JP2001057449A - 薄板圧電素子並びにそれを用いた圧電振動子及び圧電発音体 - Google Patents

薄板圧電素子並びにそれを用いた圧電振動子及び圧電発音体

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JP2001057449A
JP2001057449A JP11232937A JP23293799A JP2001057449A JP 2001057449 A JP2001057449 A JP 2001057449A JP 11232937 A JP11232937 A JP 11232937A JP 23293799 A JP23293799 A JP 23293799A JP 2001057449 A JP2001057449 A JP 2001057449A
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thin plate
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Atsushi Omote
篤志 表
Jun Kuwata
純 桑田
Hiroshi Takeshi
太司 武子
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明の目的は、圧電素子を応用した製品に
おける圧電特性の向上と同時に従来と同等またはそれ以
上の信頼性を実現することである。 【解決手段】 本発明は、誘電率4000以上の圧電材
料1を用い、かつ圧電素子の膜厚が200μm以下の薄
板圧電素子において、第1の電極2及び第2の電極3に
スパッタ法又は蒸着法などにより形成した金属膜を用い
これを還元雰囲気において熱処理することを特徴とす
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、携帯用電話、コン
ピュータ等の発音源あるいは圧電振動子に用いられる圧
電素子に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、圧電材料を用いた圧電スピーカ、
レシーバあるいはマイクは、携帯電話やコンピュータの
音声入出力装置として見直されてきている。特に携帯用
として小型化、高感度化した圧電振動子への要望が強く
なっている。このとき問題となるのが、1)圧電特性、
2)信頼性、といったことである。そのため、ペロブス
カイト構造を有する酸化物強誘電体のセラミックスに着
眼した新材料の探索と添加物による改善が多数行われて
いる。
【0003】また、圧電素子の変位量を大きくすること
を目的として、圧電材料の電極間距離を短くする。すな
わち、圧電材料を薄くすることによりデバイスとしての
性能を向上する手法も検討されている。例えば、100
μm以下の薄板素子の焼成方法や、薄板素子用に材料の
グレインサイズを制御するなどの開発である。
【0004】上記の高圧電材料開発と素子の薄板化を両
立する場合に、従来から圧電素子に用いられている銀ペ
ーストによる焼付け銀電極が特性に悪い影響を与える。
焼付け電極は、その成分として誘電率10以下のガラス
成分を含んでいるが、圧電素子が200μm以下のよう
な薄板化が進むと電極内のガラス成分のもつ低い誘電率
の影響が無視できなくなる。さらに、近年開発されてい
る高圧電材料は誘電率が4000以上と高くなっている
ため、電極に含まれるガラス成分の影響を従来の材料以
上に大きく受けることとなり、材料が本来有する誘電率
と圧電素子とした場合の誘電率を比較した場合、10%
以上も誘電率が低下してしまうことが明確になってき
た。
【0005】従来から材料そのものの圧電特性の評価を
行う場合に、スパッタ法や蒸着法などによる金属電極を
使用することはあったが、電極の接着力が焼付け銀電極
と比較すると極端に弱く、熱衝撃試験、落下試験などの
接着強度を要因とする信頼性の課題があって実際のデバ
イスに用いられることはなかった。
【0006】このようにデバイスの小型化、高感度化を
目的とした圧電素子の特性向上や圧電材料の薄膜化の検
討において、圧電素子の高感度化とデバイスの高信頼性
を両立するという要望に応えられなくなってきている現
状がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】近年、圧電素子を応用
した製品における圧電特性の向上の要望は強く材料の性
能を十分引き出さなければならなくなってきている。こ
れら素子特性向上と同時に従来と同等またはそれ以上の
信頼性をデバイス設計から要望されている。
【0008】この発明の第1の目的は、圧電材料の特性
を十分に引き出す手段としてスパッタ法、蒸着法を用い
た金属電極を使用することである。
【0009】さらに第2の目的は、上記金属電極を用い
た場合の電極の接着力に起因する信頼性の課題を解決し
実際のデバイスに使用可能な電極を実現することであ
る。
【0010】
【課題を解決するための手段】この課題を解決するため
に本発明は、誘電率4000以上の圧電材料を用いかつ
圧電素子の膜厚が200μm以下の薄板圧電素子におい
て電極にスパッタ法または蒸着法などを使用した金属電
極を用いたことを特徴とする。また電極の接着強度の改
善方法として、熱処理を行う、下地電極を設けることを
特徴とする。これにより、相境界近傍の狭い領域の高誘
電率、高圧電定数を有する強誘電体酸化物を使用し素子
を薄板化する場合に、より良好な特性を持つデバイスの
実現が可能となり、かつデバイスの信頼性の向上が容易
に可能となる。
【0011】熱処理を還元雰囲気で行うことで金属電極
の酸化を防止し、デバイスの信頼性を向上することがで
きる。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明の請求項1記載の発明は、
一対の電極と、誘電率4000以上の強誘電体複合酸化
物を含む圧電材料を有する薄板圧電素子であって、前記
電極が金属からなることを特徴とする薄板圧電素子であ
り、圧電素子の特性が向上するものである。
【0013】請求項2記載の発明は、薄板圧電素子の厚
さが200μm以下であることを特徴とする請求項1記
載の薄板圧電素子であり、圧電素子の特性が向上するも
のである。
【0014】請求項3記載の発明は、電極が、スパッタ
法、蒸着法又はCVD法により形成されることを特徴と
する請求項1又は2記載の薄板圧電素子であり、圧電素
子の特性が向上するものである。
【0015】請求項4記載の発明は、電極に200℃以
上の熱処理を行うことを特徴とする請求項1ないし3の
いずれか記載の薄板圧電素子であり、圧電素子の特性が
向上し、かつ電極の接着性が向上し、素子の急激な温度
変化に対する信頼性が向上するものである。
【0016】請求項5記載の発明は、熱処理を還元雰囲
気で行うことを特徴とする請求項4記載の薄板圧電素子
であり、金属電極の酸化による変色を防止し、デバイス
化の際の接着強度を向上するものである。
【0017】請求項6記載の発明は、電極が、少なくと
も2層以上の積層構造をもつことを特徴とする請求項1
ないし5のいずれか記載の薄板圧電素子であり、圧電素
子の特性が向上し、かつ電極の接着性が向上し、素子の
急激な温度変化に対する信頼性が向上するものである。
【0018】請求項7記載の発明は、積層構造をもつ電
極のうち圧電材料と接する層がクロム、チタン又はニッ
ケルの少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項6
記載の薄板圧電素子であり、圧電素子の特性が向上し、
かつ電極の接着性が向上し、素子の急激な温度変化に対
する信頼性が向上するものである。
【0019】請求項8記載の発明は、圧電材料と接する
層の膜厚が100nm以下であることを特徴とする請求
項7記載の薄板圧電素子であり、圧電素子の特性が向上
し、かつ電極の接着性が向上し、素子の急激な温度変化
に対する信頼性が向上するものである。
【0020】請求項9記載の発明は、電極の膜厚が圧電
材料の膜厚に対して1/5以下であることを特徴とする
請求項1ないし8のいずれか記載の薄板圧電素子であ
り、圧電素子の特性が向上し、かつ電極の接着性が向上
し、素子の急激な温度変化に対する信頼性が向上するも
のである。
【0021】請求項10記載の発明は、電極を形成する
際に、圧電材料を200℃以上に加熱しながら電極形成
することを特徴とする請求項1ないし9のいずれか記載
の薄板圧電素子であり、圧電素子の特性が向上し、かつ
電極の接着性が向上し、素子の急激な温度変化に対する
信頼性が向上するものである。
【0022】請求項11記載の発明は、請求項1ないし
10のいずれか記載の薄板圧電素子を用いたことを特徴
とする圧電振動子であり、圧電素子の特性が向上し、か
つ電極の接着性が向上し、素子の急激な温度変化に対す
る信頼性が向上するものである。
【0023】請求項12記載の発明は、請求項11記載
の圧電振動子を用いたことを特徴とする圧電発音体であ
り、圧電素子の特性が向上し、かつ電極の接着性が向上
し、素子の急激な温度変化に対する信頼性が向上するも
のである。
【0024】
【実施例】以下、この発明の実施例について図面を参照
しながら説明する。
【0025】図1はこの発明の実施例における薄板圧電
素子の概略図である。薄板状の圧電材料1に対して電圧
を印加するための第1の電極2及び第2の電極3で構成
されている。
【0026】(実施例1)圧電材料として、xPbTi
3−yPbZrO3−(1-x-y)Pb(Mg1/3
2/3)O3で示される材料を使用して実験を行った。本
材料は、ジャーナル・オブ・セラミック・ソサイエテ
ィ、48巻、12号、630頁〜635頁(J. America
n Ceramic Society Vol.48, No.12, p630〜p635)に掲
載されている。1−x−yをzで表すと、この材料は
(x,y,z)=(0.4375,0.125,0.4375)で示され
る3重点付近で大きな圧電特性をもつ圧電材料であり、
(x,y,z)の組成を変えることで様々な特性の圧電
材料を得ることが可能である。
【0027】これら組成のうち、3重点付近の誘電率が
4000を示す材料(材料Aとする)の仮焼成粉末を作
製した。
【0028】この仮焼成粉末100gとポリビニルブチ
ラール7gとジブチルフタル酸3gを、酢酸ブチル40
g、ブチルセルソルブ10gの混合溶剤中に投入し、ボ
ールミルにて48h攪拌を行いスリップを作製した。こ
のスリップを用いてドクターコート法によりグリーンシ
ートを作製した。
【0029】比較例として、x,y,zの組成を変えて
誘電率が2000である材料(材料Bとする)の仮焼成
粉末を作製し、同様にグリーンシートを作製した。
【0030】材料A,材料Bそれぞれのシートを所定の
大きさに打ち抜き、焼成後φ10mm、膜厚70μmに
なるように薄板圧電素子を焼成した。
【0031】次に、電極として銀スパッタ電極を薄板圧
電素子の両面に膜厚2μmになるようにスパッタし、分
極、特性評価(Kp、誘電率)を行った。電極の比較例
として、焼付け銀電極(昭栄化学製、H4510)を焼
付け後2μmになるように薄板圧電素子の両面につけ、
同様の分極、特性評価を行った。その結果を(表1)に
示す。
【0032】
【表1】
【0033】(表1)において、Kpは電気機械結合係
数を示し、εは誘電率を示す。
【0034】(表1)より、焼付け銀電極より銀スパッ
タ電極の方が電極を含む素子としての圧電定数がよいこ
とがわかる。また誘電率4000の材料Aの方が、この
効果は大きいことがわかった。
【0035】この効果は焼付け銀中に含まれるガラスフ
リットの影響によるものである。例えば、ガラスの誘電
率をεglass、圧電材料の誘電率をεA、電極面積をS、
素子の膜厚をd、真空の誘電率をε0とすると、銀スパ
ッタ電極を用いた場合の容量Cは下記の式で表される。
【0036】
【数1】
【0037】これに対して焼付け銀を用いた場合の容量
C'は、素子表面のガラス成分が電極を含む見かけの容
量に含まれるため、下記の式で表される。
【0038】
【数2】
【0039】この時ガラス成分の膜厚を仮にdglassと
した。式中、εAは高圧電特性の材料で4000以上、
εglassは通常3〜4であるから、εA/εglass=10
00とおくことができる。dglass/dが十分小さいと
きは、ガラス成分の影響が無視できるがdすなわち素子
の厚みが薄くなってくるとガラスの影響によって電極を
含む見かけの誘電率が悪くなってしまう。また、この式
から、通常の材料のようなεAが小さい材料Bの場合に
は、これらガラスの影響が小さくなるため、焼付け銀電
極を用いてもまったく問題がないことは明らかである。
【0040】ついで、この構成の素子を用いて圧電振動
子を作製し圧電発音体として、音圧特性を比較したとこ
ろ、材料Aの場合、焼付け銀電極を用いた場合より1V
入力で100Hzの音圧が5dB以上向上した。
【0041】なお、本実施例では、電極をスパッタ法で
成膜したが、蒸着法及びCVD法でも、同様の効果が得ら
れた。
【0042】(実施例2)第1の実施例で作製した材料
Aのシートを用い、素子膜厚40μm、φ10mmの素
子を焼成した。また、スパッタ電極の膜厚を100nm
から15μmまで変えて素子を作製し、分極、特性評価
を行った。
【0043】
【表2】
【0044】(表2)において、Kpは電気機械結合係
数を示し、εは誘電率を示す。
【0045】(表2)より、銀スパッタ電極を用いた場
合の径方向電気機械結合係数の電極膜厚依存性をわか
る。電極の膜厚を変えると圧電定数が変化し電極の膜厚
がある値以上になると特性が劣化することがわかる。
【0046】電極が厚くなると素子の膜厚に対して、電
極の厚み、重量が無視できなくなり、圧電定数が悪くな
ることがわかる。素子の膜厚が40μmの場合、電極が
8μm以上になると電極の影響が無視できなくなり、圧
電特性が低下することがわかる。つまり、電極の膜厚が
素子の1/5以下であれば、良好な特性が得られた。
【0047】なお、本実施例では、電極をスパッタ法で
成膜したが、蒸着法及びCVD法でも、同様の効果が得ら
れた。
【0048】(実施例3)材料Aを用いて第2の実施例
と同様の薄板圧電素子を作製し、分極評価を行う前に3
00℃0.5hの熱処理を行った。熱処理後、薄板圧電
素子の分極を行い圧電振動子として、圧電発音体を作製
し同様の熱衝撃試験を行った。熱処理を行った素子、行
わなかった素子、それぞれによる圧電発音体の熱衝撃試
験前後の特性について(表3)に示す。
【0049】
【表3】
【0050】(表3)より、熱処理を行うことで容易に
所望の接着強度を得ることが可能であり、熱衝撃試験前
後の特性劣化を防止できることがわかった。
【0051】同様の実験を熱処理の温度を変化させて行
った結果、200℃以上の熱処理で効果があることがわ
かった。
【0052】なお、本実施例では、電極をスパッタ法で
成膜したが、蒸着法及びCVD法でも、同様の効果が得ら
れた。
【0053】(実施例4)材料Aを用いて第2の実施例
と同様の薄板素子を焼成した。続いて、電極として銀単
独で1μmの素子、クロム30nm、銀900nmの積
層電極の素子をそれぞれスパッタ法により形成し、薄板
圧電素子の分極を行い圧電振動子として、圧電発音体を
作製し同様の熱衝撃試験を行った。結果を(表4)に示
す。
【0054】
【表4】
【0055】(表4)より、クロムの下地電極を設ける
ことで、所望の接着強度を得ることが可能であり、熱衝
撃試験前後の特性劣化を防止できることがわかった。
【0056】また、電極の総膜厚が1μmになるように
して、クロムの膜厚を変えて電極を形成したが、クロム
の電極が100nm以上になるとKpが悪くなる。これ
は銀とクロムの弾性定数の違いによるものである。クロ
ムは銀と比較して弾性定数が大きく、硬い金属材料であ
るため膜厚を厚くすると圧電素子の振動を阻害してしま
う。このため接着強度の改善は容易だが良好な特性を得
るためには、クロムの膜厚を100nm以下にする必要
がある。
【0057】クロム以外の金属でも、チタン、ニッケル
を用いた場合に同様の接着強度の向上が確認された。
【0058】なお、本実施例では、電極をスパッタ法で
成膜したが、蒸着法及びCVD法でも、同様の効果が得ら
れた。
【0059】(実施例5)材料Aを用いて第2の実施例
と同様の圧電素子を焼成した。蒸着法により1μmの銀
電極を形成した。この時、電極形成の際に250℃に素
子を加熱しながら、電極の形成を行った。この薄板圧電
素子を分極し、圧電振動子として圧電発音体を作製し同
様の熱衝撃試験を行った。
【0060】素子を加熱しながら電極形成を行った素子
は、熱衝撃試験での劣化はまったくなかった。電極形成
の際に加熱処理をおこなうことで、電極形成後に熱処理
を行うのと同等の効果が得られた。
【0061】同様の実験を熱処理の温度を変化させて行
った結果、200℃以上の熱処理で効果があることがわ
かった。
【0062】なお、本実施例では、電極をスパッタ法で
成膜したが、蒸着法及びCVD法でも、同様の効果が得ら
れた。
【0063】(実施例6)以下、熱処理を還元雰囲気で
行った場合についての実施例を、比較例を用いて説明す
る。
【0064】圧電材料として、xPbTiO3−yPb
ZrO3−(1-x-y)Pb(Mg1/3Nb2/3)O3で示さ
れる材料を使用して実験を行った。本材料は、ジャーナ
ル・オブ・セラミック・ソサイエティ、48巻、12
号、630頁〜635頁(J. American Ceramic Societ
y Vol.48, No.12, p630〜p635)に掲載されている。1
−x−yをzで表すと、この材料は(x,y,z)=
(0.4375,0.125,0.4375)で示される3重点付近で大
きな圧電特性をもつ圧電材料であり、(x,y,z)の
組成を変えることで様々な特性の圧電材料を得ることが
可能である。
【0065】これら組成のうち、3重点付近の誘電率が
4000を示す材料(材料Aとする)の仮焼成粉末を作
製した。
【0066】この仮焼成粉末100gとポリビニルブチ
ラール7gとジブチルフタル酸3gを、酢酸ブチル40
g、ブチルセルソルブ10gの混合溶剤中に投入し、ボ
ールミルにて48h攪拌を行いスリップを作製した。こ
のスリップを用いてドクターコート法によりグリーンシ
ートを作製した。
【0067】材料Aのグリーンシートを所定の大きさに
打ち抜き、焼成後φ10mm、膜厚50μmになるよう
に薄板圧電素子を焼成した。
【0068】次に、電極として銀スパッタ電極を薄板圧
電素子の両面に膜厚2μmになるようにスパッタし、分
極、特性評価(Kp、誘電率)を行った。
【0069】さらにこれらの素子を、圧電振動子として
金属からなる振動板に接着剤により貼り付け、図2に示
すような圧電発音体を作製した。図2において21は圧
電材料、22は金属電極を示し、圧電振動子は、これら
圧電材料21及び金属電極22からなる。
【0070】また、23は接着剤、24は振動板、25
は共鳴筐体、26は発音孔を示す。
【0071】この圧電発音体の初期音圧を測定した後、
−40℃、+85℃、100サイクルの熱衝撃試験を行
い、熱衝撃試験後の音圧を測定した。
【0072】次に上記と同様に薄板圧電素子を作製し、
分極評価を行う前に300℃0.5hの熱処理を大気中
で行った。熱処理後、薄板圧電素子の分極を行い圧電振
動子として、圧電発音体を作製し、上記と同様の熱衝撃
試験による信頼性試験を実施した。
【0073】次に上記と同様に薄板圧電素子を作製し、
分極評価を行う前に300℃0.5hの熱処理を窒素雰
囲気中で行った。熱処理後、薄板圧電素子の分極を行い
圧電振動子として、圧電発音体を作製し、上記と同様の
熱衝撃試験による信頼性試験を実施した。
【0074】次に上記と同様に薄板圧電素子を作製し、
分極評価を行う前に300℃0.5hの熱処理を真空雰
囲気中で行った。熱処理後、薄板圧電素子の分極を行い
圧電振動子として、圧電発音体を作製し、上記と同様の
熱衝撃試験による信頼性試験を実施した。
【0075】以上の結果を(表5)にまとめて示す。
【0076】
【表5】
【0077】(表5)より、金属電極に熱処理を行うこ
とで熱衝撃試験前後の特性劣化を防止できることがわか
った。
【0078】また、熱処理を還元雰囲気で行うことで、
金属電極の酸化による変色を防止することが容易に可能
であることがわかる。
【0079】(表5)において、金属の酸化により変色
した電極を用いた圧電発音体は、熱衝撃試験前後の特性
劣化がおきやすい。劣化した圧電発音体を解析したとこ
ろ、圧電特性の劣化によるものではなく図2のなかで、
圧電振動子と振動板24とのはがれによるものとわかっ
た。すなわち酸化した金属電極22は振動板24との接
着強度が弱くなっており熱衝撃試験により一部がはく離
してしまう。
【0080】(表5)に示すように、窒素雰囲気や真空
のような還元雰囲気で熱処理を行った場合は、電極の変
色を防止するだけでなくデバイス化する際の接着強度に
対しても効果があり、高い信頼性が得られることがわか
った。
【0081】同様の実験を熱処理の温度、雰囲気を変化
させて行った結果、200℃以上の熱処理でも同様の結
果が得られた。また、水素ガスやアルゴンガスを用いた
場合でも同様の効果があることがわかった。
【0082】なお、本実施例では、電極をスパッタ法で
成膜したが、蒸着法及びCVD法でも、同様の効果が得ら
れた。
【0083】本発明は上記各実施例に記述した金属材
料、熱処理条件(雰囲気、温度、時間など)に限定され
るものではない。また、本発明は、圧電発音体だけでな
く、より小型化薄板化が要望される電子部品のすべてに
応用が可能である。たとえば、素子を積層して用いるデ
バイス(加速度検出器用、セラミックフィルタの圧電素
子など)の場合でも、誘電率4000以上の高圧電材料
を用い一層の膜厚が200μm以下となる場合には同様
の効果が得られることはいうまでもない。
【0084】
【発明の効果】本発明によれば、誘電率4000以上の
強誘電体複合酸化物を用い200μm以下の薄板圧電素
子の電極として、蒸着法またはスパッタ法により電極を
形成することで、圧電素子の特性が大きく向上する。ま
た、電極の接着強度については、電極材料に熱処理を施
すことで、電極の接着性が向上し、素子およびデバイス
の急激な温度変化に対する信頼性が大きく向上する。ま
た、この熱処理を行う際に、還元雰囲気で熱処理を行う
ことで、金属電極の酸化を防止するとともに圧電振動子
をデバイス化する場合の接着強度をさらに向上すること
ができる。また、電極構成を積層にし下地電極としてク
ロム、チタン、ニッケルなどを設けることでも同様の信
頼性向上の効果を得ることが可能であり、小型化、信頼
性の向上、特性の向上といったデバイスの要望を容易に
満たすことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明第1の実施例における圧電素子の断面図
【図2】本発明第6の実施例における圧電発音体の概念
【符号の説明】
1 圧電材料 2 第1の電極 3 第2の電極 21 圧電材料 22 金属電極 23 接着剤 24 振動板 25 共鳴筐体 26 発音孔
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // C23C 14/08 C04B 35/49 R (72)発明者 武子 太司 神奈川県横浜市港北区綱島東4丁目3番1 号 松下通信工業株式会社内 Fターム(参考) 4G030 AA07 AA16 AA17 AA20 AA40 BA10 CA08 GA20 4G031 AA03 AA11 AA12 AA14 AA32 BA10 CA08 GA06 4K029 BA04 CA05 GA01 5D004 AA01 AA07 AA13 BB01 BB04 CC01 DD01 DD03 FF04 FF06 GG00 5J108 AA08 BB08 CC02 FF04 FF05 KK01 KK02

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一対の電極と、誘電率4000以上の強
    誘電体複合酸化物を含む圧電材料を有する薄板圧電素子
    であって、前記電極が金属からなることを特徴とする薄
    板圧電素子。
  2. 【請求項2】 薄板圧電素子の厚さが200μm以下で
    あることを特徴とする請求項1記載の薄板圧電素子。
  3. 【請求項3】 電極が、スパッタ法、蒸着法又はCVD
    法により形成されることを特徴とする請求項1又は2記
    載の薄板圧電素子。
  4. 【請求項4】 電極に200℃以上の熱処理を行うこと
    を特徴とする請求項1ないし3のいずれか記載の薄板圧
    電素子。
  5. 【請求項5】 熱処理を還元雰囲気で行うことを特徴と
    する請求項4記載の薄板圧電素子。
  6. 【請求項6】 電極が、少なくとも2層以上の積層構造
    をもつことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか記
    載の薄板圧電素子。
  7. 【請求項7】 積層構造をもつ電極のうち圧電材料と接
    する層がクロム、チタン又はニッケルの少なくとも一つ
    を含むことを特徴とする請求項6記載の薄板圧電素子。
  8. 【請求項8】 圧電材料と接する層の膜厚が100nm
    以下であることを特徴とする請求項7記載の薄板圧電素
    子。
  9. 【請求項9】 電極の膜厚が圧電材料の膜厚に対して1
    /5以下であることを特徴とする請求項1ないし8のい
    ずれか記載の薄板圧電素子。
  10. 【請求項10】 電極を形成する際に、圧電材料を20
    0℃以上に加熱しながら電極形成することを特徴とする
    請求項1ないし9のいずれか記載の薄板圧電素子。
  11. 【請求項11】 請求項1ないし10のいずれか記載の
    薄板圧電素子を用いたことを特徴とする圧電振動子。
  12. 【請求項12】 請求項11記載の圧電振動子を用いた
    ことを特徴とする圧電発音体。
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