JP2001052335A - 磁気記録媒体製造装置 - Google Patents

磁気記録媒体製造装置

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JP2001052335A
JP2001052335A JP11226666A JP22666699A JP2001052335A JP 2001052335 A JP2001052335 A JP 2001052335A JP 11226666 A JP11226666 A JP 11226666A JP 22666699 A JP22666699 A JP 22666699A JP 2001052335 A JP2001052335 A JP 2001052335A
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JP
Japan
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magnetic
blade
paint
recording medium
magnetic recording
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JP11226666A
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English (en)
Inventor
Toshimasa Sugano
利政 菅野
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Sony Corp
Original Assignee
Sony Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ブレード部材を複数枚設けてブレードホルダ
に交換可能に支持する構成とすることにより、適当な条
件の下にブレード部材を自動的に交換できるようにし
て、余分な磁性塗料の安定した掻取り作業を長時間に亘
って維持できるようにする。 【解決手段】 ベースフィルム11上に形成される磁性
塗料の塗膜12を所定の厚みに掻取るための複数枚のブ
レード部材15と、この複数枚のブレード部材15を一
度に支持するブレードホルダ14とを設け、ブレードホ
ルダ14の回転により複数枚のブレード部材15の位置
を交換可能とした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、音声情報や映像情
報等の情報信号の記録(書込み)及び/又は再生(読出
し)が可能な磁気テープ等のテープ状の磁気記録媒体を
製造するための磁気記録媒体製造装置に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】従来、一般に、磁気記録媒体である磁気
テープは、ポリエチレンテレフタレート(PETP)等
のプラスチック製ベースフィルムの表面に磁気記録層が
形成された構造となっている。この磁気記録層は磁性塗
料の塗膜からなり、その磁性塗料は、磁性粒子を有機溶
媒溶液、硬化剤及び潤滑剤等と配合して混合することに
よって造られている。この磁性塗料をベースフィルムの
表面に塗布した後、乾燥させることによって磁気テープ
が製造される。
【0003】この磁性塗料をベースフィルムに塗布する
手段としては、例えば、グラビアコーティング方式が知
られている。このグラビアコーティング方式は、一方の
ロールに磁性塗料を塗布した後、他方のロールでベース
フィルムを一方のロールに押し付け、磁性塗料をベース
フィルムに転写させて磁気記録層を形成するものであ
る。このグラビアコーティング方式を実行するための装
置は、所定間隔をあけて対向設置されたグラビアロール
とバックロールとを有し、このグラビアロールとバック
ロールとの間にベースフィルムを通過させる構成とされ
ている。
【0004】グラビアロールの外周面には、ベースフィ
ルムの幅よりも若干広い幅で円周方向に連続した無端状
の溝が設けられている。このグラビアロールの溝に、充
填ロールによって磁性塗料が充填される。グラビアロー
ルの溝に充填された磁性塗料は、バックロールにより加
圧されてベースフィルムに転写される。この溝の容積に
より、ベースフィルムに形成される磁気記録層(塗膜)
の厚みが決定される。このとき、グラビアロールとバッ
クロールとのニップ入口側(ベースフィルムの進入側)
において、グラビアロールに保持されている必要量以上
の磁性塗料は、ベースフィルムに転写されることなくニ
ップ入口側に残され、これにより塗料溜りがニップ入口
側全幅に亘って形成される。
【0005】このグラビアコーティング方式の場合、一
般的にベースフィルムの幅は、グラビアロールの幅より
も狭く且つバックロールの幅よりも広く構成されてい
る。そのため、ニップ入口側全幅に亘って形成された塗
料溜りは、バックロールの両端部からベースフィルムの
縁を伝わってニップ出口側へ移動する。これにより、ベ
ースフィルムの幅方向両端部において、グラビアロール
の持つキャパシティ以上の磁性塗料が転写された状態と
なる。その結果、磁性塗料の表面張力によって塗料塗布
部の幅方向両側部には、必要以上に厚くなった塗料肉盛
り部が形成され、磁性塗料の塗膜に厚みのムラが生じて
いた。
【0006】このように磁性塗料の塗膜に厚みのムラが
あると、磁気テープとして使用する場合に、電気的特性
にバラツキを生ずることになる。その結果、製品として
の価値が低下し、製品歩留りが悪くなる。
【0007】そのため、従来では、ベースフィルムに転
写された磁性塗料の塗膜の厚みのムラを解消するため
に、塗料肉盛り部の余分な磁性塗料を掻取るブレード部
材が使用されている。このブレード部材は厚みの薄い板
材によって形成されており、このブレード部材の先端部
を塗料肉盛り部に接触させて余分な磁性塗料を掻取るこ
とにより、磁気記録層全体の厚みを略均一に整えるよう
にしていた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
たようなブレード部材による磁気記録層の修正方法で
は、ブレード部材によって掻取られた磁性塗料には揮発
性の高い有機溶剤が溶媒として使用されていることか
ら、掻取られた磁性塗料がブレード部材先端部の掻取り
面側に付着して固形化され、氷柱状の塗料塊が形成され
る。このブレード部材に形成される塗料塊は磁性塗料の
掻取り量に応じて成長を続けるために、ブレード部材の
掻取り能力を長時間に亘って良好に維持することができ
ないという課題があった。
【0009】本発明は、このような従来の課題に鑑みて
なされたものであり、ブレード部材を複数枚設けてブレ
ードホルダに交換可能に支持する構成とすることによ
り、適当な条件(例えば、掻取り時間、掻取り長さ等)
の下にブレード部材を自動的に交換できるようにして、
余分な磁性塗料の安定した掻取り作業を長時間に亘って
維持できる磁気記録媒体製造装置を提供することを目的
としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】上述したような課題等を
解決し、上記目的を達成するために、本発明の請求項1
記載の磁気記録媒体製造装置は、非磁性支持体上に形成
される磁性塗料の塗膜又は当該磁性塗料を補強するため
非磁性支持体上に形成される非磁性塗料の塗膜を所定の
厚みに掻取るための複数枚のブレード部材と、この複数
枚のブレード部材を一度に支持するブレードホルダとを
設け、ブレードホルダの運動により複数枚のブレード部
材の位置を交換可能としたことを特徴としている。
【0011】本発明の請求項2記載の磁気記録媒体製造
装置は、ブレードホルダは、複数枚のブレード部材を同
一円周上において等間隔に配置して支持する回転部と、
この回転部を回転可能に支持する支持部とを有し、回転
部をアクチュエータによって回転駆動するようにしたこ
とを特徴としている。
【0012】本発明の請求項3記載の磁気記録媒体製造
装置は、ブレード部材は、非導電性のプラスチックによ
って形成したことを特徴としている。
【0013】本発明の請求項4記載の磁気記録媒体製造
装置は、ブレード部材は、厚みが0.5mmから0.7
mmの範囲内にある薄板であることを特徴としている。
【0014】上記のように構成したことにより、請求項
1記載の磁気記録媒体製造装置では、ブレード部材によ
って掻取られた磁性塗料が固形化して成長することによ
って掻取り能力が低下したときに、ブレードホルダの運
動によって一のブレード部材を他のブレード部材に交換
する。これにより、ブレード部材による磁性塗料の安定
した掻取り作業を長時間に亘って維持することができ
る。
【0015】請求項2記載の磁気記録媒体製造装置で
は、複数枚のブレード部材がブレードホルダの回転部に
おいて同一円周上に等間隔に配置されて支持されている
ため、ブレードホルダの回転によってブレード部材を自
動的に交換することができ、磁性塗料の安定した掻取り
作業を長時間に亘って連続して維持できると共に、作業
に従事している人の負担を軽減することができる。
【0016】請求項3記載の磁気記録媒体製造装置で
は、ブレード部材の材質として非導電性プラスチックを
使用することにより、爆発性の高い気化した有機溶剤雰
囲気中においても静電気等のスパークによる発火を生じ
ることがなく、磁性塗料の掻取り作業を安全に行うこと
ができる。
【0017】請求項4記載の磁気記録媒体製造装置で
は、ブレード部材の厚みを0.5mm〜0.7mmの範
囲内に設定することにより、磁性塗料が塗布されるベー
スフィルムを傷つけたり破損したりするのを防止できる
と共に、磁性塗料を確実に掻取って掻取り不良等の不具
合の発生を防ぐことができる。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を添付
図面を参照にして説明する。図1〜図4は本発明に係る
磁気記録媒体製造装置の一実施例を説明するためのもの
で、磁気記録媒体の一具体例を示す磁気テープの製造に
適用したものである。即ち、図1は本発明に係る磁気記
録媒体製造装置の正面側の断面図、図2は磁気記録媒体
製造装置の平面図、図3A,Bは磁性塗料の掻取り状態
を説明するための説明図、図4は磁気テープの製造工程
の一例を示す説明図である。
【0019】本発明に係る磁気記録媒体である磁気テー
プの製造方法には、例えば図4に示すように、逐次的に
実行される混練工程Aと分散工程Bとろ過工程Cとホモ
ジナイザー処理工程Dと塗布工程Eとカレンダー処理工
程Fと裁断工程Gと組立工程Hとが備えられている。こ
れら工程のうち、最初の3工程である混練工程Aと分散
工程Bとろ過工程Cとを経ることにより、有機溶剤系磁
性塗料又は有機溶剤系非磁性塗料が製造される。
【0020】これにより製造された有機溶剤系磁性塗料
を、非磁性支持体の一具体例を示すシート状非磁性支持
体上に塗布することにより、磁気記録層と非磁性支持体
との二層構造からなる磁気テープが製造される。また、
同様にして製造された有機溶剤系非磁性塗料をシート状
非磁性支持体上に塗布することにより、表面の磁気記録
層と非磁性支持体との間に設けられる非記録層が形成さ
れる。この非記録層の上に磁気記録層を重ね合わせて設
けることにより、非磁性支持体上に非記録層と磁気記録
層とが重ね合わされた三層構造の磁気テープが製造され
る。尚、非記録層及び磁気記録層は、二層以上を重ね合
わせる構造とすることもできる。
【0021】有機溶剤系磁性塗料としては、例えば、強
磁性体粉末とカーボンブラックと熱可塑性樹脂又は熱硬
化性樹脂(或いは反応樹脂)と潤滑材と界面活性剤と有
機溶剤とから構成される。また、有機溶剤系非磁性塗料
としては、例えば、非磁性補強粒子とカーボンブラック
と熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂(或いは反応樹脂)と
潤滑材と界面活性剤と有機溶剤とから構成される。しか
しながら、有機溶剤系磁性塗料及び有機溶剤系非磁性塗
料の構成は、その構成材料を必要に応じて削除又は付加
して変更することができる。
【0022】強磁性体粉末としては、例えば、Fe、C
o、Ni等の金属、Fe−Co、Fe−Al等の合金そ
の他を用いることができる。カーボンブラックとして
は、例えば、ゴム用ファーネス、熱分解カーボン等を上
げることができる。熱可塑性樹脂としては、例えば、塩
化ビニル、酢酸ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合
体等を上げることができる。熱硬化性樹脂(或いは反応
樹脂)としては、例えば、フェノール樹脂、エポキシ樹
脂等を用いることができる。潤滑材としては、例えば、
黒鉛、2硫化モリブデンを上げることができる。界面活
性剤としては、例えば、ノニオン系やアニオン系界面活
性剤を使用することができる。有機溶剤としては、例え
ば、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒そ
の他の溶媒を用いることができる。更に、非磁性補強粒
子としては、例えば、酸化アルミニウム、酸化クロム等
を用いることができる。また、非磁性支持体としては、
例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネー
ト、ポリプロピレン等を用いることができる。
【0023】このような材料からなる有機溶剤系磁性塗
料又は有機溶剤系非磁性塗料の製造方法に係る混練工程
Aは、図4Aに示すように、強磁性体粉末又は非磁性補
強粒子とカーボンブラックと熱可塑性樹脂及び/又は熱
硬化性樹脂(或いは反応樹脂)と潤滑材と界面活性剤と
を混練し、ペースト状の材料を形成する工程である。こ
れらの材料を混練する混練機1としては、プラネタリ
ー、ニーダー等を使用することができる。この混練機1
で適当に混練された材料は、同図Bに示すように、分散
工程Bをなす分散機2に供給される。この分散機2は、
ペースト状、ゲル状に練られた材料を有機溶剤により溶
解して分散させるもので、使用されるメディアとしては
スチールボール、ガラスボール等を上げることができ
る。
【0024】分散機2で適当に分散された材料は、同図
Cに示すように、ろ過工程Cをなすろ過機3に供給され
る。このろ過機3は、分散工程で分散しきれなかった材
料を再分散させたり、分散された材料中の不純物を取り
除くものであり、フィルタを用いたろ過装置を使用する
ことができる。このろ過機3でろ過された材料は、同図
Dに示すように、ホモジナイザー処理工程Dをなすホモ
ジナイザー処理装置4に供給される。このホモジナイザ
ー処理装置4は、ろ過工程Cを経て供給される有機溶剤
系磁性塗料又は有機溶剤系非磁性塗料を、塗布する直前
に再分散させる工程である。
【0025】このホモジナイザー処理装置4で再分散さ
れた磁性塗料又は非磁性塗料が、同図Eに示すように、
塗布工程Eをなす塗布機5に供給される。この塗布機5
は、磁性塗料又は非磁性塗料をシート状非磁性支持体で
あるプラスチック製のベースフィルムに塗布して磁気記
録層又は非記録層を形成する。この塗布機5による塗布
方式としては、後述するグラビアコーティング方式等を
上げることができる。この塗布工程Eを経て磁性塗料又
は非磁性塗料が塗布されたベースフィルムは、同図Fに
示すように、カレンダー処理工程Fに移行される。この
カレンダー処理工程Fでは、カレンダー処理機6によっ
て塗膜の表面が切削或いは研削されて平滑に処理され
る。
【0026】このカレンダー処理工程Fを経ることによ
り、ベースフィルムに塗布されたものが磁性塗料である
場合には、ベースフィルム上に磁性塗料が塗布された二
層構造からなるシート状の磁気テープ集合体が製造され
る。また、ベースフィルムに塗布されたものが非磁性塗
料である場合には、この塗膜上に、更に磁性塗料が塗布
される。この磁性塗料の表面をカレンダー処理して表面
を平滑にすることにより、ベースフィルム上に非磁性塗
料と磁性塗料とが積層された三層構造からなるシート状
の磁気テープ集合体が製造される。
【0027】この際に、ベースフィルムに塗布された磁
性塗料又は非磁性塗料の幅方向両側に形成される肉厚部
(塗料肉盛り部)を、後述する磁気記録媒体製造装置1
0によって掻取る。これにより、磁性塗料又は非磁性塗
料の塗膜の厚みが幅方向の全長に亘って略均一とされ
る。
【0028】その後、これらの磁気テープ集合体は、同
図Gに示すように、裁断工程Gに移行される。この裁断
工程Gでは、裁断機7によって磁気テープ集合体が、所
定の幅で所定の長さに裁断され、磁気テープが製造され
る。この所定幅及び所定長さの磁気テープが一対のリー
ルに巻き取られ、これが組立工程Hに移行される。この
組立工程Hにおいて、同図Hに示すように、一対のリー
ルと共に磁気テープをカセット筐体8内に組み込むこと
により、磁気テープがカセット筐体8内に収納された最
終製品であるテープカセット9が製造される。
【0029】この実施例に示す磁気記録媒体製造装置1
0は、非磁性支持体の一具体例を示すプラスチック製の
ベースフィルム11上に磁性塗料の塗膜12を形成した
二層構造の磁気記録媒体の一具体例を示すテープ状記録
媒体を製造するために使用して好適な装置である。この
磁気記録媒体製造装置10は、図3A及びBに示すよう
に、ベースフィルム11上に塗布された磁性塗料の塗膜
12のうちベースフィルム11の幅方向両端部に形成さ
れる塗料肉盛り部13の余分な磁性塗料を掻取って平滑
面に修正するものである。この塗料肉盛り部13はベー
スフィルム11の幅方向両端部にそれぞれ形成されるた
め、通常、磁気記録媒体製造装置10は左右一対として
2機が同時に使用される。
【0030】この磁気記録媒体製造装置10は、図1及
び図2に示すような構成を備えている。即ち、磁気記録
媒体製造装置10は、塗料肉盛り部13の余分な磁性塗
料を掻取るための複数枚のブレード部材15と、この複
数枚のブレード部材15を一度に支持することができる
ブレードホルダ14と、このブレードホルダ14の回転
部16を回転駆動するアクチュエータ18等を備えてい
る。ブレードホルダ14は、複数枚のブレード部材15
が取り付けられる回転部16と、この回転部16を回転
自在に支持する支持部17とを有している。このブレー
ドホルダ14及びアクチュエータ18が支持ブラケット
19に取り付けられ、この支持ブラケット19を介して
磁気記録媒体製造装置10が、塗料肉盛り部13の余分
な磁性塗料を掻取るために所定位置にセットされる。
【0031】このブレードホルダ14の回転部16は、
回転リング20と8個の挟持片21と回転スリーブ22
と蓋体23等を備えている。回転リング20は、平面形
状が略円形をなす円盤状の部材によって形成されてい
る。この回転リング20の上面外周縁には、ブレード部
材15を取り付けるためのブレード取付部24が8箇所
に設けられている。8箇所のブレード取付部24は、円
周方向に所定間隔あけて等角度間隔に配置されている。
従って、隣合うブレード取付部24の中心間の角度は、
それぞれ45°となっている。
【0032】この回転リング20のブレード取付部24
は、上面から外周面にかけて切り欠いたような形状の凹
部からなり、その幅はブレード部材15の幅と同程度に
設定されている。更に、ブレード取付部24は、外周側
に形成されたブレード載置部24aと、内周側に形成さ
れた挟持片載置部24bとを有している。ブレード載置
部24aには、ブレード部材15の一端の固定側が載置
される。また、挟持片載置部24bの略中央部には、上
下方向に貫通するネジ穴が設けられている。
【0033】ブレード取付部24に嵌合される挟持片2
1は、そのブレード取付部24に見合う爪のような形状
とされている。この挟持片21には、ブレード取付部2
4に嵌合した状態でネジ穴に一致する挿通穴21aが設
けられている。この挿通穴21aには、固定ネジ25の
ネジ軸部25aが挿通される。固定ネジ25は、ネジ軸
部25aの一端に連続すると共に直径が大とされた押圧
軸部25bと、この押圧軸部25bの他端に連続するネ
ジ頭部25cとを有している。この固定ネジ25のネジ
軸部25aを挟持片21の挿通穴21aに挿通してブレ
ード取付部24のネジ穴に螺合した後、ブレード部材1
5を挟んだ状態で固定ネジ25を締め込むことにより、
ブレード部材15が回転リング20と挟持片21とによ
って片持ち状に支持される。
【0034】ブレード部材15は、四角形をなす偏平な
薄板によって形成されている。このブレード部材15の
幅は、ブレード取付部24の幅より若干小さく設定され
ている。このブレード部材15には、塗料肉盛り部13
の余分な磁性塗料51を掻取るために必要な強度と可撓
性とを備えていることが要求される。このブレード部材
15の材質としては、ステンレス鋼等の金属を用いるこ
ともできるが、プラスチックの方が好ましく、最も好適
なものは非導電性プラスチックである。
【0035】この非導電性プラスチックは、電導性を示
すことのないプラスチックであって、例えば、ポリプロ
ピレン(PP)やABS樹脂(アクリロニトリル−ブタ
ジエン−スチレン樹脂)等を上げることができる。この
ように、ブレード部材15の材質を非導電性プラスチッ
クとすることにより、爆発性の高い気化した有機溶剤の
雰囲気中においても、静電気等のスパークによる発火を
生ずることがなく、磁性塗料51の掻取り作業を安全に
行うことができる。
【0036】このブレード部材15の厚みは0.5mm
から0.7mmの範囲内であることが好ましく、最も望
ましい厚みは0.6mm程度である。これは、ブレード
部材15の厚みが0.7mmを超えると、ブレード部材
15が磁性塗料を貫通してベースフィルム11にも接触
し、ベースフィルム11に傷を付けてベース切れの要因
になるという問題が生ずる。また、ブレード部材15の
厚みが0.5mmより薄くなると、ブレード部材15の
機械的強度が減少して十分な掻取り効果を得られなくな
るという問題が生ずる。
【0037】このようなブレード部材15が複数枚(本
実施例では8枚)取り付けられる回転リング20は、回
転スリーブ22に対して着脱可能に構成されている。即
ち、回転リング20の中央穴のブレード取付部24側に
は、半径方向内側に突出する内フランジ20aが設けら
れている。この回転リング20の中央穴に回転スリーブ
22の外フランジ22aが嵌合されている。回転スリー
ブ22は、半径方向外側に突出する外フランジ22aが
外周面の軸方向中途部に設けられた円柱状の部材によっ
て形成されている。この回転スリーブ22の中央部に
は、軸方向の両側に開口するクラッチ穴22bと嵌合穴
22cとが設けられている。そして、クラッチ穴22b
と嵌合穴22cとの間に形成された節部22dの中央部
には、軸方向に貫通するネジ穴が設けられている。
【0038】この回転スリーブ22の外フランジ22a
には、嵌合穴22c側に突出する位置決めピン26が設
けられている。そして、位置決めピン26に対応する位
置決め穴27が回転リング20の内フランジ20aに設
けられている。この位置決め穴27に位置決めピン26
を挿入して回転リング20を回転スリーブ22に嵌合す
ることにより、回転リング20と回転スリーブ22とが
回転方向に一体化される。この回転リング20と回転ス
リーブ22との嵌合状態を確保する等を目的として蓋体
23が設けられている。
【0039】蓋体23は、回転スリーブ22の中央部を
円形に覆う円盤状の部材によって形成されている。この
蓋体23の中央部には、一面側に突出する嵌合凸部23
aが設けられている。更に、蓋体23の中央部には、上
下方向に貫通する挿通穴23bが設けられている。この
挿通穴23bには、取付ネジ28のネジ軸部28aが挿
通される。取付ネジ28は、ネジ軸部28aの一端に連
続すると共に直径が大とされた押圧軸部28bと、この
押圧軸部28bの他端に連続するネジ頭部28cとを有
している。この固定ネジ28のネジ軸部28aを蓋体2
3の挿通穴23aに挿通し、回転スリーブ22のネジ穴
に螺合して締め込むことにより、蓋体23と回転スリー
ブ22とによって回転リング20が挟持される。これに
より、回転リング20と回転スリーブ22と蓋体23と
が回転方向に一体化される。
【0040】また、回転スリーブ22のクラッチ穴22
b側の筒軸部22eには、軸受部材の一具体例を示すボ
ールベアリング29が嵌合されている。このボールベア
リング29の内輪は、筒軸部22eに嵌合された止め輪
30aによって抜止めされている。このボールベアリン
グ29の外輪は、支持部17の一具体例を示す固定リン
グ17の中央穴17aに嵌合されている。
【0041】固定リング17は、中央穴17aを有する
リング状の筒体によって形成されている。この固定リン
グ17の中央穴17aの一端には、半径方向内側に突出
する抜止めフランジ17bが設けられており、この抜止
めフランジ17bにボールベアリング29の外輪が係合
されている。そして、中央穴17aに嵌合された止め輪
30bによって外輪が抜止めされている。この固定リン
グ17は、支持ブラケット19の上面に複数本の固定ネ
ジ31aによって締付固定されている。
【0042】即ち、固定リング17の一方の端面には、
固定ネジ31aが螺合される複数個のネジ穴が設けられ
ている。この固定リング17の他方の端面には、円周方
向に連続するリング状の凹陥部32が設けられている。
この凹陥部32には、同じくリング状をなす位置決めリ
ング33が嵌合されて一体的に構成されている。この位
置決めリング33の上面には、回転部16に装着される
ブレード部材15の数(本実施例では8枚)と同数の円
錐凹部34が設けられている。8つの円錐凹部34は、
同一円周上において円周方向へ等角度間隔に配置されて
いる。従って、隣合う円錐凹部34の中心間の角度は4
5°である。
【0043】これらの円錐凹部34に対応させて、回転
リング20には2組のボールプランジャー35が設けら
れている。2組のボールプランジャー35は、回転部1
6の回転中心を中心として対角線上に対向するように配
置されている。このボールプランジャ35は、円錐凹部
34に着脱可能に係合されるボール36と、このボール
36に一端が着座される弾性体の一具体例を示すコイル
バネ37と、このコイルバネ37の他端を受けてボール
36を円錐凹部34側に付勢するためのバネ力を発生さ
せる止めネジ38とを有している。
【0044】ボールプランジャ35は、回転リング20
に設けられたネジ穴20bに収納されている。このネジ
穴20bにボール36及びコイルバネ37を順次挿入し
た後、止めネジ38をネジ穴20bに螺合することによ
ってボールプランジャ35が組み立てられる。このボー
ルプランジャー35と位置決めリング33の円錐凹部3
4とによって、支持部17に対する回転部16の位置決
めをなす回転位置決め機構が構成されている。
【0045】また、支持ブラケット19の下面には、ア
クチュエータ18の一具体例を示すロータリーアクチュ
エータが配置されている。このロータリーアクチュエー
タ18は、複数本の固定ネジ31bによって支持ブラケ
ット19の下面に締付固定されている。ロータリーアク
チュエータ18の回転軸18aは支持ブラケット19に
設けた貫通穴39を貫通して、支持ブラケット19の上
面に突出されている。この回転軸18aには、ワンウェ
イクラッチ40のクラッチ部材40aが嵌合されてい
る。このクラッチ部材40aは、固定ネジ等の固着手段
によって回転軸18aに締付固定されて回転方向に一体
とされている。
【0046】クラッチ部材40aは、回動スリーブ22
のクラッチ穴22b内に挿入され、当該クラッチ穴22
bとの間に所定の隙間が設定されている。このクラッチ
穴22bとクラッチ部材40aとの間には、クラッチ部
材40aの一方向に向かう回転力のみを伝え、他方向に
向かう回転力がクラッチ部材40aに付与されたときに
は滑りを生じさせる一方向伝動部材40bが介在されて
いる。これらクラッチ部材40aと一方向伝動部材40
bと回転スリーブ22のクラッチ穴22bとによってワ
ンウェイクラッチ40が構成されている。
【0047】このワンウェイクラッチ40の働きによっ
て回転部16は、ロータリーアクチュエータ18が所定
方向に回転するときにのみ一定方向に回転駆動される。
このようなロータリーアクチュエータ18としては、例
えば、空気圧や油圧等の流体圧力を動力伝達媒体として
使用して回転運動を生じさせる空気圧モータ、油圧モー
タ等の流体圧モータを適用することができる。図1にお
いて示す符号41は、ロータリーアクチュエータ18の
ための流量調整弁である。
【0048】このロータリーアクチュエータ18には、
回転部16の回転角度を制御するための角度調整機構が
内蔵されている。この角度調整機構では、同時に装着さ
れるブレード部材15の枚数と同じ動作回数によって回
転部16が1回転(360°)するように回転角度が制
御されている。この実施例では同時に装着されるブレー
ド部材15の枚数が8枚であるため、1動作当りの回転
角度は45°に設定されている。
【0049】更に、この実施例では、回転部16の回転
角度の精度アップを図るために、回転位置決め機構が設
けられている。この回転位置決め機構は、上述したよう
に位置決めリング33とボールプランジャ35とを備
え、位置決めリング33には同一円周上に等間隔に配置
された8の円錐凹部34を有している。これらの円錐凹
部34にボールプランジャ35のボール36を着脱可能
に係合させることにより、回転部16の回転角度の制御
を極めて精度良く行うことができる。
【0050】また、この磁気記録媒体製造装置10に
は、図示しないが、ブレード部材15の交換周期を検出
するための検出手段が設けられている。この交換周期検
出手段としては、例えば、ベースフィルム11の搬送長
さを検出することができるカウンタを用いることができ
る。このカウンタは、図1に示すように磁性塗料の掻取
り時にブレード部材15の先端下部に発生する氷柱状の
塗料塊43が、その磁性塗料の組成や温度等によって成
長度合いが変化するため、ブレード部材15の交換周期
を任意に設定できる機能を備えている。
【0051】このような機能をカウンタに持たせること
により、ベースフィルム11が所定長さ搬送されたと
き、或いは塗料塊43が所定以上に大きくなったとき等
にブレード部材15を自動的に交換することができる。
しかも、交換後におけるブレード部材15の停止位置の
精度を大幅に向上することができ、塗料肉盛り部13の
余分な磁性塗料の安定した掻取り作業を維持することが
できる。
【0052】また、ロータリーアクチュエータ18は、
保護カバー42により覆われて保護されている。保護カ
バー42は、ロータリーアクチュエータ18の全体を覆
うことができる一面に開口された筐体からなり、その開
口部の周縁には取付フランジ42aが設けられている。
この取付フランジ42aに挿通される複数本の固定ネジ
31cの締め込みにより、保護カバー42が支持ブラケ
ット19の下面に取り付けられる。
【0053】支持ブラケット19は、固定リング17や
保護カバー42を取り付けることができる偏平な板材に
よって形成されている。この支持ブラケット19には、
図示しない固定部が一体に設けられている。この固定部
を他の装置のフレーム等に固定することにより、磁気記
録媒体製造装置10が支持ブラケット19を介して所定
位置に設置される。
【0054】上述したような構成を有する磁気記録媒体
製造装置10は、例えば、次のようにして組み立てるこ
とができる。まず、ブレードホルダ14の回転部16を
組み立てる。これは、回転スリーブ22のクラッチ穴2
2bに一方向伝動部材40bを装着すると共に、外フラ
ンジ22aに位置決めピン26を取り付ける。この位置
決めピン26に位置決め穴27を合致させた状態で、回
転リング20を回転スリーブ22に嵌合する。この回転
リング20の8箇所のブレード取付部24には、予め挟
持片21を嵌め合わせて固定ネジ25でそれぞれ取り付
けておく。
【0055】次に、回転部16を支持部17に組み立て
る。この場合、固定リング17には、予め位置決めリン
グ33を嵌合して一体的に固定しておく。この固定リン
グ17の中央穴17aにボールベアリング29を挿入す
る。そして、中央穴17aに止め輪30bを装着してボ
ールベアリング29を抜け止めする。このボールベアリ
ング29の内輪に回転スリーブ22の筒軸部22eを挿
通する。そして、筒軸部22eに止め輪30aを装着し
てボールベアリング29を抜け止めする。これにより、
回転部16が支持部17に回転自在に支持される。
【0056】次に、回転スリーブ22にボールプランジ
ャ35を組み立てる。まず、回転リング20のネジ穴2
0bにボール36及びコイルバネ37を順に挿入する。
その後、止めネジ38をネジ穴20bに螺合し、コイル
バネ37のバネ力でボール36を位置決めリング33側
に付勢する。これによってボールプランジャ35が組み
立てられ、ボール36が位置決めリング33の円錐凹部
34内に入り込むことによって回転部16が位置決めさ
れる。
【0057】次に、回転スリーブ22の嵌合穴22cに
蓋体23の嵌合凸部23aを嵌合し、蓋体23で回転ス
リーブ22の上面を覆う。そして、蓋体23の挿通穴2
3bに取付ネジ28のネジ軸部28aを挿通し、回転ス
リーブ22のネジ穴に螺合させて締めつける。これによ
り、回転部16における回転リング20と回転スリーブ
22との嵌合部、及びボールプランジャ35の上部が蓋
体23によって覆われる。
【0058】次に、ロータリーアクチュエータ18を支
持ブラケット19の下面に臨ませ、その取付部を支持ブ
ラケット19の貫通穴39に嵌合させて回転軸18aを
上面に突出させる。そして、複数個の固定ネジ31bで
ロータリーアクチュエータ18を支持ブラケット19に
締付固定する。この支持ブラケット19の上方に、回転
部16を支持した固定リング17を臨ませる。そして、
回転スリーブ22のクラッチ穴22b内に保持されてい
る一方向伝動部材40bに回転軸18aを嵌合し、固定
リング17を支持ブラケット19の上面に載置する。そ
の後、複数本の固定ネジ31aで固定リング17を支持
ブラケット19に締付固定する。
【0059】次に、ロータリーアクチュエータ18に保
護カバー42を被せ、複数個の固定ネジ31cで保護カ
バー42を支持ブラケット19に締付固定する。これに
より、磁気記録媒体製造装置10が支持ブラケット19
に組み立てられ、磁気記録媒体製造装置10の組立作業
が完了する。
【0060】この組立作業の完了後、或いは組立作業の
途中において、ブレード部材15を回転部16に取り付
ける。このブレード部材15の取付作業は、固定ネジ2
5の回動操作によって簡単に行うことができる。まず、
固定ネジ25を緩める方向に回して挟持片21を少し持
上げ、回転リング20の半径方向外側からブレード取付
部24にブレード部材15の一側を挿入する。その後、
固定ネジ25を締め込むことによって挟持片21をブレ
ード取付部24に押しつける。これにより、ブレード部
材15が挟持片21とブレード取付部24とで挟持され
る。
【0061】このようなブレード部材15の取付作業を
8箇所のブレード取付部24について同様に行う。これ
により、図2に示すように、8枚のブレード部材15が
回転リング20に放射状に取り付けられる。この8枚の
ブレード部材15が取り付けられた磁気記録媒体製造装
置10を、磁気テープ製造ラインの所定位置に支持ブラ
ケット19を介してセットする。この磁気テープの製造
時にできる塗料肉盛り部13は、ベースフィルム11の
幅方向両端部に形成されるため、磁気記録媒体製造装置
10は、2台を1組として使用する。これにより、図3
A及びBに示すように、ベースフィルム11に塗布され
た磁性塗料の余分な塗料肉盛り部13を掻取って塗膜の
全面を平滑に修正することができる。
【0062】次に、磁気記録媒体製造装置10のブレー
ド部材15によって塗料肉盛り部13の余分な磁性塗料
を掻取る作業について説明する。
【0063】図1及び図2に示すように、グラビアコー
ティング方式によって磁性塗料は、ベースフィルム11
の一面に転写されて塗膜12が形成される。このとき、
ベースフィルム11は乾燥工程へと向かうため、図中矢
印で示すように斜め上方へと進行している。このベース
フィルム11の両端部に配設された一対の磁気記録媒体
製造装置10のブレード部材15を、ベースフィルム1
1の両端部に形成された塗料肉盛り部13にそれぞれ接
触させる。
【0064】これにより、塗料肉盛り部13の余分な磁
性塗料がブレード部材15によって掻取られる。その結
果、ベースフィルム11に塗布された磁性塗料の塗膜1
2の厚みを、ベースフィルム11の幅方向全長に亘って
略均一にすることができる。この際、ブレード部材15
の材質として非導電性のプラスチックを使用することに
より、爆発性の高い気化した有機溶剤の雰囲気中におい
ても、磁性塗料の掻取り作業を安全に行うことができ
る。
【0065】また、ブレード部材15によって掻取られ
た磁性塗料は、溶媒として揮発性の高い有機溶剤が使用
されているため非常に固まり易い。そのため、ブレード
部材15の先端下部に氷柱状の固形化した塗料塊43が
形成され、この塗料塊43が成長を続ける。その結果、
塗料塊43の成長に応じてブレード部材15の掻取り能
力が低下する。そこで、ブレード部材15n(n=a〜
h)を定期的に、或いは必要に応じて交換する。このブ
レード部材15の交換周期は、例えば、装置の稼働時
間、掻取り長さ、塗料塊43の成長度合い等の条件によ
って任意に設定することができる。この実施例では、ブ
レード部材15nの交換周期は、カウンタによって測定
される掻取り長さ(ベースフィルム11の走行距離)に
よるものとした。
【0066】このように設定される交換周期が到来する
と、カウンタから供給される検出信号に基づいてコント
ロール装置が自動的に磁気記録媒体製造装置10を動作
させる。即ち、コントロール装置が所定の駆動信号をロ
ータリーアクチュエータ18に出力する。これにより、
ロータリーアクチュエータ18の回転軸18aが所定方
向に所定角度だけ回転駆動され、その回転力がワンウェ
イクラッチ40のクラッチ部材40aから一方向伝動部
材40bを介して回転スリーブ22に伝達される。その
結果、ブレードホルダ14の回転部16が、所定方向に
1動作だけ回転駆動される。
【0067】この回転部16の回転角度は、ロータリー
アクチュエータ18に内蔵されている角度調整機構によ
って制御されており、1動作当り45°に設定されてい
る。従って、回転部16は、例えば、図2において時計
方向に45°回転され、これまで磁性塗料の掻取り作業
に従事していたブレード部材15aがブレード部材15
hの位置に移動し、右隣に待機していたブレード部材1
5bがブレード部材15aの位置に移動する。この新た
なブレード部材15aが、塗料肉盛り部13の余分な磁
性塗料の掻取り作業を継続して実行する。
【0068】この場合、ブレードホルダ14の回転部1
6と支持部17との間には回転位置決め機構が設けられ
ているため、回転部16を精度良く回転させて回転後の
ブレード部材15nの位置決め精度を高くすることがで
きる。即ち、回転部16にボールプランジャ35が設け
られている一方、このボールプランジャ35に対応する
8つの円錐凹部34が支持部17の位置決めリング33
に等角度間隔に設けられている。その結果、回転部16
の回転によってボールプランジャ35のボール36が円
周方向に移動し、8箇所の円錐凹部34に対して係合・
離脱される。そのため、円錐凹部34とボール36との
係合時において、回転部16を精度良く位置決めして回
転角度の精度アップを図り、ブレード交換後の停止位置
の精度を大幅に向上させることができる。
【0069】このようにして交換された新たなブレード
部材15の交換周期が到来した場合には、回転部16が
更に45°回転されて、次の新たなブレード部材15が
掻取り位置に移動させる。そして、新たなブレード部材
15によって塗料肉盛り部13の余分な磁性塗料の掻取
り作業が継続される。このようにブレード部材15を任
意の交換周期で自動的に交換させることにより、安定し
た掻取り作業を長時間に亘って良好に維持することがで
きる。
【0070】次に、本発明の磁気記録媒体製造装置10
を使用して磁性塗料の掻取り作業を行った具体的実施例
について説明する。グラビアコーティング方式によって
塗布された磁性塗料の塗料肉盛り部13を、プラスチッ
ク製のブレード部材15を使用して掻取るようにした。
ブレード部材15の交換周期を1000mとして作成し
た磁気テープのサンプルにおいて、幅方向の厚みを測定
した結果を、表1の記号×の折れ線グラフとして示す。
この場合のコーティング条件は、次の通りである。 コーティング速度・・・・・500m/分 ベースフィルムの厚み・・・5μm 磁気記録層の厚み・・・・・3μm 自動交換条件・・・・・・・塗布長さ1000mにて自
動交換 厚みの測定器は、アンリツ社製の「フィルムシクネステ
スター」を使用した。
【0071】
【表1】
【0072】この表1によれば、ベースフィルム11の
側縁から幅方向内側5mmまでは、ベースフィルムの厚
みである5μmとなっていて、ここから磁性塗料の塗膜
13である磁気記録層が3μmの厚みで均一に形成され
ている。この磁気テープの磁性塗料の塗布厚みスペック
は3.0μm±0.3μm、全厚みスペックは8.0μ
m±0.3μmである。
【0073】この実施例に対する比較結果を、表1にお
いて比較例1(記号◆)、比較例2(記号■)及び比較
例3(記号△)の折れ線グラフとして示す。比較例1
は、ブレード部材15の交換周期を5000mにて自動
交換設定としたものである。比較例2は、同じく交換周
期を10000mにて自動交換設定としたものである。
一方、比較例3は、ブレード部材15を使用せず、転写
されたままの磁気記録層の厚みを測定したものである。
その他のコーティング条件は、上述した実施例と同様で
ある。
【0074】この表1によれば、比較例1(記号◆)の
場合、磁気テープ端部からの距離が6mmから10mm
の範囲内において磁気テープの全厚みが若干増加してい
ることが認められ、その最大増加量は8mmの位置にお
いて約1.0μmであった。比較例2(記号■)の場
合、磁気テープ端部からの距離が6mmから12mmの
範囲内において磁気テープの全厚みが増加していること
が認められ、その最大増加量は9mmの位置において約
2.5μmであった。また、比較例3(記号△)の場
合、磁気テープ端部からの距離が6mmから8mmの範
囲内において磁気テープの全厚みが増加していることが
認められ、その最大増加量は7mmの位置において約
3.5μmであった。尚、記号◎は、実施例と比較例1
〜3との共通点(略同一と認められる位置を含む。)を
示している。
【0075】この表1から明らかなように、本発明の磁
気記録媒体製造装置10を使用して磁気テープを製造す
ることにより、この装置を使用しない場合と比較して、
ベースフィルム11の幅方向における磁性塗料の塗膜1
2の厚みムラを、約70%低減させることができた。ま
た、ブレード部材15の自動交換周期を1000m以下
とすることにより、磁性塗料の塗布厚みをスペック以内
に収めることができることが明らかになった。
【0076】尚、この実施例に係る磁気テープ集合体
{全長Lx(x=1〜n)}では、幅が8mmの磁気テ
ープを製造する場合には、図3Bに示す左端(右端も同
様)の1本分(L1)のみが不良品として廃棄される。
これに対して、図3Aに示す従来の磁気テープ集合体で
は、左側(右側も同様)の2本分(L1とL2)が不良
品として廃棄されることになる。
【0077】以上説明したが、本発明は上述した実施の
例に限定されるものではなく、例えば、上記実施例にお
いては、ブレードホルダ14の回転部16に8枚のブレ
ード部材15を同時に取り付けた例について説明した
が、ブレード部材15は7枚以下でも良く、また9枚以
上であってもよい。この場合、使用するブレード部材1
5の枚数に応じて回転位置決め機構の回転角度を設定す
る。例えば、ブレード部材15を12枚使用する場合に
は、回転位置決め機構の回転角度は30°となる。
【0078】また、上記実施例においては、ベースフィ
ルムに磁性塗料を塗布して二層構造の磁気テープを製造
する例について説明したが、ベースフィルムに非磁性塗
料を塗布した後、その非記録層に磁性塗料を塗布して三
層(四層以上であっても良い。)構造の磁気テープを製
造することもできる。また、回転部16を回転駆動する
アクチュエータとしては、上記実施例の他にも電動モー
タ、揺動モータその他のアクチュエータを使用すること
もできる。このように、本発明は、その趣旨を逸脱しな
い範囲で種々変更できるものである。
【0079】
【発明の効果】以上説明したように、本出願の請求項1
記載の磁気記録媒体製造装置によれば、ブレード部材に
よって掻取られた磁性塗料が固形化して成長することに
よって掻取り能力が低下したときに、ブレードホルダの
運動によって一のブレード部材を他のブレード部材に交
換することにより、ブレード部材による磁性塗料の安定
した掻取り作業を長時間に亘って連続的に維持すること
ができる。従って、磁気記録媒体の製造時における作業
者の負担を軽減できると共に、磁気記録媒体の生産性を
向上できるという効果を得ることができる。しかも、こ
の磁気記録媒体製造装置で製造される磁気記録媒体によ
れば、磁気記録層の厚みを非磁性支持体の幅方向の全長
に亘って略均一に形成できるため、その磁気記録層にお
ける電気的特性のバラツキを減少させて、製品の歩留り
を向上させることができる。
【0080】本出願の請求項2記載の磁気記録媒体製造
装置によれば、複数枚のブレード部材をブレードホルダ
の回転部において同一円周上に等間隔に配置して支持す
る構成としたため、ブレードホルダの回転によってブレ
ード部材を自動的に交換することができ、磁性塗料の安
定した掻取り作業を長時間に亘って連続して維持できる
と共に、作業に従事している人の負担を軽減することが
できるという効果を得ることができる。
【0081】本出願の請求項3記載の磁気記録媒体製造
装置によれば、ブレード部材の材質として非導電性プラ
スチックを使用することにより、爆発性の高い気化した
有機溶剤雰囲気中においても静電気等のスパークによる
発火を生じることがなく、磁性塗料の掻取り作業を安全
に行うことができるという効果を得ることができる。
【0082】本出願の請求項4記載の磁気記録媒体製造
装置によれば、ブレード部材の厚みを0.5mm〜0.
7mmの範囲内に設定することにより、磁性塗料が塗布
されるベースフィルムを傷つけたり破損したりするのを
防止できると共に、磁性塗料を確実に掻取って掻取り不
良等の不具合の発生を防ぐことができるという効果を得
ることができる。
【図の簡単な説明】
【図1】本発明に係る磁気記録媒体製造装置の一実施例
を示す縦断面図である。
【図2】本発明に係る磁気記録媒体製造装置の一実施例
を示す平面図である。
【図3】本発明に係る磁気記録媒体製造装置のブレード
部材で磁性塗料の掻取り状態を説明するもので、同図A
は磁性塗料の掻取り前、同図Bは磁性塗料の掻取り後の
状態を示すそれぞれ説明図である。
【図4】本発明に係る磁気記録媒体の製造工程の一実施
例を示すもので、同図Aは混練工程、同図Bは分散工
程、同図Cはろ過工程、同図Dはホモジナイザー処理工
程、同図Eは塗布工程、同図Fはカレンダー処理工程、
同図Gは裁断工程、同図Hは組立工程を示す説明図であ
る。
【符号の説明】
10 磁気記録媒体製造装置、 11 ベースフィルム
(非磁性支持体)、12 塗膜、 13 塗料肉盛り
部、 14 ブレードホルダ、 15 ブレード部材、
16 回転部、 17 支持部、 18 ロータリー
アクチュエータ(アクチュエータ)、 19 支持ブラ
ケット、 20 回転リング、 21挟持片、 22
回転スリーブ、 23 蓋体、 24 ブレード取付
部、 25 固定ネジ、 28 取付ネジ、 33 位
置決めリング、 34 円錐凹部、 35 ボールプラ
ンジャ、 36 ボール、 40 ワンウェイクラッ
チ、43 塗料塊

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非磁性支持体上に形成される磁性塗料の
    塗膜又は当該磁性塗料の塗膜を補強するため非磁性支持
    体上に形成される非磁性塗料の塗膜を所定の厚みに掻取
    るための複数枚のブレード部材と、 上記複数枚のブレード部材を一度に支持するブレードホ
    ルダとを設け、 上記ブレードホルダの運動により上記複数枚のブレード
    部材の位置を交換可能としたことを特徴とする磁気記録
    媒体製造装置。
  2. 【請求項2】 上記ブレードホルダは、上記複数枚のブ
    レード部材を同一円周上において等間隔に配置して支持
    する回転部と、この回転部を回転可能に支持する支持部
    とを有し、上記回転部をアクチュエータによって回転駆
    動するようにしたことを特徴とする請求項1記載の磁気
    記録媒体製造装置。
  3. 【請求項3】 上記ブレード部材は、非導電性のプラス
    チックによって形成したことを特徴とする請求項1記載
    の磁気記録媒体製造装置。
  4. 【請求項4】 上記ブレード部材は、厚みが0.5mm
    から0.7mmの範囲内にある薄板であることを特徴と
    する請求項3記載の磁気記録媒体製造装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2008161767A (ja) * 2006-12-27 2008-07-17 Lintec Corp ストライプ塗布装置、ストライプ塗布方法、およびブレード回転機構
JP2008279443A (ja) * 2007-05-08 2008-11-20 Sitma Spa 特に閉じストリップが設けられている封筒のための液状物質を塗布する、改良した装置

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