JP3931247B2 - 機能性オカラ乳の製造方法 - Google Patents
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Description
このオカラの廃棄処分は、大きな環境問題と経済問題を抱え深刻なものとなっており、オカラの種々な分野への利用が検討されている。
そこで、オカラを廃棄せずに豆腐原料として利用する発明も提案されている(例えば、特開平5−3761号公報)が、同発明では製造工程が複雑で工程数が多く、冷凍保存、使用時の解凍工程を必要とし、長時間及び高コストを要する等の問題がある。
このほかの酵素処理によるもの、又は微粉末化処理によるもの、これ等を併用するものなど数多くの豆腐の製造方法があるが、得られる製品の食味、食感、香味、色沢、粘弾性が劣っていて、実用化及び商業的ベースでの普及性がない。
その他、オカラの利用については、種々の分野で提案がなされているが、いずれも実用性に乏しいものが多い。
また、「機能性オカラ乳」はオカラを含む原料に液中で機械的微粉砕処理を加えながら酵素反応処理して得られた豆乳を意味し、「機能性全オカラ乳」は機能性オカラ乳に大豆食品の製造過程で生成する豆乳を加配混合したものを意味し、さらに「機能性豆腐」はこれらの機能性オカラ乳を使用して製造された豆腐を意味する。
(1) 豆乳及び豆腐などの大豆食品を製造する過程において生成するオカラに対して、pH調整をせずに水と植物組織崩壊酵素の存在下で機械的微粉砕処理を加えながら酵素反応を施し、かつ上記植物組織崩壊酵素の添加量及び反応条件は、植物組織崩壊酵素の添加量が0.1〜1.0重量%、反応温度が20〜60℃、反応時間は30〜90分とし、含有固形分の平均粒径が100〜50μmである、食物繊維を多く含む機能性オカラ乳を生成することを特徴とする機能性オカラ乳の製造方法。
(2) 豆乳及び豆腐などの大豆食品を製造する過程において生成するオカラに対して、pH調整をせずに水と植物組織崩壊酵素の存在下で機械的微粉砕処理を加えながら酵素反応を施し、かつ上記植物組織崩壊酵素の添加量及び反応条件は、植物組織崩壊酵素の添加量が0.1〜1.0重量%、反応温度が20〜60℃、反応時間は30〜90分として、次いで蛋白架橋結合酵素を添加し、かつ同蛋白架橋結合酵素の添加量は0.1〜2.0重量%、酵素反応温度は20〜50℃、同酵素反応時間は70〜10分として酵素反応を施し、含有固形分の平均粒径が100〜50μmである、食物繊維を多く含む機能性オカラ乳を生成することを特徴とする機能性オカラ乳の製造方法。
(5) 植物組織崩壊酵素が、ペクチン、プロトペクチン、ヘミセルロース、セルロースを低分子に分解する酵素であることを特徴とする前項(1)〜(4)のいずれかの1項に記載の機能性オカラ乳の製造方法。
また、pH調整をしないで反応させるため、製造上手間がかからず、かつ製品にpH調整剤添加による味変化の悪影響を与えない。
さらに、全ての大豆組織を原料とし利用することができるため環境問題を解決でき、また副産物のオカラを殆ど排出しないため豆乳製造のコストを飛躍的に低減できる。
また、従来、食物繊維は難消化性のため不必要なカスと考えられており、それ故に豆乳はそれを除いたものが製品とされていたが、今日では食物繊維の重要性が再確認されており、該食物繊維を多く含む本発明に係る豆乳は機能性オカラ乳として大いに貢献するものである。特に、植物組織崩壊酵素と蛋白架橋結合酵素との併用により製造された機能性オカラ乳は、美味しく、食味、食感に優れ、オカラの混合を感じさせず、そして食物繊維、大豆オリゴ糖などを多量に含有する優れた食品となる。
本発明の実施の形態としては、図3に示す固液分離方式と図4に示す煮呉方式と、さらに図5に示す生呉方式の3種類があり、以下の実施例1〜4,7〜9は固液分離方式を、実施例5,6、10は煮呉方式を、実施例11は生呉方式を採用するものである。
なお、本発明方法で使用される「植物組織崩壊酵素」(植物細胞壁分解酵素と同義)は、植物繊維組織を低分子の繊維に分解する公知の酵素であって、オカラに含まれるセルロース、ヘミセルロース、分岐したペクチン質などの分子構造の長い不溶性植物繊維を低分子のものに分解する酵素であるペクチナーゼ、セルラーゼ、ヘミセルラーゼ等である。
丸大豆は多くの細胞によって形式されているが、(1).種実の外皮は、ペクチンとヘミセルロースで構成されており、その硬い外皮(ペクチン+ヘミセルロースの複合体)は、ペクチナーゼ、ヘミセルラーゼによって分解され、(2).内皮は、セルロースが多く粗繊維で、子葉は硬い組織で多数の細胞で形式されており、各細胞はプロトペクチンで相互に接着されている。
このペクチン質によって構成されている細胞中層に沿ってペクチナーゼ、ヘミセルラーゼが細胞をバラバラに単細胞化して露出させ、内皮と細胞壁をセルラーゼによって分解し、内容物も分離することができる。
また、植物崩壊酵素は、プロテアーゼ、リパーゼなどを微量に夾雑含有しており、不溶解物中に存在する微塵(みじん)と呼ばれる不溶解性の蛋白を分解して食感を良くし、細胞膜も分解して内部の蛋白質も可溶性の蛋白質となして、機能性オカラ乳や機能性豆腐の成分として有効利用することができる。
なお、分離した蛋白粒は粒径約5μmで、105℃、5分間の加熱によって生の蛋白質のサブユニットがほぐれて蛋白質が絡み合ってSS結合し、それに凝固剤を加えて加熱凝固させると豆腐ができる。
プロテアーゼは、その作用からエンドペクチナーゼ(プロテイスナーゼ)とエキソペプチダーゼ(ペプチダーゼ)の2種類に大別することができる。
エンドペプチダーゼは蛋白質、ポリペプチドに作用して大まかに分解し、低分子ペプチドを生成する酵素をいう。
エキソペプチダーゼはペプチドに作用して、アミノ酸を生成する。
日本では古くから味噌、醤油、清酒醸造に麹菌の生産するプロテアーゼが利用され、その中のエンドペプチダーゼ、エキソペプチダーゼをその目的に応じて使い分けされている。
プロテアーゼには、パパイン、プロラインなどの植物起源のもの、パンクレアチン、レンニンなどの動物起源のもの、及び微生物(かび、細菌、酵母)起源のものがある。動植物起源の酵素については、酵素生産を目的として動物が飼育栽培されていないため、今後は安定かつ安価な微生物起源のプロテアーゼに期待される。
その結果、蛋白のネットワークが強化されて、良好な食感(コシ=粘り+弾力を付加する)を与えると共に優れた保水性を付与し、大豆臭、オカラ臭もマスキングする効果を発揮する。
この蛋白架橋結合酵素、トランスグルタミナーゼは、蛋白質やペプチド中のアミノ酸である「グルタミン」残基と「リジン」残基を強力に架橋結合“G−L結合”する反応を触媒する酵素であり、製品としては微生物由来のもの、モルモット等哺乳動物由来のもの、魚類由来のもの、ジーンクローニングによって得られるもの等があるが、特に微生物由来のものが経済的に好ましく使用される。なお、アミラーゼは糖質を分解して液化、糖化を進め、食味を向上する。
液中微粉砕処理装置としては、回転円筒式ミル(ポットミル、チューブミル、コニカルミル等の転動タイプのミル)、振動ボールミル(粉砕容器を高速で振動し、容器内のボール同志を衝突させる方式のボールミル)、遠心式ボールミル(粉砕容器に自転と公転を与え、容器内のボールに遠心力を加えて、ボールと容器壁との間に摩擦力を生じさせる方式のボールミル:例えば遊星ボールミル、ハイスウィングミル、プラネタリーミル)、媒体撹拌式ミル(粉砕容器内に挿入したアジテータを高速で回転させることによって、容器内のボールを激しく撹拌し、ボール間に剪断摩擦力を生じさせる方式のミル)、コロイドミル(高速に回転するローターとケーシングの間でスラリーに剪断力を与える方式のミル)等が挙げられるが、本発明で特に好ましく採用されるミルは、分散能力が高く、砕料を均等サイズに微粉砕できるコロイドミルである。
図1において、1はバイオミルリアクター、2は原料液収容タンク、3はタンク2の下底部の出口に連接して設けられたコロイドミル、4はコロイドミル3から導出される処理済液(スラリー)の導出管路、5はスラリー導出管路4の途中に分岐して設けられたスラリー排出管、6は開閉バルブ、7は導出管路4の末端に設けられたタンク2へのスラリー供給口、8は冷却管、9はモーター、10は機枠である。
そして、本バイオミルリアクター装置1の要部(A)のコロイドミル3の詳細構造は、図2にその一部断面拡大正面図を示すもので、円錐台型の内部空間を有するステータ31とその内部に僅かな間隙33(通常100μm以下)を隔てて回転自在に配設された円錐台型のロータ32とを備え、かつロータ32の表面には、傾斜、例えば約60°に配設された、曲率半径の大きな突条刃321が突設されており、またロータ32の上部には複数のスクリュー323と下部にも複数のスクリュー323’が突設されている。
前記ステーター31の内壁面は平滑面でもよいが、小さな多数の凹凸面を設けた粗面であることも好ましい。また、ステータの内壁面には、突条刃321に交叉する方向の突条刃を設けることも好ましく、それにより一層剪断作用が高められる。
なお、ロータ32は下方に配置されたモーター9のシャフト91により一定方向(矢印方向)に回転され、上部のタンク2中の酵素とオカラの混合液を下方に吸引して導入する。
そして、傾斜した多数の突条刃321・・・間に形成される湾曲した長溝322・・により、前記混合液は吸引され、ステータ31とロータ32の突条刃321との間の僅かな間隙部を介してオカラが磨砕され機械的に微粉砕(通常100μm以下に)される。
さらに本発明では、ロータ32の下部に設けた複数のスクリュー323’で微粉砕処理されたスラリーを導出管路4側へ吸引供給している。
この場合、ロータ32は円錐台型のため、回転と同時にロータ32の上下で遠心力に差が生じ、突条刃321が一種のプロペラの作用をなし、スラリーを下方へ導出することができる。また、その下部に設けた複数のスクリュー323’によって、そのスラリーの流動を加速することができる。
冷却管8は、導出管路4の周囲に二重管として配設されており、導出管路4中のスラリーの温度コントロールをする。
さらに、81は水又は温水等の熱媒体導入部、82はその導出部であり、スラリーの液温が低い場合は、温水等の熱媒体を流通させて加温することもできる。なお、本発明では、冷却管8を導出管路4上に設けたが、冷却器を前記タンク2の内部に、あるいは外周面に接触させて(ジャケットとして)設けてもよい。
原料液収容タンク2は、例えば厚さ1.5mmのSUS304材にて、外径が1m、高さが1mで上部を上方が解放した円筒状で下部が逆円錐状に形成したものである。
なおその材質、容量は限定されなく、通常、同タンク中部には任意形状の撹拌器が設置される。また、コロイドミル3のステータ31及びロータ32は強度及び硬度の高い材料(金属、セラミックス等)で構成され、さらに導出管路4の導管は、金属又は合成樹脂で構成される。
以上の構成のバイオミルリアクターのタンク2に、例えばまず、13kgのオカラを投入し、また同量の水を加え撹拌器を回転させながら、タンク2中に配設されたヒータ(図示せず)又は冷却エレメント(図示せず)あるいは冷却管により、若しくはタンク内に冷水又は温水を供給してタンク2内の混合液を適温に温度調整し、植物組織崩壊酵素130gを添加する。
その結果、タンク2内でオカラと水と酵素類が混合されて混合液が生成され、下方のコロイドミル3へ送られる。前記磨砕部(ステータ31面とロータ32面の対面部)において、固形物オカラが微粉砕されて、突条刃321(一種のプロペラ)の推力によりコロイドミル3を通り抜ける。
コロイドミル3を通り抜けたスラリー(オカラ混合液)は、導出管路4を経て冷却管8で液温45℃前後に冷却され、さらにスラリー供給口7から再びタンク2に循環供給される。
本装置を約45分間稼働して植物組織崩壊酵素反応(一次酵素反応)を施した後、蛋白架橋結合酵素(トランスグルタミナーゼ:例えば「アクティバTG−M」(商品名:味の素社製のトランスグルタミナーゼ)143gを添加して約45℃の温度で15分間撹拌を繰り返し、蛋白架橋結合酵素反応(二次酵素反応)を施して蛋白を架橋結合した、固形物粒度が約50〜100μmの機能性オカラ乳26,000mlを製造した。
しかしながら、本装置を用いればpH調整剤を用いずとも短時間で反応が行えるため、薬剤及び工程の削減によるコスト低減がはかれるばかりでなく、無添加であるから食味が損なわれず安全性が保たれる利点がある。
実施例1:
本例は、図3に示す固液分離方式による機能性オカラ乳の製造例である。
まず、原料大豆10kgを水26,000mlに入れ、13時間浸漬した。
次いで、これに、22,000mlの冷水を加えながら機械的に磨砕し、105℃で5分間加熱した後、固液分離を行って豆乳45,000mlと豆粕(オカラ)13.0kgを製造した。
得られたオカラを図1に示すバイオミルリアクター1の原料液収容タンク2に入れ、それに水13,000mlを加えて温度45℃に調整し、その後それに植物組織崩壊酵素、「マセロチームA」(商品名:ヤクルト薬品工業社製のペクチナーゼを主剤とする酵素製剤)65gと、「セルラーゼオノズカ3S」(商品名:ヤクルト薬品工業社製のセルラーゼを主剤とする酵素製剤)65gを添加混合して混合懸濁物を調製した。
この混合懸濁物を45℃に温度保持し、前記各酵素による酵素反応とコロイドミルによる機械的微粉砕処理を同時に施し(一次酵素反応)、かつ原料液収容タンク2とコロイドミル3(機械的磨砕装置)の間を撹拌循環させながら45分間作用させ、次いで75℃で5分間加熱して酵素を失活させ、冷却して機能性オカラ乳(Brix8.0,pH6.8)26,000mlを製造した。
その機能性オカラ乳は、バイオミルリアクター1下部のコロイドミル3から導出されるスラリーの導出管路4より分岐した排出管5から、開閉バルブ6を開いて取り出された。取り出しされた機能性オカラ乳は、固形物の直径が50〜100μmで、香り、食味、食感の点において、従来法で得られたオカラを使用しない豆乳と殆ど変わらなく、むしろ若干甘味を有する優良なものであるとの結果を得た。
本例は、図3に示す固液分離方式による機能性オカラ乳の製造例である。
まず、原料大豆10kgを水25,000mlに入れ、13時間浸漬した。
次いで、これに、22,000mlの冷水を加えながら機械的に磨砕し、105℃で5分間加熱した後、固液分離を行って豆乳45,000mlと豆粕(オカラ)12.0kgを製造した。
得られたオカラを図1に示すバイオミルリアクター1の原料液収容タンク2に入れ、それに水18,000mlを加えて温度50℃に調整し、その後それに植物組織崩壊酵素「マセロチームA」60g、「セルラーゼAアマノ」(商品名:アマノ製薬社製のヘミセルラーゼ酵素製剤)90g、及び「ユニアーゼBM−8」(商品名:ヤクルト薬品工業社製のアミラーゼを含有する酵素製剤)40gを添加混合して混合懸濁物を調製した。
この混合懸濁物を50℃に温度保持し、前記各酵素による酵素反応とコロイドミルによる機械的微粉砕処理を同時に施し、かつ原料液収容タンク2とコロイドミル3の間を撹拌循環させながら40分間作用させて、機能性オカラ乳(Brix7,pH6.7)30,000mlを製造した。
続いて、得られた機能性オカラ乳に、「アクティバTG−M」(商品名:味の素社製のトランスグルタミナーゼ(蛋白質やペプチド中のアミノ酸である「グルタミン」残基と「リジン」残基を強力に架橋結合“G−L結合”する酵素)含有製剤)150gを添加混合し、50℃で10分間にわたって酵素反応(二次酵素反応)を行って、ペースト状生成物(機能性オカラ乳)を製造した。その機能性オカラ乳は、バイオミルリアクター1下部のコロイドミル3から導出されるスラリーの導出管路4より分岐した排出管5から、開閉バルブ6を開いて取り出された。
本例は、図3に示す固液分離方式による機能性オカラ乳の製造例である。
まず、原料大豆10kgを水26,000mlに入れ、13時間浸漬した。次いで、これに、22,000mlの冷水を加えながら機械的に磨砕し、105℃で5分間加熱した後、固液分離を行って豆乳45,000mlと豆粕(オカラ)13.0kgを製造した。
得られたオカラを図1に示すバイオミルリアクター1の原料液収容タンク2に入れ、それに水13,000mlを加えて温度45℃に調整し、その後それに植物組織崩壊酵素、「マセロチームA」65gと、「セルラーゼオノズカ3S」65gと、蛋白分解酵素「プロテアーゼRアマノ」(商品名:天野製薬社製)26を添加混合して混合懸濁物を調製した。
この混合懸濁物を45℃に温度保持し、前記各酵素による酵素反応とコロイドミルによる機械的微粉砕処理を同時に施し、かつ原料液収容タンク2とコロイドミル3(機械的磨砕装置)の間を撹拌循環させながら45分間作用させ、次いで75℃で5分間加熱して酵素を失活させ、冷却して機能性オカラ乳(Brix8.0,pH6.8)26,000mlを製造した。
その機能性オカラ乳は、バイオミルリアクター1下部のコロイドミル3から導出されるスラリーの導出管路4より分岐した排出管5から、開閉バルブ6を開いて取り出された。取り出しされた機能性オカラ乳は、固形物の直径が50〜100μmで、香り、食味、食感の点において、従来法で得られたオカラを使用しない豆乳と殆ど変わらなく、むしろ若干甘味を有する優良なものであるとの結果を得た。
原料大豆10kgを水25,000mlに入れ13時間浸漬した。次いで、これに23,000mlの冷水を加えながら機械的に磨砕し、105℃で5分間加熱した後、固液分離を行って豆乳45,000mlと豆粕(オカラ)13kgを製造した。
得られたオカラを「バイオミルリアクター」(商品名:澤産業株式会社製のコロイドミルを組み込んだバイオミルリアクター)に投入し、さらに水17,000mlを加えて温度50℃に調整し、その後これに大豆の植物組織を分解する「マセロチームA」(商品名:ヤクルト薬品工業社製のペクチナーゼ酵素製材)60g、「セルラーゼオノズカ3S」(商品名:ヤクルト薬品工業社製のセルラーゼ酵素製材)90gと「プロテアーゼRアマノ」(商品名:天野製薬社製のプロテアーゼ酵素製材)30gを添加混合して混合懸濁物を調整した。
この混合懸濁物を50℃に保持し、酵素による酵素反応とコロイドミルによる機械的微粉砕処理を同時に施し、機械的粉砕装置間を撹拌循環させながら45分間作用させて、機能性オカラ乳(Brix7,0、pH6,8)30,000mlを製造した。
続いて、得られた機能性オカラ乳に「アクティバTG−M」(商品名:(商品名:味の素社製のトランスグルタミナーゼ含有製材)180gを添加混合し、50℃13分間にわたって酵素反応(二次酵素反応)を行って機能性オカラ乳(Brix7,0、pH6,8)30,000mlを製造した。
本例は、図4に示す煮呉方式による機能性オカラ乳の製造例である。
原料大豆1kgを水2,500mlに13時間浸漬した。
次いで、それに、1,500mlの冷水を加えながら機械的に磨砕し、105℃で5分間加熱して煮呉とした後、この煮呉をバイオリアクター(酵素反応装置)に入れて温度を50℃に調整し、その後これに「マセロチームA」10g、「セルラーゼオノズカ3S」15g、及び「ユニアーゼBM−8」4gを加えて混合懸濁液を製造した。
この混合懸濁液を機械的磨砕装置を備えたバイオリアクターに入れ、50℃で前記各酵素による酵素反応力と機械的磨砕力とを作用(一次酵素反応)させ、かつバイオリアクターと機械的磨砕装置の間を撹拌循環させながら40分間作用させて、煮呉ペースト(Brix15,pH6.8)5,000mlを製造した。
続いて、得られた煮呉ペーストに2,500mlの水と「アクティバTG−M」40gを添加混合し、50℃で10分間にわたって酵素反応(二次酵素反応)を行って、大豆の全組織を使用して得られた機能性全オカラ乳7,500ml(Brix11,pH6.8)を製造した。
本例も図4に示す煮呉方式による機能性オカラ乳の製造例である。
原料大豆1kgを水2,500mlに13時間浸漬した。次いで、それに、1,500mlの冷水を加えながら機械的に磨砕し、105℃で5分間加熱して煮呉とした後、この煮呉をバイオリアクター(酵素反応装置)に入れて温度を50℃に調整し、その後これに「マセロチームA」10g、「セルラーゼオノズカ3S」15g、及び「ユニアーゼBM−8」4gを加えて混合懸濁液を製造した。
この混合懸濁液を機械的磨砕装置を備えたバイオリアクターに入れ、50℃で前記各酵素による酵素反応力と機械的磨砕力とを作用(一次酵素反応)させ、かつバイオリアクターと機械的磨砕装置の間を撹拌循環させながら40分間作用させて、煮呉ペースト(Brix15,pH6.8)5,000mlを製造した。
続いて、得られた煮呉ペーストに2,500mlの水と「アクティバTG−M」40gと、「トレハオース」(商品名:林原社製の高純度が含水トレハロース製剤)150gを添加混合し、50℃で10分間にわたって酵素反応(二次酵素反応)を行って、大豆の全組織を使用して得られた機能性全オカラ乳7,500ml(Brix11,pH6.8)を製造した。
原料大豆10kgを水25,000mlに入れ13時間浸漬した。
次いで、これに23,000mlの冷水を加えながら機械的に磨砕し、105℃で5分間加熱した後、固液分離を行って、豆乳45,000mlとオカラ13kgを製造した。
得られたオカラをバイオミルリアクターに投入し、さらに水17,000mlを加えて温度50℃に調整し、その後これに「マセロチームA」60g、「セルラーゼオノズカ3S」90g、及び蛋白分解酵素「プロテアーゼRアマノ」30gを添加混合して混合懸濁物とした。この混合懸濁物を50℃に保持し、酵素による酵素反応とコロイドミルによる機械的微粉砕処理を同時に施し、機械的微粉砕処理装置間を撹拌循環させながら45分間作用させて、機能性オカラ乳(Brix7,pH6.8)30,000mlを製造した。
続いて、得られた機能性オカラ乳に「アクティバTG−M」180gを添加混合し、50℃で13分間にわたって酵素反応(二次酵素反応)を行って機能性オカラ乳(Brix7.0,pH6.8)30,000mlを製造した。
原料大豆10kgを水25,000mlに入れ、13時間浸漬した。
次いで、これに、23,000mlの冷水を加えながら機械的に磨砕し、105℃で5分間加熱した後、固液分離を行って豆乳45,000mlと豆粕(オカラ)13kgを製造した。
得られたオカラを「バイオミルリアクター」(商品名:澤産業株式会社製のコロイドミルを組み込んだバイオリアクター)に投入し、さらに水17,000mlを加えて温度50℃に調整し、その後これに「マセロチームA」60g、「セルラーゼAアマノ」90g、及び「ユニアーゼBM−8」40gを加えて混合懸濁物を製造した。
これを50℃に保持し、機械的磨砕力を付与しながら酵素反応(1次酵素反応)をさせ、かつバイオミルリアクター内の酵素反応液を循環させながら40分間作用させて、オカラ乳30,000ml(Brix7.0,pH6.7)を取得した。
得られたオカラ乳中の固形分の平均粒径は100〜50μmであった。次いで、得られたオカラ乳に前記豆乳45,000ml(Brix.13.0,pH6.7)を加えた後、「アクティバ」400gを添加し、50℃で10分間にわたって酵素反応(2次酵素反応)を行って、大豆の全組織を使用して得られた機能性全オカラ乳75,000ml(Brix.10.5,pH6.7)を取得した。
実施例5で取得された豆粕(オカラ)13kgを「バイオミルリアクター」(商品名:澤産業株式会社製のコロイドミルを組み込んだバイオリアクター)に投入し、さらに水13,000mlを加えて温度50℃に調整し、その後これに「マセロチームA」60g、「セルラーゼAアマノ」70g、及び「ユニアーゼBM−8」40gを加えて混合懸濁物を製造した。
これに、50℃で機械的磨砕力と撹拌・循環を繰り返しながら酵素反応(1次酵素反応)を40分間作用させた。
得られたオカラ乳中の固形分の平均粒径は100〜50μmであった。その後、得られたオカラ乳に、「アクティバ」150gを添加し、50℃で12分間にわたって酵素反応(2次酵素反応)を行って、オカラ乳26,000ml(Brix8.0,pH6.8)を取得した。
前記取得されたオカラ乳に豆乳44,000ml(Brix.13.0,pH6.8)を混合し、120メッシュのフィルターで濾過して胚軸等の不純物を除去して、機能性全オカラ乳70,000ml(Brix.11.5,pH6.8)を取得した。
本例も図4に示す煮呉方式による機能性オカラ乳の製造例である。
原料丸大豆を脱皮・脱胚軸し、圧片とした皮むき大豆10kgを25,000mlの水に20分間浸漬した。次いで35,000mlの冷水を加えながらグラインダで磨砕し105℃で5分間加熱蒸煮してニゴ(煮呉)とした後、このニゴをバイオミルリアクターに入れ、温度50℃に調整し、その後これに「マセロチームA」150g、「セルラーゼAアマノ」200g、及び「プロテアーゼRアマノ」70gを加えて混合懸濁物を製造した。
これに、50℃で機械的磨砕力と撹拌・循環を繰り返しながら酵素反応(1次酵素反応)を40分間作用させた。得られたオカラ乳中の固形分の平均粒径は100〜50μmであった。その後、得られたオカラ乳に、「アクティバ」350gを添加し、50℃で12分間にわたって酵素反応(2次酵素反応)を行って、機能性全オカラ乳70,000ml(Brix.12.0,pH6.8)を取得した。
本例は図5に示す生呉方式による機能性オカラ乳の製造例である。
原料丸大豆10kgを脱皮・脱胚軸した後、微粉砕し、次いでバイオミルリアクターに入れ、40℃の温水60,000mlと「マセロチームA」150g、「セルラーゼAアマノ」200g、及び「ユニアーゼBM−8」40gを加えて混合懸濁物を製造した。
これを50分間1次酵素反応を施して生呉を生成し、次いで105℃、5分間蒸煮し、速やかに50℃まで冷却し、「アクティバ」350gを添加し、50℃で12分間にわたって酵素反応(2次酵素反応)を行って、機能性全オカラ乳70,000ml(Brix12.0,pH6.8)を取得した。
まず、原料大豆10kgを水25,000mlに入れ、13時間浸漬した。
次いで、これに、22,000mlの冷水を加えながら機械的に磨砕し、105℃で5分間加熱した後、固液分離を行って豆乳45,000mlと豆粕(オカラ)12.0kgを製造した。
得られたオカラをタンクに入れ、それに水30,000mlを加えて、pH調整剤の乳酸を添加してpH4.5、温度50℃に調整し、その後それに植物組織崩壊酵素「マセロチームA」100gと、「セルラーゼオノズカ3S」110gを添加混合して混合懸濁物を調製した。
この混合懸濁物を45℃に温度保持し、180分間撹拌させながら酵素反応させた後、調整剤の炭酸水素ナトリウムを添加してpH7.0に調整して機能性オカラ乳を取得した。
取得した機能性オカラ乳は、固形物の直径が400〜1500μmであり、香りは特異な豆臭が残り、食味はうま味がなく、食感はザラ付きが口当たり、のどごしを悪くし不味であった。
特に、植物細胞壁分解酵素による処理は、大豆の食物繊維を分断して低分子化し製品の機能性を高めるものであり、その低分子化した食物繊維は、血圧低下、コレステロール低下に役立ち、さらに、消化管の働きを活性化すること、便容量を増加させて、老廃物を速やかに体外に出すこと、食事成分の消化吸収を低下させること、腸内圧及び腸圧を低下させることなど食物繊維が消化管を通過するとき、消化管やその内容物にいろいろな作用を及ぼすことが知られている。
また、低分子化した食物繊維と並んで機能性をもっているオリゴ糖(少糖類)も含まれており、腸内有用菌であるビフィズス菌を繁殖させるスタキオース、ラフイノースなど老化防止する効果が期待され、豆乳の健康食品としての価値を高めるためのものであるが、食味の点でもオリゴ糖のまろやかな甘味が加わりまるごと豆乳の食味を高めている。
食物繊維はかつて難消化性のため、不必要なカスと考えられており、それ故に豆乳はそれを除いたものが製品とされていたが、今日では食物繊維の重要性が再確認されていることから、本発明に係る機能性豆乳は、人工食品添加物が無く、自然食品として、かつ大豆組織を全部利用することができ副産物のオカラを殆ど排出しないため廃棄物処理等の環境負荷を皆無とし、併せてオカラが全量豆乳及びその応用製品に利用できることから貴重な有価資源として回収できる。また、本発明の実施によって、廃棄物処理費用をかけていたオカラが全量製品化できることか、実施業者に大きなメリットをもたらすこととなる。
本発明では、機能性全オカラ乳の蛋白安定と蛋白架橋結合により粘弾性と食味・食感を高めるために、トランスグルタミナーゼ添加による酵素反応と非還元糖質であるトレハロースを加えることが好ましいが、トレハロースは1〜5重量%、トランスグルタミナーゼ酵素添加量は0.1〜2.0重量%、反応温度は20℃〜50℃で反応時間は70〜10分間で、バイオリアクターの撹拌循環作用により製品豆乳の食味・食感を高めることができる。
2:原料液収容タンク、
3:コロイドミル、
4:スラリーの導出管路、
5:スラリー排出管、
6:開閉バルブ、
7:スラリー液供給口、
8:冷却管、
9:モーター、
10:機枠、
Claims (5)
- 豆乳及び豆腐などの大豆食品を製造する過程において生成するオカラに対して、pH調整をせずに水と植物組織崩壊酵素の存在下で機械的微粉砕処理を加えながら酵素反応を施し、かつ上記植物組織崩壊酵素の添加量及び反応条件は、植物組織崩壊酵素の添加量が0.1〜1.0重量%、反応温度が20〜60℃、反応時間は30〜90分とし、含有固形分の平均粒径が100〜50μmである、食物繊維を多く含む機能性オカラ乳を生成することを特徴とする機能性オカラ乳の製造方法。
- 豆乳及び豆腐などの大豆食品を製造する過程において生成するオカラに対して、pH調整をせずに水と植物組織崩壊酵素の存在下で機械的微粉砕処理を加えながら酵素反応を施し、かつ上記植物組織崩壊酵素の添加量及び反応条件は、植物組織崩壊酵素の添加量が0.1〜1.0重量%、反応温度が20〜60℃、反応時間は30〜90分として、次いで蛋白架橋結合酵素を添加し、かつ同蛋白架橋結合酵素の添加量は0.1〜2.0重量%、酵素反応温度は20〜50℃、同酵素反応時間は70〜10分として酵素反応を施し、含有固形分の平均粒径が100〜50μmである、食物繊維を多く含む機能性オカラ乳を生成することを特徴とする機能性オカラ乳の製造方法。
- 豆乳及び豆腐などの大豆食品を製造する過程において生成するオカラに対して、pH調整をせずに水と植物組織崩壊酵素の存在下で機械的微粉砕処理を加えながら酵素反応を施し、かつ上記植物組織崩壊酵素の添加量及び反応条件は、植物組織崩壊酵素の添加量が0.1〜1.0重量%、反応温度が20〜60℃、反応時間は30〜90分として、次いで蛋白架橋結合酵素を添加し、かつ同蛋白架橋結合酵素の添加量は0.1〜2.0重量%、酵素反応温度は20〜50℃、同酵素反応時間は70〜10分として酵素反応を施した後、前記大豆食品の製造過程で生成する豆乳を加えて混合して、含有固形分の平均粒径が100〜50μmである、食物繊維を多く含む機能性全オカラ乳を生成することを特徴とする機能性オカラ乳の製造方法。
- 蛋白架橋結合酵素が、トランスグルタミナーゼであることを特徴とする請求項2又は3のいずれかの1項に記載の機能性オカラ乳の製造方法。
- 植物組織崩壊酵素が、ペクチン、プロトペクチン、ヘミセルロース、セルロースを低分子に分解する酵素であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかの1項に記載の機能性オカラ乳の製造方法。
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