JP2001055328A - 総合栄養輸液剤 - Google Patents

総合栄養輸液剤

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JP2001055328A JP11228836A JP22883699A JP2001055328A JP 2001055328 A JP2001055328 A JP 2001055328A JP 11228836 A JP11228836 A JP 11228836A JP 22883699 A JP22883699 A JP 22883699A JP 2001055328 A JP2001055328 A JP 2001055328A
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Yoshihide Nagasaka
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 患者の生命の維持に必要な成分(アミノ酸、
電解質、ビタミン類など)をすべて含み、輸液フィルタ
ーを通過し、熱および光に対する安定性が良好な総合輸
液を提供する。 【解決手段】 連通可能な隔離手段で区画され、連通
後、内容物を外気にさらすことなく混合可能な3室を有
する輸液容器の、A室にアミノ酸、ビタミンB2および
ビタミンCを含有する輸液、B室に還元糖およびビタミ
ンB1を含有する輸液、C室にビタミンA、ビタミン
D、ビタミンE、ビタミンKおよびビタミンB 12を含有
する輸液が充填されており、さらに電解質がA室および
(または)B室の輸液に含有された総合栄養輸液剤を使
用する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は総合栄養輸液剤に関
する。さらに詳しくは、連通可能な隔離手段および連通
用部材で区画され、連通後、内容物を外気にさらすこと
なく混合可能な3室を有する輸液容器の、A室にアミノ
酸、ビタミンB2およびビタミンCを含有する輸液、B
室に還元糖およびビタミンB1を含有する輸液、C室に
ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンB12
よび葉酸を含有する輸液が充填されており、A室および
(または)B室の輸液にさらに電解質が含有されてい
る、患者の生命の維持に必要な成分をすべて含み、熱お
よび光に対する安定性が良好で、輸液フィルターを通過
させることができ、使用時には簡単に混合して使用する
ことができる総合栄養輸液剤に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、患者の生命の維持のための経口栄
養、経管栄養の補給が不可能あるいは不充分な状態であ
ったり、またはそれらが可能ではあっても患者の消化吸
収機能が著しく不良であったり、さらには食物が消化管
を通過するのが原疾患の悪化につながるような病態の場
合には、栄養補給のために、静脈から輸液の投与が行な
われている。このような輸液剤としては、還元糖などを
含有する糖輸液、必須アミノ酸などを含有するアミノ酸
輸液、ミネラル類を含有する電解質輸液、各種ビタミン
を含有する混合ビタミン剤などが市販されている。これ
らの輸液剤が患者の症状などに合わせて使用時に適宜混
合して用いられている。
【0003】しかし、輸液剤の使用時における混合は作
業従事者にとって煩雑な操作であるうえに、混合時に菌
汚染の問題があり、還元糖、アミノ酸、ビタミンおよび
電解質をすべて含む総合栄養輸液剤が求められている。
【0004】しかし、これら成分は安定に存在する条件
が異なり、また、これらを混合すると種々の問題が生
じ、輸液として使用できなくなる(医薬ジャーナル第1
5巻第9号111〜123頁(1979年))。
【0005】たとえば、糖およびアミノ酸を溶解した輸
液を加熱滅菌すると、メイラード反応により著しい着色
を生じることが知られている。
【0006】ビタミンには水溶性のものと脂溶性のもの
とが存在し、単一の溶媒で全てを溶解することには困難
が伴うとともに、ビタミンは一般に不安定であり、ま
た、ある種のビタミン同士を組み合わせると分解などが
おこる。たとえば、ビタミンCはビタミンB12の分解を
促進することなどが知られている。
【0007】さらに、電解質のうち、リン酸およびカル
シウムを含む輸液は中性・アルカリ性では加熱滅菌する
際にリン酸カルシウムの沈殿を生じ易いことも知られて
いる。
【0008】かかる問題を解決する輸液として、特開平
6−209979号公報には、第1室に脂肪乳剤、糖、
ビタミンC、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンA、
ビタミンD、ビタミンEおよびビタミンKを含有する輸
液を収容し、第2室にアミノ酸、電解質、ビタミン
6、ビタミンB12および葉酸を含有する輸液を収容す
る輸液剤が開示されており、使用時に第1室と第2室と
の間の隔離手段を取り除いて混合することにより、糖、
アミノ酸、電解質およびビタミンとともに脂肪乳剤を含
有する輸液を調製することが説明されている。
【0009】しかし、この輸液では、ビタミンB1とと
もに、脂溶性ビタミンを安定化するために脂肪乳剤が第
1室に含まれているが、脂肪の分解による遊離脂肪酸の
生成をさけるために、ビタミンB1の安定pHが2.5
〜5であるにもかかわらず、輸液のpHを中性域に設定
する必要があった(特開平9−59150号公報)。ま
た、患者に輸液を投与する際、細菌が通過できない輸液
フィルター(孔径:0.20μm程度)を通して輸液を
投与することが行なわれるが、脂肪乳剤はフィルターの
目詰まりを生じるため、脂肪乳剤を含む前記輸液は実用
化に至っていない(島田慈彦編著:輸液フィルター、2
〜16頁)。
【0010】また、特開平10−203959号公報に
は、還元糖を含有する溶液とアミノ酸を含有する溶液の
2液からなる輸液において、アミノ酸を含有する溶液に
ビタミンB2およびビタミンCを含有させ、かつpH
5.0〜7.0にすることによって、ビタミン類を安定
に含有させることが開示されている。
【0011】しかし、この特許出願では還元糖を含有す
る輸液とアミノ酸を含有する輸液の2液で輸液剤が構成
されるが、ビタミンB12はアミノ酸を含有する輸液中に
配合しても、pH4未満の輸液に配合しても分解されや
すく、一方、ビタミンB1はpH2〜4で最も安定であ
るため、アミノ酸、ビタミンB1およびビタミンB12
この2つの輸液に配合させるには少なくとも何れかの成
分の安定性をある程度犠牲にする必要があった。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、還元糖、ア
ミノ酸、ビタミンおよび電解質をすべて含み、かつ、熱
および光に対する安定性が良好で、長期間安定であると
ともに、脂肪乳剤を含まず、輸液フィルターを通過する
総合栄養輸液剤を提供するものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明は、つぎの総合栄
養輸液剤に関するものである。
【0014】連通可能な隔離手段で区画され、連通後、
内容物を外気にさらすことなく混合することができる3
室を有する輸液容器の、A室にアミノ酸、ビタミンB2
およびビタミンCを含有する輸液、B室に還元糖および
ビタミンB1を含有する輸液、C室にビタミンA、ビタ
ミンD、ビタミンE、ビタミンB12および葉酸を含有す
る輸液が充填されており、A室および(または)B室の
輸液にさらに電解質が含有されていることを特徴とする
総合栄養輸液剤(請求項1)、A室の輸液のpHが5〜
8、B室の輸液のpHが2.5〜5、C室の輸液のpH
が4〜8であり、A室〜C室の輸液を混合したのちの輸
液のpHが4.0〜7.5である請求項1記載の総合栄
養輸液剤(請求項2)、ビタミンKがC室の輸液に含有
されており、パントテン酸類およびビタミンHのそれぞ
れが、少なくともA室およびC室のいずれかの輸液に含
有されており、ビタミンB6およびニコチン酸類のそれ
ぞれが、少なくともA室、B室およびC室のいずれかの
輸液に含有されている請求項1または2記載の総合栄養
輸液剤(請求項3)、パントテン酸類がA室の輸液に、
ビタミンB6およびニコチン酸類がB室の輸液に、ビタ
ミンHがC室の輸液に含有されている請求項3記載の総
合栄養輸液剤(請求項4)、電解質のうちのリン供給源
とカルシウム供給源が、A室の輸液とB室の輸液とにそ
れぞれわけて含有されている請求項1、2、3または4
記載の総合栄養輸液剤(請求項5)、電解質のうちのカ
ルシウム供給源がA室の輸液に、リン供給源がB室の輸
液に含有されている請求項5記載の総合栄養輸液剤(請
求項6)、電解質のうちのナトリウム供給源、カリウム
供給源、塩素供給源および亜鉛供給源がA室の輸液に含
有されており、少なくともA室およびB室のいずれかの
輸液にマグネシウム供給源が含有されている請求項6記
載の総合栄養輸液剤(請求項7)、電解質のうちのナト
リウム供給源、カリウム供給源、マグネシウム供給源、
塩素供給源および亜鉛供給源が、A室の輸液に含有され
ている請求項7記載の総合栄養輸液剤(請求項8)、電
解質のうちのリン供給源およびカルシウム供給源がB室
の輸液に含有されている請求項1、2、3または4記載
の総合栄養輸液剤(請求項9)、電解質のうちのナトリ
ウム供給源、カリウム供給源、塩素供給源および亜鉛供
給源がB室の輸液に含有されており、少なくともA室お
よびB室のいずれかの輸液にマグネシウム供給源が含有
されている請求項9記載の総合栄養輸液剤(請求項1
0)、電解質のうちのナトリウム供給源、カリウム供給
源、マグネシウム供給源、塩素供給源および亜鉛供給源
がB室の輸液に含有されている請求項10記載の総合栄
養輸液剤(請求項11)、A室の輸液、B室の輸液、C
室の輸液の容積比が、20〜2000:10〜250
0:1である請求項1、2、3、4、5、6、7、8、
9、10または11記載の総合栄養輸液剤(請求項1
2)、加熱滅菌されてなる請求項1、2、3、4、5、
6、7、8、9、10、11または12記載の総合栄養
輸液剤(請求項13)、連通可能な隔離手段で区画さ
れ、連通後、内容物を外気にさらすことなく混合するこ
とができる3室を有する輸液容器の、A室に、L−イソ
ロイシン、L−ロイシン、L−リジン、L−メチオニ
ン、L−フェニルアラニン、L−トレオニン、L−トリ
プトファン、L−バリン、L−システイン、L−チロシ
ン、L−アルギニン、L−ヒスチジン、L−アラニン、
L−アスパラギン酸、L−グルタミン酸、グリシン、L
−プロリン、L−セリン、ビタミンB2、ビタミンCお
よびパントテン酸類を含有するpH5〜8の輸液、B室
に、ブドウ糖、ビタミンB1、ビタミンB6およびニコチ
ン酸類を含有するpH2.5〜5の輸液、C室に、ビタ
ミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK、ビタミ
ンB12、葉酸、ビタミンHおよび溶解補助剤を含有する
pH4〜8の輸液が充填されており、かつ、少なくとも
A室およびB室のいずれかの輸液に電解質が含有されて
おり、A室〜C室の輸液を混合したのちの輸液のpHが
4.0〜7.5であることを特徴とする総合栄養輸液剤
(請求項14)、A室の輸液にカルシウム供給源、ナト
リウム供給源、カリウム供給源、マグネシウム供給源、
塩素供給源および亜鉛供給源が含有されており、B室に
リン供給源が含有されている請求項14記載の総合栄養
輸液剤(請求項15)、B室の輸液にカルシウム供給
源、ナトリウム供給源、カリウム供給源、マグネシウム
供給源、塩素供給源、亜鉛供給源およびリン供給源が含
有されている請求項14記載の総合栄養輸液剤(請求項
16)、A室〜C室の輸液を混合したのちの輸液100
0ml中に含まれる各成分の量が次の範囲である請求項
11または12記載の総合栄養輸液剤(請求項17)、
【0015】
【表2】
【0016】A室の輸液、B室の輸液、C室の輸液の容
積比が、20〜2000:10〜2500:1である請
求項14、15、16または17記載の総合栄養輸液剤
(請求項18)、加熱滅菌されてなる請求項14、1
5、16、17または18記載の総合栄養輸液剤(請求
項19)、輸液容器が、A室とB室の間に連通可能な隔
離壁を有し、A室またはB室に輸液供給部が設けられて
おり、輸液供給部内にC室が含有され、C室は破断によ
りA室またはB室へ連通する連通用部材を有している請
求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、1
1、12、13、14、15、16、17、18または
19記載の総合栄養輸液剤(請求項20)、輸液容器
が、A室とB室の間に連通可能な隔離壁を有し、A室ま
たはB室に輸液供給部が設けられており、輸液供給部と
は別に、A室またはB室にC室が設けられており、C室
は破断によりA室またはB室へ連通する連通用部材を有
している請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、
10、11、12、13、14、15、16、17、1
8または19記載の総合栄養輸液剤(請求項21)、A
室とB室の間の隔離壁が弱接着された隔離壁であり、C
室が有する連通用部材は、C室と連通し得るA室または
B室内へ突出しており、輸液容器外部から破断し得る請
求項20または21記載の総合栄養輸液剤(請求項2
2)およびC室が有する連通用部材が破断されたとき、
該連通用部材を液中に浮遊させないための変形可能なカ
バー部材が設けられている請求項22記載の総合栄養輸
液剤(請求項23)。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明は、連通可能な隔離手段で
区画され、連通後、内容物を外気にさらすことなく混合
することができる3室を有する輸液容器の、A室にアミ
ノ酸、ビタミンB2およびビタミンCを含有する輸液、
B室に還元糖およびビタミンB1を含有する輸液、C室
にビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンB12
および葉酸を含有する輸液が充填されており、A室およ
び(または)B室の輸液にさらに電解質が含有されてい
ることを特徴とする総合栄養輸液剤に関するものであ
り、輸液容器が、連通可能な隔離手段で区画され、連通
後、内容物を外気にさらすことなく混合することができ
る3室を有する輸液容器であるため、使用混合時の菌汚
染の問題がなくなる。
【0018】また、患者の生命の維持に必要な成分(ア
ミノ酸、電解質、ビタミン、還元糖)を全て含有させな
がら、安定に存在させる条件が異なる成分を使用時まで
隔離された3室に入れておけば、予め混合させて長期間
保存した場合などに生ずる沈殿の生成、変質、着色など
の種々の問題を回避することができる。
【0019】さらに、本発明の輸液剤は、1〜3室(A
〜C室)のいずれにも脂肪乳剤を含まないため、細菌が
通過できない輸液フィルターにより除菌することがで
き、また、輸液剤を投与する場合に問題となる感染症の
危険性をさらに減少させることができる。
【0020】成分同士の相互作用により問題が生じるこ
とがない成分の組み合わせの具体例としては、A室にア
ミノ酸、ビタミンB2およびビタミンCを含有する輸
液、B室に還元糖およびビタミンB1を含有する輸液、
C室にビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミン
12および葉酸を含有する輸液が充填されており、A室
および(または)B室の輸液にさらに電解質が含有され
ている総合輸液があげられる。
【0021】前記A室に充填されるアミノ酸としては、
従来から生体への栄養補給を目的とするアミノ酸輸液に
含有されている各種アミノ酸(必須アミノ酸、非必須ア
ミノ酸)があげられ、たとえば、L−イソロイシン、L
−ロイシン、L−バリン、L−リジン、L−メチオニ
ン、L−フェニルアラニン、L−トレオニン、L−トリ
プトファン、L−アルギニン、L−ヒスチジン、グリシ
ン、L−アラニン、L−プロリン、L−アスパラギン
酸、L−セリン、L−チロシン、L−グルタミン酸、L
−システイン、L−シスチンなどが例示される。これら
のアミノ酸は、必ずしも遊離アミノ酸の形態で用いられ
る必要はなく、無機酸塩(たとえば、L−リジン亜硫酸
塩、L−リジン塩酸塩、L−システイン塩酸塩(1水和
物)など)、有機酸塩(たとえば、L−システインリン
ゴ酸塩、L−リジン酢酸塩、L−リジンリンゴ酸塩な
ど)、生体内で加水分解可能なエステル体(たとえば、
L−チロシンメチルエステル、L−メチオニンメチルエ
ステル、L−メチオニンエチルエステルなど)、N−置
換体(たとえば、N−アセチル−L−トリプトファン、
N−アセチル−L−システイン、N−アセチル−L−プ
ロリンなど)などの形態で用いてもよい。また、同種ま
たは異種のアミノ酸をペプチド結合させたジペプチド類
(たとえば、L−チロシル−L−チロシン、L−アラニ
ル−L−チロシン、L−アルギニル−L−チロシン、L
−チロシル−L−アルギニンなど)などの形態で用いて
もよい。
【0022】これらアミノ酸の含有比率としては、患者
の生命の維持に必要な成分が含まれている限りとくに限
定はなく、通常、この技術分野で既知の指標(194
4年ローズらが決定した必須アミノ酸必要量に基づくV
uj−N処方のもの、1957年FAOの特別委員会
報告によるもの、1965年FAO/WHOの共同委
員会報告による人乳または全卵アミノ酸組成に基づくも
の、血漿中アミノ酸組成のフィッシャー比など)にし
たがって、種々の必須アミノ酸と非必須アミノ酸との比
率(いわゆるE/N比)、あるいは全アミノ酸に対する
必須アミノ酸の比率(いわゆるE/T比)を変化させ配
合したもの、あるいは分岐鎖アミノ酸を、必須アミノ酸
または非必須アミノ酸に対する比率を考慮しつつ、適宜
含有させたものなどが用いられる。
【0023】かかるアミノ酸組成の具体例をあげるとす
れば、たとえば、術後患者用アミノ酸組成(特開昭55
−33446号公報、同55−36457号公報)、必
須アミノ酸を多く含むアミノ酸組成(特開昭56−83
12号公報)、分岐鎖アミノ酸を29〜33%(重量
%、以下同様)含み、新生児期に必須であるL−システ
インの含量を増やしたアミノ酸組成(特公平1−193
63号公報)、L−チロシンとL−フェニルアラニンの
重量比が1:12〜17でL−リジンの配合量を全アミ
ノ酸の9.5%以上と多くした新生児や肝機能低下患者
用アミノ酸組成(特公平3−28403号公報)、筋タ
ンパクの崩壊を抑制するための分岐鎖アミノ酸のみの組
成(特公平4−14646号公報)などがあげられる。
【0024】これらのアミノ酸は、前記各特許公報に記
載されている組成だけに限らず、これらに基づいて、ア
ミノ酸のうちの数種の組成を改変したもの(たとえば、
栄養学的に顕著な相違をもたらさない範囲で必須アミノ
酸もしくは非必須アミノ酸を増減させたもの、あるいは
必須アミノ酸と非必須アミノ酸の比を維持しつつ必須ア
ミノ酸もしくは非必須アミノ酸を増減させたもの)、組
成パターンを維持しつつ濃度やアミノ酸全量に対する比
率をかえたもの、さらには栄養学的に等価と理解され得
るアミノ酸を相互に置換したもの(たとえば、含硫アミ
ノ酸におけるL−システイン、L−シスチン、L−メチ
オニン、芳香族アミノ酸におけるL−フェニルアラニ
ン、L−チロシンなど)であっても本発明において好適
に使用することができる。
【0025】とりわけ、特公平1−19363号公報や
同3−28403号公報には栄養学的にすぐれたアミノ
酸輸液組成が記載されており、これらの特許公報中に具
体的に記載されたアミノ酸組成やアミノ酸パターンをも
つアミノ酸輸液、あるいはその栄養学的に同等な範囲で
改変されたものを好適に使用することができる。
【0026】前記A室に充填されるビタミンB2は、ビ
タミンB2そのものであってもよく、その誘導体および
その塩であってもよい。具体的には、ビタミンB2(リ
ボフラビン)の誘導体であるリン酸リボフラビン、フラ
ビンモノヌクレオチド、フラビンアデニンジヌクレオチ
ドなどや、これらの塩酸塩などの塩の形のものがあげら
れる。
【0027】前記A室に充填されるビタミンCは、ビタ
ミンCそのものであってもよく、その誘導体およびその
塩であってもよい。具体的には、ビタミンC(アスコル
ビン酸)、アスコルビン酸ナトリウム、アスコルビン酸
パルミテート、アスコルビン酸ジパルミテート、アスコ
ルビン酸リン酸エステルマグネシウム塩などがあげられ
る。
【0028】前記B室に充填される還元糖としては、生
体内でカロリー源として代謝・利用されるものであれば
よく、とくに限定されないが、ブドウ糖、フルクトー
ス、マルトースなどがあげられ、とくにブドウ糖はエネ
ルギー源として最も生体に利用されやすいため、好まし
い。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わ
せて用いてもよい。さらに、必要に応じ、これらの還元
糖にソルビトール、キシリトール、グリセリンなどを加
えた混合物を用いてもよい。
【0029】前記B室に充填されるビタミンB1として
は、従来から使用されているものは何れも使用可能であ
り、たとえばチアミンであってもよく、その誘導体、具
体的には、プロスルチアミン、アクトチアミン、チアミ
ンジスルフィド、フルスルチアミンなどや、それらの
塩、たとえば塩酸チアミン、硝酸チアミンなどであって
もよい。
【0030】前記C室に充填されるビタミンA、ビタミ
ンD、ビタミンE、ビタミンB12および葉酸は、そのも
のであってもよく、その誘導体の形で用いてもよい。具
体的には、ビタミンAおよびその誘導体としては、ビタ
ミンA1(レチノール)、ビタミンA2(3−デヒドロレ
チノール)、ビタミンA3(サブビタミンA)、レチネ
ン(ビタミンAアルデヒド)、ビタミンA酸、パルミチ
ン酸レチノール、酢酸レチノールなどをあげることがで
きる。ビタミンDおよびその誘導体としてはビタミンD
2(エルゴカルシフェロール)、ビタミンD3(コレカル
シフェロール)、ビタミンD4、プロビタミンD2(エル
ゴステリン)、プロビタミンD3(デヒドロコレステリ
ン)などをあげることができる。ビタミンEおよびその
誘導体としてはα−トコフェロール、酢酸トコフェロー
ル、β−トコフェロール、γ−トコフェロール、δ−ト
コフェロールなどをあげることができる。ビタミンB12
およびその誘導体としてはシアノコバラミン、酢酸ヒド
ロキソコバラミン、メチルコバラミンなどをあげること
ができる。葉酸はナトリウム、カリウムなどのアルカリ
金属塩、マグネシウム、カルシウムなどのアルカリ土類
金属塩として用いることができる。
【0031】前記A室および(または)B室にさらに充
填される電解質としては、従来から輸液に用いられてい
る各種水溶性塩があげられる。
【0032】たとえば、生体の機能や体液の電解質バラ
ンスを維持するうえで必要とされる無機成分(たとえ
ば、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウ
ム、亜鉛、鉄、銅、マンガンなどの金属イオン供給源;
塩素、ヨウ素、リンなどの陰イオン供給源)があげら
れ、これらのうちから必要に応じて選択のうえ、適宜A
室および(または)B室の輸液に添加される。
【0033】電解質のうち、リン供給源であるリンの水
溶性塩としては、リン酸またはそのエステルあるいはこ
れらの塩が好適に用いられる。
【0034】リン酸エステルの好ましい例としては、多
価アルコールまたは糖のリン酸エステルをあげることが
できる。多価アルコールのリン酸エステルとしてはグリ
セロリン酸、マンニトール−1−リン酸、ソルビトール
−1−リン酸などがあげられる。糖のリン酸エステルと
しては、グルコース−6−リン酸、フルクトース−6−
リン酸、マンノース−6−リン酸などがあげられる。こ
れらのリン酸エステルの塩としては、ナトリウム塩、カ
リウム塩などのアルカリ金属塩、マグネシウム、カルシ
ウムなどのアルカリ土類金属塩を用いることができ、ア
ルカリ金属塩を好適に用いることができる。
【0035】リン酸の塩としては、リン酸二水素ナトリ
ウム、リン酸二水素カリウムなどのリン酸二水素アルカ
リ金属、リン酸水素ナトリウム、リン酸水素カリウムな
どのリン酸水素アルカリ金属などがあげられる。
【0036】リン酸またはその塩を使用する場合、カル
シウムイオン、マグネシウムイオンが存在すると、カル
シウム塩、マグネシウム塩を形成し、中性・アルカリ性
条件下では沈殿を形成し易いため、これらを配合する場
合には、これらをA室とB室に分けて配合するか、両者
をB室に含む場合には、その液性を酸性域(pH5以
下)に調整する必要がある。
【0037】前記電解質成分のうち金属イオン供給源の
好ましい具体例としては、下記のものがあげられる。
【0038】ナトリウム供給源:塩化ナトリウム、乳酸
ナトリウム、酢酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、グリセ
ロリン酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリ
ウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウ
ム、クエン酸ナトリウム、アミノ酸ナトリウム塩 カリウム供給源:塩化カリウム、グリセロリン酸カリウ
ム、硫酸カリウム、酢酸カリウム、乳酸カリウム、ヨウ
化カリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリ
ウム、クエン酸カリウム、アミノ酸カリウム塩 カルシウム供給源:グルコン酸カルシウム、塩化カルシ
ウム、グリセロリン酸カルシウム、乳酸カルシウム、パ
ントテン酸カルシウム、酢酸カルシウム マグネシウム供給源:硫酸マグネシウム、塩化マグネシ
ウム、グリセロリン酸マグネシウム、酢酸マグネシウ
ム、乳酸マグネシウム、アミノ酸マグネシウム塩 亜鉛供給源:硫酸亜鉛、塩化亜鉛、グルコン酸亜鉛、乳
酸亜鉛、酢酸亜鉛 鉄供給源:硫酸鉄、塩化第一鉄、塩化第二鉄、グルコン
酸鉄 銅供給源:硫酸銅 マンガン供給源:硫酸マンガン
【0039】また、陰イオン供給源は、前記金属イオン
供給源において金属イオンのカウンターイオンの形で供
給することも、アミノ酸、ビタミンなどの塩に含まれる
形で供給することもできる。また、塩酸、リン酸などの
形で金属イオン供給源、アミノ酸、ビタミンと組み合わ
せることなく供給することもできる。
【0040】本発明の輸液剤においては、A室〜C室の
輸液を混合したのちの輸液1000ml中に含まれる各
成分の量が、アミノ酸10〜55g、ビタミンB21〜
10mg、ビタミンC25〜130mg、ビタミンA1
000〜5000IU、ビタミンD2.5〜15μg、
ビタミンE5〜20mg、ビタミンB122.5〜25μ
g、還元糖50〜500g、ビタミンB11〜50m
g、電解質としては、カルシウム3〜15mEq、リン
1〜20mmol、亜鉛0〜30μmol、マグネシウ
ム2〜15mEq、カリウム10〜35mEq、ナトリ
ウム15〜70mEq、塩素0〜80mEqの濃度で使
用するのが好ましい。
【0041】前記A室におけるアミノ酸、ビタミンB2
およびビタミンCは、いずれも水溶性であり、pH5〜
8の中性領域で安定であり、1つの輸液中に溶解させて
も沈殿の生成、変質、着色などがおこらず、安定に存在
する。
【0042】また、前記B室における還元糖およびビタ
ミンB1は、いずれも水溶性であり、pH2.5〜5の
領域で安定であるため、1つの輸液中に溶解させても沈
殿の生成、変質、着色などがおこらず、安定に存在す
る。
【0043】さらに、前記C室におけるビタミンA、ビ
タミンD、ビタミンE、ビタミンB 12および葉酸は、い
ずれもpH4〜8の領域で安定であり、また、相互作用
による変性もないため、これらを1つの輸液に溶解させ
ても沈殿の生成、変質などは生じない。これらのうち、
ビタミンA、ビタミンDおよびビタミンEは脂溶性ビタ
ミンであり、必要に応じ、水に安定に溶解させるため、
溶解補助剤を添加してもよい。溶解補助剤としては、ポ
リソルベート80、20などの界面活性剤、プロピレン
グリコール、エチレングリコール、ポリエチレングリコ
ールなどの親水性有機溶媒を単独または組み合わせて使
用することができる。また、安定化剤として、デキスト
ラン、ソルビトールなどの非還元糖を添加することもで
きる。前記脂溶性ビタミンは、プラスチック製容器の表
面に吸着されやすく、脂溶性ビタミンを含有する輸液
は、表面積の小さい容器に充填されることが好ましい。
【0044】電解質は前記A室および(または)B室に
含まれるが、いずれも水溶性が高いものであるため、各
室輸液の成分、各室輸液のpHなどとの適合性も考慮の
うえ、必要に応じて選択のうえ、A室、B室の輸液のい
ずれか一方に全てを添加してもよく、A室およびB室の
輸液に適宜分散して添加してもよい。
【0045】また、A室〜C室の輸液を混合した場合
に、pH4.0〜7.5になるようにしておけば、混合
時に沈殿形成、変質を生じず、また、患者に投与する際
の疼痛を生じない点から好ましい。
【0046】前記各輸液のpH調整に用いられるpH調
整剤としては、生理的に許容できるものであればとくに
限定されず、各種の酸剤、たとえば有機酸、無機酸、有
機塩基、無機塩基を使用することができるが、有機酸が
好適に用いられる。前記有機酸としては、たとえばクエ
ン酸、酢酸、コハク酸、グルコン酸、乳酸、リンゴ酸、
マレイン酸、マロン酸などがあげられ、無機酸としては
塩酸、リン酸などをあげることができる。一方、有機塩
基としてはクエン酸ナトリウム、グルコン酸ナトリウ
ム、乳酸ナトリウム、リンゴ酸ナトリウム、酢酸ナトリ
ウム、マレイン酸ナトリウム、マロン酸ナトリウムなど
をあげることができ、無機塩基としては水酸化アルカリ
金属などをあげることができる。
【0047】なお、C室の輸液にはビタミンKが含まれ
ていてもよく、A室およびC室の少なくとも1室に含ま
れる輸液に、パントテン酸類およびビタミンHが含まれ
ていてもよく、また、A室、B室およびC室の少なくと
も1室に含まれる輸液に、ビタミンB6およびニコチン
酸類が含まれていてもよい。
【0048】前記パントテン酸類およびビタミンHのA
室およびC室への含まれ方にはとくに限定はなく、これ
ら2種のビタミンが単独でまたは2種でA室およびC室
の少なくとも1室に配合することができる。また、ビタ
ミンB6およびニコチン酸類のA室、B室およびC室へ
の含まれ方にもとくに限定はなく、これら2種のビタミ
ンが単独でまたは2種でA室、B室およびC室の少なく
とも1室に配合することができる。ただし、パントテン
酸類がA室の輸液に、ビタミンB6およびニコチン酸類
がB室の輸液に、ビタミンHがC室の輸液に配合されて
いるのが好ましい。
【0049】前記C室に含まれるビタミンKは、そのも
のであってもよく、その誘導体の形で用いてもよい。ビ
タミンKおよびその誘導体としてはビタミンK1(フィ
ロキノン、フィトナジオン)、ビタミンK2(ファルノ
キノン)、ビタミンK3(メナジオン)、ビタミンK4
ビタミンK5、ビタミンK6、ビタミンK7などをあげる
ことができる。
【0050】前記A室およびC室の少なくとも1室に含
まれ得るパントテン酸類およびビタミンH(ビオチン)
も、そのものであってもよく、その誘導体の形で用いて
もよい。具体的には、パントテン酸類の誘導体として
は、パンテノールなどがあげられる。パントテン酸類お
よびビタミンHはナトリウム、カリウムなどのアルカリ
金属塩、マグネシウム、カルシウムなどのアルカリ土類
金属塩として用いることもできる。
【0051】また、前記A室、B室およびC室の少なく
とも1室に含まれ得るビタミンB6およびニコチン酸類
も、そのものであってもよく、その誘導体の形で用いて
もよい。具体的には、ビタミンB6(ピリドキシン)の
誘導体としてはリン酸ピリドキシン、ピリドキサール、
ピリドキサシンなどがあげられる。また、ビタミンB 6
は塩酸塩などの塩の形で用いてもよい。ニコチン酸類と
してはニコチン酸アミド、ニコチン酸などがあげられ、
これらは塩の形で使用することもできる。
【0052】電解質のうち、リン酸、リン酸二水素アル
カリ金属、リン酸水素二アルカリ金属などのリン供給源
とカルシウム供給源とをA室の輸液とB室の輸液とに分
けて含有させることができ、この場合には、カルシウム
供給源をA室の輸液に、リン供給源をB室の輸液に含有
させるのが好ましい。また、カルシウム供給源とリン供
給源とを共に、pH2.5〜5としたB室の輸液に含有
させることもできる。
【0053】また、電解質のうちのナトリウム供給源、
カリウム供給源、塩素供給源および亜鉛供給源がA室の
輸液に含有されており、少なくともA室およびB室のい
ずれかの輸液にマグネシウム供給源が含有されているの
が好ましい。また、電解質のうちのナトリウム供給源、
カリウム供給源、マグネシウム供給源、塩素供給源およ
び亜鉛供給源のすべてをA室の輸液またはB室の輸液の
一方に配合してもよい。
【0054】各室に収容される輸液には、加熱滅菌時お
よび保存時の着色を防止するために着色防止剤(たとえ
ば、チオグリセロール、ジチオスレオトールなど)を添
加してもよい。着色防止剤の添加量は、輸液に対して、
通常1%程度以下とするのが好ましい。
【0055】さらに、A室および(または)C室に収容
される輸液には、抗酸化剤として亜硫酸水素ナトリウ
ム、L−リジン亜硫酸塩、亜硫酸ナトリウムなどを添加
してもよい。これらの添加量は、輸液に対して0.00
2〜5000ミリモル/リットル程度とするのが好まし
い。なお、B室にはビタミンB1が含有されているの
で、この分解を防ぐためにB室には亜硫酸水素ナトリウ
ム、亜硫酸ナトリウムなどを添加することは好ましくな
い。また、B室に収容される輸液には、トリス(ヒドロ
キシメチル)アミノメタンなどの緩衝剤を添加してもよ
い。これらの添加量は、輸液に対して、通常1%程度以
下である。
【0056】前記のごとき、本発明の総合栄養輸液剤を
形成するA室の輸液、B室の輸液、C室の輸液の容積比
は、20〜2000:10〜2500:1、さらには8
0〜320:120〜480:1であるのが好ましい。
【0057】前記のごときA室〜C室に充填される各輸
液は、いずれも細菌の除去などのためにメンブランフィ
ルターを使用して濾過したのち充填する。本発明の総合
栄養輸液剤の各室に充填された輸液には脂肪乳剤が含ま
れないため、細菌が通過できない0.2μmの孔径の輸
液フィルターを使用して濾過したうえで本発明に用いる
輸液容器に充填することができる。
【0058】さらにA室〜C室に各輸液剤が充填された
本発明の総合栄養輸液剤は、加熱滅菌されているのが好
ましく、また、A室〜C室の輸液は予め加熱滅菌したも
のを各室に無菌的に充填・密封してもよいが、アルゴン
ガス、チッ素ガス、炭酸ガスなどの不活性ガス雰囲気下
でA室〜C室に輸液を充填・密封後、加熱滅菌するのが
効率的であるとともに、細菌の混入による弊害を防止す
ることができる点から好ましい。加熱滅菌の方法として
は、慣用の方法をいずれも使用することができ、たとえ
ば、高圧蒸気滅菌、熱水浸漬滅菌、熱水シャワー滅菌な
どの方法により行なうことができる。
【0059】本発明の輸液剤は、充填前に加熱滅菌を行
なう場合でも、充填後に加熱滅菌を行なう場合にも、A
室〜C室の輸液は沈殿の生成、変質、着色を生じず、ま
た、含有成分の加熱処理による分解・減少も最小限に抑
制することができる。
【0060】本発明の総合栄養輸液剤のさらに具体的な
例として、連通可能な隔離手段で区画され、連通後、内
容物を外気にさらすことなく混合することができる3室
を有する輸液容器の、A室に、L−イソロイシン、L−
ロイシン、L−リジン、L−メチオニン、L−フェニル
アラニン、L−トレオニン、L−トリプトファン、L−
バリン、L−システイン、L−チロシン、L−アルギニ
ン、L−ヒスチジン、L−アラニン、L−アスパラギン
酸、L−グルタミン酸、グリシン、L−プロリン、L−
セリン、ビタミンB2、ビタミンCおよびパントテン酸
類を含有するpH5〜8の輸液、B室に、ブドウ糖、ビ
タミンB1、ビタミンB6およびニコチン酸類を含有する
pH2.5〜5の輸液、C室に、ビタミンA、ビタミン
D、ビタミンE、ビタミンK、ビタミンB12、葉酸、ビ
タミンH、溶解補助剤および安定化剤を含有するpH4
〜8の輸液が充填されており、かつ、少なくともA室お
よびB室のいずれかの輸液に電解質が含有されており、
A室、B室およびC室の輸液を混合したのちの輸液のp
Hが4.0〜7.5となる総合栄養輸液剤があげられ
る。
【0061】ここに、電解質としては、カルシウム供給
源、ナトリウム供給源、カリウム供給源、マグネシウム
供給源、塩素供給源、亜鉛供給源およびリン供給源をあ
げることができ、A室の輸液にカルシウム供給源、ナト
リウム供給源、カリウム供給源、マグネシウム供給源、
塩素供給源および亜鉛供給源を配合し、B室の輸液にリ
ン供給源を配合するか、またはB室にカルシウム供給
源、ナトリウム供給源、カリウム供給源、マグネシウム
供給源、塩素供給源、亜鉛供給源およびリン供給源のす
べてを配合するかの何れかとするのが好ましい。
【0062】本発明の総合栄養輸液剤のより好ましい具
体例としては、前記具体例においてA室〜C室の輸液を
混合したのちの輸液1000ml中に各成分が次表記載
の範囲となるように配合されている輸液剤をあげること
ができる。
【0063】
【表3】
【0064】これら総合栄養輸液剤において、A室の輸
液、B室の輸液およびC室の輸液の容積比が20〜20
00:10〜2500:1であるのが好ましい。
【0065】さらに、これら具体的な本発明の総合栄養
輸液剤はいずれも前述の方法により加熱滅菌されていて
もよく、各室の輸液はメンブランフィルターにより除菌
されたのち充填されていてもよい。
【0066】本発明の総合栄養輸液剤に使用する輸液容
器としては、A室とB室の間に連通可能な隔離壁を有
し、A室またはB室に輸液供給部が設けられており、輸
液供給部内にC室が含有され、C室は破断によりA室ま
たはB室へ連通可能な連通用部材を有している輸液容
器、A室とB室の間に連通可能な隔離壁を有し、A室
またはB室に輸液供給部が設けられており、輸液供給部
とは別に、A室またはB室にC室が設けられており、C
室は破断によりA室またはB室へ連通する連通用部材を
有している輸液容器などがあげられる。前記A室とB室
の間の隔離壁は弱接着された隔離壁であり、C室が有す
る連通用部材が破断されたとき、該連通用部材を液中に
浮遊させないための変形可能なカバー部材が設けられて
いるのが好ましい。
【0067】つぎに、本発明の総合栄養輸液剤に使用す
る、連通可能な隔離手段で区画され、連通後、内容物を
外気にさらすことなく混合可能な3室を有する輸液容器
について具体的に説明する。
【0068】図1に、本発明に使用する輸液容器の一例
を示す。図1において、1は本発明に使用する輸液容
器、2はA室、3はB室、5はA室とB室とを、使用時
に連通する隔離手段(以下、連通可能な隔離手段ともい
う)、6はC室が有する連通用部材11(図2を参照)
を破断させたとき、該連通用部材を液中に浮遊させない
ための変形可能なカバー部材、7はC室4(図2を参
照)を含有する輸液供給部、8は懸垂孔、9、10は密
封シール部を表わす。
【0069】輸液容器1は、ある程度の耐熱性のある軟
質合成樹脂、たとえばポリオレフィン類(たとえばポリ
エチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重
合体、ポリプロピレンとポリエチレンまたはポリブテン
との混合物、前記ポリオレフィンの部分架橋物、エチレ
ン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル
酸エステル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共
重合体、エチレン−無水マレイン酸共重合体など)、ポ
リ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、フッ
化エチレン−塩化ビニリデン共重合体、ポリエステル
(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタ
レート)、ナイロン、スチレン系エラストマーなどを単
独でまたはこれら重合体を適宜混合して得られる混合物
で形成されるシート、あるいはこれらシートを貼りあわ
せて形成される多層シートで袋状物を作製し、輸液供給
部7を設けた密閉容器である。この容器に使用する耐熱
性軟質合成樹脂としては、ポリプロピレンとスチレン系
エラストマー(たとえば、スチレン−エチレン−ブチレ
ン−スチレンブロック共重合体、水素添加スチレン−エ
チレン−ブタジエン共重合体、水素添加スチレン−イソ
プレン−スチレン共重合体)との混合物などを使用する
のが好ましい。
【0070】輸液容器1から輸液供給部7をのぞいた容
器本体は前記樹脂をブロー成形することにより形成した
もの、前記樹脂から形成された2枚のシートの周縁部を
融着して形成したもの、インフレーション成形機により
前記樹脂を押し出し成形して筒状に成形したものの開口
部を融着するなどすることにより製造したもののいずれ
でもよい。
【0071】A室2とB室3との間に形成された破断な
どにより連通可能な隔離手段5は、使用時に隔離手段5
で隔離された一方の室を、たとえば外部から押圧するこ
とによりシール部が剥離し、輸液が外気にふれることな
く混合できるようになっている。
【0072】連通可能な隔離手段5は、A室2またはB
室3を外部から押圧したり握るなどして室内に内圧を生
じさせた際に容器本体の周縁部のシール強度および容器
本体を形成するシートの破断強度よりも弱い力で破壊ま
たは剥離するように輸液容器1を形成する樹脂の特性に
応じてシール時の条件(熱シールの場合は金型の温度・
押圧力・時間など)を調整して形成される。
【0073】A室2とC室4との間に形成された連通可
能な連通用部材(破断連通用部材)11の連通前の状態
を図2に、連通後の状態を図3にそれぞれ部分断面説明
図として示す。
【0074】C室4は、A室2および連通可能な隔離手
段5で隔離されたB室3からなる筒状の容器本体のA室
に設けられた輸液供給部7の先端開口を封止する膜12
と、輸液供給部7のA室2側に設けられた連通用部材1
1に囲まれて形成されている。
【0075】連通用部材11は、A室2の中に突出して
いる。この連通用部材11は、薄肉脆弱部よりなる周状
の破断部13と、破断部13の破断操作を行なうための
レバー14とを有している。破断部13は、C室4の縮
径部15とレバー14の端部とを連結している。レバー
14をカバー部材6とともに把持して横方向に力を加え
ると、破断部13が破断して縮径部15に開口が形成さ
れ、C室4とA室2とが連通する。
【0076】輸液供給部7と連通用部材11とは、別部
材を接合したものでもよいが、一体に形成されているも
のが好ましい。
【0077】連通用部材11は、ポリプロピレン、環状
ポリオレフィン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレ
フタレートなどの硬質樹脂から形成されている。とくに
ポリプロピレンが好適に用いられる。連通用部材11を
破断したのち、レバー14が浮遊しないようにするため
に変形可能なカバー部材6を設けるのが好ましい。な
お、カバー部材6には、C室に含有される輸液とA室、
B室に含有される輸液とが混合されるように、開口した
連通部17が設けられている。
【0078】輸液容器1に輸液が充填されたものの製造
方法としては、たとえばつぎの方法があげられる。まず
所定の大きさ、容量の輸液容器1を形成する部品を製造
する。当初、連通可能な隔離手段(弱シール部)5を形
成した容器本体の両端は密封シールをしない状態にして
おき、B室3になる側に所定量の輸液を分注し、密封シ
ール部9を密封シールするとともに懸垂孔8を形成す
る。ついで、A室2側に所定量の輸液を分注し、前もっ
てC室4を形成し、輸液を分注しておいた輸液供給部7
を挿入し、密封シールをする。すなわち、C室4に予め
輸液を分注しておき、C室4の先端側に膜12(ポリプ
ロピレンなどのプラスチック製、該先端に熱融着可能な
材質があることが好ましい)を装着するとともに、A室
2側にカバー部材6を装着する。ついで輸液供給部7を
形成するポリプロピレンなどのプラスチック製の硬質な
チューブ18に挿入するとともにブチルゴムやイソプレ
ンゴムなどのゴム、あるいはスチレン系エラストマー
(スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体な
ど)やオレフィン系エラストマーなどからなる栓体16
を装着する。このようにして組み立てた輸液供給部7を
容器本体の先端開口部の途中まで挿入し、そこを密封シ
ールし、本発明の総合栄養輸液剤は完成する。
【0079】本発明においては、容器本体は、ポリプロ
ピレンと水素添加スチレン−エチレン−ブタジエン共重
合体の混合樹脂を押出成形により筒状に成形したものを
使用するのが好ましい。C室4および連通用部材11は
ポリプロピレン、ポリカーボネートなどの硬質樹脂を用
いて一体に成形したものを使用するのが好ましい。ま
た、膜12もポリプロピレン、ポリカーボネートなどの
硬質樹脂を用いるのが好ましい。
【0080】前記輸液容器1ではA室2にC室4を含有
する輸液供給部7を設けたが、B室などほかの部分に設
けてもよい。
【0081】また、図4に、本発明に使用する輸液容器
の他の例を示す。図4において、1aは本発明に使用す
る輸液容器、2aはA室、3aはB室、4aはC室、5
aはA室とB室の間の連通可能な隔離手段、7aは輸液
供給部、8aは懸垂孔、9a、10aは密封シール部を
表わす。
【0082】輸液容器1aにおけるA室2a、B室3
a、連通可能な隔離手段5a、懸垂孔8a、密封シール
部9aおよび10aは図1の輸液容器1におけるA室
2、B室3、連通可能な隔離手段5、懸垂孔8、密封シ
ール部9および10と同様のものである。C室4aはA
室2aおよびB室3aからなる筒状の容器本体のB室3
a側に設けられ、輸液容器1におけるC室4がA室2と
連通可能であると同様に、B室3aと連通可能な形で形
成されている。輸液供給部7aはA室2aおよびB室3
aからなる筒状の容器本体のA室2a側に設けられてい
る。
【0083】C室4aは、先端側における外部との境界
が膜12による密封シールおよび栓体16である代わり
に、硬質樹脂製のキャップであることを除き、輸液容器
1におけるC室4を含有する輸液供給部7と同様のもの
である。
【0084】また、輸液供給部7aは輸液容器1におけ
る輸液供給部7のような特殊な形状のものではなく、通
常の輸液製剤に用いられるものである。
【0085】輸液容器1aは輸液容器1と同様に製造す
ることができ、C室4aおよび輸液供給部7aは、輸液
容器1におけるC室4を含有する輸液供給部7と同様の
素材を用いて製造することができる。
【0086】輸液容器1aに輸液が充填されたものも、
輸液容器1に輸液が充填されたものを製造する場合と同
様に製造することができ、たとえば、連通可能な隔離手
段(弱シール部)5aを形成した容器本体の両端は密封
シールしない状態にしておき、B室3aになる側に所定
量の輸液を分注後、予め輸液を分注し、連通用部材およ
びカバー部材を装着したC室4aを容器本体の先端開口
部の途中まで挿入して、密封シールするとともに懸垂孔
8aを形成する。一方、A室2aになる側にも所定量の
輸液を分注し、輸液供給部7aを先端開口部の途中まで
挿入して、密封シールすることにより、製造することが
できる。
【0087】輸液容器1aではA室2a側に輸液供給部
7aを、B室3a側にC室4aを設けたが、逆に、B室
3a側に輸液供給部7aを、A室2a側にC室4aを設
けてもよく、また、A室2aまたはB室3aのいずれか
一方の側にC室4aおよび輸液供給部7aを設けてもよ
い。
【0088】本発明の総合栄養輸液剤は、容器内の輸液
の変質を防止するために、さらに酸素非透過性の膜材、
紫外線遮断性の膜材、遮光性の膜材などで外包装しても
よい。
【0089】前記酸素非透過性の膜材としては、たとえ
ばエチレン−ビニルアルコール共重合体フィルム、ポリ
ビニルアルコールフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィル
ムなどを中間層として含む3層ラミネートフィルム(た
とえば外層がポリエステルフィルム、延伸ナイロンフィ
ルム、延伸ポリプロピレンフィルムなどからなり、内層
が未延伸ポリプロピレンフィルムからなるラミネートフ
ィルムなど)、アルミニウム層を含むラミネートフィル
ム(たとえばポリエステルフィルム−アルミニウム層−
未延伸ポリプロピレンフィルムからなるラミネートフィ
ルムなど)、無機質蒸着フィルムを含むラミネートフィ
ルム(たとえばポリエステルフィルム−ケイ素蒸着フィ
ルム−未延伸ポリプロピレンフィルム、延伸ナイロンフ
ィルム−ケイ素蒸着フィルム−未延伸ポリプロピレンフ
ィルム、ポリエステルフィルム−アルミニウム蒸着フィ
ルム−未延伸ポリプロピレンフィルム、アルミナ蒸着ポ
リエステルフィルム−ポリ塩化ビニリデンフィルム−未
延伸ポリプロピレンフィルムからなるラミネートフィル
ムなど)などがあげられる。
【0090】前記外包装と総合栄養輸液剤との間に脱酸
素剤を収容してもよく、さらに常法に準じて、真空包
装、不活性ガス(たとえばチッ素ガス、アルゴンガス、
炭酸ガスなど)充填包装などしてもよい。
【0091】前記脱酸素剤としては、たとえば、炭化
鉄、鉄カルボニル化合物、酸化鉄、鉄粉、水酸化鉄また
はケイ素鉄をハロゲン化金属で被覆したもの、水酸化
アルカリ土類金属もしくは炭酸アルカリ土類金属、活性
炭と水、結晶水を有する化合物、アルカリ性物質または
アルコール類化合物と亜二チオン酸塩との混合物、第
一鉄化合物、遷移金属の塩類、アルミニウムの塩類、ア
ルカリ金属もしくはアルカリ土類金属を含むアルカリ化
合物、チッ素を含むアルカリ化合物またはアンモニウム
塩と亜硫酸アルカリ土類金属との混合物、鉄もしくは
亜鉛と硫酸ナトリウム・1水和物との混合物または該混
合物とハロゲン化金属との混合物、鉄、銅、スズ、亜
鉛またはニッケル;硫酸ナトリウム・7水和物または1
0水和物;およびハロゲン化金属の混合物、周期律表
第4周期の遷移金属;スズもしくはアンチモン;および
水との混合物または該混合物とハロゲン化金属との混合
物、アルカリ金属もしくはアンモニウムの亜硫酸塩、
亜硫酸水素塩またはピロ亜硫酸塩;遷移金属の塩類また
はアルミニウムの塩類;および水との混合物などを用い
ることができる。また、市販のものを好適に使用するこ
とができ、かかる市販の脱酸素剤としては、たとえば、
エージレス(三菱瓦斯化学(株)製)、モデュラン(日
本化薬(株)製)などがあげられる。
【0092】これら脱酸素剤は本発明の輸液剤に使用す
る容器に使用する耐熱性軟質合成樹脂に含有させた形で
使用することもできる。
【0093】本件明細書において、輸液成分であるアミ
ノ酸の量は、実施例を除き、遊離アミノ酸である場合に
はその量を、アミノ酸の塩である場合には遊離アミノ酸
に換算した量を、誘導体としている場合には誘導する前
の元のアミノ酸の量を、ジペプチド類とした場合には、
その構成成分であるアミノ酸のそれぞれに換算しなおし
た量をベースとするものである。また、輸液成分である
ビタミンの量は、ビタミンA、D、EおよびKにはそれ
ぞれに複数種のビタミンが知られているが、これら複数
種ビタミンの総和の量をベースとし、各種ビタミンが誘
導体として使用される場合には、誘導する前のビタミン
の量を、塩として使用される場合には、遊離の形での量
をベースとするものである。
【0094】
【実施例】つぎに本発明の総合栄養輸液剤を実施例に基
づいて説明するが、本発明はこれらに限定されるもので
はない。
【0095】実施例1 [総合栄養輸液剤の製造] (1)次表に示すアミノ酸のうち、L−システイン塩酸
塩を除くアミノ酸を約80℃に加温した注射用水(所定
量の80%量)に溶解し、ついで電解質を溶解する。溶
解後直ちに室温まで冷却し、L−システイン塩酸塩、リ
ン酸リボフラビンナトリウム、アスコルビン酸、パンテ
ノール、クエン酸および亜硫酸水素ナトリウムを溶解す
る。コハク酸を用いてpHを6.0に調整後全量を40
0mlに合わせ、メンブランフィルター(孔径0.22
μm)を用いて濾過する(A室調合液)。
【0096】
【表4】
【0097】(2)次表に示す成分のうち、ブドウ糖と
リン酸二水素カリウムを約60℃に加温した注射用水
(所定量の70%量)に溶解する。室温まで冷却したこ
の溶液に塩酸チアミン、塩酸ピリドキシンおよびニコチ
ン酸アミドを溶解し、コハク酸を用いてpH3.5に調
整後全量を600mlに合わせ、メンブランフィルター
(孔径0.22μm)を用いて濾過する(B室調合
液)。
【0098】
【表5】
【0099】(3)次表に示す脂溶性ビタミン(パルミ
チン酸レチノール、エルゴカルシフェロール、酢酸トコ
フェロール、フィトナジオン)を所定量のポリソルベー
ト80(日光ケミカルズ(株)製のTO−10M)中に
約70℃で加温溶解する(A液)。別に0.1N水酸化
ナトリウム水溶液で約pH8に調整した注射用水(所定
量の60%量)に葉酸、ビオチン、ビタミンB12および
プロピレングリコール(エイエス化成(株)製のプロピ
レングリコール日局品)を約70℃で加温溶解する(B
液)。B液をA液に撹拌しながら徐々に添加したのち、
クエン酸または水酸化ナトリウムを用いてpH6.0に
調整後全量を2.5mlに合わせ、メンブランフィルタ
ー(孔径0.22μm)を用いて濾過する(C室調合
液)。
【0100】
【表6】
【0101】なお、上記(1)〜(3)の工程の操作は
すべてチッ素気流下で行なった。
【0102】(4)A室調合液とB室調合液は、ポリプ
ロピレンと水素添加スチレン−エチレン−ブタジエンコ
ポリマーの混合樹脂からなるソフトバッグの弱シール部
で隔離された薬剤室にそれぞれ400mL(A室)と6
00mL(B室)を充填する。C室調合液は環状ポリオ
レフィン製チューブに2.5mL充填後、A室に設けた
輸液供給部内に装着する。空間部をチッ素置換後、各室
の開口部を融着密封シールする。密封後、105℃で1
0分間熱水スプレー滅菌を行なう。
【0103】(5)酸素非透過性膜材(外層が延伸ナイ
ロン、内層がポリエチレン、中間層がエチレン−ビニル
アルコール共重合体のラミネートフィルム)からなる外
袋に(4)で調製した輸液入りソフトバッグおよび脱酸
素剤(エージレス、三菱瓦斯化学(株)製)を入れたの
ち密封する。
【0104】[A室輸液剤〜C室輸液剤および3液混合
輸液剤の安定性評価]A室輸液剤、B室輸液剤、C室輸
液剤およびこれらを混合した混合輸液剤の安定性を下記
方法によって評価する。結果を[表7]〜[表12]に
示す。
【0105】(A室輸液剤の熱安定性)実施例1−
(1)で得られたA室調合液をチッ素で置換したソフト
バッグに充填し、脱酸素剤(エージレス、三菱瓦斯化学
(株)製)とともに酸素非透過性膜材(外層が延伸ナイ
ロン、内層がポリエチレン、中間層がエチレン−ビニル
アルコール共重合体のラミネートフィルム)からなる外
袋に入れ密封したサンプルを60℃の恒温槽に所定の期
間保存後、外袋を開封し、肉眼で外観を観察した。輸液
の着色の指標として450nmにおける吸光度を分光光
度計により測定した。pHはpHメーターにより測定し
た。リン酸リボフラビンナトリウムはルミフラビン蛍光
法(化学大辞典(共立出版(株)より1960年発行)
862頁)により、アスコルビン酸およびパンテノール
は高速液体クロマトグラフ法により測定して定量した。
【0106】
【表7】
【0107】(A室輸液剤の光安定性)実施例1−
(1)で得られたA室調合液をチッ素置換したソフトバ
ッグに充填し、外袋包装を施した。この検体を褐色の遮
光性フィルム(波長500nm以下の透過率0%)で覆
い、25℃で1000ルクスの蛍光灯で1200時間照
射したのち、外袋を開封し、肉眼で観察した。輸液の着
色の指標として450nmにおける吸光度を分光光度計
により測定した。pHはpHメーターにより測定した。
アスコルビン酸およびパンテノールは高速液体クロマト
グラフ法により、リン酸リボフラビンナトリウムはルミ
フラビン蛍光法により定量した。
【0108】対照として、褐色の遮光性フィルムのかわ
りにアルミフィルム(完全遮光フィルム)で覆った検体
を同様にして評価した。
【0109】
【表8】
【0110】(B室輸液剤の熱安定性)実施例1−
(2)で得られたB室調合液をチッ素置換したソフトバ
ッグに充填し、外袋包装を施したサンプルを60℃の恒
温槽に所定の期間保存後、外袋を開封し肉眼で外観を観
察した。輸液の着色の指標として400nmの吸光度を
分光光度計により測定した。pHはpHメーターにより
測定した。塩酸チアミン、塩酸ピリドキシン、ニコチン
酸アミドは高速液体クロマトグラフ法により定量した。
【0111】
【表9】
【0112】(B室輸液剤の光安定性)実施例1−
(2)で得られたB室調合液をチッ素置換したソフトバ
ッグに充填し、外袋包装を施した。この検体を褐色の遮
光性フィルムで覆い、25℃で1000ルクスの蛍光灯
で1200時間照射したのち、外袋を開封し、肉眼で観
察した。輸液の着色の指標として400nmにおける吸
光度を分光光度計により測定した。pHはpHメーター
により測定した。塩酸チアミン、塩酸ピリドキシン、ニ
コチン酸アミドは高速液体クロマトグラフ法により定量
した。
【0113】対照として、褐色の遮光性フィルムのかわ
りにアルミフィルム(完全遮光フィルム)で覆った検体
を同様にして評価した。
【0114】
【表10】
【0115】(C室輸液剤の安定性)実施例1−(3)
で得られたC室調合液をチッ素置換した環状ポリオレフ
ィン製チューブに充填し、40℃および50℃の恒温槽
に所定の期間保存後、C室を開封し、パルミチン酸レチ
ノール、酢酸トコフェロール、フィトナジオン、葉酸、
ビタミンHおよびビタミンB12含量を高速液体クロマト
グラフ法により定量した。
【0116】
【表11】
【0117】(3液混合輸液剤の安定性)実施例1−
(5)で製造したサンプルの外袋を開封してA室輸液〜
C室輸液を混合する。混合液の入ったソフトバッグを褐
色の遮光性フィルムで覆い、蛍光灯散光下(約800L
ux)室温で保存した。24時間後および48時間後に
外観を観察し、前記と同様の方法で吸光度、pHおよび
ビタミン含量(塩酸チアミン、アスコルビン酸)を測定
した。
【0118】
【表12】
【0119】実施例2〜6 [表13]および[表14]に記載の成分を実施例1と
同様に処理してA室輸液〜C室輸液を製造し、本発明の
総合栄養輸液剤を得る。
【0120】
【表13】
【0121】
【表14】
【0122】実施例7〜10 [表15]および[表16]に記載の成分を実施例1と
同様に処理してA室輸液〜C室輸液を製造し、本発明の
総合栄養輸液剤を得る。
【0123】ただし、アミノ酸輸液の調製においては、
L−リジン亜硫酸塩およびL−システインリンゴ酸塩以
外のアミノ酸を先に溶解し、これに電解質を溶解後直ち
に室温まで冷却し、L−リジン亜硫酸塩、L−システイ
ンリンゴ酸塩、リン酸リボフラビンナトリウム塩、アス
コルビン酸、パンテノールなどを溶解し、実施例1と同
様にpHを調整し、メンブランフィルターでの濾過を行
なった。
【0124】
【表15】
【0125】
【表16】
【0126】実施例11 [総合栄養輸液剤の製造] (1)次表に示すアミノ酸のうち、L−リジン亜硫酸塩
およびL−システインリンゴ酸塩を除くアミノ酸を約8
0℃に加温した注射用水(所定量の80%量)に溶解す
る。溶解後直ちに室温まで冷却し、L−リジン亜硫酸
塩、L−システインリンゴ酸塩、リン酸リボフラビンナ
トリウム、アスコルビン酸、パンテノールおよびクエン
酸を溶解する。コハク酸を用いてpHを6.5に調整後
全量を400mlに合わせ、メンブランフィルター(孔
径0.22μm)を用いて濾過する(A室調合液)。
【0127】
【表17】
【0128】(2)次表に示す成分のうち、ブドウ糖と
電解質を約60℃に加温した注射用水(所定量の70%
量)に溶解する。室温まで冷却したこの溶液に塩酸チア
ミン、塩酸ピリドキシンおよびニコチン酸アミドを溶解
し、コハク酸を用いてpH4.5に調整後全量を700
mlに合わせ、メンブランフィルター(孔径0.22μ
m)を用いて濾過する(B室調合液)。
【0129】
【表18】
【0130】(3)次表に示す脂溶性ビタミン(パルミ
チン酸レチノール、エルゴカルシフェロール、酢酸トコ
フェロール、フィトナジオン)を所定量のポリソルベー
ト80(日光ケミカルズ(株)製のTO−10M)、ポ
リソルベート20(日光ケミカルズ(株)製のTL−1
0)およびD−ソルビトールの混合物中に約70℃で加
温溶解する(A液)。別に0.1N水酸化ナトリウム水
溶液で約pH8に調整した注射用水(所定量の60%
量)に葉酸、ビオチン、ビタミンB12を約70℃で加温
溶解する(B液)。B液をA液に撹拌しながら徐々に添
加したのち、クエン酸または水酸化ナトリウムを用いて
pH6.0に調整後全量を2.5mlに合わせ、メンブ
ランフィルター(孔径0.22μm)を用いて濾過する
(C室調合液)。
【0131】
【表19】
【0132】なお、上記(1)〜(3)の工程の操作は
すべてチッ素気流下で行なった。
【0133】(4)A室調合液とB室調合液は、ポリプ
ロピレンと水素添加スチレン−エチレン−ブタジエンコ
ポリマーの混合樹脂からなるソフトバッグの弱シール部
で隔離された薬剤室にそれぞれ400mL(A室)と7
00mL(B室)を充填する。C室調合液は環状ポリオ
レフィン製チューブに2.5mL充填後、A室に設けた
輸液供給部内に装着する。空間部をチッ素置換後、各室
の開口部を融着密封シールする。密封後、105℃で1
0分間熱水スプレー滅菌を行なう。
【0134】(5)酸素非透過性膜材(外層が延伸ナイ
ロン、内層がポリエチレン、中間層がエチレン−ビニル
アルコール共重合体のラミネートフィルム)からなる外
袋に(4)で調製した輸液入りソフトバッグおよび脱酸
素剤(エージレス、三菱瓦斯化学(株)製)を入れたの
ち密封する。
【0135】[A室輸液剤〜C室輸液剤および3液混合
輸液剤の安定性評価]A室輸液剤、B室輸液剤、C室輸
液剤およびこれらを混合した混合輸液剤の安定性を実施
例1と同様にして評価した。結果をそれぞれ[表20]
〜[表24]に示す。
【0136】なお、L−システインの定量は5,5′−
ジチオビス−(2−ニトロ安息香酸)により発色させ、
410nmの吸収を測定して行ない、エルゴカルシフェ
ロールの定量は高速液体クロマトグラフ法により行なっ
た。
【0137】
【表20】
【0138】
【表21】
【0139】
【表22】
【0140】
【表23】
【0141】
【表24】
【0142】実施例12〜18 [表25]および[表26]に記載の成分を実施例11
と同様に処理してA室輸液〜C室輸液を製造し、本発明
の総合栄養輸液剤を得る。
【0143】
【表25】
【0144】
【表26】
【0145】
【発明の効果】本発明の総合栄養輸液剤は、連通可能な
隔離手段で区画され、連通後、内容物を外気にさらすこ
となく混合することができる3室を有する輸液容器の各
室に、アミノ酸、ビタミン、電解質および還元糖を特定
の区分で配合することにより、患者の生命維持に必要な
これら成分全てを含むとともに、熱および光に対する安
定性がよく、沈殿の生成、変質、着色を生じず、成分の
分解・減少も最小限に抑制され、長期間安定に保存する
ことができる。
【0146】かかる本発明の総合栄養輸液剤は、患者に
投与する前に、連通可能な隔離手段で区画されたA室〜
C室の輸液を混合したのち、必要に応じて輸液フィルタ
ーを通過させたうえで、経静脈的に患者に投与すること
ができ、末梢静脈および中心静脈のいずれを経由して投
与してもよい。
【0147】本発明の総合栄養輸液剤は必要時に内容物
を外気にさらすことなく混合することができ、使用時の
混合操作で菌汚染が生じることもなく、また、脂肪乳剤
を含む必要がなく、患者に投与する直前に細菌が通過で
きない輸液フィルターを通過させることができるため、
輸液投与に伴う感染症の危険性を最小限に止めることが
できる。
【0148】さらに、本発明の総合栄養輸液製剤は脂肪
乳剤を含まないため、患者臓器への脂肪蓄積、血中トリ
グリセリド濃度の上昇をきたすこともなく、長期間にわ
たって投与する場合でも安全性が高い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に使用される輸液容器の一例を示す概略
説明図である。
【図2】図1に示される輸液容器を構成する輸液供給部
中の連通用部材が連通する前の状態を示す部分断面説明
図である。
【図3】図1に示される輸液容器を構成する輸液供給部
中の連通用部材が破断により連通したのちの状態を示す
部分断面説明図である。
【図4】本発明に使用される輸液容器の別の例を示す概
略説明図である。
【符号の説明】
1、1a 輸液容器 2、2a A室 3、3a B室 4 輸液供給部7に含有されるC室 4a C室 5、5a 連通可能な隔離手段 6、6a カバー部材 7 C室4を含有する輸液供給部 7a 輸液供給部 8、8a 懸垂孔 9、10 密封シール部 11 連通用部材 12 膜 13 破断部 14 レバー 15 縮径部 16 栓体 17 連通部 18 チューブ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61K 31/4172 A61K 31/4172 31/4188 31/4188 31/4415 31/4415 31/455 31/455 31/495 31/495 31/51 31/51 31/519 31/519 31/525 31/525 31/59 31/59 31/714 31/714 33/00 33/00 A61P 3/02 102 A61P 3/02 102 104 104 105 105 106 106 107 107 109 109 (72)発明者 有馬 賢一 兵庫県西宮市甲子園口5−16−14−701 (72)発明者 古川 義一 大阪市天王寺区上本町8−3−23 (72)発明者 冨岡 千枝 京都府八幡市男山吉井6−6 (72)発明者 知久 一雄 神奈川県足柄上郡中井町井ノ口1500番地 テルモ株式会社内 (72)発明者 大島 英彦 神奈川県足柄上郡中井町井ノ口1500番地 テルモ株式会社内 (72)発明者 長坂 義秀 神奈川県足柄上郡中井町井ノ口1500番地 テルモ株式会社内 Fターム(参考) 4C086 AA01 AA02 BA09 BA18 BC07 BC13 BC18 BC19 BC38 BC83 CB09 CB28 DA14 DA39 EA01 HA02 HA04 HA15 HA17 HA19 HA20 HA24 MA03 MA04 MA10 MA17 MA66 NA03 NA04 ZA52 ZC23 ZC25 ZC26 ZC28 ZC29 4C206 AA01 AA02 CA10 CB28 FA53 JA27 JA58 MA03 MA04 MA10 MA14 MA28 MA37 MA86 NA03 NA04 ZA52 ZC23 ZC25 ZC28 ZC29

Claims (23)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 連通可能な隔離手段で区画され、連通
    後、内容物を外気にさらすことなく混合することができ
    る3室を有する輸液容器の、A室にアミノ酸、ビタミン
    2およびビタミンCを含有する輸液、B室に還元糖お
    よびビタミンB1を含有する輸液、C室にビタミンA、
    ビタミンD、ビタミンE、ビタミンB12および葉酸を含
    有する輸液が充填されており、A室および(または)B
    室の輸液にさらに電解質が含有されていることを特徴と
    する総合栄養輸液剤。
  2. 【請求項2】 A室の輸液のpHが5〜8、B室の輸液
    のpHが2.5〜5、C室の輸液のpHが4〜8であ
    り、A室〜C室の輸液を混合したのちの輸液のpHが
    4.0〜7.5である請求項1記載の総合栄養輸液剤。
  3. 【請求項3】 ビタミンKがC室の輸液に含有されてお
    り、パントテン酸類およびビタミンHのそれぞれが、少
    なくともA室およびC室のいずれかの輸液に含有されて
    おり、ビタミンB6およびニコチン酸類のそれぞれが、
    少なくともA室、B室およびC室のいずれかの輸液に含
    有されている請求項1または2記載の総合栄養輸液剤。
  4. 【請求項4】 パントテン酸類がA室の輸液に、ビタミ
    ンB6およびニコチン酸類がB室の輸液に、ビタミンH
    がC室の輸液に含有されている請求項3記載の総合栄養
    輸液剤。
  5. 【請求項5】 電解質のうちのリン供給源とカルシウム
    供給源とが、A室の輸液とB室の輸液とにそれぞれわけ
    て含有されている請求項1、2、3または4記載の総合
    栄養輸液剤。
  6. 【請求項6】 電解質のうちのカルシウム供給源がA室
    の輸液に、リン供給源がB室の輸液に含有されている請
    求項5記載の総合栄養輸液剤。
  7. 【請求項7】 電解質のうちのナトリウム供給源、カリ
    ウム供給源、塩素供給源および亜鉛供給源がA室の輸液
    に含有されており、少なくともA室およびB室のいずれ
    かの輸液にマグネシウム供給源が含有されている請求項
    6記載の総合栄養輸液剤。
  8. 【請求項8】 電解質のうちのナトリウム供給源、カリ
    ウム供給源、マグネシウム供給源、塩素供給源および亜
    鉛供給源が、A室の輸液に含有されている請求項7記載
    の総合栄養輸液剤。
  9. 【請求項9】 電解質のうちのリン供給源およびカルシ
    ウム供給源がB室の輸液に含有されている請求項1、
    2、3または4記載の総合栄養輸液剤。
  10. 【請求項10】 電解質のうちのナトリウム供給源、カ
    リウム供給源、塩素供給源および亜鉛供給源がB室の輸
    液に含有されており、少なくともA室およびB室のいず
    れかの輸液にマグネシウム供給源が含有されている請求
    項9記載の総合栄養輸液剤。
  11. 【請求項11】 電解質のうちのナトリウム供給源、カ
    リウム供給源、マグネシウム供給源、塩素供給源および
    亜鉛供給源がB室の輸液に含有されている請求項10記
    載の総合栄養輸液剤。
  12. 【請求項12】 A室の輸液、B室の輸液、C室の輸液
    の容積比が、20〜2000:10〜2500:1であ
    る請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10ま
    たは11記載の総合栄養輸液剤。
  13. 【請求項13】 加熱滅菌されてなる請求項1、2、
    3、4、5、6、7、8、9、10、11または12記
    載の総合栄養輸液剤。
  14. 【請求項14】 連通可能な隔離手段で区画され、連通
    後、内容物を外気にさらすことなく混合することができ
    る3室を有する輸液容器の、A室に、L−イソロイシ
    ン、L−ロイシン、L−リジン、L−メチオニン、L−
    フェニルアラニン、L−トレオニン、L−トリプトファ
    ン、L−バリン、L−システイン、L−チロシン、L−
    アルギニン、L−ヒスチジン、L−アラニン、L−アス
    パラギン酸、L−グルタミン酸、グリシン、L−プロリ
    ン、L−セリン、ビタミンB2,ビタミンCおよびパン
    トテン酸類を含有するpH5〜8の輸液、B室に、ブド
    ウ糖、ビタミンB1、ビタミンB6およびニコチン酸類を
    含有するpH2.5〜5の輸液、C室に、ビタミンA、
    ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK、ビタミンB12
    葉酸、ビタミンHおよび溶解補助剤を含有するpH4〜
    8の輸液が充填されており、かつ、少なくともA室およ
    びB室のいずれかの輸液に電解質が含有されており、A
    室〜C室の輸液を混合したのちの輸液のpHが4.0〜
    7.5であることを特徴とする総合栄養輸液剤。
  15. 【請求項15】 A室の輸液にカルシウム供給源、ナト
    リウム供給源、カリウム供給源、マグネシウム供給源、
    塩素供給源および亜鉛供給源が含有されており、B室に
    リン供給源が含有されている請求項14記載の総合栄養
    輸液剤。
  16. 【請求項16】 B室の輸液にカルシウム供給源、ナト
    リウム供給源、カリウム供給源、マグネシウム供給源、
    塩素供給源、亜鉛供給源およびリン供給源が含有されて
    いる請求項14記載の総合栄養輸液剤。
  17. 【請求項17】 A室〜C室の輸液を混合したのちの輸
    液1000ml中に含まれる各成分の量が次の範囲であ
    る請求項15または16記載の総合栄養輸液剤。 【表1】
  18. 【請求項18】 A室の輸液、B室の輸液、C室の輸液
    の容積比が、20〜2000:10〜2500:1であ
    る請求項14、15、16または17記載の総合栄養輸
    液剤。
  19. 【請求項19】 加熱滅菌されてなる請求項14、1
    5、16、17または18記載の総合栄養輸液剤。
  20. 【請求項20】 輸液容器が、A室とB室の間に連通可
    能な隔離壁を有し、A室またはB室に輸液供給部が設け
    られており、輸液供給部内にC室が含有され、C室は破
    断によりA室またはB室へ連通する連通用部材を有して
    いる請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、1
    0、11、12、13、14、15、16、17、18
    または19記載の総合栄養輸液剤。
  21. 【請求項21】 輸液容器が、A室とB室の間に連通可
    能な隔離壁を有し、A室またはB室に輸液供給部が設け
    られており、輸液供給部とは別に、A室またはB室にC
    室が設けられており、C室は破断によりA室またはB室
    へ連通する連通用部材を有している請求項1、2、3、
    4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、1
    4、15、16、17、18または19記載の総合栄養
    輸液剤。
  22. 【請求項22】 A室とB室の間の隔離壁が弱接着され
    た隔離壁であり、C室が有する連通用部材は、C室と連
    通し得るA室またはB室内へ突出しており、輸液容器外
    部から破断し得る請求項20または21記載の総合栄養
    輸液剤。
  23. 【請求項23】 C室が有する連通用部材が破断された
    とき、該連通用部材を液中に浮遊させないための変形可
    能なカバー部材が設けられている請求項22記載の総合
    栄養輸液剤。
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