JP2000307164A - 薄板圧電素子、それを用いた圧電音響素子、圧電振動子、圧電アクチュエータ、圧電トランス及びそれを用いた冷陰極蛍光灯駆動回路 - Google Patents

薄板圧電素子、それを用いた圧電音響素子、圧電振動子、圧電アクチュエータ、圧電トランス及びそれを用いた冷陰極蛍光灯駆動回路

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JP2000307164A
JP2000307164A JP11113279A JP11327999A JP2000307164A JP 2000307164 A JP2000307164 A JP 2000307164A JP 11113279 A JP11113279 A JP 11113279A JP 11327999 A JP11327999 A JP 11327999A JP 2000307164 A JP2000307164 A JP 2000307164A
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thin
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thickness
young
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English (en)
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Jun Kuwata
純 桑田
Atsushi Omote
篤志 表
Hiroko Imamura
浩子 今村
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Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高性能圧電材料を薄板化して圧電振動子、圧
電アクチュエータ等の電気機械変換素子を製造する際に
その圧電的性質の電極材料・構成による劣化を防ぐ圧電
材料の厚みと電極材料の厚みの最適構成を提供すること
を目的とする。 【解決手段】 200μm以下の薄板状に形成された圧電
材料の両面に電極材料が設けられた薄板圧電素子におい
て、それを構成する電極材料の弾性率の2乗と厚みの積
が圧電材料の弾性率の2乗と厚みの積の0.0516倍
以下であることを特徴とした薄板圧電素子。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、携帯用電話、コン
ピュータ、電子機器、家電製品等の発音源あるいは圧電
振動子や圧電アクチュエータ・圧電トランスに用いられ
る薄板圧電素子に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、圧電材料を用いた圧電スピーカ、
レシーバあるいはマイクは、携帯電話やコンピュータの
音声入出力装置として見直されてきている。特に携帯用
として小型化、高感度化した圧電振動子への要望が強く
なっている。このとき問題となるのが、1)圧電特性と
2)信頼性である。そのため、ペロブスカイト構造を有
する酸化物強誘電体のセラミックスに着眼した新材料の
探索と添加物による改善が多数行われている。
【0003】また、さらに電気機械変換型圧電フィルタ
で特に横振動姿態あるいは横滑り振動姿態を用いたもの
は、その帯域特性は、電極材料構成と圧電材料の構成で
特性が変化することが知られている。また、圧電素子を
電気機械変換素子として用いている圧電アクチュエータ
や変圧器として用いるいわゆる圧電トランスにおいても
電極構成が重要である。
【0004】例えば、圧電バイモルフ型アクチュエータ
に関する特許(特開平5−218517号公報)では、
電極板の厚みt2と圧電板の厚みt1の比t2/t1
が、それらのヤング率の比E2/E1の0.5〜1.1
倍に設定することにより変位量が増すことを示されてい
る。
【0005】ところが、この構成では片側の電極のこと
しか考慮していない。
【0006】一方、電気機械変換係数が大きく誘電率も
大きい材料は、弾性変形しやすいことから電極材料構成
によりそれらの性質が大きく変化する。
【0007】またさらに、小さな印加電圧で圧電素子の
横方向・径方向の変位量を大きくすることを目的とし
て、圧電材料の電極間距離を短くする。すなわち、圧電
材料を薄くすることによりデバイスとしての性能を向上
する方法も検討されている。これを目的として、50μ
m以下の薄板圧電セラミックスの焼成が行われている。
【0008】しかし、圧電材料を薄板化していくと、圧
電定数の大きい材料の場合、電極材料の弾性的性質も無
視できなくなり、圧電材料自体の性能が充分発揮されな
くなる。
【0009】さらに、従来から圧電素子に用いられてい
る銀ペーストによる焼付け銀電極は、その成分として誘
電率10以下のガラス成分を含んでいる。圧電素子の薄
板化が進むと電極内のガラス成分のもつ低い誘電率の影
響が無視できなくなり、圧電材料のもつ高い誘電率と比
較して、圧電素子にした場合に誘電率が2〜10%も低
下してしまう。
【0010】これを回避するために、スパッタや蒸着な
どによる薄膜金属電極(圧電材料)を使用すると圧電材
料の性能が引き出せる反面、圧電材料との接着力が焼付
け銀電極と比較すると極端に弱く、熱衝撃試験・加振試
験などの接着強度を要因とする信頼性の課題があった。
【0011】このようにデバイスの小型化、高感度化を
目的とした圧電素子の特性向上や圧電材料の薄膜化の検
討において、薄板圧電素子の高感度化とデバイスの高信
頼性を両立するという要望に応えられなくなってきてい
る現状がある。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】近年、薄板圧電素子を
応用した製品における圧電特性の向上の要望は多く、材
料の性能を十分引き出さなければならなくなってきてい
る。これら素子特性向上と同時に従来と同等またはそれ
以上の信頼性をデバイス設計から要望されている。
【0013】この発明は、圧電材料の性能が損なわれな
いための電極構成を得ようとするものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】この課題を解決するため
に本発明は、200μm以下の薄板状の圧電材料の両面に
金属電極が設けられた薄板圧電素子において、それを構
成する金属電極のヤング率の2乗と厚みの積が圧電材料
のヤング率の2乗と厚みの積の0.0516倍以下であ
ることを特徴とし、高誘電率、高圧電定数を有する材料
組成を利用する場合や、素子薄板化により良好なデバイ
ス特性を持たせたデバイスの信頼性向上が容易に可能と
なる。
【0015】
【発明の実施の形態】請求項1記載の薄板圧電素子は、
200μm以下の薄板状の圧電材料の両面に電極材料が設
けられた薄板圧電素子において、それを構成する電極材
料のヤング率の2乗と厚みの積が圧電材料のヤング率の
2乗と厚みの積の0.0516倍以下であることを特徴
とする。
【0016】請求項2記載の薄板圧電素子は、請求項1
記載の圧電材料が強誘電体複合酸化物であることを特徴
とする。
【0017】請求項3記載の圧電材料は、請求項1、2
記載の電極材料のヤング率の2乗と厚みの積が1.72×10
16(Pa2・m)以下であることを特徴とする薄板圧電素
子。
【0018】請求項4記載の薄板圧電素子は、 請求項
1、2、3記載の電極材料がクロム、ニッケル、チタ
ン、アルミニウム、金、銀、銅の中から少なくともひと
つ以上含まれていることを特徴とする。
【0019】請求項5記載の薄板圧電素子は、請求項
1、2記載の圧電材料においてヤング率の2乗と厚みの
積が2×1018(Pa2・m)以下であることを特徴とする。
【0020】請求項6記載の薄板圧電素子は、 請求項
1、2記載の薄板圧電素子において、振動姿態が厚み横
振動姿態であることを特徴とする。
【0021】請求項7記載の薄板圧電素子は、請求項1
記載の薄板圧電素子が円板状であり、その径方向振動を
用いたことを特徴とする。
【0022】請求項8記載の薄板圧電素子は、請求項1
記載の薄板圧電素子が所望の任意形状であり、その横振
動姿態を主体として用いたことを特徴とする。
【0023】請求項9記載のたわみ振動型薄板圧電素子
は、 請求項1、2記載の薄板圧電素子において、片側
の面を振動板と接合したことを特徴とする。
【0024】請求項10記載の圧電振動子は、請求項1
〜9記載の薄板圧電素子を用いたことを特徴とする。
【0025】請求項11記載の圧電音響素子は、請求項
10記載の圧電振動子を用いたことを特徴とする。
【0026】請求項12記載の圧電アクチュエータは、
請求項10記載の圧電振動子を用いたことを特徴とす
る。
【0027】請求項13記載の圧電トランスは、請求項
10記載の圧電振動子を用いたことを特徴とする。
【0028】請求項14記載の冷陰極蛍光灯駆動回路
は、請求項13記載の圧電トランスを用いたことを特徴
とする。以下、この発明の実施例について図面を参照し
ながら説明する。
【0029】図1はこの発明の実施例における薄板圧電
素子の概略図である。薄板状の圧電材料1に対して電圧
を印加するための複数の電極材料7で構成されている。
この時、圧電材料1の厚みをtpとし、ヤング率をYp
とする。一方、電極材料の厚みをtmとし、そのヤング
率をYmとする。
【0030】図2は本発明にかかる薄板圧電素子におけ
る圧電的性質である圧電定数の電極構成依存性を示して
いる。電極材料7の膜厚を変えると圧電定数が変化し電
極の膜厚がある値以上になると特性が劣化することがわ
かる。
【0031】また、注目すべき点はある膜厚で圧電材料
1が束縛なしの状態より大きな圧電定数を示す最大値を
持っていることである。この関係は、電極材料7の弾性
的性質と圧電材料1の弾性的性質との相対的比較により
決定でき、本発明に従えば、圧電材料1と電極材料7そ
れぞれの性質を知ることにより圧電材料1の圧電的性質
を劣化させない電極構成を決定できる。
【0032】ここで、圧電材料1と電極材料7との構成
を弾性的性質と厚みとの関係から決定するまでの導出手
順の一例を示す。
【0033】通常の高い電気機械結合係数を示す圧電材
料のヤング率は60GPa〜140GPa程度なのでその膜厚が40
μmとした時に、変位量を一定にするための外力(印加
電圧によって生じる力)Fpは、Fp=Yp×tp×w×
歪である。
【0034】ここで、Ypは圧電材料のヤング率、tp
は膜厚、wは素子の幅である。いま、電極面内の変位量
であるw×歪を一定にするためにはYp×tpが電極材
料のYm×tmより充分大きい必要がある。
【0035】すなわち、例えば厚み40μmの圧電材料
のYp×tpの値は2.4〜5.6(MPa・m)とな
る。
【0036】一方電極材料として銀を選択した場合はそ
のヤング率が83GPaである。この構成においてこの圧電
材料の特性が維持できるのは、Fpにより電極が容易に
変形できる厚み以下になっていることである。
【0037】すなわち、tm≦β・tp・(Yp/Ym)α
なる式においてαが1の場合であるので、銀の場合のt
mは実験結果より2〜3μm以下となる。
【0038】図2に示した圧電材料のヤング率は100
GPaなのでYp×tpは4MPa・mとなり、βは0.
04〜0.06以下でその特性が維持されることにな
る。
【0039】次に、電極材料7を銅、金、クロム、ニッ
ケル、チタン、アルミ、鉄、銀について圧電材料の圧電
特性と誘電特性を損なわない値について上記の関係から
算出した結果を示す。
【0040】銅の場合はヤング率が130GPaなのでtmは
1.5±0.3μm以下となる。
【0041】金の場合はヤング率が78GPaなのでtmは
2.56±0.51μm以下となる。
【0042】クロムの場合はヤング率が279GPaなのでt
mは0.72±0.14μm以下となる。ニッケルの場
合はヤング率が200GPaなのでtmは1.00±0.2μ
m以下となる。チタンの場合はヤング率が116GPaなので
tmは1.72±0.34μm以下となる。
【0043】アルミの場合はヤング率が70GPaなのでt
mは2.86±0.57μm以下となる。
【0044】鉄の場合はヤング率が210GPaなのでtmは
0.95±0.19μm以下となる。
【0045】銀の場合はヤング率が83GPaなのでtmは
2.41±0.48μm以下となる。
【0046】ここで、図2に示した実際に圧電素子を作
製した圧電素子の性能と比較したところヤング率が150G
Pa以上の色々な金属材料を電極に用いた場合では、その
膜厚が上記の値に達しない内に圧電特性が劣化してしま
っている。
【0047】従って、αが1ではないことが判明した。
すなわち、薄板状の圧電素子の場合は特開平5−218
517号公報に記載されたような効果は一部の構成にし
か適応できないことがわかった。
【0048】そこで、本発明では電極膜厚を増やすと圧
電材料の誘電率が減少することに着目した。すなわち、
圧電材料の変形が電極によって拘束され誘電率が減少し
てしまうことである。これは、圧電性能にとって2重の
劣化原因となり、金属材料のヤング率と厚みの積はさら
に小さくしなければならなくなる。そこで本発明では、
電極の厚みtmを次式で表せることを示す。
【0049】tm≦γ・tp・(Yp/Ym)α ここで、α=2、γは実験事実から決定した定数で0.
043±0.0086となった。ここで、γが一定の値
にならないのは圧電材料の分極状態による弾性的性質の
バラツキに起因している。
【0050】従って、実際に圧電素子を作製する場合は
本発明にかかる圧電構成で素子を作製し、その最適値を
決定することが望ましい。
【0051】すなわち、前述のヤング率が100GPaで
厚みが40μmの圧電材料に対する電極構成に関して各
金属のヤング率を用いて計算すると銀の場合は2.5±
0.5μm、金では2.83±0.57μm、チタンで
は1.27±0.25μm、ニッケルでは0.43±
0.09μm、クロムでは0.22±0.04μm、ア
ルミでは3.5±0.7μm、銅では1.02±0.2
μm、白金では0.61±0.12μm、鉄では0.3
9±0.08μm、銅亜鉛鋼では1.56±0.31μ
mとなる。
【0052】これらの結果は、実際と良く一致してお
り、圧電素子を設計する際に大変有用であることが確認
された。また、圧電材料のヤング率が60〜140GP
aの間の材料に関しても本発明にかかる薄板圧電素子構
成が適用できた。
【0053】これから薄板状の圧電材料の電極構成が簡
便に決定することが可能となる。
【0054】本発明にかかる薄板圧電素子の外形を短冊
状にすると厚み横振動姿態を用いた振動子となり、また
円板状にすると径方向振動姿態の圧電振動子となる。
【0055】さらに、電極面の形状を任意の形状、例え
ば十文字形状や三角形や楕円形等にした場合でも本発明
の圧電材料と電極材料の構成を用いることにより電気機
械変換効率が向上した。
【0056】また、本発明の薄板圧電素子の電極面の片
側を振動板(弾性体)と接続することにより変位量が大
きなたわみ振動型圧電素子ができた。
【0057】次に、本発明にかかる圧電材料と電極構成
を用いた応用例を図を用いて示す。
【0058】図3は、本発明にかかる薄板圧電素子を円
形の圧電音響素子として用いた場合の一例である。本発
明にかかる圧電音響素子は、200μm厚以下の圧電材
料1と金属電極(電極材料)2,3よりなる薄板圧電素
子を振動板5に接着し、それを発音孔、目メッシュ状背
面孔を有する共鳴筐体に装着した構成になっている。
【0059】従来は、金属電極2,3として3μm以上
の溶融ガラスが含有された焼き付け銀を用いていたのに
対して銀の蒸着膜あるいはスパッタ膜で2μm以下にす
ることにより1Vの交流電圧を印加したところ従来に対
して5dB音圧が向上した。
【0060】また、この時の径方向の電気機械結合係数
kpは5%程度向上し、誘電率も10%向上した。ま
た、付加的な効果として分極処理を行う際の分極処理電
圧が10%程度少なくて済むことも判明した。また、サ
イクル特性も改善された。
【0061】本発明の薄板圧電素子の電極構成は、上記
に示した金属材料のみならずそれらの合金に対しても適
用できる。
【0062】従って、薄板圧電素子の利用目的に合わ
せ、耐環境特性を重視した場合には、酸アルカリの腐食
に強い金属電極に対してもそのヤング率がわかれば、本
発明により必要以上の金属量を付けることなく高性能な
圧電素子を作製できるようになる。
【0063】上記のように、経済性向上、信頼性向上も
併せて本発明の効果となる。
【0064】図4は、本発明にかかる薄板圧電素子を圧
電トランスへ応用した場合の構成を表している。圧電材
料1の内部の分極方向が異なる励振部と発電部の2つの
部分から成り立っており、本発明にかかる薄板圧電素子
の電極部分が図中の金属電極(電極材料)2,3,4か
ら構成されている。
【0065】この場合でも本発明にかかる圧電材料1と
電極材料2との構成をヤング率と膜厚から設定して用い
ることによって安定性・性能が向上する。また、この素
子を液晶表示装置のバックライトとして用いられる冷陰
極蛍光灯駆動回路の昇圧トランスとして用いたところ発
光が安定し、始動性も良好であった。
【0066】またさらに図5に示した圧電材料1の両側
に金属電極(電極材料)2,3が設けられた圧電素子を
片側が支持部で支持された弾性板6に接着した圧電アク
チュエータにおいても本発明の薄板圧電素子の電極構成
が適用できることが確認された。ただし、この場合は、
弾性板6が変位量を決定しており、本発明にかかる電極
構成を用いたことによる増倍効果は見られなかった。と
ころが、弾性板6の材質と厚みを本発明にかかる薄板圧
電素子構成に変更したところ印加電圧に対する変位量が
5%から10%向上した。
【0067】次に、本発明に実施する際に用いられる圧
電材料の一例を示す。図6は本発明に用いられる高性能
の圧電材料の一つである強誘電性ペロブスカイト型酸化
物の相図である。ここで強誘電性ペロブスカイト型酸化
物(1)は、チタン酸鉛(化学式PbTiO3を以降P
Tと略す)とジルコン酸鉛(化学式PbZrO3を以降
PZと略す)とマグネシウムニオブ酸鉛(化学式Pb
(Mg1/3Nb2/3)O3を以降PMNと略す)の組成物
を強誘電性ペロブスカイト型複合酸化物として、所望の
圧電材料を得る。いわゆるPZT系はxPT−(1−
x)PZの組成式で表され、xが0.42から0.48
の範囲に正方晶系と菱面体晶系の相境界が存在する。こ
れにPMNを添加した三成分系の圧電材料は、xPT―
yPZ―(1―x―y)PMNの組成式で表され詳細に
研究されており(例えば、OUCHIらによるJ. American
Ceramic Society Vol.48 No.12の630ペー
ジ〜635ページ)、1−x−yをzで表すと図6の相
図に示すように(x,y,z)=(0.4375,0.125,0.4
375)で示される3重点付近で大きな圧電特性をもつ圧
電材料である。
【0068】以下の実施例では、この逐次相転移する強
誘電体でしかも使用温度領域において正方晶系となる組
成物を用いて実験を行った。
【0069】最初に相境界近傍の組成に相当する原料を
5種類配合し、800℃から1100℃で仮焼成を行っ
た後X線回折法による構造解析を行い、ペロブスカイト
構造であることを確認する。
【0070】この時、仮焼物は平均粒径が1ミクロン以
下に粉砕し、次に、1200から1300℃で最終整形
済みの焼結体を焼成した。焼成後薄板圧電セラミックス
は円板や短冊形状で膜厚を30〜200μmであった。
これに電極を付ける。電極材料は、焼き付け銀や金属を
スパッタ法あるいは電子ビーム法を用いて蒸着した。
【0071】その後に分極処理を行い、圧電特性を測定
した。この圧電材料のヤング率は60±10GPaで圧電材料
の膜厚を100μmにしたら、クロム電極の場合は電極膜
厚が200nm以下で圧電特性が劣化しないことが判明した
ので、本発明の圧電素子構成の設計手法が適用できた。
すなわち、クロム電極のヤング率が278GPaであるので
0.043×100×(60/278)2=0.2(μ
m)となり一致した。
【0072】また、ニッケル電極による実験では膜厚が
400nm以下となり、本発明では390nm±80nmとなり、良く
一致していた。
【0073】図7は冷陰極蛍光灯駆動回路の簡単なブロ
ック図である。構成は、制御ICとパワーMOSFET
と巻き線トランスと圧電トランスと冷陰極蛍光灯と電流
検出用のダイオードと抵抗と可変抵抗器から成り立って
おり、検出された電流値の一部を制御ICにフィードバ
ックして冷陰極蛍光灯に印可される電圧を制御する。
【0074】次に、本回路の動作原理について簡単に説
明する。最初、図中のVCO(電圧制御発振器)の発振
周波数は圧電トランスの共振周波数より高く設定されて
いる。この状態では、冷陰極蛍光灯を始動するのに必要
な高い電圧は得られない。VCOの出力信号は駆動回路
をへてパワーMOSFETをスイッチング動作させる。
【0075】この結果、このドレイン電圧は半波正弦波
形となる。冷陰極蛍光灯へ流れる電流は、抵抗とダイオ
ードで半波正弦波形状の電圧に変換され、可変抵抗器を
介して利得1のオペアンプへフィードバックされる。こ
のフィードバック信号が積分器に入ると積分器の出力電
圧が上昇し、VCOの発振周波数が下がるように制御す
る。圧電トランスの発振周波数が下がると徐々に圧電ト
ランスの共振周波数に近づき昇圧し始め、やがて冷陰極
蛍光灯が放電を開始する電圧に到達する。
【0076】冷陰極蛍光灯が一旦放電を開始するとイン
ピーダンスが下がり、それにより、圧電トランスの出力
電流が増え始める。これと同時に圧電トランスの出力電
圧は、昇圧比が低下すると下がる。
【0077】この時、積分器では出力電流設定用の輝度
設定電圧とフィードバック信号を併せて積分し、その和
がゼロになるように発振周波数を制御する。この和がゼ
ロになった時、冷陰極蛍光灯に流れる電流は設定値とな
り、VCOの発振周波数は安定する。上記の圧電トラン
スとして本発明の構成を用いると有用である。
【0078】
【発明の効果】以上のように、本発明の圧電材料と電極
材料との構成による薄板圧電素子を用いることにより、
従来の圧電音響素子の音圧を5dB以上向上する、圧電
特性は10%以上向上する、あるいは圧電アクチュエー
タでもその変位量が増加する、等の電気的入力信号に対
して機械的出力信号を増加させることができ、従来にな
い性能を持つ圧電素子が製造できる。また、この設計手
法により、200μm以下の薄い圧電素子のデバイス設計
の際に利用可能な電極材料の選定に有効である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態における薄板圧電素子基本
構成概念図
【図2】本発明の実施の形態における圧電材料の膜厚と
電極材料の膜厚の比と薄板圧電素子の圧電定数との関係
を示した図
【図3】本発明の実施の形態における圧電音響素子の構
成を示した図
【図4】本発明の実施の形態における圧電トランスの構
成を構成を示した図
【図5】本発明の実施の形態における圧電アクチュエー
タの構成を示した図
【図6】本発明の実施の形態における圧電材料に関する
相図
【図7】冷陰極蛍光灯駆動回路のブロック図
【符号の説明】
1 圧電材料 2 金属電極 3 金属電極 4 金属電極 5 振動板 6 弾性板 7 電極材料
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H04R 17/00 330 H01L 41/08 M A U (72)発明者 今村 浩子 神奈川県川崎市多摩区東三田3丁目10番1 号 松下技研株式会社内 Fターム(参考) 5D004 AA01 AA13 BB01 CC01 CC04 DD02 DD07 FF01 5D019 AA18 AA21 AA23 BB02 BB09 BB12 BB13 BB30 5J108 BB04 DD01 FF05 KK02

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 200μm以下の薄板状の圧電材料の両面
    に電極材料が設けられた薄板圧電素子において、それを
    構成する電極材料のヤング率の2乗と厚みの積が圧電材
    料のヤング率の2乗と厚みの積の0.0516倍以下で
    あることを特徴とした薄板圧電素子。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の圧電材料が強誘電体複合
    酸化物であることを特徴とする薄板圧電素子。
  3. 【請求項3】 請求項1または2記載の電極材料のヤン
    グ率の2乗と厚みの積が1.72×1016(Pa2・m)以下であ
    ることを特徴とする薄板圧電素子。
  4. 【請求項4】 請求項1乃至3記載の電極材料がクロ
    ム、ニッケル、チタン、アルミニウム、金、銀、銅の中
    から少なくともひとつ以上含まれていることを特徴とす
    る薄板圧電素子。
  5. 【請求項5】 請求項1または2記載の圧電材料におい
    てヤング率の2乗と厚みの積が2×1018(Pa2・m)以下
    であることを特徴とする薄板圧電素子
  6. 【請求項6】 請求項1または2記載の薄板圧電素子に
    おいて、振動姿態が厚み横振動姿態であることを特徴と
    する薄板圧電素子。
  7. 【請求項7】 請求項1記載の薄板圧電素子が円板状で
    あり、その径方向振動を用いたことを特徴とする薄板圧
    電素子。
  8. 【請求項8】 請求項1記載の薄板圧電素子が所望の任
    意形状であり、その横振動姿態を主体として用いたこと
    を特徴とする薄板圧電素子。
  9. 【請求項9】 請求項1または2記載の薄板圧電素子に
    おいて、片側の面を振動板と接合したことを特徴とする
    たわみ振動型薄板圧電素子。
  10. 【請求項10】請求項1乃至9記載の薄板圧電素子を用
    いたことを特徴とする圧電振動子。
  11. 【請求項11】 請求項10記載の圧電振動子を用いた
    ことを特徴とする圧電音響素子。
  12. 【請求項12】 請求項10記載の圧電振動子を用いた
    ことを特徴とする圧電アクチュエータ。
  13. 【請求項13】 請求項10記載の圧電振動子を用いた
    ことを特徴とする圧電トランス。
  14. 【請求項14】 請求項13記載の圧電トランスを用い
    たことを特徴とする冷陰極蛍光灯駆動回路。
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