JP2001055646A - 光拡散用ガラス繊維シート及びそれを用いた照明装置 - Google Patents
光拡散用ガラス繊維シート及びそれを用いた照明装置Info
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Abstract
上されて、均一かつ明るい照明を実現することが可能な
光拡散用ガラス繊維シート、及びそれを用いた照明装置
を提供する。 【解決手段】 ガラス繊維織物20、及びその一方の面
に形成されたフッ素樹脂層30からなる光拡散用ガラス
繊維シート10について、ガラス繊維織物20の1m2
当たりの質量または厚さ等を好適に設定することによっ
て全光線透過率を50%以上とすると同時に、ガラス繊
維織物20の通気度等を好適に設定することによって平
行光線透過率を5%以下とする。これによって、光透過
性及び光拡散性がともに高い値とされた光拡散用ガラス
繊維シートが得られる。
Description
の光を均一に拡散させる光拡散用ガラス繊維シート、及
びそれを用いた照明装置に関するものである。
においては、一般に、その発光面において輝度が充分に
高いこと、及び輝度分布が発光面全体に充分に均一であ
ることが求められる。そのような発光面としては、光源
からの光を拡散させる光拡散シートが用いられる。
えばアクリル樹脂シートなどの樹脂シートや、艶消しガ
ラスなどが一般に用いられている。さらに、ガラス繊維
織物を基布として用いたガラス繊維シートについても、
このような光拡散シートへの利用がすすめられている。
光拡散用ガラス繊維シートに関する文献としては例え
ば、特開平8−195114号公報、特開平8−259
637号公報、特開平8−290528号公報、特開平
8−306215号公報がある。
よって均一な光照射を実現する照明装置に対して、その
大型化・大面積化及び軽量化の要求が増してきている。
例えば、絵画等の展示を行う展示室などに用いる照明装
置では、各展示品に均一に光を当てる必要がある。この
場合、天井面の広範囲から均一に光が照射されることが
好ましく、したがって、充分な照明の均一性を有すると
ともに大面積の照明装置が望まれる。このような照明装
置を用いた場合、蛍光灯などの光源の形状・位置が視認
されずに光拡散シートからなる発光面全体から照明光が
出射されるために照明が柔らかく、様々な施設・用途に
おいて、上記した均一照明で大面積の照明装置が望まれ
ている。
消しガラスからなる光拡散シートではいずれも、大面積
化と、軽量化に必要な薄型化とを両立させることがシー
トの強度やその作製工程等の面から困難である。また、
樹脂シートを用いた場合には、可燃材であるために防火
上の問題から法規制によって充分に大面積化して天井面
に用いることができない。
拡散シートは、高い光拡散性を有すると同時に、素材の
柔軟性・耐久性などの特質から大面積化と軽量・薄型化
とを両立することが可能である。また、ガラス繊維基布
の表面に不燃透光性樹脂をコーティングしたガラス繊維
シートとすることによって、不燃性・防汚性に優れた光
拡散シートとなることが、上記の文献に記載されてい
る。
シートでは、照明装置において必要とされる照明性能が
充分に得られていない、という問題がある。すなわち、
上記の照明装置において必要とされる高輝度、及び輝度
分布の均一性は、光拡散用ガラス繊維シートの光透過
性、及び光拡散性にそれぞれ対応している。これら2つ
の光透過特性について、高い光拡散性を得て照明の均一
性を確保するため、もう一方の光透過性が充分には高く
設定・確保されていない、という問題があった。
示された光源光拡散用透光材においては透過率50%弱
とされており、また、光拡散性については具体的な検討
はなされていない。また、特開平8−259637号公
報、及び特開平8−290528号公報に記載されたガ
ラス繊維シートにおいても、全光線透過率は38〜45
%程度である。また、特開平8−306215号公報に
記載されたガラス繊維シートはその機械的特性等を改善
するものであり、光透過性及び光拡散性についての検討
は具体的にはなされていない。
トにおいては、その構造・機械的特性や、不燃性・防汚
性などについては改善が行われているものの、光透過特
性・照明特性に関して、輝度分布を均一化させるために
充分な光拡散性を有するという条件の下において、同時
にその光透過性を最適化し向上・改善させる構成の検討
・開発が充分でなかった。
ものであり、高い光拡散性を有すると同時に光透過性が
向上されて、均一かつ明るい照明を実現することが可能
な光拡散用ガラス繊維シート、及びそれを用いた照明装
置を提供することを目的とする。
目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、光透過性
の指標として全光線透過率を、また、光拡散性の指標と
して平行光線透過率をそれぞれ用いることによって、そ
れらの特性を確実に評価・制御して光透過特性を最適化
することが可能であることを見出し、特にそれらの各透
過率が、ガラス繊維シートに基布として用いるガラス繊
維織物の構成によって相互に相関しつつ大きく変化する
という知見を得た。さらに、そのガラス繊維織物の構成
による両透過率の変化及び相関について実験と検討を行
った結果、光拡散性を充分に高くした構成において、同
時に光透過性を向上させるガラス繊維シートを構成する
ことができるガラス繊維織物の作成・実現が可能である
ことを見出し、本発明に到達した。
維シートは、ガラス繊維織物を基布として構成され、入
射した光を所定の光透過特性で透過・拡散させるガラス
繊維シートであって、光透過特性は、全光線透過率が5
0%以上であるとともに、平行光線透過率が5%以下と
なるように形成されていることを特徴とする。
率はJISK7105において規定されている試験・計
算方法による。このうち、全光線透過率は入射された光
のうち試料の反対側まで透過される光量の割合を示す。
これは光拡散シートでの光透過性の指標となり、この数
値が大きいほど光透過性が高い。また、平行光線透過率
は全光線透過率と拡散透過率との差に相当し、入射され
た光のうち試料で拡散されずに入射光と平行な向きに透
過される光量の割合を示す。これは光拡散シートでの光
拡散性の指標となり、この数値が小さいほど光拡散性が
高い。
過率は透過光がすべて拡散された場合に個々のガラス繊
維シートの構成に依存する全光線透過率と一致する量で
あるため、その好適な数値範囲はシートによってそれぞ
れ異なるものとなってしまう。これに対して、平行光線
透過率は透過光がすべて拡散された場合には0%となる
量である。したがって、その値を光拡散性の指標として
用い、特にその上限値を設定することによって、任意の
ガラス繊維シートに対して好適な光拡散性を実現するこ
とが可能である。
維シートの平行光線透過率を5%以下として高い光拡散
性を保った条件において、ガラス繊維シートの構成、特
に基布であるガラス繊維織物の構成を最適化することに
よって、全光線透過率が50%以上と高い光透過性を有
する光拡散用のガラス繊維シートを作成することが可能
なことを見出したものである。すなわち、上記した構成
の光拡散用ガラス繊維シートによって、高い光拡散性を
有すると同時に従来充分でなかった光透過性が向上され
て、均一かつ明るい照明を実現することが可能なガラス
繊維シートによる光拡散シートが実現される。
用ガラス繊維シートの構成は、基布であるガラス繊維織
物が、その質量が150g/m2以下であるとともに、
通気度が20cm3/cm2/s以下であることを特徴と
する。
の上記した2つの構成条件は、例えば、ガラス繊維織物
の1m2当たりの質量、及び通気度を設定・最適化する
ことによって達成することができる。ここで、ガラス繊
維織物についての1m2当たりの質量、通気度、及び後
述する厚さは、JISR3420において規定されてい
る試験・計算方法による。
位面積当たりでのガラス物質量に相当するから、光透過
特性のうち全光線透過率と密接に関連し、この1m2当
たりの質量を減少させることによって全光線透過率は増
大する。また、ガラス繊維織物の通気度は所定の圧力を
かけたときに通過する空気量を示すものであり、ガラス
繊維間の隙間形状やその面積割合等によって決まる量で
あるから、光透過特性のうち平行光線透過率と密接に関
連し、この通気度を減少させることによって平行光線透
過率は減少する。
の質量の上限値を150g/m2に設定することによっ
て全光線透過率が50%以上となる光透過性が得られ
る。同時に、通気度の上限値を20cm3/cm2/sに
設定することによって平行光線透過率が5%以下となる
光拡散性が得られ、光透過性及び光拡散性がともに向上
されたガラス繊維シートが実現される。
成は、基布であるガラス繊維織物が、その厚さが95μ
m以下であるとともに、通気度が20cm3/cm2/s
以下であることを特徴とする。
の上記した2つの構成条件は、ガラス繊維織物の厚さ、
及び通気度を設定・最適化することによっても達成する
ことができる。
量と同様に単位面積当たりのガラス量に対応するもので
あるから、光透過特性のうち全光線透過率と密接に関連
し、この厚さを減少させることによって全光線透過率は
増大する。また、通気度については上述した通りであ
る。
を95μmに設定することによって全光線透過率が50
%以上となる光透過性が得られる。同時に、通気度の上
限値を20cm3/cm2/sに設定することによって平
行光線透過率が5%以下となる光拡散性が得られ、1m
2当たりの質量及び通気度によってガラス繊維織物の構
成を規定した場合と同様に、光透過性及び光拡散性がと
もに向上されたガラス繊維シートが実現される。
2当たりの質量については、80g/m2以上110g/
m2以下であることがさらに好ましい。また、厚さにつ
いては、80μm以上90μm以下であることがさらに
好ましい。また、通気度については、15cm3/cm2
/s以下であることがさらに好ましい。
れていることを特徴としても良い。開繊処理とは、一般
に繊維を開かせる(ばらけさせる)処理である。例え
ば、複数のガラスフィラメントからなるガラス繊維に開
繊処理を施すことによって、そのフィラメント同士をば
らけさせた場合、ガラス繊維の占める容積または面積を
増大させることによって、厚さを薄くさせて全光線透過
率を向上させると同時に、通気度を減少させて平行光線
透過率をさらに低減することができる。
面側に、樹脂被膜層がさらに形成されていることを特徴
としても良い。ガラス繊維織物の面上に樹脂被膜層を設
けることによっても、さらにガラス繊維シートによる光
透過性や光拡散性の制御・調整が可能である。
リコーン樹脂から形成されていることが好ましい。これ
らの樹脂を用いた樹脂被膜層によれば、ガラス繊維シー
トの光透過性及び光拡散性を制御すると同時に、その不
燃性及び防汚性をも向上させることができる。
光拡散用ガラス繊維シートを用いた照明装置であって、
照明に用いられる光を発生させる光源と、光拡散用ガラ
ス繊維シートを所定の支持枠に固定してなり、光源を覆
うように設置される光拡散用カバーと、を備え、光源か
らの光が、光拡散用カバーの光拡散用ガラス繊維シート
によって透過・拡散されて出射されることを特徴とす
る。
た上記のガラス繊維シートを光拡散シートとして用い、
照明装置の形状等に合わせた支持枠に固定し光拡散シー
ト面を形成して発光面とする光拡散用カバーを構成する
ことによって、光源が視認されないように照明光が透過
・拡散されて、高輝度で明るく、かつ発光面での輝度分
布が均一な照明装置を実現することができる。
拡散用ガラス繊維シート及びそれを用いた照明装置の好
適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説
明においては同一要素には同一符号を付し、重複する説
明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明のものと
必ずしも一致していない。
シートの一実施形態の構成を、その一部を切り出して模
式的に示す拡大斜視図である。この光拡散用ガラス繊維
シート10は、ガラス繊維織物20、及び樹脂被膜層で
あるフッ素樹脂層30から構成されている。
用いられているガラス繊維織物20は、織布方法を平織
りとして作成されており、ガラス繊維である経糸21及
び緯糸22を図示のように互いに織り合わせることによ
って構成されている。また、本実施形態においては、ガ
ラス繊維シート10の不燃性・防汚性等を向上させるた
めに、フッ素樹脂層30がガラス繊維織物20の一方の
面(図1中の下面)側に形成されている。
を、その全光線透過率が50%以上、平行光線透過率が
5%以下となるように構成することによって、光透過性
及び光拡散性がともに向上・両立された光拡散シートと
して適用が可能な光拡散用ガラス繊維シートが得られ
る。これらの特性値は、特に以下に述べるように、基布
であるガラス繊維織物20の構成を調整し、好適な条件
を選択することによって実現することが可能である。
たときに光源から見て単位面積当たりに存在するガラス
物質量などの条件によって値が変化する。その値を上記
した50%以上として高い光透過性を実現する構成条件
としては、例えば、ガラス繊維織物20の1m2当たり
の質量を150g/m2以下とすることが好ましく、特
に、80g/m2以上110g/m2以下とすることが他
の特性との関係等からさらに好ましい。あるいは、厚さ
を95μm以下とすることが好ましく、特に、80μm
以上90μm以下とすることがさらに好ましい。1m2
当たりの質量または厚さは上記したガラス分量に対応し
ており、そのいずれかについて上記した数値条件を満た
す構成とすることによって、50%以上の高い光透過性
を得ることができる。
見て単位面積当たりのガラス繊維間の隙間の割合などの
条件によって値が変化する。その値を上記した5%以下
として高い光拡散性を実現する構成条件としては、例え
ば、ガラス繊維織物20の通気度を20cm3/cm2/
s以下とすることが好ましく、特に、15cm3/cm2
/s以下とすることがさらに好ましい。
平行光線透過率・光拡散性との相関について説明する。
をかけたときに通過する空気量であり(JISR342
0参照)、ガラス繊維間の隙間形状や面積割合等に関係
するものである。例えば、図1においてガラス繊維織物
20の上方からの通路Aは経糸21・緯糸22のガラス
繊維の隙間を通るので、この通路Aでは空気の通過(通
気)が可能である。一方、通路Bには経糸21のうちの
1本が存在するので、この通路Bでは空気は通過するこ
とができない。
いて考えると、光は経糸21・緯糸22の隙間を通るの
で、ガラス繊維による拡散を受けずに入射光と平行なま
まガラス繊維織物20の反対側から光が出射されて、平
行光線透過率の増加に寄与する。一方、通路Bを光路と
する光について考えると、光は経糸21のうちの1本を
通過するので、このガラス繊維によって拡散された状態
で光が出射されて、拡散透過率の増加に寄与する。
されない領域に、また、空気が通過できない領域は光が
拡散される領域にほぼ対応しており、したがって、ガラ
ス繊維織物20の通気度を好適に設定・低減することに
よって、平行光線透過率の低減を実現することができ
る。
通気度低減の条件は、ガラス繊維織物20に用いる経糸
21・緯糸22の糸種類の選択や、織り間隔・密度等に
よって調整・設定される。例えば、ガラス繊維として
は、番手10tex〜70texのものを用いることが
好ましく、特に、10tex〜35texのものがより
好ましい。なお、ガラス繊維の番手は、1000m当た
りのグラム数に相当している。
サイジング剤で処理することが好ましいが、この場合、
ヒートクリーニングなどの脱油処理を行ってサイジング
剤を除去しても良い。例えば、ガラス繊維シートを高湿
度の雰囲気中で使用する場合には、ヒートクリーニング
等の処理を行っておくことが好ましい。
理が施されていることがさらに好ましい。開繊処理によ
ってガラス繊維を構成しているガラスフィラメント同士
をばらけさせて、ガラス繊維の断面形状が扁平化される
など、経糸21、緯糸22のガラス繊維がそれぞれ閉め
る容積・面積範囲を増大または変形させることが可能で
ある。このとき、各ガラス繊維間の隙間部分の光源側か
ら見た面積が減少するので、上記の処理によって通気度
を減少させて、平行光線透過率を低減させることができ
る。また、このとき一般にガラス繊維織物20の厚さも
低減される。
ば、高圧ウォータージェットによる方法、バイブロウォ
ッシャーによる方法、超音波振動による方法、など様々
な方法を用いることができる。
性等の向上のため、上記したようにフッ素樹脂層30が
形成されているが、樹脂被膜層に用いられる樹脂として
はフッ素樹脂に限られるものではなく、例えば、シリコ
ーン樹脂を用いても同様に不燃性・防汚性等の向上を達
成可能である。
ラス繊維シートの光透過性及び光拡散性を向上または調
整させることも可能である。そのような場合には、上記
したフッ素樹脂やシリコーン樹脂以外にも、可撓性があ
ってガラス繊維織物に覆着可能なものであれば適用可能
であり、例えば、天然ゴム、合成ゴム、ポリ塩化ビニル
樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合体樹脂、アクリル樹
脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレ
ン樹脂、ポリプロピレン樹脂、など様々な種類の樹脂を
用いることができる。
方法としては、ガラス繊維織物に樹脂ワニスを含浸させ
る方法、塗布する方法、噴霧する方法、またはガラス繊
維織物に樹脂シートを加工シールする方法など、様々な
方法を用いることができる。特に、樹脂被膜層形成工程
の作業性を高めるとともに、被膜層の均一性を向上させ
るため、樹脂シートを加工シールする方法を用いること
が好ましい。
は、防汚性や耐久性等を充分に確保するために5g/m
2以上とすることが好ましく、また、光透過性の低下を
防止するために500g/m2以下とすることが好まし
い。特に好適な範囲としては、50g/m2以上300
g/m2以下とすることがより好ましい。また、樹脂シ
ートの場合、防汚性や耐久性の確保及び被覆工程の作業
性等の点から、その厚さを50μm以上200μm以下
とすることが好ましい。なお、含浸させる方法や塗布す
る方法等によって樹脂被膜層を形成する場合には、ガラ
ス繊維織物の内部にも浸透して一部が一体化した状態で
樹脂被膜層が形成される。
維シート10の耐久性を向上させる目的で、あらかじめ
接着性物質を含浸させておくことが好ましい。接着性物
質としては、例えばガラス繊維処理剤として通常使用さ
れているシランカップリング剤など公知の接着剤を用い
ることができる。この接着性物質によってガラス繊維織
物と樹脂被膜層とを良好に接合させることができる。た
だし、接着性物質は各ガラス繊維の表面に付着するの
で、ガラス繊維織物の光透過特性や通気度等にはほとん
ど影響しない。
た実施形態に限られるものではなく、様々な変形・構成
の変更が可能である。ガラス繊維織物20に用いられる
ガラス繊維の組成については、特に限定されず、様々な
組成のガラスを使用して良い。また、ガラス繊維を構成
するガラスフィラメントの断面形状についても、通常の
円形形状に限定されず、扁平・楕円形状などの非円形の
ものを用いても良い。非円形の断面形状を有するガラス
フィラメントからなるガラス繊維を用いた場合には、光
拡散性をさらに高めることができ、また、照明装置に適
用する際に重要な要素の1つとなるデザイン面からも、
優れた光拡散用ガラス繊維シートを得ることが可能であ
る。
は、上記した平織りに限らず、綾織り、朱子織りなど様
々な織布方法を用いることができる。平織りのガラス繊
維織物は製織効率が高く、機械的強度に優れたガラス繊
維シートとすることができる。また、綾織りや朱子織り
などを用いた場合には、デザイン性に優れたガラス繊維
シートを得ることができる。
においては、樹脂組成中に光拡散材をさらに添加してガ
ラス繊維シート10の光拡散性をさらに高めることもで
きる。光拡散材としては、例えば、ガラスビーズ、中空
ガラスビーズ、ガラス繊維パウダー、扁平ガラス繊維パ
ウダーなどを用いることができる。さらに、樹脂被膜層
は、必ずしも設けなくても良く、あるいは、ガラス繊維
織物20の両面に形成しても良い。
シート10を用いた照明装置の一実施形態の構成を一部
破断して示す斜視図である。本実施形態の照明装置にお
いては、光拡散用ガラス繊維シート10を支持枠12下
面側の開口全体を覆うように固定することによって、支
持枠12の内側に配置された蛍光灯などの光源4を覆う
光拡散用カバー1を構成している。このとき、光拡散用
ガラス繊維シート10は光源4の下方に位置する光拡散
用カバー1の発光面1aを構成し、その側面1bは支持
枠12によって構成される。図示のような矩形状で大面
積の発光面1aを有する照明装置は、例えば天井面の所
定の埋込穴等に設置されて使用される。
は、上記したように全光線透過率が50%以上、かつ、
平行光線透過率が5%以下となるように構成されている
ので、発光面1aにおいて、光源4からの光が高い光透
過度で透過されて高輝度が得られるとともに、高い光拡
散度で拡散されて光源4の位置・形状等が視認できない
ように面全体が均一な輝度分布で柔らかく光る照明装置
が実現される。
ス繊維シート10の一方の面のみに樹脂被膜層が形成さ
れている場合には、防汚性等の点から、フッ素樹脂層3
0などの樹脂被膜層が光源4からみて反対側の面となる
ように光拡散用カバー1を形成・設置することが好まし
い。また、図2に示した照明装置においては、実際には
複数の部材・部分から構成される支持枠12の具体的な
構造、すなわち、天井に対する固定構造やガラス繊維シ
ート10・光源4の固定・支持構造等については図示し
ていない。
源配置の照明装置に対して上記の光拡散用ガラス繊維シ
ートを適用することが可能である。例えば、特に大面積
化・軽量化等の要請のない通常の照明装置においても、
優れた光透過性・光拡散性や高いデザイン性を有するも
のとして、上記のガラス繊維シートを用いることができ
る。
いて、さらに具体的な実施例を示して説明する。なお、
以下に示す各実施例及び比較例について、その構成及び
性能を図3に示した一覧表にまとめてある。
成及び性能に関する数値に加えて、目視テストによる判
定結果についても示している。この目視判定において
は、40W昼光色蛍光灯4本を光源とし、この光源から
5cm〜25cmの距離をおいて光拡散用ガラス繊維シ
ートを配置して、光源と反対側から見た輝度によって光
透過性を、また、光源の視認の程度によって光拡散性を
目視判定して、4段階でランク付けして評価を行った。
ここで、数字が小さいほど光拡散シートとして優れてい
ることを示し、ランク1または2であることが実用上好
ましい。
25 1/0(番手22.5tex)を用い、経糸の織
り密度を59本/25mm、緯糸の織り密度を45本/
25mmとして平織りで製織した後、バイブロウォッシ
ャーによる開繊処理をしてガラス繊維織物を作成した。
m2当たりの質量が93.6g/m2、厚さが85μm、
通気度が18cm3/cm2/sであった。
フトG−180Y)を、固形分18重量%になるように
N、N−ジメチルホルムアミドに溶解し、架橋剤イソシ
アネート(大日本インキ化学工業株式会社製コロネート
HX)を、軟質フッ素樹脂100重量部に対して0.5
重量部加えて処理液を得た。(1)で作成されたガラス
繊維織物にこの処理液を含浸し、加熱乾燥させてガラス
繊維織物の処理を行った。
フトG−180Y)100重量部に、フッ化ビニリデン
樹脂5重量部、ポリテトラフルオロエチレン0.2重量
部、ワックス0.3重量部、ジブチルスズジラウレート
0.2重量部、中空ガラスビーズ(東芝バロティーニ株
式会社製HSC−100C)1.0重量部を配合した厚
さ0.1mmのフィルムを、(a)で得た処理済みガラ
ス繊維織物に貼り合わせて光拡散用のガラス繊維シート
を作成した。
全光線透過率が59.4%、平行光線透過率が4.3%
であった。
は、(2)のガラス繊維シートの作成方法はいずれも上
記した実施例1と同様であるので、ガラス繊維織物の作
成についてのみ示す。
0(番手22.5tex)を、緯糸にECD450 1
/0(番手11.2tex)を用い、経糸の織り密度を
70本/25mm、緯糸の織り密度を65本/25m
m、68本/25mm、70本/25mmの3通り
としてそれぞれ平織りで製織して、開繊処理は行わずに
ガラス繊維織物を作成した。
m2当たりの質量が94.3g/m2、95.6g/
m2、96.5g/m2、厚さが81μm、82μ
m、83μm、通気度が12cm3/cm2/s、
11cm3/cm2/s、9cm3/cm2/sであっ
た。また、得られたガラス繊維シートは、全光線透過率
が60.4%、59.7%、58.2%、平行光
線透過率が4.7%、4.6%、4.6%であっ
た。
25 1/0(番手22.5tex)を用い、経糸の織
り密度を59本/25mm、緯糸の織り密度を58本/
25mmとして平織りで製織した後、バイブロウォッシ
ャーによる開繊処理をしてガラス繊維織物を作成した。
m2当たりの質量が105.0g/m2、厚さが86μ
m、通気度が14cm3/cm2/sであった。また、得
られたガラス繊維シートは、全光線透過率が55.4
%、平行光線透過率が4.0%であった。
25 1/0(番手22.5tex)を用い、経糸の織
り密度を59本/25mm、緯糸の織り密度を45本/
25mmとして平織りで製織して、開繊処理は行わずに
ガラス繊維織物を作成した。
m2当たりの質量が93.6g/m2、厚さが98μm、
通気度が117cm3/cm2/sであった。また、得ら
れたガラス繊維シートは、全光線透過率が61.3%、
平行光線透過率が5.6%であった。
5 1/0(番手67.5tex)を用い、経糸の織り
密度を44本/25mm、緯糸の織り密度を33本/2
5mmとして平織りで製織して、開繊処理は行わずにガ
ラス繊維織物を作成した。
m2当たりの質量が207.9g/m2、厚さが175μ
m、通気度が5cm3/cm2/sであった。また、得ら
れたガラス繊維シートは、全光線透過率が45.1%、
平行光線透過率が3.1%であった。
25 1/0(番手22.5tex)を用い、経糸の織
り密度を59本/25mm、緯糸の織り密度を58本/
25mmとして平織りで製織して、開繊処理は行わずに
ガラス繊維織物を作成した。
m2当たりの質量が105.0g/m2、厚さが105μ
m、通気度が82cm3/cm2/sであった。また、得
られたガラス繊維シートは、全光線透過率が57.0
%、平行光線透過率が5.8%であった。
また、開繊処理を行ったものであるが、1m2当たりの
質量と通気度、または厚さと通気度のいずれについても
ガラス繊維織物の好適な構成条件を満たしており、これ
によって、光透過性及び光拡散性がともに高いガラス繊
維シートが得られている。なお、本実施例においてはガ
ラス繊維織物の一方の面上に樹脂被膜層を設けている
が、これによる光拡散性の増加効果はガラス繊維織物に
よる効果に比べて小さく、また、光透過性については2
%程度低下するに過ぎない。すなわち、この構成では、
ガラス繊維織物のみからガラス繊維シートを構成した場
合でも、全光線透過率50%以上、平行光線透過率5%
以下の条件を満たす(他の実施例も同様)。
xのガラス繊維を用い、その織り密度を3通りに変えて
シートを作成している。この実施例では開繊処理を行っ
ていないが、上記したガラス繊維及び織り密度によって
好適なガラス繊維織物の構成条件とガラス繊維シートの
光透過特性とが得られている。
の織り密度を大きくしたものであり、1m2当たりの質
量が増大しているために全光線透過率がやや小さくされ
ているが、50%以上の条件は充分に満たしており、ま
た、通気度及び平行光線透過率は実施例1よりもさらに
低減されている。
で開繊処理を行わなかったものであり、通気度が非常に
大きく、したがって、平行光線透過率が5%以上に増大
しており充分な光拡散性が得られていない。
太いガラス繊維を用いているとともに開繊処理も施して
おらず、1m2当たりの質量及び厚さが大きく、全光線
透過率が50%以下に減少しており充分な光透過性が得
られていない。
で開繊処理を行わなかったものであり、厚さもやや大き
くなっているが、特に通気度が増大して平行光線透過率
が5%以上に増大しており充分な光拡散性が得られてい
ない。
シートはいずれも、光透過性及び光拡散性がともに向上
・両立されており、優れた光拡散シートとしての特性を
有している。それに対して、比較例1〜3のガラス繊維
シートは、光透過性または光拡散性の一方について好適
な特性が得られていない。
は、以上詳細に説明したように、次のような効果を得
る。すなわち、ガラス繊維織物を基布とする光拡散用ガ
ラス繊維シートにおいて、ガラス繊維シートの構成、特
にガラス繊維基布の構成を調整・最適化して、その光透
過特性について全光線透過率が50%以上、平行光線透
過率が5%以下となるように構成することによって、高
い光拡散性を有する条件において、同時に充分な光透過
性を実現した光拡散シートを実現することができる。ガ
ラス繊維織物の構成条件としては、例えばその1m2当
たりの質量、厚さ、通気度などによって好適な条件を設
定・制御することができる。
拡散シートとして照明装置に適用することによって、そ
の発光面から、充分に高い輝度で、かつ光源が視認され
ずに均一な輝度分布で光が透過・拡散されて、柔らかい
光で照明を行うことができる照明装置とすることができ
る。また、樹脂シートや艶消しガラスを用いた場合に比
べて、そのデザイン性においても優れた照明装置とする
ことが可能である。
施形態の構成を模式的にしめす拡大斜視図である。
た照明装置の一実施形態の構成を一部破断して示す斜視
図である。
施例及び比較例について示す図表である。
…光拡散用ガラス繊維シート、12…支持枠、20…ガ
ラス繊維織物、21…経糸、22…緯糸、30…フッ素
樹脂層、4…光源。
Claims (7)
- 【請求項1】 ガラス繊維織物を基布として構成され、
入射した光を所定の光透過特性で透過・拡散させるガラ
ス繊維シートであって、 前記光透過特性は、全光線透過率が50%以上であると
ともに、平行光線透過率が5%以下となるように形成さ
れていることを特徴とする光拡散用ガラス繊維シート。 - 【請求項2】 前記ガラス繊維織物は、その質量が15
0g/m2以下であるとともに、通気度が20cm3/c
m2/s以下であることを特徴とする請求項1記載の光
拡散用ガラス繊維シート。 - 【請求項3】 前記ガラス繊維織物は、その厚さが95
μm以下であるとともに、通気度が20cm3/cm2/
s以下であることを特徴とする請求項1記載の光拡散用
ガラス繊維シート。 - 【請求項4】 前記ガラス繊維織物は、開繊処理が施さ
れていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項
記載の光拡散用ガラス繊維シート。 - 【請求項5】 前記ガラス繊維織物の少なくとも一方の
面側に、樹脂被膜層がさらに形成されていることを特徴
とする請求項1〜4のいずれか一項記載の光拡散用ガラ
ス繊維シート。 - 【請求項6】 前記樹脂被膜層は、フッ素樹脂またはシ
リコーン樹脂から形成されていることを特徴とする請求
項5記載の光拡散用ガラス繊維シート。 - 【請求項7】 請求項1〜6のいずれか一項記載の光拡
散用ガラス繊維シートを用いた照明装置であって、 照明に用いられる光を発生させる光源と、 前記光拡散用ガラス繊維シートを所定の支持枠に固定し
てなり、前記光源を覆うように設置される光拡散用カバ
ーと、を備え、 前記光源からの光が、前記光拡散用カバーの前記光拡散
用ガラス繊維シートによって透過・拡散されて出射され
ることを特徴とする照明装置。
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