JP6205604B2 - 光源カバー用可撓性膜材 - Google Patents

光源カバー用可撓性膜材 Download PDF

Info

Publication number
JP6205604B2
JP6205604B2 JP2014015037A JP2014015037A JP6205604B2 JP 6205604 B2 JP6205604 B2 JP 6205604B2 JP 2014015037 A JP2014015037 A JP 2014015037A JP 2014015037 A JP2014015037 A JP 2014015037A JP 6205604 B2 JP6205604 B2 JP 6205604B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
light source
particles
dimethicone
film material
cured
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2014015037A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2015141359A (ja
Inventor
狩野 俊也
俊也 狩野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hiraoka and Co Ltd
Original Assignee
Hiraoka and Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hiraoka and Co Ltd filed Critical Hiraoka and Co Ltd
Priority to JP2014015037A priority Critical patent/JP6205604B2/ja
Publication of JP2015141359A publication Critical patent/JP2015141359A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6205604B2 publication Critical patent/JP6205604B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Optical Elements Other Than Lenses (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)

Description

本発明は、ホテル、イベントホール、商業施設、遊戯施設、公共施設、駅・空港内施設、地下街通路などの天井照明や壁照明、エレベータかごなどの天井照明、照明器具のシェード材、カバー材、及びプロジェクター投影用の映写スクリーンなど、各種光源カバーに用いられる光拡散透過性かつ可撓性の膜材であって、洗剤や溶剤を使用することなく煤塵汚れの除去性に優れ、しかも平成12年に改正施行された建築基準法の燃焼試験(ASTM−E1354に規定のコーンカロリーメーター試験法)に適合する不燃特性を有する膜材料、及び鉄運第81号、国交省令第151号及び国鉄技第157号、及び国鉄技第124号、国鉄技第125号に基づく不燃基準を兼備する鉄道車両の車内照明に用いる光源カバー用の光拡散透過性かつ可撓性の膜材であって、洗剤や溶剤を使用することなく煤塵汚れの除去性に優れた膜材に関する。
ガラスクロスをシリコーンエラストマーでコーティングした耐火膜材は火災被害の拡大防止に有効である反面、シリコーンエラストマー特有のラバー粘性によって埃や油性煤塵(主に燃焼排気ガスなどに由来するカーボン煤と砂埃・土埃との混合物)を付着し易く膜材全体が黒ズミ、しかもその黒ズミ除去がし難い欠点を有している。そして、特に合成洗剤、さらにはアルコール類やシンナーなどの溶剤使用によるウエスでの拭き取り手作業では、表面的な黒ズミは除去されるものの、残りの煤塵汚れが薄く伸び広がり、それが拭き取りの痕跡のムラ汚れとなって余計に外観が見苦しくなることがあった。しかもこのような洗剤や溶剤を用いた汚れの除去は以下の理由で相当困難なものとなる。すなわち特にシリコーンエラストマーを形成するコーティング剤には粘性調整のための希釈溶剤を含有しているが、コーティング工程の加熱乾燥により溶剤が急激に揮発し、表面に微細な溶剤揮発による空隙痕を無数に生成することに起因している。このような状態で洗剤や溶剤を用いたウエス拭き取り作業を行えば、この空隙痕内に逆に煤塵汚れを押し込んだり、さらには洗剤や溶剤に溶けた煤塵、あるいは分散した煤塵などが空隙痕内部に吸着されることで、汚れが浸透していっそう汚れの除去性を悪くしていたのである。
本出願人は以前に、シリコーンエラストマーでコーティングした膜材の汚れの問題を解決したシートとして、ガラス繊維布帛を含むシリコーン樹脂(ゴム)積層体の表面をアクリル樹脂/弗素含有樹脂構成の2層フィルムで被覆して防汚性を付与した不燃性シート(特許文献1)を提案した。確かに、このシートは表面にフィルム層を有することで煤塵汚れを拭き取り除去し易いものであるが、このシートでは雨筋が付き易く、フィルムを貼ることで風合いが硬くなり、さらにフィルムとシリコーン樹脂(ゴム)との接着性が弱いために耐屈曲性が不十分であった。また、本出願人は建築基準法の燃焼試験(ASTM−E1354、コーンカロリーメーター試験法)に適合し、かつ、屋外設置による汚れ防止効果、及び雨筋汚れ防止性に優れたシリコーン樹脂被覆による不燃膜材として、不燃性の布帛を基布として、この1面以上にシリコーンエラストマーによる防水被覆層を設け、かつ、この防水被覆層の1面上に、光触媒物質、シリコーン成分含有樹脂、及び官能基含有シロキサン化合物とから形成される滑性表面層を設けた可撓性シート(特許文献2)を提案した。このシートでは光触媒の有機物の分解効果によって、油性煤塵汚れを除去可能なものであったが、屋内用途では光触媒効果を発揮するための紫外線が不足するため屋内使用には不向きであった。また、本出願人は最近、ガラス織物を基材とする不燃膜材で、膜材を光源に翳した時に、織物の糸筋や織組織の陰影や濃淡ムラの欠点を緩和し、美麗な発光外観を演出する膜材として、ガラス織物を基材として、この基材の片面に不定形・乱反射粒子であるアスペクト比1〜1.25、長さ1〜20μmの破砕ガラス粉を特定量で含有する光拡散性樹脂被覆層を設けた光源カバー用、光天井用の不燃膜材(特許文献3)を提案した。このシートでは不定形な破砕ガラス粉を含有することで、光拡散効果が大きく得られるものであるが、その反面シート表面の手触り感がサンドペーパー並みに粗く、煤塵汚れが付着して、除去し難いものであった。
従って、平成12年に改正施行された建築基準法の燃焼試験(ASTM−E1354に規定のコーンカロリーメーター試験法)に適合する光源カバー用の不燃性膜材料であって、ホテル、イベントホール、商業施設、遊戯施設、公共施設、駅・空港内施設、地下街通路などの天井照明や壁照明、エレベータかごなどの天井照明、照明器具のシェード材、カバー材、及びプロジェクター投影用の映写スクリーンなど、各種光源カバーに用いられる光拡散透過性かつ可撓性の膜材であって、洗剤や溶剤を使用することなく煤塵汚れの除去性に優れた膜材と、鉄運第81号、国交省令第151号及び国鉄技第157号、及び国鉄技第124号、国鉄技第125号に基づく不燃基準を兼備する鉄道車両の車内照明に用いる光源カバー用の光拡散透過性かつ可撓性の膜材であって、洗剤や溶剤を使用することなく煤塵汚れの除去性に優れた膜材などは存在していなかったのである。
特開昭60−244546号公報 特開2006−272651号公報 特開2013−140245号公報
本発明は、ホテル、イベントホール、商業施設、遊戯施設、公共施設、駅・空港内施設、地下街通路などの天井照明や壁照明、エレベータかごなどの天井照明、照明器具のシェード材、カバー材、及びプロジェクター投影用の映写スクリーンなど、各種光源カバーに用いられる光拡散透過性かつ可撓性の膜材であって、洗剤や溶剤を使用することなく煤塵汚れの除去性に優れ、しかも平成12年に改正施行された建築基準法の燃焼試験(ASTM−E1354に規定のコーンカロリーメーター試験法)に適合する不燃特性を有する膜材料、及び鉄運第81号、国交省令第151号及び国鉄技第157号、及び国鉄技第124号、国鉄技第125号に基づく不燃基準を兼備する鉄道車両の車内照明に用いる光源カバー用の光拡散透過性かつ可撓性の膜材であって、洗剤や溶剤を使用することなく煤塵汚れの除去性に優れた膜材を提供しようとするものである。
本発明は上記課題を解決するために検討を重ねた結果、無機繊維を含む布帛を基布として、この基布の1面以上にシリコーンエラストマー組成物により形成された含浸被覆層を有する全光線透過率(JIS K7375)35〜65%の光拡散透過性シートとして、この光拡散透過性シートの表面に、粒子径0.1〜5μmのオルガノポリシロキサン硬化物粒子を露出させることによって、得られるシートの防汚効果が優れていて、しかも輻射電気ヒーターを用いた50kW/mの輻射熱を照射する発熱性試験において、加熱開始後20分間の総発熱量が8MJ/m以下であり、かつ加熱開始後20分間、最高発熱速度が10秒以上継続して200kW/mを超えないことを見出して本発明を完成させるに至った。
本発明の光源カバー用可撓性膜材は、無機繊維を含む布帛を基布として、この基布の1面以上にシリコーンエラストマー組成物により形成された含浸被覆層を有する全光線透過率(JIS K7375)が35〜65%の光拡散透過性シートであって、この光拡散透過性シートの表面に、粒子径0.1〜5μmのオルガノポリシロキサン硬化物粒子が露出していることが好ましい。これによって洗剤や溶剤を使用することなく付着した煤塵汚れの除去を容易とし、しかもASTM−E1354の燃焼試験に適合する不燃特性を実現することを可能とする。
本発明の光源カバー用可撓性膜材は、前記シリコーンエラストマー組成物に、前記オルガノポリシロキサン硬化物粒子を含有し、前記含浸被覆層に対して前記オルガノポリシロキサン硬化物粒子を1〜20質量%含み、それによって前記含浸被覆層の表面に、前記オルガノポリシロキサン硬化物粒子の量の一部が露出していることが好ましい。このようなシリコーンエラストマーにオルガノポリシロキサン硬化物粒子を含有する組成物の使用によって洗剤や溶剤を使用することなく付着した煤塵汚れの除去を容易とする。
本発明の光源カバー用可撓性膜材は、前記含浸被覆層の表面に、前記オルガノポリシロキサン硬化物粒子を含有するシリコーン樹脂系表面処理層が形成され、このシリコーン樹脂系表面処理層に対して前記オルガノポリシロキサン硬化物粒子を1〜20質量%含み、それによってシリコーン樹脂系表面処理層の表面に、前記オルガノポリシロキサン硬化物粒子の量の一部が露出していることが好ましい。このようにシリコーンエラストマーにオルガノポリシロキサン硬化物粒子を含有せずとも、そのシリコーン樹脂系表面処理層のみにオルガノポリシロキサン硬化物粒子を含むことによって、洗剤や溶剤を使用することなく付着した煤塵汚れの除去を容易とする。
本発明の光源カバー用可撓性膜材は、前記オルガノポリシロキサン硬化物が、ポリメチルシルセスキオキサン、含フッ素シルセスキオキサンポリマー、以下INCI命名による(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー、(ジメチコン/フェニルビニルジメチコン)クロスポリマー、(ジメチコン/ラウリルジメチコン)クロスポリマー、(ジメチコン/(PEG−10/15))クロスポリマー、(ビニルジメチコン/メチコンシルセスキオキサン)クロスポリマー、(PEG−15/ラウリルジメチコン)クロスポリマー、(ジフェニルジメチコン/ビニルジフェニルジメチコン/シルセスキオキサン)クロスポリマー、(ジメチコン/ポリグリセリン−3)クロスポリマー、(ラウリルジメチコン/ポリグリセリン−3)クロスポリマー、(ジメチコン/ビス−イソブチルPPG−20)クロスポリマー、及びこれらのオルガノポリシロキサン硬化物粒子にシリコーンオイルを吸着させた粒子から選ばれる1種または2種以上であることが好ましい。これによって洗剤や溶剤を使用することなく付着した煤塵汚れの除去を容易とし、その効果はオルガノポリシロキサン硬化物粒子として、特にポリメチルシルセスキオキサン粒子を主体として使用することが好ましい。
本発明の光源カバー用可撓性膜材は、前記シリコーン樹脂系表面処理層が、酸化チタン、過酸化チタン(ペルオキソチタン酸)、酸化亜鉛、酸化錫、チタン酸ストロンチウム、酸化タングステン、酸化ビスマス、酸化鉄、及びこれらの酸化物に、銀、プラチナ、金、銅、ロジウム、パラジウム、ルテニウム、イリジウム、及び遷移金属イオンの1種以上をドーピングした物質、から選ばれた少なくとも1種以上の光触媒物質を含有することが好ましい。シリコーン樹脂系表面処理層にオルガノポリシロキサン硬化物粒子と併用して光触媒物質を含有することによって、付着した煤塵汚れの一部を光触媒作用による有機物分解効果で、より拭き取り除去性を高くすることを可能とする。
本発明の光源カバー用可撓性膜材は、前記無機繊維を含む布帛が、ガラス繊維、シリカ繊維、アルミナ繊維、及びセラミック繊維から選ばれた1種以上の繊維糸条から形成されることが好ましい。これによってASTM−E1354の燃焼試験に適合する不燃特性を実現することをより容易とする。
本発明の光源カバー用可撓性膜材は、前記無機繊維を含む布帛が、モンモリロナイト、スメクタイト、及びフッ素雲母から選ばれた1種以上の層状鉱物で処理されていることが好ましい。これによって、燃焼時に層状鉱物が体積膨張して布帛の隙間を埋め、布帛の隙間からの燃焼ガスの漏出を抑止するので、膜材の反対側への煙の拡散が効果的に遮断されるようになり、ASTM−E1354の燃焼試験に適合する不燃特性を実現することを容易とする。
本発明の光源カバー用可撓性膜材は、輻射電気ヒーターを用いて50kW/mの輻射熱を照射する、ASTM−E1354に規定のコーンカロリーメーター試験法において、加熱開始後20分間の総発熱量が8MJ/m以下であり、かつ加熱開始後20分間、最高発熱速度が10秒以上継続して200kW/mを超えない不燃特性を有することが好ましい。ASTM−E1354試験法に適合することで、平成12年に改正施行された建築基準法の燃焼試験に適合し、それによって公共施設やオフィスビルなどの天井照明や壁照明、さらには鉄道車両やエレベータかごなどの天井照明など、利用者の多い場所での使用を可能とし、より火災や防災対策の信頼性を高くすることができる。
本発明の光源カバー用可撓性膜材は、光拡散透過性かつ可撓性を有し、洗剤や溶剤を使用することなく煤塵汚れの除去性に優れ、しかも平成12年に改正施行された建築基準法の燃焼試験(ASTM−E1354に規定のコーンカロリーメーター試験法)に適合する不燃特性を有する膜材が得られるので、ホテル、イベントホール、商業施設、遊戯施設、公共施設、駅・空港内施設、地下街通路などの天井照明や壁照明、及びエレベータかごなどの天井照明など利用客の多い場所で使用する大型の光源カバーとしての使用はもちろん、さらには照明器具のシェード材、カバー材、プロジェクター投影用の映写スクリーンなどにも使用でき、これらの用途において火災対策や防災対策の信頼性をより高くすることができる。また、鉄運第81号、国交省令第151号及び国鉄技第157号、及び国鉄技第124号、国鉄技第125号に基づく不燃基準を兼備するので鉄道車両の車内照明の光源カバーにも使用可能であり、火災対策や防災対策の信頼性をより高くすることができる。
本発明の光源カバー用可撓性膜材の断面の一例を模式的に示す図 本発明の光源カバー用可撓性膜材の断面の一例を模式的に示す図
本発明の光源カバー用可撓性膜材は、無機繊維を含む布帛を基布として、この基布の1面以上にシリコーンエラストマー組成物により形成された含浸被覆層を有する全光線透過率(JIS K7375)が35〜65%の光拡散透過性シートであって、この光拡散透過性シートの表面に、粒子径0.1〜5μmのオルガノポリシロキサン硬化物粒子が露出しているもので、それによって洗剤や溶剤を使用することなく付着した煤塵汚れの除去を容易とし、しかもASTM−E1354の燃焼試験に適合する不燃特性を実現することを可能とする。そして本発明の光源カバー用可撓性膜材の使用方法は、シリコーンエラストマー組成物により形成された含浸被覆層を基布の片面のみに設けたものである場合には、含浸被覆層面側を外観面側として装着し、含浸被覆層が基布の両面に設けたものである場合には、外観面側を何れの面側としても構わない。このとき光源カバーとして露出する側の面には煤塵汚れ除去性を補助しうる物質(例えば光触媒物質)を含有することができる。
本発明の光源カバー用可撓性膜材の基材に使用する無機繊維を含む布帛は、ガラス繊維、シリカ繊維、アルミナ繊維、及びセラミック繊維から選ばれた1種以上の繊維糸条から形成されたもので、織布、または編布が用いられる。織布として、平織、綾織、繻子織、模紗織など汎用の織布が挙げられるが、特に織組織が、経糸打込:20〜100本/1インチ、緯糸打込:20〜100本/1インチの平織織布が好ましい。平織織布は織構造上、嵩高とならず表面凹凸の少ない形態であり、さらに経糸打込及び緯糸打込の糸本数が多いほど、膜材を光源に翳した時に布帛の織組織の陰影を際立たせない効果が得られる。また、平織織布であることによって光源カバーに用いた時の装着張力に対して、経緯方向物性(ヤング率・伸び率)バランスが保たれるので光源カバーの形態安定性に優れている。このような布帛は経緯糸条の交絡間に形成される空隙率が0〜2.5%の織密度であることが光源カバー用膜材を光源に翳した時に、布帛の織組織の陰影を際立たせない効果が高く得られる。空隙率は0%が最も好ましいが、用いる繊維糸条の繊度に応じて最大2.5%まで許容が可能である。空隙率が2.5%を越えると、光源カバー用膜材を光源に翳した時に、空隙部の光線透過率のみが大きくなり、それによって布帛の織組織の陰影が際立ち、光源カバーの外観を悪くすることがある。空隙率は布帛の特定の面積単位(例えば1インチ幅×1インチ長の四角形)内に含む、経緯糸条の交絡間に形成された多数の微細空隙の総和による面積占有率であり、空隙率は先ず布帛の特定の面積単位内に含む経糸条及び緯糸条の占める面積率を求め、これを100%から差し引いた値(%)で求めてもよい。布帛と、シリコーンエラストマー組成物により形成される含浸被覆層との接着性を向上させる目的で布帛全体に公知のシランカップリング剤による表面処理を1〜5質量%濃度の溶液による含浸処理で施すことが好ましい。
布帛を構成する無機繊維糸条としてのガラス繊維、シリカ繊維、アルミナ繊維、及びセラミック繊維は、各々フィラメント直径3〜13μmに溶融紡糸され、50〜500本集束して得たストランドに0〜5回/インチの撚りを掛けた単糸で、特に撚数が0の無撚糸で断面形状が扁平のフラットヤーンが最も好ましい。ガラス繊維としてはEガラス(無アルカリガラス)を使用したもの、シリカ繊維としてはシリカ(SiO)を主成分として95質量%以上含み、副成分として酸化ホウ素(B)を2.5〜5質量%含むものが挙げられる。アルミナ繊維としてはアルミナ(Al)を65〜75質量%とシリカ(SiO)を25〜35質量%、とを主成分とするもので、副成分として酸化ホウ素(B)を2.5〜10質量%含むものが挙げられる。セラミック繊維としては本発明において具体的に、チタン酸カリウム繊維、チタニア繊維、シリカ−チタニア繊維、窒化ホウ素繊維、ジルコニア繊維、シラザン−窒化ケイ素繊維、アルミナ−ボリア−シリカ繊維から選ばれた1種以上である。無撚のマルチフィラメントフラットヤーンを用いることで光透過ムラを無くすると同時に糸幅が広い利点により布帛の空隙率を0に近付けることができるので、光源カバー用膜材を光源に翳した時に、布帛の織組織の陰影を際立たせない効果をより高く設定することができる。ストランドの撚数が5回/インチを越えて大きくなるとマルチフィラメントが捻れて出来る螺旋ウェーブに光屈折が干渉することで捻れ部分の光透過陰影が際立って光源カバーの外観を悪くすることがある。また、これらのストランド2本、または3本を1〜5回/インチで撚り合わせた合撚糸なども使用できるが、これらは糸径が大きくなり、布帛の厚さを嵩高にして凹凸を増すため光透過時の陰影が際立ち易くなることがある。本発明の光源カバー用可撓性膜材に使用する無機繊維糸条の繊度は、150〜1800dtex、特に300〜1350dtexのマルチフィラメント糸条が好ましい。
上記の布帛には、モンモリロナイト、スメクタイト、及びフッ素雲母から選ばれた1種以上の層状鉱物による下処理がなされ、布帛を構成するマルチフィラメント糸条、及び糸条−糸条間には平均粒子径0.1〜30μmの上記層状鉱物粒子が埋填されていることが燃焼試験(ASTM−E1354に規定のコーンカロリーメーター試験法)において有効である。この手段によって、加熱時に層状鉱物が体積膨張して布帛の隙間を埋め、布帛の隙間からの燃焼ガスの漏出を抑止するので、煙の拡散を効果的に遮断することができるようになる。フッ素雲母はNa四珪素雲母を有機交換処理した平均粒子径10〜30μmのフッ素四珪素雲母が使用できる。モンモリロナイトは、(Al2−yMg)Si10(OH)・(M1/2 2+nHO式で表される平均粒子径0.1〜2.0μmの2八面体型含水層状珪酸塩鉱物が使用できる。(y=0.2〜0.6、M=交換性陽イオンNa, K, Ca, Mg, Hなど、n=層間水の量)スメクタイトは、シリカ四面体(四配位)とアルミ八面体(六配位)が交互に層状となる構造であり、シリカ/アルミが2:1の比率のもので、これらの平均粒子径は0.1〜2.0μmである。これらの層状鉱物による布帛への処理は、水中分散した層状鉱物水溶液を用いて布帛に含浸後、乾燥することによって行い、布帛の質量に対し、3〜12質量%の付着率とすることが好ましい。この層状鉱物水溶液には布帛と層状鉱物との密着性を向上するためにシランカップリング剤、もしくは有機チタネート化合物を層状鉱物に対して1〜10質量%併用することが好ましい。
無機繊維糸条からなる布帛の1面以上に形成する含浸被覆層は、シリコーンエラストマー組成物溶液によるディッピィング法(布帛全体を溶液中に含浸)、またはコーティング法、グラビアコート法などの公知の塗工方法によって形成される。シリコーンエラストマー組成物は、シリコーンエラストマーとしては、付加反応硬化型シリコーンエラストマー、縮合反応硬化型シリコーンエラストマー、ラジカル(パーオキサイド架橋)反応硬化型シリコーンエラストマーが使用でき、特にトルエン等で希釈してコーティングが可能で、しかも低温硬化ができる付加反応硬化型シリコーンエラストマーが好ましい。付加反応硬化型シリコーンエラストマーは、2種類のオルガノポリシロキサン中の官能基が付加反応により結合して架橋しエラストマー化したもので、これらは例えば、ビニル基やヘキセニル基のような脂肪族不飽和基を含有するオルガノポリシロキサン、オルガノハイドロジェンポリシロキサンおよび白金族化合物系触媒からなるシリコーンエラストマーが挙げられる。脂肪族不飽和基含有オルガノポリシロキサンとしては、両末端ビニルジメチルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、両末端ビニルジメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体、両末端ビニルメチルフェニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体が挙げられる。オルガノハイドロジェンポリシロキサンとしては、両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン、両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、メチルハイドロジェンシクロポリシロキサンが挙げられ、これらの付加反応硬化型シリコーンエラストマーは加熱によって硬化可能であり、硬化物中にはシリカ、炭酸カルシウムなどの充填剤、ホウ酸亜鉛、ホウ酸アルミニウム、錫酸亜鉛、ヒドロキシ錫酸亜鉛、クリストバライトなど、燃焼時にガラス質の燃焼ガス遮蔽層を形成可能な無機難燃剤、酸化チタンなどの無機顔料、光源カバーの青味付目的に少量の有機顔料(シアニンブルー)、蛍光増白剤などを含有することができる。
縮合反応硬化型シリコーンエラストマーは、2種類のオルガノポリシロキサン中の官能基、またはオルガノポリシロキサンとシリカやシラン等のケイ素化合物中の官能基が縮合反応により結合して架橋しエラストマー化したものである。縮合反応硬化型シリコーンエラストマーは、脱水素縮合型、脱水縮合型、脱酢酸縮合型、脱オキシム縮合型、脱アルコール縮合型、脱アミド縮合型、脱ヒドロキシルアミン縮合型、脱アセトン縮合型の何れであってもよく、付加成分として増量充填剤、耐熱剤、難燃剤、顔料、有機溶剤などを含有することができる。脱水素縮合反応硬化型シリコーンエラストマーとしては、両末端シラノール基封鎖ジオルガノポリシロキサン、オルガノハイドロジェンポリシロキサンおよび有機酸の重金属塩等の縮合反応触媒からなる組成物が挙げられる。両末端シラノール基封鎖ジオルガノポリシロキサンとしては、両末端シラノール基封鎖ジメチルポリシロキサン、両末端シラノール基封鎖ジメチルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、両末端シラノール基封鎖メチル(3,3,3−トリフルオロプロピル)ポリシロキサンが挙げられる。このジオルガノポリシロキサンは末端シラノール基の一部をアルコキシ化したものでもよい。架橋剤として作用するオルガノハイドロジェンポリシロキサンとしては、両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン、メチルハイドロジェンシクロポリシロキサンが挙げられる。縮合反応触媒には、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジオクテート、ラウリン酸錫、オクテン酸鉛、オクテン酸亜鉛などが使用できる。これらの脱水素縮合反応硬化型シリコーンエラストマーは、加熱硬化する必要があるが、脱水縮合型、脱酢酸縮合型、脱オキシム縮合型、脱アルコール縮合型、脱アミド縮合型、脱ヒドロキシルアミン縮合型、脱アセトン縮合型のシリコーンエラストマーなどは湿気硬化してエラストマー化することができる。また本発明に用いるシリコーンエラストマーは水性オルガノポリシロキサンエマルジョンにコロイダルシリカを含む組成物を用い、水分を除去したものであってもよい。
ラジカル反応硬化型シリコーンエラストマー組成物としては、オルガノポリシロキサン、補強性充填剤および有機過酸化物からなる組成物が挙げられる。オルガノポリシロキサンとしては、両末端がトリメチルシロキシ基、ジメチルビニルシロキシ基、メチルフェニルビニルシロキシ基またはシラノール基で封鎖され、主鎖がジメチルポリシロキサン、ジメチルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体などが挙げられる。有機過酸化物は、ベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイドなどである。このラジカル反応硬化型シリコーンエラストマー組成物は加熱硬化することができる。この他ラジカル反応硬化型シリコーンエラストマー組成物として、オルガノポリシロキサン生ゴムを主剤とし、β線やγ線照射で硬化する組成物や、ケイ素原子結合アルケニル基含有オルガノポリシロキサンと増感剤を含み、紫外線照射で硬化する組成物が挙げられる。上述のシリコーンエラストマー(付加反応硬化型、縮合反応硬化型、ラジカル反応硬化型)組成物による含浸被覆層の形成厚さは、被覆部分が10〜150μm、特に20〜100μmであることが好ましい。被覆部分の膜厚が10μm未満では煤塵除去性が不十分となることがあり、また150μmを超えると建築基準法に定める燃焼試験(ASTM−E1354)に適合できないことがある。また含浸部分は布帛の断面(繊維糸条の断面)に対して、布帛全体(繊維糸条全体)であるか、含浸被覆層側から厚さ方向に50〜90%の深さである。
上記により形成された含浸被覆層には、オルガノポリシロキサン硬化物粒子を含浸被覆層の質量、すなわちシリコーンエラストマー組成物に対して1〜20質量%、特に3〜10質量%含有し、それによって含浸被覆層の表面には配合したオルガノポリシロキサン硬化物粒子の全量に対する一部の粒子の表面が露出していることが好ましい。使用するオルガノポリシロキサン硬化物粒子のサイズは粒子径0.1〜5μm、特に0.5〜3.5μmの範囲が好ましい。オルガノポリシロキサン硬化物粒子の含有量が1質量%未満だと得られる光源カバー用膜材の煤塵除去性が不十分となることがあり、また含有量が20質量%を越えると含浸被覆層と布帛との界面接着力が低下して、煤塵拭き取り時に、乾いたウエスで強い拭き取りを行ったときに布帛から含浸被覆層が消しゴムかすのように剥離して脱落することがある。オルガノポリシロキサン硬化物粒子は、ポリメチルシルセスキオキサン、含フッ素シルセスキオキサンポリマー、以下INCI命名による(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー、(ジメチコン/フェニルビニルジメチコン)クロスポリマー、(ジメチコン/ラウリルジメチコン)クロスポリマー、(ジメチコン/(ポリエチレングリコール10/15))クロスポリマー、(ビニルジメチコン/メチコンシルセスキオキサン)クロスポリマー、(ポリエチレングリコール15/ラウリルジメチコン)クロスポリマー、(ジフェニルジメチコン/ビニルジフェニルジメチコン/シルセスキオキサン)クロスポリマー、(ジメチコン/ポリグリセリン−3)クロスポリマー、(ラウリルジメチコン/ポリグリセリン−3)クロスポリマー、(ジメチコン/ビス−イソブチルポリプロピレングリコール−20)クロスポリマー、及びこれらのオルガノポリシロキサン硬化物粒子にシリコーンオイルを吸着させた粒子から選ばれる1種または2種以上である。これらのクロスポリマーはシリコーンゴム粒子の表面にシリコーン樹脂硬化物で被覆してなる複合粒子である。またINCI命名とは化粧品原料の国際命名法(International Nomenclature of Cosmetic Ingredients)である。
オルガノポリシロキサン硬化物粒子は架橋有機シリコーン微粒子であり、シロキサン単位(RSiO3/2)nで表される三次元網目構造に架橋したポリオルガノシルセスキオキサン硬化物であることが好ましい。オルガノポリシロキサン硬化物粒子はシロキサン結合を主骨格としてケイ素原子に有機置換基を有するものであり、シロキサン単位の酸素原子の1個または2個を水酸基またはアルコキシ基に置換したシロキサン単位が特に好ましい。オルガノポリシロキサン硬化物粒子のケイ素原子に置換する有機基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などのアルカン基、フェニル基などのアリール基、ベンジル基などのアラルキル基などの他、カルボキシル基、カルボニル基、エステル基、エーテル基などが挙げられる。このようなオルガノポリシロキサン硬化物粒子は、3官能性のアルコキシシランなどを水中で加水分解と縮合反応(ゾル−ゲル法)によってシロキサン結合を成長させながら3次元架橋した粒子を形成させる方法で製造される。本発明においてオルガノポリシロキサン硬化物粒子はポリオルガノシルセスキオキサン硬化物微粒子を単独使用するか、ポリオルガノシルセスキオキサン硬化物微粒子を主体とし、これに上記クロスポリマーをブレンド併用することが好ましい。
またオルガノポリシロキサン硬化物には後処理でシリコーンオイルを3〜15質量%吸着したものも使用することができる。特にシリコーンオイルを吸着したオルガノポリシロキサン硬化物粒子を使用することによって、膜材表面に経時的に滲み出た微量のシリコーンオイル成分が膜材表面を覆うことにより、その上に蓄積した煤塵汚れと膜材との間に介在する剥離剤として作用し、その結果煤塵汚れの拭き取り除去性を効果的に高くすることができる。シリコーンオイルとしては、ジメチルシリコーンオイル、ポリジメチルシロキサンジオール、メチルハイドロジェンシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイルなどのストレートシリコーンオイル、アルキル変性シリコーンオイル、高級脂肪酸変性シリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル、フルオロアルキル変性シリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイル、カルボキシル変性シリコーンオイル、アルコール変性シリコーンオイル、アルキル・ポリエーテル変性シリコーンオイル、メタクリル酸変性シリコーンオイルなどの変性シリコーンオイルが挙げられ、なかでもアルキル変性シリコーンオイル、高級脂肪酸変性シリコーンオイルが好ましい。
また本発明において、必ずしも含浸被覆層にオルガノポリシロキサン硬化物粒子を含有している必要はなく、この場合、オルガノポリシロキサン硬化物粒子を含まない含浸被覆層の表面には、オルガノポリシロキサン硬化物粒子を含有するシリコーン樹脂系表面処理層が別工程により形成さればよく、この方法によればオルガノポリシロキサン硬化物粒子の使用量が少量でも最大限の煤塵汚れ除去性を得ることを可能とする。このようなシリコーン樹脂系表面処理層は、本願の段落〔0022〕、〔0023〕で説明した付加反応硬化型シリコーンエラストマー、縮合反応硬化型シリコーンエラストマー、シリコーン−アクリル共重合樹脂、シリコーン−ウレタン共重合樹脂、シリコーン−アクリル−ウレタン共重合樹脂、シリコーン−フッ素−ウレタン共重合体などの有効固形分100質量%に対してオルガノポリシロキサン硬化物粒子を1〜20質量%含む組成物をトルエンやメチルエチルケトンなどの溶剤で希釈してグラビアコート可能な粘度に調整した溶液を含浸被覆層上に40〜150メッシュのグラビアロールで転写塗工し、その乾燥により厚みが1〜25μmのシリコーン樹脂系表面処理層を形成し、それによってシリコーン樹脂系表面処理層の表面に、配合したオルガノポリシロキサン硬化物粒子の全量に対する一部の粒子の表面が露出するようにしたものが好ましい。
上記シリコーン樹脂系表面処理層には必要に応じて、酸化チタン、過酸化チタン(ペルオキソチタン酸)、酸化亜鉛、酸化錫、チタン酸ストロンチウム、酸化タングステン、酸化ビスマス、酸化鉄、及びこれらの酸化物に、銀、プラチナ、金、銅、ロジウム、パラジウム、ルテニウム、イリジウム、及び遷移金属イオンの1種以上をドーピングした物質、から選ばれた少なくとも1種以上の光触媒物質を含有し、特に波長400nmから800nmの可視光を吸収して活性を示す可視光応答型光触媒であることが好ましい。これによって付着した煤塵汚れの一部を光触媒作用による有機物分解効果で、より拭き取り除去性が高くなる他、室内の消臭効果も期待できるようになる。またシリコーン樹脂系表面処理層には、1次粒子径3〜150nmのシリカ(酸化ケイ素)ゾル、アルミナ(酸化アルミニウム)ゾル、ジルコニア(酸化ジルコニウム)ゾル、セリア(酸化セリウム)ゾル、及び複合酸化物(酸化亜鉛−五酸化アンチモン複合または酸化スズ−五酸化アンチモン複合)ゾルなどの無機コロイド物質を含むことができ、これによって帯電防止性を付与し、膜材に付着する煤塵の除去を容易とする。
本発明の光源カバー用可撓性膜材は、全光線透過率(JIS K7375)が35〜65%、好ましくは40〜55%の光拡散透過性を有するシートである。全光線透過率が35%未満だと光源カバーや光天井膜に用いた時に、光源の輝度に対する照度が低くなり照明効果が非効率となる。一方、全光線透過率が65%を越えると光源カバーや光天井膜に用いた時に、光源の存在及び輪郭が顕わとなることで照明装置の外観を損なうことがある。本発明の光源カバー用可撓性膜材は光源カバーや光天井膜に用いる場合、膜材の何れの面を光源に対向させて装着してもその効果に遜色はない。また必要に応じて光源に対向させる面側に、文字、絵柄、模様、写真などの隠し意匠を部分的、または全面に施すことにより、光源の点灯時に隠し意匠が膜材を透過して膜材表面に行灯表示することも可能である。隠し意匠は光透過性のインクを用いての印刷によって施すことが好ましいが、光半透過性の白インクで和紙柄を濃淡印刷することで、和紙行灯調の光源カバー用可撓性膜材を得ることができる。
光源カバー用可撓性膜材は具体的に、建造物または鉄道車両の天井埋込型ベースライトハウジング(例えば、蛍光灯1〜6本装着:器幅15〜45cm×器長80〜150cm)全面を、照明光源と膜材を3〜20cmの距離で被覆する膜材で、被覆は平面装着に限定されず、湾曲状の立体装着であっても良い。またその膜材端部にはフラット状の支持フレーム、または横断面が半円弧状あるいは多角形状の立体支持フレームが設けられ、支持フレームには蛍光灯ハウジングとの着脱を自在とする嵌合部材を有するものである。また具体的に、天井に多数の照明ハウジングが天井埋込型または天井装着型で配置された状態で、これら照明ハウジングを膜材で一括被覆してなる光天井膜であり、このような大面積膜材は1〜3m幅の膜材原反を縫製または接着により接合すること、または1〜3m幅の膜材原反を支持フレームに組み込み、支持フレーム同士のメカニカルな接合によって大型化され、照明光源と膜材は3〜20cmの距離とする。天井の形状は平面状に限定されず、湾曲状であっても良い。また本発明の光源カバー用可撓性膜材は建造物に付帯する外付型の内照看板用光源カバーとして用いることもできる。また本発明の光源カバー用可撓性膜材は任意の立体デザインを施して、卓上型またはスタンド型のランプシェードとして用いることもできる。また本発明の光源カバー用可撓性膜材に適する光源は、白熱電球、ハロゲンランプ、ロングバー型蛍光管、サークル型蛍光管、ボール内蔵蛍光管、ロングバー型LED蛍光管、ボール内蔵LED蛍光管、サークル型LED蛍光管、多数のLEDを任意に配置した発光体、及び有機EL素子など光源の種類、形態に限定はない。
建築基準法において不燃特性(コーンカロリーメーター試験:ASTM−E1354、またはISO 5660−1)は、電気ヒーターによる輻射熱を、試験体に向けて50kW/mで照射した時に、加熱開始後20分間の総発熱量が8MJ/m以下であり、かつ加熱開始後20分間、10秒以上継続して最高発熱速度が200kW/mを超えない燃焼要件を有するものである。また鉄道車両用内装材には、鉄運第81号、国交省令第151号及び国鉄技第157号、及び国鉄技第124号、国鉄技第125号に基づく不燃性は、アルコールを燃焼源とする試験体の燃焼挙動を5段階に区分し、そのうち最上ランクを満たすものである。
[不燃性評価]
A)コーンカロリーメーター試験(ASTM−E1354)
タテ・ヨコ約100mmの正方形で厚さ50mmまでの大きさで表面が平坦な供試
膜材とし、放射熱50KW/mで10分間行う。試験は、供試膜材3枚の最大発熱
速度の平均値と各供試膜材の最大発熱速度の差が10%未満であることを確認し、1
0%未満の場合は当該3枚の供試膜材のデータを採用する。10%以上となる場合に
は、更に供試膜材3枚の試験を行い、これらの供試膜材6枚のうち、最大発熱速度の
最大値と最小値を除く4枚の供試膜材のデータを採用する。燃焼判定は、試験時間中
に計測された総発熱量(MJ/m)及び最大発熱速度(KW/m)並びに着火時間
(秒)で行う。着火時間(秒)は、試験片から炎が確認されてから10秒以上炎が存
在した場合を着火とみなし、試験開始から最初に着火が確認されるまでの時間とする。
(a)総発熱量:8MJ/m以下を適合
(b)発熱速度:10秒以上継続して200kW/mを超えないものを適合
(c)外観観察:直径0.5mmを超えるピンホール陥没痕の発生がないものを適合
B)鉄道車両用材料燃焼試験:鉄運第81号(昭和44年5月15日)
B5判の供試膜材(182mm×257mm)を45°傾斜に保持し、燃料容器の底の中心が、供試膜材の下面中心の垂直下方25.4mm(1インチ)のところにくるように、コルクのような熱伝導率の低い材質の台にのせ、純エチルアルコール0.5ccを入れて着火し、燃料が燃え尽きるまで放置する。燃焼判定は、アルコールの燃焼中と燃焼後とに分けて、燃焼中は供試膜材への着火、着炎、発煙状態、炎の状態等を観察し、燃焼後は、残炎、残じん、炭化、変形状態を調査し、「不燃性」「極難燃性」「難燃性」「緩燃性」「可燃性」の5段階評価をおこなう。
※「不燃性」の要件 燃焼中:着火(なし)・着炎(なし)・煙(僅少)・火勢(−)
燃焼後:残炎(−)・残じん(−)・炭化(100mm以下の
変色)・変形(100mm以下の表面的変形)・溶融滴下性(な
し)
[煤塵除去性評価]
A)屋外曝露
傾斜角30度の屋外暴露台に供試膜材を1ヶ月間展張固定し、表面に付着した煤塵汚れをワイピングクロス(商品名ザヴィーナ:KBセーレン社製)で拭き取り、煤塵の除去性を下記のように判定した。(埼玉県草加市にて平成25年12月に実施)
1: 除去性に優れている(膜材の外観が初期レベルに戻った)
2: 拭き取りを繰り返しても煤塵汚れがうっすらと残ったまま
変わらない
3: 拭き取りを繰り返しても煤塵汚れが落ちず、拭いた痕跡が
見苦しい
B)ダートチャンバー
直径20cm×高さ25cmの筒状密閉容器内の内壁に供試膜材片を貼付け、複写機用カーボントナー1gと乾燥川砂50gを投入し、筒状密閉容器を横にした状態で1対の回転ロール(互いに反回り)上で、60回/分の回転速度で10分間筒状密閉容器を回転させた後、膜材片を取り出し、表面に付着した煤塵汚れをワイピングクロス(商品名ザヴィーナ:KBセーレン社製)で拭き取り、煤塵の除去性を下記のように判定した。
1: 除去性に優れている(膜材の外観が初期レベルに戻った)
2: 拭き取りを繰り返しても煤塵汚れがうっすらと残ったまま
変わらない
3: 拭き取りを繰り返しても煤塵汚れが落ちず、拭いた痕跡が
見苦しい
[光源カバーの評価]
実施例及び比較例で作成した膜材を用いて天井埋込型蛍光灯ハウジング(36ワット40型の白色蛍光管2本装着:器幅25cm×器長125cm)全面をフラットに覆い、蛍光管と膜材の距離を3cmとした。蛍光灯点灯状態で膜材光透過外観を膜材表面からの距離50cmの位置で目視観察し、A).蛍光管(光源)の視認性、B).光拡散性の良否を目視評価した。膜材のハウジング装着は含浸被覆層側を外に露出する面とする装着での評価とした。
A)蛍光管(光源)のホットスポット視認性
1:十分な照度を有し、しかも蛍光管(光源)の存在が視認できない
2:十分な照度を有するが、蛍光管(光源)の位置が朧に視認できる
3:十分な照度を有するが、蛍光管(光源)の位置が明確に視認できる
4:蛍光管(光源)の存在が視認できないが、照度が不十分である
B)光拡散性
1:十分な照度を有し、しかも光拡散性に優れる
2:十分な照度を有するが、やや光拡散性に劣りやや陰影濃淡がある
3:十分な照度を有するが、光拡散性に劣り陰影濃淡がある
4:照度が不十分である
[実施例1]
Eガラスによる直径9μmのフィラメントを400本集束した繊度67.5texのフラットヤーン単糸を経糸及び緯糸として、経糸打ち込み密度44本/インチ、緯糸打ち込み密度33本/インチの織組織による空隙率0%のガラス平織布帛(質量210g/m)を基材(1)として、この基材(1)の片面に〈配合1〉による含浸被覆層を2回のナイフコーティング法(電気炉内で180℃×3分間の熱処理硬化工程含む)により32g/mの付着量で設けた。このとき含浸被覆層のうちの含浸部をガラス平織布帛の片面表面に設け、含浸固化し、次にこの含浸部の表面に〈配合1〉による含浸被覆層のうちの被覆部をナイフコーティング法(電気炉内で180℃×3分間の熱処理硬化工程含む)により24g/mの付着量で設け、被覆部を固化した。得られた膜材は、厚さ0.2mm、質量266g/m、全光線透過率が44.3%であった。
〈配合1〉
商品名:シラスコンRTV4086A
(2液付加反応硬化型シリコーン樹脂:有効成分100%:東レ・ダウコーニング社製)
50質量部
商品名:シラスコンRTV4086B
(2液付加反応硬化型シリコーン樹脂:有効成分100%:東レ・ダウコーニング社製)
50質量部
商品名:SRX212 CATALYST(東レ・ダウコーニング社製) 1質量部
商品名:KMP−590(オルガノポリシロキサン硬化物粒子) 10質量部
(シロキサン結合が(CH3SiO3/2で表される三次元架橋した平均粒子径2.0μmの
ポリメチルシルセスキオキサン球状粒子:信越シリコーン社製)
トルエン(希釈剤) 100質量部
[実施例2]
実施例1の基材(1)を用い、この基材の片面に〈配合2〉による含浸被覆層を1回のナイフコーティング法(電気炉内で180℃×3分間の熱処理硬化工程含む)により32g/mの付着量で主に含浸部として設けた。次に〈配合2〉による含浸部の表面に〈配合1〉による含浸被覆層のうちの被覆部を80メッシュのグラビアコーティング法(電気炉内で180℃×3分間の熱処理硬化工程含む)により4g/mの付着量で表面処理層を設け、被覆部を固化した。得られた膜材は、厚さ0.19mm、質量246g/m、全光線透過率が47.6%であった。
〈配合2〉
商品名:シラスコンRTV4086A
(2液付加反応硬化型シリコーン樹脂:有効成分100%:東レ・ダウコーニング社製)
50質量部
商品名:シラスコンRTV4086B
(2液付加反応硬化型シリコーン樹脂:有効成分100%:東レ・ダウコーニング社製)
50質量部
商品名:SRX212 CATALYST(東レ・ダウコーニング社製) 1質量部
トルエン(希釈剤) 100質量部
[実施例3]
実施例1の膜材の裏面(含浸被覆層が形成されていない面)に、〈配合1〉による含浸被覆層を1回のナイフコーティング法(電気炉内で180℃×3分間の熱処理硬化工程含む)により26g/mの付着量で設け、厚さ0.22mm、質量292g/m、全光線透過率が40.1%の膜材を得た。
[実施例4]
実施例2の膜材の裏面(含浸被覆層が形成されていない面)に、〈配合1〉による含浸被覆層を1回のナイフコーティング法(電気炉内で180℃×3分間の熱処理硬化工程含む)により26g/mの付着量で設け、厚さ0.22mm、質量292g/m、全光線透過率が44.4%の膜材を得た。
[実施例5]
実施例1の〈配合1〉に使用したオルガノポリシロキサン硬化物粒子(商品名:KMP−590)10質量部を、オルガノポリシロキサン硬化物粒子(商品名:KSP−105:ビニルメチコン/メチコンシルセスキオキサン・クロスポリマー:シリコーンゴム粒子をシリコーン樹脂で被覆した平均粒子径2μmの複合粒子:信越シリコーン社製を用い、後処理でジメチルシリコーンオイルを5質量%吸着させて調製したもの)10質量部に変更した以外は実施例1と同様として、厚さ0.2mm、質量266g/m、全光線透過率が44.3%の膜材を得た。
[実施例6]
実施例1の〈配合1〉に使用したオルガノポリシロキサン硬化物粒子(商品名:KMP−590)10質量部を5質量部に減量し、減量した5質量部をオルガノポリシロキサン硬化物粒子(商品名:KSP−105:ビニルメチコン/メチコンシルセスキオキサン・クロスポリマー:シリコーンゴム粒子をシリコーン樹脂で被覆した平均粒子径2μmの複合粒子:信越シリコーン社を製用い、後処理でジメチルシリコーンオイルを5質量%吸着させて調製したもの)5質量部とした以外は実施例1と同様として、厚さ0.2mm、質量266g/m、全光線透過率が44.3%の膜材を得た。
[実施例7]
実施例2の表面処理層を〈配合3〉に変更した以外は実施例2と同様として、〈配合2〉による含浸部の表面に〈配合3〉による含浸被覆層のうちの被覆部を80メッシュのグラビアコーティング法(電気炉内で180℃×3分間の熱処理硬化工程含む)により4g/mの付着量で表面処理層を設け、被覆部を固化した。得られた膜材は、厚さ0.19mm、質量246g/m、全光線透過率が47.6%であった。
〈配合3〉
商品名:シラスコンRTV4086A
(2液付加反応硬化型シリコーン樹脂:有効成分100%:東レ・ダウコーニング社製)
50質量部
商品名:シラスコンRTV4086B
(2液付加反応硬化型シリコーン樹脂:有効成分100%:東レ・ダウコーニング社製)
50質量部
商品名:SRX212 CATALYST(東レ・ダウコーニング社製) 1質量部
商品名:KMP−590(オルガノポリシロキサン硬化物粒子) 10質量部
(シロキサン結合が(RSiO3/2で表される三次元架橋した平均粒子径2.0μmの
ポリメチルシルセスキオキサン球状粒子:信越シリコーン社製)
商品名:スノーテックスO ST−O
(水分散コロイダルシリカ:固形分20質量%:日産化学工業社製) 10質量部
メチルトリメトキシシラン 2質量部
酸化タングステン(可視光応答型光触媒)微粒子 2質量部
酸化銅(光触媒ドープ剤)微粒子 0.5質量部
トルエン(希釈剤) 100質量部
[実施例8]
実施例1の基材(1)を下記〈配合4〉の層状鉱物含有下処理液浴に浸し、これを引き上げると同時にピックアップ率40質量%にゴムマングル圧搾し、次いで180℃の熱風炉内で2分間乾燥して層状鉱物処理された質量214g/mのガラス繊維布帛を得た。ガラス繊維布帛(層状鉱物含有下処理)を変更した以外は実施例1と同一として、厚さ0.2mm、質量270g/m、全光線透過率が43.5%の膜材を得た。
〈配合4:層状鉱物含有下処理液〉
商品名:ナノフィル2
(モンモリロナイト:平均粒子径8μm、分散粒子径100〜500nmの層状鉱物:
Süd-Chemie社製) 15質量部
商品名:KBM403
(γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン:有効成分100%:信越化学工業社製)
3質量部
希釈水 82質量部
実施例1〜8の膜材は、天井照明や壁照明、鉄道車両やエレベータかごなどの天井照明、照明器具のシェード材、カバー材、及びプロジェクター投影用の映写スクリーンなどに用いた時に十分な照度を有して光拡散性に優れ、また蛍光管(光源)の存在(ホットスポット)が視認されることのない、光源カバーとして良好なものであり、膜材の表面にオルガノポリシロキサン硬化物粒子として配合した量の一部が露出していること(実施例1〜8の膜材の表面を顕微鏡で観察したところ、含浸被覆層の表面全面には無数のオルガノポリシロキサン硬化物粒子の露出を確認した。)によって付着した煤塵汚れの除去は、その大部分がワイピングクロスで拭き取ることができるものであった。さらにこれらの膜材はコーンカロリーメーター試験(ASTM−E1354)の不燃性に適合し、または鉄道車両用材料燃焼試験(鉄運第81号)の不燃性に適合するものであるため、特に公共施設やオフィスビルなどの天井照明や壁照明、鉄道車両の天井照明に用いる光源カバーとして最適なものであった。また実施例7の膜材は含浸被覆層の表面に光触媒物質を含むこと、特に可視光応答型光触媒物質(酸化銅をドープ剤とする酸化タングステン)を含有することで、照明点灯時に光源から発する可視光線によって励起された光触媒物質の酸化還元反応が起こり、付着した煤塵汚れ(例えば埃、黴、花粉、調理で揮散した油、煙草のヤニなどの蓄積汚れ)の分解を促し、それによって煤塵汚れの除去性をより高くすることが可能となるのみならず、照明カバー(または光天井用膜材)露出面に漂い接触する臭気(体臭、動物臭、食品臭、煙草臭、化学物質臭など)ppm濃度を1時間で約1/4濃度に低減させる消臭効果も有するものであった。また実施例8の膜材は、ガラス平織布帛を層状鉱物(モンモリロナイト)で処理し、ガラス平織布帛全体に付着させたことによって燃焼時に層状鉱物(モンモリロナイト)が体積膨張して布帛の隙間を埋め、布帛の隙間からの燃焼ガスが漏出することを抑止することで、膜材の反対側への煙の拡散が効果的に遮断されることが明らかとなった。
[比較例1]
実施例1において、含浸被覆層〈配合1〉に含むオルガノポリシロキサン硬化物粒子(平均粒子径2.0μmのポリメチルシルセスキオキサン球状粒子)10質量部を省略した以外は実施例1と同様にして、厚さが0.2mm、質量264g/m、全光線透過率が54.8%の膜材を得た。比較例1で得た膜材は含浸被覆層からオルガノポリシロキサン硬化物粒子を含まないため、光源カバーに使用した時に光拡散性に劣り、光源位置(ホットスポット)が露わとなる外観上の見苦しさのみならず、煤塵汚れの除去性にも劣るものであった。
[比較例2]
実施例1において、含浸被覆層〈配合1〉に含むオルガノポリシロキサン硬化物粒子(平均粒子径2.0μmのポリメチルシルセスキオキサン球状粒子)10質量部を、平均粒子径2.0μmの架橋アクリル樹脂球状粒子10質量部に変更した以外は実施例1と同様にして、厚さが0.2mm、質量262g/m、全光線透過率が57.4%の膜材を得た。比較例2で得た膜材は含浸被覆層に含むオルガノポリシロキサン硬化物粒子を可燃性の架橋アクリル樹脂球状粒子に全量変更したことで、建築基準法の不燃特性(ASTM−E1354に規定のコーンカロリーメーター試験法)では総発熱量が不適合、鉄道車両用材料燃焼試験では、着火、着炎、煙が不適合となった。
[比較例3]
実施例1と同様とした。但し〈配合1〉による含浸被覆層をナイフコーティング後1時間常温静置し、溶剤を自然乾燥させた後、電気炉内で180℃×3分間の熱処理硬化を行った。得られた膜材の表面を顕微鏡(キーエンス社製VHX−1000)で観察したところ、1時間の常温静置によりオルガノポリシロキサン硬化物粒子の大半が含浸被覆層の底部に沈降し、オルガノポリシロキサン硬化物粒子が含浸被覆層の表面に露出する量は顕微鏡写真での対比により実施例1の膜材と比較しておよそ1/10以下で、結果的にオルガノポリシロキサン硬化物粒子の露出量の少ないものであった。得られた膜材は、厚さ0.2mm、質量266g/m、全光線透過率が44.3%であった。比較例3で得た膜材は膜材の表面にオルガノポリシロキサン硬化物粒子の露出量が少ないために、比較例1同様に煤塵汚れの除去性に劣るものであった。
[比較例4]
実施例1の基材(1)の片面に〈配合1〉による含浸被覆層を2回のナイフコーティング法(電気炉内で180℃×3分間の熱処理硬化工程含む)により合計101g/mの付着量で設け、さらにもう片面に〈配合1〉による含浸被覆層を2回のナイフコーティング法(電気炉内で180℃×3分間の熱処理硬化工程含む)により合計71g/mの付着量で設けた。得られた膜材は、厚さ0.35mm、質量382g/m、全光線透過率が30.2%であった。比較例4で得た膜材は含浸被覆層の形成を膜材両面に対して行い、しかも形成量を増して膜材の厚さを増やしたことで全光線透過率が30.2%となり、光源カバーとして照度が不十分なものであった。
[比較例5]
実施例1の基材(1)を、Eガラスによる直径4μmのフィラメントを100本集束した繊度3.3texのフラットヤーン単糸を経糸及び緯糸として、経糸打ち込み密度111本/インチ、緯糸打ち込み密度111本/インチの織組織による空隙率0%の極薄ガラス平織布帛(質量14g/m)を基材(2)として、この基材(2)の片面に〈配合1〉による含浸被覆層を1回のナイフコーティング法(電気炉内で180℃×3分間の熱処理硬化工程含む)により12g/mの付着量で設けた。得られた膜材は、厚さ0.04mm、質量26g/m、全光線透過率が88.8%であった。比較例5で得た膜材は無機繊維を含む布帛を極薄ガラス平織布帛としたことで、同時に含浸被覆層の形成質量も小さいものとなり、その結果全光線透過率が88.8%の高透光性となり、光源カバーとして用いた時に光拡散性に極めて劣り、光源位置(ホットスポット)が露わとなる外観上の見苦しさのみならず、引き裂け易いなど極めて強度の弱いものであった。また膜材が極めて薄く含浸被覆層の形成量が少ないことで煤塵汚れの除去性にやや劣るものであった。
本発明によれば、光拡散透過性かつ可撓性を有し、洗剤や溶剤を使用することなく煤塵汚れの除去性に優れ、しかも平成12年に改正施行された建築基準法の燃焼試験(ASTM−E1354に規定のコーンカロリーメーター試験法)に適合する不燃特性を有する膜材が得られるので、ホテル、イベントホール、商業施設、遊戯施設、公共施設、駅・空港内施設、地下街通路などの天井照明や壁照明、及びエレベータかごなどの天井照明など利用客の多い場所で使用する大型の光源カバーとしての使用はもちろん、さらには照明器具のシェード材、カバー材、プロジェクター投影用の映写スクリーンなどにも使用でき、これらの用途において火災対策や防災対策の信頼性をより高くすることができる。また、鉄運第81号、国交省令第151号及び国鉄技第157号、及び国鉄技第124号、国鉄技第125号に基づく不燃基準を兼備するので鉄道車両の車内照明の光源カバーにも使用可能であり、火災対策や防災対策の信頼性をより高くすることができる。
1:光源カバー用可撓性膜材
2:無機繊維を含む布帛(基布)
3:含浸被覆層(シリコーンエラストマー組成物)
4:オルガノポリシロキサン硬化物粒子
5:光源(蛍光管)

Claims (8)

  1. 無機繊維を含む布帛を基布として、この基布の1面以上にシリコーンエラストマー組成物により形成された含浸被覆層を有する全光線透過率(JIS K7375)が35〜65%の光拡散透過性シートであって、この光拡散透過性シートの表面に、粒子径0.1〜5μmのオルガノポリシロキサン硬化物粒子が露出していることを特徴とする光源カバー用可撓性膜材。
  2. 前記シリコーンエラストマー組成物に、前記オルガノポリシロキサン硬化物粒子を含有し、前記含浸被覆層に対して前記オルガノポリシロキサン硬化物粒子を1〜20質量%含み、それによって前記含浸被覆層の表面に、前記オルガノポリシロキサン硬化物粒子の量の一部が露出している請求項1に記載の光源カバー用可撓性膜材。
  3. 前記含浸被覆層の表面に、前記オルガノポリシロキサン硬化物粒子を含有するシリコーン樹脂系表面処理層が形成され、このシリコーン樹脂系表面処理層に対して前記オルガノポリシロキサン硬化物粒子を1〜20質量%含み、それによってシリコーン樹脂系表面処理層の表面に、前記オルガノポリシロキサン硬化物粒子の量の一部が露出している請求項1に記載の光源カバー用可撓性膜材。
  4. 前記オルガノポリシロキサン硬化物粒子が、ポリメチルシルセスキオキサン、含フッ素シルセスキオキサンポリマー、以下INCI命名による(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー、(ジメチコン/フェニルビニルジメチコン)クロスポリマー、(ジメチコン/ラウリルジメチコン)クロスポリマー、(ジメチコン/(PEG−10/15))クロスポリマー、(ビニルジメチコン/メチコンシルセスキオキサン)クロスポリマー、(PEG−15/ラウリルジメチコン)クロスポリマー、(ジフェニルジメチコン/ビニルジフェニルジメチコン/シルセスキオキサン)クロスポリマー、(ジメチコン/ポリグリセリン−3)クロスポリマー、(ラウリルジメチコン/ポリグリセリン−3)クロスポリマー、(ジメチコン/ビス−イソブチルPPG−20)クロスポリマー、及びこれらのオルガノポリシロキサン硬化物粒子にシリコーンオイルを吸着させた粒子から選ばれる1種または2種以上である請求項1〜3の何れか1項に記載の光源カバー用可撓性膜材。
  5. 前記シリコーン樹脂系表面処理層が、酸化チタン、過酸化チタン(ペルオキソチタン酸)、酸化亜鉛、酸化錫、チタン酸ストロンチウム、酸化タングステン、酸化ビスマス、酸化鉄、及びこれらの酸化物に、銀、プラチナ、金、銅、ロジウム、パラジウム、ルテニウム、イリジウム、及び遷移金属イオンの1種以上をドーピングした物質、から選ばれた少なくとも1種以上の光触媒物質を含有する請求項3に記載の光源カバー用可撓性膜材。
  6. 前記無機繊維を含む布帛が、ガラス繊維、シリカ繊維、アルミナ繊維、及びセラミック繊維から選ばれた1種以上の繊維糸条から形成される請求項1〜5の何れか1項に記載の光源カバー用可撓性膜材。
  7. 前記無機繊維を含む布帛が、モンモリロナイト、スメクタイト、及びフッ素雲母から選ばれた1種以上の層状鉱物で処理されている請求項1〜6の何れか1項に記載の光源カバー用可撓性膜材。
  8. 輻射電気ヒーターを用いて50kW/mの輻射熱を照射する、ASTM−E1354に規定のコーンカロリーメーター試験法において、加熱開始後20分間の総発熱量が8MJ/m以下であり、かつ加熱開始後20分間、最高発熱速度が10秒以上継続して200kW/mを超えない不燃特性を有する請求項1〜7の何れか1項に記載の光源カバー用可撓性膜材。
JP2014015037A 2014-01-30 2014-01-30 光源カバー用可撓性膜材 Active JP6205604B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014015037A JP6205604B2 (ja) 2014-01-30 2014-01-30 光源カバー用可撓性膜材

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014015037A JP6205604B2 (ja) 2014-01-30 2014-01-30 光源カバー用可撓性膜材

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2015141359A JP2015141359A (ja) 2015-08-03
JP6205604B2 true JP6205604B2 (ja) 2017-10-04

Family

ID=53771734

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014015037A Active JP6205604B2 (ja) 2014-01-30 2014-01-30 光源カバー用可撓性膜材

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6205604B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2019195963A (ja) * 2018-05-10 2019-11-14 株式会社 コテック 光透過装飾シート、これを用いた照明器具及び光透過装飾シートの製造方法
JP7151405B2 (ja) * 2018-11-20 2022-10-12 凸版印刷株式会社 不燃シート

Family Cites Families (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE3012245C2 (de) * 1979-04-17 1984-01-05 Dow Corning Ltd., London Hitzebeständige Schutzabdeckung sowie deren Verwendung
JP3698978B2 (ja) * 2000-10-02 2005-09-21 日東電工株式会社 光拡散性シート及び光学素子
JP4491639B2 (ja) * 2005-03-28 2010-06-30 平岡織染株式会社 可撓性防汚不燃膜材
JP4990037B2 (ja) * 2007-06-14 2012-08-01 小松精練株式会社 合成皮革及びその製造方法
JP2011081217A (ja) * 2009-10-07 2011-04-21 Nitto Denko Corp 防眩性ハードコートフィルム、それを用いた偏光板および画像表示装置、ならびに防眩性ハードコートフィルムの製造方法
JP2012086397A (ja) * 2010-10-18 2012-05-10 Hiraoka & Co Ltd 自浄防汚シート
JP2013007782A (ja) * 2011-06-22 2013-01-10 Shin Etsu Chem Co Ltd ポリアリレート系光拡散フィルム
JP5857348B2 (ja) * 2012-01-04 2016-02-10 平岡織染株式会社 照明カバー用不燃膜材
JP2013140245A (ja) * 2012-01-04 2013-07-18 Hiraoka & Co Ltd 照明カバー用不燃膜材

Also Published As

Publication number Publication date
JP2015141359A (ja) 2015-08-03

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6450921B2 (ja) 光拡散透過性膜材
JP5225441B2 (ja) 光拡散性不燃複合部材
JP6122332B2 (ja) 難燃性シリコーン樹脂組成物及び難燃性シリコーン樹脂シート
CN100390352C (zh) 使用可被交联成弹性体的硅氧烷组合物浸渍处理建筑用织物的方法以及如此获得的涂布的建筑用织物
JP2013140245A (ja) 照明カバー用不燃膜材
JP2011133586A (ja) 近赤外線遮蔽性高透光シート及びそれを用いた近赤外線ノイズ遮蔽材
JP6205604B2 (ja) 光源カバー用可撓性膜材
CN1339044A (zh) 阻燃性聚硅氧烷泡沫体
JP6248266B2 (ja) 光拡散透過性膜材
JP5674017B2 (ja) 照明器具
JP4491639B2 (ja) 可撓性防汚不燃膜材
JP2009263606A (ja) 光天井用膜材
JP3956598B2 (ja) 光触媒体および光触媒体の製造方法
EP3052696B1 (fr) Tissu comprenant un revetement transparent resistant au feu
JP2010008624A (ja) 蓄光性と防滑性を有する視線誘導シート
JP6006738B2 (ja) 粘着性蓄光複合シート
JP2013166313A (ja) 窓用遮熱シート
JP5857348B2 (ja) 照明カバー用不燃膜材
JP2013176921A (ja) インクジェット印刷用シート
JP2013167100A (ja) ロールブラインド用遮熱シート及びその製造方法
JP5305157B2 (ja) 羽虫陰影痕防止性に優れた光天井用膜材、及びその光天井システム
JP6191027B2 (ja) 建築養生メッシュシート
JP2016133589A (ja) 膜天井用吸音シート
WO2020149413A1 (ja) シラン系コート液組成物
JP2007092188A (ja) 着色されたガラス繊維を用いた列車用内装布帛

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20170112

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20170719

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20170803

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20170809

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6205604

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250