JP2001051405A - 感光性平版印刷版の製造方法 - Google Patents

感光性平版印刷版の製造方法

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JP2001051405A
JP2001051405A JP11226198A JP22619899A JP2001051405A JP 2001051405 A JP2001051405 A JP 2001051405A JP 11226198 A JP11226198 A JP 11226198A JP 22619899 A JP22619899 A JP 22619899A JP 2001051405 A JP2001051405 A JP 2001051405A
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liquid
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photosensitive lithographic
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JP11226198A
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Toru Onogawa
徹 小野川
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Fuji Photo Film Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】マットが付与された感光性平版印刷版が製造さ
れてから使用されるまでの過程において、前記感光性平
版印刷版のマット付与面に圧力が加わった場合でも、マ
ット本来の機能である真空密着時間の短縮効果が著しく
劣化することを防止する感光性平版印刷版を簡単に製造
することができる感光性平版印刷版の製造方法を提供す
る。 【解決手段】回転ベル7’及び7’’のそれぞれのコー
ン状内周面のマット液放出端の長さ1mm当たりのマッ
ト液の流量を0.130〜0.636cc/分にしてマ
ット液を霧化して得た微粒化したマット液を、感光層を
片側に有する感光性平版印刷版前駆体1の前記感光層に
概略同時に付着させ乾燥させて感光性平版印刷版を得
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、微小突起であるマ
ットを有する感光性平版印刷版の製造方法及びその製造
方法により得られた感光性平版印刷版に関する。
【0002】
【従来の技術】記録材料のマット化方法に関する特開昭
58−137469号公報には、形成するマットの分布
量(分布個数)、高さ、及び大きさ(径)について記載
されている。また、微小パターンを設けた感光性平版印
刷版に関する特開平10−133383号公報には、設
ける微小パターンの平均直径、高さ、及び分布量(分布
個数)について記載されている。
【0003】また、感光性平版印刷版のマットは、一般
的に、マットとして用いることができる樹脂を溶媒に分
散させた(溶解させた場合を含む)マット液を回転霧化
装置により霧化して微粒子とし、前記マット液の微粒子
を感光性平版印刷版前駆体の表面に付着させ乾燥させて
形成する。なお、回転霧化装置としては、液体塗料を霧
化させて塗装を行うものではあるが、ベル形状の霧化部
材の先端部の内周面の外端縁部に多数の凹溝を設けた回
転霧化装置が特開昭53−97042号公報に記載さ
れ、また、ベル形状の霧化部材の先端部の内周面の外端
縁部に多数の突起を設けた回転霧化装置が特開平3−8
0957号公報に記載されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記従来技術によりマ
ットが付与された感光性平版印刷版のマット付与面に
は、製造されてから使用されるまでの過程(例えば、保
管、梱包、配送時等)において圧力が加わるので、マッ
トの高さが変化してしまい、マット本来の機能である真
空密着時間の短縮効果が著しく劣化するという問題点が
あった。
【0005】本発明の第1の目的は、マットが付与され
た感光性平版印刷版が製造されてから使用されるまでの
過程において、前記感光性平版印刷版のマット付与面に
圧力が加わった場合でも、マット本来の機能である真空
密着時間の短縮効果が著しく劣化することを防止する感
光性平版印刷版を簡単に製造することができる感光性平
版印刷版の製造方法を提供することである。また、本発
明の第2の目的は、前記製造方法により製造された感光
性平版印刷版を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の第1の視点によ
れば、複数の回転霧化装置からマット液の微粒子を放出
しマット液の微粒子を感光性平版印刷版前駆体に付着さ
せてマットを形成するマット形成工程を少なくとも有す
る感光性平版印刷版の製造方法であって、前記複数の回
転霧化装置の各々として、コーン状内周面を有し回転駆
動されるマット液霧化部材を備え、供給されたマット液
が回転に基づく遠心力により前記コーン状内周面に沿っ
てその外端縁部に導かれマット液放出端から放出されて
霧化される形式の回転霧化装置を用い、各々の回転霧化
装置におけるコーン状内周面の周方向のマット液放出端
の長さ1mm当たりのマット液流量を0.130〜0.
636cc/分にする感光性平版印刷版の製造方法によ
り上記目的を達成することができる。
【0007】また、本発明の第2の視点によれば、複数
の回転霧化装置からマット液の微粒子を放出しマット液
の微粒子を感光性平版印刷版前駆体に付着させてマット
を形成するマット形成工程を少なくとも有する感光性平
版印刷版の製造方法であって、前記複数の回転霧化装置
の各々として、コーン状内周面を有し回転駆動されるマ
ット液霧化部材を備え、供給されたマット液が回転に基
づく遠心力により前記コーン状内周面に沿ってその外端
縁部に導かれマット液放出端から放出されて霧化される
形式の回転霧化装置を用い、各々の回転霧化装置におい
て、コーン状内周面の周方向のマット液放出端の全長を
L(mm)、供給するマット液流量をR(cc/分)と
した時のR/Lが、0.130≦R/L≦0.636の
関係を満たす感光性平版印刷版の製造方法により上記目
的を達成することができる。
【0008】上記各々の感光性平版印刷版の製造方法に
おける前記マット形成工程では、未乾燥のマット液の微
粒子を付着させた感光性平版印刷版前駆体に、前記未乾
燥のマット液の微粒子を放出した回転霧化装置とは別の
少なくとも一の回転霧化装置から放出させたマット液の
微粒子を付着させる工程を含むことができ、また、前記
複数の回転霧化装置のうちの少なくとも2台の回転霧化
装置から放出されたマット液の微粒子を感光性平版印刷
版前駆体に概略同時に付着させる工程を含むことがで
き、また、前記複数の回転霧化装置のうちの少なくとも
2台の回転霧化装置について、コーン状内周面の周方向
のマット液放出端の長さ1mm当たりのマット液流量又
は前記R/Lを概略同一の値に設定することができる。
【0009】また、本発明の第3の視点によれば、上記
本発明の感光性平版印刷版の製造方法により得られる感
光性平版印刷版により上記目的を達成することができ
る。なお、本発明において数値範囲の記載は、両端値の
みならず、その中に含まれる全ての任意の中間値を含む
ものとする。以下、本発明の着想について説明する。
【0010】上述の従来技術の問題点を解決するために
は、直径の大きなマットを多量に付着せしめ、付加され
る圧力に対して十分な面積で対応できるようにすればよ
いが、直径の大きなマットは露光時に網点画像の小点の
再現性を劣化させる傾向にあり、実現が困難であった。
【0011】そのため、本発明者は、マットの平均体積
を制御し、網点画像の小点の再現性を劣化させない範囲
で出来るだけ大きなマットを数多く形成するようにした
ところ、体積が所定の範囲内にあるマットの個数の割合
を制御してマットを形成した感光性平版印刷版は、網点
画像の小点再現性を確保しつつ、製造から使用に至る過
程で作用する圧力に耐え、マット機能を維持することが
できるということ、さらには、回転霧化装置においてマ
ット液霧化部材のコーン状内周面の周方向のマット液放
出端の長さ当たりのマット液の流量を特定の範囲内に制
限してマット液を霧化する場合には、前記所定範囲内の
体積を有するマットを全マットに対して所定の割合で形
成した感光性平版印刷版を簡単に製造することができる
ということを見出した。
【0012】図面の図5に基づいて、この感光性平版印
刷版の製造方法の一例を説明する。図5は、上記特定の
回転霧化装置を用いて感光性平版印刷版前駆体にマット
を形成する装置の概略斜視図である。感光性平版印刷版
前駆体(感光層を片側に有する長尺の支持体)1は、搬
送ローラ8等のローラにより案内されて走行している。
感光性平版印刷版前駆体1の前記感光層に対して、カッ
プ状回転霧化頭の回転ベル7から微粒化したマット液2
を塗布する。
【0013】前記微粒化したマット液2は、回転ベル7
のコーン状内周面の周方向のマット液放出端の長さ1m
m当たりのマット液流量を、従来技術の問題点を解決で
きる特定の範囲内に制限してマット液を霧化して得たマ
ット液の微粒子である。前記カップ状回転霧化頭は、モ
ータ6とこのモータによって回転する回転ベル7を有し
ており、前記回転ベルにはマット液の送液ポンプ5によ
りマット液が供給される。
【0014】微粒化したマット液が塗布され流動状態の
マットが付着した感光性平版印刷版前駆体は、搬送ロー
ラ8により走行方向を変更されて乾燥装置であるマット
固定装置9の内部に搬送される。前記支持体に塗布され
たマット液は、マット固定装置9で乾燥され、前記支持
体に固定したマットになる。
【0015】このような感光性平版印刷版の製造方法で
は、回転霧化装置のコーン状内周面の周方向のマット液
放出端の長さ当たりのマット液の流量を特定の範囲内に
制限する必要があるので、回転霧化装置が単位時間当た
りに放出できるマット液の微粒子の量の最大値を増加さ
せるためには、マット液放出端の周方向の全長を増加し
なければならない。しかし、回転霧化装置は20000
rpm程度で回転使用される場合があり、モーター及び
軸受けの制約上、マット液放出端の全長を無制限に大き
くすることはできず、実際にはマット液放出端であるベ
ル先端の全長は500mm程度以下である場合が多い。
従って、回転霧化装置が一定の時間当たりに放出できる
マット液の微粒子の量の最大値は制限されるので、一定
の時間当たりに製造することができる感光性平版印刷版
の量が制限され、工業的な大量生産には適さない。
【0016】即ち、感光性平版印刷版を工業的に大量生
産する場合は、一般的に、図5に基づいて説明したよう
に、長尺帯状の感光性平版印刷版前駆体を連続的に走行
させ、走行する感光性平版印刷版前駆体に対してマット
液の微粒子を付着させてマットを形成するので、前記前
駆体の走行速度を遅く設定しないと、必要な数のマット
を一定面積当たりに有する感光性平版印刷版を製造でき
ない場合があった。
【0017】そこで、本発明者は、マット液放出端の長
さ当たりのマット液の流量を特定の範囲内に制限してマ
ット液を霧化する回転霧化装置を複数台用い、これら複
数の回転霧化装置からマット液の微粒子を放出しマット
液の微粒子を感光性平版印刷版前駆体に付着させる場合
には、各々の回転霧化装置におけるマット液放出端の長
さ当たりのマット液の流量を特定の範囲内に制限したま
まで、一定時間当たりに感光性平版印刷版前駆体に付着
させることが可能なマット液の微粒子の量の最大値を所
望の値まで増加させることができるということを見出し
本発明を完成するに至った。
【0018】前記各々の回転霧化装置は、マット液放出
端の長さ当たりのマット液の流量を特定の範囲内に制限
しているので、体積が所定の範囲にあるマットの個数の
割合を制御してマットを形成できるマット液の微粒子を
放出できるから、網点画像の小点再現性を確保しつつ、
製造から使用に至る過程で作用する圧力に耐え、マット
機能を維持することができるマットを有する感光性平版
印刷版を製造できる。本発明の各感光性平版印刷版の製
造方法では、このような回転霧化装置を複数個用いるの
で、一定時間当たりに感光性平版印刷版前駆体に対して
付着させることが可能な前記マット液の微粒子の量の最
大値を所望の値に増加させることができる。従って、本
発明の各感光性平版印刷版の製造方法によれば、上記効
果を奏する感光性平版印刷版をより短時間で効率よく工
業的に大量に製造することができる。
【0019】なお、特開平3−193160号公報に
は、2台の回転霧化装置を用いる点が記載されている。
しかし、この公報に記載された方法は、溶媒を予め付着
させておいた被塗布体に塗膜形成用塗布液を塗布する薄
層塗膜の連続形成方法であり、マット形成方法ではな
い。また、前記公報には、1台目の回転霧化装置で溶媒
を塗布し、2台目の回転霧化装置で塗膜形成用塗布液を
塗布する点が記載されているに過ぎない。
【0020】
【発明の実施の形態】〔感光性平版印刷版の製造方法〕
本発明の第1〜2の視点の感光性平版印刷版の製造方法
は、複数の回転霧化装置からマット液の微粒子を放出し
マット液の微粒子を感光性平版印刷版前駆体に付着させ
てマットを形成するマット形成工程を少なくとも有す
る。
【0021】複数の回転霧化装置からマット液の微粒子
を放出しマット液の微粒子を感光性平版印刷版前駆体に
付着させる場合としては、例えば、複数の回転霧化装置
から放出されたマット液の微粒子を感光性平版印刷版前
駆体にほとんど同時に付着させる場合、及び、複数の回
転霧化装置から放出されたマット液の微粒子を感光性平
版印刷版前駆体に時間差をおいて付着させる場合があ
る。
【0022】マット液の微粒子を感光性平版印刷版前駆
体に時間差をおいて付着させる場合としては、例えば、
未乾燥のマット液の微粒子及び乾燥したマットのうちの
少なくとも1種を有する感光性平版印刷版前駆体に、前
記未乾燥のマット液の微粒子を付着又は前記乾燥したマ
ットを形成するために用いた少なくとも1台の回転霧化
装置とは別の1又は2台以上の回転霧化装置から放出さ
せたマット液の微粒子を付着させる場合がある。
【0023】未乾燥のマット液の微粒子及び乾燥したマ
ットのうちの少なくとも1種を有する感光性平版印刷版
前駆体に、前記2台以上の回転霧化装置から放出させた
マット液の微粒子を付着させる場合には、前記前記2台
以上の回転霧化装置から放出させたマット液の微粒子を
感光性平版印刷版前駆体にほとんど同時に付着させる場
合、及び、前記2台以上の回転霧化装置から放出された
マット液の微粒子を感光性平版印刷版前駆体に時間差を
おいて付着させる場合がある。
【0024】本発明の第1〜2の視点のそれぞれの感光
性平版印刷版の製造方法におけるマット形成工程は、複
数の回転霧化装置のうちの少なくとも2台ないし全ての
回転霧化装置から放出されたマット液の微粒子を感光性
平版印刷版前駆体に概略同時に付着させる工程を含むこ
とができる。
【0025】本発明の第1〜2の視点のそれぞれの感光
性平版印刷版の製造方法で用いる複数の回転霧化装置の
うちの少なくとも2台ないし全ての回転霧化装置につい
て、それらの操作条件(マット液供給量、本発明で特定
するマット液流量又はR/L、マット液放出端の全長、
回転数等)を同一又は別個に設定することができる。
【0026】ここでマット液とは、マットを形成するた
めのマット材料を分散媒中に含有する液状体であり、前
記マット材料は分散媒中に溶解している場合と、溶解し
ないで分散している場合の双方を包含する。
【0027】また、感光性平版印刷版前駆体とは、マッ
トを有する感光性平版印刷版を製造する過程における少
なくともマットを形成する前のマットを有さない中間体
であり、マットを有さないこと以外は感光性平版印刷版
として使用することができるものも含む。なお、複数の
回転霧化装置からマット液の微粒子を放出しマット液の
微粒子を時間差を設けて感光性平版印刷版前駆体に付着
させる場合には、未乾燥のマット液の微粒子及び乾燥し
たマットのうちの少なくとも1種以上を有する感光性平
版印刷版前駆体に対して、マット液の微粒子を付着させ
ることがある。
【0028】感光性平版印刷版前駆体としては、例え
ば、感光性平版印刷版用感光層を有する感光性平版印刷
版用支持体がある。前記支持体の材料としては、感光性
平版印刷版の支持体の材料として従来から用いられてい
るものを用いることができる。前記感光層は、感光性平
版印刷版の感光層を形成するための材料として従来から
用いられているものを用い、従来から行われている方法
により支持体に形成することができる。
【0029】感光性平版印刷版は、一般的に、ローラー
を介して走行する連続した長尺帯状支持体に感光層及び
マット層などを付加することで製造されるものであり、
マットを形成した後に各種材質で作られたローラーとの
接触や、巻取り、またはカット後の集積などが行われる
ので、感光性平版印刷版前駆体に形成したマットには圧
力が加わる。本発明の第1〜2の視点の感光性平版印刷
版の製造方法によれば、製造過程においてマットを形成
した後に加わる圧力によるマットの変形を防止して製造
することができる。
【0030】なお、本発明の第1〜2の視点の感光性平
版印刷版の製造方法では、マット形成工程でマットを形
成した後に、マットを形成しなかった面に必要に応じて
各種の層を形成する工程を設けることができる。次に、
第1〜2の視点による感光性平版印刷版の製造方法の各
々の実施の形態について説明する。
【0031】[第1の視点による感光性平版印刷版の製
造方法]本発明の第1の視点による感光性平版印刷版の
製造方法では、複数の回転霧化装置の各々として、コー
ン状内周面を有し回転駆動されるマット液霧化部材を備
え、供給されたマット液が回転に基づく遠心力により前
記コーン状内周面に沿ってその外端縁部に導かれマット
液放出端から放出されて霧化されるという形式の回転霧
化装置を用い、各々の回転霧化装置におけるコーン状内
周面の周方向のマット液放出端の長さ1mm当たりのマ
ット液流量を0.130〜0.636cc/分(好まし
くは0.159〜0.517cc/分)にしてマット液
を霧化する。そして、このようにして得られたマット液
の微粒子を感光性平版印刷版前駆体に付着させる。
【0032】ここで「マット液放出端」とは、前記コー
ン状内周面の外端縁部において、マット液が放出される
線状の端部(辺)のことであり、一般的には前記コーン
状内周面の外端に沿って環状に存在する。「マット液放
出端」は、通常は、コーン状内周面が途切れる線状の端
部(辺)に一致するが、回転霧化装置の形状によって
は、マット液が放出される線状の端部(辺)が、コーン
状内周面が途切れる線状の端部(辺)の内側あるいは外
側に存在することがある。本発明の第2の視点の感光性
平版印刷版の製造方法における「マット液放出端」も同
様である。
【0033】回転霧化装置としては、好ましくは、上記
回転霧化装置の構成要件を具備し、前記コーン状内周面
の周方向のマット液放出端の長さ1mm当たりのマット
液流量を0.130〜0.636cc/分に調節するこ
とができるものを用いることができる。回転霧化装置の
マット液霧化部材の形状は、コーン状内周面を有する形
状であればよく、例えばベル形状にすることができる。
【0034】コーン状内周面の周方向のマット液放出端
の全長がL(mm)の場合において、前記マット液放出
端の長さ1mm当たりのマット液流量を前記特定の範囲
にするには、回転霧化装置に供給するマット液流量をR
(cc/分)とした時のR/Lが、0.130≦R/L
≦0.636(好ましくは0.159≦R/L≦0.5
17)の関係を満たすように、前記回転霧化装置にマッ
ト液を供給する。
【0035】[第2の視点による感光性平版印刷版の製
造方法]第2の視点による感光性平版印刷版の製造方法
では、複数の回転霧化装置の各々として、コーン状内周
面を有し回転駆動されるマット液霧化部材を備え、供給
されたマット液が回転に基づく遠心力により前記コーン
状内周面に沿ってその外端縁部に導かれマット液放出端
から放出されて霧化されるという形式の回転霧化装置を
用い、各々の回転霧化装置において、コーン状内周面の
周方向のマット液放出端の全長をL(mm)、供給する
マット液流量をR(cc/分)とした時のR/Lが、
0.130≦R/L≦0.636(好ましくは0.15
9≦R/L≦0.517)の関係を満たすようにしてマ
ット液を霧化する。このようにして得られたマット液の
微粒子を感光性平版印刷版前駆体に付着させる。
【0036】上記本発明の第1〜2の視点の感光性平版
印刷版の製造方法によれば、体積が4500μm3以上
18000μm3未満であるマットの個数が全マットの
個数の30%を越える感光性平版印刷版を簡単に製造す
ることができる。
【0037】[マットの形成]上記特定する範囲内の体
積を有するマットを全マットに対して上記特定する割合
で形成するためには、マットの平均体積の制御ととも
に、体積バラツキの低減が必要となる。
【0038】カップ状回転霧化頭(以下、「ベル」と称
する。)に連続的にマット液を供給することによって前
記マット液を微粒化するとともに、前記マット液に電荷
をかけることによって、微粒化したマット液を所望の部
分に付着させる静電塗布方式を用いた場合には、ベルの
回転数、ベルの形状、マット液の供給量を選択すること
によって、微粒化したマット液の微粒子の大きさを変更
することができる。
【0039】前記マット液の微粒子の大きさは常にある
範囲の分布を有しており、完全に一定の大きさの微粒子
を形成することは出来ないが、ベルの回転数、ベルの形
状、マット液の供給量をそれぞれ制御することによっ
て、ある条件の基で比較的狭い直径分布を有する微粒子
群を形成することが可能である。また、さらに前記因子
(ベルの回転数、ベルの形状、マット液の供給量)をそ
れぞれ制御することで、この微粒子群の平均直径を制御
することが可能である。
【0040】従って、前記因子に関して適切な条件を選
択することにより、形成される微粒子群の平均直径を所
望の直径に近づけ、また、直径分布を狭くすることで所
望の直径から外れた粒子の割合を小さくすることが出来
る。
【0041】特に、特開昭53−97042号公報や特
開平3−80957号公報に記載されているように、ベ
ル先端部に微小な凹凸を多数設けることによって発生す
る微粒子の大きさ分布を比較的狭い範囲に限定すること
が可能である。これは、マット液がベル先端から剥離し
飛行する際に、液糸を形成するにあたり、ベル先端部凹
凸が、均一な液糸の形成を補助するためと考えられてい
る。
【0042】しかし、液糸は、ベル先端部の一定の円周
長(マット液放出端の長さ)の単位長さ当たりに対して
ある程度の量以上のマット液が供給されることで形成さ
れ得るものであり、前記凹凸は液糸の形成を補助するに
過ぎないものである。ベル先端部の一定の円周長当たり
に供給されるマット液量が多すぎると太すぎる液糸が形
成されて、広い範囲の粒子径分布を持ったマット液の微
粒子が発生する。また、前記マット液の供給量が少なす
ぎると液糸の形成が阻害され、液糸の数が減り、結果的
に太い液糸と細い液糸が混在するために広い範囲の粒子
径分布を持ったマット液の微粒子が発生する。マット液
放出端におけるマット液量の多寡は、ベル1個に供給す
るマット液の量とベル先端部円周長(マット液放出端の
長さ)によって決まる。
【0043】上記ベルを用いてマット液を微粒化する方
法で形成されたマット液微粒子は、感光性平版印刷板前
駆体の感光層表面に付着し、乾燥、固着することによっ
てマットになる。したがって、マット液微粒子の大きさ
を適切に制御することで形成するマットの体積を制御可
能であり、マット液放出端であるベル先端部円周長L
(mm)に対してマット液流量R(cc/分)を0.1
30≦R/L≦0.636の範囲で供給することによ
り、体積が上記特定の範囲にあるマットの個数の割合が
上記のように高い感光性平版印刷版を簡単に製造するこ
とができるということが見出された。
【0044】しかし、この方法によると、感光性平版印
刷版前駆体へのマット液供給量を増やしたいときにはベ
ル先端部円周長を大きくしなければならない。回転ベル
(回転霧化装置)は20000rpm程度で回転使用さ
れるケースがあり、モーター及び軸受けの制約上、円周
長を無制限に大きくすることはできない。実際には円周
長500mm以下で使用することが多く、この程度の円
周長が望ましい。
【0045】ベル円周長の制約を満たしつつ感光性平版
印刷版前駆体へ供給することができるマット液供給量の
最大値を増やすためには、使用するベルの個数を複数に
すればよい。ベルの個数を複数にすることで、ベル1個
あたりのマット液供給量を制限したままで、一定時間当
たりのマット液の総供給量(即ち、一定時間当たりに感
光性平版印刷版前駆体へ付着させることができるマット
液の微粒子の量の最大値)を無制限に増やすことが可能
となった。
【0046】すなわち本発明により、体積が上記所定の
範囲内にあるマットの個数の割合を高くしてマットを形
成しつつ、そのようなマットを形成することができるマ
ット液の微粒子の量の最大値を無制限に増やすことが可
能となった。
【0047】本発明の第1〜2の視点の感光性平版印刷
版の製造方法におけるマット形成工程では、マット液を
複数の回転霧化装置で霧化して得られたマット液の微粒
子を感光性平版印刷版前駆体(一般的には、感光層を有
する感光性平版印刷版前駆体の感光層の表面)に付着さ
せ、感光性平版印刷版前駆体に付着したマット液の微粒
子を自然に又は加熱により強制的に乾燥させて、感光性
平版印刷版前駆体の表面にマットを形成することができ
る。なお、本発明の第1〜2の視点の感光性平版印刷版
の製造方法でそれぞれ用いる前記特定の回転霧化装置の
回転数は、マット液を霧化してマット液の微粒子を得る
ことができる範囲の回転数にし、例えば8000rpm
〜32000rpmにすることができる
【0048】マットを形成するためのマット材料として
は、従来から感光性平版印刷版のマットの材料として用
いられている各種樹脂等の材料にすることができる。こ
のようなマット材料としては、例えば、特開昭57−3
4558号公報に記載されているような、アクリル酸エ
ステルとアクリル酸またはメタクリル酸の共重合体;ス
チレン、アクリル酸エステル、アクリル酸又はメタクリ
ル酸の共重合体;アクリル酸エステル、スチレン、アク
リロニトリル等とアクリル酸、メタクリル酸、マレイン
酸又はイタコン酸等の共重合体;ポリビニルアルコー
ル、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルピロリドン等のビニル
系ポリマー等がある。
【0049】マット材料をマット液の形態にする場合
は、好ましくは、これらの樹脂を適宜選択し、従来周知
の方法により水へ溶解せしめた、あるいは分散させた水
性液とする。マット液の分散媒としては、水があり、水
のほかに有機溶媒を含んでいてもよい。
【0050】又、感光層や付着したマット液の液滴に影
響を及ぼさない、他の水溶性物質や微細な粒子の無機物
質の粉末、重合体の粉末などの充填剤をマット液に含有
させることができる。
【0051】マット液の調製法の例として、たとえば前
記の共重合体は通常のラテックスの合成法と同様にし
て、原料のモノマーを界面活性剤で水中に乳化してお
き、過硫酸カリウムなどの重合開始剤を用いて乳化重合
された水性分散物としてもよく、またアクリル酸、メタ
クリル酸、マレイン酸、イタコン酸などの一部をナトリ
ウム塩、カリウム塩、又はアンモニウム塩として共重合
体の水溶液とすることでもよい。
【0052】以下、図面の図1〜2に基づいて、本発明
の製造方法に用いることのできる回転霧化装置の一例を
より詳細に説明する。図1は、本発明の製造方法で用い
ることのできる回転霧化装置のベル部分の回転軸方向の
概略断面図である。
【0053】ベル(霧化頭本体)1は、カップ状の中空
部材で円筒部21とこの円筒部21の一端側にこれと一
体に形成されたコーン部22とからなり、コーン部はそ
の内周面2がコーン状に形成されその平滑な内周面の外
端縁部3は円環状に開口し円環状先端(マット液放出
端)19となっている。
【0054】ベル1の円筒部21内には、ブッシュ4が
同心状に設けられており、ブッシュ4とベル1は一体化
されている。このブッシュ4は、軸方向に短かい円筒形
状をなしその一端面に円錐形の凹面4aを形成してい
る。この凹面4aと円筒部21の内周面17によって形
成される内部空間7内には塗装供給ノズル8の先端部が
嵌入し、その先端は凹面4a内にわずかに嵌入すると共
に、その先端部軸心が円錐形凹面4aの中心あるいはそ
の極く近傍に位置するように配置されている。
【0055】ノズル8は、エアベアリング式のエアモー
ター9に具備された中空シャフト10の内部を通りその
後端部は図示しないマット液供給装置に接続されてい
る。
【0056】ベル1の円筒部21の内周面とブッシュ4
の外周面との間には円環状間隔11が形成され、この一
端側は内部空間7に連通すると共に、その他端側はベル
1のコーン状内周面2に連なる円筒状周壁面18に連通
している。この円環状間隔11内には、マット液が流出
する方向に、複数(本例では4つ)の流線形をした支柱
13が配せられこれら支柱13によりブッシュ4はラジ
アル方向に位置決めがされ円筒部21内にネジ5により
固定されている。
【0057】シャフト10にはフランジ14が一体的に
形成され、円筒部21の他端側にはフランジ23が一体
形成され、これらフランジ間には凹凸嵌合面が形成さ
れ、これによりベル1はラジアル方向の位置決めがされ
ネジ6によりシャフト10に同心状に取り付けられてい
る。エアモーター9の回転はシャフト10に出力され更
にシャフト10よりベル1に伝えられベル1は回転駆動
されるようになっている。
【0058】軸方向供給ノズル8より供給されるマット
液は、凹面4aにより案内され方向転換し回転により生
じる遠心力の作用によって薄膜状にラジアル外方向に薄
膜状に拡がる。薄膜状に拡がったマット液は、内周面1
7に放出され、さらに、コーン状内周面2に沿って外端
縁部3に導かれる。外端縁部3の円環状先端(マット液
放出端)19の周方向の長さ1mm当たりのマット液の
流量が本発明で特定する流量になるように、供給ノズル
8を介してマット液をコーン状内周面2に供給する。コ
ーン状内周面2に供給されたマット液は、マット液放出
端である円環状先端19から液糸として放出されて霧化
される。
【0059】マット液の上記方向転換、即ち、薄膜状拡
がりを行うためにブッシュ4に形成される前記凹面4a
の円錐角θは、30度以上、好ましくは60度以上とす
ることが望ましい。30度以下の場合には方向転換して
凹面4a上に薄く拡がりにくく、また凹面傾斜が急とな
りベル1及びブッシュ4の構造上好ましくない。
【0060】図2は、ベルの円環状のベル先端部(コー
ン状内周面の外端縁部のマット液放出端)2から発生す
る液糸の模式図である。ベルのコーン状内周面の外端縁
部に導かれたマット液は、円環状のベル先端部2で液糸
7になり、さらに液糸から分裂した液滴微粒子6にな
る。
【0061】図面の図3に基づいて、本発明の感光性平
版印刷版の製造方法の実施の形態の例を説明する。図3
は、本発明の方法で特定する回転霧化装置であるカップ
状回転霧化頭を用いて感光性平版印刷版前駆体にマット
を形成する装置の概略斜視図である。感光性平版印刷版
前駆体(感光層を片側に有する長尺の支持体)1は、搬
送ローラ8等のローラにより案内されて走行している。
感光性平版印刷版前駆体1の前記感光層に対して、2つ
のカップ状回転霧化頭のそれぞれの第1の回転ベル7’
及び第2の回転ベル7’’から微粒化したマット液2を
塗布する。
【0062】前記微粒化したマット液2は、回転ベル
7’及び7’’のそれぞれのコーン状内周面の周方向の
マット液放出端の長さ1mm当たりのマット液流量を本
発明で特定する流量にしてマット液を霧化して得たマッ
ト液の微粒子である。前記2つのカップ状回転霧化頭
は、それぞれ第1の回転ベル用モータ6’及び第2の回
転ベル用モータ6’’とそれぞれのモータによって回転
する回転ベル7’及び7’’を有しており、前記それぞ
れの回転ベルには第1のマット液の送液ポンプ5’及び
第2のマット液の送液ポンプ5’’のそれぞれによりマ
ット液が供給される。
【0063】微粒化したマット液が塗布され流動状態の
マットが付着した前記感光性平版印刷版前駆体は、搬送
ローラ8により走行方向を変更されてマット固定装置9
の内部に搬送される。前記感光性平版印刷版前駆体に塗
布されたマット液は、前記マット固定装置で乾燥され、
前記感光性平版印刷版前駆体に固定したマットになる。
【0064】また、図面の図4に基づいて、本発明の感
光性平版印刷版の製造方法の実施の形態の例を説明す
る。図4は、本発明の方法で特定する回転霧化装置であ
るカップ状霧化頭を用いて感光性平版印刷版前駆体にマ
ットを形成する装置の概略斜視図である。感光性平版印
刷版前駆体(感光層を片側に有する長尺の支持体)1
は、搬送ローラ(図示せず)により案内されて矢10の
方向に走行している。
【0065】感光性平版印刷版前駆体1の前記感光層に
対して、第1のカップ状回転霧化頭の第1の回転ベル
7’から微粒化したマット液2を塗布する。前記微粒化
したマット液2は、回転ベル7’のコーン状内周面の周
方向のマット液放出端の長さ1mm当たりのマット液流
量を本発明で特定する流量にしてマット液を霧化して得
たマット液の微粒子である。
【0066】回転ベル7’により微粒化したマット液が
塗布され流動状態のマットが付着した前記感光性平版印
刷版前駆体は、第1のマット固定装置9’の内部に搬送
される。前記支持体に塗布されたマット液は、マット固
定装置9’で乾燥され、前記支持体に固定したマットに
なる。
【0067】固定したマットを形成した感光性平版印刷
版前駆体1の前記感光層に対して、第2のカップ状回転
霧化頭の第2の回転ベル7’’から微粒化したマット液
2を塗布する。前記微粒化したマット液2は、回転ベル
7’’のコーン状内周面の周方向のマット液放出端の長
さ1mm当たりのマット液流量を本発明で特定する流量
にしてマット液を霧化して得たマット液の微粒子であ
る。
【0068】回転ベル7’’により微粒化したマット液
が塗布され流動状態のマットが付着した前記感光性平版
印刷版前駆体は、第2のマット固定装置9’’の内部に
搬送される。前記感光性平版印刷版前駆体に塗布された
マット液は、マット固定装置9’’で乾燥され、前記感
光性平版印刷版前駆体に固定したマットになる。
【0069】なお、前記2つのカップ状回転霧化頭は、
それぞれ第1の回転ベル用モータ6’及び第2の回転ベ
ル用モータ6’’とそれぞれのモータによって回転する
回転ベル7’及び7’’のそれぞれを有しており、前記
それぞれの回転ベルにはマット液の送液ポンプ(図示せ
ず)によりマット液が供給される。
【0070】以下、本発明の感光性平版印刷版の実施の
形態について説明する。
【0071】〔感光性平版印刷版〕本発明の感光性平版
印刷版は、本発明の感光性平版印刷版の製造方法により
得られるものである。この感光性平版印刷版は、好まし
くは、体積が4500μm 3以上18000μm3未満で
あるマットの個数が全マットの個数の30%を越えるも
のであり、好ましくは40%以上、より好ましくは50
%以上にする。また、体積が18000μm3以上であ
るマットの個数は、好ましくは、全マットの個数の10
%未満(より好ましくは8%未満)にする。
【0072】マットは、好ましくは、25個/mm2
上(より好ましくは30個/mm2以上、さらに好まし
くは40個/mm2以上)で感光性平版印刷版に分布し
ている。マットの材料としては、従来から感光性平版印
刷版のマットの材料として用いられている各種樹脂等の
材料にすることができる。
【0073】なお、本発明の感光性平版印刷版は、好ま
しくは、マット以外に、少なくとも支持体と感光層を有
するものであり、必要に応じてこれら以外の層を設ける
ことができる。支持体と感光層のそれぞれの材料として
は、従来から感光性平版印刷版の支持体と感光層のそれ
ぞれの材料として用いられているものにすることができ
る。マットは、マット本来の機能である真空密着時間の
短縮効果を奏することができる位置に設ければよく、通
常は少なくとも感光層の表面に設ける。
【0074】以下、本発明の感光性平版印刷版におい
て、全マットの個数の20%を越えるマットとして、体
積が4500μm3以上18000μm3未満であるマッ
トを特定した理由について説明する。
【0075】[マットの体積の最大値]感光性平版印刷
版は、露光時にフィルムと密着させることによってフィ
ルムの画像を忠実に印刷版に転写することが出来る。こ
のとき、フィルムと感光性平版印刷版の間に厚い空気層
が存在すると焼きボケと称する現象が発生し、画像が忠
実に転写されない。これを防止するために露光時にフィ
ルムと感光性平版印刷版を減圧環境下に置き、フィルム
と感光性平版印刷版の間の空気を抜くことが通常行われ
ているが、この空気を抜けやすくするために感光性平版
印刷版の表面にマット層が必要となる。
【0076】マット層は、フィルムと感光性平版印刷版
の間隔を適切に保つことによって、フィルムと感光性平
版印刷版の間に存在する気体を抜けやすくしている。し
かし、マットの高さが高すぎると前記間隔が広くなりす
ぎて、フィルムの画像が感光性平版印刷版に忠実に転写
できないという現象が発生する。
【0077】また、マットの直径が大きいとマットが付
着している部分に画像が転写しにくくなる。この現象は
体積の大きなマットを数多く形成することによって発生
するため、マットの体積をある大きさ以上に大きくしな
いことが重要である。そのため、1つのマットの体積
は、18000μm3以下にすることが好ましい。
【0078】[マットの体積の最小値]また、感光性平
版印刷版は、連続した帯状支持体に感光層及びマット層
などを付加することで製造される。この行程では、各種
材質で作られたローラーとの接触や、巻取り、またはカ
ット後の集積などが行われる。また、製造された感光性
平版印刷版は保管、梱包、配送などを経て使用者の手元
に至る。これら製造から使用に至るまでの過程は、印刷
版表面に圧力をかけるなどの作用を及ぼし、この作用が
表面のマットの形状を変形させている。この作用に対
し、出来るだけ大きなマットを数多く形成することが、
マットの変形を少なくする有効な手段となる。そのた
め、1つのマットの体積として4500μm3以上にす
ることが好ましい。
【0079】
【実施例】厚さ0.24mmのアルミニウム板の片面に
ナイロンブラシと400メッシュのパミスストン−水懸
濁液を用いて砂目立てし、よく水で洗浄した。この板を
70℃の第三りん酸ソーダ水溶液(5重量%)に2分間
浸漬し、水洗・乾燥し支持体を作成した。次に、特公昭
43−28403号公報に記載されているアセトンとピ
ロガロールの縮重合により得られるポリヒドロキシフェ
ニルのナフトキノン−1,2−ジアジド−5−スルホン
酸エステル1重量部とノボラック型フェノールホルムア
ルデヒド樹脂2重量部を20重量部のメチルエチルケト
ンに溶解して感光液を調整し、上記支持体の砂目立てし
た面に塗布・乾燥し、感光性平版印刷版前駆体を作成し
た。
【0080】また、メチルメタクリレート/エチルアク
リレート/アクリル酸ソーダ(重量比68:20:12
(仕込量比))共重合体ポリマー水溶液を固形分濃度1
8重量%にしてマット液を調整した。
【0081】上記感光性平版印刷版前駆体に対してマッ
ト液を回転霧化装置にて塗布するにあたり、表1のケー
ス1〜9に示したように、ベル個数、ベル1個あたりの
マット液供給量を変更して、各種感光性平版印刷版を作
製した。なお、表1には、マット液の総供給量も併せて
示す。
【0082】また、ケース1〜9では、先端部の円周長
(マット液放出端の全長)が232mmのベルを使用し
た。従って、ベル1個あたりのマット液供給量が60c
c/分、90cc/分、120cc/分、150cc/
分及び180cc/分の各場合において、ベルのマット
液放出端の長さ1mm当たりのマット液流量はそれぞれ
およそ0.259cc/分、0.388cc/分、0.
517cc/分、0.647cc/分、0.776cc
/分である。
【0083】作製したケース1〜9の感光性平版印刷版
のサンプルに関して、形成されたマット体積別個数比率
(体積が4500μm3以上18000μm3未満である
マットの個数の全マットの個数に対する比率(%)、及
び、体積が18000μm3以上であるマットの個数の
全マットの個数に対する比率(%))及び単位面積当た
りのマット数(個/mm2)を求めると共に、製造から
使用に至る過程で予想される圧力として7kg/cm2
にて表面を加圧した後、フィルムとの真空密着時間、及
び、網点の小点再現性を測定した。これらの結果も表1
に示す。
【0084】網点の小点再現性は、次の方法により評価
した。即ち、感度を測定するグレースケールフィルムを
用いて、5段クリアーになる標準的露光時間で直径10
μm、12μm、15μm、20μmの小点が再現する
状態をそれぞれ◎、○、△、×とした。
【0085】
【表1】
【0086】表1の中で、ケース1、2は網点の小点再
現性が許容範囲内であったが、真空密着時間は長くなっ
た。これは、単位面積当たりのマット数が少なかったた
めと推定できる。また、ケース3、4、5は比較的短い
真空密着時間を実現しているが、網点の小点再現性が許
容範囲から外れてしまった。これは、単位面積当たりの
マット数を増やそうとして液供給量を増やしたため、マ
ット形状が良好に保てなかったためと推定できる。
【0087】これらに対して、ケース6、7は比較的短
い真空密着時間を実現しつつ、網点の小点再現性が許容
範囲内であった。これはマット数を確保するために液供
給量を増やすにあたり、ベルの個数を増やし、ベル1個
あたりの流量を制限したことによる効果である。さら
に、ケース8、9は短い真空密着時間を実現しつつ、網
点の小点再現性が許容範囲であった。これはマット数を
増加するためにさらにマット液供給量を増やすにあた
り、ベルの個数をさらに増やしたことの効果である。
【0088】なお、表1の網点の小点再現性の評価の
「◎」は網点の小点再現性が十分に優れていることを示
し、「○」は網点の小点再現性が実用限界内であること
を示し、「×」は網点の小点再現性が実用限界外である
ことを示す。
【0089】網点の小点再現性のより詳細な評価基準
は、次のとおりである。「◎」は直径10μmの小点が
再現する状態であることを示し、「○」は直径12μm
の小点が再現する状態であることを示し、「△」は直径
15μmの小点が再現する状態であることを示し、
「×」は直径20μmの小点が再現する状態であること
を示す。
【0090】従って、真空密着時間と小点再現性の両方
が希望を満たすケースは6、7、8、9であり、これら
は本発明の実施例である。
【0091】
【発明の効果】本発明の感光性平版印刷版の製造方法に
よれば、網点画像の小点再現性を確保しつつ、製造から
使用に至る過程で通常に作用する圧力に耐え、前記圧力
が加えられた後でもマット機能を維持することができる
感光性平版印刷版を簡単に製造することができる。ま
た、本発明の感光性平版印刷版の製造方法によれば、上
記効果を奏する感光性平版印刷版を短時間で効率よく工
業的に大量に製造することができる。さらに、本発明の
感光性平版印刷版の製造方法によれば、製造過程におい
てマットを形成した後に加わる圧力(例えば、ローラー
との接触、巻取り、切断後の集積)によるマットの変形
を防止して感光性平版印刷版を製造することができる。
【0092】本発明の感光性平版印刷版は、網点画像の
小点再現性を確保しつつ、製造から使用に至る過程で通
常に作用する圧力に耐え、前記圧力が加えられた後でも
マット機能を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の製造方法で用いることのでき
る回転霧化装置のベル部分の回転軸方向の概略断面図で
ある。
【符号の説明】
1 ベル 19 円環状先端(マット液放出端)
【図2】図2は、ベル先端部とベル先端部から発生する
液糸の模式図である。
【符号の説明】
2 円環状のベル先端部(マット液放出端) 6 液糸から分裂した液滴微粒子 7 液糸
【図3】図3は、本発明の方法で特定する回転霧化装置
を用いて感光性平版印刷版前駆体にマットを形成する装
置の一例の概略斜視図である。
【符号の説明】
1 感光性平版印刷版前駆体 2 微粒化したマット液 5’ 第1のマット液の送液ポンプ 5’’ 第2のマット液の送液ポンプ 6’ 第1の回転ベル用モータ 6’’ 第2の回転ベル用モータ 7’ 第1の回転ベル 7’’ 第2の回転ベル 8 搬送ローラ 9 マット固定装置
【図4】図4は、本発明の方法で特定する回転霧化装置
を用いて感光性平版印刷版前駆体にマットを形成する装
置の一例の概略斜視図である。
【符号の説明】
1 感光性平版印刷版前駆体 2 微粒化したマット液 6’ 第1の回転ベル用モータ 6’’ 第2の回転ベル用モータ 7’ 第1の回転ベル 7’’ 第2の回転ベル 9’ 第1のマット固定装置 9’’ 第2のマット固定装置
【図5】図5は、回転霧化装置を用いて感光性平版印刷
版前駆体にマットを形成する装置の概略斜視図である。 1 感光性平版印刷版前駆体 2 微粒化したマット液 5 マット液の送液ポンプ 6 モータ 7 回転ベル 8 搬送ローラ 9 マット固定装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G03F 7/16 501 G03F 7/16 501 // B05B 3/10 B05B 3/10 B Fターム(参考) 2H025 AB03 DA03 DA06 2H096 AA06 CA20 2H114 AA04 AA10 AA23 AA27 BA01 DA75 DA78 DA79 GA01 GA34 GA35 4D075 AA08 AA21 AA39 AA83 AE06 DA03 DC27 EA45 4F033 AA01 PB16

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】複数の回転霧化装置からマット液の微粒子
    を放出しマット液の微粒子を感光性平版印刷版前駆体に
    付着させてマットを形成するマット形成工程を少なくと
    も有する感光性平版印刷版の製造方法であって、 前記複数の回転霧化装置の各々として、コーン状内周面
    を有し回転駆動されるマット液霧化部材を備え、供給さ
    れたマット液が回転に基づく遠心力により前記コーン状
    内周面に沿ってその外端縁部に導かれマット液放出端か
    ら放出されて霧化される形式の回転霧化装置を用い、 各々の回転霧化装置におけるコーン状内周面の周方向の
    マット液放出端の長さ1mm当たりのマット液流量を
    0.130〜0.636cc/分にすることを特徴とす
    る感光性平版印刷版の製造方法。
  2. 【請求項2】複数の回転霧化装置からマット液の微粒子
    を放出しマット液の微粒子を感光性平版印刷版前駆体に
    付着させてマットを形成するマット形成工程を少なくと
    も有する感光性平版印刷版の製造方法であって、 前記複数の回転霧化装置の各々として、コーン状内周面
    を有し回転駆動されるマット液霧化部材を備え、供給さ
    れたマット液が回転に基づく遠心力により前記コーン状
    内周面に沿ってその外端縁部に導かれマット液放出端か
    ら放出されて霧化される形式の回転霧化装置を用い、 各々の回転霧化装置において、コーン状内周面の周方向
    のマット液放出端の全長をL(mm)、供給するマット
    液流量をR(cc/分)とした時のR/Lが、0.13
    0≦R/L≦0.636の関係を満たすことを特徴とす
    る感光性平版印刷版の製造方法。
  3. 【請求項3】前記マット形成工程は、未乾燥のマット液
    の微粒子を付着させた感光性平版印刷版前駆体に、前記
    未乾燥のマット液の微粒子を放出した回転霧化装置とは
    別の少なくとも一の回転霧化装置から放出させたマット
    液の微粒子を付着させる工程を含むことを特徴とする請
    求項1〜2のいずれか一に記載の感光性平版印刷版の製
    造方法。
  4. 【請求項4】前記マット形成工程は、前記複数の回転霧
    化装置のうちの少なくとも2台の回転霧化装置から放出
    されたマット液の微粒子を感光性平版印刷版前駆体に概
    略同時に付着させる工程を含むことを特徴とする請求項
    1〜3のいずれか一に記載の感光性平版印刷版の製造方
    法。
  5. 【請求項5】前記複数の回転霧化装置のうちの少なくと
    も2台の回転霧化装置について、コーン状内周面の周方
    向のマット液放出端の長さ1mm当たりのマット液流量
    又は前記R/Lを概略同一の値に設定することを特徴と
    する請求項1〜4のいずれか一に記載の感光性平版印刷
    版の製造方法。
  6. 【請求項6】請求項1〜5のいずれか一に記載の感光性
    平版印刷版の製造方法により得られることを特徴とする
    感光性平版印刷版。
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