JP3289409B2 - 磁気記録媒体の製造方法 - Google Patents

磁気記録媒体の製造方法

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JP3289409B2
JP3289409B2 JP14974393A JP14974393A JP3289409B2 JP 3289409 B2 JP3289409 B2 JP 3289409B2 JP 14974393 A JP14974393 A JP 14974393A JP 14974393 A JP14974393 A JP 14974393A JP 3289409 B2 JP3289409 B2 JP 3289409B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、磁性塗膜,非磁性塗膜
をダイレクトグラビア塗布方式で形成する磁気記録媒体
の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、オーディオテープやビデオテー
プは、ポリエステルフィルム等の非磁性支持体上に強磁
性粉末や結合剤,分散剤,潤滑剤等を有機溶媒に分散混
練してなる磁性塗料を塗布することにより磁性層が形成
されている。さらに、磁気テープの巻き乱れ防止や表面
性,走行性,耐久性等の向上のために、上記非磁性支持
体の前記磁性層を設けていない裏面側にバックコート塗
料を塗布することにより形成されるバックコート層を設
けることが広く行われている。
【0003】ところで、これら磁性塗料を非磁性支持体
上に塗布するには、これまで例えばダイレクトグラビア
塗布方式、リバースロール塗布方式、ダイ塗布方式(エ
クストルージョン方式)等があるが、なかでも高速性、
操作性に優れ、管理が容易で且つ安価であるという観点
よりダイレクトグラビア塗布方式が多用されている。
【0004】ダイレクトグラビア塗布方式は、表面にセ
ルパターンが刻設されたグラビアロールと、非磁性支持
体を上記グラビアロールに圧着させるバックアップロー
ルとからなる塗布装置を用いて、非磁性支持体上に液状
の塗料を転写させる方式である。すなわち、この装置を
用いて磁性塗料を非磁性支持体上に塗布させるには、例
えばグラビアロールと該グラビアロールと接触して設け
られたファニッシャーロールの接触部に塗料を供給し、
この供給された塗料をグラビアロールとファニッシャー
ロールの接触によってセル内に一定量で充填させる。そ
して、セル内に塗料が充填されたグラビアロールに非磁
性支持体を接触させるとともに弾性体よりなるバックア
ップロールで上記非磁性支持体をグラビアロールに圧着
せしめ、これらロールを同期させて回転させることによ
りセル内に充填された塗料を非磁性支持体上に転写させ
ることにより塗料が塗布される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、このように
して非磁性支持体に塗料が転写されるところのクラビア
ロールとバックアップロールの圧着部では、転写に関与
しない余剰塗料(後ビート)が非磁性支持体の迎え入れ
側に押し出される。一方、転写に関与する塗料は非磁性
支持体の送り出し側にメニスカス膜(前ビート)を形成
している。このメニスカス膜は、非磁性支持体の走行と
グラビアロールの回転によって非磁性支持体側とグラビ
アロール側とに分裂し、非磁性支持体側に分裂したメニ
スカス膜が非磁性支持体上に転写される。
【0006】ところが、このメニスカス膜が非磁性支持
体側とグラビアロール側とに分裂するに際しては、塗料
が飛散して塗料ミストが発生し、磁性塗膜表面やグラビ
アロールのセル内に付着することがある。磁性塗膜表面
に付着した塗料ミストは、製造された磁気記録媒体の磁
性層上に塗料異物として残存し、記録再生に際してドロ
ップアウトの原因になり、記録再生に悪影響を及ぼす。
また、グラビアロールのセル内に付着した塗料ミスト
は、セルの目詰まりの原因となり、塗膜の塗りムラを引
き起こす。
【0007】そこで、従来、ダイレクトグラビア塗布方
式では、このような不都合を引き起こす塗料ミストの発
生を抑えることを目的として、非磁性支持体の走行速
度、ロールの圧着状態,メニスカス膜の大きさの制御が
試みられている。
【0008】すなわち、メニスカス膜の分裂比や分裂の
大きさ、塗料ミストの飛散量は、グラビアロールとバッ
クアップロールあるいはグラビアロールとファニッシャ
ーロールの圧着圧力,圧着状態の善し悪し、非磁性支持
体の走行速度,メニスカス膜の大きさに依存して変化す
る。
【0009】このうち非磁性支持体の走行速度による塗
料ミストの飛散量の変化は比較的単純であり、非磁性支
持体の走行速度を低減させるとメニスカス膜の分裂の大
きさは小さくなり、塗料ミストの飛散量も減少する。
【0010】したがって、塗料ミストの飛散量を減少さ
せるには、非磁性支持体の走行速度を低減させることが
先ず考えられる。しかし、非磁性支持体の走行速度を低
減させることは、生産性を低下させることから好ましく
なく、このため、非磁性支持体の走行速度はできるだけ
高速にするようにしてロールの圧着状態、メニスカス膜
の大きさを制御することによって塗料ミストの飛散量を
低減させる方が望ましいと言える。
【0011】しかしながら、ロール同士の圧着圧力,圧
着状態による塗料ミストの制御は、非常に微妙であり、
また一定に保つことが難しく持続性がないことから、や
はり同時に塗布速度を250m/分程度に下げなければ
ならない。
【0012】一方、メニスカス膜の大きさを小さくする
ことによって塗料ミストの飛散量を低減させようとする
と、塗料ミストの飛散量をある程度までは低減できるも
のの、それ以上にメニスカス膜を小さくすると塗料が転
写されない目飛びが著しく発生し、塗膜に塗りムラが生
じるようになる。さらに、メニスカス膜の分裂度合いが
乱れ、塗料ミストの飛散も減少するどころかさらに激し
さを増し目的と相反する現象が確認されるようになる。
【0013】そこで、本発明はこのような従来の実情に
鑑みて提案されたものであり、非磁性支持体上に磁性塗
膜,非磁性塗膜を形成するに際して、塗布速度を高速に
した場合でも塗料ミストが塗膜表面,グラビアロール表
面に付着せず、ドロップアウトの発生頻度の低い磁気記
録媒体が効率良く製造できる磁気記録媒体の製造方法を
提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するた
めに、本発明の磁気記録媒体の製造方法は、回転するグ
ラビアロールの表面に設けられたセル内に塗料を供給
し、グラビアロールと該グラビアロールに圧接するバッ
クアップロール間を連続走行する非磁性支持体上に塗料
を転写するに際し、グラビアロールとバックアップロー
ルの圧接部近傍のうち非磁性支持体の送り出し側であっ
てグラビアロールと非磁性支持体とによって形成される
くさび状の空間に設けられた補集板によって、該圧接部
より飛散する飛散塗料を補集することを特徴とするもの
である。
【0015】また、補集板は、板状体を折り曲げてなる
折り曲げ板であることを特徴とするものである。さら
に、折り曲げ板の折り曲げ部の曲率半径が3〜5mmで
あることを特徴とするものである。さらに、補集板が磁
気シートにより被覆されていることを特徴とするもので
ある。
【0016】さらに、補集板が高分子フィルムにより被
覆されていることを特徴とするものである。
【0017】
【作用】非磁性支持体上にダイレクトグラビア塗布方式
を用いて磁性塗料、非磁性塗膜を形成して磁気記録媒体
を作製するに際して、グラビアロールとバックアップロ
ールの圧接部近傍のうち非磁性支持体の送り出し側であ
ってグラビアロールと非磁性支持体とによって形成され
るくさび状の空間に飛散塗料を補集する補集板を設ける
と、この補集板によって圧接部に形成されるメニスカス
膜より飛散する塗料ミストが塗膜表面,グラビアロール
表面に移行する前に未然に補集される。したがって、塗
膜表面への塗料ミストの付着、グラビアロールの塗料ミ
ストによる目詰まりが防止され、塗りムラのない良好な
表面性の磁性層が形成される。これにより、塗料ミスト
の発生そのものを防止するためのロール同士の圧着状態
や圧着圧力、メニスカス膜の大きさの微妙な調整、塗布
速度の低速化が不要となり、ドロップアウトの発生頻度
の低い磁気記録媒体が簡易な制御操作で効率良く製造さ
れる。
【0018】
【実施例】本発明の具体的な実施例について図面を参照
しながら説明する。
【0019】本実施例において非磁性支持体上に塗布す
るのは磁性塗料,バックコート塗料等の非磁性塗料であ
る。
【0020】例えば前者の場合、非磁性支持体上に、磁
性粉、結合剤、溶媒等よりなる液状の磁性塗料を塗布し
て磁性塗膜を形成する。なお、磁性塗料に使用する磁性
粉、結合剤、溶媒としては、通常、塗布型磁気記録媒体
において磁性塗料の材料として使用されているものであ
ればいずれを使用しても差し支えなく、たとえば磁性粉
としてγ−Fe2 3 等の酸化物磁性粉末やFe,Co
等の金属系磁性粉末、結合剤としてはポリ塩化ビニル系
共重合体、ポリウレタン系樹脂等、溶媒としてはメチル
エチルケトン,トルエン,シクロヘキサノン等が挙げら
れる。また、上記磁性塗料には、滑剤,研磨剤,分散剤
等が添加されていてもよい。
【0021】後者の場合には、カーボンブラック,結合
剤,溶媒等よりなるバックコート塗料を前記磁性塗料と
は反対側の面に塗布してバックコート層を形成する。な
お、結合剤,溶媒としては磁性塗料に使用されるものが
いずれも使用可能である。
【0022】上記塗料を塗布するには、たとえば図1に
示す塗布装置が使用される。
【0023】上記塗布装置は、表面にセルパターンが刻
設されたグラビアロール1と非磁性支持体2を上記グラ
ビアロール1に圧着させるバックアップロール3と、該
グラビアロール1の表面に設けられるセル4内に一定量
の塗料を供給するためのファニッシャーロール5とから
なっている。
【0024】上記グラビアロール1は、セル4内に充填
された塗料を、非磁性支持体2上に転写させるものであ
る。このグラビアロール1は、比較的硬度の低いFe等
よりなる円筒状のロールからなっており、外周面には、
上記セル4がたとえば四角錘型の凹部として多数刻設さ
れている。
【0025】上記バックアップロール3は、ポリエステ
ルフィルム等の長尺状の非磁性支持体2を上記グラビア
ロール1の表面に圧着させて当該グラビアロール1に設
けられるセル4内に充填される塗料を該非磁性支持体2
上に良好に転写させるためのもので、例えばゴム等の弾
性ロールからなっている。したがって、このロールの弾
性力によって上記非磁性支持体2がグラビアロール1表
面のセル4と密着し、セル4内に充填される塗料がこの
非磁性支持体2に良好に転写せしめられる。なお、上記
バックアップロール1は、上記グラビアロール1と対向
して設けられ、当該グラビアロール1と同期して非磁性
支持体4を図中矢印X方向に送り出すようになってい
る。
【0026】上記ファニッシャーロール5は、上記グラ
ビアロール1の表面に設けられたセル4内に一定量の塗
料を充填するためのもので、やはりゴム等の弾性ロール
からなっている。このファニッシャーロール5は、グラ
ビアロール1と接触して設けられ、塗料6がこのファニ
ッシャーロール5とグラビアロール1が接触することに
よって形成されるくさび状の空間にノズル7にて供給さ
れるようになされている。このくさび状の空間に供給さ
れた塗料6は、回転するグラビアロール1表面に設けら
れた各セル4内に順次移行し、ファニッシャーロール5
との接触によってセル内に一定量充填される。
【0027】また、上記塗布装置においては、転写され
た塗膜17を平滑化するための平滑装置8が上記グラビ
アロール1の下流側に設けられており、これによりグラ
ビアロール1のセルパターンで転写された塗料の凹凸が
均され、平滑な磁性塗膜が形成されるようになってい
る。なお、上記平滑装置8としては可撓性フィルム等よ
りなるフィルムスムーサタイプのもの、あるいは、円筒
状の剛性材料よりなるバースムーサタイプのものであっ
てもいずれでもよい。
【0028】ぞして、さらに上記塗布装置には、グラビ
アロール1とバックアップロール3の圧接部近傍であっ
て、非磁性支持体2の送り出し側の非磁性支持体2とグ
ラビアロール1によって形成されるくさび状の空間に、
非磁性支持体2へ塗料が転写されるに際して発生する塗
料ミストを補集するための補集装置9が設けられてい
る。
【0029】すなわち、このような塗布装置では、図2
に示すように、非磁性支持体2に塗料が転写されるとこ
ろのクラビアロール1とバックアップロール3の圧接部
では、セル4内に充填された塗料が非磁性支持体2の送
り出し側にメニスカス膜10を形成し、このメニスカス
膜10が非磁性支持体2の走行とグラビアロール1の回
転によって非磁性支持体2側とグラビアロール1側とに
分裂し、非磁性支持体2側に分裂したメニスカス膜10
が非磁性支持体2上に転写され、塗膜17が形成され
る。
【0030】ところが、このメニスカス膜10が非磁性
支持体2側とグラビアロール1側とに分裂するに際して
は、塗料が飛散して塗料ミスト11が発生する。この塗
料ミスト11は塗膜に付着して塗料異物として残存し、
ドロップアウトの発生因子となったり、グラビアロール
1のセル4内に付着して目詰まりを引き起こし塗りムラ
を発生させる。
【0031】上記補集装置9は、このようなメニスカス
膜10の分裂に際して発生する塗料ミスト11を塗膜1
7表面,グラビアロール1へ移行する前に未然に補集す
るためのものであり、これにより塗膜17表面,グラビ
アロール1表面への塗料ミストの付着が防止され塗りム
ラのない良好な表面性を持った磁性層,非磁性層が形成
されるようになる。また、これにより塗料ミストの発生
そのものを防止するためのロール1,3,5同士の圧着
状態及びメニスカス膜量の微妙な調整、塗布速度の低速
化が不要となるので、ドロップアウトの発生頻度の低い
磁気記録媒体が簡易な制御操作で効率良く製造すること
が可能となる。
【0032】上記補集装置9には、たとえば幅がグラビ
アロールの幅と略同一となされたステンレス等よりなる
板状の補集板が用いられる。このような補集板を、幅方
向がグラビアロール1の回転軸方向と平行となるように
してメニスカス膜10に出来る限り近づくように設ける
と、メニスカス膜10から飛散する塗料ミスト11は塗
膜17表面,グラビアロール1表面へ移行する前に補集
板のメニスカス膜と対向する一側縁近傍に付着して補集
される。
【0033】ここで、補集板としては、板状体が幅方向
に折り曲げられてなる折り曲げ板であっても良い。この
ような折り曲げ板の折り曲げ部をメニスカス膜側となる
ように設けると、折り曲げ部では厚みが厚く表面積が広
くなっているのでメニスカス膜から飛散する塗料ミスト
がより効率良く付着し、補集される。なお、塗料ミスト
の付着に適した折り曲げ部の曲率半径は3〜5mmであ
る。
【0034】また、このとき塗布する塗料が磁性塗料で
ある場合には、補集板の表面に磁気シートを被覆するよ
うにすると良い。磁気を帯びた塗料ミストは該磁気シー
トの磁力によって引きつけられ、補集板に効果的に付着
するようになる。
【0035】上記補集板は、例えば図3に示すように補
集板13と略同一寸法となされた枠体14上に固定さ
れ、支持枠体14ごと所定の位置に配置された一対の支
持台15a,15bに支持されることによって補集装置
9として機能する。
【0036】すなわち、補集板13が固定される支持枠
体14は、補集板13と略同一寸法に枠組された補集板
固定部14aと、上記補集板固定部14aのメニスカス
膜10側の一側辺の枠組より延在し、中途部でカギ状に
折れ曲がることで形成された支持部14bよりなる。一
方、このような支持枠体14を支持する一対の支持台1
5a,15bは直方体形状の立ち上がり壁として互いに
対向して配置され、その対向面に略直方体形状のブロッ
ク16a,16bが突設されている。この略直方体形状
のブロック16a,16bには、上記支持枠体14の支
持部14bがスライドするスライド部17a,17bが
上記支持枠体14の支持部14bがスライドするに足る
寸法の溝としてグラビアロール1の回転軸と略直交する
方向に沿って形成されている。なお、このスライド部1
7a,17bはグラビアロール1側の端部が壁面とされ
ており、グラビアロール1とは反対側の端部が開放とな
されており、この開放となされたグラビアロール1とは
反対側から支持枠体14の支持部14bが挿入され、グ
ラビアロール1側の壁面に当たることによって位置固定
される。
【0037】したがって、この補集装置9では、補集板
13を支持枠体14の補集板固定部14aに固定し、こ
の補集板13が固定された支持枠体14の支持部14b
を上記支持台15a,15bのスライド部17a,17
bの開放側から挿入しメニスカス膜側の壁面に当たるま
でスライドさせる。一方、補集板13の塗料ミストによ
る汚染が進行し、交換が必要になった際には、今度は支
持枠体14の支持部14bをグラビアロール1とは反対
側にスライドさせて開放側から取り出すようにする。
【0038】なお、このような塗布装置において、メニ
スカス膜10より飛散する塗料ミスト11は補集板13
のメニスカス膜と対向する一側縁近傍に付着することに
なるが、この塗料ミスト11の付着分布は均一ではなく
特にメニスカス膜10の両端部に対向する領域,すなわ
ち補集板13の両端部から20〜150mmの領域に特
に集中して塗料ミスト11が付着する。したがって、図
4に示すようにこの塗料ミスト11の付着が集中する補
集板13の端部から幅20〜150mmの部分を分割補
集板13aとして分離し、この分割補集板13aの分離
面と該分離面の対向する面に例えばスライド機構を施し
て該分割補集板13bを補集板本体13bに対して取り
付け外し可能に配設すると良い。そして、グラビアロー
ル1の端部に対向する領域の汚染が進行した場合にこの
分割補集板13aのみを交換するようにすれば、補集板
全てを交換する大掛かりな交換作業の頻度を少なくで
き、補集板の洗浄作業も簡易化する。
【0039】あるいは、図5に示すように上記補集板1
3にポリチレンテレフタレート(PET)等の高分子フ
ィルム18を被覆するようにしてもよい。補集板13に
高分子フィルム18を被覆すれば塗料ミスト11は被覆
した高分子フィルム18に付着するようになるので、塗
料ミスト11による汚染が進行し交換が必要になった際
にはこの表面に被覆した高分子フィルム18を取り外し
て廃棄するようにすれば、補集板の洗浄が不要になる。
【0040】次に、実際に上記塗布装置を用いて塗布速
度を200m/分,250m/分,360m/分と変化
させて非磁性支持体2上に磁性塗料を塗布して磁気記録
媒体(実施例媒体1〜実施例媒体3)を作製し、形成さ
れた磁性層表面の塗料異物形成個数、目飛びによる塗布
ムラの発生状態及び記録再生を行ったときのドロップア
ウトの発生数を評価した。その結果を表1に示す。
【0041】なお、ここで非磁性支持体2としてはPE
Tフィルムを用い、磁性塗料としては磁性粉となるCo
被着γ−Fe2 3 ,結合剤となる塩化ビニル系共重合
体ポリウレタン系樹脂及び添加剤となるレシチンがメチ
ルエチルケトン、トルエン、シクロヘキサノンの混合溶
媒に分散されてなるものを用いた。また、比較として補
集装置9が搭載されていない塗布装置を用いること以外
は同様にして磁気記録媒体(比較例媒体1〜比較例媒体
3)を作製し塗料異物の形成状況、塗布ムラ状態及び記
録再生を行った際のドロップアウトの発生数を評価し
た。その結果も表1に併せて示す。
【0042】
【表1】
【0043】なお、表1中、塗料異物形成状態は、塗布
乾燥後の磁性層上に観察された20〜60μm径の塗料
異物の個数によって評価し、○印は塗料異物の形成密度
が10個/0.5m2 以下の場合、△印は10〜30個
/0.5m2 (ドロップアウト品質限度)の場合、×印
は30個/0.5m2 以上の場合をそれぞれ表す。目飛
びによる塗布ムラの発生状態において、○印は目飛びに
よる塗りムラが無い場合、△印は目飛びによる塗りムラ
が1〜2本(品質限度内)である場合、×印はを目飛び
による塗りムラが連続的に見られる場合をそれぞれ表
す。また、ドロップアウトの発生数の測定は、磁性層に
表面処理が施された磁気記録媒体についてビデオ・テー
プ・レコーダ(松下社製,商品名HG−6000)にて
記録再生を行いその際のドロップアウトの発生数をカウ
ンター(ソニー社製,商品名タイプC−II)でカウン
トすることによって行った。
【0044】表1からわかるように、補集装置9が搭載
された塗布装置を用いて作製された実施例媒体1〜実施
例媒体3は、補集装置9が搭載されていない塗布装置を
用いて作製された比較例媒体1〜比較例媒体3のうち塗
布速度を同じに設定したものとそれぞれ比べて、いずれ
も塗料異物の形成,目飛びによる塗りムラが抑えられて
おり、これによりドロップアウトの発生数が少ないもの
となっている。特に、実施例媒体3では、塗布速度が3
60m/分と高速に設定されたにもかかわらず塗料異物
の形成,塗布ムラ状態が品質限度内であり、ドロップア
ウトの発生数が実用範囲内に抑えられている。
【0045】このことから、ダイレクトグラビア塗布方
式において、補集板を用いることは、塗膜表面,グラビ
アロール表面への塗料異物の付着を防止し、塗りムラの
ない良好な表面性を持った塗膜形成を効率良く行う上で
有効であることがわかった。
【0046】
【発明の効果】以上の説明からも明らかなように、本発
明においては、磁気記録媒体をダイレクトグラビア塗布
方式を用いて作製するに際して、グラビアロールとバッ
クアップロールの圧接部近傍のうち非磁性支持体の送り
出し側であってグラビアロールと非磁性支持体とによっ
て形成されるくさび状の空間に設けられた補集板によっ
て、該圧接部より飛散する飛散塗料を補集するので、塗
料ミストの発生そのものを防止するためのロール同士の
圧着状態や圧着圧力及びメニスカス膜の大きさの微妙な
調整、塗布速度の低速化を行わなくとも塗料表面の塗料
異物の形成、グラビアロールの塗料異物による目詰まり
が防止できる。したがって、本発明によれば、ドロップ
アウトの発生頻度の低い磁気記録媒体を簡易な制御操作
で効率良く製造することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した製造方法で用いられる塗布装
置の一構成例を示す模式図である。
【図2】グラビアロールとバックアップロールの圧接部
に形成されるメニスカス膜を示す模式図である。
【図3】塗布装置に設けられる補集装置の一構成例を示
す概略斜視図である。
【図4】塗布装置に設けられる補集装置の他の例を示す
概略平面図である。
【図5】塗布装置に設けられる補集装置のさらに他の例
を示す概略側面図である。
【符号の説明】
1・・・グラビアロール 2・・・非磁性支持体 3・・・バックアップロール 4・・・セル 5・・・ファニッシャーロール 6・・・塗料 7・・・ノズル 8・・・平滑装置 9・・・補集装置 10・・・メニスカス膜 11・・・塗料ミスト 13・・・補集板 14・・・枠体 17・・・塗膜
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B05D 1/28 B05C 1/08 G11B 5/842

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 回転するグラビアロールの表面に設けら
    れたセル内に塗料を供給し、グラビアロールと該グラビ
    アロールに圧接するバックアップロール間を連続走行す
    る非磁性支持体上に塗料を転写するに際し、 グラビアロールとバックアップロールの圧接部近傍のう
    ち非磁性支持体の送り出し側であってグラビアロールと
    非磁性支持体とによって形成されるくさび状の空間に設
    けられた補集板によって、該圧接部より飛散する飛散塗
    料を捕集することを特徴とする磁気記録媒体の製造方
    法。
  2. 【請求項2】 補集板は、板状体を折り曲げてなる折り
    曲げ板であることを特徴とする請求項1記載の磁気記録
    媒体の製造方法。
  3. 【請求項3】 折り曲げ板の折り曲げ部の曲率半径が3
    〜5mmであることを特徴とする請求項2記載の磁気記
    録媒体の製造方法。
  4. 【請求項4】 補集板が磁気シートにより被覆されてい
    ることを特徴とする請求項2記載の磁気記録媒体の製造
    方法。
  5. 【請求項5】 補集板が高分子フィルムにより被覆され
    ていることを特徴とする請求項2または請求項4記載の
    磁気記録媒体の製造方法。
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