JP2001050785A - 超音波送受波器および超音波流量計 - Google Patents

超音波送受波器および超音波流量計

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明久 足立
Masahiko Hashimoto
雅彦 橋本
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徹 二宮
Kenzo Ochi
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は超音波送受波器の構成により特性の
均一な超音波送受波器を得ることができ、その結果一対
の超音波送受波器の特性が一致することにより超音波流
量計の計測精度の向上を実現する。 【解決手段】 圧電体11の電極面13から外部電極へ
の電気的接続を半田付けで行わず、導電性を有する弾性
体16を用いることにより、圧電体11への熱的負荷に
よる周波数特性の変動が低減できるため、特性の均一な
超音波送受波器を得ることができ、一対の超音波送受波
器を用いる超音波流量計の計測精度を向上させることが
できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は超音波パルスの送受
信を行う超音波送受波器およびこの超音波送受波器を用
いた計測装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来この種の超音波送受波器は、実願平
7−1793号公報に示すようなものが一般的であっ
た。この超音波送受波器は図9に示されているように、
リード線41を圧電体42の電極面43に半田付けする
ことにより電気的接続を行っていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
超音波送受波器の電気的接続方法では半田付けを行うた
め、 (1)熱的負荷による圧電特性劣化、 (2)半田付けした場所や半田量による周波数特性の変
動 (3)半田による環境負荷等の課題を有していた。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は上記課題を解決
するために、圧電体の一方の電極面と外部電極部とを導
電性を有する弾性体を用いて電気的に接続するものであ
る。
【0005】上記発明によれば、例えば導電性を有する
弾性体を挟んで加圧するなど、電気的接続に弾性体を用
いるため、圧電体に対し熱的負荷を与えず、弾性体は半
田に比べ柔らかく音響インピーダンスも小さいので機械
的な負荷が小さく圧電体の特性変動が抑えられ、超音波
送受波器の特性の均一化を図ることが可能となる。特に
一対の超音波送受波器を用いる超音波流量計などの計測
装置では、一対の超音波送受波器の特性が一致させやす
くなり、計測精度が向上できる。さらに半田を用いない
ため、環境への負荷も低減できる。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明の第1の形態の超音波送受
波器は、超音波パルスの送受信を行う超音波送受波器に
おいて、対向する2つの面に電極面を有する圧電体と、
前記圧電体に電気信号を伝達するための外部電極部を備
え、圧電体の一方の電極面と前記外部電極部は導電性を
有する弾性体を用いて電気的に接続するため、半田によ
る周波数特性の変動や環境負荷を低減できる。
【0007】本発明の第2の形態の超音波送受波器は、
第1の形態の超音波送受波器において、2つの外部電極
部を備え、圧電体の一方の電極面と一方の前記外部電極
部は導電性を有する弾性体を用いて電気的に接続し、前
記圧電体の他方の電極面と他方の前記外部電極部は接着
により電気的に接続するため、半田による周波数特性の
変動や環境負荷を低減できる。
【0008】本発明の第3の形態の超音波送受波器は、
第1の形態の超音波送受波器において、2つの外部電極
部を備え、圧電体のそれぞれの電極面とそれぞれの前記
外部電極部は導電性を有する弾性体を用いて電気的に接
続するため、半田による環境負荷が低減され、さらに接
着剤の厚みのばらつきによる周波数特性や送受信感度の
変動が低減できる。
【0009】本発明の第4の形態の超音波送受波器は、
第1から3のいづれかの形態の超音波送受波器におい
て、圧電体の電極面と外部電極部は導電性を有する前記
弾性体を挟んで加圧することにより電気的に接続するた
め、半田づけの熱的負荷による特性変動が低減でき、ま
た超音波送受波器の組立てが容易になる。
【0010】本発明の第5の形態の超音波送受波器は、
第1から6のいづれかの形態の超音波送受波器におい
て、電気的に分離された2つの端子を有する端子板を備
え、2つの前記端子はそれぞれの外部電極部と電気的に
接続するため、リード線を用いた外部装置との接続が容
易となる。
【0011】本発明の第6の形態の超音波送受波器は、
第5の形態の超音波送受波器において、前記端子板に、
導電性を有する弾性体が横方向へ移動することを防止す
るための移動防止手段を設けるため、導電性を有する弾
性体の移動による断線が防止でき信頼性が向上できる。
【0012】本発明の第7の形態の超音波送受波器は、
第6の形態の超音波送受波器において、前記移動防止手
段は端子板に設けた凹部であり、前記凹部の内側に導電
性を有する弾性体と一方の外部電極部を設けるため、凹
部に導電性を有する弾性体を落としこむように配置すれ
ば導電性を有する弾性体が動きにくくなり超音波送受波
器の組立てが容易となる。
【0013】本発明の第8の形態の超音波送受波器は、
第6の形態の超音波送受波器において、前記移動防止手
段は端子板に設けた突起部であり、突起の内側に導電性
を有する弾性体と一方の外部電極部を設けるため、導電
性を有する弾性体が動きにくくなるよう突起部を配置す
れば超音波送受波器の組立てが容易となる。
【0014】本発明の第9の形態の超音波送受波器は、
第2から8のいづれかの形態の超音波送受波器におい
て、前記導電性を有する弾性体は導電性を有する導電部
と絶縁性を有する絶縁部を備え、前記絶縁部により2つ
の外部電極が電気的に短絡することを防止するため、超
音波送受波器の信頼性が向上できる。
【0015】本発明の第10の形態の超音波送受波器
は、第9の形態の超音波送受波器において、導電部と絶
縁部は層状に交互に配置され、両側の最外層は絶縁層で
あるため、絶縁部により2つの前記外部電極が電気的に
短絡することを防止するため、超音波送受波器の信頼性
が向上できる。
【0016】本発明の第11の形態の超音波送受波器
は、第1から4のいづれかの形態の超音波送受波器にお
いて、少なくとも1つの外部電極部は折り曲げを有する
ため、外部電極を固定する場所の自由度が向上し超音波
送受波器の組立てが容易となる。
【0017】本発明の第12の形態の超音波流量計は、
被測定流体が流れる流量測定部と、この流量測定部に設
けられた第1から11のいづれかの形態の1対の超音波
送受波器と、一方の前記超音波送受波器を駆動する駆動
回路と、他方の前記超音送受波器に接続され超音波パル
スを検知する受信検知回路と、前記超音波パルスの伝搬
時間を測定するタイマと、前記タイマの出力より流量を
演算によって求める演算部を有するため、一対の超音波
送受波器の特性が一致させやすくなり、計測精度が向上
できる。
【0018】以下、本発明の実施の形態について図面を
用いて説明する。なお図面中で同一符号を付しているも
のは同一なものであり、詳細な説明は省略する。
【0019】(実施の形態1)図1は本発明の一実施の
形態の超音波流量計を示すブロック図である。図1にお
いて、1は被測定流体が流れる流量測定部、2、3は流
量測定部に対向して配置され超音波を送受信する超音波
送受波器、4は超音波送受波器を駆動する駆動部、5は
送受信する超音波送受波器を切り替える切替回路、6は
超音波パルスを検知する受信検知回路、7は超音波パル
スの伝搬時間を計測するタイマ、8はタイマの出力より
流量を演算する演算部、9は駆動回路とタイマに制御信
号を出力する制御部である。
【0020】まず動作、作用について説明する。非測定
流体を例えばLPガス、超音波送受波器2、3の駆動周
波数を約500kHzとする。制御部9では駆動部4に
送信開始信号を出力すると同時に、タイマ7の時間計測
を開始させる。駆動部4は送信開始信号を受けると超音
波送受波器3を駆動し、超音波パルスを送信する。送信
された超音波パルスは流量測定内を伝搬し超音波送受波
器2で受信される。受信された超音波パルスは超音波送
受波器2で電気信号に変換され、受信検知回路6に出力
される。受信検知回路6では受信信号の受信タイミング
を決定し、タイマ7を停止させ、演算部8で伝搬時間t
1を演算する。
【0021】引き続き切替回路5で駆動部4と受信検知
回路6に接続する超音波送受波器2、3を切り替え、再
び制御部9では駆動部4に送信開始信号を出力すると同
時に、タイマ7の時間計測を開始させる。伝搬時間t1
の測定と逆に、超音波送受波器2で超音波パルスを送信
し、超音波送受波器3で受信し、演算部8で伝搬時間t
2を演算する。
【0022】ここで、超音波送受波器2と超音波送受波
器3の中心を結ぶ距離をL、LPガスの無風状態での音
速をC、流量測定部1内での流速をV、非測定流体の流
れの方向と超音波送受波器2,3の中心を結ぶ線との角
度をθとすると、伝搬時間t1、t2は、(数1)(数
2)で示される。(数1)(数2)より被測定流体の音
速Cを消去して、流速Vを求めると(数3)が得られ
る。Lは既知であるのでt1とt2を測定すれば流速V
が求められる。
【0023】
【数1】
【0024】
【数2】
【0025】
【数3】
【0026】ただしt1とt2の時間差は流速Vが遅い
ときには極めて小さく、正確に計測することは困難であ
る。そこで一般的には測定をN回繰り返して平均化する
手法や、シングアラウンド法を用いて伝搬時間t1、t
2の測定精度を向上させ、流速Vの精度を高めている。
この流速Vと流量測定部1の面積をS、補正係数をKと
すれば、流量Qは(数4)で演算できる。
【0027】
【数4】
【0028】次に超音波流量計に用いる超音波送受波器
について示す。超音波流量計において流量の測定精度を
向上させるためには、一対の超音波送受波器の特性が一
致しているほうが好ましい。しかし一般的な電気的接続
方法であるリード線をハンダ付けする方法を用いると、
熱的影響や付着するハンダ量によって超音波送受波器の
周波数特性や送受信感度に影響を与えることがある。そ
こで、周波数特性や送受信感度のばらつきを少なくする
ため図2に示す構成の超音波送受波器を用いる。図2に
おいて、超音波送受波器10は電極面12および電極面
13を有する圧電体11、整合層14、SUS製の有天
筒状のケース15、導電性を有する弾性体16、2本の
端子17および端子18を有する端子板19で構成され
る。なお、電極面12および電極面13は1辺が約7.
6mmの正方形で、整合層14は直径が約11mm、ケ
ース15の天部付近の直径は約11mmとする。
【0029】まず整合層14と圧電体11の電極面12
は厚さ0.2mmのSUS製のケース15の天部に例えば
エポキシ系接着剤を用いてそれぞれ接着固定する。この
とき接着剤の厚みを薄くすることにより、接着固定と同
時に電極面12とケース15の電気的接続もとることが
できる。次に導電性を有する弾性体16(例えばシリコ
ン系ゴムからなる導電ゴム)を圧電体11の電極面13
と端子板19の端子17で挟んで加圧し、この状態で端
子板19の外周付近23とケース15の外周付近24を
電気溶接により接続する。なお端子板19の外周部21
と中心部22は例えば鉄製で、外周部21には端子1
8、中心部22には端子17が設けられており、外周部
21と中心部22はガラス20で電気的に絶縁されてい
る。この結果、電極面13と端子17は電気的に接続さ
れ、電極面12は外部電極を兼ねたケース15、端子板
19の外周部21を介して端子18に電気的に接続され
る。
【0030】以上のように構成した超音波送受波器10
では、圧電体11に対し熱的影響や機械的な負荷を与え
ないため、圧電体11、ケース12、整合層14の特性
や寸法を管理すれば、特性のバラツキが低減でき、特性
が一致した一対の超音波送受波器を容易に得ることが可
能となる。この結果、超音波流量計の測定精度が向上で
きる。さらにリード線を用いないため断線による不良が
低減でき、ハンダによる環境負荷を低減することもでき
る。
【0031】なお本実施の形態では弾性体16にシリコ
ン系ゴムからなる導電ゴムを用いるとしたが、導電性を
有する弾性体であればNBRゴムや液晶ポリマ等の他の弾
性材料でも構わない。また非測定流体をLPガスとした
が、都市ガスや空気などの気体や水などの液体でも構わ
ない。超音波送受波器2、3の周波数を500kHzとし
たが、500kHz以外の非測定流体の計測に適した周波
数を選択して構わない。また超音波送受波器2,3を流
れの方向に対して斜めに配置するとしたが、流れに対し
て平行に配置しても構わないし、流量測定部1の内壁面
の反射を利用する位置に配置しても構わない。また外周
部21と中心部22はガラス20で電気的に絶縁されて
いるとしたが、絶縁体であればガラス以外の材料でもよ
く、例えばエポキシ樹脂のような樹脂でも構わない。ま
た圧電体11を有天筒状のケース15の天部に接着固定
するとしたが、上記条件に限定されるわけでなく、ケー
ス15は有天筒状以外の形状でも構わないし、流量測定
部1の外壁面に接着などにより配置しても構わない。ま
たケース15を超音波を送受信する方向に用いている
が、送受信する方向と対向する方向に用いても構わな
い。また超音波送受波器2、3を超音波流量計に用いる
としたが、探傷用の超音波送受波器、医療用の超音波プ
ローブ、測距用の超音波送受波器、水中用の超音波ソナ
ーなどに用いても構わない。さらにケース15と端子板
19で構成される空間を乾燥した窒素や不活性ガスで置
換すると、電極面12、13の酸化や弾性体の劣化が防
止でき、さらに信頼性が向上できる。
【0032】(実施の形態2)以下、本発明の一実施の
形態について、図面を参照しながら説明する。図3は本
実施の形態の超音波送受波器の断面図である。25は超
音波送受波器で、電極面12および電極面13を有する
圧電体11、整合層14、ケース15、2本の端子17
および端子18を有する端子板19、端子18と端子1
7を電気的に絶縁するためのガラス20で、以上は図2
の構成と同様なものである。図2の構成と異なるのは、
導電性を有する弾性体26および弾性体27を用いて圧
電体11の2つの電極面12および電極面13の電気的
接続をそれぞれ行った点である。なお、超音波流量計の
動作、作用は(実施の形態1)と同様なので省略する。
【0033】圧電体11の電極面12とケース15の電
気的接続を接着でなく、導電性を有する弾性体26を用
いた超音波受波器25の組み立て方法の一例を示す。ま
ず、整合層14は厚さ0.2mmのSUS製ケース15
の天部に例えばエポキシ系接着剤を用いて接着固定す
る。次にケース15の内側に導電性を有する弾性体26
(例えばシリコン系ゴムからなる導電ゴム)を配置し、
圧電体11の電極面12が弾性体26と接触するように
配置する。次に弾性体27(例えばシリコン系ゴムから
なる導電ゴム)を圧電体11の電極面13に接触するよ
うに配置する。弾性体27と端子板19の端子中心部2
2で挟んで加圧し、この状態で端子板19の外周付近2
3とケース15の外周付近24を電気溶接により接続す
る。なお端子板19の外周部21と中心部22は例えば
鉄製で、外周部21には端子18、中心部22には端子
17が設けられており、外周部21と中心部22はガラ
ス20で電気的に絶縁されている。この結果、電極面1
3と端子17は電気的に接続され、電極面12は外部電
極を兼ねたケース15、端子板19の外周部21を介し
て端子18に電気的に接続される。
【0034】以上のように構成した超音波送受波器25
では、圧電体11の電極面12とケース15の電気的接
続を接着でなく、弾性体26および弾性体27を用いた
加圧接続にしたため、接着剤の厚みのばらつきによる周
波数特性や送受信感度のばらつきが低減できるので、さ
らに高精度な計測が可能となる。
【0035】なお本実施の形態では弾性体26および弾
性体27にシリコン系ゴムからなる導電ゴムを用いると
したが、導電性を有する弾性体であればNBRゴムや液晶
ポリマ等の他の弾性材料でも構わない。
【0036】(実施の形態3)以下、本発明の一実施の
形態について、図面を参照しながら説明する。図4は本
実施の形態の超音波送受波器の断面図である。28は超
音波送受波器で、電極面12および電極面13を有する
圧電体11、整合層14、ケース15、導電性を有する
弾性体16で、以上は図2の構成と同様なものである。
図2の構成と異なるのは、2本の端子17および端子1
8を有する端子板29に、前記弾性体16が横方向へ移
動することを防止する手段として凹部30を設けている
点である。なお超音波流量計の動作、作用は(実施の形
態1)と同様なので省略する。
【0037】まず端子板29の構成を示す。端子板29
の外周部21と中心部22は例えば鉄製で、端子板29
の中心付近に凹部30が形成されるよう外周部21より
も中心部22の厚みは薄い。外周部21と中心部22は
ガラス20で電気的に絶縁されており、外周部21とガ
ラス20の厚みはほぼ同じとする。外周部21には端子
18、中心部22には端子17を設ける。
【0038】以上のように構成した端子板29を用いた
超音波送受波器28の組み立て方法の一例を示す。まず
整合層14と圧電体11の電極面12は厚さ0.2mmの
SUS製のケース15の天部に例えばエポキシ系接着剤
を用いてそれぞれ接着固定する。このとき接着剤の厚み
を薄くすることにより、接着固定と同時に電極面12と
ケース15の電気的接続も行う。次に凹部30に導電性
ゴムから成る弾性体16を落としこむように配置し、こ
の弾性体16を電極面13と中心部22で挟んで加圧
し、この状態で端子板29の外周付近23とケース15
の外周付近24を電気溶接により接続する。
【0039】以上のように構成した超音波送受波器28
では、弾性体16が横方向へ移動することを凹部30で
防止しているため、弾性体16の移動による接触不良を
防止することができるため信頼性が向上する。さらに、
弾性体16を端子板29の凹部30に落としこむように
配置するため、端子板29を固定する際に弾性体16の
移動が防止されるため、組立てが容易になる。
【0040】なお本実施の形態では外周部21とガラス
20の厚みをほぼ等しくするとしたが、弾性体16によ
り外周部21と中心部22が電気的に短絡しないのであ
れば厚みをほぼ等しくする必要はない。また、外周部2
1よりも中心部22の厚みを薄くして凹部30を形成す
るとしたが、中心部22に凹部を設けても構わない。
【0041】(実施の形態4)以下、本発明の一実施の
形態について、図面を参照しながら説明する。図5は本
実施の形態の超音波送受波器の断面図である。31は超
音波送受波器で、電極面12および電極面13を有する
圧電体11、整合層14、ケース15、導電性を有する
弾性体16で、以上は図2の構成と同様なものである。
図2の構成と異なるのは、2本の端子17および端子1
8を有する端子板32に、前記弾性体16が横方向へ移
動することを防止する手段として突起部33を設けてい
る点である。なお超音波流量計の動作、作用は(実施の
形態1)と同様なので省略する。
【0042】まず、端子板32の構成を示す。端子板3
2の外周部21と中心部22は例えば鉄製で、外周部2
1と中心部22はガラス20で電気的に絶縁されてお
り、ガラス20は端子板32に突起部33が形成される
よう外周部21および中心部22よりも厚みは厚い。外
周部21には端子18、中心部22には端子17を設け
る。
【0043】以上のように構成した端子板32を用いた
超音波送受波器31の組み立て方法の一例を示す。まず
整合層14と圧電体11の電極面12は厚さ0.2mm
のSUS製ケース15の天部に例えばエポキシ系接着剤
を用いてそれぞれ接着固定する。このとき接着剤の厚み
を薄くすることにより、接着固定と同時に電極面12と
ケース15の電気的接続も行う。次に端子板32の突起
部33の内側に導電性ゴムから成る弾性体16を配置
し、この弾性体16を電極面13と中心部22で挟んで
加圧し、この状態で端子板32の外周付近23とケース
15の外周付近24を電気溶接により接続する。
【0044】以上のように構成した超音波送受波器31
では、弾性体16が横方向へ移動することを突起部33
で防止しているため、弾性体16の移動による接触不良
を防止することができるため信頼性が向上する。さら
に、弾性体16を端子板32の突起部33に落としこむ
ように配置するため、端子板32を固定する際に弾性体
16の移動が防止されるため、組立てが容易になる。
【0045】なお本実施の形態ではガラス20に突起部
33を形成するとしたが、中心部22の外周に突起部を
設けて、中心部22と外周部21とを絶縁しても構わな
い。
【0046】(実施の形態5)以下、本発明の一実施の
形態について、図面を参照しながら説明する。図6は本
実施の形態の超音波送受波器の断面図である。34は超
音波送受波器で、電極面12および電極面13を有する
圧電体11、整合層14、ケース15、2本の端子17
および端子18を有する端子板19で、以上は図2の構
成と同様なものである。図2の構成と異なるのは、導電
性を有する弾性体35に導電部36と絶縁部37を設け
ている点である。なお超音波流量計の動作、作用は(実
施の形態1)と同様なので省略する。
【0047】まず導電性を有する弾性体35の構成につ
いて図面を参照しながら説明する。図7は導電性を有す
る弾性体35の断面図である。導電部36は例えば導電
性を有するシリコン系ゴムで、導電部36の周囲を取り
囲むように例えば絶縁性を有するシリコン系ゴムから成
る絶縁部37が配置されている。
【0048】以上のように構成した弾性体35を用いた
超音波送受波器34の組み立て方法の一例を示す。まず
整合層14と圧電体11の電極面12は厚さ0.2mm
のSUS製のケース15の天部に例えばエポキシ系接着
剤を用いてそれぞれ接着固定する。このとき接着剤の厚
みを薄くすることにより、接着固定と同時に電極面12
とケース15の電気的接続も行う。次に導電性を有する
弾性体35を圧電体11の電極面13と端子板19の中
心部22で挟んで加圧し、この状態で端子板19の外周
付近23とケース15の外周付近24を電気溶接により
接続する。なお端子板19の外周部21と中心部22は
例えば鉄製で、外周部21には端子18、中心部22に
は端子17が設けられており、外周部21と中心部22
はガラス20で電気的に絶縁されている。この結果、電
極面13と端子17は電気的に接続され、電極面12は
外部電極を兼ねたケース15、端子板19の外周部21
を介して端子18に電気的に接続される。
【0049】以上のように構成した超音波送受波器34
では、電気的接続に用いる弾性体35の外周付近には絶
縁部37を備えているため、組み立て工程で弾性体35
の位置にずれが生じても2つの外部電極が電気的に短絡
することを防止できるので、電気的な短絡による不良が
低減でき、組み立ても容易になる。さらに信頼性も向上
する。
【0050】なお本実施の形態では、材料について導電
部36にはシリコン系ゴムからなる導電ゴムとしたが、
導電性を有する弾性体であればNBRゴムや液晶ポリマ等
の他の弾性材料でも構わない。また、絶縁部37には絶
縁性を有するシリコン系ゴムとしたが、その他の絶縁材
料でも構わない。また導電性を有する弾性体35の構成
を、導電部36の周囲を絶縁部37で囲んでいる構成と
したが、図8の弾性体38に示すように導電層39と絶
縁層40を層状に交互に配置して弾性を保持するように
構成しても構わない。さらに図8に示すように、弾性体
38の最外層を絶縁層39とすればガラス20の厚みを
外周部21の厚みより薄くしても2つの外部電極が電気
的に短絡することを防止できる。
【0051】また実施の形態1〜5では、ケース15に
整合層14を配置しているが、非測定流体によっては整
合層14を設ける必要がない。またケース15をSUS製
としたが、SUS以外の鉄、アルミ、しんちゅう、銅など
の金属でも構わないし、表面に電極を設けたエポキシな
どの樹脂でも構わない。また端子板の外周部21、中心
部22は鉄製としたが、鉄以外のSUS、アルミ、しんち
ゅう、銅などの金属でも構わないし、表面に電極を設け
たエポキシなどの樹脂でも構わない。また端子板の外周
付近23とケースの外周付近24を電気溶接するとした
が、電気溶接以外の溶接でも、接着でも構わない。
【0052】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように次の効果
が得られる。
【0053】第1の超音波送受波器は、超音波パルスの
送受信を行う超音波送受波器において、対向する2つの
面に電極面を有する圧電体と、前記圧電体に電気信号を
伝達するための外部電極部を備え、圧電体の一方の電極
面と前記外部電極部は導電性を有する弾性体を用いて電
気的に接続するため、半田による熱的負荷を与えないの
で周波数特性が一致し、さらに環境負荷の低減された一
対の超音波送受波器を得ることができる。
【0054】第2の超音波送受波器は、2つの外部電極
部を備え、圧電体の一方の電極面と一方の前記外部電極
部は導電性を有する弾性体を用いて電気的に接続し、前
記圧電体の他方の電極面と他方の前記外部電極部は接着
により電気的に接続するため、半田による熱的負荷を与
えないので周波数特性が一致し、さらに環境負荷の低減
された一対の超音波送受波器を得ることができる。
【0055】第3の超音波送受波器は、2つの外部電極
部を備え、圧電体のそれぞれの前記電極面とそれぞれの
前記外部電極部は導電性を有する弾性体を用いて電気的
に接続するため、半田による環境負荷が低減され、さら
に接着剤の厚みのばらつきによる周波数特性や送受信感
度の変動が低減されるので高精度な計測が可能な超音波
送受波器を得ることができる。
【0056】第4の超音波送受波器は、圧電体の電極面
と外部電極部は導電性を有する前記弾性体を挟んで加圧
することにより電気的に接続するため、半田による熱的
負荷を与えないので周波数特性の変動が低減でき、組み
立ての容易な超音波送受波器を得ることができる。
【0057】第5の超音波送受波器は、電気的に分離さ
れた2つの端子を有する端子板を備え、2つの前記端子
はそれぞれの外部電極部と電気的に接続するため、リー
ド線を用いた外部装置との接続が容易な超音波送受波器
を得ることができる。
【0058】第6の超音波送受波器は、前記端子板に、
導電性を有する弾性体が横方向へ移動することを防止す
るための移動防止手段を設けるため、導電性を有する弾
性体の移動による断線が防止できるので信頼性の高い超
音波送受波器を得ることができる。
【0059】第7の超音波送受波器は、前記移動防止手
段は端子板に設けた凹部であり、前記凹部の内側に導電
性を有する弾性体と一方の外部電極部を設けるため、凹
部に導電性を有する弾性体を落とし込むように配置すれ
ば導電性を有する弾性体が横方向へ移動することによる
接触不良を防止できるので信頼性の高い超音波送受波器
を得ることができる。さらに導電性を有する弾性体の移
動が防止されるので組み立ての容易な超音波送受波器を
得ることができる。
【0060】第8の超音波送受波器は、前記移動防止手
段は端子板に設けた突起部であり、突起の内側に導電性
を有する弾性体と一方の外部電極部を設けるため、導電
性を有する弾性体の移動が防止されるように突起部を配
置すれば、導電性を有する弾性体が横方向へ移動するこ
とによる接触不良を防止できるので信頼性の高い超音波
送受波器を得ることができる。さらに導電性を有する弾
性体の移動が防止されるので組み立ての容易な超音波送
受波器を得ることができる。
【0061】第9の超音波送受波器は、前記導電性を有
する弾性体は導電性を有する導電部と絶縁性を有する絶
縁部を備え、前記絶縁部により2つの外部電極が電気的
に短絡することを防止するため、信頼性の高い超音波送
受波器を得ることができる。
【0062】第10の超音波送受波器は、導電部と絶縁
部は層状に交互に配置され、両側の最外層は絶縁層であ
るため、絶縁部により2つの外部電極が電気的に短絡す
ることを防止するため電気的な短絡による不良が防止で
きるので、組み立ての容易な信頼性の高い超音波送受波
器を得ることができる。
【0063】第11の超音波送受波器は、少なくとも1
つの外部電極部は折り曲げを有するため、外部電極を固
定する場所の自由度が向上し超音波送受波器の組立てが
容易な超音波送受波器を得ることができる。
【0064】第12の超音波流量計は、被測定流体が流
れる流量測定部と、この流量測定部に設けられた請求項
1から11のいづれか1項記載の1対の超音波送受波器
と、一方の前記超音波送受波器を駆動する駆動回路と、
他方の前記超音送受波器に接続され超音波パルスを検知
する受信検知回路と、前記超音波パルスの伝搬時間を測
定するタイマと、前記タイマの出力より流量を演算によ
って求める演算部を有するため、一対の超音波送受波器
の特性が一致させやすくなり、計測精度の高い超音波流
量計を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態における超音波流量計を
示すブロック図
【図2】(a)本発明の一実施の形態における超音波送
受波器の外観図(b)本発明の一実施の形態における超
音波送受波器の断面図
【図3】本発明の一実施の形態における超音波送受波器
の断面図
【図4】本発明の一実施の形態における超音波送受波器
の断面図
【図5】本発明の一実施の形態における超音波送受波器
の断面図
【図6】本発明の一実施の形態における超音波送受波器
の断面図
【図7】本発明の一実施の形態における導電性を有する
弾性体の断面図
【図8】本発明の一実施の形態における超音波送受波器
の変形例の断面図
【図9】従来の超音波送受波器の断面図
【符号の説明】
1 流量測定部 2、3 超音波送受波器 4 駆動部 5 切替回路 6 受信検知回路 7 タイマ 8 演算部 9 制御部 10 超音波送受波器 11 圧電体 12、13 圧電体電極面 14 整合層 15 ケース 16 弾性体 17、18 端子 19 端子板 20 ガラス 21 外周部 22 中心部 23 外周付近 24 外周付近 25 超音波送受波器 26、27 弾性体 28 超音波送受波器 29 端子板 30 端子板凹部 31 超音波送受波器 32 端子板 33 端子板突起部 34 超音波送受波器 35 弾性体 36 導電部 37 絶縁部 38 弾性体 39 導電層 40 絶縁層 41 リード線 42 圧電体 43 電極面 44 半田
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 橋本 雅彦 神奈川県川崎市多摩区東三田3丁目10番1 号 松下技研株式会社内 (72)発明者 二宮 徹 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 黄地 謙三 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 Fターム(参考) 2F035 DA05 DA19 2G064 AB05 AB29 BA05 BA21 BD18 BD35 DD32 5D019 AA12 AA18 AA26 BB28 EE02 GG09 GG12

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 超音波パルスの送受信を行う超音波送受
    波器において、対向する2つの面に電極面を有する圧電
    体と、前記圧電体に電気信号を伝達するための外部電極
    部を備え、圧電体の一方の電極面と前記外部電極部は導
    電性を有する弾性体を用いて電気的に接続する超音波送
    受波器。
  2. 【請求項2】 2つの外部電極部を備え、圧電体の一方
    の電極面と一方の前記外部電極部は導電性を有する弾性
    体を用いて電気的に接続し、前記圧電体の他方の電極面
    と他方の前記外部電極部は接着により電気的に接続する
    請求項1記載の超音波送受波器。
  3. 【請求項3】 2つの外部電極部を備え、圧電体のそれ
    ぞれの電極面とそれぞれの前記外部電極部は導電性を有
    する弾性体を用いて電気的に接続する請求項1記載の超
    音波送受波器。
  4. 【請求項4】 圧電体の電極面と外部電極部は導電性を
    有する弾性体を挟んで加圧することにより電気的に接続
    する請求項1から3のいづれか1項記載の超音波送受波
    器。
  5. 【請求項5】 電気的に分離された2つの端子を有する
    端子板を備え、2つの前記端子はそれぞれの外部電極部
    と電気的に接続する請求項2から4のいづれか1項記載
    の超音波送受波器。
  6. 【請求項6】 端子板に、導電性を有する弾性体が横方
    向へ移動することを防止するための移動防止手段を設け
    る請求項5記載の超音波送受波器。
  7. 【請求項7】 移動防止手段は端子板に設けた凹部であ
    り、前記凹部の内側に導電性を有する弾性体と一方の外
    部電極部を設ける請求項6記載の超音波送受波器。
  8. 【請求項8】 移動防止手段は端子板に設けた突起部で
    あり、突起の内側に導電性を有する弾性体と一方の外部
    電極部を設ける請求項6記載の超音波送受波器。
  9. 【請求項9】 導電性を有する弾性体は導電性を有する
    導電部と絶縁性を有する絶縁部を備え、前記絶縁部によ
    り2つの外部電極が電気的に短絡することを防止する請
    求項2から8のいづれか1項記載の超音波送受波器。
  10. 【請求項10】 導電部と絶縁部は層状に交互に配置さ
    れ、両側の最外層は絶縁層である請求項9記載の超音波
    送受波器。
  11. 【請求項11】 少なくとも1つの外部電極部は折り曲
    げを有する請求項1から4のいづれか1項記載の超音波
    送受波器。
  12. 【請求項12】 被測定流体が流れる流量測定部と、こ
    の流量測定部に設けられた請求項1から11のいづれか
    1項記載の1対の超音波送受波器と、一方の前記超音波
    送受波器を駆動する駆動回路と、他方の前記超音送受波
    器に接続され超音波パルスを検知する受信検知回路と、
    前記超音波パルスの伝搬時間を測定するタイマと、前記
    タイマの出力より流量を演算によって求める演算部を有
    する超音波流量計。
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