JP2010229640A - 昆虫陰影痕防止性に優れた光天井用膜材、及びその光天井システム - Google Patents

昆虫陰影痕防止性に優れた光天井用膜材、及びその光天井システム Download PDF

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Toshiya Karino
俊也 狩野
Tamotsu Gomibuchi
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Abstract

【課題】可撓性を有し、強度が高く、可視光透過率が高く、適度な光の拡散性を有し、更に走光性昆虫の死骸による異物陰影を緩和したり、防止することが可能である光天井用膜材と、それを用いた光天井システムの提供。
【解決手段】本発明の光天井用膜材は、延伸フィラメントを含んでなる編織布の片面以上に、可撓性樹脂層を積層してなる複合基材を含む、可視光透過率(JIS−Z8722)30〜70%の光拡散透過性シートにおいて、前記可撓性樹脂層の少なくとも一層上に、可視光応答型の光触媒性物質を含む昆虫死骸分解層を設け、かつ、前記可撓性樹脂の屈折率n1と前記延伸フィラメントの延伸方向の屈折率naとの差の絶対値を0.02<|n1−na|≦0.07、更に前記可撓性樹脂層の屈折率n1と、延伸垂直方向bの屈折率nbとの差の絶対値を|n1−nb|≦0.07とする。本発明の光天井システムは、少なくとも前記光天井用膜材の昆虫死骸分解層を蛍光灯に対面して配置する。
【選択図】図2

Description

本発明は、光天井用膜材、及びその光天井システムに関するものであり、更に詳しくは、可撓性を有し、可視光透過率が高く適度な光の拡散性を有し、特に昆虫陰影痕防止性を有する光拡散透過性シートであり、ホテルのエントランス・ラウンジ・パーテイ会場、オフィスビル大会議室、冠婚葬祭式場、ステーションビル・空港内施設、地下街通路、大型商業施設、各種公共施設、エレベータかご内、鉄道車両内などの光天井照明シェ−ドに用いる積層体と、その光天井システムとに関するものである。
商業施設、オフィスビル、校舎などにおける照明は、多数の蛍光灯ユニットを天井の縦横に過密配置することによって、室内の明るさと照度の均一性とを保つのが一般的である。しかし、この方法では蛍光灯ユニットの存在が目立ってしまい、施設空間デザインの自在性の障害となっている。そのため蛍光灯ユニットを乳白色のアクリル樹脂製の照明カバーで覆い隠したり(例えば特許文献1参照)、天井全体を白色を基調とする装飾として保護色化するなどの配慮がなされているものの、依然として蛍光灯ユニット自体の存在を目立たなくすることは困難な課題であった。
特に高層ホテル、インテリジェントビル、ステーションビル、エアポート、大型商業施設、アミューズメント施設、冠婚葬祭式場、総合病院、及び各種公共施設などでは、照明設備自体を極力露出しない照明デザインが採用されているが、最近の新築施設では、より空間の洗練性と明るさを追求した照明手段として、天井のほぼ全面を照明シェード化して天井全体を発光させる光天井照明の導入が進んでいる。光天井としては、繊維織物を基材とする長尺膜材を、蛍光灯ユニットが配置された天井に対し、全面、かつ一定間隔の平行空間を設けて被覆施工してなるものが、特に建築物の耐久性と施工性とに融通し、しかも照明シェードとして優れた光拡散効果と蛍光灯隠蔽効果とを兼備している。光天井に用いる長尺膜材としては例えば、フッ素樹脂シートとガラス繊維シートとの複合成形体が挙げられる。(特許文献2、3参照)しかし、これらの光天井システムでは、繊維織物を含むことによる光透過効果の減衰、や繊維織物の陰影が問題となり、そのため多くの蛍光灯ユニットを配置する必要があった。
特に大規模施設では、通年での稼働日や営業日も少なくなく、そのためこれらの施設における光天井システムはノーメンテナンス主体である。そのため経時的に光天井システムの空間内部に、ユスリ蚊や羽虫類などの小型走光性昆虫が入り込んで、その死骸が光天井膜材上に落下して、その死骸が蛍光灯照明の影となり光天井外観の異物痕として散在することで見栄えや印象を悪くする問題がある。特に光天井システムでは多くの蛍光灯ユニットを配置することで、光天井の内部空間は高照度、30℃近い環境であるため、熱を放出するための通風孔を随所に有していることから、外部からの走光性昆虫の誘引迷込は不可避である。特に繁華街のビルや大規模施設では多くの飲食店をテナント・誘致しているため、これらの厨房の換気孔が外部との開放系であることもビル内への昆虫誘引の原因となっている。
これらの大規模施設の光天井においては高所作業で大掛かりとなる、虫の死骸除去のメンテナンスは困難である。そのため、光源と光天井膜材(照明シェード)の間に虫の死骸受けの網やメッシュシートを全面配置することで、虫の死骸が直接光天井膜材(照明シェード)に触れないようにし、これにより虫の死骸の影による焦点を広角としてぼやけさせる方法が提案されている。しかし、この方法では網やメッシュシートの2重構造となってコスト高となり、しかも光源からの光量を減衰させるという難点を有している。このような光源と照明シェード間に虫の死骸受けを配置する考案は、エレベータかご内における天井照明においても提案がなされている。(例えば特許文献4および5参照)
また一方で、これらの大規模施設における光天井の設計には、タバコのヤニ汚れの除去性や汚れ防止性が要求される事例も少なくない。その設計の1例として、光触媒層付きシートを用いた照明装置が提案されている。(例えば特許文献6参照)
また、上記の光天井膜材は建築基準法に適合する不燃性を有することが火災対策上好ましいので、光天井システム用膜材には例えば特許文献2、3のようなフッ素樹脂シートとガラス繊維シートとの複合成形体や、ガラス繊維織物に熱硬化性樹脂を含浸被覆した複合シートが適切である。しかし、これらの複合成形体やシートを光天井膜材に用いた場合、光天井システムの空間内部に迷込んだ走光性昆虫の死骸による異物影が問題となる。これに虫の死骸受けの網やフィルムを導入する2重構造はコスト高となるだけでなく、蛍光灯交換などの定期的メンテナンス作業を阻害するため大変な不自由を強いられることになる。従って、光天井に用いる膜材で、可視光透過性が高く且つ、適度な光拡散性を有し、特に光天井システム内に侵入した走光性昆虫の死骸による異物陰影を緩和したり、防止することが可能である光天井用膜材及び、光天井システムで、しかも不燃性を有するものは現在までに存在していなかったのである。
特開平11−172019号公報 特開平08−290528号公報 特開2006−212820号公報 特開2002−087739号公報 特開2008−150187号公報 特開2006−198466号公報
本発明は、光天井に用いる可撓性繊維複合膜材で、可視光透過性が高く且つ、適度な光拡散性を有し、特に複雑な構成や装置等を用いずに、光天井システム内に侵入した走光性昆虫の死骸による異物陰影を緩和したり、防止することが可能である光天井用膜材及び、その光天井システムを提供しようとするものであり、更に火災対策上、不燃性を有する光天井用膜材と、その光天井システムを提供しようとするものである。
上記課題を解決するために、延伸フィラメントを含んでなる編織布の片面以上に、可撓性樹脂層を設けてなる複合基材を含む光拡散透過性シートにおいて
1.光拡散透過性シートの少なくとも一層上に、可視光応答型の光触媒性物質を含む層
を設けることによって昆虫死骸分解効果が得られること
2.延伸フィラメントが延伸方向a、及び延伸方向aに対する延伸垂直方向b、におい
て、可撓性樹脂の屈折率n1と延伸フィラメントの延伸方向の屈折率naとの差の絶
対値|n1−na|が下記式1を満たし、可撓性樹脂の屈折率n1と延伸垂直方向b
の屈折率nbとの差の絶対値|n1−nb|を、下記式2を満たす光学特性とするこ
とによって編織布による補強効果を得て、尚且つ、面方向の観察における編織布の陰
影の影響を受け難い高透光性の可撓性膜材が得られること
0.02<|n1−na|≦0.07 式1
|n1−nb|≦0.07 式2
3.可撓性樹脂の屈折率n1と、延伸フィラメントの延伸方向aの屈折率naの関係を
上記1.における式1を満たす光学特性とすることにより、光拡散を良好とすること
4.上記1〜3の組み合わせによって、光天井システム内に侵入した走光性昆虫の死骸
による異物陰影の問題を昆虫死骸分解効果によって解決し、特に走光性昆虫の死骸の
分解が100%に満たなくても、可撓性繊維複合膜材の光学特性によって走光性昆虫
の死骸の陰影痕を著しく緩和する効果を見出して本発明を完成するに至った。
すなわち本発明の昆虫陰影痕防止性に優れた光天井用膜材は、延伸フィラメントを含んでなる編織布の片面以上に、可撓性樹脂層を設けてなる複合基材を含む、可視光透過率(JISZ8722)30〜70%の光拡散透過性シートであって、前記光拡散透過性シートの少なくとも一層上に、可視光応答型の光触媒性物質を含む昆虫死骸分解層が設けられ、かつ、前記延伸フィラメントが、延伸方向a、及び前記延伸方向aに対する延伸垂直方向b、とを有し、前記可撓性樹脂の屈折率n1と前記延伸フィラメントの延伸方向の屈折率naとの差の絶対値|n1−na|が下記式1を満たし、かつ、前記可撓性樹脂層の屈折率n1と、延伸垂直方向bの屈折率nbとの差の絶対値|n1−nb|が、下記式2を満たす光学特性を有することを特徴とすることが好ましい。
0.02<|n1−na|≦0.07 式1
|n1−nb|≦0.07 式2
本発明の光天井用膜材は、前記光触媒性物質が、助触媒添加(担持)型光触媒、アニオンドープ型光触媒、カチオンドープ型光触媒、共ドープ型光触媒、金属ハロゲン化物担持型光触媒、酸素欠損型光触媒から選ばれた1種以上であることが好ましい。本発明の光天井用膜材は、前記可撓性樹脂層の少なくとも一層が、白色顔料、金属フレーク、金属パウダー、パール顔料、ガラスビーズ、ガラス粒子、樹脂ビーズおよび樹脂粒子から選ばれた少なくとも一種の光拡散性物質からなる粒子を含む事が好ましい。本発明の光天井用膜材は、前記延伸フィラメントがガラス繊維、または、シリカ繊維からなり、コーンカロリーメーター試験法(ASTM−E1354)において前記光拡散透過性シートに対して輻射電気ヒ−タ−による輻射熱を、50kW/mで照射した時に、加熱開始後20分間の総発熱量が8MJ/m以下であり、且つ加熱開始後20分間、10秒以上継続して最高発熱速度が200kW/mを超えない不燃特性を有することが好ましい。本発明の光天井用膜材は、前記光拡散透過性シートにおいて、前記昆虫死骸分解層形成面が表面粗さRz値(JIS−B0601)が10〜200μmの凹凸を有し、かつ凹凸の平均間隔Sm値(JIS−B0601)0.1〜3mmであることが好ましい。本発明の光天井システムは、延伸フィラメントを含んでなる編織布の片面以上に、可撓性樹脂層を設けてなる複合基材を含み、可視光透過率(JIS−Z8722)30〜70%を有する光拡散透過性シートを光天井膜材として用い、前記光拡散透過性シートの背面に、蛍光灯を配置してなる光天井構造物であって、少なくとも前記蛍光灯に対面する前記光拡散透過性シート面側に、可視光応答型の光触媒性物質を含む昆虫死骸分解層が設けられ、かつ、前記延伸フィラメントが、延伸方向a、及び前記延伸方向aに対する延伸垂直方向b、とを有し、前記可撓性樹脂の屈折率n1と前記延伸フィラメントの延伸方向の屈折率naとの差の絶対値|n1−na|が下記式1を満たし、かつ、前記可撓性樹脂層の屈折率n1と、延伸垂直方向bの屈折率nbとの差の絶対値|n1−nb|が、下記式2を満たす光学特性であることが好ましい。
0.02<|n1−na|≦0.07 式1
|n1−nb|≦0.07 式2
本発明の光天井システムは、前記光触媒性物質が、助触媒添加(担持)型光触媒、アニオンドープ型光触媒、カチオンドープ型光触媒、共ドープ型光触媒、金属ハロゲン化物担持型光触媒、酸素欠損型光触媒から選ばれた1種以上であることが好ましい。本発明の光天井システムは、前記可撓性樹脂層の少なくとも一層が、白色顔料、金属フレーク、金属パウダー、パール顔料、ガラスビーズ、ガラス粒子、樹脂ビーズおよび樹脂粒子から選ばれた少なくとも一種の光拡散性物質からなる粒子を含む事が好ましい。
本発明の光天井システムは、前記光拡散透過性シートにおいて、前記昆虫死骸分解層形成面が表面粗さRz値(JIS−B0601)が10〜200μmの凹凸を有し、かつ凹凸の平均間隔Sm値(JIS−B0601)0.1〜3mmであることが好ましい。
本発明によれば、光天井用途に適して用いることができる可撓性繊維複合膜材で、可視光透過性が高く且つ、適度な光拡散性を有し、特に光天井システム内に侵入した走光性昆虫の死骸による異物陰影を緩和したり、防止することが可能である光天井用膜材及び、その光天井システムを提供することができる。本発明の光天井用膜材と、その光天井システムは光天井システム内に侵入した走光性昆虫の死骸の分解が100%に満たなくても、可撓性繊維複合膜材の光学特性によって走光性昆虫の死骸の陰影痕を著しく緩和する効果を有しているため、ホテルのエントランス・ラウンジ・パーテイ会場、オフィスビル大会議室、冠婚葬祭式場、ステーションビル・空港内施設、地下街通路、大型商業施設、各種公共施設、エレベータかご内、鉄道車両内などの光天井照明シェ−ドに広く用いることができる。更に本発明おいて、火災対策上、不燃性を有する光天井用膜材と、その光天井システムを提供することも可能である。
延伸フィラメントの延伸方向と延伸垂直方向示す図 (a)延伸方向a (b)延伸垂直方向b 本発明の光拡散透過性シートの一例を示す図 本発明の光拡散透過性シートの一例を示す図 本発明の光拡散透過性シートの一例を示す図 本発明の光拡散透過性シートの一例を示す図 本発明の光天井システムの一例を示す図 実施例・比較例において光天井としての機能を評価した際の構成を示す図 実施例・比較例において虫の分解性を評価した際の構成を示す図
本発明の光天井用膜材は、延伸フィラメントを含んでなる編織布の片面以上に、可撓性樹脂層を設けてなる複合基材を含む、可視光透過率(JIS−Z8722)30〜70%の光拡散透過性シートであって、この光拡散透過性シートの少なくとも一層上には、可視光応答型の光触媒性物質を含む昆虫死骸分解層が設けられている。また、延伸フィラメントは、延伸方向a、及び延伸方向aに対する延伸垂直方向b、とを有し、可撓性樹脂の屈折率n1と延伸フィラメントの延伸方向の屈折率naとの差の絶対値|n1−na|が下記式1を満たし、かつ、可撓性樹脂層の屈折率n1と、延伸垂直方向bの屈折率nbとの差の絶対値|n1−nb|が、下記式2を満たす光学特性を有している。
0.02<|n1−na|≦0.07 式1
|n1−nb|≦0.07 式2
また、本発明の光天井用膜材システムは、上記膜材を光天井膜材として用い、蛍光灯ユニットが配置された天井に対し、全面、かつ一定間隔の平行空間を設けて被覆施工してなるもので、少なくとも蛍光灯に対面する光拡散透過性シート面側に、可視光応答型の光触媒性物質を含む昆虫死骸分解層が設けられているものである。
本発明の光天井用膜材において、編織布に使用する延伸フィラメントとしては、ポリプロピレン繊維、ポリエチレン繊維、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、ビニロン繊維、アクリル繊維などの合成繊維による長繊維、ジアセテート繊維、トリアセテート繊維などの半合成繊維による長繊維、レーヨン繊維、ポリノジック繊維などの再生繊維、ガラス繊維、シリカ繊維、アルミナ繊維などの無機繊維による長繊維などであり、これらは単独使用または混用、混紡であってもよい。また、延伸フィラメントは、マルチフィラメント糸条、もしくはモノフィラメント糸条が好ましく、本発明においてはフィラメント数3〜300本、繊度138〜2223dtex(デシテックス)、特に277〜1112dtexのマルチフィラメント糸条が好ましい。前記延伸フィラメントは、図1(a)の様に延伸方向aを有し、図1(b)の様に延伸方向に対する延伸垂直方向bを有する。ここで、延伸フィラメントとして、合成繊維、半合成繊維、再生繊維の場合には延伸により高分子の結晶構造を任意配向させることで、延伸方向aの屈折率naと延伸垂直方向bの屈折率nbを適宜調整することができる。またガラス繊維の様に非晶質の無機材料を用いる場合には、naとnbは等しくなる。
本発明に使用する編織布には織布、または編布が用いられ、織布として、平織、綾織、繻子織、模紗織など公知の織布が挙げられるが、中でも特に平織織布が、得られる光天井用膜材の経緯物性バランスに優れて好ましい。編布としてはラッセル編の緯糸挿入トリコットが好ましく用いられる。これら編織物は、糸間間隙を均等において平行に多数配置した経糸、及び糸間間隙を均等において平行に多数配置した緯糸を含んで構成された粗目状の編織物(空隙率5〜50%)、及び非粗目状編織物(空隙率5%未満)を包含する。中でも、補強効果、光拡散効果などの点から、経緯糸条の交絡間に形成される空隙率が0〜5%の高密度編織物が特に好ましく用いられる。前記編織布には、付着する油剤や糊剤を除くために、精練や熱処理を施しても良く、可撓性樹脂加工液に濡れやすくし可撓性脂層との接着性を向上させるために、コロナ放電処理、プラズマ放電処理、シランカップリング剤処理などを行っても良い。
本発明の光天井用膜材において可撓性樹脂層としては、塩化ビニル樹脂、塩化ビニル系共重合体樹脂、オレフィン樹脂、オレフィン系共重合体樹脂、ウレタン樹脂、ウレタン系共重合体樹脂、アクリル樹脂、アクリル系共重合体樹脂、酢酸ビニル樹脂、酢酸ビニル系共重合体樹脂、スチレン樹脂、スチレン系共重合体樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエステル系共重合体樹脂、フッ素含有共重合体樹脂、シリコーン系熱可塑性エラストマー、シリコーン樹脂、シリコーンゴムなど熱可塑性樹脂、更にはビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂などを使用することもできる。可撓性樹脂層を編織布に積層する方法としては、例えば、有機溶剤に可溶化した熱可塑性樹脂、水中で乳化重合された熱可塑性樹脂エマルジョン(ラテックス)、あるいは熱可塑性樹脂を水中に強制分散させ安定化したディスパージョン樹脂などの水分散樹脂、軟質ポリ塩化ビニル樹脂ペーストゾル、未硬化の熱硬化性樹脂組成物液などを用いるディッピング加工(編織布への両面加工)、及びコーティング加工(繊維布帛への片面加工、または両面加工)等が例示される。この可撓性樹脂層上には、更に別の可撓性樹脂層を積層してもよく、特にカレンダー成形法、またはTダイス押出法により成形したフィルム又はシートを、接着剤を介して、あるいは熱ラミネートにより積層する方法が例示される。可撓性樹脂層の目付量は30〜600g/mであり、可撓性樹脂層は編織布に含浸形成された部分を包含するものである。ここで、少なくとも編織布に直接積層した可撓性樹脂の屈折率n1と、延伸フィラメントの延伸方向の屈折率naとの差の絶対値|n1−na|が上記式1を満たし、かつ、可撓性樹脂の屈折率n1と、延伸フィラメントの延伸垂直方向の屈折率nbとの差の絶対値|n1−nb|が上記式2を満たす様に、可撓性樹脂と延伸フィラメントを適宜選択することが好ましい。
本発明の光天井用膜材に関して、図2の光拡散透過性シートを一例として説明する。図2の光拡散透過性シートは、編織布(1)として平織り織布を用い、樹脂加工液をディップ加工することにより、可撓性樹脂層(2−1)が編織布の両面に形成され、更にその片面上に可視光応答型の光触媒性物質を含む昆虫死骸分解層(3)が設けられている。このとき、可撓性樹脂層(2−1)を構成する樹脂と延伸フィラメントの選択において、|n1−nb|が0.07以下となるような組み合わせを選択すれば、延伸垂直方向bの屈折率nb、すなわち織布の表面や裏面に垂直な方向の延伸フィラメントの屈折率nbと可撓性樹脂の屈折率n1の差が小さいため、延伸フィラメントと可撓性樹脂の界面での光の屈折がほとんどないか、あるいはわずかしか起こらないため、シート内部に含まれる織布はほとんど視認することができず、可視光透過率の高いシートが得られる。また、延伸フィラメントの延伸方向の屈折率naと可撓性樹脂の屈折率n1の関係が0.02<|n1−na|≦0.07を満たすことで適度に光が拡散されるため、背後に光源(5)を配置した場合に光源が視認され難い光拡散透過性シートが得られる。|n1−na|、|n1−nb|のいずれか一方あるいは両方が0.07を超えると、可撓性樹脂と延伸フィラメントの界面での光拡散が過剰となり、光拡散透過性シートの可視光透過率が低くなるため、光天井として用いた際の照度が低下することがある。また光を透過して観た際に延伸フィラメントの陰影が目立つようになり、意匠性が損なわれることがある。|n1−na|が0.02未満であると、可撓性樹脂と延伸フィラメント界面における適度な光拡散効果が得られず、光源の存在が目立つようになるだけでなく、昆虫死骸(昆虫死骸分解層による分解途中の状態を包含する)の散在の痕跡が目だってしまうことがある。
本発明の光天井用膜材において、光拡散性を更に向上させるために、可撓性樹脂層の少なくとも一層には、白色顔料、金属フレーク、金属パウダー、パール顔料、ガラスビーズ、ガラス粒子、樹脂ビーズ、及び樹脂粒子から選ばれた少なくとも一種の光拡散性物質からなる粒子が含まれることが好ましい。白色顔料は、二酸化チタンや酸化亜鉛などの白色顔料の他、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、シリカ、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウムなどの白色の無機粒子を包含する。金属フレーク及び金属パウダーは、アルミフレーク、アルミパウダーなどの他、樹脂製あるいはガラス製のフレークやパウダー上にアルミ、銀、ニッケル、錫、インジウムなどの金属をメッキ法により被覆したフレークやパウダーを包含する。パール顔料は、天然雲母に高屈折率の金属酸化物をコートした顔料が例示される。ガラスビーズは、中空ガラスビーズ、中実ガラスビーズ、ガラス粒子は、ガラス粉末、ガラスビーズ破砕体が例示される。樹脂ビーズは、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、エポキシ系樹脂等からなる樹脂ビーズが例示され、特に可撓性樹脂層と非相溶の樹脂を用いる。またこれらの樹脂ビーズはコア−シェル複層構造を有していてもよく、また架橋構造を有していてもよい。また樹脂粒子とはこれらの樹脂ビーズを破砕して得られる不定形粒子である。上記これらの光拡散性物質の平均粒子径は、0.1〜50μmが好ましく、白色顔料、金属パウダー、ガラスビーズ、ガラス粒子、樹脂ビーズ、及び樹脂粒子のアスペクト比は1〜6が好ましく、特に金属フレーク、及びパール顔料においてのアスペクト比は6〜60が好ましい。また可撓性樹脂層に対する添加量は可撓性樹脂100質量部に対して、光拡散性物質からなる粒子を0.1〜120質量部、特に0.1〜100質量部が好ましい。添加量が0.1質量部未満では光拡散効果が不十分となって、光源の存在が目立つようになるだけでなく、昆虫死骸(昆虫死骸分解層による分解途中の状態を包含する)の散在の痕跡が目だってしまうことがある。また添加量が120質量部を超えると可視光透過率が低下して、光天井として十分な照度が得られなくなることがある。
図3は、本発明の光天井用膜材の一例を示す図であり、図2の光天井用膜材と同様の構成の膜材において、ディップ加工する樹脂加工液に光拡散性物質からなる粒子を加えることで、光拡散性物質からなる粒子を含む可撓性樹脂層(2−2)を形成したものである。光拡散性物質からなる粒子は、少なくとも一層の可撓性樹脂層に含まれればよく、例えば図4の様に、図2の光天井用膜材の一方の面に、光拡散性物質からなる粒子を含む可撓性樹脂層(2−2)をコーティング法、ラミネート法などにより形成しても良く、また、図5の様に図3の光天井用膜材の一方の面に、光拡散性物質からなる粒子を含まない可撓性樹脂層(2−1)をコーティング法、ラミネート法などにより形成しても良い。なお、図3から5において、光拡散性物質からなる粒子を粒粒で表現した。
本発明の光天井用シートにおいて、可撓性樹脂層には必要に応じて公知の添加剤を含んでいても良い。添加剤としては、例えば、帯電防止剤、難燃剤、可塑剤、可撓性付与剤、充填剤、接着剤、架橋剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、安定剤、レベリング剤、消泡剤、抗菌剤、防黴剤、着色剤、蛍光増白剤、蛍光顔料、蓄光顔料などが挙げられる。
本発明の光天井用膜材において、光拡散透過性シートの少なくとも一層上には、可視光応答型光触媒を含む昆虫死骸分解層が1〜10μm、好ましくは1〜5μmの層厚で設けられる。即ち編織布の片面に可撓性樹脂層を設けた複合基材の場合の昆虫死骸分解層は、i).可撓性樹脂層上、ii).編織布上、iii).可撓性樹脂層上、及び編織布上、の何れかの形態に形成され、また、編織布の両面に可撓性樹脂層を設けた複合基材の場合の昆虫死骸分解層は、iv).一方の可撓性樹脂層上のみ、v).両面の可撓性樹脂層上、の何れかの形態に形成され、本発明の光天井システムにおいては、蛍光灯に対面する面は昆虫死骸分解層形成面である。これらの光拡散透過性シートにおいて昆虫死骸分解層形成面は、表面粗さRz値(JIS−B0601)10〜200μmの凹凸を有し、かつ凹凸の平均間隔Sm値(JIS−B0601)0.1〜3mmを満たすことにより、昆虫死骸分解層の単位面積あたりの表面積が増大し、これによって昆虫死骸分解層に含む可視光応答型光触媒の有効量も増大することで、昆虫死骸分解効率が向上する。また同時に表面粗さRz値(JIS−B0601)10〜200μmの凹凸を有し、かつ凹凸の平均間隔Sm値(JIS−B0601)0.1〜3mmを満たす表面粗さによって昆虫死骸と昆虫死骸分解層との間に微小な空間を設けることによって昆虫死骸分解効率を向上することができる。このような表面粗さ凹凸は公知のエンボス法によって設けることができる。また上記ii)の場合には編織布の織り構造が有する凹凸をそのまま利用することができる。
本発明における昆虫死骸分解層により、体長が1〜15mm程度の羽虫類、羽蟻類などの走光性昆虫の死骸を光触媒作用によって、1年以内に死骸質量に対して、少なくとも50質量%以上分解することが可能であることが好ましい。昆虫死骸の分解除去率が50質量%以上であれば、羽虫類、羽蟻類などの羽が残留した場合でも、本発明の光拡散透過性シートの有する光学特性、更には昆虫死骸分解層に設けた表面粗さRz値(JIS−B0601)10〜200μmの凹凸、凹凸の平均間隔Sm値(JIS−B0601)0.1〜3mmの効果によって昆虫死骸の陰影痕を緩和して目立たなくすることが十分可能となる。
可視光応答型光触媒としては、波長400nmから800nmの可視光を吸収して活性を示す光触媒性物質であれば特に限定無く用いることができる。可視光を吸収して活性を示す光触媒性物質としては、(1).従来公知の酸化チタン、酸化タングステン、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化バナジウム、酸化ビスマス、鉄−タングステン酸化物等の金属酸化物に、銀、プラチナ、金、銅、ロジウム、パラジウム、ルテニウム、イリジウムなどの金属およびそれらの金属の化合物を助触媒として添加(担持)した助触媒添加(担持)型光触媒が、可視光に対する活性が高く、より好ましく用いられる。また、(2).上述の光触媒性金属酸化物に窒素、炭素、硫黄、リン、ホウ素、フッ素等をドープしたアニオンドープ型光触媒、(3).上述の光触媒性金属酸化物にクロム、ニオブ、マンガン、コバルト、バナジウム、鉄、ニッケル等の遷移金属イオンをドープしたカチオンドープ型光触媒、(4).アニオンとカチオンの両方をドープした共ドープ型光触媒、(5).白金、パラジウム、ロジウムなど貴金属のハロゲン化物を担持させた金属ハロゲン化物担持型光触媒、(6).光触媒性金属酸化物から部分的に酸素を引き抜いた酸素欠損型光触媒、等を好ましく用いることができる。可視光応答型光触媒は、上記から1種、または2種以上を組み合わせて選択して用いることができる。
昆虫死骸分解層の形成方法としては、例えば可視光応答型光触媒の粒子またはゾルと結着剤とを含む塗布剤を塗布して光触媒を含有する昆虫死骸分解層を形成する方法、光触媒性物質の溶液からゾルゲル法により光触媒を含有する昆虫死骸分解層を形成する方法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、CVD法などにより光触媒を含有する昆虫死骸分解層を形成する方法、等従来公知の方法で形成することができる。このような結着剤としては、光触媒によって分解され難く、かつ皮膜形成能を有する、例えば、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂、アクリルフッ素共重合樹脂、アクリルシリコーン共重合樹脂、などの有機系バインダー、例えば、ポリシラザン、有機シリケート化合物、またはその低縮合物の加水分解物(シラノール基含有シラン化合物)の何れか1種以上によるケイ素化合物縮合層であることが好ましく、これらに更にシリカゾル、アルミナゾル、チタンゾルの何れか1種以上を含むことが好ましい。昆虫死骸分解層には可視光応答型光触媒の粒子またはゾルを10〜70質量%、特に20〜60質量%含有することが好ましい。
可撓性樹脂層と昆虫死骸分解層との間には、必要に応じて、可撓性樹脂層と昆虫死骸分解層の接着性を付与するための接着層、光触媒による樹脂の分解を妨げるための保護層、可撓性樹脂層に含まれる添加剤が昆虫死骸分解層に移行するのを妨げるための添加剤移行防止層、等を形成してもよい。また、昆虫死骸分解層が形成された面とは反対の面には、膜材表面の傷つきを防ぐための傷つき防止層、表面の汚れを防ぐための防汚層、光天井用膜材をロール状に巻き取って保管している間に、反対面側の可撓性樹脂層に含まれる添加剤が昆虫死骸分解層上に移行して光触媒性が低下するのを防ぐための添加剤移行防止層、意匠性を付与するための印刷層、等を従来公知の方法で形成しても良い。
本発明の光天井用膜材は30〜70%の可視光透過率(JIS−Z8722)を有する光拡散透過性シートであることが好ましく、特に40〜60%が好ましい。可視光透過率が30%未満であると光天井に用いた場合、照明として十分な照度が得られなくなることがあり、また70%を超えると光源の存在が目立つようになるだけでなく、昆虫死骸(昆虫死骸分解層による分解途中の状態を包含する)の散在の痕跡が目だってしまうことがある。
本発明の光天井システムは、上述の可視光透過率を有する光拡散透過性シートを光天井用膜材として用い、その背面に、蛍光灯などの光源を配置してなる光天井構造物であり、光拡散透過性シートにおいて、少なくとも蛍光灯に対面する面に、可視光応答型の光触媒性物質を含む昆虫死骸分解層が設けられていることで、光天井構造物内部に入り込んだ虫の死骸を分解して、更に光拡散透過性シートの有する光学特性によって昆虫死骸の陰影痕を緩和して目立たなくすることが可能となる。これによりメンテナンスの負担を大幅に軽減することができる。
図6は本発明の光天井システムの一例を示すものである。光天井用膜材としては、建築基準法に規定される難燃性、または不燃性を有することが好ましく、具体的には、輻射電気ヒーターを用いて50kW/mの輻射熱を照射する発熱性試験(ASTM−E1354:コーンカロリーメーター試験法)において、加熱開始後20分間の総発熱量が8MJ/m以下であり、かつ加熱開始後20分間、最高発熱速度が10秒以上継続して200kW/mを超えないことを満足する不燃性を有する光拡散透過性シートであることが好ましい。このような不燃性の光拡散透過性シート(4)は、ガラス繊維織布(目付質量200〜300g/m 、空隙率1%以下の非目抜け平織)を基材として、この1面以上に可撓性樹脂層を設けることで得られ、特に高層ホテル、インテリジェントビル、ステーションビル、エアポート、駅舎構内、地下街通路、大型商業施設、アミューズメント施設、冠婚葬祭式場、総合病院、及び各種公共施設などにおける大面積の天井に適して用いることが可能で、更にはエレベーターかご内の天井や鉄道車両の天井などにも用いることができる。光天井用膜材は天井の全面に用いても良いし、所望の一部分だけに用いても良い。光拡散透過性シート(4)の背面には蛍光灯(5)が配置されている。蛍光灯は400nmから800nmの波長の光を放射する照明用蛍光灯であれば特に限定は無く、LED使用の蛍光灯を用いることもできる。照明用蛍光灯は、三波長形蛍光灯、高演色形蛍光灯、一般型蛍光灯のいずれの形式も使用でき、これらの色温度は、昼光色(5700K〜7100K)、昼白色(4600K〜5400K)、白色(3900K〜4500K)、温白色(3200K〜3700K)、電球色(2600K〜3150K)など、いずれのタイプを用いてもよい。天井の形状としては、図6の様な平面状に限らず、アーチ型やドーム型など曲面状の天井であっても良い。
以下、本発明について実施例を挙げて具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
以下の実施例および比較例において、編織布として下記の基布を用いた。基布の寸法は全てたて(経糸方向)150cm×よこ(緯糸方向)150cmとした。
(基布1)
フィラメント直径9μm/750dtexのガラス繊維(naおよびnb:1.556)
を用いたガラス繊維平織り布
織密度 たて(経糸) 40本/インチ よこ(緯糸) 30本/インチ
精練(ヒートクリーニング)
シランカップリング処理 メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(東レ・ダウ
コーニング社製Z6030)
(基布2)
ナイロン333dtexマルチフィラメント(na:1.578、nb:1.522)
を用いた平織り布
密度 たて(経糸) 40本/インチ よこ(緯糸) 30本/インチ
(基布3)
ポリプロピレン278dtexマルチフィラメント
(na:1.530、nb:1.496)を用いた平織り布
密度 たて(経糸) 40本/インチ よこ(緯糸) 30本/インチ
(基布4)
フィラメント直径9μm/750dtexで基布1とは屈折率の異なるガラス繊維
(naおよびnb:1.524)を用いたガラス繊維平織り布
密度 たて(経糸) 40本/インチ よこ(緯糸) 30本/インチ
精練(ヒートクリーニング)
シランカップリング処理 メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(東レ・ダウ
コーニング社製Z6030)
実施例及び比較例で作成した光天井用膜材(光拡散透過性シート)について図7の様な光天井モデルを作製し、蛍光灯の視認性、照度、延伸フィラメントの陰影について下記の通り評価を行った。光天井に用いた光拡散透過性シート(4)のサイズはたて150cm×よこ150cm、であり、光拡散透過性シート(4)の昆虫死骸分解層(3)側を蛍光灯に対面させて取り付け、光拡散透過性シート(4)の面が床面から3mの高さになる様に平面施工し、背面に36ワット40型の直管3波長形昼白色蛍光灯(5)を6本並行に25cm間隔で均等に配置し、点灯した状態で評価した。なお、図7において、光拡散透過性シートと蛍光灯以外の要素(蛍光灯器具、ハウジング、電源、配線など)の表現は省略した。
<背面の蛍光灯の視認性>
下方から、光拡散透過性シートの面に対して垂直の角度で1m離れた位置から観察し、
以下の基準で評価した。
1:光拡散透過性シート全面がほぼ均一に光り、蛍光灯がほとんど視認できず、位置
もわからない
2:蛍光灯は視認できないが、光拡散透過性シート表面の明るさにややムラがあり、
蛍光灯の位置も概ね見当をつけられる
3:光拡散透過性シートを通して蛍光灯が視認できる
<照度>
光拡散透過性シートの中心直下2mの位置で、照度計IM−2D(入江(株)製)を使
用し照度を測定した。
<延伸フィラメントの陰影>
下方から、シートの面に対して垂直の角度で1m離れた位置で観察し、延伸フィラメン
トによる陰影の有無を以下の様に評価した。
1:延伸フィラメントの陰影がほとんど視認できない
2:延伸フィラメントの陰影により基布の存在が目立つ
<シートの表面粗さRz値:JIS−B0601>
光拡散透過性シートの断面の粗さ曲線から基準長さだけを抜き取った部分において、最
高から5番目までの山頂の標高の平均値と最深から5番目までの谷底の標高の平均値との
差の値を求めた。
<シートの表面凹凸の平均間隔Sm値:JIS−B0601>
光拡散透過性シートの断面の粗さ曲線から基準長さだけを抜き取った部分において、1
つの山およびそれに隣り合う1つの谷に対応する平均線の長さの和を平均値で求めた。
<昆虫死骸分解性および昆虫陰影痕防止性>
内側のサイズが幅50cm×高さ20cm×奥行き20cmの透明なアクリル製の箱の
底面に、昆虫死骸分解層(3)側を上に向けて光拡散透過性シート(4)を敷き、その
中心に胴体長5mmのユスリ蚊の死骸(8)を10cm間隔で3体置き、図8の様に光拡散透過性シートから10cmの位置に15ワット15型の直管3波長形昼白色蛍光灯を1本配置した。蛍光灯を1日あたり16時間点灯して、30日経過後及び60日経過後に状態を確認し、以下の様に評価した。
1:ユスリ蚊の死骸の痕跡が確認できない程度まで分解されていた
2:ユスリ蚊の死骸の分解は完全ではないが50%以上が分解されていた
3:ユスリ蚊の死骸の分解はまだ不完全であり、50%以上が残存していた
4:ユスリ蚊の死骸の分解は不完全であり、体躯の朽壊のみであった
5:ユスリ蚊の死骸は分解されず原型を留めていた
また、試験開始直後、30日経過後及び60日経過後に、蛍光灯を点灯した状態で、下
方からシートの面に対して垂直の角度で上記箱の底面側真下の1m離れた位置から、ユ
スリ蚊の陰影痕が視認できるかどうか観察し、以下の様に評価した。
1:陰影痕は視認できない、もしくはほとんど目立たなかった
2:陰影痕がはっきりと視認された
なお、箱にはフィルターを通してファンで空気を送り込むことで内部の圧力を外部より
も高く保ち、蛍光灯の配線のための穴や、箱の隙間などから他の虫が侵入しない様にす
るとともに、箱内部の温度上昇を抑えた。また、図8において、配線、蛍光灯器具、フ
ァン、箱、などに関しては表現を省略した。
<可視光透過率>
光拡散透過性シートの可視光透過率を、分光側色計CM−3600d(コニカミノルタ(株)製)を使用し、JIS−Z8722に従って測定した。
<引張強度>
光拡散透過性シートから基布の糸目に沿って経糸方向30cm、緯糸方向3cmの短冊
(経方向試料)、経糸方向3cm、幅方向30cmの短冊(緯方向試料)をそれぞれ採
取し、JISL1096ストリップ法により引張試験を行い、破断強さ(N/3cm)
を求めた。
<燃焼試験>(ASTM−E1354:コーンカロリーメーター試験法)
輻射電気ヒーターによる50kW/mの輻射熱を光天井用膜材に20分間照射し、こ
の発熱性試験において、20分間の総発熱量と発熱速度を測定し、試験後の膜材外観を
観察した。
(a)総発熱量:8MJ/m以下のものを適合とした。
(b)発熱速度:10秒以上継続して200kW/mを超えないものを適合とした。
(c)外観観察:直径0.5mmを超えるピンホール陥没痕の発生がないものを適合と
した。
[実施例1]
下記配合1の熱硬化型ビニルエステル樹脂組成物を20分間撹拌し、その後減圧下で静置脱泡し、未硬化の樹脂組成物液1を得た。また、下記配合2の光拡散性物質からなる粒子を含有する熱硬化型ビニルエステル樹脂組成物を20分間撹拌し、その後減圧下で静置脱泡し、未硬化の樹脂組成物液2を得た。得られた樹脂組成物液1をたて150cm×よこ150cmのバットに深さ2cmとなる様に入れ、その樹脂液槽に基布1を広げて浸漬し、減圧下で10分間静置して、基布1に樹脂組成物液1を完全に含浸させた。次いで、常圧下でバットから基布1を引き出し、ドクターブレードで両面の余分な樹脂組成物液1を掻き落とし、窒素置換したオーブン内で100℃×30分加熱硬化することで、ディップ加工により、基布1の両面に下記配合1からなる可撓性樹脂を積層したシートを得た。次に、厚さ50μm、たて150cm×よこ150cmのポリエステルフィルムを用意し、その1面上に樹脂組成物液2を0.2mmのクリアランスでコートし、間に空気が入らないよう注意して、先に作成したシートに重ねあわせ、窒素置換したオーブン内で80℃×30分加熱し、更に100℃×10分加熱して樹脂を固化してからポリエステルフィルムをはがして、光拡散性物質からなる粒子を含有する可撓性樹脂層を形成した。硬化した可撓性樹脂の屈折率n1は1.592、基布1のガラス繊維の屈折率naおよびnbとの差の絶対値は0.036(n1>na=nb)であった。次いで光拡散性物質からなる粒子を含有する可撓性樹脂層を形成したのとは反対面に、下記配合3の接着・保護層形成用塗布液をグラビアコーターで塗布し、100℃×1分乾燥後冷却して、1.5g/mの接着・保護層を形成し、その上に、更に下記配合4の昆虫死骸分解層(可視光応答型光触媒含有層)形成用塗布液をグラビアコーターで塗布し、120℃で2分間乾燥後冷却して、1.5g/mの昆虫死骸分解層を形成して、光天井用膜材を得た。
<配合1>熱硬化型ビニルエステル樹脂組成物
ビニルエステル樹脂 100質量部
(日本ユピカ(株)製 商品名:ネオポール8319)
硬化剤 1質量部
(ジ−(4−tert−ブチルシクロヘキシル)パ−オキシジカ-ボネ-ト)
<配合2>光拡散性物質からなる粒子を含有する熱硬化型ビニルエステル樹脂組成物
ビニルエステル樹脂 100質量部
(日本ユピカ(株)製 商品名:ネオポール8319)
硬化剤 1質量部
(ジ−(4−tert−ブチルシクロヘキシル)パ−オキシジカ-ボネ-ト)
架橋ポリメタクリル酸メチル粒子(光拡散性物質からなる粒子) 40質量部
(積水化成品工業(株)製:MBX−5:平均粒子径5μm:アスペクト比1.0)
<配合3>接着・保護層
シリコーン含有量3mol%のアクリルシリコーン樹脂を8質量%(固形分)含有する
エタノール−酢酸エチル(50/50質量比)溶液 100質量部
メチルシリケートMS51(コルコート(株))の
20%エタノール溶液(ポリシロキサン) 8質量部
γ−メタアクリルオキシプロピルトリメトキシシラン
(シランカップリング剤) 1質量部
<配合4>昆虫死骸分解層(可視光応答型光触媒含有層)
スノーテックスO(コロイダルシリカ:日産化学工業(株)製) 67質量部
メチルトリメトキシシラン 33質量部
酸化タングステン(WO)微粒子 27質量部
酸化銅(CuO)微粒子 3質量部
希釈溶剤(メチルアルコール) 50質量部
得られた光天井用膜材を用いて各種評価を行った。結果を表1に示す。
[実施例2]
下記配合5の熱硬化型ビニルエステル樹脂組成物を20分間撹拌し、その後減圧下で静置脱泡し、未硬化の樹脂組成物液5を得た。また、下記配合6の光拡散性物質からなる粒子を含有する熱硬化型ビニルエステル樹脂組成物を20分間撹拌し、その後減圧下で静置脱泡し、未硬化の樹脂組成物液6を得た。得られた樹脂組成物液5をたて150cm×よこ150cmのバットに深さ2cmとなる様に入れ、その樹脂液槽に基布2を広げて浸漬し、減圧下で10分間静置して、基布2に樹脂組成物液5を完全に含浸させた。次いで、常圧下でバットから基布2を引き出し、ドクターブレードで両面の余分な樹脂組成物液を掻き落とし、窒素置換したオーブン内で100℃×30分加熱硬化することで、ディップ加工により基布2の両面に下記配合5からなる可撓性樹脂を積層したシートを得た。次に、厚さ50μm、たて150cm×よこ150cmのポリエステルフィルムを用意し、その1面上に樹脂組成物液6を0.2mmのクリアランスでコートし、間に空気が入らないよう注意して、先に作成したシートに重ねあわせ、窒素置換したオーブン内で80℃×30分加熱し、更に100℃×10分加熱して樹脂を固化してからポリエステルフィルムをはがして、光拡散性物質からなる粒子を含有する可撓性樹脂層を形成した。硬化した可撓性樹脂の屈折率n1は1.554であり、基布2のナイロン繊維の延伸方向の屈折率naとの差の絶対値が0.024(n1<na)、延伸垂直方向の屈折率nbとの差の絶対値は0.032(n1>nb)であった。次いで光拡散性物質からなる粒子を含有する可撓性樹脂層を形成したのとは反対面に、実施例1と同様に接着・保護層と昆虫死骸分解層(可視光応答型光触媒含有層)を形成して、光天井用膜材を得た。
<配合5>熱硬化型ビニルエステル樹脂組成物
ビニルエステル樹脂 100質量部
(昭和高分子(株)製SSP50−C06)
硬化剤 1質量部
(ジ−(4−tert−ブチルシクロヘキシル)パ−オキシジカ-ボネ-ト)
<配合6>光拡散性物質からなる粒子を含有する熱硬化型ビニルエステル樹脂組成物
ビニルエステル樹脂 100質量部
(昭和高分子(株)製SSP50−C06)
硬化剤 1質量部
(ジ−(4−tert−ブチルシクロヘキシル)パ−オキシジカ-ボネ-ト)
酸化チタン粒子(光拡散性物質からなる粒子) 0.4質量部
(平均粒子径0.4μm:アスペクト比1.0〜4.0の不定形粒子)
得られた光天井用膜材を用いて各種評価を行った。結果を表1に示す。
[実施例3]
下記配合7のシリコーンゴム加工液を減圧下で静置脱泡し、未硬化の樹脂組成物液7を得た。また、下記配合8の光拡散性物質からなる粒子を含有するシリコーンゴム組成物を20分間撹拌し、その後減圧下で静置脱泡し、未硬化の樹脂組成物液8を得た。得られた樹脂組成物液7をたて150cm×よこ150cmのバットに深さ2cmとなる様に入れ、その樹脂液槽に基布1を広げて浸漬し、減圧下で10分間静置して、基布1に樹脂組成物液7を完全に含浸させた。次いで、常圧下でバットから基布1を引き出し、ドクターブレードで両面の余分な樹脂組成物液を掻き落とし、基布1の両面に未硬化の可撓性樹脂7をコートしたシートを得た。次に、厚さ50μm、たて150cm×よこ150cmのポリエステルフィルムを用意し、その1面上に樹脂組成物液8を0.2mmのクリアランスでコートし、間に空気が入らないよう注意して、先に作成したシートに重ねあわせ、オーブン内で80℃×30分加熱し、更に110℃×10分加熱して樹脂を固化してからポリエステルフィルムをはがして光拡散性物質からなる粒子を含有する可撓性樹脂層を形成し、光拡散透過性シートを得た。硬化した可撓性樹脂の屈折率n1は1.500、基布1のガラス繊維の屈折率naおよびnbとの差の絶対値は0.056(n1<na=nb)であった。次いで、光拡散性物質からなる粒子を含有する可撓性樹脂層を形成した面とは反対面にコロナ放電処理を施してから、実施例1と同様に、昆虫死骸分解層(可視光応答型光触媒含有層)を形成して、光拡散透過性シートを得た。
<配合7>シリコーンゴム加工液
CY52−1162
(東レダウコーニングシリコーン(株)社製シリコーンゴム) 100質量部
<配合8>光拡散性物質からなる粒子を含有するシリコーンゴム組成物
CY52−1162
(東レダウコーニングシリコーン(株)社製シリコーンゴム) 100質量部
架橋ポリスチレン樹脂粒子(光拡散性物質からなる粒子) 100質量部
(積水化成品工業(株)製:SBX−6:平均粒子径6μm:アスペクト比1.0)
得られた光拡散透過性シートを用いて各種評価を行った。結果を表1に示す。
[実施例4]
基布3を用いた以外は実施例2と同様に光天井用膜材を作成した。硬化した可撓性樹脂の屈折率n1は1.554であり、基布を構成するポリプロピレン繊維の延伸方向の屈折率naとの差の絶対値が0.024(n1>n21)、延伸垂直方向の屈折率nbとの差の絶対値は0.058(n1>n22)であった。得られた光天井用膜材を用いて各種評価を行った。結果を表1に示す。
[実施例5]
下記配合9の軟質塩ビ樹脂組成物を20分間混合撹拌してから30分静置して脱泡し樹脂組成物液9を得た。また、下記配合10の光拡散性物質からなる粒子を含有する軟質塩ビ樹脂組成物を20分間混合撹拌してから30分静置して脱泡し樹脂組成物液10を得た。得られた樹脂組成物液9をたて150cm×よこ150cmのバットに深さ2cmとなる様に入れ、その樹脂液槽に基布4を広げて浸漬し、引き上げると同時にマングルロールで圧搾し、基布4に樹脂組成物液9を完全に含浸させた。次いで、オーブン内で160℃×2分加熱して樹脂をゲル化することで、ディップ加工により基布4の両面に配合9の可撓性樹脂を積層したシートを得た。次に、得られたシートの1面上に樹脂組成物液10を0.2mmのクリアランスでコートし、オーブン内で160℃×1分加熱し、更に180℃×2分加熱してキュアーし光拡散性物質からなる粒子を含有する可撓性樹脂層を形成した。可撓性樹脂の屈折率n1は1.548、基布4のガラス繊維の屈折率naおよびnbとの差の絶対値は0.024(n1>na=nb)であった。次いで、表裏両面に下記配合11からなる加工液をグラビアコーターを用いて塗布し、120℃で1分間乾燥後冷却して5g/mの添加剤移行防止層を形成した。次いで、光拡散性物質からなる粒子を含有する可撓性樹脂層を形成したのとは反対面に下記配合12からなる加工液をグラビアコーターを用いて塗布し、100℃で1分間乾燥後冷却して1.5g/mの接着・保護層を形成し、更に、その上に実施例1と同様に1.5g/mの昆虫死骸分解層(可視光応答型光触媒含有層)を形成し、光天井用膜材を得た。
<配合9>軟質塩ビ樹脂組成物
乳化重合ポリ塩化ビニル樹脂 100質量部
リン酸トリクレジル(可塑剤) 30質量部
リン酸クレジルフェニル(可塑剤) 40質量部
ステアリン酸亜鉛(安定剤) 2質量部
ステアリン酸バリウム(安定剤) 2質量部
<配合10>光拡散性物質からなる粒子を含有する軟質塩ビ樹脂組成物
乳化重合ポリ塩化ビニル樹脂 100質量部
リン酸トリクレジル(可塑剤) 30質量部
リン酸クレジルフェニル(可塑剤) 40質量部
ステアリン酸亜鉛(安定剤) 2質量部
ステアリン酸バリウム(安定剤) 2質量部
架橋ポリメタクリル酸メチル粒子(光拡散性物質からなる粒子) 60質量部
(積水化成品工業(株)製:MBX−5:平均粒子径5μm:アスペクト比1.0)
<配合11>添加剤移行防止層
ビニリデンフルオライド−テトラフルオロエチレン共重合体樹脂 20質量部
(商標:カイナー7201:エルフ・アトケム・ジャパン(株))
MEK(溶剤) 80質量部
<配合12>接着・保護層
シリコーン含有量3mol%のアクリルシリコーン樹脂を8質量%(固形分)含有する
エタノール−酢酸エチル(50/50質量比)溶液 100質量部
メチルシリケートMS51(コルコート(株))の20%エタノール溶液
(ポリシロキサン) 8質量部
γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(シランカップリング剤 )1質量部
得られた光天井用膜材を用いて各種評価を行った。結果を表1に示す。
[実施例6]
実施例5と同様に調整した樹脂組成物液9をたて150cm×よこ150cmのバットに深さ2cmとなる様に入れ、その樹脂液槽に基布4を広げて浸漬し、引き上げると同時にマングルロールで圧搾し、基布4に樹脂組成物液9を完全に含浸させた。次いで、オーブン内で160℃×2分加熱して樹脂をゲル化することで、ディップ加工により基布4の両面に配合9の可撓性樹脂を積層したシートを得た。次いで、前記シートの1面上に樹脂組成物液9を0.1mmのクリアランスでコートし、もう一方の1面上に実施例4と同様に調整した樹脂組成物液10を0.1mmのクリアランスでコートし、オーブン内で160℃×1分加熱し、更に180℃×2分加熱してキュアーした。可撓性樹脂の屈折率n1は1.548、基布4のガラス繊維の屈折率naおよびnbとの差の絶対値は0.024(n1>n21=n22)であった。更に、実施例5と同様に、5g/mの添加剤移行防止層を両面に形成し、次いで、樹脂組成物液10をコートした面側に実施例5と同様に接着・保護層を形成し、更に、その上に実施例1と同様に1.5g/mの昆虫死骸分解層(可視光応答型光触媒含有層)を形成して、光天井用膜材を得た。
得られた光天井用膜材を用いて各種評価を行った。結果を表1に示す。
[実施例7]
実施例6と同様にして光天井用膜材を得た。ただし、樹脂組成物液10をコートした面側に、エンボスによりRz値50μm、Sm値0.2mmの凹凸を形成してから接着保護層と昆虫死骸分解層(可視光応答型光触媒含有層)を形成した。
得られた光天井用膜材を用いて各種評価を行った。結果を表1に示す。
[実施例8]
下記配合13の光拡散性物質からなる粒子を含有する軟質塩ビ樹脂組成物を20分間混合撹拌してから30分静置して脱泡し樹脂組成物液13を得た。得られた樹脂組成物液13をたて150cm×よこ150cmのバットに深さ2cmとなる様に入れ、その樹脂液槽に基布2を広げて浸漬し、引き上げると同時にマングルロールで圧搾し、基布2に樹脂組成物液13を完全に含浸させた。次いで、オーブン内で160℃×2分加熱し、更に180℃×2分加熱してキュアーして、ディップ加工により基布2の両面に配合13の可撓性樹脂を積層した。可撓性樹脂の屈折率n1は1.520、基布2のナイロン繊維の延伸方向の屈折率naとの差の絶対値が0.058(n1<na)、延伸垂直方向の屈折率nbとの差の絶対値は0.002(n1<nb)であった。更に、実施例5と同様に、5g/mの添加剤移行防止層を両面に形成し、次いで、その一方の面に実施例5と同様に接着・保護層を形成し、更に、その上に実施例1と同様に1.5g/mの昆虫死骸分解層(可視光応答型光触媒含有層)を形成して、光天井用膜材を得た。
<配合13>光拡散性物質からなる粒子を含有する軟質塩ビ樹脂組成物
乳化重合ポリ塩化ビニル樹脂 100質量部
リン酸トリクレジル(可塑剤) 100質量部
フタル酸ジ−2−エチルヘキシル(可塑剤) 120質量部
ステアリン酸亜鉛(安定剤) 2質量部
ステアリン酸バリウム(安定剤) 2質量部
架橋ポリメタクリル酸メチル粒子(光拡散性物質からなる粒子) 100質量部
(積水化成品工業(株)製:MBX−5:平均粒子径5μm:アスペクト比1.0)
得られた光天井用膜材を用いて各種評価を行った。結果を表1に示す。
[実施例9]
配合2の光拡散性物質からなる粒子を含有する熱硬化型ビニルエステル樹脂組成物を20分間撹拌し、その後減圧下で静置脱泡し、未硬化の樹脂組成物液2を得た。得られた樹脂組成物液2をたて150cm×よこ150cmのバットに深さ2cmとなる様に入れ、その樹脂液槽に基布1を広げて浸漬し、減圧下で10分間静置して、基布1に樹脂組成物液2を完全に含浸させた。次いで、常圧下でバットから基布1を引き出し、ドクターブレードで両面の余分な樹脂組成物液2を掻き落とし、窒素置換したオーブン内で100℃×30分加熱硬化することで、ディップ加工により、基布1の両面に配合2からなる可撓性樹脂を積層した。硬化した可撓性樹脂の屈折率n1は1.592、基布1のガラス繊維の屈折率naおよびnbとの差の絶対値は0.036(n1>na=nb)であった。次いで、その一方の面に、実施例1と同様に、接着・保護層と昆虫死骸分解層(可視光応答型光触媒含有層)を形成して、光天井用膜材を得た。得られた光天井用膜材を用いて各種評価を行った。結果を表1に示す。
[実施例10]
配合10の光拡散性物質からなる粒子を含有する軟質塩ビ樹脂組成物を20分間混合撹拌してから30分静置して脱泡し樹脂組成物液10を得た。次いで、基布4の1面上に樹脂組成物液10を0.2mmのクリアランスでコートし、オーブン内で160℃×1分加熱し、更に180℃×2分加熱してキュアーし光拡散性物質からなる粒子を含有する可撓性樹脂層を形成した。可撓性樹脂の屈折率n1は1.548、基布4のガラス繊維の屈折率naおよびnbとの差の絶対値は0.024(n1>na=nb)であった。更に、前記光拡散性物質からなる粒子を含有する可撓性樹脂層上に配合11からなる加工液をグラビアコーターを用いて塗布し、120℃で1分間乾燥後冷却して5g/mの添加剤移行防止層を形成した。次いで、光拡散性物質からなる粒子を含有する可撓性樹脂層を形成したのとは反対面に配合4からなる加工液をグラビアコーターを用いて塗布し、120℃で2分間乾燥後冷却して1.5g/mの昆虫死骸分解層(可視光応答型光触媒含有層)を形成し、光天井用膜材を得た。得られた光天井用膜材を用いて各種評価を行った。結果を表1に示す。
[実施例11]
配合10の光拡散性物質からなる粒子を含有する軟質塩ビ樹脂組成物を20分間混合撹拌してから30分静置して脱泡し樹脂組成物液10を得た。次いで、基布4の1面上に樹脂組成物液10を0.2mmのクリアランスでコートし、オーブン内で160℃×1分加熱し、更に180℃×2分加熱してキュアーし光拡散性物質からなる粒子を含有する可撓性樹脂層を形成した。可撓性樹脂の屈折率n1は1.548、基布4のガラス繊維の屈折率naおよびnbとの差の絶対値は0.024(n1>na=nb)であった。更に、前記光拡散性物質からなる粒子を含有する可撓性樹脂層上に配合11からなる加工液をグラビアコーターを用いて塗布し、120℃で1分間乾燥後冷却して5g/mの添加剤移行防止層を形成した。次いで、前記添加剤移行防止層上に実施例5と同様にして接着・保護層と昆虫死骸分解層(可視光応答型光触媒含有層)を形成して、光天井用膜材を得た。得られた光天井用膜材を用いて各種評価を行った。結果を表1に示す。
実施例1〜11の光天井用膜材は、いずれも可視光透過率が高く、光天井用膜材として充分な強度を有するものであった。これら光天井用膜材を用いた光天井システムは、背後に配置された蛍光灯の存在がほとんど視認できず、また光天井用膜材に含む基布の延伸フィラメントの陰影もほとんど視認できないにもかかわらず極めて高い照度が得られるものであった。更に、ユスリ蚊などの飛翔昆虫類の分解性と光天井用膜材の拡散効果を有することにより、光天井システムにユスリ蚊が迷込んだ場合、ユスリ蚊の死骸は30日後にはその陰影痕として目立たない存在となっていた。中でも、実施例1〜4および7〜11の昆虫死骸分解層の表面は、いずれもRz値10〜200μm、Sm値0.1〜3mmを満たしていることで、30日後にはユスリ蚊の分解が効果的に進み、僅かな残骸痕跡とすることで陰影痕の存在は皆無の状態であった。また、実施例1、3、5〜7、9〜11の光天井用膜材は、いずれも不燃性の規格に適合するものであった。
[比較例1]
基布1を用いた以外は実施例2と同様にシートを作成した。可撓性樹脂層の屈折率n1は1.554、基布1のガラス繊維の屈折率naおよびnbとの差の絶対値は0.002(n1<na=nb)であった。得られたシートを用いて各種評価を行った。結果を表2に示す。
[比較例2]
基布4を用いた以外は実施例8と同様にシートを作成した。可撓性樹脂層の屈折率n1は1.520、基布4のガラス繊維の屈折率naおよびnbとの差の絶対値は0.004(n1<na=nb)であった。得られたシートを用いて各種評価を行った。結果を表2に示す。
比較例1および2のシートは、|n1−na|が0.02未満であり、延伸フィラメントと可撓性樹脂の界面での適度な光拡散が得られないため、シート面の明るさにややムラがあり、蛍光灯の存在が目立ち、光天井用膜材として不向きなシートであった。また、ユスリ蚊の分解過程において、30日経過時点の残骸は、延伸フィラメントと可撓性樹脂との界面での光拡散効果が不十分であるため陰影痕となって目立っていた。
[比較例3]
実施例2と同様に調整した配合5の樹脂組成物液5をたて150cm×よこ150cmのバットに深さ2cmとなる様に入れ、その樹脂液槽に基布1を広げて浸漬し、減圧下で10分間静置して、基布1に樹脂組成物液5を完全に含浸させた。次いで、常圧下でバットから基布1を引き出し、ドクターブレードで両面の余分な樹脂組成物液を掻き落とし、窒素置換したオーブン内で100℃×30分加熱硬化することで、ディップ加工により基布1の両面に配合5からなる可撓性樹脂を積層したシートを得た。次に、厚さ50μm、たて150cm×よこ150cmのポリエステルフィルムを用意し、その1面上に樹脂組成物液5を0.2mmのクリアランスでコートし、間に空気が入らないよう注意して、先に作成したシートに重ねあわせ、窒素置換したオーブン内で80℃×30分加熱し、更に100℃×10分加熱して樹脂を固化してからポリエステルフィルムをはがして、光拡散性物質からなる粒子を含有しない可撓性樹脂層を形成した。硬化した可撓性樹脂の屈折率n1は1.554であり、基布1のガラス繊維の屈折率naおよびnbとの差の絶対値は0.002(n1<na=nb)であった。次いで、樹脂組成物液5からなる層を積層した面とは反対面に、実施例1と同様に、接着・保護層と昆虫死骸分解層(可視光応答型光触媒含有層)を形成してシートを得た。得られたシートを用いて各種評価を行った。結果を表2に示す。
比較例3のシートは|n1−na|が0.02未満であり、しかも光拡散性物質からなる粒子を含有しないため、シートでの光拡散効果のない透視性の高いシートであるため、シートを通して蛍光灯の存在がはっきり視認でき、光天井用膜材として用いることのできないシートであった。また、ユスリ蚊の分解過程において、30日経過時点での小さな残骸ですらシートを通して残骸の存在が直接視認できた。
[比較例4]
下記配合14のシリコーンゴム組成物を20分間撹拌し、その後減圧下で静置脱泡し、未硬化の樹脂組成物液14を得た。また、下記配合15の光拡散性物質からなる粒子を含有するシリコーンゴム組成物を20分間撹拌し、その後減圧下で静置脱泡し、未硬化の樹脂組成物液15を得た。得られた樹脂組成物液14をたて150cm×よこ150cmのバットに深さ2cmとなる様に入れ、その樹脂液槽に基布4を広げて浸漬し、減圧下で10分間静置して、基布4に樹脂組成物液14を完全に含浸させた。次いで、常圧下でバットから基布4を引き出し、ドクターブレードで両面の余分な樹脂組成物液を掻き落とし、基布4の両面に未硬化の可撓性樹脂12をコートしたシートを得た。次に、厚さ50μm、たて150cm×よこ150cmのポリエステルフィルムを用意し、その1面上に樹脂組成物液15を0.2mmのクリアランスでコートし、間に空気が入らないよう注意して、先に作成したシートに重ねあわせ、オーブン内で80℃×30分加熱し、更に110℃×10分加熱して樹脂を固化してからポリエステルフィルムをはがして光拡散性物質からなる粒子を含有する可撓性樹脂層を形成し、光拡散透過性シートを得た。硬化した可撓性樹脂の屈折率n1は1.401、基布4のガラス繊維の屈折率naおよびnbとの差の絶対値は0.123(n1<na=nb)であった。次いで、光拡散性物質からなる粒子を含有する可撓性樹脂層を形成した面とは反対面にコロナ放電処理を施してから、実施例1と同様に、昆虫死骸分解層(可視光応答型光触媒含有層)を形成してシートを得た。
<配合14>シリコーンゴム組成物
CY52−110(東レダウコーニングシリコーン(株)社製シリコーンゴム)
A液 50質量部
B液 50質量部
<配合15>光拡散性物質からなる粒子を含有するシリコーンゴム組成物
CY52−110(東レダウコーニングシリコーン(株)社製シリコーンゴム)
A液 50質量部
B液 50質量部
架橋ポリスチレン樹脂粒子(光拡散性物質からなる粒子) 100質量部
(積水化成品工業(株)製:SBX−6:平均粒子径6μm:アスペクト比1.0)
得られた光拡散透過性シートを用いて各種評価を行った。結果を表2に示す。
比較例4のシートは、全面がほぼ均一な明るさであり、蛍光灯の位置もわからず、また、ユスリ蚊の陰影痕を目立たなくする効果も有していたが、延伸フィラメントと可撓性樹脂の屈折率差が大きく、その界面での光の拡散が過剰であるため、延伸フィラメントの陰影が克明に視認されるなど、光天井用膜材として基布の存在が目立つシートであった。
[比較例5]
厚さ50μm、たて150cm×よこ150cmのポリエステルフィルムを用意し、その1面上に実施例5と同様に調整した配合9の樹脂組成物液9を0.22mmのクリアランスでコートし、オーブン内で160℃×1分加熱しゲル化させた。次いで、ゲル化した配合9の面上に、実施例5と同様に調整した配合10の光拡散性物質からなる粒子を含む樹脂組成物液10を0.22mmのクリアランスでコートし、オーブン内で160℃×1分加熱し、更に180℃×2分加熱してキュアーし、ポリエステルフィルムをはがして、編織布を含まないシートを得た。更に、実施例5と同様に両面に添加剤移行防止層を形成し、次いで、樹脂組成物液10をコートしたのとは反対側の面上に実施例5と同様に接着・保護層および昆虫死骸分解層(可視光応答型光触媒含有層)を形成した。得られたシートを用いて各種評価を行った。結果を表2に示す。
比較例5のシートは、編織布を含まないため延伸フィラメントと可撓性樹脂の界面での適度な光拡散が得られず、シート面の明るさにややムラがあり、蛍光灯の存在が目立っていた。また、編織布を含まないため強度が不十分であり、光天井構造物に取り付ける際にテンションをかけることができず、たるみを生じ、光天井用膜材として不向きなシートであった。一方、昆虫死骸分解途中の30日経過時点では小さな残骸が残っていたのみであったにもかかわらず、延伸フィラメントと可撓性樹脂との界面での光拡散効果が無いため、陰影痕が目立っていた。
[比較例6]
配合9の代わりに下記配合16の光拡散性物質からなる粒子を含有する軟質塩ビ樹脂組成物を、配合10の代わりに下記配合17の光拡散性物質からなる粒子を含有する軟質塩ビ樹脂組成物を、それぞれ用いた以外は実施例5と同様に光拡散透過性シートを作成した。可撓性樹脂の屈折率n1は1.548、基布4のガラス繊維の屈折率naおよびnbとの差の絶対値は0.024(n1>n21=n22)であった。
<配合16>光拡散性物質からなる粒子を含有する軟質塩ビ樹脂組成物
乳化重合ポリ塩化ビニル樹脂 100質量部
リン酸トリクレジル(可塑剤) 30質量部
リン酸クレジルフェニル(可塑剤) 40質量部
ステアリン酸亜鉛(安定剤) 2質量部
ステアリン酸バリウム(安定剤) 2質量部
酸化チタン粒子(光拡散性物質からなる粒子) 4質量部
(平均粒子径0.4μm:アスペクト比1.0〜4.0の不定形粒子)
<配合17>光拡散性物質からなる粒子を含有する軟質塩ビ樹脂組成物
乳化重合ポリ塩化ビニル樹脂 100質量部
リン酸トリクレジル(可塑剤) 30質量部
リン酸クレジルフェニル(可塑剤) 40質量部
ステアリン酸亜鉛(安定剤) 2質量部
ステアリン酸バリウム(安定剤) 2質量部
架橋ポリメタクリル酸メチル粒子(光拡散性物質からなる粒子) 160質量部
(積水化成品工業(株)製:MBX−5:平均粒子径5μm:アスペクト比1.0)
得られたシートを用いて各種評価を行った。結果を表2に示す。
比較例6のシートは可視光透過率が低いため、それを光天井に用いた評価では照度が低く、光天井用膜材として用いるには不向きなシートであった。
[比較例7]
配合4からなる昆虫死骸分解層(可視光応答型光触媒含有層)を形成する代わりに、下記配合18の光触媒処理液組成を用いて光触媒層を形成した以外は、実施例5と同様に光拡散透過性シートを作成した。得られた光拡散透過性シートを用いて各種評価を行った。結果を表2に示す。
<配合18>光触媒層処理液組成
酸化チタン含有量10質量%に相当する硝酸酸性酸化チタンゾルを分散させた
水−エタノール(50/50質量比)溶液 50質量部
酸化珪素含有量10質量%に相当する硝酸酸性シリカゾルを分散させた
水−エタノール(50/50質量比)溶液 50質量部
比較例7のシートの光触媒層は可視光による活性が十分ではなく、60日経過後でもユスリ蚊の死骸の残骸が大きなまま残っており、陰影痕として視認された。
[比較例8]
昆虫死骸分解層(可視光応答型光触媒含有層)を設けなかった以外は実施例5と同様にシートを作成した。得られたシートを用いて各種評価を行った。結果を表2に示す。
比較例8は昆虫死骸分解層(可視光応答型光触媒含有層)を有さず、60日経過後でもユスリ蚊の死骸がほぼ原型を留めており、陰影痕として視認された。
本発明によれば、光天井用途に適して用いることができる可撓性繊維複合膜材で、可視光透過性が高く且つ、適度な光拡散性を有し、特に光天井システム内に侵入した走光性昆虫の死骸による異物陰影を緩和したり、防止することが可能である光天井用膜材及び、その光天井システムを提供することができる。本発明の光天井用膜材と、その光天井システムは光天井システム内に侵入した走光性昆虫の死骸の分解が100%に満たなくても、可撓性繊維複合膜材の光学特性によって走光性昆虫の死骸の陰影痕を著しく緩和する効果を有しているため、ホテルのエントランス・ラウンジ・パーテイ会場、オフィスビル大会議室、冠婚葬祭式場、ステーションビル・空港内施設、地下街通路、大型商業施設、各種公共施設、エレベータかご内、鉄道車両内などの光天井照明シェ−ドに広く用いることができる。更に本発明おいて、火災対策上、不燃性を有する光天井用膜材と、その光天井システムを提供することも可能である。
1:編織布
1−a:延伸フィラメント側面図
1−b:延伸フィラメント断面図
2:可撓性樹脂層
2−1:光拡散性物質からなる粒子を含まない可撓性樹脂層
2−2:光拡散性物質からなる粒子を含む可撓性樹脂層
3:昆虫死骸分解層(可視光応答型光触媒含有層)
4:光天井用膜材(光拡散透過性シート)
5:光源(蛍光灯)
6:吊り具
7:枠
8:ユスリ蚊

Claims (9)

  1. 延伸フィラメントを含んでなる編織布の片面以上に、可撓性樹脂層を設けてなる複合基材を含む、可視光透過率(JIS−Z8722)30〜70%の光拡散透過性シートであって、前記光拡散透過性シートの少なくとも一層上に、可視光応答型の光触媒性物質を含む昆虫死骸分解層が設けられ、かつ、前記延伸フィラメントが、延伸方向a、及び前記延伸方向aに対する延伸垂直方向b、とを有し、前記可撓性樹脂の屈折率n1と前記延伸フィラメントの延伸方向の屈折率naとの差の絶対値|n1−na|が下記式1を満たし、かつ、前記可撓性樹脂層の屈折率n1と、延伸垂直方向bの屈折率nbとの差の絶対値|n1−nb|が、下記式2を満たす光学特性を有することを特徴とする、昆虫陰影痕防止性に優れた光天井用膜材。
    0.02<|n1−na|≦0.07 式1
    |n1−nb|≦0.07 式2
  2. 前記光触媒性物質が、助触媒添加(担持)型光触媒、アニオンドープ型光触媒、カチオンドープ型光触媒、共ドープ型光触媒、金属ハロゲン化物担持型光触媒、酸素欠損型光触媒から選ばれた1種以上である請求項1に記載の光天井用膜材。
  3. 前記可撓性樹脂層の少なくとも一層が、白色顔料、金属フレーク、金属パウダー、パール顔料、ガラスビーズ、ガラス粒子、樹脂ビーズおよび樹脂粒子から選ばれた少なくとも一種の光拡散性物質からなる粒子を含んでいる、請求項1、または2に記載の光天井用膜材。
  4. 前記光拡散透過性シートにおいて、前記昆虫死骸分解層形成面が表面粗さRz値(JIS−B0601)が10〜200μmの凹凸を有し、かつ凹凸の平均間隔Sm値(JIS−B0601)0.1〜3mmである、請求項1から3のいずれか1項に記載の光天井用膜材。
  5. 前記光拡散透過性シートにおいて、コーンカロリーメーター試験法(ASTM−E1354)において前記光拡散透過性シートに対して輻射電気ヒ−タ−による輻射熱を、50kW/mで照射した時に、加熱開始後20分間の総発熱量が8MJ/m以下であり、且つ加熱開始後20分間、10秒以上継続して最高発熱速度が200kW/mを超えない不燃特性を有することを特徴とする、請求項1から4のいずれか1項に記載の光天井用膜材。
  6. 延伸フィラメントを含んでなる編織布の片面以上に、可撓性樹脂層を設けてなる複合基材を含み、可視光透過率(JIS−Z8722)30〜70%を有する光拡散透過性シートを光天井膜材として用い、前記光拡散透過性シートの背面に、蛍光灯を配置してなる光天井構造物であって、少なくとも前記蛍光灯に対面する前記光拡散透過性シート面側に、可視光応答型の光触媒性物質を含む昆虫死骸分解層が設けられ、かつ、前記延伸フィラメントが、延伸方向a、及び前記延伸方向aに対する延伸垂直方向b、とを有し、前記可撓性樹脂の屈折率n1と前記延伸フィラメントの延伸方向の屈折率naとの差の絶対値|n1−na|が下記式1を満たし、かつ、前記可撓性樹脂層の屈折率n1と、延伸垂直方向bの屈折率nbとの差の絶対値|n1−nb|が、下記式2を満たす光学特性であることを特徴とする、昆虫陰影痕防止性に優れた光天井システム。
    0.02<|n1−na|≦0.07 式1
    |n1−nb|≦0.07 式2
  7. 前記光触媒性物質が、助触媒添加(担持)型光触媒、アニオンドープ型光触媒、カチオンドープ型光触媒、共ドープ型光触媒、金属ハロゲン化物担持型光触媒、酸素欠損型光触媒から選ばれた1種以上である請求項6に記載の光天井システム。
  8. 前記可撓性樹脂層の少なくとも一層が、白色顔料、金属フレーク、金属パウダー、パール顔料、ガラスビーズ、ガラス粒子、樹脂ビーズおよび樹脂粒子から選ばれた少なくとも一種の光拡散性物質からなる粒子を含んでいる、請求項6または7に記載の光天井システム。
  9. 前記光拡散透過性シートにおいて、前記昆虫死骸分解層形成面が表面粗さRz値(JIS−B0601)が10〜200μmの凹凸を有し、かつ凹凸の平均間隔Sm値(JIS−B0601)0.1〜3mmである、請求項6から8のいずれか1項に記載の光天井システム。
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