JP3321892B2 - 磁気記録媒体の製造方法 - Google Patents

磁気記録媒体の製造方法

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JP3321892B2 JP09425093A JP9425093A JP3321892B2 JP 3321892 B2 JP3321892 B2 JP 3321892B2 JP 09425093 A JP09425093 A JP 09425093A JP 9425093 A JP9425093 A JP 9425093A JP 3321892 B2 JP3321892 B2 JP 3321892B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は磁性塗料等をグラビア塗
布方式で塗布する磁気記録媒体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、オーディオテープやビデオテー
プは、ポリエステルフィルム等の非磁性支持体上に強磁
性粉末や結合剤,分散剤,潤滑剤等を有機溶媒に分散混
練してなる磁性塗料を塗布することにより磁性層が形成
されている。
【0003】これら磁性塗料を非磁性支持体上に塗布す
る方法としては、例えばグラビア塗布方式、リバースロ
ール塗布方式、ダイ塗布方式(エクストルージョン方
式)等があるが、なかでも高速性、操作性、管理が容易
で且つ安価であるという観点よりグラビア方式が多用さ
れている。
【0004】グラビア塗布方式は、表面にセルパターン
が刻設されたグラビアロールと、非磁性支持体を上記グ
ラビアロールに圧着させるバックアップロールとからな
る塗布装置を用いて、非磁性支持体上に液状の塗料を転
写させる方式である。すなわち、この装置を用いて磁性
塗料を非磁性支持体上に塗布させるには、弾性体よりな
るバックアップロールで上記非磁性支持体をグラビアロ
ールに圧着せしめ、これらロールを回転させることによ
りロールの表面に刻設されたセルパターンの隣合うセル
壁間のそれぞれのくぼみ(セル)に塗液パン中の塗料を
ピックアップさせ、そのセル内に充填された塗料を非磁
性支持体上に転写させることにより塗料が塗布される。
【0005】そして、このグラビア塗布装置では、通
常、ドクターブレードが設けられ、このドクターブレー
ドの自由端がグラビアロールの外周面と接触することに
より、ピックアップされた塗料のうち余分な塗料が掻き
取られ、セル内に一定量の塗料が充填されるようになっ
ている。ところが、上記ドクターブレードは、グラビア
ロールの幅が広くなると均一な掻き取りが難しいこと、
グラビアロールとの位置関係によってその掻き取り作用
が異なるので、安定な掻き取り作用を得るのが困難なこ
と等、問題がある。
【0006】しかも、上記ドクターブレードを有する塗
布装置を長期間使用していると、ドクターブレードのグ
ラビアロール表面との摺接部が徐々に傷み、塗膜の膜厚
を不均一にしたり、摺接されるグラビアロールの表面を
削り傷や摩耗を生じさせるようになる。さらに、上記ド
クターブレードやグラビアロールの摩耗による金属粉が
磁性塗料に混入して磁気特性を劣化させることにもな
る。このような不都合を未然に防止するためには、ドク
ターブレードやグラビアロールをかなりの頻度で交換し
なければならず、メンテナンス費用が莫大なものとなっ
てしまう。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】そこで、ドクターブレ
ードによりグラビアロール表面の塗料を掻き取る代わり
に、図2に示すように、グラビアロール1にファニッシ
ャーロール3を圧着させ、該グラビアロール1の回転に
伴ってファニッシャーロール3を回転させ、この接触部
分にノズル11により塗料10を供給することにより、
セル内に塗料10を常にセル体積分だけの量で充填させ
る方法が考えられる。
【0008】このような塗布装置においては、グラビア
ロール1とファニッシャーロール3がそれぞれ矢印a,
b方向に回転すると、上記セル内に一定量の塗料10が
順次充填され、非磁性支持体4との接点において、バッ
クアップロール2によって圧着されることにより上記セ
ル内の塗料10を非磁性支持体4上に転写する。この方
法を適用すると、グラビアロール表面の塗料を掻き取る
必要がないので耐摩耗性等の問題を解消できる。
【0009】しかし、通常グラビアロール1の直径は2
00〜350mmであるのに対し、ファニッシャーロー
ル3の径は小さく、塗布速度(グラビアロールの周速
度)を大きくすると、これと連動するファニッシャーロ
ール3は回転数が大きく増加してしまい、特に直径80
〜160mmなる小径のファニッシャーロール3では、
塗布速度を上げることによって、該ファニッシャーロー
ルの両端から塗料が飛散してしまう。このため、十分な
量の塗料をセル内に充填するためには従来より多くの塗
料を供給する必要があり、生産性を劣化させることにな
る。また、飛散した塗料が形成された塗膜表面に付着し
て、膜厚を不均一にし磁気特性を劣化させる原因にもな
る。
【0010】そこで、本発明はこのような従来の実情に
鑑みて提案されたものであり、塗布装置を構成する部品
の耐久性が確保できるとともに、均一な膜厚の塗膜を生
産性よく形成できる磁気記録媒体の製造方法を提供する
ことを目的とする。
【0011】
【課題を解決するために手段】本発明は上述の目的を達
成するために提案されたものであり、回転するグラビア
ロールと該グラビアロールに接して回転するファニッシ
ャーロールとの間に塗料を供給して、グラビアロール表
面に設けられたセル内に塗料を充填し、該塗料を走行す
る非磁性支持体上に転写する磁気記録媒体の製造方法に
おいて、上記塗料の供給は、上記グラビアロールと上記
ファニッシャーロールとの接触面の両端に高さの異なる
壁を設けて形成される塗料溜りになされ、上記ファニッ
シャーロールの周速度を、上記グラビアロールの周速度
の1/2〜1/10にして、上記塗料溜りの塗料を、上
記グラビアロール表面に設けられたセル内に充填し、該
充填された塗料を走行する非磁性支持体上に転写するこ
とを特徴とするものである。
【0012】上記グラビアロールの周速度に対するファ
ニッシャーロールの周速度が1/2より大きいと塗料跳
ねが緩和されず、非磁性支持体上に付着してドロップア
ウト等の原因となる。また、1/10より小さいと、上
記グラビアロールと上記ファニッシャーロールとの接触
面に設けられた塗料溜りの塗料表面が乾燥してしまい、
このような塗料が非磁性支持体に転写された場合には、
塗りムラ等となって磁気特性にも影響が及ぶこととな
る。
【0013】
【0014】上記壁は、塗料溜りを形成し、塗料の無駄
を低減するとともに、グラビアロールの幅方向に均一に
充填がなされるようにするものである。本発明において
はさらに、2つの壁の高さを異ならせて設置されている
ことが好ましく、これによって塗料溜りの表面を流動さ
せることができるので、塗料溜りの塗料表面の乾燥を防
ぎ、塗りムラ等の発生を防止することとなる。
【0015】上述した本発明を適用して、非磁性支持体
に磁性塗料やバックコート用等の非磁性塗料を塗布する
のであるが、上記非磁性支持体や磁性塗膜を構成する磁
性粉末、樹脂結合剤等は従来公知のものがいずれも使用
可能で、何ら限定されるものではない。例示するなら
ば、非磁性支持体としては、ポリエステル類、ポリオレ
フィン類、セルロース類、ビニル系樹脂、ポリイミド
類、ポリカーボネート類に代表されるような高分子材料
が挙げられ、これをテープ状或いはシート状として用い
ることが好ましい。
【0016】強磁性粉末は、酸化物磁性粉末であっても
金属磁性粉末であってもよい。酸化物磁性粉末として
は、例えば、γ−Fe2 3 ,Co含有γ−Fe
2 3 ,Fe 3 4 ,Co含有Fe3 4 ,Co被着F
3 4 ,CrO2 等が挙げられる。金属磁性粉末とし
ては、Fe,Co,Ni等の強磁性金属材料や、Fe−
Co,Fe−Ni,Fe−Co−Ni,Co−Ni,F
e−Mn−Zn,Fe−Ni−Zn,Fe−Co−Ni
−Cr,Fe−Co−Ni−P,Fe−Co−B,Fe
−Co−Cr−B,Fe−Co−V等のFe,Co,N
iを主成分とする各種強磁性合金材料からなる強磁性金
属粒子が挙げられ、種々の特性を改善する目的でAl,
Si,Ti,Cr,Mn,Cu,Zn,Mg,P等の元
素が添加されても良い。また、バリウムフェライト等の
六方晶系フェライトや窒化鉄等も使用可能である。
【0017】結合剤としては、塩化ビニル、酢酸ビニ
ル、ビニルアルコール、塩化ビニリデン、アクリル酸エ
ステル、メタクリル酸エステル、スチレン、ブタジエ
ン、アクリロニトリル等の重合体、或いはこれら二種以
上を組み合わせた共重合体、ポリウレタン樹脂、ポリエ
ステル樹脂、エポキシ樹脂等が例示される。これら結合
剤に上記強磁性粉末を分散して磁性層を形成する。
【0018】上記磁性塗料の溶剤としては、アセトン,
メチルエチルケトン,メチルイソブチルケトン,シクロ
ヘキサノン等のケトン系、酢酸メチル,酢酸エチル,酢
酸ブチル,乳酸エチル,酢酸グリコールモノエチルエー
テル等のエステル系、グリコールジメチルエーテル,グ
リコールモノエチルエーテル,ジオキサン等のグリコー
ルエーテル系、ベンゼン,トルエン,キシレン等の芳香
族炭化水素、ヘキサン,ヘプタン等の脂肪族炭化水素、
メチレンクロライド,エチレンクロライド,四塩化炭
素,クロロホルム,エチレンクロルヒドリン,ジクロル
ベンゼン等の塩素化炭化水素等が挙げられる。
【0019】さらに上記磁性層には、前記の結合剤、強
磁性粉末の他に添加剤として分散剤、潤滑剤、研磨剤、
帯電防止剤、防錆剤等が加えられても良い。更に、上記
磁気記録媒体には、必要に応じて、バックコート層やト
ップコート層等が形成されても良く、このような層を本
発明を適用して形成してもよい。
【0020】例えば、上記バックコート層は、カーボン
ブラック,結合剤,溶媒等よりなるバックコート塗料を
前記磁性塗料とは反対側の面に塗布して形成するが、結
合剤,溶媒としては磁性塗料に使用されるものがいずれ
も使用可能である。
【0021】また、本発明を基板に塗料を均一に生産性
よく塗布する方法として、磁気記録媒体を製造する以外
の目的で用いることも可能である。
【0022】
【作用】回転するグラビアロールと該グラビアロールに
接して回転するファニッシャーロールとの接触部分に塗
料を供給すると、グラビアロール外周面に設けられたセ
ル内に塗料が一定量で順次充填される。そして、セル内
に塗料が充填されたグラビアロールと該グラビアロール
に圧接するバックアップロールとの間を通って非磁性支
持体を連続走行させると、非磁性支持体上にセル内の塗
料が均一に転写され、塗布ムラのない塗膜が形成され
る。
【0023】このとき、上記ファニッシャーロールをグ
ラビアロールに連動して回転させるのではなく、独立し
た回転駆動装置により任意の周速度をもって回転させる
ようにし、塗布速度を増加させても上記ファニッシャー
ロールの周速度を小さく(グラビアロールの周速度の1
/2〜1/10)設定することにより塗料の飛散が抑制
される。
【0024】さらに、グラビアロールとファニッシャー
ロールとの接触面の両端に壁を設けると、上記接触面に
塗料溜りができ、塗料の無駄が減るため、少ない塗料供
給量で済む。また、グラビアロールの幅方向に均一に充
填がなされるようになる。
【0025】
【実施例】本発明の好適な実施例について図面を参照し
ながら説明する。
【0026】先ず、本発明において、非磁性支持体上に
磁性塗料やバックコート塗料等を塗布するための塗布装
置について説明する。
【0027】この塗布装置は、図1に示されるように、
表面にセルパターンが刻設されたグラビアロール1、非
磁性支持体4を上記グラビアロール1に圧着させるバッ
クアップロール2、該グラビアロール1の表面に設けら
れるセル内に一定量の塗料を供給するためのファニッシ
ャーロール3、前記グラビアロール1とファニッシャー
ロール3との接触面の両端部に設けられる壁5からなっ
ている。
【0028】上記グラビアロール1は、セル内に充填さ
れた塗料を、非磁性支持体4上に転写させるものであ
る。このグラビアロール1は、比較的硬度の低いFe等
よりなる円筒状のロールからなっており、外周面には、
上記セルがたとえば四角錘型の凹部として多数刻設され
ている。
【0029】上記バックアップロール2は、ポリエステ
ルフィルム等の長尺状の非磁性支持体4を上記グラビア
ロール1の表面に圧着させて、当該グラビアロール1に
設けられるセル内に充填される塗料を該非磁性支持体4
上に良好に転写させるためのもので、例えばゴム等の弾
性ロールからなっている。
【0030】したがって、このロールの弾性力によって
上記非磁性支持体4がグラビアロール1表面のセルと密
着し、セル内に充填される塗料がこの非磁性支持体4に
良好に転写せしめられる。なお、上記バックアップロー
ル2は、上記グラビアロール1と対向して設けられ、当
該グラビアロール1の回転に伴って同じ周速度で回転す
ることにより、非磁性支持体4を図中矢印X方向に送り
出すようになっている。
【0031】さらに、上記塗布装置においては、上記グ
ラビアロール1の表面に設けられたセル内に一定量の塗
料を充填するためのファニッシャーロール3がグラビア
ロール1に接する位置に設けられている。そして、それ
ぞれ回転するグラビアロール1とファニッシャーロール
3との接触面に対してノズル11より塗料10を供給す
ることにより、上記接触面が形成するくさび状の空間に
貯められた塗料10をグラビアロール1のセル内に順次
充填させるようになっている。
【0032】ここで、ファニッシャーロール3がなけれ
ば、セルには塗料の表面張力等によりセルの体積以上に
塗料が供給されてしまうが、塗料10供給部においてフ
ァニッシャーロール3をグラビアロール1に接して設け
ることにより、ファニッシャーロール3と接触したセル
内には該セルの体積分だけしか塗料10を充填できなく
なる。したがって、ドクターブレード等による掻き取り
をすることなく、一定量の塗料10をセル内に充填させ
ることが可能となる。
【0033】このとき上記ファニッシャーロール3は、
回転駆動装置を併設してグラビアロール1の回転方向
(図中、a方向)に対して正方向(図中、b方向)に任
意の周速差を持って回転するようになっている。本実施
例においてはグラビアロールの周速度に対して1/2〜
1/10の速度に制限されている。
【0034】上記くさび状の空間の塗料溜りに維持され
た塗料10はその粘度等によって移動性が異なり、塗料
10の粘度が高過ぎたり、低過ぎたりすると筋ムラ等が
生じるが、ファニッシャーロール3の周速度を調整しグ
ラビアロール1の周速度の1/2〜1/10に制限する
ことにより、塗料10の移動性が調節でき、このような
塗料10の粘度に起因する筋ムラ等を抑えることができ
る。また、ファニッシャーロール3を上記範囲の周速度
に制御することにより、グラビアロール1の周速を高速
とした場合に生じる塗料10の飛散も防止され、限界成
膜速度を高めることが可能となる。
【0035】しかも、ファニッシャーロール3を使用す
る方式の場合、常に新しい塗料10をセル内に供給する
こととなるので、形成される塗膜の特性も常に良好なも
のとすることができる。
【0036】ファニッシャーロール3を使用する方式に
おいて、セルへ充填する塗料10の量を精密に一定化
し、塗布ムラのない均一な膜厚を有する塗膜を形成する
には、ファニッシャーロール3の表面硬度や表面粗度が
適切に規制されていることが好ましい。また、上記ファ
ニッシャーロール3は、回転駆動させることを考慮する
と、回転軸に対して摺接した場合でも、摩擦,摩耗が生
じないことが望ましい。また、磁性塗料に含有される溶
媒に対して耐溶剤性を有する材料よりなることが必要で
ある。
【0037】また、上記塗布装置において、上記グラビ
アロール1とファニッシャーロール3との接触面の両端
部には壁5が設けられている。これにより、ノズル11
より供給された塗料10は、ファニッシャーロール3と
グラビアロール1との接触面と上記壁5によって囲まれ
たくさび状の空間に塗料溜りを形成する。このため、グ
ラビアロール1の幅方向に亘って均一に塗料10を供給
することができるとともに、セル内に入り込むことなく
流れ落ちてしまう塗料10の量を減らし塗料供給量を低
減できる。
【0038】また、上記壁5はその高さを異ならせてあ
る。この塗料溜りに供給された塗料10の液面が低い方
の壁の高さを超えると、この低い方の壁を超えて塗料1
0が流れ出すので、塗料溜りに貯えられる塗料10の表
面を流動させることになる。これにより、粘性の高い塗
料であっても、表面を乾燥させてしまうことがないた
め、常に均一な粘度の塗料を非磁性支持体に対して供給
することができる。特に3000cps以上の粘性を有
する塗料を用いる場合や、塗布速度が極度に遅い場合に
は有効である。
【0039】なお、このように壁5を設けても、上述し
たようにファニッシャーロール3の回転数を小さく抑え
ることができなければ、塗布速度を上げることにより塗
料溜りに貯められた塗料が踊ってしまい、非磁性支持体
に付着してドロップアウトを引き起こしてしまうことが
あるので、速い塗布速度で塗布を行うときには、前述し
たようにファニッシャーロール3の周速度を制限して塗
料10の移動性を調節することが必要である。
【0040】そして、上記ノズル11より供給され上記
塗料溜りに貯められた塗料10は、グラビアロール1と
ファニッシャーロール3が回転することにより、このグ
ラビアロール1の外周面に設けられたセル内に一定量で
順次充填される。そして、グラビアロール1とバックア
ップロール2との間を通って連続走行する非磁性支持体
4上に上記セル内の塗料10が均一に転写される。
【0041】また、上記塗布装置においては、転写され
た磁性塗膜を平滑化するための平滑装置が上記グラビア
ロール1の下流側に設けられていてもよい。これにより
グラビアロール1のセルパターンで転写された塗料の凹
凸が均され、平滑な磁性塗膜が形成される。
【0042】以上のような塗布装置は、磁気記録媒体の
製造工程において、磁性塗料を非磁性支持体に対して塗
布するのに用いて好適であるが、バックコート用の塗料
を塗布したり、磁気記録媒体の製造以外の目的に用いる
ことも可能である。
【0043】本実施例においては、このような構成の塗
布装置にて非磁性支持体上に、先ず、磁性塗料を塗布,
乾燥して磁性層を形成し、次いで、非磁性支持体の上記
磁性層側とは反対の面にバックコート塗料を塗布,乾燥
して磁気記録媒体を製造した。
【0044】このようにして製造される磁気記録媒体
は、磁性層,バックコート層が共に塗布ムラがなく、均
一な膜厚で形成されるとともに、磁性層,バックコート
層の形成に使用される上記塗布装置は、長期間使用によ
っても、構成部品がほとんど摩耗せず、高い耐久性を有
する。
【0045】以下に、上述の塗布装置を使用することに
よる効果を確認するために、グラビアロール1とファニ
ッシャーロール3の周速度、及び壁5の有無を変化させ
て磁性塗料の塗布を行い、塗布状態等の観察を行った結
果を示す。
【0046】なお、被塗布体である非磁性支持体4には
ポリエチレンテレフタレートを用い、塗料10には、磁
性粉としてCo被着γ−Fe2 3 、結合剤として塩化
ビニル系共重合体,ポリウレタン系樹脂、溶媒としてメ
チルエチルケトン,トルエン,シクロヘキサノンを使用
し、レシチン等の添加剤を添加してなる磁性塗料を使用
した。また、一部高粘性を得るためにメタル磁性粉も使
用した。
【0047】そして、種々の条件による塗布において、
グラビアロール上の塗料のウネリ状態,塗料の飛散状
態,セル内への塗料の充填状態、さらに、形成された塗
膜の塗布状態について調べた。グラビアロール上の塗料
のウネリ状態,塗料の飛散状態,セル内への塗料の充填
状態、さらに形成された塗膜の塗布状態は、良好である
場合を○、実用限度である場合を△,実用上問題がある
場合を×として評価した。
【0048】表1には、上述した塗布装置において、壁
5(ダム)を有さないものを用い、グラビアロール1と
ファニッシャーロール3の周速度を変化させて塗布を行
った結果を示し、表2には壁5(ダム)を有す塗布装置
において、グラビアロール1とファニッシャーロール3
の周速度を変化させて塗布を行った結果を示す。
【0049】
【表1】
【0050】
【表2】
【0051】なお、表1及び表2中、ファニッシャーロ
ールの周速度は、グラビアロールの周速度に対する比で
示しており、塗料のウネリ状態,塗料の飛散状態,セル
内への塗料の充填状態の評価結果を「飛散状態」で示
し、形成された塗膜の塗布状態の評価結果を「塗布状
態」で示している。
【0052】表1より、壁5を有しておらず、且つ、フ
ァニッシャーロール3の周速度がグラビアロール1の周
速度に対して1/2以上の速さを有する場合(比較例1
〜5)は、磁性塗料の塗布に際して、グラビアロール上
の塗料にウネリが生じたり、セル内への塗料の充填が不
十分であったり、塗料が飛散したりして、形成された塗
膜も均一な膜厚のものではないことがわかる。特に塗布
速度(すなわちグラビアロール1の周速度)が速くなる
ほど、磁性塗料が飛散し、形成された塗膜の質も劣化し
てしまう。
【0053】これに対して、壁5を有していなくとも、
ファニッシャーロール3の周速度がグラビアロール1の
周速度に対して1/2〜1/10である場合(実施例1
〜5)は、磁性塗料の塗布に際して、グラビアロール上
に塗料のウネリが生じることがなく、セル内へ塗料が一
定量で充填され、塗料の飛散も抑えられ、形成された塗
膜も塗布ムラ等がなく均一な膜厚で形成されている。
【0054】また、表2より、壁5を有していても、フ
ァニッシャーロール3の周速度がグラビアロール1の周
速度の1/2より大きいと(比較例9〜11)、塗料溜
りの磁性塗料が踊って飛散してしまうため、形成された
塗膜表面に付着する等、塗膜の質も劣化することがわか
る。逆にファニッシャーロール3の周速度がグラビアロ
ール1の周速度の1/10より小さいと(比較例6〜
8)、塗料溜りの塗料表面が乾燥してしまうので、塗膜
にムラができてしまう。
【0055】これに対して、壁5を有しており、且つ、
ファニッシャーロール3の周速度がグラビアロール1の
周速度の1/2〜1/10に設定される(実施例6〜1
2)と、磁性塗料が飛散することなくセル内へ均一に充
填されるため、形成された塗膜も均一なものとなる。
【0056】特に、グラビアロール1の周速度すなわち
塗布速度を350〜400m/minといった高速にし
ても、良好な塗膜が形成でき、これは、塗液パン中から
塗料をピックアップする方式では高速塗布の限界が25
0m/min程度であったことと比較すると著しい向上
である。
【0057】実施例7,8,12においては、壁5を両
端で高さが異なるものを用いたので塗料溜り中の塗料表
面の流動性が保たれた。例えば、実施例7のように塗布
速度が遅く、ファニッシャーロール3の周速度がさらに
遅い場合においても、塗料が乾燥してしまうことがなか
った。
【0058】以上のように、壁5を有している、又は、
ファニッシャーロール3の周速度がグラビアロール1の
周速度の1/2〜1/10に設定される装置によって磁
性塗料を塗布する磁気記録媒体の製造方法は、均一な膜
厚を有する磁性層を形成する上で有効であることがわか
った。また、高速成膜が可能となることもわかった。
【0059】
【発明の効果】以上の説明からも明らかなように、本発
明の製造方法を適用すると、塗布速度を増加させても塗
料の飛散が抑えられ、幅広い粘性の塗料が均一塗布でき
る。また、少ない塗料供給量で済むとともに高速塗布が
可能であり、塗布装置の耐久性にも優れている。さら
に、塗料溜りの表面を流動させることができるので、塗
料溜りの塗料表面の乾燥を防ぎ、塗りムラ等の発生を防
止できる。
【0060】したがって、高品質な磁気記録媒体を生産
性よく製造することが可能な磁気記録媒体の製造方法を
提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の磁気記録媒体の製造方法に用いられる
塗布装置の一構成例を示す模式図である。
【図2】従来型の塗布装置の一構成例を示す模式図であ
る。
【符号の説明】
1・・・グラビアロール 2・・・バックアップロール 3・・・ファニッシャーロール 4・・・非磁性支持体 5・・・壁
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭62−34667(JP,A) 特開 平3−161599(JP,A) 特開 昭61−99272(JP,A) 特開 昭58−199065(JP,A) 実開 昭61−75871(JP,U) 実開 昭60−86600(JP,U) 実開 昭55−159765(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G11B 5/84 - 5/858 B05D 1/28 B05C 1/00 - 3/20

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】回転するグラビアロールと該グラビアロー
    ルに接して回転するファニッシャーロールとの間に塗料
    を供給して、グラビアロール表面に設けられたセル内に
    塗料を充填し、該塗料を走行する非磁性支持体上に転写
    する磁気記録媒体の製造方法において、上記塗料の供給は、上記グラビアロールと上記ファニッ
    シャーロールとの接触面の両端に高さの異なる壁を設け
    て形成される塗料溜りになされ、上記ファニッシャーロ
    ールの周速度を、上記グラビアロールの周速度の1/2
    〜1/10にして、上記塗料溜りの塗料を、上記グラビ
    アロール表面に設けられたセル内に充填し、該充填され
    た塗料を走行する非磁性支持体上に転写する ことを特徴
    とする磁気記録媒体の製造方法。
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