JP5857348B2 - 照明カバー用不燃膜材 - Google Patents

照明カバー用不燃膜材 Download PDF

Info

Publication number
JP5857348B2
JP5857348B2 JP2012000016A JP2012000016A JP5857348B2 JP 5857348 B2 JP5857348 B2 JP 5857348B2 JP 2012000016 A JP2012000016 A JP 2012000016A JP 2012000016 A JP2012000016 A JP 2012000016A JP 5857348 B2 JP5857348 B2 JP 5857348B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
light
coating layer
film material
resin coating
mass
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2012000016A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2013140706A (ja
Inventor
狩野 俊也
俊也 狩野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hiraoka and Co Ltd
Original Assignee
Hiraoka and Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hiraoka and Co Ltd filed Critical Hiraoka and Co Ltd
Priority to JP2012000016A priority Critical patent/JP5857348B2/ja
Publication of JP2013140706A publication Critical patent/JP2013140706A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5857348B2 publication Critical patent/JP5857348B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Description

本発明はガラス織物を基材とする照明カバー用膜材、及び光天井用膜材に関するものであり、更に詳しくは、照明効果が高く、かつ光源を隠蔽し、特にガラス織物を光源に翳した時の糸筋や織組織の陰影を緩和し、美麗な発光外観を演出する光拡散透過性シートであり、マンション、店舗、大型商業施設、オフィスビル、駅・空港内施設、地下街通路などの天井嵌め込みベースライト用カバー、及びそれらに付帯する内照式看板、及びエレベータかご内、鉄道車両内などの天井照明カバー、及びホテルのエントランス・ラウンジ・パーテイ会場、冠婚葬祭式場、イベントホールなどの大規模空間の天井全体を照明として利用する光膜天井構造に用いる可撓性と不燃性を有する軽量膜材に関する。
近年、国の都市防災不燃化促進事業では、大地震等に伴い発生する大規模火災対策として、住民避難の安全確保と市街地における延焼の遮断及び遅延を図ることを目的に、避難地、避難路、延焼遮断帯などの周辺に位置する建造物の不燃化や難燃化を促進している。また建築基準法では、建物の用途、構造、規模などによって、天井や壁を不燃材料、準不燃材料などの国土交通大臣が定め告示した防火性能(ISO 5660−1によるコーンカロリーメーター試験適合)を具備する材料の使用を通達している。
このような状況で、対象建造物の内装材を国土交通大臣認定の不燃材料で構成しても、天井に組み込まれた多数の照明装置において、とりわけ照明カバーは、アクリル樹脂製やポリカーボネート樹脂製のものが主流であり、これらは消防法での防炎規格(自己消火性)を満たしていても、不燃規格を満たす性能ではないため、天井不燃化の妨げ材料となる。一方、照明カバーをガラス製とすることで不燃化の目的は十分達成されるが、頭上のガラス製品の天井配置は地震による落下、またはガラス片飛散の危険が自明であり、ガラス製品の使用は敬遠されている。同様の理由で対象建造物に付帯するアクリル樹脂製またはポリカーボネート樹脂製の内照看板などについても不燃化を達成する手段にガラス製品の使用は困難である。
また一方で、インテリジェントビル、ステーションビル、エアポート、大型商業施設、アミューズメント施設、冠婚葬祭式場、及び各種公共施設などの最近の施設では、天井全面を発光させる光膜天井照明の導入が進んでいる。光膜天井照明には光拡散性を有する不燃膜材が用いられ、このような不燃膜材は繊維織物を基材とするフレキシブルな樹脂複合膜材であり、これら膜材同士の接合や支持フレームに嵌めこんだパーツ同士の接合により天井面積に応じての拡張が容易である。これらの樹脂複合膜材は従来の天井建材に比較して飛躍的に軽量でありながら極めて強靭なフレキシブル材料であるため、火災対策のみならず地震による天井崩落物対策としても有用である。具体的に国土交通大臣告示の防火性能を具備する光拡散性膜材には、厚さ2〜500μmのフッ素樹脂シートと太さ2〜10μmで100〜900g/mの目付を有するガラス繊維シートによるガラス繊維強化フッ素樹脂複合材料が知られている。(特許文献1)また照明用カバーや内照式看板に用いる不燃膜材として、ガラス繊維基布、及びこれにフッ素共重合体からなる幹ポリマーに、フッ化ビニリデンをグラフト重合させて得た軟質フッ素樹脂シート層を積層したシートが知られている。(特許文献2)確かにこれらのシートは不燃性を有しながら適度な光透過性と光源隠蔽性とをバランス良く兼備するものであるが、照明カバーにガラス繊維基布を内臓することでガラス繊維基布を構成する経糸及び緯糸の織組織が透過陰影痕となり、特にシート加工時のガラス繊維基布の取り扱いやテンションによって経糸及び緯糸の配列に弛緩(目ズレ)や緊張のムラ(糸筋)を生じた部分の透過陰影痕がより強調されて見えることで照明カバーに不規則で見苦しい筋状外観や部分的に光線透過の濃淡を伴う問題がある。
また一方で、鉄道車両においては、火災対策のため鉄道車両用内装材には、例えば、鉄運第81号、国交省令第151号及び国鉄技第157号、及び国鉄技第124号、国鉄技第125号に基づく不燃基準を満たす必要がある。そのため鉄道車両の天井照明には光拡散性を有する不燃照明カバーが求められている。具体的に鉄道車両の不燃基準を満たす照明カバーとして、ガラスクロスを支持体としてフッ素樹脂(ポリテトラフルオロエチレン樹脂)からなる照明カバー(特許文献3)、ポリテトラフルオロエチレン樹脂含浸ガラスクロスシート、熱溶融成形性含フッ素樹脂層、ガラスクロス及び低発煙性樹脂層を含む積層体からなる照明カバー(特許文献4)、ガラス繊維部材の表面に透光性を有する液状ガラスがコーティングされてなる不燃透光板(特許文献5)、ガラス繊維基材に難燃性樹脂を含浸し、その外面に透光性無機酸化物膜を形成した不燃樹脂シートが知られている。(特許文献6)確かにこれらのシートは不燃性を有しながら適度な光透過性と光源隠蔽性とをバランス良く兼備するものであるが、特許文献1と2同様のガラス繊維基布(ガラスクロス)の織組織の透過陰影痕の問題に加えて、特許文献3と4のシートではポリテトラフルオロエチレン樹脂の融点以上での焼成(実施例1:380℃焼成)を必要とするため、得られるシートにアイボリー色系の着色を伴い、この着色は照明カバーの発光色をくすませる問題がある。特許文献5のシートでは、ガラス繊維部材を伸縮性の無い液状ガラスで固めたものなので、シートの施工時の折り曲げによって容易くチョークマーク(白化傷)を生じ、このチョークマーク部分が光透過の濃淡陰影となり照明カバーの外観を悪くする問題がある。また特許文献6のシートでは50〜200μmの無機酸化物膜が脆く、シート屈曲や摩耗によって容易に脱落する。
従って、ガラス繊維基布(ガラスクロス)を用いてなる不燃性で、優れた光透過拡散性を有する光天井膜材及び照明カバー用膜材であって、ガラス繊維基布(ガラスクロス)の織組織に部分的弛緩や緊張のムラを生じた状態であっても、光膜天井や天井埋め込み型ベースライト用カバーに用いた時の外観に不規則で見苦しい筋状外観や部分的な光線透過の濃淡を発生し難い光拡散透過性膜材が求められていたのである。
特開2002−221609号公報 特開平8−259637号公報 特開2006−252892号公報 特開2007−220561号公報 特開2011−124108号公報 特開2011−238514号公報
本発明は照明カバー用膜材(内照式看板用を含む)、及び光天井用膜材に用いる可撓性積層体で、照明効果が高く、かつ光源を隠蔽し、特に膜材を光源に翳した時に、ガラス織物の糸筋や織組織の陰影及び織組織の部分的弛緩や目ズレによる陰影濃淡を緩和し、美麗な発光外観を演出する照明カバー用膜材であって、しかも国土交通大臣が定め告示した防火性能(ISO 5660−1によるコーンカロリーメーター試験適合)を具備し、尚且つ鉄道車両向け照明カバー用に、鉄運第81号、国交省令第151号及び国鉄技第157号、及び国鉄技第124号、国鉄技第125号に基づく不燃基準を兼備する光拡散透過性の不燃膜材の提供をしようとするものである。
上記課題を解決するための検討を行った結果、特定の空隙率を有するガラス織物を基材として、この基材の片面に光透過性樹脂被覆層を設け、さらにこの基材のもう一方の面に不定形・乱反射粒子を特定量含有する光拡散性樹脂被覆層を設けることによって不燃性を有し、しかも照明効果が高く、かつ光源を隠蔽し、特に膜材を光源に翳した時に、ガラス織物の糸筋や織組織の陰影及び織組織の部分的弛緩や目ズレによる陰影濃淡の外観的欠点を著しく緩和する効果を見出して本発明を完成するに至った。
すなわち本発明の照明カバー用不燃膜材は、ガラス織物を基材として、この基材の片面に光透過性樹脂被覆層が設けられ、さらに前記基材のもう一方の面に破砕ガラス粉を含有する光拡散性樹脂被覆層が設けられてなる、全光線透過率(JIS K7375)が35〜65%の可撓性積層体であって、前記ガラス織物の空隙率が0〜2.5%であり、また前記破砕ガラス粉が、アスペクト比1〜1.25、長さ1〜20μmの不定形・乱反射粒子であり、その含有量が前記光拡散性樹脂被覆層に対して1〜20質量%であり、それにより前記可撓性積層体を光源に翳した時に、前記ガラス織物の糸筋や織組織の陰影及び織組織の部分的弛緩や目ズレによる陰影濃淡の外観的欠点を緩和することが好ましい。このような構成とすることで得られる膜材が不燃性を有し、しかも照明効果が高く、かつ光源を隠蔽し、さらに膜材を光源に翳した時に、ガラス織物の糸筋や織組織の陰影及び織組織の部分的弛緩や目ズレによる陰影濃淡の外観的欠点を著しく緩和する効果を得ることができる。
本発明の照明カバー用不燃膜材は、前記光透過性樹脂被覆層上に、可視光応答型光触媒性物質、または無機コロイド物質をバインダー成分に担持して含む機能層が設けられていることが好ましい。このような構成とすることで得られた膜材を照明カバー用膜材、または光天井用膜材に用いる場合に、特に膜材の光透過性樹脂被覆層面側を外部に露出させ、光拡散性樹脂被覆層面側を光源に対向させた状態で照明装置を構成した時に、露出面に対する付着汚れ除去の容易性、及び塵や花粉の帯電付着防止、及び抗菌・消臭などの性能を付帯させることができる。
本発明の照明カバー用不燃膜材は、前記光拡散性樹脂被覆層上に、可視光応答型光触媒性物質、または無機コロイド物質をバインダー成分に担持して含む機能層が設けられていることが好ましい。このような構成とすることで得られた膜材を照明カバー用膜材、または光天井用膜材に用いる場合に、特に膜材の光拡散性樹脂被覆層面側を外部に露出させ、光透過性樹脂被覆層面側を光源に対向させた状態で照明装置を構成した時に、露出面に対する付着汚れ除去の容易性、及び塵や花粉の帯電付着防止、及び抗菌・消臭などの性能を付帯させることができる。
本発明の照明カバー用不燃膜材は、前記可撓性積層体が、コーンカロリーメーター試験(ISO 5660−1)により、電気ヒーターによる輻射熱を、前記可撓性積層体に向けて50kW/mで照射した時に、加熱開始後20分間の総発熱量が8MJ/m以下であり、且つ加熱開始後20分間、10秒以上継続して最高発熱速度が200kW/mを超えない不燃要件を有することが好ましい。この試験に適合することで得られる膜材を国土交通大臣が定め告示した防火性能を具備する材料として建築基準法第二条九号に基づく国土交通大臣認定登録をすることができる。
本発明によれば、照明カバー用膜材、及び光天井用膜材に用いる可撓性積層体で、照明効果が高く、かつ光源を隠蔽し、特に膜材を光源に翳した時に、ガラス織物の糸筋や織組織の陰影及び織組織の部分的弛緩や緊張のムラによる陰影濃淡の外観的欠点を緩和し、美麗な発光外観を演出する照明カバー用膜材が得られ、しかも国土交通大臣が定め告示した防火性能(ISO 5660−1によるコーンカロリーメーター試験適合)を具備し、尚且つ鉄運第81号、国交省令第151号及び国鉄技第157号、及び国鉄技第124号、国鉄技第125号に基づく不燃基準を兼備することができるので本発明の照明カバー用不燃膜材は、マンション、店舗、大型商業施設、オフィスビル、駅・空港内施設、地下街通路などの天井嵌め込みベースライト用カバーとして、及びそれらに付帯する内照式看板用照明用カバーとして、またエレベータかご内、鉄道車両内などの天井照明カバーとして、またホテルのエントランス・ラウンジ・パーテイ会場、冠婚葬祭式場、イベントホールなどの大規模空間の天井全体を照明として利用する光膜天井構造などに適して用いることができる。
本発明の照明カバー用不燃膜材の一例と使用例を示す図 本発明の照明カバー用不燃膜材の一例と使用例を示す図 本発明の照明カバー用不燃膜材の一例と使用例を示す図 本発明の照明カバー用不燃膜材の一例と使用例を示す図
本発明の照明カバー用不燃膜材は、ガラス織物を基材として、この基材の片面に光透過性樹脂被覆層が設けられ、さらにこの基材のもう一方の面に破砕ガラス粉を含有する光拡散性樹脂被覆層が設けられてなる、全光線透過率(JIS K7375)が35〜65%の可撓性積層体であって、基材に用いるガラス織物の空隙率が0〜2.5%であり、また光拡散性樹脂被覆層に含有する破砕ガラス粉が、アスペクト比1〜1.25、長さ1〜20μmの不定形・乱反射粒子であり、その含有量が光拡散性樹脂被覆層に対して1〜20質量%の要件を具備することで、可撓性積層体を光源に翳した時に、ガラス織物の糸筋や織組織の陰影及び織組織の部分的弛緩や目ズレによる陰影濃淡の外観的欠点を緩和し、しかもISO 5660−1規定のコーンカロリーメーター試験の不燃要件に適合するものである。また本発明の照明カバー用不燃膜材の使用方法は光透過性樹脂被覆層面側を光源に対向させて装着してもよく、あるいは光拡散性樹脂被覆層面側を光源に対向させて装着してもよい。この時、光源に対向しない面側、すなわち照明カバーとして露出する側の面には機能層が設けられていることが好ましい。
本発明の照明カバー用不燃膜材の基材に使用するガラス織物は、織布、または編布が用いられ、織布として、平織、綾織、繻子織、模紗織など汎用の織布が挙げられるが、特に織組織が、経糸打込:20〜100本/1インチ、緯糸打込:20〜100本/1インチの平織織布であることが好ましい。平織織布は織構造上、嵩高とならず表面凹凸の少ない形態であり、さらに経糸打込及び緯糸打込の糸本数が多いほど、照明カバー用膜材を光源に翳した時に、ガラス織物の織組織の陰影を際立たせない効果を発揮する。また、平織織布であることによって照明カバーに用いた時の装着張力に対して、経緯方向物性(ヤング率・伸び率)バランスが保たれるので照明カバーの形態安定性に優れる。このようなガラス織物は経緯糸条の交絡間に形成される空隙率が0〜2.5%の織密度であることが照明カバー用膜材を光源に翳した時に、ガラス織物の織組織の陰影を際立たせない効果が高い。空隙率は0%が最も好ましいが、用いるガラス繊維糸条の繊度に応じて最大2.5%まで許容できる。空隙率が2.5%を越えると、照明カバー用膜材を光源に翳した時に、空隙部の光線透過率のみが大きくなり、それによってガラス織物の織組織の陰影が際立ち、照明カバーの外観を悪くすることがある。空隙率は織物の特定の面積単位(例えば1インチ幅×1インチ長の四角形)内に含む、経緯糸条の交絡間に形成された多数の微細空隙の総和による面積占有率であり、空隙率は先ず織物の特定の面積単位内に含む経糸条及び緯糸条の占める面積率を求め、これを100%から差し引いた値(%)で求めてもよい。ガラス織物と、光透過性樹脂被覆層及び光拡散性樹脂被覆層との接着性を向上させる目的でガラス織物に公知のシランカップリング剤による表面処理を施すことが好ましい。
ガラス織物を構成するガラス繊維糸条は、E(無アルカリ)ガラス、C(アルカリ含)ガラス、Mガラス、Aガラス、Sガラス、Dガラスなど種々のガラス組成の何れでも良いが、Eガラスによるフィラメント直径3〜13μmに溶融紡糸され、50〜500本収束して得たストランドに0〜5回/インチの撚りを掛けた単糸で、特に撚数が0の無撚糸で断面形状が扁平のフラットヤーンが最も好ましい。無撚のマルチフィラメントフラットヤーンを用いることで光透過ムラを無くすると同時に糸幅が広い利点によりガラス織物の空隙率を0に近付けることができるので、照明カバー用膜材を光源に翳した時に、ガラス織物の織組織の陰影を際立たせない効果をより高く設定することができる。ストランドの撚数が5回/インチを越えて大きくなるとマルチフィラメントが捻れて出来る螺旋ウェーブに光屈折が干渉することで捻れ部分の光透過陰影が際立って照明カバーの外観を悪くすることがある。また、これらのストランド2本、または3本を1〜5回/インチで撚り合わせた合撚糸なども使用できるが、これらは糸径が大きくなり、ガラス織物の厚さを嵩高にして凹凸を増すため光透過時の陰影が際立ち易くなることがある。本発明の照明カバー用不燃膜材に使用するガラス繊維糸条の繊度は、150〜1800dtex、特に300〜1350dtexのマルチフィラメント糸条が好ましい。またこれらガラス繊維糸条のモース硬度は6〜6.5である。
ガラス織物基材に設ける光透過性樹脂被覆層は、フッ素樹脂、フッ素共重合体樹脂(2種以上の含フッ素モノマーによる共重合エラストマー)、フッ素系共重合体樹脂(含フッ素モノマーとフッ素非含有モノマーによる共重合エラストマー、またはシリコーン樹脂などの幹ポリマーにフッ素樹脂をグラフト重合したエラストマー、またはフッ素樹脂にシリコーン樹脂などの枝ポリマーをグラフト重合したエラストマー)、フッ素系ゴム、シリコーン樹脂、シリコーン共重合体樹脂(2種以上のシロキサンモノマーによる共重合エラストマー)、シリコーン系共重合体樹脂(シロキサンモノマーと他のモノマーによる共重合エラストマー)、シリコーン系ゴム、塩化ビニル樹脂、塩化ビニル共重合体樹脂(塩化ビニルモノマーと他のモノマーによる共重合エラストマー)、塩素化塩化ビニル樹脂などであり、特に塩化ビニル樹脂群には塩素化パラフィンを可塑剤成分、リン酸エステル類を防炎剤として含有することができる。これら以外の樹脂として、コーンカロリーメーター試験(ISO 5660−1)に適合する範囲で光透過性樹脂被覆層の厚さを調整し、オレフィン樹脂、オレフィン系共重合体樹脂、ウレタン樹脂、ウレタン系共重合体樹脂、アクリル樹脂、アクリル系共重合体樹脂、スチレン樹脂、スチレン系共重合体樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエステル系共重合体樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂などを用いることも可能である。
光透過性樹脂被覆層はガラス織物に一部含浸して接着形成され、ガラス織物の片面表面を0.01〜0.5mmの厚さ、特に0.05〜0.25mmで被覆することが好ましい。光透過性樹脂被覆層の被覆厚が0.01mm未満だと照明カバーの形態や寸法安定性が悪くするのみならず、照明カバー表面の耐摩耗性も悪くなることがある。一方、被覆厚が0.5mmを超えると照明カバーの質量が増して取り扱い性を悪くするのみならず、コーンカロリーメーター試験(ISO 5660−1)に不適合となることがある。このような光透過性樹脂被覆層を形成は上記樹脂を有機溶媒に溶かしたコーティング剤、または上記樹脂のエマルジョン溶液を用いてグラビア法、ナイフコート法、バーコート法、ロータリースクリーン転写法、スプレー法など公知の塗工手段により実施することができる。
ガラス織物基材に設ける光拡散性樹脂被覆層には、破砕ガラス粉を光乱反射剤として光拡散性樹脂被覆層の質量に対して1〜20質量%、特に3〜10質量%含有することが好ましい。破砕ガラス粉は、アスペクト比1〜1.35、粒子長1〜20μmの範囲とする不定形・乱反射粒子であり、この定義に球状粒子(ガラスビーズ)は包含しない。球状粒子(ガラスビーズ)は全方向への均等な光拡散効果に優れるが、その性質により、膜材を光源に翳した時に発生するガラス織物の糸筋や織組織の陰影及び織組織の部分的弛緩や目ズレによる陰影濃淡などの濃淡差異を均等化しないからである。破砕ガラス粉は、E(無アルカリ)ガラス、C(アルカリ含)ガラス、Mガラス、Aガラス、Sガラス、Dガラスなどをボールミルなどで破砕して得られる不定形・乱反射粒子である。破砕ガラス粉のアスペクト比は、破砕粒子のタテ・ヨコ・高さのサイズにより、その最小値と最大値の比[最大値(分子)/最小値(分母)]で表わされ、球体を除きアスペクト比が1であってもよい。アスペクト比が1の不定形・乱反射粒子は例えば、立方体の角が欠けた形態でタテ・ヨコ・高さの比が1:1:1で可能である。破砕ガラス粉のアスペクト比は1〜1.25、特に1〜1.15の範囲が好ましい。アスペクト比は1.25を超える粒子でも使用可能であるが、そのようなアスペクト比を有する粒子サイズ1〜20μmの破砕体を得るのは困難である。また破砕ガラス粉のサイズは1〜20μm、特に3〜10μmの範囲が好ましく、粉体サイズは1μm未満では、膜材を光源に翳した時に発生するガラス織物の糸筋や織組織の陰影及び織組織の部分的弛緩や目ズレによる陰影濃淡などの濃淡差異の均等効果に乏しくなることがある。一方、粉体サイズが20μmを越えると光拡散性樹脂被覆層の摩耗強度を悪くすることがある。またこれら破砕ガラス粉のモース硬度は6〜6.5である。
ガラス繊維織物基材に隣接して設ける光拡散性樹脂被覆層に含有する光乱反射剤に破砕ガラス粉を選択する理由は、光乱反射剤の擦過によるガラス繊維への摩耗損傷を配慮したものであり、ガラス繊維のモース硬度(6〜6.5)よりも大きい硬度の光乱反射剤の使用では、ガラス繊維のフィラメント表面に付いた擦過傷が、屈曲により容易にフィラメントが折れることでガラス繊維織物自体の機械的強度を低下させることで膜材本体の耐久性を悪くする原因となるからである。従ってガラス繊維織物基材に接触する光乱反射剤として同じモース硬度を有するガラス粉体(モース硬度6〜6.5)を選択した。特許文献1(特開2002−221609号公報)では拡散剤に石英粉末を使用しているが、石英のモース硬度は7であるためガラス繊維織物に接触する用途に適するものではない。また樹脂ビーズによる光拡散剤ならばガラス繊維に対する擦過摩耗の心配は無いが、しかし可燃性の樹脂ビーズを光拡散性樹脂被覆層に含有することでISO 5660−1の不燃試験に不適合となることがある。
光拡散性樹脂被覆層は、[0019]に記した光透過性樹脂被覆層に用いる樹脂と同じ樹脂で形成されることが好ましい。具体的に光透過性樹脂被覆層を形成する樹脂にフッ素系共重合体樹脂を選択した場合、光拡散性樹脂被覆層を形成する樹脂にもフッ素系共重合体樹脂を選択するということである。光拡散性樹脂被覆層はガラス織物に一部含浸して接着形成され、ガラス織物の片面表面を0.05〜0.5mmの厚さ、特に0.1〜0.3mmで被覆することが好ましい。光拡散性樹脂被覆層の被覆厚が0.05mm未満だと、膜材を光源に翳した時に発生するガラス織物の糸筋や織組織の陰影及び織組織の部分的弛緩や緊張のムラによる陰影濃淡などの濃淡差異の均等効果に乏しくなることがある。一方、被覆厚が0.5mmを超えると照明カバーの質量が増して取り扱い性を悪くするのみならず、コーンカロリーメーター試験(ISO 5660−1)に不適合となることがある。このような光拡散性樹脂被覆層を形成は[0019]に記した樹脂を有機溶媒に溶かしたコーティング剤、または[0019]に記した樹脂のエマルジョン溶液を用いてグラビア法、ナイフコート法、バーコート法、ロータリースクリーン転写法、スプレー法など公知の塗工手段により実施することができる。破砕ガラス粉は、光拡散性樹脂被覆層の質量に対して1〜20質量%、特に5〜15質量%で含有することが好ましい。光拡散性樹脂被覆層の質量に対する破砕ガラス粉の含有量が1質量%未満だと、膜材を光源に翳した時に発生するガラス織物の糸筋や織組織の陰影及び織組織の部分的弛緩や目ズレによる陰影濃淡などの濃淡差異の均等効果に乏しくなることがある。一方、破砕ガラス粉の含有量が20質量%を越えると光拡散性樹脂被覆層の摩耗強度及び屈曲強度を悪くすることがある。
本発明の照明カバー用不燃膜材において、光透過性樹脂被覆層及び光拡散性樹脂被覆層には膜材の全光線透過率(JIS K7375)が35〜65%を維持する範囲で公知の添加剤を含んでいても良い。添加剤としては、例えば、着色剤、蛍光増白剤、蛍光顔料、蓄光顔料、紫外線吸収剤、酸化防止剤、耐熱安定剤、光安定剤、帯電防止剤、難燃剤、充填剤、架橋剤、抗菌剤、防黴剤、消臭剤、香料などが挙げられる。本発明の膜材の全光線透過率が35%未満だと照明カバーや光天井膜に用いた時に、光源の輝度に対する照度が低くなり照明効果が非効率となる。一方、膜材の全光線透過率が65%を越えると照明カバーや光天井膜に用いた時に、光源の存在及び輪郭が顕わとなることで照明装置の外観を損なうことがある。膜材の全光線透過率は40〜55%の範囲が特に好ましい。本発明の照明カバー用不燃膜材は照明カバーや光天井膜に用いる場合、膜材の光透過性樹脂被覆層側及び光拡散性樹脂被覆層側の何れの面を光源に対向させて装着してもよい。
本発明の照明カバー用不燃膜材において、光透過性樹脂被覆層上に、可視光応答型光触媒性物質、または無機コロイド物質をバインダー成分に担持して含む機能層を設けることができる。このような機能層を設けることで、得られた膜材を照明カバー用膜材、または光天井用膜材に用いる場合に、特に膜材の光透過性樹脂被覆層面側を外部に露出させ、光拡散性樹脂被覆層面側を光源に対向させた状態で照明装置を構成した時に、露出面に対する付着汚れ除去の容易性、及び塵や花粉の帯電付着防止、及び抗菌・消臭などの性能を付帯させることができる。
本発明の照明カバー用不燃膜材において、光拡散性樹脂被覆層上に、可視光応答型光触媒性物質、または無機コロイド物質をバインダー成分に担持して含む機能層を設けることができる。このような機能層を設けることで、得られた膜材を照明カバー用膜材、または光天井用膜材に用いる場合に、特に膜材の光拡散性樹脂被覆層面側を外部に露出させ、光透過性樹脂被覆層面側を光源に対向させた状態で照明装置を構成した時に、露出面に対する付着汚れ除去の容易性、及び塵や花粉の帯電付着防止、及び抗菌・消臭などの性能を付帯させることができる。
光透過性樹脂被覆層または光拡散性樹脂被覆層に設ける機能層に用いる可視光応答型光触媒には、波長400nmから800nmの可視光を吸収して活性を示す光触媒性物質である。これらは具体的に、(a).酸化チタン、酸化タングステン、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化バナジウム、酸化ビスマス、鉄−タングステン酸化物等の金属酸化物に、銀、プラチナ、金、銅、ロジウム、パラジウム、ルテニウム、イリジウムなどの金属(化合物)を助触媒として活性化した助触媒添加型光触媒、(b).(a)に挙げた光触媒性金属酸化物に窒素、炭素、硫黄、リン、ホウ素、フッ素等をドープしたアニオンドープ型光触媒、(c).(a)に挙げた光触媒性金属酸化物にクロム、ニオブ、マンガン、コバルト、バナジウム、鉄、ニッケル等の遷移金属イオンをドープしたカチオンドープ型光触媒、(d).(a)に挙げた光触媒性金属酸化物にアニオンとカチオンの両方をドープした共ドープ型光触媒、(e).(a)に挙げた光触媒性金属酸化物に白金、パラジウム、ロジウムなど貴金属のハロゲン化物を担持させた金属ハロゲン化物担持型光触媒、(f).(a)に挙げた光触媒性金属酸化物から部分的に酸素を引き抜いた酸素欠損型光触媒、等を用いることができる。可視光応答型光触媒を含有する機能層の厚さは1〜10μmが好ましい。
機能層の形成方法は、例えば可視光応答型光触媒の粒子またはゾルと結着剤とを含む塗布剤を塗布して光触媒含有層を形成する方法、光触媒性物質の溶液からゾルゲル法により光触媒含有層を形成する方法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、CVD法などにより光触媒含有層を形成する方法等、公知の方法で形成することができる。これら機能層のバインダーには、光触媒によって分解され難く、かつ皮膜形成能を有する、例えば、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂、アクリルフッ素共重合樹脂、アクリルシリコーン共重合樹脂、などの有機系バインダー、例えば、ポリシラザン、有機シリケート化合物、またはその低縮合物の加水分解物(シラノール基含有シラン化合物)の何れか1種以上によるケイ素化合物縮合層であることが好ましく、これらに更にバインダー補助剤としてシリカゾル、アルミナゾル、チタンゾルの何れか1種以上を含むことができる。機能層には可視光応答型光触媒の粒子またはゾルを10〜70質量%、特に20〜60質量%含有することが好ましい。
光透過性樹脂被覆層または光拡散性樹脂被覆層に設ける機能層に用いる無機コロイド物質には、好ましくは1次粒子径3〜150nmの範囲の、シリカ(酸化ケイ素)ゾル、アルミナ(酸化アルミニウム)ゾル、ジルコニア(酸化ジルコニウム)ゾル、セリア(酸化セリウム)ゾル、及び複合酸化物(酸化亜鉛−五酸化アンチモン複合または酸化スズ−五酸化アンチモン複合)ゾルの何れか1種以上を含むことができる。特に酸化亜鉛−五酸化アンチモン複合ゾルを単独または併用することによって帯電防止性を有する機能層を形成することができ、これにより膜材表面に付着する塵や花粉などの除去を容易とする。これらの無機コロイド物質は水分散体、または有機溶媒分散体の形態で、バインダー樹脂溶液に配合して用いることが好ましい。バインダー樹脂溶液はエマルジョン樹脂、または合成樹脂を有機溶媒中に溶かしたもので、特にバインダー樹脂はフッ素含有共重合体樹脂のように撥水性を示す樹脂が好ましく使用できる。このようなフッ素含有共重合体樹脂は、フッ化ビニル(VF)、ビニリデンフルオライド(VdF)、トリフルオロエチレン(TrEE)、テトラフルオロエチレン(TFE)、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)などのフルオロオレフィンモノマーから選ばれた2種以上を共重合して得られるものであり、これらは具体的に、VdF−TFE共重合体樹脂、VdF−CTFE共重合体樹脂、VdF−HFP共重合体樹脂、TFE−CTFE共重合体樹脂、TFE−HFP共重合体樹脂、CTFE−HFP共重合体樹脂、VdF−TFE−CTFE共重合体樹脂、VdF−TFE−HFP共重合体樹脂、TFE−CTFE−HFP共重合体樹脂、VdF−CTFE−HFP共重合体樹脂、VdF−TFE−CTFE−HFP共重合体樹脂などのエマルジョンまたは有機溶媒塗料である。機能層を構成するバインダー樹脂と無機コロイド物質との固形分質量比が1:1〜1:10の範囲である。無機コロイド物質を含有する機能層の厚さは1〜10μmが好ましい。
本発明の照明カバー用不燃膜材を、照明カバー用膜材、または光天井用膜材に用いる場合に、本発明の照明カバー用不燃膜材は光透過性樹脂被覆層側または光拡散性樹脂被覆層側のどちらオモテ面(露出面)としてもよい。拠って光源に対向して装着する面、すなわち非露出面となる光透過性樹脂被覆層または光拡散性樹脂被覆層には文字、絵柄、模様、写真などの隠し意匠を部分的、または全面に施すことによって、光源の点灯により隠し意匠が膜材を透過して膜材表面(露出面)に表示されるような意外性を演出することも可能である。隠し意匠は光透過性のインクを用いての印刷、例えばグラビア印刷、スクリーン印刷、インクジェット印刷などによって施すことができる。隠し意匠は光透過性のインクを用いて印刷するため、本来はガラス織物の糸筋や織組織の陰影及び織組織の部分的弛緩や目ズレによる陰影濃淡などの濃淡差異の影響を受けてしまうが、本発明の照明カバー用不燃膜材の使用によると、このような濃淡差異の影響を受けることが無い。インクは必ずしも光透過性である必要は無く、光半透過性の白インク(または白インクの希釈品でもよい)で和紙柄を印刷することで、和紙柄部分を薄い影部、背景膜材をそのまま光透過の明部とする和紙行灯調の照明カバーを得ることができる。
照明カバーは具体的に、建造物または鉄道車両の天井埋込型ベースライトハウジング(例えば、蛍光灯1〜6本装着:器幅15〜45cm×器長80〜150cm)全面を、照明光源と膜材を3〜20cmの距離で被覆する膜材で、被覆は平面装着に限定されず、湾曲状の立体装着であっても良い。またその膜材端部にはフラット状の支持フレーム、または横断面が半円弧状あるいは多角形状の立体支持フレームが設けられ、支持フレームには蛍光灯ハウジングとの着脱を自在とする嵌合部材を有するものである。また具体的に、天井に多数の照明ハウジングが天井埋込型または天井装着型で配置された状態で、これら照明ハウジングを膜材で一括被覆してなる光天井膜であり、このような大面積膜材は1〜3m幅の膜材原反を縫製または接着により接合すること、または1〜3m幅の膜材原反を支持フレームに組み込み、支持フレーム同士のメカニカルな接合によって大型化され、照明光源と膜材は3〜20cmの距離とすることが好ましい。天井の形状は平面状に限定されず、湾曲状であっても良い。また本発明の照明カバーは建造物に付帯する外付型の内照看板用照明カバーとして用いることもできる。また本発明の照明カバーは任意の立体デザインを施して、卓上型またはスタンド型のランプシェードとして用いることもできる。また本発明の照明カバーに適する光源は、白熱電球、ハロゲンランプ、ロングバー型蛍光管、サークル型蛍光管、ボール内蔵蛍光管、ロングバー型LED蛍光管、ボール内蔵LED蛍光管、サークル型LED蛍光管、多数のLEDを任意に配置した発光体、及び有機EL素子など光源の種類、形態に限定はない。
建築基準法において、国土交通大臣が定め告示した不燃性(ISO 5660−1によるコーンカロリーメーター試験適合)は、電気ヒーターによる輻射熱を、試験体に向けて50kW/mで照射した時に、加熱開始後20分間の総発熱量が8MJ/m以下であり、且つ加熱開始後20分間、10秒以上継続して最高発熱速度が200kW/mを超えない不燃要件を有するものである。また鉄道車両用内装材には、鉄運第81号、国交省令第151号及び国鉄技第157号、及び国鉄技第124号、国鉄技第125号に基づく不燃性は、アルコールを燃焼源とする試験体の燃焼挙動を5段階に区分し、そのうち最上ランクを満たすものである。
[ガラス織物の透過陰影評価]
実施例及び比較例で作成した膜材の光透過性について、下記の評価を行った。実施例及び比較例の膜材サンプルは全てテストコーター(実験用ナイフ塗工装置)により作成したもので、ガラス平織織物は手作業で取り扱ったため、ガラス平織織物には織組織(経糸打ち込み密度33本/インチ、緯糸打ち込み密度44本/インチ:空隙率0%)の一部に組織乱れ(部分的弛緩による目ズレと経糸緊張による糸筋)による軽度の外観的欠点が散在した。これらの外観的欠点を伴うガラス平織織物を用いて得た膜材を用いて天井埋込型蛍光灯ハウジング(36ワット40型の白色蛍光管2本装着:器幅25cm×器長125cm)全面をフラットに覆い、蛍光管と膜材の距離を3cmとした。蛍光灯点灯状態で膜材光透過外観を膜材表面からの距離50cmの位置で目視観察し、A).蛍光管の視認性、B).ガラス織物の糸筋、織組織の陰影及び織組織の部分的弛緩や目ズレによる陰影濃淡の有無を評価した。膜材のハウジング装着は光透過性樹脂被覆層側を外に露出する面とする装着と光拡散性樹脂被覆層側を外に露出する面とする装着の2通りで評価を行った。
A).蛍光管の視認性
1:十分な照度を有し、しかも蛍光管の存在が視認できない
2:十分な照度を有するが、蛍光管の位置が朧に視認できる
3:十分な照度を有するが、蛍光管の位置が明確に視認できる
4:蛍光管の存在が視認できないが、照度が不十分である
5:蛍光管の位置が朧に視認でき、照度も不十分である
B).ガラス織物の陰影
1:十分な照度を有し、しかもガラス織物の欠点の陰影濃淡が視認できない
2:十分な照度を有するが、ガラス織物の欠点の陰影濃淡がぼやけて視認できる
3:十分な照度を有するが、ガラス織物の欠点の陰影濃淡が明確に視認できる
4:ガラス織物の欠点の陰影濃淡が視認できないが、照度が不十分である
5:ガラス織物の欠点の陰影濃淡が朧に視認でき、照度も不十分である
[不燃性評価]
A)コーンカロリーメーター試験(ISO 5660−1:2002年)
縦横約100mmの正方形で厚さ50mmまでの大きさで表面が平坦な供試材とし、
放射熱50KW/mで10分間行う。試験は、供試材3枚の最大発熱速度の平均値と
各供試材の最大発熱速度の差が10%未満であることを確認し、10%未満の場合は当
該3枚の供試材のデータを採用する。10%以上となる場合には、更に供試材3枚の試
験を行い、これらの供試材6枚のうち、最大発熱速度の最大値と最小値を除く4枚の供
試材のデータを採用する。燃焼判定は、試験時間中に計測された総発熱量
(MJ/m)及び最大発熱速度(KW/m)並びに着火時間(秒)で行う。着火時
間(秒)は、試験片から炎が確認されてから10秒以上炎が存在した場合を着火とみな
し、試験開始から最初に着火が確認されるまでの時間とする。
(a)総発熱量:8MJ/m以下を適合。
(b)発熱速度:10秒以上継続して200kW/mを超えないものを適合。
(c)外観観察:直径0.5mmを超えるピンホール陥没痕の発生がないものを適合。
B)鉄道車両用材料燃焼試験:鉄運第81号(昭和44年5月15日)
B5判の供試材(182mm×257mm)を45°傾斜に保持し、燃料容器の底の 中心が、供試材の下面中心の垂直下方25.4mm(1インチ)のところにくるよう に、コルクのような熱伝導率の低い材質の台にのせ、純エチルアルコール0.5cc を入れて着火し、燃料が燃え尽きるまで放置する。燃焼判定は、アルコールの燃焼中 と燃焼後とに分けて、燃焼中は供試材への着火、着炎、発煙状態、炎の状態等を観察 し、燃焼後は、残炎、残じん、炭化、変形状態を調査し、「不燃性」、「極難燃性」 、「難燃性」、「緩燃性」、「可燃性」の5段階評価をおこなう。
※「不燃性」の要件 燃焼中:着火(なし)・着炎(なし)・煙(僅少)・火勢(−)
燃焼後:残炎(−)・残じん(−)・炭化(100mm以下の変色)
・変形(100mm以下の表面的変形)・溶融滴下性(なし)
[実施例1]
Eガラスによる直径9μmのフィラメントを収束して得た繊度600dtexのストランドに撚りを1回/インチで掛け、断面形状を扁平とするフラットヤーンを経糸及び緯糸として、経糸打ち込み密度33本/インチ、緯糸打ち込み密度44本/インチの織組織による空隙率0%のガラス平織織物(質量210g/m)を基材として、この基材の片面に〈配合1〉による光透過性樹脂被覆層をナイフコーティング法(電気炉で180℃×3分間の熱処理硬化工程含む)により92g/mの付着量で設け、光透過性樹脂被覆層の下層部がガラス平織織物の片面表面に含浸固化し、光透過性樹脂被覆層の上層部がガラス平織織物の片面表面を被覆するよう形成した。次にこの基材のもう一方の面側に〈配合2〉による光拡散性樹脂被覆層をナイフコーティング法(電気炉で180℃×3分間の熱処理硬化工程含む)により84g/mの付着量で設け、光拡散性樹脂被覆層の下層部がガラス平織織物の片面表面に含浸固化し、光拡散性樹脂被覆層の上層部がガラス平織織物の片面表面を被覆するよう形成した。得られた膜材は、膜厚0.36mm、質量386g/m、全光線透過率が53.4%であった。

〈配合1〉光透過性樹脂被覆層
商品名:シラスコンRTV4086A
(2液付加反応硬化型シリコーン樹脂:有効成分100%:東レ・ダウコーニング社製)
50質量部
商品名:シラスコンRTV4086B
(2液付加反応硬化型シリコーン樹脂:有効成分100%:東レ・ダウコーニング社製)
50質量部
商品名:SRX212 CATALYST(東レ・ダウコーニング社製) 1質量部
トルエン(希釈剤) 100質量部

〈配合2〉光拡散性樹脂被覆層
商品名:シラスコンRTV4086A
(2液付加反応硬化型シリコーン樹脂:有効成分100%:東レ・ダウコーニング社製)
50質量部
商品名:シラスコンRTV4086B
(2液付加反応硬化型シリコーン樹脂:有効成分100%:東レ・ダウコーニング社製)
50質量部
商品名:SRX212 CATALYST(東レ・ダウコーニング社製) 1質量部
破砕ガラス粉(アスペクト比1〜1.1、長さ5〜8μmの不定形・乱反射粒子)
10質量部
トルエン(希釈剤) 100質量部
[実施例2]
実施例1の光透過性樹脂被覆層及び光拡散性樹脂被覆層に用いる樹脂をシリコーン樹脂からフッ素樹脂に変更した以外は実施例1と同様とした。すなわち光透過性樹脂被覆層は〈配合1〉を〈配合3〉に変更し付着量102g/m、光拡散性樹脂被覆層は〈配合2〉を〈配合4〉に変更し付着量92g/mとした。得られた膜材は、膜厚0.33mm、質量404g/m、全光線透過率が52.9%であった。

〈配合3〉光透過性樹脂被覆層
商品名:カイナーフレックス 2501−00(アルケマ社製:ポリフッ化ビニリデン
−ヘキサフルオロプロピレン共重合体樹脂:PVDF−HFP) 100質量部
トルエン(希釈剤) 500質量部

〈配合4〉光拡散性樹脂被覆層
商品名:カイナーフレックス 2501−00(アルケマ社製:ポリフッ化ビニリデン
−ヘキサフルオロプロピレン共重合体樹脂:PVDF−HFP) 100質量部
破砕ガラス粉(アスペクト比1〜1.1、長さ2〜5μmの不定形・乱反射粒子)
20質量部
トルエン(希釈剤) 500質量部
[実施例3]
実施例1の光透過性樹脂被覆層及び光拡散性樹脂被覆層に用いる樹脂をシリコーン樹脂から軟質塩化ビニル樹脂に変更した以外は実施例1と同様とした。すなわち光透過性樹脂被覆層は〈配合1〉を〈配合5〉に変更し付着量44g/m、光拡散性樹脂被覆層は〈配合2〉を〈配合6〉に変更し付着量32g/mとした。得られた膜材は、膜厚0.28mm、質量286g/m、全光線透過率が53.6%であった。

〈配合5〉光透過性樹脂被覆層
乳化重合ポリ塩化ビニル樹脂(重合度1700) 100質量部
リン酸トリクレジル(可塑剤) 35質量部
塩素化パラフィン(可塑剤) 15質量部
三酸化アンチモン(難燃剤) 10質量部
ステアリン酸亜鉛(安定剤) 2質量部
ステアリン酸バリウム(安定剤) 2質量部

〈配合6〉光拡散性樹脂被覆層
乳化重合ポリ塩化ビニル樹脂(重合度1700) 100質量部
リン酸トリクレジル(可塑剤) 35質量部
塩素化パラフィン(可塑剤) 15質量部
三酸化アンチモン(難燃剤) 10質量部
ステアリン酸亜鉛(安定剤) 2質量部
ステアリン酸バリウム(安定剤) 2質量部
破砕ガラス粉(アスペクト比1〜1.1、長さ5〜8μmの不定形・乱反射粒子)
20質量部
[実施例4]
実施例1の光透過性樹脂被覆層の表面に、〈配合7〉からなる可視光応答型光触媒性物質を含む機能層を設けた以外は実施例1と同様にして厚さ0.36mm、質量387.5g/m、全光線透過率が53.2%の膜材を得た。機能層は〈配合7〉を100メッシュのグラビアコーターで塗布し、120℃で2分間乾燥して層厚1μm、1.5g/mの付着量で形成した。

〈配合7〉機能層(可視光応答型光触媒含有)
商品名:スノーテックスO ST−O
(水分散コロイダルシリカ:固形分20質量%:日産化学工業社製) 100質量部
メチルトリメトキシシラン 20質量部
酸化タングステン(WO)微粒子 20質量部
酸化銅(CuO)微粒子 5質量部
希釈溶剤(メチルアルコール) 50質量部
[実施例5]
実施例1の光拡散性樹脂被覆層の表面に、〈配合7〉からなる可視光応答型光触媒性物質を含む機能層を設けた以外は実施例1と同様にして厚さ0.36mm、質量387.5g/m、全光線透過率が53.2%の膜材を得た。機能層は〈配合7〉を100メッシュのグラビアコーターで塗布し、120℃で2分間乾燥して層厚1μm、1.5g/mの付着量で形成した。
[実施例6]
実施例2の光透過性樹脂被覆層の表面に、〈配合7〉からなる可視光応答型光触媒性物質を含む機能層を設けた以外は実施例2と同様にして厚さ0.33mm、質量405.5g/m、全光線透過率が52.9%の膜材を得た。機能層は〈配合7〉を100メッシュのグラビアコーターで塗布し、120℃で2分間乾燥して層厚1μm、1.5g/mの付着量で形成した。
[実施例7]
実施例2の光拡散性樹脂被覆層の表面に、〈配合7〉からなる可視光応答型光触媒性物質を含む機能層を設けた以外は実施例2と同様にして厚さ0.33mm、質量405.5g/m、全光線透過率が52.9%の膜材を得た。機能層は〈配合7〉を100メッシュのグラビアコーターで塗布し、120℃で2分間乾燥して層厚1μm、1.5g/mの付着量で形成した。
[実施例8]
実施例3の光透過性樹脂被覆層の表面に、〈配合7〉からなる可視光応答型光触媒性物質を含む機能層を設けた以外は実施例3と同様にして厚さ0.28mm、質量287.5g/m、全光線透過率が53.0%の膜材を得た。機能層は〈配合7〉を100メッシュのグラビアコーターで塗布し、120℃で2分間乾燥して層厚1μm、1.5g/mの付着量で形成した。
[実施例9]
実施例3の光拡散性樹脂被覆層の表面に、〈配合7〉からなる可視光応答型光触媒性物質を含む機能層を設けた以外は実施例3と同様にして厚さ0.28mm、質量287.5g/m、全光線透過率が53.0%の膜材を得た。機能層は〈配合7〉を100メッシュのグラビアコーターで塗布し、120℃で2分間乾燥して層厚1μm、1.5g/mの付着量で形成した。
[実施例10]
実施例1の光透過性樹脂被覆層の表面に、〈配合8〉からなる無機コロイド物質を含む機能層を設けた以外は実施例1と同様にして厚さ0.36mm、質量387.5g/m、全光線透過率が53.2%の膜材を得た。機能層は〈配合8〉を100メッシュのグラビアコーターで塗布し、120℃で2分間乾燥して層厚1μm、1.5g/mの付着量で形成した。

〈配合8〉機能層(無機コロイド物質含有)
商品名:オルガノシリカゾルMEK−ST
(MEK分散コロイダルシリカ:固形分30質量%:日産化学工業社製) 80質量部
商品名:セルナックスCX−Z2101P−F2
(IPA分散複合酸化物ゾル:酸化亜鉛−五酸化アンチモンゾル)固形分20質量%:
日産化学工業社製) 20質量部
メチルトリメトキシシラン 20質量部
商品名:カイナーフレックス 2501−00(アルケマ社製:ポリフッ化ビニリデン
−ヘキサフルオロプロピレン共重合体樹脂:PVDF−HFP) 20質量部
希釈溶剤(トルエン) 100質量部
[実施例11]
実施例1の光拡散性樹脂被覆層の表面に、〈配合8〉からなる無機コロイド物質を含む機能層を設けた以外は実施例1と同様にして厚さ0.36mm、質量387.5g/m、全光線透過率が53.2%の膜材を得た。機能層は〈配合8〉を100メッシュのグラビアコーターで塗布し、120℃で2分間乾燥して層厚1μm、1.5g/mの付着量で形成した。
[実施例12]
実施例2の光透過性樹脂被覆層の表面に、〈配合8〉からなる無機コロイド物質を含む機能層を設けた以外は実施例2と同様にして厚さ0.33mm、質量405.5g/m、全光線透過率が52.9%の膜材を得た。機能層は〈配合8〉を100メッシュのグラビアコーターで塗布し、120℃で2分間乾燥して層厚1μm、1.5g/mの付着量で形成した。
[実施例13]
実施例2の光拡散性樹脂被覆層の表面に、〈配合8〉からなる無機コロイド物質を含む機能層を設けた以外は実施例2と同様にして厚さ0.33mm、質量405.5g/m、全光線透過率が52.9%の膜材を得た。機能層は〈配合8〉を100メッシュのグラビアコーターで塗布し、120℃で2分間乾燥して厚さ1μm、1.5g/mの付着量で形成した。
[実施例14]
実施例3の光透過性樹脂被覆層の表面に、〈配合8〉からなる無機コロイド物質を含む機能層を設けた以外は実施例3と同様にして、厚さ0.28mm、質量287.5g/m、全光線透過率が53.0%の膜材を得た。機能層は〈配合8〉を100メッシュのグラビアコーターで塗布し、120℃で2分間乾燥して層厚1μm、1.5g/mの付着量で形成した。
[実施例15]
実施例3の光拡散性樹脂被覆層の表面に、〈配合8〉からなる無機コロイド物質を含む機能層を設けた以外は実施例3と同様にして厚さ0.28mm、質量287.5g/m、全光線透過率が53.0%の膜材を得た。機能層は〈配合8〉を100メッシュのグラビアコーターで塗布し、120℃で2分間乾燥して層厚1μm、1.5g/mの付着量で形成した。
実施例1〜3の膜材は天井埋め込み型ベースライト用照明カバー(または光天井用膜材または内照式看板)として用いた時に照明効果が高く、しかも光源(蛍光管)の存在を程よく隠す隠蔽効果と光拡散効果とを兼備するもので、全光線透過率が高い(照度が高い)にも拘らず、例えガラス繊維基布(ガラスクロス)の織組織の乱れ、すなわち規則的織組織に軽度の部分的弛緩や目ズレなどが存在しても、それが光透過による筋状濃淡や部分的濃淡の外観的欠点となることのない美麗な光透過外観であり、この性能は、蛍光灯や内照式看板のハウジング装着において光透過性樹脂被覆層側を外に露出して装着しても、光拡散性樹脂被覆層側を外に露出して装着しても同等の性能であったことから、本発明の膜材は表裏の何れの面を外面に向けて露出しても良好に使用できることが明らかとなった。また実施例1〜3の膜材はコーンカロリーメーター試験(ISO 5660−1)の不燃性に適合し、さらに鉄道車両用材料燃焼試験(鉄運第81号)の不燃性にも適合するものであった。また実施例4、5の膜材は、実施例1の膜材の片表面に可視光応答型光触媒性物質を含む機能層を設けたもの(光透過性樹脂被覆層側、または光拡散性樹脂被覆層側)、同様に実施例6、7の膜材は、実施例2の膜材の片表面に可視光応答型光触媒性物質を含む機能層を設けたもの(光透過性樹脂被覆層側、または光拡散性樹脂被覆層側)、同様に実施例8、9の膜材は、実施例3の膜材の片表面に可視光応答型光触媒性物質を含む機能層を設けたもの(光透過性樹脂被覆層側、または光拡散性樹脂被覆層側)であり、これら実施例4〜9の膜材は実施例1〜3の膜材同等の光透過性能(美麗外観)、及び不燃性能を有する他、可視光応答型光触媒性物質を含む機能層を設けたことによって、照明点灯時に蛍光管から発する可視光線によって励起された光触媒性物質の酸化還元反応が起こり、照明カバー(または光天井用膜材)露出面に漂い接触する臭気(体臭、動物臭、食品臭、煙草臭、化学物質臭など)ppm濃度を1時間で約1/10濃度に低減させる消臭効果を有していた。また実施例10、11の膜材は、実施例1の膜材の片表面に無機コロイド物質を含む機能層を設けたもの(光透過性樹脂被覆層側、または光拡散性樹脂被覆層側)、同様に実施例12、13の膜材は、実施例2の膜材の片表面に無機コロイド物質を含む機能層を設けたもの(光透過性樹脂被覆層側、または光拡散性樹脂被覆層側)、同様に実施例14、15の膜材は、実施例3の膜材の片表面に無機コロイド物質を含む機能層を設けたもの(光透過性樹脂被覆層側、または光拡散性樹脂被覆層側)であり、これら実施例10〜15の膜材は実施例1〜3の膜材同等の光透過性能(美麗外観)、及び不燃性能を有する他、無機コロイド物質を含む機能層を設けたことによって、照明カバー(または光天井用膜材)露出面に漂い接触して付着した煤塵、黴、花粉、調理で揮散した油、煙草のヤニなどの蓄積汚れが発生しても、これらの表面をワイピングペーパー(商品名キムワイプ:日本製紙クレシア社製)やワイピングクロス(商品名ザヴィーナ:KBセーレン社製)で拭き取り除去することが容易であった。
[比較例1]
実施例1において、光拡散性樹脂被覆層(配合2)に含む破砕ガラス粉(アスペクト比1〜1.1、長さ5〜8μmの不定形・乱反射粒子)10質量部を省略した以外は実施例1と同様にして膜厚0.36mm、質量361g/m、全光線透過率が68.4%の膜材を得た。
[比較例2]
実施例1において、光拡散性樹脂被覆層(配合2)に含む破砕ガラス粉(アスペクト比1〜1.1、長さ5〜8μmの不定形・乱反射粒子)10質量部をガラスビーズ(アスペクト比1、長さ6〜8μmの球状粒子)10質量部に変更した以外は実施例1と同様にして膜厚0.36mm、質量383g/m、全光線透過率が56.5%の膜材を得た。
[比較例3]
実施例1において、光拡散性樹脂被覆層(配合2)に含む破砕ガラス粉(アスペクト比1〜1.1、長さ5〜8μmの不定形・乱反射粒子)10質量部をアクリル樹脂ビーズ(アスペクト比1、長さ6〜8μmの球状粒子)10質量部に変更した以外は実施例1と同様にして膜厚0.36mm、質量370g/m、全光線透過率が55.8%の膜材を得た。
[比較例4]
実施例1において、光拡散性樹脂被覆層(配合2)に含む破砕ガラス粉(アスペクト比1〜1.1、長さ5〜8μmの不定形・乱反射粒子)10質量部を炭酸カルシウム(アスペクト比1、長さ0.2μmの球状粒子)10質量部に変更した以外は実施例1と同様にして膜厚0.36mm、質量372g/m、全光線透過率が31.3%の膜材を得た。
[比較例5]
実施例1において、光拡散性樹脂被覆層(配合2)に含む破砕ガラス粉(アスペクト比1〜1.1、長さ5〜8μmの不定形・乱反射粒子)10質量部を30質量部に増量した以外は実施例1と同様にして膜厚0.36mm、質量394g/m、全光線透過率が52.6%の膜材を得た。
比較例1の膜材は光拡散効果が不足して蛍光管の存在が目立ち、比較例2の膜材は、光拡散効果に優れるガラスビーズを用いたことで蛍光管の存在が目立ち難いものであったが、ガラスビ−ズのような球状粒子は全方向に対して均等な光拡散効果を得るため、その特性により、膜材を光源に翳した時に発生するガラス織物の糸筋や織組織の陰影及び織組織の部分的弛緩や目ズレによる陰影濃淡などの濃淡差異に対しても均等に光拡散することで、結果的にこれらの濃淡差異を緩和するまでに至らないもので、従って糸筋や織組織の陰影、織組織の部分的弛緩、目ズレなどの外観的欠点が視認されるものであった。比較例3の膜材も、比較例2の膜材同様、光拡散効果に優れるアクリル樹脂ビーズを用いたことで蛍光管の存在が目立ち難いものであったが、球状粒子による全方向に対しての均等な光拡散効果のため、ガラス織物の糸筋や織組織の陰影及び織組織の部分的弛緩や目ズレによる陰影濃淡などの濃淡差異を緩和するに至らず、糸筋や織組織の陰影、織組織の部分的弛緩、目ズレなどの外観的欠点が視認されるものであり、しかも可燃性のアクリル樹脂ビーズを10質量部用いたことでコーンカロリーメーター試験(ISO 5660−1)の不燃性にも、鉄道車両用材料燃焼試験(鉄運第81号)の不燃性にも適合できないものであった。
比較例4の膜材は、炭酸カルシウムを用いたことで隠蔽性が高くなり、蛍光管の存在が視認できなくなり、糸筋や織組織の陰影、織組織の部分的弛緩、目ズレなどの欠点も視認できないなど外観的には問題は無かったが、膜材の光透過性を低くすることで照明カバーを通しての光量が低くなり照明効率の悪いものとなった。比較例5の膜材は破砕ガラス粉を30質量部に増量したが、光拡散効果やガラス繊維基布の織組織の乱れなどによる陰影濃淡欠点を緩和する効果が10質量部使用の膜材での効果とあまり変わらず、反対に光拡散性樹脂被覆層の摩耗強度及び屈曲強度を悪くして破砕ガラス粉が脱落したり、屈曲部の光透過がチョークマーク痕の陰影となる新たな外観的欠点を生じた。
本発明によれば、照明カバー用膜材(内照式看板用を含む)、及び光天井用膜材に用いる可撓性積層体で、照明効果が高く、かつ光源を隠蔽し、特に膜材を光源に翳した時に、ガラス織物の糸筋や織組織の陰影及び織組織の部分的弛緩や緊張のムラによる陰影濃淡の外観的欠点を緩和し、美麗な発光外観を演出する照明カバー用膜材が得られ、しかも国土交通大臣が定め告示した防火性能(ISO 5660−1によるコーンカロリーメーター試験適合)を具備し、尚且つ鉄運第81号、国交省令第151号及び国鉄技第157号、及び国鉄技第124号、国鉄技第125号に基づく不燃基準を兼備することができるので本発明の照明カバー用不燃膜材は、マンション、店舗、大型商業施設、オフィスビル、駅・空港内施設、地下街通路などの天井嵌め込みベースライト用カバーとして、及びそれらに付帯する内照式看板用照明用カバーとして、またエレベータかご内、鉄道車両内などの天井照明カバーとして、またホテルのエントランス・ラウンジ・パーテイ会場、冠婚葬祭式場、イベントホールなどの大規模空間の天井全体を照明として利用する光天井構造などに適して用いることができる。
1:照明カバー用不燃膜材
2:ガラス織物
3:光透過性樹脂被覆層
4:光拡散性樹脂被覆層
5:破砕ガラス粉
6:機能層
7:光源(蛍光管)

Claims (4)

  1. ガラス織物を基材として、この基材の片面に光透過性樹脂被覆層が設けられ、さらに前記基材のもう一方の面に破砕ガラス粉を含有する光拡散性樹脂被覆層が設けられてなる、全光線透過率(JIS K7375)が35〜65%の可撓性積層体であって、前記ガラス織物の空隙率が0〜2.5%であり、また前記破砕ガラス粉が、アスペクト比1〜1.25、長さ1〜20μmの不定形・乱反射粒子であり、その含有量が前記光拡散性樹脂被覆層に対して1〜20質量%であり、それにより前記可撓性積層体を光源に翳した時に、前記ガラス織物の糸筋や織組織の陰影及び織組織の部分的弛緩や目ズレによる陰影濃淡の外観的欠点を緩和することを特徴とする照明カバー用不燃膜材。
  2. 前記光透過性樹脂被覆層上に、可視光応答型光触媒性物質、または無機コロイド物質をバインダー成分に担持して含む機能層が設けられている請求項1に記載の照明カバー用不燃膜材。
  3. 前記光拡散性樹脂被覆層上に、可視光応答型光触媒性物質、または無機コロイド物質をバインダー成分に担持して含む機能層が設けられている請求項1に記載の照明カバー用不燃膜材。
  4. 前記可撓性積層体が、コーンカロリーメーター試験(ISO 5660−1)により、電気ヒーターによる輻射熱を、前記可撓性積層体に向けて50kW/mで照射した時に、加熱開始後20分間の総発熱量が8MJ/m以下であり、且つ加熱開始後20分間、10秒以上継続して最高発熱速度が200kW/mを超えない不燃要件を有する、請求項1から3の何れか1項に記載の照明カバー用不燃膜材。
JP2012000016A 2012-01-04 2012-01-04 照明カバー用不燃膜材 Active JP5857348B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012000016A JP5857348B2 (ja) 2012-01-04 2012-01-04 照明カバー用不燃膜材

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012000016A JP5857348B2 (ja) 2012-01-04 2012-01-04 照明カバー用不燃膜材

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2013140706A JP2013140706A (ja) 2013-07-18
JP5857348B2 true JP5857348B2 (ja) 2016-02-10

Family

ID=49037982

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012000016A Active JP5857348B2 (ja) 2012-01-04 2012-01-04 照明カバー用不燃膜材

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5857348B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101886129B1 (ko) * 2018-02-12 2018-08-07 (주)엘림엘이디 조명 Led 조명기구의 커버.

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6205604B2 (ja) * 2014-01-30 2017-10-04 平岡織染株式会社 光源カバー用可撓性膜材
CN108269492B (zh) * 2018-01-24 2020-06-23 Oppo广东移动通信有限公司 显示装置和电子设备

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005294105A (ja) * 2004-04-01 2005-10-20 Tsutsunaka Plast Ind Co Ltd 蓄光性拡散パネル
JP5282232B2 (ja) * 2008-12-18 2013-09-04 平岡織染株式会社 光天井照明シェ−ド及び、非常灯機能を有する光天井照明システム及び、その非常灯照明方法
JP2011013302A (ja) * 2009-06-30 2011-01-20 Hiraoka & Co Ltd 背面映写可能な産業資材シート、及びその映写システム
JP2011133586A (ja) * 2009-12-24 2011-07-07 Hiraoka & Co Ltd 近赤外線遮蔽性高透光シート及びそれを用いた近赤外線ノイズ遮蔽材

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101886129B1 (ko) * 2018-02-12 2018-08-07 (주)엘림엘이디 조명 Led 조명기구의 커버.

Also Published As

Publication number Publication date
JP2013140706A (ja) 2013-07-18

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2013140245A (ja) 照明カバー用不燃膜材
JP6450921B2 (ja) 光拡散透過性膜材
US10723103B2 (en) Stratified panel structure for sun-sky-imitating lighting systems
JP2011133586A (ja) 近赤外線遮蔽性高透光シート及びそれを用いた近赤外線ノイズ遮蔽材
WO2015174401A1 (ja) 採光装置
JP5857348B2 (ja) 照明カバー用不燃膜材
JP2001055646A (ja) 光拡散用ガラス繊維シート及びそれを用いた照明装置
US20160122911A1 (en) Illuminated fabric comprising glass fibres
JP2011013302A (ja) 背面映写可能な産業資材シート、及びその映写システム
JP2009263606A (ja) 光天井用膜材
EP3052696B1 (fr) Tissu comprenant un revetement transparent resistant au feu
JP5674017B2 (ja) 照明器具
JP6248266B2 (ja) 光拡散透過性膜材
JP5305157B2 (ja) 羽虫陰影痕防止性に優れた光天井用膜材、及びその光天井システム
JP2010229640A (ja) 昆虫陰影痕防止性に優れた光天井用膜材、及びその光天井システム
JP6232628B2 (ja) 不燃性膜材
JP6357272B1 (ja) 透明シートの製造方法及び透明シート
JP6205604B2 (ja) 光源カバー用可撓性膜材
JP5365501B2 (ja) 不燃性内照式電飾看板
JP2016198901A (ja) 建築資材用透明不燃シート
JP5365500B2 (ja) 不燃性内照式電飾看板
CN200968551Y (zh) 用于管状电灯或电灯串的灯罩
JP2015187932A (ja) 照明用カバー及び照明器具
JP5238989B2 (ja) 羽虫陰影痕防止性を有する光天井用膜材の製造方法
WO2014020720A1 (ja) 透過光用の画像用シート、及び、それを用いた透過光用の画像シート

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20141217

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20150819

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20150908

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20150918

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20151113

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20151117

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5857348

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250