれか1項に記載の雑豆粕加工食材の製造方法であ
る。
【0018】請求項6に記載の発明は、前記配糖体加水
分解酵素が、ナリンギナーゼまたはタンナーゼである請
求項2〜請求項5のうちのいずれか1項に記載の雑豆粕
加工食材の製造方法である。
【0019】請求項7に記載の発明は、前記蛋白架橋結
合酵素が、トランスグルタミナーゼである請求項2〜請
求項6のうちのいずれか1項に記載の雑豆粕加工食材の
製造方法である。
【0020】請求項8に記載の発明は、前記植物組織分
解酵素の添加条件が、添加量0.1〜1.0重量%、反
応温度40〜60℃、反応時間30〜90分間である請
求項1〜請求項7のうちのいずれか1項に記載の雑豆粕
加工食材の製造方法である。植物組織分解酵素の好まし
い添加量は0.2〜0.3重量%である。添加量が0.
1重量%未満では植物繊維の分解力が弱くて分解に長時
間を要する。また、1.0重量%を超えると酵素の生産
効率が低下して実用性を失う。また、植物組織分解酵素
の好ましい反応温度は45〜55℃である。反応温度が
40℃未満では酵素活性力が低下するという不都合が生
じる。また、60℃を超えると同じく酵素活性が低下し
て実用性を失う。さらに、植物組織分解酵素の好ましい
反応時間は40〜60分間である。30分間未満では分
解が不充分である。また、90分間を超えると酵素の生
産効率が低下するという不都合が生じる。
【0021】請求項9に記載の発明は、前記蛋白質分解
酵素の添加条件が、添加量0.05〜0.5重量%、反
応温度30〜65℃、反応時間30〜90分間である請
求項2〜請求項8のうちのいずれか1項に記載の雑豆粕
加工食材の製造方法である。蛋白質分解酵素の好ましい
添加量は0.1〜0.3重量%である。添加量が0.0
5重量%未満では分解力が弱くてその分解に長時間を要
する。また、0.5重量%を超えると酵素の生産効率が
低下して実用性を失う。また、蛋白質分解酵素の好まし
い反応温度は50〜60℃である。反応温度が30℃未
満では酵素の活性が低いために、長い反応時間を要する
という不都合が生じる。また、65℃を超えると酵素活
性が低下して実用的ではない。さらに、蛋白質分解酵素
の好ましい反応時間は45〜70分間である。30分間
未満では蛋白質の分解が不充分であるという不都合が生
じる。また、90分間を超えると酵素の生産効率が低下
するという不都合が生じる。
【0022】請求項10に記載の発明は、前記多糖類分
解酵素の添加条件が、添加量0.1〜1.0重量%、反
応温度30〜65℃、反応時間30〜120分間である
請求項2〜請求項10のうちのいずれか1項に記載の雑
豆粕加工食材の製造方法である。多糖類分解酵素の好ま
しい添加量は0.3〜0.6重量%である。添加量が
0.1重量%未満では酵素による多糖類の分解力が弱く
て、その分解に長時間を要する。また、1.0重量%を
超えると酵素の生産効率が低下して実用性を失う。ま
た、多糖類分解酵素の好ましい反応温度は50〜60℃
である。反応温度が30℃未満では分解不充分という不
都合が生じる。また、65℃を超えると同じく酵素の分
解力が低下するという不都合が生じる。さらに、多糖類
分解酵素の好ましい反応時間は45〜55分間である。
30分間未満ではその分解が不充分という不都合が生じ
る。また、120分間を超えると酵素の生産効率が低下
して実用的でないという不都合が生じる。
【0023】請求項11に記載の発明は、前記蛋白架橋
結合酵素の添加条件が、添加量0.1〜1.0重量%、
反応温度30〜60℃、反応時間10〜35分間である
請求項2〜請求項9のうちのいずれか1項に記載の雑豆
粕加工食材の製造方法である。 蛋白架橋結合酵素の好
ましい添加量は0.1〜0.5重量%である。添加量が
0.1重量%未満では蛋白結合が不充分という不都合が
生じる。また、1.0重量%を超えるとプリン状にな
り、食感を変えてしまうという不都合が生じる。また、
蛋白架橋結合酵素の好ましい反応温度は45〜55℃で
ある。反応温度が30℃未満でも60℃を超えても、蛋
白結合が低下するという不都合が生じる。 さらに、蛋
白架橋結合酵素の好ましい反応時間は15〜30分間で
ある。10分間未満では蛋白結合が不良となるという不
都合が生じる。また、35分間を超えると酵素の生産性
が低下して実用的でないという不都合が生じる。
【0024】請求項12に記載の発明は、前記雑豆粕の
溶液中での磨砕処理が、雑豆粕を剪断し、攪拌あるいは
循環して酵素反応を促進させる磨砕反応装置を用いて行
われる請求項1〜請求項11のうちのいずれか1項に記
載の雑豆粕加工食材の製造方法である。磨砕反応装置の
種類は限定されない。要は、雑豆粕を剪断、攪拌あるい
は循環して酵素反応を促進させることができる装置であ
ればよい。
【0025】請求項13に記載の発明は、前記溶液中で
の磨砕処理が、雑豆粕を100μm以下に微細化するも
のである請求項1〜請求項12のうちのいずれか1項に
記載の雑豆粕加工食材の製造方法である。磨砕処理後の
雑豆粕の好ましい大きさは10〜100μmである。1
00μmを超えると舌触り、のど越しが悪くなって食感
が著しく粗悪になり、食品に適さないという不都合が生
じる。
【0026】請求項14に記載の発明は、前記雑豆粕を
植物組織分解酵素を添加して磨砕処理する前に、飽和蒸
気下で、圧力1.0〜6.0kg/cmG、加熱温度
120〜164℃、0.5〜10分間の処理条件で高圧
蒸煮する請求項1〜請求項13のうちのいずれか1項に
記載の雑豆粕加工食材の製造方法である。この雑豆粕の
酵素処理および磨砕処理を行う前に、この高圧蒸煮を施
しておけば、雑豆粕中の植物繊維および蛋白質の利用率
を高めたり、添加される酵素量を削減したり、その処理
時間を短縮したり、雑豆粕の腐敗を抑えることができ
る。
【0027】請求項15に記載の発明は、前記溶液中で
の磨砕処理後の雑豆粕を乾燥させてパウダ状にする請求
項1〜請求項14のうちのいずれか1項に記載の雑豆粕
加工食材の製造方法である。雑豆粕を乾燥させる方法お
よび用いられる乾燥装置、そしてその乾燥時の条件は限
定されない。この事項は請求項20にも該当する。
【0028】請求項16に記載の発明は、前記雑豆粕の
乾燥が、それぞれのドラム内に供給された蒸気の熱によ
り、各ドラム外周面に付着した溶液中での磨砕処理後の
雑豆粕を乾燥させるドラムドライヤにより行われる請求
項15に記載の雑豆粕加工食材の製造方法である。ドラ
ムドライヤの種類は限定されない。また、これを用いた
磨砕処理後の雑豆粕の乾燥条件も限定されない。
【0029】請求項17に記載の発明は、前記ドラムド
ライヤの乾燥条件が、ドラム表面温度100〜160
℃、加熱時間8〜40秒間である請求項16に記載の雑
豆粕加工食材の製造方法である。好ましいドラム表面温
度は120〜150℃である。この表面温度が100℃
未満では乾燥が不充分になるという不都合が生じる。ま
た、この表面温度が160℃を超えると温度が高すぎて
焦げが生じ、品質が低下するという不都合が生じる。好
ましい加熱時間は10〜20秒間である。8秒間未満で
は乾燥不足という不都合が生じる。また、40秒間を超
えると焦げが発生して品質不良を招く。
【0030】請求項18に記載の発明は、前記雑豆粕の
原料となる雑豆が、小豆,えんどう豆,茶豆,いんげん
豆,うずら豆,グリンピース,うぐいす豆,黒豆,そら
豆,お多福豆の豆群から選ばれた豆である請求項1〜請
求項17のうちのいずれか1項に記載の雑豆粕加工食材
の製造方法である。
【0031】請求項19に記載の発明は、雑豆粕に、水
および雑豆粕に含まれる植物繊維を分解する植物組織分
解酵素を添加して、溶液中での磨砕処理を行うことによ
り得られた雑豆粕加工食材である。
【0032】請求項20に記載の発明は、前記溶液中で
の磨砕処理された雑豆粕を乾燥させてパウダ状にした請
求項19に記載の雑豆粕加工食材である。
【0033】請求項21に記載の発明は、前記雑豆粕の
原料となる雑豆が、小豆,えんどう豆,茶豆,いんげん
豆,うずら豆,グリンピース,うぐいす豆,黒豆,そら
豆,お多福豆の豆群から選ばれた豆である請求項19ま
たは請求項20に記載の雑豆粕加工食材である。
【0034】
【作用】この発明によれば、溶液中で磨砕および酵素分
解処理することで、固形物である雑豆粕の磨砕と酵素分
解反応が同時に行われることとなる。つまり、磨砕とい
う機械的な剪断作用により接触面積が拡大し、雑豆粕粒
表面に常に活性な界面が生成され、かつ、接触面積が拡
大した雑豆粕粒表面に植物組織分解酵素が反応し、その
相乗作用の効果により短時間のうちに効率よく雑豆粕が
単細胞レベルに分解することができる。よって、短時間
で固形物粕が微細化され、均一な雑豆粕ペーストが生成
される。
【0035】特に、請求項14の発明によれば、雑豆粕
を植物組織分解酵素の存在下で磨砕処理する前に、飽和
蒸気下で、圧力1.0〜6.0kg/cmG、加熱温
度120〜164℃、0.5〜10分間の条件で高圧蒸
煮を施す。これにより、雑豆粕中の植物繊維および蛋白
質の利用率を高めることができ、しかも添加される酵素
量の削減および処理時間の短縮を図ることができる。
【0036】また、請求項15の発明によれば、磨砕処
理後の雑豆粕を乾燥させてパウダ状にするので、長期保
存が可能であり、取り扱いも容易になる。
【0037】さらに、請求項16の発明によれば、雑豆
粕ペーストをドラムドライヤにより瞬時に加熱乾燥する
ことで食材の変質が避けられ、その処理時間の短縮化が
図られる。
【0038】
【発明の実施の形態】以下、この発明の一実施例を図面
を参照して説明する。なお、ここでは雑豆粕として、小
豆を煮つめて潰し、水に晒して脱水したこしあんの残り
粕である小豆粕を例にとる。図1は、この発明の一実施
例に係る雑豆粕加工食材の製造方法のフローチャートで
ある。図2は、この発明の一実施例に係る磨砕反応装置
の一部断面を含む正面図である。図3は、図2のA部分
の一部断面を含む拡大正面図である。図4は、この発明
の一実施例に係る微細化された雑豆粕の乾燥装置の斜視
図である。
【0039】図1において、この発明の一実施例に係る
小豆粕が混入された小豆の全生あんの製造方法は、以下
の工程からなる。すなわち、まず所定量の小豆を準備し
(S101)、これを所定量の水に所定時間だけ浸漬し
(S102)、それから所定温度で煮熟し(S10
3)、その後、これを篩別して(S104)、ペースト
状である小豆呉(S105)と、固体分である小豆粕と
に分離される(S109)。このうち、小豆呉は所定時
間だけ水に晒されてから脱水される(S106)。そし
て、これに、後述するS112からの微細な小豆粕ペー
ストを混入する(S107)。これにより、第1の製品
である小豆粕ペーストを含有する全生あんが製造される
(S108)。
【0040】一方、前記小豆粕は高圧で加熱され(S1
10)、後述する磨砕反応装置の一例であるバイオミル
リアクタを使用して、この小豆粕に添加された植物組織
分解酵素によるこの粕中に含まれる植物組織の分解反応
や、蛋白架橋結合酵素による蛋白質の結合反応などが行
われつつ、細かく磨砕される(S111)。これによ
り、微細化された小豆粕ペーストが得られる(S11
2)。小豆粕ペーストの一部は、前述したようにS10
7において脱水された小豆呉中への添加素材に利用さ
れ、残りの小豆粕ペーストが、ダブルドラムドライヤを
使用した乾燥後(S113)、第2の製品である微細な
小豆粕パウダとなる(S114)。以下、このバイオミ
ルリアクタおよびダブルドラムドライヤを詳細に説明す
る。
【0041】まず、図2および図3を参照してバイオミ
ルリアクタを説明する。図2および図3において、10
はバイオミルリアクタであり、このバイオミルリアクタ
10は、小豆粕(雑豆粕)を剪断、攪拌および循環して
酵素反応を促進させる。このバイオミルリアクタ10
は、機枠11の上部に取り付けられた原料液収容タンク
12を有している。原料液収容タンク12は、例えば厚
さ1.5mmのSUS304製であり、外径が1m、高
さが1mのホッパ形状の容器である。すなわち、タンク
上面には開口部が形成され、逆円錐状をしたタンク下部
を有している。もちろん、この原料液収容タンク12の
材質、容量は限定されず、通常、タンク中部には所定の
攪拌機が設けられている。
【0042】原料液収容タンク12の下底部の出口に
は、コロイドミル13が連結されている。このコロイド
ミル13の下部には、コロイドミル13から導出された
処理済液(スラリ)の導出管路14が連結されており、
この導出管路14の途中には、スラリ排出管15が分岐
して設けられている。なお、このスラリ排出管15には
開閉バルブ16が設けられている。この導出管路14の
導管は金属製または合成樹脂製の管体である。また、導
出管路14のスラリ排出管15との分岐部分より下流部
分は、前記タンク12に沿って立ち上がっている。この
立ち上がり部分の先端に連結された逆J字形のスラリ供
給ノズル17が、原料液収容タンク12の上部内へ差し
込まれている。
【0043】また、この導出管路14の立ち上がり部分
には、水冷式の冷却ジャケット18が二重管のように配
設されている。この冷却ジャケット18は、導出管路1
4を流れるスラリの温度をコントロールする。なお、図
2において、18aは水または温水などの熱媒体導入
部、18bはその導出部である。スラリの液温が低い場
合は、温水などの熱媒体を流通させて加温することがで
きる。また、この一実施例では、冷却ジャケット18を
導出管路14の途中に配設しているが、これに限定され
ない。例えば、冷却器(図示せず)を原料液収容タンク
12の内周面または外周面に接触させて、それをジャケ
ットとしてもよい。そして、機枠11の底枠の中央部に
は、出力シャフト19aを上方へ向けて、前記コロイド
ミル13の駆動用のモータ19が設置されている。
【0044】次に、このコロイドルミル13を詳細に説
明する。コロイドルミル13は、主に、円錐台型の内部
空間を有するステータ20とその内部にわずかな隙間a
を隔てて回転自在に配設された円錐台型のロータ21と
を有している。また、この隙間aは、100μmから2
00μmの間に調整可能に設定してある。これらのステ
ータ20およびロータ21は強度および硬度の高い材料
(金属、セラミックスなど)で構成されている。ステー
タ20の内壁面は平滑面でもよいし、小さな多数の凹凸
面を設けた粗面でもよい。また、ステータ20の内壁面
に、後述する突条刃22に交差する突条刃を設けて、剪
断作用を高めるようにしてもよい。また、ロータ21の
表面には、例えば回転軸に対して約60度傾斜した曲率
半径の大きな突条刃22が突設されている。このロータ
21の上端面および下端面には、それぞれ複数枚の攪拌
羽根23,24が放射状に突設されている。
【0045】このロータ21の下部には、モータ19の
出力シャフト19aの上端が固着され、矢印に示す一定
方向に回転できるようになっている。ロータ21が回転
すると、原料液収容タンク12中の小豆粕と酵素との混
合液を、コロイドルミル13内に吸引する。そして、傾
斜した多数の突条刃22…間に形成された湾曲する長溝
22a・・・により、前記混合液は吸引され、ステータ
20とロータ21の突条刃22との間のわずかな隙間a
を介して小豆粕が磨砕されて機械的に微細化(通常10
0μm以下)される。さらにこの一実施例では、ロータ
21が円錐台型であるために、回転と同時にロータ21
の上下で遠心力に差が生じる。これにより、突条刃22
が一種のプロペラのような作用をなし、スラリを下方へ
導出することができる。また、その下部に設けた複数枚
の攪拌羽根24によって、そのスラリの流動を加速する
ことができる。
【0046】なお、スラリの吸引供給手段として、前記
攪拌羽根24…を設けずとも、スラリの導出管路14の
途中に液体ポンプを設けて、原料液収容タンク12中の
混合液をコロイドミル13に吸引供給することもでき
る。また、図2に示すように、導出管路14の最下位置
にスラリ排出管15を分岐させ、その分岐部に開閉バル
ブ16を設けているので、一定時間反応が完了した時点
でこのバルブ16を開き、前記攪拌羽根24または前記
ポンプを作動させることにより、スラリを管路外に取り
出すこともできる。なお、開閉バルブ16は手動開閉式
でも、電磁開閉式でもよい。
【0047】次に、このコロイドルミル13の作動につ
いて説明する。まず、原料液収容タンク12中に小豆粕
を投入し、これに水を加えて攪拌機を回転しながら、タ
ンク12中に配設されたヒータ(図示せず)または冷却
エレメント(図示せず)あるいは冷却管により、もしく
はタンク12内に冷水または温水を供給してタンク12
内の混合液を適温に温度調整する。そして、適量の植物
組織分解酵素を添加する。その結果、タンク12内で
は、小豆粕と水と酵素類とが混合されて混合液が生成さ
れ、下方のコロイドミル13へ送られる。
【0048】このコロイドミル13の内部では、磨砕部
(ステータ20面とロータ21面の対面部)において、
小豆粕が磨砕されて、一種のプロペラを構成する多数の
突条刃22の推力によりコロイドミル13を通り抜け
る。コロイドミル13を通り抜けたスラリ(小豆粕混合
液)は、導出管路14を経て冷却ジャケット18で液温
45℃前後に冷却され、さらにスラリ供給ノズル17か
ら再びタンク12に循環供給される。この装置を所定時
間作動させて、植物組織分解酵素反応(一次酵素反応)
を施した後、蛋白架橋結合酵素を適量だけ添加して所定
温度で所定時間攪拌を繰り返し、蛋白架橋結合酵素反応
(二次酵素反応)を施す。これにより、蛋白を架橋結合
した小豆粕ペーストが製造される。
【0049】以上のように、このバイオミルリアクタ1
0を採用したことで、固形物の小豆粕の磨砕と酵素分解
反応が同時に行われる。これにより、小豆粕の表面積が
増大し、しかも小豆粕粒に常に活性な界面が生成される
ことになる。その結果、酵素反応が幾何級数的に促進さ
れる。よって、短時間で固形物小豆粕が微細化され、植
物繊維を多く含む小豆粕ペーストを製造することができ
る。
【0050】ところで、単なる攪拌機能を備えた通常の
バイオミルリアクタを用いる場合、通常の小豆粕のpH
は6.3である。したがって、植物組織分解酵素を添加
して酵素反応を促す際には、その反応に対しての適当な
pH値である、pH4.5に調整するために、酸(クエ
ン酸,乳酸など)を添加しなければならない。また、そ
の酵素反応が終了した後には、アルカリ(例えば炭酸水
素ナトリウム)を加えて、元のpHに戻すという工程が
必要になる。このため、そうしたpH調整作業と、これ
にともなう味覚の劣化などの問題が生じてしまう。しか
しながら、このバイオミルリアクタ10を用いれば、p
H調整剤を使用しなくても、短時間で反応を行うことが
できる。これにより、薬剤および工程の削減が図れてコ
スト低減も図れる。しかも、無添加であるので食味も損
なわれず、安全性が保たれるという利点がある。
【0051】次に、図4に基づいて、前記ダブルドラム
ドライヤを説明する。図4において、25はダブルドラ
ムドライヤであり、このダブルドラムドライヤ25は、
主に、軸線を平行にして並設された一対のドラム26
と、チェーン式動力伝達系を介して、これらのドラム2
6を、図4矢印に示す対峙方向へ回転させる回転モータ
27と、両ドラム26の加熱源となる水蒸気を発生させ
る水蒸気発生装置28と、各ドラム26の外周面に付着
された小豆粕パウダを掻き落とす一対のスクレーパ29
とを備えている。2本のドラム26の隙間に微細化され
た小豆粕ペーストが投入されると、回転モータ27によ
り低速回転中のドラム26間で薄膜化される。その後、
脱水乾燥された小豆粕ペーストは、各ドラム26の外周
面に付着したままドラム26とともに回転する。そし
て、最終的にはそれぞれのスクレーパ29によりドラム
外周面から掻き落とされて回収される。なお、図4にお
いて、30は、水蒸気発生装置28の水蒸気をそれぞれ
のドラム26内へ導く水蒸気供給経路の途中に設けられ
た水蒸気圧計、31は水蒸気圧調整弁である。
【0052】次に、この発明の一実施例のバイオミルリ
アクタ10およびダブルドラムドライヤ25を用いて、
雑豆粕加工食材の製造方法に基づき、実際に小豆粕を含
む全小豆あんと、小豆粕パウダとの製造試験を行った際
の結果を記載する。ただし、この発明はこれらの試験例
に限定されない。 (試験例1)小豆6kgを12時間水に浸漬し、水洗し
ながら夾雑物を除去し、6リットルの水を加えて、40
分間煮熟し、渋抜きを行う。次いで、新しい水を加え
て、本炊きすることで十分に柔らかくなるところまで煮
て、冷水を加えながら製あん機(グラインダ)にかけ、
400メッシュで小豆を呉と粕とに篩別する。
【0053】この呉を水に晒し、脱水して10kg(水
分63%)の生あんと、粕1.2kgとを精製した。こ
のうち、小豆粕1.2kgを圧力鍋に入れ、120℃、
10分間蒸煮して植物組織を膨潤化させ、0.8リット
ルの水と植物組織分解酵素「ソイラーゼA」(商品名:
澤産業株式会社製のペクチアーゼ,ヘミセルラーゼ,セ
ルラーゼを主剤とする酵素製剤)4.0gと、「ユニア
ーゼR」(商品名:ヤクルト薬品工業株式会社製アミラ
ーゼ,プロテアーゼ酵素製剤)2.4gと、「タンナー
ゼ三共」(商品名:株式会社三共製タンナーゼ酵素製
剤)1gとを、それぞれ添加して混合した。この混合物
を、50℃の水溶液中でバイオミルリアクタ10に投入
し、攪拌および循環を繰り返しながら、20分間磨砕と
酵素反応とを相乗作用させた。
【0054】続いて、温度を65℃に上げ、20分間酵
素反応を施し、次いで脱水することで小豆粕ペースト
1.1kg(pH6.3、Brix3.0、水分63
%)を得た。次に、小豆粕ペースト1.1kgおよび小
豆生あん10.0kgを混合して、全小豆あん11.1
kg(pH6.3、Brix6.0、水分63%)を製
造した。この全小豆あんに、グラニュー糖6.4kgを
加えて練り上げ、17.5kgの練りあんを製造した。
得られた練りあんは、色沢が良く、照りもなく、風味お
よび食感がともに優れていた。
【0055】(試験例2)小豆粕5.0kgに水3.0
リットルを加え、植物組織分解酵素「ソイラーゼA」2
4gと、「ユニアーゼR」15gと、「ナリンギナー
ゼ」(商品名:田辺製薬株式会社製ナリンギナーゼ酵素
製剤)2gと、「タンナーゼ三共」2gとをそれぞれ添
加し、混合した。その混合物を50℃に保持して水溶液
中で剪断しながら、バイオミルリアクタ10により磨砕
と酵素反応を相乗作用させ、50分間攪拌・循環を繰り
返した。続いて、アクティバK−100」(商品名:味
の素株式会社製トランスグルタミナーゼ製剤)8gを加
えて、10分間酵素反応を施した後、脱水し、その他は
試験例1と同様にして、100μm以下の小豆粕ペース
ト(pH6.3、Brix3.0)4.6kgと練りあ
んとを得た。得られた小豆粕ペーストおよび練りあん
は、色沢、風味、食感に優れた良品であった。
【0056】(試験例3)小豆粕10.0kgを圧力鍋
に入れ、120℃、10分間蒸煮して植物組織を膨潤化
させた。次いで、水6リットルを加えるとともに、植物
組織分解酵素「ソイラーゼA」32gと、「ナリンギナ
ーゼ」2gと、「タンナーゼ三共」2gとを添加混合し
て混合物を調整した。その混合物を50℃に温度保持し
ながら、小豆粕混合物を水溶液中で剪断しつつ、バイオ
ミルリアクタ10により30分間だけ攪拌循環を繰り返
し、酵素反応を行った。次いで、温度を65℃に上げ、
20分間酵素反応を施し、その後、高圧加熱乾燥機であ
るダブルドラムドライヤ25により表面温度150℃、
10秒間乾燥させた。その他は試験例1と同様にして、
小豆粕パウダ3.0kg(pH6.6、Brix4.
0、水分5.0%)と練りあんとを製造した。得られた
小豆粕パウダおよび練りあんは、色沢、風味ともに良好
であり、食品素材および添加素材として十分に利用でき
るものであった。
【0057】(比較例1)各種の酵素を添加せず、バイ
オミルリアクタ10とは異なる、従来の汎用機であるマ
スコロイダを使用して小豆粕を100μmまで磨砕し、
その他は試験例1と同様にして、小豆粕ペースト5.0
kg(pH6.3、Brix2.0、水分63%)を得
た。得られた小豆粕ペーストは、色沢、風味、食感とも
に商品としての価値のない不良品であった。
【0058】(比較例2)植物組織分解酵素「ソイラー
ゼA」24gと、「ユニアーゼR」15gと、「タンナ
ーゼ三共」15gとを添加するだけで、バイオミルリア
クタ10などの磨砕装置は使用せずに分解させ、その他
は試験例1と同様にして小豆粕ペーストを得た。得られ
た小豆粕ペーストは、前記比較例1と同じように色沢、
風味、食感ともに商品価値のないものであった。
【0059】以上の試験例1〜試験例3で製造された小
豆粕ペースト(小豆粕パウダを含む)は、その色沢、香
り、食味の点において、比較例1および比較例2の小豆
粕ペーストよりも優良であるとのパネラーテスト結果が
得られた。表1にその結果を示す。
【0060】
【表1】
【0061】次に、試験例1〜試験例3の各製造方法に
より得られた小豆粕ペーストと、この小豆粕ペーストが
10〜15重量%混入された小豆あんと、従来品である
小豆粕ペーストが混入されていない小豆あんとの成分を
比較した。
【0062】
【表2】
【0063】それぞれの成分データを表2に示す。
【0064】
【発明の効果】この発明によれば、雑豆粕を溶液中で磨
砕および酵素分解処理することで、固形物である雑豆粕
の磨砕と酵素分解反応が同時に行われ、磨砕という機械
的な剪断作用と植物組織分解酵素反応との相乗作用の効
果により、短時間のうちに効率よく雑豆粕を単細胞レベ
ルまで分解させることができる。そのため、人体に有用
な植物繊維および各種のミネラルが含まれた雑豆粕をす
べて有効に活用することができ、食した際の舌触りや、
のど越しなどが良い高品質の雑豆粕加工食材を、安価に
提供することができる。
【0065】特に、請求項14の発明によれば、雑豆粕
を植物組織分解酵素の存在下で、溶液中において磨砕処
理する前に所定条件で高圧蒸煮を施すようにしたので、
雑豆粕中の食物繊維および蛋白質の利用率を高めること
ができ、しかも添加される酵素量の削減および処理時間
の短縮を図ることができる。
【0066】また、請求項15の発明によれば、磨砕処
理後の雑豆粕を乾燥してパウダ状としたので、雑豆粕加
工食材の長期保存が可能であり、その取り扱いも容易と
なる。
【0067】さらに、請求項16の発明によれば、雑豆
粕の乾燥をドラムドライヤを使って行うようにしたの
で、高品位のパウダ状の雑豆粕加工食材を効率よく生産
することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施例に係る雑豆粕加工食材の製
造方法のフローチャートである。
【図2】この発明の一実施例に係る磨砕反応装置の一部
断面を含む正面図である。
【図3】図2のA部分の一部断面を含む拡大正面図であ
る。
【図4】この発明の一実施例に係る微細化された雑豆粕
の乾燥装置の斜視図である。
【符号の説明】
10 バイオミルリアクタ(磨砕反応装置)、 25 ダブルドラムドライヤ。

Claims (21)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 雑豆粕に、水および雑豆粕に含まれる植
    物繊維を分解する植物組織分解酵素を添加して溶液中で
    磨砕処理する雑豆粕加工食材の製造方法。
  2. 【請求項2】 雑豆粕には、前記植物組織分解酵素の外
    に、 雑豆粕に含まれる蛋白質およびペプチドに作用してペプ
    チド結合の加水分解を促す蛋白質分解酵素、雑豆粕に含
    まれる糖質を分解して液化、糖化を促す多糖類分解酵
    素、雑豆粕に含まれる配糖体を水中で分解する配糖体加
    水分解酵素、および、加水分解により溶液中で磨砕によ
    り微細化された雑豆粕の蛋白の結合を促す蛋白架橋結合
    酵素の酵素群から選ばれた酵素が添加される請求項1に
    記載の雑豆粕加工食材の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記植物組織分解酵素が、ペクチナー
    ゼ,ヘミセルラーゼまたはセルラーゼである請求項1ま
    たは請求項2に記載の雑豆粕加工食材の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記蛋白質分解酵素が、プロテアーゼで
    ある請求項2または請求項3に記載の雑豆粕加工食材の
    製造方法。
  5. 【請求項5】 前記多糖類分解酵素が、アミラーゼであ
    る請求項2〜請求項4のうちのいずれか1項に記載の雑
    豆粕加工食材の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記配糖体加水分解酵素が、ナリンギナ
    ーゼまたはタンナーゼである請求項2〜請求項5のうち
    のいずれか1項に記載の雑豆粕加工食材の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記蛋白架橋結合酵素が、トランスグル
    タミナーゼである請求項2〜請求項6のうちのいずれか
    1項に記載の雑豆粕加工食材の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記植物組織分解酵素の添加条件が、 添加量0.1〜1.0重量%、反応温度40〜60℃、
    反応時間30〜90分間である請求項1〜請求項7のう
    ちのいずれか1項に記載の雑豆粕加工食材の製造方法。
  9. 【請求項9】 前記蛋白質分解酵素の添加条件が、 添加量0.05〜0.5重量%、反応温度30〜65
    ℃、反応時間30〜90分間である請求項2〜請求項8
    のうちのいずれか1項に記載の雑豆粕加工食材の製造方
    法。
  10. 【請求項10】 前記多糖類分解酵素の添加条件が、 添加量0.1 〜1.0重量%、反応温度30〜65
    ℃、反応時間30〜120分間である請求項2〜請求項
    10のうちのいずれか1項に記載の雑豆粕加工食材の製
    造方法。
  11. 【請求項11】 前記蛋白架橋結合酵素の添加条件が、 添加量0.1〜1.0重量%、反応温度30〜60℃、
    反応時間10〜35分間である請求項2〜請求項9のう
    ちのいずれか1項に記載の雑豆粕加工食材の製造方法。
  12. 【請求項12】 前記雑豆粕の溶液中での磨砕処理が、
    雑豆粕を剪断し、攪拌あるいは循環して酵素反応を促進
    させる磨砕反応装置を用いて行われる請求項1〜請求項
    11のうちのいずれか1項に記載の雑豆粕加工食材の製
    造方法。
  13. 【請求項13】 前記溶液中での磨砕処理が、雑豆粕を
    100μm以下に微細化するものである請求項1〜請求
    項12のうちのいずれか1項に記載の雑豆粕加工食材の
    製造方法。
  14. 【請求項14】 前記雑豆粕を植物組織分解酵素を添加
    して磨砕処理する前に、飽和蒸気下で、圧力1.0〜
    6.0kg/cmG、加熱温度120〜164℃、
    0.5〜10分間の処理条件で高圧蒸煮する請求項1〜
    請求項13のうちのいずれか1項に記載の雑豆粕加工食
    材の製造方法。
  15. 【請求項15】 前記溶液中での磨砕処理後の雑豆粕を
    乾燥させてパウダ状にする請求項1〜請求項14のうち
    のいずれか1項に記載の雑豆粕加工食材の製造方法。
  16. 【請求項16】 前記雑豆粕の乾燥が、 それぞれのドラム内に供給された蒸気の熱により、各ド
    ラム外周面に付着した溶液中での磨砕処理後の雑豆粕を
    乾燥させるドラムドライヤにより行われる請求項15に
    記載の雑豆粕加工食材の製造方法。
  17. 【請求項17】 前記ドラムドライヤの乾燥条件が、 ドラム表面温度100〜160℃、加熱時間8〜40秒
    間である請求項16に記載の雑豆粕加工食材の製造方
    法。
  18. 【請求項18】 前記雑豆粕の原料となる雑豆が、 小豆,えんどう豆,茶豆,いんげん豆,うずら豆,グリ
    ンピース,うぐいす豆,黒豆,そら豆,お多福豆の豆群
    から選ばれた豆である請求項1〜請求項17のうちのい
    ずれか1項に記載の雑豆粕加工食材の製造方法。
  19. 【請求項19】 雑豆粕に、水および雑豆粕に含まれる
    植物繊維を分解する植物組織分解酵素を添加して、溶液
    中での磨砕処理を行うことにより得られた雑豆粕加工食
    材。
  20. 【請求項20】 前記溶液中での磨砕処理された雑豆粕
    を乾燥させてパウダ状にした請求項19に記載の雑豆粕
    加工食材。
  21. 【請求項21】 前記雑豆粕の原料となる雑豆が、 小豆,えんどう豆,茶豆,いんげん豆,うずら豆,グリ
    ンピース,うぐいす豆,黒豆,そら豆,お多福豆の豆群
    から選ばれた豆である請求項19または請求項20に記
    載の雑豆粕加工食材。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007282529A (ja) * 2006-04-13 2007-11-01 Kamiya Jozo Shokuhin Kk 餡製造方法
JP7339709B1 (ja) * 2023-02-27 2023-09-06 株式会社豆子郎 豆滓食品の製造方法及び豆滓食品及び加工食品

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